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特開2024-120127解析装置、解析システム、解析方法、および解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120127
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】解析装置、解析システム、解析方法、および解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240828BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240828BHJP
   G06N 5/04 20230101ALI20240828BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G01N21/88 Z
G06N5/04
G05B23/02 302Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119442
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 智也
(72)【発明者】
【氏名】指田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】大宮 淳
【テーマコード(参考)】
2G051
3C100
3C223
【Fターム(参考)】
2G051AA89
2G051AA90
2G051AB02
2G051AB03
2G051AC04
2G051CA04
2G051EA14
2G051EC01
3C100AA22
3C100AA57
3C100AA58
3C100AA70
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB27
3C100BB33
3C100BB34
3C223AA11
3C223BA01
3C223BB08
3C223CC01
3C223DD01
3C223FF22
3C223FF25
3C223FF26
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH02
(57)【要約】
【課題】検査環境の変動があっても不良の発生原因の工程等を高精度に特定できる、解析装置を提供する。
【解決手段】入力データに基づいて検査対象を検査する検査部と、検査部による検査結果と不良原因工程との対応関係を示す知識データベースと、検査結果に基づいて、知識データベースを用いて不良原因工程を解析する原因解析部と、検査結果と不良原因工程とに基づいて、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される第1予想検査結果を解析する結果解析部と、第1予想検査結果と、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異を評価する評価部と、を含む解析装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データに基づいて検査対象を検査する検査部と、
前記検査部による検査結果と不良原因工程との対応関係を示す知識データベースと、
前記検査結果に基づいて、前記知識データベースを用いて前記不良原因工程を解析する原因解析部と、
前記検査結果と、解析された前記不良原因工程とに基づいて、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記検査結果を第1予想検査結果として解析する結果解析部と、
前記第1予想検査結果と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査部による前記検査結果との差異を評価する評価部と、
を有する解析装置。
【請求項2】
前記評価部による評価結果に基づいて前記知識データベースを修正する制御部をさらに有する、請求項1に記載の解析装置。
【請求項3】
前記結果解析部は、同一品種の複数の前記検査対象についての、前記検査結果および前記不良原因工程に基づいて、前記第1予想検査結果を不良率として解析し、
前記評価部は、前記第1予想検査結果の不良率と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査対象の不良率との差異を評価する、請求項1または2に記載の解析装置。
【請求項4】
前記検査部による前記検査結果と、前記原因解析部による解析結果と、前記評価部による評価結果とを出力する出力部と、
前記知識データベースの修正指示を受け付ける受付部と、
前記修正指示に基づいて前記知識データベースを修正する修正部と、
を有する請求項1に記載の解析装置。
【請求項5】
前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および副不良原因工程との前記対応関係を示し、
前記原因解析部は、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記不良原因工程および前記副不良原因工程を特定する解析を行い、
前記出力部は、前記原因解析部による解析結果として、前記副不良原因工程を選択可能に表示することで出力し、
前記受付部は、前記出力部において前記副不良原因工程が選択されたことを、前記不良原因工程を選択された前記副不良原因工程に代替させる前記修正指示として受け付ける、請求項4に記載の解析装置。
【請求項6】
前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および副不良原因工程との前記対応関係を示し、
前記原因解析部は、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記不良原因工程および前記副不良原因工程を特定する解析を行い、
前記制御部は、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合の前記第1予想検査結果と、前記不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、前記知識データベースに対し、前記不良原因工程を前記副不良原因工程に代替する修正をする、請求項2に記載の解析装置。
【請求項7】
前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および複数の前記副不良原因工程との前記対応関係を示し、
前記原因解析部は、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記不良原因工程および複数の前記副不良原因工程を特定する解析を行い、
前記結果解析部は、前記検査結果と、解析された各前記副不良原因工程とに基づいて、前記副不良原因工程における副不良原因を解消した場合に予想される前記検査結果を第2予想検査結果としてそれぞれさらに解析し、
前記評価部は、各第2予想検査結果と、各副不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査部による前記検査結果との差異をそれぞれさらに評価し、
前記制御部は、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記第1予想検査結果と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、前記知識データベースに対し、前記副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記第2予想検査結果と、前記副不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が最も小さくなる前記副不良原因工程を前記不良原因工程に代替させる修正をする、請求項6に記載の解析装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の解析装置と、
入力データである画像を撮影する撮影装置と、
を有する解析システム。
【請求項9】
入力データに基づいて検査対象を検査するステップ(a)と、
前記ステップ(a)における検査結果に基づいて、前記検査結果と不良原因工程との対応関係を示す知識データベースを用いて前記不良原因工程を解析するステップ(b)と、
前記検査結果と、解析された前記不良原因工程とに基づいて、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記検査結果を第1予想検査結果として解析するステップ(c)と、
前記第1予想検査結果と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異を評価するステップ(d)と、
を有する解析方法。
【請求項10】
前記ステップ(d)における評価結果に基づいて前記知識データベースを修正するステップ(e)をさらに有する、請求項9に記載の解析方法。
【請求項11】
前記ステップ(c)においては、同一品種の複数の前記検査対象についての、前記検査結果および前記不良原因工程に基づいて、前記第1予想検査結果を不良率として解析し、
前記ステップ(d)においては、前記第1予想検査結果の不良率と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査対象の不良率との差異を評価する、請求項9または10に記載の解析方法。
【請求項12】
前記検査結果と、前記ステップ(b)における解析結果と、前記ステップ(d)における評価結果とを出力するステップ(f)と、
前記知識データベースの修正指示を受け付けるステップ(g)と、
前記修正指示に基づいて前記知識データベースを修正するステップ(h)と、を有する請求項9に記載の解析方法。
【請求項13】
前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および副不良原因工程との前記対応関係を示し、
前記ステップ(b)においては、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記不良原因工程および前記副不良原因工程を特定する解析をし、
前記ステップ(f)においては、前記ステップ(b)における解析結果として、前記副不良原因工程を選択可能に表示することで出力し、
前記ステップ(g)においては、前記副不良原因工程が選択されたことを、前記不良原因工程を選択された前記副不良原因工程に代替させる前記修正指示として受け付ける、請求項12に記載の解析方法。
【請求項14】
前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および副不良原因工程との前記対応関係を示し、
前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記副不良原因工程を特定するステップ(i)を有し、
前記ステップ(e)においては、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合の前記第1予想検査結果と、前記不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、前記知識データベースに対し、前記不良原因工程を前記副不良原因工程に代替する修正をする、請求項10または11に記載の解析方法。
【請求項15】
前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および複数の前記副不良原因工程との前記対応関係を示し、
前記ステップ(i)は、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた複数の前記副不良原因工程を特定する解析を行い、
前記検査結果と、解析された各前記副不良原因工程とに基づいて、前記副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記検査結果を第2予想検査結果としてそれぞれ解析するステップ(j)と、
各第2予想検査結果と、各副不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異をそれぞれ評価するステップ(k)と、を有し、
前記ステップ(e)においては、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記第1予想検査結果と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、前記知識データベースに対し、前記副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記第2予想検査結果と、前記副不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が最も小さくなる前記副不良原因工程を前記不良原因工程に代替させる修正をする、請求項14に記載の解析方法。
【請求項16】
請求項9~15のいずれか一項に記載の解析方法をコンピューターに実行させるための解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解析装置、解析システム、解析方法、および解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品の生産現場等においては、外観検査等により製品の欠陥を検出することで不良品の選別がされている。
【0003】
また、外観検査等により検出された欠陥の情報に基づいて欠陥を発生させた工程を特定して、特定された工程等に対処できるようにするための技術の開発が進められている。
【0004】
下記特許文献1には次の先行技術が開示されている。半導体装置の製造ラインにおいて、外観検査装置によりウエハー上の回路パターンの欠陥を検査し、欠陥モード等と装置種類との対応関係を示す欠陥モードデータベースを用いて、検査結果から欠陥の発生原因の装置種類を特定する。そして、特定された装置種類と着工来歴から欠陥の発生原因の装置を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-197437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記先行技術は、温度や湿度等の検査環境の変動に対して欠陥モードデータベースを修正し最適化することに対応できないため、検査環境がわずかに変動することで不良(欠陥)の発生原因の工程等の特定精度が低下する可能性があるという問題がある。
【0007】
本発明は上述の問題を解決するためになされたものである。すなわち、検査環境の変動があっても不良の発生原因の工程等を高精度に特定できる、解析装置、解析システム、解析方法、および解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
(1)入力データに基づいて検査対象を検査する検査部と、前記検査部による検査結果と不良原因工程との対応関係を示す知識データベースと、前記検査結果に基づいて、前記知識データベースを用いて前記不良原因工程を解析する原因解析部と、前記検査結果と、解析された前記不良原因工程とに基づいて、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記検査結果を第1予想検査結果として解析する結果解析部と、前記第1予想検査結果と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査部による前記検査結果との差異を評価する評価部と、を有する解析装置。
【0010】
(2)前記評価部による評価結果に基づいて前記知識データベースを修正する制御部をさらに有する、上記(1)に記載の解析装置。
【0011】
(3)前記結果解析部は、同一品種の複数の前記検査対象についての、前記検査結果および前記不良原因工程に基づいて、前記第1予想検査結果を不良率として解析し、前記評価部は、前記第1予想検査結果の不良率と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査対象の不良率との差異を評価する、上記(1)または(2)に記載の解析装置。
【0012】
(4)前記検査部による前記検査結果と、前記原因解析部による解析結果と、前記評価部による評価結果とを出力する出力部と、前記知識データベースの修正指示を受け付ける受付部と、前記修正指示に基づいて前記知識データベースを修正する修正部と、を有する上記(1)に記載の解析装置。
【0013】
(5)前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および副不良原因工程との前記対応関係を示し、前記原因解析部は、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記不良原因工程および前記副不良原因工程を特定する解析を行い、前記出力部は、前記原因解析部による解析結果として、前記副不良原因工程を選択可能に表示することで出力し、前記受付部は、前記出力部において前記副不良原因工程が選択されたことを、前記不良原因工程を前記副不良原因工程に代替させる前記修正指示として受け付ける、上記(4)に記載の解析装置。
【0014】
(6)前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および副不良原因工程との前記対応関係を示し、前記原因解析部は、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記不良原因工程および前記副不良原因工程を特定する解析を行い、前記制御部は、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合の前記第1予想検査結果と、前記不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、前記知識データベースに対し、前記不良原因工程を前記副不良原因工程に代替する修正をする、上記(2)に記載の解析装置。
【0015】
(7)前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および複数の前記副不良原因工程との前記対応関係を示し、前記原因解析部は、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記不良原因工程および複数の前記副不良原因工程を特定する解析を行い、前記結果解析部は、前記検査結果と、解析された各前記副不良原因工程とに基づいて、前記副不良原因工程における副不良原因を解消した場合に予想される前記検査結果を第2予想検査結果としてそれぞれさらに解析し、前記評価部は、各第2予想検査結果と、各副不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査部による前記検査結果との差異をそれぞれさらに評価し、前記制御部は、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記第1予想検査結果と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、前記知識データベースに対し、前記副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記第2予想検査結果と、前記副不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が最も小さくなる前記副不良原因工程を前記不良原因工程に代替させる修正をする、上記(6)に記載の解析装置。
【0016】
(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載の解析装置と、入力データである画像を撮影する撮影装置と、を有する解析システム。
【0017】
(9)入力データに基づいて検査対象を検査するステップ(a)と、前記ステップ(a)における検査結果に基づいて、前記検査結果と不良原因工程との対応関係を示す知識データベースを用いて前記不良原因工程を解析するステップ(b)と、前記検査結果と、解析された前記不良原因工程とに基づいて、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記検査結果を第1予想検査結果として解析するステップ(c)と、前記第1予想検査結果と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異を評価するステップ(d)と、を有する解析方法。
【0018】
(10)前記ステップ(d)における評価結果に基づいて前記知識データベースを修正するステップ(e)をさらに有する、上記(9)に記載の解析方法。
【0019】
(11)前記ステップ(c)においては、同一品種の複数の前記検査対象についての、前記検査結果および前記不良原因工程に基づいて、前記第1予想検査結果を不良率として解析し、前記ステップ(d)においては、前記第1予想検査結果の不良率と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査対象の不良率との差異を評価する、上記(9)または(10)に記載の解析方法。
【0020】
(12)前記検査結果と、前記ステップ(b)における解析結果と、前記ステップ(d)における評価結果とを出力するステップ(f)と、前記知識データベースの修正指示を受け付けるステップ(g)と、前記修正指示に基づいて前記知識データベースを修正するステップ(h)と、を有する上記(9)に記載の解析方法。
【0021】
(13)前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および副不良原因工程との前記対応関係を示し、前記ステップ(b)においては、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記不良原因工程および前記副不良原因工程を特定する解析をし、前記ステップ(f)においては、前記ステップ(b)における解析結果として、前記副不良原因工程を選択可能に表示することで出力し、前記ステップ(g)においては、前記副不良原因工程が選択されたことを、前記不良原因工程を前記副不良原因工程に代替させる前記修正指示として受け付ける、上記(12)に記載の解析方法。
【0022】
(14)前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および副不良原因工程との前記対応関係を示し、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた前記副不良原因工程を特定するステップ(i)を有し、前記ステップ(e)においては、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合の前記第1予想検査結果と、前記不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、前記知識データベースに対し、前記不良原因工程を前記副不良原因工程に代替する修正をする、上記(10)または(11)に記載の解析方法。
【0023】
(15)前記知識データベースは、前記検査結果のクラスごとに、前記クラスと、前記不良原因工程および複数の前記副不良原因工程との前記対応関係を示し、前記ステップ(i)は、前記知識データベースにおいて前記検査結果の前記クラスに対応付けされた複数の前記副不良原因工程を特定する解析を行い、前記検査結果と、解析された各前記副不良原因工程とに基づいて、前記副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記検査結果を第2予想検査結果としてそれぞれ解析するステップ(j)と、各第2予想検査結果と、各副不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異をそれぞれ評価するステップ(k)と、を有し、前記ステップ(e)においては、前記不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記第1予想検査結果と、前記不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、前記知識データベースに対し、前記副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される前記第2予想検査結果と、前記副不良原因工程における不良原因を解消した後の前記検査結果との差異が最も小さくなる前記副不良原因工程を前記不良原因工程に代替させる修正をする、上記(14)に記載の解析方法。
【0024】
(16)上記(9)~(15)のいずれかに記載の解析方法をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0025】
製品の検査結果と不良原因工程との対応関係を示す知識データベースを用いて、製品の検査結果に基づいて不良原因工程を解析する。そして、検査結果と解析された不良原因工程とに基づいて、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果を予想し、予想結果と不良原因を解消した後の検査結果との差異を評価する。これにより、検査環境の変動に応じて知識データベースを容易に修正可能にし、検査環境の変動があっても不良の発生原因の工程等を高精度に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】解析システムの構成を示す図である。
図2】解析装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】制御部の機能ブロック図である。
図4】解析システムの動作を示すフローチャートである。
図5】制御部の機能ブロック図である。
図6】解析システムの動作を示すフローチャートである。
図7】制御部の機能ブロック図である。
図8】解析システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る解析装置、解析システム、解析方法、および解析プログラムについて説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、解析システム10の構成を示す図である。図2は、解析システム10に含まれる解析装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。解析装置100は、複数の装置により構成されてもよい。
【0029】
解析システム10は、解析装置100および撮影装置200を含み得る。
【0030】
撮影装置200は、検査対象202(図3参照)の画像201(以下、単に「画像201」とも称する)を撮影する。画像201は、解析装置100に入力される入力データを構成する。画像201は検査対象202の全部または一部の画像であり得る。画像201は検査対象202以外のものが含まれる画像であってもよい。撮影装置200は、例えばカメラにより構成される。検査対象202は、例えば製品であり、製品には自動車や半導体チップ等の完成品だけでなく、自動車の車体、ボルト、ナット、および平板等の部品が含まれる。撮影装置200は、スキャナー、マイク、音声をテキストデータに変換する音声認識装置、臭いセンサー、および温度センサー等により代替され得る。これらの装置により検知(取得)されるデータも、入力データを構成する。以下、説明を簡単にするために、入力データは画像201であるものとして説明する。
【0031】
画像201は、例えば、白黒画像またはカラー画像で、128ピクセル×128ピクセルの画像であり得る。撮影装置200は、画像201を解析装置100へ送信する。
【0032】
解析装置100は、画像201を解析することで、検査対象202を検査する。これにより、解析装置100は、検査対象202の異常を検出する。異常には、例えば、傷、欠け、折れ、曲げ、汚れ、変色(色味の変化)、異常温度、異臭等が含まれる。後述するように、解析装置100は、異常の種類を示す所定の認識クラス(クラス)のいずれかとして、検査対象の異常(不良)を検出し得る。
【0033】
解析装置100は、さらに、検出された異常の種類(不良の認識クラス)から、異常を発生させた工程を、不良原因工程として検出(特定)する解析を行う。不良原因工程には、例えば、塗装工程に含まれるベース塗りや、コーティングの各工程が含まれる。その他、不良原因工程には、研磨工程、切削工程、洗浄工程等の工程種類が含まれる。不良原因工程はこのような工程種類に限定されない。例えば、不良原因工程には、塗布装置、研磨装置、切削装置、洗浄装置等の装置種類が含まれる。
【0034】
図2に示すように、解析装置100は、制御部110、記憶部120、通信部130、および操作表示部140を備える。これらの構成要素は、バス150を介して互いに接続される。解析装置100は、例えばコンピューター端末により構成される。
【0035】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリにより構成され、プログラムに従って解析装置100の各部の制御および演算処理を行う。制御部110の機能の詳細については後述する。
【0036】
記憶部120は、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成され、各種プログラムおよび各種データを記憶する。
【0037】
通信部130は、ネットワークを介して、外部の装置と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。
【0038】
操作表示部140は、例えば、タッチパネルにより構成され得る。操作表示部140は、ユーザーからの各種入力を受け付ける。操作表示部140は各種情報を表示する。
【0039】
制御部110の機能について説明する。
【0040】
図3は、制御部110の機能ブロック図である。制御部110は、検査部111、解析部112、評価部113、および出力部114として機能する。解析部112は、原因解析部および結果解析部を構成する。図3には、記憶部120に記憶された知識データベース121も併せて示されている。
【0041】
検査部111は、画像201を撮影装置200から受信することで取得する。検査部111は、画像201が記憶部120に記憶される場合、記憶部120から読み出すことで画像201を取得してもよい。
【0042】
図3においては、検査対象202が部品である平板であり、平板の右下に黒丸の汚れがある画像201が例示されている。
【0043】
検査部111は、画像201に基づいて検査対象202を検査する。具体的には、検査部111は、例えば、記憶部120から読み出した、機械学習された学習済モデルに画像201を入力して、所定の認識クラスのいずれかを特定することで検査対象202を検査する。以下、検査部111による検査結果を、単に「検査結果」とも称する。特定には変換や分類によるものが含まれる。以下、説明を簡単にするために、特定は変換によるものとして説明する。例えば、検査部111は、画像201を、各認識クラスの確信度のベクトル(認識クラスごとの確信度)に変換する。以下、各認識クラスの確信度のベクトルを単に「ベクトル」とも称する。確信度は、対応する認識クラスに画像201が該当する確からしさを示す尤度である。所定の認識クラスは、不良(異常)の認識クラスを含む。検査部111が、画像201をベクトルに変換することは、確信度が最も高い認識クラスを識別可能にすることであり、画像201を所定の識別クラスに変換することと等価である。なお、検査部111は、ベクトルに代えて、確信度が最も高い認識クラス(より詳細には、確信度が最も高い認識クラスを特定するデータ)に画像201を変換してもよい。
【0044】
学習済モデルとしては、例えばニューラルネットワークの学習済モデルを用い得る。学習済モデルは、ニューラルネットワーク以外のモデルであってもよい。すなわち、学習済モデルは、例えば、公知のサポートベクターマシーンまたはランダムフォレストの学習済モデルであってもよい。
【0045】
学習済モデルは、画像201と、当該画像201に対応する正解ラベルである認識クラスとの組合せの教師データ(訓練データ)を比較的大量に用いてニューラルネットワークを学習することで予め生成され、記憶部120に記憶され得る。具体的には、ニューラルネットワークは、画像201が入力されたときの認識クラス(具体的には各認識クラスの確信度のベクトル)と、正解ラベル(具体的には各認識クラスの確信度のベクトルの正解)との差(ロス)が小さくなるように、バックプロパゲーションにより学習される。
【0046】
教師データは、不良品の画像201と、当該不良品の画像201に対応する認識クラスである不良の認識クラスの正解ラベルの組合せとすることが好ましい。これにより、検査部111による異常(不良)の検出精度を効率的に向上できる。
【0047】
所定の認識クラスは異常の種類であり、例えば、「所定の長さ以上の傷」、「所定の長さ未満の傷」、「所定の太さ以上の傷」、「所定の太さ未満の傷」、「所定の面積以上の汚れ」、「所定の面積未満の汚れ」、および「変色」が含まれる。また、例えば、「所定の面積以上の汚れ」や「所定の面積以下の汚れ」等は、画像201上の汚れのある場所ごとに複数の認識クラスに細分化され得る。すなわち、認識クラスには、例えば「所定の面積以上の右上の汚れ」、「所定の面積以上の右下の汚れ」、「所定の面積以上の左上の汚れ」、「所定の面積以上の左下の汚れ」、「所定の面積以下の右上の汚れ」、「所定の面積以下の右下の汚れ」、「所定の面積以下の左上の汚れ」、および「所定の面積以下の左下の汚れ」等が含まれ得る。認識クラスは、必要に応じてさらに細分化され得る。所定の長さ、所定の太さ、および所定の面積は、認識クラスから不良原因工程を解析する解析の、解析精度の観点から実験等により適当に設定し得る。認識クラスには、「良品」のクラスが含まれる。
【0048】
解析部112は、検査部111による検査結果(すなわち、認識クラス)と、記憶部120に記憶されている知識データベース121とを用いて、不良原因工程を解析する。これにより、異常を発生させた不良原因工程が特定される。知識データベース121は、検査結果と不良原因工程との対応関係を示すデータ群であり得る。解析部112は、具体的には、例えば、検査部111による検査結果のベクトルにおいて、「所定の面積以下の右下の汚れ」の認識クラスの確信度が最も高かった場合、「所定の面積以下の右下の汚れ」に対応する不良原因工程を、知識データベース121を用いて解析する。なお、知識データベース121は、検査結果と、不良原因工程および副不良原因工程との対応関係を示すデータ群であってもよい。この場合、解析部112は、検査部111による検査結果と、知識データベース121とを用いて、複不良原因工程をさらに解析し得る。不良の主原因となる工程は、温度や湿度等の検査環境の変動により変わり得る。これは、温度の上昇により装置の実装部品がわずかに膨張したり、湿度が低下することで製品にゴミが付着しやすくなることがあるためである。このため、検査環境の変動により、不良の主原因となる可能性がある工程を副不良原因工程として検査結果と対応させて知識データベース121に登録しておき、後述する、知識データベース121の修正に利用され得る。
【0049】
知識データベース122に含まれる、検査結果と不良原因工程との対応関係は、例えば生産工場における熟練した作業員や技術者の知識に基づくものであり得る。作業員等は、自己の経験に基づいて、例えば、所定の面積以下の右下の汚れがある平板の画像を見ただけで、異常(不良)を発生させた工程をより正確に特定できる可能性が高いからである。
【0050】
知識データベース122に含まれる認識クラスと不良原因工程との対応関係は、装置の過去の修理履歴に基づいて設定されてもよい。
【0051】
このように、機械学習により画像201から異常を発生させた不良原因工程をEnd-to-Endで検出せずに、機械学習により不良の認識クラスまでを推定し、知識データベース121を用いて異常の種類の情報(言語情報等)から異常を発生させた不良原因工程の情報(言語情報等)を特定する。これにより、訓練データの量を抑制しつつ検出精度および汎用性を向上できる。画像201等に基づく異常の検知は、撮影条件(例えば、撮影環境)の影響を受けやすいので、機械学習により画像等から異常を発生させた装置種類をEnd-to-Endで検出する場合は、生産工場が変わるごとに学習済モデルの再学習が必要になる。しかし、知識データベース122の情報は、異常の種類と異常を発生させた不良原因工程の対応関係という知識であるため、知識データベース121を用いることで、異なる生産工場で同じ学習済モデルを使い回すことができ、学習済みモデルの再学習を不要にできる。
【0052】
解析部112は、検査結果と、解析された不良原因工程とに基づいて、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果を第1予想検査結果として解析する。第1予想検査結果のより単純な例は、「良品」の認識クラス(例えば、「良品」の認識クラスの確信度のみが1で、その他の認識クラス(すなわち、不良クラス)の確信度が0である、ベクトル)である。すなわち、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される第1予想検査結果は「良品」の認識クラスとされ得る。第1予想検査結果は不良率等の統計的な検査結果の予想であり得る。すなわち、第1予想検査結果は、例えば、同一品種の複数の検査対象についての検査結果と、不良原因工程とに基づいて解析される不良率として解析され得る。この場合、第1予想検査結果は、例えば「5%」等の不良率であり得る。以下、説明を簡単にするために、第1予想検査結果は不良率であるものとして説明する。解析部112は、検査結果、不良原因工程、および第1予想検査結果が相互に対応付けされた結果予想用テーブルを用いて、検査結果と、解析された不良原因工程とに基づいて、第1予想検査結果を解析し得る。例えば、検査結果である「所定の面積以上の汚れ」と、解析された不良原因工程である「塗布工程」とに基づいて、不良率5%を第1予想検査結果として解析し得る。結果予想用テーブルは、例えば製品の製造プロセスの設計を行った技術者の知識や生産工場における熟練した作業員や技術者の知識等に基づいて予め作成され、記憶部120に記憶され得る。
【0053】
評価部113は、第1予想検査結果と、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異(以下、「予想との差異」とも称する)を評価する。すなわち、ユーザーにより不良原因が解消された不良原因工程を含む製造工程で検査対象202を製造し、製造された検査対象202を撮影装置200により撮影し、撮影された画像201に基づく検査部111による検査結果と、第1予想検査結果との差異を評価する。例えば、第1予想検査結果が不良率5%であり、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果が不良率60%である場合は、予想との差異は55%と評価され得る。この場合、予想より不良率が減っていないことから、検査環境の変動等の影響で、知識データベース121により不良原因工程が正確に特定できていないと考えられる。なお、第1予想検査結果が「良品」の認識クラス(例えば、「良品」の認識クラスの確信度のみが1のベクトル)であるような最も単純な例においては、予想との差異は、第1予想検査結果のベクトルと、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果のベクトルとの差の絶対値とされ得る。
【0054】
評価部113は、制御部として、予想との差異の評価結果に基づいて、知識データベース121を修正する。具体的には、評価部113は、予想との差異が所定の閾値以上の場合、知識データベース121において、当該検査結果に対応付けされた不良原因工程を変更する制御をする。予想との差異が所定の閾値以上の場合に知識データベース121を修正するのは、検査環境の変動等により知識データベース121における、検査結果と不良原因工程との対応関係の精度が低下していると考えられるからである。所定の閾値は、検査結果ごとに、検査結果の内容(性質)に応じて、不良原因工程の検出精度の観点から実験等により適当に設定され得る。評価部113は、検査結果における、欠陥の数、種類、サイズ、および位置の少なくともいずれか1つを考慮して知識データベース121の修正の要否を判断してもよい。例えば、検査部111により検査が開始されてから、欠陥(不良)の数が同日中に所定の数を超えた場合は、知識データベース121の修正が必要と判断され得る。また、欠陥の種類が、布の「所定の面積以下の右下の汚れ」である場合、無地の布における黒色の汚れの欠陥である場合は、知識データベース121の修正が必要と判断される一方、灰色の布における黒色の汚れの欠陥である場合は、知識データベース121の修正が不要と判断され得る。また、欠陥である汚れのサイズが「所定の面積を超える」の場合は、知識データベース121の修正が必要と判断される一方、「所定の面積以下」の場合は、知識データベース121の修正が不要と判断され得る。また、欠陥であるキズの位置が、インクを出すノズルの穴の部分というような製品の機能を劣化させる位置である場合は、無条件で知識データベース121の修正が必要と判断され得る。
【0055】
評価部113は、例えば、予想との差異が所定の閾値以上の場合、知識データベース121において、当該検査結果において、不良原因工程を副不良原因工程に代替させることで、当該知識データベース121を修正し得る。また、当該検査結果に複数の副不良原因工程が対応付けされている場合は、評価部113は、不良原因工程を副不良原因工程の任意のいずれか1つに代替させることで、当該知識データベース121を修正し得る。
【0056】
出力部114は、解析部112による解析により特定された不良原因工程を出力する。出力部114は、不良原因工程を操作表示部140に表示することで不良原因工程を出力し得る。出力部114は、不良原因工程を他の装置へ送信することで不良原因工程を出力してもよい。なお、出力部114の機能は省略されてもよい。
【0057】
図4は、解析システム10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムに従い、解析装置100の制御部110により実行され得る。
【0058】
制御部110は、撮影装置200から画像201を受信することで取得する(S101)。なお、画像201が記憶部120に記憶される場合は、制御部110は、画像201を記憶部120から読み出すことで取得してもよい。
【0059】
制御部110は、学習済モデルを用いて画像201を各認識クラスの確信度のベクトルに変換することで、画像201に基づいて検査対象202を検査する(S102)。
【0060】
制御部110は、検査結果に基づいて、知識データベース121を用いて不良原因工程を特定する解析をする(S103)。
【0061】
制御部110は、検査結果と、解析された不良原因工程とに基づいて第1予想検査結果を特定する解析をする(S104)。
【0062】
制御部110は、第1予想検査結果と、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異を算出して、予想との差異を評価する(S105)。
【0063】
制御部110は、予想との差異の評価結果に基づいて知識データベース121を修正する(S106)。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なる点は次の点である。第1実施形態は、制御部110がプログラム等に基づく演算処理により知識データベース121の修正内容を判断して、知識データベース121を修正する。一方、本実施形態は、検査結果、不良原因工程、および予想との差異の情報を表示すること等によりユーザーにこれらの情報を提供するとともに、ユーザーにより入力される知識データベース121の修正指示に従って、知識データベース121を修正する。これ以外の点については、本実施形態は第1実施形態と同様であるので、重複する説明は省略または簡略化する。
【0065】
図5は、制御部110の機能ブロック図である。制御部110は、検査部111、解析部112、評価部113、出力部114、および受付部115として機能する。受付部115は修正部を構成する。
【0066】
検査部111は、画像201を撮影装置200から受信することで取得する。検査部111は、画像201に基づいて検査対象202を検査する。検査部111は、学習済みモデルを用いて、画像201をベクトル(各認識クラスの確信度)に変換することで、検査対象202を検査し得る。
【0067】
解析部112は、検査部111による検査結果に基づいて、知識データベース121を用いて、不良原因工程を解析する。
【0068】
解析部112は、検査結果と、解析された不良原因工程とに基づいて、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果を第1予想検査結果として解析する。
【0069】
評価部113は、第1予想検査結果と、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果とに基づいて、予想との差異を評価する。
【0070】
出力部114は、検査結果、不良原因工程、および予想との差異を出力する。出力部114は、検査結果、不良原因工程、および予想との差異を操作表示部140に表示することで不良原因工程を出力し得る。出力部114は、不良原因工程をユーザーの携帯端末等へ送信し、当該携帯端末において検査結果、不良原因工程、および予想との差異を表示されることで出力してもよい。これにより、ユーザーは、検査結果、不良原因工程、および予想との差異の情報を得ることができる。出力部114は、副不良原因工程をさらに出力してもよい。副不良原因工程は、操作表示部140において選択可能に表示されることで出力されてもよい。
【0071】
受付部115は、操作表示部140に入力されるユーザーによる知識データベース121の修正指示を受け付ける。修正指示は、例えば、当該検査結果に関して、不良原因工程を副不良原因工程に代替させる旨の指示であり得る。修正指示は、操作表示部140においてコマンドにより入力され得る。受付部115は、制御部として、修正指示に基づいて、知識データベース121を修正する。受付部115は、副不良原因工程が、操作表示部140において選択可能に表示されることで出力される場合、ユーザーにより操作表示部140において副不良原因工程が選択されたことを、不良原因工程を、選択された副不良原因工程に代替させる修正指示として受け付け得る。この場合、複数の副不良原因工程が操作表示部140において選択可能に表示されてもよい。受付部115は、表示される複数の副不良原因工程のうちいずれか1つがユーザーにより選択されたことを、不良原因工程を、選択された副不良原因工程に代替させる修正指示として受け付けることができる。
【0072】
図6は、解析システム10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムに従い、解析装置100の制御部110により実行され得る。
【0073】
ステップS201~ステップS205は、第1実施形態の図4のステップS101~ステップS105と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
制御部101は、検査結果、不良原因工程、および予想との差異を出力する(S206)。制御部101は、副不良原因工程をさらに出力してもよい。
【0075】
制御部101は、操作表示部104を介して、知識データベース121の修正指示を受け付ける(S207)。
【0076】
制御部101は、修正指示に基づいて知識データベース121を修正する(S208)。
【0077】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なる点は次の点である。第1実施形態は、検査結果と解析された不良原因工程とに基づいて第1予想検査結果を解析し、第1予想検査結果と不良原因を解消した後の検査結果との差異を予想との差異として評価し、予想との差異が所定の閾値以上の場合、知識データベース121を修正する。一方、本実施形態は、予想との差異が所定の閾値以上の場合、さらに、検査結果と当該検査結果に対応付けされた複数の副不良原因工程とに基づいて、各副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果をそれぞれ第2予想検査結果として解析する。そして、知識データベース121に対し、第2予想検査結果と各副不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異が最も小さくなる副不良原因工程を不良原因工程に代替させる修正をする。これ以外の点については、本実施形態は第1実施形態と同様であるので、重複する説明は省略または簡略化する。
【0078】
図7は、制御部110の機能ブロック図である。制御部110は、検査部111、解析部112、評価部113、および出力部114として機能する。
【0079】
検査部111は、画像201を撮影装置200から受信することで取得する。検査部111は、画像201に基づいて検査対象202を検査する。検査部111は、学習済みモデルを用いて、画像201をベクトル(各認識クラスの確信度)に変換することで、検査対象202を検査し得る。
【0080】
解析部112は、検査部111による検査結果に基づいて、知識データベース121を用いて、不良原因工程を解析する。さらに、解析部112は、検査結果と、知識データベース121とを用いて、複数の複不良原因工程を解析する。本実施形態においては、知識データベース121は、検査結果と、不良原因工程および複数の副不良原因工程との対応関係を示すデータ群である。解析部112は、予想との差異が所定の閾値以上の場合に、複数の副不良原因工程を解析し得る。
【0081】
解析部112は、検査結果と、解析された不良原因工程とに基づいて、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果を第1予想検査結果として解析する。さらに、解析部112は、検査結果と当該検査結果に対応付けされた複数の副不良原因工程とに基づいて、各副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果をそれぞれ第2予想検査結果として解析する。解析部112は、予想との差異が所定の閾値以上の場合に、第2予想検査結果を解析し得る。
【0082】
評価部113は、予想との差異(以下、本実施形態の説明において「第1差異」とも称する)を評価する。さらに、評価部113は、各第2予想検査結果と各副不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異(以下、「第2差異」とも称する)をそれぞれ評価する。評価部113は、第1差異が所定の閾値以上の場合に、第2差異を解析し得る。
【0083】
評価部113は、知識データベース121に対し、第2差異が最も小さくなる副不良原因工程を不良原因工程に代替させる修正をする。
【0084】
出力部114は、検査結果、不良原因工程、および副不良原因工程を出力する。なお、出力部114の機能は省略され得る。
【0085】
図8は、解析システム10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムに従い、解析装置100の制御部110により実行され得る。
【0086】
ステップS301~ステップS302は、第1実施形態の図4のステップS101~ステップS102と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
制御部110は、検査結果に基づいて、知識データベース121を用いて不良原因工程を特定する解析をする(S303)。
【0088】
制御部110は、検査結果と、解析された不良原因工程とに基づいて第1予想検査結果を特定する解析をする(S304)。
【0089】
制御部110は、第1予想検査結果と、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異を算出することで、第1差異を評価する(S305)。
【0090】
制御部110は、第1差異が所定の閾値以上かどうか判断する(S306)。制御部110は、第1差異が所定の閾値以上でない場合(S306:NO)は処理を終了する。
【0091】
制御部110は、第1差異が所定の閾値以上である場合(S306:YES)、検査結果に基づいて、知識データベース121を用いて複数の副不良原因工程を特定する解析をする(S307)。
【0092】
制御部110は、解析された各副不良原因工程に基づいて、第2予想検査結果をそれぞれ解析する(S308)。
【0093】
制御部110は、各第2予想検査結果と各副不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異をそれぞれ第2差異として評価する(S309)。
【0094】
制御部110は、知識データベース121に対し、第2差異が最も小さくなる副不良原因工程を不良原因工程に代替させる修正をする(S310)。
【0095】
実施形態は、以下の効果を奏する。
【0096】
製品の検査結果と不良原因工程との対応関係を示す知識データベースを用いて、製品の検査結果に基づいて不良原因工程を解析する。そして、検査結果と解析された不良原因工程とに基づいて、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果を予想し、予想結果と不良原因を解消した後の検査結果との差異を評価する。これにより、検査環境の変動に応じて知識データベースを容易に修正可能にし、検査環境の変動があっても不良の発生原因の工程等を高精度に特定できる。
【0097】
さらに、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果の予想結果と不良原因を解消した後の検査結果との差異の評価結果に基づいて知識データベースを修正する。これにより、知識データベースの修正内容の検討をユーザーに強いることなく、検査環境の変動に応じて知識データベースを最適化できる。
【0098】
さらに、同一品種の複数の検査対象についての検査結果および解析された不良原因工程に基づいて、第1予想検査結果を不良率として解析し、第1予想検査結果の不良率と、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査対象の不良率との差異を評価する。これにより、検査環境の変動に対する不良の発生原因の工程等の特定精度をさらに向上できる。
【0099】
さらに、検査結果と、不良原因工程と、当該不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される検査結果の予想結果と不良原因を解消した後の検査結果との差異とを出力し、知識データベースの修正指示を受け付け、修正指示に基づいて知識データベースを修正する。これにより、より柔軟かつ適切に知識データベースを最適化できる。
【0100】
さらに、知識データベースを、検査結果のクラスごとに、クラスと、不良原因工程および副不良原因工程との対応関係を示すものとし、知識データベースにおいて検査結果のクラスに対応付けされた不良原因工程および副不良原因工程を特定する解析を行う。そして、解析結果として、副不良原因工程を選択可能に表示することで出力し、副不良原因工程が選択されたことを、不良原因工程を選択された副不良原因工程に代替させる修正指示として受け付ける。これにより、より簡単かつ適切に知識データベースを最適化できる。
【0101】
さらに、知識データベースを、検査結果のクラスごとに、クラスと、不良原因工程および副不良原因工程との対応関係を示すものとし、知識データベースにおいて検査結果のクラスに対応付けされた不良原因工程および副不良原因工程を特定し、不良原因工程における不良原因を解消した場合の第1予想検査結果と、不良原因を解消した後の検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、知識データベースに対し、不良原因工程を副不良原因工程に代替する修正をする。これにより、より簡単に、検査環境の変動があっても不良の発生原因の工程等を高精度に特定できる。
【0102】
さらに、知識データベースを、検査結果のクラスごとに、クラスと、不良原因工程および複数の副不良原因工程との対応関係を示すものとし、知識データベースにおいて検査結果のクラスに対応付けされた不良原因工程および複数の副不良原因工程を特定する解析を行い、検査結果と、解析された各副不良原因工程とに基づいて、副不良原因工程における副不良原因を解消した場合に予想される検査結果を第2予想検査結果としてそれぞれさらに解析し、各第2予想検査結果と、各副不良原因工程における副不良原因を解消した後の検査結果との差異をそれぞれ評価し、不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される第1予想検査結果と、不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異が所定の閾値以上の場合、知識データベースに対し、副不良原因工程における不良原因を解消した場合に予想される第2予想検査結果と、副不良原因工程における不良原因を解消した後の検査結果との差異が最も小さくなる副不良原因工程を不良原因工程に代替させる修正をする。これにより、より簡単かつより高精度に、検査環境の変動があっても不良の発生原因の工程等を特定できる。
【0103】
以上に説明した、解析システム、解析プログラム、解析装置、および解析方法は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な解析システム等が備える構成を排除するものではない。
【0104】
例えば、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0105】
また、上述したシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその解析装置等のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 解析システム、
100 解析装置、
110 制御部、
111 検査部、
112 解析部、
113 評価部、
114 出力部、
120 記憶部、
121 知識データベース、
130 通信部、
140 操作表示部、
200 撮影装置、
201 画像、
202 検査対象。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8