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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120141
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】アンテナデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/10 20060101AFI20240828BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240828BHJP
   H01P 5/12 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q21/06
H01P5/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026805
(22)【出願日】2023-02-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 政彦
(72)【発明者】
【氏名】城崎 俊文
(72)【発明者】
【氏名】嘉藤 貴博
(72)【発明者】
【氏名】大藪 弘和
(72)【発明者】
【氏名】高畑 利彦
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA04
5J021AB05
5J021CA02
5J021JA07
5J045AB05
5J045DA03
5J045EA08
5J045HA01
5J045LA04
5J045MA07
(57)【要約】
【課題】複数のアンテナ放射素子のそれぞれと外部ポートとの間で電波が伝搬する構造を備えたアンテナデバイスの体格の拡大を抑える。
【解決手段】第2積層部12の中間通路12dは、積層方向Dsの一方側に設けられた一端12eと、積層方向Dsの他方側に設けられた他端12fとを有している。導波管路20は、管路軸方向Daに延伸し、第1積層部11の外部ポート11dと中間通路12dの他端12fとにそれぞれ連結し、その外部ポート11dと中間通路12dとの間で電波を伝搬する。そして、第3積層部13の複数のアンテナ放射素子13dは、中間通路12dの一端12eにそれぞれ連結されている。これにより、積層方向Dsに垂直な方向への第1~3積層部11、12、13の体格拡大が抑えられ、その結果、アンテナデバイス10全体として体格拡大を抑えることが可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を伝搬するアンテナデバイス(10)であって、
樹脂製の第1樹脂材(11a)と導電性を有し前記第1樹脂材の表面を覆う第1被膜(11b)とを有し、前記電波の送信と受信との少なくとも一方を行う外部機器(70、72)との間で前記電波が伝搬するように設けられる外部ポート(11d)が形成された第1積層部(11)と、
前記第1積層部に対し積層方向(Ds)の一方側に積層され、樹脂製の第2樹脂材(12a)と導電性を有し前記第1被膜に対し電気的に接続され前記第2樹脂材の表面を覆う第2被膜(12b)とを有し、前記電波を伝搬する中間通路(12d)が形成された第2積層部(12)と、
前記第2積層部に対し前記積層方向の前記一方側に積層され、前記積層方向の前記一方側で外部空間(76)に面し、樹脂製の第3樹脂材(13a)と導電性を有し前記第2被膜に対し電気的に接続され前記第3樹脂材の表面を覆う第3被膜(13b)とを有し、前記外部空間との間で前記電波が伝搬するように前記外部空間に対しそれぞれつながる複数のアンテナ放射素子(13d)が形成された第3積層部(13)とを備え、
前記中間通路は、前記積層方向の前記一方側に設けられた一端(12e)と、前記積層方向の前記一方側とは反対側の他方側に設けられた他端(12f)とを有し
前記第1積層部と前記第2積層部は互いに積層されることにより、前記第1積層部と前記第2積層部とが面する導波管路(20)を形成し、
前記導波管路は、前記積層方向に交差する管路軸方向(Da)に延伸し、前記外部ポートと前記中間通路の前記他端とにそれぞれ連結し、前記外部ポートと前記中間通路との間で前記電波を伝搬し、
前記複数のアンテナ放射素子は、前記中間通路の前記一端にそれぞれ連結されている、アンテナデバイス。
【請求項2】
前記第2積層部と前記第3積層部は互いに積層されることにより、前記第2積層部と前記第3積層部とが面する分岐部(22)を形成し、
前記分岐部は、前記複数のアンテナ放射素子のそれぞれと前記中間通路との間に設けられると共に前記複数のアンテナ放射素子と前記中間通路とのそれぞれに連結し、前記複数のアンテナ放射素子のそれぞれと前記中間通路との間で前記電波を伝搬し、前記積層方向と前記管路軸方向とに垂直な幅方向(Dw)に前記導波管路よりも大きく形成され、
前記複数のアンテナ放射素子は前記幅方向に並んで配置されている、請求項1に記載のアンテナデバイス。
【請求項3】
前記分岐部は、前記第2積層部に対し前記積層方向に食い込むように形成され、前記第3積層部に対しては前記積層方向に食い込んでいない、請求項2に記載のアンテナデバイス。
【請求項4】
前記分岐部は、前記第2積層部と前記第3積層部とのそれぞれに対し前記積層方向に食い込むように形成されている、請求項2に記載のアンテナデバイス。
【請求項5】
前記導波管路は、前記第1積層部に対し前記積層方向に食い込むように形成され、前記第2積層部に対しては前記積層方向に食い込んでいない、請求項1に記載のアンテナデバイス。
【請求項6】
前記第1積層部と前記第2積層部と前記第3積層部はそれぞれ複数ずつ設けられ、
複数の前記第1積層部は、前記積層方向を法線方向とした板状を成す板状体(31)を構成し、
複数の前記第1積層部と複数の前記第2積層部は複数の前記導波管路を形成し、
複数の前記導波管路は、前記板状体に形成された1つの前記外部ポートに集合して連結している、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のアンテナデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を伝搬するアンテナデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のアンテナデバイスとして、例えば特許文献1に記載された導波管アンテナが従来から知られている。この特許文献1に記載された導波管アンテナは、第1の部分と、その第1の部分に対し下側に積層された第2の部分とを備えている。この第1の部分と第2の部分はそれぞれ、ポリマーとそのポリマーの表面上に設けられた金属とから構成されている。
【0003】
第1の部分には、その第1の部分の上面側に位置する複数の放射要素が設けられ、第2の部分には、その第2の部分の底面側に位置するポートが設けられている。また、特許文献1の導波管アンテナは、ポートから電波を複数の放射要素へそれぞれ分けるスプリット構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10224617号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の上記スプリット構造は、ポートから延伸する導波管路から、第1の部分と第2の部分とが積層される上下方向(すなわち、XYZ直交座標系におけるZ方向)に垂直な横方向(すなわち、XYZ直交座標系におけるXY方向)に展開されている。そのため、特許文献1の導波管アンテナでは、放射要素を複数設けることに起因して、導波管アンテナの体格拡大を招いていた。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、複数の放射要素(言い換えると、複数のアンテナ放射素子)のそれぞれとポート(言い換えると、外部ポート)との間で電波が伝搬する構造を備えたアンテナデバイスの体格の拡大を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載のアンテナデバイスは、
電波を伝搬するアンテナデバイス(10)であって、
樹脂製の第1樹脂材(11a)と導電性を有し第1樹脂材の表面を覆う第1被膜(11b)とを有し、電波の送信と受信との少なくとも一方を行う外部機器(70、72)との間で電波が伝搬するように設けられる外部ポート(11d)が形成された第1積層部(11)と、
第1積層部に対し積層方向(Ds)の一方側に積層され、樹脂製の第2樹脂材(12a)と導電性を有し第1被膜に対し電気的に接続され第2樹脂材の表面を覆う第2被膜(12b)とを有し、電波を伝搬する中間通路(12d)が形成された第2積層部(12)と、
第2積層部に対し積層方向の一方側に積層され、積層方向の一方側で外部空間(76)に面し、樹脂製の第3樹脂材(13a)と導電性を有し第2被膜に対し電気的に接続され第3樹脂材の表面を覆う第3被膜(13b)とを有し、外部空間との間で電波が伝搬するように外部空間に対しそれぞれつながる複数のアンテナ放射素子(13d)が形成された第3積層部(13)とを備え、
中間通路は、積層方向の一方側に設けられた一端(12e)と、積層方向の一方側とは反対側の他方側に設けられた他端(12f)とを有し
第1積層部と第2積層部は互いに積層されることにより、第1積層部と第2積層部とが面する導波管路(20)を形成し、
導波管路は、積層方向に交差する管路軸方向(Da)に延伸し、外部ポートと中間通路の他端とにそれぞれ連結し、外部ポートと中間通路との間で電波を伝搬し、
複数のアンテナ放射素子は、中間通路の一端にそれぞれ連結されている。
【0008】
このようにすれば、外部ポートと複数のアンテナ放射素子との間で電波が伝搬する伝搬経路は、中間通路よりも積層方向の一方側で分岐することになる。すなわち、その伝搬経路は、積層方向における導波管路と複数のアンテナ放射素子との間の位置で分岐することになる。従って、特許文献1の構造が採用される場合に比して、積層方向に垂直な方向(すなわち、XYZ直交座標系におけるXY方向)への第1~3積層部の体格拡大が抑えられ、その結果、アンテナデバイス全体として体格拡大を抑えることが可能である。
【0009】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の単なる一例を示すものであるにすぎない。よって、本発明は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態におけるアンテナデバイスの概略構成を模式的に示した断面図である。
図2】第1実施形態において、図1のII部分を抜粋して模式的に示した断面図である。
図3】第1実施形態において、図2のIII部分を抜粋して模式的に示した斜視図である。
図4】第1実施形態のアンテナデバイスうち図3に示された部分を分解して模式的に示した斜視図である。
図5】第1実施形態において、図2のV-V断面を示した断面図である。
図6】第2実施形態におけるアンテナデバイスの概略構成を模式的に示した断面図であって、図1に相当する図である。
図7】第3実施形態におけるアンテナデバイスの概略構成を模式的に示した断面図であって、図1に相当する図である。
図8】第4実施形態におけるアンテナデバイスの概略構成を模式的に示した断面図であって、図1に相当する図である。
図9】第5実施形態におけるアンテナデバイスの概略構成を模式的に示した断面図であって、図1に相当する図である。
図10】第6実施形態におけるアンテナデバイスの概略構成を模式的に示した断面図であって、図1に相当する図である。
図11】第6実施形態のアンテナデバイスうち図10のXI部分を分解して模式的に示した斜視図であって、図4に相当する図である。
図12】第7実施形態において、アンテナデバイスを積層方向の一方側から見た平面図である。
図13】第7実施形態において、図12のXIII-XIII断面を示した断面図であって、図5に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0012】
(第1実施形態)
図1図2に示すように、本実施形態のアンテナデバイス10は、電気基板70に実装された電気部品であるMMIC72が送受信する電波を伝えるアンテナである。そのMMIC72が送受信する電波は、本実施形態ではミリ波またはサブミリ波であるが、ミリ波またはサブミリ波以外の電波であってもよい。なお、MMICとは、「Monolithic Microwave Integrated Circuit」の略であり、言い換えれば、モノリシックマイクロ波集積回路である。
【0013】
電気基板70は、銅箔などの金属によって複数の配線パターンが形成されたプリント基板である。電気基板70は、その電気基板70の厚み方向の一方側に形成された一面701と、電気基板70の厚み方向の他方側に形成された他面702とを有している。
【0014】
MMIC72は、電気基板70の一面701上に半田付けされ実装されている。MMIC72は、アンテナデバイス10の外部に設けられた外部機器であり、電波の送信および受信を行う。MMIC72は、電波を送受信する入出力部721を有している。
【0015】
電気基板70の一面701上には、MMIC72のほかに、複数のスペーサ74が配置されている。例えば、その複数のスペーサ74は導電性を有し、電気基板70に対して固定されている。
【0016】
図1図4に示すように、アンテナデバイス10は、積層方向Dsに積層された3つの積層部11、12、13を有する積層構造を備えている。その3つの積層部11、12、13とは、具体的には、第1積層部11と第2積層部12と第3積層部13である。そして、第2積層部12は第1積層部11に対し積層方向Dsの一方側に積層され、第3積層部13は第2積層部12に対し積層方向Dsの一方側に積層されている。第1積層部11と第2積層部12と第3積層部13は、ネジ止めまたは接着等によって互いに結合されている。
【0017】
図1図2に示すように、アンテナデバイス10は、電気基板70に対しMMIC72と複数のスペーサ74とを挟んで積層方向Dsの一方側に配置されている。すなわち、MMIC72と複数のスペーサ74とに対し、アンテナデバイス10は積層方向Dsの一方側に配置され、電気基板70は積層方向Dsの一方側とは反対側の他方側に配置されている。また、アンテナデバイス10は、MMIC72と複数のスペーサ74とに対し積層方向Dsの一方側から接触している。例えば、アンテナデバイス10は、電気基板70との間にMMIC72と複数のスペーサ74とを挟んだ状態で、ネジ止めや接着等によって電気基板70に固定されている。
【0018】
なお、本実施形態の説明では、図1図2図5に示すように、積層方向Dsに垂直な一方向を第1方向D1と称し、その第1方向D1と積層方向Dsとに垂直な方向を第2方向D2と称することとする。また、本実施形態において、上記した電気基板70の厚み方向は積層方向Dsと同じ方向であり、その厚み方向の一方側は積層方向Dsの一方側でもあり、その厚み方向の他方側は積層方向Dsの他方側でもある。また、図2は、図5のII-II断面を示している。
【0019】
また、第1積層部11は、樹脂製の第1樹脂材11aと、その第1樹脂材11aの表面を覆う第1被膜11bとから構成されている。これと同様に、第2積層部12は、樹脂製の第2樹脂材12aと、その第2樹脂材12aの表面を覆う第2被膜12bとから構成されている。そして、第3積層部13は、樹脂製の第3樹脂材13aと、その第3樹脂材13aの表面を覆う第3被膜13bとから構成されている。
【0020】
これら第1~第3被膜11b、12b、13bは何れも、メッキ処理によって形成された金属膜である。従って、第1被膜11bは第1樹脂材11aの表面全体を覆い、第2被膜12bは第2樹脂材12aの表面全体を覆い、第3被膜13bは第3樹脂材13aの表面全体を覆っている。そして、第1~第3被膜11b、12b、13bは、導電性を有する導電性被膜となっている。なお、図1では、見やすい図示とするために、第1~第3被膜11b、12b、13bの図示が省略されており、このことは、図1に相当する後述の図でも同様である。
【0021】
第1積層部11は、積層方向Dsの一方側に形成された第1一方面111と、積層方向Dsの他方側に形成された第1他方面112とを有している。また、第2積層部12は、積層方向Dsの一方側に形成された第2一方面121と、積層方向Dsの他方側に形成された第2他方面122とを有している。また、第3積層部13は、積層方向Dsの一方側に形成された第3一方面131と、積層方向Dsの他方側に形成された第3他方面132とを有している。これら第1一方面111、第1他方面112、第2一方面121、第2他方面122、第3一方面131、および第3他方面132はそれぞれ、第1方向D1および第2方向D2に拡がる平面状となっている。
【0022】
第1一方面111と第2他方面122は互いに対向して接触しており、この互いの接触により、第2被膜12bは第1被膜11bに対し電気的に接続されている。第2一方面121と第3他方面132は互いに対向して接触しており、この互いの接触により、第3被膜13bは、第2被膜12bに対し電気的に接続されている。
【0023】
第1他方面112はMMIC72と複数のスペーサ74とを挟んで電気基板70の一面701に対向しており、複数のスペーサ74にそれぞれ接触している。そして、第1被膜11bは第1他方面112にも及んでいるので、第1被膜11bは、複数のスペーサ74のうちの少なくとも何れかを介して、電気基板70に形成された配線パターンに含まれるグランドパターンに電気的に接続されている。これにより、第1被膜11bだけでなく、第2被膜12bと第3被膜13bも電気基板70のグランドパターンに電気的に接続されている。その電気基板70のグランドパターンは接地電位とされている。
【0024】
第3一方面131は、積層方向Dsの一方側を向いて、アンテナデバイス10周りの外部空間76に面している。すなわち、第3積層部13は、その第3積層部13に対する積層方向Dsの一方側で外部空間76に面している。
【0025】
図1図2に示すように、第1積層部11には、MMIC72との間で電波が伝搬するように設けられる外部ポート11dが形成されている。詳細には、この外部ポート11dは、積層方向Dsの他方側を向いて第1他方面112に開口した孔として形成され、その外部ポート11dである孔の内壁面の全体にわたって第1被膜11bが設けられている。外部ポート11dはMMIC72の入出力部721に対向するように配置されており、この配置によって、外部ポート11dとMMIC72との間で電波が伝搬可能となっている。
【0026】
図1図2図5に示すように、第2積層部12には、電波を伝搬する中間通路12dが形成されている。詳細には、この中間通路12dは、積層方向Dsを向いた孔として形成され、その中間通路12dである孔の内壁面の全体にわたって第2被膜12bが設けられている。そして、中間通路12dは、積層方向Dsの一方側に設けられた一端12eと、積層方向Dsの他方側に設けられた他端12fとを有している。
【0027】
第3積層部13には、外部空間76との間で電波が伝搬するように外部空間76に対しそれぞれつながる複数のアンテナ放射素子13dが形成されている。その複数のアンテナ放射素子13dは、第1方向D1に相互間隔をあけて並んで配置され、第2方向D2にも相互間隔をあけて並んで配置されている。
【0028】
詳細には、複数のアンテナ放射素子13dはそれぞれ、積層方向Dsの一方側を向いて第3一方面131に開口した孔として形成されている。すなわち、複数のアンテナ放射素子13dはそれぞれ外部空間76に対して開放されている。そして、アンテナ放射素子13dである孔の内壁面の全体にわたって第3被膜13bが設けられている。このようなアンテナ放射素子13dの構成により、複数のアンテナ放射素子13dのそれぞれと外部空間76との間で電波が伝搬可能となっている。
【0029】
第1積層部11と第2積層部12は互いに積層されることにより、第1積層部11と第2積層部12とが面する導波管路20を形成している。別言すると、導波管路20は、第1積層部11と第2積層部12との間に形成されている。詳細には、導波管路20は空洞として形成され、管路軸方向Daに延伸している。その管路軸方向Daは積層方向Dsに交差する方向、厳密に言えばその積層方向Dsに垂直な方向であり、本実施形態では第1方向D1に一致する。
【0030】
管路軸方向Daに垂直な平面で導波管路20を切断して得られる断面(すなわち、導波管路20の横断面)の形状は、積層方向Dsに延びた矩形形状となっている。また、導波管路20の内壁面の全体にわたって、第1被膜11bまたは第2被膜12bが設けられている。
【0031】
また、導波管路20は、管路軸方向Daの一方側に設けられた一端部20aと、管路軸方向Daの他方側に設けられた他端部20bとを有している。導波管路20は、その一端部20aにて外部ポート11dに連結し、他端部20bにて中間通路12dの他端12fに連結している。このように連結されているので、導波管路20は、外部ポート11dと中間通路12dとの間で電波を伝搬する。導波管路20に連結した外部ポート11dは、導波管路20から積層方向Dsの他方側へ第1積層部11を貫通した貫通孔となっている。
【0032】
導波管路20は、上記したように第1積層部11と第2積層部12との間に形成されているが、詳細には、第1積層部11と第2積層部12とのそれぞれに対し積層方向Dsに食い込むように形成されている。すなわち、導波管路20は、第1一方面111から積層方向Dsの他方側へ凹むように第1積層部11に形成された溝と、第2他方面122から積層方向Dsの一方側へ凹むように第2積層部12に形成された溝とが結合して形成されている。従って、導波管路20は、第1積層部11と第2積層部12との継目10aに対する積層方向Dsの一方側と他方側とのそれぞれへ及んでいる。
【0033】
第2積層部12と第3積層部13は互いに積層されることにより、第2積層部12と第3積層部13とが面する分岐部22を形成している。別言すると、分岐部22は、第2積層部12と第3積層部13との間に形成されている。詳細には、分岐部22は空洞として形成され、第1方向D1と第2方向D2とへ拡がっている。そして、分岐部22の内壁面の全体にわたって、第2被膜12bまたは第3被膜13bが設けられている。
【0034】
また、分岐部22は、積層方向Dsで複数のアンテナ放射素子13dのそれぞれと中間通路12dとの間に設けられ、複数のアンテナ放射素子13dと中間通路12dの一端12eとのそれぞれに連結している。すなわち、分岐部22には、複数のアンテナ放射素子13dがそれぞれ積層方向Dsの一方側から連結し、且つ、中間通路12dが積層方向Dsの他方側から連結している。更に言い換えると、複数のアンテナ放射素子13dは、分岐部22を介して中間通路12dの一端12eにそれぞれ連結されている。このように連結されているので、分岐部22は、複数のアンテナ放射素子13dのそれぞれと中間通路12dとの間で電波を伝搬する。
【0035】
そして、複数のアンテナ放射素子13dはそれぞれ、分岐部22から積層方向Dsの一方側へ第3積層部13を貫通した貫通孔となっている。また、中間通路12dは、分岐部22と導波管路20との間で第2積層部12を貫通した貫通孔となっている。
【0036】
図5に示すように、分岐部22は、導波管路20の幅方向Dwに導波管路20よりも大きく形成されている。すなわち、分岐部22は、導波管路20と中間通路12dとに対し幅方向Dwの一方側と他方側とのそれぞれへ拡がるように形成されている。なお、導波管路20の幅方向Dwは積層方向Dsと管路軸方向Daとに垂直な方向であり、本実施形態では第2方向D2に一致する。また、本実施形態の説明では、導波管路20の幅方向Dwは管路幅方向Dwとも称される。
【0037】
また、図2図5に示すように、分岐部22は、上記したように第2積層部12と第3積層部13との間に形成されているが、詳細には、第2積層部12と第3積層部13とのそれぞれに対し積層方向Dsに食い込むように形成されている。すなわち、分岐部22は、第2一方面121から積層方向Dsの他方側へ凹むように第2積層部12に形成された窪みと、第3他方面132から積層方向Dsの一方側へ凹むように第3積層部13に形成された窪みとが結合して形成されている。従って、分岐部22は、第2積層部12と第3積層部13との継目10bに対する積層方向Dsの一方側と他方側とのそれぞれへ及んでいる。
【0038】
上記のように構成されたアンテナデバイス10では、例えばMMIC72の入出力部721から電波が出力されると、その電波は外部ポート11dへ入力される。その外部ポート11dへ入力された電波は、図2の矢印A1、A2のように、外部ポート11dから、導波管路20、中間通路12dの順に通って分岐部22へ到達する。そして、分岐部22へ到達した電波は、分岐部22で複数のアンテナ放射素子13dへ向けて分かれ、矢印A3、A4のように複数のアンテナ放射素子13dから外部空間76へ放射される。
【0039】
なお、MMIC72の入出力部721が外部空間76から電波を受信する場合には、アンテナデバイス10は、上記した入出力部721から電波が出力される場合とは逆向きに電波を伝搬する。
【0040】
上述したように、本実施形態によれば、第2積層部12の中間通路12dは、積層方向Dsの一方側に設けられた一端12eと、積層方向Dsの他方側に設けられた他端12fとを有している。導波管路20は、積層方向Dsに交差する管路軸方向Daに延伸し、第1積層部11の外部ポート11dと中間通路12dの他端12fとにそれぞれ連結し、その外部ポート11dと中間通路12dとの間で電波を伝搬する。そして、第3積層部13の複数のアンテナ放射素子13dは、中間通路12dの一端12eにそれぞれ連結されている。
【0041】
これにより、外部ポート11dと複数のアンテナ放射素子13dとの間で電波が伝搬する伝搬経路は、中間通路12dよりも積層方向Dsの一方側で分岐することになる。すなわち、その伝搬経路は、積層方向Dsにおける導波管路20と複数のアンテナ放射素子13dとの間の位置で分岐することになる。従って、特許文献1の構造が採用される場合に比して、管路軸方向Daおよび管路幅方向Dwへの第1~3積層部11、12、13の体格拡大が抑えられ、その結果、アンテナデバイス10全体として体格拡大を抑えることが可能である。
【0042】
(1)また、本実施形態によれば、分岐部22は、複数のアンテナ放射素子13dのそれぞれと中間通路12dとの間に設けられ、複数のアンテナ放射素子13dのそれぞれと中間通路12dとの間で電波を伝搬する。そして、分岐部22は、管路幅方向Dwに導波管路20よりも大きく形成されている。
【0043】
これにより、複数のアンテナ放射素子13dを管路幅方向Dwに並べて配置することができるので、その分、管路軸方向Daへのアンテナデバイス10の体格拡大を抑えつつ、多くのアンテナ放射素子13dを設けることが可能である。そして、アンテナ放射素子13dが多くなるほど、アンテナデバイス10の利得が高くなる。
【0044】
(2)また、本実施形態によれば、分岐部22は、第2積層部12と第3積層部13とのそれぞれに対し積層方向Dsに食い込むように形成されている。従って、第3積層部13に分岐部22が食い込んでいる分、積層方向Dsの第3積層部13の厚みを稼ぐことができるので、例えば第3積層部13の曲げ剛性を高めることができる。そして、第2積層部12についても同様に、例えば第2積層部12の曲げ剛性を高めることができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
【0046】
図6に示すように、本実施形態では、スペーサ74(図1参照)が設けられておらず、アンテナデバイス10は、第1積層部11が電気基板70の一面701に接触するように配置されている。そして、MMIC72は、電気基板70の一面701上ではなく、電気基板70の他面702上に半田付けされ実装されている。なお、本実施形態ではスペーサ74が設けられていないが、第1実施形態と同様に、第1積層部11の第1被膜11b(図2参照)は電気基板70のグランドパターンに電気的に接続されている。
【0047】
また、電気基板70のうちMMIC72の入出力部721に一致する位置には、積層方向Dsに電気基板70を貫通した基板貫通孔70aが形成されている。第1積層部11の外部ポート11dは、MMIC72の入出力部721との間に基板貫通孔70aを挟んでその入出力部721に対向するように配置されている。この配置によって、外部ポート11dとMMIC72との間で電波が伝搬可能となっている。
【0048】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0050】
図7に示すように、本実施形態では、MMIC72は入出力部721(図1参照)を有していない。その替わりに、電気基板70が、接続配線703と入出力部704とを有している。この接続配線703と入出力部704は何れも、電気基板70の一面701に形成された金属(例えば銅箔)製の配線パターンで構成されている。
【0051】
接続配線703は、MMIC72から電気基板70の一面701に沿って導出されるように形成されている。接続配線703は、MMIC72の端子に半田付けによって接続されると共に、接続配線703の先端にて入出力部704へ接続されている。これにより、入出力部704は、接続配線703を介してMMIC72に対し電気的に接続されている。
【0052】
電気基板70の入出力部704は、アンテナデバイス10の外部ポート11dに対して電波を送受信する。要するに、この電気基板70の入出力部704は、アンテナデバイス10の外部ポート11dに対して、第1実施形態のMMIC72の入出力部721(図1参照)と同様に機能する。例えば、入出力部704は、電波を送信する場合には、MMIC72からの電気信号を電波に変換しその電波を外部ポート11dへ出力する。また、入出力部704は、電波を受信する場合には、外部ポート11dから受けた電波を電気信号に変換しその電気信号をMMIC72へ送る。このように、電気基板70の入出力部704は、電気信号と電波との一方を他方に変換する変換部として機能する。
【0053】
本実施形態の外部ポート11dは電気基板70の入出力部704に対向するように配置されており、この配置によって、外部ポート11dと入出力部704との間で電波が伝搬可能となっている。従って、アンテナデバイス10の外部ポート11dとの間で電波が伝搬するように設けられる外部機器は、本実施形態では電気基板70およびMMIC72である。
【0054】
なお、本実施形態では、第1実施形態と比較してアンテナデバイス10を電気基板70に対し積層方向Dsに近づけて配置するため、第1積層部11には、第1他方面112から積層方向Dsの一方側へ窪んだ凹部113が形成されている。この凹部113には、MMIC72が部分的に入り込んでいる。
【0055】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0056】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第3実施形態と異なる点を主として説明する。
【0057】
図8に示すように、MMIC72は、電気基板70の一面701上ではなく、電気基板70の他面702上に半田付けされ実装されている。そのため、第1積層部11に凹部113(図7参照)は形成されていない。
【0058】
また、電気基板70において、入出力部704は第3実施形態と同様に電気基板70の一面701に形成されているが、接続配線703は、一面701にではなく他面702に形成されている。
【0059】
そして、電気基板70は、電気基板70を貫通して接続配線703と入出力部704とを電気的に接続するスルーホール705を有している。接続配線703は、MMIC72の端子に半田付けによって接続されると共に、接続配線703の先端にてスルーホール705を介して入出力部704へ接続されている。これにより、入出力部704は、スルーホール705と接続配線703とを介してMMIC72に対し電気的に接続されている。
【0060】
以上説明したことを除き、本実施形態は第3実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第3実施形態と共通の構成から奏される効果を第3実施形態と同様に得ることができる。
【0061】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
【0062】
図9に示すように、本実施形態では、スペーサ74(図8参照)が設けられておらず、アンテナデバイス10は、第1積層部11が電気基板70の一面701に接触するように配置されている。なお、本実施形態ではスペーサ74が設けられていないが、第4実施形態と同様に、第1積層部11の第1被膜11b(図2参照)は電気基板70のグランドパターンに電気的に接続されている。
【0063】
以上説明したことを除き、本実施形態は第4実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
【0064】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0065】
図10図11に示すように、本実施形態の導波管路20は、第1実施形態と同様に第1積層部11と第2積層部12との間に形成されている。但し、第1実施形態とは異なり本実施形態では、導波管路20は、第1積層部11に対し積層方向Dsに食い込むように形成されているが、第2積層部12に対しては積層方向Dsに食い込んでいない。
【0066】
すなわち、導波管路20は、第1一方面111から積層方向Dsの他方側へ凹むように第1積層部11に形成された溝と、第2他方面122のうちその溝に面する平面状の蓋部分とが結合して形成されている。従って、導波管路20は、第1積層部11と第2積層部12との継目10aよりも積層方向Dsの一方側には形成されず、その継目10aから積層方向Dsの他方側へ及んでいる。
【0067】
本実施形態の分岐部22は、第1実施形態と同様に第2積層部12と第3積層部13との間に形成されている。但し、第1実施形態とは異なり本実施形態では、分岐部22は、第2積層部12に対し積層方向Dsに食い込むように形成されているが、第3積層部13に対しては積層方向Dsに食い込んでいない。
【0068】
すなわち、分岐部22は、第2一方面121から積層方向Dsの他方側へ凹むように第2積層部12に形成された窪みと、第3他方面132のうちその窪みに面する平面状の蓋部分とが結合して形成されている。従って、分岐部22は、第2積層部12と第3積層部13との継目10bよりも積層方向Dsの一方側には形成されず、その継目10bから積層方向Dsの他方側へ及んでいる。
【0069】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0070】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第5実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0071】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0072】
図12図13に示すように、本実施形態のアンテナデバイス10は、第1実施形態のアンテナデバイス10がアレイ化された構成となっている。従って、本実施形態では、アンテナデバイス10は、複数の第1積層部11と複数の第2積層部12と複数の第3積層部13とを備えている。その第1積層部11の数と、第2積層部12の数と、第3積層部13の数は同一であり、本実施形態では何れも5つである。なお、図12のIIa-IIa断面のおけるアンテナデバイス10の構造は、図2に示された構造と同様である。また、図12のXIII-XIII断面線は、厳密に言えば中間通路12dを通らないが、図13では、理解を容易にするために、敢えて中間通路12dが断面図示されている。
【0073】
具体的に、本実施形態のアンテナデバイス10は、積層方向Dsを法線方向とした板状を成す3つの板状体31、32、33を備えている。その3つの板状体31、32、33とは、第1板状体31と第2板状体32と第3板状体33である。そして、第1板状体31は複数の第1積層部11を含んで構成され、第2板状体32は複数の第2積層部12を含んで構成され、第3板状体33は複数の第3積層部13を含んで構成されている。従って、第2板状体32は第1板状体31に対し積層方向Dsの一方側に積層され、第3板状体33は第2板状体32に対し積層方向Dsの一方側に積層されている。
【0074】
そして、第1板状体31が有する複数の第1積層部11と第2板状体32が有する複数の第2積層部12は、第1積層部11と第2積層部12との間に複数の導波管路20を形成している。また、第2板状体32が有する複数の第2積層部12と第3板状体33が有する複数の第3積層部13は、第2積層部12と第3積層部13との間に複数の分岐部22を形成している。例えば、その導波管路20の数は、第1積層部11の数、第2積層部12の数、および第3積層部13の数と同じであり、分岐部22の数も、第1積層部11の数、第2積層部12の数、および第3積層部13の数と同じである。
【0075】
但し、本実施形態において外部ポート11dは集約されており、例えば第1板状体31に形成された外部ポート11dは1つである。そのため、複数の導波管路20は、第1板状体31に形成された1つの外部ポート11dに集合して連結している。別言すると、その1つの外部ポート11dは、複数の導波管路20の一端部20a(図2参照)のそれぞれに連結している。
【0076】
(1)上述したように、本実施形態によれば、第1積層部11と第2積層部12と第3積層部13はそれぞれ複数ずつ設けられ、複数の導波管路20は、第1板状体31に形成された1つの外部ポート11dに集合して連結している。従って、第1積層部11と第2積層部12と第3積層部13とがそれぞれ1つずつである場合と比較して、MMIC72の入出力部721を多数のアンテナ放射素子13dへ連結できるので、アンテナデバイス10の利得を高めることが可能である。
【0077】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0078】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第6実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0079】
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では、図2に示すように、第1~第3被膜11b、12b、13bは何れも、メッキ処理によって形成された金属膜であるが、これは一例である。例えば、第1~第3被膜11b、12b、13bは、スパッタリングや導電性塗料の塗布などによって形成され導電性を有する導電性被膜であっても差し支えない。
【0080】
(2)上述の各実施形態では、図2図5に示すように、第1被膜11bは第1樹脂材11aの表面全体を覆っているが、その第1樹脂材11aの表面全体のうちの一部分に第1被膜11bが設けられていないことも想定することができる。例えば、第1被膜11bは、第1樹脂材11aの表面全体のうち、アンテナデバイス10をアンテナとして機能させるために必要とされない箇所には設けられていなくても差し支えない。このことは、第2被膜12bと第3被膜13bについても同様である。
【0081】
(3)上述の各実施形態において、例えば図1に示すMMIC72は電波の送信および受信を行うが、これは一例である。そのMMIC72は電波の送信と受信との一方だけを行い他方を行わないものであっても差し支えない。
【0082】
(4)上述の各実施形態では、図4に示すように、複数のアンテナ放射素子13dはそれぞれ、積層方向Dsに沿う方向視で矩形状の断面形状を有するが、そのアンテナ放射素子13dの断面形状は、円形など、矩形状以外の形状であっても差し支えない。
【0083】
(5)上述の各実施形態では、例えば図3に示すように、アンテナ放射素子13dは第3積層部13に例えば4つ設けられているが、そのアンテナ放射素子13dの数は、2つ、3つ、または5つ以上であっても差し支えない。
【0084】
(6)上述の各実施形態では、図4に示すように、中間通路12dは、積層方向Dsに沿う方向視で矩形状の断面形状を有するが、その中間通路12dの断面形状は、円形など、矩形状以外の形状であっても差し支えない。
【0085】
(7)また、その中間通路12dは、1本の導波管路20につき1つ設けられているが、1本の導波管路20につき複数設けられていても差し支えない。
【0086】
(8)上述の各実施形態では、例えば図1に示すように、導波管路20が延伸する管路軸方向Daは第1方向D1に一致するが、これは一例である。その管路軸方向Daは第1方向D1に対し多少傾いていても差し支えない。
【0087】
(9)上述の第1実施形態では、図1に示すように、導波管路20は例えば一直線に沿って延伸しているが、曲がって延伸していても差し支えない。その場合、管路軸方向Daは、導波管路20の中心軸線の接線方向になる。
【0088】
(10)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
【0089】
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0090】
(本発明の特徴)
[請求項1]
電波を伝搬するアンテナデバイス(10)であって、
樹脂製の第1樹脂材(11a)と導電性を有し前記第1樹脂材の表面を覆う第1被膜(11b)とを有し、前記電波の送信と受信との少なくとも一方を行う外部機器(70、72)との間で前記電波が伝搬するように設けられる外部ポート(11d)が形成された第1積層部(11)と、
前記第1積層部に対し積層方向(Ds)の一方側に積層され、樹脂製の第2樹脂材(12a)と導電性を有し前記第1被膜に対し電気的に接続され前記第2樹脂材の表面を覆う第2被膜(12b)とを有し、前記電波を伝搬する中間通路(12d)が形成された第2積層部(12)と、
前記第2積層部に対し前記積層方向の前記一方側に積層され、前記積層方向の前記一方側で外部空間(76)に面し、樹脂製の第3樹脂材(13a)と導電性を有し前記第2被膜に対し電気的に接続され前記第3樹脂材の表面を覆う第3被膜(13b)とを有し、前記外部空間との間で前記電波が伝搬するように前記外部空間に対しそれぞれつながる複数のアンテナ放射素子(13d)が形成された第3積層部(13)とを備え、
前記中間通路は、前記積層方向の前記一方側に設けられた一端(12e)と、前記積層方向の前記一方側とは反対側の他方側に設けられた他端(12f)とを有し
前記第1積層部と前記第2積層部は互いに積層されることにより、前記第1積層部と前記第2積層部とが面する導波管路(20)を形成し、
前記導波管路は、前記積層方向に交差する管路軸方向(Da)に延伸し、前記外部ポートと前記中間通路の前記他端とにそれぞれ連結し、前記外部ポートと前記中間通路との間で前記電波を伝搬し、
前記複数のアンテナ放射素子は、前記中間通路の前記一端にそれぞれ連結されている、アンテナデバイス。
[請求項2]
前記第2積層部と前記第3積層部は互いに積層されることにより、前記第2積層部と前記第3積層部とが面する分岐部(22)を形成し、
前記分岐部は、前記複数のアンテナ放射素子のそれぞれと前記中間通路との間に設けられると共に前記複数のアンテナ放射素子と前記中間通路とのそれぞれに連結し、前記複数のアンテナ放射素子のそれぞれと前記中間通路との間で前記電波を伝搬し、前記積層方向と前記管路軸方向とに垂直な幅方向(Dw)に前記導波管路よりも大きく形成され、
前記複数のアンテナ放射素子は前記幅方向に並んで配置されている、請求項1に記載のアンテナデバイス。
[請求項3]
前記分岐部は、前記第2積層部に対し前記積層方向に食い込むように形成され、前記第3積層部に対しては前記積層方向に食い込んでいない、請求項2に記載のアンテナデバイス。
[請求項4]
前記分岐部は、前記第2積層部と前記第3積層部とのそれぞれに対し前記積層方向に食い込むように形成されている、請求項2に記載のアンテナデバイス。
[請求項5]
前記導波管路は、前記第1積層部に対し前記積層方向に食い込むように形成され、前記第2積層部に対しては前記積層方向に食い込んでいない、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のアンテナデバイス。
[請求項6]
前記第1積層部と前記第2積層部と前記第3積層部はそれぞれ複数ずつ設けられ、
複数の前記第1積層部は、前記積層方向を法線方向とした板状を成す板状体(31)を構成し、
複数の前記第1積層部と複数の前記第2積層部は複数の前記導波管路を形成し、
複数の前記導波管路は、前記板状体に形成された1つの前記外部ポートに集合して連結している、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のアンテナデバイス。
【符号の説明】
【0091】
10 アンテナデバイス
11 第1積層部
11d 外部ポート
12 第2積層部
12d 中間通路
13 第3積層部
13d アンテナ放射素子
20 導波管路
70 電気基板
76 外部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13