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特開2024-120096ロボット制御装置、ロボット制御方法、ロボット制御プログラム及びロボット制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120096
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ロボット制御装置、ロボット制御方法、ロボット制御プログラム及びロボット制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/617 20240101AFI20240827BHJP
   G05D 1/226 20240101ALI20240827BHJP
   G05D 1/243 20240101ALI20240827BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
G05D1/617
G05D1/226
G05D1/243
G05D1/43
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104285
(22)【出願日】2024-06-27
(62)【分割の表示】P 2022155342の分割
【原出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231925
【氏名又は名称】日本コムシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】永作 智史
(72)【発明者】
【氏名】栗原 良尚
(72)【発明者】
【氏名】木佐 佳子
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 直樹
(57)【要約】
【課題】ロボットを安全に走行させること。
【解決手段】ロボット10を制御するロボット制御装置20は、通信IF21a及び駆動制御部221を有する。通信IF21aは、メインルートを介してロボット10を目的地に向かって走行させるための通常稼働信号を受信し、メインルートと異なるバックアップルートを介してロボット10を停止させるための緊急停止信号を受信する。駆動制御部221は、通信IF21aによって緊急停止信号が受信された場合、通常稼働信号に基づく走行制御に優先して、ロボット10の走行を停止させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するロボットを制御するロボット制御装置であって、
ゲートウェイ装置を介さずにネットワークに接続された第1の通信経路を介して前記ロボットを目的地に向かって走行させるための第1の信号を受信し、前記ゲートウェイ装置を介してネットワークに接続された第2の通信経路を介して前記ロボットを停止させるための第2の信号を受信する通信部と、
前記通信部によって前記第2の信号が受信された場合、前記第1の信号に基づく走行制御に優先して、前記ロボットの走行を停止させる駆動制御部と、
を有することを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記第1の通信経路を介して前記ロボットの位置情報を送信し、前記第2の通信経路を介して前記ロボットに備えられたカメラによって撮影された画像を送信することを特徴とする請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
位置ごとの正常な状態を特定するための情報を記憶する記憶部と、
前記ロボットに備えられた光学センサによって取得された情報と、前記記憶部に記憶された情報と、を基に、前記ロボットが異常な状態にあるか否かを判定する判定部と、
をさらに有し、
前記駆動制御部は、前記判定部によって前記ロボットが異常な状態にあると判定された場合、前記第1の信号に基づく走行制御に優先して、前記ロボットの走行を停止させることを特徴とする請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
走行するロボットを制御するロボット制御装置によって実行されるロボット制御方法であって、
ゲートウェイ装置を介さずにネットワークに接続された第1の通信経路を介して前記ロボットを目的地に向かって走行させるための第1の信号を受信し、前記ゲートウェイ装置を介してネットワークに接続された第2の通信経路を介して前記ロボットを停止させるための第2の信号を受信する通信工程と、
前記通信工程によって前記第2の信号が受信された場合、前記第1の信号に基づく走行制御に優先して、前記ロボットの走行を停止させる駆動制御工程と、
を含むことを特徴とするロボット制御方法。
【請求項5】
走行するロボットを制御するために、
ゲートウェイ装置を介さずにネットワークに接続された第1の通信経路を介して前記ロボットを目的地に向かって走行させるための第1の信号を受信し、前記ゲートウェイ装置を介してネットワークに接続された第2の通信経路を介して前記ロボットを停止させるための第2の信号を受信する通信ステップと、
前記通信ステップによって前記第2の信号が受信された場合、前記第1の信号に基づく走行制御に優先して、前記ロボットの走行を停止させる駆動制御ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするロボット制御プログラム。
【請求項6】
ロボットを制御するロボット制御装置と、指示サーバと、管理サーバと、を有するロボット制御システムであって、
前記指示サーバは、ネットワークを介してゲートウェイ装置を介さずに前記ロボット制御装置と接続され、
前記管理サーバは、ネットワーク及び前記ゲートウェイ装置を介して前記ロボット制御装置と接続され、
前記ロボット制御装置は、
前記指示サーバから前記ロボットを目的地に向かって走行させるための第1の信号を受信し、前記管理サーバから前記ロボットを停止させるための第2の信号を受信する通信部と、
前記通信部によって前記第2の信号が受信された場合、前記第1の信号に基づく走行制御に優先して、前記ロボットの走行を停止させる駆動制御部と、
を有することを特徴とするロボット制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置、ロボット制御方法、ロボット制御プログラム及びロボット制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人手不足に対応するため、自律走行する搬送ロボットを使用して物品を搬送するシステムが開発されている。
【0003】
さらに、近年、オフィスワーカーが実際に在席する場所まで、直接物品を配送するデリバリーロボットシステムが提案されている。デリバリーロボットは、人との衝突を回避したり、障害物を避けたりする機能を有する。また、デリバリーロボットは、エレベータやセキュリティドアと連携することで、指定されたフロアまで移動し、オフィスワーカーに直接物品を届けることが可能である。デリバリーロボットは、物品の配送のみならず、先導、案内、清掃といった各種用途にも利用されることが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-116170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、ロボットを安全に走行させることが困難な場合があるという問題がある。
【0006】
環境の変化、又はロボットの誤作動等に起因して、ロボットの走行経路に予期しない障害が出現する場合がある。
【0007】
そのような場合、特にオフィス等の人間が多い場所を走行するロボットは、周囲の人間の安全のために、走行を停止することが望ましい場合がある。
【0008】
ロボットに緊急停止ボタンを設けることが考えられるが、常に誰かが緊急停止ボタンを操作できる状態にあるとは限らない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ロボットを安全に走行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のロボット制御装置は、走行するロボットを制御するロボット制御装置であって、ゲートウェイ装置を介さずにネットワークに接続された第1の通信経路を介して前記ロボットを目的地に向かって走行させるための第1の信号を受信し、前記ゲートウェイ装置を介してネットワークに接続された第2の通信経路を介して前記ロボットを停止させるための第2の信号を受信する通信部と、前記通信部によって前記第2の信号が受信された場合、前記第1の信号に基づく走行制御に優先して、前記ロボットの走行を停止させる駆動制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ロボットを安全に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ロボットの正面図である。
図2図2は、ロボットの背面図である。
図3図3は、ロボット制御システムの構成例を示す図である。
図4図4は、ロボット制御装置の構成例を示す図である。
図5図5は、ロボット制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、分析プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願に係るロボット制御装置、ロボット制御方法、ロボット制御プログラム及びロボット制御システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0014】
[第1の実施形態]
図1及び図2を用いて、ロボットの構成を説明する。図1及び図2に示すロボット10は、オフィス等のあらかじめ定められたエリアを走行し、物品の運搬、画像及び音声等の出力を行う。
【0015】
例えば、ロボット10は、ユーザが所望する飲食物を、当該ユーザの席に運搬する。また、ロボット10は、歩行するユーザを先導し、経路案内をすることができる。
【0016】
図1は、ロボットの正面図である。図2は、ロボットの背面図である。
【0017】
図1又は図2に示すように、ロボット10は、タッチディスプレイ11、光学センサ12L、光学センサ12R、引き出しボックス13U、引き出しボックス13L、光学センサ14、インホイールモータ15、慣性計測装置16、背面ディスプレイ17及び緊急停止ボタン18を有する。また、ロボット10は、ロボット制御装置20を有する。
【0018】
タッチディスプレイ11は、タッチ操作によりユーザからの入力を受け付ける。また、タッチディスプレイ11は、画像を表示する。
【0019】
光学センサ12L及び光学センサ12Rは、それぞれロボット10の左方向及び右方向の障害物を検知する。例えば、光学センサ12L及び光学センサ12Rは、LiDAR(Light Detection And Ranging)である。
【0020】
光学センサ14は、ロボット10の前方の画像を取得するカメラである。ロボット10の制御に画像が用いられない場合、光学センサ14はLiDARであってもよい。
【0021】
図1及び図2において、Z軸の正の方向(図1の手前方向、図2の奥方向)を前方とする。また、Z軸の負の方向(図1の手前方向、図2の奥方向)を後方とする。また、X軸の正の方向を左方向とする。また、Y軸の正の方向を右方向とする。
【0022】
引き出しボックス13U及び引き出しボックス13Lは、それぞれ独立して自動的に開閉が可能な引き出しである。引き出しボックス13U及び引き出しボックス13Lには、ユーザに提供される物品が格納される。
【0023】
インホイールモータ15は、車輪と一体化したモータである。ロボット10は、インホイールモータ15を介して車輪を駆動させることにより走行する。
【0024】
慣性計測装置16は、例えばIMU(Inertial Measurement Unit)であり、3次元の慣性運動を検出する。3次元の慣性運動とは、直交3軸方向(例えば、図1及び図2のX軸、Y軸、Z軸)の並進運動及び回転運動である。
【0025】
例えば、慣性計測装置16は、加速度センサにより並進運動(m/sec)を検出し、角速度(ジャイロ)センサにより回転運動(deg/sec)を検出する。
【0026】
背面ディスプレイ17は、画像を表示する。画像は、ユーザを楽しませるためのコンテンツであってもよいし、広告であってもよい。
【0027】
緊急停止ボタン18は、ロボット10を緊急停止させるためのボタンである。緊急停止ボタン18が操作(例えば押下)されると、ロボット10は緊急停止する。
【0028】
緊急停止は、少なくとも走行を停止することを意味する。緊急停止は、ロボット10を急制動させて停止させることであってもよいし、通常の制動と同様の加速度で停止させることであってもよい。
【0029】
また、緊急停止は、走行だけでなく、画像の出力等を含むロボット10の全ての機能を停止させることであってもよい。また、緊急停止は、ロボットの10の各部への電力供給を遮断し、強制的に停止させることであってもよい。
【0030】
ロボット制御装置20は、ロボット10を制御するためのコンピュータである。例えば、ロボット制御装置20は、自動又は手動によりロボット10の駆動を含む各機能を制御する。
【0031】
ここで、図3を用いて、ロボット制御システム1の構成を説明する。図3は、ロボット制御システムの構成例を示す図である。
【0032】
ロボット制御システム1は、ロボット10を制御するためのシステムであり、ロボット10(ロボット制御装置20)だけでなく、サーバ等の装置を含む。
【0033】
図3に示すように、ロボット制御装置20は、ロボット制御装置20、ゲートウェイ装置30、管理サーバ40、ストレージサーバ50、監視用端末装置60、及び指示サーバ70を有する。
【0034】
ゲートウェイ装置30は、ロボット制御装置20と管理サーバ40及びストレージサーバ50とを接続するためのゲートウェイとして機能する。例えば、ゲートウェイ装置30は、ロボット制御装置20に代わって、通信の暗号化等の処理を行う。これにより、ロボット制御装置20は、平文のデータを送受信することができる。
【0035】
また、ゲートウェイ装置30と管理サーバ40との間はインターネット等で接続され、暗号化された通信が行われる。
【0036】
ロボット制御装置20は、センサ(光学センサ、又は慣性計測装置)で取得された測定値を管理サーバ40に送信する。また、ロボット制御装置20は、光学センサ14で取得された画像をストレージサーバ50に送信する。
【0037】
管理サーバ40は、ロボット10の監視及び緊急停止を行うためのサーバである。また、ストレージサーバ50は、ロボット制御装置20によって送信された画像を蓄積するためのサーバである。また、監視端末装置60は、ロボット10を監視するための端末装置である。例えば、監視端末装置60は、ロボット10が走行する建物の防災センタにおいて利用される。
【0038】
監視端末装置60は、管理サーバ40から、監視に必要な情報を取得する。監視に必要な情報には、ストレージサーバ50に送信された画像、及び管理サーバ40に送信された測定値等が含まれる。
【0039】
指示サーバ70は、ロボット制御装置20に行先を指示する。ロボット制御装置20は、指示された行先に向かってロボット10が走行するように、ロボット10を制御する。ロボット制御装置20は、指示サーバ70にロボット10の位置情報を送信する。
【0040】
なお、ロボット制御装置20は、Wi-Fi(登録商標)を利用したビーコン等によりロボット10の位置情報を特定することができる。
【0041】
ここで、ロボット制御装置20と指示サーバ70を接続する通信経路をメインルートと呼ぶ。メインルートは、第1の通信経路の一例である。
【0042】
また、ゲートウェイ装置30を介して、ロボット制御装置20と管理サーバ40とを接続する通信経路をバックアップルートと呼ぶ。バックアップルートは、第2の通信経路の一例である。
【0043】
例えば、バックアップルートとメインルートとでは、ロボット制御装置20における通信インタフェース又は通信モジュール、プロトコル、通信規格等が互いに異なる。
【0044】
例えば、メインルートにおいては、LTE(Long Term Evolution)、又はWi-Fiによりロボット制御装置20がインターネットと直接接続される。
【0045】
また、例えば、バックアップルートにおいては、ローカルのネットワーク(ローカル5G等)によりロボット制御装置20とゲートウェイ装置30が接続され、ゲートウェイ装置30と管理サーバ40との間はインターネット等により接続される。
【0046】
図4を用いて、ロボット制御装置20の構成を説明する。図4は、ロボット制御装置の構成例を示す図である。
【0047】
図4に示すように、ロボット制御装置20は、通信IF21a、入出力IF21b、緊急停止IF21c、駆動制御IF21dを有する。
【0048】
通信IF21aは、ゲートウェイ装置30及び指示サーバ70と通信を行うためのインタフェースである。例えば、通信IF21aはNIC(Network Interface Card)である。
【0049】
通信IF21aは、メインルートを介してロボット10を目的地に向かって走行させるための通常稼働信号を受信する。また、通信IF21aは、メインルートと異なるバックアップルートを介してロボット10を停止させるための緊急停止信号を受信する。
【0050】
通信IF21aは通信部の一例である。通常稼働信号は、第1の信号の一例であり、例えば指示サーバ70から送信される行先指示である。また、緊急停止信号は、第2の信号の一例であり、管理サーバ40から送信される。緊急停止信号は、監視端末装置60からの指示に応じて管理サーバ40が送信するものであってもよい。
【0051】
また、通信IF21aは、メインルートを介してロボット10の位置情報を送信し、バックアップルートを介してロボット10に備えられたカメラ(光学センサ14)によって撮影された画像を送信する。
【0052】
入出力IF21bは、タッチディスプレイ11、光学センサ12L、光学センサ12R、慣性計測装置16、背面ディスプレイ17と接続されるインタフェースである。入出力IF21bは、測定値の入力を受け付ける。また、入出力IF21bは、タッチディスプレイ11及び背面ディスプレイ17に画像を表示させるためのデータを出力する。
【0053】
緊急停止IF21cは、緊急停止ボタン18が操作されたことを示す信号の入力を受け付けるインタフェースである。
【0054】
駆動制御IF21dは、インホイールモータ15、引き出しボックス13U及び引き出しボックス13Lを駆動(走行又は開閉)させるためのインタフェースである。
【0055】
各インタフェースは、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)又はUSB(Universal Serial Bus)等により実現される。
【0056】
ロボット制御装置20は、制御部22及び記憶部23を有する。
【0057】
制御部22は、ロボット制御装置20全体を制御する。制御部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイコン等である。
【0058】
記憶部23は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部23は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。
【0059】
制御部22は、駆動制御部221、出力制御部222及び判定部223を有する。また、記憶部23には、地図情報231及び正常画像情報232が格納される。
【0060】
地図情報231は、ロボット10が走行する領域における、走行可能なルート、障害物となる物体の配置等を含む情報である。また、正常画像情報232は、ロボット10が走行する領域における特定の位置で撮影された画像又はそのような画像の特徴を表す情報である。
【0061】
また、制御部22は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部22は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。例えば、制御部22は、駆動制御部221、出力制御部222及び判定部223を有する。
【0062】
駆動制御部221は、ロボット10の駆動を制御する。特に、駆動制御部221は、インホイールモータ15を制御することにより、ロボット10の加減速(制動及び停止を含む)及び操舵を制御する。
【0063】
駆動制御部221は、通信IF21aによって緊急停止信号が受信された場合、通常稼働信号に基づく走行制御に優先して、ロボット10の走行を停止させる。
【0064】
この場合、駆動制御部221は、緊急停止ボタン18が操作された場合と同様の処理を行ってもよい。また、駆動制御部221は、緊急停止IFに信号を入力することにより、緊急停止を実現してもよい。
【0065】
前述の通り、緊急停止は、少なくとも走行を停止することを意味し、ロボット10を急制動させて停止させることであってもよいし、通常の制動と同様の加速度で停止させることであってもよい。
【0066】
また、緊急停止は、走行だけでなく、画像の出力等を含むロボット10の全ての機能を停止させることであってもよいし、ロボットの10の各部への電力供給を遮断し、強制的に停止させることであってもよい。
【0067】
出力制御部222は、タッチディスプレイ11及び背面ディスプレイ17等による出力を制御する。例えば、出力制御部222は、入出力IF21bを介して、背面ディスプレイ17に画像を出力させる。
【0068】
判定部223は、ロボット10に備えられた光学センサ(光学センサ14、光学センサ12L、光学センサ12R)によって取得された情報と、記憶部23に記憶された情報と、を基に、ロボット10が異常な状態にあるか否かを判定する。
【0069】
ここで、地図情報231及び正常画像情報232は、位置ごとの正常な状態を特定するための情報である。また、駆動制御部221は、判定部223によってロボット10が異常な状態にあると判定された場合、通常稼働信号に基づく走行制御に優先して、ロボット10の走行を停止させる。
【0070】
ロボット10が走行している際には、環境の変化、又はロボットの誤作動等に起因して、ロボットの走行経路に予期しない障害が出現する場合がある。
【0071】
例えば、ロボット10に近付く人間が、ロボットに衝突する寸前まで検知されない場合がある。また、地図情報231に掲載されていない位置に、あらたに家具等が置かれている場合がある。また、慣性計測装置16の計測誤差等により、位置情報が正確でない場合がある。
【0072】
例えば、判定部223は、光学センサの測定値によって障害物が検知された場合であって、地図情報231にそのような障害物が掲載されていない場合、ロボット10が異常な状態にあると判定する。
【0073】
また、例えば、判定部223は、ロボット10の前方の画像と、正常画像情報232に含まれる同じ位置における画像とを比較し、画像間の類似度が閾値以下である場合、ロボット10が異常な状態にあると判定する。
【0074】
このような類似度が閾値以下になるような画像は、例えば、ロボット10の下の地面に予期しない傾斜がある場合、ロボット10が転倒している場合等に撮影されることが考えられる。
【0075】
なお、前述の通り、緊急停止信号は、監視端末装置60からの指示により管理サーバ40がロボット制御装置20に送信する場合がある。このとき、監視端末装置60のユーザは、ロボット10によって撮影された画像を見て異常がないかを確認し、異常があると判断した場合に緊急停止信号を送信する。
【0076】
このときの画像及び監視端末装置60のユーザの判断結果を蓄積し、蓄積したデータを使って機械学習モデルの訓練を行うことで、ロボット10によって撮影された画像からロボット10が異常な状態にあるか否かを判定するモデルを生成することができる。
【0077】
判定部223は、このようなモデルを用いて異常を判定してもよい。
【0078】
図5を用いて、ロボット制御装置20の処理の流れを説明する。図5は、ロボット制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
図5に示すように、まず、ロボット制御装置20は、ロボット10を稼働させる(ステップS101)。稼働には、物品の運搬のために走行すること、及び画像を出力すること等が含まれる。
【0080】
ここで、緊急の停止指示があった場合(ステップS102、Yes)、ロボット制御装置20は、緊急の停止手順を実行し、ロボット10を停止させる(ステップS104)。ロボット制御装置20は、バックアップルートから緊急停止信号を受信した場合に、緊急の停止指示があったと判断する。
【0081】
ロボット制御装置20は、緊急の停止指示がない場合(ステップS102、No)であって、異常を検知(判定部223が異常と判定)した場合(ステップS103、Yes)、緊急の停止手順を実行し、ロボット10を停止させる(ステップS104)。
【0082】
ロボット制御装置20は、異常を検知しなかった場合(ステップS103、No)であって、通常の停止指示があった場合(ステップS105、Yes)、通常の停止手順を実行し、ロボット10を停止させる(ステップS106)。ロボット制御装置20は、通常の停止指示がなかった場合(ステップS105、No)、ステップS101に戻り処理を繰り返す。
【0083】
[第1の実施形態の効果]
これまで説明してきたように、通信IF21aは、メインルートを介してロボット10を目的地に向かって走行させるための通常稼働信号を受信し、メインルートと異なるバックアップルートを介してロボット10を停止させるための緊急停止信号を受信する。駆動制御部221は、通信IF21aによって緊急停止信号が受信された場合、通常稼働信号に基づく走行制御に優先して、ロボット10の走行を停止させる。このように、バックアップルートを使った緊急停止の手順を設けておくことで、ロボット10を安全に走行させることができる。
【0084】
また、通信IF21aは、メインルートを介してロボットの位置情報を送信し、バックアップルートを介してロボット10に備えられたカメラによって撮影された画像を送信する。これにより、メインルートが障害等により使用できない場合であっても、バックアップルートを使った監視及び緊急停止が可能になる。
【0085】
また、記憶部23は、位置ごとの正常な状態を特定するための情報を記憶する。判定部223は、ロボット10に備えられた光学センサによって取得された情報と、記憶部23に記憶された情報と、を基に、ロボット10が異常な状態にあるか否かを判定する。駆動制御部221は、判定部223によってロボット10が異常な状態にあると判定された場合、通常稼働信号に基づく走行制御に優先して、ロボット10の走行を停止させる。これにより、緊急停止信号がない場合であっても、ロボット10が異常を判断し、自動的に緊急停止を行うことができる。
【0086】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散及び統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。なお、プログラムは、CPUだけでなく、GPU等の他のプロセッサによって実行されてもよい。
【0087】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0088】
[プログラム]
一実施形態として、ロボット制御装置20は、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして上記の分析処理を実行する分析プログラムを所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、上記の分析プログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置をロボット制御装置20として機能させることができる。ここで言う情報処理装置には、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータが含まれる。また、その他にも、情報処理装置には、タブレット型端末、スマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)等のスレート端末等がその範疇に含まれる。
【0089】
また、ロボット制御装置20は、ユーザが使用する端末装置をクライアントとし、当該クライアントに上記の分析処理に関するサービスを提供するサーバとして実装することもできる。例えば、サーバは、見積様式ファイルを入力とし、妥当性の判定結果を出力とする分析サービスを提供するサーバ装置として実装される。この場合、サーバは、Webサーバとして実装することとしてもよいし、アウトソーシングによって上記の分析処理に関するサービスを提供するクラウドとして実装することとしてもかまわない。
【0090】
図6は、分析プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0091】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM(Random Access Memory)1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0092】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、ロボット制御装置20の各処理を規定するプログラムは、コンピュータにより実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、ロボット制御装置20における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSD(Solid State Drive)により代替されてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態の処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020は、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した実施形態の処理を実行する。
【0094】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 ロボット
11 タッチディスプレイ
12L、12R、14 光学センサ
13U、13L 引き出しボックス
15 インホイールモータ
16 慣性計測装置
17 背面ディスプレイ
18 緊急停止ボタン
20 ロボット制御装置
21a 通信IF
21b 入出力IF
21c 緊急停止IF
21d 駆動制御IF
30 ゲートウェイ装置
40 管理サーバ
50 ストレージサーバ
60 監視端末装置
70 指示サーバ
221 駆動制御部
222 出力制御部
223 判定部
231 地図情報
232 正常画像情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6