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特開2024-120147耐強アルカリ洗浄のメッキ膜及びメッキ加工方法
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  • 特開-耐強アルカリ洗浄のメッキ膜及びメッキ加工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120147
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】耐強アルカリ洗浄のメッキ膜及びメッキ加工方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/08 20060101AFI20240828BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
C23C14/08 N
B32B9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072549
(22)【出願日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】202310155188.6
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523158136
【氏名又は名称】徐州聯超光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xuzhou Lianchao Photoelectric Technology Co,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building C1 and C3, Phase II,Fengxian Intelligent Terminal Industrial Park, Xuzhou City, Jiangsu Province 221018 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】郭 芳偉
【テーマコード(参考)】
4F100
4K029
【Fターム(参考)】
4F100AA20A
4F100AA20B
4F100AA20C
4F100AA20D
4F100AA20E
4F100AA21B
4F100AA21C
4F100AA21D
4F100AB24D
4F100AB24E
4F100AG00E
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100EH66A
4F100EH66B
4F100EH66C
4F100EH66D
4F100EH66E
4F100EH71A
4F100EH71B
4F100EH71C
4F100EH71D
4F100EH71E
4F100EJ85
4F100GB41
4F100GB71
4F100JB01
4F100JJ03
4F100JJ04
4F100JK02
4K029AA09
4K029BA02
4K029BA46
4K029BA48
4K029BB02
4K029BC01
4K029CA05
4K029DC02
4K029DC05
4K029DC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薄膜の強度及び薄膜の密度を保証し、耐酸・耐アルカリ性を向上させた薄膜、並びにその形成方法を提供する。
【解決手段】本発明は、二酸化ケイ素メッキ層2、五酸化三チタン3、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層4、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層が順に設けられたガラス基板1を含む耐強アルカリ洗浄のメッキ膜を提供する。メッキ加工方法は、S1:ガラス基材を提供することと、S2:メッキ加工スパッタ装置を5.00*10-3PAに真空引きすることと、S3:材料を予備溶融すること、即ち、キャビティ内で3セットの陰極ターゲットを固定し、装置の電流強度を440MAに設定することにより五酸化三チタン固体を加熱して液体に予備溶融し、固体粉末形態のランタノイド材料を二酸化チタンターゲット及び五酸化タンタルと混合することと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層が順に設けられたガラス基板を含む、ことを特徴とする耐強アルカリ洗浄のメッキ膜。
【請求項2】
ランタノイド材料メッキ層は、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムのうちの1つ又は複数の混合を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の耐強アルカリ洗浄のメッキ膜。
【請求項3】
前記ランタノイド材料には、タンタル元素及びチタン元素が更に混合されている、ことを特徴とする請求項1に記載の耐強アルカリ洗浄のメッキ膜。
【請求項4】
耐強アルカリ洗浄メッキ膜のメッキ加工方法であって、
S1:ガラス基材を提供するステップと、
S2:メッキ加工スパッタ装置を5.00*10-3PAに真空引きするステップと、
S3:材料を予備溶融する、即ち、キャビティ内で3セットの陰極ターゲットを固定し、装置の電流強度を440MAに設定することにより五酸化三チタン固体を加熱して液体に予備溶融し、固体粉末形態のランタノイド材料を二酸化チタンターゲット及び五酸化タンタルと混合し、装置電流の強度を480MAに設定することにより加熱して液体に予備溶融し、ランタノイド材料にチタン元素及びタンタル元素を混合させ、それぞれ降温後に固体陰極ターゲットを形成し、二酸化ケイ素は3セット目の陰極ターゲットとして使用されるステップと、
S4:材料を蒸着メッキする、即ち、酸素ガスとアルゴンガスを1:3~5の割合で注入し、スパッタ装置によってアルゴンガスをイオン化し、イオン衝撃によって陰極の陰極ターゲットを衝撃し、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層の順にスパッタリングし、得られた五酸化三チタンメッキ膜の厚さは450nm、使用される電流は420MA、速度は3.5Å/secであり、二酸化ケイ素メッキ膜の厚さは418nm、電流は180MA、速度は8.0Å/secであり、ランタノイド材料混合物メッキ膜の厚さは53nm、電流は460MA、速度は2.5Å/secであるステップと
S5:圧力を30分間維持するステップと、
S6:ガスリリーフを実行するステップと、
S7:耐アルカリ洗浄測定スペクトルによって検査し、梱包し、後続の流れに進むステップと、を含む、ことを特徴とする耐強アルカリ洗浄メッキ膜のメッキ加工方法。
【請求項5】
蒸着メッキプロセスにおいて、アルゴンガスと酸素ガスの割合及び量を調節し、二酸化ケイ素と五酸化三チタンをメッキする場合、総注入量はキャビティの1%と0.8%、酸素ガスとアルゴンガスの注入割合は1:3と2:5であり、ランタノイド材料メッキ層をメッキする場合、総注入量はキャビティの0.4%、酸素ガスとアルゴンガスの注入割合は1:5である、ことを特徴とする請求項4に記載の耐強アルカリ洗浄メッキ膜の加工方法。
【請求項6】
予備溶融の温度は1800℃~2000℃であることを特徴とする請求項1に記載の耐強アルカリ洗浄メッキ膜の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズメッキ加工分野に関し、特に耐強アルカリ洗浄のメッキ膜及びメッキ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空成膜プロセスは、一般的に真空キャビティ、空気抽出システム、加熱システム、成膜材料加熱システム及び監視システムで構成され、成膜製品は、携帯カメラ、カメラ、プロジェクター、防犯カメラなどに広く使用されている。
【0003】
現在、中国で一般的に使用されているのは、TI3O5/SIO2を使用した加熱成膜であり、その成膜構造は層状で緻密性が低いため(図1)、後続の環境試験での使用寿命が比較的短く、実際には装置の内部付属品としてしか使用できず、また洗浄時の耐アルカリ性(PH≧12、温度:70度、時間:5分間)も低く、製品の製造プロセスに支障をもたらす。手作業による拭き取り作業を行うには、より多くの労力を必要とする。
【発明の概要】
【0004】
上記技術問題を解決するために、本発明は、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層が順に設けられたガラス基板を含む耐強アルカリ洗浄のメッキ膜を提供する。
【0005】
好ましくは、ランタノイド材料メッキ層は、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムのうちの1つ又は複数の混合を含む。
【0006】
好ましくは、上記ランタノイド材料には、タンタル元素及びチタン元素が更に混合されている。
【0007】
耐強アルカリ洗浄メッキ膜のメッキ加工方法であって、以下のステップを含む:
S1:ガラス基材を提供する、
S2:メッキ加工スパッタ装置を5.00*10-3Paに真空引きする、
S3:材料を予備溶融する、即ち、キャビティ内で3セットの陰極ターゲットを固定し、装置の電流強度を440MA(メガアンペア;以下、同様である)に設定することにより五酸化三チタン固体を加熱して液体に予備溶融し、固体粉末形態のランタノイド材料を二酸化チタンターゲット及び五酸化タンタルと混合し、装置電流の強度を480MAに設定することにより加熱して液体に予備溶融し、ランタノイド材料にチタン元素及びタンタル元素を混合させ、それぞれ降温後に固体陰極ターゲットを形成し、二酸化ケイ素は3セット目の陰極ターゲットとして使用される、
S4:材料を蒸着メッキする、即ち、酸素ガスとアルゴンガスを1:3~5の割合で注入し、スパッタ装置によってアルゴンガスをイオン化し、イオン衝撃によって陰極の陰極ターゲットを衝撃し、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層の順にスパッタリングし、得られた五酸化三チタンメッキ膜の厚さは450nm、使用される電流は420MA、速度は3.5Å/secであり、二酸化ケイ素メッキ膜の厚さは418nm、電流は180MA、速度は8.0Å/secであり、ランタノイド材料混合物メッキ膜の厚さは53nm、電流は460MA、速度は2.5Å/secである、
S5:圧力を30分間維持する、
S6:ガスリリーフを実行する、
S7:耐アルカリ洗浄測定スペクトルによって検査し、梱包し、後続の流れに進む。
【0008】
好ましくは、蒸着メッキプロセスにおいて、アルゴンガスと酸素ガスの割合及び量を調節し、二酸化ケイ素と五酸化三チタンをメッキする場合、総注入量はキャビティの1%と0.8%、酸素ガスとアルゴンガスの注入割合は1:3と2:5であり、ランタノイド材料メッキ層をメッキする場合、総注入量はキャビティの0.4%、酸素ガスとアルゴンガスの注入割合は1:5である。
【0009】
好ましくは、予備溶融の温度は1800℃~2000℃である。
【0010】
本発明に提供される耐強アルカリ洗浄のメッキ膜には、以下の有益な効果がある:本発明は、イオン源成膜プロセスによってTI3O5/SIO2を使用して成膜し、同時に適量のランタノイド材料を加えて加工成膜を行い、その成膜構造が柱状であり(図面2)、緻密性がより優れる。また、メッキ加工プロセスは、酸素ガスとアルゴンガスの割合を調整することで、薄膜の強度及び薄膜の密度を保証し、耐酸・耐アルカリ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明する。
図1】従来技術における一般的な二酸化ケイ素と五酸化三チタンメッキ膜の微視図である。
図2】本発明に係るメッキ膜の構成図である。
図3】本発明に係るメッキ膜の微視図である。 [表1]本発明に係る信頼性試験報告テスト方法のサマリー表である。 [表2]本発明に係るメッキ加工分光試験表である。 [表3]本発明に係る洗浄分光試験表である。 [表4]本発明に係る高温高湿貯蔵試験表である。 [表5]本発明に係る冷熱衝撃試験表である。 [表6]本発明に係る高温貯蔵試験表である。 [表7]本発明に係る低温貯蔵試験表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例における図面に合わせて、本発明の実施例における技術的解決手段を明らか、完全に説明する。
【0013】
実施例1
耐強アルカリ洗浄のメッキ膜であって、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、セリウム・タンタル・チタン混合層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層が順に設けられたガラス基板を含む。
【0014】
実施例2
耐強アルカリ洗浄のメッキ膜であって、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、ランタニウム・タンタル・チタン混合層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層が順に設けられたガラス基板を含む。
【0015】
実施例3
耐強アルカリ洗浄のメッキ膜であって、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、プラセオジム・タンタル・チタン混合層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層が順に設けられたガラス基板を含む。
【0016】
実施例4
耐強アルカリ洗浄のメッキ膜であって、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、ユウロピウム・タンタル・チタン混合層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層が順に設けられたガラス基板を含む。
【0017】
実施例5
耐強アルカリ洗浄メッキ膜のメッキ加工方法であって、以下のステップを含む:
S1:ガラス基材を提供する、
S2:メッキ加工スパッタ装置を5.00*10-3Paに真空引きする、
S3:材料を予備溶融する、即ち、キャビティ内で3セットの陰極ターゲットを固定し、装置の電流強度を440MAに設定することにより五酸化三チタン固体を加熱して液体に予備溶融し、予備溶融の温度は1800℃であり、固体粉末形態のランタノイド材料を二酸化チタンターゲット及び五酸化タンタルと混合し、ランタノイド金属材料、二酸化チタン及び五酸化タンタルもこの温度下で溶融して混合し、装置の電流強度を480MAに設定することにより加熱して液体に予備溶融し、ランタノイド材料にチタン元素及びタンタル元素を混合させ、それぞれ降温後に固体陰極ターゲットを形成し、二酸化ケイ素は3セット目の陰極ターゲットとして使用される、
S4:材料を蒸着メッキする、即ち、酸素ガスとアルゴンガスをキャビティの1%と0.8%の注入量及び1:3と2:5の割合で注入し、スパッタ装置によってアルゴンガスをイオン化し、イオン衝撃によって陰極の陰極ターゲットを衝撃し、陰極ターゲットはスパッタ装置内部のターンテーブルにより回転し、陰極ターゲットの位置を調整することができ、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層、二酸化ケイ素、ランタノイド材料メッキ層の順にスパッタリングし、ランタノイド材料混合メッキ層をスパッタリングする場合、ガス注入量は0.4%であり、得られた五酸化三チタンメッキ膜の厚さは450nm、使用される電流は420MA、速度は3.5Å/secであり、二酸化ケイ素メッキ膜の厚さは418nm、電流は180MA、速度は8.0Å/secであり、ランタノイド材料混合物メッキ膜の厚さは53nm、電流は460MA、速度は2.5Å/secである、
S5:圧力を30分間維持する、
S6:ガスリリーフを実行する、
S7:耐アルカリ洗浄測定スペクトルによって検査し、梱包し、後続の流れに進む。
【0018】
アルゴンガスと酸素ガスの割合を調整することで、アルゴンガスの割合が上昇し、粒子の動力が増加し、メッキ膜の高密度化が可能となり、従って耐酸・耐アルカリ性・耐候性も強くなる。また、ガス量を増やすことで、膜厚の増加が可能となり、異なる層間のガス注入量を調整することで酸素ガスの割合も変化し、膜厚が変化すると共に酸素ガス量の変化により膜内部の応力が減少し、膜の強度が向上する。
【0019】
比較例
ガラス基板に二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素メッキ層、五酸化三チタン、二酸化ケイ素を順にメッキする。
【0020】
メッキ加工プロセスは以下の通りである:
S1:ガラス基材を提供する、
S2:メッキ加工スパッタ装置を5.00*10-3Paに真空引きする、
S3:材料を予備溶融する、即ち、キャビティ内で2セットの陰極ターゲットを固定し、装置の電流強度を440MAに設定することにより五酸化三チタン固体を加熱して液体に予備溶融し、予備溶融の温度は1800℃であり、二酸化ケイ素を陰極ターゲットとして使用され、それぞれ降温後に固体陰極ターゲットを形成する、
S4:材料を蒸着メッキする、即ち、酸素ガスとアルゴンガスをキャビティの1%の注入量及び1:3の割合で注入し、スパッタ装置によってアルゴンガスをイオン化し、イオン衝撃によって陰極の陰極ターゲットを衝撃し、陰極ターゲットはスパッタ装置内部のターンテーブルにより回転し、陰極ターゲットの位置を調整することができ、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素、五酸化三チタン、二酸化ケイ素の順にスパッタリングする、
S5:圧力を30分間維持する、
S6:ガスリリーフを実行する、
S7:耐アルカリ洗浄測定スペクトルによって検査し、梱包し、後続の流れに進む。
【0021】
上記実施例における製品及び比較例で製造されたメッキ膜に対して以下の試験を行った。
【0022】
メッキ加工分光試験:メッキ加工後の製品に対して分光試験を行い、スペクトル曲線を出力し、スペクトルが仕様の要件を満たすか否かを判定した。詳しい結果は表2に示された。
【0023】
洗浄分光試験:高PH値の溶液で洗浄した後の製品に対して分光試験を行い、スペクトル曲線を出力し、スペクトルは仕様の要件を満たした。詳しい結果は表3に示された。
【0024】
高温高湿貯蔵:1)恒温器の温度を85℃±3℃に設定し、相対湿度を85%±5%に設定した、2)試験サンプルを恒温器で1000h(時間;以下、同様である)放置した、3)サンプルを常温下(25℃±5℃)で24h回復させ、分光、外観、膜層強度の試験を行った。詳しい結果は表4に示された。
【0025】
冷熱衝撃:1)(低温-40℃±2℃(30分間)及び高温85℃±3℃(30分間))を1つの循環とした貯蔵環境で、温度の交替時間を5分間として1000h循環させた、2)サンプルを常温下(25℃±5℃)で24h回復させ、分光、外観、膜層強度の試験を行った。詳しい結果は表5に示された。
【0026】
高温貯蔵:1)恒温器の温度を105℃±3℃に設定し、恒温器で1000h放置した、2)サンプルを常温下(25℃±5℃)で24h回復させ、分光、外観、膜層強度の試験を行った。詳しい結果は表6に示された。
【0027】
低温貯蔵:1)恒温器の温度を-40℃±3℃に設定し、恒温器で1000h放置した、2)サンプルを常温下(25℃±5℃)で24h回復させ、分光、外観、膜層強度の試験を行った。詳しい結果は表7に示された。
【0028】
上記試験において、実施例1~4の製品は、何れも要件を満たし、実施例5の方法により製造された製品は、何れも要件を満たした。その一方、比較例は、高PH値の溶液で浸漬した後、上記実験を行うと、表面に明らかな欠陥が発生し、使用に適しなかった。
【0029】
この製品は、メッキ膜層にランタノイド材料を添加し、タンタル元素及びチタン元素を混合することで、異なるイオンの大きさを別々にして、メッキ加工後に膜層の隙間を減少させた。図1及び図2を参照すると、この実施例のメッキ加工後の微視図から分かるように、メッキ膜の密度が大幅に上昇し、更に耐食性が向上した。また、メッキ膜の密度を増加させる別の要因としてメッキ加工プロセスが挙げられ、メッキ加工プロセスにおいて、アルゴンガスと酸素ガスの割合を調節することで、アルゴンガス量が増加した後、イオンの動力が増加し、更にメッキ膜の密度が増加した。同時に、異なるメッキ層の蒸着メッキは同じキャビティで行い、異なる量の酸素ガスを注入したため、酸素ガス量の変化により異なる層間のメッキ膜の応力が減少し、メッキ膜の強度が向上した。
【0030】
[表1]
【0031】
[表2]
【0032】
[表3]
【0033】
[表4]
【0034】
[表5]
【0035】
[表6]
【0036】
[表7]
【符号の説明】
【0037】
1,ガラス基板
2,二酸化ケイ素メッキ層
3,五酸化三チタン
4,ランタノイド材料メッキ層
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐強アルカリ洗浄メッキ膜のメッキ加工方法であって、
S1:ガラス基材を提供するステップと、
S2:メッキ加工スパッタ装置を5.00×10-3PAに真空引きするステップと、
S3:材料を予備溶融する、即ち、キャビティ内で3セットの陰極ターゲットを固定し、装置の電流強度を440MAに設定することにより五酸化三チタン固体を加熱して液体に予備溶融し、これにより、その降温後に1セット目の陰極ターゲットが形成され、固体粉末形態のランタノイド材料を二酸化チタン及び五酸化タンタルと混合し、装置電流の強度を480MAに設定することにより加熱して液体に予備溶融し、ランタノイド材料にチタン元素及びタンタル元素を混合させ、これにより、その降温後に2セット目の固体陰極ターゲット形成され、二酸化ケイ素は3セット目の陰極ターゲットとして使用されるステップと、
S4:材料を蒸着メッキする、即ち、酸素ガスとアルゴンガスを1:3~5の割合で注入し、スパッタ装置によってアルゴンガスをイオン化し、イオン衝撃によって陰極の陰極ターゲットを衝撃し、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット前記2セット目のランタノイド材料のターゲット前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット前記2セット目のランタノイド材料のターゲットの順にスパッタリングし、得られた五酸化三チタンメッキ膜の厚さは450nm、使用される電流は420A、速度は3.5Å/secであり、二酸化ケイ素メッキ膜の厚さは418nm、電流は180A、速度は8.0Å/secであり、ランタノイド材料混合物メッキ膜の厚さは53nm、電流は460A、速度は2.5Å/secであるステップと
S5:圧力を30分間維持するステップと、
S6:ガスリリーフを実行するステップと、
S7:耐アルカリ洗浄測定スペクトルによって検査し、梱包し、後続の流れに進むステップと、を含む、ことを特徴とする耐強アルカリ洗浄メッキ膜のメッキ加工方法。
【請求項2】
蒸着メッキプロセスにおいて、アルゴンガスと酸素ガスの割合及び量を調節し、二酸化ケイ素と五酸化三チタンをメッキする場合、総注入量はキャビティの1%と0.8%、酸素ガスとアルゴンガスの注入割合は1:3と2:5であり、ランタノイド材料メッキ層をメッキする場合、総注入量はキャビティの0.4%、酸素ガスとアルゴンガスの注入割合は1:5である、ことを特徴とする請求項に記載の耐強アルカリ洗浄メッキ膜の加工方法。
【請求項3】
予備溶融の温度は1800℃~2000℃であることを特徴とする請求項1に記載の耐強アルカリ洗浄メッキ膜の加工方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
耐強アルカリ洗浄メッキ膜のメッキ加工方法であって、以下のステップを含む:
S1:ガラス基材を提供する、
S2:メッキ加工スパッタ装置を5.00×10-3Paに真空引きする、
S3:材料を予備溶融する、即ち、キャビティ内で3セットの陰極ターゲットを固定し、装置の電流強度を440MAに設定することにより五酸化三チタン固体を加熱して液体に予備溶融し、これにより、その降温後に1セット目の陰極ターゲットが形成され、固体粉末形態のランタノイド材料を二酸化チタン及び五酸化タンタルと混合し、装置電流の強度を480MAに設定することにより加熱して液体に予備溶融し、ランタノイド材料にチタン元素及びタンタル元素を混合させ、これにより、その降温後に2セット目の固体陰極ターゲットが形成され、二酸化ケイ素は3セット目の陰極ターゲットとして使用される、
S4:材料を蒸着メッキする、即ち、酸素ガスとアルゴンガスを1:3~5の割合で注入し、スパッタ装置によってアルゴンガスをイオン化し、イオン衝撃によって陰極の陰極ターゲットを衝撃し、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記2セット目のランタノイド材料のターゲット 、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記2セット目のランタノイド材料のターゲットの順にスパッタリングし、得られた五酸化三チタンメッキ膜の厚さは450nm、使用される電流は420A、速度は3.5Å/secであり、二酸化ケイ素メッキ膜の厚さは418nm、電流は180A、速度は8.0Å/secであり、ランタノイド材料混合物メッキ膜の厚さは53nm、電流は460A、速度は2.5Å/secである、
S5:圧力を30分間維持する、
S6:ガスリリーフを実行する、
S7:耐アルカリ洗浄測定スペクトルによって検査し、梱包し、後続の流れに進む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
実施例5
耐強アルカリ洗浄メッキ膜のメッキ加工方法であって、以下のステップを含む:
S1:ガラス基材を提供する、
S2:メッキ加工スパッタ装置を5.00×10-3Paに真空引きする、
S3:材料を予備溶融する、即ち、キャビティ内で3セットの陰極ターゲットを固定し、装置の電流強度を440MAに設定することにより五酸化三チタン固体を加熱して液体に予備溶融し、予備溶融の温度は1800℃であり、これにより、その降温後に1セット目の陰極ターゲットが形成され、固体粉末形態のランタノイド材料を二酸化チタン及び五酸化タンタルと混合し、ランタノイド金属材料、二酸化チタン及び五酸化タンタルもこの温度下で溶融して混合し、装置の電流強度を480MAに設定することにより加熱して液体に予備溶融し、ランタノイド材料にチタン元素及びタンタル元素を混合させ、これにより、その降温後に2セット目の固体陰極ターゲットが形成され、二酸化ケイ素は3セット目の陰極ターゲットとして使用される、
S4:材料を蒸着メッキする、即ち、酸素ガスとアルゴンガスをキャビティの1%と0.8%の注入量及び1:3と2:5の割合で注入し、スパッタ装置によってアルゴンガスをイオン化し、イオン衝撃によって陰極の陰極ターゲットを衝撃し、陰極ターゲットはスパッタ装置内部のターンテーブルにより回転し、陰極ターゲットの位置を調整することができ、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記1セット目の五酸化三チタンのターゲット、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記2セット目のランタノイド材料のターゲット 、前記3セット目の二酸化ケイ素のターゲット、前記2セット目のランタノイド材料のターゲットの順にスパッタリングし、ランタノイド材料混合メッキ層をスパッタリングする場合、ガス注入量は0.4%であり、得られた五酸化三チタンメッキ膜の厚さは450nm、使用される電流は420A、速度は3.5Å/secであり、二酸化ケイ素メッキ膜の厚さは418nm、電流は180A、速度は8.0Å/secであり、ランタノイド材料混合物メッキ膜の厚さは53nm、電流は460A、速度は2.5Å/secである、
S5:圧力を30分間維持する、
S6:ガスリリーフを実行する、
S7:耐アルカリ洗浄測定スペクトルによって検査し、梱包し、後続の流れに進む。