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  • 特開-可変容量型液圧回転機 図1
  • 特開-可変容量型液圧回転機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120135
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】可変容量型液圧回転機
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/2064 20200101AFI20240828BHJP
   F04B 53/10 20060101ALI20240828BHJP
   F04B 53/16 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
F04B1/2064
F04B53/10 Z
F04B53/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026798
(22)【出願日】2023-02-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 豪
(72)【発明者】
【氏名】山形 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高須賀 忠勲
【テーマコード(参考)】
3H070
3H071
【Fターム(参考)】
3H070AA01
3H070BB04
3H070CC08
3H070CC35
3H070DD87
3H070DD91
3H071AA03
3H071BB01
3H071CC34
3H071CC41
3H071CC42
3H071DD16
3H071DD31
3H071DD82
(57)【要約】
【課題】 電磁弁からドレンを円滑に排出させることにより、動作圧を安定させて容量可変部を安定的に制御できるようにする。
【解決手段】 レギュレータ20のレギュレータケーシング21には、レギュレータケーシング21内のケーシングドレン室6と連通するレギュレータドレン室21Dが設けられている。また、レギュレータケーシング21の側面21Bには、レギュレータドレン室21Dに通じる開口部21Eが設けられている。さらに、電磁弁22の弁ブロック23には、レギュレータケーシング21の側面21Bに取り付けられる取付面23Aから突出して開口部21Eに嵌合する突部23Cが設けられている。この上で、ドレンポート24は、開口部21Eに突部23Cが嵌合された状態でレギュレータドレン室21D内に露出するように突部23Cに設けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量可変部を有する液圧回転機のケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、外部から給排される傾転制御圧に応じて前記容量可変部を傾転させる傾転アクチュエータと、
前記ケーシングに取り付けられ、前記傾転アクチュエータに給排する傾転制御圧を可変に制御するレギュレータと、
前記レギュレータを動作させるための動作圧を生成する電磁弁と、
を備え、
前記電磁弁は、
前記レギュレータに取り付けられた弁ブロックと、
前記弁ブロックに設けられたドレンポートと、
前記弁ブロック内に変位可能に設けられた弁体と、
前記弁ブロックに取り付けられ、前記弁体を変位させる電磁アクチュエータと、
を備えた可変容量型液圧回転機において、
前記レギュレータには、前記ケーシング内のケーシングドレン室と連通するレギュレータドレン室が設けられ、
前記レギュレータの側面には、前記レギュレータドレン室に通じる開口部が設けられ、
前記弁ブロックには、前記レギュレータの前記側面に取り付けられる取付面から突出して前記開口部に嵌合する突部が設けられ、
前記ドレンポートは、前記開口部に前記突部が嵌合された状態で前記レギュレータドレン室内に露出するように前記突部に設けられていることを特徴とする可変容量型液圧回転機。
【請求項2】
請求項1に記載の可変容量型液圧回転機において、
前記開口部は、前記レギュレータの上部に設けられたドレン配管ポートよりも下側に配置され、
前記レギュレータドレン室は、前記ドレンポートから前記ドレン配管ポートに向けて天井面が高くなるように形成されていることを特徴とする可変容量型液圧回転機。
【請求項3】
請求項1に記載の可変容量型液圧回転機において、
前記レギュレータドレン室は、前記ケーシングドレン室の上部位置に連通していることを特徴とする可変容量型液圧回転機。
【請求項4】
請求項1に記載の可変容量型液圧回転機において、
前記ドレンポートは、前記突部の上部に上向きに開口して設けられていることを特徴とする可変容量型液圧回転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば油圧ショベル等の建設機械に搭載され、可変容量型の油圧ポンプまたは油圧モータとして用いられる可変容量型液圧回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械には、動力源として可変容量型の油圧ポンプ等が搭載され、動作装置として可変容量型の油圧モータ等が搭載されている。可変容量型の油圧ポンプおよび油圧モータは、可変容量型液圧回転機を構成している。可変容量型液圧回転機は、例えば、容量可変部を有する液圧回転機のケーシングと、ケーシングに設けられ、外部から給排される傾転制御圧(圧油)に応じて容量可変部を傾転させる傾転アクチュエータと、ケーシングに取り付けられ、傾転アクチュエータに給排する傾転制御圧を可変に制御するレギュレータと、レギュレータを動作させるための動作圧を生成する電磁弁と、を備えている。
【0003】
可変容量型液圧回転機は、油圧ショベル等に搭載するために小型化(コンパクトに形成)する必要がある。そこで、可変容量型液圧回転機には、ケーシングの上側にレギュレータを取り付け、このレギュレータの上側に電磁弁を取り付ける構成としたものがある(特許文献1)。
【0004】
この特許文献1の可変容量型液圧回転機は、レギュレータの上側に電磁弁を配置し、かつ電磁弁を可変容量型液圧回転機の最上部に配置している。従って、可変容量型液圧回転機内のエアを抜くために設けられるエア抜きラインは、ケーシングからレギュレータ、電磁弁を通る構造となる。また、エア抜きラインは、電磁弁から排出されるドレンを作動油タンクに戻すのに使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-211682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、電磁弁は、パイロットポンプからの元圧をドレン室に排出させるときの開口量を調整することで、レギュレータに印加する動作圧の生成を行っている。このドレン室とエア抜きラインが圧力損失の発生し易い構造の場合には、目標となる動作圧を得るためにドレン室に排出されるドレン流量(圧力)が変動してしまい、安定した動作圧を得ることができない。
【0007】
これに対し、特許文献1は、エア抜きラインがケーシングからレギュレータ、電磁弁を通る長尺な構造であるために、圧力損失が発生し易くなっている。これにより、特許文献1の構造では、動作圧が安定せず、容量可変部の制御が不安定になる虞がある。また、エア抜きラインが長尺な場合には、エアが抜き難いために時間を要してしまうばかりか、エアが残存した場合には、制御が不安定になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、電磁弁からドレンを円滑に排出させることにより、動作圧を安定させて容量可変部を安定的に制御できるようにした可変容量型液圧回転機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、容量可変部を有する液圧回転機のケーシングと、前記ケーシングに設けられ、外部から給排される傾転制御圧に応じて前記容量可変部を傾転させる傾転アクチュエータと、前記ケーシングに取り付けられ、前記傾転アクチュエータに給排する傾転制御圧を可変に制御するレギュレータと、前記レギュレータを動作させるための動作圧を生成する電磁弁と、を備え、前記電磁弁は、前記レギュレータに取り付けられた弁ブロックと、前記弁ブロックに設けられたドレンポートと、前記弁ブロック内に変位可能に設けられた弁体と、前記弁ブロックに取り付けられ、前記弁体を変位させる電磁アクチュエータと、を備えた可変容量型液圧回転機において、前記レギュレータには、前記ケーシング内のケーシングドレン室と連通するレギュレータドレン室が設けられ、前記レギュレータの側面には、前記レギュレータドレン室に通じる開口部が設けられ、前記弁ブロックには、前記レギュレータの前記側面に取り付けられる取付面から突出して前記開口部に嵌合する突部が設けられ、前記ドレンポートは、前記開口部に前記突部が嵌合された状態で前記レギュレータドレン室内に露出するように前記突部に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、可変容量型液圧回転機は、電磁弁からドレンを円滑に排出させることができ、動作圧を安定させて容量可変部を安定的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る可変容量型アキシャルピストンポンプを示す断面図である。
図2】断面位置を変えて図1の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る可変容量型液圧回転機として、斜板式の可変容量型アキシャルピストンポンプを例に挙げ、図1および図2に従って詳細に説明する。
【0013】
図1において、可変容量型液圧回転機としての斜板式の可変容量型アキシャルピストンポンプ1(以下、ポンプ1という)は、後述のケーシング2、傾転アクチュエータ18、レギュレータ20、電磁弁22を含んで構成されている。
【0014】
ポンプ1の外殻を構成するケーシング2は、エンジン、電動モータ等の原動機(図示せず)に取り付けられる。ケーシング2は、後述のフロントケーシング3、リヤケーシング4、アクチュエータ取付部5を含んで構成されている。
【0015】
フロントケーシング3は、原動機側となる基端側の底部3Aと、底部3Aの周囲から原動機と反対側の先端側に向けて延びた筒部3Bと、によって有底筒状に形成されている。フロントケーシング3は、底部3Aが原動機に取り付けられている。フロントケーシング3の内部には、ケーシングドレン室6が形成されている。
【0016】
また、リヤケーシング4は、フロントケーシング3を閉塞するようにフロントケーシング3の先端側(原動機と反対側)に取り付けられている。リヤケーシング4には、吸込管路4A、吐出管路4B等が形成されている。
【0017】
アクチュエータ取付部5は、原動機に対する取付状態(図1に示す状態)でフロントケーシング3の筒部3Bの上側に設けられている。アクチュエータ取付部5は、筒部3Bの軸方向(後述する回転軸7の伸長方向)の中間部よりも先端側に配置されている。アクチュエータ取付部5は、例えば、箱型状に形成され、筒部3Bの軸方向の中間部に位置する基端側の端面は、垂直なレギュレータ取付面5Aとなっている。これにより、レギュレータ取付面5Aと原動機との間には、レギュレータ20と電磁弁22を配置するためのスペースが確保されている。
【0018】
図2に示すように、レギュレータ取付面5Aには、後述するケーシングドレン室6の最上部に連通する連通口5Bが開口している。この連通口5Bは、後述するレギュレータ20のレギュレータドレン室21Dに連通している。また、連通口5Bは、ケーシングドレン室6の最上部に連通しているから、ケーシングドレン室6内のエアをレギュレータドレン室21D側に排出することができる。
【0019】
ケーシングドレン室6は、ケーシング2内に設けられている。ケーシングドレン室6の下側部分には、シリンダブロック10、ピストン12、斜板15等が配置され、ケーシングドレン室6の上側位置には、傾転アクチュエータ18等が配置されている。ケーシングドレン室6は、シリンダ11等から溢れ出た作動油を貯留しつつ、余剰分の作動油をアクチュエータ取付部5の連通口5Bから排出する。
【0020】
回転軸7は、フロント軸受8、リヤ軸受9を介してフロントケーシング3、リヤケーシング4に回転可能に支持されている。回転軸7の基端側は、原動機の出力軸に接続されている。
【0021】
シリンダブロック10は、フロントケーシング3内のケーシングドレン室6の下側部分に設けられている。シリンダブロック10は、周方向に並んで複数のシリンダ11を有し、その中央に回転軸7がスプライン結合されている。シリンダブロック10の各シリンダ11には、ピストン12が摺動可能に挿入されている。シリンダブロック10とリヤケーシング4との間には、シリンダブロック10に摺接する弁板13が配置されている。この弁板13には、リヤケーシング4に形成された吸込管路4A、吐出管路4Bに、シリンダ11を連通させるための吸込ポート13A、吐出ポート13Bが形成されている。
【0022】
シリンダブロック10の原動機側の端面に対向するフロントケーシング3の底部3Aの内面には、クレードル14が固定されている。このクレードル14は、容量可変部としての斜板15を摺動可能に保持すると共に斜板15の傾転をガイドすることにより、斜板15をクレードル14に対して摺動しながら傾転させる。斜板15とピストン12との間には、カムプレート16とシュー17とが配置されている。これにより、斜板15の傾転がカムプレート16とシュー17を介してピストン12に伝達され、シリンダ11内におけるピストン12の可動範囲、すなわち押し退け容積が決まるようになっている。
【0023】
傾転アクチュエータ18は、フロントケーシング3内のケーシングドレン室6の上側部分に設けられたサーボピストンからなる。傾転アクチュエータ18は、外部から給排される傾転制御圧に応じて斜板15を傾転させる。傾転アクチュエータ18には、図示しない凹部にサーボプレート19が嵌合している。サーボプレート19には、斜板15から延びたアーム15Aが挿入されている。これにより、傾転アクチュエータ18は、その動作をアーム15A等により斜板15に伝達することで、斜板15の傾転角を調節することができる。
【0024】
レギュレータ20は、ケーシング2のフロントケーシング3に設けられたアクチュエータ取付部5に取り付けられている。レギュレータ20は、傾転アクチュエータ18に給排する傾転制御圧を可変に制御する。レギュレータ20は、後述のレギュレータケーシング21内に、スプール、フィードバックリンク等(いずれも図示せず)を備えている。
【0025】
レギュレータケーシング21は、アクチュエータ取付部5のレギュレータ取付面5Aに取り付けられている。レギュレータケーシング21は、段付きブロック体として形成されている。レギュレータケーシング21は、レギュレータ取付面5Aに当接する当接面21Aと、レギュレータ取付面5Aと反対側の側面21Bと、最上部の上端面21Cと、を有している。
【0026】
この上で、レギュレータケーシング21内には、当接面21Aに開口し、ケーシング2内のケーシングドレン室6と連通するレギュレータドレン室21Dが設けられている。また、レギュレータケーシング21の側面21Bには、レギュレータドレン室21Dに通じる開口部21Eが設けられている。さらに、レギュレータ20の上部となるレギュレータケーシング21の上部には、上端面21Cから下向きに延びてレギュレータドレン室21Dに連通するドレン配管ポート21Fが設けられている。
【0027】
レギュレータドレン室21Dは、ケーシングドレン室6の上部位置に連通している。レギュレータドレン室21Dは、ケーシングドレン室6側で大きな空間を有し、反対側となる開口部21E側で小さな空間となっている。また、ケーシングドレン室6の上面には、曲面(凹面)を有する天井面21D1を備え、この上面にドレン配管ポート21Fが開口する構成となっている。従って、後述の弁ブロック23に設けられたドレンポート24からドレン配管ポート21Fに向けて通路が拡大する構成となっている。これにより、ドレンポート24から排出される作動油に対する抵抗を小さく抑えることができるから、電磁弁22によるパイロット圧の制御を素早く的確に行うことができる。
【0028】
しかも、レギュレータドレン室21Dの天井面21D1は、ドレンポート24からドレン配管ポート21Fに向けて曲面をなして高くなるように形成されている。これにより、ドレンポート24から流出したエアは、天井面21D1に沿うことでドレン配管ポート21Fに向けて円滑に移動することができる。
【0029】
開口部21Eは、レギュレータ20のレギュレータケーシング21の上部に設けられた後述のドレン配管ポート21Fよりも下側に配置されている。開口部21Eは、側面21B側の小径部21E1と、レギュレータドレン室21D側の大径部21E2と、により形成されている。小径部21E1には、弁ブロック23の突部23Cが挿嵌される。また、大径部21E2は、弁ブロック23のドレンポート24の外周側に配置されている。これにより、ドレンポート24から大径部21E2を通じてレギュレータドレン室21D側に作動油を排出することができる。
【0030】
ドレン配管ポート21Fは、図示しない配管を介して作動油タンクに接続されている。これにより、ドレン配管ポート21Fは、ケーシングドレン室6、レギュレータドレン室21Dに排出されたドレン(作動油)を作動油タンクに戻すことができる。また、ドレン配管ポート21Fは、ドレンと一緒にエアを抜く(排出する)ことができる。
【0031】
電磁弁22は、レギュレータ20に取り付けられている。電磁弁22は、レギュレータ20を動作させるための動作圧を生成する。電磁弁22は、後述の弁ブロック23、ドレンポート24、弁体25、電磁アクチュエータ26を含んで構成されている。
【0032】
弁ブロック23は、レギュレータ20のレギュレータケーシング21に取り付けられている。弁ブロック23は、レギュレータケーシング21の側面21Bに取り付けられる取付面23Aと、取付面23Aと反対側の取付端面23Bと、取付面23Aから突出して開口部21Eに嵌合する突部23Cと、を備えている。また、弁ブロック23内には、回転軸7と平行をなすように延びた一端が取付端面23Bに開口し、他端が突部23Cに達した有底状の弁体収容穴23Dが設けられている。この弁体収容穴23Dには、後述の弁体25が変位可能に収容されている。さらに、弁ブロック23には、突部23Cに後述のドレンポート24が設けられている。
【0033】
弁ブロック23は、突部23Cをレギュレータケーシング21の開口部21Eの小径部21E1に嵌合し、側面21Bに取付面23Aを当接した状態でレギュレータケーシング21に取り付けられている。従って、突部23Cは、小径部21E1、大径部21E2を貫通してレギュレータドレン室21Dに達している。これにより、突部23Cに設けられた後述のドレンポート24は、大径部21E2との隙間を通じてレギュレータドレン室21Dに短い距離で連通することができる。
【0034】
ドレンポート24は、弁ブロック23の突部23Cに設けられている。これにより、ドレンポート24は、開口部21Eに突部23Cが嵌合された状態で、レギュレータドレン室21D内に露出される(レギュレータドレン室21D内に開放される)。詳しくは、ドレンポート24は、突部23Cの径方向に延びて設けられ、弁体収容穴23Dと突部23Cの外周面とを連通している。また、ドレンポート24は、その一部または全部が開口部21Eの小径部21E1を超えて大径部21E2に開口している。この上で、ドレンポート24は、突部23Cの上部に上向きに開口して設けられている。
【0035】
従って、ドレンポート24は、弁体収容穴23Dからのドレンをレギュレータドレン室21Dに円滑に排出することができる。また、上側に開口したドレンポート24は、ドレンに含まれたエアをレギュレータドレン室21Dに排出することができる。これにより、ドレンポート24は、ドレンの流れを円滑にして電磁弁22(弁体25)を円滑かつ正確に動作させることができる。また、エア抜き作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0036】
弁体25は、弁ブロック23内に変位可能に設けられている。弁体25は、段付き円柱状をなし、弁ブロック23の弁体収容穴23Dに収容されている。弁体25の一端は、電磁アクチュエータ26の動作部に連結されている。
【0037】
電磁アクチュエータ26は、弁ブロック23の取付端面23Bに取り付けられている。電磁アクチュエータ26は、弁体25を弁体収容穴23Dで変位させる動力源を構成している。
【0038】
ここで、ケーシング2のアクチュエータ取付部5、レギュレータ20(レギュレータケーシング21)、電磁弁22の弁ブロック23、電磁アクチュエータ26は、回転軸7の軸方向に直列に(重ねて)配置されている。
【0039】
本実施形態による可変容量型アキシャルピストンポンプ1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0040】
原動機によって回転軸7を回転駆動すると、シリンダブロック10が回転軸7と一体に回転する。シリンダブロック10の各シリンダ11に挿嵌されたピストン12には、シュー17がそれぞれ設けられており、各シュー17は、斜板15上を摺動する。これにより、各ピストン12は、シリンダ11内を上死点から下死点へと摺動変位する間にシリンダ11内に作動油を吸込む吸入行程と、下死点から上死点へと摺動変位する間にシリンダ11内の作動油を圧油として吐出する吐出行程とを繰返す。
【0041】
ポンプ1のポンプ容量(圧油の吐出量)を調整する場合には、電磁弁22によって傾転アクチュエータ18を動作させて斜板15の傾転角度を変更する。これにより、各ピストン12のストローク量が増大または減少し、ポンプ1のポンプ容量を可変に制御することができる。
【0042】
かくして、本実施形態によれば、レギュレータ20のレギュレータケーシング21には、レギュレータケーシング21内のケーシングドレン室6と連通するレギュレータドレン室21Dが設けられている。また、レギュレータケーシング21の側面21Bには、レギュレータドレン室21Dに通じる開口部21Eが設けられている。さらに、電磁弁22の弁ブロック23には、レギュレータケーシング21の側面21Bに取り付けられる取付面23Aから突出して開口部21Eに嵌合する突部23Cが設けられている。この上で、ドレンポート24は、開口部21Eに突部23Cが嵌合された状態でレギュレータドレン室21D内に露出するように突部23Cに設けられている。
【0043】
従って、電磁弁22のドレンポート24は、レギュレータドレン室21Dに短い距離で連通することができ、レギュレータドレン室21Dにドレンを円滑に(圧力損失を抑えつつ)排出させることができる。この結果、電磁弁22、レギュレータ20を動作させるための動作圧を安定させることができるから、容量可変部としての斜板15を安定的に制御得ることができる。また、ドレンポート24を通じて電磁弁22のエア抜き作業を容易に、かつ適切に(エアを残すことなく)行うことができる。
【0044】
レギュレータケーシング21の開口部21Eは、レギュレータケーシング21の上部に設けられたドレン配管ポート21Fよりも下側に配置され、レギュレータドレン室21Dは、ドレンポート24からドレン配管ポート21Fに向けて天井面21D1が高くなるように形成されている。これにより、ドレンポート24から流出したエアは、天井面21D1に沿うことでドレン配管ポート21Fに向けて円滑に移動することができるから、エアを短時間で残すことなく抜くことができ、エア抜き作業の作業性を向上することができる。
【0045】
レギュレータドレン室21Dは、ケーシングドレン室6の上部位置に連通している。そして、ドレンポート24は、エア抜きポートを構成する。ドレンポート24をエア抜きポートとして利用することで、電磁弁22のエア抜き作業を短時間かつ正確に行うことができる。
【0046】
さらに、ドレンポート24は、弁ブロック23の突部23Cの上部に上向きに開口して設けられている。これにより、ドレンポート24は、軽いエアの浮力を利用して速やかに排出することができる。
【0047】
なお、実施形態では、可変容量型液圧回転機として斜板式の可変容量型アキシャルピストンポンプ1に適用した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、斜板式の可変容量型アキシャルピストンモータ、斜軸式の可変容量型アキシャルピストンポンプまたはモータ等に適用してもよいものである。
【符号の説明】
【0048】
1 可変容量型アキシャルピストンポンプ(可変容量型液圧回転機)
2 ケーシング
5 アクチュエータ取付部
6 ケーシングドレン室
15 斜板(容量可変部)
20 レギュレータ
21 レギュレータケーシング
21B 側面
21C 上端面
21D レギュレータドレン室
21D1 天井面
21E 開口部
21F ドレン配管ポート
22 電磁弁
23 弁ブロック
23A 取付面
23C 突部
24 ドレンポート
25 弁体
26 電磁アクチュエータ
図1
図2