(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120156
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】コーティング機器及びそのコーティング方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/56 20060101AFI20240828BHJP
C23C 14/34 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
C23C14/56 H
C23C14/34 T
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002127
(22)【出願日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】202320348138.5
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202322022008.5
(32)【優先日】2023-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310189405.3
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524002164
【氏名又は名称】浙江新唐実業有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG SHINTOWN INDUSTRY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.391 Huaxia Road, Yongkang Economic Development Zone, Jinhua, Zhejiang 321399, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】張明偉
(72)【発明者】
【氏名】姚伊奇
(72)【発明者】
【氏名】唐建中
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BB02
4K029BD00
4K029CA05
4K029DA02
4K029DC16
4K029FA04
4K029FA05
4K029FA06
4K029GA01
4K029JA06
4K029KA01
4K029KA03
4K029KA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コーティング生産効率が高いコーティング機器を提供する。
【解決手段】ワーク表面を加工するプラズマ源及びゲートバルブ付きエッチング入口とトランスファーバルブ付きエッチング出口を含むエッチングチャンバと、エッチング加工されたワーク表面をスパッタリングするためのスパッタリングカソード及びトランスファーバルブ付きの被膜入口とゲートバルブ付きの被膜出口を含み、エッチング出口が被膜入口に接続される被膜チャンバと、エッチングチャンバ及び被膜チャンバ内に設置されエッチングチャンバ内に加工されたワークを被膜チャンバに運輸するための送達機構と、エッチングチャンバ及び/又は被膜チャンバに接続されエッチングチャンバと被膜チャンバ内に真空を形成させるための真空装置とを含み、エッチング出口と被膜入口との間は密閉して接続され、コーティング機器の動作状態でエッチングチャンバと被膜チャンバを同一の真空状態にさせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク(100)の表面の付着性を向上させるために用いられ、ワーク(100)の表面を加工するためのプラズマ源及びゲートバルブ付きのエッチング(11)入口とトランスファーバルブ付きのエッチング出口を含むエッチングチャンバ(1)と、
ワーク(100)の表面に堆積層を形成するために用いられ、ワーク(100)のエッチング加工された表面をスパッタリングするためのスパッタリングカソード及びトランスファーバルブ付きの被膜入口とゲートバルブ付きの被膜出口(37)を含み、前記エッチング出口が前記被膜入口に接続される被膜チャンバ(3)と、
少なくとも部分的に前記エッチングチャンバ(1)及び/又は前記被膜チャンバ(3)内に設置され、前記エッチングチャンバ(1)内に加工されたワーク(100)を前記被膜チャンバ(3)に運輸するための送達機構と、
前記エッチングチャンバ(1)及び/又は前記被膜チャンバ(3)に接続され、前記エッチングチャンバ(1)と前記被膜チャンバ(3)のうちの少なくとも1つ内に真空を形成させるための真空装置と、を含み、
そのうち、前記エッチング出口と前記被膜入口との間は、密閉して接続され、前記コーティング機器の動作状態で、前記エッチングチャンバ(1)と前記被膜チャンバ(3)を同一の真空状態にさせることを特徴とするコーティング機器。
【請求項2】
前記エッチングチャンバ(1)は、互いに接続された加熱装置付きの入力領域(12)及びプラズマ源付きの少なくとも1つのエッチング領域(14)を含み、前記入力領域(12)と前記エッチング領域(14)との間は、トランスファーバルブにより接続され、前記真空装置は、前記エッチング領域(14)に接続されて前記エッチング領域(14)に真空を形成させ、前記エッチング入口(11)は、前記入力領域(12)に設置され、前記入力領域(12)の空間体積は、前記エッチング領域(14)の空間体積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のコーティング機器。
【請求項3】
前記入力領域(12)も前記真空装置に接続され、前記真空装置の作用で、前記入力領域(12)が前記エッチング領域(14)と同様の真空状態に達した後、前記エッチング領域(14)と前記入力領域(12)との間のトランスファーバルブが開き、前記送達機構は、ワーク(100)を前記入力領域(12)から前記エッチング領域(14)に運輸することを特徴とする請求項2に記載のコーティング機器。
【請求項4】
前記エッチング領域(14)は、3つの順次接続された加熱領域(141)、加工領域(142)及び待機領域(143)を含み、前記加熱領域(141)と前記加工領域(142)と前記待機領域(143)との間にトランスファーバルブが設けられて互い同士に相対的に密閉された空間を形成させ、前記加熱領域(141)と前記入力領域(12)は、トランスファーバルブにより接続され、前記加熱領域(141)にも加熱装置が設置され、前記プラズマ源は、前記加工領域(142)に設置され、前記待機領域(143)は、前記被膜チャンバ(3)に接続されることを特徴とする請求項3に記載のコーティング機器。
【請求項5】
前記被膜チャンバ(3)は、順次接続されたバッファ領域(32)、スパッタリング領域(33)、冷却領域(34)及び出力領域(36)を含み、各領域の間にトランスファーバルブが設けられて前記バッファ領域(32)、前記スパッタリング領域(33)、前記冷却領域(34)及び前記出力領域(36)は、相対的に密閉された空間を形成させることができ、前記被膜出口(37)は、前記出力領域(36)に設置され、前記真空装置は、少なくとも前記バッファ領域(32)、前記スパッタリング領域(33)、前記冷却領域(34)のうちの1つに接続され、前記バッファ領域(32)、前記スパッタリング領域(33)、前記冷却領域(34)に真空を形成させるために用いられることを特徴とする請求項1に記載のコーティング機器。
【請求項6】
前記バッファ領域(32)は、前記エッチング領域(14)に接続され、前記エッチング領域(14)がトランスしてきたワーク(100)を置くために用いられ、前記スパッタリングカソードは、前記スパッタリング領域(33)に設置され、前記冷却領域(34)に冷却装置が設置されて前記スパッタリング領域(33)においてコーティングされた前記ワーク(100)を冷却するために用いられることを特徴とする請求項5に記載のコーティング機器。
【請求項7】
前記出力領域(36)も前記真空装置に接続され、前記真空装置の作用で、前記出力領域(36)が前記冷却領域(34)と同様な真空状態に達した後、前記冷却領域(34)と前記出力領域(36)との間のトランスファーバルブが開き、前記送達機構は、前記ワーク(100)を前記冷却領域(34)から前記出力領域(36)に運輸することを特徴とする請求項6に記載のコーティング機器。
【請求項8】
前記エッチング入口(11)に第1の回転運輸機構(4)が接続され、前記被膜出口(37)に第2の回転運輸機構(9)が接続され、前記第1の回転運輸機構(4)の前記エッチング入口(11)から離れる一端と前記第2の回転運輸機構(9)の前記被膜出口(37)から離れる一端は、輸送機構(7)により接続され、前記コーティング機器に循環生産モードを形成させることを特徴とする請求項1に記載のコーティング機器。
【請求項9】
前記輸送機構(7)は、前記第2の回転運輸機構(9)に沿って前記第1の回転運輸機構(4)の方向に向かって順次クラッチ検出装置、荷役機構(6)及び加熱通路(8)が設置されることを特徴とする請求項8に記載のコーティング機器。
【請求項10】
前記被膜チャンバ(3)内に被膜領域が設けられ、前記被膜チャンバ(3)は、a個設置され、前記被膜領域は、a*N個設置され、そのうち、aは、2-4の自然数であり、Nは、2-4の自然数であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング機器。
【請求項11】
前記aは、2又は3であることを特徴とする請求項10に記載のコーティング機器。
【請求項12】
Nは、2又は3であることを特徴とする請求項10に記載のコーティング機器。
【請求項13】
2つずつの前記被膜チャンバ(3)の間にトランスファーバルブが設けられることを特徴とする請求項10に記載のコーティング機器。
【請求項14】
前記被膜チャンバ(3)は、少なくとも順次接続されたバッファ領域及びスパッタリング領域という2つの被膜領域を含み、前記バッファ領域は、前記被膜チャンバ(3)の入口に接続されることを特徴とする請求項10に記載のコーティング機器。
【請求項15】
各前記スパッタリング領域内のターゲットの材質は異なることを特徴とする請求項14に記載のコーティング機器。
【請求項16】
被膜チャンバ(3)にエッチングチャンバ(1)が接続され、前記被膜チャンバ(3)の入口と前記エッチングチャンバ(1)の出口が接続され且つその間にゲートバルブ(2)が設けられ、前記ゲートバルブ(2)は、前記被膜チャンバ(3)の入口と前記エッチングチャンバ(1)の出口との間の連通又は閉じを制御するために用いられることを特徴とする請求項10に記載のコーティング機器。
【請求項17】
前記被膜チャンバ(3)の出口と前記エッチングチャンバ(1)の入口との間は、輸送機構(7)により接続されて環状生産ラインを形成することを特徴とする請求項16に記載のコーティング機器。
【請求項18】
請求項1に記載のコーティング機器に適用するコーティング方法であって、前記方法は、大気圧状態での加工ステップ及び真空状態での加工ステップを含み、
前記大気圧状態での加工ステップは、
被膜チャンバ(3)でコーティングされたワーク(100)を取り出し、被加工ワーク(100)を生産ラインに置く荷役と、
被加工ワーク(100)を150℃から250℃まで加熱する加熱と、
加熱された被加工ワーク(100)をエッチング入口(11)に運輸する移り入りと、
コーティングされたワーク(100)をクラッチ検出し、検出済みのワーク(100)を荷役ステップに移り入る移り出しと、を含み、
前記真空状態での加工ステップは、
真空装置は、エッチングチャンバ(1)と被膜チャンバ(3)内を真空状態に引く真空モードと、
エッチングチャンバ(1)の入力領域(12)とエッチング領域(14)との間のトランスファーバルブが閉じ、入力領域(12)が真空破壊され、被加工ワーク(100)がエッチング入口(11)を通過して入力領域(12)に入り、エッチング入口(11)のゲートバルブが閉じ、入力領域(12)内が真空状態に引かれる入力と、
入力領域(12)とエッチング領域(14)との間のトランスファーバルブが開き、ワーク(100)がエッチング領域(14)に入り、入力領域(12)とエッチング領域(14)との間のトランスファーバルブが閉じ、ワーク(100)が加熱され、加熱済んだ後、プラズマ源は、ワーク(100)の表面に対してエッチング加工を行い、エッチングされた後、エッチング領域(14)と待機領域(143)との間のトランスファーバルブが開き、ワーク(100)がエッチングチャンバ(1)の待機領域(143)に入り、エッチング領域(14)と待機領域(143)との間のトランスファーバルブが閉じるエッチングと、
エッチングチャンバ(1)と被膜チャンバ(3)との間のトランスファーバルブが開き、エッチングされたワーク(100)が被膜チャンバ(3)のバッファ領域(32)に入り、エッチングチャンバ(1)と被膜チャンバ(3)との間のトランスファーバルブが閉じ、被膜チャンバ(3)のバッファ領域(32)とスパッタリング領域(33)との間のトランスファーバルブが開き、ワーク(100)がスパッタリング領域(33)に入り、被膜チャンバ(3)のバッファ領域(32)とスパッタリング領域(33)との間のトランスファーバルブが閉じ、ワーク(100)の表面がスパッタリング領域(33)において加工されて堆積層に形成され、スパッタリング領域(33)と冷却領域(34)との間のトランスファーバルブが開き、被膜されたワーク(100)が冷却領域(34)に入り、スパッタリング領域(33)と冷却領域(34)との間のトランスファーバルブが閉じ、ワーク(100)が冷却した後、冷却領域(34)と出力領域(36)との間のトランスファーバルブが開き、ワーク(100)が出力領域(36)に入り、冷却領域(34)と出力領域(36)との間のトランスファーバルブが閉じるコーティングと、
出力領域(36)が真空破壊され、被膜出口(37)のゲートバルブが開き、ワーク(100)が移り出しステップに入り、被膜出口(37)のゲートバルブが閉じ、出力領域(36)を真空引く出力と、を含むことを特徴とするコーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願の相互参照」
本願は、2023年2月3日に中国知的財産権局で提出された特許出願番号2023203481385、2023年2月3日に中国知的財産権局で提出された中国特許出願番号2023101894053及び2023年7月28日に中国知的財産権局で提出された中国特許出願番号2023220220085の優先権の権益に基づいて要求され、そのうちの各開示内容は、参照により全てここに組み込まれる。
【0002】
本願は、機械加工技術の分野に関し、特にコーティング機器及びそのコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の調理器具の焦げ付き防止性能の実現は、いずれも調理器具の表面に1層のポリテトラフルオロエチレンを塗布することであり、ポリテトラフルオロエチレン被膜は、常態で無毒であるが、被膜の受熱温度が260℃に達すると、揮発し始め、温度が350℃に達すると、ポリテトラフルオロエチレン被膜が分解し始める。したがって、ポリテトラフルオロエチレン被膜付きのテフロン(登録商標)鍋の使用温度は、一般的に250℃を超えることができない。しかし、一般的な調理器具、例えば、フライパンは、加熱温度が常に260℃を超えるため、セキュリティリスクが存在する。また、被膜は、耐摩耗性がなく、脱落のリスクが存在し、食物とともに誤食されやすく、身体の健康に影響を与える。
【0004】
現在のPVDプロセスは、製品の表面に堆積層を形成することができ、耐摩耗性を有し、しかし、従来のPVDは、携帯電話などの製品の表面加工による耐摩耗性コート層向けのものであり、調理器具の表面の焦げ付き防止及び耐摩耗性コート層加工に適せず、且つ従来のPVD機器及びプロセスが複雑であり、加工時間が長く、単品製品の加工周期が約3時間程度であり、加工コストが高く、量産化生産の要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の技術的課題を解決するために、本願は、コーティング機器及びそのコーティング方法を提供し、コーティング加工の生産効率を向上させ、加工コストを低減させ、それにより量産化生産の要求を満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本願にて提供されるコーティング機器は、
ワークの表面の付着性を向上させるために用いられ、ワークの表面を加工するためのプラズマ源及びゲートバルブ付きのエッチング入口とトランスファーバルブ付きのエッチング出口を含むエッチングチャンバと、
ワークの表面に堆積層を形成するために用いられ、ワークのエッチング加工された表面をスパッタリングするためのスパッタリングカソード及びトランスファーバルブ付きの被膜入口とゲートバルブ付きの被膜出口を含み、前記エッチング出口が前記被膜入口に接続される被膜チャンバと、
少なくとも部分的に前記エッチングチャンバ及び/又は前記被膜チャンバ内に設置され、前記エッチングチャンバ内に加工されたワークを前記被膜チャンバに運輸するための送達機構と、
前記エッチングチャンバ及び/又は前記被膜チャンバに接続され、前記エッチングチャンバと前記被膜チャンバのうちの少なくとも1つ内に真空を形成させるための真空装置と、を含み、
そのうち、前記エッチング出口と前記被膜入口との間は、密閉して接続され、前記コーティング機器の動作状態で、前記エッチングチャンバと前記被膜チャンバを同一の真空状態にさせる。
【0007】
上記技術的解決手段を採用することにより、エッチングチャンバと被膜チャンバは、区画して加工し、且つエッチングチャンバと被膜チャンバは、同一の真空状態にあり、ワークの表面を加工する時、まずエッチングチャンバでワークの表面をエッチングし、ワークの表面の付着性を向上させ、エッチングされたワークは、被膜チャンバに入る。被膜チャンバ内で、ワークの表面に対して物理蒸着加工を行って付着せず且つ耐摩耗性を有するコーティング層を形成する。送達機構は、エッチングチャンバと被膜チャンバとの間にワークを往復運輸することができ、真空状態で自動化加工運輸を実現することができる。コーティング機器に対する設計改良により、エッチングチャンバと被膜チャンバは、区画して加工することを実現することができ、また送達機構によりワークの連続トランスを実現することができ、ワークは、エッチング加工から被膜加工まで、過程全体において頻繁な真空引き及び真空破壊により生産効率に影響を与えることがなく、シームレス突き合わせ連続自動化加工を実現することができ、全過程は人員の介入を必要とせず、生産効率が高い。
【0008】
真空装置は、エッチングチャンバ、被膜チャンバの少なくとも1つ内に真空状態を形成させることができ、密閉接続により両者を同一の真空状態に達させる。ワークは、外部の大気圧環境からエッチングチャンバに入ってエッチングを行い、エッチングチャンバを真空破壊する必要があり、エッチングチャンバと外部の大気圧が同一である場合であればこそワークが入ることができる。エッチングチャンバと被膜チャンバは、ゲートバルブにより接続され、空間的に分割密閉され、エッチングチャンバが真空破壊される時に被膜チャンバの真空状態を保持する。ワークは、まずエッチングチャンバに入り、続いてエッチングチャンバ入口のゲートバルブを閉じ、エッチングチャンバ及び/又は被膜チャンバに接続された真空装置により真空引き、エッチングチャンバと被膜チャンバは、ゲートバルブを開いて連通して同一の真空状態に達することができる。エッチングチャンバと被膜チャンバとの間にゲートバルブが設けられて隔離され、単独で真空装置に接続することができ、したがって、エッチングチャンバは、ワークが入った後に再び真空状態に達する時間が短く、切り替え時間を低減させる。
【0009】
調理器具製品に対して表面被膜加工を行う場合、単品製品の加工時間を5-8分間まで短縮させることができ、生産効率を向上させ、単品製品の加工コストを大幅に低減させ、量産化生産の要求を満たすことができる。
【0010】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記エッチングチャンバは、互いに接続された加熱装置付きの入力領域及びプラズマ源付きの少なくとも1つのエッチング領域を含み、前記入力領域と前記エッチング領域との間は、トランスファーバルブにより接続され、前記真空装置は、前記エッチング領域に接続されて前記エッチング領域に真空を形成させ、前記エッチング入口は、前記入力領域に設置され、前記入力領域の空間体積は、前記エッチング領域の空間体積よりも小さい。
【0011】
上記技術的解決手段を採用することにより、エッチングチャンバ内のエッチング領域は、真空状態であり、ワークは、外部の大気圧環境からエッチングチャンバに入ってエッチングを行い、エッチングチャンバを真空破壊する必要があり、エッチングチャンバと外部の大気圧が同一である場合であればこそワークが入ることができる。エッチングチャンバを入力領域とエッチング領域に分け、且つ入力領域とエッチング領域との間は、トランスファーバルブにより接続され、空間的に分割密閉される。ワークは、まず入力領域に入ることができ、入力領域は、トランスファーバルブが開いた後にエッチング領域と連通して真空状態に達することができ、送達機構は、ワークを入力領域からエッチング領域に輸送して加工を行う。入力領域は、ワークの入りに用いられ、空間体積が小さく、したがって、エッチング領域と連通して真空状態に達する時間が短く、切り替え時間を低減させる。加熱装置は、ワークに対して予備加熱処理を行うことができ、プラズマ源がワークの表面に対してエッチング加工を行うことに有利である。
【0012】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記入力領域も前記真空装置に接続され、前記真空装置の作用で、前記入力領域が前記エッチング領域と同様の真空状態に達した後、前記エッチング領域と前記入力領域との間のトランスファーバルブが開き、前記送達機構は、ワークを前記入力領域から前記エッチング領域に運輸する。
【0013】
上記技術的解決手段を採用することにより、入力領域に真空装置が設置され、エッチング領域において前のワークを加工する時、真空装置は、入力領域を真空引き、入力領域とエッチング領域を同一の真空状態に達させ、それと同時にワークを加熱することができる。エッチング領域において前のワークを加工して完了した後、入力領域のワークは、送達機構によりエッチング領域に送られて加工することができ、それによりワークの連続的な無停止加工を実現し、切り替え時間を低減させ、生産効率を向上させる。
【0014】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記エッチング領域は、3つの順次接続された加熱領域、加工領域及び待機領域を含み、前記加熱領域と前記加工領域と前記待機領域との間にトランスファーバルブが設けられて互い同士に相対的に密閉された空間を形成させ、前記加熱領域と前記入力領域は、トランスファーバルブにより接続され、前記加熱領域にも加熱装置が設置され、前記プラズマ源は、前記加工領域に設置され、前記待機領域は、前記被膜チャンバに接続される。
【0015】
上記技術的解決手段を採用することにより、加熱領域は、入力領域が輸送したワークをさらに加熱することができ、エッチングに必要な温度に達した後に加工領域に入ってエッチング加工を行う。加熱領域と加工領域と待機領域との間にトランスファーバルブが設けられて互い同士に相対的に密閉された空間を形成させることができ、すなわち加熱領域、加工領域と待機領域を共通の真空状態に保持することができ、また異なる空間温度要因の影響を低減させることができ、エッチング加工の品質を保証する。待機領域と加工領域は、トランスファーバルブにより隔離され、エッチングされたワークを被膜チャンバに輸送する時、エッチングチャンバと被膜チャンバとの間の環境干渉を低減させ、ワークエッチングと被膜の加工の品質を向上させることができる。
【0016】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記被膜チャンバは、順次接続されたバッファ領域、スパッタリング領域、冷却領域及び出力領域を含み、各領域の間にトランスファーバルブが設けられて、前記バッファ領域、前記スパッタリング領域、前記冷却領域及び前記出力領域は、相対的に密閉された空間を形成させることができ、前記被膜出口は、前記出力領域に設置され、前記真空装置は、少なくとも前記バッファ領域、前記スパッタリング領域、前記冷却領域のうちの1つに接続され、前記バッファ領域、前記スパッタリング領域、前記冷却領域に真空を形成させるために用いられる。
【0017】
上記技術的解決手段を採用することにより、被膜チャンバは、バッファ領域、スパッタリング領域、冷却領域及び出力領域に分けられ、各領域の間にトランスファーバルブが設けられてバッファ領域、スパッタリング領域、冷却領域及び出力領域は、相対的に密閉された空間を形成させ、異なる領域の間の環境干渉を低減させ、被膜の加工の品質を向上させることができる。真空装置は、バッファ領域、前記スパッタリング領域、前記冷却領域の真空状態をさらに保証し、被膜加工過程における環境条件を保証し、被膜の品質の一致性を向上させることができる。
【0018】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記バッファ領域は、前記エッチング領域に接続され、前記エッチング領域がトランスしてきたワークを置くために用いられ、前記スパッタリングカソードは、前記スパッタリング領域に設置され、前記冷却領域に冷却装置が設置されて前記スパッタリング領域においてコーティングされた前記ワークを冷却するために用いられる。
【0019】
上記技術的解決手段を採用することにより、バッファ領域は、被膜チャンバとエッチングチャンバとの間の環境干渉を低減させることができ、エッチングチャンバの加工済みのワークに対してバッファ領域において環境遷移を行い、後の被膜の加工の品質を向上させ且つ待機時間を短縮させることに有利である。冷却領域は、被膜加工後のワークを冷却し、ワークを容易に運輸包装し、連続化加工に有利である。
【0020】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記出力領域も前記真空装置に接続され、前記真空装置の作用で、前記出力領域が前記冷却領域と同様な真空状態に達した後、前記冷却領域と前記出力領域との間のトランスファーバルブが開き、前記送達機構は、前記ワークを前記冷却領域から前記出力領域に運輸する。
【0021】
上記技術的解決手段を採用することにより、出力領域に真空装置が設けられ、入力領域と同様の機能効果を奏することができ、真空の加工環境から大気圧環境へのワークの無停止運輸を実現する。真空装置の作用で、出力領域が冷却領域と同様な真空状態に達した後、送達機構は、ワークを冷却領域から出力領域に運輸し、冷却領域と出力領域との間のトランスファーバルブが閉じ、出力領域が真空破壊され、ワークが後続の検出包装工程に転送する。ワークが出力領域から取り出された後、出力領域が真空引かれ、それにより加工されたワークに対して連続的な無停止運輸を実現することができ、運転効率を向上させる。出力領域は、加工領域と外部環境との隔離を補強することができ、環境への汚染を低減させる。
【0022】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記エッチング入口に第1の回転運輸機構が接続され、前記被膜出口に第2の回転運輸機構が接続され、前記第1の回転運輸機構の前記エッチング入口から離れる一端と前記第2の回転運輸機構の前記被膜出口から離れる一端は、輸送機構により接続され、前記コーティング機器に循環生産モードを形成させる。
【0023】
上記技術的解決手段を採用することにより、第1の回転運輸機構と第2の回転運輸機構により、コーティング機器は、循環生産モードを形成することができ、生産効率を向上させ、加工コストを低減させ、量産化生産に有利である。
【0024】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記輸送機構は、前記第2の回転運輸機構に沿って前記第1の回転運輸機構の方向に向かって順次クラッチ検出装置、荷役機構及び加熱通路が設置される。
【0025】
上記技術的解決手段を採用することにより、クラッチ検出装置は、第2の回転機構からトランスされてきた加工されたワークを自動的にクラッチ検出することができる。荷役機構は、ワークが検出された第2の回転機構を積み卸し置き、第2の回転機構にワークがないことが検出された場合、荷役機構は、被加工ワークを第2の回転機構に置く。加熱通路は、第2の回転機構に置かれた被加工ワークに対して第1のステップの加熱を行い、加熱されたワークは、第1の回転機構によりエッチングチャンバに送られる。クラッチ検出装置、荷役機構及び加熱通路を設置することにより、ワークの自動荷役及び予熱を実現することができ、大気環境と真空環境は、閉ループ循環自動生産を実現し、生産効率を向上させる。
【0026】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記被膜チャンバ内に被膜領域が設けられ、前記被膜チャンバは、a個設置され、前記被膜領域は、a*N個設置され、そのうち、aは、2-4の自然数であり、Nは、2-4の自然数である。
【0027】
上記技術的解決手段を採用することにより、被膜チャンバは、少なくとも2つ設置され、各被膜チャンバにターゲットを設置してスパッタリングコーティング加工を行うことができる。被膜領域は、被膜チャンバ数の2-4倍設置され、良好なコーティング加工を実現することができ、また生産ラインの長さを経済的で合理的にすることができ、被膜チャンバを容易に標準化して製造する。
【0028】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記aは、2又は3である。
【0029】
上記技術的解決手段を採用することにより、被膜チャンバは、標準的なコーティング生産要求を満たすことができ、一般的に製品に対して複数種類の材料のコーティング加工を行う場合、2種類のターゲットが最も常用であり、製品性能要求を満たすと同時に最も経済的である。被膜チャンバが2つ又は3つ設置される場合、1つの被膜チャンバのみを使用し、他の被膜チャンバを冷却チャンバとすると、生産ラインは、製品の1つのターゲットのスパッタリングコーティング加工の要求を満たすことができ、生産ラインの切り替えがより柔軟であり、生産ラインを交換し変更せずに複数種類の製品の性能のコーティング要求を実現することができる。
【0030】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記Nは、2又は3である。
【0031】
上記技術的解決手段を採用することにより、被膜チャンバは、一般的に加工を行う被膜領域が1つのみ必要であるが、機器の開発及び調整過程により、被膜領域は2又は3つ設置される場合、コーティングの品質がより安定的で、生産ラインの長さが最も合理的で、加工コスト及び不良率が低いことを発見する。
【0032】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、2つずつの前記被膜チャンバの間にトランスファーバルブが設けられる。
【0033】
上記技術的解決手段を採用することにより、2つずつの被膜チャンバの間にトランスファーバルブが設けられて互い同士に相対的に密閉された空間を形成させることができ、すなわちトランスファーバルブが開く時に異なる被膜チャンバが共通の真空状態にあることを保持することができ、またトランスファーバルブが閉じる時に異なる被膜チャンバのターゲット、温度などの要因の影響を低減させ、コーティング加工の品質を保証することができる。トランスファーバルブは、前の被膜チャンバでコーティングされたワークを後の被膜チャンバに輸送する時、異なる被膜チャンバの間の環境干渉を低減させ、ワーク被膜の加工の品質を向上させることができる。
【0034】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記被膜チャンバは、少なくとも順次接続されたバッファ領域及びスパッタリング領域という2つの被膜領域を含み、前記バッファ領域は、前記被膜チャンバの入口に接続される。
【0035】
上記技術的解決手段を採用することにより、被膜チャンバは、バッファ領域、スパッタリング領域に分けられ、各領域の間にトランスファーバルブが設けられてバッファ領域、スパッタリング領域に相対的に密閉された空間を形成させ、異なる領域の間の環境干渉を低減させ、被膜加工の品質を向上させることができる。バッファ領域は、被膜チャンバの入口に接続され、前の工程のワークが被膜チャンバに入る時にバッファ領域に遷移し、スパッタリング前のバッファ加工処理を完了させることができる。
【0036】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、各前記スパッタリング領域内のターゲットの材質は異なる。
【0037】
上記技術的解決手段を採用することにより、コーティング機器は、2種類及びそれ以上の材質のコーティング加工を実現することができ、製品の異なる性能加工の要求を満たすことができる。
【0038】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、被膜チャンバにエッチングチャンバが接続され、前記被膜チャンバの入口と前記エッチングチャンバの出口が接続され且つその間にゲートバルブが設けられ、前記ゲートバルブは、前記被膜チャンバの入口と前記エッチングチャンバの出口との間の連通又は閉じを制御するために用いられる。
【0039】
上記技術的解決手段を採用することにより、ゲートバルブを閉じてエッチングチャンバと被膜チャンバを区画して加工することができ、ゲートバルブを開けてエッチングチャンバと被膜チャンバを同一の真空状態にさせることができる。ワークの表面を加工する時、ゲートバルブが閉じ、まずエッチングチャンバでワークの表面をエッチングし、ワークの表面の付着性を向上させ、ゲートバルブが開き、エッチングされたワークが被膜チャンバに入った後にゲートバルブが閉じる。被膜チャンバ内に、ワークの表面に対して物理蒸着加工を行って付着せず且つ耐摩耗性を有するコーティング層を形成する。
【0040】
第1の態様と結び付けて、更なる解決手段において、前記被膜チャンバの出口と前記エッチングチャンバの入口との間は、輸送機構により接続されて環状生産ラインを形成する。
【0041】
上記技術的解決手段を採用することにより、送達機構は、エッチングチャンバと被膜チャンバとの間にワークを循環運輸することができ、真空状態で自動化加工運輸を実現することができる。コーティング機器に対する設計改良により、エッチングチャンバと被膜チャンバは、区画して加工することを実現することができ、また送達機構によりワークの連続トランスを実現することができ、それによりワークの連続的な無停止加工を実現し、切り替え時間を低減させ、生産効率を向上させ、加工コストを低減させ、量産化生産に有利である。
【0042】
第2の態様であって、本願は、コーティング方法を提供し、第1の態様に記載のコーティング機器に適用し、前記コーティング方法は、大気圧状態での加工ステップ及び真空状態での加工ステップを含み、
前記大気圧状態での加工ステップは、
被膜チャンバでコーティングされたワークを取り出し、被加工ワークを生産ラインに置く荷役と、
被加工ワークを150℃から250℃まで加熱する加熱と、
加熱された被加工ワークをエッチング入口に運輸する移り入りと、
コーティングされたワークをクラッチ検出し、検出済みのワークを荷役ステップに移り入る移り出しと、を含み、
前記真空状態での加工ステップは、
真空装置は、エッチングチャンバと被膜チャンバ内を真空状態に引く真空モードと、
エッチングチャンバの入力領域とエッチング領域との間のトランスファーバルブが閉じ、入力領域が真空破壊され、被加工ワークがエッチング入口を通過して入力領域に入り、エッチング入口のゲートバルブが閉じ、入力領域内が真空状態に引かれる入力と、
入力領域とエッチング領域との間のトランスファーバルブが開き、ワークがエッチング領域に入り、入力領域とエッチング領域との間のトランスファーバルブが閉じ、ワークが加熱され、加熱が済んだ後、プラズマ源は、ワークの表面に対してエッチング加工を行い、エッチングされた後、エッチング領域と待機領域との間のトランスファーバルブが開き、ワークがエッチングチャンバの待機領域に入り、エッチング領域と待機領域との間のトランスファーバルブが閉じるエッチングと、
エッチングチャンバと被膜チャンバとの間のトランスファーバルブが開き、エッチングされたワークが被膜チャンバのバッファ領域に入り、エッチングチャンバと被膜チャンバとの間のトランスファーバルブが閉じ、被膜チャンバのバッファ領域とスパッタリング領域との間のトランスファーバルブが開き、ワークがスパッタリング領域に入り、被膜チャンバのバッファ領域とスパッタリング領域との間のトランスファーバルブが閉じ、ワークの表面がスパッタリング領域において加工されて堆積層に形成され、スパッタリング領域と冷却領域との間のトランスファーバルブが開き、被膜されたワークが冷却領域に入り、スパッタリング領域と冷却領域との間のトランスファーバルブが閉じ、ワークが冷却した後、冷却領域と出力領域との間のトランスファーバルブが開き、ワークが出力領域に入り、冷却領域と出力領域との間のトランスファーバルブが閉じるコーティングと、
出力領域が真空破壊され、被膜出口のゲートバルブが開き、ワークを取り出して移り出しステップに入り、被膜出口のゲートバルブが閉じ、出力領域を真空引く出力と、を含む。
【0043】
上記技術的解決手段を採用することにより、コーティングの生産フローを最適化し、生産効率を向上させ、自動化生産を実現し、単品製品の加工コストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように、本願は、以下の少なくとも1つの有益な技術的効果を有する。
【0045】
1、本願のコーティング機器は、単品製品の加工時間を3時間から5-8分間に短縮させることができ、生産効率を向上させ、単品製品の加工コストを大幅に低減させ、量産化生産の要求を満たすことができる。
【0046】
2、本願のコーティング機器は、加工の品質がより安定的であり、環境への汚染を低減させる。
【0047】
3、本願のコーティング機器は、2種類及びそれ以上の材質のコーティング加工を実現することができ、生産ラインの切り替えがより柔軟であり、生産ラインを交換し変更せずに複数種類の製品の性能のコーティング要求を実現することができる。
【0048】
4、本願のコーティング方法は、コーティングの生産フローを最適化し、生産効率を向上させ、加工コストを効果的に低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本願のコーティング機器の第1の実施例の構造概略図である。
【
図2】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークが第2の回転運輸機構によりクラッチ検出装置に輸送される概略図である。
【
図3】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークがコーティング機器に位置する荷役機構の概略図である。
【
図4】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークがコーティング機器に位置する加熱通路の概略図である。
【
図5】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークがコーティング機器の第1の回転運輸機構に位置する概略図である。
【
図6】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークが第1の回転運輸機構によりエッチング入口に送られる概略図である。
【
図7】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークがエッチングチャンバの入力領域に入る概略図である。
【
図8】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークがエッチングチャンバのエッチング領域の加熱領域に入る概略図である。
【
図9】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークがエッチング領域の加工領域に入る概略図である。
【
図10】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークが被膜チャンバの真空引き領域に入る概略図である。
【
図11】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークが被膜チャンバに入る出力領域の概略図である。
【
図12】本願のコーティング機器の第1の実施例のワークが被膜チャンバから第2の回転運輸機構に入る概略図である。
【
図13】本願のコーティング機器の第2の実施例の被膜チャンバの構造概略図である。
【
図14】本願のコーティング機器の第3の実施例の被膜チャンバの構造概略図である。
【
図15】本願のコーティング機器の第4の実施例の被膜チャンバの構造概略図である。
【符号の説明】
【0050】
1、エッチングチャンバ、11、エッチング入口、12、入力領域、13、第1のトランスファーバルブ、14、エッチング領域、141、加熱領域、142、加工領域、143、待機領域、2、第2のトランスファーバルブ、3、被膜チャンバ、31、真空引き領域、32、バッファ領域、33、スパッタリング領域、34、冷却領域、35、第3のトランスファーバルブ、36、出力領域、37、被膜出口、310、第1のチャンバ、311、第1のバッファ領域、312、第1のスパッタリング領域、313、第1の冷却領域、320、第4のトランスファーバルブ、330、第2のチャンバ、331、第2のバッファ領域、332、第2のスパッタリング領域、333、第2の冷却領域、4、第1の回転運輸機構、5、クラッチ検出領域、6、荷役機構、61、排出機構、62、供給機構、7、輸送機構、8、加熱通路、9、第2の回転運輸機構、100、ワーク。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をさらに明確にするために、以下、図面と結び付けて本発明をさらに詳細に説明する。ここで、図面において説明されて示される本発明の実施例の構成要素は、様々な異なる構成で配置及び設計される。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を行わない前提で得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0052】
注意すべきものとして、同様の参照番号と文字は、以下の図面において、同様の項目を表し、したがって、一旦ある項目が1つの図面において定義されると、これを以降の図面においてさらに定義と解釈する必要がない。
【0053】
本発明の説明において、なお、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体的な接続であってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接連結であってもよく、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0054】
本願の説明において、理解されるように、用語「上」、「下」、「左」、「右」などが指示する方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本願を説明しやすく説明を簡略化するためだけであり、示された装置又は素子が特定の方位を有するか、特定の方位で構造及び操作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本願を限定するものと理解できない。
【0055】
以下、図面と結び付けて、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。下記の実施例における特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【実施例0056】
図1を参照し、コーティング機器の1つの実施例の構造概略である。コーティング機器は、エッチングチャンバ1、被膜チャンバ3、送達機構(図示せず)及び真空装置を含む。エッチングチャンバ1は、ワーク100の表面をエッチング加工してワーク100の表面の付着性を向上させるために用いられ、エッチングチャンバ1は、ワーク100の表面を加工するためのプラズマ源及びエッチング入口11とエッチング出口を含む。被膜チャンバ3は、ワーク100の表面に堆積層を形成するために用いられ、被膜チャンバ3は、ワーク100のエッチング加工された表面をスパッタリングするためのスパッタリングカソード及びトランスファーバルブ付きの被膜入口とゲートバルブ付きの被膜出口37を含み、エッチング出口と被膜入口に第2のトランスファーバルブ2が設けられる。送達機構は、少なくとも部分的にエッチングチャンバ1又は被膜チャンバ3内に設置され、エッチングチャンバ1内に加工されたワーク100を被膜チャンバ3に運輸するために用いられる。本実施例において、真空装置は、エッチングチャンバ1と被膜チャンバ3にそれぞれ接続され、エッチングチャンバ1と被膜チャンバ3内に真空状態を形成させるために用いられる。エッチング出口と被膜入口との間は、密閉して接続され、コーティング機器の動作状態で、エッチングチャンバ1と被膜チャンバ3を同一の真空状態にさせる。エッチングチャンバ1と被膜チャンバ3との間は、真空密閉され、したがって、真空装置は、単独でエッチングチャンバ1に接続されてもよく又は単独で被膜チャンバ3に接続されてもよく、エッチングチャンバ1と被膜チャンバ3を共に同一の真空状態に達させる。
【0057】
エッチングチャンバ1は、互いに接続された加熱装置付きの入力領域12及びプラズマ源付きの少なくとも1つのエッチング領域14を含み、入力領域12とエッチング領域14との間に第1のトランスファーバルブ13が設けられ、エッチング入口11は、入力領域12に設置され、入力領域12の空間体積は、エッチング領域14の空間体積よりも小さい。真空装置の作用で、入力領域12がエッチング領域14と同様の真空状態に達した後、エッチング領域14と入力領域12との間の第1のトランスファーバルブ13が開き、送達機構がワーク100を入力領域12からエッチング領域14に運輸する。
【0058】
エッチング領域14は、3つの順次接続された加熱領域141、加工領域142及び待機領域143を含み、加熱領域141と加工領域142と待機領域143との間にいずれもトランスファーバルブが設けられて互い同士に相対的に密閉された空間を形成させることができ、加熱領域141は、入力領域12に接続され且つ両者の間に第1のトランスファーバルブ13が設けられ、入力領域12と加熱領域141にいずれも加熱装置が設置され、加熱装置は、ワーク100を動作温度まで昇温することができ、プラズマ源は、加工領域142に設置され、待機領域143と被膜チャンバ3との間に第2のトランスファーバルブ2が設けられる。
【0059】
被膜チャンバ3は、順次接続されたバッファ領域32、スパッタリング領域33、冷却領域34及び出力領域36を含み、各領域の間にトランスファーバルブが設けられてバッファ領域32、スパッタリング領域33、冷却領域34及び出力領域36が相対的に密閉された空間を形成させることができ、被膜出口37は、出力領域36に設置される。真空装置は、少なくともバッファ領域32、スパッタリング領域33、冷却領域34のうちの1つに接続され、バッファ領域32、スパッタリング領域33、冷却領域34を真空に形成させるために用いられる。バッファ領域32は、エッチング領域14に接続され、エッチング領域14からトランスされてきたワーク100を置くために用いられ、スパッタリングカソードは、スパッタリング領域33に設置され、冷却領域34に冷却装置が設置されてスパッタリング領域33でコーティングされたワーク100を冷却するために用いられる。
【0060】
出力領域36も真空装置に接続され、真空装置の作用で、出力領域36が冷却領域34と同様な真空状態に達した後、冷却領域34と出力領域36との間のトランスファーバルブが開き、送達機構は、ワーク100を冷却領域34から出力領域36に運輸し、冷却領域34と輸送領域との間に第3のトランスファーバルブ35が設置される。被膜チャンバ3は、さらにバッファ領域32、スパッタリング領域33、冷却領域34及び出力領域36と連通する真空引き領域31を設置することができ、真空装置は、真空引き領域31に接続されて真空引き領域31を真空引き、バッファ領域32、スパッタリング領域33、冷却領域34と出力領域36との間のトランスファーバルブを開くことにより、バッファ領域32、スパッタリング領域33、冷却領域34及び出力領域36を同一の真空状態に達させる。本実施例における真空引き装置は、真空ポンプである。
【0061】
エッチング入口11に第1の回転運輸機構4が接続され、エッチング入口11と第1の回転運輸機構4との間にゲートバルブが設置され、被膜出口37に第2の回転運輸機構9が接続され、被膜出口37と第2の回転運輸機構9との間にゲートバルブが設置され、第1の回転運輸機構4のエッチング入口11から離れる一端と第2の回転運輸機構9の被膜出口37から離れる一端は、輸送機構7により接続される。本実施例における輸送機構7は、ベルトコンベアであり、第1の回転運輸機構4と第2の回転運輸機構9は、180°回転運輸を実現することができ、コーティング機器に循環生産モードを形成させる。
【0062】
輸送機構7は、第2の回転運輸機構9に沿って第1の回転運輸機構4方向に向かって順次クラッチ検出装置、荷役機構6及び加熱通路8が設置され、荷役機構6は、供給機構62及び排出機構61を含む。クラッチ検出装置は、ワーク100が第2の回転運輸機構9から輸送機構7に輸送される時、治具上のワーク100に対してクラッチ検出を行うために用いられ、治具上にワーク100がないことを検出する時、供給機構62は、治具に対して供給を行い、治具上にワーク100があることを検出する時、排出機構61は、ワーク100を取り外した後、供給機構62は、供給を行う。ワーク100が装着された治具は、輸送機構7により加熱通路8内に輸送され、加熱通路8は、ワーク100を加熱し、加熱されたワーク100は、第1の回転運輸機構4により入力領域12に送られる。
真空装置は、少なくとも第1のバッファ領域311、第1のスパッタリング領域312、第2のバッファ領域331、第2のスパッタリング領域332のうちの1つに接続され、第1のチャンバ310と第2のチャンバ330を真空状態に形成させるために用いられる。第1のバッファ領域311は、エッチングチャンバ1に接続され、エッチングチャンバ1からトランスされてきたワークを置くために用いられ、スパッタリングカソードは、第1のスパッタリング領域312と第2のスパッタリング領域332に設置される。第1のスパッタリング領域312と第2のスパッタリング領域332内のターゲットが異なり、ワークは、第1のスパッタリング領域312内に1つの種類のターゲットのコーティングを行った後、第2のスパッタリング領域332に入って第2の種類のターゲットのコーティング加工を行い、それによりワークに対して2種類の材質のコーティング加工を行うことができる。3種類又は4種類の材質のコーティング加工を行おうとする場合、被膜チャンバ3を増加することができ、例えば第2のチャンバ330の後に第3のチャンバと第4のチャンバを接続し、各被膜チャンバ3は、異なる材質のターゲットを採用すればよい。