(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120125
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】封止フレームおよび温調ユニット
(51)【国際特許分類】
H10N 10/82 20230101AFI20240828BHJP
H01R 9/16 20060101ALI20240828BHJP
H10N 10/13 20230101ALI20240828BHJP
【FI】
H01L35/10
H01R9/16 101
H01L35/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115096
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】591034280
【氏名又は名称】株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 啓
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086PP03
5E086PP14
5E086PP26
5E086QQ10
5E086QQ16
(57)【要約】
【課題】使用環境に応じた充分な性能を有するペルチェモジュールの封止構造を実現する。
【解決手段】上下それぞれから板状部材で挟まれたペルチェモジュールを封止する封止フレームであって、前記ペルチェモジュールを包囲するフレーム本体と、前記フレーム本体の上下面それぞれにおいて、前記ペルチェモジュールを包囲する全周にわたって前記板状部材との間に介在する一対の第1リング部材と、前記ペルチェモジュールの導線を接続して前記フレーム本体の内外に導通させる1または2以上の導通部材と、を備え、前記導通部材は、前記フレーム本体を内外に貫通して前記フレーム本体の外部にまで到達する貫通部と、前記フレーム本体において前記貫通部に貫通されている被貫通領域を閉塞する閉塞部と、前記フレーム本体の内外いずれか一方において、前記被貫通領域を取り囲む全周にわたって前記閉塞面との間に介在する第2リング部材と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下それぞれから板状部材で挟まれたペルチェモジュールを、前記板状部材で挟まれた空間に封止する封止フレームであって、
上下方向と交差する平面視で前記ペルチェモジュールを全周にわたって包囲する枠体であるフレーム本体と、
前記フレーム本体の上下面それぞれにおいて、前記ペルチェモジュールを包囲する全周にわたって前記板状部材との間に介在するリング状の部材である一対の第1リング部材と、
前記フレーム本体の所定領域において、前記ペルチェモジュールの導線を接続して前記フレーム本体の内外に導通させる1または2以上の導通部材と、を備え、
前記導通部材は、
前記フレーム本体の内外方向に延びる導電性の部材であり、前記フレーム本体の所定領域を内外に貫通して前記フレーム本体の外部にまで到達する貫通部と、
前記貫通部において、前記フレーム本体の内外いずれか一方に位置する端部側に設けられ、この端部側から前記貫通部の延びる方向と交差する方向に延びるとともに、前記フレーム本体に沿って拡がる閉塞面を備えた部材であり、前記フレーム本体において前記貫通部に貫通されている被貫通領域を前記閉塞面で閉塞する閉塞部と、
前記フレーム本体の内外いずれか一方において、前記被貫通領域を取り囲む全周にわたって前記閉塞面との間に介在するリング状の第2リング部材と、を備え、
前記貫通部において、前記フレーム本体の内側に位置する端部側に前記ペルチェモジュールの導線を接続する、
封止フレーム。
【請求項2】
前記導通部材は、
前記被貫通領域と前記閉塞面との間に前記第2リング部材が介在した状態で、前記貫通部における前記フレーム本体の内外いずれか他方に位置する端部側を前記フレーム本体に固定する固定部、を備える、
請求項1に記載の封止フレーム。
【請求項3】
2以上の前記導通部材のうち、少なくともいずれかは、
前記閉塞部が、前記貫通部において、前記フレーム本体の内側に位置する端部側に設けられ、前記フレーム本体の内側において前記被貫通領域を前記閉塞面で閉塞して、
前記第2リング部材が、前記フレーム本体の内側において前記被貫通領域と前記閉塞部とで挟まれた空間を密閉する、
請求項1または請求項2に記載の封止フレーム。
【請求項4】
2以上の前記導通部材のうち、少なくともいずれかは、
前記閉塞部が、前記貫通部において、前記フレーム本体の外側に位置する端部側に設けられ、前記フレーム本体の外側において前記被貫通領域を前記閉塞面で閉塞して、
前記第2リング部材が、前記フレーム本体の外側において前記被貫通領域と前記閉塞部とで挟まれた空間を密閉する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の封止フレーム。
【請求項5】
前記フレーム本体は、樹脂材料で形成された非導電性の枠体であり、
前記導通部材としては、前記フレーム本体の所定領域において、前記ペルチェモジュールにおける一対の導線それぞれを接続して前記フレーム本体の内外に導通させるための一対の前記導通部材が間隔を空けて配置されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の封止フレーム。
【請求項6】
上下それぞれから板状部材で挟まれたペルチェモジュールを、板状部材で挟まれた空間に封止フレームで封止した温調ユニットであって、
前記封止フレームは、
上下方向と交差する平面視で前記ペルチェモジュールを全周にわたって包囲する枠体であるフレーム本体と、
前記フレーム本体の上下面それぞれにおいて、前記ペルチェモジュールを包囲する全周にわたって前記板状部材との間に介在するリング状の部材である一対の第1リング部材と、
前記フレーム本体の所定領域において、前記ペルチェモジュールの導線を接続して前記フレーム本体の内外に導通させる1または2以上の導通部材と、を備え、
前記導通部材は、
前記フレーム本体の内外方向に延びる導電性の部材であり、前記フレーム本体の所定領域を内外に貫通して前記フレーム本体の外部にまで到達する貫通部と、
前記貫通部において、前記フレーム本体の内外いずれか一方に位置する端部側に設けられ、この端部側から前記貫通部の延びる方向と交差する方向に延びるとともに、前記フレーム本体に沿って拡がる閉塞面を備えた部材であり、前記フレーム本体において前記貫通部に貫通されている被貫通領域を前記閉塞面で閉塞する閉塞部と、
前記フレーム本体の内外いずれか一方において、前記被貫通領域を取り囲む全周にわたって前記閉塞面との間に介在するリング状の第2リング部材と、を備え、
前記貫通部において、前記フレーム本体の内側に位置する端部側に前記ペルチェモジュールの導線を接続する、
温調ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチェモジュールを上下それぞれから板状部材で挟んで封止する封止フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
ペルチェモジュールを上下それぞれから板状部材で挟んで構成した温調ユニットは、温調対象物と接触する側の板状部材と放熱または吸熱のための板状部材との間にペルチェモジュールを挟んだ状態で使用される。この温調ユニットにおいては、板状部材で挟まれた空間に、ペルチェモジュールを包囲するように樹脂材料などによるシール材を充填することで、この空間を封止することが一般的である(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-185769号公報
【特許文献2】特開2000-286460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただ、上述した構成においては、例えば、シリコーン系の樹脂材料でシールする場合であれば水蒸気透過、エポキシ系の樹脂材料でシールする場合であれば耐熱性・柔軟性の点で封止構造としての性能に難があるなど、シール材だけでは、必ずしも使用環境に応じた充分な性能を有する封止構造が実現できているとはいえなかった。
【0005】
特に、上述した温調ユニットでは、シール材を内外に貫通するようにペルチェモジュールの導線を配置する必要があるが、導線とシール材との間に生じた隙間や、導線が撚線を被覆したものである場合に被覆内に生じる隙間(被覆と撚線の隙間又は撚線自体の隙間)を通じて、封止構造として十分な性能を保てなくなる懸念がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、使用環境に応じた充分な性能を有する封止構造を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため第1局面は、上下それぞれから板状部材で挟まれたペルチェモジュールを、前記板状部材で挟まれた空間に封止する封止フレームであって、上下方向と交差する平面視で前記ペルチェモジュールを全周にわたって包囲する枠体であるフレーム本体と、前記フレーム本体の上下面それぞれにおいて、前記ペルチェモジュールを包囲する全周にわたって前記板状部材との間に介在するリング状の部材である一対の第1リング部材と、前記フレーム本体の所定領域において、前記ペルチェモジュールの導線を接続して前記フレーム本体の内外に導通させる1または2以上の導通部材と、を備え、前記導通部材は、前記フレーム本体の内外方向に延びる導電性の部材であり、前記フレーム本体の所定領域を内外に貫通して前記フレーム本体の外部にまで到達する貫通部と、前記貫通部において、前記フレーム本体の内外いずれか一方に位置する端部側に設けられ、この端部側から前記貫通部の延びる方向と交差する方向に延びるとともに、前記フレーム本体に沿って拡がる閉塞面を備えた部材であり、前記フレーム本体において前記貫通部に貫通されている被貫通領域を前記閉塞面で閉塞する閉塞部と、前記フレーム本体の内外いずれか一方において、前記被貫通領域を取り囲む全周にわたって前記閉塞面との間に介在するリング状の第2リング部材と、を備え、前記貫通部において、前記フレーム本体の内側に位置する端部側に前記ペルチェモジュールの導線を接続するである。
【0008】
この局面の封止フレームであれば、上下それぞれから板状部材で挟まれたペルチェモジュールをフレーム本体で包囲し、このフレーム本体と板状部材との間に第1リング部材を介在させることにより、板状部材で挟まれた空間を密閉することができる。ここで、導通部材は、貫通部がフレーム本体を内外に貫通して外部にまで到達しているが、貫通部の一端側に形成された閉塞部でフレーム本体の被貫通領域を閉塞し、この閉塞部と被貫通領域との間に第2リング部材を介在させることにより、板状部材で挟まれた空間を密閉した状態で維持できる。
【0009】
このように、上記局面の封止フレームは、板状部材で挟まれた空間を密閉可能な構成であるために、フレーム本体、第1リング部材および第2リング部材として、水蒸気透過、耐熱性・柔軟性などの要求性能に応じた材料のものを選択的に使用することで、使用環境に応じた充分な性能を有する封止構造を実現することができる。
【0010】
また、この局面は、以下に示す第2局面のようにしてもよい。
第2局面において、前記導通部材は、前記被貫通領域と前記閉塞面との間に前記第2リング部材が介在した状態で、前記貫通部における前記フレーム本体の内外いずれか他方に位置する端部側を前記フレーム本体に固定する固定部、を備える。
【0011】
この局面であれば、フレーム本体の被貫通領域との間に第2リング部材を介在させた状態で、導通部材をフレーム本体に固定することができる。
【0012】
また、上記各局面は、以下に示す第3、第4局面のようにしてもよい。
第3局面において、2以上の前記導通部材のうち、少なくともいずれかは、前記閉塞部が、前記貫通部において、前記フレーム本体の内側に位置する端部側に設けられ、前記フレーム本体の内側において前記被貫通領域を前記閉塞面で閉塞して、前記第2リング部材が、前記フレーム本体の内側において前記被貫通領域と前記閉塞部とで挟まれた空間を密閉する。
【0013】
第4局面において、2以上の前記導通部材のうち、少なくともいずれかは、前記閉塞部が、前記貫通部において、前記フレーム本体の外側に位置する端部側に設けられ、前記フレーム本体の外側において前記被貫通領域を前記閉塞面で閉塞して、前記第2リング部材が、前記フレーム本体の外側において前記被貫通領域と前記閉塞部とで挟まれた空間を密閉する。
【0014】
また、上記各局面は、以下に示す第5局面のようにしてもよい。
第5局面において、前記フレーム本体は、樹脂材料で形成された非導電性の枠体であり、前記導通部材としては、前記フレーム本体の所定領域において、前記ペルチェモジュールにおける一対の導線それぞれを接続して前記フレーム本体の内外に導通させるための一対の前記導通部材が間隔を空けて配置されている。
【0015】
また、上記課題を解決するため第6局面は、上下それぞれから板状部材で挟まれたペルチェモジュールを、板状部材で挟まれた空間に封止フレームで封止した温調ユニットであって、前記封止フレームは、上下方向と交差する平面視で前記ペルチェモジュールを全周にわたって包囲する枠体であるフレーム本体と、前記フレーム本体の上下面それぞれにおいて、前記ペルチェモジュールを包囲する全周にわたって前記板状部材との間に介在するリング状の部材である一対の第1リング部材と、前記フレーム本体の所定領域において、前記ペルチェモジュールの導線を接続して前記フレーム本体の内外に導通させる1または2以上の導通部材と、を備え、前記導通部材は、前記フレーム本体の内外方向に延びる導電性の部材であり、前記フレーム本体の所定領域を内外に貫通して前記フレーム本体の外部にまで到達する貫通部と、前記貫通部において、前記フレーム本体の内外いずれか一方に位置する端部側に設けられ、この端部側から前記貫通部の延びる方向と交差する方向に延びるとともに、前記フレーム本体に沿って拡がる閉塞面を備えた部材であり、前記フレーム本体において前記貫通部に貫通されている被貫通領域を前記閉塞面で閉塞する閉塞部と、前記フレーム本体の内外いずれか一方において、前記被貫通領域を取り囲む全周にわたって前記閉塞面との間に介在するリング状の第2リング部材と、を備え、前記貫通部において、前記フレーム本体の内側に位置する端部側に前記ペルチェモジュールの導線を接続する、温調ユニット。
【0016】
この局面であれば、上記各局面と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態である温調ユニットを示す斜視図
【
図2】本発明の一実施形態である温調ユニットを示す正面断面図
【
図3】本発明の一実施形態である温調ユニットを示す斜視図(一部を取除いた状態)
【
図4】本発明の一実施形態である温調ユニットを示す斜視図(一部を取除いた状態)
【
図5】本発明の一実施形態である封止フレームを示す平面図(要部断面図)
【
図6】本発明の別実施形態である温調ユニットを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
温調ユニット1は、
図1~
図3に示すように、上下それぞれから板状部材10、20で挟まれたペルチェモジュール30を、板状部材10、20で挟まれた空間に封止フレーム40で封止したものである。なお、
図2は、後述する上方板状部材20を取り外した状態を示す図であり、
図3は、後述する上方板状部材20および断熱材50、60を取り外した状態を示す図である。
【0019】
板状部材10、20のうち、ペルチェモジュール30の下面側に配置された板状部材(以降、下方板状部材ともいう)10は、上下方向と交差する平面視(以降、単に「平面視」という)でペルチェモジュール30より広い面積で形成された矩形の金属板であり、その上面にペルチェモジュール30を載せた状態で、ペルチェモジュール30の下面との間で放熱および吸熱を行うためのいわゆるヒートシンクである。
【0020】
本実施形態において、下方板状部材10は、一定以上の熱伝導率を有する金属材料(具体的にはアルミ)を四角形に形成したものであり、板状部材10の下面から複数のフィン11が下方に向けて延びている。なお、この板状部材10は、その上面とペルチェモジュール30下面とが導電性グリスを介して接触している。
【0021】
板状部材10、20のうち、ペルチェモジュール30の上面側に配置された板状部材(以降、上方板状部材ともいう)20は、
図4に示すように、ペルチェモジュール30上に重ねられ、平面視でペルチェモジュール30以上の面積で形成された矩形の金属板である第1上方板状部材21と、第1上方板状部材21上に重ねられ、平面視で下方板状部材10と同程度の面積で形成された矩形の金属板である第2上方板状部材23と、で構成されており、ペルチェモジュール30の上面との間で放熱および吸熱を行うための部材である。
【0022】
本実施形態において、第1上方板状部材21および第2上方板状部材23は、それぞれ一定以上の熱伝導性を有する金属材料(具体的にはアルミ)を四角形に形成したものであり、第1上方板状部材21が封止フレーム40の内側に収められ、第2上方板状部材23が下方板状部材10との間に封止フレーム40を挟んでいる。
【0023】
なお、第1上方板状部材21は、その下面とペルチェモジュール30上面とが熱伝導シートを介して接触し、その上面と第2上方板状部材23下面とが導電性グリスを介して接触している。ここでは、第1上方板状部材21の下面に熱伝導シートを配置し、第1上方板状部材21の上面に導電性グリスを配置しているが、熱伝導シートと導電性グリスとは逆に配置してもよい。
【0024】
この板状部材10、20は、複数個所をネジ止めすることにより、それぞれの間にペルチェモジュール30および封止フレーム40を挟んだ状態で固定される。
【0025】
ペルチェモジュール30は、平面視で矩形(本実施形態では四角形)に形成されたものであり、矩形をなすいずれかの辺における間隔を空けた2箇所それぞれに、導通用の導線31が接続されている。
【0026】
封止フレーム40は、フレーム本体410と、一対の第1リング部材420と、2つの導通部材430と、を備えている。
【0027】
これらのうち、フレーム本体410は、平面視でペルチェモジュール30を全周にわたって包囲する枠体である。本実施形態において、フレーム本体410は、樹脂材料で形成された非導電性の枠体であり、ペルチェモジュール30を包囲可能な直径となっている筒状の部材として形成されている。なお、このフレーム本体410は、板状部材10、20で挟まれた空間への気体の透過を充分に抑止できる性能(ガスバリア性)を有する樹脂材料を用いたものであるが、充分なガスバリア性を有する材料であれば、樹脂材料以外の材料を用いたものであってもよい。
【0028】
また、一対の第1リング部材420は、フレーム本体410の上下面それぞれにおいて、ペルチェモジュール30を包囲する全周にわたって板状部材10、20との間に介在するリング状の部材である。これにより、第1リング部材420は、上下から板状部材10、20で挟まれ、かつ、フレーム本体410で包囲された内部空間を密閉する。
【0029】
本実施形態において、第1リング部材420は、弾性変形可能な樹脂材料で構成されたいわゆるOリンまたはパッキン材であり、上下から板状部材10、20で挟まれた際に弾性変形することで、フレーム本体410の上下面それぞれを板状部材10、20と間接的に密着させ、これにより内部空間を密閉する。
【0030】
また、導通部材430は、
図5に示すように、フレーム本体410の所定領域において、ペルチェモジュール30の導線31を接続してフレーム本体410の内外に導通させる部材である。本実施形態においては、フレーム本体410の所定領域において、ペルチェモジュール30における一対の導線31それぞれをフレーム本体410の内外に導通させるための2つの導通部材430が間隔を空けて配置されている。
【0031】
この導通部材430は、フレーム本体410の所定領域を内外に貫通してフレーム本体410の外部にまで到達する貫通部431と、フレーム本体410の内外いずれか一方の端部側で貫通部431が貫通する孔である被貫通領域411を閉塞する閉塞部433と、被貫通領域411と閉塞部433との間に介在する第2リング部材435と、貫通部431をフレーム本体に固定する固定部437と、を備える。
【0032】
そして、この導通部材430には、貫通部431において、フレーム本体410の内側に位置する端部側にペルチェモジュール30の導線31が接続される一方、フレーム本体410の内側に位置する端部側にペルチェモジュール30に通電するための導線33が接続される。
【0033】
上述した導通部材430のうち、貫通部431は、フレーム本体410の内外方向に延びる導電性の部材であり、フレーム本体410を内外に貫通してフレーム本体410の外部にまで到達する長さを有する棒状の部材である。
【0034】
また、閉塞部433は、貫通部431において、フレーム本体410の内外いずれか一方に位置する端部側に設けられ、この端部側から貫通部431の延びる方向と交差する方向に延びるとともに、フレーム本体410に沿って拡がる閉塞面433aを備えた部材である。
【0035】
また、第2リング部材435は、フレーム本体410の内外いずれか一方において、被貫通領域411を取り囲む全周にわたって閉塞面433aとの間に介在するリング状の部材である。
【0036】
本実施形態において、第2リング部材435は、弾性変形可能な樹脂材料で構成されたいわゆるOリングまたはパッキン材であり、フレーム本体410と閉塞部433とで挟まれた際に弾性変形することで、閉塞部433をフレーム本体410と間接的に密着させる。なお、実施形態では、被貫通領域411を包囲する凹状の溝が、第2リング部材435の厚さ未満となる深さで形成されており、この溝に第2リング部材435が収められている。
【0037】
また、固定部437は、被貫通領域411と閉塞部433との間に第2リング部材435が介在した状態で、貫通部431におけるフレーム本体410の内外いずれか他方に位置する端部側をフレーム本体410に固定する。こうして、固定部437は、フレーム本体410をその内外から閉塞部433との間で挟むことで、被貫通領域411との間に介在する第2リング部材435を弾性変形させ、これにより閉塞部433とフレーム本体410とを間接的に密着させる。
【0038】
本実施形態における固定部437は、貫通部431の外周面に沿って形成されたネジ山に対応するものとして、貫通部431の延びる方向にネジ穴が形成されており、貫通部431の延びる方向に沿って固定部437を変位させることで、フレーム本体410への貫通部431の固定および固定解除を実現することができる。
【0039】
また、本実施形態において、2つの導通部材430のうちの一方(
図5における右側の導通部材430)は、閉塞部433が、貫通部431においてフレーム本体410の内側に位置する端部側に設けられ、フレーム本体410の内側において被貫通領域411を閉塞部433で閉塞する。そして、第2リング部材435が、フレーム本体410の内側において被貫通領域411と閉塞部433とで挟まれた空間を密閉する。
【0040】
また、2つの導通部材430のうちの他方(
図5における左側の導通部材430)は、閉塞部433が、貫通部431においてフレーム本体410の外側に位置する端部側に設けられ、フレーム本体410の外側において被貫通領域411を閉塞部433で閉塞する。そして、第2リング部材435が、フレーム本体410の外側において被貫通領域411と閉塞部433とで挟まれた空間を密閉する。
【0041】
また、上述した封止フレーム40の内側には、ペルチェモジュール30との隙間となる空間に、発泡樹脂により形成された断熱材50が配置されている。また、封止フレーム40の外側には、板状部材10、20との隙間となる空間に、発泡樹脂により形成された断熱材60が配置されている。
【0042】
(2)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、フレーム本体410が、ペルチェモジュール30を包囲可能な直径となっている筒状の部材である構成を例示した。しかし、このフレーム本体410の形状は、ペルチェモジュール30を全周にわたって包囲できればよく、その具体的な形状は限定されない。例えば、
図6に示すように、ペルチェモジュール30を包囲可能な矩形(具体的には四角形)の部材として構成することが考えられる。
【0044】
また、上記実施形態では、第1リング部材420、第2リング部材435が弾性変形可能な樹脂材料で構成されたものを例示した。しかし、これら第1リング部材420、第2リング部材435は、部材間に介在して内部空間を封止することができれば、弾性変形しない材料で構成されたものであってもよいし、樹脂材料以外の材料で構成されたものであってもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、導通部材430の固定部437が、貫通部431のネジ山に対応するネジ穴の形成された部材である構成を例示した。しかし、この固定部437によってフレーム本体410へと貫通部431を固定するための構成は、これに限定されない。
【0046】
例えば、固定部437として、貫通部431の延びる方向と交差する方向へと突出する突起状の部材を設け、この部材がフレーム本体410における被貫通領域411内に引っ掛かる、または被貫通領域411内壁を押すことにより、フレーム本体410へと貫通部431を固定する、といった構成が考えられる。また、被貫通領域411と閉塞部433との間に第2リング部材435が介在した状態で、貫通部431におけるフレーム本体410の内外いずれか他方に位置する端部側を、貫通部431の延びる方向と交差する面に沿って拡がるように塑性変形させ、こうして塑性変形した部分を固定部437とするといった構成が考えられる。
【0047】
また、上記実施形態では、2つの導通部材430の一方がフレーム本体410における内側の被貫通領域411を閉塞部433で閉塞し、他方がフレーム本体410における外側の被貫通領域411を閉塞部433で閉塞するように構成されたものを例示した。しかし、2つの導通部材430は、その両方がフレーム本体410における内側の被貫通領域411を閉塞部433で閉塞する、または、フレーム本体410における外側の被貫通領域411を閉塞部433で閉塞するように構成してもよい。
【0048】
(3)作用,効果
上記実施形態の温調ユニット1では、封止フレーム40が、上下それぞれから板状部材10、20で挟まれたペルチェモジュール30をフレーム本体410で包囲し、このフレーム本体410と板状部材10、20との間に第1リング部材420を介在させることにより、板状部材10、20で挟まれた空間を密閉する。ここで、導通部材430は、貫通部431がフレーム本体410を内外に貫通して外部にまで到達しているが、貫通部431の一端側に形成された閉塞部433でフレーム本体410の被貫通領域411を閉塞し、この閉塞部433と被貫通領域411との間に第2リング部材435を介在させることにより、板状部材10、20で挟まれた空間を密閉した状態で維持できる。
【0049】
このように、上記実施形態では、板状部材10、20で挟まれた空間を密閉可能な構成であるために、フレーム本体410、第1リング部材420および第2リング部材435として、水蒸気透過、耐熱性・柔軟性などの要求性能に応じた材料のものを選択的に使用することで、使用環境に応じた充分な性能を有する封止構造を実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…温調ユニット、10…下方板状部材、11…フィン、20…上方板状部材、21…第1上方板状部材、23…第2上方板状部材、30…ペルチェモジュール、31…導線、33…導線、40…封止フレーム、50…断熱材、60…断熱材、410…フレーム本体、411…被貫通領域、420…第1リング部材、430…導通部材、431…貫通部、433…閉塞部、433a…閉塞面、435…第2リング部材、437…固定部。