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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120021
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240827BHJP
   B60K 35/231 20240101ALI20240827BHJP
   B60K 35/40 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/231
B60K35/40
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024098667
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2021551261の分割
【原出願日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2019179484
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019197510
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019197511
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019211328
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 隆延
(72)【発明者】
【氏名】本橋 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 典子
(72)【発明者】
【氏名】村上 一臣
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光出射機能を低下させることなく外光による熱害の発生を防止することが可能な光出射装置を提供する。
【解決手段】光出射装置(20)は、光源(24)と、光源(24)から出射された光を透過又は反射させることにより光を拡大して外部へ照射させる光学部材(27)と、光を透過可能である一方で、外部からの外光が光源(24)へ入射することを防止可能な光アイソレータ(70)と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられるヘッドアップディスプレイであって、
光源と、
前記光源から出射された光を透過又は反射させることにより、前記光を拡大して外部へ照射させる光学部材と、
前記光を透過可能である一方で、前記外部からの外光が前記光源へ入射することを防止可能な光アイソレータと、を備えている、光出射装置と、
前記光出射装置が収容されており、前記光学部材により拡大された光が透過する出射窓が形成されているハウジングと、
を備えており、
前記光出射装置は、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成され、
前記光学部材は、前記光源により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を透過又は反射させ、
前記光学部材と前記出射窓との間における前記光が通過する位置に、前記光アイソレータが配置されている、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記光アイソレータは、
前記光を第一方向へ偏光する第一偏光子と、
磁界の印加に応じて発生するファラデー効果により、前記第一偏光子で偏光された前記光を前記第一方向から所定の回転角で回転させながら透過させて第二方向に沿って出射するファラデー素子と、
前記第二方向に沿った前記光を透過させる第二偏光子と、
を有し、
前記ファラデー素子は、前記第二偏光子により前記第二方向に沿って偏光された前記外光を、前記所定の回転角で回転させながら透過させた後に前記第一方向および前記第二方向とは異なる第三方向に沿って出射する、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記ファラデー素子は、基層と、前記基層上に設けられたファラデー層と、前記ファラデー層上に設けられた保護層と、を含んでいる、請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記ファラデー素子は、磁性体から構成された筐体によって少なくとも一部が覆われている、請求項2又は3に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記第一偏光子及び前記第二偏光子の少なくとも一方は、紫外線及び赤外線の少なくとも一方を遮蔽するためのフィルタを備えている、請求項2から4のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
公道上では自動運転モードで走行中の車両と手動運転モードで走行中の車両が混在することが予想される。
【0003】
将来の自動運転社会では、車両と人間との間の視覚的コミュニケーションが益々重要になっていくことが予想される。例えば、車両と当該車両の乗員との間の視覚的コミュニケーションが益々重要になっていくことが予想される。この点において、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いて車両と乗員との間の視覚的コミュニケーションを実現することができる。ヘッドアップディスプレイは、ウインドシールドやコンバイナに画像や映像を投影させ、その画像をウインドシールドやコンバイナを通して現実空間と重畳させて乗員に視認させることで、いわゆるAR(Augmented Reality)を実現することができる。
【0004】
ヘッドアップディスプレイの一例として、特許文献1には、透明な表示媒体を用いて立体的な虚像を表示するための光学系を備える表示装置が開示されている。当該表示装置は、ウインドシールドまたはコンバイナ上で、運転手の視界内に光を投射する。投射された光の一部はウインドシールドまたはコンバイナを透過するが、他の一部はウインドシールドまたはコンバイナに反射される。この反射光は運転者の目に向かう。運転者は、目に入ったその反射光を、ウインドシールドやコンバイナ越しに見える実在の物体を背景に、ウインドシールドやコンバイナを挟んで反対側(自動車の外側)にある物体の像のように見える虚像として知覚する。
【0005】
また、太陽光などの外光がヘッドアップディスプレイの内部に入り込むと、当該外光が表示器で集光されて局所的な温度上昇を引き起こし、画像表示の乱れや表示器の熱損壊につながる可能性がある。このような問題を防ぐため、表示器の放熱性を高める構成や、表示器から反射部の間に赤外線を反射するプレートを設ける構成が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2では、表示器の温度上昇を抑制するための部品が別途必要であり、高コスト化につながる。
【0006】
表示装置は、スクリーン上に結像した光の像をウインドシールドやコンバイナに向けて反射させる反射部を有する。反射部として凹面鏡を用いる場合には、高精細な凹面鏡が求められ、表示装置の高コスト化につながる。
【0007】
また、既存のヘッドアップディスプレイでは、虚像(画像)の表示範囲を広げる構成には改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本国特開2018-45103号公報
【特許文献2】日本国特開2005-313733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、光出射機能を低下させることなく外光による熱害の発生を防止することが可能な光出射装置、ヘッドアップディスプレイ、車両用灯具、及びプロジェクタを提供することを目的の一つとする。
【0010】
本開示は、虚像の画質を大きく低下させることなく低コストで反射部を実現可能なヘッドアップディスプレイを提供することを目的の一つとする。
【0011】
本開示は、低コストで反射部を実現可能なヘッドアップディスプレイを提供することを目的の一つとする。
【0012】
本開示は、低コストで画像の表示範囲を広げることが可能なヘッドアップディスプレイを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一側面に係る光出射装置は、
光源と、
前記光源から出射された光を透過又は反射させることにより、前記光を拡大して外部へ照射させる光学部材と、
前記光を透過可能である一方で、前記外部からの外光が前記光源へ入射することを防止可能な光アイソレータと、を備えている。
【0014】
上記構成によれば、光出射機能を低下させることなく外光が光源に入射することによる熱害の発生を防止することが可能な光出射装置を提供することができる。
【0015】
本開示の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられて、上記に記載の光出射装置を備えたヘッドアップディスプレイであって、
前記光出射装置は、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成され、
前記光学部材は、前記光源により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を透過又は反射させ、
前記光源と前記光学部材との間または前記光学部材と前記ウインドシールドまたは前記コンバイナとの間における前記光が通過する位置に、前記光アイソレータが配置されている。
【0016】
上記構成によれば、光出射機能を低下させることなく外光が光源に入射することによる熱害の発生を防止することが可能なヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0017】
本開示の一側面に係る車両用灯具は、
車両に設けられて、上記に記載の光出射装置を備えた車両用灯具であって、
前記光出射装置は、前記車両の周囲へ光を出射するように構成され、
前記光源と前記光学部材との間または前記光学部材と前記車両用灯具のアウターレンズとの間における前記光が通過する位置に、前記光アイソレータが配置されている。
【0018】
上記構成によれば、光出射機能を低下させることなく外光が光源に入射することによる熱害の発生を防止することが可能な車両用灯具を提供することができる。
【0019】
本開示の一側面に係るプロジェクタは、
上記に記載の光出射装置を備えたプロジェクタであって、
前記光出射装置は、前記プロジェクタの外部の対象物に所定の画像を表示するように構成され、
前記光源と前記光学部材との間または前記光学部材と前記対象物との間における前記光が通過する位置に、前記光アイソレータが配置されている。
【0020】
上記構成によれば、光出射機能を低下させることなく外光が光源に入射することによる熱害の発生を防止することが可能なプロジェクタを提供することができる。
【0021】
本開示の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
前記所定の画像のうち第一画像を生成するための第一光と、前記所定の画像のうち第二画像を生成するための第二光とを、出射する画像生成部と、
前記画像生成部により出射された前記第一光および前記第二光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記第一光および前記第二光を反射させる反射部と、を備え、
前記反射部は、前記第一光を反射させる第一反射領域と、前記第二光を反射させる第二反射領域と含む反射面を有し、
前記第一反射領域は、第一の表面粗さを有し、前記第二反射領域は、前記第一の表面粗さよりも粗い第二の表面粗さを有する。
【0022】
上記構成によれば、第二反射領域は、第一反射領域よりも表面粗さが粗い。このため、第二反射領域は、第一反射領域よりも低コストで形成することができる。一方、第一反射領域は、第二反射領域よりも表面粗さが滑らかである。このため、第一画像は、高画質の虚像として認識されることができる。したがって、虚像の画質を大きく低下させることなく低コストで反射部を実現することができる。
【0023】
本開示の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
前記所定の画像のうち第一画像を生成するための第一光と、前記所定の画像のうち第二画像を生成するための第二光とを、出射する画像生成部と、
前記画像生成部により出射された前記第一光および前記第二光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記第一光および前記第二光を反射させる反射部と、を備え、
前記反射部は、前記第一光を反射させる凹面鏡と、前記第二光を反射させる平面鏡とを備える。
【0024】
上記構成によれば、反射部を凹面鏡と平面鏡により構成していることから、低コストで反射部を実現することができる。
【0025】
本開示の一側面に係るヘッドアップディスプレイは、
車両に設けられ、所定の画像を前記車両の乗員に向けて表示するように構成されたヘッドアップディスプレイであって、
前記所定の画像を生成するための光を出射する画像生成部と、
前記画像生成部により出射された前記光がウインドシールドまたはコンバイナへ照射されるように、前記光を反射させる反射部と、を備え、
前記画像生成部の光出射面において、前記所定の画像の一部である第一画像が表示される矩形状の最大表示範囲を形成可能な領域を第一領域とし、前記第一領域以外の領域を第二領域とし、
前記第一領域から出射された光により前記第一画像が表示可能な前記最大表示範囲外に、前記第二領域から出射された光により前記第一画像とは異なる第二画像が表示される。
【0026】
上記構成によれば、第一画像が表示される矩形状の最大表示範囲外に第二画像を表示することができるため、従来よりも画像表示範囲を広げることができる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、光出射機能を低下させることなく外光による熱害の発生を防止することが可能な光出射装置、ヘッドアップディスプレイ、車両用灯具、及びプロジェクタを提供することができる。
【0028】
本開示によれば、虚像の画質を大きく低下させることなく低コストで反射部を実現可能なヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0029】
本開示によれば、低コストで反射部を実現可能なヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【0030】
本開示によれば、低コストで画像の表示範囲を広げることが可能なヘッドアップディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施形態に係る光照射装置としてのヘッドアップディスプレイ(HUD)を備えた車両用システムのブロック図である。
図2】第一実施形態に係るHUDの模式図である。
図3図2のHUDが備える光アイソレータの断面図である。
図4図3の光アイソレータの磁界を説明するための模式図である。
図5図3の光アイソレータの機能を説明する模式図である。
図6図3の光アイソレータの機能を説明する模式図である。
図7】光アイソレータを備えていないHUDに外光が入射した状態を示す図である。
図8図2のHUDに外光が入射した状態を示す図である。
図9】第一変形例に係るHUDの模式図である。
図10】第二変形例に係るHUDの模式図である。
図11】第二実施形態に係る光照射装置としても車両用灯具の縦断面図である。
図12】第三実施形態に係るHUDの模式図である。
図13A図12の凹面鏡を例示する模式図である。
図13B図13Aの凹面鏡をIIIB-IIIB線に沿って矢印方向から見た断面図である。
図13C図13Bにおける領域IIICを示す部分拡大図である。
図14】ウインドシールドにおけるHUDにより出射された光が照射される領域を例示する模式図である。
図15A】変形例に係る凹面鏡を例示する模式図である。
図15B図15Aの凹面鏡をVB-VB線に沿って矢印方向から見た断面図である。
図16A】第四実施形態に係る凹面鏡を例示する模式図である。
図16B図16Aの凹面鏡をVIB-VIB線に沿って矢印方向から見た断面図である。
図17】ウインドシールドにおけるHUDにより出射された光が照射される領域を例示する模式図である。
図18】第五実施形態に係るHUDの模式図である。
図19】画像生成部から視た反射部を例示する模式図である。
図20】ウインドシールドにおけるHUDにより出射された光が照射される領域を例示する模式図である。
図21】第六実施形態に係るHUDの模式図である。
図22】第七実施形態に係るHUDの模式図である。
図23】画像生成部から視た反射部を例示する模式図である。
図24】ウインドシールドにおけるHUDにより出射された光が照射される領域を例示する模式図である。
図25】第八実施形態に係るHUDの模式図である。
図26】第九実施形態に係るHUDの構成を示す模式図である。
図27A】比較例に係るHUDの画像生成部により生成される出射面画像の一例を示す図である。
図27B図27Aに示す出射面画像を虚像として表示したときの図である。
図28】第九実施形態に係るHUDの画像生成部により生成される出射面画像の一例を示す図である。
図29図28に示す出射面画像を虚像として表示したときの図である。
図30】変形例に係るHUDを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0033】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、図2に示すHUD(Head-Up Display)20について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」および「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」および「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」および「後方向」を含む方向である。左右方向は、図2では示されていないが、上下方向および前後方向に直交する方向である。
【0034】
最初に、図1を参照して、本実施形態に係るHUD20を備えた車両システム2について以下に説明する。図1は、車両システム2のブロック図である。当該車両システム2が搭載された車両1は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)である。
【0035】
図1に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。また、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。さらに、車両システム2は、HUD20を備える。
【0036】
車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサおよびメモリを備えるコンピュータシステム(例えば、SoC(System on a Chip)等)と、トランジスタ等のアクティブ素子および抵抗等のパッシブ素子から構成される電子回路とを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、およびTPU(Tensor Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有りまたは教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラム(学習済みモデル)である。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両1の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
【0037】
センサ5は、加速度センサ、速度センサおよびジャイロセンサのうち少なくとも一つを含む。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサおよび車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。
【0038】
カメラ6は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラ6は、一以上の外部カメラ6Aと、内部カメラ6Bとを含む。
外部カメラ6Aは、車両1の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された画像データに基づいて、周辺環境情報を取得する。ここで、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物(歩行者、他車両、標識等)に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両1に対する対象物の距離や位置に関する情報とを含んでもよい。外部カメラ6Aは、単眼カメラとして構成されてもよいし、ステレオカメラとして構成されてもよい。
【0039】
内部カメラ6Bは、車両1の内部に配置されると共に、乗員を示す画像データを取得するように構成されている。内部カメラ6Bは、例えば、乗員の視点E(図2で後述する)をトラッキングするアイトラッキングカメラとして機能する。内部カメラ6Bは、例えば、ルームミラーの近傍、あるいはインストルメントパネルの内部等に設けられている。
【0040】
レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ、およびレーザーレーダ(例えば、LiDARユニット)のうちの少なくとも一つを含む。例えば、LiDARユニットは、車両1の周辺環境を検出するように構成されている。特に、LiDARユニットは、車両1の周辺環境を示す3Dマッピングデータ(点群データ)を取得した上で、当該3Dマッピングデータを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された3Dマッピングデータに基づいて、周辺環境情報を特定する。
【0041】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイ(HUDを除く)である。
【0042】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0043】
無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車に関する情報(例えば、走行情報等)を他車から受信すると共に、車両1に関する情報(例えば、走行情報等)を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、歩行者が携帯する携帯型電子機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)から歩行者に関する情報を受信すると共に、車両1の自車走行情報を携帯型電子機器に送信するように構成されている(歩車間通信)。車両1は、他車両、インフラ設備または携帯型電子機器との間をアドホックモードにより直接通信してもよいし、アクセスポイントを介して通信してもよい。さらに、車両1は、図示しない通信ネットワークを介して他車両、インフラ設備または携帯型電子機器と通信してもよい。通信ネットワークは、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)および無線アクセスネットワーク(RAN)のうちの少なくとも一つを含む。無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LPWA、DSRC(登録商標)又はLi-Fiである。また、車両1は、他車両、インフラ設備または携帯型電子機器と第5世代移動通信システム(5G)を用いて通信してもよい。
【0044】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置11には、2次元または3次元の地図情報及び/又は車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3次元の地図情報は、3Dマッピングデータ(点群データ)によって構成されてもよい。記憶装置11は、車両制御部3からの要求に応じて、地図情報や車両制御プログラムを車両制御部3に出力するように構成されている。地図情報や車両制御プログラムは、無線通信部10と通信ネットワークを介して更新されてもよい。
【0045】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、車両1の走行を自動的に制御する。つまり、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0046】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダルおよびステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号およびブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0047】
上述の通り、運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、例えば、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御およびアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0048】
HUD20は、所定の情報(以下、HUD情報という。)が車両1の外部の現実空間(特に、車両1の前方の周辺環境)と重畳されるように、当該HUD情報を車両1の乗員に向けて画像として表示するように構成されている。HUD20によって表示されるHUD情報は、例えば、車両1の走行に関連した車両走行情報及び/又は車両1の周辺環境に関連した周辺環境情報(特に、車両1の外部に存在する対象物に関連した情報)等である。HUD20は、車両1と乗員との間の視覚的インターフェースとして機能するARディスプレイである。
【0049】
HUD20は、少なくともHUD20の一部が車両1の内部に位置する。具体的には、HUD20は、車両1の室内の所定箇所に設置されている。例えば、HUD20は、車両1のダッシュボード内に配置されてもよい。
【0050】
HUD20は、画像生成部(PGU:Picture Generation Unit)24と、制御部25とを備えている。
画像生成部24は、車両1の乗員に向けて表示される所定の画像を生成するための光を出射するように構成されている。
【0051】
制御部25は、HUD20の各部の動作を制御するように構成されている。制御部25は、車両制御部3に接続されており、車両制御部3から送信されてくる車両走行情報や周辺環境情報等に基づいて、画像生成部24などHUD20の各部の動作を制御する。なお、本実施形態では、車両制御部3と制御部25とは別個の構成として設けられているが、車両制御部3と制御部25は一体的に構成されてもよい。例えば、車両制御部3と制御部25は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。
【0052】
(第一実施形態)
図2は、第一実施形態に係るHUD20を車両1の側面側から見た模式図である。図2に示すように、HUD20は、HUD本体部21(光出射装置の一例)を備えている。HUD本体部21は、ハウジング22と、出射窓23とを有する。出射窓23は光を透過させる透明板で構成されている。HUD本体部21は、ハウジング22の内部に、画像生成部(PGU:Picture Generation Unit)24と、平面鏡26(反射部の一例)と、凹面鏡27(反射部の一例)と、光アイソレータ70と、制御基板29とを有する。
【0053】
画像生成部24は、車両1の乗員に向けて表示する所定の画像を生成するための光を出射するように構成されている。画像生成部24は、詳細な図示は省略するが、光源と、光学部品と、表示デバイスとを有する。光源は、例えば、レーザ光源またはLED光源である。レーザ光源は、例えば、赤色レーザ光と、緑光レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。光学部品は、プリズム、レンズ、拡散板、拡大鏡等を適宜有する。光学部品は、光源から出射された光を透過して表示デバイスに向けて出射する。表示デバイスは、液晶ディスプレイ、DMD(Digital Mirror Device)等である。画像生成部24の描画方式は、ラスタースキャン方式、DLP(Digital Light Processing)方式またはLCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式であってもよい。DLP方式またはLCOS方式が採用される場合、光源はLED光源であってもよい。なお、液晶ディスプレイ方式が採用される場合、光源は白色LED光源であってもよい。
【0054】
平面鏡26は、画像生成部24から出射された光を、凹面鏡27へ向かう方向に反射可能な位置に配置されている。なお、平面鏡26に代わる光学要素として、例えば、レンズを用いてもよい。レンズを用いる場合には、画像生成部24から出射された光がレンズを透過して凹面鏡27へ向かうように、画像生成部24、レンズ、および凹面鏡27の位置関係を調整することが好ましい。
【0055】
凹面鏡27は、画像生成部24から出射されて平面鏡26で反射された光の光路上に配置されている。凹面鏡27は、画像生成部24から出射された光をウインドシールド18(例えば、車両1のフロントウィンドウ)に向けて反射するように構成されている。凹面鏡27は、所定の画像を形成するために凹状に湾曲した反射面を有し、画像生成部24から出射されて結像された光の像を所定の倍率で反射させる。すなわち、凹面鏡27は、画像生成部24から出射された光を反射することにより当該光を拡大してHUD20の外部に照射する。凹面鏡27は、駆動機構(図示省略)を有している。駆動機構は、制御基板29から送信される制御信号に基づいて凹面鏡27の向きを回転させうる。
【0056】
制御部25を構成する制御基板29は、画像生成部24の動作を制御するように構成されている。制御基板29は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリが搭載され、メモリから読みだしたコンピュータプログラムをプロセッサが実行して、画像生成部24の動作を制御する。例えば、制御基板29は、車両制御部3から送信されてくる車両走行情報や周辺環境情報等に基づいて、画像生成部24の動作を制御するための制御信号を生成し、当該生成された制御信号を画像生成部24に送信する。また、制御基板29は、凹面鏡27の向きを変更するように制御してもよい。
【0057】
光アイソレータ70は、凹面鏡27と出射窓23との間に配置される光学フィルタである。光アイソレータ70は、画像生成部24から出射されて平面鏡26及び凹面鏡27により反射されてウインドシールド18へ向かう光が通る位置に設けられている。また、光アイソレータ70は、車両1の外部から内部に入射し凹面鏡27及び平面鏡26で反射されて画像生成部24に向かう外光が通る位置に設けられている。
【0058】
図3は、光アイソレータ70の断面図である。
光アイソレータ70は、画像生成部24から出射された光を透過可能である一方で、車両1の外部からの外光を遮断して当該外光が画像生成部24へ入射することを防止可能な部材である。図2及び図3に示すように、光アイソレータ70は、2枚の偏光子(第一偏光板71、第二偏光板72)と、ファラデー素子73とを備えている。画像生成部24から出射された光の光路上において、第一偏光板71と第二偏光板72との間にファラデー素子73が配置されている。
【0059】
第一偏光板71(第一偏光子の一例)及び第二偏光板72(第二偏光子の一例)は、特定方向の偏光の光のみを透過するものであり、例えば、透過光の振動方向をある一定の方向に揃える直線偏光板から構成されている。第一偏光板71及び第二偏光板72としては、例えば、偏光ガラス、偏光ビームスプリッタ(PBS)、複屈折性結晶を用いたプリズム型偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子等を用いることができる。第一偏光板71は、特定の振動方向成分のみを持つ光を透過するように配置されている。また、第二偏光板72は、第一偏光板71で透過される特定の振動方向成分とは異なる振動方向成分のみを持つ光を透過するように配置されている。第一偏光板71及び第二偏光板72は、不要な方向の偏光成分を吸収により光路から取り除く吸収型偏光板として構成されてもよく、不要な方向の偏光成分を入射方向に反射する反射型偏光板として構成されてもよい。ただし、本実施形態のように、光アイソレータ70が、HUD本体部21の出射窓23の位置に配置される場合には、光アイソレータ70による反射光がグレアとなる可能性がない吸収型偏光板を採用することが好ましい。なお、第一偏光板71及び第二偏光板72は、紫外線及び赤外線の少なくとも一方を遮蔽するためのフィルタを備えていてもよい。
【0060】
ファラデー素子73は、筐体74と、ファラデー回転子75と、磁石76とを備えている。筐体74は、円筒状に形成され、その内部にファラデー回転子75及び磁石76を収容している。筐体74は、Feなどの磁性体から構成されている。筐体74は、ファラデー回転子75および磁石76を保護するためだけでなく、磁石76の磁束を誘導するヨーク(継鉄)としても機能する。
【0061】
ファラデー回転子75は、基層75Aと、基層75A上に設けられたファラデー層75Bと、ファラデー層75B上に設けられた保護層75Cとから構成されている。基層75Aは、例えば、ガラスや結晶材のような歪みが発生しにくい透明体から構成されている。
【0062】
ファラデー層75Bは、磁界を印加すると光の偏光方向を回転させるファラデー効果を奏する材料から構成された層である。ファラデー層75Bを構成する材料は、特に限定されないが、例えば、ビスマス置換希土類鉄ガーネット((RBi)Fe12)、イットリウム鉄ガーネット(YFe12)、テルビウムガリウムガーネット(TbGa12)、ファラデー回転ガラス等が用いられる。なお、ファラデー層75Bとして、フッ化物マトリックスとnmサイズの磁性金属グラニュールからなるナノグラニュラー構造を備えた材料を採用してもよい。ナノグラニュラー構造を備えた材料としては、例えばFe26Al2846、Fe13Co10Al2255、Fe252352、Fe21Co142441、Bi-YIG等が挙げられる。
【0063】
保護層75Cは、ファラデー層75Bの劣化防止のためにファラデー層75Bを覆うように設けられる層である。保護層75Cは、例えば、SiOから構成されている。
【0064】
磁石76は、ファラデー回転子75に対して磁場を印加するために用いられる。磁石76は、ファラデー回転子75の周囲に配置される。磁石76は、例えば円筒形の単一の磁石を用いてもよい。円筒磁石の場合には、その中心穴に対応する位置にファラデー回転子75が配置される。磁石76としては、例えば、永久磁石を用いることができる。なお、磁石76として、その間にファラデー回転子を配置した一対の磁石を組み合わせて用いてもよい。一対の磁石を用いる場合には、ファラデー回転子75に印加する磁場方向が互いに同一方向である必要がある。
【0065】
図4は、光アイソレータ70のファラデー素子73に印加される磁界(磁場)を説明するための模式図である。
図4に示すように、磁石76は、例えば筐体74に接する側の一端部がS極であり、他端部(ファラデー回転子75に近い側の端部)がN極となるように配置されている。また、磁性体から構成される筐体74は、断面視において、両端部(端面74A,74B)が内側に入り込んだ形状、すなわち、U字が向かい合った形状となるように形成されている。そのため、磁石76のN極側から出る磁力線Fは、筐体74の第二偏光板72側の端面74Aへと向かい、端面74Aから筐体74内を通過して、第一偏光板71側の端面74Bから出て、N極へと戻る。これにより、磁石76と筐体74により形成される磁力線Fは第一偏光板71から第二偏光板72へと向かう方向Dに沿ってファラデー回転子75を通過する。
このように、ファラデー回転子75は、磁性体から構成された筐体74によって少なくとも一部が覆われている。筐体74は、いわゆるヨーク構造となるように構成されている。これにより、磁力線Fで示すような所望の方向の磁界内にファラデー回転子75を配置することができる。また、筐体74外に磁界が漏れることを抑制できるため、ファラデー素子73以外の部材への悪影響を防止することができる。
【0066】
次に、光アイソレータ70の作用について、図2図5図8を参照して説明する。図5及び図6は、光アイソレータ70の機能を説明する模式図である。図7は、光アイソレータを備えていないHUDに外光が入射した状態を示す図である。図8は、本実施形態のHUD20に外光が入射した状態を示す図である。
なお、図5及び図6においては、説明の容易化のため、ファラデー回転子75の大きさ(特に、光の進行方向に沿った長さ)を拡大して示している。
【0067】
まず、図2に示すように、画像生成部24から出射された光は、平面鏡26及び凹面鏡27で反射されて光アイソレータ70の第一偏光板71に入射する。すると、図5に示すように、第一偏光板71は、画像生成部24から出射された光L1aのうち特定の振動方向成分のみを持つ光を透過して、ファラデー素子73に向けて出射する。具体的には、画像生成部24から出射した偏光していない光が第一偏光板71を透過する際に、第一偏光板71が例えば電場の水平方向成分を吸収する。これにより、第一偏光板71を透過した後の光L1bは、垂直方向成分のみを持った直線偏光となる。
【0068】
次に、第一偏光板71から出射された光(垂直方向成分のみを持つ直線偏光)L1bは、ファラデー素子73(のファラデー回転子75)に入射する。ファラデー回転子75を通過する磁力線Fは、図4にて説明したように、第一偏光板71から第二偏光板72へ向かう方向Dに沿っている。すなわち、ファラデー回転子に入射する光L1bの進行方向はファラデー回転子75に印加されている磁界(磁場)方向と一致している。そのため、ファラデー層75Bのファラデー効果により、垂直方向成分のみを持つ直線偏光である光L1bは、例えば時計回りに45°回転された光L1cとしてファラデー回転子75から出射される。
【0069】
次に、ファラデー回転子75により偏光面が時計回りに45°回転された光L1cが、第二偏光板72に入射する。第二偏光板72は、その偏光方向が時計回りに45°回転された光L1cを透過可能な向きとなるように設置されている。すなわち、第二偏光板72を透過可能な光は、第一偏光板71を透過した垂直方向成分のみを持つ光に対して、時計回りに45°回転した光である。そのため、ファラデー回転子75において時計回りに45°回転された光L1cは、第二偏光板72をそのまま通過して、ウインドシールド18に照射される。
【0070】
図2に戻り、ファラデー素子73(第一偏光板71、ファラデー素子73、及び第二偏光板72)を透過してウインドシールド18に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21から出射された光をウインドシールド18の前方の所定の距離において形成される虚像(所定の画像の一例)として認識する。このように、HUD20によって表示される画像がウインドシールド18を通して車両1の前方の現実空間に重畳される結果、乗員は、虚像(画像)により形成される虚像オブジェクトIが車両外部に位置する道路上に浮いているように視認することができる。
【0071】
ここで、乗員の視点Eは、乗員の左目の視点又は右目の視点のいずれかであってもよい。または、視点Eは、左目の視点と右目の視点を結んだ線分の中点として規定されてもよい。乗員の視点Eの位置は、例えば、内部カメラ6Bによって取得された画像データに基づいて特定される。乗員の視点Eの位置は、所定の周期で更新されてもよいし、車両1の起動時に一回だけ決定されてもよい。
【0072】
虚像オブジェクトIとして2D画像(平面画像)を形成する場合には、所定の画像を任意に定めた単一距離の虚像となるように投影する。虚像オブジェクトIとして3D画像(立体画像)を形成する場合には、互いに同一または互いに異なる複数の所定の画像をそれぞれ異なる距離の虚像となるように投影する。また、虚像オブジェクトIの距離(乗員の視点Eから虚像までの距離)は、画像生成部24から乗員の視点Eまでの光学的な距離(光路長)を調整する(例えば画像生成部24と凹面鏡27間の距離を調整する)ことによって適宜調整可能である。
【0073】
一方、図6に示すように、画像生成部24から出射された光とは逆方向に進む光(以下、戻り光と称する)L2aが光アイソレータ70の第二偏光板72に入射すると、戻り光L2aのうち、特定方向成分のみを持つ光L2bが第二偏光板72を透過して出射される。上述の通り、第二偏光板72を透過可能な光L2bは、第一偏光板71を透過する垂直方向成分のみを持つ光に対して、第一偏光板71及びファラデー素子73側から見て時計回りに45°回転した光(すなわち、戻り光L2aの進行方向から見て反時計回りに45°回転した光)である。
【0074】
次に、第二偏光板72から出射されてファラデー回転子75に入射した戻り光L2bは、画像生成部24から出射された光L1bの回転方向とは逆向きに回転する。すなわち、ファラデー回転子75に入射した戻り光L2bは、その戻り光L2bの進行方向に対して反時計回りに45°回転する。そのため、ファラデー回転子75から出射された戻り光L2cは、画像生成部24から出射されて第一偏光板71を透過した垂直方向成分のみを持つ光L1bに対して、90°回転した水平方向成分のみを持つ光となる。
【0075】
次に、ファラデー回転子75から出射された水平方向成分のみを持つ戻り光L2cは、第一偏光板71に入射する。しかし、戻り光L2cは、第一偏光板71において吸収され、第一偏光板71を透過することはない。これは、上述の通り、第一偏光板71に入射する戻り光L2cが、第一偏光板71を透過可能な光の偏光方向とは異なる方向、すなわち、画像生成部24から出射されて第一偏光板71を透過した垂直方向成分のみを持つ光L1bに対して90°回転した水平方向成分のみを持つ直線偏光となっているためである。
【0076】
ところで、図7に示すように、図2のような光アイソレータ70が設置されていないHUD20Aの場合には、車両外部から入射した太陽光等の外光が出射窓23からハウジング22内部に入射すると、外光が凹面鏡27や平面鏡26により反射されて集光された状態で画像生成部24に照射される場合がある。このような集光された外光が画像生成部24(の光出射面)に照射されると、外光に含まれる遠赤外線により光出射面における過度の温度上昇による熱害が発生し、画像生成部24が劣化してしまう可能性がある。
【0077】
これに対して、本実施形態に係るHUD20は、画像生成部24(光源の一例)と、画像生成部24から出射された光を透過又は反射させることにより当該光を拡大して外部へ照射させる凹面鏡27(光学部材の一例)と、画像生成部24から出射された光を透過可能である一方で、車両外部からの外光が画像生成部24へ入射することを防止可能な光アイソレータ70とを備えている。また、HUD20において、凹面鏡27とウインドシールド18との間における画像生成部24から出射された光が通過する位置に、光アイソレータ70が配置されている。これにより、図8に示すように、光アイソレータ70により外光が画像生成部24に入射することを防ぐことができる。そのため、熱害の発生を防止することができる。また、図5に示したように光アイソレータ70は画像生成部24から出射された光を透過することができるため、画像生成機能(光出射機能)を低下させることはない。
【0078】
本実施形態における光アイソレータ70は、画像生成部24から出射された光L1aを例えば垂直方向(第一方向の一例)へ偏光する第一偏光板71と、磁界の印加に応じて発生するファラデー効果により、第一偏光板71で偏光された光L1bを垂直方向から光L1bの進行方向から見て時計回りに45°の方向(第二方向の一例)で回転させた光L1cとして出射するファラデー素子73と、ファラデー素子73により回転された光L1cを透過させる第二偏光板72と、を有している。ファラデー素子73は、画像生成部24から出射された光L1aの進行方向とは逆向きの戻り光(例えば、外光)であって、第二偏光板72により偏光された状態の戻り光L2bを、その進行方向から見て反時計回りに45°回転させながら透過させた後に、水平方向(第三方向の一例)に沿って出射するように構成されている。水平方向成分のみを持つ戻り光L2cは、第一偏光板71で遮蔽されて画像生成部24へ到達することがない。このように、簡便な構成で画像生成部24に入射する外光をカットして、熱害を防止することができる。
【0079】
また、ファラデー素子73(ファラデー回転子75)は、基層75Aと、基層75A上に設けられたファラデー層75Bと、ファラデー層75B上に設けられた保護層75Cと、を含んでいる。これにより、ファラデー回転子75の劣化を抑制することができる。
【0080】
なお、上述の通り、第一偏光板71及び第二偏光板72の少なくとも一方は、紫外線及び赤外線の少なくとも一方を遮蔽するためのフィルタを備えていてもよい。これにより、ファラデー素子73に必要な帯域を広げる、すなわち、ファラデー素子73の波長依存性を緩和することができる。
【0081】
(第一変形例)
図9は、第一実施形態の第一変形例に係るHUD20Bの構成を示す模式図である。
図9に示すHUD20Bにおいては、光アイソレータ170を画像生成部24と平面鏡26との間に配置している点で、光アイソレータ70を凹面鏡27とウインドシールド18との間に配置している第一実施形態のHUD20と異なる。このように、光アイソレータ170を画像生成部24と平面鏡26との間に配置することでも、画像生成部24から出射された光の出射機能を損なうことなく、画像生成部24に入射する外光を遮断することができる。なお、本変形例の場合には、光アイソレータ170の第一偏光板171及び第二偏光板172を吸収型偏光子ではなく反射型偏光子として構成することが好ましい。反射型偏光子を採用することで、HUD本体部21内の熱上昇を抑制することができる。なお、第一実施形態の光アイソレータ70に比べて、光アイソレータ170は、画像生成部24に近い位置(すなわち、HUD本体部21の中心に近い位置)に配置されている。そのため、第一偏光板171及び第二偏光板172に反射型偏光子を採用した場合であってもグレアが生じる可能性は低い。
【0082】
(第二変形例)
図10は、第一実施形態の第二変形例に係るHUD20Cの構成を示す模式図である。
図10に示すように、変形例に係るHUD20Cは、HUD本体部21と、コンバイナ19とによって構成されている。コンバイナ19は、ウインドシールド18とは別体の構造物として、ウインドシールド18の内側に設けられている。コンバイナ19は、例えば、透明なプラスチックディスクであって、ウインドシールド18の代わりに、平面鏡26及び凹面鏡27によって反射されて光アイソレータ70を透過した光が照射される。これにより、ウインドシールド18に光を照射した場合と同様に、HUD本体部21からコンバイナ19に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21からの出射光(所定の画像)をコンバイナ19(およびウインドシールド18)の前方の所定の距離において形成された虚像オブジェクトIとして認識することができる。このようにコンバイナ19を備えたHUD20Cの場合も、第一実施形態のHUD20と同様の効果を奏することができる。
【0083】
(第二実施形態)
図11は、第二実施形態に係る車両用灯具300を説明する模式図である。
図11に示すように、車両用灯具300(光出射装置の一例)は、ランプハウジング301と、ランプハウジング301の開口部を覆うように取り付けられる透過カバー302(アウターレンズの一例)とを備えている。ランプハウジング301と透過カバー302とで構成される灯室303内には、エクステンション304と共に光源ユニット310が設けられている。また、光源ユニット310に搭載された光源(LED312)の点灯状態を制御する点灯制御ユニットとして、電子ユニット305がランプハウジング301の外底面に取り付けられている。
【0084】
光源ユニット310は、いわゆるプロジェクタ型のランプユニットであって、ユニットベース311と、ユニットベース311上に光源として設けられたLED312とを備えている。光源ユニット310は、LED312を覆うように設けられたリフレクタ313と、LED312の前方に配置された光アイソレータ314と、光アイソレータ314の前方に配置された投影レンズ315とをさらに備えている。
【0085】
図示は省略するが、光アイソレータ314は、第一実施形態の光アイソレータ70と同様の構成を備えている。すなわち、光アイソレータ314は、第一偏光板と、第二偏光板と、ファラデー素子とを備えている。LED312から出射された光の光路上において、第一偏光板と第二偏光板との間にファラデー素子が配置されている。
【0086】
このように構成された車両用灯具300によれば、LED312と投影レンズ315との間におけるLED312から出射された光が通過する位置に、光アイソレータ314が配置されている。これにより、LED312に外光が入射することがないため、熱害の発生を防止することができる。また、LED312から出射された光は光アイソレータ314を透過して投影レンズ315及び透過カバー302を介して車両用灯具300前方へ出射可能である。そのため、LED312の光出射機能を損なうことはない。
【0087】
(第三実施形態)
図12は、第三実施形態に係るHUD120を車両1の側面側から見た模式図である。尚、第三実施形態の説明では、第一実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。図12に例示されるように、HUD120は、HUD本体部21を備えている。HUD本体部21は、ハウジング22と、出射窓23とを有する。HUD本体部21は、ハウジング22の内側に、画像生成部24と、制御部25と、凹面鏡30(反射部の一例)とを有する。
【0088】
画像生成部24は、HUD情報を表示するための所定の画像を生成するための光を出射するように構成されている。所定の画像は、第一のHUD情報を表示するための第一画像と、第二のHUD情報を表示するための第二画像とを含んでいる。すなわち、画像生成部24は、第一画像を生成するための第一光と、第二画像を生成するための第二光とを出射するように構成されている。
【0089】
凹面鏡30は、画像生成部24の表示デバイスから出射される光の光路上に配置されている。凹面鏡30は、画像生成部24から出射された光をウインドシールド18(例えば、車両1のフロントウィンドウ)に向けて反射する。凹面鏡30は、虚像を形成するために凹状に湾曲した反射面31を有し、画像生成部24から出射されて結像された光の像を所定の倍率で反射させる。
【0090】
反射面31は、第一反射領域31Aと、第二反射領域31Bを備えている。第一反射領域31Aは、画像生成部24から出射された第一画像を生成するための第一光を反射する。第二反射領域31Bは、画像生成部24から出射された第二画像を生成するための第二光を反射する。画像生成部24は、第一反射領域31Aに照射される第一光が出射される第一画像領域と、第二反射領域31Bに照射される第二光が出射される第二画像領域とを含む。なお、制御部25は、第一反射領域31Aに第一光が照射され、第二反射領域31Bに第二光が照射されるように、画像生成部24における第一画像領域と第二画像領域の画像生成動作を制御する。
【0091】
凹面鏡30により反射されてHUD本体部21の出射窓23から出射された光は、ウインドシールド18に照射される。HUD本体部21からウインドシールド18に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21から出射された光をウインドシールド18の前方の所定の距離において形成された虚像(所定の画像の一例)として認識する。このように、HUD20によって表示される所定の画像がウインドシールド18を通して車両1の前方の現実空間に重畳される結果、乗員は、所定の画像により形成される虚像オブジェクトIが車両外部に位置する道路上に浮いているように視認することができる。
【0092】
凹面鏡30の反射面31の第二反射領域31Bは、第一反射領域31Aの第一の表面粗さよりも粗い第二の表面粗さを有している。これにより、虚像オブジェクトIにおいて、第一反射領域31Aにて反射される光により形成される第一画像の虚像は、第二反射領域31Bにて反射される光により形成される第二画像の虚像よりも高い画質を有する虚像として認識される。
【0093】
次に、第三実施形態に係る凹面鏡30の具体的な構成について図13A図13Cを用いて説明する。図13Aは、第三実施形態に係る凹面鏡30を画像生成部24から視た模式図である。図13Aにおいて、破線は、第一反射領域31Aおよび第二反射領域31Bの境界を示している。図13Bは、図13Aの凹面鏡30をIIIB-IIIB線に沿って矢印方向から見た断面図である。図13Cは、図13Bにおける領域IIICを示す部分拡大図である。図13Cにおいて、二点鎖線は、第一反射領域31Aおよび第二反射領域31Bに対応するベース部材40の後面40aの領域41a、42aおよび反射膜50の後面50aの領域51a、52aの境界を示している。
【0094】
図13Aに例示されるように、凹面鏡30は、第一反射領域31Aおよび第二反射領域31Bが車両の垂直方向に並んで配置されるように形成されている。
【0095】
凹面鏡30は、例えば、図13Bに例示されるように、ベース部材40と、ベース部材40上に形成された反射膜50とを有している。
【0096】
ベース部材40は、例えば、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂やガラス等から形成される。ベース部材40は、その後面(反射膜50が形成される面)40aが第一反射領域31Aおよび第二反射領域31Bに対応する領域間で異なる表面粗さを有するように形成されている。具体的には、図13Cに例示されるように、ベース部材40の後面40aは、第一反射領域31Aに対応する領域41aと第二反射領域31Bに対応する領域42aとを有している。そして、後面40aは、領域41aの表面粗さが領域42aの表面粗さよりも滑らかになるように形成されている。例えば、ベース部材40は、後面40aの領域41aを形成する面の粗さが領域42aを形成する面の粗さよりも滑らかになるように形成された金型を使用して熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成されてもよい。
【0097】
反射膜50は、例えば、アルミニウム等の金属から形成される。反射膜50は、その後面50aが第一反射領域31Aおよび第二反射領域31Bに対応する領域間で異なる表面粗さを有するように形成されている。具体的には、図13Cに例示されるように、反射膜50の後面50aは、第一反射領域31Aを形成する領域51aと第二反射領域31Bを形成する領域52aとを有している。そして、後面50aは、領域51aの表面粗さが領域52aの表面粗さよりも滑らかになるように形成されている。ここで、反射膜50の後面50aは、画像生成部24から出射された光を反射する反射面31を形成している。したがって、領域52aの表面粗さ、すなわち第二反射領域31Bの表面粗さは、領域51aの表面粗さ、すなわち第一反射領域31Aの表面粗さよりも粗くなっている。例えば、反射膜50は、アルミニウム等の金属をベース部材40に蒸着させることにより形成されてもよい。蒸着膜により形成される反射膜50はその厚さが薄く、ベース部材40の後面40aの表面粗さの影響を受けるため、領域51aと領域52aの間で異なる表面粗さを有する後面50aを形成することができる。
【0098】
図14は、ウインドシールド18におけるHUD120から出射された光が照射される領域60を例示する模式図である。図14において、一点鎖線Cは、ウインドシールド18の垂直方向中心を通る水平方向に延びた中心線を示している。
【0099】
図14に例示されるように、HUD120から出射された光がウインドシールド18において中心線Cよりも下方に位置する領域60に照射される場合、凹面鏡30は、例えば、図13Aに例示されるように、第一反射領域31Aが第二反射領域31Bよりも下側に位置するように形成される。これにより、図14に例示されるように、第一反射領域31Aに反射された第一光は、ウインドシールド18の領域60Aに照射される。また、第二反射領域31Bに反射された第二光は、ウインドシールド18の領域60Aよりも下方に位置する領域60Bに照射される。
【0100】
以上説明したように、第三実施形態に係るHUD120は、所定の画像のうち第一画像を生成するための第一光と、所定の画像のうち第二画像を生成するための第二光とを、出射する画像生成部24を備える。また、HUD120は、画像生成部24により出射された第一光および第二光がウインドシールド18へ照射されるように、第一光および第二光を反射させる反射鏡として凹面鏡30を備える。凹面鏡30は、第一光を反射させる第一反射領域31Aと、第二光を反射させる第二反射領域31Bとを含む反射面31を有する。第一反射領域31Aは、第一の表面粗さを有し、第二反射領域31Bは、第一の表面粗さよりも粗い第二の表面粗さを有する。このような構成によれば、第二反射領域31Bは、第一反射領域31Aよりも表面粗さが粗いため、第一反射領域31Aよりも低コストで形成することができる。一方、第一反射領域31Aは、第二反射領域31Bよりも表面粗さが滑らかであるため、第一画像は、高画質の虚像として認識される。したがって、虚像の画質を大きく低下させることなく低コストで凹面鏡を実現することができる。
【0101】
また、凹面鏡30は、ベース部材40と、ベース部材40上に形成された反射膜50とを有する。反射膜50の後面50aは、反射面31を形成している。第二反射領域31Bに対応するベース部材40(後面40aの領域42a)の表面粗さは、第一反射領域31Aに対応するベース部材40(後面40aの領域41a)の表面粗さよりも粗い。反射膜50(後面50a)は、ベース部材40の表面粗さの影響を受けて、反射領域に応じて表面粗さが変化している。この構成によれば、反射領域に応じてベース部材40の表面粗さを変化させることにより、反射領域に応じて異なる表面粗さを有する反射膜50を容易に形成することができる。
【0102】
また、図14に例示されるように、第一反射領域31Aに反射された第一光は、第二反射領域31Bに反射された第二光が照射されるウインドシールド18の領域60Bよりも上方の領域60Aに照射される。すなわち、第一反射領域31Aおよび第二反射領域31Bは、ウインドシールド18上において第一画像を生成するための第一光が第二画像を生成するための第二光よりもウインドシールド18の垂直方向中心に近い位置に照射されるように、車両の垂直方向に並んで配置されている。この構成によれば、運転者は、第一画像の虚像を、第二画像の虚像よりもウインドシールド18の垂直方向中心に近い位置に認識することができる。運転者は、車両の走行中は、ウインドシールド18の垂直方向において中心に近い領域に視線を向けている可能性が高い。したがって、運転者は、車両の走行中に、視線をあまり動かすことなく高画質の第一画像の虚像を認識することができる。これにより、運転者は、第一画像により示される情報を正確に把握することができる。また、運転者は、視線を第一画像の虚像から上下方向に動かすだけで第二画像の虚像を認識することができる。
【0103】
例えば、第一画像は車両の走行に関して重要な情報を示し、第二画像は付随する情報を示してもよい。車両の走行に関して重要な情報とは、例えば、車両走行情報や車両の外部に存在する対象物情報である。付随する情報とは、例えば、注意喚起等の情報である。この場合、運転者は、重要な情報は高画質の虚像により正確に把握できる。また、運転者は、必要に応じて視線を上下方向に動かすだけで付随する情報を確認することができる。付随する情報は、例えば、画質の影響を受けにくいサイズの大きなマークや記号の画像を用いて表現することにより、運転者は、重要な情報および付随する情報の両方を違和感なく確認することができる。したがって、凹面鏡全体を表面粗さが滑らかである構成とする場合と比較して、情報伝達機能がほぼ変わらない低コストな凹面鏡を提供することができる。
【0104】
(変形例)
なお、上記第三実施形態では、反射領域に応じてベース部材40の表面粗さを変化させることにより、その反射面31が反射領域に応じて異なる表面粗さを有する凹面鏡30を形成していたが、これに限定されない。図15Aは、第三実施形態の変形例の凹面鏡130を例示する模式図である。図15Bは、凹面鏡130をVB-VB線に沿って矢印方向から見た断面図である。
【0105】
変形例の凹面鏡130は、画像生成部24に対向する反射面131を有している。反射面131は、図15Aに例示されるように、第一の表面粗さを有する第一反射領域131Aと、第一の表面粗さよりも粗い第二の表面粗さを有する第二反射領域131Bとを含むように形成されている。
【0106】
また、凹面鏡130は、図15Bに例示されるように、ベース部材140と、ベース部材140上に形成された反射膜150とを備えている。ベース部材140は、第一ベース部材141と第二ベース部材142を有している。反射膜150は、第一ベース部材141上に形成された第一反射膜151と、第二ベース部材142上に形成された第二反射膜152とを有している。第一反射膜151および第二反射膜152は、例えば、アルミニウム等の金属から形成される。例えば、第一反射膜151は、アルミニウム等の金属を第一ベース部材141に蒸着させることにより形成される。第二反射膜152は、アルミニウム等の金属を第二ベース部材142に蒸着させることにより形成される。ここで、反射膜150の後面は、画像生成部24から出射された光を反射する反射面131を形成している。したがって、第一反射膜151の後面151aは、第一反射領域131Aを形成している。第二反射膜152の後面152aは、第二反射領域131Bを形成している。
【0107】
第一ベース部材141および第二ベース部材142は、第二反射領域131Bが第一反射領域131Aの第一の表面粗さよりも粗い第二の表面粗さを有するように、異なる材料から形成されている。例えば、第一ベース部材141は、ガラスから形成され、第二ベース部材142は、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂から形成される。ガラスは、熱可塑性樹脂よりもその表面を高精細に加工することができる。したがって、熱可塑性樹脂から形成された第二ベース部材142の後面142aの表面粗さは、高精細なガラスで形成された第一ベース部材141の後面141aの表面粗さよりも粗く形成される。反射膜150は、ベース部材140の後面141a、142aの表面の影響を受けて、その後面151a、152aの表面粗さが変化する。したがって、後面152aの表面粗さ、すなわち第二反射領域131Bの表面粗さは、後面151aの表面粗さ、すなわち第一反射領域131Aの表面粗さよりも粗くなっている。
【0108】
このように、変形例の凹面鏡130は、異なる材料から形成された第一ベース部材141と第二ベース部材142を有している。反射膜150は、ベース部材140の表面の影響を受けて、反射領域に応じて表面粗さが変化している。この構成によれば、反射領域に応じてベース部材140の材料を変更することにより、反射領域に応じて異なる表面粗さを有する反射膜150を容易に形成することができる。
【0109】
尚、凹面鏡130はさらに、第三実施形態の凹面鏡30のように、第一ベース部材141および第二ベース部材142がそれぞれ所望の表面粗さを有するように、表面粗さが調整されてもよい。
【0110】
(第四実施形態)
次に、第四実施形態に係る凹面鏡230の具体的な構成について図16Aおよび図16Bを用いて説明する。図16Aは、第四実施形態に係る凹面鏡230を画像生成部24から視た模式図である。図16Bは、図16Aの凹面鏡230をVIB-VIB線に沿って矢印方向から見た断面図である。図16Aにおいて、破線は、第一反射領域231A、第二反射領域231Bおよび第三反射領域231Cの境界を示している。
【0111】
第四実施形態の画像生成部24は、HUD情報を表示するための第一画像、第二画像および第三画像を含む所定の画像を生成するための光を出射するように構成されている。すなわち、画像生成部24は、第一画像を生成するための第一光と、第二画像を生成するための第二光と、第三画像を生成するための第三光とを出射するように構成されている。
【0112】
凹面鏡230は、画像生成部24に対向する反射面231を有している。反射面231は、図16Aに例示されるように、車両の水平方向に並んで配置された第一反射領域231Aと、第二反射領域231Bと、第三反射領域231Cとを含むように形成されている。第一反射領域231Aは、画像生成部24から出射された第一光を反射するように構成されている。第二反射領域231Bは、画像生成部24から出射された第二光を反射するように構成されている。第三反射領域231Cは、画像生成部24から出射された第三光を反射するように構成されている。なお、制御部25は、第一反射領域231A、第二反射領域231Bおよび第三反射領域231Cに第一光、第二光および第三光が照射されるように、画像生成部24の動作を制御している。
【0113】
第一反射領域231A、第二反射領域231Bおよび第三反射領域231Cは、異なる表面粗さを有するように形成されている。具体的には、第二反射領域231Bは、第一反射領域231Aの第一の表面粗さよりも粗い第二の表面粗さを有している。また、第三反射領域231Cは、第一反射領域231Aの第一の表面粗さよりも粗い第三の表面粗さを有している。すなわち、第一反射領域231Aにて反射される光により形成される第一画像の虚像は、第二反射領域231Bにて反射される光により形成される第二画像の虚像よりも高い画質を有する虚像として認識される。また、第一反射領域231Aにて反射される光により形成される第一画像の虚像は、第三反射領域231Cにて反射される光により形成される第三画像の虚像よりも高い画質を有する虚像として認識される。
【0114】
凹面鏡230は、図16Bに例示されるように、ベース部材240と、ベース部材240上に形成された反射膜250とを有している。ベース部材240は、例えば、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂やガラス等から形成される。反射膜250は、例えば、アルミニウム等の金属から形成される。第三実施形態およびその変形例と同様に、ベース部材240の表面粗さ、および/または、材質を異ならせることにより、第一反射領域231A、第二反射領域231Bおよび第三反射領域231Cの表面粗さを異ならせている。
【0115】
図17は、ウインドシールド18におけるHUD120から出射された光が照射される領域160を例示する模式図である。図17に例示されるように、HUD120から出射された光がウインドシールド18において領域160に照射される場合、凹面鏡230は、図16Aに例示されるように、車両の水平方向に沿って、第二反射領域231Bが第一反射領域231Aの左側に、第三反射領域231Cが第一反射領域231Aの右側に位置するように、形成される。これにより、第一反射領域231Aに反射された第一画像を生成するための第一光は、領域160Aに照射される。第二反射領域231Bに反射された第二画像を生成するための第二光は、ウインドシールド18の水平方向において領域160Aの左側に位置する領域160Bに照射される。第三反射領域231Cに反射された第三画像を生成するための第三光は、ウインドシールド18の水平方向において領域160Aの右側に位置する領域160Cに照射される。
【0116】
このように、第四実施形態に係る凹面鏡230の反射面231は、所定の画像のうち第三画像を生成するための第三光を反射させる第三反射領域231Cをさらに備える。第三反射領域231Cは、第一反射領域231Aの第一の表面粗さよりも粗い第三の表面粗さを有している。第一反射領域231A、第二反射領域231Bおよび第三反射領域231Cは、第二反射領域231Bおよび第三反射領域231Cの間に第一反射領域131Aを挟んだ状態で、車両の水平方向に並んで配置されている。この構成によれば、運転者は、車両の走行中に、視線を左右に動かすだけで各画像の虚像を認識することができる。例えば、第一画像は車両の走行に関して重要な情報を示し、第二画像および第三画像は付随する情報を示してもよい。この場合、運転者は、重要な情報は高画質の虚像により正確に把握できる。また、車両の走行に関して重要な情報を把握した運転者は、必要に応じて視線を左右方向に動かすだけで付随する情報を確認することができる。したがって、凹面鏡全体を表面粗さが滑らかである構成とする場合と比較して、情報伝達機能がほぼ変わらない低コストの凹面鏡を提供することができる。
【0117】
尚、凹面鏡230は、水平方向に並んで配置された二つの第一反射領域231Aおよび第二反射領域231Bのみから形成されてもよい。例えば、第一反射領域231Aおよび第二反射領域231Bは、ウインドシールド18の水平方向において運転者が見る頻度が高い位置に第一画像の虚像が認識されるように、配置される。このような構成により、運転者は、車両の走行中に、視線をあまり動かすことなく高画質の第一画像の虚像を認識することができる。これにより、運転者は、第一画像により示される情報を正確に把握することができる。また、運転者は、視線を第一画像の虚像から左右方向に動かすだけで第二画像の虚像を認識することができる。
【0118】
(第五実施形態)
図18は、HUD220を車両1の側面側から見た模式図である。尚、第五実施形態の説明では、第一実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。図18に例示されるように、HUD220は、HUD本体部21を備えている。HUD本体部21は、ハウジング22と、出射窓23とを有する。HUD本体部21は、ハウジング22の内側に、画像生成部24と、制御部25と、反射部126とを有する。
【0119】
画像生成部24は、車両1の乗員に向けて表示される所定の画像を生成するための光を出射するように構成されている。所定の画像は、第一のHUD情報を表示するための第一画像と、第二のHUD情報を表示するための第二画像とを含んでいる。画像生成部24は、第一画像を生成するための第一光と、第二画像を生成するための第二光とを出射するように構成されている。
【0120】
反射部126は、画像生成部24の表示デバイスから出射される光の光路上に配置されている。反射部126は、画像生成部24から出射された光をウインドシールド18(例えば、車両1のフロントウィンドウ)に向けて反射する。
【0121】
反射部126により反射されてHUD本体部21の出射窓23から出射された光は、ウインドシールド18に照射される。HUD本体部21からウインドシールド18に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21から出射された光をウインドシールド18の前方の所定の距離において形成された虚像(所定の画像の一例)として認識する。このように、HUD20によって表示される画像がウインドシールド18を通して車両1の前方の現実空間に重畳される結果、乗員は、虚像(画像)により形成される虚像オブジェクトIa,Ibが車両外部に位置する道路上に浮いているように視認することができる。
【0122】
反射部126は、凹面鏡126Aと平面鏡126Bを有している。凹面鏡126Aは、虚像を形成するために凹状に湾曲した反射面を有し、画像生成部24から出射されて結像された光の像を所定の倍率で反射させる。平面鏡126Bは、虚像を形成するために平面状の反射面を有し、画像生成部24から出射されて結像された光の像を同一の倍率で反射させる。凹面鏡126Aおよび平面鏡126Bは、図19に例示されるように、凹面鏡126Aが平面鏡126Bよりも下側に位置するように、車両1の垂直方向に並んで配置されている。画像生成部24は、凹面鏡126Aに照射される第一光が出射される第一画像領域と、平面鏡126Bに照射される第二光が出射される第二画像領域とを含む。制御部25は、凹面鏡126Aに第一光が照射され、平面鏡126Bに第二光が照射されるように、画像生成部24における第一画像領域と第二画像領域の画像生成動作を制御する。
【0123】
例えば、画像生成部24の光出射面24A上の点Pa1から出射された光(第一光の一例)は、光路La1を進み、凹面鏡126A上の点Pa2で反射された後に光路La2を進んで、HUD本体部21の出射窓23からHUD220の外部に出射する。光路La2を進んだ光は、ウインドシールド18の点Pa3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクトIa(第一画像の一例)の一部を形成する。虚像オブジェクトIaは、比較的長い所定距離(例えば、7~10m程度)だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。
【0124】
一方、画像生成部24の光出射面24A上の点Pb1から出射された光(第二光の一例)は、光路Lb1を進み、平面鏡126B上の点Pb2で反射された後に光路Lb2を進み、HUD本体部21の出射窓23からHUD220の外部に出射する。光路Lb2を進んだ光は、ウインドシールド18の点Pb3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクトIb(第二画像の一例)の一部を形成する。虚像オブジェクトIbは、例えば、虚像オブジェクトIaと比較して、より短い距離(例えば、3~5m程度)だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。
【0125】
図20は、ウインドシールド18におけるHUD220から出射された光が照射される領域260を例示する模式図である。図20において、一点鎖線Cは、ウインドシールド18の垂直方向中心を通る水平方向に延びた中心線を示している。
【0126】
図20に例示されるように、HUD220から出射された光は、ウインドシールド18において中心線Cよりも下方に位置する領域260に照射される。凹面鏡126Aに反射された第一光は、ウインドシールド18の領域260Aに照射される。平面鏡126Bに反射された第二光は、ウインドシールド18の領域260Bに照射される。すなわち、凹面鏡126Aに反射された第一光は、ウインドシールド18上の平面鏡126Bに反射された第二光よりもウインドシールド18の垂直方向中心に近い位置に照射される。その結果、虚像オブジェクトIaは、虚像オブジェクトIbよりもウインドシールド18の垂直方向中心に近い位置に形成される。
【0127】
なお、虚像オブジェクトIa,Ibとして2D画像(平面画像)を形成する場合には、所定の画像を任意に定めた単一距離の虚像となるように投影する。虚像オブジェクトIa,Ibとして3D画像(立体画像)を形成する場合には、互いに同一または互いに異なる複数の所定の画像をそれぞれ異なる距離の虚像となるように投影する。また、虚像オブジェクトIa,Ibの距離(乗員の視点Eから虚像までの距離)は、画像生成部24から乗員の視点Eまでの光学的な距離(光路長)を調整する(例えば画像生成部24と反射部126間の距離を調整する)ことによって適宜調整可能である。
【0128】
以上説明したように、第五実施形態に係るHUD220は、所定の画像のうち第一画像を生成するための第一光と、所定の画像のうち第二画像を生成するための第二光とを、出射する画像生成部24を備える。また、HUD220は、画像生成部24により出射された第一光および第二光がウインドシールド18へ照射されるように、第一光および第二光を反射させる反射部126を備える。反射部126は、第一光を反射させる凹面鏡126Aと、第二光を反射させる平面鏡126Bとを備える。凹面鏡126Aは湾曲した高精細な反射面を形成する必要があり、そのために高度な製造技術を必要とするので製造コストが高いが、平面鏡126Bは比較的安価に製造できるので、低コストになる。したがって、上記構成によれば、反射部126を凹面鏡126Aと平面鏡126Bにより構成していることから、低コストで反射部を実現することができる。
【0129】
また、凹面鏡126Aおよび平面鏡126Bは、第一光がウインドシールド18上の第二光よりもウインドシールド18の垂直方向中心に近い位置に照射されるように、車両の垂直方向に並んで配置されている。この構成によれば、運転者は、第一画像の虚像を、第二画像の虚像よりもウインドシールド18の垂直方向中心に近い位置に認識することができる。運転者は、車両の走行中は、ウインドシールド18の垂直方向において中心に近い領域に視線を向けている可能性が高い。また、凹面鏡126Aにより反射された第一光により形成される第一画像の虚像は、平面鏡126Bにより反射された第二光により形成される第二画像の虚像よりも、運転者の目の位置(視点)からの距離が長い。したがって、運転者は、車両の走行中に、視線をあまり動かすことなく且つ目の焦点移動をあまり行わずに第一画像の虚像を認識することができる。これにより、運転者は、第一画像により示される情報を瞬時に把握することができる。また、運転者は、視線を第一画像の虚像から上下方向に動かすだけで第二画像の虚像を認識することができる。
【0130】
例えば、第一画像は車両の走行に関して重要な情報を示し、第二画像は付随する情報を示してもよい。車両の走行に関して重要な情報とは、例えば、車両走行情報や車両の外部に存在する対象物情報である。付随する情報とは、例えば、注意喚起等の情報である。この場合、運転者は、車両の走行中に、視線をあまり動かすことなく且つ目の焦点移動をあまり行わずに重要な情報を瞬時に把握できる。また、運転者は、必要に応じて視線を上下方向に動かすだけで付随する情報を確認することができる。
【0131】
なお、図20では、HUD220から出射された光がウインドシールド18において中心線Cよりも下方に位置する領域260に照射される場合を示したが、これに限定されない。HUD220により出射された光は、ウインドシールド18において中心線Cよりも上方に位置する領域に照射されてもよい。この場合、凹面鏡126Aおよび平面鏡126Bは、凹面鏡126Aが平面鏡126Bよりも上側に位置するように、車両1の垂直方向に並んで配置されてもよい。これにより、凹面鏡126Aに反射された第一光は、ウインドシールド18上の平面鏡126Bに反射された第二光よりもウインドシールド18の垂直方向中心に近い位置に照射される。その結果、虚像オブジェクトIaは、虚像オブジェクトIbよりもウインドシールド18の垂直方向中心に近い位置に形成される。
【0132】
(第六実施形態)
図21は、HUD220Aを車両1の側面側から見た模式図である。
図21に例示されるように、第六実施形態のHUD220Aは、画像生成部24と平面鏡126Bとの間にレンズ28が配置されている点で、第五実施形態のHUD220と相違する。
【0133】
レンズ28は、画像生成部24の光出射面24Aから出射された光の焦点距離を変化させるように構成されている。レンズ28は、画像生成部24の光出射面24Aから出射されて平面鏡126Bに向かう光が通る位置に設けられている。レンズ28は、例えば、駆動部を含み、制御部25により生成される制御信号によって画像生成部24との距離を変更できるように構成されていてもよい。レンズ28の移動により、画像生成部24から出射された光の焦点距離(見かけの光路長)が変化し、ウインドシールド18とHUD220Aによって表示される所定の画像との間の距離が変化する。
【0134】
例えば、画像生成部24の光出射面24A上の点Pa1から出射された光は、光路La1を進み、凹面鏡126A上の点Pa2で反射された後に光路La2を進んで、HUD本体部21の出射窓23からHUD220Aの外部に出射する。光路La2を進んだ光は、ウインドシールド18の点Pa3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクトIaの一部を形成する。
【0135】
一方、画像生成部24の光出射面24A上の点Pb1から出射された光は、レンズ28を通過した後に光路1Lb1を進む。点Pb1から出射された光は、レンズ28を通過することにより焦点距離が変化する。すなわち、点Pb1から出射された光は、レンズ28を通過することにより、見かけの光路長が長く変化される。光路1Lb1を進んだ光は、平面鏡126B上の点1Pb2で反射された後に光路1Lb2を進み、HUD本体部21の出射窓23からHUD220Aの外部に出射する。光路1Lb2を進んだ光は、ウインドシールド18の点1Pb3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクト1Ibの一部を形成する。虚像オブジェクト1Ibは、例えば、第五実施形態の虚像オブジェクトIbと比較して、より長い距離(例えば、6~9m程度)だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。虚像オブジェクトIbの距離(ウインドシールド18から虚像までの距離)は、レンズ28の位置を調整することによって適宜調整可能である。
【0136】
以上のように、第六実施形態に係るHUD220Aは、画像生成部24と反射部126の平面鏡126Bとの光路上に配置されたレンズ28を備える。レンズ28は、画像生成部24から平面鏡126Bまでの光路長を長くするように構成されている。凹面鏡126Aにより反射された第一光により形成される第一画像の虚像は、平面鏡126Bにより反射された第二光により形成される第二画像の虚像よりも、運転者の目の位置からの距離が長い。このため、この運転者の目の位置からの虚像の距離の違いにより運転者に違和感を与えてしまう場合がある。上記構成によれば、レンズ28により画像生成部24と平面鏡126Bとの光路長を長くすることにより、運転者の目の位置から第二画像の虚像までの距離を長くすることができる。これにより、虚像の距離の違いによる運転者の違和感を低減することができる。
【0137】
(第七実施形態)
図22は、HUD220Bを車両1の側面側から見た模式図である。
図22に例示されるように、第七実施形態のHUD220Bは、反射部226が凹面鏡226Aと二つの平面鏡226B,226Cとを備える点で、反射部126が凹面鏡126Aおよび平面鏡126Bを備える第五実施形態のHUD220と相違する。
なお、平面鏡226Cは、その車両1の前後方向の位置が平面鏡226Bの位置と同じであるため、図22では平面鏡226Bとの重複により表示されていない。平面鏡226Cに関連する光路や虚像オブジェクト等は、車両1の側面側から見ると、平面鏡226Bに関連する光路や虚像オブジェクト等と同様に形成されるため、図示は省略し、参照番号のみを括弧を用いて図示している。
【0138】
反射部226は、凹面鏡226Aと、平面鏡226Bと、平面鏡226Cとを有している。凹面鏡226Aは、虚像を形成するために凹状に湾曲した反射面を有し、画像生成部224から出射されて結像された光の像を所定の倍率で反射させる。平面鏡226B,226Cは、虚像を形成するために平面状の反射面を有し、画像生成部224から出射されて結像された光の像を同一の倍率で反射させる。凹面鏡226Aおよび平面鏡226B,226Cは、図23に例示されるように、平面鏡226Bおよび平面鏡226Cの間に凹面鏡226Aを挟んだ状態で、車両1の水平方向に並んで配置されている。
【0139】
画像生成部224は、凹面鏡226Aに照射される第一光が出射される第一画像領域と、平面鏡226Bに照射される第二光が出射される第二画像領域と、平面鏡226Cに照射される第三光が出射される第三画像領域を含む。制御部225は、凹面鏡226Aに第一光が照射され、平面鏡226Bに第二光が照射され、平面鏡226Cに第三光が照射されるように、画像生成部224における第一画像領域と第二画像領域と第三画像領域との画像生成動作を制御する。
【0140】
例えば、画像生成部224の光出射面24A上の点2Pa1から出射された光(第一光の一例)は、光路2La1を進み、凹面鏡226A上の点2Pa2で反射された後に光路2La2を進んで、HUD本体部21の出射窓23からHUD220Bの外部に出射する。光路2La2を進んだ光は、ウインドシールド18の点2Pa3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクト2Ia(第一画像の一例)の一部を形成する。虚像オブジェクト2Iaは、比較的長い所定距離(例えば、7~10m程度)だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。
【0141】
一方、画像生成部224の光出射面24A上の点2Pb1から出射された光(第二光の一例)は、光路2Lb1を進み、平面鏡226B上の点2Pb2で反射された後に光路2Lb2を進み、HUD本体部21の出射窓23からHUD220Bの外部に出射する。光路2Lb2を進んだ光は、ウインドシールド18の点2Pb3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクト2Ib(第二画像の一例)の一部を形成する。虚像オブジェクト2Ibは、例えば、虚像オブジェクト2Iaと比較して、より短い距離(例えば、3~5m程度)だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。
【0142】
画像生成部224の光出射面24A上の点2Pc1から出射された光(第三光の一例)は、光路2Lc1を進み、平面鏡226C上の点2Pc2で反射された後に光路2Lc2を進み、HUD本体部21の出射窓23からHUD220Bの外部に出射する。光路2Lc2を進んだ光は、ウインドシールド18の点2Pc3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクト2Ic(第三画像の一例)の一部を形成する。虚像オブジェクト2Icは、例えば、虚像オブジェクト2Ibと比較して、略等しい距離だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。
【0143】
図24は、ウインドシールド18におけるHUD220Bから出射された光が照射される領域360を例示する模式図である。
図24に例示されるように、凹面鏡226Aに反射された第一画像を生成するための第一光は、領域360Aに照射される。平面鏡226Bに反射された第二画像を生成するための第二光は、ウインドシールド18の水平方向において領域360Aの左側に位置する領域360Bに照射される。平面鏡226Cに反射された第三画像を生成するための第三光は、ウインドシールド18の水平方向において領域360Aの右側に位置する領域360Cに照射される。その結果、虚像オブジェクト2Iaは、車両1の水平方向に沿って、虚像オブジェクト2Ibおよび虚像オブジェクト2Icの間に挟まれた状態で形成される。
【0144】
以上のように、第七実施形態に係るHUD220Bは、凹面鏡226A、平面鏡226Bおよび平面鏡226Cは、平面鏡226Bおよび平面鏡226Cの間に凹面鏡226Aを挟んだ状態で、車両1の水平方向に並んで配置されている。これにより、運転者は、車両の走行中に、目の焦点移動をあまり行わずに第一画像の虚像を認識することができる。これにより、運転者は、第一画像により示される情報を瞬時に把握することができる。また、運転者は、車両の走行中に、視線を左右に動かすだけで第二画像の虚像および第三画像の虚像を把握することができる。
【0145】
(第八実施形態)
図25は、HUD220Cを車両1の側面側から見た模式図である。
図25に例示されるように、第八実施形態のHUD220Cは、画像生成部224と平面鏡226B,226Cとの間にレンズ80が配置されている点で、第七実施形態のHUD220Bと相違する。
【0146】
レンズ80は、画像生成部224の光出射面24Aから出射された光の焦点距離を変化させるように構成されている。レンズ80は、画像生成部224の光出射面24Aから出射されて平面鏡226B,226Cに向かう光が通る位置に設けられている。レンズ80は、第一レンズ81および第二レンズ82を有する。第一レンズ81は、画像生成部224と平面鏡226Bとの間に配置されている。第二レンズ82は、画像生成部224と平面鏡226Cとの間に配置されている。なお、第二レンズ82は、その車両1の前後方向の位置が第一レンズ81の位置と同じであるため、図25では第一レンズ81との重複により表示されていない。
【0147】
レンズ80は、例えば、駆動部を含み、制御部225により生成される制御信号によって画像生成部224との距離を変更できるように構成されていてもよい。レンズ80の移動により、画像生成部224から出射された光の焦点距離(見かけの光路長)が変化し、ウインドシールド18とHUD220Cによって表示される所定の画像との間の距離が変化する。
【0148】
例えば、画像生成部224の光出射面24A上の点3Pa1から出射された光は、光路3La1を進み、凹面鏡226A上の点3Pa2で反射された後に光路3La2を進んで、HUD本体部21の出射窓23からHUD220Cの外部に出射する。光路3La2を進んだ光は、ウインドシールド18の点3Pa3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクト3Iaの一部を形成する。虚像オブジェクト3Iaは、比較的長い所定距離(例えば、7~10m程度)だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。
【0149】
一方、画像生成部224の光出射面24A上の点3Pb1から出射された光は、第一レンズ81を通過した後に光路3Lb1を進む。点3Pb1から出射された光は、第一レンズ81を通過することにより焦点距離が変化する。すなわち、点3Pb1から出射された光は、第一レンズ81を通過することにより、見かけの光路長が長く変化される。光路3Lb1を進んだ光は、平面鏡226B上の点3Pb2で反射された後に光路3Lb2を進み、HUD本体部21の出射窓23からHUD220Cの外部に出射する。光路3Lb2を進んだ光は、ウインドシールド18の点3Pb3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクト3Ibの一部を形成する。虚像オブジェクト3Ibは、例えば、第七実施形態の虚像オブジェクト2Ibと比較して、より長い距離(例えば、6~9m程度)だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。虚像オブジェクト3Ibの距離(ウインドシールド18から虚像までの距離)は、第一レンズ81の位置を調整することによって適宜調整可能である。
【0150】
画像生成部224の光出射面24A上の点3Pc1から出射された光は、第二レンズ82を通過した後に光路3Lc1を進む。点3Pc1から出射された光は、第二レンズ82を通過することにより焦点距離が変化する。すなわち、点3Pc1から出射された光は、第二レンズ82を通過することにより、見かけの光路長が長く変化される。光路3Lc1を進んだ光は、平面鏡226C上の点3Pc2で反射された後に光路3Lc2を進み、HUD本体部21の出射窓23からHUD220Cの外部に出射する。光路3Lc2を進んだ光は、ウインドシールド18の点3Pc3に入射することにより、所定の画像によって形成される虚像オブジェクト3Icの一部を形成する。虚像オブジェクト3Icは、例えば、第七実施形態の虚像オブジェクト2Icと比較して、より長い距離(例えば、6~9m程度)だけウインドシールド18から離れた前方に形成される。虚像オブジェクト3Icの距離(ウインドシールド18から虚像までの距離)は、第二レンズ82の位置を調整することによって適宜調整可能である。
【0151】
以上のように、第八実施形態に係るHUD220Cは、画像生成部224と反射部226の平面鏡226Bとの光路上に配置された第一レンズ81を備える。また、HUD220Cは、画像生成部224と反射部226の平面鏡226Cとの光路上に配置された第二レンズ82を備える。第一レンズ81は、画像生成部224から平面鏡226Bまでの光路長を長くするように構成されている。第二レンズ82は、画像生成部224から平面鏡226Cまでの光路長を長くするように構成されている。凹面鏡226Aにより反射された第一光により形成される第一画像の虚像は、平面鏡226Bにより反射された第二光により形成される第二画像の虚像よりも、運転者の目の位置からの距離が長い。凹面鏡226Aにより反射された第一光により形成される第一画像の虚像は、平面鏡226Cにより反射された第三光により形成される第三画像の虚像よりも、運転者の目の位置からの距離が長い。このため、この運転者の目の位置からの虚像の距離の違いにより運転者に違和感を与えてしまう場合がある。上記構成によれば、第一レンズ81により画像生成部224と平面鏡226Bとの光路長を長くすることにより、運転者の目の位置から第二画像の虚像までの距離を長くすることができる。また、第二レンズ82により画像生成部224と平面鏡226Cとの光路長を長くすることにより、運転者の目の位置から第三画像の虚像までの距離を長くすることができる。これにより、虚像の距離の違いによる運転者の違和感を低減することができる。
【0152】
(第九実施形態)
図26は、HUD320を車両1の側面側から見た模式図である。尚、第九実施形態の説明では、第一実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。図26に示すように、HUD320は、HUD本体部21を備えている。HUD本体部21は、ハウジング22と、出射窓23とを有する。HUD本体部21は、ハウジング22の内部に、画像生成部24と、制御部25と、凹面鏡27(反射部の一例)とを有する。
【0153】
画像生成部24は、光出射面(表示デバイス面)124から外部に向けて、画像を生成するための光を出射する。画像生成部24の光出射面124には、第一光出射面(第一領域の一例)124Aと、第一光出射面124A以外の出射面である第二光出射面(第二領域の一例)124Bとが設けられている。第一光出射面124Aは、所定の画像の一部である第一画像を生成するための光を出射する出射面である。第二光出射面124Bは、所定の画像の一部であり第一画像とは異なる第二画像を生成するための光を出射する出射面である。第一光出射面124Aおよび第二光出射面124Bについては、図28で後述する。
【0154】
凹面鏡27は、画像生成部24から出射される光の光路上に配置されている。凹面鏡27は、画像生成部24から出射された光をウインドシールド18(例えば、車両1のフロントウィンドウ)に向けて反射するように構成されている。凹面鏡27は、所定の画像を形成するために凹状に湾曲した反射面を有し、画像生成部24から出射され結像された光の像を所定の倍率で反射させる。凹面鏡27は、駆動機構(図示省略)を有し、制御部25から送信される制御信号に基づいて凹面鏡27の向きを回転することができるように構成されていてもよい。
【0155】
画像生成部24の光出射面124から出射された光は、凹面鏡27で反射されてHUD本体部21の出射窓23から出射される。HUD本体部21の出射窓23から出射された光は、ウインドシールド18に照射される。出射窓23からウインドシールド18に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21から出射された光をウインドシールド18の前方の所定の距離において形成された虚像(所定の画像)として認識する。このように、HUD20によって表示される画像がウインドシールド18を通して車両1の前方の現実空間に重畳される結果、乗員は、所定の画像により形成される虚像オブジェクトIが車両外部に位置する道路上に浮いているように視認することができる。
【0156】
ところで、画像生成部24の光出射面124から出射された光は凹面鏡27で反射されるため、所定の画像として乗員に認識される虚像オブジェクトIには凹面鏡27の反射に伴う歪みが発生する。したがって、虚像オブジェクトIの情報を乗員に正確に認識させるためには、例えば、発生する虚像オブジェクトIの歪みを補正処理することが望ましい。
【0157】
次に、虚像オブジェクトに生じる歪みと、当該歪みを補正するための処理(画像のワーピングによる補正)について図27A図27B図28及び図29を参照して説明する。
【0158】
図27Aは、比較例に係るHUDの画像生成部から出射された光により生成される画像において、画像生成部の光出射面424における画像、すなわち凹面鏡で反射される以前の光により生成される画像(以下、出射面画像ともいう)431の一例を示す。また、図27Bは、図27Aに示す出射面画像431が凹面鏡に反射された後に所定の画像として乗員に認識される虚像オブジェクトXを示す。なお、本例の画像では、自車の走行速度(50km/h)を示す情報が表示されている。
【0159】
図27Aに示すように、比較例に係る画像生成部の光出射面424における出射面画像431が通常の画像、例えば、凹面鏡で反射されることにより生じる歪みに対して所定の補正処理が施されていない画像である場合、凹面鏡で反射された光によって生成される虚像オブジェクトXは、図27Bに示すように、歪んだ形状の画像となって表示される。本例の場合、虚像オブジェクトXの上側が伸びて、下側が縮んだ形状の画像となって表示されている。
【0160】
これに対して、第九実施形態に係るHUD320の画像生成部24では、凹面鏡27で反射されることにより生じる画像の歪みを補正するために、予め出射面画像に逆補正処理(ワーピングによる補正処理ともいう)が施されている。
【0161】
図28は、HUD320の画像生成部24から出射された光により生成される出射面画像331,332の一例を示す。図29は、図28に示す出射面画像331,332が、凹面鏡27により反射され車両前方に虚像オブジェクトとして表示されたときの図である。
図28に示すように、画像生成部24の光出射面124は、矩形状に形成されており、第一光出射面124Aと第二光出射面124Bが設けられている。そして、第一光出射面124Aから出射された光により出射面画像331が生成され、第二光出射面124Bから出射された光により出射面画像332が生成されている。本例の出射面画像331では、現在の走行速度が50km/hであることを報知する速度画像と、乗員に注意を促す注意喚起画像(山括弧模様)とが表示されている。また、出射面画像332では、乗員に注意を促す注意喚起画像(山括弧模様)が表示されている。
【0162】
矩形状の光出射面124のうち第一光出射面124Aは、例えば、環状扇形の出射面として形成されている。環状扇形の第一光出射面124Aは、図29に示す虚像オブジェクトIaが表示される矩形状の最大表示範囲351を形成する。すなわち、第一光出射面124Aは、光出射面124において環状扇形が最大限広がるような領域を占めるように形成されていることが好ましい。矩形状の光出射面124のうち第二光出射面124Bは、第一光出射面124A以外の領域の出射面として形成されている。すなわち、第二光出射面124Bは、図29に示す虚像オブジェクトIbが表示される矩形状の表示範囲352を、虚像オブジェクトIaが表示される最大表示範囲351以外の領域に形成する。本例の第二光出射面124Bは、環状扇形の第一光出射面124Aにおける外側の円弧341よりも内側の円弧342に近い領域に形成されている。具体的には、第一光出射面124Aにおける左右幅が小さい下側領域の左右両側部にそれぞれ第二光出射面124Bが形成されている。このように、光出射面124において、第一光出射面124Aは、第二光出射面124Bよりも大きく形成されている。
【0163】
第一光出射面124Aの出射面画像331および第二光出射面124Bの出射面画像332は、凹面鏡27で反射されることにより生じる歪みを補正するために、凹面鏡27の反射で歪む量だけ予め逆方向に歪ませておく逆補正(ワーピング)が施されている。本例では、出射面画像331,332に対して、画像の上側を伸ばす補正が施されるとともに、下側を縮める補正が施されている。
【0164】
凹面鏡27での反射に基づいて虚像オブジェクトIに生じる歪み量は、例えば、図27Bの虚像オブジェクトXからもわかるように、虚像オブジェクトIの中心部に近づくほど小さく、中心部から離れるほど大きくなる。このため、虚像オブジェクトIの元画像となる出射面画像331,332に対して施されるワーピングによる補正量は、虚像オブジェクトIの部位による歪み量の大小に対応して出射面画像331,332の位置によって相違する。例えば、虚像オブジェクトIの中心部に対応する位置の出射面画像の補正量は比較的に小さく、中心部から離れた部位に対応する位置の出射面画像の補正量は比較的に大きくなる。
【0165】
本例において、第二光出射面124Bの出射面画像332は、光出射面124の中央部に大きく形成された環状扇形の第一光出射面124Aにおける内側の円弧342に近い領域に表示されている。出射面画像332は、光出射面124の中央部から離れた領域に表示される画像である。第一光出射面124Aの出射面画像331は、虚像オブジェクトIの中心部に対応する位置の画像である。また、第二光出射面124Bの出射面画像332は、虚像オブジェクトIの中心部から離れた部位に対応する位置の画像である。このため、画像生成部24は、虚像オブジェクトIbの元画像である出射面画像332を構成する光が凹面鏡27で反射されることにより生じる歪みを補正するための補正係数が、虚像オブジェクトIaの元画像である出射面画像331を構成する光が凹面鏡27で反射されることにより生じる歪みを補正するための補正係数よりも大きくなるように、光出射面124上において出射面画像331,332を生成する。すなわち、虚像オブジェクトIに生じる歪みを補正する場合、第二光出射面124Bに表示されている出射面画像332の補正量は、出射面画像331の補正量(出射面画像331全体の平均補正量)よりも大きくなる。
【0166】
上述したように出射面画像331,332は、凹面鏡27での反射で歪む量だけ予め逆方向に歪ませておく逆補正処理が施されている。このため、出射面画像331,332を生成する光が凹面鏡27で反射されると、図29に示すように、歪みのない虚像オブジェクトI(Ia,Ib)として視認される。虚像オブジェクトIaは、第一光出射面124Aの出射面画像331によって生成された像である。虚像オブジェクトIbは、第二光出射面124Bの出射面画像332によって生成された像である。
【0167】
虚像オブジェクトIaと虚像オブジェクトIbとは、車両1の前方において、虚像オブジェクトIaが認識される位置と虚像オブジェクトIbが認識される位置とが実質的に同一となるように構成されている。すなわち、ウインドシールド18から虚像オブジェクトIaまでの距離と、ウインドシールド18から虚像オブジェクトIbまでの距離とは実質的に同一の距離となるように構成されている。
【0168】
虚像オブジェクトIbは、虚像オブジェクトIaの周囲に虚像オブジェクトIaと並ぶように表示される。本例では、虚像オブジェクトIbは、車両1の乗員から見て、虚像オブジェクトIaの左右にそれぞれ表示されている。虚像オブジェクトIaによって表示される情報と虚像オブジェクトIbによって表示される情報とは、相互に関連付けられた情報となるように構成されていてもよい。一例として、虚像オブジェクトIaとして、走行速度を報知する速度情報(50km/h)と、走行速度に注意を促す注意喚起情報(山括弧模様)とが表示されている。また、虚像オブジェクトIbとして、虚像オブジェクトIaの報知内容に注意を促す注意喚起情報(山括弧模様)が表示されている。そして、虚像オブジェクトIbの山括弧模様が虚像オブジェクトIaの山括弧模様の左側または右側に連続した山括弧模様となるように並んで表示されている。虚像オブジェクトIとして視認される画像の表示範囲は、第一光出射面124Aから出射された光で形成される虚像オブジェクトIa(第一画像)と、第二光出射面124Bから出射された光で形成される虚像オブジェクトIb(第二画像)とを足し合わせた画像範囲になる。
【0169】
以上説明したように、本実施形態に係るHUD320は、虚像オブジェクトI(所定の画像)を生成するための光を出射する画像生成部24と、画像生成部24により出射された光がウインドシールド18へ照射されるように、光を反射させる凹面鏡27(反射部の一例)と、を備えている。そして、画像生成部24の光出射面124において、虚像オブジェクトIの一部である虚像オブジェクトIa(第一画像の一例)が表示される矩形状の最大表示範囲351を形成可能な領域を第一光出射面124A(第一領域の一例)とし、第一光出射面124A以外の領域を第二光出射面124B(第二領域の一例)とし、第一光出射面124Aから出射された光により虚像オブジェクトIaが表示可能な最大表示範囲351外に、第二光出射面124Bから出射された光により虚像オブジェクトIaとは異なる虚像オブジェクトIb(第二画像の一例)が表示されるように構成されている。この構成によれば、画像生成部24の光出射面124内に、第一光出射面124Aに加えて第二光出射面124Bを備えることにより、虚像オブジェクトIaが表示される矩形状の最大表示範囲351外の領域に虚像オブジェクトIbが表示される表示範囲352を設けることができる。このため、画像生成部に単一の光出射面(図27A参照)しか備えていない従来のHUDよりも、虚像(画像)の表示範囲を広げることができる。
【0170】
また、本実施形態に係るHUD320において、光出射面124が矩形状に形成され、第一光出射面124Aが矩形状の光出射面124のうち環状扇形の領域として形成され、光出射面124のうち環状扇形の第一光出射面124Aの外側の円弧よりも内側の円弧に近い領域に第二光出射面124Bが形成されている。この構成によれば、矩形状の光出射面124のうち環状扇形の第一光出射面124A以外の部分、具体的には、環状扇形の第一光出射面124Aにおける左右幅が小さい下側領域の左右両側部を、それぞれ第二光出射面124Bが形成される領域として効率的に利用することができる。このため、高コストな光出射面124の大型化を抑制しつつ、虚像(画像)の表示範囲を広げることができる。
【0171】
また、本実施形態に係るHUD320において、画像生成部24により生成された虚像オブジェクトIbの元画像(出射面画像332)を構成する光が、凹面鏡27により反射されることによる虚像オブジェクトIbの歪みを、画像生成部24において補正するための補正係数が、画像生成部24により生成された虚像オブジェクトIaの元画像(出射面画像331)を構成する光が、凹面鏡27により反射されることによる虚像オブジェクトIaの歪みを、画像生成部24において補正するための補正係数よりも大きくなるように構成されている。第二光出射面124Bは、第一光出射面124Aと比べて、画像生成部24の光出射面124の外縁部側に形成されるため、虚像オブジェクトIbは虚像オブジェクトIaよりも凹面鏡27での反射による歪みが大きくなる可能性が高い。そこで、第二光出射面124Bに表示される虚像オブジェクトIbの補正係数を第一光出射面124Aに表示される虚像オブジェクトIaの補正係数よりも大きくすることで、歪み量の大きい虚像オブジェクトIbの歪みを適切に補正することができる。
【0172】
また、HUD320によれば、虚像オブジェクトIaの左右に虚像オブジェクトIbがそれぞれ表示され、虚像オブジェクトIaと虚像オブジェクトIbとはそれぞれの画像によって表示される情報の内容が関連付けられていてもよい。例えば、虚像オブジェクトIaとして表示される注意喚起情報(山括弧模様)と、虚像オブジェクトIbとして表示される注意喚起情報(山括弧模様)が順に表示されるようにしてもよい。このように、虚像オブジェクトIaと虚像オブジェクトIbとの協働によって各種の情報を乗員に対して提供することができる。
【0173】
なお、図28の光出射面124のうち、左右それぞれの上部の隅部に、第三光出射面を設けてもよい(図示省略)。第三光出射面の補正係数は、第二光出射面124Bと同様に、第一光出射面124Aの補正係数より大きくすることが好ましい。第三光出射面から出射された光により、図29の虚像オブジェクトIaの左右それぞれの下端の下方に、虚像オブジェクトが表示される。このように、光出射面124の第一光出射面124A及び第二光出射面124B以外の領域を第三光出射面として有効活用することで、さらに虚像(画像)の表示範囲を広げることができる。
【0174】
(変形例)
図30は、変形例に係るHUD320Aの構成を示す模式図である。
図30に示すように、変形例に係るHUD320Aは、HUD本体部21と、コンバイナ19とによって構成されている。コンバイナ19は、ウインドシールド18とは別体の構造物として、ウインドシールド18の内側に設けられている。コンバイナ19は、例えば、透明なプラスチックディスクであって、ウインドシールド18の代わりに、光出射面124から出射され凹面鏡27によって反射された光が照射される。これにより、ウインドシールド18に光を照射した場合と同様に、HUD本体部21からコンバイナ19に照射された光の一部は、乗員の視点Eに向けて反射される。この結果、乗員は、HUD本体部21からの出射光(所定の画像)をコンバイナ19(およびウインドシールド18)の前方の所定の距離において形成された虚像オブジェクトIとして認識することができる。
このようなコンバイナ19を備えたHUD320Aの場合も、上述したHUD20と同様の効果を奏することができる。
【0175】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0176】
第一実施形態で説明したような光アイソレータ70を、例えば、屋外の壁面等の対象物に所定の画像を表示するように構成されたプロジェクタとしての光出射装置が備えるようにしてもよい。すなわち、プロジェクタにおいて、例えば、光源と光学部材(レンズなど)との間または光学部材と画像表示対象物との間における光源からの光が通過する位置に、光アイソレータを配置するようにしてもよい。これにより、光出射機能を低下させることなく外光が光源に入射することによる熱害の発生を防止することが可能なプロジェクタを提供することができる。
【0177】
上記第三実施形態および第四実施形態では、第一画像および第二画像(または、第一画像、第二画像および第三画像)が同時に表示される場合を説明したが、これに限られない。例えば、表示すべきHUD情報に応じて、一つの画像のみが表示されてもよい。
【0178】
上記第三実施形態では、凹面鏡30のベース部材40は単一(モノリシック)の部材から形成されているが、これに限られない。例えば、ベース部材は、複数の反射領域に対応する複数のベース部材を隙間を介してまたは隙間を介さずに一体化させることにより構成されてもよい。反射膜50は、複数のベース部材に対して一括で形成されてもよく、またはベース部材毎に形成されてもよい。
【0179】
上記第三実施形態の変形例では、凹面鏡130は、第一ベース部材141と第二ベース部材142が互いに接した状態で一体化されているが、これに限られない。例えば、第一ベース部材141と第二ベース部材142は、隙間を介して隣接させて一体化させてもよい。複数のベース部材を隙間を介して一体化することにより凹面鏡を形成する場合は、隙間に対応する部分には光を照射させないように画像生成部24の動作を制御する構成としてもよい。
【0180】
上記第三実施形態および第四実施形態では、反射部は凹面鏡30、130、230であるが、これに限られない。例えば、反射部は、複数の異なる表面粗さの反射領域を含む反射面を有する平面鏡でもよい。これにより、虚像の画質を大きく低下させることなく低コストで反射部を実現することができる。
【0181】
上記第三実施形態および第四実施形態では、凹面鏡30、130、230は、ベース部材40、140、240および反射膜50、150、250から構成されているが、これに限定されない。例えば、反射膜の上に腐食防止用のトップコートを形成してもよい。トップコートは例えば透明な樹脂から形成されており、画像生成部24から出射された光はトップコートを透過して反射膜により反射される。すなわち、反射膜の後面が凹面鏡の反射面を形成しているので、トップコートの後面の表面粗さは均一でもよい。反射膜の表面の影響を受けるようにトップコートを薄膜で形成することにより、トップコートの後面(画像生成部24から出射された光が照射される面)の表面粗さを変化させてもよい。
【0182】
上記第三実施形態および第四実施形態では、凹面鏡30、130、230のベース部材40、140、240の表面粗さまたは材料を異ならせることにより、結果として異なる表面粗さを有する反射面31,131,231を形成しているが、これに限定されない。例えば、ベース部材40、140、240は同一の表面粗さを有するまたは同一材料から形成され、反射膜50、150、250の表面粗さや材料を異ならせることにより、異なる表面粗さを有する反射面を形成してもよい。
【0183】
上記第三実施形態および第四実施形態では、凹面鏡30、130、230は、縦または横に二つあるいは三つに分割された反射領域から形成されているが、これに限定されない。運転者がウインドシールド18において見る頻度が高い位置や領域に応じて分割する反射領域の形状を決定してもよい。
【0184】
上記第三実施形態および第四実施形態では、凹面鏡30、130、230は、画像生成部24から出射された光をウインドシールド18に向けて反射しているが、これに限られない。凹面鏡30、130、230は、ウインドシールド18の内側に設けられているコンバイナ向けて光を反射してもよい。
【0185】
上記第三実施形態および第四実施形態では、画像生成部24の一つの表示デバイスを介して第一画像、第二画像および第三画像を含む所定の画像を形成する光を出射しているが、これに限られない。画像生成部24は、第一画像を形成する光を出射する第一表示デバイスと第二画像を形成する光を出射する第二表示デバイスと第三画像を形成する光を出射する第三表示デバイスとを有してもよい。この場合、光源及び光学部品は各表示デバイスに対応して設けられる。
【0186】
上記第四実施形態では、HUD120により出射された光がウインドシールド18において中心線Cよりも下方に位置する領域に照射される場合を示したが、これに限られない。HUD120により出射された光がウインドシールド18において中心線Cよりも上方に位置する領域に照射される場合は、凹面鏡30は、例えば、第一反射領域31Aは、第二反射領域31Bよりも下側に配置されるように形成されてもよい。この場合、第一反射領域31Aに反射された第一光は、ウインドシールド18上において、第二反射領域31Bに反射された第二光が照射される領域よりも上方に位置する領域に照射される。
【0187】
上記第五実施形態から第八実施形態において、画像生成部24は、第二画像を、そのサイズが第一画像のサイズよりも大きくなるように生成するように構成されてもよい。また、画像生成部224は、第二画像および第三画像を、それらのサイズが第一画像のサイズよりも大きくなるように生成するように構成されてもよい。凹面鏡126A,226Aは、第一画像が拡大するように第一光を反射するのに対して、平面鏡126B,226Bは、第二画像のサイズは変化がないまま第二光を反射する。また、平面鏡126C,226Cも、第三画像のサイズは変化がないまま第三光を反射する。このため、第一画像の虚像は、そのサイズが第二画像の虚像のサイズより大きくなる。また、第一画像の虚像は、そのサイズが第三画像の虚像のサイズより大きくなる。この虚像のサイズの違いにより運転者に違和感を与えてしまう場合がある。上記構成によれば、第二画像(および第三画像)の虚像のサイズが大きくなり、虚像のサイズの違いによる運転者の違和感を低減することができる。
【0188】
また、上記第五実施形態から第八実施形態において、画像生成部24,224の一つの表示デバイスを介して第一画像、第二画像および第三画像を含む所定の画像を形成する光を出射しているが、これに限られない。画像生成部24は、第一画像を生成する第一生成部と、第二画像を生成する第二生成部とを備えてもよい。画像生成部224は、第一画像を生成する第一生成部と、第二画像を生成する第二生成部と、第三画像を生成する第三生成部とを備えてもよい。光源及び光学部品は各生成部に対応して設けられる。この場合、第一画像はカラー画像であり、第二画像(および第三画像)はモノクロ画像でもよい。この構成によれば、第二画像はモノクロ画像であるため第二生成部(および第三生成部)を低コストで実現することができ、結果として画像生成部を低コストで実現することができる。
【0189】
なお、上記第五実施形態から第八実施形態では、第一画像および第二画像(または、第一画像、第二画像および第三画像)が同時に表示される場合を説明したが、これに限られない。例えば、表示すべきHUD情報に応じて、一つの画像のみが表示されてもよい。
【0190】
また、反射部を構成する凹面鏡および平面鏡の配列方向や数は、上記実施形態の縦または横および二つあるいは三つに限定されない。
【0191】
上記第五実施形態から第八実施形態では、反射部126,226は、画像生成部24,224から出射された光をウインドシールド18に向けて反射しているが、これに限られない。反射部126,226は、ウインドシールド18の内側に設けられているコンバイナ向けて光を反射してもよい。
【0192】
上記第六実施形態および第八実施形態では、画像生成部24,224と平面鏡126B,226B,226Cとの間に配置される光学素子として、一つまたは二つのレンズ28,80を用いているが、これに限定されない。光学素子として、レンズの代わりにまたはレンズに加えてミラーを用いてもよい。例えば、画像生成部24,224と平面鏡126B,226B,226Cとの間に、複数の平面鏡を配置してもよい。
【0193】
上記第一実施形態から第九実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードは、これら4つのモードの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、車両の運転モードは、いずれか一つのみを実行可能であってもよい。
【0194】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、第一実施形態から第九実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0195】
本出願は、2019年9月30日出願の日本特許出願2019-179484号、2019年10月30日出願の日本特許出願2019-197510号、2019年10月30日出願の日本特許出願2019-197511号および2019年11月22日出願の日本特許出願2019-211328号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
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