(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120100
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ゲームシステム及びそれに用いるコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/70 20140101AFI20240827BHJP
A63F 9/00 20060101ALI20240827BHJP
A63F 13/792 20140101ALI20240827BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240827BHJP
【FI】
A63F13/70
A63F9/00 513
A63F13/792
A63F13/69
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104602
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2022145187の分割
【原出願日】2016-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(72)【発明者】
【氏名】紙 正彦
(72)【発明者】
【氏名】大滝 忠信
(57)【要約】
【課題】ゲーム要素の価格をサーバ側の事業者とクライアント側の事業者のそれぞれの都合に応じて合理的に設定することが可能なゲームシステム等を提供する。
【解決手段】ゲーム要素と価格とが関連付けて記録された価格設定データDPに基づいて、ユーザに課すべき価格を決定するゲーム機3Bを備えたゲームシステムにおいて、複数のゲーム要素のうち第1の区分CL1に分類されたゲーム要素に関する価格を、店舗システム10側の管理者の設定操作に基づいて設定し、第1の区分CL1に分類されるゲーム要素とは重複しないようにして第2の区分CL2に分類されたゲーム要素に関する価格を、サーバシステム20側の管理者の設定操作に基づいて設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ部と、所定のゲームをユーザにプレイさせることが可能な少なくとも一つのゲーム装置を含みかつ前記サーバ部とネットワークを介して接続可能な複数のクライアント部とを具備し、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置では、前記ユーザによる対価の支払いを条件として、前記所定のゲームと関連付けられた複数のゲーム要素のそれぞれを当該ユーザに利用させることが可能とされ、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置が、管理形態の異同に基づいて複数の管理単位に区分可能なゲームシステムにおいて、
前記ゲーム要素と対価とが関連付けて記録された管理単位ごとの対価設定データに基づいて、前記ユーザに課すべき対価を前記管理単位ごとに決定する対価決定手段と、
前記複数のゲーム要素のうち第1の区分に分類されたゲーム要素に関する対価を、前記管理単位ごとに行われる設定操作に基づいて、前記管理単位ごとに前記対価設定データに対して設定する第1の対価設定手段と、
前記複数のゲーム要素のうち、前記第1の区分に分類されるゲーム要素とは重複しないようにして第2の区分に分類されたゲーム要素に関する対価を、所定の設定範囲に含まれる1以上の管理単位を対象にして行われる設定操作に基づいて、前記設定範囲に含まれる管理単位の対価設定データに対して設定する第2の対価設定手段と、を備えたゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが支払うべき対価を適宜に設定変更することが可能なゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが対価を支払ったことを条件としてユーザにゲームをプレイさせ、プレイを継続させ、あるいはゲーム内で使用可能なアイテムを購入させるといった各種の商品やサービス(以下、ゲーム要素ということがある。)をユーザの利用に供するゲームシステムとして、ゲーム機が設置された店舗の管理者により、ゲーム要素の価格を設定変更できるようにしたゲームシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。対価の支払いに関して、現金通貨、あるいはメダル等の代替通貨による支払い方法と、電子通貨を利用した支払い方法とが選択可能なゲームシステムも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-108746号公報
【特許文献2】特許第5419628号の特許掲載公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲームの対価は、ゲーム機が設置された店舗の立地や集客力等に応じて適宜に変更が求められることが通例である。しかしながら、店舗側の都合で自由に価格を設定できるとすれば、特定の店舗で過度のダンピングが行われて店舗間の価格差が看過できない程に拡大し、特定の店舗にユーザが集中するといった不都合が生じるおそれがある。ユーザのプレイデータをサーバ上に保存し、店舗の異同に関わりなくユーザにゲームを継続的にプレイさせることが可能なゲームシステムでは、ゲームのアイテムを購入店以外でも利用できるので、ユーザが安い店舗でアイテムを購入して他の店舗でそれを利用するおそれがある。その場合、購入店以外の店舗の利益が損なわれるおそれもある。対価の支払い方法に関しても、例えば硬貨等を用いた支払いの場合は店舗が集金コストを負担するために店舗の都合で価格を設定したい一方で、電子通貨による支払いの場合にはサーバを運営する事業者がコストに見合った手数料を加味して価格を設定したいといった相違が生じることがある。その場合、店舗側の自由裁量に委ねると、サーバ側の事業者が意図せぬ損失を被るおそれがある。サーバ側の事業者が一律に価格を設定すれば、店舗の事情に応じた柔軟な価格設定が困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、ゲーム要素に関する対価をサーバ側の事業者とクライアント側の事業者のそれぞれの都合に応じて合理的に設定することが可能なゲームシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るゲームシステムは、サーバ部と、所定のゲームをユーザにプレイさせることが可能な少なくとも一つのゲーム装置を含みかつ前記サーバ部とネットワークを介して接続可能な複数のクライアント部とを具備し、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置では、前記ユーザによる対価の支払いを条件として、前記所定のゲームと関連付けられた複数のゲーム要素のそれぞれを当該ユーザに利用させることが可能とされ、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置が、管理形態の異同に基づいて複数の管理単位に区分可能なゲームシステムにおいて、前記ゲーム要素と対価とが関連付けて記録された管理単位ごとの対価設定データに基づいて、前記ユーザに課すべき対価を前記管理単位ごとに決定する対価決定手段と、前記複数のゲーム要素のうち第1の区分に分類されたゲーム要素に関する対価を、前記管理単位ごとに行われる設定操作に基づいて、前記管理単位ごとに前記対価設定データに対して設定する第1の対価設定手段と、前記複数のゲーム要素のうち、前記第1の区分に分類されるゲーム要素とは重複しないようにして第2の区分に分類されたゲーム要素に関する対価を、所定の設定範囲に含まれる1以上の管理単位を対象にして行われる設定操作に基づいて、前記設定範囲に含まれる管理単位の対価設定データに対して設定する第2の対価設定手段と、を備えたものである。
【0007】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、サーバ部と、所定のゲームをユーザにプレイさせることが可能な少なくとも一つのゲーム装置を含みかつ前記サーバ部とネットワークを介して接続可能な複数のクライアント部とを具備し、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置では、前記ユーザによる対価の支払いを条件として、前記所定のゲームと関連付けられた複数のゲーム要素のそれぞれを当該ユーザに利用させることが可能とされ、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置が、管理形態の異同に基づいて複数の管理単位に区分可能なゲームシステムに適用されるコンピュータプログラムであって、前記ゲームシステムに含まれる少なくとも一つのコンピュータを、前記ゲーム要素と対価とが関連付けて記録された管理単位ごとの対価設定データに基づいて、前記ユーザに課すべき対価を前記管理単位ごとに決定する対価決定手段、前記複数のゲーム要素のうち第1の区分に分類されたゲーム要素に関する対価を、前記管理単位ごとに行われる設定操作に基づいて、前記管理単位ごとに前記対価設定データに対して設定する第1の対価設定手段、及び前記複数のゲーム要素のうち、前記第1の区分に分類されるゲーム要素とは重複しないようにして第2の区分に分類されたゲーム要素に関する対価を、所定の設定範囲に含まれる1以上の管理単位を対象にして行われる設定操作に基づいて、前記設定範囲に含まれる管理単位の対価設定データに対して設定する第2の対価設定手段、として機能させるように構成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一形態に係るゲームシステムの全体構成を示す図。
【
図2】ゲームシステムにおける価格設定の仕組みを示す図。
【
図3】ゲームシステムにおける制御系の要部の機能ブロック図。
【
図4】店舗システムとサーバシステムとの間で行われる価格設定に関連した処理を 示すフローチャート。
【
図5】サーバユニットの価格管理部が、価格設定テーブルを作成するために実行す る価格設定テーブル作成処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一形態に係るゲームシステムを示している。ゲームシステム1は、クライアント部の一例として店舗2毎に構築される店舗システム10と、各店舗システム10に対して共通に設けられるサーバ部の一例としてのサーバシステム20とを含んでいる。各店舗2は、一又は複数台のゲーム機3A、3B…(以下、参照符号3で代表することがある。)を含むアミューズメント店舗として構成されている。各ゲーム機3は、ユーザによる対価の支払いを条件としてユーザにゲームをプレイさせる業務用のゲーム機として構成されている。その種のゲーム機はアーケードゲーム機と呼ばれることがある。ゲーム機3A、3B…は、それぞれ異なる種類のゲームをユーザにプレイさせるように構成されている。
図1に例示された店舗システム10では、ゲーム機3がゲームの種類ごとに一台ずつ設置されており、同図に一点鎖線で示したように、一台のゲーム機3が価格設定に関する一つの管理単位MUを形成する。なお、同一種類のゲームに関して複数台のゲーム機3が設置される場合もある。
【0010】
各ゲーム機3では、ゲームにて用意された各種のサービスを利用するための対価として設定された価格、例えば一回のゲームをプレイするためのプレイ料金、ゲームのプレイを継続するために支払うべき継続料金等を、現金通貨又は代替通貨を用いて支払う方法と、電子通貨を用いて支払う方法とが選択可能である。ただし、一部のゲーム要素に関しては、対価の支払い方法が、電子通貨を用いた支払い方法のみに限定されることがある。例えば、ゲーム内で購入可能なアイテム等のコンテンツの価格は、ゲーム機3が物理的に受け入れ可能な通貨等の最小の単位額(例えば100円や50円)よりも小額に設定されることがある。そのような場合には、物理的制約を受けることなく小額単位で決済が可能な電子通貨によってのみ対価の支払いが可能となるようにゲーム機3が構成されている。なお、電子通貨を用いた場合の対価の支払いは、ゲーム機3からの依頼により、サーバシステム20上に保存されたユーザの口座から価格相当量の電子通貨を減算するといった手法により実行されるが、ここではその詳細を省略する。
【0011】
店舗システム10の各ゲーム機3は、ルータ11を介してインターネット5に接続されている。店舗システム10には、店舗2の管理者が、各種の情報を設定し、あるいは閲覧するための店舗端末12も設けられている。店舗端末12は一例としてパーソナルコンピュータである。店舗端末12もルータ11を介してインターネット5に接続される。なお、
図1では、一の店舗2に対応した店舗システム10の詳細を示すが、他の店舗2も同様に一又は複数台のゲーム機3と店舗端末12とを有し、かつそれらのゲーム機3及び店舗端末12がインターネット5に接続される点で共通した構成を有している。
【0012】
一方、サーバシステム20は、複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット21A、21B…(以下、これらを参照符号21で代表することがある。)と、それらのサーバユニット21をインターネット5に接続するルータ22とを含んでいる。ゲーム機3とサーバユニット21とがインターネット5を介して相互に接続されることにより、ゲーム機3はサーバシステム20に対するクライアント装置として機能する。なお、サーバシステム20は単一のサーバユニットを用いるものでもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にサーバシステム20が構築されてもよい。サーバシステム20には、さらに管理端末23が設けられている。管理端末23は、サーバシステム20の管理者が、サーバシステム20上の各種の情報を設定し、サーバシステム20を管理するための端末装置として設けられている。管理端末23も一例としてパーソナルコンピュータである。管理端末23はサーバユニット21と接続可能である。
【0013】
次に、
図2を参照して、ゲームシステム1における価格設定を説明する。
図2は一台のゲーム機3Bを管理単位MUとして、そのゲーム機3Bにて利用可能な各種のゲーム要素の価格(対価の一例)を設定する例を示している。なお、
図2では、ゲーム要素を品目と表現しているが、品目には、ゲームの一回のプレイ、プレイの継続といったサービスや、ゲーム内で購入可能なアイテム等の商品のいずれも含まれる。また、同一の商品又はサービスであっても、対価の支払い方法に応じて品目が異なるものとする。なお、品目に関する利用とは、ユーザがサービスを享受し、あるいはアイテム等の商品を使用するといった各種の行為が含まれる。以下では、ユーザが対価を支払って品目を利用する行為を、品目の購入と表現することがある。
【0014】
図2に示したように、ゲーム機3Bには、対価設定データの一例としての価格設定データDPが保持されている。価格設定データDPは、ゲーム機3Bにて利用可能な品目と価格とを対応付けて記録したレコードの集合である。ユーザがゲーム機3Bにて品目を購入する際に、その品目に対応する価格が価格設定データDPに基づいて決定されてユーザに課金される。価格設定データDPにおいては、ゲーム機3Bにてユーザが取得可能な各種の品目が、価格設定AのテーブルTa、価格設定BのテーブルTb、及び価格設定CのテーブルTcに区分して記録されている。
【0015】
テーブルTa、Tbは、店舗2の管理者が店舗端末12を利用して価格を設定することが可能な第1区分CL1に分類された品目に関するものである。さらに、テーブルTaは、対価が現金通貨又は代替通貨によって支払われる品目A1、A2、…An…に関するものであり、テーブルTbは対価が電子通貨によって支払われる品目B1、B2、…Bn…に関するものである。例えば、ゲーム機3Bにて一回のゲームをプレイするための料金を、現金通貨、又は電子通貨のいずれかで選択的に支払うことが可能な場合、現金通貨による価格Pa1、Pa2、…Pan…はテーブルTaに、電子通貨による価格Pb1、Pb2、…Pbn…はテーブルTbにそれぞれ記録される。なお、テーブルTa、Tbは、ゲーム機3Bの出荷時や初期設定時にはサーバシステム20側から提供されてもよいが、その運用開始後に、サーバシステム20側からテーブルTa、Tbを編集(追加、変更、削除等)することは不可能である。
【0016】
一方、テーブルTcは、店舗2の管理者による設定が不可能で、サーバシステム20の管理者が管理端末23を利用して価格を設定することが可能な第2区分CL2に分類された品目C1、C2、…Cn…に関するものである。テーブルTcに記録される品目は、電子通貨に限って対価の支払いが可能な品目に限定される。また、テーブルTcに記録されている品目は、第1区分CL1のテーブルTa、Tbに記録された品目とは重複しないように選択されている。つまり、価格設定データDPにおいては、店舗2の管理者が価格を設定できる品目とその価格とが第1区分CL1のテーブルTa、Tbに、サーバシステム20の管理者が価格を設定できる品目とその価格とが第2区分CL2のテーブルTcにそれぞれ記録され、区分CL1、CL2間で品目は重複しない。言い換えれば、店舗2の管理者及びサーバシステム20の管理者の双方が価格を設定できる品目は存在しない。
【0017】
ゲーム機3Bにてユーザが購入可能な品目を第1区分CL1又は第2区分CL2のいずれに分類すべきかは、種々の都合に合わせて設定されてよい。一例として、一回のプレイに必要な料金、継続プレイに必要な料金等は店舗2が都合に応じて柔軟に設定したいニーズが強く、その一方で、サーバシステム20側で統一設定したいニーズは相対的に低い。しかも、現金通貨で支払う場合の価格を店舗2側で設定し、電子通貨で支払う場合の価格をサーバシステム20側で設定すれば、同一のゲーム要素でも支払い方法に応じた価格差が生じるおそれがある。したがって、こうした品目は第1区分CL1に分類されている。つまり、ゲーム機3Bで現金通貨(又は代替通貨)のみで支払いが可能な品目、及び現金通貨又は電子通貨で選択的に支払い可能な品目が第1区分CL1に分類されている。一方、ゲーム内で購入可能なアイテム等の品目は、ゲームのプレイと比較して価格が小額に設定され、あるいは現金等によって支払い可能な最小の単位額では割り切れない端数を伴った額に設定されることがあり、電子通貨でなければゲーム機3が決済できない場合がある。しかも、アイテム等は他店舗2に持ち込まれて同一種類のゲーム機3Bで利用されるおそれがある。そこで、電子通貨のみで支払いが可能な品目は第2区分CL2に分類されている。ただし、電子通貨のみで支払いが可能な品目に限らず、電子通貨にて支払われる品目(テーブルTbの品目)は全て第2区分CL2に分類されてもよい。
【0018】
テーブルTa、Tbの価格は、店舗2の管理者が店舗端末12からゲーム機3BにアクセスしてテーブルTa、Tbを呼び出し、品目ごとに価格を入力することにより適宜に編集することができる。一方、テーブルTcの価格は、店舗端末12からは編集不可能である。例えば、店舗端末12からゲーム機3Bの価格設定データDPを呼び出す際に、テーブルTcは読み取り専用データとして設定し、その編集を禁止すればよい。テーブルTcは、ゲーム機3Bが定期的にサーバユニット21にアクセスして、店舗2のゲーム機3Bに適合したテーブルTcの価格設定Cのデータを取得することにより、価格設定データDPに記録される。
【0019】
サーバシステム20には、ゲーム機3Bに提供する価格設定Cのデータを作成するための情報として、価格管理データDM1と、店舗等管理データDM2とが保持されている。価格管理データDM1は、価格設定Cに関する品目(つまり、テーブルTcに記録されるべき品目)と標準価格とが対応付けて記録された標準価格テーブルTsと、標準価格テーブルTsに記録された価格を一時的に変動させるための対価変動情報の一例としての価格変動情報Fi1、Fi2…(以下、参照符号Fiで代表することがある。)とが記録されている。標準価格テーブルTsは、
図2で一種類のみを示すが、実際には、ゲームの種類(ゲームのタイトルやバージョンに応じて異なる。)、店舗2の地域、店舗2を運営する事業者といった、店舗2やゲーム機3の属性に応じて複数種類の標準価格テーブルTsが用意されている。店舗等管理データDM2は、店舗2やゲーム機3の属性を判別するために必要な各種の管理情報の集合である。標準価格テーブルTsは、店舗等管理データDM2に記録された情報によって特定される属性と対応付けて複数種類用意されている。
【0020】
ゲーム機3Bが価格設定Cのデータを要求する際に、ゲーム機3Bからは店舗コード、品目コードといった店舗2及びゲーム機3の属性を店舗等管理データDM2に基づいて判別するための必要な情報が併せて提供される。サーバユニット21は、ゲーム機3Bから提供された情報と、店舗等管理データDM2に記録された情報とに基づいて、店舗2やゲーム機3Bの属性を判別し、その属性に対して適用されるべき標準価格テーブルTsを特定する。標準価格テーブルTsは一の店舗2の同一種類のゲーム機3に限って適用されるものではなく、属性が一致する限りにおいて複数の店舗2に対して事業者の異同に関わりなく、同一種類のゲームを提供するゲーム機3に対して共通して適用され得るものである。つまり、標準価格テーブルTsは、同一価格を適用させるべき全ての管理単位MUを設定範囲として一括して設定されるテーブルTsである。
【0021】
価格変動情報Fiは、標準価格テーブルTsの価格をどのような条件でどのように変動させるべきかを指定する情報である。例えば、ゲーム機3Bにて購入可能なアイテムに関して、期間を限定して価格を割引するキャンペーンが実施される場合、そのキャンペーンが適用されるべき条件(対象となる品目、期間、適用対象の地域、店舗、あるいは店舗の事業者等)と、キャンペーンの内容、例えば20%割引、あるいは特別価格それ自体とが価格変動情報Fiに記述される。店舗2のゲーム機3から提供される店舗コード等の情報と、店舗等管理データDM2とを参照することにより、サーバユニット21はゲーム機3Bに対して適用されるべき価格変動情報Fiの有無を判別し、適用されるべき価格変動情報Fiがあれば標準価格テーブルTsの価格設定を価格変動情報Fiに従って修正する。
【0022】
以上のようにして、サーバユニット21はゲーム機3Bに提供すべき価格設定Cのデータを作成する。作成されるデータは標準価格テーブルTsそのものか、又は価格変動情報Fiに基づいて修正されたデータである。そのデータがサーバシステム20からゲーム機3Bに提供されることにより、ゲーム機3Bが保持する価格設定データDPにテーブルTcが記録される。標準価格テーブルTs及び価格変動情報Fiは、サーバシステム20の管理者が管理端末23を利用して適宜に編集することができる。
【0023】
以上のように、ゲームシステム1では、ゲーム機3にてユーザが購入可能な品目が第1区分CL1と第2区分CL2とに分類され、第1区分CL1に分類された品目の価格は店舗2側の管理者が適宜に設定でき、第2区分CL2に分類された品目の価格は店舗2側では設定不可能であってサーバシステム20側の管理者の設定操作に基づいてのみ設定される。したがって、各品目を第1区分CL1又は第2区分CL2のいずれに分類すべきかを適切に選択することにより、店舗2の事業者、及びサーバシステム20の事業者のそれぞれの都合に応じて合理的に価格を設定することができる。
【0024】
次に、上述した価格設定を実現するためのゲームシステム1の制御系及びその処理を順に説明する。
図3はゲームシステム1の制御系のうち、特に価格設定の実現に関わる要部の構成を示している。
図3に示すように、ゲーム機3には、ユーザにアーケードゲームをプレイさせるために必要な各種の演算処理を実行するコンピュータ装置としての制御ユニット31と、その制御ユニット31に対する外部記憶装置として機能する記憶装置32とが設けられている。記憶装置32は、磁気ハードディスク、不揮発性の半導体メモリといった記憶保持が可能な記憶手段であり、そこにはゲーム機用プログラムPG1と、ゲーム機3にて適宜に参照されるべき各種のデータとが保存されている。記憶装置32に保存されるデータには、価格設定データDPが含まれている。ただし、記憶装置32上の価格設定データPDは、第1区分CL1に属する品目の価格に関するテーブルTa、Tbのみを含み、テーブルTcは含まない。
【0025】
制御ユニット31がゲーム機用プログラムPG1を実行することにより、制御ユニット31には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、ゲーム制御部34と、価格決定部35と、価格設定部36とが設けられる。ゲーム制御部34は、ゲーム機3におけるアーケードゲームの進行に必要な各種の演算処理を実行し、価格決定部35はゲーム制御部34からの求めに応じて、ユーザが購入しようとする品目の価格を価格設定データPDから取得し、これをゲーム制御部34に提供する。価格が提供されたゲーム制御部34は、支払い方法に応じた処理を実行してユーザから対価を徴収するが、その手順は公知のゲーム機のそれと同様でよく、説明は省略する。価格決定部35が参照する価格設定データDPは、制御ユニット31の内部メモリに読み込まれたデータであり、そのデータには後述する手順に従って第2区分CL2に分類された品目に関するテーブルTcも記録されている。
【0026】
価格設定部36は、価格決定部35が保持する価格設定データDPを編集するための論理的装置である。すなわち、価格設定部36は、店舗端末12からの指示に従って価格決定部35が保持するテーブルTa、Tbを操作し、あるいはサーバシステム20から価格設定CのテーブルTcを取得して価格決定部35の価格設定データDPに書き込む、といった処理を実行する。
【0027】
サーバシステム20のサーバユニット21には、コンピュータ装置としての制御ユニット41と、その制御ユニット41に対する外部記憶装置として機能する記憶装置42とが設けられている。記憶装置42は、磁気ハードディスク、不揮発性の半導体メモリといった記憶保持が可能な記憶手段であり、そこにはサーバ用プログラムPG2と、制御ユニット41にて適宜に参照されるべき各種のデータとが保存されている。記憶装置42に保存されるデータには、上述した価格管理データDM1及び店舗等管理データDM2とが含まれている。また、制御ユニット41がサーバ用プログラムPG2を実行することにより、制御ユニット41には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置として価格管理部43が設けられる。価格管理部43は、管理端末23からの指示に従って価格管理データDM1及び店舗等管理データDM2を操作し、あるいはそれらのデータDM1、DM2に基づいてゲーム機3に適用されるべき価格設定Cのデータを作成し、これをゲーム機3に提供する処理を担当する。
【0028】
図4は、店舗システム10とサーバシステム20との間で行われる各種の処理のうち、価格設定に関連した処理を示すフローチャートである。ゲーム機3に電源が投入されてゲーム機3が起動すると、まずゲーム機3では記憶装置32から制御ユニット31の内部メモリへ価格設定データDPの価格設定A、Bに関するテーブルTa、Tbが読み込まれる(ステップS11)。次に、価格設定部36からサーバユニット21に対して価格設定CのテーブルTcが要求され、これを受けてサーバユニット21から提供されるテーブルTcが価格設定部36に取得されて制御ユニット31の内部メモリ上の価格設定データDPに書き込まれる(ステップS12)。以上により、価格設定データDPが整い、以降はゲーム制御部34の制御下でゲームが進められる。その間、価格決定部35はユーザが購入しようとする品目の価格を価格設定データDPに基づいて決定し、これをゲーム制御部34に提供する。
【0029】
店舗2の管理者は、適宜のタイミングで店舗端末12を操作して価格設定A、BのテーブルTa、Tbを編集することができる(ステップS21)。その編集操作が行われると、ゲーム機3の価格設定部36により編集内容が取得され、制御ユニット31の内部メモリに保持されている価格設定データDPのテーブルTa、Tbが更新される(ステップS13)。その更新に併せて、価格決定部35は更新された価格設定データDPのテーブルTa、Tbを記憶装置32に保存する。
【0030】
一方、サーバユニット21の価格管理部43は、ゲーム機3の価格設定部36から価格設定CのテーブルTcが要求されると、そのゲーム機3に対して適用すべき価格設定CのテーブルTcを作成し、これをゲーム機3に提供する(ステップS31)。テーブルTcの作成手順は後述する。また、サーバシステム20の管理者は、適宜のタイミングで管理端末23を利用して価格管理データDM1の編集操作を行うことができる(ステップS41)。例えば、サーバシステム20の管理者は、標準価格テーブルTsを編集してその内容の一部を変更、追加、削除し、あるいは新たな価格変動情報Fiを追加するといった操作を行うことができる。管理端末23にて編集操作が行われると、価格管理部43は、記憶装置42に保存されている価格管理データDM1を更新する(ステップS32)。
【0031】
ゲーム機3の価格設定部36は定期的にサーバユニット21にアクセスして価格設定CのテーブルTcを取得する(ステップS14)。ゲーム機3からの要求を受けるごとに、サーバユニット21の価格管理部43は最新の価格管理データDM1に基づく価格設定CのテーブルTcを作成してゲーム機3に提供する(ステップS33)。
【0032】
以上の処理により、ゲーム機3には、店舗端末12の操作によって設定された価格設定A、Bに関する最新のテーブルTa、Tbと、管理端末23の操作によって設定された最新の価格管理データDM1に基づく価格設定CのテーブルTcとが適時に取り込まれ、最新の価格設定に基づいた対価の徴収が実現される。
【0033】
図5は、サーバユニット21の価格管理部43が、価格設定CのテーブルTcを作成するために実行する価格設定テーブル作成処理の手順を示している。その処理において、価格管理部43は、まずゲーム機3から、店舗コード、品目コードといった価格決定に必要な情報を取得し(ステップS101)、その情報に基づいて店舗等管理データDM2を検索してゲーム機3の属性を判別する(ステップS102)。次に、価格管理部43は、決定した属性に対応付けられた標準価格テーブルTsを価格管理データDM1から取得する(ステップS103)。例えば、ゲーム機3にてプレイされるゲームの種類を品目コードに基づいて特定し、そのゲームに適合した標準価格テーブルTsを取得する。同一種類のゲームに関して、店舗2が設置された地域、店舗2の事業者、といった店舗2の属性に応じて複数のテーブルTsが存在する場合には、店舗コード等に基づいて特定した属性をさらに考慮してテーブルTsを選択する。
【0034】
続いて、価格管理部43は、ゲーム機3が適用条件を満たしている価格変動情報Fiが存在するかの観点から価格管理データDM1を検索する(ステップS104)。価格変動情報Fiには、価格変動が適用されるべき条件として、対象となる品目、期間、適用対象の地域、店舗、あるいは店舗の事業者等が記述されているので、ステップS101で取得し、あるいはステップS102で判別した属性を手掛かりとして適用条件を満たす価格変動情報Fiを抽出すればよい。次に、価格管理部43は、適用条件を満たす価格変動情報Fiが抽出されたか否かを判別し(ステップS105)、抽出されていれば、その価格変動情報Fiに記述された価格変動の内容に従って標準価格テーブルTsの価格設定を修正する(ステップS106)。複数種類の価格変動情報Fiが抽出されている場合には、例えば最新の情報Fiを適用するといったように、所定の規則で一の価格変動情報Fiを選択すればよい。あるいは、価格変動情報Fi同士に矛盾がない場合には、複数種類の価格変動情報Fiに基づいてテーブルTsが修正されてもよい。
【0035】
その後、価格管理部43は修正されたテーブルをゲーム機3に適用すべき価格設定CのテーブルTcとして確定し(ステップS107)、その後に
図5の処理を終える。ステップS105で価格変動情報Fiが抽出されていないと判断された場合、価格管理部43はステップS106をスキップし、ステップS103で取得した標準価格テーブルTsを、ゲーム機3に適用すべき価格設定CのテーブルTcとして確定する。
【0036】
以上の形態では、価格決定部35が価格決定手段の一例として機能し、価格設定部36が
図4のステップS13の処理を実行することにより第1の対価設定手段の一例として機能し、価格管理部43が
図4のステップS31~S33及び
図5のステップS101~107を実行することにより第2の対価設定手段の一例として機能する。
【0037】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、適宜の変形や変更が施された形態で実施することが可能である。例えば、上記の形態では一の店舗2の一台のゲーム機3が一つの管理単位MUを形成するものとしたが、店舗2側における価格設定を共通化できる限りにおいて一の管理単位MUは複数台のゲーム機3を含んでもよい。例えば、
図6に示すように、一の店舗2内に同一種類のゲームを提供する複数台のゲーム機3Bが設けられている場合、それらのゲーム機3Bに適用されるべき価格設定データDPを店舗内サーバ13上に保持させ、各ゲーム機3Bが店舗内サーバ13の価格設定データDPを参照して価格を決定するような形態では、複数台のゲーム機3Bを一つの管理単位MUに収容して、店舗端末12を利用した価格設定A、BのテーブルTa、Tbの操作をゲーム機3B間で一括して行えるようしてもよい。店舗内サーバ13に代えて、いずれか一台のゲーム機3Bを店舗内サーバとして機能させるようにしてもよい。
【0038】
図1又は
図6の形態では、クライアント部の一例としての一つの店舗システム10の範囲内で管理単位が設定されているが、管理単位は複数の店舗システム10間に跨がって設定されてもよい。例えば、
図7に示すように、複数の店舗システム10のそれぞれに設置された同一種類のゲームを提供するゲーム機3Bのそれぞれを一つの管理単位MUに包含させ、その管理単位MUに対して適用されるべき価格設定データDPを、サーバシステム20内のデータベースDBに保持させるようにしてもよい。この場合、店舗端末12の操作によって、管理単位MUに対応する価格設定データDPのテーブルTa、Tbを編集させる一方、管理端末23の操作によって価格設定データDPのテーブルTcを設定すればよい。
図7の形態は、例えば事業者が一致する系列店間で価格設定を共有するような用途に適合させることができる。
【0039】
以上の例から明らかなように、管理単位は、クライアント部側の管理者が共通して価格設定を管理する単位として適宜に区分することが可能である。なお、管理単位のそれぞれに対する価格設定は、店舗端末12の操作によって実現される例に限らず、ゲーム機3を利用してクライアント部側の管理者が価格を設定するものとしてもよい。
【0040】
上記の形態では、サーバシステム20側の管理者によって設定される価格が、複数の管理単位MUを含んだ設定範囲内のゲーム機3Bに共通して適用され得るものとしたが、サーバシステム20側の管理者によって設定される価格が適用されるべき設定範囲は、特定の一の管理単位MUのゲーム機3のみを含むように設定されてもよい。例えば、特定のイベント会場に設置された一台又は複数台のゲーム機3のみを対象とする管理単位MUに限定して価格変動が適用されるように価格変動情報Fiを構成すれば、その価格変動情報Fiに基づいて修正されたテーブルTcは、結果として、単一の管理単位MUのゲーム機3のみに適用される。
【0041】
上記の形態では、ユーザがゲーム要素としての品目を購入する際の価格を対価として捉えてその価格設定を店舗システム10側の管理者とサーバシステム20側の管理者とで区分して設定できるものとしたが、購入に対応してユーザにポイントその他の遊技価値又は金銭価値を還元する場合には、その還元される価値の設定量、あるいは還元率を店舗システム10側の管理者と、サーバシステム20側の管理者とでゲーム要素に応じて区分して設定できるようにしてもよい。つまり、対価は、ゲーム要素の利用と引き換えにユーザが消費すべき遊技価値又は金銭価値を意味するものであり、上記のような還元が行われる場合には、その還元量や還元率の設定を変更することにより、結果として対価の設定が変更されることになる。
【0042】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する部材を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0043】
本発明の一態様に係るゲームシステム(1)は、サーバ部(20)と、所定のゲームをユーザにプレイさせることが可能な少なくとも一つのゲーム装置(3A、3B、3C)を含みかつ前記サーバ部とネットワーク(5)を介して接続可能な複数のクライアント部(10)とを具備し、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置では、前記ユーザによる対価の支払いを条件として、前記所定のゲームと関連付けられた複数のゲーム要素のそれぞれを当該ユーザに利用させることが可能とされ、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置が、管理形態の異同に基づいて複数の管理単位(MU)に区分可能なゲームシステムにおいて、前記ゲーム要素と対価とが関連付けて記録された管理単位ごとの対価設定データ(DP)に基づいて、前記ユーザに課すべき対価を前記管理単位ごとに決定する対価決定手段(35)と、前記複数のゲーム要素のうち第1の区分(CL1)に分類されたゲーム要素に関する対価を、前記管理単位ごとに行われる設定操作に基づいて、前記管理単位ごとに前記対価設定データに対して設定する第1の対価設定手段(36、S13)と、前記複数のゲーム要素のうち、前記第1の区分に分類されるゲーム要素とは重複しないようにして第2の区分(CL2)に分類されたゲーム要素に関する対価を、所定の設定範囲に含まれる1以上の管理単位を対象にして行われる設定操作に基づいて、前記設定範囲に含まれる管理単位の対価設定データに対して設定する第2の対価設定手段(43、S31~S33、S101~107)と、を備えたものである。
【0044】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラム(PG1、PG2)は、サーバ部(20)と、所定のゲームをユーザにプレイさせることが可能な少なくとも一つのゲーム装置(3A、3B、3C)を含みかつ前記サーバ部とネットワーク(5)を介して接続可能な複数のクライアント部(10)とを具備し、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置では、前記ユーザによる対価の支払いを条件として、前記所定のゲームと関連付けられた複数のゲーム要素のそれぞれを当該ユーザに利用させることが可能とされ、前記複数のクライアント部のそれぞれのゲーム装置が、管理形態の異同に基づいて複数の管理単位(MU)に区分可能なゲームシステム(1)に適用されるコンピュータプログラムであって、前記ゲームシステムに含まれる少なくとも一つのコンピュータ(31、41)を、前記ゲーム要素と対価とが関連付けて記録された管理単位ごとの対価設定データ(DP)に基づいて、前記ユーザに課すべき対価を前記管理単位ごとに決定する対価決定手段(35)、前記複数のゲーム要素のうち第1の区分(CL1)に分類されたゲーム要素に関する対価を、前記管理単位ごとに行われる設定操作に基づいて、前記管理単位ごとに前記対価設定データに対して設定する第1の対価設定手段(36、S13)、及び前記複数のゲーム要素のうち、前記第1の区分に分類されるゲーム要素とは重複しないようにして第2の区分(CL2)に分類されたゲーム要素に関する対価を、所定の設定範囲に含まれる1以上の管理単位を対象にして行われる設定操作に基づいて、前記設定範囲に含まれる管理単位の対価設定データに対して設定する第2の対価設定手段(43、S31~S33、S101~107)、として機能させるように構成されたものである。
【0045】
上記態様のゲームシステム及びコンピュータプログラムによれば、ゲーム装置にてユーザが利用可能なゲーム要素が第1区分と第2区分とに分類され、第1区分に分類されたゲーム要素の対価はクライアント部側の管理者等が適宜に設定することができ、第2区分に分類された品目の対価はサーバ部側の管理者等が適宜に設定することができる。したがって、各ゲーム要素を第1区分又は第2区分のいずれに分類すべきかを適切に選択することにより、サーバ側の事業者とクライアント側の事業者のそれぞれの都合に応じて各ゲーム要素の対価を合理的に設定することができる。
【0046】
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のゲームシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0047】
上記態様において、前記第1の対価設定手段は、前記クライアント部側の管理者の設定操作に基づいて前記第1の区分に分類されるゲーム要素に関する対価を設定してもよい。これによれば、クライアント部側の管理者が第1の区分に分類されたゲーム要素の対価を適宜に設定することができる。
【0048】
また、前記クライアント部側の管理者の設定操作が前記クライアント部にて行われてもよい。これによれば、クライアント部側にて管理者が設定操作を行うことにより、自らのクライアント部における第1の区分のゲーム要素に関する対価を適宜に設定することができる。
【0049】
上記態様において、前記第2の対価設定手段は、前記サーバ部側の管理者の設定操作に基づいて前記第2の区分に分類されるゲーム要素に関する対価を設定してもよい。これによれば、クライアント部側の管理者が第1の区分に分類されたゲーム要素の対価を適宜に設定して、これを設定範囲に含まれる管理単位の対価設定データに反映させることができる。
【0050】
上記態様において、前記対価設定データが前記クライアント部側に保持され、前記第1の対価設定手段は、前記クライアント部側の管理者の前記クライアント部における設定操作に基づいて、前記第1の区分に分類されるゲーム要素に関する対価が設定されるように当該クライアント部に保存された対価設定データを操作し、前記第2の対価設定手段は、前記サーバ部側の管理者の設定操作に基づいて前記第2の区分に分類されるゲーム要素に関する対価を決定し(S101~S107)、決定された対価の情報を前記サーバ部から前記設定範囲に含まれる管理単位に対応するクライアント部に提供して当該クライアント部の対価設定データに反映させることにより(S31、S33)、前記第2の区分に分類されるゲーム要素に関する対価を設定するものとしてもよい。これによれば、対価設定データに記録されたゲーム要素のうち、第1の区分に分類されたゲーム要素の対価は各クライアント部における管理者の設定操作に応じて適宜に設定でき、第2の区分に分類されたゲーム要素の対価はサーバ部における管理者の設定操作に基づいて適宜に決定され、その決定された対価がサーバ部からクライアント部に提供されて管理単位の対価設定データに設定される。したがって、クライアント部に保持された対価設定データをクライアント部の管理者、及びサーバ部の管理者により分担して設定して合理的な価格設定を実現することができる。
【0051】
上記態様において、前記第2の区分に分類されるゲーム要素に関する対価を変動させる対価変動情報(Fi1、Fi2…)が適用条件を定めた状態で前記サーバ部に保持され、前記第2の対価設定手段は、前記管理単位に対して前記適用条件を満たす対価変動情報が存在する場合(S105でYes)、前記管理単位の対価設定データに適用されるべき対価を当該適用条件を満たす対価変動情報に基づいて修正し(S106)、修正後の対価を前記管理単位の対価設定データに設定してもよい。これによれば、第2の区分に分類されたゲーム要素の対価に関する対価修正情報を、適宜の適用条件を付してサーバ部に保持させておくことにより、設定範囲内の管理単位の対価設定データに対して適用されるべき対価を適宜に変動させることができる。どのような場合に価格変動を実行するかを適用条件によって管理することができるので、サーバ側の事業者の都合に応じた一時的な価格変動操作等を適切な範囲で適用することができる。
【0052】
さらに、前記適用条件は、時期、又は管理単位の属性の少なくともいずれか一つと関連付けて設定されてもよい。これにより、時期を限り、あるいは特定の属性を有する管理単位のゲーム装置に限ったキャンペーンやイベントをサーバ側の事業者の都合によって適宜に実施して第2の区分に分類されたゲーム要素の価格を変動させることができる。
【0053】
上記態様において、前記複数のゲーム要素の少なくとも一部には、電子通貨を用いた支払い方法によってのみ対価を支払うことが可能なゲーム要素が含まれ、当該ゲーム要素が前記第2の区分に分類されてもよい。現金通貨や代替通貨にて対価を支払う場合には、その支払い可能な最小単位額がゲーム装置の物理的制約により通貨の最小単位額よりも高額に設定されることが多い。これに対して、電子通貨による対価の支払い方法では、ゲーム装置の物理的制約を受けることなく、小額の単位での支払いが可能である。つまり、現金等を用いた場合の支払い方法では支払いが不可能な小額、又は端数を伴った対価でも電子通貨であればゲーム装置の物理的制約を受けることなく容易に支払うことが可能である。このような特徴を活かして、ゲーム内で利用可能なアイテム等のコンテンツが、電子通貨による対価の支払い方法のみが可能なゲーム要素として用意されることがある。こうしたゲーム要素を第2の区分に分類することにより、その種のゲーム要素の対価をサーバ側の事業者の都合に従って共通的に設定し、それにより一の店舗で安く購入されたアイテムが他の店舗で利用されるといった不都合の発生を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ゲームシステム
2 店舗
3A、3B、3C ゲーム機(ゲーム装置)
5 インターネット(ネットワーク)
10 店舗システム(クライアント部)
12 店舗端末
13 店舗内サーバ
20 サーバシステム(サーバ部)
21A、21B サーバユニット
23 管理端末
31 制御ユニット(コンピュータ)
35 価格決定部(対価決定手段)
36 対価設定部(第1の対価設定手段)
41 制御ユニット(コンピュータ)
43 価格管理部