(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120157
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】燃料噴射器
(51)【国際特許分類】
F23R 3/20 20060101AFI20240828BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20240828BHJP
F23R 3/34 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
F23R3/20
F23R3/28 D
F23R3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015965
(22)【出願日】2024-02-05
(31)【優先権主張番号】18/173,371
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ディー・マイヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健司
(72)【発明者】
【氏名】田村 一生
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 智志
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡介
(72)【発明者】
【氏名】羽田 哲
(72)【発明者】
【氏名】吉野 公太
(57)【要約】
【課題】本発明は、燃料噴射器を提供する。
【解決手段】燃料噴射器は、ガスタービンシステムのタービンに向かって延びる燃焼器の壁の開口部上方に配置された扁平管を含む。扁平管は、ガスタービンシステムの圧縮機によって圧縮された空気が、開口部を通って流れる前に扁平管の厚さ方向に対して垂直に流れるように構成される。扁平管は、扁平管内を流れる気体燃料が空気の通路に抜ける燃料孔を有する。壁に対して垂直に見たときに、空気の流れに対する扁平管の下流縁部の全長が開口部内に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンシステムのタービンに向かって延びる燃焼器の壁の開口部の上に配置される扁平管であって、
前記扁平管は、前記ガスタービンシステムの圧縮機によって圧縮された空気が前記開口部を通って流れる前に前記扁平管の厚さ方向に対して垂直に流れるように構成され、
前記扁平管は、前記扁平管の内部を流れる気体燃料が前記空気の通路に抜ける燃料孔を有し、
前記空気の流れに対する前記扁平管の下流縁部の全長は、前記壁に対して垂直に見たときに、前記開口部内に配置される、
扁平管
を備える、燃料噴射器。
【請求項2】
前記開口部は、尾筒の壁に配置される、請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項3】
前記扁平管の前記下流縁部にある同軸管であって、
前記同軸管は、
液体燃料が流れる内管と、
前記内管を同軸に囲み、前記液体燃料と水との混合物が流れる外管と
を備える、同軸管
を更に備える、請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項4】
前記同軸管は、
前記同軸管の長手方向軸線に沿って延びるフィンプレートであって、前記フィンプレートは、
前記内管の内側から前記外管の外側に延び、
前記内管の内部空間を前記フィンプレートの第1の側の第1の部分と前記フィンプレートの第2の側の第2の部分とに分割する、
フィンプレートを更に備え、
前記外管の外側に配置された前記フィンプレートの一部が前記空気の前記流れに沿って延びる、
請求項3に記載の燃料噴射器。
【請求項5】
前記内管は、
前記内管の前記内部空間の前記第1の部分と前記外管の内部及び前記内管の外部の空間とを接続する第1の孔と、
前記内管の前記内部空間の前記第2の部分と前記外管の内部及び前記内管の外部の前記空間とを接続する第2の孔とを有し、
前記第1の孔は、前記同軸管の前記長手方向軸線に沿って前記第2の孔からオフセットされる、
請求項4に記載の燃料噴射器。
【請求項6】
前記外管は、
前記外管の内側の空間と前記外管の外側とを接続する第1の孔と、
前記外管の内側の前記空間と前記外管の外側とを接続し、かつ前記フィンプレートに対して前記第1の孔の反対側に配置される第2の孔とを有し、
前記第1の孔は、前記同軸管の前記長手方向軸線に沿って前記第2の孔からオフセットされる、
請求項4に記載の燃料噴射器。
【請求項7】
前記内管は、前記内管の内部空間と前記外管の内側の空間及び前記内管の外側とを接続する孔を有し、
前記外管は、前記外管の内側の空間と前記外管の外側とを接続する孔を有し、
前記内管の前記孔は、前記同軸管の前記長手方向軸線に沿って前記外管の前記孔からオフセットされる、
請求項3に記載の燃料噴射器。
【請求項8】
前記開口部の中心上に配置され、前記壁に対して垂直に延びるハブであって、
前記扁平管は、1つ又は複数の屈曲部を有し、前記壁に対して垂直に見たときに、前記ハブから前記開口部の周囲に向かって非直線状に延びる、ハブ
を更に備える、請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項9】
前記扁平管は、前記壁に対して垂直に見たときに、略正弦曲線の形状を有する、請求項8に記載の燃料噴射器。
【請求項10】
前記扁平管の長手方向は、前記壁に対して垂直な方向に見たときに、前記開口部を螺旋形状に覆っている、請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項11】
前記開口部及び前記扁平管の上に配置されたフードを更に備える、請求項10に記載の燃料噴射器。
【請求項12】
前記扁平管の前記長手方向及び前記厚さ方向に対して垂直な方向で測定した前記扁平管の高さは、前記螺旋形状の外端部から前記螺旋形状の内端部に向かって直線的に減少する、請求項10に記載の燃料噴射器。
【請求項13】
前記扁平管の前記燃焼器の前記壁の内面からの距離は、前記螺旋形状の外端部から前記螺旋形状の内端部に向かって直線的に減少する、請求項10に記載の燃料噴射器。
【請求項14】
前記螺旋形状の外端部は、前記燃焼器の外部における前記空気の流れの上流側に向かって開口している、請求項10に記載の燃料噴射器。
【請求項15】
前記燃焼器の前記壁は、前記開口部の内側に向かって延びるリブを備え、
前記扁平管は前記リブの内側に嵌合する、
請求項10に記載の燃料噴射器。
【請求項16】
前記開口部は鋭角の頂点を有し、
前記頂点は前記燃焼器のバーナの方を向き、
前記扁平管はループ状である、
請求項1に記載の燃料噴射器。
【請求項17】
前記開口部は、前記燃焼器の前記バーナから前記タービンに向かって流れるガスの方向に細長いくさび形の形状である、請求項16に記載の燃料噴射器。
【請求項18】
前記開口部は、前記燃焼器の前記バーナから前記タービンに向かって流れるガスの方向に細長いひし形の形状である、請求項16に記載の燃料噴射器。
【請求項19】
前記空気の前記流れに対する前記扁平管の上流縁部は、前記壁に対して垂直に見たときに、前記開口部の周囲にわたって外側に延び、前記空気の前記流れのためのベルマウスを形成する、請求項16に記載の燃料噴射器。
【請求項20】
前記燃焼器の前記壁の前記開口部上方に配置され、
それぞれが、気体燃料が前記空気の前記通路に抜ける燃料孔を有し、かつ
それぞれが、ループ状である、
1つ又は複数の他の扁平管と、
前記扁平管と前記1つ又は複数の他の扁平管とを支持する支柱であって、
前記支柱の内部は、前記扁平管の内部と前記1つ又は複数の他の扁平管の内部とに連通している、支柱と
を更に備える、請求項16に記載の燃料噴射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、燃料噴射器に関し、より詳細には、ガスタービンアセンブリにおける多段燃料噴射のための燃料噴射器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン(GT)は、一般に、かなりの量の窒素を含む空気で燃料を燃焼させる。その結果、大気汚染物質として知られている窒素酸化物(NOx)が、燃料の燃焼において生成され、排気中に放出される。一般的には、火炎温度が高くなると、NOxの生成が促進される。そのため、GTでの燃料燃焼におけるNOxの排出を低減するためには、燃料を単段で燃焼させるのではなく、多段(即ち、長時間)で燃焼させることが求められてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃料を多段燃焼させる場合、比較的高温の1段目の燃焼生成物が、後段の予燃焼燃料/空気混合気と混合される。排気中の一酸化炭素(CO)生成を低減し、後続タービン段の入口温度プロファイルを改善するためには、後続段で予燃焼燃料/空気の混合気と高温の第1段の燃焼生成物との効果的な混合が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つ又は複数の実施形態による燃料噴射器は、ガスタービンシステム内のタービンに向かって延びる燃焼器の壁にある開口部の上に配置される扁平管を含む。扁平管は、ガスタービンシステムの圧縮機によって圧縮された空気が、開口部を通って流れる前に扁平管の厚さ方向に対して垂直に流れるように構成される。扁平管は、扁平管内を流れる気体燃料が空気の通路に抜ける燃料孔を有する。壁に対して垂直に見たときに、空気の流れに対する扁平管の下流縁部の全長が開口部内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】1つ又は複数の実施形態によるガスタービンシステムの概略図を示す。
【
図2】1つ又は複数の実施形態による燃焼器の概略断面図を示す。
【
図3】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器を示す。
【
図4】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器に使用される扁平管を示す。
【
図5】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器に使用される扁平管の断面図を示す。
【
図6】1つ又は複数の実施形態による扁平管の縁部に取り付けられた同軸管の拡大斜視図を示す。
【
図7】1つ又は複数の実施形態による同軸管の長手方向に沿った内管孔及び外管孔の分布を示す。
【
図8】1つ又は複数の実施形態による同軸管の長手方向に沿った内管孔及び外管孔の分布を示す。
【
図9】1つ又は複数の実施形態による同軸管の長手方向に沿った内管孔及び外管孔の分布を示す。
【
図10】1つ又は複数の実施形態による同軸管の長手方向に沿った内管孔及び外管孔の分布を示す。
【
図11】1つ又は複数の実施形態による同軸管の長手方向に沿った内管孔及び外管孔の分布を示す。
【
図12】1つ又は複数の実施形態による同軸管の長手方向に沿った内管孔及び外管孔の分布を示す。
【
図13】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の上面図を示す。
【
図14】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器を示す。
【
図15】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の断面図を示す。
【
図16A】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の概略側面図を示す。
【
図16B】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の概略側面図を示す。
【
図17】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の扁平管の断面図である。
【
図18】1つ又は複数の実施形態による平らに広げられたときの扁平管の概略図である。
【
図19】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の斜視図を示す。
【
図20】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の上面図を示す。
【
図21】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の断面図を示す。
【
図22】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の燃料孔の概略的な分布を示す。
【
図23】1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、1つ又は複数の実施形態によるガスタービンシステムの概略を示す。
図1に示すように、ガスタービンシステム1は、回転子8と、ケーシング20とを備える。回転子8は、回転子8の長手方向(軸方向)に沿って配置された回転子8の軸の回りを回転する。ケーシング20は、回転子8を囲む。
【0007】
ガスタービンシステム1をその機能面から考えると、ガスタービンシステム1は、圧縮機2、燃焼器4、及びタービン6を含む。圧縮機2は、ケーシング20に固定された静翼列16、及び回転子8に固定された動翼列18を含む。静翼列16と動翼列18とは、回転子8の長手方向に交互に配置されている。空気は、吸気口12から静翼列16及び動翼列18に導入される。静翼列16及び動翼列18は、上流(
図1の左側)から下流(
図1の右側)に向かって流れる空気を圧縮する。
【0008】
各燃焼器4では、圧縮機2で圧縮された空気に燃料が噴射されて混合される。また、燃料と圧縮空気との混合気は燃焼器4で点火され、燃料と圧縮空気との混合気(即ち、燃焼生成物)のエンタルピーが上昇する。
【0009】
次いで、燃焼器4で生成された燃焼生成物はタービン6に導かれ、タービン6では、ケーシング20に固定された静翼列と、回転子8に固定された動翼列とが交互に配置される。高エンタルピーの燃焼生成物は、タービン6内の動翼列及び静翼列を通って流れるが、燃焼生成物のエンタルピーは、回転子8の回転動力に変換される。
【0010】
図1に示すように、ガスタービンシステム1は、2つ以上の燃焼器4を含むことができる。
図1に示す例示的な構造では、16個(5つのみが示されている)の燃焼器4が、圧縮機2とタービン6との間の回転子8の部分の周りに円周方向に配置されている。
【0011】
図2は、1つ又は複数の実施形態による燃焼器4の概略断面図である。
図2に示すように、燃焼器4は、ケーシング20に取り付けられ、燃焼器ライナ46、及びバーナ50(第一段燃料噴射器)を含む。燃焼器ライナ46は、バーナ50を取り囲む上流側部品47、及び上流側部品47とタービン6の入口とを接続する尾筒48を含む。上流側部品47及び尾筒48は、一体化された単一部品として一緒に製造されてもよい。
【0012】
圧縮機2によって圧縮された空気(圧縮空気10)は、プレナム入口40aを介して燃焼器プレナム40に入る。その後、圧縮空気10は、
図2の白抜き矢印に示すように、燃焼器ライナ46の外側に流れ、バーナ50の周りに導入される。バーナ50の周囲には、燃料入口52から燃焼器4内に導入された燃料が噴射され、圧縮空気10と混合される。圧縮空気10と噴射された燃料との混合気が上流側部品47内を流れると、混合気中の燃料が燃焼する(即ち、圧縮空気10中の酸素によって酸化される)。燃焼した混合気(即ち、燃焼生成物)は、尾筒48の内部を流れ、タービン6の入口に導かれる。
【0013】
1つ又は複数の実施形態では、1つ又は複数の第二段燃料噴射器100は、
図2に示すように、尾筒48の壁に配置される。燃焼器プレナム40に導かれた圧縮空気10の一部が第二段燃料噴射器100を通って流れる間に、(バーナ50で噴射されるものと同じ種類の、又は異なる種類の)追加の燃料が噴射され、圧縮空気10と混合される。追加の燃料と圧縮空気10との混合物は、尾筒48の内部で燃焼生成物と混合する。バーナ50からの燃焼生成物は、尾筒48内で高温になり、追加の燃料は、尾筒48内で燃焼する。したがって、燃焼生成物のエンタルピーは、追加の燃料(及び尾筒48での燃焼)と共に更に上昇する。第二段燃料噴射器100は、燃焼器40の長手方向における尾筒48の任意の位置に、燃焼生成物の流れに対してバーナ50の下流まで配置することができる。第二段燃料噴射器100は、バーナ50の下流の上流側部品47の壁面に配置することもできる。
【0014】
図3は、1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器を示す。
図3に示す第二段燃料噴射器200は、ハブ210、扁平管220、及び周壁230を含む。周壁230は、尾筒48の側壁から外側に突出するベースフランジ270を介して、尾筒48の側壁にある開口部80の周囲に固定される。ベースフランジ270の内面にはリブ272が配置されている。尾筒48の内部空間は、第二段燃料噴射器200が固定される側壁にある開口部80を介して、尾筒48の外部空間と連通する。したがって、第二段燃料噴射器200は、開口部80と共に圧縮空気の通路を形成する。換言すれば、尾筒48の外側の燃焼器プレナム40に導かれた圧縮空気10は、開口部80を通って尾筒48の内部空間に流入することができる。
図3に示す開口部80の形状は、これに限定されないが、略円形である。
【0015】
ハブ210は、開口部80の略中心に配置され、ハブ210から周壁230の内面まで1つ又は複数の扁平管220が延びる。周壁230は開口部80の周囲に固定されているため、尾筒48の側壁に対して垂直に見たときに、扁平管220の全長は開口部80内に配置される。ハブ210は内部空間を有し、燃料供給ライン215がハブ210に接続される。これにより、燃料供給ライン215を介して供給された燃料(主に気体燃料)を、ハブ210の内部空間を介して扁平管220の内部に送出することができる。1つ又は複数の実施形態では、扁平管220は、ハブ210の一端でハブ210に取り付けられ、燃料供給ライン215は、ハブ210の他端に取り付けられる。
【0016】
1つ又は複数の実施形態による扁平管220のうちの1つの詳細を
図4及び
図5に示す。扁平管220は、
図4に示すように、長手方向D
Lに延びる管である。扁平管220の長手方向D
Lに垂直な切断面における断面は、
図5に示すように、扁平な楕円形状である。扁平管220の断面における長軸の方向は、
図4及び
図5に示すように、「横」方向(又は「幅」方向)D
Wと呼び、
図5に示すように、断面における短軸の方向を「厚さ」方向D
Tと呼ぶ。
図4に示すように、扁平管220の長手方向D
Lは、必ずしも直線状でなくてもよい。したがって、扁平管220のある位置における長手方向、横方向、及び厚さ方向D
L、D
W、D
Tは、別の位置における対応する方向とは異なっていてもよい。
【0017】
図3に示すように、扁平管220の横方向は、尾筒48の壁の表面に対して略垂直である。換言すれば、第二段燃料噴射器200内の扁平管220は、尾筒48の外側から第二段燃料噴射器200を通って尾筒48の内側へ向かう圧縮空気10の流れが妨げられないように配向される。
【0018】
扁平管220は、
図4に示すように、扁平管220の内部と外部とを連通する燃料孔240を有する。この燃料孔240により、扁平管220の内部に供給された燃料を、扁平管220の外部を流れる圧縮空気10に噴射することができる。
図4及び
図5に示すように、燃料孔240は、扁平管220の横方向D
Wの中央に配置されてもよい。追加的又は代替的に、燃料孔240は、扁平管220の横方向D
Wにおける圧縮空気10の流れに対して、扁平管220の上流縁部及び/又は下流縁部の近傍に配置されてもよい。
【0019】
更に、
図4及び
図5に示すように、扁平管220は、圧縮空気10の流れに対して扁平管220の下流縁部(換言すれば、扁平管220の横方向の一方の縁部)に同軸管250を含むことができる。同軸管250は、
図5に示すように、内管252と内管252を囲む外管254とを含む。この同軸管250の構造により、第1の流体を内管252の内側に供給し、第2の流体を内管252の外側(及び外管254の内側)に供給することが可能になる。例えば、内管252の内側に供給される第1の流体は液体燃料であり、内管252の外側に供給される第2の流体は水であってもよい。内管252の外側に供給される水は、内管252の内側に供給された液体燃料を冷却することができ、扁平管220の外側からの熱、特にバーナ50からの燃焼生成物から液体燃料を保護することができる。
【0020】
1つ又は複数の実施形態では、同軸管250は、
図5に示すように、同軸管250の長手方向軸線に沿って、内管252の内側から外管254の外側まで延びるフィンプレート256を含む。フィンプレート256は、内管252を横切って延びてもよく、内管252の内部空間を2つの別個の部分に分割してもよい。フィンプレート256は、扁平管220の周囲を流れる圧縮空気10の下流に向かって外管254から更に延びてもよい。
【0021】
図6は、1つ又は複数の実施形態による同軸管250の拡大斜視図を示す。同軸管250の内管252は、内管孔262を有することができ、外管254は、外管孔264を有することができる。内管252の内側に供給された第1の流体は、内管孔262を通って内管252の外側に出て、内管252の外側(及び外管254の内側)に供給された第2の流体と混合し得る。更に、第1の流体と第2の流体との混合物は、外管254から外管孔264を通って同軸管250の外部に出ることができる。
【0022】
図4~
図6に示す実施形態では、外管254から圧縮空気10の流れ方向下方に延びるフィンプレート256の部分(プレフィルミングリップ)は、外管孔264を通って外管254から同軸管250の外部に出る第1の流体と第2の流体との混合物のための噴霧器として機能し得る。より具体的には、フィンプレート256の表面上に第1の流体と第2の流体との混合物の比較的薄い膜が生成されるように、圧縮空気10がフィンプレート256の表面上方を流れる状態で、同軸管250からの第1の流体と第2の流体との混合物が、フィンプレート256の表面上に広がる。圧縮空気10の高速空気流は、圧縮空気10が圧縮空気10の流れに対してフィンプレート256の下流縁部上方を通過する際に、薄膜の表面上に第1の流体と第2の流体との混合物の波と不安定性を生じさせ、第1の流体と第2の流体との混合物の塊(リガメント)及び液滴に剪断される。1つ又は複数の実施形態では、内管252の内側に供給される第1の流体は油であってもよく、内管252の外側に供給される第2の流体は水であってもよい。その場合油と水との不混和性によって生じる流体力学的不安定性により、フィンプレート256上の第1の流体と第2の流体との混合物も不安定になり、第1の流体と第2の流体との混合物の霧化プロセスが更に促進される。
【0023】
図7は、1つ又は複数の実施形態による、同軸管250の長手方向(即ち、扁平管220の長手方向D
L)に沿った内管孔262及び外管孔264の例示的な分布を説明する概略図を示す。より具体的には、1つ又は複数の実施形態では、内管252は、同軸管250のそれぞれの長手方向位置に配置される2つ以上の内管孔262を有する。更に、外管254は、同軸管250のそれぞれの長手方向位置に配置される2つ以上の外管孔264を有する。内管孔262の数は、外管孔264の数と同じであってもよいし、異なっていてもよい。更に、長手方向D
Lにおける内管孔262に対する外管孔264の相対的位置は任意であってもよく、1つ又は複数の実施形態では、外管孔264と内管孔262とを整列させてもよい。
図7に示す1つ又は複数の実施形態では、内管孔262は、同軸管250の長手方向に外管孔264からオフセットされている。換言すれば、1つ又は複数の実施形態では、内管孔262及び外管孔264のいずれも、同軸管250内のそれらの長手方向位置を共有しない。内管孔262及び外管孔264のこの構造により、混合物が同軸管250から排出される前に、内管252の内側に供給される第1の流体と内管252の外側に供給される第2の流体との混合が促進される。
【0024】
図7に示した様々な位置における同軸管250の断面を示す
図8~
図12を参照して、内管孔262及び外管孔264の上記の構造について更に説明する。
【0025】
図8は、
図5と同様に、内管孔262も外管孔264のいずれも位置しない箇所における同軸管250の断面を示す。
図8に示すように、内管252及び外管254のいずれも、この位置に開口部を有していない。
【0026】
同軸管250の一方の長手方向位置(
図7の切断線A-Aによる指定位置)において、
図9に示すように、外管254は外管孔264を有する。この長手方向位置の外管孔264は、フィンプレート256に近接して(換言すれば、圧縮空気10の流れに対して下流縁部に向かって)、フィンプレート256の片側(この例では、
図9の図においてフィンプレート256の右側)に配置されている。内管252は、この長手方向位置に内管孔262を有していない。
【0027】
同軸管250の別の長手方向位置(
図7の切断線B-Bによる指定位置)では、
図10に示すように、外管254は外管孔264を有さず、内管252は内管孔262を有する。この長手方向位置の内管孔262は、フィンプレート256と内管252とが交差する位置から最も離れた円周上にあって、フィンプレート256の片側(この例では、
図10の図においてフィンプレート256の右側)に配置されている。
【0028】
同軸管250の更に異なる長手方向位置(
図7の切断線C-Cによる指定位置)では、
図11に示すように、外管254は外管孔264を有するが、内管252は内管孔262を有さない。この長手方向位置の外管孔264は、フィンプレート256に近接して(換言すれば、圧縮空気10の流れに対して下流縁部に向かって)配置され、
図9に示す外管孔264の側とは反対側のフィンプレート256の側(即ち、この例では、
図11の図においてフィンプレート256の左側)に配置されている。
【0029】
同軸管250の更に異なる長手方向位置(
図7の切断線B-Bによる指定位置)では、
図12に示すように、外管254は外管孔264を有さず、内管252は内管孔262を有する。この長手方向の位置における内管孔262は、フィンプレート256と内管252とが交差する位置から最も遠い円周上であって、
図10に示す内管孔262側とは反対側のフィンプレート256側(即ち、この例では、
図12の図においてフィンプレート256の左側)に配置されている。
【0030】
図7に示す実施形態では、
図9~
図12に示される内管孔262と外管孔264の順序が同軸管250の長手方向に沿って繰り返される。換言すれば、切断線E-Eにおける断面は、切断線A-Aにおける断面と実質的に同じである。また、切断線F-Fにおける断面は、切断線B-Bにおける断面と実質的に同じであるが、内管孔262及び外管孔264の分布はこの順序に限定されない。換言すれば、1つ又は複数の実施形態では、
図9~
図12に示される断面は、同軸管250の長手方向に沿った
図9~
図12の順序とは異なる順序で現れ得る。更に、
図9~
図12に示される断面は、同軸管250の長手方向に沿ってランダムに現れ得る。
【0031】
図13は、燃料供給ライン215のない第二段燃料噴射器200の上面図を示す。この図では、第二段燃料噴射器200は、ハブ210から周壁230の内面まで延びる8つの扁平管220を含む。
図13に示すように、扁平管220は、尾筒48の側壁の開口部80を横切ってほぼ半径方向に延びる。しかしながら、1つ又は複数の実施形態では、扁平管220は、(
図13に示すように)上面図において1つ又は複数の屈曲部を有してもよく、ハブ210に取り付けられた一端から周壁230の内面に取り付けられた他端まで直線状に延びていなくてもよい(即ち、非直線状に延びていてもよい)。扁平管220が、ハブ210に取り付けられた一端から周壁230の内面に取り付けられた他端までに1つ又は複数の屈曲部を有する場合、扁平管220の長手方向D
Lに沿った扁平管220の全長は、ハブ210に取り付けられた一端から周壁230の内面に取り付けられた他端までの直線距離よりも長くなる。そして、バーナ50の作動によって尾筒48の側壁が振動したりする場合、又は伸長/収縮したりする傾向がある場合、ハブ210に対する周壁230の相対的な変位/変形を、扁平管220が破断することなく、扁平管220の弾性/塑性変形によって調整することができる。
【0032】
扁平管220の形状は、
図13に示す実施形態の扁平管220の間では同一である。例えば、
図13に示すように、圧縮空気の流れ方向(即ち、
図13に示す上面図又は扁平管220の横方向D
W)に見た扁平管220の外形は正弦曲線であってもよい。しかしながら、形状は必ずしも正弦曲線である必要はなく、他の実施形態において扁平管220の間で異なっていてもよい。
【0033】
1つ又は複数の実施形態において、
図13には、燃料孔240のおおよその位置と、扁平管220から出て圧縮空気10の流れに入る燃料流の方向が、白抜き矢印で更に示されている。1つ又は複数の実施形態では、燃料は、
図13に示すように、扁平管220の間の略同一の半径方向位置で出ることができ、全ての方向は、圧縮空気10の流れの方向に沿って見たときに時計回りの向きに整列することができる。しかしながら、方向は、反時計回りの向きであってもよい。更に、方向は、特定の向きに整列されなくてもよく、例えば、扁平管220の間で時計回りの向きと反時計回りの向きとの間で交互になってもよい。更に、燃料孔240の位置及び燃料流の方向は、ランダムに現れることができる。更に、扁平管220のそれぞれは、2つ以上の燃料孔240を、同じ又は異なる時計回り/反時計回り方向で異なる半径方向及び横方向の位置に有することができる。
【0034】
図14は、1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器300の別の構造を示す。
【0035】
この構造では、燃料孔340を含めて扁平管320は、
図4~
図12を参照して説明した扁平管220と略同じ基本構造を有する。
図14(及び後続の図)には示されていないが、扁平管320は、扁平管220の同軸管250のような同軸管を含むことができる。
【0036】
扁平管320の長手方向は、
図14に示すように、開口部80を通る圧縮空気10の流れの方向に見たときに、尾筒48の側壁の開口部80を螺旋形状に覆っている。1つ又は複数の実施形態では、第二段燃料噴射器300は、開口部80において尾筒48の側壁に取り付けられたベースフランジ370を含む。ベースフランジ370は、
図14に示すように、中央に開口部を有し、扁平管320の螺旋形状を収容する。ベースフランジ370の開口部の内面には、開口部80の中心に向かって突出し、扁平管320にほとんど接触しないリブ372が含まれている。換言すれば、扁平管320の螺旋形状がリブ372の内側に嵌合し得る。この構造により、リブ372は、ベースフランジ370の開口部の中心で扁平管320を支持し、扁平管320の螺旋形状を尾筒48の側壁の開口部80と整列させる。しかしながら、扁平管320は、リブ372に固定されていなくてもよく、バーナ50の作動によって尾筒48の側壁が振動する場合、又は伸長/収縮したりする傾向がある場合、扁平管320に対するベースフランジ370の相対的な変位/変形は、扁平管320の破断することなく、扁平管320の弾性/塑性変形によって調整することができる。
【0037】
図17を参照して以下で更に説明するように、燃料は、螺旋形状の外端部330で扁平管320に供給され、螺旋形状の内端部310に向かって流れる。
【0038】
図15は、尾筒48の側壁の開口部80の直径に沿った断面を示す。
図14と
図15に示すように、扁平管320は、尾筒48の内側に向かってその位置を徐々に変化させ、側壁の開口部80に入る。したがって、燃焼器プレナム40の内部から流れる圧縮空気10は、ベーン付きスワーラを使用せずに旋回されながら、第二段燃料噴射器300を通って開口部80に導かれる。圧縮空気10の流れの旋回は、圧縮空気10と、扁平管320を通って供給される燃料との混合を促進することができる。更に、
図14と
図15に示すように、尾筒48の側壁の開口部80における扁平管320の横方向D
Wは、尾筒48の側壁に対して垂直である。この構造により、扁平管320の燃料孔340から噴射された燃料を有する圧縮空気10は、尾筒48内の燃焼生成物の流れの方向に対して垂直な運動量を有することができ、第二段燃料噴射器300を通る圧縮空気10とバーナ50からの燃焼生成物との混合を促進することができる。
【0039】
図16Aに示すように、1つ又は複数の実施形態では、第二段燃料噴射器300は、扁平管320の螺旋形状の中心部分を覆い、かつ尾筒48の内部空間からの圧縮空気10及び/又は燃焼生成物の逆流を低減させるカバー380を含んでもよい。
【0040】
1つ又は複数の実施形態では、
図16Bに示すように、第二段燃料噴射器300は、ベースフランジ370に取り付けられ、かつ扁平管320及び尾筒48の側壁の開口部80を完全に覆うフード385を含むことができる。フード385の形状は、フード385の輪郭が燃焼器4の外側の圧縮空気10の流れと同調するように構成されてもよい。したがって、圧縮空気10の流れがフード385によって妨げられることがなく、第二段燃料噴射器300での吸気における圧縮空気10の圧力損失を最小限に抑えることができる。
【0041】
図17は、第二段燃料噴射器300の扁平管320の概略上面図である。
図17に示すように、扁平管320は、開口部80における圧縮空気10の流れの方向(又は、尾筒48の側壁に対して垂直な方向)に見たときに螺旋形状を有する。螺旋形状は、半径の異なる種々の円弧の組合せであってもよい。あるいは、螺旋形状は、r=a+b×θを満たす軌跡として説明できるアルキメデスの螺旋であってもよく、ここで、rとθは軌跡の円筒座標であり、aとbは定数である。上述した螺旋形状は、扁平管320の厚さ方向D
Tの中心を指定してもよいし、又は扁平管320のいずれかの側(開口部80の中心に向く側、又は中心から遠ざかる方向に向く側)を指定してもよいことに留意されたい。
【0042】
図17に示すように、螺旋形状の方向は、螺旋形状が圧縮空気10の流れを受けるために外端部330で開くように(即ち、時計回り又は反時計回りの方向に螺旋形状に)配向される。これにより、扁平管320の隣り合うターン間に形成される螺旋形状の流路に圧縮空気が円滑に導かれる。
【0043】
更に、
図17には、燃料孔340のおおよその位置と、扁平管320から出て圧縮空気10の流れに入る燃料流の方向が、小さな白抜き矢印で示されている。1つ又は複数の実施形態では、燃料孔340は、
図4及び
図5に示す燃料孔240と同様に、扁平管320の側面に配置されてもよい。更に、追加の燃料孔340は、
図17に示すように、螺旋形状の内端部310に配置されてもよい。燃料孔340は、扁平管320の長手方向D
Lに沿って等間隔に配置されてもよく、その他の方法で分配されてもよい。また、
図17に示すように、開口部80における圧縮空気10の流れの方向に沿って見たときに、扁平管320から抜ける燃料の方向を全て開口部80の中心に向かって整列させることができる。しかしながら、方向は、開口部80の中心から離れる方向に整列されてもよい。更に、方向は、特定の向きに整列されなくてもよく、例えば、開口部80の中心に向かう方向と中心から離れる方向とが交互になってもよい。更に、燃料孔340の位置及び燃料が出る方向は、ランダムに現れることができる。
【0044】
図18は、螺旋形状から平らに広げられたときの扁平管320の概略図を示す。
図18に示すように、1つ又は複数の実施形態では、扁平管320の厚さは、外端部330から内端部310まで扁平管320の長手方向D
Lにわたって一定であってもよい。一方、扁平管320の長手方向の位置によっては、横方向D
Wの幅Wは異なってもよい。1つ又は複数の実施形態では、幅Wは、
図18に示すように、外端部330におけるW
1から内端部310におけるW
2まで直線的に減少してもよい。
図14と
図17に示す扁平管320の構成では、扁平管320内の燃料は、外端部330から内端部310に流れる一方で、燃料の一部は、その間にある燃料孔340から圧縮空気10内に抜け出る。したがって、幅Wを直線的に減少させるこの構造を用いると、扁平管320の内部の燃料の圧力を扁平管320の長手方向D
Lに沿って略一定に調整することができ、各燃料孔340から出る燃料の量を適切に制御することができる。
【0045】
更に、
図18に示すように、1つ又は複数の実施形態による扁平管320は、
図14及び
図15に示されるように、扁平管320が尾筒48の内側に向かって位置を変えるように、長手方向D
Lに沿って横方向D
Wの位置Dを変えてもよい。位置Dは、
図18に示すように、長手方向D
Lに沿って直線的であってもよい。
【0046】
長手方向DLに沿った位置Dのプロファイルにより、扁平管320が螺旋形状に巻かれるときに、扁平管320の配置の方法が変わる。1つ又は複数の実施形態では、(尾筒48の内側に向かう方向に沿った)深さ位置を制限して、低アスペクト比(尾筒48内の燃焼生成物の流れの方向に沿って測定された第二段燃料噴射器300の長さに対する、尾筒48の側壁に対して垂直な方向における第二段燃料噴射器300の高さの比)の第二段燃料噴射器300が得られるように、位置Dのプロファイルを決定することができる。低アスペクト比の第二段燃料噴射器300は、尾筒48の側壁に対して垂直な方向に突出する第二段燃料噴射器300の高さを低減することができ、コンパクトな構造の第二段燃料噴射器300を創出することができ、それによって第二段燃料噴射器300の既存のガスタービンシステムへの導入が緩和される。更に、1つ又は複数の実施形態では、位置Dのプロファイルは、螺旋形状に巻かれたときに隣接する湾曲部分の扁平管320が互いに重ならず、第二段燃料噴射器300がそこを通る圧縮空気10の流れを妨げないように決定されてもよい。
【0047】
図19は、1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器400の別の構造を示す。
【0048】
この構造では、扁平管420、422、424は、
図4~
図12を参照して説明した扁平管220と略同じ基本構造を有する。しかし、この構造では、各扁平管420、422、424の長手方向D
Lの両端部同士が接続されており、扁平管420、422、424は異なる3つのループをなしている。なお、
図19に示す例示的な構造では、扁平管420、422、424のループ数は3つであるが、扁平管のループ数は3つに限定されない。
【0049】
更に、
図19に示すように、ループ状の扁平管420、422、424は、圧縮空気10の流れの方向に沿って湾曲したプロファイルを有し、第二段燃料噴射器400を通る圧縮空気10への導管を形成する。より具体的には、扁平管420、422、424のそれぞれは、扁平管420、422、424の隣接する2つの間の流路が、圧縮空気10の流れに対して上流端の方が下流端よりも大きな流路面積を有するように、ベルマウスを形成している。
【0050】
更に、
図19に示すように、尾筒48の側壁に対して垂直な方向から見たときに、扁平管422のループは扁平管420のループの内側にあり、扁平管424のループは扁平管422のループの内側にある。この構造は、1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器400の上面図(尾筒48の側壁に対して垂直な方向の図)を示す
図20においてより明確に見ることができる。
【0051】
図19に示すように、扁平管420、422、424には、支柱490、492、494が接続されている。支柱490、492、494の断面は、ベルマウスの周囲からベルマウスの中心に向かう方向に(即ち、圧縮空気10の流れの方向に)流線形であり、第二段燃料噴射器400を通って流れる圧縮空気10の圧力損失を最小限に抑える。
図19には、3つの支柱490、492、494が示されているが、支柱の数は3つに限定されない。更に、
図19に示す実施形態では、3つの支柱490、492、494のそれぞれが扁平管424と扁平管422とを接続し、扁平管422と扁平管420とを接続しているが、一部の支柱は扁平管420と扁平管422とのみに接続し、他の支柱は扁平管422と扁平管424とのみを扁平管420、422、424の長手方向D
Lに沿って異なる位置で接続してもよい。
【0052】
図19に示す実施形態では、支柱490、492、494の少なくとも1つは中空であり、内部に空間を有し、その空間を通じて扁平管420、422、424の内部が互に連通する。したがって、燃料供給ライン(
図19には図示せず)は、ループのうち最も外側に配置された扁平管420に燃料を供給することができるのに対して、内部が中空である支柱490、492、494のうち少なくとも1つは、扁平管420から扁平管422に燃料を供給することができる。同様に、ループのうち最も内側に配置された扁平管424には、扁平管422から支柱490、492、494のうち少なくとも1つの中空内部を通って燃料を供給してもよい。
【0053】
図19及び
図20に示すように、扁平管420、422、424の各ループは、尾筒48の側壁に対して垂直な方向に見たときに、略くさび形の形状を有する。扁平管420、422、424の各ループのくさび形の形状は、圧縮空気10の流れに対して上流端から下流端に向かってその大きさが変化し、上述したベルマウスを形成する。更に、扁平管424が扁平管422と扁平管420との間に配置されるように、扁平管422のループのくさび形の形状の大きさは、扁平管420のループの大きさよりも小さく、扁平管424のループの大きさよりも大きい。
【0054】
図19に示すように、最も外側に配置された扁平管420は、尾筒48の側壁に直接取り付けられた下流縁部を有してもよい。これにより、圧縮空気は、扁平管420のベルマウスの内側のみに流れる。その結果、扁平管420は、ループの中心に向かって扁平管420の内側のみに燃料孔(図示せず)を有することができる。逆に、圧縮空気10は、扁平管422、424の内側及び外側の両方に流れることができるので、扁平管422、424は、扁平管422、424の片側又は両側に燃料孔(図示せず)を有することができる。
【0055】
更に、くさび形の形状の長手方向軸線(
図20の切断線G-Gで指定)に沿った第二段燃料噴射器400の断面を示す
図21に示されるように、扁平管420の下流縁部は、尾筒48の側壁にある開口部480の周囲に取り付けられてもよい。したがって、尾筒48の側壁にある開口部480もまた、くさび形の形状を有してもよい。開口部480のくさび形の頂部(又は丸みを帯びた頂部)482は鋭角を形成する丸みを帯びた角であり、この頂部と扁平管420の下流縁部の頂部(又は丸みを帯びた頂部)421とを整列させてもよい。換言すれば、1つ又は複数の実施形態では、圧縮空気10の流れに対する扁平管420の下流縁部は、頂点421が示す方向に細長いくさび形の形状を有し、尾筒48の側壁にある開口部480は、扁平管420の下流縁部と一致するくさび形の形状を有する。更に、開口部480は、鋭角の頂点482が尾筒48内の燃焼生成物の流れの上流側(又はほぼバーナ50側)を向くように配向される。
【0056】
更に、
図21は、支柱490の内部空間を介して扁平管420、422、424の内部空間が互に連通していることを示している。
【0057】
扁平管420、422、424の下流縁部において、扁平管420、422、424の横方向DWは、尾筒48の側壁に対して略垂直である。この構造は、第二段燃料噴射器400を出た圧縮空気10の流れが燃焼生成物の流れに侵入するのを緩和し、第二段燃料噴射器400を通る圧縮空気10とバーナ50からの燃焼生成物との混合を改善する。そればかりか、扁平管420、422、424の上流縁部のベルマウス形状を拡大することにより、尾筒48の外側で圧縮空気10の流れの擾乱を少なくし、圧縮空気を第二段燃料噴射器400内に導く。したがって、ベルマウス形状を拡大すると、第二段燃料噴射器400によって引き起こされる圧縮空気10の圧力損失が低減される。
【0058】
更に、扁平管420、422、424の下流縁部は、
図21のように、尾筒48の側壁の開口部480から様々な距離で終端してもよい。代替的に、扁平管422、424の下流縁部は、扁平管420の下流縁部と同様に、開口部480から同じ距離(即ち、0)で終端してもよい。更に、扁平管422、424の下流縁部は、開口部480を通って尾筒48の内部空間内に突出してもよい。
【0059】
図21に示すように、扁平管422、424の下流縁部は、尾筒48の側壁に取り付けられておらず、尾筒48の側壁に対して垂直に見たときに、開口部480内に配置されている。したがって、
図21には示されていないが、扁平管422、424は、扁平管220の同軸管250と同様の同軸管を備えてもよい。扁平管422、424がそれぞれの同軸管を備える場合、支柱490、492、494のうちの少なくとも1つは、扁平管422、424の同軸管に流体を供給する同軸管を有していてもよい。
【0060】
図22は、1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器400の概略上面図における扁平管420、422、424の燃料孔の例示的な分布を示す。
図22に示すように、燃料孔は、扁平管420、422、424の側面にわたって燃料孔の面密度が均一になるように分布することができる。代替的に、燃料孔の位置を調整して、第二段燃料噴射器400を通って流れる圧縮空気10の燃料密度を均一にすることができる。
【0061】
図23は、1つ又は複数の実施形態による第二段燃料噴射器500の別の構造を示す。
図19に示す第二段燃料噴射器400と同様に、3つの扁平管520、522、524は、3つの異なるループ状であり、4つの支柱590、592、594、596が3つの扁平管520、522、524を接続している。
【0062】
しかし、第二段燃料噴射器500では、ループは一方向に長いひし形の形状である。ループの中で最も外側に配置された扁平管520の下流縁部は、尾筒48の側壁にある開口部580の周囲に取り付けられる。したがって、第二段燃料噴射器500において、開口部580も、
図23に示すように、鋭角を有する頂点(又は丸みを帯びた頂点)582を有するひし形の形状である。更に、開口部580は、鋭角の頂点582が尾筒48内の燃焼生成物の流れの上流側を向く(又はほぼバーナ50に向く)ように配向される。
【0063】
本開示は、限られた数の実施形態に関してのみ説明されているが、本開示の利益を有する当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な他の実施形態が考案され得ることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【符号の説明】
【0064】
1 ガスタービンシステム
2 圧縮機
4 燃焼器
6 タービン
8 回転子
10 圧縮空気
12 吸気口
16 静翼列
18 動翼列
20 ケーシング
40 燃焼器(プレナム)
40a プレナム入口
46 燃焼器ライナ
47 上流側部品
48 尾筒
50 バーナ
52 燃料入口
80 開口部
100 第二段燃料噴射器
200 第二段燃料噴射器
210 ハブ
215 燃料供給ライン
220 扁平管
230 周壁
240 燃料孔
250 同軸管
252 内管
254 外管
256 フィンプレート
262 内管孔
264 外管孔
270 ベースフランジ
272 リブ
300 第二段燃料噴射器
310 内端部
320 扁平管
330 外端部
340 燃料孔
370 ベースフランジ
372 リブ
380 カバー
385 フード
400 第二段燃料噴射器
420 扁平管
421 頂点
422 扁平管
424 扁平管
480 開口部
482 鋭角の頂点
490 支柱
492 支柱
494 支柱
500 第二段燃料噴射器
520 扁平管
522 扁平管
524 扁平管
580 開口部
582 鋭角の頂点
590 支柱
592 支柱
594 支柱
596 支柱
D 位置
DL 長手方向
DT 厚さ方向
DW 横方向
W 幅
W1 横方向の位置
W2 横方向の位置