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特開2024-120152マイクロプラスチックを回収するために安全な方法で船舶間にデジタル相互接続を確立するシステム
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  • 特開-マイクロプラスチックを回収するために安全な方法で船舶間にデジタル相互接続を確立するシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120152
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】マイクロプラスチックを回収するために安全な方法で船舶間にデジタル相互接続を確立するシステム
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/32 20060101AFI20240828BHJP
   G08G 3/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B63B35/32 Z
G08G3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209870
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】202311012492
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】523469548
【氏名又は名称】森元 信吉
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森元 信吉
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA25
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181CC15
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF33
5H181MA41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】船舶間に安全なデジタル相互接続を確立して、水環境から最大のマイクロプラスチックを回収するために船舶のルートを最適化するためのシステムを提供する。
【解決手段】マイクロプラスチックを含む水がこれを通って流れる回収ユニットと、マイクロプラスチックの量を定期的に測定することによって第1データセットを生成するように構成された第1センサセットと、局地的な環境条件を監視することによって第2データセットを生成するように構成された第2センサセットと、他の船舶のID、タイムスタンプ、および位置を認証し、他の船舶との間で第1データセットおよび第2データセットを通信するように構成された通信機器と、第1データセット、第2データセット、および他の船舶から受信した通信データを受信して分析し、水環境から最大のマイクロプラスチックを回収するために最適なルートを予測するように構成された処理ユニットと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶間にピアツーピア(P2P)相互接続を確立して、船舶(1)のための最適化された効率的なルートを提示するためのシステムであって、前記システムは、
回収ユニット(40)であって、気泡(20)に付着したマイクロプラスチック(30)を含む水がこれを通って流れる、回収ユニット(40)と、
前記回収ユニット(40)に動作可能に連結された第1センサセット(60)であって、前記回収ユニット(40)を流れる前記マイクロプラスチック(30)の量を定期的に測定することによって第1データセットを生成するように構成された、第1センサセット(60)と、
前記船舶(1)に動作可能に連結された第2センサセット(70)であって、局地的な環境条件を監視することによって第2データセットを生成するように構成された、第2センサセット(70)と、
前記船舶(1)に通信可能に連結された通信機器であって、水環境にある他の船舶との間で前記第1データセットおよび前記第2データセットを通信するように構成された、通信機器と、
前記第1センサセット(60)、前記第2センサセット(70)、および前記通信機器に連結された処理ユニット(90)であって、前記処理ユニット(90)は、前記第1データセット、前記第2データセット、および他の船舶から受信した通信データを受信して解析し、前記水環境から最大量のマイクロプラスチック(30)を効率的に回収するために最適なルートを予測するように構成されている、処理ユニットと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記船舶(1)に連結された気泡生成ユニット(10)であって、気泡(20)を生成するように構成され、前記気泡生成ユニット(10)によって生成された前記気泡(20)に前記マイクロプラスチック(30)が付着する、気泡生成ユニット(10)と、
前記回収ユニット(40)に連結された精製ユニットであって、前記気泡(20)から前記マイクロプラスチック(30)を分離し、分離した前記マイクロプラスチック(30)を回収するように構成された、精製ユニットと、
を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記他の船舶から受信した前記通信データは、前記他の船舶の位置、測定された前記マイクロプラスチックの量、環境条件、および前記他の船舶の最適なルートを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記環境条件は、局地的な潮汐強度、局地的な潮流、局地的な潮汐方向、日照強度、水温、水の塩分濃度、局地的な風速、局地的な風向、気圧、降雨量を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理ユニット(90)に動作可能に連結された表示ユニット(100)であって、前記船舶(1)の最適なルート、前記他の船舶の位置および最適なルートを表示するように構成された、表示ユニット(100)を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記回収ユニット(40)に連結された検査ユニットを更に備え、
前記検査ユニットは、前記回収ユニット(40)を通って流れる水のサンプルを回収して、化学組成、前記水中に存在するウイルスおよび微生物を検査するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
船舶間にデジタル相互接続を確立して、船舶(1)のための最適化された効率的なルートを提示する方法であって、前記方法は、
気泡(20)に付着したマイクロプラスチック(30)を含む水を、回収ユニット(40)を通して流すステップと、
前記回収ユニット(40)と動作可能に連結された第1センサセット(60)において、第1データセットを生成するステップと、
前記船舶(1)と動作可能に連結された第2センサセット(70)において、第2データセットを生成するステップと、
前記第1データセットおよび第2データセットを水環境にある他の船舶との間で通信するステップと、
前記処理ユニット(90)において、前記第1データセット、前記第2データセット、および他の船舶から受信した通信データを受信して解析するステップと、
前記処理ユニット(90)において、前記水環境から最大のマイクロプラスチック(30)を回収するために最適なルートを予測するステップと、
を備える、方法。
【請求項8】
前記第1センサセット(60)は、前記回収ユニット(40)を流れるマイクロプラスチック(30)の量を定期的に測定するように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項9】
前記第2センサセット(70)は、局地的な環境条件を監視するように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記船舶(1)に配置された通信機器から前記船舶(1)の質問信号およびIDを送信するステップと、
前記船舶(1)の前記質問信号および前記IDを、前記水環境にある他の船舶(2)が受信するステップと、
前記IDを前記他の船舶(2)に配置されたデータ記憶メモリに予め記憶されたIDと比較することにより、前記船舶(1)の前記IDを認証するステップと、
認証の際に前記他の船舶(2)の確認IDを送信することにより、前記質問信号に応答するステップと、
前記船舶(1)に配置されたデータ記憶メモリ(84)に記憶されたIDと比較することにより、前記他の船舶(2)から受信した前記確認IDを認証するステップと、
前記第1センサセット、前記第2センサセット、前記船舶(1)の位置、および前記船舶(1)の処理ユニット(90)によって行われたタイムスタンプのデータを暗号化して鍵を生成するステップと、
前記鍵、続いて暗号化された前記データを前記他の船舶(2)に送信するステップと、
前記暗号化されたデータを、前記他の船舶(2)に配置された処理ユニットにより前記鍵を用いて復号化するステップと、
前記第1センサセット、前記第2センサセット、前記他の船舶の位置(2)、および前記他の船舶(2)の前記処理ユニットによって行われたタイムスタンプのデータを暗号化して別の鍵を生成するステップと、
前記別の鍵、続いて暗号化されたデータを前記船舶(1)に送信するステップと、
前記暗号化されたデータを、前記船舶(1)に配置された前記処理ユニット(90)により前記別の鍵を用いて復号化するステップと、
を更に備える、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総じて、水環境にあるマイクロプラスチックの位置予測および回収、並びに、目的地に到達するまでの速度を維持しながら最大量のマイクロプラスチックを回収するための船舶のルートの最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の世界が直面している最も顕著な問題の1つは、水域におけるプラスチック廃棄物の量の急激な増加である。プラスチック廃棄物は、海洋を窒息させ、脆弱な生態系を脅かし、水の生き物を殺している。多くの研究者は、水域のプラスチックの量は今後15年間で倍増し、2050年までに海には(重量ベースで)魚よりも多くのプラスチックが存在することになる可能性がある、と推定している。
【0003】
マイクロプラスチックは、総じて5mm未満の直径を有する小さなプラスチック粒子である。これらのマイクロプラスチックは、化粧品や織物等のような商業的製品の開発と、大きなプラスチックの小さなマイクロプラスチックへの分解と、の両方の結果物である。マイクロプラスチックは、水域、深海、砂浜、北極の雪、そして南極の氷に至るあらゆる場所で見つけることができる。これらのマイクロプラスチックが完全に分解されるまでには、数十年もしくはそれ以上かかる可能性がある。
【0004】
地球上に生息する全ての生物種が、ある程度マイクロプラスチックに曝されている。マイクロプラスチックは、海の生物の中でも最も小さい動物プランクトンからも検出されている。これらのマイクロプラスチックは、魚その他の海洋生物に直接的または間接的に飲み込まれ、最終的に食物連鎖に行き着く。これは人間の健康にも悪影響を及ぼすと推定される。
【0005】
船舶輸送は世界の商取引の大部分を担っているため、船舶に展開して、水環境からのマイクロプラスチックの回収を支援し、更に、目的地に到着するのを遅らせることなく船舶が最大量のマイクロプラスチックを回収できる最適化されたルートを提示できるシステムを開発することは、有利であろう。
【0006】
上記のような現状の技術の限界に鑑み、目的地に到着するのを遅らせることなく船舶が最大量のマイクロプラスチックを回収できるよう、船舶のルートをリアルタイムで最適化できるシステムの開発が、求められている。
【0007】
よって、機器/製品およびその方法を含む従来のアプローチの上記の欠陥は、従来のアプローチの問題点の幾つかの概要を提示することを意図しているにすぎず、網羅的であることを意図したものではない。従来のアプローチに伴う他の問題、並びに本明細書に記載する様々な非限定的な実施形態の方法および対応する利点は、以下の説明を検討することによって更に明らかになり得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明の幾つかの態様の基本的な理解を提供するため、以下に本発明の簡単な要約を提示する。この要約は、本発明の外延の概要ではない。本発明の鍵となる/不可欠の要素を特定したり、発明の範囲を線引きしたりすることを意図するものでもない。後に提示する本発明の更に詳細な説明への前置きとして、本発明の幾つかの概念を簡単な形態で提示することを、唯一の目的とする。
【0009】
従って、本発明の目的は、任意の船舶に取り付けることができ、それによって船舶が水環境からマイクロプラスチックを回収することを可能にするシステムを開発することである。
【0010】
本発明の別の目的は、目的地への到着を遅らせることなく船舶が最大量のマイクロプラスチックを回収できるように、リアルタイムで船舶のルートを最適化できるシステムを開発することである。
【0011】
更に、本発明の別の目的は、ID、タイムスタンプ、経度および緯度を双方向でリアルタイムに表示して確認する安全な方法を介したピアツーピア(P2P)通信により、他の船舶と通信し、他の船舶との間でデータを共有する、船舶を開発することである。
【0012】
故に、一態様において、本発明は、船舶間に相互接続を確立して船舶のための最適化された効率的なルートを提示するためのシステムを提供するものであって、このシステムは、回収ユニットであって、マイクロプラスチックを含む水がこれを通って流れる回収ユニットと、回収ユニットに動作可能に連結された第1センサセットであって、回収ユニットを流れるマイクロプラスチックの量を定期的に測定することによって第1データセットを生成するように構成された、第1センサセットと、船舶に動作可能に連結された第2センサセットであって、局地的な環境条件を監視することによって第2データセットを生成するように構成された、第2センサセットと、船舶に通信可能に連結された通信機器であって、水環境にある他の船舶との間で第1データセットおよび第2データセットを通信するように構成された、通信機器と、第1センサセット、第2センサセット、および前記通信機器に連結された処理ユニットであって、第1データセット、第2データセット、および他の船舶から受信した通信データを受信して解析し、水環境から最大量のマイクロプラスチックを効率的に回収するために最適なルートを予測するように構成された、処理ユニットと、を備える。
【0013】
故に、別の態様において、本発明は、船舶に連結された気泡生成ユニットであって、気泡を生成するように構成され、気泡生成ユニットによって生成された気泡にマイクロプラスチックが付着する、気泡生成ユニットと、回収ユニットに連結された精製ユニットであって、気泡からマイクロプラスチックを分離し、分離したマイクロプラスチックを回収するように構成された、精製ユニットと、を提供する。
【0014】
故に、別の態様において、本発明は、局地的な潮汐強度、局地的な潮流、局地的な潮汐方向、日照強度、水温、水の塩分濃度、局地的な風速、局地的な風向、気圧、降雨量を含む環境条件を提供する。
【0015】
故に、別の態様において、本発明は、処理ユニットに動作可能に連結された表示ユニットであって、船舶の最適なルート、他の船舶の位置および最適なルートを表示するように構成された、表示ユニットを提供する。
【0016】
故に、別の態様において、本発明は、回収ユニットに連結された検査ユニットであって、回収ユニットを流れる水のサンプルを回収して、化学組成、水中に存在するウイルスおよび微生物を検査するように構成された、検査ユニットを提供する。
【0017】
故に、別の態様において、本発明は、船舶間に相互接続を確立して船舶のための最適化された効率的なルートを提示する方法を提供するものであって、この方法は、気泡に付着したマイクロプラスチックを含む水を回収ユニットを通って流すステップと、回収ユニットと動作可能に連結された第1センサセットにおいて第1データセットを生成するステップと、船舶と動作可能に連結された第2センサセットにおいて第2データセットを生成するステップと、第1データセットおよび第2データセットを水環境にある他の船舶との間で通信するステップと、処理ユニットにおいて、第1データセット、第2データセット、および他の船舶から受信した通信データを受信して解析するステップと、処理ユニットにおいて、水環境から最大のマイクロプラスチックを回収するために最適なルートを予測するステップと、を備える。
【0018】
故に、別の態様において、本発明は、回収ユニットを流れるマイクロプラスチックの量を定期的に測定するように構成された第1センサセットを提供する。
【0019】
故に、別の態様において、本発明は、局地的な環境条件を監視するように構成された第2センサセットを提供する。
【0020】
故に、別の態様において、本発明は、船舶に配置された通信機器から船舶の質問信号(interrogation signal)およびIDを送信するステップと、船舶の質問信号およびIDを水環境にある他の船舶が受信するステップと、IDを他の船舶に配置されたデータ記憶メモリに予め記憶されたIDと比較することによって船舶のIDを認証するステップと、認証の際に他の船舶の確認IDを送信することによって質問信号に応答するステップと、船舶に配置されたデータ記憶メモリに記憶されたIDと比較することによって他の船舶から受信した確認IDを認証するステップと、第1センサセット、第2センサセット、船舶の位置、および船舶の処理ユニットによって行われたタイムスタンプのデータを暗号化して鍵を生成するステップと、鍵、続いて暗号化されたデータを、他の船舶に送信するステップと、暗号化されたデータを、他の船舶に配置された処理ユニットにより鍵を用いて復号化するステップと、第1センサセット、第2センサセット、他の船舶の位置、および他の船舶の処理ユニットによって行われたタイムスタンプのデータを暗号化して、別の鍵を生成するステップと、別の鍵、続いて暗号化されたデータを船舶に送信するステップと、暗号化されたデータを、船舶上に配置された処理ユニットにより別の鍵を用いて復号化するステップと、を提供する。
【0021】
本発明の別の態様、利点、および顕著な特徴は、本発明を異なる実施形態において詳述する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
明細書は、本発明を特に示して明確に主張する特許請求の範囲で締めくくられているが、本発明の利点および特徴は、明示的に開示された例示的な実施形態の以下のより詳細な説明を、添付の図面と併せて参照することにより、更によく理解されるであろうと考えられる。以下の図面および詳細な説明は、明示的に開示された例示的な実施形態を示すことのみを意図したものであり、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に採用した、水環境からマイクロプラスチックを回収するための船舶の概略図を示す。
【0024】
図2図2は、本発明の一実施形態に採用した回収ユニットの概略図を示す。
【0025】
図3図3は、本発明の一実施形態に採用した、第1センサセット、第2センサセット、および他の船舶からデータを受信するプロセッサのブロック図を示す。
【0026】
図4図4は、本発明の一実施形態に採用した、水環境から最大量のマイクロプラスチックを回収するために船舶のルートを最適化する方法のフロー図を示す。
【0027】
図5図5は、マイクロプラスチックを最大で回収するために最適化された船舶のルート、並びに他の船舶および最適化されたそれらのルートを表示する表示ユニットの概略図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0028】
例示の目的で本明細書に詳細に記載する例示的な実施形態は、構造および構成において多くの改変の対象となる。しかしながら、本発明は、本明細書に示され記載されるような特定の構成物に限定されないことを強調しておかねばならない。種々の省略および均等物の置換が、状況が示唆し得るようにまたは状況が好転し得るように企図されることが理解されるが、これらは本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく適用や実施をカバーすることを意図するものである。また、本明細書で使用する表現および用語は、説明のためのものであって、限定のためのものと見なされるべきではないことを、理解されたい。
【0029】
本明細書において用語「含む(including)」、「備える/含む(comprising)」、または「有する(having)」およびこれらの変化形の使用は、その後に列挙されたアイテムおよびそれらの同等物、並びに追加のアイテムを包含していることを意味する。
【0030】
更に、本明細書において用語「an」および「a」は、数量の制限を示すものではなく、むしろ言及されたアイテムが少なくとも1つ存在することを示すものである。
【0031】
更に、本明細書において用語「てもよい/し得る(may)」は、必須の意味(すなわち、しなければならない(must)の意味)ではなく、許容の意味(すなわち、可能性を有する(having the potential)の意味)で使用する。
【0032】
更に、本明細書において用語「第1」「第2」等は、如何なる順序も、ランク付も、品質も、重要性も示すものではなく、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために使用する。
【0033】
更に、本明細書において用語「船舶(vessel)」は、水上を航行するために使用される水上機(watercraft)を表すために使用する。船やボートであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0034】
更に、本明細書において用語「水環境(aquatic environment)」は、例えば、河川、海、海洋等の水域を表すものとして用いられている。
【0035】
本発明は、船舶が水環境からマイクロプラスチックを回収することを可能にするシステムの設計を提供する。更に、このシステムは、船舶間に安全なデジタル相互接続を確立し、船舶が水環境から最大量のマイクロプラスチックを回収するために最適化されたルートを提供する。
【0036】
本発明の例示的な実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に採用した、水環境からマイクロプラスチック30を回収するための船舶1の概略図である。船舶1は、貨物船、旅客船、防衛船、調査船、または漁船であり得るが、これらに限定されるものではない。船舶1は、船首部分を備えていてもよい。船首部分は、船舶1の前部に連結された1対の伸長アームであって、1対の伸長アームの間の閉鎖空間において船首および1対の伸長アームの内壁と波との衝突によって自然に気泡20を生成するように構成された、1対の伸長アームを有していてもよい。マイクロプラスチック30は疎水性であるため、マイクロプラスチック30は気泡20に付着し得る。
【0038】
加えて、気泡生成ユニット10を船舶1に設け、船舶1の船首に動作可能に連結してもよい。気泡生成ユニット10は、送風機、空気圧縮機、または気泡20を創出するために使用され得る任意の他の専用システムを備えてもよい。気泡生成装置は、1対の伸長アームの間の閉鎖空間に追加の気泡20を提供するように構成してもよい。
【0039】
気泡に付着したマイクロプラスチック30は、水とともに船首領域から船舶1の底に設けられた回収ユニット40に流れ込み得る。気泡に付着したマイクロプラスチック30は、浮力によって回収ユニット40内を上方に流れ得る。残りの水は、あらゆる海の生物とともに、回収ユニット40を通って流れるであろう。
【0040】
精製ユニット50を設けて回収ユニット40に連結してもよい。精製ユニット50は、気泡20からマイクロプラスチック30を分離し、分離した微粒子を回収してもよい。精製ユニット50は、活性炭フィルタまたは5mm超のものを通さない細かいメッシュフィルタのような単純なフィルタを備えてもよく、或いは、ドラムまたは真空ビンを有し得るダイソン掃除機のような複雑なシステムを備え、気泡に付着した微粒子がドラムや真空ビンの上隅に入り、ビンに入る角度によって螺旋状に回転する遠心力を生じさせて、遠心力を創出してもよい。この力によって気泡20が破裂し、微粒子が飛び出してビンの底に落下する。回収したマイクロプラスチック30は、目的地の陸地に到達した際に回収したマイクロプラスチック30を空にするか、または回収したマイクロプラスチック30を航空機(例えば、ドローン)で持ち去るなどして、除去してもよい。別の実施形態では、回収したマイクロプラスチック30を、超音波またはマイクロ波を用いて船舶1上で燃焼させてもよい。
【0041】
本発明の別の実施形態では、気泡生成ユニット10を回収ユニット40の前方に設けてもよい。気泡生成ユニットは、マイクロプラスチック30が回収ユニット40に到達する前に気泡20に付着するように気泡20を提供するよう、構成してもよい。
【0042】
図2は、本発明の一実施形態に採用した回収ユニット40の概略図である。回収ユニット40は、フィン39と、垂直チューブ41と、バルブ42と、堰システムタンク43と、を備えていてもよい。船舶1の底とフィン39との間の距離を狭く保ち、マイクロプラスチック30のみがここを通過して流れ、プラスチックその他の物質の大きな粒子は船舶1の底とフィン39との間に進入しないようにしてもよい。このようにすれば、フィン39は、関係のない大きなマイクロプラスチックを回収ユニットの外側を流れるように分離できる。船舶1の底とフィン39との距離は、1cm以下に保たれてもよい。フィルタをフィン39として使用して、マイクロプラスチック30のフィルタ通過を可能にし、如何なる大きなものも垂直チューブ41の底には入らないようにしてもよい。
【0043】
垂直チューブ41を船舶1の底に連結してもよい。更に、気泡20に付着した軽量なマイクロプラスチック30は、幾らかの水とともに垂直チューブ41内を上方へと上昇し得る。垂直チューブ41内の水の量は、波の動きに応じて変化し得る。軽量なマイクロプラスチック30は、浮遊して水面に堆積し得る。垂直チューブ41の材料は、透明なプラスチックやガラスから選択され得るが、これらに限定されるものではない。マイクロプラスチック20の堆積は、垂直チューブ41を通して視認され得る。更に、第1センサセット60を垂直チューブ41に連結し、垂直チューブ41内の水位および堆積したマイクロプラスチック30柱の高さを測定するように構成してもよい。更に、垂直チューブの断面積、マイクロプラスチック30の体積は、以下の式を用いて算出され得る。
V=πr
式中、Vはマイクロプラスチック30の体積、rは垂直チューブ41の半径、hは垂直チューブ41に堆積したマイクロプラスチック柱の高さである。
【0044】
バルブ42は、垂直チューブ41に連結してもよく、定期的に開閉されるように構成してもよい。バルブ42を堰システムタンク43と連結してもよい。閉鎖システムでは、バルブ42は、気泡20に付着したマイクロプラスチック30と水が垂直チューブ41を通って堰システムタンク43へと流れることを許容しない。この状態では、マイクロプラスチック30は垂直チューブ41内で水面上に堆積し、マイクロプラスチック30の体積は上記式を用いて算出され得る。マイクロプラスチック30の体積が所定のレベルに達すると、バルブ42が開放される。開放状態では、バルブ42は、気泡20に付着したマイクロプラスチック30と水が垂直管41から堰システムタンク43に流れることを許容する。
【0045】
堰システムタンク43は、第1レベルタンク43aおよび第2レベルタンク43bを備えていてもよい。第1レベルタンク43aをバルブ42と連結して、気泡20に付着したマイクロプラスチック30と水を受容するように構成してもよい。第2レベルタンク43bを第1レベルタンク43aに連結してもよい。第1レベルタンクは、水がこれを通って第1レベルタンクから水環境に流出するであろう穴を備えていてもよい。一定の水位が維持されて浮遊マイクロプラスチック30が第2レベルタンク43bに掬い取られるように、バルブ42および穴の寸法によって第1レベルタンク43aの流量を調整してもよい。機械式計量機を設けて第2タンク43bに連結し、第2タンク43bに回収したマイクロプラスチック30の重量を測定するように構成する。機械式計量機の読み取り値を、第1センサセット60によって測定されたマイクロプラスチック30の体積と比較してもよい。これによってマイクロプラスチック30の量が検証され、何らかのエラーが生じた場合には容易に発見され得る。
【0046】
開放状態の間、バルブ42は開いたままであって、マイクロプラスチック30は第2レベルタンク43bに堆積し得る。その期間の間に、第2レベルタンク43bに回収したマイクロプラスチック30の量を機械式計量機によって測定してもよい。一旦、開放期間が経過すると(閉鎖状態の間)、バルブ42を閉じて、第2レベルタンク43bから回収したマイクロプラスチック30を精製ユニット50に移送してもよい。更に、堰システムタンク43に空気を吹き込んで洗浄し、次のバッチのマイクロプラスチック30に備えてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態において、船舶1は、検査ユニットを備えていてもよい。検査ユニットを堰システムタンク43に連結し、堰システムタンク43を通って流れる水のサンプルを回収してもよい。検査ユニットは、化学組成と水中に存在する微生物を検査するように構成してもよい。検査ユニットは、温度、塩分、pH値、硝酸塩、リン酸塩、生化学的酸素要求量、および水中に存在する微生物のような様々なパラメータを検査してもよい。検査ユニットは、水環境の水面で大量にサンプリングすることにより、化学組成および微生物の様々なパラメータに関するデータを提供し得るが、これらは、水環境の状態の更なる分析や、パンデミックを引き起こし得る科学者に知られていない潜在的なウイルスの発見に、使用され得る。
【0048】
第1センサセット6を回収ユニット40の垂直チューブ41に連結してもよい。第1センサセット60は、赤外線センサ、超音波センサ、光センサ、CCDセンサ、CMOSセンサ等から選択され得るが、これらに限定されるものではない。第1センサセット60は、回収ユニット40を流れるマイクロプラスチック30の量を定期的に測定して第1データセットを生成するように構成してもよい。第1データセットは、回収ユニット40を流れるマイクロプラスチック30の量を定期的に測定した時系列データを含んでいてもよい。定期的に行うことで、水環境におけるマイクロプラスチックのクラスタ領域を確認して、多くの船舶の間でマイクロプラスチック20を回収するために最も効率的なルートを把握するのに役立てるためのビッグデータを、得ることができる。
【0049】
加えて、船舶1は、第2センサセット70を備えてもよい。第2センサセット70は、船舶1の異なる場所に設置してもよい。例えば、第2センサセット70のうちの第2センサセット70の1つの群を船舶1の底に設置し、第2センサセット70の他の群を船舶1の甲板に設置してもよい。第2センサセット70は、環境条件を監視するように構成してもよい。環境条件は、局地的な潮汐強度、局地的な潮流、局地的な潮汐方向、日照強度、水温、水の塩分濃度、局地的な風速、局地的な風向、気圧、降雨量を含み得るが、これらに限定されるものではない。第2センサセットは、動的圧力センサ、熱流量センサ、超音波流量センサ、カルマン渦流量センサ、デジタル流量センサ、気流センサ、自記気圧センサ、気圧計、コリオリ質量流量センサ、フォトトランジスタ、フォトレジスタ、およびフォトダイオード、塩分センサ、サーミスタ、熱電対、RTD、およびドップラーレーダセンサ等を含み得るが、これらに限定されるものではない。第2センサセット70は、第2データセットを生成してもよい。第2データセットは、環境条件の時系列データを含んでいてもよい。
【0050】
マイクロプラスチック30は、5mm未満の直径を有する非常に小さなプラスチックの粒子である。マイクロプラスチック30は非常に軽量であって風および水流に伴ってあらゆる方向に容易に漂流できるため、マイクロプラスチック30の位置は、局地的な環境条件に依存し得る。従って、マイクロプラスチック30の位置を予測するために、環境条件の監視が必要となり得る。
【0051】
本発明の一実施形態において、船舶1は、通信機器を備えていてもよい。通信機器は、第1データセットおよび第2データセットを他の船舶と通信するように構成してもよい。通信機器は、トランシーバ82と、電源85と、データ記憶メモリ84と、Wi-Fiアンテナ81と、を備えていてもよい。トランシーバ82を、アンテナ81、第1センサセット60および第2センサセット70に連結してもよい。トランシーバ82は、認証し、続いて第1データセットおよび第2データセットを他の船舶に送信するように、構成してもよい。更に、トランシーバ82はまた、認証し、続いて第1データセットおよび第2データセットを他の船舶から受信するように、構成してもよい。データ記憶メモリ84は、第1センサセット60、第2センサセット70から受信したデータ、および他の船舶から受信した通信データを記憶するように、構成してもよい。更に、データ記憶メモリ84は、全ての船舶のIDおよび秘密鍵(private key)を記憶してもよい。通信用の媒体は、赤外線、マイクロ波、無線周波数(RF)、無線PAN、無線LAN、無線アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、Wi-Fi、衛星通信等であってもよく、船舶間のデータ共有は、5G、6Gまたは更に速いデータ伝送速度で行ってもよい。船舶が近く、例えば互いに30マイル離れている場合、通信機器はWi-Fiその他の近距離通信のための通信媒体を使用し得る。船舶1の近傍に船舶がおらず、2つの船舶が100マイル離れていると仮定すれば、通信機器は情報を共有するために衛星を使用して通信し得る。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態に採用した、第1センサセット60、第2センサセット70、および他の船舶からデータを受信するシステムのブロック図である。本発明の一実施形態において、船舶1は、処理ユニット90を備えていてもよい。処理ユニット90を、第1センサセット60、第2センサセット70、トランシーバ82、データ記憶メモリ84、および電源85に連結してもよい。幾つかの実施形態において、船舶1はまた、処理ユニット90および/またはトランシーバ82によって制御される1つまたは複数のモータ86を含んでいてもよい。モータ86は、アンテナ81を更に高くするために伸縮ブームを伸長させるように構成してもよい。処理ユニット90は、風が所定レベルの激しさ(例えば海洋嵐またはハリケーン)に達した際には、モータにアンテナ81を引き込ませるように構成してもよい。処理ユニット90は、突風が吹くような条件下でアンテナ81が繰り返し伸長されたり引き込まれたりするのを防止するため、アンテナ81を再伸長させる前にアンテナ81を所定時間引き込んだままに保つよう、ヒステリシスを備えて構成してもよい。
【0053】
本発明の一実施形態において、船舶1は、方向センサおよび/またはGPSモジュール83を備えて構成してもよい。このような装備では、処理ユニット90は、GPSモジュール83を使用して船舶1の現在位置を決定するように構成してもよい。更に、船舶同士で船舶の現在位置を通信してもよい。従って、各船舶は、他の船舶の位置に関する情報を有し得る。別の実施形態では、他の船舶のGPSモジュール83からのGPSデータに基づいて他の船舶の位置のデータベースをデータ記憶メモリ84内に維持するように、船舶1を構成してもよい。
【0054】
本発明の一実施形態において、処理ユニット90を、第1センサセット60、第2センサセット70、通信機器、およびデータ記憶メモリ84に連結してもよい。処理ユニット90は、第1センサセット60から第1データセットを受信してもよい。処理ユニット90は、第1データセットをリアルタイムで受信してもよい。処理部90は、第1データセットを解析して、回収ユニット40に回収したマイクロプラスチック30の量を記録してもよい。処理ユニット90はまた、GPSモジュール83を使用して、マイクロプラスチック30を回収した位置を記録してもよい。更に、処理ユニット90は、第2センサセット70から第2データセットを受信してもよい。処理ユニット90は、第1データセットおよび第2データセットを解析して、水環境におけるマイクロプラスチック30の位置および量を予測してもよい。処理ユニット90は、人工知能(AI)モデルを利用してもよい。
【0055】
本発明の一実施形態において、処理ユニット90は、通信機器に、船舶1に配置された通信機器から質問信号およびDを送信させてもよい。質問信号は、水環境を浮遊/航海する他の船舶(仮に船舶2としよう)によって受信され得る。船舶2は、船舶2に配置されたデータ記憶メモリに記憶されたIDと照合することによって船舶1のIDを認証し、IDの認証に際し確認IDを送信して質問信号に応答してもよい。また、船舶1に配置された処理ユニット90が、データ記憶メモリ84に記憶されたIDと比較することにより、船舶2から受信した確認IDを認証してもよい。船舶2の確認IDの認証に際し、処理ユニット90は、予測されるマイクロプラスチック30の位置、マイクロプラスチック30の量、船舶の位置、およびタイムスタンプに関するデータを暗号化し、鍵を生成してもよい。処理ユニット90が新しいデータセットを暗号化するときに、新しい鍵が生成されてもよい。船舶1に配置された通信機器を介して鍵を船舶2に送信し、続いて暗号化されたデータを送信してもよい。暗号化されたデータは、船舶1が生成した鍵によってのみ復号化できる。船舶2は、暗号化されたデータをその鍵を用いて復号化し得る。許可されていない他の船舶または機器は、暗号化されたデータを受信し得るが、鍵を入手できないためにデータを復号化し得ない。よって、水環境における船舶間の通信は安全であろう。
【0056】
船舶間に確立される通信は、ピアツーピア(P2P)通信であってもよい。従って、船舶2はまた、予測されるマイクロプラスチック30の位置、マイクロプラスチック30の量、船舶の位置、およびタイムスタンプに関するデータを、鍵を用いて暗号化して予測および送信し得る。船舶1の通信機器は、予測されるマイクロプラスチック30の予測位置、マイクロプラスチック30の量、船舶2の位置、およびタイムスタンプの暗号化されたデータとともに船舶2が生成した鍵を受信して、処理ユニット90に送信してもよい。処理ユニット90は、暗号化されたデータを、その鍵を用いて復号化し得る。更に、処理ユニット90は、第1データセット、第2データセットおよび船舶2から受信した通信データを受信し解析して、目的地への到着を遅らせることなく船舶1が水環境から最大量のマイクロプラスチック30を回収するために最適化された経路を予測してもよい。
【0057】
本発明の一実施形態において、船舶1は、表示ユニット100を備えていてもよい。表示ユニット100を、処理ユニット90およびGPSモジュール83と動作可能に連結してもよい。表示ユニット100は、船舶1の位置と、船舶1が水環境から最大量のマイクロプラスチック30を回収するための最適化された経路と、を表示するように構成してもよい。表示ユニット100はまた、他の船舶の最適化された経路と、それらについて予測されるマイクロプラスチック30の量および位置と、を表示してもよい。一事象において、船舶が最大量のマイクロプラスチック30を回収する最適化された経路を取り得るとき、表示ユニット100がそれを表示してもよい。船舶1の船長は、表示された情報を使用して、船舶1を最適化された経路に向かわせる否かを決定してもよい。
【0058】
本発明の別の実施形態において、処理ユニット90は、AIを備えてもよい。AIは、船舶1を最適化された経路に向かわせるように構成してもよい。AIは、船舶1が予め計画されていたルートを通って航行した際に目的地に到着するまでに要する時間と、船舶1が最適化された経路を通って航行した際に目的地に到着するまでに要する時間と、を比較してもよい。時間差が非常に大きく、最適化された経路では船舶1が遅れてしまう場合、AIは、最適化された経路を辿らずに予め計画されていた経路を航行すると決定し得る。時間差がそれほど大きくなく、船舶1が遅れることなく目的地に到着し得る場合、AIは、最適化された経路を選択して最適化された経路に船舶1を操船し得る。
【0059】
本発明の別の実施形態では、船舶の船長は、最適化されたルートに船舶1を操船するか否かを手動で決定するか、または最適化されたルートに船舶1を操船するか否かをAIに決定させるか、またはAIに決定させるか、の選択肢を有し得る。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態に採用した、水環境から最大量のマイクロプラスチック30を回収するために船舶1のルートを最適化する方法のフロー図である。ステップ401において、気泡生成装置は、回収ユニット40の前方に気泡20を生成し得る。水環境に存在するマイクロプラスチック30は、その疎水性によって気泡20に付着し得る。
【0061】
ステップ402において、気泡に付着したマイクロプラスチック30を含む水は、回収ユニット40を通って流れ得る。浮力によって、気泡に付着したマイクロプラスチック30は回収ユニット40内を上昇し得る。残りの水は、あらゆる海の生き物とともに収集ユニット40を通って流れ得る。精製ユニット50を回収ユニット40に連結し、気泡20からマイクロプラスチック30を分離し、分離した微粒子を回収するように構成してもよい。回収したマイクロプラスチック30は、目的の陸地に到達した際に回収したマイクロプラスチック30を空にするか、または回収したマイクロプラスチック30を航空機(例えば、ドローン)で持ち去るなどして、除去してもよい。別の実施形態では、回収したマイクロプラスチック30を、超音波またはマイクロ波を用いて船舶1上で燃焼させてもよい。
【0062】
本発明の一実施形態において、第1センサセット60を回収ユニット40の垂直チューブ41に連結してもよい。ステップ403において、回収ユニット40を通って流れ得るマイクロプラスチック30の量を、第1センサセット60によって測定し得る。第1センサセット60は、回収ユニット40を通って流れるマイクロプラスチック30の量の定期的な測定に対応する第1データセットを生成してもよい。
【0063】
ステップ404において、第2センサセット70は、局地的な環境条件を監視し得る。地域の環境条件は、局地的な潮汐強度、局地的な潮流、局地的な潮汐方向、日照強度、水温、水の塩分濃度、局地的な風速、局地的な風向、気圧、降雨量を含んでいてもよい。第2センサセット70は、局地的な環境条件に対応し得る第2データセットを生成してもよい。処理ユニット90は、第1データセットおよび第2データセットを受信するように構成してもよい。
【0064】
ステップ405において、処理ユニット90は、第1データセットおよび第のデータセットを解析して、水環境におけるマイクロプラスチック30の量および位置を予測し得る。マイクロプラスチック30は非常に軽量であるため、風や水流に伴いあらゆる方向に容易に漂流できる。従って、水環境に存在するマイクロプラスチック30の量および位置は、局地的な環境条件に大きく依存する。
【0065】
通信機器をプロセッサに連結してもよい。ステップ406において、通信機器は、船舶の位置、測定されたマイクロプラスチックの量、環境条件、および最適なルートに予測されるマイクロプラスチック30の量および位置を、他の船舶と通信し得る。通信機器は、船舶の位置、測定されたマイクロプラスチックの量、環境条件、および最適なルートに予測されるマイクロプラスチック30の量および位置を、他の船舶から受信してもよい。通信機器はまた、局地的な環境条件を他の船舶から受信してもよい。船舶間の通信は、安全なピアツーピア(P2P)であってもよい。
【0066】
船舶間に通信を確立するために、船舶1に配置された通信機器が質問信号およびIDを送信してもよい。質問信号は、水環境を浮遊/航海する他の船舶(仮に船舶2としよう)によって受信され得る。船舶2は、船舶2に配置されたデータ記憶メモリに記憶されたIDと照合することによって船舶1のIDを認証し、認証に際し確認IDを送信して質問信号に応答してもよい。船舶1に配置された処理ユニット90は、データ記憶メモリ84に記憶されたIDと比較することにより、船舶2から受信した確認IDを認証してもよい。船舶2の確認IDの認証に際し、処理ユニット90は、予測されるマイクロプラスチック30の位置、マイクロプラスチック30の量、船舶の位置、およびタイムスタンプに関するデータを暗号化し、鍵を生成してもよい。処理ユニット90が新しいデータセットを暗号化するときに、新しい鍵が生成されてもよい。船舶1に配置された通信機器を介して鍵を船舶2に送信し、続いて暗号化されたデータを送信してもよい。暗号化されたデータは、船舶1が生成した鍵によってのみ復号化できる。船舶2は、暗号化されたデータをその鍵を用いて復号化し得る。許可されていない他の船舶または機器は、暗号化されたデータを受信し得るが、鍵を入手できないためにデータを復号化し得ない。
【0067】
同様に、船舶2は、鍵を送信し、続いて、予測されるマイクロプラスチック30の位置、マイクロプラスチック30の量、船舶の位置、およびタイムスタンプに関する船舶1の公開鍵(public key)を用いて暗号化したデータを送信してもよい。また、船舶1の通信機器は、鍵、水環境におけるマイクロプラスチック30予測される量および位置を船舶2から受信して、処理ユニット90に送信してもよい。船舶1に配置された処理ユニット90は、暗号化されたデータを、その鍵を用いて復号化し得る。
【0068】
ステップ407において、処理ユニット90は、マイクロプラスチック30の予測される量および位置を他の船舶から受信し、それを第1データセットと比較し得る。回収ユニット40を通って流れるマイクロプラスチック30の量が、他の船舶によって予測された特定の位置におけるマイクロプラスチック30の予測された量よりも多ければ、現在の経路が、水環境から最大量のマイクロプラスチック30を回収するために最適化された経路であり得る(ステップ408)。回収ユニット40を通って流れるマイクロプラスチック30の量が、他の船舶によって予測された特定の位置におけるマイクロプラスチック30の予測された量よりも少なければ、その予測された位置が、水環境から最大量のマイクロプラスチック30を回収するために最適化された経路であり得る(ステップ408)。
【0069】
図5は、本発明の例示的な一実施形態である。この例示的実施形態において、船舶S1は、ルートSR1を通って目的地Bに向かって航行し得る。時間t=0において、船舶S1は、水環境における地点Aに位置し得る。同様に、別の船舶S2は、ルートSR2を通って目的地Dに向かって航行し、時刻t=0において、船舶S2は、水環境における地点Cに位置し得る。別の船舶S3は、ルートSR3を通って目的地Fに向かって航行し、時刻t=0において、船舶S3は、水環境における地点Eに位置し得る。更に、別の船舶S4は、ルートSR4を通って目的地Hまで航行し、時刻t=0において、船舶S4は、水環境における地点Gに位置し得る。1つのケースでは、時間t=0において、船舶S1は、地点AでM1の量のマイクロプラスチックを回収し、マイクロプラスチックの位置Aからの移動はないと予測し得る。時間t=0において、船舶S2は、地点CでM2の量のマイクロプラスチックを回収し、時刻t=1におけるマイクロプラスチックの位置Cから位置Xへの移動を予測し得る。時間t=0において、船舶S3は、地点EでM3の量のマイクロプラスチックを回収し、時間t=1におけるマイクロプラスチックの位置Eから位置Xへの移動を予測し得る。同様に、時間t=0において、船舶S4は、地点GでM4の量のマイクロプラスチックを回収し、時間t=1におけるマイクロプラスチックの位置Gから位置Yへの移動を予測し得る。P2P通信において船舶を認証した後に、船舶間でこの情報を通信してもよい。位置Yは船舶S1のルートSR1に近いため、船舶S1は、位置Aで回収したマイクロプラスチックM1の量と、位置Yで予測されるマイクロプラスチックの量と、を比較してもよい。位置Aで回収したマイクロプラスチックM1の量が位置Yで予測されるマイクロプラスチックの量よりも多ければ、システムは、ルートSR1が船舶S1にとって最適なルートであり得ることを示し得る。位置Aで回収したマイクロプラスチックM1の量が位置Yで予測されるマイクロプラスチックの量よりも少なければ、システムは、位置Yを含み得る船舶S1にとって最適なルートOPR1を示し得る。同様に、船舶S3について、システムは、位置Xおよび位置Yを含み得る最適なルートOPR2を示し得る。予測されるマイクロプラスチックの位置は船舶S2,S4のルート近傍にはないため、船舶S2,S4にとっては、所定のルートSR2,SR4が最適なルートであり得る。
【0070】
本発明の例示的な実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示したものである。それらは、網羅的であることや、本発明を開示された正確な形態に限定することを意図したものではなく、上記の教示に照らし、多くの修正および変形が可能であることは明らかである。例示的な実施形態は、本発明の原理およびその実践的な適用を最もよく説明するために選択され記載されたものであって、企図される特定の用途に適した様々な変形例を用いて他の当業者が本発明および種々の実施形態を最もよく利用可能とするものである。種々の省略、均等物の置換が、状況が示唆し得るようにまたは状況が好転し得るように企図されることが理解されるが、これらは本発明の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、適用や実施をカバーすることを意図するものである。
【符号の説明】
【0071】
1…船舶
10…気泡生成ユニット
20…気泡
30…マイクロプラスチック
40…回収ユニット
41…垂直チューブ
42…バルブ
43…堰システムタンク
43a…第1タンク
43b…第2タンク
50…精製ユニット
60…第1センサセット
70…第2センサセット
81…Wi-Fiアンテナ
82…トランシーバ
83…GPSモジュール
84…データ記憶メモリ
85…電源
86…モータ
90…処理ユニット
100…表示ユニット
S1…例示的な一実施形態における第1の船舶
S2…例示的な一実施形態における第2の船舶
S3…例示的な一実施形態における第3の船舶
S4…例示的な一実施形態における第4の船舶
SR1…A地点からB地点に到達する第1の船舶のルート
SR2…C地点からD地点に到達する第2の船舶のルート
SR3…E地点からF地点に到達する第3の船舶のルート
SR4…G地点からH地点に到達する第4の船舶のルート
OPR1…第1の船舶の最適なルート
OPR2…第3の船舶の最適なルート
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】