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特開2024-120143電池制御装置および電池制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120143
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】電池制御装置および電池制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240828BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240828BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240828BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 S
H02H7/18
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026810
(22)【出願日】2023-02-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 満孝
(72)【発明者】
【氏名】倉知 大祐
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053BA01
5G053CA04
5G053EC01
5G053EC06
5G503AA01
5G503BA04
5G503DA04
5G503FA17
5G503HA02
5H030AA09
5H030AS08
5H030FF41
(57)【要約】
【課題】電池回路の電位調整のためにリレーを切り替える際のリレーへの負荷を抑制し得る技術を提供する。
【解決手段】電池制御装置9は、二次電池である電池モジュール21,31を少なくとも含む複数の電池パックが並列接続された電池部と、入出力部13とを備える電池回路10を制御し、複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、電池モジュールに直列接続する抵抗24,34と、抵抗に直列接続する直列リレー23,33と、抵抗および直列リレーに並列接続する並列リレー22,32とを備える。電池制御装置は、各リレーのオンオフを制御するリレー制御部15と、入出力部と電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御部16とを備え、入出力制御部は、リレー制御部が各リレーのオンオフ制御により電池パック間の電位を調整する場合に流れる循環電流の電流方向と大きさとに基づいて、循環電流を抑制する電力を入出力するように入出力部を制御する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池である電池モジュール(21,31,41)を少なくとも含む複数の電池パック(20,30,40)が並列に接続された電池部と、前記電池部に電力を入出力する入出力部(13)とを備える電池回路(10)を制御する電池制御装置(9)であって、
前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、前記電池モジュールに直列接続する抵抗(24,34,44)と、前記抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレー(23,33,43)と、前記抵抗および前記直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレー(22,32,42)とを備える抵抗付電池パックであり、
前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフを制御するリレー制御部(15)と、
前記入出力部と前記電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御部(16)と、を備え、
前記入出力制御部は、前記リレー制御部が前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフ制御により前記複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、前記複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、前記循環電流の大きさとに基づいて、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部を制御する電池制御装置。
【請求項2】
前記リレー制御部は、前記電位調整シーケンスにおいて、前記抵抗付電池パックのうちの少なくとも1つの前記抵抗付電池パックを流れる電流が所定の切替電流閾値以下となった場合に、前記直列リレーをオン状態に切替えた後で、前記並列リレーをオフ状態に切り替える請求項1に記載の電池制御装置。
【請求項3】
前記リレー制御部は、前記入出力制御部が前記電池部から放電電流が流れるように前記入出力部を制御する場合に、前記循環電流が充電方向となる前記抵抗付電池パックに含まれる前記直列リレーまたは前記並列リレーを制御することにより電流経路を切り替える請求項2に記載の電池制御装置。
【請求項4】
前記リレー制御部は、前記入出力制御部が前記電池部への充電電流が流れるように前記入出力部を制御する場合に、前記循環電流が放電方向となる前記抵抗付電池パックに含まれる前記直列リレーまたは前記並列リレーを制御することにより電流経路を切り替える請求項2に記載の電池制御装置。
【請求項5】
前記電池部は、互いに並列接続された少なくとも3つの前記抵抗付電池パックを含み、
前記入出力制御部は、前記電池部に含まれる少なくとも3つの前記抵抗付電池パックのうち、前記循環電流の大きさが最小となる前記抵抗付電池パックに流れる電流が前記切替電流閾値以下となるように、前記入出力部による入出力電力を制御する請求項2に記載の電池制御装置。
【請求項6】
前記入出力制御部は、前記循環電流の大きさが最小となる前記抵抗付電池パックに含まれる前記直列リレーまたは前記並列リレーを流れる電流の電流方向に応じて、前記入出力部から前記電池部への電流を充電電流とするか放電電流とするかを判断する請求項5に記載の電池制御装置。
【請求項7】
前記リレー制御部が前記直列リレーをオン状態に切替え、前記並列リレーをオフ状態に切り替えた後に、前記入出力制御部は、前記循環電流を抑制するように調整された電力の入出力を停止するように前記入出力部を制御する請求項2に記載の電池制御装置。
【請求項8】
前記抵抗付電池パックが備える前記抵抗は、前記循環電流に影響する所定の電池パラメータに基づいて抵抗値を調整可能である請求項1に記載の電池制御装置。
【請求項9】
前記入出力制御部は、前記電池モジュールの電圧または前記電池パックの電圧と、前記電池モジュールの内部抵抗とに基づいて、前記循環電流方向および前記循環電流の大きさを推測し、前記循環電流が前記電池モジュールの充放電電流上限値を超過する場合に、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部を制御する請求項1に記載の電池制御装置。
【請求項10】
前記電池部は、互いに並列接続された少なくとも2つの前記抵抗付電池パックを含み、
前記リレー制御部は、前記直列リレーがオン状態にされるとともに前記並列リレーがオフ状態にされて前記循環電流が前記抵抗を経由して流れている場合に、前記電池部の負荷要求に応じて、前記電位調整シーケンスを変更する請求項1に記載の電池制御装置。
【請求項11】
前記リレー制御部は、前記電池部の負荷要求がある場合には、前記並列リレーをオン状態に切り替えた後に前記直列リレーをオフ状態に切り替えることにより前記電位調整シーケンスを終了する請求項10に記載の電池制御装置。
【請求項12】
前記リレー制御部は、前記電池部の負荷要求がない場合には、前記直列リレーをオフ状態に切り替えることにより前記電位調整シーケンスを終了する請求項10に記載の電池制御装置。
【請求項13】
前記リレー制御部は、前記直列リレーがオン状態である場合に前記並列リレーをオン状態に切り替えたときの前記循環電流の推測値を推測し、前記循環電流の推測値が前記電池モジュールの充放電電流上限値以下となった場合に、前記並列リレーをオン状態に切り替える請求項10に記載の電池制御装置。
【請求項14】
前記直列リレーがオン状態の際に前記電池部の負荷要求があった場合には、前記入出力制御部は、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部を制御し、前記リレー制御部は、前記直列リレーをオフ状態とした後、前記並列リレーをオン状態とする請求項10に記載の電池制御装置。
【請求項15】
二次電池である電池モジュール(21,31,41)を少なくとも含む複数の電池パック(20,30,40)が並列に接続された電池部と、前記電池部に電力を入出力する入出力部(13)とを備え、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、前記電池モジュールに直列接続する抵抗(24,34,44)と、前記抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレー(23,33,43)と、前記抵抗および前記直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレー(22,32,42)とを備える抵抗付電池パック(20,30,40)である電池回路(10)を制御する電池制御装置(9)に適用される電池制御プログラムであって、コンピュータに、
前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフを制御するリレー制御ステップと、
前記入出力部と前記電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御ステップとを実行させ、
前記入出力制御ステップは、前記リレー制御ステップにおいて前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフ制御により前記複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、前記複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、前記循環電流の大きさとに基づいて、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部の制御を実行する電池制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
二次電池モジュールを含む電池回路を制御する電池制御装置および電池制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、サーボ電源から容量性負荷に充電する際に発生する突入電流を抑制する技術が記載されている。この技術では、容量性負荷の充電開始時には、抵抗値の高い抵抗が接続された電流経路に接続し、充電が進行したときに抵抗値の低い抵抗が接続された電流経路に接続し、さらに充電が進行したときに抵抗が接続されていない電流経路に接続する。このように電流経路を切り替えることにより、充電電流が小さくなることよる充電時間の増加を抑える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-122158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電流経路を切り替えるためのスイッチング素子の一例としてリレーを例示している。リレーを用いる場合、リレーに電流が流れている状態で切替を実行すると、リレーに負荷がかかり、リレー寿命が低減される原因となり得る。リレーの寿命を確保しようとすると、リレー容量の大型化が必要となる。
【0005】
上記に鑑み、本発明は、電池回路の電位調整のためにリレーを切り替える際のリレーへの負荷を抑制し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二次電池である電池モジュールを少なくとも含む複数の電池パックが並列に接続された電池部と、前記電池部に電力を入出力する入出力部とを備える電池回路を制御する電池制御装置を提供する。この電池制御装置では、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、前記電池モジュールに直列接続する抵抗と、前記抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレーと、前記抵抗および前記直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレーとを備える抵抗付電池パックである。この電池制御装置は、前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフを制御するリレー制御部と、前記入出力部と電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御部と、を備え、前記入出力制御部は、前記リレー制御部が前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフ制御により前記複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、前記複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、前記循環電流の大きさとに基づいて、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部を制御する。
【0007】
上記の電池制御装置は、二次電池である電池モジュールを少なくとも含む複数の電池パックが並列に接続された電池部と、電池部に電力を入出力する入出力部とを備える電池回路を制御する。この複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、電池モジュールに直列接続する抵抗と、抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレーと、抵抗および直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレーとを備える抵抗付電池パックである。電池制御装置は、直列リレーおよび並列リレーのオンオフを制御するリレー制御部と、入出力部と電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御部と、を備える。リレー制御部が直列リレーおよび並列リレーのオンオフ制御により複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、入出力制御部は、複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、循環電流の大きさとに基づいて、循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部を制御する。循環電流が抑制された状態で直列リレーおよび並列リレーのオンオフを制御して電位調整シーケンスを実行することができるため、電池回路の電位調整のためにリレーを切り替える際のリレーへの負荷を抑制できる。その結果、リレーを長寿命化することができ、交換コストを低減することに寄与できる。また、リレーの容量を低減することができ、部品コストを低減することに寄与できる。
【0008】
本発明は、また、二次電池である電池モジュールを少なくとも含む複数の電池パックが並列に接続された電池部と、前記電池部に電力を入出力する入出力部とを備え、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、前記電池モジュールに直列接続する抵抗と、前記抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレーと、前記抵抗および前記直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレーとを備える抵抗付電池パックである電池回路を制御する電池制御装置に適用される電池制御プログラムを提供する。この電池制御プログラムは、コンピュータに、前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフを制御するリレー制御ステップと、前記入出力部と電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御ステップとを実行させる。前記入出力制御ステップは、前記リレー制御ステップにおいて前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフ制御により前記複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、前記複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、前記循環電流の大きさとに基づいて、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部の制御を実行する。
【0009】
上記の電池制御プログラムによれば、リレー制御ステップにより直列リレーおよび並列リレーのオンオフ制御により複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、入出力制御ステップにより、複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、循環電流の大きさとに基づいて、循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部の制御を実行する。循環電流が抑制された状態で直列リレーおよび並列リレーのオンオフを制御して電位調整シーケンスを実行することができるため、電池回路の電位調整のためにリレーを切り替える際のリレーへの負荷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る電池制御装置と電池制御装置によって制御される電池回路とを示す図。
図2】第1実施形態に係る電池制御装置が実行する電池制御処理のフローチャート。
図3】循環電流を抑制した電位調整シーケンスの実行を説明する図。
図4】循環電流を抑制した電位調整シーケンスの実行を説明するタイムチャート。
図5】循環電流を抑制する要求の有無を決定するフローチャート。
図6】第2実施形態に係る電池制御装置と電池制御装置によって制御される電池回路とを示す図。
図7】第2実施形態に係る電位調整シーケンスの実行を説明する図。
図8】第3実施形態に係る電位調整シーケンスの実行を説明する図。
図9】変形例に係る電池回路を示す図。
図10】変形例に係る電池回路を示す図。
図11】変形例に係る電池回路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態に係る電池制御装置9と、電池制御装置9によって制御される電池回路10とを含む電流制御システム示す。電池回路10は、第1電池パック20と第2電池パック30が並列に接続された電池部と、電池部に電力を入出力する入出力部13とを備える。電池制御装置9は、リレー制御部15と、入出力制御部16とを備える。
【0012】
本実施形態に係る第1電池パック20と第2電池パック30は、同様の構成であり、同様の性能を発揮するように設計されている。同様の性能とは、例えば、同じ電池及び同じ劣化度合いのことである。同じ電圧とは、例えば、定格電圧と、初期状態の満充電容量及び内部抵抗が同じことであり、同じ劣化度合いとは、例えば、現在の満充電容量及び内部抵抗が同じことである。第1電池パック20は、複数の2次電池(例えば、リチウムイオン電池)が直列接続した第1電池モジュール21と、第1電池モジュール21の高電位側に接続する第1並列リレー22、第1直列リレー23および第1抵抗24と、第1電池モジュール21の低電位側に接続する第1電流センサ25とを備える。なお、第1並列リレー22、第1直列リレー23および第1抵抗24は、第1電池モジュール21の低電位側に接続されていてもよい。第1直列リレー23は、第1抵抗24に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える。第1並列リレー22は、第1抵抗24および第1直列リレー23に並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える。第1電流センサ25は、第1電池モジュール21の電流もしくは第1電池パック20の電流を検出する手段として利用できる。また、電流制御システムは、電圧センサ17を備える。電圧センサ17は、第1電池モジュール21の電圧及び第2電池モジュール31の電圧を検出する。なお、電圧センサ17は、各電池パック20,30に個別に設けられていてもよい。
【0013】
第2電池パック30は、複数の2次電池が直列接続した第2電池モジュール31と、第2電池モジュール31の高電位側に接続する第2並列リレー32、第2直列リレー33および第2抵抗34と、第2電池モジュール31の低電位側に接続する第2電流センサ35とを備える。なお、第2並列リレー32、第2直列リレー33および第2抵抗34は、第2電池モジュール31の低電位側に接続されていてもよい。第2直列リレー33は、第2抵抗34に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える。第2並列リレー32は、第2抵抗34および第2直列リレー33に並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える。第2電流センサ35は、第2電池モジュール31の電流もしくは第2電池パック30の電流を検出する手段として利用できる。
【0014】
第1電池パック20および第2電池パック30は、電池モジュールに直列接続する抵抗と、抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレーと、抵抗および直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレーとを備える抵抗付電池パックである。
【0015】
第1電池パック20および第2電池パック30は、高電位側において高電位側リレー11により互いに接続され、低電位側において低電位側リレー12により互いに接続されている。第1電池パック20および第2電池パック30の低電位側と、入出力部13とを接続する配線に、回路電流センサ14が設けられている。なお、回路電流センサ14は、第1電池パック20および第2電池パック30の高電位側と、入出力部13とを接続する配線に設けられていてもよい。第1電池パック20、第2電池パック30、高電位側リレー11、低電位側リレー12および回路電流センサ14により、二次電池である電池モジュールを少なくとも含む複数の電池パックが並列に接続された電池部が構成されている。
【0016】
入出力部13は、電池部に並列接続され、電池部に電力を入出力する。本願における入出力部は、充放電装置のように、電池部からの電力の入力と、電池部への電力の出力との双方が可能な機器であってもよいし、電池部からの電力の入力のみが可能な機器であってもよいし、電池部への電力の出力のみが可能な機器であってもよい。第1実施形態では、入出力部13が充放電装置である場合を例示して説明する。例えば、車両に電池部が搭載されており、車両外部の充放電装置と接続することにより、電池回路10が構成されてもよい。電池制御装置9は、車両に搭載されていてもよいし、車両外部の装置であって車両に接続して用いるものであってもよい。
【0017】
電池制御装置9は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータ(マイコン)を主体に構成されている。例えば、CPUがROMにインストールされているプログラムを実行することで電池制御装置9が備えるリレー制御部15および入出力制御部16等の機能を実現する。マイコンによって提供される機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウエアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウエアのみ、ハードウエアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供されるものであってもよい。例えば、マイコンがハードウエアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコンは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する電池制御処理のプログラムが含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えば、インターネット等のネットワークを介して更新可能である。
【0018】
リレー制御部15は、高電位側リレー11、低電位側リレー12、第1並列リレー22、第1直列リレー23、第2並列リレー32、第2直列リレー33のオンオフを実行する。リレー制御部15は、第1電流センサ25および第2電流センサ35の検出データを取得する。入出力制御部16は、入出力部13を制御して、入出力部13と電池部との間の入出力電力を制御する。入出力制御部16は、回路電流センサ14の検出データを取得する。なお、入出力制御部16は、回路電流センサ14の検出データに替えて、第1電流センサ25と第2電流センサ35の検出データとの和を取得するように構成されていてもよい。
【0019】
リレー制御部15は、第1並列リレー22、第1直列リレー23、第2並列リレー32、第2直列リレー33のオンオフ制御により第1、第2電池パック20,30間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する。電位調整シーケンスは、リレーの故障発生を抑制するためのシーケンスである。以下、充電装置として機能する入出力部13により第1,第2電池モジュール21,31が充電される場合を例にして説明する。第1並列リレー22および第2並列リレー32がオン状態とされ、第1直列リレー23および第2直列リレー33がオフ状態とされる状態において、第1,第2電池モジュール21,31が充電される場合について説明する。電池モジュールの劣化度合い等によっては、第1電池モジュール21と第2電池モジュール31とで電位がずれた状態で充電が終了する可能性がある。電位がずれた状態で入出力部13からの充電電流を遮断すると、第1,第2電池モジュール21,31のうち、電位の高い方の電池モジュールから電位の低い電池モジュールへと突入電流および循環電流が流れ得る。この循環電流を抑制するために、電位調整シーケンスが実行される。
【0020】
入出力制御部16は、リレー制御部15が電位調整シーケンスを実行する際に、第1、第2電池パック20,30間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、循環電流の大きさとに基づいて、循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部13を制御する。本実施形態の電流方向は、第1電池モジュール21の正極端子から第2電池モジュール31の正極端子へと流れる第1方向、又は第2電池モジュール31の正極端子から第1電池モジュール21の正極端子へと流れる第2方向のいずれかである。第1方向は、換言すれば、循環電流の方向が、第1電池モジュール21が放電され、第2電池モジュール31が充電される方向である。第2方向は、換言すれば、循環電流の方向が、第2電池モジュール31が放電され、第2電池モジュール21が充電される方向である。例えば、入出力制御部16は、循環電流の大きさに基づいて、循環電流と逆方向であり、かつ、循環電流と互いに打ち消し合う循環キャンセル電流の指令値(以下、電流指令値Ich*)を算出し、算出した電流指令値Ich*に基づいて、入出力部13の入出力電力を制御する。この制御により、循環電流は循環キャンセル電流により打ち消されて、電池パックを流れる電流は小さくなり、零に近づく。入出力制御部16によって循環電流が抑制された状態で、リレー制御部15は、第1並列リレー22、第1直列リレー23、第2並列リレー32、第2直列リレー33のオンオフ制御を実行できる。このため、第1並列リレー22、第1直列リレー23、第2並列リレー32、第2直列リレー33への負荷を低減できる。その結果、各リレーを長寿命化することができ、交換コストを低減することに寄与できる。また、各リレーの容量を低減することができ、部品コストを低減することに寄与できる。
【0021】
入出力制御部16は、電圧センサ17により検出された第1電池モジュール21の電圧(以下、第1電圧V1)及び第2電池モジュール31の電圧(以下、第2電圧V2)に基づいて、循環電流の大きさおよび循環電流の方向を推測する。例えば、入出力制御部16は、第1電圧V1および第2電圧V2の差と、第1,第2電池パック20,30(具体的には例えば、第1,第2電池モジュール21,31)の抵抗とに基づいて、循環電流の大きさおよび方向を推測すればよい。ここで、入出力制御部16は、第1,第2電池パック20,30の抵抗を、例えば、第1,第2電池パック20,30の温度と第1,第2電池パック20,30の抵抗とが関係付けられたマップ情報に基づいて推測、又は第1,第2電流センサ25,35の検出値および第1,第2電圧V1,V2に基づいて推測すればよい。また、入出力制御部16は、例えば、第1電圧V1と第2電圧V2との差が大きいほど、循環電流の大きさを大きく推測すればよい。また、入出力制御部16は、例えば、第1電圧V1が第2電圧V2よりも大きい場合、循環電流の方向が、第1電池モジュール21の正極端子から第2電池モジュール31の正極端子へと流れる方向であると推測し、第2電圧V2が第1電圧V1よりも大きい場合、循環電流の方向が、第2電池モジュール31の正極端子から第1電池モジュール21の正極端子へと流れる方向であると推測すればよい。
【0022】
図2に、電池制御装置9が実行する電池制御処理のフローチャートを示す。図2に示す処理は、電池制御装置9が備えるCPUがROMにインストールされている電池制御プログラムを実行することで電池制御装置9により実行される。
【0023】
ステップS101では、各電池パック20,30間に流れる循環電流Icrを抑制する要求があるか否かを判断する。要求がある場合には、ステップS102に進む。
【0024】
ステップS102~S106に示す各処理は、入出力部13と電池部との間の入出力電力を制御するステップであって、複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、循環電流の大きさとに基づいて、循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部13の制御を実行する、入出力制御ステップに相当する。
【0025】
詳しくは、ステップS102では、循環電流を抑制するための入出力電流の指令値である上記電流指令値Ich*を演算する。ステップS103では、演算した電流指令値Ich*に基づいて、入出力部13の入出力電力を制御する。
【0026】
ステップS104では、第1電流センサ25が検出する第1電流値I1の絶対値が、第2電流センサ35が検出する第2電流値I2の絶対値以下であるか否かを判定する。|I1|≦|I2|であると判定した場合、ステップS105に進み、第1電流値I1の絶対値が所定の第1電流閾値X1以下であるか否かを判定する。第1電流閾値X1は、切替電流閾値であり、第1電池パック20内の各リレー22,23における所望の寿命を確保可能な電流値に設定されている。リレーを流れる電流と、寿命との関係は、実験等により導き出すことができる。|I1|≦X1である場合には、ステップS107に進む。|I1|>X1である場合には、ステップS103に進む。
【0027】
一方、ステップS104において|I1|>|I2|であると判定した場合、ステップS106に進み、第2電流値I2の絶対値が所定の第2電流閾値X2以下であるか否かを判定する。第2電流閾値X2は、切替電流閾値であり、第2電池パック30内の各リレー32,33における所望の寿命を確保可能な電流値に設定されている。|I2|≦X2である場合には、ステップS110に進む。|I2|>X2である場合には、ステップS103に進む。
【0028】
ステップS107では、第1直列リレー(第1Sリレー)23をオン状態にした後、ステップS108に進む。ステップS108では、第1並列リレー(第1Pリレー)22をオフ状態にした後、ステップS109に進む。
【0029】
一方、ステップS110では、第2直列リレー(第2Sリレー)33をオン状態にした後、ステップS111に進む。ステップS111では、第2並列リレー(第2Pリレー)32をオフ状態にした後、ステップS109に進む。
【0030】
ステップS107,S108,S110,S111に示す各処理は、第1並列リレー22および第1直列リレー23のオンオフ制御、もしくは、第2並列リレー32および第2直列リレー33のオンオフ制御によって、第1、第2電池パック20,30間の電位を調整する電位調整シーケンスに相当する処理である。ステップS107,S108,S110,S111に示す各処理は、直列リレーおよび並列リレーのオンオフを制御するステップであって、直列リレーおよび並列リレーのオンオフ制御により複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する、リレー制御ステップに相当する。
【0031】
ステップS109では、入出力制御部16から入出力部13に入出力電流停止指令が送信される。これにより、ステップS112に示すように、電池回路10と入出力部13との間を流れる入出力電流が停止される。電位調整シーケンスに係る各リレーの切替制御が完了した状態で、入出力電流が停止すると、循環電流Icrによって各電池パック20,30間の電位が調整される。より具体的には、各電池パック20,30間の電位差が低減される。
【0032】
ステップS113では、電池部の負荷要求があるか否かを判定する。ステップS113において負荷要求がないと判定した場合には、ステップS114に進む。
【0033】
ステップS114では、循環電流Icrの大きさが、電位差調整シーケンスを実施しなくてもよい程度まで小さくなったか否かを判定する。例えば、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の電圧閾値未満になったと判定した場合、循環電流Icrの大きさが小さくなった(YES)と判定すればよい。
【0034】
ステップS114において否定判定した場合には、ステップS113に移行する。一方、ステップS114において肯定判定した場合には、ステップS115に移行する。ステップS107を経由した場合、ステップS115において第1直列リレー23をオフ状態にする。一方、ステップS110を経由した場合、ステップS115において第2直列リレー33をオフ状態にする。
【0035】
ステップS113において負荷要求があると判定した場合には、ステップS116に移行する。ステップS108を経由した場合、ステップS116において第1並列リレー22をオン状態にする。一方、ステップS111を経由した場合、ステップS116において第2並列リレー32をオン状態にする。
【0036】
その後、ステップS117に移行する。ステップS107を経由した場合、ステップS117において第1直列リレー23をオフ状態にする。一方、ステップS110を経由した場合、ステップS117において第2直列リレー33をオフ状態にする。
【0037】
ステップS101において抑制要求がないと判定した場合、ステップS118,S119に移行する。ステップS118,S119では、ステップS109,S112と同じ処理を行う。
【0038】
ステップS120では、ステップS113と同じ処理を行う。ステップS120において負荷要求がないと判定した場合には、ステップS121に進み、第1,第2並列リレー22、32について、オン状態とされているリレーをオフ状態にする。
【0039】
上記のとおり、第1実施形態に係る電池制御処理によれば、ステップS101に示すように、循環電流Icrの抑制要求がある場合には、循環キャンセル電流値の指令値に相当する電流指令値Ich*が算出される。入出力制御ステップによって入出力電流を調整することにより、循環電流Icrが適切に抑制される。これにより、各電池パック20,30内の配線を流れる電流(第1電流値I1,第2電流値I2)が、切替電流閾値(第1電流閾値X1,第2電流閾値X2)以下であることを条件として、ステップS107,S108,S110,S111に示すリレー制御ステップが実行され、電位調整シーケンスが実行される。その結果、各電池パック20,30内のリレーの寿命を確保できる。
【0040】
図3を用いて、上記の電池制御処理によって実行される循環電流を抑制した電位調整シーケンスについて説明する。図3の各図は、図1に示す電池回路10を模式的に描画したものである。図3(a)は、第1電池モジュール21および第2電池モジュール31を充電している状態を示している。第1並列リレー22および第2並列リレー32はオン状態であり、入出力部13から電池部に充電電流Ichが流れている。
【0041】
第1電池モジュール21および第2電池モジュール31の充電が完了すると、循環電流を抑制する要求が生じる。この場合、入出力制御ステップによって、入出力部13からの充電電流Ichは、循環キャンセル電流値の指令値に相当する電流指令値Ich*に向かって徐々に近づくように制御される。充電電流Ichが電流指令値Ich*に向かって徐々に近づくことにより、第1電流値I1および第2電流値I2も徐々に低減する。
【0042】
そして、|I1|≦X1を満たす状態となると、図3(b)に示すように、第1直列リレー23をオン状態に切り替える。続いて、図3(c)に示すように、第1並列リレー22をオフ状態に切り替える。その後、図3(d)に示すように、入出力部13の入出力電流を停止すると、第1電池モジュール21,第1抵抗24,第1直列リレー23、第2並列リレー32,第2電池モジュール31によって構成される閉回路に循環電流Icrが流れて、第1電池パック20と第2電池パック30との間の電位差が低減する。この際、閉回路に第1抵抗24が含まれていることにより、循環電流の低減効果を高めることができる。
【0043】
図4は、上記の電池制御処理によって実行される循環電流を抑制した電位調整シーケンスに係るタイムチャートを示している。図4(a)~(g)の縦軸は、それぞれ、入出力電流に相当する充電電流Ich,第1電流値I1、第2電流値I2、第1並列リレー22を流れる電流の電流値I1P、第1直列リレー23を流れる電流の電流値I1S、第2並列リレー32を流れる電流の電流値I2P、第2直列リレー33を流れる電流の電流値I2Sを示し、横軸は、時間tを示している。図4(d)~(g)には、各リレーのオンオフ状態についても併記している。図4において、第1電流値I1は、第1電池モジュール21において正極端子から負極端子へと向かう方向に流れる場合を正とし、第2電流値I2は、第2電池モジュール31において正極端子から負極端子へと向かう方向に流れる場合を正とする。充電電流Ichは、入出力部13から出力される場合を正とし、各リレーを流れる電流値I1P,I1S,I2P,I2Sは、高電位側から低電位側へと流れる場合を正とする。
【0044】
図4のタイムチャートは、図3(a)~(d)の状態に対応している。図4の時間t=t0~t1は、図3(a)の状態に対応する。時間t=t0~t1においては、充電電流Ichが徐々に低減するに従い、第1電流値I1、第2電流値I2、電流値I1P、電流値I2Pも同様に徐々に低減する。第1直列リレー23および第2直列リレー33はオフ状態であるため、電流値I1S、電流値I2Sは、零のまま一定である。
【0045】
図4の時間t=t1~t2は、図3(b)(c)の状態に対応する。時間t=t1~t2においては、充電電流Ichは、循環キャンセル電流として適した電流値に維持される。循環キャンセル電流は、第1並列リレー22を流れる循環電流Icrと釣り合う状態であるため、この期間において、第1電流値I1は概ね零のまま一定に維持される。第2電流値I2および電流値I1Sは、一定値であるが、概ね零の状態にはなっていない。第2直列リレー33はオフ状態であるため、電流値I2Sは、概ね零のまま一定である。この期間において、第1直列リレー23をオン状態に切り替え、その後、第1並列リレー22をオフ状態に切り替える。循環キャンセル電流に相当する電流指令値Ich*により入出力部13における入出力電流が制御されることにより、循環電流を打ち消すことができるため、電池回路10を遮断することなく、各電池パック20,30に流れる電流を低減できる。そして、各電池パック20,30に流れる電流を低減した状態で、各リレーを切り替えることができるため、リレーの寿命を確保することができる。
【0046】
図4の時間t=t2以降は、図3(d)の状態に対応する。時間t=t2において、入出力部13に入出力電流の停止指令が送信されると、充電電流Ichは、ほぼステップ状に零に低下する。その後、第1電流値I1および第2電流値I2は、徐々に零に収束する。第1直列リレー23および第2並列リレー32はオン状態であるため、電流値I1Sおよび電流値I2Pも同様に、時間t=t2以降、徐々に零に収束する。図3(d)に示すように、第1直列リレー23がオン状態であり、第1並列リレー22がオフ状態であるようにリレー制御を実行し、電流経路に第1抵抗24が含まれる状態にした上で入出力電流を停止するため、停止時(時間t=t2)において流れる大電流を抑制できる。第1並列リレー22および第2直列リレー33はオフ状態であるため、電流値I1Pおよび電流値I2Sは、零のまま一定である。
【0047】
上記に説明したとおり、リレー制御部15は、電位調整シーケンスにおいて、少なくとも1つの抵抗付電池パックを流れる電流が所定の切替電流閾値以下となった場合に、直列リレーをオン状態に切替えた後で、並列リレーをオフ状態に切り替える。このため、各リレーへの負荷を抑制した状態で各リレーを切り替えることができ、リレーの寿命を確保できる。各電池パック20,30が同様の構成であっても、例えば、各電池モジュール21,31の劣化の程度が相違する等に起因して、各電池モジュール21,31の電位が相違した状態となることがある。この状態で入出力電力を停止すると、電位の高い方の電池パックから電位の低い方の電池パックに突入電流や循環電流が大電流で流れることが懸念される。本実施形態によれば、循環キャンセル電流値に相当する電流指令値*に制御した入出力電流によって循環電流Icrを抑制して、各リレーへの負荷を抑制した状態で各リレーを切り替えることができる。
【0048】
また、リレー制御部15は、入出力制御部16が電池部への充電電流が流れるように入出力部13を制御する場合に、循環電流Icrが放電方向となる抵抗付電池パックに含まれる直列リレーおよび並列リレーを制御することにより電流経路を切り替える。図3に示す例では、循環電流Icrが放電方向となる抵抗付電池パックは、第1電池モジュール21を備える第1電池パック20である。入出力制御部16から電池部への充電電流を、循環キャンセル電流値に相当する電流指令値Ich*に制御することにより循環電流Icrを抑制した状態で各リレーの切替を実行できるため、各リレーへの負荷を抑制でき、リレーの寿命を確保できる。
【0049】
図3、4を用いて、入出力制御部16が電池部への充電電流が流れるように入出力部13を制御する場合について説明したが、電池部から入出力制御部16へと電池部の放電電流が流れるように入出力部13を制御する場合においても、同様である。リレー制御部15は、電池部から入出力制御部16へと電池部の放電電流が流れるように入出力部13を制御する場合に、循環電流Icrが充電方向となる抵抗付電池パックに含まれる直列リレーおよび並列リレーを制御することにより電流経路を切り替える。電池部から入出力制御部16への放電電流を循環キャンセル電流値に相当する電流指令値Ich*に制御することにより循環電流Icrを抑制した状態で各リレーの切替を実行できるため、各リレーへの負荷を抑制でき、リレーの寿命を確保できる。
【0050】
また、図2~4を用いて説明したとおり、リレー制御部15が直列リレーをオン状態に切替えた後、並列リレーをオフ状態に切り替え、その後、入出力制御部16は、循環電流Icrを抑制するように調整された電力の入出力を停止するように入出力部13を制御する。電流経路に抵抗が含まれる状態にした上で入出力電流を停止するため、入出力電流の停止時に流れる大電流を抑制できる。
【0051】
なお、入出力制御部16は、各電池モジュール21,31の電圧または各電池パック20,30の電圧と、各電池モジュール21,31の内部抵抗とに基づいて、循環電流Icrの電流方向および大きさを推測するように構成されていてもよい。さらには、入出力制御部16は、循環電流Icrが各電池モジュール21,31の充放電可能電流の上限値Ib_maxを超過する場合に、循環電流Icrを抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部13を制御するように構成されていてもよい。循環電流Icrとして流れる電流を低減でき、電位調整時間を短縮できる。
【0052】
図5は、図2に示すステップS101の処理の具体例を示す図である。図5に示すステップS201において、循環電流Icrの電流方向および大きさを推測し、ステップS202に進む。
【0053】
ステップS202では、ステップS201の推測結果に基づいて、循環電流Icrの大きさが、第1,第2電池モジュール21、31の充放電可能電流の上限値(Ib_max)を超えるか否かを判定する。Icr>Ib_maxである場合には、ステップS203に進み、循環電流Icrの抑制要求が有ると判定する。Icr≦Ib_maxである場合には、ステップS204に進み、循環電流Icrの抑制要求が無いと判定する。
【0054】
また、各抵抗付電池パックが備える抵抗は、循環電流Icrに影響する所定の電池パラメータに基づいて抵抗値を調整可能であってもよい。循環電流Icrとして流れる電流を効果的に低減でき、電位調整に要する時間を短縮できる。抵抗値を調整する手段としては、例えば、抵抗の個数を調整することが挙げられるが、他の抵抗値を調整する手段を用いることもできる。
【0055】
循環電流Icrに影響する所定の電池パラメータとは、各電池モジュール21,31の、電圧、温度、劣化度(SOH)、内部抵抗を例示できるが、他のパラメータを用いてもよい。具体的には、各電池モジュール21,31の電圧をパラメータとする場合には、各電池モジュール21,31間の電圧差が高いと循環電流Icrが大きくなるため、抵抗の個数を増やして抵抗値を大きくする。例えば、入出力制御部16は、抵抗値の個数を増やす処理として、第1,第2抵抗24,34の双方を電流経路に含めるようにリレー22,23,32,33のオンオフを切り替える処理を行う。温度をパラメータとする場合には、温度が高いと循環電流Icrが大きくなるため、抵抗の個数を増やして抵抗値を大きくする。劣化度をパラメータとする場合には、劣化度が高いと循環電流Icrが大きくなるため、抵抗の個数を増やして抵抗値を大きくする。内部抵抗をパラメータとする場合には、内部抵抗が高いと循環電流Icrが小さくなるため、抵抗の個数を減らして抵抗値を小さくする。このように抵抗値を調整することにより、突入電流や循環電流を効果的に抑制できる。なお、各電池モジュール21,31の温度および劣化度は、内部抵抗と関わりがあり、温度が高い状態および劣化度が高い状態は、内部抵抗が低い状態に対応する。
【0056】
リレー制御部15は、電池部の負荷要求がある場合には、第1モードを選択し、並列リレーをオン状態に切り替えた後に直列リレーをオフ状態に切り替えることにより電位調整シーケンスを終了する。電流経路に抵抗を含まない並列リレー側から負荷要求に応じて電池モジュールから放電させることができる。また、リレー制御部15は、電池部の負荷要求がない場合には、直列リレーをオフ状態に切り替えることにより電位調整シーケンスを終了するため、不要に並列リレーをオン状態に切り替える処理を実行することを回避できる。
【0057】
また、直列リレーがオン状態の際に電池部の負荷要求があった場合には、入出力制御部16は、循環電流Icrを抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部13を制御し、リレー制御部15は、直列リレーをオフ状態とした後、並列リレーをオン状態とするように構成されていてもよい。循環電流Icrを抑制した状態で各リレーの切替を実行できるため、各リレーへの負荷を抑制でき、リレーの寿命を確保できる。
【0058】
リレー制御部15は、直列リレーがオン状態である場合に並列リレーをオン状態に切り替えたときの循環電流Icrの推測値を推測し、循環電流Icrの推測値が電池モジュールの充放電可能電流の上限値Ib_max以下となった場合に、並列リレーをオン状態に切り替えるように構成されていてもよい。循環電流として流れる電流値を低減でき、電位調整に要する時間を短縮できる。
【0059】
(第2実施形態)
第1実施形態では、2つの電池パックが並列に接続して電池部を構成している場合を例示して説明したが、これに限定されない。3つ以上の電池パックが並列に接続して電池部が構成されていてもよい。第2実施形態では、図6に示すように、3つの電池パックが並列に接続されている場合を例示して説明する。
【0060】
図6に示す電池回路は、第2電池パック30と、入出力部13との間に、第3電池パック40が備えられている点において、図1に示す電池回路10と相違している。第3電池パック40は、複数の2次電池が直列接続した第3電池モジュール41と、第3電池モジュール41の高電位側に接続する第3並列リレー42、第3直列リレー43および第3抵抗44とを備える。また、第3電池モジュール41は、他の電池パック20,30と同様に、第3電池モジュール41の低電位側に接続された第3電流センサ45を備える。第3電流センサ45は、第3電池モジュール41の電流もしくは第3電池パック40の電流を検出する手段として利用できる。第3電流センサ45の検出値(以下、第3電流値I3)は、リレー制御部15に入力される。電圧センサ17は、第3電池モジュール41の電圧を検出する。なお、電圧センサ17が検出する電池電圧は、電池モジュールの端子電圧に限らず、電池モジュールを構成する電池セルの電圧であってもよい。
【0061】
なお、図6では、高電位側リレー11及び低電位側リレー12と、第2電池パック30および第3電池パック40の間に設けられた高電位側リレーおよび低電位側リレーとの図示を省略している。第3並列リレー42、第3直列リレー43および第3抵抗44は、第3電池モジュール41の低電位側に接続されていてもよい。
【0062】
図7(a)~(c)は、電池回路を模式的に示す図である。なお、図7では、入出力部13が充電装置として機能できる場合を例にして説明する。
【0063】
図7(a)に示すように、第1並列リレー22、第2並列リレー32および第3並列リレー42はオン状態であり、入出力部13から電池部に充電電流Ichが流れている。
【0064】
以下では、第1,第2電池モジュール21,31に流れる循環電流の方向は、第1,第2電池モジュール21,31から放電する方向とし、第3電池モジュール41に流れる循環電流の方向は、第3電池モジュール41を充電する方向とする。
【0065】
入出力制御部16は、第1電圧V1、第2電圧V2、および電圧センサ17により検出された第3電池モジュール41の電圧(以下、第3電圧V3)に基づいて、循環電流の方向が放電方向となる電池モジュールを特定する。図7に示す例では、入出力制御部16は、第1,第2電池モジュール21,31が放電方向となる電池モジュールであると特定する。
【0066】
入出力制御部16は、第1~第3電圧V1~V3に基づいて、放電方向となる第1,第2電池モジュール21,31のうち、循環電流の大きさが最小となる電池モジュールを特定する。入出力制御部16は、例えば、第1~第3電圧V1~V3に基づいて、循環電流の大きさが最小となる電池パックを特定すればよい。図7に示す例では、入出力制御部16は、第1電池モジュール21が、循環電流の大きさが最小である電池パックであると特定する。
【0067】
入出力制御部16は、循環電流の大きさが最小となる第1電池パック20を流れる第1電流値I1の絶対値が切替電流閾値(第1電流閾値X1)以下となるように、入出力部13の出力電力を制御する。具体的には例えば、入出力制御部16は、入出力部13から第1電池モジュール21に供給される充電電流が、第1電池モジュール21に流れる循環電流の大きさと同じになるように、電流指令値Ich*を算出し、入出力部13の出力電力を制御する。これにより、入出力部13から出力される充電電流を極力少なくしつつ、循環電流を抑制できる。
【0068】
その後、|I1|≦X1を満たす状態で、リレー制御部15は、図7(b)に示すように第1直列リレー23をオン状態に切り替え、続いて、図7(c)に示すように第1並列リレー22をオフ状態に切り替える。図示していないが、その後、図3(d)と同様に、入出力部13の入出力電流を停止してもよい。
【0069】
第2実施形態では、電池部は、互いに並列接続された3つの抵抗付電池パックである第1~第3電池パック20,30,40を含んでいる。この場合、入出力制御部16は、第1~第3電池パック20,30,40のうち、例えば循環電流Icrの大きさが最小となる第1電池パック20に流れる電流が切替電流閾値(第1電流閾値X1)以下となるように、入出力部13による入出力電力を制御する。入出力部13による入出力電力を最小限に抑制して電位調整シーケンスを実行することが可能となる。
【0070】
さらに、入出力制御部16は、循環電流Icrの大きさが最小となる抵抗付電池パックに含まれる直列リレーまたは並列リレーを流れる電流の電流方向に応じて、入出力部13から電池部への電流を充電電流とするか放電電流とするかを判断するように構成されていてもよい。
【0071】
入出力部13が充電装置として機能することに代えて、入出力部13が放電装置として機能したり、入出力部13が充放電装置として機能したりしてもよい。まず、入出力部13が放電装置(例えばDCDCコンバータ)として機能できる場合について説明する。放電装置は、電池モジュール側からの電力を受け入れる機能を有する。
【0072】
入出力制御部16は、第1~第3電圧V1~V3に基づいて、循環電流の方向が充電方向となる電池モジュールを特定する。以下に説明する例では、入出力制御部16は、第1,第2電池モジュール21,31が充電方向となる電池モジュールであると特定する。
【0073】
入出力制御部16は、第1~第3電圧V1~V3に基づいて、充電方向となる第1,第2電池モジュール21,31のうち、循環電流の大きさが最小となる電池モジュールを特定する。以下に説明する例では、入出力制御部16は、第1電池モジュール21が、循環電流の大きさが最小であると特定する。
【0074】
入出力制御部16は、循環電流の大きさが最小となる第1電池パック20を流れる第1電流値I1の絶対値が切替電流閾値(第1電流閾値X1)以下となるように、入出力部13の入力電力を制御する。具体的には例えば、入出力制御部16は、第1電池モジュール21から入出力部13へと流れる放電電流が、第1電池モジュール21に流れる循環電流の大きさと同じになるように、電流指令値Ich*を算出し、入出力部13の入力電力を制御する。その後、|I1|≦X1を満たす状態で、リレー制御部15は、第1直列リレー23をオン状態に切り替え、続いて、第1並列リレー22をオフ状態に切り替える。
【0075】
続いて、入出力部13が放電装置又は充電装置のどちらにも機能できる場合について説明する。
【0076】
入出力制御部16は、第1~第3電圧V1~V3に基づいて、第1,第2,第3電池モジュール21,31,41のうち、循環電流の大きさが最小となる電池モジュールを特定する。以下に説明する例では、入出力制御部16は、第1電池モジュール21が、循環電流の大きさが最小であると特定する。入出力制御部16は、第1電池モジュール21に流れる循環電流の方向が、第1電池モジュール21の充電方向又は放電方向のいずれであるかを判定する。
【0077】
入出力制御部16は、第1電池モジュール21に流れる循環電流の方向が放電方向であると判定した場合、入出力部13から第1電池モジュール21に供給される充電電流が、第1電池モジュール21に流れる循環電流の大きさと同じになるように、電流指令値Ich*を算出し、入出力部13の出力電力を制御する。
【0078】
一方、入出力制御部16は、第1電池モジュール21に流れる循環電流の方向が充電方向であると判定した場合、第1電池モジュール21から入出力部13へと流れる放電電流が、第1電池モジュール21に流れる循環電流の大きさと同じになるように、電流指令値Ich*を算出し、入出力部13の入力電力を制御する。
【0079】
(第3実施形態)
上記の各実施形態では、電池部を構成する複数の抵抗付電池パックのうち、1つの電池パックのみにおいて電位調整シーケンスに係るリレーの切替を実行したが、これに限定されない。複数の電池パックにおいて、電位調整シーケンスを実行してもよい。
【0080】
図8の各図は、図3と同様に、図1に示す電池回路10を模式的に描画したものである。図8(a)は、図3(a)と同様に、第1電池モジュール21および第2電池モジュール31を充電している状態を示している。第1並列リレー22および第2並列リレー32はオン状態であり、入出力部13から電池部に充電電流Ichが流れている。第1電池モジュール21および第2電池モジュール31の充電が完了すると、循環電流を抑制する要求が生じて、入出力制御ステップによって、充電電流Ichは、循環キャンセル電流値に相当する電流指令値Ich*に向かって徐々に低減するように制御される。充電電流Ichは、電流指令値Ich*に向かって徐々に低減するに従って、第1電流値I1および第2電流値I2も徐々に低減する。
【0081】
そして、|I1|≦X1を満たす状態となると、図8(b)に示すように、第1直列リレー23をオン状態に切り替える。続いて、図8(c)に示すように、第1並列リレー22をオフ状態に切り替える。その後、|I2|≦X2を満たす状態となると、図8(d)に示すように、第2直列リレー33をオン状態に切り替えた後、第2並列リレー32をオフ状態に切り替える。図示していないが、その後、図3(d)と同様に、入出力部13の入出力電流を停止する。電池部を構成する複数の抵抗付電池パックの電位が高い場合には、複数の抵抗(第1抵抗24および第2抵抗34)を用いて電位調整シーケンスに係るリレーの切替を実行するように構成することにより、入出力電力の停止時において流れる大電流を効果的に抑制できる。例えば、電池部を構成する複数の抵抗付電池パックの電位に対し、大きさの異なる複数の電位閾値を設定しておき、より大きい電位閾値を超えるほど、電位調整シーケンスに係るリレーの切替を実行する際に用いる抵抗の個数を増加させるように構成してもよい。
【0082】
(変形例)
上記の各実施形態においては、入出力部13が充放電装置である場合を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、図9に示すように、DC-DCコンバータ93と車両の補機電池94が接続されたものであってもよい。もしくは、エアコンプレッサ、ヒータ、その他の負荷であってもよい。上記のとおり、本願における入出力部は、入力と出力との双方が可能な構成に限定されず、入力と出力とのいずれか一方のみの機能しか有さない構成であってもよい。
【0083】
また、上記の各実施形態においては、互いに並列接続された抵抗付電池パックによって電池部が構成されている場合を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、図10に示すように、第1電池パック20と同様の電池パックと、抵抗、直列リレーおよび並列リレーを含まず、電池モジュール51のみを含む電池パックとが互いに並列接続されることにより電池部が構成されていてもよい。抵抗付電池パックは、電池部を構成する互いに並列接続された電池パックにおいて少なくとも1つ含まれていればよい。
【0084】
また、図11に示すように、電池部は、各電池パックの接続状態を並列/直列に切り替え可能に構成されていてもよい。この場合、各電池パックを並列に接続した場合に、上記に説明した電池制御の手法を適用できる。図11に示すように、電池モジュール61と、並列リレー62と、直列リレー63と、抵抗64とを備える左側の電池パックは、電池モジュール71と、並列リレー72と、直列リレー73と、抵抗74とを備える右側の電池パックと、リレー81~83により接続されている。リレー81は、各電池パックの高電位側を互いに接続する。リレー82は、各電池パックの低電位側を互いに接続する。リレー83は、電池モジュール61の低電位側と、並列リレー72および直列リレー73の高電位側とを互いに接続する。配線84は、入出力部13の高電位側と、並列リレー62および直列リレー63の高電位側とを互いに接続する。リレー83をオフ状態とし、リレー81およびリレー82をオン状態とすることにより、各電池パックを並列接続できる。リレー83をオン状態とし、リレー81およびリレー82をオフ状態とすることにより、各電池パックを直列接続できる。
【0085】
上記の各実施形態によれば、下記の効果を得ることができる。
【0086】
電池制御装置9は、二次電池である電池モジュール(第1~第3電池モジュール21,31,41)を少なくとも含む複数の電池パック(第1~第3電池パック20,30,40)が並列に接続された電池部と、電池部に電力を入出力する入出力部13とを備える電池回路10を制御する。複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、電池モジュールに直列接続する抵抗(第1~第3抵抗24,34,44)と、抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレー(第1~第3直列リレー23,33,43)と、抵抗および直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレー(第1~第3直列リレー22,32,43)とを備える抵抗付電池パックである。
【0087】
電池制御装置9は、直列リレーおよび並列リレーのオンオフを制御するリレー制御部15と、入出力部13と電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御部16と、を備える。入出力制御部16は、リレー制御部15が直列リレーおよび並列リレーのオンオフ制御により複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、循環電流の大きさとに基づいて、循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部13を制御する。このため、循環電流が抑制された状態で直列リレーおよび並列リレーのオンオフを制御して電位調整シーケンスを実行することができ、電池回路10の電位調整のためにリレーを切り替える際のリレーへの負荷を抑制できる。その結果、リレーを長寿命化することができ、交換コストを低減することに寄与できる。また、リレーの容量を低減することができ、部品コストを低減することに寄与できる。
【0088】
リレー制御部15は、電位調整シーケンスにおいて、抵抗付電池パックのうちの少なくとも1つの抵抗付電池パックを流れる電流が所定の切替電流閾値以下となった場合に、直列リレーをオン状態に切替えた後で、並列リレーをオフ状態に切り替える。このため、各リレーへの負荷を抑制した状態で各リレーを切り替えることができ、リレーの寿命を確保できる。
【0089】
リレー制御部15は、入出力制御部が電池部から放電電流が流れるように入出力部を制御する場合に、循環電流が充電方向となる抵抗付電池パックに含まれる直列リレーまたは並列リレーを制御することにより電流経路を切り替える。また、リレー制御部15は、入出力制御部が電池部への充電電流が流れるように入出力部を制御する場合に、循環電流が放電方向となる抵抗付電池パックに含まれる直列リレーまたは並列リレーを制御することにより電流経路を切り替える。循環電流と入出力電力の電流方向が対向するように電流経路を切替えることにより、入出力電力を循環キャンセル電流として利用できる。
【0090】
電池部は、互いに並列接続された少なくとも3つの抵抗付電池パックを含んでいてもよい。この場合、入出力制御部16は、電池部に含まれる少なくとも3つの抵抗付電池パックのうち、循環電流の大きさが最小となる抵抗付電池パックに流れる電流が切替電流閾値以下となるように、入出力部による入出力電力を制御するように構成されていることが好ましい。入出力部13による入出力電力を最小限に抑制して電位調整シーケンスを実行することが可能となる。さらに、入出力制御部16は、循環電流の大きさが最小となる抵抗付電池パックに含まれる直列リレーまたは並列リレーを流れる電流の電流方向に応じて、入出力部から電池部への電流を充電電流とするか放電電流とするかを判断するように構成されていてもよい。
【0091】
リレー制御部15が直列リレーをオン状態に切替え、並列リレーをオフ状態に切り替えた後に、入出力制御部16は、循環電流を抑制するように調整された電力の入出力を停止するように入出力部13を制御するように構成されていてもよい。電流経路に抵抗が含まれる状態にした上で入出力電流を停止するため、入出力電流の停止時に流れる大電流を抑制できる。
【0092】
抵抗付電池パックが備える抵抗は、循環電流に影響する所定の電池パラメータに基づいて抵抗値を調整可能であってもよい。循環電流として流れる電流を効果的に低減でき、電位調整に要する時間を短縮できる。
【0093】
入出力制御部16は、電池モジュールの電圧または電池パックの電圧と、電池モジュールの内部抵抗とに基づいて、循環電流方向および循環電流の大きさを推測し、循環電流が電池モジュールの充放電可能電流の上限値を超過する場合に、循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部13を制御するように構成されていてもよい。循環電流として流れる電流値を低減でき、電位調整に要する時間を短縮できる。
【0094】
電池部が互いに並列接続された少なくとも2つの抵抗付電池パックを含む場合、リレー制御部15は、直列リレーがオン状態にされるとともに並列リレーがオフ状態にされて循環電流が抵抗を経由して流れている場合に、電池部の負荷要求に応じて、電位調整シーケンスを変更するように構成されていてもよい。具体的には、例えば、リレー制御部15は、電池部の負荷要求がある場合には、並列リレーをオン状態に切り替えた後に直列リレーをオフ状態に切り替えることにより電位調整シーケンスを終了するように構成されていてもよい。電流経路に抵抗を含まない並列リレー側から負荷要求に応じて電池モジュールから放電させることができる。また、リレー制御部15は、電池部の負荷要求がない場合には、直列リレーをオフ状態に切り替えることにより電位調整シーケンスを終了するように構成されていてもよい。不要に並列リレーをオン状態に切り替える処理を実行することを回避できる。さらには、リレー制御部15は、直列リレーがオン状態である場合に並列リレーをオン状態に切り替えたときの循環電流の推測値を推測し、循環電流の推測値が電池モジュールの充放電可能電流の上限値以下となった場合に、並列リレーをオン状態に切り替えるように構成されていてもよい。循環電流として流れる電流値を低減でき、電位調整に要する時間を短縮できる。
【0095】
直列リレーがオン状態の際に電池部の負荷要求があった場合には、入出力制御部16は、循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部13を制御し、リレー制御部15は、直列リレーをオフ状態とした後、並列リレーをオン状態とするように構成されていてもよい。循環電流を抑制した状態で各リレーの切替を実行できるため、各リレーへの負荷を抑制でき、リレーの寿命を確保できる。
【0096】
電池制御装置9は、電池制御プログラムを実行することにより、上記に説明した各構成が実行する電池制御処理を実行可能に構成されていてもよい。この電池制御プログラムは、コンピュータに、直列リレーおよび並列リレーのオンオフを制御するリレー制御ステップと、入出力部13と電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御ステップとを実行させる。入出力制御ステップは、リレー制御ステップにおいて直列リレーおよび並列リレーのオンオフ制御により複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、循環電流の大きさとに基づいて、循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように入出力部13の制御を実行する。
【0097】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0098】
以下、上述した各実施形態から抽出される特徴的な構成を記載する。
[構成1]
二次電池である電池モジュール(21,31,41)を少なくとも含む複数の電池パック(20,30,40)が並列に接続された電池部と、電池部に電力を入出力する入出力部(13)とを備える電池回路(10)を制御する電池制御装置(9)であって、
前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、前記電池モジュールに直列接続する抵抗(24,34,44)と、前記抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレー(23,33,43)と、前記抵抗および前記直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレー(22,32,42)とを備える抵抗付電池パックであり、
前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフを制御するリレー制御部(15)と、
前記入出力部と前記電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御部(16)と、を備え、
前記入出力制御部は、前記リレー制御部が前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフ制御により前記複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、前記複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、前記循環電流の大きさとに基づいて、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部を制御する電池制御装置。
[構成2]
前記リレー制御部は、前記電位調整シーケンスにおいて、前記抵抗付電池パックのうちの少なくとも1つの前記抵抗付電池パックを流れる電流が所定の切替電流閾値以下となった場合に、前記直列リレーをオン状態に切替えた後で、前記並列リレーをオフ状態に切り替える構成1に記載の電池制御装置。
[構成3]
前記リレー制御部は、前記入出力制御部が前記電池部から放電電流が流れるように前記入出力部を制御する場合に、前記循環電流が充電方向となる前記抵抗付電池パックに含まれる前記直列リレーまたは前記並列リレーを制御することにより電流経路を切り替える構成2に記載の電池制御装置。
[構成4]
前記リレー制御部は、前記入出力制御部が前記電池部への充電電流が流れるように前記入出力部を制御する場合に、前記循環電流が放電方向となる前記抵抗付電池パックに含まれる前記直列リレーまたは前記並列リレーを制御することにより電流経路を切り替える構成2に記載の電池制御装置。
[構成5]
前記電池部は、互いに並列接続された少なくとも3つの前記抵抗付電池パックを含み、
前記入出力制御部は、前記電池部に含まれる少なくとも3つの前記抵抗付電池パックのうち、前記循環電流の大きさが最小となる前記抵抗付電池パックに流れる電流が前記切替電流閾値以下となるように、前記入出力部による入出力電力を制御する構成2に記載の電池制御装置。
[構成6]
前記入出力制御部は、前記循環電流の大きさが最小となる前記抵抗付電池パックに含まれる前記直列リレーまたは前記並列リレーを流れる電流の電流方向に応じて、前記入出力部から前記電池部への電流を充電電流とするか放電電流とするかを判断する構成5に記載の電池制御装置。
[構成7]
前記リレー制御部が前記直列リレーをオン状態に切替え、前記並列リレーをオフ状態に切り替えた後に、前記入出力制御部は、前記循環電流を抑制するように調整された電力の入出力を停止するように前記入出力部を制御する構成2~6のいずれかに記載の電池制御装置。
[構成8]
前記抵抗付電池パックが備える前記抵抗は、前記循環電流に影響する所定の電池パラメータに基づいて抵抗値を調整可能である構成1~7のいずれかに記載の電池制御装置。
[構成9]
前記入出力制御部は、前記電池モジュールの電圧または前記電池パックの電圧と、前記電池モジュールの内部抵抗とに基づいて、前記循環電流方向および前記循環電流の大きさを推測し、前記循環電流が前記電池モジュールの充放電可能電流の上限値を超過する場合に、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部を制御する構成1~8のいずれかに記載の電池制御装置。
[構成10]
前記電池部は、互いに並列接続された少なくとも2つの前記抵抗付電池パックを含み、
前記リレー制御部は、前記直列リレーがオン状態にされるとともに前記並列リレーがオフ状態にされて前記循環電流が前記抵抗を経由して流れている場合に、前記電池部の負荷要求に応じて、前記電位調整シーケンスを変更する構成1~9のいずれかに記載の電池制御装置。
[構成11]
前記リレー制御部は、前記電池部の負荷要求がある場合には、前記並列リレーをオン状態に切り替えた後に前記直列リレーをオフ状態に切り替えることにより前記電位調整シーケンスを終了する構成10に記載の電池制御装置。
[構成12]
前記リレー制御部は、前記電池部の負荷要求がない場合には、前記直列リレーをオフ状態に切り替えることにより前記電位調整シーケンスを終了する構成10に記載の電池制御装置。
[構成13]
前記リレー制御部は、前記直列リレーがオン状態である場合に前記並列リレーをオン状態に切り替えたときの前記循環電流の推測値を推測し、前記循環電流の推測値が前記電池モジュールの充放電可能電流の上限値以下となった場合に、前記並列リレーをオン状態に切り替える構成10に記載の電池制御装置。
[構成14]
前記直列リレーがオン状態の際に前記電池部の負荷要求があった場合には、前記入出力制御部は、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部を制御し、前記リレー制御部は、前記直列リレーをオフ状態とした後、前記並列リレーをオン状態とする構成10に記載の電池制御装置。
[構成15]
二次電池である電池モジュール(21,31,41)を少なくとも含む複数の電池パック(20,30,40)が並列に接続された電池部と、前記電池部に電力を入出力する入出力部(13)とを備え、前記複数の電池パックのうちの少なくとも1つは、前記電池モジュールに直列接続する抵抗(24,34,44)と、前記抵抗に直列接続して配線接続のオンオフを切り替える直列リレー(23,33,43)と、前記抵抗および前記直列リレーに並列に接続して配線接続のオンオフを切り替える並列リレー(22,32,42)とを備える抵抗付電池パック(20,30,40)である電池回路(10)を制御する電池制御装置(9)に適用される電池制御プログラムであって、コンピュータに、
前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフを制御するリレー制御ステップと、
前記入出力部と電池部との間の入出力電力を制御する入出力制御ステップとを実行させ、
前記入出力制御ステップは、前記リレー制御ステップにおいて前記直列リレーおよび前記並列リレーのオンオフ制御により前記複数の電池パック間の電位を調整する電位調整シーケンスを実行する場合に、前記複数の電池パック間に流れる循環電流の電流方向である循環電流方向と、前記循環電流の大きさとに基づいて、前記循環電流を抑制するように調整された電力を入出力するように前記入出力部の制御を実行する電池制御プログラム。
【符号の説明】
【0099】
9‥電池制御装置、10‥電池回路、13‥入出力部、15‥リレー制御部、16‥入出力制御部、20‥第1電池パック、21‥第1電池モジュール、22‥第1並列リレー、23‥第1直列リレー、24‥第1抵抗、30‥第2電池パック、31‥第2電池モジュール、22‥第2並列リレー、23‥第2直列リレー、24‥第2抵抗
図1
図2
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図5
図6
図7
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図9
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図11