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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120069
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ラベル缶及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20240827BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20240827BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20240827BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B65D25/20 Q
G09F3/02 B
G09F3/04 C
G09F3/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101211
(22)【出願日】2024-06-24
(62)【分割の表示】P 2020563164の分割
【原出願日】2019-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2018247147
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】金山 禅
(72)【発明者】
【氏名】前田 理行
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子透かし画像を備えたラベル缶において、ラベル缶の保管や輸送などの工程で電子透かし画像に欠けが発生することを防止することにより電子透かし画像の確実な読み取りが可能なラベル缶及びその製造方法を提供する。
【解決手段】缶外面に、電子透かし画像層4、フィルム層5、印刷層3を少なくとも有するラベルが取付けられているラベル缶であって、上記電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層が配置されていることにより、印刷後の保管、搬送、充填、殺菌などの工程で電子透かし画像が損傷することが有効に防止されているとともに、缶の表面状態によらず美観に優れ、多品種・小ロットのデザインに対応できるラベル缶を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶外面に、電子透かし画像層、フィルム層、印刷層を少なくとも有するラベルが取付けられているラベル缶であって、
前記ラベルが、前記電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層を配置し
前記ラベルが、缶側から、印刷層、フィルム層、電子透かし画像層、透明保護層の順に配置され、
前記フィルム層を基材として、印刷層、電子透かし画像層及び透明保護層が形成されていることを特徴とするラベル缶。
【請求項2】
缶外面に、電子透かし画像層、フィルム層、印刷層を少なくとも有するラベルが取付けられているラベル缶であって、
前記ラベルが、前記電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層を配置し、
前記ラベルが、缶側から、フィルム層、印刷層、電子透かし画像層、透明保護層の順に配置され、
前記フィルム層を基材として、印刷層、電子透かし画像層及び透明保護層が形成されていることを特徴とするラベル缶。
【請求項3】
前記印刷層が、ベタ印刷層及び/又は絵柄層から成る請求項1又は2記載のラベル缶。
【請求項4】
前記電子透かし画像層の電子透かし画像と、前記絵柄層を構成する印刷画像が同一層内に存在する請求項記載のラベル缶。
【請求項5】
前記電子透かし画像層の電子透かし画像以外の部分の下側に絵柄層が形成されている、或いは電子透かし画像の下側に絵柄層が形成されている請求項記載のラベル缶。
【請求項6】
前記電子透かし画像層の上側に、電子透かし画像の視認性を調整するための電子透かし画像被覆層が形成されている請求項1~の何れかに記載のラベル缶。
【請求項7】
前記ラベルに、接着層が形成されている請求項1~の何れかに記載のラベル缶。
【請求項8】
前記ラベルが、熱収縮ラベルである請求項1~の何れかに記載のラベル缶
【請求項9】
前記ラベルの最外面に仕上げニス層が形成されている請求項1~の何れかに記載のラベル缶。
【請求項10】
電子透かし画像層、フィルム層、印刷層を少なくとも有するラベルが缶外面に取付けられているラベル缶の製造方法であって、
前記電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層を配置してなるラベルを缶外面に取付けて成り、
前記ラベルが、缶側から、印刷層、フィルム層、電子透かし画像層、透明保護層の順に形成されており、
前記フィルム層を基材として、印刷層、電子透かし画像層及び透明保護層が形成されていることを特徴とするラベル缶の製造方法。
【請求項11】
電子透かし画像層、フィルム層、印刷層を少なくとも有するラベルが缶外面に取付けられているラベル缶の製造方法であって、
前記電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層を配置してなるラベルを缶外面に取付けて成り、
前記ラベルが、缶側から、フィルム層、印刷層、電子透かし画像層、透明保護層の順に配置され、
前記フィルム層を基材として、印刷層、電子透かし画像層及び透明保護層が形成されていることを特徴とするラベル缶の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子透かし画像層およびフィルム層を有するラベル缶及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミやスチール等から成る金属缶は、耐衝撃性が高く、しかも酸素等のガスを透過しないことから、プラスチック容器に比して内容物の保存性が格段に優れており、更に、ガラス瓶に比して軽量である等の利点を有しており、炭酸飲料、アルコール性飲料、その他の飲料や各種食品用の容器として広く使用されている。
金属缶の外面に商品名や各種デザインを施す方法としては、印刷が施されたプラスチックなどのフィルムからなるラベルを、接着層を介して貼着する方法や熱収縮フィルムを用いたシュリンクラベルを熱装着する方法、或いはオフセット印刷等の版式印刷や版を使用しないインクジェット印刷等により、缶胴部に印刷を施すことが行われている。
【0003】
ラベルを被覆したラベル缶は、ラベルをグラビア印刷で行うことが多く、他の印刷方法に比べて美観に優れており、また、曲面である缶表面へ直接印刷するよりも印刷工程は簡易であることがメリットとして広く知られている。
さらにラベル缶は、印刷が施される金属缶のように表面状態によらないで美観に優れた印刷缶を製造できるため、金属缶への印刷前のベースコートや表面処理工程の必要が無く、製造工程の短縮化が可能である。
金属缶においても、製品の多品種・小ロット化が進む中、製品の納期、コストに対する要求も高まっており、短納期で迅速かつ適時な製品出荷が求められてきている。それらの要求に応えるため、ラベル缶においては、予めラベルを製造しておき、顧客注文に応じてそのラベルに追加印刷や塗装した後、金属缶に被覆することにより製造することや、或いは予め製造したラベルを金属缶に被覆した後、ラベルに追加印刷や塗装して製造することができることから、製品納期の短縮化の点で有利である。
【0004】
一方、ラベルに印刷される文字や図柄等には、電子透かしによる読み取りコードが含まれている場合があり、容器に印刷された読み取りコードは、カメラやスキャナなどの読み取り装置によって読み取られることで、様々な情報を容器の個体に対応させることが可能になる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5984096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報が埋め込まれた電子透かし画像が印刷されたラベルが被覆されたラベル缶は、その後パレタイザーなどで保管され、内容物の充填工場へ輸送され、充填密封、殺菌されるが、それらの工程で、電子透かし画像に傷や剥がれが生じる場合がある。このような傷や剥がれによる画像の欠けが生じると、情報読み取り時に読み取りがうまくできず、情報を取り出すことが不可能となってしまう。
【0007】
従って本発明の目的は、電子透かし画像を備えたラベル缶において、ラベル缶の保管や輸送などの工程で電子透かし画像に欠けが発生することを防止することにより電子透かし画像の確実な読み取りが可能なラベル缶及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、缶外面に、電子透かし画像層、フィルム層、印刷層を少なくとも有するラベルが取付けられているラベル缶であって、前記ラベルが、前記電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層を配置していることを特徴とするラベル缶が提供される。
【0009】
本発明のラベル缶においては、
1.前記ラベルが、缶側から、印刷層、電子透かし画像層、透明フィルム層の順に形成されていること、
2.前記ラベルが、缶側から、印刷層、フィルム層、電子透かし画像層、透明保護層の順に配置されていること、
3.前記ラベルが、缶側から、フィルム層、印刷層、電子透かし画像層、透明保護層の順に配置されていること、
4.前記印刷層が、ベタ印刷層及び/又は絵柄層から成ること、
5.前記電子透かし画像層の電子透かし画像と、前記絵柄層を構成する印刷画像が同一層内に存在すること、
6.前記電子透かし画像層の電子透かし画像以外の部分の下側に絵柄層が形成されている、或いは電子透かし画像の下側に絵柄層が形成されていること、
7.前記電子透かし画像層の上側に、電子透かし画像の視認性を調整するための電子透かし画像被覆層が形成されていること、
8.前記ラベルに、接着層が形成されていること、
9.前記ラベルが、熱収縮ラベルであること、
10.前記ラベルの最外面に仕上げニス層が形成されていること、
が好適である。
【0010】
本発明によればまた、電子透かし画像層、フィルム層、印刷層を少なくとも有するラベルが缶外面に取付けられているラベル缶の製造方法であって、前記電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層を配置してなるラベルを缶外面に取付けて成ることを特徴とするラベル缶の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のラベル缶及びその製造方法においては、金属缶に取り付けられたラベルの電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層が位置することにより、電子透かし画像の読み取り精度を損なうことなく、電子透かし画像層を備えたラベル缶の保管、搬送などの工程、または、充填、殺菌などの工程で電子透かし画像が損傷することを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のラベル缶の一例の胴部断面構造を示す図である。
図2】本発明のラベル缶の他の一例の胴部断面構造を示す図である。
図3】本発明のラベル缶の他の一例の胴部断面構造を示す図である。
図4】本発明のラベル缶の他の一例の胴部断面構造を示す図である。
図5】本発明のラベル缶に用いられるラベルの断面構造の一例を示す図である。
図6】本発明のラベル缶に用いられるラベルの断面構造の他の一例を示す図である。
図7】本発明のラベル缶に用いられるラベルの断面構造の他の一例を示す図である。
図8】本発明のラベル缶に用いられるラベルの断面構造の他の一例を示す図である。
図9】本発明のラベル缶に用いられるラベルの断面構造の他の一例を示す図である。
図10】ラベルの印刷層の形成を説明するための図である。
図11】ラベルの接着層の形成を説明するための図である。
図12】比較例1の印刷缶の胴部の断面構造を示す図である。
図13】比較例2のラベル缶の胴部の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ラベル缶)
本発明のラベル缶においては、前述したとおり、金属缶に取付けられたラベルの電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層が位置することが重要な特徴である。この態様に限定されないが、図1図4に示す具体例で説明する。
図1に示す本発明のラベル缶においては、金属缶1側から外方側に向かって順に、ベタ印刷層3a及び絵柄層3b(以下、ベタ印刷層3aと絵柄層3bを合わせた層、または、何れか一方の層を印刷層3と呼ぶことがある)、電子透かし画像層4、透明フィルム層5が形成されたラベル10が、金属缶1の胴部外面を被覆している。ラベル10は熱収縮することにより金属缶1の胴部に取り付けられた後、ラベル10の最外層である透明フィルム層5の上に仕上げニス層6が形成されている。
図2に示す本発明のラベル缶においては、金属缶1側から外方側に向かって順に、接着層2、ベタ印刷層3a、絵柄層3b、フィルム層5、電子透かし画像層4、透明保護層7が形成されたラベル10が、接着層2により金属缶1の胴部外面に貼着されている。
図3に示す本発明のラベル缶においては、金属缶1が胴部外面に予めベタ印刷層3a及び絵柄層が印刷された印刷缶であり、金属缶1側から外方側に向かって順に、接着層2、電子透かし画像層4、フィルム層5からなるラベル10が金属缶1の胴部に貼着された後、ラベル10の最外層である透明フィルム層5の上に仕上げニス層6が形成されている。この態様は、例えば共通の絵柄を有する印刷缶を使用して、異なる電子透かし画像層を形成し、多品種の用途に適用する場合等に使用できる。
図4に示す本発明のラベル缶は、金属缶1から外方側に向かって順に、ベタ印刷層3a、絵柄層3b、フィルム層5、電子透かし画像層4、絵柄層3b、透明保護層7からなる熱収縮ラベル10が、金属缶1に取り付けられた後、ラベル10の最外層である透明保護層7の上に仕上げニス層6が形成されている。
【0014】
[ラベル]
本発明のラベル缶に用いられるラベルは、上述した図1図4に示した層構成を有するラベルに限定されず、電子透かし画像層を透明フィルム又は透明保護層で覆って保護し得る限り種々の態様をとることができる。
例えば、図5に示すラベルでは、金属缶側となる層(下層)から外方側(表層)に向かって、ベタ印刷層3a、このベタ印刷層3aの上に、電子透かし画像と共に絵柄層3bが印刷された電子透かし画像層4が形成され、その上に透明フィルム層を5が形成されている。
また図6に示すラベルでは、下層から表層に向かって、接着層2、ベタ印刷層3a及び絵柄層3b、透明フィルム層5、透明フィルム層5の上に電子透かし画像層4が下側に存在する絵柄層3bと重ならない位置に形成され、その上に透明保護層7が形成されている。この態様のラベルでは絵柄層3bの絵柄が電子透かし画像により損なわれることがない。
【0015】
さらに図7に示すラベルでは、下層から表層に向かって、ベタ印刷層3a、絵柄層3b、電子透かし画像層4、電子透かし画像層4を視認し難くするための電子透かし画像被覆層8、及び透明フィルム層5が形成されている。この態様のラベルは、消費者に電子透かし画像を視認させたくない場合などに好適であり、ラベル缶の外観の意匠性が向上される。この電子透かし画像被覆層8は印刷デザインや色調などを適宜変更することにより、読み取りやすさが低下しない程度に適宜設置することができる。
図8に示すラベルは、図1に示したラベル缶に用いられたラベルの最下層に接着層2が形成された態様であり、図1に示したラベルが熱収縮ラベルであるのに対し、図8に示すラベルは接着層2により金属缶に貼着される。
図9に示すラベルは、下層から表層に向かって、フィルム層5、ベタ印刷層3a、絵柄層3b、電子透かし画像層4及び透明保護層7の層構成を有するものであるが、電子透かし画像層4が、異なる情報を有する電子透かし画像4a、4bを有しており、その一部の電子透かし画像4bを下側に位置する絵柄層3bの位置に合わせることにより、電子透かし画像4bの情報を絵柄層3bに埋め込み、他の電子透かし画像層4aと異なるようにすることが可能である。
尚、例示したラベルの層構成において、最下層に接着層が形成されていない層構成であっても、接着層を形成して接着層によって金属缶に貼着し得るラベルにすることができる。
【0016】
[フィルム層]
本発明のラベル缶に用いるラベルの基材になるフィルム層5としては、それ自体公知の熱可塑性樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン或いはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体や、環状オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル系共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α-メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン11、ナイロン12等のアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート;ポリフエニレンオキサイド;ポリ乳酸などの生分解性樹脂;などから形成することができる。中でも、透明性の点からポリエチレンテレフタレートを用いることが好適である。
【0017】
フィルムの厚みは特に制限されないが、5~30μmの範囲にあることが好適である。またフィルムは一軸又は二軸に延伸されたものであってもよく、特に耐傷性などの強度の点から、二軸延伸フィルムを好適に使用できる。
またフィルムは、電子透かし画像層よりも外側に位置する場合には、無色透明であることが好ましいが、有色透明や、電子透かし画像の読み取り性を損なわない限り、一部不透明部分があっても良い。また電子透かし画像層又は印刷層よりも缶胴側に位置する場合には、白色顔料などを含有する不透明フィルムであってもよい。
【0018】
[電子透かし画像層]
電子透かし画像層4は、例えば、読み取りコードを含む透かし情報を二次元パターン変調して埋め込んだ電子透かし画像を有する層であり、電子透かし画像を読み取り装置で読み取ることで、各種の情報を含む電子データを取得することができる。読み取りコードは主に、ドットパターンで形成され、情報を含む画像の最小単位が繰り返し並べられることで、広範囲からの読み取りが可能となる。電子透かし画像は主に、該最小単位のサイズ、ドットの密度、ドットの分布などのパラメータで構成される。
電子透かし画像層4は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等、従来公知の印刷方法により形成できるが、特にグラビア印刷が好適である。
電子透かし画像は、電子透かし画像層全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。また異なる情報を有する複数の電子透かし画像が部分的に形成されていてもよい。
【0019】
[透明保護層]
透明保護層は、電子透かし画像層4を保護するために形成される。透明保護層7は、有色透明であってもよいが無色透明であることが好ましい。
透明保護層は、ラベルの表面に形成されることから、金属缶に被覆される際、オーバーラップ部において、接着層と重ね合わされる。そのため金属缶に被覆される前のラベル状態では、半硬化状態に保持されていることが好ましい。これにより、ラベルを金属缶に取り付ける際に、接着層の熱硬化と同時に、オーバーラップ部における透明保護層及び接着層を強固に密着することができ、オーバーラップ部からのラベルの剥がれを有効に防止できる。また、長尺状態にあるラベルの巻取りの際に透明保護層と接着層がブロッキングすることも防止できる。
また、透明保護層7は、エポキシイソシアネート系組成物、ウレタンイソシアネート系組成物、アクリルイソシアネート系組成物、ポリカーボネートイソシアネート系組成物、ポリエステルイソシアネート系組成物のいずれか、或いはこれらの2種以上の混合物からなることが好ましい。これらの樹脂組成物は、硬化反応においてガスの発生が少なく、しかも室温での保管中にも反応して徐々にガスが抜けることから、金属缶に被覆したときにオーバーラップ部にブリスタを発生することもない。
【0020】
透明保護層7を構成する樹脂組成物には、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、シリコンワックスなどの潤滑剤を0.005~5重量%の範囲で配合することもでき、これにより長尺状態のラベルが巻き取られた場合、或いは巻き取られた後、金属缶の大きさに合わせて裁断されたラベルを重ねて保管する場合にも接着層2とのブロッキング防止効果を向上できる。
【0021】
透明保護層7には、電子透かし画像層4や印刷層3の保護の役割の他に、後述する仕上げニス6の役割を担うことができる樹脂組成物を使用しても良い。仕上げニスは主に、缶の搬送性の付与や艶出しなどのために、印刷またはラベルが被覆された缶に塗布されるが、仕上げニスの役割を担う透明保護層7を用いれば、仕上げニス工程を省略することができる。
【0022】
さらに、透明保護層7を形成することにより、ラベル缶における電子透かし画像層4の保護だけでなく、缶に被覆前のラベルの状態での電子透かし画像層4の保護も可能である。
透明保護層7について、上述の他に、ラベル缶に関する本出願人による発明の特開2017-200764に記載されている内容と同じ特徴があってもよい。
【0023】
[印刷層]
ラベル上に形成される印刷層3は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等の高速で大量に印刷可能な従来公知の版式印刷の他、インクジェット印刷等を用いて印刷層3を形成できるが、特にグラビア印刷が好適である。
また印刷層は絵柄層3bとベタ印刷層3aの組み合わせであってもよく、図1~3に示したように、ベタ印刷層3a上に絵柄層3bを形成してもよいし、或いは図4に示したように、絵柄層3bを電子透かし画像層4上に更に形成することもできる。このようなベタ印刷層3aを下地層として形成し、金属缶の金属面を覆うことにより、金属光沢を抑制することが可能となり、絵柄層3b及び電子透かし画像層4が鮮明になり、印刷層3の加飾性や電子透かし画像層4の読み取り精度を高めることができる。
ベタ印刷の色に制限はないが、特に白インキによるベタ印刷が加飾上好ましい。ベタ印刷層を2層以上重ねても良く、それらの複数のベタ印刷層の厚さや色は、それぞれ異なっていても良い。また、印刷層は、フィルムの片面又は両面に設けることもできるし、図3に示したように金属缶の外面に直接印刷層を設けた後、ラベルを被覆させてラベル缶を製造することもできる。
【0024】
[接着層]
本発明において、ラベルを缶外面に被覆させる方法のうち、ラベルを貼着させるための接着層2は、加熱加圧により缶外面に容易に接着し得る公知の熱硬化型接着剤、例えば、ポリウレタン系、熱硬化性のポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂等を熱硬化性樹脂成分として含み、イソシアネート或いはメラミン樹脂等を硬化剤成分として、熱硬化性樹脂成分100重量部当り0.1~10重量部程度の量で含有しているものを使用することができる。更に、一般的には、硬化前の安定性を確保するために、適宜の量でオキシム、ラクタム、エステル、ケトン、アミド等の低分子化合物が配合され、このような低分子化合物によってイソシアネート基等の官能基がブロックされている接着剤を好適に使用することができる。
接着層2は、このような熱硬化型接着剤を各種溶剤に分散乃至溶解させた接着剤溶液をローラ塗布等により塗布し、乾燥することにより形成され、その厚みは一般に1~10μmの範囲にあることが好ましい。
【0025】
尚、ラベルが金属面を覆うためのベタ印刷層3aを有しない場合には、接着層2に酸化チタン等の顔料を配合してもよい。また接着層2に顔料が配合されていることにより、後述するように、ラベルを金属缶に巻き付けて加熱することによる貼着を行うに際して、接着層2の熱収縮を有効に防止することができ、熱収縮による印刷像の歪み等を有効に防止することができる。このような顔料の配合量は、接着層中の10~90重量%が好ましい。
【0026】
図2及び図6に示したラベルのように、ラベルの最外層である透明保護層7と最内層となる接着層2を設ける場合は、オーバーラップ部において透明保護層7と接着層2が接着されるので、オーバーラップ部でのラベル同士の接着性を向上させるために、透明保護層7は接着層2を形成する樹脂と同種の樹脂から成るものを選択することが好ましい。例えば、接着層2としてポリエステルイソシアネート系接着組成物が使用される場合には、透明保護層もポリエステルイソシアネート系組成物から成ることにより、オーバーラップ部でのラベル同士の接着性が向上し、耐レトルト性が向上する。
【0027】
[仕上げニス層]
仕上げニス層6は、搬送性の付与や艶出しのためなどに形成され、ラベルが取り付けられたラベル缶上に形成される。仕上げニス層6を形成するための仕上げニス剤としては、透明な熱硬化性樹脂が使用され、例えば、熱硬化性のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を熱硬化性樹脂成分として含み、更に、硬化剤成分としてフェノール樹脂やメラミン樹脂などのアミノ樹脂或いはイソシアネート樹脂等を、熱硬化性樹脂成分100重量部当り0.1~10重量部程度の量で含有して成るものを好適に用いることができる。これらの樹脂成分は有機溶剤に適宜溶解させることにより使用され、パラフィン、シリコンオイル等の滑剤成分を配合することもできる。保護層7との大きな違いは層の形成方法である。仕上げニス層6の形成は、印刷された缶、または印刷されたラベル缶などの筒状容器外面に対して、仕上げニスが塗布されたアプリケータローラを接触させることにより行われる。
【0028】
[その他の層]
本発明のラベル缶においては、上述した接着層、印刷層、電子透かし画像層、透明フィルム層、透明保護層を有するが、勿論他の層を有していてもよい。
例えば、金属粉顔料或いはパール顔料を含む光沢層、蒸着層、金属箔等を形成することができ、これにより金属光沢や光輝性を高め、ラベルの加飾性を向上することができる。また印刷層の下地としてアンカーコート層を形成することもできる。
また図7に示したように、電子透かし画像の視認性を調整するための、主にベタ印刷による電子透かし画像被覆層8を設けることもできる。
【0029】
[金属缶]
本発明のラベル缶に用いる金属缶としては、シームレス缶、溶接缶の何れでもよいが、特にシームレス缶を好適に使用することができる。このようなシームレス缶は、ティンフリースチール(TFS)等の各種表面処理鋼板やすずめっき等の各種メッキ鋼板、アルミニウムやアルミニウム合金等の軽金属板、リン酸クロム系などの化成処理を行った無機表面処理軽金属板、無機系表面処理に有機物を含んだ有機無機系表面処理軽金属板、或いはこれらの金属板にポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂から成る被覆が形成された樹脂被覆金属板を、絞り・再絞り加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工或いは絞り・しごき加工、軽金属板のインパクト加工等の従来公知の手段に付すことによって製造される。
尚、金属缶の外面には、ホワイトコート層が形成されていてもよく、この場合には、金属板の地色を隠蔽できるので、ベタ印刷層の形成を省略することができる。
また本発明においては、電子透かし画像層が透明な層により保護され、最外層にならなければよいため、図3に示したように、金属缶にオフセット印刷やインクジェット印刷などの公知の印刷方法で印刷層が形成された印刷缶を使用し、透明フィルムに電子透かし画像層が形成されたラベルを用いてもよい。またシームレス缶にフィルムを被覆した後に電子透かし画像層を曲面印刷し、さらにその後、透明保護層を設けさせる方法でもよい。しかしながら、小ロット・多品種の要望に効率よく対応するためには、透明フィルム層5に電子透かし画像4が印刷されたラベルを製造後、金属缶に被覆する方法が適している。
【0030】
(ラベル缶の製造方法)
本発明のラベル缶の製造方法においては、少なくとも電子透かし画像層、印刷層、フィルム層から成り、電子透かし画像層よりも外側に透明性を有する層が配置されていることが重要な特徴であり、このような層構成を有する限りその製造方法は限定されないが、このような層構成を有するラベルを作成し、これを金属缶の胴部に被覆することにより製造することが好適であるが、これに限定されず、図3に示すように、予め胴部に印刷が施された印刷缶に、透明性を有する層及び電子透かし画像層を有するラベルを取り付けるような態様であってもよい。
【0031】
[ラベルの製造]
本発明のラベル缶に用いるラベルは、例えば図1図3図5及び図8に示すラベルのように、印刷層3、電子透かし画像層4、透明フィルム層5がこの順で並ぶ場合は、基材となる透明フィルム層5に、グラビア印刷などにより電子透かし画像層4と絵柄層3bを形成した後、ベタ印刷層3aを行い、図8に示すラベルでは、更にベタ印刷層3a上に接着層2を形成することにより作成できる。
また図2及び図6に示すラベルは、透明フィルム層5に電子透かし画像層4を形成し、電子透かし画像層4の上に透明保護層7を形成した後、透明フィルム5の電子透かし画像層4と反対側の面に印刷層3、接着層を形成することにより作成できる。尚、前述したとおり、透明保護層7は、半硬化状態としておくことが好ましい。
さらに、図7に示すラベルは、透明フィルム層5に電子透かし画像被覆層8、電子透かし画像層4及び印刷層3をこの順で形成することにより作成できる。また図9に示すラベルでは、フィルム層5の上に、印刷層3、電子透かし画像4、透明保護層7をこの順で形成することにより作成できる。
尚、これらの層を形成する際にコロナ表面処理を施すことも勿論でき、これにより層間密着性を向上させることができる。
【0032】
図10は、ラベルの印刷層や電子透かし画像層を形成するグラビア印刷工程の一例を説明するための図であり、巻き出しロール11から巻き出されたフィルムは、上流側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、特別色(S)、白(W)の各インクに対応するグラビアローラ12a,12b,12c,12d,12e,12f、オーブン13a,13b,13c,13e,13fを有する印刷装置によって印刷された後、巻き取りロール14によって巻き取られる。
【0033】
図11は、接着層2を形成する工程の一例を説明するための図であり、透明フィルム層5上に電子透かし画像層4、印刷層3などが形成された原反フィルム9aは、巻き出しロール20から巻き出され、接着剤をコーター21で塗布され、乾燥炉22を通った後、フィルム5に電子透かし画像層4、印刷層3、接着層2が形成された原反フィルム9bが巻き取りロール23に巻き取られる。
尚、ラベルがベタ印刷層を有する場合には、図11に示したものと同様の装置を用いて、アンカーコート剤を塗布乾燥し、形成してもよい。ラベルが透明保護層を有する場合には、図11に示したものと同様の装置を用いて、透明保護層を構成する樹脂組成物を塗布し半硬化して形成してもよい。半硬化は、具体的には40℃~200℃、1~300秒程度の条件で半硬化させる方法や、樹脂組成物の主剤に対する硬化剤の割合を低減して半硬化状態に調整する方法により行うことができる。
接着層と、フィルム層の反対側に印刷層、電子透かし層、保護層などを形成する場合は、形成の順序は特に問わないが、巻取りに際しての原反フィルムのブロッキングを防止する上で接着層を最後にすることが望ましい。
【0034】
次いで、フィルム層5上に、接着層2、印刷層3、電子透かし層4、保護層7などが形成された原反フィルムを、金属缶の大きさに合わせて裁断してラベルを形成する。
【0035】
[ラベルの金属缶への被覆]
作成されたラベルは、接着層を有する場合は、ラベルを金属缶に巻きつけ、所定の温度と圧力により接着層が加熱硬化してラベルが金属缶の缶胴全周にわたって貼着されることで被覆させることで製造することができる。
また接着層2を備えない代わりに、熱収縮性のフィルムを備えたシュリンクラベルの場合は、ラベルを熱収縮させることにより缶へ被覆させてもよい。シュリンクラベルによるラベル缶の製造は、ラベルを金属缶の缶胴全周に装着させて、スチームでシュリンクさせることで製造することができる。
【0036】
[仕上げニス層の形成]
本発明のラベル缶は、ラベルを取り付けた後、必要に応じて仕上げニス層を形成する。これによりラベル缶に艶や搬送性を付与することができると共に、次いで行われるネックフランジ加工での加工性を向上することもできる。
なお、本発明のラベル缶は、内容物が充填された充填缶にラベルを被覆させることで完成されてもよい。また、ラベル缶完成後に、オフセット印刷やインクジェット印刷などの方法でさらに印刷が施されてもよい。
【実施例0037】
<実施例1>
<シームレスカップの作製>
板厚0.24mm、調質度T3-CAのティンフリースチール板(表面処理被覆量として金属クロム量120mg/m、クロム酸化物量15mg/mとした)の缶内面になる側に厚さ20μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体フィルムを、一方、缶外面になる側に酸化チタンを20重量%含有する厚さ15μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体フィルムをフィルムの融点で両面同時に熱接着し、直ちに水冷することにより樹脂被覆金属板を得た。
この樹脂被覆金属板にグラマーワックスを均一に塗布した後、直径143mmの円板に打ち抜き、絞り加工後ストレッチドロー加工することにより直径52mmで高さ112mmの薄肉化深絞リカップを得た。
この後、常法に従ってドーミング成形を行った後、上記の薄肉化深絞りカップを215℃で1分間熱処理し、フィルムの加工歪みを取り除くと共に、潤滑剤を揮発させた。次いで、開口端部の縁切りを行い、高さ106mmのシームレスカップを得た。
【0038】
<ラベルの作製>
厚みが12μmの透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を巻出し、その片面(缶胴側)に常法に従ってコロナ処理を施し、コロナ処理側にグラビア印刷で、ホワイト(W色)、イエロー(Y色)、マゼンタ(M色)、シアン(C色)、ブラック(K色)のうちの1色を用いて電子透かし画像層を設け、次いで、前述の5色を用いて各色厚さ2μmで、絵柄層を設け、各色毎に熱風で仮硬化し、次いで絵柄層の上に白色ベタ印刷層を設け、熱風で硬化してフィルムを巻き取った。フィルムは幅方向に4缶分の個々ラベルが並ぶようにした。
次いで、このフィルムを巻出し、白色ベタ印刷層の上にポリエステル系熱硬化性樹脂を塗布し乾燥炉で硬化させ、接着層を形成し、フィルムを巻き取り、図8に示す層構成のラベルを作製した。
【0039】
<ラベル缶の作製と保管>
上記で作成したラベルを巻出し、フィルム長さ方向に4条に切断し、巻取り、缶胴高さ幅の1条フィルムを作製した。
次いで、この1条フィルムを巻出し、幅は缶胴高さ、長さは缶胴部周に加えて5mmのオーバーラップ部を有する長さのサイズに切断し、160℃に加温した上記シームレスカップの外面に加圧しながら巻き回し、オーバーラップ部を接着させてラベル缶を作製した。ラベル缶は連続して3,000缶作製した。作製したラベル缶をシュートで搬送し、パレタイザーで、1段400缶にし、セパレートシートを間に入れ8段積みのパレットにして保管した。
外面仕様と評価結果を、表1に示す。
【0040】
<耐キズ性評価>
パレタイジング(パレタイザーを用いてパレットにラベル缶を並べること)したラベル缶10缶の外面を視覚検査し、グラビア印刷面の耐キズ性評価を行った。いずれの缶にもキズが無い場合を(○)、ごくわずかなキズの場合を(△)、いずれかの缶に明らかなキズがあった場合を(×)の評点とした。○と△を製品としての許容範囲とした。
【0041】
<電子透かし読み取り検査>
パレタイジングしたラベル缶10缶の外面の、缶軸に対して上下、缶胴周りに対して90度間隔の、全8カ所に対して、電子透かし読み取り機を用いて、読み取り可能か検査した。全ての箇所で読み取り可能の場合を(○)、読み取り不可が1カ所の場合を(△)、読み取り不可が2カ所以上の場合を(×)の評点とした。○と△を製品としての許容範囲とした。
【0042】
<実施例2>
電子透かし画像層を、絵柄層、白ベタ印刷層とフィルムを挟んで反対側に設け、さらに電子透かし画像の外側に透明保護層を設け、図2に示した層構成のラベルとした以外は実施例1と同様にしてラベル缶を作製し、評価した。
評価結果を表1に示す。
【0043】
<比較例1>
得られたシームレスカップ外面に、曲面コーターで白色ベタ印刷層をコートしオーブンで硬化させた。次いで凸版を用いた曲面オフセット印刷で電子透かし画像と絵柄層を印刷し、オーブンで硬化させた。出来上がった印刷缶の胴部断面は図12に示される。この印刷缶はオーブンで硬化後、搬送、パレタイジングしたこと以外は実施例1と同様にして印刷缶を作製し、評価した。
評価結果を表1に示す。
【0044】
<比較例2>
保護層を設けないこと以外は実施例2と同様にしてラベル缶を作製した。出来上がったラベル缶の胴部断面は図13に示される。
このラベル缶を評価した評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
本発明のラベル缶の効果は、実施例の結果からも明らかである。
すなわち、本発明のラベル缶においては、ラベル缶をパレタイザーを用いてパレットに並べても、電子透かし画像に傷がつくことがなく、鮮明な画像が形成され、電子透かし読み取りが良好である(実施例1および実施例2)。これに対して、シームレス缶に電子透かし画像を含んだ印刷を版式オフセット印刷で行い、実施例と同様にパレットに並べた場合には、パレタイジングで電子透かし画像に傷がつき、電子透かし読み取りが不良となってしまう(比較例1)。ラベル缶の最外層に電子透かし画像層を配置する場合(比較例2)も、比較例1と同様にパレタイジングで電子透かし画像に傷がつき、電子透かし読み取りが不良となる。
また、比較例1の版式オフセット印刷では他品種・小ロット対応のためには版およびブランケット等の取り替えが必要であるため、時間およびコストがかかってしまうのに対し、本発明のラベル缶は、ラベル缶を製造する過程で、印刷ラベルを製造し一時保管しておくことで、多品種・小ロットの印刷缶を短時間で製造することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 缶胴、2 接着層、3 印刷層、4 電子透かし画像層、5 フィルム層、6 仕上げニス層、7 透明保護層、8 電子透かし画像被覆層、11 巻き出しロール、12 グラビアローラ、13 オーブン、14 巻き取りロール、20 巻き出しロール、21 コーター、22 乾燥炉、23 巻き取りロール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13