(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120142
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】車両用ヘッドランプ制御装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/04 20060101AFI20240828BHJP
B60Q 1/02 20060101ALI20240828BHJP
B60Q 1/14 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B60Q1/04 E
B60Q1/02 D
B60Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026806
(22)【出願日】2023-02-23
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 雄一
(72)【発明者】
【氏名】林 俊洋
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA21
3K339CA01
3K339JA05
3K339KA06
3K339LA06
3K339MA01
3K339MA10
3K339MB04
3K339MC50
3K339MC68
3K339MC71
3K339MC99
(57)【要約】
【課題】駐車タイミングの際にもヘッドランプの点灯状態を自動的に制御して、自車の周囲の車両の運転者や歩行者の視界確保を行うことが可能な車両用ヘッドランプ制御装置を提供する。
【解決手段】ヘッドランプ制御装置10に、車両が駐車しようとしている駐車タイミングであることを判定する駐車状態判定部11と、ヘッドランプ30の点灯消灯を制御すると共に、該ヘッドランプ30のハイビーム状態とロービーム状態との切り替えを行い、駐車状態判定部11にて駐車タイミングであることが判定されると、ハイビーム状態をロービーム状態に切替える点灯制御部12と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるヘッドランプ(30)の点灯消灯を制御する車両用ヘッドランプ制御装置であって、
前記車両が駐車しようとしている駐車タイミングであることを判定する駐車状態判定部(11)と、
前記ヘッドランプの点灯消灯を制御すると共に、該ヘッドランプのハイビーム状態とロービーム状態との切り替えを行い、前記駐車状態判定部にて前記駐車タイミングであることが判定されると、前記ハイビーム状態を前記ロービーム状態に切替える点灯制御部(12)と、を有している、車両用ヘッドランプ制御装置。
【請求項2】
前記駐車状態判定部は、前記車両の速度である車速が閾速度よりも低い低速であり、かつ、前記車両からの距離が閾距離の範囲内に建物が存在すると、前記駐車タイミングであることを判定する、請求項1に記載の車両用ヘッドランプ制御装置。
【請求項3】
前記駐車状態判定部は、前記車両の現在位置が駐車場の近辺であることを検知すると、前記駐車タイミングであることを判定する、請求項1または2に記載の車両用ヘッドランプ制御装置。
【請求項4】
前記駐車状態判定部は、前記車両のシフト位置がバックギアであると、前記駐車タイミングであることを判定する、請求項1または2に記載の車両用ヘッドランプ制御装置。
【請求項5】
前記駐車状態判定部は、前記車両のハザードウォーニングスイッチ(25)がオンされていると、前記駐車タイミングであることを判定する、請求項1または2に記載の車両用ヘッドランプ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両におけるヘッドランプのハイビーム状態とロービーム状態の制御等を行う車両用ヘッドランプ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用ヘッドランプ制御装置として、特許文献1に示される車載灯具制御装置がある。この車載灯具制御装置では、車両の夜間走行中、ヘッドランプ制御を自動実行する制御モードの際に、先行車や対向車を認識し、ヘッドランプの点灯状態をハイビーム状態とロービーム状態とに自動で切替えるようにしている。これにより、自車の視界確保と周囲の車両の視界確保を両立させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置では、車両の夜間走行中にヘッドランプの点灯状態をハイビーム状態とロービーム状態とに自動で切替えている。しかしながら、自車が駐車を行おうとしているタイミング(以下、駐車タイミングという)の際に自車の周囲の車両の運転者や歩行者の視界確保を行うためには、手動でヘッドランプの点灯状態を切替える必要がある。
【0005】
本開示は、駐車タイミングの際にもヘッドランプの点灯状態を自動的に制御して、自車の周囲の車両の運転者や歩行者の視界確保を行うことが可能な車両用ヘッドランプ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両におけるヘッドランプ(30)の点灯消灯を制御する車両用ヘッドランプ制御装置であって、車両が駐車しようとしている駐車タイミングであることを判定する駐車状態判定部(11)と、ヘッドランプの点灯消灯を制御すると共に、該ヘッドランプのハイビーム状態とロービーム状態との切り替えを行い、駐車状態判定部にて駐車タイミングであることが判定されると、ハイビーム状態をロービーム状態に切替える点灯制御部(12)と、を有している。
【0007】
このように、自車の駐車タイミングを判定し、駐車タイミングの際にヘッドランプがハイビーム状態であると、それをロービーム状態に切替えるようにしている。これにより、駐車タイミングの際にもヘッドランプの点灯状態を自動的に制御して、自車の周囲の車両の運転者や歩行者の視界確保を行うことが可能になる。
【0008】
駐車タイミングについては、駐車を行う可能性があると想定される状況であることに基づいて判定できる。例えば、請求項2に記載の発明のように、駐車状態判定部は、車両の速度である車速が閾速度よりも低い低速であり、かつ、車両からの距離が閾距離の範囲内に建物が存在すると、駐車タイミングであることを判定することができる。また、請求項3に記載の発明のように、駐車状態判定部は、車両の現在位置が駐車場の近辺であることを検知すると、駐車タイミングであることを判定することもできる。さらに、請求項4に記載の発明のように、駐車状態判定部は、車両のシフト位置がバックギアであると、駐車タイミングであることを判定することもできる。そして、請求項5に記載の発明のように、駐車状態判定部は、車両のハザードウォーニングスイッチ(25)がオンされていると、駐車タイミングであることを判定することもできる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態にかかるヘッドランプ制御装置を有する車両用ヘッドランプ制御システムのブロック構成を示した図である。
【
図2】ハイビーム状態とロービーム状態の切替え制御のフローチャートである。
【
図3】
図2中に示す駐車タイミング判定処理の詳細を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0012】
(第1実施形態)
図1~
図3を参照して、本実施形態にかかるヘッドランプ制御装置10を有する車両用ヘッドランプ制御システムについて説明する。
図1は、車両用ヘッドランプ制御システムのブロック構成を示している。この図に示すように、車両用ヘッドランプ制御システムは、ヘッドランプ制御装置10と各種の状況検知装置20およびヘッドランプ30を備えている。
【0013】
ヘッドランプ制御装置10は、各種の状況検知装置20からの情報に基づいて、駐車タイミングであることを判定し、車両に備えられたヘッドランプ30の点灯状態を制御する。ヘッドランプ制御装置10は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータによって構成される制御部であり、ROMなどに記憶されたプログラムに従ってヘッドランプの点灯状態の制御を行う。
【0014】
具体的には、ヘッドランプ制御装置10は、駐車状態判定部11と点灯制御部12とを有した構成とされている。
【0015】
駐車状態判定部11は、駐車タイミングであることを判定するために必要な各種情報を各種の状況検知装置20から入力し、入力された情報に基づいて駐車タイミングであるか否かを判定する。そして、駐車状態判定部11は、その判定結果に応じた信号を点灯制御部12に出力する。
【0016】
本実施形態の場合、駐車状態判定部11には、状況検知装置20として、車載のカメラ21からの撮像情報、車速センサ22からの車速情報、ナビゲーションシステム23からの現在位置情報や地図情報が入力されている。また、駐車状態判定部11には、状況検知装置20として、ギアポジションセンサ24からのギア位置情報、ハザードウォーニングスイッチ25のオンオフ状態を示すハザード状態情報も入力されている。
【0017】
カメラ21は、撮像装置に相当するもので、自車の周辺画像を撮影し、その撮像情報を駐車状態判定部11へ出力する。ここでは、カメラ21として、車両前方の画像を撮影する前方カメラを適用しているが、車両後方や左右側方などの画像を撮影するカメラなど、前方カメラ以外であっても良いし、複数のカメラを用いても良い。このカメラ21からの撮像情報に基づいて、駐車状態判定部11は、自車の周辺の様子を検出することができ、自車の周囲、例えば自車を中心とした10mの範囲内に建物が存在するような状況であれば、自車が駐車を行う可能性があると判定する。
【0018】
車速センサ22は、自車の車速に応じた信号を車速情報として駐車状態判定部11に出力する。この車速センサ22からの車速情報に基づいて、駐車状態判定部11は、自車が低速走行、例えば10km/h以下の速度で走行していると、自車が駐車を行う可能性があると判定する。
【0019】
ナビゲーションシステム23は、GPS(Global Positioning System)に基づいて自車の現在位置検出を行うと共に、ROMなどの記憶媒体に記憶してある地図情報に基づいて経路案内を行う装置である。ナビゲーションシステム23は、自車の現在位置情報や自車の現在位置の周辺における地図情報を駐車状態判定部11に伝えている。このナビゲーションシステム23からの自車の周辺の地図情報に基づいて、駐車状態判定部11は、自車の現在位置が駐車場の近辺であると、自車が駐車を行う可能性があると判定する。
【0020】
ギアポジションセンサ24は、変速機の変速段数などに応じた信号をギア位置情報として出力する。このギアポジションセンサ24からのギア位置情報に基づいて、駐車状態判定部11は、自車のシフト位置が、例えば前進方向のギアポジションであるD(ドライブ)レンジ等やバックギアのギアポジションであるR(リバース)レンジ等のどの位置かを検出する。そして、駐車状態判定部11は、自車の現在のシフト位置がRレンジであれば自車が駐車を行う可能性があると判定する。
【0021】
ハザードウォーニングスイッチ25は、ハザードランプをオンオフするために操作されるスイッチであり、ハザードランプがオン状態かオフ状態かというオンオフ状態を示すハザード状態情報を駐車状態判定部11に出力する。このハザードウォーニングスイッチ25からのハザード状態情報に基づいて、駐車状態判定部11は、ハザードランプがオン状態であると自車が駐車を行う可能性があると判定する。
【0022】
駐車状態判定部11は、上記した各情報を入力し、自車が駐車を行う可能性があるか否かを判定し、その判定結果に基づいて駐車タイミングを判定している。この駐車タイミングであることの判定の手法の詳細については、後述する。なお、本実施形態では、駐車状態判定部11は、駐車タイミングであることを、各種の状況検知装置20からの複数の情報を複合的に用いて判定しているが、少なくとも1つの情報に基づいて駐車タイミングであることを判定することができる。
【0023】
また、駐車状態判定部11は、駐車タイミングであるか否かの判定結果に対応する指示を示す信号を点灯制御部12に伝えている。
【0024】
点灯制御部12は、ヘッドランプ30の点灯状態を制御するヘッドランプ制御を行うものであり、ヘッドランプ制御装置10の内部もしくは外部に備えられた図示しないヘッドランプスイッチの操作状態に応じてヘッドランプ30を点灯させたり、消灯させたりする。また、点灯制御部12は、ロービームとハイビームの切替えスイッチの操作状態に応じてヘッドランプ30をロービーム状態にしたり、ハイビーム状態にしたりする。さらに、点灯制御部12は、ユーザ操作等に基づいて図示しないオートハイビームシステムからロービーム状態もしくはハイビーム状態にすることの要求信号が入力されると、その要求信号に基づいてヘッドランプ30をロービーム状態にしたり、ハイビーム状態にしたりする。
【0025】
具体的には、点灯制御部12は、ドライバがヘッドランプスイッチをオンするとヘッドライドを点灯させ、オフするとヘッドランプを消灯させる。また、点灯制御部12は、ヘッドランプ点灯時に、ドライバが切替えスイッチをロービーム側にしているとヘッドランプをロービーム状態、ハイビーム側にしているとハイビーム状態とする。そして、点灯制御部12は、ヘッドランプ点灯時に、オートハイビーム制御が実行されて、オートハイビームシステムから要求信号が入力されると、その要求信号に従ってヘッドランプをロービーム状態もしくはハイビーム状態にする。
【0026】
なお、オートハイビームシステムによるオートハイビーム制御に関しては、例えば、カメラ21の撮像情報に基づいて行われる。すなわち、オートハイビームシステムは、夜間走行中にカメラ21の撮像情報に基づいて先行車や対向車を認識し、先行車や対向車が認識されなければ自動的にハイビーム状態とし、認識されるとロービーム状態に切替えるという制御を行う。このオートハイビーム制御については従来と同様であるため、説明については省略する。加えて、本開示では、オートハイビーム制御が実行されている際に、上記したように駐車状態判定部11で駐車タイミングであると判定されたときには、ハイビーム状態であってもロービーム状態に切替える動作が行われるようになっている。また、オートハイビーム制御が実行されていない状態でドライバがロービームとハイビームの切替えスイッチを操作してハイビーム状態としている場合もある。この場合にも、本開示では、上記したように駐車状態判定部11で駐車タイミングであると判定されたときには、ハイビーム状態であってもロービーム状態に切替える動作が行われるようになっている。
【0027】
ヘッドランプ30は、車両の前方を照明するもので、点灯制御部12によって点灯消灯が制御される。また、ヘッドランプ30は、点灯制御部12によって、車両前方の比較的高く遠方まで照明するハイビーム状態と、ハイビーム状態よりも比較的低く主に車両近傍を照明するロービーム状態との切替えについても制御される。
【0028】
ヘッドランプ30については、ハイビーム状態とロービーム状態との切り替えが行えるものであればどのような構成であってもよい。例えば、ヘッドランプ30は、車両の左右1つずつのランプがアクチュエータによって駆動されることでハイビーム状態とロービーム状態とに切り替えられる構成にできる。また、ヘッドランプ30は、車両の左右に2つずつランプが備えられ、2つのうちの一方を点灯させるとハイビーム状態、もう一方を点灯させるとロービーム状態となる構成とされていても良い。
【0029】
なお、ここでは便宜上、ヘッドランプ30をハイビームヘッドランプ31とロービームヘッドランプ32が別々に備えられた構成を図示しているが、上記した通り、これらが1つのランプで構成されていても良い。
【0030】
次に、本実施形態のヘッドランプ制御装置10によるヘッドランプ制御について説明する。
【0031】
上記したように、ヘッドランプ制御装置10では、点灯制御部12において、ヘッドランプ30の点灯状態を制御するヘッドランプ制御を行っている。基本的には、上記の通り、点灯制御部12にて、ヘッドランプスイッチの操作状態に応じたヘッドランプの点灯消灯、ロービームとハイビームの切替えスイッチの操作状態に応じたロービーム状態とハイビーム状態の切り替えを行っている。また、点灯制御部12は、オートハイビーム制御時に、オートハイビームシステムからの要求信号に基づいて、ロービーム状態とハイビーム状態の切り替えを行っている。これらに加えて、本実施形態では、駐車状態判定部11による駐車タイミング判定に基づくハイビーム状態とロービーム状態の切替え制御を実行する。
【0032】
図2および
図3に、ハイビーム状態とロービーム状態の切替え制御のフローチャートを示し、この図を参照して本制御の詳細について説明する。なお、本制御は、駐車状態判定部11により、例えばヘッドランプ30の点灯中に所定の制御周期毎に実行される。
【0033】
まず、
図2のステップS100において、ハイビームヘッドランプ点灯状態であるか否か、つまりハイビーム状態でヘッドランプ30が点灯中であるか否かを判定する。オートハイビーム制御の要求信号がハイビーム状態にすることを指示している場合や、ドライバがロービームとハイビームの切替えスイッチをハイビーム側にしている場合には、本ステップで肯定判定される。
【0034】
本ステップで肯定判定されるとステップS110に進み、否定判定されると本ステップを繰り返し実行する。
【0035】
次に、ステップS110では、駐車タイミング判定処理を実行し、駐車タイミングであるか否かを判定すると共に、駐車タイミングであると判定すると、その旨を示すフラグをセットするなどにより駐車タイミングであることを記憶しておく。
【0036】
ここで、駐車タイミング判定処理の詳細について、
図3に示す駐車タイミング判定処理のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
駐車タイミング判定処理が実行されると、ステップS200として、車速が低速であるか否かを判定する。車速が低速であるか否かについては、駐車状態判定部11は、車速センサ22からの車速情報に基づいて判定している。ここでいう低速とは、車速が駐車を行う際に想定される速度であり、任意に設定可能であるが、例えば10km/hの速度を閾速度として、その閾速度以下を低速としている。本ステップで肯定判定されるとステップS210に進み、否定判定されると駐車タイミングではないため、駐車タイミングであることを示すフラグをセットせずに処理を終了する。
【0038】
ステップS210では、自車の周囲に建物が検知されるか否かを判定する。この判定を行う際の自車から建物までの距離については任意に設定可能であり、例えば自車のサイズや旋回半径などに基づいて、もしくはドライバ選択に基づいて設定され、例えば自車中心から10mとされる。また、自車の周囲の建物の検知については、カメラ21の撮像情報に基づいて行われる。駐車状態判定部11は、撮像情報を解析し、撮像された自車の周囲の画像に映り込んでいる各建物までの距離を算出し、その距離が自車の周囲に存在するとの判定基準となる閾距離以下であれば、自車の周囲に建物が検知されたと判定する。そして、本ステップで肯定判定されるとステップS220以降に進み、否定判定されると駐車タイミングではないため、駐車タイミングであることを示すフラグをセットせずに処理を終了する。
【0039】
なお、ここでいう建物とは、典型的には家屋、車庫、店舗、ビル、外壁、フェンスなどであるが、カードレールやモニュメントなど、様々な立体構造物も建物に含むことができる。車速が低速である際に自車の周囲に何らかの立体構造物が検知されれば、自車を駐車させる可能性があるため、様々な立体構造物を建物とすることができる。勿論、より自車を駐車させる可能性が高いのは家屋、車庫、店舗、ビルなどであるため、これらのいずれか1つもしくは複数のみを建物として認識しても良い。
【0040】
上記したステップS200、S210で肯定判定される状況は、自車が駐車する可能性があると想定される状況である。これらの状況になったときに駐車タイミングと判定することもできるが、加えて、ステップS220~S240の処理を行うことで、より的確に駐車タイミングを判定している。具体的には、ステップS220~S240は、自車が駐車する可能性が高いと想定される状況を判定する処理である。これら各処理で示すいずれかの状況に該当すれば、駐車タイミングであると判定する。
【0041】
ステップS220では、自車の現在位置が駐車場の近辺であることを検知したか否かを判定する。駐車状態判定部11は、自車から駐車場までの距離が自車を駐車させる可能性があると想定される距離、例えば10m以下である場合に、自車の現在位置が駐車場の近辺であることを検知する。本判定については、駐車状態判定部11は、ナビゲーションシステム23からの現在位置情報および自車の現在位置の周囲における地図情報に基づいて行っている。また、ナビゲーションシステム23の方で現在位置情報および自車の現在位置の周囲における地図情報に基づいて自車の現在位置が駐車場の近辺であることを検知し、その検知結果が駐車状態判定部11に入力されるようにしても良い。そして、本ステップで否定判定されるとステップS230に進み、肯定判定されるとステップS250に進む。
【0042】
ステップS230では、バックギアがオン、つまり自車のシフト位置がバックギアのギアポジションであるか否かを判定する。駐車状態判定部11は、ギアポジションセンサ24からのギア位置情報に基づいて本判定を行う。そして、本ステップで否定判定されるとステップS240に進み、肯定判定されるとステップS250に進む。
【0043】
ステップS240では、ハザードウォーニングスイッチ25がオン状態であるか否かを判定する。駐車状態判定部11は、ハザードウォーニングスイッチ25から伝えられるハザード状態情報に基づいて本判定を行う。そして、本ステップで肯定判定されるとステップS250に進み、否定判定されると駐車タイミングではないため、駐車タイミングであることを示すフラグをセットせずに処理を終了する。
【0044】
ステップS220~S240のいずれかで肯定判定された場合、自車が駐車する可能性が高いと想定される状況である。これらの場合は、駐車タイミングであると判定し、ステップS250に進んでフラグをセットするなどにより駐車タイミングであることを記憶する。このようにして、
図2のステップS110の駐車タイミング判定処理が完了する。
【0045】
そして、ステップS120に進み、ステップS110で駐車タイミングであることが記憶されているか否かが判定され、記憶されていればステップS130に進み、ステップS130において、ロービームヘッドランプ点灯への切替え、つまりハイビーム状態をロービーム状態に切替える指示を点灯制御部12に伝える。これにより、点灯制御部12は、ヘッドランプ30による点灯をハイビームヘッドランプ31からロービームヘッドランプ32に切替え、ロービーム状態にする。また、ステップS120で否定判定された場合には、そのまま処理を終了する。この場合、ハイビーム状態が継続される。
【0046】
なお、駐車タイミングであると判定されて、一旦はハイビーム状態からロービーム状態に切替えられたとしても、その後、自車を駐車させずに走行を続けることも想定される。このため、車速が低速よりも高い所定速度以上になったことや、ナビゲーションシステム23の情報に基づいて自車の周辺に駐車場が存在しなくなったことが検知された際に、ロービーム状態を解除してハイビーム状態に戻すと好ましい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のヘッドランプ制御装置10は、自車の駐車タイミングを判定し、駐車タイミングの際にヘッドランプ30がハイビーム状態であると、それをロービーム状態に切替えるようにしている。このように、駐車タイミングの際にもヘッドランプ30の点灯状態を自動的に制御して、自車の周囲の車両の運転者や歩行者の視界確保を行うことが可能になる。
【0048】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0049】
例えば、第1実施形態では、ステップS220~S240において、自車が駐車する可能性が高いと想定される状況の一例を挙げたが、ここで示した状況に限るものではない。ここで示した状況以外にも各種の状況検知装置20からの情報に基づいて、必要であれば、上記した状況検知装置20からの情報以外の情報に基づいて駐車タイミングであることを判定することもできる。例えば、駐車アシスト機能を有する車両では、駐車アシストスイッチからアシスト要求の有無に応じた信号が駐車状態判定部11に入力されるようにし、駐車アシストスイッチが押下されていれば駐車タイミングと判定できる。
【0050】
また、カメラ21の撮像情報に基づいて自車が駐車場の近傍にあるか否かを判定することもできる。さらに、上記実施形態では、カメラ21の撮像情報に基づいて建物を検知したが、自車にミリ波レーダなどの測距装置が備えられている場合には、測距装置での測距結果に基づいて建物を検知することもできる。
【0051】
さらに、上記第1実施形態では、ステップS220~S240のいずれか1つでも肯定判定された場合に、駐車タイミングであるとしたが、いずれか複数が肯定判定された場合に駐車タイミングであるとしても良い。
【0052】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0053】
(本開示の観点)
上記の通りの、第1実施形態および他の実施形態での説明から明らかなように、本明細書による開示は、少なくとも、以下の観点を含む。
【0054】
[観点1]
車両におけるヘッドランプ(30)の点灯消灯を制御する車両用ヘッドランプ制御装置であって、
前記車両が駐車しようとしている駐車タイミングであることを判定する駐車状態判定部(11)と、
前記ヘッドランプの点灯消灯を制御すると共に、該ヘッドランプのハイビーム状態とロービーム状態との切り替えを行い、前記駐車状態判定部にて前記駐車タイミングであることが判定されると、前記ハイビーム状態を前記ロービーム状態に切替える点灯制御部(12)と、を有している、車両用ヘッドランプ制御装置。
【0055】
[観点2]
前記駐車状態判定部は、前記車両の速度である車速が閾速度よりも低い低速であり、かつ、前記車両からの距離が閾距離の範囲内に建物が存在すると、前記駐車タイミングであることを判定する、観点1に記載の車両用ヘッドランプ制御装置。
【0056】
[観点3]
前記駐車状態判定部は、前記車両の現在位置が駐車場の近辺であることを検知すると、前記駐車タイミングであることを判定する、観点1または2に記載の車両用ヘッドランプ制御装置。
【0057】
[観点4]
前記駐車状態判定部は、前記車両のシフト位置がバックギアであると、前記駐車タイミングであることを判定する、観点1ないし3のいずれか1つに記載の車両用ヘッドランプ制御装置。
【0058】
[観点5]
前記駐車状態判定部は、前記車両のハザードウォーニングスイッチ(25)がオンされていると、前記駐車タイミングであることを判定する、観点1ないし4のいずれか1つに記載の車両用ヘッドランプ制御装置。
【符号の説明】
【0059】
10…ヘッドランプ制御装置、11…駐車状態判定部、12…点灯制御部、20…状況検知装置、21…カメラ、22…車速センサ、23…ナビゲーションシステム、24…ギアポジションセンサ、25…ハザードウォーニングスイッチ、30…ヘッドランプ、31…ハイビームヘッドランプ、32…ロービームヘッドランプ