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▶ カリコ ライフ サイエンシーズ エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120011
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】斜面顕微鏡検査システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240827BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240827BHJP
   G02B 21/06 20060101ALN20240827BHJP
   G02B 21/36 20060101ALN20240827BHJP
【FI】
G02B21/00
G01N21/64 E
G02B21/06
G02B21/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024098349
(22)【出願日】2024-06-18
(62)【分割の表示】P 2021550252の分割
【原出願日】2020-02-26
(31)【優先権主張番号】62/859,516
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/888,016
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/811,174
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518390343
【氏名又は名称】カリコ ライフ サイエンシーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー グレゴリー ヨーク
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド ミレット-シッキング
(57)【要約】
【課題】斜面顕微鏡検査システムおよび方法の提供。
【解決手段】斜面顕微鏡検査のためのシステムおよび方法が、開示される。斜面顕微鏡検査システムは、屈折率nを有するサンプルを結像するように構成され、システムは、サンプルから放出される光を受光するように配列される第1の顕微鏡であって、第1の開口数NA≧nおよびnにほぼ等しい第1の屈折率nを伴う第1の浸漬媒体のうちの少なくとも1つを有する第1の対物レンズを含む、第1の顕微鏡と、第2の対物レンズを含む第2の顕微鏡であって、第1と第2の顕微鏡の組み合わせは、拡大率MRRを伴うサンプルの中間画像を生成するように構成され、第2の対物レンズは、第2の開口数NAを有する、第2の顕微鏡と、中間画像上に集束され、第3の開口数を有する第3の対物レンズを含む第3の顕微鏡とを備える。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来の光学顕微鏡検査は、広範囲の用途のための高分解能結像を提供する。例えば、生物学的サンプルが結像されている、ある状況では、通常、サンプルを通した軸方向に薄いスライスに対応する、光学的に区分化された画像を取得することが望ましい。光学的に区分化された結像の利点は、焦点外平面からの寄与の低減を通した改良された画像コントラストおよび3次元(3D)画像を生成する能力を含む。いわゆる「光シート」顕微鏡検査は、薄い光の「シート」がサンプルを照明するために使用される、光学的に区分化された結像技法である。本アプローチは、照明ビーム線量が、種々の他の従来の光学的に区分化された結像技法におけるものより低く、本アプローチが、したがって、サンプルにとって光毒性が著しく少ないため、多くの用途において、特に、生きている生物学的サンプルを結像するために有益である。その利点にもかかわらず、光シート顕微鏡検査は、2つの直交して位置付けられるレンズ、すなわち、光シートを送達するため(サンプルを照明するため)の一方のレンズと、画像を収集するための他方のレンズとを使用する、大部分の実装の扱いにくい性質に起因して、歴史的には、広く採用されてなかった。結果として生じる幾何学的制約に起因して、これらの実装は、典型的には、ガラススライド、皿、およびマルチウェルプレートを含む、多くの生物学的サンプル調製技法と互換性がない。
【0002】
3つの対物レンズが、像面を傾斜させ、それによって、サンプル中の斜面の合焦結像を達成するために使用される、斜面顕微鏡検査と称される、光シート顕微鏡検査の形態が、開発された。斜面顕微鏡検査は、サンプル中の斜面が、同一対物レンズを用いて、照明および結像されることを可能にし、したがって、標準的ガラススライドおよび他のサンプル調製技法と互換性がある一方、また、光学的に区分化された結像と関連付けられる、最小限の光漂白および光毒性の利点も留保する。斜面顕微鏡検査およびその実装の概念は、2008年12月8日のC. Dunsbyによる「Optically sectioned imaging by oblique plane microscopy」(OPTICS EXPRESS, Vol.16,No.25)(本明細書では、「Dunsby」と称される)に説明される。Dunsbyに提示される斜面顕微鏡検査システムは、従来の光学的に区分化された顕微鏡検査方法に優る利点を提供した。しかしながら、光学システムの性能指数、具体的には、開口数(NA)は、本技法が多くの用途において有用であるためには低すぎる。例えば、従来の高分解能顕微鏡検査は、水性サンプルに関して、1.33と同程度に高い開口数値を達成することができる一方、Dunsbyシステムは、水浸漬式の対物レンズに関して、わずか0.74の理論的開口数値を達成する。
【0003】
Dunsbyに説明される斜面顕微鏡検査システムの修正は、2018年2月28日にbioRxiv上で印刷前論文として公開されたYang et al.の「High Numerical Aperture Epi-illumination Selective Plane Illumination Microscopy」(本明細書では、「Yang」と称される)によって提示されている。図1を参照すると、Yangシステムは、その中の水浸漬式の対物レンズ(O1)110がサンプル照明および蛍光収集の両方のために使用される、単一対物レンズの傾斜型落射照明式選択平面照明顕微鏡である。Yangによると、照明光シートは、O1の光学軸に対して60度(°)の入射角度を有し、遠隔結像モジュールは、O2によって生成される中間画像がO3によって合焦して再結像されるように、30°の角度に配列される、2つの対物レンズ(O2およびO3)120、130を含む。光140は、結像のために、検出器160上の光学系150によって集束される。Yangは、O2およびO3の傾斜された配列が、O2によって発生される光円錐の一部をO3の収集可能範囲から外に傾斜させるため、従来、開口数の損失を引き起こすことを開示している(例えば、Dunsbyシステムの場合のように)。O3がO2に対して傾斜される、高開口数システムに関して、O2の開口数が、O1の開口数の十分な被覆率を確実にするために十分に高いとき、以前の実装では、O3が、さらにより大きい収集円錐を有することは、非実践的であった。Yangは、遠隔結像モジュールのために不整合の対の対物レンズを選択し、O2のための空気対物レンズ(NA=0.9)と、O3のための水浸漬式の対物レンズ(NA=1.0)とを使用して、中間像面170に位置するカバーガラスを用いて、O2とO3との間の焦点空間を分離し、水を片側上に、空気を他側上に保つことによって、本問題に対処している。Yangによると、カバーガラスのz’位置は、球面収差を最小限にするように調節されることができ、O2の作業媒体(空気および水)とO3との間の屈折率差は、O2光円錐の角度を圧縮し、それによって、開口数損失を低減させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】C. Dunsby,”Optically sectioned imaging by oblique plane microscopy”,OPTICS EXPRESS, Vol.16,No.25
【非特許文献2】Yang et al.,”High Numerical Aperture Epi-illumination Selective Plane Illumination Microscopy”
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
Yangシステムは、Dunsbyシステムのものよりはるかに高いが、依然として、従来の高分解能光学顕微鏡検査を使用して理論的に達成され得る、NA=n(=水性サンプルに関して、1.33)未満である、1.06の開口数値を達成する。側面および実施形態は、従来の高分解能顕微鏡を用いて達成可能な理論的NA=n限界に接近する開口数値を達成する一方、また、ガラスカバースリップおよびマルチウェルプレートを含む、標準的ベンチ顕微鏡および一般的サンプル調製技法と併用され得る、光学的に区分化された結像ならびに便宜的かつ実践的実装配列と関連付けられる、利点(例えば、低減させられた光漂白および光毒性、改良された画像コントラスト、ならびに3D画像を生成する能力)を提供する、斜面顕微鏡検査システムを対象とする。故に、側面および実施形態は、広範囲の用途のために好適なほぼ妥協のない単一対物レンズ斜面顕微鏡検査のための解決策を提供し得る。
【0006】
一実施形態によると、斜面顕微鏡検査システムは、屈折率nを有する、サンプルを結像するように構成され、本システムは、サンプルから放出される光を受光するように配列される、第1の顕微鏡であって、第1の開口数NA≧nおよびnにほぼ等しい第1の屈折率nを伴う第1の浸漬媒体のうちの少なくとも1つを有する、第1の対物レンズを含む、第1の顕微鏡と、第2の対物レンズを含む、第2の顕微鏡であって、第1と第2の顕微鏡の組み合わせは、拡大率MRRを伴うサンプルの中間画像を生成するように構成され、第2の対物レンズは、第2の開口数NAを有し、中間画像は、第2の屈折率nを有する、第2の浸漬媒体内に形成され、拡大率MRRは、第1および第2の浸漬媒体の屈折率の比率(n/n)にほぼ等しい、第2の顕微鏡と、中間画像上に集束され、第3の開口数を有する、第3の対物レンズを含む、第3の顕微鏡であって、第3の対物レンズは、第3の顕微鏡が、サンプル中の斜面に対応する、中間画像内の斜面を結像するような傾斜角度だけ、第2の対物レンズの光学軸に対して傾斜される、光学軸を有し、第2の顕微鏡からの実質的に全ての光を収集するように構成および配列される、第3の対物レンズとを備える。
【0007】
一実施例では、サンプルの屈折率は、1.33~1.41の範囲内である。一実施例では、第1の対物レンズは、シリコーン浸漬式のレンズである。別の実施例では、第1の開口数は、NA≧1.35である。別の実施例では、第1の屈折率は、n=1.41である。別の実施例では、第2の浸漬媒体は、第2の屈折率がn=1.0であるような空気である。一実施例では、第2の開口数は、NA≧0.95である。
【0008】
別の実施例では、第2の開口数と第2の屈折率の比率(NA/n)は、第1の開口数と第1の屈折率の比率(NA/n)を上回るまたはそれに等しい。
【0009】
一実施例では、傾斜角度は、顕微鏡検査システムの収集効率を最適化するように選択される。
【0010】
別の実施例では、第1の対物レンズは、グリセロール浸漬式のレンズである。
【0011】
別の実施例では、第3の開口数は、NA≧nである。
【0012】
一実施例では、第3の対物レンズは、中実ガラス錐台を含む。別の実施例では、第3の対物レンズは、空気中に0~20μmの範囲内の作動距離を伴って構成される。
【0013】
一実施例では、斜面顕微鏡検査システムはさらに、光の入射ビームを提供し、サンプル中の斜面を照明するように配列される、光源を備え、照明される斜面は、結像されている斜面に対応する。一実施例では、光の入射ビームは、第1の対物レンズを通して指向される。別の実施例では、第3の顕微鏡は、傾斜角度を調節するために回転可能である。一実施例では、傾斜角度は、部分的に、照明光ビームの発散角度に基づいて選択される。
【0014】
第1の顕微鏡はさらに、第1のレンズを含んでもよく、第1の顕微鏡は、第1の拡大率Mを有し、第2の顕微鏡はさらに、fTL2、MRR=M -1=(n/n)となるように第2の顕微鏡の拡大率Mを設定するように選択される、焦点距離を有する、第2のレンズを含む。
【0015】
別の実施形態によると、屈折率nを有する、サンプルを結像するように構成される、斜面顕微鏡検査システムは、サンプルから放出される光を受光するように配列される、第1の顕微鏡であって、第1の顕微鏡は、第1の開口数NAおよび第1の屈折率nを伴う第1の浸漬媒体を有する、第1の対物レンズを含み、第1の対物レンズは、NA≧nの第1の理想的条件とnにほぼ等しいnの第2の理想的条件との間の選択された妥協に基づいて構成される、第1の顕微鏡と、第2の空気浸漬式の対物レンズを含む、第2の顕微鏡であって、第1と第2の顕微鏡の組み合わせは、拡大率MRR=nを伴うサンプルの中間画像を生成するように構成され、第2の空気浸漬式の対物レンズの第2の開口数NAは、第1の開口数と第1の屈折率の比率(NA/n)を上回るまたはそれに等しいNAの第3の理想的条件に接近するように選択される、第2の顕微鏡と、中間画像上に集束され、第3の開口数NA≧1を有する、第3の対物レンズを含む、第3の顕微鏡であって、第3の対物レンズは、第3の顕微鏡が、サンプル中の斜面に対応する、中間画像内の斜面を結像するような傾斜角度だけ、第2の対物レンズの光学軸に対して傾斜される、光学軸を有する、第3の顕微鏡とを備える。
【0016】
一実施例では、第1の対物レンズは、シリコーン浸漬式の対物レンズである。
【0017】
別の実施例では、傾斜角度は、顕微鏡検査システムの収集効率を最適化するように選択される。
【0018】
一実施例では、第3の対物レンズは、第2の空気浸漬式の対物レンズの視野と交差するように位置付けられる、中実ガラス錐台を含む。一実施例では、中実ガラス錐台は、面取りされた縁を有する。別の実施例では、中実ガラス錐台は、第2の空気浸漬式の対物レンズの視野に対応するサイズを有する、端部領域が、視野の中に挿入され、第2の空気浸漬式の対物レンズからの利用可能な光を収集することを可能にするように成形される。別の実施例では、第3の顕微鏡は、傾斜角度を調節するために回転可能である。
【0019】
別の実施形態は、サンプル中の斜面を結像するための顕微鏡検査システムを構成する方法を対象とし、顕微鏡検査システムは、第1の顕微鏡と、第2の顕微鏡と、第3の顕微鏡とを含む。本方法は、第1の対物レンズのための第1の理想的条件と第2の理想的条件との間で選定される妥協に基づいて、第1の顕微鏡のための第1の対物レンズを選択することであって、第1の理想的条件は、第1の対物レンズが第1の開口数NA≧nを有することであって、nは、サンプルの屈折率の推定値であって、第2の理想的条件は、第1の対物レンズが第1の屈折率
【化1】

を有する第1の浸漬媒体を有することであって、第1の対物レンズは、照明光シートをサンプルに指向し、サンプルからの放出光を収集するように構成される、ことと、第2の顕微鏡のための第2の対物レンズを選択することであって、第2の対物レンズは、第1の対物レンズからの実質的に全ての放出光を収集するように構成される、ことと、サンプル中の斜面を中間像面上に再結像するように第2の顕微鏡を構成することと、第3の顕微鏡のための第3の対物レンズを選択することであって、第3の対物レンズは、第2の対物レンズに対して中間像面の反対側上に位置付けられ、傾斜角度αに適応しながら、第2の対物レンズからの実質的に全ての放出光を収集するように構成される、ことと、第3の対物レンズの一次光学軸が第2の対物レンズの一次光学軸に対して傾斜角度αだけ回転されるように、第3の対物レンズを位置付けることとを含む。
【0020】
一実施例では、サンプル中の斜面を再結像するように第2の顕微鏡を構成することは、中間像面におけるサンプル中の斜面の画像の拡大率MRRが、条件:
【化2】

を充足させるように、第2の顕微鏡の拡大率Mを構成することを含み、式中、Mは、第1の顕微鏡の拡大率であって、nは、第1の対物レンズの浸漬媒体の屈折率であって、nは、第2の対物レンズの浸漬媒体の屈折率である。別の実施例では、第2の顕微鏡は、レンズを含み、第2の顕微鏡の拡大率を構成することは、レンズの焦点距離を選択することを含む。一実施例では、第2の対物レンズを選択することは、空気浸漬式の第2の対物レンズを選択することを含む。別の実施例では、第1の対物レンズを選択することは、シリコーン浸漬式の対物レンズを選択することを含む。別の実施例では、第1の対物レンズを選択することは、グリセロール浸漬式の対物レンズを選択することを含む。一実施例では、第3の対物レンズを選択することは、中実ガラス錐台を有する、第3の対物レンズを選択することを含む。別の実施例では、第3の対物レンズを位置付けることは、中実ガラス錐台の先端が第2の対物レンズの視野と交差するように、第3の対物レンズを位置付けることを含む。別の実施例では、第2の対物レンズを選択することは、nを最小限にすることと、第2の対物レンズの第2の開口数NAが、条件:
【化3】

を満たすように選択することとを含む。
【0021】
一実施例では、本方法はさらに、部分的に、照明光シートの発散角度に基づいて、傾斜角度を調節することを含む。
【0022】
別の実施形態によると、傾斜された像面の高開口数低収差結像のための顕微鏡検査システムは、サンプルからの放出光を収集するように配列され、第1の開口数NAおよび第1の屈折率nを伴う第1の浸漬媒体を有する、第1の対物レンズであって、第1の条件と第2の条件との間で選定される妥協に基づいて構成され、第1の条件は、
【化4】

であって、第2の条件は、
【化5】

であって、式中、nは、サンプルの屈折率の推定値である、第1の対物レンズと、第2の開口数NAを有し、第1の対物レンズからの実質的に全ての放出光を収集するように位置付けられ、構成される、第2の対物レンズであって、第1と第2の対物レンズの組み合わせは、サンプルの中間画像を生成するように構成される、第2の対物レンズと、中間画像上に集束される第3の対物レンズであって、第3の対物レンズは、第3の対物レンズが中間画像内の傾斜された平面を結像するような傾斜角度だけ、第2の対物レンズの光学軸に対して傾斜される、光学軸を有し、さらに、第2の対物レンズの視野に対応するサイズを有する、端部領域が、視野の中に挿入され、傾斜角度に適応しながら、第2の対物レンズからの実質的に全ての放出光を収集することを可能にするように成形される、中実ガラス錐台を有する、第3の対物レンズとを備える。
【0023】
一実施例では、第1の対物レンズはさらに、照明光ビームをサンプルに送達するように構成および配列される。
【0024】
これらの例示的側面および実施形態のさらに他の側面、実施形態、ならびに利点は、下記に詳細に議論される。本明細書に開示される実施形態は、本明細書に開示される原理のうちの少なくとも1つと一貫した任意の様式において、他の実施形態と組み合わせられてもよく、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「ある代替実施形態」、「種々の実施形態」、「一実施形態」、または同等物の言及は、必ずしも、相互に排他的ではなく、説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも一実施形態では含まれてもよいことを示すように意図される。本明細書のそのような用語の表出は、必ずしも、全て同一実施形態を参照するわけではない。本明細書に説明される種々の側面および実施形態は、説明される方法または機能のいずれかを実施するための手段を含んでもよい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
屈折率nを有するサンプルを結像するように構成される斜面顕微鏡検査システムであって、
前記サンプルから放出される光を受光するように配列される第1の顕微鏡であって、前記第1の顕微鏡は、第1の開口数NA≧nと、nにほぼ等しい第1の屈折率nを有する第1の浸漬媒体とのうちの少なくとも1つを有する第1の対物レンズを含む、第1の顕微鏡と、
第2の対物レンズを含む第2の顕微鏡であって、前記第1の顕微鏡と前記第2の顕微鏡との組み合わせは、拡大率MRRを有する前記サンプルの中間画像を生成するように構成され、前記第2の対物レンズは、第2の開口数NAを有し、前記中間画像は、第2の屈折率nを有する第2の浸漬媒体内に形成され、前記拡大率MRRは、前記第1の浸漬媒体の前記屈折率と前記第2の浸漬媒体の前記屈折率との比率(n/n)にほぼ等しい、第2の顕微鏡と、
前記中間画像上に集束される第3の顕微鏡であって、前記第3の顕微鏡は、第3の開口数を有する第3の対物レンズを含み、前記第3の対物レンズは、前記第3の顕微鏡が、前記サンプル中の斜面に対応する前記中間画像内の斜面を結像するような傾斜角度だけ、前記第2の対物レンズの光学軸に対して傾斜させられる光学軸を有し、前記第3の対物レンズは、前記第2の顕微鏡からの実質的に全ての光を収集するように構成および配列される、第3の対物レンズと
を備える、システム。
(項目2)
前記サンプルの前記屈折率は、1.33~1.41の範囲内である、項目1に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目3)
前記第1の対物レンズは、シリコーン浸漬式のレンズである、項目2に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目4)
前記第1の開口数は、NA≧1.35である、項目3に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目5)
前記第1の屈折率は、n=1.41である、項目4に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目6)
前記第2の浸漬媒体は、前記第2の屈折率がn=1.0であるような空気である、項目3に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目7)
前記第2の開口数は、NA≧0.95である、項目6に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目8)
前記第2の屈折率に対する前記第2の開口数の比率(NA/n)は、前記第1の屈折率に対する前記第1の開口数の比率(NA/n)以上である、項目1に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目9)
前記傾斜角度は、前記顕微鏡検査システムの収集効率を最適化するように選択される、項目1に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目10)
前記第1の対物レンズは、グリセロール浸漬式のレンズである、項目1に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目11)
前記第3の開口数は、NA≧nである、項目1に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目12)
前記第3の対物レンズは、中実ガラス錐台を含む、項目1に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目13)
前記第3の対物レンズは、空気中に0~20μmの範囲内の作動距離を伴って構成される、項目12に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目14)
光の入射ビームを提供し、前記サンプル中の斜面を照明するように配列される光源をさらに備え、前記照明される斜面は、前記結像されている斜面に対応する、項目1に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目15)
前記光の入射ビームは、前記第1の対物レンズを通して指向される、項目14に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目16)
前記第3の顕微鏡は、前記傾斜角度を調節するために回転可能である、項目15に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目17)
前記傾斜角度は、部分的に、前記照明光ビームの発散角度に基づいて選択される、項目16に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目18)
前記第1の顕微鏡はさらに、第1のレンズを含み、前記第1の顕微鏡は、第1の拡大率Mを有し、前記第2の顕微鏡はさらに、MRR=M -1=(n/n)となるように前記第2の顕微鏡の拡大率Mを設定するように選択される焦点距離fTL2を有する第2のレンズを含む、項目1に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目19)
屈折率nを有するサンプルを結像するように構成される、斜面顕微鏡検査システムであって、
前記サンプルから放出される光を受光するように配列される第1の顕微鏡であって、前記第1の顕微鏡は、第1の開口数NAと、第1の屈折率nを有する第1の浸漬媒体とを有する第1の対物レンズを含み、前記第1の対物レンズは、NA≧nの第1の理想的条件と、nがnにほぼ等しいという第2の理想的条件との間の選択された妥協に基づいて構成される、第1の顕微鏡と、
第2の空気浸漬式の対物レンズを含む第2の顕微鏡であって、前記第1の顕微鏡と前記第2の顕微鏡との組み合わせは、拡大率MRR=nを有する前記サンプルの中間画像を生成するように構成され、前記第2の空気浸漬式の対物レンズの第2の開口数NAは、NAが前記第1の屈折率に対する前記第1の開口数の比率(NA/n)以上であるという第3の理想的条件に接近するように選択される、第2の顕微鏡と、
前記中間画像上に集束される第3の顕微鏡であって、前記第3の顕微鏡は、第3の開口数NA≧1を有する第3の対物レンズを含み、前記第3の対物レンズは、前記第3の顕微鏡が、前記サンプル中の斜面に対応する前記中間画像内の斜面を結像するような傾斜角度だけ、前記第2の対物レンズの光学軸に対して傾斜させられる光学軸を有する、第3の顕微鏡と
を備える、システム。
(項目20)
前記第1の対物レンズは、シリコーン浸漬式の対物レンズである、項目19に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目21)
前記傾斜角度は、前記顕微鏡検査システムの収集効率を最適化するように選択される、項目19に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目22)
前記第3の対物レンズは、前記第2の空気浸漬式の対物レンズの視野と交差するように位置付けられる中実ガラス錐台を含む、項目19に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目23)
前記中実ガラス錐台は、面取りされた縁を有する、項目22に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目24)
前記中実ガラス錐台は、前記第2の空気浸漬式の対物レンズの前記視野に対応するサイズを有する端部領域が、前記視野の中に挿入され、前記第2の空気浸漬式の対物レンズからの利用可能な光を収集することを可能にするように成形される、項目22に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目25)
前記第3の顕微鏡は、前記傾斜角度を調節するために回転可能である、項目22に記載の斜面顕微鏡検査システム。
(項目26)
サンプル中の斜面を結像するための顕微鏡検査システムを構成する方法であって、前記顕微鏡検査システムは、第1の顕微鏡と、第2の顕微鏡と、第3の顕微鏡とを含み、前記方法は、
第1の対物レンズのための第1の理想的条件と第2の理想的条件との間で選定される妥協に基づいて、前記第1の顕微鏡のための第1の対物レンズを選択することであって、前記第1の理想的条件は、前記第1の対物レンズが第1の開口数NA≧nを有することであり、nは、前記サンプルの屈折率の推定値であり、前記第2の理想的条件は、前記第1の対物レンズが第1の屈折率
【化30】

を有する第1の浸漬媒体を有することであり、前記第1の対物レンズは、照明光シートを前記サンプルに指向し、前記サンプルからの放出光を収集するように構成される、ことと、
前記第2の顕微鏡のための第2の対物レンズを選択することであって、前記第2の対物レンズは、前記第1の対物レンズからの実質的に全ての放出光を収集するように構成される、ことと、
前記サンプル中の前記斜面を中間像面上に再結像するように前記第2の顕微鏡を構成することと、
前記第3の顕微鏡のための第3の対物レンズを選択することであって、前記第3の対物レンズは、前記第2の対物レンズに対して前記中間像面の反対側上に位置付けられ、傾斜角度αに適応しながら、前記第2の対物レンズからの実質的に全ての放出光を収集するように構成される、ことと、
前記第3の対物レンズの一次光学軸が前記第2の対物レンズの一次光学軸に対して前記傾斜角度αだけ回転させられるように、前記第3の対物レンズを位置付けることと
を含む、方法。
(項目27)
前記サンプル中の前記斜面を再結像するように前記第2の顕微鏡を構成することは、前記中間像面における前記サンプル中の前記斜面の画像の拡大率MRRが条件:
【化31】

を充足させるように、前記第2の顕微鏡の拡大率Mを構成することを含み、式中、Mは、前記第1の顕微鏡の拡大率であり、nは、前記第1の対物レンズの浸漬媒体の屈折率であり、nは、前記第2の対物レンズの浸漬媒体の屈折率である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記第2の顕微鏡は、レンズを含み、前記第2の顕微鏡の前記拡大率を構成することは、前記レンズの焦点距離を選択することを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記第2の対物レンズを選択することは、空気浸漬式の第2の対物レンズを選択することを含む、項目26に記載の方法。
(項目30)
前記第1の対物レンズを選択することは、シリコーン浸漬式の対物レンズを選択することを含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記第1の対物レンズを選択することは、グリセロール浸漬式の対物レンズを選択することを含む、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記第3の対物レンズを選択することは、中実ガラス錐台を有する第3の対物レンズを選択することを含む、項目27に記載の方法。
(項目33)
前記第3の対物レンズを位置付けることは、前記中実ガラス錐台の先端が前記第2の対物レンズの視野と交差するように、前記第3の対物レンズを位置付けることを含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記第2の対物レンズを選択することは、nを最小限にすることと、前記第2の対物レンズの第2の開口数NAが、条件:
【化32】

を満たすように選択することとを含む、項目27に記載の方法。
(項目35)
部分的に前記照明光シートの発散角度に基づいて、前記傾斜角度を調節することをさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目36)
傾斜された像面の高開口数低収差結像のための顕微鏡検査システムであって、
サンプルからの放出光を収集するように配列される第1の対物レンズであって、前記第1の対物レンズは、第1の開口数NA、および第1の屈折率nを有する第1の浸漬媒体を有し、前記第1の対物レンズは、第1の条件と第2の条件との間で選定される妥協に基づいて構成され、前記第1の条件は、
【化33】

であり、前記第2の条件は、
【化34】

であり、nは、前記サンプルの屈折率の推定値である、第1の対物レンズと、
第2の開口数NAを有する第2の対物レンズであって、前記第2の対物レンズは、前記第1の対物レンズからの実質的に全ての放出光を収集するように位置付けられ、構成され、前記第1の対物レンズと前記第2の対物レンズとの組み合わせは、前記サンプルの中間画像を生成するように構成される、第2の対物レンズと、
前記中間画像上に集束される第3の対物レンズであって、前記第3の対物レンズは、前記第3の対物レンズが前記中間画像内の傾斜された平面を結像するような傾斜角度だけ、前記第2の対物レンズの光学軸に対して傾斜させられる光学軸を有し、前記第3の対物レンズはさらに、前記第2の対物レンズの視野に対応するサイズを有する端部領域が、前記視野の中に挿入され、前記傾斜角度に適応しながら、前記第2の対物レンズからの実質的に全ての放出光を収集することを可能にするように成形される中実ガラス錐台を有する、第3の対物レンズと
を備える、顕微鏡検査システム。
(項目37)
前記第1の対物レンズはさらに、照明光ビームを前記サンプルに送達するように構成および配列される、項目36に記載の顕微鏡検査システム。
【図面の簡単な説明】
【0025】
少なくとも一実施形態の種々の側面が、付随の図を参照して下記に議論され、これは、正確な縮尺で描かれることを意図するものではない。図は、種々の側面および実施形態の例証ならびにさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書内に組み込まれ、その一部を構成するが、本開示の限定の定義として意図するものではない。図中では、種々の図に図示される、各同じまたはほぼ同じ構成要素は、同様の番号によって表される。明確性の目的のために、全ての構成要素が、全ての図において標識されていない。
図1図1は、斜面顕微鏡検査システムの一実施例の略図である。
図2A図2Aは、本発明の側面による、斜面光シート顕微鏡検査システムの一実施例のための光収集経路を示す、機能ブロック図である。
図2B図2Bは、照明光経路の実施例を示す、斜面光シート顕微鏡検査システムの一部の一実施例の機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の側面による、斜面光シート顕微鏡検査システム内の種々の顕微鏡の理論的収集角度と結果として生じる収集/放出経路開口数との間の関係を示す、略図である。
図4図4は、本発明の側面による、斜面光シート顕微鏡検査システムのための設計方法論の実施例を図示する、プロセスフロー図である。
図5図5は、照明光シートの実施例のパラメータを図示する、略図である。
図6A図6A-Cは、本発明の側面による、図2Aの顕微鏡検査システムの実施形態において使用され得る、第3の対物レンズの実施例の略図である。
図6B図6A-Cは、本発明の側面による、図2Aの顕微鏡検査システムの実施形態において使用され得る、第3の対物レンズの実施例の略図である。
図6C図6A-Cは、本発明の側面による、図2Aの顕微鏡検査システムの実施形態において使用され得る、第3の対物レンズの実施例の略図である。
図7図7は、本発明の側面による、顕微鏡検査システムを構成するための方法の一実施例のフロー図である。
図8図8は、本発明の側面による、図2Aのシステムの一実施例の放出経路を示す、略図である。
図9図9Aおよび9Bは、図8のシステムの実施例の理論的モデルの角度光線伝送経路を示す、略図である。
図10図10は、本発明の側面による、図8のシステムの実施例の放出経路を示す、略図である。
図11図11は、本発明の側面による、図2A、8、および10のシステム内で使用され得る、第3の対物レンズの実施例を示す、略図である。
図12A図12A-Cは、本発明の側面による、図11の第3の対物レンズの実施例を示す、略図である。
図12B図12A-Cは、本発明の側面による、図11の第3の対物レンズの実施例を示す、略図である。
図12C図12A-Cは、本発明の側面による、図11の第3の対物レンズの実施例を示す、略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
側面および実施形態は、開口数または光学効率における最小限の収差および損失を伴って、高開口数において傾斜された平面を結像するための解決策を提供し、これは、様々な結像用途に適用されてもよい。ある側面および実施形態は、2つの付加的対物レンズを含み、サンプルの高分解能画像を生成する、結像モジュールとともに、単一対物レンズを使用して、サンプルを照明し、サンプルからの光を収集する、斜面顕微鏡検査システムを対象とする。本明細書で使用されるように、用語「対物レンズ(objective)」は、レンズまたはミラー等の1つまたはそれを上回る光学要素を含む、光学モジュールを指し、本明細書では、用語「対物レンズ(objective lens)」と同義的に使用される。下記にさらに議論されるように、本明細書に開示される顕微鏡検査システムの実施形態は、従来の非光学的に区分化された(但し、高分解能である)顕微鏡によって設定される、NA=n(=水性サンプル中1.33)限界値に接近する1.2~1.3の範囲内の開口数(NA)値を達成し、Dunsby(わずか0.74の理論的NA)およびYang(1.06の実現されたNA)に開示されるシステムに優る有意な分解能改良を提供し得る。
【0027】
図2Aを参照すると、ある実施形態による、顕微鏡検査システムの一実施例の機能ブロック図が図示される。示されるように、顕微鏡検査システム200は、顕微鏡モジュール202と、サンプル206を結像するように構成される、結像モジュール204とを含む。顕微鏡モジュール202は、第1の対物レンズ210(Obj)と、第1のレンズ212(TL)とを含み、これは、本明細書には、組み合わせて、「第1の顕微鏡」とも称される。図2Aに示される実施例では、サンプル206は、第1の対物レンズ210の正面焦点面または物体像面(IP)に設置される、カバースリップ208上に調製される。しかしながら、他の実施例では、例えば、皿およびマルチウェルプレート等の他のサンプル調製技法も、使用されることができる。顕微鏡モジュール202は、ある実施例では、下記に議論されるように、結像モジュール204の含有および配列を通して斜面光シート顕微鏡検査システム200に変換される、標準的顕微鏡であってもよい。第1の対物レンズ210は、照明ビーム216をサンプル206に指向することと、放出される光220をサンプル206から収集することとの両方のために使用される。図2Aは、顕微鏡検査システム200の光収集または結像経路のみを示す。完全性のために、図2Bは、照明経路を含む、顕微鏡モジュール202の配列の実施例を示す。
【0028】
図2Bを参照すると、例えば、レーザ等の光源214が、照明ビーム216を生成する。照明ビーム216は、ビーム結合デバイス218を使用して、第1の対物レンズ210の光学経路の中に結合され、第1の対物レンズ210によってサンプル206上に集束される。ある実施例では、ビーム結合デバイス218は、照明ビーム216を第1の対物レンズ210に向かって反射させ、サンプル206からの放出光220が通過することを可能にする、ビームスプリッタであってもよい。しかしながら、他の実施例では、本開示の利点を前提として、当業者によって理解されるであろうように、他の配列またはビーム結合デバイス218が、使用されてもよい。同様に、図2Bに示される実施例では、照明経路は、光源214からの照明ビーム216をビーム結合デバイス218に指向するように構成および配列される、レンズ222と、折畳するミラー224とを含む。しかしながら、他の実施例では、本開示の利点を前提として、当業者によって理解されるであろうように、任意の数および配列の光学要素(レンズまたはミラー)が、照明ビームを第1の対物レンズ210に指向するために使用されてもよい。ある実施例では、照明ビームを第1の対物レンズ210に指向する、光源214および光学要素(例えば、218、222、224)は、顕微鏡モジュール202の一部であってもよい。他の実施例では、これらの構成要素のうちの1つまたはそれを上回るものは、顕微鏡モジュール202と別個であってもよい、結像モジュール204内に含まれてもよい、もしくは結像モジュール204および/または顕微鏡モジュール202に結合され得る、別個のモジュールの一部であってもよい。
【0029】
再び図2Aを参照すると、一実施形態では、結像モジュール204は、レンズ228(TL)と第2の対物レンズ230(Obj)の組み合わせを含む、第2の顕微鏡と、第3の対物レンズ232(Obj)と第3のレンズ234(TL)の組み合わせを含む、第3の顕微鏡とを含む。第1、第2、および第3のレンズ212、228、および234は、図2Aでは、単一レンズとして表されるが、それぞれ、実践では、1つまたはそれを上回る光学要素(レンズまたはミラー)を使用して実装されてもよいことを理解されたい。結像モジュール204はさらに、検出器226を含む。第1のレンズ212と第2のレンズ228の組み合わせは、サンプル206から放出される光220(また、放出または放出光とも称される)を第1の対物レンズ210の背面焦点面(BFP)から第2の対物レンズ230の背面焦点面(BFP)に指向する。図2Aに示される実施例では、第1および第2のレンズ212、228は、中継構成にあって、顕微鏡モジュール202は、第1の中間像面(IP)を第1および第2のレンズ212、228間に形成し、第2のレンズ228は、その像面からの光220を第2の対物レンズ230の背面焦点面(BFP)に中継する。第3のレンズ234は、第3の対物レンズ232の背面焦点面(BFP)からの光220を最終像面(IP)上に集束させ、そこで、検出器226によって受光され得る。図2Aに示されるように、第2および第3の対物レンズ230、232は、第2の対物レンズ230の焦点面に形成される第2の中間像面(IP)が、第3の対物レンズ232の焦点面に形成される第3の中間像面(IP)に対して角度αだけ傾斜されるように、相互に対して傾斜されるように配列される。角度αは、本明細書では、第3の対物レンズ232の傾斜角度と称される。
【0030】
無収差顕微鏡検査システムの結像分解能は、開口数(NA)に比例する。したがって、達成される全体的開口数が高いほど、システムの結像分解能もより良好となる。側面および実施形態は、結像されているサンプル206およびサンプル206を照明するために使用される光シート(照明ビーム)216の種々の性質およびパラメータ、ならびに顕微鏡検査システム200の実践的実装に関するある光学原理および機械的制約を考慮した、放出経路の非常に高い全体的開口数NAem(DunsbyまたはYangのいずれかのシステムに関して達成可能なものより有意に高い)を達成するように顕微鏡検査システム200を設計および構成するステップを対象とする。生きている生物学的サンプル206を結像するためのある具体的実施例は、下記に提示される。しかしながら、本明細書に開示される設計プロセスおよび原理は、結像されるべき任意のタイプのサンプルに適用されてもよい。
【0031】
顕微鏡検査システム200の種々の重要なパラメータ間の関係およびそれに関する制約は、図3を参照して、かつ図2Aの参照を継続して理解され得る。図3は、顕微鏡検査システム200内の種々の顕微鏡の理論的収集角度と結果として生じる収集/放出経路開口数との間の関係を示す、略図である。図3では、軸302は、顕微鏡検査システム200の一次光学軸に対応し、これはまた、第1および第2の対物レンズ210、230の一次光学軸である。軸304は、第3の対物レンズ232の傾斜された光学軸に対応し、これは、上記に議論されるように、一次光学軸302に対して角度αだけ傾斜される。個別の対物レンズ毎のサンプル/カバースリップ界面の開口数は、方程式(1)によって与えられ、式中、x=0、1、2、3である。
【数1】

方程式(1)では、nは、サンプルまたは個別の対物レンズの浸漬媒体の屈折率であって、θは、対応する界面または対物レンズによって定められる半角である。
【0032】
照明光シート216は、発散角度、Φexを有する。単一対物レンズ(第1の対物レンズ210)は、サンプル206を照明することと、サンプル206から放出される光220を収集することとの両方のために使用されるため、第1の対物レンズ210の収集角度θの一部は、図3に示されるように、光シートΦexによって占有または「使い切られる」。図3は、光シートの縁が第1の対物レンズ210の収集円錐の縁と一致する、「最良の場合」を図示する(図3における同一縁線306から測定されたΦexおよびθ)。光シートが第1の対物レンズ210の収集円錐の内側に偏移される(すなわち、Φexによって定義された円錐の左縁が、図3では、右または時計回り方向に移動されるであろう)ことが、可能性として考えられるが、本配列は、NAem(放出を収集するために使用される第1の対物レンズ210の達成可能開口数NAの一部)に損失を引き起こす。
【0033】
Dunsbyによると、Dunsby顕微鏡検査システムの放出経路の結果として生じる全体的開口数のために達成可能な最大の潜在的開口数は、以下によって与えられる。
【数2】

照明および収集光ビーム216、220が、90°分離される(相互に直交する)という仮定に基づいて、収集される放出の半角Φemは、図3から導出可能であって、Dunsbyによると、方程式(3)によって与えられる。
【数3】

しかしながら、下記にさらに解説されるように、ある側面および実施形態によると、顕微鏡検査システム200は、Φemだけではなく、また、βも同様に収集するように構成されることができる。βは、Dunsbyシステム内で収集されなかったが、本発明の側面に基づく本明細書に開示される顕微鏡検査システム200の実施形態では「回収される」、付加的放出される光を表す、収集角度である。したがって、ある側面によると、顕微鏡検査システム200の実施形態では、以下となる。
【数4】

これは、第3の対物レンズ232が、ある実施形態では、第2の対物レンズ230からのほぼ全ての光を捕捉するように構成されることができるという認識に基づく。具体的には、下記にさらに議論されるように、第3の対物レンズ232は、第3の対物レンズ232の開口数NAが、第2の対物レンズ230の浸漬媒体の屈折率nを超える(NA≧n)ように構成されることができる。これは、放出/収集経路のための最大の潜在的全体的開口数NAemを方程式(4)に与えられる形態に修正し、これは、回収された放出半角β/2を含み、Dunsbyによって以前に検討されたNApot値より実質的に高い。図3から、以下が導出されることができる。
【数5】
【0034】
方程式(4)において使用されるパラメータΦ’emは、以下によって与えられる。
【数6】

方程式(6)では、θmin=min(θ、θ)であって、これは、本発明のある側面による、NAemに関する関連パラメータが、第1および第2の対物レンズ210、230からの2つの収集角度のより小さい方であるという認識を反映させる。前述から、方程式(4)は、以下のように書き直される。
【数7】

反射性損失を無視すると、顕微鏡検査システム204の収集効率Cは、少なくとも、実際の/結果として生じる放出経路開口数と第1の対物レンズ210の開口数の比率の二乗の大きさである。
【数8】
【0035】
上記に議論される原理に基づいて、顕微鏡検査システム200の実施形態は、以下のプロセスおよび考慮点に従って、設計ならびに構成されることができる。図4は、ある側面による、斜面光シート結像顕微鏡検査システムを設計する方法内に含まれ得る、ステップおよび考慮点の実施例を図示する、プロセスフロー図である。当業者によって、本開示の利点を前提として、ステップは、図4に図示される順序で実施される必要はないことが理解されるであろう。図4の略図は、説明の明確性および利便性のために提供され、限定することを意図するものではない。本明細書に説明されるプロセスは、3つの顕微鏡がそれぞれ、全体的システムの文脈において検討されるとき、かつ任意の所与の実装において使用される光シート216およびサンプル206の性質に照らして、顕微鏡検査システム200に、以前は達成不能であった結像性能および有用性を提供するように賢明に選択ならびに構成され得る、ある性質およびパラメータを有するという認識を活用する。
【0036】
ステップ402は、第1の対物レンズ210を選択または構成するステップを含む。
【0037】
平坦カバースリップを通した蛍光顕微鏡検査等のある用途では、サンプル206は、光220を全ての方向に放出し得、したがって、以下の条件:sinθ=1、が該当し、したがって、方程式(1)から、NA=nとなり、式中、nは、サンプル206の屈折率である。結果として、ある側面によると、第1の対物レンズ210は、NA≧nを設定することによって、サンプル206から放出される光の全てを捕捉するように構成され得ることが認識される。加えて、高品質結像のために、第1の対物レンズは、サンプル媒体の屈折率(n)と第1の対物レンズの浸漬媒体の屈折率(n)との間に良好な整合が存在するように構成されるべきである。屈折率における不整合は、深度依存収差をサンプル206の結果として生じる画像内に引き起こす。したがって、ある側面によると、第1の対物レンズ210は、良好な屈折率整合と良好な収集円錐角度の両方を提供し、サンプル206から収集される光ならびに結像分解能および品質を最大限にするように構成されることができる。理想的には、第1の対物レンズ210は、NA≧nおよびn=nを伴って構成され得る。しかしながら、当業者は、本開示の利点を前提として、実践では、特に、複数の異なるサンプルに関して、これらの理想的条件の両方を同時に達成することが不可能であり得ることを理解するであろう。故に、ステップ402は、最大の実践的開口数が取得される一方、また、サンプルの予期される範囲のために屈折率における良好な整合を達成するように、これらの2つの条件の妥協に基づいて、第1の対物レンズ210のための構成を選択するステップを含んでもよい。したがって、ある実施例では、第1の対物レンズ210は、
【化6】

および
【化7】

を伴って構成され得る。
【0038】
さらに、ある実施形態によると、顕微鏡モジュール202は、第1のレンズ212および第1の対物レンズ210が、理想的レンズ挙動に近似する、完全無限遠補正レンズであるように構成されることができる。本配列は、最適遠隔再焦点化性能を提供する。
【0039】
最小限の収差を伴って、サンプル206中の限定されたボリューム内の任意の平面を再結像するために、サンプル206と第2の対物レンズ230の焦点面に形成される第2の中間像面(IP)との間の側方および軸方向拡大率は、等しくされる必要がある。本条件は、拡大率MRRがn/nに等しいときに達成され、式中、nは、第2の対物レンズ232の浸漬媒体の屈折率である。本原理は、再焦点化ルールと称される。MRRは、下記の方程式(9)によって与えられる。
【数9】

方程式9では、Mは、顕微鏡モジュール202(第1の対物レンズ210と第1のレンズ212の組み合わせによって生成され、本明細書には、「第1の顕微鏡」とも称される)の拡大率であって、Mは、第2のレンズ228と第2の対物レンズ230の組み合わせ(本明細書には、「第2の顕微鏡」とも称される)の拡大率である。上記に記載のように、第3の対物レンズ232と第3のレンズ234の組み合わせは、本明細書では、「第3の顕微鏡」と称され得る。第1、第2、および第3の顕微鏡毎に、個別の顕微鏡の拡大率Mは、下記の方程式(10)によって与えられ、式中、x=1、2、3である。
【数10】

方程式(10)では、fTLxは、個別のレンズの焦点距離であって、fObjxは、個別の対物レンズの焦点距離である。
【0040】
したがって、上記の方程式(9)から、再焦点化ルールは、以下のように規定されることができる。
【数11】

加えて、図2Aを参照すると、ある側面および実施形態によると、さらなる条件が、適用されてもよい、すなわち、第2の対物レンズの背面焦点面(BFP)は、方程式(12)に従って定寸される。
【数12】

第1の背面焦点面から第2の背面焦点面への拡大率MBFPは、第2のレンズ228および第1のレンズ212の焦点距離の比率によって与えられる。
【数13】

対物レンズのいずれかの背面焦点面の直径(BFP;x=1、2、3)は、以下に従って、対物レンズの対応する開口数および焦点距離に関連する。
【数14】

第1の顕微鏡のパラメータが、既知(例えば、fObj1、d、fTL1)である場合、第2の顕微鏡の構成要素およびパラメータは、BFPを適切に位置付けるように選択または構成されることができる。したがって、ステップ404は、方程式(11)に規定される再焦点化条件と方程式(12)に記載される付加的条件の組み合わせを適用することによって、第2の対物レンズ230を選択または構成するステップを含んでもよい。これらの2つの条件をともに適用し、上記の方程式(1)を検討することは、以下の条件を与える。
【数15】

上記の方程式(1)から、方程式(15)の条件は、同等に、以下のように記載されることができる。
【数16】

方程式(16)に記載された条件は、第2の対物レンズ230が、第1の対物レンズ210からの全ての光の光線を捕捉し、それによって、顕微鏡検査システム200の全体的開口数における任意の損失ならびに結像分解能および光学効率の関連付けられる損失を回避するための選好を表す。
【0041】
図4を参照すると、顕微鏡検査システム200のための設計プロセスは、顕微鏡モジュール202を選択するステップ406を含んでもよい。上記に議論されるように、標準的/既存の顕微鏡スタンドが、選択されてもよく、好ましくは、理想的レンズ挙動に近似する完全に無限遠補正されたレンズである、第1のレンズ212および第1の対物レンズ210を有する。さらに、上記に議論されるように、顕微鏡モジュール202は、ステップ402において、第1の対物レンズ210が、結像されることが予期される典型的サンプルのための条件
【化8】

および
【化9】

を満たすように選択または構成されることができる。したがって、第1の対物レンズの焦点距離fObj1および第1のレンズの焦点距離fTL1は、一次拡大率Mを設定する。上記に議論されるように、ステップ404では、第2の対物レンズ230のパラメータは、再焦点化条件を課し、収差を最小限にするように構成されることができる。例えば、第2の対物レンズの焦点距離fObj2および第2のレンズの焦点距離fTL2は、MBFPのための固定された値を達成するために、方程式(10)、(11)、および(15)によって制約され得る。距離dは、特に、顕微鏡モジュール202が既存の顕微鏡スタンドである場合、容易に構成可能ではあり得ないが、他のパラメータが既知の距離dに基づいて選択され得るように、正確に測定され得る。例えば、距離dは、以下の関係を使用することによって、BFPからBFPを結像するように調節されることができる。
【数17】

本アプローチは、斜面光シート顕微鏡検査システム200の実施形態を様々な市販の顕微鏡モジュール202と互換性を持たせる。
【0042】
上記に議論されるように、ある実施形態によると、第3の対物レンズ232は、上記の方程式(7)に表される放出/収集経路のための最高の潜在的全体的開口数NAemを維持するように、その開口数NAが第2の対物レンズ230の浸漬媒体の屈折率nに等しいまたは超える(NA≧n)ように構成される。本条件は、第3の対物レンズ232の収集効率を最大限にし、第3の対物レンズ232が第2の対物レンズ230からの全ての光を捕捉することが可能であることを確実にする(図4におけるステップ408)。しかしながら、大開口数は、概して、大きい関連付けられる円錐角度に起因して、顕微鏡のための短作動距離をもたらし、これは、実践的実装を非常に困難にし得る。ある実施例では、θおよびθは、例えば、70°を超え得る。したがって、ある側面によると、第3の対物レンズ232の開口数に関する要件は、nを最小限にする一方、また、方程式(15)に規定される条件を満たすことによって、低減させられることができる(図4におけるステップ410)。
【0043】
再び図2Aを参照すると、サンプル206の斜面は、第3の対物レンズ232と第3のレンズ234の組み合わせによって再結像され、サンプル206の画像を最終像面IPに形成する。ステップ420では、全体的システム拡大率Mは、下記の方程式(18)によって与えられ、そうでなければ、自由パラメータである、第3のレンズの焦点距離fTL3の適切な選択を通して、所望の値に設定されることができる。下記にさらに議論されるように、第3の対物レンズの焦点距離fObj3は、第3の対物レンズ232のための光機械的仕様によって制約され得る。
【数18】
【0044】
光シート顕微鏡検査は、概して、典型的には、約1.35~1.40の範囲内のnの値を有し、約1.37の平均屈折率を有し得る、生きている生物学的サンプル206を結像するために有用である。故に、典型的生きている生物学的サンプル206内で放出される、あらゆる可能性として考えられる光を捕捉するために、
【化10】

に設定する。これは、1.40<NAoil<1.45の範囲内の典型的開口数であるように構成され得る、油浸漬式の対物レンズを使用することによって達成されることができる。しかしながら、第1の対物レンズ210のための油浸漬式の対物レンズを選択することは、レンズの浸漬媒体とサンプル206との間の屈折率不整合(n≠n)をもたらし、これは、画像分解能を著しく劣化させる、深度(z)依存球面収差を生成する。上記に議論されるように、第1の対物レンズ210は、最大の有用な開口数を得ることと、良好な屈折率整合を維持することとの間の良好な妥協を達成することに基づいて、選択および構成されることができる。故に、ある実施形態では、シリコーン対物レンズが、第1の対物レンズ210のために選択される。この場合、NA=NAsilicone(例えば、NAsilicone=1.35)であって、n=nsilicone=1.41である。平均n=1.37を伴う、典型的生きている生物学的サンプル206に関して、第1の対物レンズ210のための本選択は、約0.02の開口数におけるデルタ(ΔNA)(上記に記載のように、好ましくは、NA≧nであって、ここでは、本条件は、あまり満たされないが、デルタは、非常に小さく、サンプル206からのほぼ全ての利用可能な光が第1の対物レンズ210によって収集され得ることを意味する)と、最小限の深度依存収差を引き起こす、わずか0.04の屈折率(Δn)におけるデルタまたは不整合とを提供する。したがって、本選択は、上記に従って、良好またはさらに最適な妥協を表し得る。比較のために、良好な水浸漬式の対物レンズは、NAwater=1.27およびnwater=1.33の値を有し、類似深度依存収差であるが、有意に低い収集能力(より低い開口数に起因して)をもたらす。さらに、上記に議論されるように、匹敵する油浸漬式の対物レンズは、開口数(例えば、NAoil=1.45を伴う)を最大限にするが、屈折率における不整合に起因して、サンプル206中の深度における結像性能および関連付けられる立体情報を著しく劣化する、深度依存収差(典型的には、noil=1.52であって、したがって、屈折率デルタは、約0.15である)を引き起こす。したがって、ある実施形態による、第1の対物レンズ210のためのシリコーン対物レンズまたは類似中間浸漬屈折率レンズの選択は、水および油対物レンズに優る有意な利点を提供し得る。
【0045】
例えば、ある事例では、サンプル(生きている生物学的サンプル等)は、1.33<n<1.41の範囲内の屈折率を有し得る。したがって、NA=1.35およびn=1.41を伴う、シリコーン対物レンズを選択することは、0.02≦ΔNA≦0.06および0≦Δn≦0.08の「誤差」または公差範囲を提供する。故に、この場合、
【化11】

(ΔNAの公差範囲内)および
【化12】

(Δnの公差範囲内)であって、これらの公差範囲は、ある用途では、好ましい限界である。別の実施例では、第1の対物レンズ210は、NA=1.3およびn=1.46を伴う、グリセロール浸漬式のレンズであってもよい。同一サンプル範囲に関して、本実施例は、0.03≦ΔNA≦0.11および0.05≦Δn≦0.13の誤差範囲を提供する。シリコーン実施例ほど最適ではないが、第1の対物レンズのための本選択肢(グリセロールまたは類似材料)は、それにもかかわらず、
【化13】

および
【化14】

の所望の条件のために容認可能な妥協または容認可能な公差範囲を表し得る。対照的に、上記の公差範囲実施例からさらに逸脱する、第1の対物レンズ210のための選択肢は、依然として、生きている生物学的サンプルを結像するために動作し得るが、性能はさらに、低減させられ、多くの用途において、そのような選択肢を望ましくないものにする。
【0046】
いったん対物レンズ(例えば、シリコーン対物レンズ)が、第1の対物レンズ210のために選定されると、パラメータNAおよびn(例えば、NA=1.35およびn=1.41)が、把握される。したがって、本実施例に関して、方程式(16)の条件を適用することは、第2の対物レンズの開口数と第2の対物レンズの屈折率の比率NA/n≧0.96を設定する。上記に議論されるように、収集効率を最大限にするためにNA≧nであることが好ましいため、nを最小限にし、第3の対物レンズ232の開口数に関する要件を緩和することが望ましい。故に、第2の対物レンズ230は、NA=0.95を伴う、空気対物レンズ(n=1.0)であることができ、これは、第1の(シリコーン)対物レンズ210の角度範囲の99%を再結像することが可能である(asin(0.95)/asin(0.96))。
【0047】
上記のプロセスおよび原理に従って設計ならびに構成される、顕微鏡検査システム200の実施例は、収集効率において、DunsbyおよびYangによって開示されるシステムによって達成され得るものに優る有意な改良を達成する。以下の実施例では、照明光ビーム216は、Фex=5°の発散角度を有すると仮定される。例えば、サンプル206がn=1.37を有すると仮定すると、その中の第1の対物レンズ210が、NA=1.35およびn=1.41を伴う、シリコーン浸漬式のレンズであって、第2の対物レンズが、NA=0.95およびn=1.0を伴う、空気対物レンズである、顕微鏡検査システム200の実施形態は、従来の高分解能顕微鏡検査を用いて達成可能な1.37限界に非常に近い、NAem=1.32(上記の方程式(7)を適用する)を達成し、(反射性損失を無視して)収集効率は、95%である。対照的に、Dunsbyは、はるかに低い全体的開口数および非常に低い収集効率を達成する、システムを開示する。例えば、Dunsbyは、その中の第1および第2の対物レンズが両方とも、理論的には、わずか0.75の全体的開口数NApotと、わずか63%の収集効率とを有する、NA=NA=0.95を伴う空気対物レンズである、システムを開示する。Dunsbyに開示される別の実施例は、第1の対物レンズのために水対物レンズ(NA=1.2;NA=0.95)を使用するが、理論的には、わずか0.74の全体的開口数NApotを達成し、わずか38%の非常に不良な収集効率を有する。同様に、Yangに開示される実施例も、本明細書に開示される顕微鏡検査システム200の実施形態の性能に近いものを達成するものではない。例えば、Yangは、その中の第1の対物レンズが、NA=1.27を伴う、水対物レンズであって、第2の対物レンズが、NA=0.9を伴う、空気対物レンズである、実施例を開示する。本実施例は、理論的には、1.17の全体的システム開口数と、85%の収集効率とを提供するが、上記に議論される顕微鏡検査システム200の実施例より有意に低い。さらに、Yangは、実践では、本実施例は、実際には、わずか約1.06の全体的システム開口数と、わずか約70%の収集効率とを達成したことを開示している。本実施例によって実証されるように、Yangが、第2の対物レンズが第1の対物レンズからの本質的に全ての光を収集するように構成されることを確実にする利点を達成しなかったことは、着目に値する。
【0048】
第1および第2の対物レンズを選択ならびに構成するときに適用され得る、上記に議論される考慮点に加え、ある側面はさらに、第3の対物レンズ232の傾斜角度αが、最適化され得ることを認識する。方程式(11)および(15)の条件を適用することは、高い所望の開口数NAによって設定される、大円錐角度θに起因して、短作動距離を有する、第2の対物レンズ230をもたらし得る。第3の対物レンズ232の光学軸が、第2の対物レンズ230の光学軸と平行(α=0)であった場合、短作動距離は、問題を提示しないであろう。しかしながら、上記に議論されるように、第3の対物レンズ232の光学軸は、照明光シート216を含有する、平面を効果的に結像するように、第1および第2の対物レンズ210、230の光学軸に対して角度α(概して、非ゼロ)だけ傾斜される。故に、本発明のある側面は、これらの考慮点およびNAemを最大限にする目標に照らして、傾斜角度αおよび第3の対物レンズ232の性質を適切に選択することを対象とする(図4におけるステップ412、414、416)。
【0049】
図3を参照して上記に議論されるように、光シート216は、Фexの発散角度を有する。傾斜角度αは、光シート発散角度および第1の対物レンズ210の収集円錐の両方に関連し、方程式(19)に従って計算されることができる。
【数19】

発散角度Фex、したがって、傾斜角度αは、照明ビーム(光シート)216の種々の性質に関連する。図5は、光シート216の実施例のパラメータを図示する、略図である。本実施例では、光シートは、ガウスビームである。光シート216は、ωのビームウェストを有する。レイリー範囲Zは、それにわたってビームがω√2の幅まで発散する、距離である。ビームウェストωは、光シート216の波長λexおよびレイリー範囲の関数として表されることができる。
【数20】

さらに、
【数21】
【0050】
生物学的結像に関して、光シート216の波長のための典型的値は、0.5マイクロメートル(μm)であって、レーザ光源214を仮定すると、レイリー範囲Zは、典型的には、約5~50μmの範囲内である。したがって、ビームウェストωは、概して、約1~3μmの範囲内であり得、発散角度Фexは、したがって、
【化15】

(実施例として、上記に議論される)と仮定すると、約2°~8°の範囲内であり得る。これらのパラメータならびに上記に議論される考慮点および実施例から判定されたθならびにθの値を前提として、これらの実施例に関して、方程式(19)は、傾斜角度αが約20°~26°の範囲内であり得ることを示す。例証として、その中のサンプル206が、n=1.37、Фex=5°を伴う、生きている生物学的サンプルであって、第1の対物レンズ210が、NA=1.35およびn=1.41を伴う、シリコーン対物レンズである、以下の実施例を検討する。本実施例では、方程式(3)は、
【化16】

を与える。したがって、方程式(18)を適用すると、本実施例は、
【化17】

を規定する。
【0051】
方程式(19)に基づいて、光シート216が使用されることを前提として、予期される最大発散角度Фexは、傾斜角度αのための最大値を設定する。より高い傾斜角度を使用することは、放出経路収集角度Φ’em、したがって、また、NAemを低減させ、明白な利点を伴わない。したがって、ある側面によると、使用されている光シート216の性質および第1の対物レンズ210の収集円錐角度θを把握すると、傾斜角度αが、収集効率を最適化するように選定されることができる(ステップ412)。本側面は、DunsbyまたはYangのいずれによっても利用されていない、光シート216ならびに第1および第2の対物レンズ210、230のパラメータに依存する(ひいては、上記に議論されるように、結像されるべきサンプル206に基づいて、最適化され得る)、傾斜角度のための最適範囲または値αが存在するという重要な認識を活用する。例えば、上記に記載のように、Yangは、第3の対物レンズの傾斜角度が30°であることを開示している。しかしながら、本明細書に開示される原理および側面に照らして、傾斜角度のためのYangの推奨される値が高すぎることが理解され得る。上記の方程式を適用すると、Yangに開示される他のパラメータ(例えば、Z=35μm;Фex=3°)を前提として、傾斜角度のための最適値が、約21°であって、Yangによって開示される値より有意に低いことが示され得る。
【0052】
上記に議論されるように、第2の対物レンズ230に関する制約は、高角度範囲(例えば、θ>70°)、したがって、(所与の既存のレンズ)短作動距離をもたらす。例えば、
【化18】

である場合、作動距離は、約200μmであり得る。第3の対物レンズ232がまた、高開口数を伴うレンズに典型的である、短作動距離を有する場合、これは、傾斜角度αに関する扱いにくい機械的制約を生成する。例えば、第3の対物レンズ232が、第2の対物レンズ230と同一パラメータ(例えば、
【化19】

およびn=n=1.0)を伴う、空気対物レンズであることになる場合、2つの対物レンズは、
【化20】

において衝突し、これは、顕微鏡の動作を無効にするであろう。故に、ある側面および実施形態は、本問題を回避するように第3の対物レンズ232を構成するステップを対象とする。
【0053】
ある側面によると、第3の対物レンズ232の浸漬媒体は、角度範囲θを低減させるために、比較的に高屈折率を有するように選択される。例えば、第3の対物レンズ232の浸漬媒体は、油状であってもよく、これは、典型的には、空気より有意に高い、1.45~1.65の範囲内の屈折率を有する。方程式(1)から、任意の所与の開口数に関して、対物レンズの屈折率が高いほど、角度範囲は、低くなる。角度範囲を低減させることは、ひいては、作動距離を増加させ、システムに関する機械的制約を緩和させ得る(図4におけるステップ414)。例えば、上記に議論される空気の第2の対物レンズより若干高い開口数(NA=1およびNA=0.95)と、所与の上記に与えられる範囲のより低い部分における屈折率とを有する、油状対物レンズを検討すると、最大角度範囲は、次いで、
【化21】

となる。本実施例に関して、作動距離は、典型的には、約4mm~8mmの範囲内であり得る。
【0054】
ある実施形態によると、第3の対物レンズ232は、ガラス等のより高い屈折率を伴う材料を使用することと、非常に短またはさらにゼロ(「接触」)もしくはさらに負の作動距離を可能にする、機械的配列を有することとの両方であるように構成される(図4におけるステップ416)。一実施例では、第3の対物レンズ232は、適用可能な視野に合致し、上記に議論されるNA≧nの条件に基づいて要求される開口数に合致する受光角を伴って成形される、中実ガラス正面「錐台」とともに構成される。したがって、一実施例では、θfrustum>θmaxであって、θmaxは、第3の対物レンズ232の開口数NAおよび第3の対物レンズの浸漬媒体の屈折率nに基づいて規定される(方程式(1)に従って)、θの値(ある実施例では、
【化22】

)である。これは、第3の対物レンズ232が、第2の対物レンズ230からの本質的に全ての光を収集することを可能にする一方、また、対物レンズ2と3との間の機械的衝突を伴わずに、斜面光シート顕微鏡検査システム200のための最高の全体的放出経路開口数NAemを達成するために、傾斜角度αの有意な範囲の調節、例えば、ガラス錐台のための最大45°を可能にする。中実ガラス錐台または他の形状を含む、第3の対物レンズ232の種々の構成の実施例は、図6A-6Cに示される。ガラス錐台は、円錐形形状である、または、例えば、二重に面取りされたノミ形状を有することができる。図6Aは、中実半径方向錐台を伴う、第3の対物レンズ232の実施例を図示する。図6Bは、面取りを伴う中実半径方向錐台を伴う、第3の対物レンズ232の実施例を図示する。図6Cは、中実正方形錐台を伴う、第3の対物レンズ232の実施例を図示する。これらの実施例はそれぞれ、さらに下記に議論されるように、高開口数にわたって効率的光結合を可能にする。
【0055】
したがって、ある実施例では、第3の対物レンズ232は、ゼロまたはゼロに近い(例えば、空気中で約20μm)作動距離を可能にするように成形される、中実ガラス錐台を含むことができる。ある実施例では、錐台は、約200μm視野と、類似寸法を有する、ガラス先端とを有する。20μm作動距離は、最大約8°の発散角度Фexを伴う光シート216が、空気中で第3の対物レンズ232の錐台の正面を交差し、したがって、直接、高開口数における第2の対物レンズ230の中に結合されることを可能にする。
【0056】
上記に議論されるように、傾斜角度αのための最適値または範囲は、部分的に、光シート216のパラメータに依存し得る。しかしながら、同一顕微鏡検査システム200を使用して、種々の異なるサンプル206を結像することが望ましくあり得、異なる光シートパラメータは、異なるタイプのサンプルを結像するために好ましくあり得る。例えば、大サンプルは、大視野および弱発散ガウス光シート216を使用して、より良好に結像され得る。換言すると、この場合、最小限の傾斜角度αminを伴うシステム200を構成し、最小限の発散角度Фex_minを伴う光シート216を使用することが好ましくあり得る。他方で、小サンプル206は、小視野および狭ビームウェスト(大傾斜角度αmaxおよび大発散角度Фex_maxを意味する)を伴うガウス光シート216を使用して、より良好に結像され得る。また、非ガウス照明ビーム(例えば、ベッセルビームまたはさらに格子ビーム)を使用することが望ましくあり得る。故に、ある実施例では、結像モジュール204の一部は、傾斜角度αが異なるサンプル206のために動的に調節および最適化され得るように、少なくとも第3の対物レンズ232、第3のレンズ234、ならびに検出器226が、剛性物体として、第2の中間像面IPと第3の中間像面IPの交点を中心として回転することを可能にする、機械的アセンブリとともに構成されることができる(図4におけるステップ418)。
【0057】
図7は、上記に議論されるプロセスおよび考慮点に従って斜面顕微鏡検査システム200を構成するためのアプローチを要約する、フロー図である。ステップ702および704は、顕微鏡検査システム200内の第1の顕微鏡を選択/構成するステップを伴う。ステップ702は、ベース顕微鏡モジュール202が選択される、上記に議論されるステップ406に対応する。顕微鏡モジュール202は、埋設された第1のレンズ212を含み、したがって、パラメータfTL1およびdは、本選択によって固定され得る。ステップ704では、顕微鏡モジュール202のための第1の対物レンズ210は、顕微鏡検査システム200を使用して結像されることが予期されるサンプルのタイプに合致するように選択される。上記に議論されるように、サンプル206の屈折率は、変動し得るが、既知の用途(例えば、生物学的結像)を前提として、第1の対物レンズ210は、予期されるサンプルタイプの平均または近似屈折率をほぼ上回るまたはそれに等しい、開口数とともに選択されることができ、したがって、上記に議論されるように、
【化23】

を設定する。第1の対物レンズ210の選択は、パラメータfObj1を設定し、したがって、ステップ702と704の組み合わせは、第1の顕微鏡の拡大率Mを固定する。
【0058】
ステップ706および708は、顕微鏡検査システム200内の第2の顕微鏡を選択/構成するステップを伴う。ステップ706は、第2の対物レンズ230を選択するステップを含む。上記に議論されるように、第3の対物レンズ232に関する要件は、nを最小限にすることによって緩和されることができる。パラメータnは、空気に関する1.0と油状材料に関する1.4超またはさらに高屈折率ガラス材料に関する最大2.0またはより高い値との間のいずれかで変動し得る。故に、第2の対物レンズのための空気対物レンズを選択するステップは、nを最小限にする一方、また、方程式(15)または(16)に規定される条件を満たす。空気対物レンズは、1.0未満の開口数を有する。実践では、最良の空気対物レンズは、
【化24】


【化25】

に対応する)を有し得る。前述の制約内で第2の対物レンズ230を選択することは、パラメータfObj2を設定する。ステップ708は、上記の方程式(11)に記載された遠隔再焦点化条件を達成するように第2の顕微鏡を構成するステップを含む。上記に議論されるように、Mは、ステップ702および704において設定される。方程式(10)から、Mを設定するために使用され得る、唯一の自由パラメータは、fObj2がステップ706において検討される条件によって設定されるため、fTL2である。したがって、ステップ708では、fTL2は、方程式(11)の遠隔再焦点化条件を満たすように選択されることができる。結果として、第1および第2の顕微鏡内の唯一の残りの自由パラメータは、ここでは、dとなる。上記に議論されるように、ある実施例では、dは、方程式(17)に従って、最良結像性能を達成するように選択されてもよい。
【0059】
ステップ710および712は、顕微鏡検査システム200内の第3の顕微鏡を選択/構成するステップを伴う。ステップ710は、第3の対物レンズ232を選択し、第2の対物レンズ230からの全て(または可能な限り多く)の光を収集し、上記に議論されるように、随意に、動的に調節可能であり得る、傾斜αを可能にするステップを含む。これらの条件の両方を達成するために、これが第3の対物レンズ232が傾斜αを伴っても第2の対物レンズ230からの全てまたはほぼ全ての光を収集することが可能である(すなわち、第3の対物レンズ232が、第2の対物レンズ230からの全てまたはほぼ全ての円錐角度+αを捕捉することができる)ことを確実にするであろうため、NA≧nを設定する。ある実施例によると、α傾斜を用いて光収集を達成することは、第2の対物レンズ230からの光円錐を捕捉する一方、また、αの回転/傾斜に適応するように位置付けられることを可能にするように機械的に構成される、対物レンズを使用することによって行われる。例えば、第3の対物レンズ232は、上記に議論されるように、面取りまたは他の成形された縁を伴う、中実ガラス錐台を含んでもよい。本構成は、第3の対物レンズ232が、第2の対物レンズの視野の中に延在することを可能にし(先鋭ガラス先端を使用して)、したがって、第2の対物レンズ230からの全てまたはほぼ全ての光を収集する一方、また、最大45°の(または正確な設計に応じて、それを上回る)回転(α)を可能にする。ステップ710は、少なくともある程度まで、パラメータfObj3を設定する。したがって、ステップ712は、fTL3を設定し、検出器226のための正しい値において全体的システム拡大率Mを規定する(例えば、マルチピクセル検出器を使用するとき、ナイキストサンプリングを達成することによって)ように第3の顕微鏡を構成するステップを含んでもよい。
【0060】
ある実施形態によると、第1の中間像面IPは、図2Bに示されるように、光シート216のための挿入点として使用されることができる。加えて、ある実施形態では、光シート216のx-y走査もまた、同期された立体結像を提供するために導入されることができる。第2の対物レンズ230はまた、画像を第2の中間像面IPに再集束させ、これが、次いで、第3の対物レンズ232によって第3の中間像面IPにおいて収集されることによって、z方向におけるボリュームを走査するために使用されてもよい。本アプローチを適用すると、x-y-z走査を伴う、柔軟なボリュームオプションが、達成されることができる。例えば、x-y走査が、実施されることができ、z方向における調節が、次いで、サンプル206中の異なる深度における別のボリュームを結像するために使用されることができる。したがって、顕微鏡検査システム200の全体的立体容量または柔軟性は、増加されることができる。ある実施例では、傾斜角度αに起因して、サンプル206の画像の光学軸は、一次x、y、またはz軸のいずれにも該当し得ない。したがって、純x-y走査または純z走査は、ボリュームがこれらの個々の軸を使用して収集されるにつれて、サンプル206に対する光シートビームウェストωの偏移をもたらし得る。しかしながら、ある実施例では、x-y走査は、ボリュームが、光シートビームウェストが、走査の間、視野上に心合されたままでで結像され、ボリューム全体を通して最適区分化および分解能を与える得るように、正しい振幅のz走査と組み合わせられてもよい。
【0061】
上記に議論されるように、ある実施例では、第3の対物レンズ232は、光シート216が、直接、高開口数における第2の対物レンズ230の中に結合されることを可能にする、ガラス錐台および先端とともに構成されることができる。これは、無ダイクロイック動作を可能にする(すなわち、図2Bにおけるビーム結合要素218は、排除されることができる)。加えて、第2の対物レンズ230が、上記に議論されるように、遠隔再集束化z走査を介して立体画像を提供するために使用される、実施例では、本アプローチはまた、走査のための固有の同期を提供する。
【実施例0062】
以下は、標準的顕微鏡に結合され、顕微鏡を、サンプルにおいて1つのみの対物レンズを使用する、高開口数光シート顕微鏡に変換し得る、上記に議論される側面および実施形態に従って実装される、モジュールの実施例を提供する。
【0063】
図8は、本明細書に開示される側面および実施形態による、単一対物レンズ光シート顕微鏡の実施例の概念の例証である。一次対物レンズ/チューブレンズ対(赤色実線/円形は、対物レンズの背面焦点面(BFP)を示す)は、3D生物学的サンプルを中間空間に結像する。走査システムは、本3D画像を別の中間空間に中継し、そこで、第2のチューブレンズ/対物レンズ対(青色破線BFP)によって収集される。第2の対物レンズは、約1の拡大率において、サンプルの無収差3Dコピーを作成する。本仮想3Dサンプルは、次いで、一次像面に対して傾斜する、第3の傾斜された顕微鏡(緑色点線BFP)を介して再結像される。光シートは、本傾斜された像面内の一次対物レンズの中に結合され(赤色実線ビーム)、単一対物レンズ光シート顕微鏡をもたらす。単一走査ミラーを急速に移動させることは、3Dボリュームを入手する。3つの対物レンズBFPは、赤色実線、青色破線、および緑色点線円形によって示されるように、相互上に結像される。赤色実線円板は、BFPにおける光シート占有面積を示し、黄色実線領域は、システムの収集開口数を示す。本設計は、感知できるほどの量の黄色面積を犠牲にせず、ほぼ測定不能損失を分解能に伴う。
【0064】
図9Aおよび8Bは、図2Aのシステム内の対物レンズのための光線透過角度を示すことによって、本特徴をさらに図示する、略図である。具体的には、図9Aおよび9Bは、一次(第1の)対物レンズ210(赤色ドット)、第3の対物レンズ232(緑色ドット)、および第1、第2、ならびに第3の対物レンズ(黄色ドット)の組み合わせの角度通過帯域を示す、理論的モデルを図示する。第2の対物レンズ230の角度通過帯域は、図9Aおよび9Bでは不可視である。図9Aおよび9Bは、図8の上部中心部分に示される赤色、青色、緑色、ならびに黄色円形領域の3D均等物である。図示される球体の表面上の各黄色ドットは、サンプル中の点源から、3つの対物レンズを通して伝搬し、検出器に到達し得る、光線角度を表す。各赤色ドットは、第1の対物レンズ(本実施例では、1.35NAシリコン)によって収集されるが、第2の対物レンズ(本実施例では、0.95NA空気)によってクリッピングされる、光線を表す。各緑色ドットは、第3の対物レンズ(本実施例では、1.0NAガラス)が、第2の対物レンズが生成した場合に収集し得る、光線を示す。黄色領域は、赤色領域をほぼ完全に充填し、システムが第1の対物レンズによって収集されるほぼ全ての光線を透過させることを実証する。本実施例では、第1の対物レンズによって収集される光線の>95%が、第2の対物レンズに通過することができ、第2の対物レンズによって収集される光線の>99%は、第3の対物レンズに通過し、約1.33の開口数を提供することができる。
【0065】
全体的開口数に関する本数は、システム内の各対物レンズの設計によって影響されることに留意されたい。例えば、一次対物レンズが、1.35の代わりに、NA=1.33を伴って選択された場合、第1の対物レンズによって収集される光線の>99%は、第2および第3の対物レンズに通過し得る。実践では、一次対物レンズの開口数の縁すれすれにおける光線は、収差を受け得、改良された分解能に寄与し得ない。したがって、規定された開口数(収集される光線)と有用な開口数(改良された分解能に寄与する光線)との間で区別することが有益であり得る。本明細書に開示されるシステムの実施例は、一次対物レンズの有用な開口数の>99%を捕捉し得る。さらに、第2の対物レンズを0.96NA空気対物レンズと置換することによって、一次対物レンズの規定された1.35NA光線の>99%が、収集され得る。
【0066】
図10は、妥協されない時空間性能を伴う図8のシステムのための単純な低コスト設計の実施例を図示する。図10は、本システムの実施例の構成要素の分解図を示す。ボックスAは、単純対物レンズ/チューブレンズ対であって、標準的顕微鏡スタンドであってもよい。一次対物レンズは、生きている生物学的サンプルの深部まで高分解能において結像するために最適である、高開口数および中間屈折率を有するように選定される。ボックスBは、走査中継器であって、ボリューム画像を迅速に取り込み得る、単一ガルバノミラーを伴う。ボックスCは、ボックスBとともに、ボックスAの要件に完璧に合致する、別のチューブレンズ/対物レンズ対である。ボックスDは、そうでなければシステム内に存在し得る、光機械的難点を解決する、特別に構成された対物レンズ/チューブレンズ対である。
【0067】
図11は、ガラス先端を有する、ボックスDの特別に構成された対物レンズ/チューブレンズ対の実施例(また、上記に議論される第3の対物レンズの実施例でもある)の例証である。図12A-Cはさらに、0~45度の傾斜角度の範囲にわたって分解能における無視可能な損失および高透過率を伴って、約100μmに近い高分解能画像を平坦表面に抽出することを可能にする、光学性能および幾何学形状を有するように構成される、特別に構成されたガラス先端付き対物レンズの実施例の側面を図示する。図12Aは、0~45度の傾斜角度の範囲を伴う平坦表面からわずか約100μmの傾斜された空気空間画像を収集するように特別に構成された対物レンズの本実施例の光機械的に結合される設計考慮点を示す、図面である。図12Bは、特別に構成された対物レンズの実施例の対応するCADレンダリングであって、図12Cは、レンズの実施例の写真である。下記の表1は、図12A-Cに対応するレンズの実施例に関する仕様を提供する。
表1
【表1】
【0068】
図10のシステムの放出経路の実施例が、構築、整合、および試験され、試験データは、本システムが、同一の一次対物レンズを伴う従来の顕微鏡と比較して、分解能における測定可能損失を伴わずに、30度傾斜された平面を結像することができることを示す。これらの結果を取得するために使用される図10のシステムの実施例は、下記の表2に記載される光学系仕様に従って構成された。光学要素は、物理的配列の順序で(サンプルからカメラまでの)表2に列挙される。本システムは、単純落射構成において、488nmレーザ励起を用いてArgolight SIMスライドを結像するために使用された。レーザからのコヒーレント干渉/スペックルは、許容された。付加的Chroma ET525/50放出フィルタが、クアッドバンドフィルタ(表2におけるアイテム12)の直前に追加され、そうでなければ非常に広い、放出帯域を狭めた。画像スタックが、第2の対物レンズにおける閉ループ圧電アクチュエータを使用することによって入手された。xy段、一次対物レンズ、ガルバノ、および第3の対物レンズは、入手の間、定常のままであって、カメラ露光時間およびレーザ電力は、全体を通して一定に保たれた。
表2
【表2-1】

【表2-2】
【0069】
放出経路をベンチマークし、特別に構成された第3の対物レンズ(下記では、AMS-AGY v1.0レンズと称される)の実施例を評価するために、データが、以下の3つの構成において入手された。
1.Nikon40倍0.95NA、傾斜=0°:放出経路内の第3の対物レンズは、標準的遠隔再焦点化配列(傾斜を伴わずに軸方向に整合される)におけるNikon40倍0.95NA空気対物レンズであって、信頼性のあるシステムベンチマークを提供した。
2.AMS-AGY v1.0、傾斜=0°:構成1のNikonの第3の対物レンズは、構成1に直接匹敵するように、傾斜を伴わずに特別に構成された第3の対物レンズの実施例と置換された。
3.AMS-AGY v1.0、傾斜=30°:本システムの実施例が、構成1および2との比較のために、30°の傾斜を伴う第3の対物レンズとして、AMS-AGY v.1.0レンズを使用して構成された。
【0070】
以下のArgolight SIMスライド上の4つの異なるパターンが、結像のために使用された。
標的:10μm間隔を伴う、同心リングの240μm径セット。各リングは、750nm分離された2つの線対から成る(最大視野において見るために良好)。
グリッド:10μm間隔を伴う、110×110μm正方形グリッド。各線対は、750nm分離される(視野の中心のより高い品質部分を見るため、かつ視野平坦性および歪曲をチェックするために良好)。
SIM線:範囲完全重複から30nmずつの390nmの分離に及ぶ、14本の線対(分解能を評価するために良好)。
3Dリング:X、Y、およびZにおいて5μm分離された9×9×9の3D立方のアレイのサブミクロン径リング(3D視野を評価するために良好)。
【0071】
データは、上記のパターンおよび特徴を結像して、上記に識別された3つのシステム構成毎に収集された。
【0072】
上記で識別された3つのシステム構成毎の上記の4つのパターンを結像することによって生成される試験データは、Nikonベースの遠隔再焦点化が従来の顕微鏡と同一分解能を提供することを示した。全てNikon対物レンズを使用すると、放出経路の遠隔再焦点化部分は、少なくとも270nm分解能を視野の中心において送達する。これは、標準的商業用ベースの一次対物レンズによって提供されるものと同一分解能である。第3の対物レンズとしてAMS-AGY v1.0レンズを用いて構成される、遠隔再焦点化もまた、従来の顕微鏡と同一分解能を提供する。AMS-AGY v1.0レンズを第3のNikon対物レンズに代用することは、傾斜されていない遠隔再焦点化において270nm分解能を保存する。標的パターンの画像は、構成1および2の両方が、カメラセンサによって網羅される240×240μm視野を結像することが可能であって、線対が、約200μmまで可視であって、システムが設計された100μm径視野を優に超えることを実証した。グリッドパターン結像は、高品質110×110μm視野を示し、線対は、全体を通して可視であって、最小限の歪曲であった。SIM線結像は、視野の中心における270nm分解能を実証した。3Dリングパターンの画像スタックは、3D視野にわたる構成1および2の結像性能において定質的に区別可能な差異がなかったことを示した。
【0073】
さらに、AMS-AGY v1.0レンズを用いて構成される、遠隔再焦点化は、依然として、第3の顕微鏡の30度傾斜を伴う従来の顕微鏡と同一分解能を与える。AMS-AGY v1.0レンズを使用して、第3の顕微鏡は、30度の角度まで傾斜され、入手された画像データは、システムが平行および垂直軸の両方上で270nm分解能を留保したことを実証した。レイリー基準によって、270nm分解能は、1.2の有効開口数に対応する。ycos(α)(式中、αは、傾斜角度である)の再スケーリングが、傾斜によって引き起こされる画像y-軸に沿った「伸展」を補正するために適用された、標的およびグリッドパターンの入手された画像スタックは、視野にわたって、構成1および2を用いて達成されるものと本質的に同一品質の高品質画像を生成する能力を実証した。同様に、SIM線結像および3Dリングパターン結像性能は、y-軸再スケーリングおよびzsin(α)剪断補正を適用後、傾斜されない構成から定質的に区別不可能であった。
【0074】
下記の表3-5は、表1に提供される仕様に基づく図10のシステムの一部のためのいくつかの代替光学構成のための仕様を提供する。例えば、下記の表3は、一次対物レンズのための代替の実施例を提供する。
表3
【表3】
【0075】
ある実施例および用途では、ガルバノ走査は、必要とされない場合がある。下記の表4は、例えば、圧電を第2の対物レンズ上で使用して、ボリュームを取り込む、段階走査またはシステムを使用する、ハイコンテントスクリーニングシステム(または両方の組み合わせ)のために使用され得る、実施例を提供する。下記の表5は、表3に説明される代替一次対物レンズを使用し、ガルバノ走査が除去される、別の実施例を提供する。
表4
【表4】

表5
【表5】
【実施例0076】
実施例2:設計オプション
多くの用途は、拡大率、開口数、視野(FOV)、および浸漬媒体(例えば、水)の異なる選択肢から利点を享受するであろう。下記の表6は、一次対物レンズ選択肢の付加的実施例を提供する。種々の走査領域および視野もまた、実装されてもよい。
【0077】
ガルバノ走査を伴わない実施形態は、より少ない光学系、効率がより高く、保守の観点からより容易であることに起因して、コストがより低くあり得る。無ガルバノは、段階走査を使用する、ハイコンテントスクリーニングシステムのために魅力的であり得る。サンプル走査は、広範囲にわたる探索、段階走査、または高スループットスクリーニング(すなわち、マルチウェルプレート)のための良好なオプションであり得る。z範囲は、対物レンズ1の作動距離によって限定され得る。高速運動は、浸漬媒体を介して、サンプルに結合し得る。対物レンズ1走査は、一次対物レンズの作動距離を使用して、従来の集束のために良好であり得る。対物レンズ2走査は、遠隔空間を使用したサンプルから隔離された高速走査のために良好であり得る。z範囲は、物体2および3の力学のいずれかによって、または遠隔再焦点化範囲によって光学的に限定され得る。対物レンズ3走査は、対物レンズ2走査に類似し得るが、傾斜された配列にある。
【0078】
1つの「走査」ガルバノを伴う実施形態では、FOVは、1つのみの軸上で対物レンズ3によって限定され得る。一次対物レンズは、走査軸上の視野を限定し得る。ガルバノ走査ユニットを追加することは、超高速走査を提供し、FOVを増加させる。典型的ガルバノステップおよび整定時間は、現代のsCMOSチップの回転時間より短く、したがって、立体結像率は、カメラのデータ率(または利用可能な光子)のみによって限定される。
【0079】
2つの「XY」ガルバノを伴う実施形態では、FOVは、対物レンズ3によって限定され得ない。一次対物レンズが、視野を判定し得る。第2の(直交)ガルバノスキャナは、傾斜デバイスとして使用され、一次対物レンズの完全視野にアクセスすることができる。これは、単一フレーム内の完全視野を支援しない、光学列またはカメラチップを使用するとき、一次対物レンズのFOVにアクセスするための魅力的かつ迅速な方法である。
表6
【表6】
【実施例0080】
実施例3:良好な性能のための整合目標
以下の指針は、種々の光学構成に適用可能であり得る。
【0081】
XYおよび先端/傾斜整合:一次対物レンズ(O1)は、システムの光学軸を設定する。各後続レンズは、次いで、その光学軸が一次軸と共線形であるように整合されなければならない。1つまたはそれを上回るガルバノを含む、システムでは、各ガルバノミラーは、光学軸上に心合されるべきであって、各ガルバノの回転軸は、光学軸と一致かつ垂直であるべきである。これは、各要素のxy(平行移動)および先端/傾斜(回転)を定義し、実践では、これは、適切なレーザビームを使用して達成されることができる。
【0082】
Z整合:原理上レンズ対は、それらがコリメーションを保存するように、軸方向に分離されるべきである。すなわち、任意の対のレンズに関して、コリメートされたビーム入力は、コリメートされたビーム出力を与えるべきである。これは、いったん一次対物レンズ位置が固定されると、システムを整合させ、各レンズのz位置を定義するための最も簡単な方法である。ガルバノミラーは、ミラーの回転が画像空間内に純平行移動をもたらす(小角度に関して当てはまる)ように、一次対物レンズ(BPF1)の背面焦点面に共役されるべきである。
【0083】
商業用ベース:商業用ベースを使用するとき、一次対物レンズ(O1)および第1のチューブレンズ(TL1)は、コリメーションを保存しない(通常、チューブレンズは、近すぎる)ことが典型的である。これは、第1の走査レンズ(SL1)後の全体的光学列を分路させ、コリメーションを復元することによって、補正されることができる。ガルバノを伴わないシステムに関して、補正は、第2のチューブレンズ(TL2)後に行われることができる。以下の方程式は、ケース毎に要求される変位を説明し、大きさの指標として使用されることができる(実践では、正しい変位は、適切なレーザビームと整させることによって見出されなければならない)。
・無ガルバノ:
【化26】

式中、
【化27】

・1つまたはそれを上回るガルバノ:
【化28】

式中、
【化29】

注記:上記に加え、最良性能のために商業用ベースを使用するとき、O1は、その公称焦点位置にあって(意図されるサンプルのために)、良好な背面焦点面マッピングを確実にしなければならない。
【0084】
背面焦点面マッピング:前述の目標が、達成される場合、一次対物レンズの背面焦点面(BFP)は、システム全体を通して、すなわち、BFPからG1、G1からBFP、およびBFPからBFP(ならびに同一概念は、無ガルバノまたは2つのガルバノシステムにも適用される)に効果的に結像されるであろう。これは、像面IPからIPに中継することに類似するが、十分に良好に行われない場合、よりわずかな(但し、依然として、有意な)結果を伴う。像面整合における誤差は、通常、結果として生じる焦点ずれから明白である。BFP中継器における誤差は、より気付きにくく、以下の徴候をもたらし得る。
【0085】
ガルバノからBFPにおける誤差:像面の純平行移動であるべきものに結合される、角運動をもたらし得る。これは、走査の関数として光シートの傾斜を変調させ、画像処理およびデータの解釈を困惑させ得る。
【0086】
BFPからBFPにおける誤差:整合の間に注意を怠った場合の容易な誤りであって、BFPにおけるBFPの画像のクリッピングをもたらし得る。結果は、低減させられた有効開口数および損なわれた遠隔再焦点化性能となる。点拡がり関数測定が、IPにおいて良好であって、IPにおける遠隔空間において予想外である場合、本整合をチェックされたい。
【0087】
BFPからBFPにおける誤差:同様に、整合の間に注意を怠った場合の容易な誤りであって、また、システムの有効開口数を低減させる結果をもたらす。点拡がり関数測定が、IPにおける遠隔空間において良好であって、IPにおいて予想外である場合、本整合をチェックされたい。
【0088】
注記:O1が、z範囲(例えば、商業用ベース約10mm)を有する場合、最良性能に関して、整合段階の間、(意図されるサンプルに関する)その公称焦点位置に設定されるべきである。
【0089】
光シート結合および傾斜角度「α」:任意の所与の光シートは、その周辺光線が対物レンズの周辺光線と一致するように、一次対物レンズ(O1)の中に結合されるべきである(すなわち、光シートの縁が対物レンズの最大収集円錐角度に触れるべきである)。光シートの所与の選択肢に関して、第3の顕微鏡システムは、次いで、光シートが均一に合焦されるように、傾斜されるべきである。ともに、結果として生じる傾斜角度αを判定するであろう、一次対物レンズの多くの選択肢および多くの光シートオプションが存在し、したがって、正確な整合標的は、システムをさらに規定せずに、設定されることができない。しかしながら、本基本整合プロトコルに従うことで、分解能および効率における不必要な損失は、回避されることができる。
【0090】
ガルバノ平坦性:上記の整合目標が、達成されているが、見なれないPSF結果が、呈されている場合、ガルバノ平坦性をチェックされたい(例えば、剪断干渉計を使用して)。開口にわたってλ/10PVまたはλ/14RMSより良好に規定されたい(ガルバノにおけるBFP1の画像)。
【実施例0091】
実施例4:高NA単一対物レンズ光シートのための構成指標
以下の非限定的ガイドラインは、1つまたはそれを上回る実施形態による、単一対物レンズ光シート顕微鏡の構成を促進し得る。
【0092】
1.一次対物レンズ(O1)を選ぶ:下記の表を使用して、意図されるサンプルタイプに基づいて、一次対物レンズを選択する。O1が選択された状態で、商業用ベースの互換性のために対応する製造業者のチューブレンズ(TL1)を使用する。ここで、推奨される二次対物レンズ(O2)および対応するチューブレンズ(TL2)を選定することによって、遠隔再焦点化モジュールを選択する。注記:本選択肢は、ベース顕微鏡から独立する、例えば、Nikonベース(O1+TL1)は、Olympus遠隔再焦点化(O2+TL2)と合致されることができる。
カバースリップを伴う油浸漬:
【表7】

カバースリップを伴うシリコーン浸漬:
【表8】

カバースリップを伴う水浸漬:
【表9】

水浸:
【表10】
【0093】
2.0、1、または2ガルバノスキャナを選ぶ:ガルバノスキャナは、一次対物レンズの完全視野にわたって超高速走査を提供するが、それらは、それらが余剰光学系等を追加するため、全てのシステムに最適ではない場合がある。以下の(1の拡大率)中継器は、良好な開始点である。
【表11】

ガルバノスキャナ考慮点:
【0094】
拡大率:ガルバノスキャナは、1の拡大率中継器でなければならない。
SL2/fSL1=1
【0095】
走査レンズ性能:走査レンズが、適応させることを所望する、瞳サイズ、視野、および色範囲を取り扱うことが可能であることを確認されたい。例えば、上記のCLS-SLスキャナは、所与の瞳サイズを伴って、(400~700)nmにわたる以下の(回折限界)視野径を送達することができる。
φ26mm視野、φ2.5mm瞳
φ22mm視野、φ3mm瞳
φ16mm視野、φ4mm瞳
φ13mm視野、φ5mm瞳
φ11mm視野、φ6mm瞳
φ9mm視野、φ7mm瞳
注記:瞳径は、一次対物レンズの背面焦点面の画像を超えなければならない。
走査瞳≧BFP(fSL1/fTL1)、式中、BFP=2fTL1(NA/M
(およびNAならびにMは、O1の開口数および拡大率である)
【0096】
ガルバノサイズ:一次対物レンズの背面焦点面の画像のクリッピングを回避するために、ガルバノ径が十分に大きいことを確認されたい。
【数22】

注記:ガルバノミラーは、典型的には、薄く、したがって、それらは、軽量かつ回転が高速である。ミラー径が増加するにつれて、平坦性を維持することがより困難になり、これは、光学性能を著しく劣化させ得る。本潜在的問題からの独自の方法を取り入れることを所望する場合は、ミラーに関してλ/10PVまたはλ/14RMSより良好に規定されたい。
【0097】
3.カメラを選ぶ:高量子効率(QE)かつ低読取雑音のsCMOSチップが、推奨され得る。例えば、PCOエッジ4.2は、大部分の構成のための良好な選択肢である。カメラを選択するとき、以下を考慮されたい。
【0098】
ピクセル数:AMS-AGYv1.0対物レンズは、より低いNAにおいて、φ150μmの回折限界視野および最大φ250μmを送達することができる。λave約0.55μmにおけるナイキストサンプリングに関して、これは、約900ピクセルの最高品質および最大約1,500ピクセルに匹敵し、結像は、依然として、非常に良好である。
【数23】

(AMS-AGY対物レンズに関してNA=1.0)
【0099】
ピクセルサイズ:AMS-AGYv1.0対物レンズは、5mm有効焦点距離を有する。最後のチューブレンズTL3は、ナイキストのための拡大率を調整するための自由パラメータとして使用されることができる。
【数24】

したがって、6.5μmピクセルを伴うPCOエッジ4.2に関して、λave約0.55μmにおいてfTL3約200mmとなる(方程式から194mm)。
【実施例0100】
実施例5:高分解能での比較的に大(水性)サンプル上における拡張顕微鏡検査
以下は、弱蛍光性であるサンプルに関する高分解能画像を表すように標準的顕微鏡に結合され得る、上記に議論される側面および実施形態に従って実装される、モジュールの実施例を提供する。本システムは、最小限の光学系を放出経路上に伴う、光シートを使用する。NikonベースおよびOlympus対物レンズが、使用される。
【0101】
本実施例における大サンプルに関して、ガルバノ中継器は、使用されないであろう。代わりに、サンプルは、より低率であるが、一次対物レンズの比較的に大作動距離(この場合、約600μm)を除き、サイズに関する限界を伴わずに走査されるであろう。ARコーティングされた窓が、最大透過率のために、第2の対物レンズにおいて使用されるであろう。サンプル走査が問題である場合、ガルバノスキャナが、後に追加されることができる。
【0102】
下記の表7は、これらの基準に留意した上で、例示的設定のための光学列および結像部品を提供する。
表7
【表12-1】

【表12-2】
【実施例0103】
大視野および長作動距離を伴うゼブラフィッシュ水浸システム。
以下は、視野および速度を最適化するように標準的顕微鏡に結合され得る、上記に議論される側面および実施形態に従って実装される、モジュールの実施例を提供する。したがって、2つのガルバノシステムが、光学性能を犠牲にして、sCMOSカメラ上のデータ率を最大限にするように選定されるであろう。
【0104】
システムに関して、以下に留意されたい。
・BFP=2180(1/20)=18mm
・走査瞳=18(70/180)=7mm
・dG1=√2走査瞳=9.9mm
・7mm走査瞳は、CLS-SL走査中継器のために大きく、したがって、回折限界視野は、IP1において約9mm(またはサンプル中約450μm)であろうが、依然として、より低い開口数において最大22mm(一次対物レンズの視野数である)を結像するであろう。10mmガルバノは、瞳のために十分に大きいが、これは、非常に大きなミラーであって、したがって、平坦性が、チェックされるべきである。ここでは、標準的25mmカバースリップが、コストを節約するために、O2を補正するために使用される。
全ての基準に留意した上で、光学列システム設定が、下記の表8に見出される。
表8
【表13-1】

【表13-2】
【実施例0105】
実施例7:チューブレンズアセンブリ
単一対物レンズ光シートを設計する課題のうちの1つは、良好な遠隔再焦点を作製することである。空気ベースの遠隔再焦点化に関して、重要な要件は、遠隔画像の拡大率を一次対物レンズの屈折率に整合させることである。一次対物レンズが変化するにつれて、多くの場合、拡大率および屈折率もまた、変化し、これは、光学系の正しいセットを見つけにくくし得る。下記の表9は、種々のチューブレンズアセンブリの実施例を提供する。
表9
【表14】

【0106】
少なくとも一実施形態のいくつかの側面が上記に説明されたが、種々の改変、修正、および改良が、当業者に容易に想起されるであろうことを理解されたい。そのような改変、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図され、かつ本発明の範囲内であることが意図される。本明細書で議論される方法および装置の実施形態は、本願では、前述の説明に記載される、または付随の図面に図示される、構成要素の構造および配列の詳細に限定されないことを理解されたい。本方法および装置は、他の実施形態にも実装可能であって、種々の方法において実践または実施されることが可能である。具体的実装の実施例は、例証目的のためだけに本明細書に提供され、限定することを意図するものではない。
【0107】
また、本明細書で使用される語法および専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定と見なされるべきではない。本明細書では、「including(~を含む)」、「comprising(~を備える)」、「having(~を有する)」、「containing(~を含有する)」、「involving(~を伴う)」、およびその変形例の使用は、その後に列挙されたアイテムおよびその均等物ならびに付加的アイテムを包含するように意味される。「or(または)」の言及は、「or(または)」を使用して説明される任意の用語が、説明される用語の単一のもの、1つを上回るもの、全てのもののいずれかを示し得るように、包含的であるものとして解釈され得る。正面および背面、左および右、上部および底部、上側および下側、ならびに垂直および水平の任意の言及は、説明の便宜上のためのものであって、本システムおよび方法またはその構成要素を任意の1つの位置または空間配向に限定することを意図するものではない。用語「光」、「光信号」、および「光学信号」は、本明細書では、同義的に使用され得、概して、空の空間、例えば、真空であり得る、または大気、例えば、空気から成り得る、もしくはファイバまたは他の光学系構成要素等の他の媒体である、所与の媒体を通して伝搬する、電磁信号を指す。用語「光」、「光信号」、および「光学信号」は、周波数または波長、帯域、コヒーレンシ、スペクトル密度、品質要因等の光の任意の特定の特性を含意するように意味されず、赤外線、可視、および/または紫外線電磁放射線、または光学系の分野で従来処理される他の非イオン化電磁放射線を含んでもよい。
【0108】
故に、前述の説明および図面は、実施例にすぎない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
【外国語明細書】