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特開2024-120103喉頭咽頭圧及び/又は下部食道括約筋圧を測定するためのシステム、装置、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120103
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】喉頭咽頭圧及び/又は下部食道括約筋圧を測定するためのシステム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240827BHJP
   A61J 15/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
A61J15/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104771
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2021552764の分割
【原出願日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】2019900757
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】521395964
【氏名又は名称】ヴェントラ メディカル ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エラミリ シータル
(72)【発明者】
【氏名】ブイジス エドワード チャールズ ウィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ハートリー ロリンダ キャスリーン
(72)【発明者】
【氏名】ユー エイミー
(72)【発明者】
【氏名】ハスザード アラン
(72)【発明者】
【氏名】スィーダ クリスティアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者の体内の空気圧を監視するための装置を提供する。
【解決手段】装置は、栄養ルーメンを含むチューブ810と、栄養ルーメンと平行に配置されたセンサルーメンと、センサルーメン内に配置された少なくとも1つのセンサと、装置が患者の気道に少なくとも部分的に配置された場合に、少なくとも1つのセンサを患者の体内の空気圧に曝すように配置された少なくとも1つの穿孔とを、備えている。少なくとも1つのセンサは、センサが曝された圧力に関連したデータを生成するように構成されている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の空気圧を監視するための装置であって、
栄養ルーメンを含むチューブと、
前記栄養ルーメンと平行に配置されたセンサルーメンと、
前記センサルーメン内に配置された少なくとも1つのセンサと、
前記装置が患者の気道内に少なくとも部分的に配置されている場合に、前記少なくとも1つのセンサを前記患者の体内の空気圧に曝すように配置された少なくとも1つの穿孔と、を備え、
前記少なくとも1つのセンサは、前記センサが曝された前記気道内における前記圧力に関連したデータを生成するように構成された装置。
【請求項2】
前記チューブが前記センサルーメンを含み、前記少なくとも1つのセンサが前記チューブの外面から突出しない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チューブの長手方向に沿って結合したセンサ導管をさらに備え、前記センサ導管が前記センサルーメンを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記空気圧が、喉頭咽頭圧、下部食道括約筋圧、下部食道圧、及び肺圧のうちの少なくとも1つである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記チューブが栄養ラインに流体結合されることを可能にし、前記少なくとも1つのセンサが処理ユニットに電気的に結合されることを可能にするコネクタ部をさらに備えた、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記チューブが経鼻胃チューブ又は経口胃チューブのうちの少なくとも1つである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記チューブが経腸栄養チューブとして機能する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記患者の前記喉頭咽頭、下部食道括約筋、及び下部食道領域のうちの少なくとも1つに前記装置を置くことを支援する少なくとも1つの位置決めマーカーをさらに備えた、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記センサが光ファイバ圧力センサである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記センサがファイバブラッググレーティングセンサである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサが、前記チューブの長手方向に沿って配置された少なくとも2つのセンサを含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも2つが少なくとも3cm離れて配置されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサが、前記チューブの円周に配置された少なくとも2つのセンサを含む、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記患者の咽喉の前方部分から光を照射して、前記患者の前記気道内において少なくと
も部分的に装置の位置決めを支援する光源をさらに備えた、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
患者の体内の空気圧を監視することが、前記患者の上部消化管内の空気圧を監視することを含む、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
患者の体内の空気圧を監視するためのシステムであって、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の装置と、
前記少なくとも1つのセンサによって生成されたセンサデータを受信するように構成された処理ユニットと、を備えたシステム。
【請求項17】
表示ユニットをさらに備えた、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記処理ユニットが、前記装置によって管理された少なくとも1つの圧力、前記気道に送達された圧力、送達された前記圧力が所定の制限値外であるかどうかの表示、前記装置にエラーが存在するかどうかの表示、及び前記気道内の気流動力学に関連する少なくとも1つのパラメータを決定するように構成された、請求項16又は請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムが、気流変動を検出し、気流動力学解析を行なうように構成された、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムが胃食道逆流を発見するように構成された、請求項16から請求項19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムがリアルタイムの監視を可能にする、請求項16から請求項20のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムが、無効なセンサ読み取り値を判定するように構成された、請求項16から請求項21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記処理ユニットが、前記センサデータに基づいて、呼吸数及び心拍数のうちの少なくとも1つを測定するように構成される、請求項16から請求項22のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月7日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2019900757号からの優先権を主張するものである。
【0002】
実施形態は、一般に、喉頭咽頭及び/又は下部食道括約筋圧を測定するためのシステム、装置、及び方法に関する。特に、実施形態は、最終的に肺圧を知るために、高流量鼻カニュラ(HFNC)、持続陽圧呼吸療法(CPAP)又は他のインターフェースによる非侵襲的呼吸補助を受けている新生児の喉頭咽頭圧を測定するための、或いは、胃チューブを介した授乳を受けて胃食道逆流のリスクを積極的に管理している新生児の下部食道括約筋圧を測定するためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
子宮の外での生活に必要であるにもかかわらず、乳児の肺は、妊娠中に発達し終わる最後の構造の一部である。そのため、早産の乳児の大多数は、生き残るために何らかの形の呼吸補助を必要とする。
【0004】
現在の非侵襲的呼吸補助システムは、乳児の呼吸器系に正の空気圧又は流量を供給することによって、呼吸と呼吸の間、肺を開いて膨らませたままにしようとする。しかしながら、システム内における原因不明の漏れの可能性のため、臨床医は呼吸補助のレベルを設定する際に試行錯誤を余儀なくさせられる。送達される圧力が高すぎる又は低すぎると、乳児にとって深刻な健康上の影響を与え得る。その結果、身体的な発達が遅くなり、新生児集中治療室(NICU)での滞在が長くなり、後年の罹患率が高くなる。
【0005】
喉頭咽頭及び/又は下部食道括約筋圧を測定するための以前のシステム及び方法に関連する1つ以上の欠点又は不便を対処又は改善すること、或いは有用なそれに代わるものを少なくとも提供することが望ましい。
【0006】
この明細書を通して、「含む」という単語、或いは「含み」又は「含んでいる」などの活用変化は、記載された要素、整数又はステップ、或いは要素、整数又はステップのグループを含むことを意味すると理解されるであろうが、他の要素、整数又はステップ、或いは要素、整数又はステップのグループを除外しない。
【0007】
本明細書に含まれている、いかなる文書、行為、材料、装置、記事等の議論も、これらの事項のいずれか又は全てが先行技術の基盤の一部を形成すること、又は添付された当該請求項の各々の優先日より前に存在していた、本開示に関連する分野において共通した一般的な知識であったことを認めるものとは見なされない。
【発明の概要】
【0008】
いくつかの実施形態は、患者の体内の空気圧を監視するための装置であって、
栄養ルーメンを含むチューブと、
前記栄養ルーメンと平行に配置されたセンサルーメンと、
前記センサルーメン内に配置された少なくとも1つのセンサと、
前記装置が患者の気道内に少なくとも部分的に配置されている場合に、前記少なくとも1つのセンサを患者の体内の空気圧に曝すように配置された少なくとも1つの穿孔と、を備え、
前記少なくとも1つのセンサは、前記センサが曝された前記気道内の前記圧力に関連したデータを生成するように構成された装置に関する。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、チューブがセンサルーメンを含み、少なくとも1つのセンサが前記チューブの外面から突出しない。
【0010】
いくつかの実施形態は、チューブの長手方向に沿って結合されたセンサ導管をさらに含み、ここにおいて、当該センサ導管がセンサルーメンを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、空気圧は、喉頭咽頭圧、下部食道括約筋圧、下部食道圧、及び肺圧のうちの少なくとも1つである。
【0012】
いくつかの実施形態は、チューブが栄養ラインに流体結合されることを可能にし、少なくとも1つのセンサが処理ユニットに電気的に結合されることを可能にするコネクタ部をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、チューブは、経鼻胃チューブ又は経口胃チューブのうちの少なくとも1つである。
【0014】
いくつかの実施形態において、チューブは、経腸栄養チューブとして機能する。
【0015】
いくつかの実施形態は、患者の喉頭咽頭、下部食道括約筋、及び下部食道領域のうちの少なくとも1つに装置を置くことを支援する少なくとも1つの位置決めマーカーをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、センサは、光ファイバ圧力センサである。
【0017】
いくつかの実施形態において、センサは、ファイバブラッググレーティングセンサである。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのセンサは、チューブの長手方向に沿って配置された少なくとも2つのセンサを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも2つは、少なくとも3cm離れて配置されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセンサは、チューブの円周に配置された少なくとも2つのセンサを含む。
【0021】
いくつかの実施形態は、患者の喉の前方部分から光を照射して、患者の気道内において少なくとも部分的に装置の位置決めを支援する光源をさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、患者の体内の空気圧を監視することは、患者の上部消化管内の空気圧を監視することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態は、患者の気道圧を監視するためのシステムであって、
他のいくつかの実施形態の装置と、
少なくとも1つのセンサによって生成されたセンサデータを受信するように構成された処理ユニットと、を備えたシステムに関する。
【0024】
いくつかの実施形態は、表示ユニットをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、処理ユニットは、装置によって管理された少なくとも1つの圧力、気道に送達された圧力、送達された圧力が所定の制限値外であるかどうかの表示、装置にエラーが存在するかどうかの表示、及び気道内の気流動力学に関連する少なくとも1つのパラメータを判別するように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、システムは、気流変動を検出し、気流動力学解析を行なうように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態において、システムは、胃食道逆流を発見するように構成されている。
【0028】
いくつかの実施形態において、システムにより、リアルタイムでの監視が可能になる。
【0029】
いくつかの実施形態において、システムは、無効なセンサ読み取り値を判定するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、処理ユニットは、センサデータに基づいて呼吸数及び心拍数のうちの少なくとも1つを測定するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態は、喉頭咽頭及び下部食道括約筋の圧力を測定するためのシステム、方法、及び装置に関する。
【0032】
いくつかの実施形態は、胃チューブとして機能し、任意の形態での非侵襲的呼吸補助を受けている患者の喉頭咽頭圧及び、推測により、肺圧を測定できる装置に関する。胃チューブは、いくつかの実施形態において、経鼻胃チューブ又は経口胃チューブであってもよい。複数の機能を組み込んだ前記装置により、臨床医が患者の肺の実際の空気圧を理解することができ、追加の侵襲性の処置なしに、呼吸補助システムの空気漏れを正確に説明することができる。
【0033】
装置のいくつかの実施形態は、装置上の少なくとも1つのセンサの補充を介する喉頭咽頭圧の検出手段を含む。
【0034】
装置のいくつかの実施形態は、装置上の複数のセンサの補充を介する喉頭咽頭圧の検出手段を含む。複数のセンサを組み込むことにより、気道のより広い部分にわたる測定が可能になり、平均空気圧の測定が可能である。上記の平均値は、1つのセンサのみを利用する際に比べて、真の肺圧の正確な表現において、より高い信頼水準となり得る。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、装置は、喉頭咽頭の空気圧をリアルタイムで(継続的に)監視する能力を備えている。これにより、口の開閉、鼻プロングの位置変化、又は管理された圧力に対して混乱、漏れ、及び変化を引き起こす他の手段によって引き起こされる、送達された空気圧の変化の瞬時の検出が可能になる。送達された空気圧の継続的な監視により、呼吸補助が、より迅速かつ効率的に、患者の目標の肺圧に到達させることも可能になる。
【0036】
いくつかの実施形態において、装置上の複数のセンサは、チューブの円周にかかるアレイに配置されている。これにより、すべての可能な方向での空気圧の測定が可能になるため、周囲の解剖学的構造、組織、及び関連物質によって閉塞されたおそれのあるセンサを考慮することも可能である。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、複数のセンサは、それらが気道の喉頭咽頭部領域にかかるように、チューブの長手方向に沿った異なる位置に、前記領域の中心から3cm以内、好ましくは好適な距離内に配置されている。喉頭咽頭部領域は、気道と食道がそれぞれ肺と胃への経路に向かって分裂する接合部を含んでいるため、肺圧の正確な測定を行なうための胃チューブが最も近い位置を表す。
【0038】
装置のいくつかの実施形態は、チューブ上に光源を組み込んでいる。光源は、喉の前方部分から照射される光により、患者の解剖学的構造の正しい部位を通ったチューブの配置を視覚的に示すことを目的としている。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、装置は、気道の喉頭咽頭部領域内に位置するようにチューブの長手方向に沿った位置に、前記領域の中心から3cm以内、好ましくは好適な距離内に配置された光源を組み込んでいる。これにより、光源が気道の喉頭咽頭部領域内の正しい部位でのセンサの配置を視覚的に示すことが可能になり、肺圧の正確な測定値の取得を確実にできる。
【0040】
いくつかの実施形態において、チューブの長手方向に沿った異なる位置に配置された複数のセンサにより、喉頭咽頭部及び周囲の領域の長手方向に沿った空気圧の変動の測定が可能になる。これにより、気流は圧力勾配によって制御されるため、システム内の気流動力学解析が可能になる。患者の肺のコンプライアンスのばらつきのため、目標空気圧を達成した場合においても、必ずしも十分な肺の膨張が得られないことがある。したがって、システム内の結果として生じる気流を理解することで、臨床医は、管理された圧力を患者のニーズに合わせて適切に調整できる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、チューブの長手方向に沿った異なる位置に配置された複数のセンサを利用して、声帯の位置を明らかにすることができる。声帯は、喉頭咽頭部領域において適切なセンサ配置の指標となる。システム内の空気圧は、胃の入口位置まで、前記領域の長手方向に沿って変化することも知られている。したがって、声帯の位置を確認することにより、前記装置の適切な配置が可能になる。
【0042】
いくつかの実施形態において、装置は胃チューブとして機能し、下部食道括約筋圧を測定することができ、推測により、胃食道逆流を発見することができる。複数の機能を組み込んだ前記装置により、臨床医が、逆流などの身体的症状が現れるのを待つことなく逆流症を積極的に発見することができると同時に、摂食を管理することが可能になる。
【0043】
いくつかの実施形態において、装置は、装置上の少なくとも1つのセンサの補充を介する下部食道括約筋圧の検出手段を備えている。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、装置は、装置上の複数のセンサの補充を介する下部食道括約筋圧の検出手段を備えている。複数のセンサを組み込むことにより、上部消化管のより広い部分にわたる測定が可能になり、平均食道括約筋圧の測定が可能である。上記の平均値は、1つのセンサのみを利用する際に比べて、真の食道括約筋圧の正確な表現において、より高い信頼水準となり得る。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、装置は、胃食道逆流をリアルタイムで(継続的に)監視する能力を備えている。これにより、食道括約筋圧の変化、又は胃内容物の食道への逆流を引き起こし得るその他の手段を瞬時に検出することが可能になる。胃食道逆流の継続的な監視により、逆流などの身体的症状が現れる前に、患者の積極的な摂食管理も可能になる。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、装置上の複数のセンサは、チューブの円周にかかるアレイに配置されている。これにより、すべての可能な方向の食道圧の測定が可能になるため、周囲の解剖学的構造、組織、及び関連物質によって閉塞されたおそれのあるセンサを考慮することも可能である。
【0047】
いくつかの実施形態において、複数のセンサは、それらが消化管の下部食道括約筋領域にかかるようにチューブの長手方向に沿ってさらに遠位に、前記領域の中心から好適な距離内に配置されている。胃の入口位置に最も近い前記領域に接近することにより、胃食道逆流の積極的かつ正確な発見が可能である。
【0048】
いくつかの実施形態は、喉頭咽頭圧の測定に対応可能な圧力センサ付きの胃チューブへの接続を有する監視システムに関する。
【0049】
いくつかの実施形態は、気流動力学測定に対応可能な圧力センサ付きの胃チューブへの接続を有する監視システムに関する。
【0050】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した処理ユニットに関する。ここにおいて、処理ユニットは、すべての圧力センサからデータを取り込み、無効なセンサ読み取り値に対応するように構成されている。センサ読み取り値は、周囲の解剖学的構造、組織、及び関連物質によって閉塞されている場合は無効になることがある。
【0051】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した処理ユニットに関する。ここにおいて、処理ユニットにより、喉頭咽頭圧、及び推測により、肺圧の測定が可能になる。肺に対して配置される前記装置に最も近い位置である喉頭咽頭部領域の空気圧を測定することによって、肺の空気圧の推定が可能である。
【0052】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した処理ユニットに関する。ここにおいて、処理ユニットにより、喉頭咽頭圧、及び推測により、肺圧のリアルタイムでの(継続的な)監視が可能になる。これにより、呼吸補助の管理された空気圧を継続的に調整することが可能になり、患者の目標肺圧により迅速かつ効率的に到達することが可能になる。
【0053】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した処理ユニットに関する。ここにおいて、処理ユニットにより、声帯の位置の決定が可能になる。声帯は、喉頭咽頭部領域において適切なセンサ配置の指標となる。システム内の空気圧は、胃の入口位置まで、前記領域の長手方向に沿って変化することも知られている。したがって、声帯の位置を確認することにより、前記装置の適切な配置が可能になる。
【0054】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した表示ユニットに関する。ここにおいて、表示ユニットは、複数の測定値を臨床医に提供し、以下を含むがこれらに限定されない。(i)管理された圧力、(ii)喉頭咽頭部の圧力、(iii)送達された圧力が設定制限値外であるかどうかの表示、(iv)装置にエラーが存在するかどうかの表示、及び(v)気道内の気流動力学。
【0055】
いくつかの実施形態は、下部食道括約筋圧の測定に対応可能な圧力センサ付きの胃チューブへの接続を有する監視システムに関する。
【0056】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した処理ユニット
に関する。ここにおいて、処理ユニットは、すべての圧力センサからデータを取り込み、無効なセンサ読み取り値に対応するように構成されている。センサ読み取り値は、周囲の解剖学的構造、組織、及び関連物質によって閉塞されている場合は無効になることがある。
【0057】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した処理ユニットに関する。ここにおいて、処理ユニットにより、下部食道括約筋圧の測定、及び推測により、胃食道逆流の発見が可能になる。これにより、胃チューブの配置と栄養ラインを積極的に管理し、逆流などの身体的症状が現れる前に胃食道逆流を防ぐことが可能になる。
【0058】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した処理ユニットに関する。ここにおいて、処理ユニットにより、下部食道括約筋圧、及び推測により、胃食道逆流のリアルタイムでの(継続的な)監視が可能になる。これにより、胃チューブの位置決め又は栄養ラインからの流量を継続的に調整し、胃食道逆流を効果的に防ぐことが可能になる。
【0059】
いくつかの実施形態は、いくつかの前述の実施形態による装置と連絡した表示ユニットに関する。ここにおいて、表示ユニットは、複数の測定値を臨床医に提供し、以下を含むがこれらに限定されない。(i)下部食道括約筋圧、(ii)胃内圧、(iii)胃食道逆流の表示。
【0060】
いくつかの実施形態は、外管については以下の材料から作製できるがこれらに限定されない胃圧感知チューブの製造方法に関する。ポリウレタン、シリコーン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン。
【0061】
いくつかの実施形態は、内部電気配線については以下の材料から作製できるがこれらに限定されない胃圧感知チューブの製造方法に関する。銅、ステンレス鋼、ニチノール、白金合金、ニッケル及び銀めっき線。
【0062】
いくつかの実施形態は、管材料及び配線材料の共押出を可能にする、いくつかの前述の実施形態による装置の製造方法に関する。マルチルーメン管を介してワイヤでをつなぐなどの従来の製造規範に対する共押出の利点は、(i)配線が管の壁内に存在することが可能になり、(ii)製造コスト及びスクラップ率が削減され、(iii)厳格な公差を満たす能力が向上することである。外管と内部電気配線の前述の材料は、共押出されることが可能である。
【0063】
いくつかの実施形態は、管の表面上に圧力センサを収容するためのディボットの作成を可能にする、いくつかの前述の実施形態による装置の製造方法に関する。これにより、圧力センサが、同一平面のままである、又はチューブの外部に対して最小限の突起であることが可能になり、装置の検知部分の全体外形を小さくする。
【0064】
いくつかの実施形態は、圧力センサの内部電気配線への時限配置及び接続を可能にする、いくつかの前述の実施形態による装置の製造方法に関する。これにより、圧力センサが、正しい位置に配置され、内部電気配線に適切に付着することが可能になる。
【0065】
いくつかの実施形態は、近位データ送信装置の内部電気配線への時限配置及び接続が可能にする、いくつかの前述の実施形態による装置の製造方法に関する。これにより、近位データ送信装置が内部電気配線及び前記装置内の個々のセンサのそれぞれに適切に接続されることが可能になる。
【0066】
いくつかの実施形態は、管が物質又は圧力の供給源に接続するための1つ以上の近位コネクタを有するメインルーメンを含んで製造された装置に関する。これにより、栄養ラインが前記装置の圧力感知の態様から独立したままであることが可能になる。
【0067】
いくつかの実施形態は、管及び内部配線の構造が、圧力感知能力に強い影響を与えることなく物質の送達を可能にするのに十分な機械的剛性を維持して製造された装置に関する。これにより、栄養ラインが正確な圧力測定値を維持しながら有効なままであることが可能になる。
【0068】
いくつかの実施形態は、管及び内部配線の構造が、解剖学的構造の安全なナビゲートを可能にするのに十分な柔軟性を維持して製造された装置に関する。
【0069】
いくつかの実施形態は、以下の例によって実施することができる装置配置の方法に関する。まず、胃チューブの全長に対する喉頭咽頭部領域の相対的な位置決めの配置前測定チェックを行なう。それから、装置の遠位端を患者の鼻又は口から配置する。患者の解剖学的構造に対する適切な配置の指標として近位の深さ標示を用いて、前記チューブを前進させる。患者の解剖学的構造に対する適切なセンサ配置の目視検査を提供するために、胃チューブの光源を有効にする。チューブによって提供される圧力測定値は、声帯の位置、及び患者の解剖学的構造に対する適切なセンサ配置の決定も支援することができる。それから、チューブの近位のデータ送信装置を処理及び表示ユニットに接続する。チューブの近位の内部ルーメンを栄養ライン、閉止チューブ、又は通気チューブに接続する。
【0070】
いくつかの実施形態は、以下の例によって実施することができる、任意の形態での非侵襲的呼吸補助を受けている患者の喉頭咽頭部の圧力の継続的な監視の方法に関する。まず、使用される非侵襲的呼吸補助システムの管理された空気圧を設定する。それから、前記装置によって提供される喉頭咽頭部の圧力測定値を観察する。また、処理及び表示ユニットによって提供される警告を観察し、最初に、装置からのエラーがあるか確認する。喉頭咽頭部の空気圧と呼吸補助のレベルとを比較して、システム内の空気漏れの程度を評価する。それから、喉頭咽頭部の空気圧をベースラインのレベルと比較して、空気圧が設定制限値外であるかどうかを判定する。ベースラインのレベルは、呼吸補助機によって管理されている圧力又は流量のレベルでもよい。患者の呼吸活動及びバイタルサインを観察する。必要に応じて、管理された空気圧又は流量を調節して、患者にとって望ましいレベルの喉頭咽頭空気圧を達成する。
【0071】
いくつかの実施形態は、以下の例によって実施することができる、任意の形態の非侵襲的呼吸補助を受けている患者の気流動力学の継続的な監視の方法に関する。まず、使用される非侵襲的呼吸補助システムの管理された空気圧を設定する。前記装置によって提供される気流の測定値を観察する。次に、処理及び表示ユニットによって提供される警告を観察し、最初に、装置からのエラーがあるか確認する。喉頭咽頭部の気流と管理された圧力とを比較して、システム内の空気漏れの程度を評価する。それから、喉頭咽頭部の気流をベースラインのレベルと比較して、気流が設定制限値外であるかどうかを判定する。患者の呼吸活動及びバイタルサインを観察する。必要に応じて、管理される空気圧又は流量を調整して、患者にとって望ましい気道気流特性を達成する。
【0072】
いくつかの実施形態は、以下の例によって実施することができる装置配置の方法に関する。まず、胃チューブの全長に対する下部食道括約筋領域の相対的な位置決めの配置前測定チェックを行なう。それから、装置の遠位端を患者の鼻又は口から配置する。患者の解剖学的構造に対する適切な配置の指標として近位の深さ標示を用いて、前記チューブを前進させる。チューブによって提供される圧力の測定値はまた、胃の入口位置に対する適切なセンサの配置の決定も支援することができる。それから、チューブの近位のデータ送信
装置を処理及び表示ユニットに接続する。チューブの近位の内部ルーメンを栄養ライン、閉止チューブ、又は通気チューブに接続する。
【0073】
いくつかの実施形態は、以下の例によって実施することができる、胃チューブを介して任意の形態の摂食を受けている患者の胃食道逆流の発生の継続的な監視の方法に関する。まず、前記装置を配置し、下部食道括約筋圧の測定値を観察する。また、処理及び表示ユニットによって提供される警告を観察し、最初に、装置からのエラーがあるか確認する。下部食道括約筋圧と胃内圧とを比較して、胃食道逆流のリスクを評価する。
【0074】
患者の呼吸活動及びバイタルサインを観察する。必要に応じて胃チューブの位置決め又は摂食の流量を調節し、患者の胃食道逆流を防ぐ。
【0075】
実施形態は、例として、添付の図面を参照して、以下においてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1図1は、チューブの外面上の呼吸圧センサの位置、及びセンサがチューブ上にどのように取り付けられているかを示している、いくつかの実施形態による胃チューブの側面図及び等角図を示す。
図2図2は、気道の解剖学的構造の断面図であり、図1の胃チューブが解剖学的構造内及び喉頭咽頭部領域のその標的にどのように適合するかを示す概略図である。
図3図3は、喉頭咽頭部領域へのチューブのセンサの適切な配置及び位置決めを支援する深さ標示の位置を示している、図1の胃チューブの側面図である。
図4図4は、内部ルーメン内で接続された、患者の喉から照らす光源が、センサの適切な位置決めを示すことを可能にする、胃チューブの別の実施形態の斜視図である。
図5図5は、圧力センサを近位データ送信装置に接続する壁内の内部配線を示す、図1又は図4の胃チューブの概略図である。
図6図6は、食道圧センサの位置及びセンサがチューブの直径内にどのように取り付けられるかを示している、胃チューブの別の実施形態の側面図及び等角図を示す。
図7図7は、圧力センサが下部食道括約筋を横切って胃の中に配置されて測定を行なう場所を示している、消化管の断面図、及び図1,4,又は6の装置の概略図である。
図8図8は、図1の装置を組み込んだシステムのブロック図である。
図9A図9Aは、いくつかの実施形態による表示ユニットを示す。
図9B図9Bは、いくつかの実施形態による表示ユニットを示す。
図10図10は、図8のシステムをさらに詳細に示す図である。
図11図11は、喉頭咽頭部領域に図1の装置を位置決めするための方法を示すフローチャートである。
図12図12は、患者の喉頭咽頭部の圧力の継続的な監視の方法を示すフローチャートである。
図13図13は、患者の気流動力学の継続的な監視の方法を示すフローチャートである。
図14図14は、下部食道括約筋領域に図1の装置を位置決めするための方法を示すフローチャートである。
図15図15は、患者の胃食道逆流の発生の継続的な監視の方法を示すフローチャートである。
図16図16は、図1の装置を備えたサブシステムの実施形態を示す。
図17図17は、図1の装置を備えたサブシステムの別の実施形態を示す。
図18図18は、図1の装置を備えたサブシステムのさらに別の実施形態を示す。
図19図19は、図1の装置を備えたサブシステムのさらに別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
実施形態は、一般に、喉頭咽頭圧及び下部食道括約筋圧を測定するためのシステム、方法、及び装置に関する。
【0078】
未熟児の最も一般的な肺疾患は呼吸窮迫症候群(RDS)であり、これは新生児の生後1年における最も一般的な単一の死因であり続けている(Copland,I et al. Understanding the mechanisms of Infant Respiratory Distress and Chronic Lung Disease. American Journal of Respiratory
Cell and Molecular Biology. 2002;26(3):261-265.)。
【0079】
RDSは、肺界面活性物質の不十分な産生、及び肺の構造的未発達のために引き起こされる。界面活性物質は、肺胞表面の表面張力を低下させる役割があり、呼気中に肺を虚脱から防ぐ。界面活性物質の産生が限られているため、RDSの乳児は肺を拡張することが困難であるため、酸素と二酸化炭素の交換が起こるのを妨げる(Copland,I et al. Understanding the mechanisms of Infant Respiratory Distress and Chronic Lung Disease. American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology. 2002;26(3):261-265.)。
【0080】
RDSに苦しむ新生児は、非侵襲的呼吸補助を使用して治療されるが、この実際の不正確さの結果、さらに合併症になり得る(Boel L, Broad K, Chakraborty M. Non-invasive respiratory support in newborn infants. Paediatrics and Child Health. 2017 Nov 15.)。現在の非侵襲的呼吸補助メカニズムは、システム内の空気漏れの原因を正確に説明することができず、これは、鼻、口、及び胃で生じる可能性がある。その結果、機械に設定された圧力又は流量は、必ずしも肺に到達する空気圧又は流量を反映していない。このあいまいさは、知らずに肺を過大又は過小に膨らませ、乳児にとって深刻な健康上の結果につながる可能性があることを意味する。したがって、臨床医は、症状が遅れて表されることにより増大する負担である苦痛の身体的兆候のために、新生児の監視に多くの時間を費やす。
【0081】
無気肺は、肺の部分的又は完全な虚脱である。未熟児の場合、これは、RDSの乳児の肺への圧力の送達が不十分な際にたびたび起こる(Dargaville PA1, Tingay DG. Lung protective ventilation in
extremely preterm infants. J Paediatr Child Health. 2012 Sep;48(9):740-6)。無気肺の症状には、呼吸困難、短く急速な呼吸、心拍数の増加、及びチアノーゼ(皮膚が青色になること)などが挙げられる。無気肺は一般的に、薬物療法、理学療法、及び呼吸補助のレベルを上げることによって治療される。
【0082】
気胸は、肺の圧力が高すぎる際に生じ、空気が肺の内層を突き破って胸膜内空間に充満し、肺の虚脱につながる可能性がある(Dargaville PA, Gerber A, Johansson S, De Paoli AG, Kamlin CO, Orsini F, Davis PG. Incidence and outcom
e of CPAP failure in preterm infants. Pediatrics. 2016 Jul 1;138(1):e20153985.)。気胸の症状には、胸の鋭い痛み、呼吸困難、短く急速な呼吸、及び心拍数の増加などが挙げられる。妊娠25~28週の間に生まれた乳児の場合、CPAP治療の3.7%が気胸を引き起こし、29~32週の乳児では2.7%に減少する(Dargaville PA, Gerber A, Johansson S, De Paoli AG, Kamlin CO, Orsini F, Davis PG. Incidence and outcome of CPAP failure in preterm infants. Pediatrics. 2016 Jul 1;138(1):e20153985.)。気胸は外科的治療が可能であるが、最も一般的には胸腔ドレーンによる治療である。胸腔ドレーンは最大3日かかり、胸壁からの挿入を介した胸膜内空間からの空気及び液体の除去を含む(Kirmani BH, Page RD. Pneumothorax and insertion of a chest drain.
Surgery (Oxford).2014 May 1;32(5):272-5)。
【0083】
臨床医は現在、システム内での漏れに対応しようと様々な方法が使用されており、そのほとんどは口と鼻の周りの漏れに焦点を置いたものである。下部食道括約筋のインピーダンスが高いため、胃からも漏れが生じる可能性があるが、これらの漏れは比較的軽微であり、たびたび無視される(Mehta S, McCool FD, Hill NS.
Leak compensation in positive pressure ventilators: a lung model study. European Respiratory Journal. 2001 Feb 1;17(2):259-67.)。
【0084】
あご紐は、乳児の口の開閉によって生じた、送達された圧力の変動を小さくしようと使用されることがある。一部のNICUでは日常的にあご紐を使用しているが、他のNICUではこれをニーズに対する適切な解決策とは見なしていない。これは、あご紐の使用に臨床的に有意な利点がないことを発見した2014年の研究によって共有された論争である(Feltman D. 2014, Does routine use of chinstraps result in improved clinical outcomes for neonatal Patients requiring non-invasive pressure ventilation.バーモントオックスフォード新生児会議2014において発表された論文。2018年10月25日閲覧。<http://www.vtoxford.org/meetings/AMQC/Handouts2014/LearningFair/Northshore_DoesRoutineUseofChinstraps.pdf>)。さらに、あご紐にはいくつかの欠点がある。強制的に口を閉じたままにしておくと、乳児にとって不快な場合があり、乳児があくび、げっぷ、又は嘔吐のために自由に口を開けることができないと、興奮させるかもしれない。
【0085】
鼻孔、つまり鼻プロング周辺からの漏れを少なくするために、臨床医は鼻孔にしっかりと合う鼻プロングの使用を試みることがある(Chen CY, Chou AK, Chen YL, Chou HC, Tsao PN, Hsieh WS. Quality improvement of nasal continuous positive airway pressure therapy in neonatal
intensive care unit. Pediatrics & Neonatology. 2017 Jun 1;58(3):229-35.)。ただし、この方法には制限がある。第一に、新生児の急速な成長は、ぴったり合う鼻プロングがぴったりと合ったままであることはめったになく、非常に高価な鼻プロングのインターフェース
をすぐに交換する必要があることを意味する。新生児の鼻の領域の感度はまた、漏れを少なくするために理想的にはプロングがしっかりと合っているべきであるが、鼻の圧迫による損傷のリスクを考慮に入れなければならないことを意味する。非常にきつく合っている鼻プロングにより、皮膚の損傷、打撲傷、出血のリスク、そしてひどい場合は、鼻が変形するリスクに困らされる(Neonatal respiratory distress including CPAP. Queensland Clinical Guideline 2018.2018年10月25日閲覧。<https://www.health.qld.gov.au/__data/assets/pdf_file/0012/141150/g-cpap.pdf>)。あご紐と同様に、鼻プロングを使用して漏れを少なくすることは、漏れの1つの原因に対処するだけであり、多くの制限を伴う。
【0086】
非侵襲的呼吸補助システムの製造業者はまた、システムの開回路が本質的に漏りやすく、治療に不正確な送達となることを認識している。最近、漏れを補う機能を組み込んだ非侵襲的呼吸補助システムが利用可能になった。これらの方法は、流量と抵抗の外部測定を使用し、それに応じて管理される気流を調節することによって機能する。ただし、空気漏れの存在下において必要なレベルの補助を送達する上で、漏れ補償非侵襲的呼吸補助システムの有効性に関する証拠は限定的である。ある研究によって、漏れ補償が組み込まれた非侵襲的呼吸補助システムでは、漏れを補償して平均CPAPレベルを維持できる可能性があるが、かなり大幅な圧力変動を伴って行われることが分かった(Drevhammar T, Nilsson K, Zetterstrom H, Jonsson B. Seven Ventilators Challenged With Leaks During Neonatal Nasal CPAP: An Experimental Pilot Study. Respiratory care. 2015 Feb 24:respcare-03718.)。例えば、この研究によると、システムに漏れが発生した際に、初期圧力降下が徐々に補償されたが、漏れが停止した際に、圧力のオーバーシュートが観察された。この研究は、「漏れ補償は、より圧力安定性の高いシステムを保証するものではない」と結論付けた。
【0087】
非侵襲的呼吸補助システムに関連する欠点を克服するために、新生児の肺へ望ましい圧力を送達させることが可能な装置が必要である。
【0088】
胃食道逆流(GER)は、その他の点では健康な乳児の3分の2以上に悪影響を及ぼすと知られており(Lightdale J, Gremse D. Gastroesophageal Reflux:Management Guidance for the Pediatrician. Pediatrics. 2013 May;131(5).)、食道への胃内容物の生理学的移行と定義されている。胃食道逆流症(GERD)は、基礎となる症状又は合併症によって引き起こされる逆流症として区別される。
【0089】
特に乳児では、GERDは主に、下部食道括約筋の発達が不十分であるために引き起こされ、食道への胃内容物の逆流を防ぐために必要な圧力を提供することができない(Czinn S, Blanchard S. Gastroesophageal Reflux Disease in Neonates and Infants. Pediatric Drugs. 2013 Feb;15(1).)。さらに、胸焼け、嘔吐、逆流などの典型的な成人の症状をすぐに評価できないため、乳児のGERDの診断は難しいことがある。
【0090】
研究はまた、経鼻胃チューブの存在が早産児の逆流症の発生を増加させるかもしれないことを示し(Peter C, et al. Influence of nasogastric tubes on gastroesophageal reflux
in preterm infants:A multiple intraluminal impedance study. The Journal of Pediatrics. 2002 Aug;141(2).)、これにより、経鼻胃チューブに、逆流症を積極的に発見するための追加の機能的な必要条件が生じた。GERを発見するための現在の標準的な手順は、食道pHの監視であるが、逆流症発生の90%が非酸性であるため、これは早産児には適していない(Wenzl TG, et al.Gastroesophageal reflux and respiratory phenomena in infants: status of the intraluminal impedance technique. Journal of Pediatric Gastroenterology Nutrition.1999;28.)。下部食道括約筋圧と胃食道逆流の発生との間に相関関係があることも知られている(Ahtaridis G et al. Lower esophageal sphincter pressure as an index of gastroesophageal acid reflux. Digestive Diseases and Science. 1981 Nov;26(11).)、ただし、この種の測定値を提供する経鼻又は経口胃チューブはない。したがって、下部食道括約筋圧を利用して逆流症を発見するための、経鼻又は経口胃チューブが必要である。
【0091】
いくつかの記載された実施形態は、侵襲性を加えることなく、乳児の喉頭咽頭部の圧力のリアルタイムでの監視を提供するように構成された装置に関する。この装置は、既存の補助システムとシームレスに統合して設計され、非侵襲的呼吸補助における乳児への空気圧の送達の精度を向上させ、臨床医の積極的な治療を可能にする。
【0092】
具体的には、いくつかの実施形態は、患者の胃への物質を直接管理するために使用される胃栄養チューブとして機能する装置に関する。この装置は、喉頭咽頭圧、及び推測により、任意の形態の非侵襲的呼吸補助を受けている患者の肺圧を測定することができる。複数の機能を組み込んだ前記装置により、臨床医が患者の肺の実際の空気圧を理解することができ、追加の侵襲性の処置なしに、呼吸補助システムの空気漏れを正確に説明することができる。
【0093】
いくつかの記載された実施形態は、患者の上部消化管の圧力のリアルタイムでの監視を提供するように構成された装置に関する。
【0094】
図8は、いくつかの実施形態による喉頭咽頭及び下部食道括約筋の圧力を測定するためのシステム800を示している。いくつかの実施形態によれば、システム800はまた、下部食道圧を測定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態によれば、システム800はまた、呼吸数及び心拍数などのバイタルサインを測定するために使用されてもよい。いくつかの実施形態によれば、システム800はまた、中核体温を決定するために使用されてもよい。
【0095】
システム800は、経腸栄養装置として機能するように構成されてもよい胃チューブ810を含む。チューブ810は、1つ以上のセンサ820を組み込んでおり、これは、センサ820のアレイを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、センサ820は、圧力センサを含んでよく、光ファイバ圧力センサであってよい。
【0096】
システム800が患者の中核体温を決定するために使用されている場合、センサ820は、温度センサを含んでよく、これは、いくつかの実施形態において光ファイバ温度センサであってよい。例えば、センサ820は、波長変調原理に基づいて動作する固有のセンサである、ファイバブラッググレーティング(FBG)ベースのセンサであってよい。具体的には、このセンサは、ブラッグ条件を満たす特定の波長が特定の位置で反射され、他
のすべての波長は反射されないという原理に基づいて動作することができる。これは、光ファイバのコア内部にグレーティングを作成することによって達成される。光ファイバの温度が変化すると、グレーティング間の間隔、及び屈折率の両方が変化する。したがって、温度が変化することにより、反射波長のシフトを引き起こす。いくつかの実施形態によれば、センサ820は、光ファイバの端部に取り付けられたヒ化ガリウム結晶などの結晶を含んでよい。広帯域光源をファイバに結合して、結晶に光を当ててもよい。結晶は、温度感受性カットフィルタのような性質を示し、ここにおいて、結晶は一部の光を吸収し、他の光を透過させる。反射スペクトルと透過スペクトルの間の特徴的なエッジ又は遷移波長は、バンドギャップエネルギーと、したがって、絶対温度と直接的に関係がある。
【0097】
いくつかの実施形態において、センサ820は、チューブ810の外面に配置されてよい。いくつかの別の実施形態において、センサ820は、チューブ内部に配置されてよい。いくつかの実施形態によれば、センサは、チューブ810の長手方向に沿って、ならびにチューブ810の円周に配置されてよい。センサ820は、いくつかの実施形態において、光ファイバ圧力センサであってよい。圧力センサ820が光ファイバ圧力センサである場合、単一の光ファイバは、その長さに沿った複数のセンサ位置を含んでよい。
【0098】
センサ820は、チューブ810が患者の気道の喉頭咽頭部領域に位置する際、気道の喉頭咽頭部領域内に配置されることができ、これにより、システム800が深咽頭部の気道圧を測定し、続いて患者の肺圧を理解することが可能になる。いくつかの実施形態において、チューブ810は、圧力センサ820が使われる下部食道領域に配置されるように構成されてよく、その結果、システム800は、下部食道圧を測定するために使用されることができる。特に、この配置は、胃食道逆流を発見するために使用されてよい。胃食道逆流は、胃内圧と比較して下部食道圧が急激に低下した際に発生する。いくつかの実施形態によれば、システム800は、下部食道圧を測定するように構成されてよく、胃内圧と比較して下部食道圧の急激な低下が検出された際に、臨床医に警告するアラームを生成する。
【0099】
胃チューブ810のセンサ820は、データ処理ユニット830に接続されている。データ処理ユニット830は、プロセッサ831と、プロセッサ831によって実行可能なプログラムコード834を格納するメモリ833とを備えている。データ処理ユニット830は、センサ820、電源835、及び通信モジュール836からデータを受信するためのセンサ入力モジュール832をさらに備えている。通信モジュール836は、データ処理ユニット830と他の電子装置との間の有線又は無線通信を容易にするように構成されてよい。
【0100】
図示の実施形態において、データ処理ユニット830は、(i)管理された圧力、(ii)気道及び肺に送達された圧力、(iii)送達された圧力が設定制限値外であるかどうかの表示、(iv)装置にエラーが存在するかどうかの表示、及び(v)気道内の気流動力学の読み取り値を示す表示ユニット840と連絡する。いくつかの実施形態によれば、表示ユニット840はまた、経時的な圧力測定値のアラーム及び履歴データを表示するように構成されてよい。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、表示ユニット840はまた、プロセッサ841と、プロセッサ841によって実行可能であるプログラムコード844を格納するメモリ843とを備えている。表示ユニット840は、ユーザ入力データを受信するためのユーザ入力モジュール842、電源845、及び通信モジュール846をさらに備えてよい。通信モジュール846は、表示ユニット840と、処理ユニット830などの他の電子装置との間の有線又は無線通信を容易にするように構成されてよい。表示ユニット840は、データをユーザに表示することを可能にするスクリーンディスプレイ847をさらに備えている
【0102】
いくつかの実施形態によれば、処理ユニット830及び表示ユニット840は、図10を参照して以下に示されるように、単一の装置の一部であってよい。
【0103】
図9A及び9Bは、表示ユニット840の例示的な実施形態を示す。図9Aは、測定された圧力データをグラフ910として描写しているスクリーンディスプレイ847を有する例示的な表示ユニット840を示す。図9Bは、測定された圧力データを数値920として描写しているスクリーンディスプレイ847を有する例示的な表示ユニット840を示す。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、チューブ810は、胃チューブとして機能し、下部食道括約筋圧を測定し、推測により、胃食道逆流を発見することができる。チューブ810は、逆流などの身体的症状が現れるのを待たずに逆流症を積極的に発見することができる一方で、臨床医が摂食を管理することを可能にする複数の機能を組み込んでよい。
【0105】
いくつかの別の実施形態によれば、胃チューブ810は、チューブ810が患者の消化管の下部食道括約筋領域に位置する際、消化管の下部食道括約筋領域内に配置されることができるその外面のセンサ820のアレイを組み込み、システム800が測定を行ない、続いて胃食道逆流を発見することが可能になる。胃チューブ810のセンサ820は、データ処理ユニット830に接続されている。データ処理ユニット830は、(i)下部食道括約筋圧、(ii)胃内圧、及び(iii)胃食道逆流の表示の読み取り値を示す表示ユニット840と連絡する。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、システム800はまた、呼吸数及び心拍数などのバイタルサインを測定するために使用されてもよい。呼吸数は、センサ820によって生成された気道圧信号のピーク/トラフをカウントする処理ユニット830によって測定されてよい。心拍は、センサ820によって生成された圧力信号のアーチファクトとして処理ユニット830によって検出されてよく、固有の波形を有してよい。処理ユニット830は、圧力信号からこれらの波形を抽出し、その情報を処理して心拍数の測定及び報告をするように構成されてよい。
【0107】
図10は、システム800をさらに詳細に示す。図10は、喉頭咽頭圧を測定するために配置されたセンサ820と共に、患者の気道の喉頭咽頭部領域に配置した装置810を示す。装置810の遠位端は、接合部1030に接続され、これにより、装置810がシリンジ1010に接続されることが可能になる。接合部1030により、装置810のセンサ820が、接続ケーブル1020及び1040を介して、組み合わされた処理及び表示ユニット830/840に接続されることも可能になる。ケーブル1020は、消耗ケーブルとして設計されてよく、一方、ケーブル1040は、再利用可能なケーブルとして設計されてよい。装置830/840は、主電源に接続させた電源ケーブルの形態の電源835/845を動力としてよい。いくつかの実施形態によれば、システム800の部品810、820、1010、1020及び1030は、消耗又は処分可能な使い捨てアイテムであってよく、一方、部品830/840、835/845及び1040は、再利用可能であってよい。いくつかの実施形態によれば、センサ820は、再利用可能であってよく、装置810から取り外し可能、洗浄可能、そして新しい装置810に再挿入されることが可能であってよい。
【0108】
さらなる実施形態は、本明細書に開示されるシステム、方法、及び装置の構造、機能、及び使用の原理の全体的な理解を提供するために、説明される。これらの実施形態の例は、添付の図面において図示される。
【0109】
図1は、胃チューブの側面図及び等角図を示しており、その外面上の呼吸圧センサの位置、及びセンサがどのようにチューブ上に取り付けられているかを示している。
【0110】
図1は、いくつかの実施形態による胃チューブ100を図示し、これは、全方向で測定を容易にするために、360°スペクトルに配置されたその外面上の圧力センサ10、12、14、16のアレイを含んで示される。いくつかの実施形態によれば、チューブ100は、チューブ810と同じ特徴を含んでよく、センサ10、12、14、及び16は、センサ820と同じ特徴を含んでよい。圧力センサ10、12、14及び16は、センサ10、12、14及び16がチューブ100の外面と同一平面に留まるか、又はチューブ100の外面に対して最小限に突出するように、溝18内に取り付けられ、接着される。さらに、胃チューブ100は、標準的な胃チューブと一致した、栄養ラインへの接続を容易にするのに役立つ、より大きな直径の近位コネクタ20を組み込んでいるが、圧力センサ10、12、14、16に電力が供給され得るように電気接続も組み込む。近位コネクタ20は、図10及び図12から図15を参照して、以下にさらに詳細に説明される。チューブ100は、近位コネクタ20が使用中に常に患者の外部に留まるように構成されてよい。図示の実施形態は、4つの圧力センサ10、12、14、16の構成を示しているが、胃チューブ100は、必要なデータを得るために、その外面上に少なくとも1つの圧力センサ10、12、14、16の任意の配置を含むことができると認められる。標的部位で直接測定する複数の圧力センサ10、12、14、16を含めた目的により、システム800全体が、周囲の解剖学的構造又は物質による潜在的なセンサの閉塞を考慮することが可能になり、圧力の正確な測定が達成される。
【0111】
非侵襲的呼吸補助を受けている患者の呼吸プロファイルを検出するための方法及びシステムは、2017年9月1日に出願された国際出願番号PCT/IB2017/055258に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。前述の主な目的は、呼吸の流れ、それに関連するパラメータ、及び前述の治療を受けている患者において結果として生じる呼吸力学を検出するための方法及びシステムを提供することである。前述の態様では、咽頭圧を測定するための咽頭カテーテル、及び食道圧を測定するための食道胃カテーテルの補充が必要である。咽頭カテーテルは、気流の存在下で電気抵抗の変化を経験し、咽頭圧を推測するために外部圧力トランスデューサーとペアにする必要がある。食道胃カテーテルは、その遠位端に拡張可能なバルーンを組み込んでおり、食道圧を推測するために外部圧力トランスデューサーとペアにする必要もある。拡張可能なバルーン先端カテーテルに関連する主な欠点は、圧力を継続的に監視することができず、適切な機能を確実にするために定期的な開通性検査が必要なことである。
【0112】
図1に示される装置100は、外部トランスデューサの使用による圧力の間接的な推測とは対照的に、標的部位で直接測定する圧力センサ10、12、14、16を組み込んでいるので、咽頭カテーテルと食道カテーテルの前述の併用に対する改善を提供できる。図2は、いくつかの実施形態では喉頭咽頭部領域22であってよい、標的解剖学的部位に配置された装置100を示す。図2に示されるような喉頭咽頭部領域22の標的解剖学的部位は、上咽頭26及び中咽頭24を潜在的に含んだ咽頭領域全体を単にターゲットにするよりも気管の開口部の近くに配置されているため、咽頭領域全体をターゲットにする場合と比較して、肺に送達される実際の圧力を表示するためのより良い位置を表す。
【0113】
図3は、喉頭咽頭部領域22へのチューブ100のセンサの適切な配置及び位置決めを支援する標示の位置を図示する、チューブ100の側面図を示す。喉頭咽頭部領域22における圧力センサの適切な位置決めを確実にするために、胃チューブ100は、図3に示されるように深さ標示28、30、32、34、及び36を組み込み、これは、胃チューブを配置するための現行の臨床の実際と一致する。深さ標示28、30、32、34及び
36はまた、喉頭咽頭部領域22に対するセンサ10、12、14、16の位置を描写するのに役立つ。
【0114】
以前の研究では、次の重量基準の式を使用して、新生児の口から気管中央部までの深さを推定できることが示された。
【0115】
気管中央部までの深さ(cm)=重量(kg)+6(式1)
(MacDonald MG, Ramasethu J, Rais-Bahrami K. 2012. Atlas of Procedures in Neonatology, 5th Edition. Lippincott, Wiliams and Wilkins, Philadelphia.)
別の研究では、新生児の気管の平均の長さは4cmであると決定された(Wheeler D, Wong H, Shanley T. Pediatric Critical Care Medicine:Basic Science and Clinical Evidence. London:Springer;2007.)。前述の研究からの情報を組み合わせることにより、元の方程式から気管の長さの半分を差し引くことで口から喉頭咽頭部を特定するための次の重量基準の公式が確立される。
【0116】
喉頭咽頭までの深さ(cm)=重量(kg)+4(式2)
胃の位置に関連して、胃チューブの配置は一般に、別の重量基準の式に依存することも知られている。
【0117】
胃までの深さ(cm)=3×重量(kg)+12(式3)
(Freeman D, Saxton V, Holberton J. A Weight-Based Formula for the Estimation of
Gastric Tube Insertion Length in Newborns. Advances in Neonatal Care. 2012;12(3):179-182.)式3を式2と組み合わせることにより、喉頭咽頭の深さが胃までの深さの1/3であることが明らかである。したがって、長さ寸法38及び40で示される、胃チューブ100に沿ったこの特定部分にセンサ10、12、14、16を埋め込むことにより、装置100の喉頭咽頭圧の測定部分を構成するセンサ10、12、14、16の正しい位置決めが確実になる。
【0118】
図4は、装置810の別の実施形態を示している。図4に示される装置400により、チューブ400が患者の気道にある間、患者の喉から照らすことができる光源42に接続される胃チューブの内部ルーメン46が、適切なセンサの位置決めの視覚的な確認を提供することが可能になる。光源42は、光42がチューブ400に沿って適切な位置に進むまで、光源42を内部ルーメン46の入口位置から案内するために電力及び必要な機械的剛性を提供する独立したワイヤ44に接続されている。ワイヤ44に接続された深さ止め48は、圧力センサ10、12、14、16に対する光源42の最終的な結果として生じる位置を制御する。光源42が胃チューブ100に組み立てられると、それはその後の患者への挿入の準備ができたことになる。
【0119】
提案された胃チューブ810/100/400は、新生児の呼吸補助に適切に適用するために、最小1.5mmの外径を持つことができる。したがって、埋め込まれた圧力センサ10、12、13,14は、比較的薄い壁部分内にしっかりと適合し、最小の外形厚さを組み込むことが可能な必要がある。米国で開示されている圧力センサ2004年12月28日に出願された特許出願公開第2005/0160823号は、図1での溝18に示されるように、胃チューブの壁部分内に適合する、0.5mm×0.5mm×0.1mmの小さいサイズで入手可能な微細加工圧電性圧力センサの設計を記載している。前述の圧
力センサの主な特徴の1つは、ドリフトに対する高い耐性であり、これにより、長期間による埋め込み適用中での安定した正確な測定が可能になる。胃チューブは平均して毎週交換されるため、この期間中、圧力センサが正確な測定を維持できる必要がある。
【0120】
図5は、装置810/100/400の壁内の内部配線を示している。胃チューブ810/100/400の内壁は、図5に示されるように、個々の圧力センサ50のそれぞれをチューブ810/100/400の主接続ポートの近くに配置された近位データ送信装置54に接続する電気配線52を組み込んでいる。圧力センサ50は、センサ10、12、14、16を含んでよい。これにより、配線52は、患者から、及び胃への栄養物質の送達に対応可能な内部のルーメンから絶縁されたままであることが可能になる。次に、近位データ送信装置54は、直接配線又は無線手段を介して、データ処理ユニット830に接続される。
【0121】
図6は、別のチューブ600を図示しており、これは、チューブ600の直径内に統合された圧力センサ60、62、64、66のアレイを含むことが示されている。圧力センサ60、62、64、66は、チューブ600の遠位端に沿った任意の場所に位置してよく、センサ60、62、64、66が、例えば、患者の下部食道括約筋圧の測定を可能にするように配置されてよい。いくつかの実施形態によれば、センサ60、62、64、66は、例えば、遠位上部の5cm近位に配置されてよい。センサ60、62、64、66は、全方向で測定を容易にするために、360°スペクトルに配置されてよい。呼吸流量の変化に応答する喉頭咽頭圧を測定するために使用される圧力センサ10、12、14、16とは異なり、下部食道括約筋圧を測定するための圧力センサ60、62、64、66の設計と構成は、筋肉の緊張の機械的変化に反応できなければならない。従来の食道胃カテーテルは通常、この機械的圧力を測定するために、その遠位端近くに拡張可能なバルーンを組み込んでいるが、拡張可能なバルーン先端カテーテルに関連する主な欠点は、継続的な監視ができず、定期的な開通性検査が必要であり、かなりかさばり、患者に配置するのが難しいことである。
【0122】
図6に示される装置600の各圧力センサ60、62、64、66は、ひずみゲージとして効果的に機能する、シリコーン部材70に収納された光ファイバ68に沿って吊り下げられた一連のファイバブラッググレーティング(FBG)センサを組み込んでいる。胃チューブ600の内壁72は、光ファイバ68の剛性の裏打ちとして機能し、一方、シリコーン収納70は、光ファイバ68上のFBGセンサ60、62、64、66に対して力を加えるための可撓性部材として機能する。研究によると、光ファイバベースの技術を利用して、蠕動運動に関連する筋圧を測定することが可能であることが示されている(Arkwright JW et al. Design and clinical results from a fibre optic manometry catheter for oesophageal motility studies. Proceedings of SPIE - The International Society for Optical Engineering. 2008;7004(70042D-1).)。しかしながら、下部食道括約筋圧を測定し、その後胃食道逆流の表示を提供するために、標的解剖学的部位に対するセンサ60、62、64、66の構成が重要になる。
【0123】
図6は、4つの圧力センサ60、62、64、66の構成を示しているが、胃チューブ600は、必要なデータを得るために、少なくとも1つの圧力センサ60、62、64、66の任意の配置を含むことができると認められる。複数の圧力センサ60、62、64、66を含む目的は、システム800全体が、図7に示されるように、下部食道括約筋80の長手方向に沿って、そして接合部を横切って胃82への圧力変化を測定することが可能になることである。胃食道逆流症は、胃の胃内圧と比較して下部食道括約筋圧が突然低
下することを特徴とすることが知られており(Czinn S, Blanchard S. Gastroesophageal Reflux Disease in Neonates and Infants. Pediatric Drugs. 2013 Feb;15(1).)、胃84内の流体を食道に逆流させる。したがって、位置86及び88を横切って胃チューブ600上に配置されたセンサ60、62、64、66を有することによってこの相対測定能力を構築することにより、身体的症状が現れる前に胃食道逆流の発生を積極的に発見することが可能になる。
【0124】
図8を参照して上記で説明したデータ処理ユニット830の主な目的は、すべての圧力センサ10、12、14、16又は60、62、64、66からデータを取り込み、表示ユニット840を介してユーザに表示される単一の圧力読み取り値を生成することである。本質的に、複数の圧力センサ10、12、14、16又は60、62、64、66を組み込んだ装置810/100/400/600の実施形態と共に使用される際、システム800は、データの受容性のフィルターとして相対的な差を比較され得るために、少なくとも2つのセンサ10、12、14、16又は60、62、64、66からの受け取り可能な読み取り値を必要として設計される。読み取り値間の差が個々のセンサの誤差範囲を超えている場合、システム800は正しい読み取り値を推測することができず、装置エラーを表示する。たとえば、使用されるセンサ10、12、14、16又は60、62、64、66の変動が±0.5cmH2Oの場合、各センサに1cmH2Oの個別のエラー範囲が存在する。逆に、読み取り値間の差が個々のセンサの誤差範囲内にある場合、システム800は、表示ユニット840を介してユーザに表示される単一の圧力値を出力するために、前記読み取り値の平均を計算する。
【0125】
喉頭咽頭圧が監視されている場合、表示ユニット840は、呼吸感知要素又はシステム800のチューブ810/100/400/600からの連続更新をグラフ表示及び数値表示の両方でユーザに提供するように構成される。表示ユニット840は、臨床医に重要な測定値、すなわち、(i)管理された圧力、(ii)喉頭咽頭部の圧力、(iii)送達された圧力が設定制限値外であるかどうかの表示、(iv)装置にエラーが存在するかどうかの表示、及び(v)気道内の気流動力学を提供するが、これらに限定されない。この情報を使用して、臨床医は、管理される圧力をどのように変化させて患者に適切な肺圧を達成するかという、情報に基づいた決定を下すことができる。
【0126】
下部食道括約筋圧が監視されている場合、表示ユニット840は、食道感知要素又はシステム800のチューブ810/600からの連続更新をグラフ表示及び数値表示の両方でユーザに提供するように構成される。表示ユニットは、臨床医に重要な測定値を提供し、これは、すなわち(i)下部食道括約筋圧、(ii)胃内圧、及び(iii)胃食道逆流の表示には限定されない。
【0127】
図11は、喉頭咽頭部領域810/100/400/600の位置決めである、装置の配置のための方法1100を説明するフローチャートを示す。方法1100は、次のステップで実施することができる。ステップ1110で、胃チューブ810/100/400/600の全長に対する喉頭咽頭部領域の相対的な位置決めの配置前測定チェックが実行される。これは、臨床医が、患者の鼻の先端から患者の耳たぶの底まで、及び患者の耳たぶの底から、患者の剣状突起部とへその間の観察された中間点までを測定することによって手動で実行してもよい。ステップ1120で、装置810/100/400/600の遠位端は、患者の鼻又は口を通して配置される。ステップ1130で、チューブ810/100/400/600は、患者の解剖学的構造に対するチューブ810/100/400/600の適切な配置の指標として近位の深さ標示28、30、32、34、36を使用して進められる。ステップ1140で、患者の解剖学的構造に対する適切なセンサ配置の目視検査を提供するために、胃チューブ810/100/400/600の光源42が
有効にされる。チューブによって提供される圧力測定値は、声帯の位置、及び患者の解剖学的構造に対する適切なセンサ配置の決定も支援することができる。ステップ1150で、チューブ810/100/400/600の近位データ送信装置54は、処理ユニット830及び表示ユニット840に接続される。ステップ1160で、チューブ810/100/400/600の近位の内部ルーメンは、栄養ライン、閉止チューブ、又は通気チューブに接続する。
【0128】
図12は、以下のステップによって実施することができる、任意の形態の非侵襲的呼吸補助を受けている患者の喉頭咽頭部の圧力を継続的に監視するための方法1200を説明するフローチャートを示す。ステップ1210で、使用される非侵襲的呼吸補助システムの管理された空気圧が設定される。初期圧力は、臨床ガイドラインに従って設定されることができ、いくつかの実施形態において5~8cmH2Oに設定してよい。ステップ1220で、装置810/100/400/600によって提供される喉頭咽頭部の圧力測定値が観察される。同時に、処理ユニット830及び表示ユニット840によって提供された警告が観察され、最初に、装置810/100/400/600からのエラーがあるか確認する。ステップ1230で、装置810/100/400/600によって測定された喉頭咽頭部の空気圧と、呼吸補助機に設定された圧力又は流量のレベルに関する呼吸補助のレベルとを比較して、システム800内の空気漏れの程度を評価する。
【0129】
装置810/100/400/600で測定される喉頭咽頭部の圧力は、患者の解剖学的構造と患者の状態によって異なるため、設定制限値は患者ごとに調節可能でよい。ステップ1250で、患者の呼吸活動及びバイタルサインが観察される。これは、臨床医が手動で実行してもよく、自動フィードバックシステムによって実行されてもよい。
【0130】
ステップ1252で、処理ユニット830は、呼吸補助機に設定された圧力又は流量のレベルに基づいて、測定値が所定制限値内にあるかどうかを判定する。圧力又は流量が所定制限値外にある場合、システムに漏れがある、又は補助機が正常に動作していないことを示している可能性がある。この場合、ステップ1254で、臨床医に配信されるアラートが生成される。いくつかの実施形態によれば、これは、表示ユニット840を介して配信されてよい。ステップ1260で、管理された空気圧又は流量は、必要に応じて調節され、患者にとって望ましいレベルの喉頭咽頭空気圧を達成する。それから、処理ユニット830は、センサ820によって生成された圧力測定値の観察を続けることによって、ステップ1220からの順序の実行を続ける。
【0131】
ステップ1252で、処理ユニット830が、測定値が所定制限値内にあると判定した場合、処理ユニット830は、センサ820によって生成された圧力測定値を観察し続けることによって、ステップ1220からの順序の実行を続ける。
【0132】
図13は、以下のステップによって実施することができる、任意の形態の非侵襲的呼吸補助を受けている患者の気流動力学を継続的に監視するための方法1300を説明するフローチャートを示す。ステップ1310で、使用される非侵襲的呼吸補助システムの管理された空気圧が設定される。ステップ1320で、装置810/100/400/600によって提供された気流測定値が観察される。ステップ1330で、処理ユニット830及び表示ユニット840によって提供された警告が観察され、最初に、装置810/100/400/600からのエラーがあるか確認する。ステップ1340で、装置810/100/400/600によって測定された喉頭咽頭部の気流と、管理された圧力が比較され、システム800内の空気漏れの程度を評価する。ステップ1350で、装置810/100/400/600によって測定された喉頭咽頭部の気流がベースラインのレベルと比較されて、気流が設定制限値外であるかどうかを判定する。ステップ1360で、患者の呼吸活動及びバイタルサインが観察される。
【0133】
ステップ1352で、処理ユニット830は、呼吸補助機に設定された圧力又は流量のレベルに基づいて、測定値が所定制限値内にあるかどうかを判定する。圧力又は流量が所定制限値外にある場合、システムに漏れがある、又は補助機が正常に動作していないことを示している可能性がある。この場合、ステップ1354で、臨床医に配信されるアラートが生成される。いくつかの実施形態によれば、これは、表示ユニット840を介して配信されてよい。
【0134】
ステップ1370で、管理された空気圧又は流量は、必要に応じて調節され、患者にとって望ましい肺気流特性を達成する。それから、処理ユニット830は、センサ820によって生成された圧力測定値の観察を続けることによって、ステップ1320からの順序の実行を続ける。
【0135】
ステップ1352で、処理ユニット830が、測定値が所定制限値内にあると判定した場合、処理ユニット830は、センサ820によって生成された圧力測定値を観察し続けることによって、ステップ1320からの順序の実行を続ける。
【0136】
図14は、装置810/100/400/600を正しく位置決めするための方法である、装置の配置のための方法1400を説明するフローチャートを示す。方法1400は、次のステップで実施することができる。ステップ1410で、胃チューブ810/100/400/600の全長に対する下部食道括約筋領域の相対的な位置決めの配置前測定チェックが実行される。ステップ1420で、装置810/100/400/600の遠位端は、患者の鼻又は口を通して配置される。ステップ1430で、チューブ810/100/400/600は、患者の解剖学的構造に対する適切な配置の指標として近位の深さ標示28、30、32、34、36を使用して進められる。チューブ810/100/400/600によって提供される圧力測定値はまた、胃の入口位置に対する適切なセンサ配置の決定も支援することができる。ステップ1440で、チューブ810/100/400/600の近位データ送信装置は、処理ユニット830及び表示ユニット840に接続される。ステップ1450で、チューブ810/100/400/600の近位の内部ルーメンは、栄養ライン、閉止チューブ、又は通気チューブに接続する。
【0137】
図15は、以下のステップによって実施することができる、胃チューブ810/100/400/600を介した任意の形態の摂食を受けている患者の呼吸活動を継続的に監視するための方法1500を説明するフローチャートを示す。ステップ1510で、装置810/100/400/600は、図14を参照して上記で説明したように、下部食道括約筋に配置される。ステップ1520で、下部食道括約筋圧の測定値が観察される。同時に、処理ユニット830及び表示ユニット840によって提供された警告が観察され、最初に、装置810/100/400/600からのエラーがあるか確認する。ステップ1530で、装置810/100/400/600によって測定された下部食道括約筋圧が、望ましい胃内圧と比較され、胃食道逆流のリスクを評価する。ステップ1540で、患者の呼吸活動及びバイタルサインが観察される。
【0138】
ステップ1552で、処理ユニット830は、測定値が所定制限値内にあるかどうかを判定する。圧力が所定制限値外にある場合、ステップ1554でアラートが生成され、臨床医に配信される。いくつかの実施形態によれば、これは、表示ユニット840を介して配信されてよい。
【0139】
ステップ1560で、胃チューブ810/100/400/600の位置又は摂食の流量は、患者の胃食道逆流を防ぐために必要に応じて調節される。それから、処理ユニット830は、センサ820によって生成された圧力測定値の観察を続けることによって、ス
テップ1520からの順序の実行を続ける。
【0140】
ステップ1552で、処理ユニット830が、測定値が所定制限値内にあると判定した場合、処理ユニット830は、センサ820によって生成された圧力測定値を観察し続けることによって、ステップ1520からの順序の実行を続ける。
【0141】
図16から図19は、システム800のいくつかのさらなる実施形態をさらに詳細に示す。
【0142】
図16は、接合部1610、シリンジ1010、及びデータ及び電源ケーブル1020を備えた装置810を含むサブシステム1600を示す。サブシステム1600において、装置810は、栄養ルーメン1602及びセンサルーメン1604を含んだマルチルーメン又はデュアルルーメンを備えている。栄養ルーメン1602は、センサルーメン1604よりも数倍大きくてよい。センサルーメン1604により、圧力読み取り値が取得されるためにセンサ820が露出されることを可能にする穿孔1620と共に、光ファイバセンサ820がその中に配置されることが可能になってよい。装置1630の端部は密封されている。
【0143】
図示の実施形態では、接合部1610は、接合部1610に接続された別個のテーパー又はロックコネクタ1680を備えただけの接合部であり、互換性のあるシリンジ1010を使用してルーメン1602を通して物質の送達を可能にする。コネクタ1680は、任意の経腸栄養コネクタタイプであってよい。いくつかの実施形態によれば、コネクタ1680は、ルアーフィッティングシリンジと共に使用されるように適合されたルアーコネクタであってよい。いくつかの実施形態によれば、コネクタ1680は、ENFitシリンジと共に使用されるように適合されたENFitコネクタであってよい。接合部1610により、データ及び電源接続ケーブル1020がセンサ820に接続されることも可能になる。ケーブル1020は、いくつかの実施形態による、PVCジャケットを含んでよい。接合部1610は、光ファイバセンサ820の上部にあるシール1640、及びオーバーモールド1650を含んでよい。接合部1610は、ケーブル1020がセンサ820にアクセスすることが可能になるために、穿孔1660をさらに含んでよい。
【0144】
図17は、接合部1710、シリンジ1010、及びデータ及び電源ケーブル1020を備えた装置810を含む別のサブシステム1700を示す。サブシステム1700は、接合部1710が接合部1610及びコネクタ1680に置き換わることを除いて、サブシステム1600と同様である。代わりに、接合部1710は、接合部とテーパー又はロックコネクタを組み合わせたものであり、これにより、使用される互換性のあるシリンジ1010が、ルーメン1602を通して物質を送達することが可能になる。接合部1710は、任意の経腸栄養コネクタタイプを含んでよい。いくつかの実施形態によれば、接合部1710は、ルアーフィッティングシリンジと共に使用されるように適合されたルアーコネクタを含んでよい。いくつかの実施形態によれば、接合部1710は、ENFitシリンジと共に使用されるように適合されたENFitコネクタを含んでよい。
【0145】
図18は、接合部1820、シリンジ1010、及びデータ及び電源ケーブル1020を備えた装置810を含むさらに別のサブシステム1800を示す。サブシステム1700は、接合部1820が接合部1610に置き換わり、サブシステム1800の装置810が、1つ以上の光ファイバセンサと結合された2つのルーメン1602及び1810を備えていることを除いて、サブシステム1600と同様である。接合部1820は、穿孔1660の代わりに、光ファイバセンサ820がルーメン1810から分離し、装置810から離れている、スプリット1830を有することを除いて、接合部1610と同様である。スプリット1830のため、シール1640は必要ない。
【0146】
図19は、接合部1920、シリンジ1010、及びデータ及び電源ケーブル1020を備えた装置810を含む別のさらに別のサブシステム1900を示す。サブシステム1900は、接合部1820が接合部1710に置き換わることを除いて、サブシステム1700と同様であり、サブシステム1900の装置810は、光ファイバセンサ820と共押出されたマルチルーメンを含む。共押出されたマルチルーメンは、栄養ルーメン1602及びセンサルーメン1910を含む。接合部1920は、穿孔1660の代わりに、光ファイバセンサ820がルーメン1910から分離し、装置810から離れている、スプリット1930を有することを除いて、接合部1710と同様である。スプリット1930のため、シール1640は必要ない。
【0147】
システム800は、経鼻/経口胃経路を介した断続的又は継続的なチューブ摂食、及び呼吸補助中の気道圧の同時監視を必要とする患者における使用に好適であってよい。これには、呼吸窮迫症候群(RDS)、慢性肺疾患、未熟児の無呼吸、肺炎、筋障害、筋肉疲労、呼吸筋の切迫、人工呼吸器管理、離乳、良好な呼吸ドライブを示すが、最小限の呼吸補助を必要とすること、及び肺虚脱予防を示す、新生児、乳児、及び小児患者を含んでよい。これにはまた、急性肺損傷、神経筋障害、人工呼吸器離脱の成人患者を含んでよい。
【0148】
当業者は、本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対して多数の変形及び/又は修正を行うことができることを理解されたい。したがって、本実施形態は、すべての点において例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の空気圧を監視するための装置であって、
栄養ルーメンを含む栄養チューブと、
前記栄養チューブと平行に配置されたセンサルーメンを含むセンサチューブと、
前記センサルーメンと連絡した少なくとも1つのセンサと、
前記装置が患者の気道内に少なくとも部分的に配置されている場合に、前記少なくとも1つのセンサを前記患者の体内の空気圧に曝すように配置された前記センサチューブの少なくとも1つの穿孔と、を備え、
前記少なくとも1つのセンサは、前記センサが曝された前記気道内における前記空気圧に関連したデータを生成するように構成された装置。
【請求項2】
前記センサチューブと前記栄養チューブとは少なくとも部分的に一体であり、前記少なくとも1つのセンサが前記センサチューブの外面から突出しない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサチューブは前記栄養チューブの長手方向に沿って結合している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記空気圧が、喉頭咽頭圧、下部食道括約筋圧、下部食道圧、及び肺圧のうちの少なくとも1つである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記栄養チューブが栄養ラインに流体結合されることを可能にし、前記少なくとも1つのセンサが処理ユニットに電気的に結合されることを可能にするコネクタ部をさらに備えた、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記栄養チューブが経鼻胃チューブ又は経口胃チューブのうちの少なくとも1つである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記栄養チューブが経腸栄養チューブとして機能する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記患者の頭咽頭、下部食道括約筋、及び下部食道領域のうちの少なくとも1つに前記装置を置くことを支援する少なくとも1つの位置決めマーカーをさらに備えた、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記センサが光ファイバ圧力センサである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記センサがファイバブラッググレーティングセンサである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセンサが、前記栄養チューブの長手方向に沿って配置された少なくとも2つのセンサを含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つのセンサのうちの少なくとも2つが少なくとも3cm離れて配置されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサが、前記栄養チューブの円周に配置された少なくとも2つのセンサを含む、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
患者の体内の空気圧を監視することが、前記患者の上部消化管内の空気圧を監視することを含む、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記センサが、前記センサルーメン内に配置された、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
患者の体内の空気圧を監視するためのシステムであって、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の装置と、
前記少なくとも1つのセンサによって生成されたセンサデータを受信するように構成された処理ユニットと、を備えたシステム。
【請求項17】
表示ユニットをさらに備えた、請求項16に記載のシステム。