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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120094
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】試料管および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240827BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N35/02 C
G01N35/04 H
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104066
(22)【出願日】2024-06-27
(62)【分割の表示】P 2022084328の分割
【原出願日】2017-10-05
(31)【優先権主張番号】62/405,714
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505047094
【氏名又は名称】アゼンタ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AZENTA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】グリムウッド・ロビン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ハーツェル・ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】グレイ・デイヴィッド
(57)【要約】
【課題】試料管の取り扱いおよび試料の処理に適合する試料管等を提供する。
【解決手段】試料管は、一端部が略円筒状で開放されるとともに、ねじ付きキャップによって閉止されるように構成され、かつ他端部が4つの平坦な側面を有する矩形形状で、矩形断面を有する底部によって閉止された側壁と、側壁の略円筒状端部に形成された4つの平坦な配向面とを備え、4つの平坦な配向面が、底部における矩形断面の縁に沿って試料管の長さ方向に延びており、4つの平坦な配向面が、把持具の相補的な把持面によって把持されることにより、試料管を前記把持具に対して適切に方向合わせする。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料管であって、
一端部が略円筒状で開放されるとともに、ねじ付きキャップによって閉止されるように構成され、かつ他端部が4つの平坦な側面を有する矩形形状で、矩形断面を有する底部によって閉止された側壁と、
前記側壁の略円筒状端部に形成された4つの平坦な配向面とを備え、
前記4つの平坦な配向面が、前記底部における前記矩形断面の縁に沿って前記試料管の長さ方向に延びており、
前記4つの平坦な配向面が、把持具の相補的な把持面によって把持されることにより、前記試料管を前記把持具に対して適切に方向合わせする試料管。
【請求項2】
請求項1に記載の試料管において、前記底部にバーコードをさらに備え、前記バーコードは、前記試料管の方向を特定する要素を含む試料管。
【請求項3】
請求項1に記載の試料管において、前記試料管を方向合わせするために、前記側壁に凸部または凹部をさらに備える試料管。
【請求項4】
ラックにおいて請求項1に記載の試料管を方向合わせする方法であって、
前記試料管を収容するためにそれぞれ相補的な矩形形状を有する個別の試料管収容部を有するラックに前記試料管を配置することと、
前記ラックから、前記把持具内に前記試料管を上昇させることと
を含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記底部にバーコードをさらに備え、前記バーコードは、前記試料管の方向を特定する要素を含む方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、前記試料管を方向合わせするために、前記側壁に凸部または凹部をさらに備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2016年10月7日出願の米国仮特許出願第62/405,714号の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本出願の一部をなすものとして引用する。
【背景技術】
【0002】
通常、化学試料および生体試料の取り扱いおよび保存に際し、試料および試薬は、搬送および保存効率のために、大型の保存ラックに保持される個々の試料管内で保存される。通常、試料管は、SBS(Society for Biomolecular Screening)形式の業界標準のラックに保存される。例えば、9mmピッチの8×12配列の試料管保持用収容部は、試料管を96個保持する。同様に、他の標準のラックは、試料管を384個支持できる。管のラックは、例えば-20℃または-80℃で、大型の自動保存システムにおいて冷凍してもよい。
【0003】
個々の管は、識別用のバーコードを有していてもよい。このバーコードは、管の側部に設けられていてもよいが、単一の画像でラック全体の管を読み取ることができるように、管の下端部にバーコードがあってもよい。ロボットシステムは、ラックから個々のバーコード付き管を取り出して、これらの管を並べ替えること、またはこれらの管を異なるラックもしくは他の場所に移動させることができる。通常、個々の管は、ピッキングステーションにおいて把持具によって取り扱われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試料管の取り扱いおよび試料の処理における近年の進歩は、試料管の下端部に広がる従来のバーコードとは不適合である。本発明によると、管底部または管底部の一部は、光または音を透過する機能的な窓として用いることができる。いくつかの例において、この窓は、試料の透明度や色の評価、または分光法に使用されるように光を透過させることが可能であるが、従来のバーコードは、必要とされる光の透過を阻害するものである。他の例において、試料管の底部に回路チップおよび/または送信機を配置してもよい。この回路チップまたは送信機により、例えば、個々の管のRFID識別を行ってもよい。また、このような回路は、例えば、回路を活性化させて管から識別子または他のデータを出力するレーザービームを用いた照明によって呼び出してもよい。従来のバーコードは管の底部を覆ってしまうので、従来のバーコードの存在は、このような回路チップの読み取りまたは送信データの受信には不適合である。
【0005】
管下端部の従来のバーコードと不適合な他の技術としては、音響分配が挙げられる。Labcyte, Inc.社のEchoTM liquid handling technologyによって提供されるような音響分配は、音響液滴吐出によって、原マイクロプレートのウェル(溜め)から、原プレートに対向する倒立型の宛先マイクロプレート(inverted destination microplates)のウェルへ、試料の小滴を移動させるために用いられている。現在、この技術は、ラックの試料管から倒立型マイクロプレートのウェルまたは宛先ラックの倒立型管へ液滴を移動させる用途のために提案されている。管の下端部にある従来のバーコードは、音響変換器から試料管の液体への音響結合に干渉する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願のシステムの一構成によると、試料管は、一端部において開放され、かつ他端部において底部によって閉止された側壁を備える。前記底部の二次元バーコードは、前記管の下方から読み取ることができるデータを保存している。機能的な窓(例えば、遮るものがない箇所、またはバーコードもしくは他のプリントによって遮られていない箇所)を設けるために、前記管底部の中央において、前記バーコードは、底部中央からこの底部の周縁に向かって配置された複数のバーコード成分を有する。各バーコード成分が保存するデータは全体データ出力よりも少なく、複数のバーコード成分から読み取られたデータが組み合わされて、全体データ出力を提供する。よって、バーコードを複数の成分に分割し、前記試料管の下端部の周縁へ移すことにより、前記底部の中央領域は、電子回路チップの呼び出し(interrogation)、光を用いた試料観察、またはアコースティックディスペンサーにおける音響結合などの他の機能のために空けられている。
【0007】
冗長バーコード成分を設けてもよい。好ましくは、対角線上に配置された2つのバーコード成分を組み合わせて全体データ出力を提供し、対角線上に配置された2つのバーコード成分の冗長組を組み合わせて冗長全体データ出力を提供する。
【0008】
バーコード成分の間の中央領域は、レーザーによって活性化されて、無線周波データを発信する回路を支持してもよい。また、より旧来の無線周波識別チップを支持してもよい。中央領域に配置された回路に温度センサーを含めることにより、前記回路が温度データを発信してもよい。代替的に、光学または音響信号を送信するために、前記底部の中央領域に開放窓を残してもよい。
【0009】
前記側壁の円筒状の開放端部は、この開放端部を閉止するねじ付きキャップを支持している。前記側壁は、把持具に対して前記試料を方向合わせする配向面をさらに備えていてもよい。この非円筒状の配向面は、平坦面であってもよい。対照的に、前記試料管の下端部は、矩形断面などの非円筒状の断面形状を有していてもよい。前記配向面は、矩形断面の縁に沿って延びていてもよい。前記バーコードは、前記試料管の方向を確認するための要素を含んでいてもよい。
【0010】
試料管取扱システムは、1つの試料ラックと、前記ラックに配置された複数の試料管とを備えていてもよい。撮像システムは、前記ラックにおける個別の試料管のバーコードを撮影する。音響分配システムは、前記試料管の底部の中央窓の音響特性を調査してもよく、前記バーコードによって識別される個別の試料管に対する調査データは、データベースに保存してもよい。
【0011】
通常、試料管は円筒状である。しかしながら、前記試料管の下端部が、矩形断面などの非円筒状であることが有利といえる。例えば、矩形状の下端部により、前記ラックに対する前記の試料管の方向を一定にできる。音響分配においては、まず、音響波が伝わる表面を調査して、その音響特性を特定する。方向が一定に維持されている限り、前記表面は、その後の分配において再度調査する必要はない。
【0012】
本願のシステムの別の構成によると、前記試料管は、一端部が略円筒状で開放され、かつ他端部が非円筒状で底部によって閉止された側壁を備える。前記側壁の略円筒状端部に形成された非円筒状表面が、把持具の相補的な把持面によって把持されることにより、前記把持具における管の回転を防止し、前記試料管を前記把持具に対して適切に方向合わせしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
上記の内容は、添付の図面に示されるような本発明の例示的な実施形態についての以下のより具体的な説明から明らかになる。図面において、同一の符号は、異なる図においても同一の部品を指している。これらの図面は必ずしも縮尺のとおりではなく、本発明の実施形態を説明するにあたり、強調が加えられている。
図1A】左側に示す本発明の分割バーコードと、右側に示す先行技術の試料管のバーコードとの比較である。
図1B】試料管の端部における分割バーコード成分の代替的な配置の図である。
図1C図1Aおよび図1Bのバーコード成分の読み取り操作を示すフローチャートである。
図1D図1Aおよび図1Bの試料管底部の中央領域に設けることができる回路の図である。
図2A】試料管の閉止端部に平坦な側面を有する本発明の実施形態の側面図である。
図2B】試料管の閉止端部に平坦な側面を有する本発明の実施形態の端面図である。
図3A】閉止端部に略矩形断面を有する試料管の側面図である。
図3B】閉止端部に略矩形断面を有する試料管の端面図である。
図4】矩形断面の閉止端部と、下端部に分割バーコード成分とを有する試料管の斜視図である。
図5A図2Aの側面図と同様の、追加の配向面を有する試料管の側面図である。
図5B図2Bの端面図と同様の、追加の配向面を有する試料管の端面図である。
図6A図3Aの実施形態と同様の、配向面を有する代替的な実施形態の図である。
図6B図3Bの実施形態と同様の、配向面を有する代替的な実施形態の図である。
図7A】把持アームによって把持された管の斜視図である。
図7B】把持アームによって把持された管の平面図である。
図8A】開放端部の付近で配向面がより幅広となっている別の試料管の実施形態の図である。
図8B】開放端部の付近で配向面がより幅広となっている別の試料管の実施形態の図である。
図9A図6Aおよび図6Bの試料管を支持する相補的な表面を有する高密度ラックの図である。
図9B図9Aのラックの一部の拡大図である。
図9C図9Aのラックの一部の平面図である。
図9D】試料管が内部に配置された図9Aのラックの側面断面図である。
図9E】試料管収容部にスプリングタブを有する代替的なラックの一部の斜視図である。
図10A】試料管を把持具内に移動させる手順における、試料管、ラックおよび把持具の断面図である。
図10B】試料管を把持具内に移動させる手順における、試料管、ラックおよび把持具の断面図である。
図10C】試料管を把持具内に移動させる手順における、試料管、ラックおよび把持具の断面図である。
図10D】把持具に配置された試料管の平面図である。
図11A】方向を検出するための要素を含む二次元バーコードの図である。
図11B】方向を検出するための要素を含む二次元バーコードの図である。
図11C】方向を検出するための要素を含む二次元バーコードの図である。
図11D】方向を検出するための要素を含む二次元バーコードの図である。
図12A】ラック内で一定かつ一貫した高さに試料管をロックするための凸部を有する試料管の斜視図である。
図12B】ラック内で一定かつ一貫した高さに試料管をロックするための凸部を有する試料管の平面図である。
図12C】ラック内で一定かつ一貫した高さに試料管をロックするための凸部を有する試料管の側面図である。
図13A】ラック内で一定かつ一貫した高さに試料管をロックするために、ラックに凸部を有する試料管、およびラックの図である。
図13B】ラック内で一定かつ一貫した高さに試料管をロックするために、ラックに凸部を有する試料管、およびラックの図である。
図13C】ラック内で一定かつ一貫した高さに試料管をロックするために、ラックに凸部を有する試料管、およびラックの図である。
図14A】試料管およびラックの断面図である。
図14B】試料管を方向合わせするための代替的な凸部を示す拡大図である。
図15】大型の試料管保存システムの図である。
図16図15の音響分配システムに保存庫から試料管を自動搬送し、試料管を保存庫に戻すためのフローチャートである。
図17図15のシステムにおける試料管保存のフローチャートである。
図18図15の保存システムにおける試料管の処理および出力のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明の例示的な実施形態を説明する。
【0015】
図1Aには、4つの試料管の端部が図示されている。右側の管は、14×14グリッドに10文字といったデータ量(例えば、「FR01036242」)を符号化する従来の2Dバーコードグリッド106を有する。図から分かるように、このバーコードは、試料管の下端部108において相当な部分を占めている。上記のとおり、多くの用途においては、管底部にバーコードのない開放窓があることが望ましい。例えば、窓は、光を用いた試料観察、音響分配、または、電子回路チップの呼び出しに用いてもよい。この従来のバーコードは、バーコード読み取りの信頼性を損なうことなく、サイズを小さくして中央窓の周縁に配置することができない。いくつかの用途(化学試料および生体試料の低温保存など)において、単純にサイズを小さくした従来のバーコードに霜がついている場合、バーコードの読み取りが困難および/または不確実になることがある。中央窓104を得るために、左側の管に示されたコード成分102は、中央開放部の周縁に配置できるようなサイズにできる。しかしながら、各バーコード成分102は、1つのコードの一部(例えば、コード全体の1/2)のみを符号化している。例えば、2つの成分102は全体で10文字となるコードの一部を含み、このバーコードが読み取られて復号され、各成分から復号されたデータが連結される。一実施形態において、各コード成分102は、3文字の英数字または6文字の数字を符号化できる10×10グリッドである。例えば、1つのバーコード成分が「FR01」を符号化し、他の成分が「036242」を符号化してもよい。英字コードの「FR」を含む成分は1つしかないので、連結データの適切な順番は明白である。2つの成分を区別する他の標識として、一方または両方の成分において特有の英数字の文字列またはシンボルなどを用いることも可能である。
【0016】
必要なデータの符号化に要するのは2つの成分102だけであるので、2つの付加的な成分が空いている。これら2つの付加的な成分は、冗長データを提供するために使用してもよい。バーコードのサイズを小さくしたことによって復号にエラーが生じやすいので、これは特に有用である。冗長成分により、追加のエラーチェックや、エラー補正も可能である。
【0017】
図1Bには、中央窓112を設けることが可能な4つのバーコード成分の代替的なレイアウトが示されている。大きさはミリメートル単位で表し得る。図示されているとおり、管の底部は、図1Aのように円形であっても、図1Bのように矩形であってもよい。
【0018】
図1Cには、図1Aおよび図1Bのバーコード成分を復号するプロセスが示されている。工程124では、4つの成分の画像が取得される。この画像は、1つの試料管の底部のものであってもよいが、ラック全体の試料管の底部に対して1つの画像を取得することが多いと考えられる。工程126では、4つのバーコード成分がそれぞれ復号される。対応するバーコード成分の対を対角線上に印刷することにより、どの成分が対として適合するのかについて混乱が生じない。工程128では、対角にある各対において、一方の成分における所定の文字によって順番が特定される。そして、工程130において対角成分が連結され、2つの冗長な復号出力が得られる。これらの冗長成分は、工程132のエラーチェックで比較してもよい。2つの成分が適合したとすると、工程134で1つのデータ出力が提供される。これらの成分が適合しない場合、冗長コードによりエラー補正が可能であることもある。そうでない場合、再撮影またはマニュアルチェックを行ってもよい。
【0019】
図1Dに示されているように、中央窓に設けられた回路チップ116は、プロセッサ120と、メモリ122と、光電池118と、アンテナ124とを有していてもよい。光電池は受光したレーザー光によって通電される。前記回路は、光によって動力を得ており、前記アンテナを介してデジタルRF信号を発することが可能である。データは、単に識別情報であっても、他の試料情報であってもよい。しかしながら、管および/またはその内部に保存された試料の履歴情報をも記録してもよい。特に、前記回路は、試料管に保存された試料の近傍に、またはこの試料と接して温度センサー120を有していてもよい。このように温度センサーが試料の近傍にあることにより、より正確な温度測定および/または試料の評価が可能である。いくつかの例において、前記温度センサーおよび対応する回路チップは、管内の試料の体積にかかわらず、少なくとも一部の試料が温度センサーの近傍にあるように、管の底部に設けられている。いくつかの実施形態では、前記管の回路チップ内および/または前記管の外部のデータ管理システムに、試料の温度履歴を保持してもよい。こうした履歴は、保存された試料が熱的に不安定である場合に特に重要である。
【0020】
通常、試料管は、図1Aに示されているように円筒状である。しかしながら、いくつかの用途においては、管の下端部が、図2図6に示されているように平坦な側面を有する矩形形状などのように、非円筒状であることが好都合である。例えば、いくつかの用途においては、管の形状および/または管の方向合わせが重要である。例えば、いくつかの用途(例えば、音響分配などの分配用途)では、管の物理的および/または材料的な特徴(例えば、構成材料、密度、物理的な傷、構成材料の非一貫性、厚みの変動、管製造時の変動など)が管の全体にわたってまたはその一部において異なることから、これらの特徴についての知識が要求される。したがって、いくつかの用途に対して、管は、その特性について調査される。管の調査方法としては、例えば、光学観察、または音波もしくは電磁波測定の実施が挙げられる。多くの場合、調査データは管の特定の方向に固有であり、管の方向を把握すること、または特定用途の要件に応じて維持することが必要である。非円筒状の実施形態により、支持ラック内で管を適切に方向合わせできる。図2Aおよび図2Bの管において、両側の平坦な壁202および204が設けられる。しかしながら、ねじキャップなどのねじ付きクロージャ206を管に取り付けることができるように、円筒状の開放端部を管に設けることが依然として有益である。
【0021】
図3Aの側面図および図3Bの底面図には、管の下端部の4つの平坦面が略矩形をなす代替的な構成が示されている。この場合、より長い平坦面210が対向するとともに、より短い平坦面208が対向している。長さが異なる対辺2組を有する略矩形形状により、対応するラックにおける管を配置できる方向が2つに減少する。他の実施形態において、管の下端部の形状は正方形であり、ラックにおいて4つの方向合わせが可能である。他の管底部の形状により、ラックにおいて可能な方向合わせを1つとしてもよい。
【0022】
図4には、略矩形の下端部と、ねじキャップ402を有する円筒状の開放端部と、中央窓406の周縁を囲む4つのバーコード成分404とを有する試料管が示されている。なお、この窓は、光学窓または音響窓であってもよく、チップを支持していてもよい。
【0023】
図5Aおよび図5Bには、図2Aおよび図2Bの試料管が4成分バーコードを有する変形が示されている。試料管の円筒状の開放端部により、その下端部の平坦面が収容ラックの平坦面と整合しない場合、試料管が把持具内で回転する可能性がある。こうした回転を防止するために、非円筒状の表面(具体的には平坦な摺動パッド)が、管の開放端部の周縁に形成される。これらの表面は、キャップが螺合される円筒状の開口と干渉しない。雄ねじを有する管であっても平坦な摺動パッド502を有していてもよいが、この摺動パッドは、管の開放端部までの長さ全体にわたって延びている必要はない。いくつかの実施形態において、前記摺動パッドは、管と同じ構成材料からなり、管と一体形成されている。他の実施形態において、摺動パッドは、管とは異なる構成材料から形成してもよく、管と一体化(例えば、管と一体成形)されていても、管に別体として取り付けてもよい。
【0024】
図7Aおよび図7Bに示されているように、把持具アセンブリは、対応する平坦面を有する。2つの把持指702および704が互いに向かって移動して、管706を把持する。一実施形態では、把持指702および704はばね力を受けて共に保持され、管706はプッシャー機構によってラックから把持指の間へと押され、前記管はばね力によってその間で保持される。図7Aおよび図7Bにおいて、把持指702および704は、ねじキャップ708の下方で管706の上端部を把持していることがわかる。各把持指は、試料管の平坦面502に対して相補的である2つの平坦面710を指711に有する。把持指が試料管を締め付けると、これらの相補的な平坦面は、試料管が適切な方向を向いた状態で、回転することなくアーム内に留まるようにする。管がラックから把持指に押し上げられる際に僅かに回転した場合、前記管がこれらの指の間に入るにつれて、平坦な摺動パッドが試料管を戻すように回転させて適切な方向にする。
【0025】
図6Aおよび図6Bには、図3Aおよび図3Bの実施形態の4つの平坦面に追加された平坦な摺動パッド602が示されている。各実施形態の摺動パッドは試料管の長さ全体にわたって延びていなくてもよいが、その長さ全体にわたって延在させることで、製造プロセスが簡易化される。
【0026】
図8Aおよび図8Bには、図6Aおよび図6Dならびに図3Aおよび図3Bの形状を変形した他の摺動パッドが示されている。当該実施形態において、実質的により幅広(約2.5mm幅など)の摺動パッド802が、試料管の開放端部に設けられている。しかしながら、この摺動パッドは試料管の下端部804に向かって狭くなっている。この狭い摺動パッドによって、より広い面取り806が得られ、試料管をラック内でより良好に支持し、方向合わせし、および/または整合させることが可能である。上記と同様に、ねじ付きキャップ808は、試料管の端部を閉止する。
【0027】
図9Aには、自動管保存システム(例えば、保存庫)の保存ラックに用いてもよい高密度ラックが示されている。管収容部の各列は、ラックに保存される管の密度を高くするために、隣接する列からずれていることがわかる。各収容部は、平坦面208,210に対して相補的な4つの平坦面908,910を有していることがわかる。より狭い平坦面902は平坦な摺動パッド602に対応している。試料管の面取りは支持面912に当接する。図9B図9Cおよび図9Dの各図には、キャップ916を有する1つの管がラック内に着座した状態で示されている。これらと同様の構成は、SBS形式のラックにも採用できる。
【0028】
図9Eには、複数の管が内部で支持されている標準的密度のラック(例えば、SBS形式のラック)が示されている。空の収容部は、支持面912の1つにばね付勢タブ918が設けられた更なる変形を示している。このタブ918は、管の側部に形成された凹部にはまり込んで、管を固定できる。単一のタブおよび単一の凹部のみが設けられている場合、試料管が1方向にのみ配置されるようにすることが可能である。
【0029】
図10A図10B図10Cおよび図10Dには、代替的な把持具の設計を用いた管の取り出し手順が示されている。図10Aに示されているように、管1002は、最初はラック1004に着座している。把持具1006は、互いに固定されたアームを有し、このアームはばね付勢クリップ1008を支持している。図10Bに示されているように、管は、まずプッシャー(図示せず)によってラックの下方からクリップ1008へと、ラックから押し上げられる。このとき、ラックおよびばね付勢クリップの両方によって、回転は制限されている。その後、図10Cに示されているように、管は、この管が回転しないように拘束するために管の表面に対して相補的な表面1012(図10D)を有するカートリッジ1010へとさらに押し上げられる。
【0030】
図11A図11B図11Cおよび図11Dには、本発明に従って管の適切な方向を検出できる従来のバーコードが示されている。図11Aに示されているように、バーコード1102における2本のバー1104は、このバーコードの2つの端を特定する。図11Cに示されているように、バーコード1102において前記2つの端に対向する端にあるマトリックス密度バーは、このバーコードの行と列とを定める。図11Dに示されているように、クワイエットゾーン1108がバーコードを囲んでいてもよい。2Dコードの端は、クワイエットゾーン(すなわち、コードを囲む空白領域)を検出するイメージングソフトウェアによって検出できる。これにより、2本のファインダーバー1104は方向を示している。こうしたバーコードの配向部分は、少なくとも1つのバーコード成分に用いてもよく、好ましくは4つすべてに用いられる。
【0031】
図12から図14には、回転方向および上下方向の両方に試料管を方向合わせするために用いられる付加的な構成が示されている。図12A図12Bおよび図12Cに示されているように、試料管の下端部において、対向する平坦面のそれぞれにバンプ1202(凸部)が形成されている。これらのバンプは、相補的な収容部表面における凹部に収容される。
【0032】
図13A図13Bおよび図13Cに示されているように、前記バンプは、収容部の側部に形成する代わりに、試料管の側部の凹所に設けてもよい。
【0033】
図14Aおよび図14Bでは、管および収容部のそれぞれに凸部が設けられている。凸部1402が試料管1406に設けられており、凸部1404が収容部1408に設けられている。凸部1404は管の凹部に着座し、凸部1402は収容部の縁の下方に着座する。
【0034】
凸部を有する上記の各実施形態において、収容部または管の材料もしくは構造により、試料管を収容部に滑り込ませることができるように、ある程度の屈曲が可能である。また、傾斜面により、凸部が凹部に入るよう移動する際に初期摩擦を生じさせることなく、収容部において管を移動させることが可能である。
【0035】
図15には、ラックおよび試料管を保存できる完全な保存システムが示されている。当該保存システムは、試料管が入った保存トレーおよび/または試料管が入ったラックのトレーのための多数の保存位置(図示せず)を有する冷凍保存庫1502を含む。これらのラックは、ロボット搬送システムを用いて保存庫内で搬送される。ドア1504の後ろの入力/出力ステーションにより、研究者は、入力/出力ラックを保存庫1502に入れることができる。また、保存庫の内部には、入力/出力ラックから管を取り出し、適切な保存収容部または他の入力/出力ラックに配置するためのピッキングステーションがある。適した入力/出力ラックは、2016年1月20日出願の欧州特許出願第16275011.1号(タイトル:“Automated Sample Storage System Having Storage Consumable with Sub-Optimal Storage Density”)に記載されている。この文献については、その全体を参照により本出願の一部をなすものとして引用する。保存庫内には、ラックに収容されている試料管の端部から2Dバーコードを読み取るためのイメージャが設けられている。また、このシステムは、音響分配システム1506を備えていてもよい。
【0036】
前記音響分配ステーションは、インターフェース1508を備え、このインターフェースによって、自動インターフェースモジュール(AIM)は、保存庫から保存ラック(例えば、複数の保存ラックを有するトレー)を自動的に出力する。ステーション1506は、解凍ステーション1510と、ラベルプリンタ1512と、カルーセル保存部1514と、2つの音響分配ステーション1516と、マイクロプレートの上に封止フィルムを適用するフィルムディスペンサー1518と、チューブデキャッパ1520と、マイクロプレートから封止フィルムを除去するステーション1522とを備える。ラックは、中央ロボットシステム1524によってステーションからステーションへ移動される。また、図示されていないものの、遠心分離機も設けられている。ラックまたはマイクロプレートに収容された試料に対して分析や他の処理(例えば、液体分配)を行うために、ステーション1526などの付加的なステーションを設けてもよい。
【0037】
制御システム1528は、保存庫1502内、ならびに、いくつかの実施形態においてはアコースティックディスペンサー1506およびステーション1526などの周辺システム内のすべての自動化を制御する。一般に、制御システム1528は、データプロセッサ、対応のメモリ、および入力/出力装置を備えるハードウェアシステムのソフトウェアに実装される。前記プロセッサのルーチンおよびデータは、コンピュータプログラム製品などの非過渡的なコンピュータ可読媒体に保存してもよい。前記システムは、例えば、単体のコンピュータまたは装置のネットワークであってもよい。前記システムは、各バーコード識別子を、例えば、管;ラック;ラック位置;調査データ;冷却、加温および/または処理履歴;および/または他の試料、管もしくはラック情報に関連付けるデータベースをメモリ内に有する。
【0038】
図16に示された典型的な操作において、自動インターフェースモジュールは、工程1602において、保存庫から保存ラックのトレーを出力する。音響分配システムの中央ロボットは、工程1604において、ラックを所定時間または所定温度に到達するまで解凍ステーションに置く。その後、管のラックは、任意で、自動遠心分離機に移動される(工程1606)。そして、管のラックは、自動デキャッパへ搬送され、チューブキャップが外される(工程1608)。このラックは、宛先マイクロプレートも配置されたアコースティックディスペンサーへ移動され、試料が元の管から宛先プレートに吐出される(工程1610)。その後、宛先プレートは、自動封止された(工程1614)後に保存カルーセルに戻される(工程1612)。そして、管ラックがデキャッパに戻されて、元の管にキャップが締めなおされ(工程1616)、ラックがAIMを介して保存庫に戻される。
【0039】
従来、解凍システムは、解凍速度を上げるために試料の下から暖かい空気を吹き付けることに依存している。他の方法としては、抵抗加熱、水槽などの媒体を介した伝導、またはマイクロ波加熱が挙げられる。水溶液中の試料などの試料を加熱するために、音響エネルギーを使用することも可能である。音響エネルギーは、細胞を損傷させることなく、細胞の加温および搬送を行うために使用できる。音響エネルギーは、他の加温方法で発生し得るホットスポットの形成を制限できる。図1Dの回路チップ116に設けられた温度センサー122は、試料からリアルタイム温度フィードバックを無線で提供できる。音響的加熱と組み合わせた場合、生体試料のサンプルは、あらかじめプログラムされた温度プロフィールに従って、またはあらかじめプログラムされた温度閾値まで解凍および加温でき、その精度は、温度センサーからのリアルタイムフィードバックによって顕著に向上している。また、前記温度センサーは、他の加熱アプローチと同様の利点を提供する。精密な監視を行い、あらかじめプログラムされた温度プロフィールまたはあらかじめプログラムされた温度閾値を可能とするための前記温度センサーからのリアルタイム温度フィードバックにより、試料(例えば、細胞)の生存性を最適化すること、ならびに過熱および/または不均一な加熱を防止して、それによって試料に与えうる損傷を防止できる。
【0040】
これまでの音響分配システムは、原材料/試薬が入った多数のウェルを有するマイクロプレートに依存していた。よって、原プレートの1回の調査スキャンにより、プレート内のすべてのウェルについての調査情報が提供されていた。この情報は、マイクロプレートにおける1つのバーコードによって表される1つのマイクロプレートIDに対して保存されると考えられる。本発明のシステムにおいて、各試料管を任意のラックに移動させてもよいことから、各管に対して調査データを得ることが必要である。よって、調査データは、プレート全体の1つのIDではなく、管IDと関連付けられていなければならない。また、調査データを再使用する場合、各管の方向を保持しなければならない。
【0041】
図17は、保存システムのラックに管を保存するプロセスのフローチャートである。試料管のラックは、工程1702において、ドア1504の後ろのトレーI/Oマガジンに入力してもよい。代替的に、工程1704において、ラックを含むトレーは、自動インターフェースモジュール(AIM)を介して、例えばトレーインターフェース1508を介して収容してもよい。いずれにせよ、保存庫に入力する際のラック位置は、ラックにおけるすべての管の下端部におけるバーコードを撮影することができるイメージャを介して送信してもよい(工程1708)。そして、このラックは、最終的な保存先へロボット制御で搬送されてもよい(工程1710)。代替的に、1つ以上のラック内の試料管は、工程1712において、ピッキングステーションにおいて把持具で管を取り出し、同一または異なるラックに管を適宜戻すことによって再フォーマットしてもよい。再フォーマット後、再フォーマットされたラックは、最終的な保存場所へロボット制御によって移動されてもよい(工程1714)。工程1716において任意で管を再撮影し、または、工程1716において空のラックを撮影して、それらのラックが空であることを確認してもよい。その後、工程1718において、保存される任意のラックがその保存場所へロボット制御によって移動される。
【0042】
図18は、保存庫内の試料管が搭載されたラックの好適な自動処理および出力を示すフローチャートである。工程1802において、このラックを保存庫から取り出し、工程1804において、試料を再フォーマットするためにピッキングステーションへ搬送してもよい。試料を再フォーマットする際、出力される試料は1つのラックに配置され、保存庫に戻される試料は異なるラックに配置される。解凍およびその後の再冷凍が必要となるのは、処理する必要がある試料のみである。出力されない管は、保存庫に戻される(工程1806)。出力される管を含むラックは、工程1808において、イメージャへ移動される出力トレーに配置される(工程1810)。このイメージャでは、適切な試料管の識別および方向合わせが行われる。前記トレーは、このイメージャから移動され保存出力される(工程1812)。これにより、前記トレーは、工程1814においてトレーI/Oマガジンからマニュアルで取り出しても、工程1816においてAIMによって取り出してもよい。
【0043】
少なくとも音響分配の場合、分配操作において調査データを正確に適用できるように、試料管の方向を維持することが重要である。上記のとおり、試料管の円筒状端部における平坦な摺動パッドにより、取り出し操作および配置操作の間、管の回転を防止することによって、適切な方向合わせが容易になる。保存庫に最初に搬入されたときの各管の方向は、図11A図11Dに示された特徴的なバーコードを撮影することによって記録される。下端部に正方向断面を有する管の方向は、4つの方向のうちのいずれかであるが、非正方形の矩形状の下端部を有する管の方向は、2つしかない起こり得る方向のうちのいずれかである。その後、撮影時にエラーが検出された場合、方向合わせが正しくない試料に対して人間による点検を行ってもよく、アコースティックディスペンサーによる修正または再調査を要求してもよい。他の実施形態において、保存システム内のピッキングステーションは、回転把持具または他の管回転機構を用いて、撮像装置によって検出された方向合わせが正しくない試料を自動的に再度方向合わせするように構成できる。
【0044】
典型的な業界標準の管ラックは、ラック全体の方向を画像から検出できるという構成を有する。ユーザはラックを正確な方向で入れるように求められるが、入力が不正確である場合、画像にエラーが検出される。そして、ユーザまたはシステムは、ラック全体の方向を修正してもよい。他の実施形態において、前記保存システムは、(ラックターンテーブルなどの)装置を用いて、撮像装置によって検出された、方向合わせが正しくない試料を自動的に再度方向合わせするように構成できる。
【0045】
これまでの音響分配システムは、原材料/試薬が入った多数のウェルを有するマイクロプレートに依存していた。アコースティックディスペンサーを用いてマイクロプレートから材料を搬送する場合、すべてのウェルから宛先マイクロプレートへ材料が搬送されない場合であっても、マイクロプレート全体のカバーが外されていた。本発明を実施することにより、元のラックに入れるように選択した、かつ/または任意でキャップを外した所望の管のラック全体またはその一部について、分配を所望する試料または試薬のみを露出させることができる。無関係の不要な試料および試薬に対しては、マイクロプレートからの従来の音響分配において行われるような、解凍および/またはカバーの取り外しが行われない。
【0046】
音響分配の間、それまでに保存された調査結果を、個々の管の識別バーコードに基づいて取得してもよい。そして、これらの過去の調査結果を分配プロセスにおいて使用してもよい。代替的に、調査を通じて新たなデータを取得してもよい。いくつかの実施形態では、保存庫1502は、コントローラとデータ保存システムとを有し、これらによって、特定の管から得られた調査データが調査装置(例えば、アコースティックディスペンサー)から送信され、保存される。いくつかの例において、前記コントローラおよびデータ保存システムは、入力/出力ラックに配置された管に関連するデータを含むデータパケットを構築できる。このデータパケットは、ほとんどの場合、特定の管と関連するデータ(例えば、調査データ)を、入力/出力ラックにおける管の位置と関連付けるものである。そして、前記コントローラおよびデータ保存システムは、前記データパケットを、そうした情報を必要とする装置(例えば、分配装置)に送信できる。前記データパケットは、ラックバーコードを用いて特定のラックと関連付けてもよく、装置は、このラックバーコードを読み取って、関連付けたデータパケットを必要に応じて装置の動作に適用できる。
【0047】
本発明について、その例示的な実施形態に言及しながら具体的に記載し説明したが、この分野の当業者であれば、添付の請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構成および細部に様々な変更を施すことができるということを理解するであろう。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
試料管であって、
一端部において開放され、かつ他端部において底部によって閉止された側壁と、
データを保存し、かつ前記試料管の下方から読み取られてデータ出力を提供できる、前記底部における二次元バーコードとを備え、
前記バーコードが、前記底部の中央から前記底部の周縁に向かって配置された複数のバーコード成分を有し、各バーコード成分が、全体データ出力よりも少ないデータを保存し、前記複数のバーコード成分から読み取られたデータを組み合わせることで前記全体データ出力を提供する、試料管。
[態様2]
態様1に記載の試料管において、冗長バーコード成分をさらに備える試料管。
[態様3]
態様1に記載の試料管において、前記全体データ出力を提供するように組み合わされる、対角線上に配置された2つのバーコード成分と、冗長全体データ出力を提供するように組み合わされる、対角線上に配置された2つのバーコード成分の冗長組とを備える試料管。
[態様4]
態様1に記載の試料管において、前記底部の中央領域に回路をさらに備え、前記回路が、レーザーによって活性化されて無線周波データを発信する試料管。
[態様5]
態様1に記載の試料管において、前記底部の中央領域に配置された回路に、温度センサーと、データ送信機とをさらに備える試料管。
[態様6]
態様1に記載の試料管において、前記底部の中央領域に無線周波識別チップをさらに備える試料管。
[態様7]
態様1に記載の試料管において、前記底部の中央領域に開放窓をさらに備える試料管。
[態様8]
態様1に記載の試料管において、前記試料管の前記開放端部を閉塞するねじ付きキャップをさらに備える試料管。
[態様9]
態様1に記載の試料管において、前記側壁の前記開放端部が円筒状であり、前記側壁が、把持具に対して前記試料管を方向合わせする配向面をさらに有する試料管。
[態様10]
態様9に記載の試料管において、前記試料管の前記下端部が、非円筒状の断面形状を有する試料管。
[態様11]
態様10に記載の試料管において、前記下端部が矩形断面を有する試料管。
[態様12]
態様11に記載の試料管において、前記配向面が、前記矩形断面の縁に沿って延びている試料管。
[態様13]
態様9に記載の試料管において、前記バーコードが、方向を確認するための要素を含む試料管。
[態様14]
試料ラックと、
前記ラックに配置された試料管であって、各試料管が、一端部において開放され、かつ他端部において底部によって閉止された側壁と、データを保存し、かつ前記試料管の下方から読み取られてデータ出力を提供できる、前記底部における二次元バーコードとを有し、前記バーコードが、中央窓の周りに前記底部の周縁に向かって配置された複数のバーコード成分を有し、各バーコード成分が、全体データ出力よりも少ないデータを保存し、前記複数のバーコード成分から読み取られたデータを組み合わせることで前記全体データ出力を提供する、試料管と、
前記ラックにおける個別の試料管のバーコードを撮影する撮像システムと、
前記試料管の前記底部の中央窓の音響特性を調査する音響分配システムと、
前記バーコードによって識別される個別の試料管についての調査データを保存するデータベースとを備える試料管取扱システム。
[態様15]
試料管であって、
一端部が略円筒状で開放され、かつ他端部が非円筒状で底部によって閉止された側壁と、
前記側壁の略円筒状端部に形成された非円筒状表面とを備え、
前記非円筒状表面が、把持具の相補的な把持面によって把持されることにより、前記試料管を前記把持具に対して適切に方向合わせする試料管。
[態様16]
態様15に記載の試料管において、前記試料管の前記下端部が、矩形断面を有する試料管。
[態様17]
態様16に記載の試料管において、前記側壁の略円筒状端部に形成された前記非円筒状表面が、前記試料管の前記下端部における前記矩形部分の縁に沿って延びている試料管。
[態様18]
態様15に記載の試料管において、前記非円筒状表面が、平坦面である試料管。
[態様19]
態様15に記載の試料管において、前記試料管の前記下端部にバーコードをさらに備え、前記バーコードは、前記試料管の方向を特定する要素を含む試料管。
[態様20]
態様15に記載の試料管において、前記試料管を方向合わせするために、前記側壁に凸部または凹部をさらに備える試料管。
[態様21]
試料管の識別方法であって、
一端部において開放され、かつ他端部において底部によって閉止された側壁と、データを保存し、前記試料の下方から読み取られてデータ出力を提供できる、前記底部における二次元バーコードとを備え、前記バーコードが、前記底部の中央から前記底部の周縁に向かって配置された複数のバーコード成分を有する試料管を準備することと、
各バーコード成分を撮影し、復号することと、
前記複数のバーコード成分から復号されたデータを組み合わせて、全体データ出力を提供することと
を含む方法。
[態様22]
態様21に記載の方法において、前記試料管の前記底部に冗長バーコード成分を提供することと、前記冗長バーコード成分からの出力を比較することとをさらに含む方法。
[態様23]
態様21に記載の方法において、
対角線上に配置された冗長バーコード成分を2組提供することと、
各組のバーコード成分を復号することと、
復号された前記組のバーコード成分を比較することとをさらに含む方法。
[態様24]
態様21に記載の方法において、前記底部の中央領域に配置された回路に温度センサーを配置することと、前記温度センサーの出力を無線で読み取ることとをさらに含む方法。
[態様25]
態様21に記載の方法において、前記底部の中央領域における開放窓を介して音響信号を送信して、前記試料管から液体を分配することをさらに含む方法。
[態様26]
態様21に記載の方法において、前記側壁の前記開放端が円筒状であり、前記側壁の前記開放端部の周りに配向面を提供することと、相補的な配向面を有する把持具によって前記配向面を把持することとをさらに含む方法。
[態様27]
態様26に記載の方法において、前記試料管の前記下端部が、非円筒状の断面形状を有し、相補的な非円筒状の断面形状を有する収容部に前記試料管を配置することをさらに含む方法。
[態様28]
態様21に記載の方法において、前記バーコードの配向要素を復号することによって前記試料管の方向を確認することをさらに含む方法。
[態様29]
試料管についての調査データの識別方法であって、
ラックに試料管を配置することであって、各試料管が、一端部において開放され、かつ他端部において底部によって閉止された側壁と、データを保存し、前記試料管の下方から読み取られてデータ出力を提供できる、前記底部における二次元バーコードとを備え、前記バーコードが、中央窓の周りに前記底部の周縁に向かって配置された複数のバーコード成分を有することと、
前記ラックにおける個別の試料管のバーコードを撮影することと、
前記ラックにおける前記試料管の特性を調査することと、
前記バーコードによって識別された個別の試料管についての調査データをデータベースに保存することと、
を含む方法。
[態様30]
態様29に記載の方法において、前記試料管の前記特性が、構成材料および物理的性質のうちの少なくとも1つである方法。
[態様31]
ラックにおいて試料管を方向合わせする方法であって、
一端部が略円筒状で開放され、かつ他端の下端部が非円筒状である側壁を備え、前記略円筒状の端部が非円筒状表面を有する試料管を準備することと、
前記試料管を収容するためにそれぞれ相補的な非円筒形状を有する個別の試料管収容部を有するラックに前記試料管を配置することと、
前記ラックから、前記側壁の前記略円筒状端部に形成された前記非円筒状表面に対して相補的な把持面を有する把持具内に試料管を上昇させることと
を含む方法。
[態様32]
態様30に記載の方法において、前記試料の前記下端部における前記バーコードから復号された配向要素に基づいて前記試料管の方向を特定することをさらに含む方法。
[態様33]
態様30に記載の方法において、ラックの表面に対して相補的である各試料管の凸部または凹部によって、各試料管を前記ラック内に配置することをさらに含む方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18