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  • 特開-船舶用スチーム供給システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120159
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】船舶用スチーム供給システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/22 20060101AFI20240828BHJP
   F22B 1/28 20060101ALI20240828BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20240828BHJP
   F22D 1/00 20060101ALI20240828BHJP
   B63J 2/12 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
F22B37/22 A
F22B1/28 Z
F22B35/00 Z
F22D1/00
B63J2/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019584
(22)【出願日】2024-02-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2023-0024146
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524057717
【氏名又は名称】ション,ヨン ジュン
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ション,ヨン ジュン
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA05
3L021DA38
3L021FA02
(57)【要約】
【課題】船舶の運航時や停泊時に使用されないスチーム熱交換器グループへのスチームの供給を、最小限のバルブ制御のみで迅速かつ正確に一括遮断できる船舶用スチーム供給システムを提供する。
【解決手段】本発明の船舶用スチーム供給システムは、船舶運用時の特定の条件を基準として当該条件に符合して使用されるスチーム熱交換器を一つのグループ単位にグループ化してスチーム使用先を少なくとも2つの使用先に区分し、それぞれの使用先ごとにスチーム分配ヘッドを個別に割り当てた後、スチームボイラーから延長されるスチーム供給管を開閉弁付き分岐管によってそれぞれのスチーム分配ヘッドと並列に連結させる一方、それぞれの使用先をなすスチーム熱交換器は分配管によって当該スチーム分配ヘッドと並列に連結される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチームボイラーのボイラータンクから延長されるスチーム供給管が、船舶内のスチーム使用先ごとに提供されたスチーム熱交換器に連結設置され、前記スチーム熱交換器から延長されるドレイン配管が凝縮水タンクに連結設置され、前記凝縮水タンクから供給ポンプを備える状態で延長される凝縮水供給管がスチームボイラーのボイラータンクに連結設置された構成をベースとする船舶用スチーム供給システムであって、
前記スチーム使用先は、船舶運用時の特定の条件を基準として当該条件に符合して使用されるスチーム熱交換器を一つのグループ単位にグループ化しておいた少なくとも2つの使用先に区分され、前記それぞれの使用先ごとにスチーム分配ヘッドが個別に割り当てられるように構成され、
前記スチームボイラーのボイラータンクから延長されるスチーム供給管は、開閉弁を備える分岐管によってそれぞれのスチーム分配ヘッドと並列に連結設置され、前記それぞれの使用先をなすスチーム熱交換器は、分配管によって当該スチーム分配ヘッドと並列に連結設置されることを特徴とする船舶用スチーム供給システム。
【請求項2】
前記スチーム使用先は、船舶の運航時にのみ使用される条件のスチーム熱交換器グループと、船舶の停泊時にのみ使用される条件のスチーム熱交換器グループと、船舶の運航時と停泊時の両方に使用される条件のスチーム熱交換器グループにして、合計3つの使用先に区分されることを特徴とする請求項1に記載の船舶用スチーム供給システム。
【請求項3】
前記スチームボイラーのボイラータンクの下端側から循環配管が延長され、前記循環配管が循環ポンプと電気ヒーターを順次経た後、ボイラータンクの上端側に再び連結設置され、
前記電気ヒーターを経過した位置に該当する循環配管側から開閉弁付き補助供給管がさらに分岐され、前記補助供給管がスチームボイラーのボイラータンクから延長されるスチーム供給管に連結設置され、
前記補助供給管の分岐点を経過した位置に該当する循環配管側にも開閉弁が設置され、前記補助供給管が連結される箇所の以前位置に該当するスチーム供給管測には、スチームボイラーからスチームが排出されるか否かを感知するセンサー機構がチェックバルブと一緒に設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶用スチーム供給システム。
【請求項4】
前記凝縮水タンクから供給ポンプを備える状態で延長される凝縮水供給管は、船舶内の清水タンクから供給ポンプを備える状態で延長される清水供給管に連結され、スチームボイラー用補充水供給管を提供するように構成され、
前記補充水供給管から開閉弁を備える状態で延長されるバイパス管が循環ポンプと電気ヒーターとの間に該当する位置で循環配管に連結設置され、前記バイパス管の分岐点を経過した位置に該当する補充水供給管にも開閉弁が設置されることを特徴とする請求項3に記載の船舶用スチーム供給システム。
【請求項5】
前記バイパス管には補充水の予熱ヒーターが設置されることを特徴とする請求項4に記載の船舶用スチーム供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶のスチームボイラーで生成されたスチームを船舶内のスチーム使用先ごとに提供されたスチーム熱交換器へ分散供給させ、それぞれのスチーム熱交換器を経て排出された凝縮水を回収してスチームボイラー用補充水として再供給させるようにした船舶用スチーム供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、船舶では、燃料油(重油)と潤滑油のヒーティング作業から各種付帯装備の運転に必要な熱源、暖房及び温水などを確保するためにスチームボイラーで生成されたスチームを活用しており、前記スチームボイラーは、船舶の運航時にメインエンジンから排出される排気ガスの廃熱をスチーム熱源として用いる主ボイラーと、船の停泊時に燃料油を燃焼させてスチーム熱源として用いる補助ボイラーに区分され、前記主ボイラーと補助ボイラーの機能を一つに統合させたスチームボイラーも用いられている。
【0003】
上述のようにスチームボイラーから生成されたスチームを船舶内のスチーム使用先へ分散供給させるようにした従来のスチーム供給システムは、図1に示すように、スチームボイラー1のボイラータンクから延長されるスチーム供給管3が、船舶内のスチーム使用先20ごとに提供されたスチーム熱交換器7に連結設置され、それぞれのスチーム熱交換器7から延長されるドレイン配管8が凝縮水タンク11に連結設置され、凝縮水タンク11から供給ポンプ15を備える状態で延長される凝縮水供給管12がスチームボイラー1のボイラータンクに連結設置された構成をベースとするものである。
【0004】
スチームボイラー1は、前述したように主ボイラー、補助ボイラー、またはこれらの機能を統合させたボイラーになることができ、スチームボイラー1に提供されるスチーム熱源2は、メインエンジンから排出された排気ガスの導入機構、燃料油の燃焼バーナー、またはこれらを併用させたものになることができる。スチーム使用先20を提供するそれぞれのスチーム熱交換器7は、開閉弁6を備える分岐管5によってスチーム供給管3と並列に連結設置されており、スチーム供給管3には、逆流防止用チェックバルブ4が設置されており、それぞれのスチーム熱交換器7から延長されるドレイン配管8は、冷却ユニット9を経て凝縮水タンク11に連結設置されている。
【0005】
また、凝縮水タンク11と共に船舶内に提供される清水タンク13の場合にも、スチームボイラー1の稼働に必要な補充水の供給機能を行い、このために、清水タンク13から供給ポンプ15を備える状態で延長される清水供給管14が凝縮水供給管12に連結されて補充水供給管17を提供する一方、補充水供給管17がスチームボイラー1のボイラータンクに連結設置されており、凝縮水供給管12と清水供給管14との連結部の以前位置にもそれぞれの配管ごとに逆流防止用チェックバルブ4が設置されており、分岐管5の開閉弁6は船舶の操舵室などでリモートコントロールが可能な電磁弁が主に使用され、清水タンク13には清水補充管16がさらに連結設置されている。
【0006】
しかし、上述した従来のスチーム供給システム10は、スチームボイラー1で生成されたスチームを船舶内の全てのスチーム使用先20に一括供給させることにより、船舶の運航時や停泊時などの特定の条件に合わせて当該条件で使用されないスチーム熱交換器7にもスチームが無分別に供給されるおそれが高いという問題点があり、これにより、スチームの無駄な消費をもたらすのはもとより、スチーム熱交換器7における加熱性能が低下するなど、エネルギーの効率的な活用と管理の面で非合理的且つ非経済的であるという問題点があった。
【0007】
かかる問題点を補完するためには、船舶の運航時や停泊時などの特定の条件に合わせて当該条件に符合して使用されるスチーム熱交換器7側にのみスチームが流動するようにし、それ以外の残りのスチーム熱交換器7側には、スチームの流動を遮断させなければならないので、これは、船舶内の複数の箇所に散在する多くの個数のスチーム熱交換器7を特定の条件に合わせて使用と非使用に一次区分させた後、非使用に該当するスチーム熱交換器7の開閉弁6を一々個別に閉鎖させる非常に煩わしくてやかましくて面倒な作業となるという問題点があった。
【0008】
上述した要因により、それぞれのスチーム熱交換器7を介したスチームの供給と遮断を特定の条件に合わせて迅速かつ正確に区分して行うことが難しくなるだけでなく、それぞれのスチーム熱交換器7の入口側に提供される開閉弁6を電磁弁に設置しておいた状態でそれぞれの電磁弁をコントローラと接続させる方式によって船舶の操舵室などでそれぞれのスチーム熱交換器7を介したスチームの供給と遮断を遠隔自動制御方式で行うようにする場合にも、当該制御ルートの構築と操作が非常にやかましくなるという問題点があった。
【0009】
他の一方で、従来のスチーム供給システム1は、船舶の停泊時に必要なスチームの生成のために、スチームボイラー1としての補助ボイラーまたは統合式ボイラーに設置されたバーナーで燃料油を燃焼させる方式が適用される。このため、燃料油の燃焼ガスによる環境汚染(大気汚染)が誘発されるのはもとより、当該バーナーが故障などによって使用不可である場合は、スチームの円滑な供給と船舶の安定的な停泊維持にかなり支障をきたすという問題点があった。
【0010】
上述した従来の問題点を補完するため、当該スチームボイラー1のボイラータンクの下端側から、循環ポンプと電気ヒーターが備えられた循環配管を延長させた後、前記循環配管をボイラータンク上端側に再び連結させることにより、ボイラータンクに貯留された水を電気ヒーターで加熱してボイラータンクの上端の内側に再循環させるにつれて加熱水の温度が潜熱に吸収されて飽和状態になる過程で発生した蒸気をスチーム熱交換器7へ供給できるようにした技術が、本出願人によって韓国特許出願第2021-99195号で先出願され、特許登録(韓国特許第10-2321171号)されている。
【0011】
しかし、上述した先出願の場合においても、スチームボイラー1のボイラータンクに連結される循環配管の出口側、またはスチームボイラー1のボイラータンクから延長されるスチーム供給管3の入口側が詰まってしまう場合、または循環配管に設置された循環ポンプの故障や誤作動が発生する場合には、電気ヒーターを用いたスチームの供給が不可能になるという問題点があり、ボイラータンクに貯留された水(補充水)を電気ヒーター23に供給させるために、補充水用供給ポンプ15が循環ポンプと一緒に二重に稼働させることによるエネルギーの無駄な消費をもたらすという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2321171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、船舶運用時の特定の条件を基準として当該条件に符合して使用されるスチーム熱交換器を一つのグループ単位にグループ化してスチーム使用先を少なくとも2つの使用先に区分させ、前記それぞれの使用先ごとにスチーム分配ヘッドを個別に割り当てた後、前記スチームボイラーから延長されるスチーム供給管を開閉弁付き分岐管によってそれぞれのスチーム分配ヘッドと並列に連結させる一方、それぞれの使用先をなすスチーム熱交換器は分配管によって当該スチーム分配ヘッドと並列に連結させることにより、船舶の運航時や停泊時などの特定の条件に合わせて当該条件で使用されないスチーム熱交換器グループへのスチーム供給を最小限のバルブ制御のみでも迅速かつ正確に一括遮断させることができるようにし、これにより、スチームボイラーで生成されたスチームを船舶内のスチーム使用先に無分別に供給させた従来の方式とは異なり、スチームの無駄な消費を防止し且つスチーム熱交換器における加熱性能を大きく向上させると共に、スチーム供給用制御ルートの構築及び操作も極めて容易に行うことができる船舶用スチーム供給システムを提供することをその主な技術的課題とする。
【0014】
また、本発明は、スチームボイラーのボイラータンクの下端側から、循環ポンプと電気ヒーターが順次備えられた循環配管を延長させ、これをボイラータンクの上端側に再び連結させるが、前記電気ヒーターを経過した位置に該当する循環配管側から開閉弁付き補助供給管をさらに分岐させ、これをスチーム供給管と連結させ、前記補助供給管の分岐点を経過した位置に該当する循環配管側にも開閉弁を設置する一方、補助供給管が連結される箇所の以前位置に該当するスチーム供給管測には、スチームの排出有無を感知するセンサー機構をチェックバルブと共に設置し、前記補充水供給管からは開閉弁と予熱ヒーターを備えるバイパス管を延長させ、これを循環ポンプと電気ヒーターとの間に該当する位置で循環配管と連結させ、前記バイパス管の分岐点を経過した位置に該当する補充水供給管にも開閉弁を設置することにより、循環配管の出口側又はスチーム供給管の入口側が詰まってしまう場合、または循環ポンプ故障や誤作動が発生する場合にも、電気ヒーターを用いたスチームの供給を可能にするとともに、一つのポンプ機構のみを使用しても電気ヒーターへの補充水の供給を行うことができるようにすることを別の技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による船舶用スチーム供給システムは、スチームボイラーのボイラータンクから延長されるスチーム供給管が、船舶内のスチーム使用先ごとに提供されたスチーム熱交換器に連結設置され、前記スチーム熱交換器から延長されるドレイン配管が凝縮水タンクに連結設置され、前記凝縮水タンクから供給ポンプを備える状態で延長される凝縮水供給管がスチームボイラーのボイラータンクに連結設置された構成をベースとする船舶用スチーム供給システムであって、前記スチーム使用先は、船舶運用時の特定の条件を基準として当該条件に符合して使用されるスチーム熱交換器を一つのグループ単位にグループ化しておいた少なくとも2つの使用先に区分され、前記それぞれの使用先ごとにスチーム分配ヘッドが個別に割り当てられるように構成され、前記スチームボイラーのボイラータンクから延長されるスチーム供給管は、開閉弁を備える分岐管によってそれぞれのスチーム分配ヘッドと並列に連結設置され、前記それぞれの使用先をなすスチーム熱交換器は、分配管によって当該スチーム分配ヘッドと並列に連結設置されることを特徴とする。
【0016】
前記スチーム使用先は、船舶の運航時にのみ使用される条件のスチーム熱交換器グループと、船舶の停泊時にのみ使用される条件のスチーム熱交換器グループと、船舶の運航時と停泊時の両方に使用される条件のスチーム熱交換器グループにして、合計3つの使用先に区分されることを特徴とする。
【0017】
また、前記スチームボイラーのボイラータンクの下端側から循環配管が延長され、前記循環配管が循環ポンプと電気ヒーターを順次経た後、ボイラータンクの上端側に再び連結設置され、前記電気ヒーターを経過した位置に該当する循環配管側から開閉弁付き補助供給管がさらに分岐され、前記補助供給管がスチームボイラーのボイラータンクから延長されるスチーム供給管に連結設置され、前記補助供給管の分岐点を経過した位置に該当する循環配管側にも開閉弁が設置され、前記補助供給管が連結される箇所の以前位置に該当するスチーム供給管測には、スチームボイラーからスチームが排出されるか否かを感知するセンサー機構がチェックバルブと一緒に設置されることを特徴とする。
【0018】
前記凝縮水タンクから供給ポンプを備える状態で延長される凝縮水供給管は、船舶内の清水タンクから供給ポンプを備える状態で延長される清水供給管に連結され、スチームボイラー用補充水供給管を提供するように構成され、前記補充水供給管から開閉弁を備える状態で延長されるバイパス管が循環ポンプと電気ヒーターとの間に該当する位置で循環配管に連結設置される一方、前記バイパス管の分岐点を経過した位置に該当する補充水供給管にも開閉弁が設置されることを特徴とする。
【0019】
前記バイパス管には、補充水の予熱ヒーターが設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上述した本発明によれば、船舶の運航時や停泊時などの特定の条件に合わせて当該条件で使用されないスチーム熱交換器グループ(使用先)へのスチームの供給を、当該グループに割り当てられたスチーム分配ヘッドの入口側の開閉弁を閉鎖させるだけでも迅速かつ正確に一括遮断させることができるという効果を奏する。これにより、船舶内に散在した多くの数のスチーム熱交換器にスチームを無分別に供給させた従来の方式とは異なり、スチームの無駄な消費を防止し且つスチーム熱交換器における加熱性能を大きく向上させるとともに、スチーム供給用制御ルートの構築及び操作も非常に容易に行うことができる。
【0021】
また、スチームボイラーのボイラータンクに貯留された水を電気ヒーターで加熱及び循環させて船舶の停泊時に必要なスチームの供給を可能にした先出願の利点をそのまま活用するが、スチームボイラーからスチーム供給管へスチームが排出されるか否かをセンサー機構で判断した後、前記補助供給管と開閉弁を用いて電気ヒーターを経た加熱水の供給経路を必要に応じてボイラータンクからスチーム供給管測に転換させることができるようにすることにより、ボイラータンクに連結された循環配管の出口側又はスチーム供給管の入口側が詰まってしまう場合にも電気ヒーターを用いたスチーム使用先へのスチームの供給及びこれによる船舶の安定的な停泊維持を可能にするという効果を奏する。
【0022】
また、スチームボイラーのボイラータンクから循環配管の循環ポンプを経て電気ヒーターに供給されていた補充水の供給経路をバイパス管と開閉弁を用いて電気ヒーター側に直接転換させることができるようにし、バイパス管の予熱ヒーターを用いて補充水の温度もボイラータンクを経由するレベルに昇温させることができるようにすることにより、一つのポンプ機構のみでも電気ヒーターへの補充水の供給を可能にしてエネルギーの無駄な消費を最小限に抑える一方、循環ポンプの故障や誤作動の際にも電気ヒーターを用いたスチーム使用先へのスチームの供給を可能にして船舶の安定的な停泊維持をより確実に保障することができるなどの非常に有用な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の船舶用スチーム供給システムを示す配管図である。
図2】本発明による船舶用スチーム供給システムを示す配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図2を参照して、本発明の船舶用スチーム供給システムを詳細に説明する。
【0025】
本発明による船舶用スチーム供給システム10は、図2に示すように、スチームボイラー1のボイラータンクから延長されるスチーム供給管3が、船舶内のスチーム使用先ごとに提供されたスチーム熱交換器7に連結設置され、前記それぞれのスチーム熱交換器7から延長されるドレイン配管8が凝縮水タンク11に連結設置され、凝縮水タンク11から供給ポンプ15を備える状態で延長される凝縮水供給管12がスチームボイラー1のボイラータンクに連結設置された構成をベースとするものである。
【0026】
スチームボイラー1は、従来技術で説明されているように、主ボイラー、補助ボイラー、またはこれらの機能を統合させたボイラーになることができ、スチームボイラー1に提供されるスチーム熱源2は、メインエンジンから排出された排気ガスの導入機構、燃料油の燃焼バーナー、またはこれらを併用させたものになることができ、スチーム供給管3には、逆流防止用チェックバルブ4が設置されており、前記それぞれのスチーム熱交換器7から延長されるドレイン配管8は、冷却ユニット9を経て凝縮水タンク11に連結設置されている。
【0027】
また、凝縮水タンク11と一緒に船舶内に提供される清水タンク13の場合にも、スチームボイラー1の稼働に必要な補充水の供給機能を行い、このために、清水タンク13から供給ポンプ15を備える状態で延長される清水供給管14が凝縮水供給管12に連結されて補充水供給管17を提供する一方、補充水供給管17がスチームボイラー1のボイラータンクに連結設置されており、凝縮水供給管12と清水供給管14との連結部の以前位置にもそれぞれの配管ごとに逆流防止用チェックバルブ4が設置されており、清水タンク13には清水補充管16がさらに連結設置されている。
【0028】
必要に応じては、凝縮水タンク11と清水タンク13を一つの補充水タンクに統合させる一方、当該補充水タンクから供給ポンプ15を備える補充水供給管17を単一配管ラインに延長させた後、当該補充水供給管17をスチームボイラー1のボイラータンクに連結させることもでき、この場合、冷却ユニット9を経たドレイン配管8と清水補充管16は、補充水タンクに連結設置され、冷却ユニット9は、冷却水とスチーム凝縮水間の熱交換器であってもよく、公知のヒートポンプシステムをなす(冷媒)蒸発器であってもよく、この他にも、スチーム凝縮水を冷却させることができるものであれば如何なる種類の冷却手段が使用されてもよい。
【0029】
本発明の第1要部をなす構成要素としては、船舶運用時の特定の条件を基準として当該条件に符合して使用されるスチーム熱交換器7を一つのグループ単位にグループ化しておく方式によって前記スチーム使用先を少なくとも2つの条件別使用先に区分させる一方、前記それぞれの使用先ごとにスチーム分配ヘッド18を個別に割り当てた状態で、スチームボイラー1から延長されるスチーム供給管3がそれぞれのスチーム分配ヘッド18を経て特定の条件別に区分された使用先のスチーム熱交換器7グループに連結設置されるようにした。
【0030】
より具体的には、スチーム供給管3からスチーム分配ヘッド18の個数に該当するだけの分岐管5を延長させた後、分岐管5によってそれぞれのスチーム分配ヘッド18がスチーム供給管3と並列に連結設置されるようにし、特定の条件別に区分されたそれぞれの使用先をなすスチーム熱交換器7が分配管19によって当該スチーム分配ヘッド18と並列に連結設置されるようにするのであり、前記それぞれの分岐管5上に設置される開閉弁6は、船舶の操舵室などで遠隔自動制御が可能な電磁弁とすることが好ましい。
【0031】
また、前記スチーム使用先を船舶運用時の特定の条件に合わせて少なくとも2つの使用先に区分させる代表的な一例としては、船舶の運航時にのみ使用される条件のスチーム熱交換器7グループと、船舶の停泊時にのみ使用される条件のスチーム熱交換器7グループと、船舶の運航時と停泊時の両方に使用される条件のスチーム熱交換器7グループにして合計3つの使用先に区分することを挙げることができ、図2では、それぞれの使用先を第1使用先20a、第2使用先20b及び第3使用先20cで表した。
【0032】
上述したように船舶の運航時にのみ使用される条件のスチーム熱交換器7グループでは、船舶のメインエンジンへ供給される燃料油(重油)を燃焼に適したレベルに加熱させることができるように比較的多くの量のスチーム供給が要求される燃料油貯蔵タンクと燃料油セトリングタンク(Settling tank)用スチーム熱交換器7を始めとして、メインエンジンの稼働及びプロペラの推進などに必要な周辺機器の予熱に用いられるスチーム熱交換器7を代表的な例として挙げることができる。
【0033】
そして、船舶の停泊時にのみ使用される条件のスチーム熱交換器7グループとしては、メインエンジンの稼働中止によって当該エンジンの内部で燃料油(重油)が固着されることを防止するようにしたメインエンジンウォーミング用スチーム熱交換器7と、燃料油のサービスタンク(Service tank)及び当該サービスタンクをメインエンジンに連結する循環配管上にそれぞれ設置され、サービスタンクとメインエンジン間の燃料循環に使用される燃料油ウォーミング用スチーム熱交換器7を代表的な例として挙げることができる。
【0034】
また、船舶の運航時と停泊時の両方に使用されるスチーム熱交換器7グループとしては、船室の暖房、温水供給及び厨房用炊事などのためのスチーム熱交換器7を代表的な例として挙げることができる。この他にも、船舶内のスチーム使用先を区分するための特定の条件は、季節条件や運用系統または当該船舶の特殊性などを考慮して任意に選択することができることを明らかにする。
【0035】
上述した方式によって、船舶の運航時や停泊時などの特定の条件に合わせて当該条件で使用されないスチーム熱交換器7グループへのスチームの供給を迅速かつ正確に一括遮断させることができるので、例えば、図2で第2使用先20bに該当するスチーム熱交換器7グループへのスチームの供給を遮断させようとする場合、当該使用先20bに割り当てられたスチーム分配ヘッド18の入口側の開閉弁6のみを閉鎖させる非常に簡単な操作で当該スチーム分配ヘッド18と並列に連結された全てのスチーム熱交換器7へのスチーム供給を遮断させることができる。
【0036】
このような観点に即して、それぞれのスチーム分配ヘッド18を当該グループのスチーム熱交換器7と並列的に連結ささせる分配管19には、電磁弁としての開閉弁6が設置されなくてもかまわないが、図1に示されている従来のスチーム供給システム10が既設備の船舶に本発明のスチーム供給システム10を適用させる場合には、それぞれのスチーム熱交換器7の入口ごとに設置されていた既存の開閉弁6をあえて除去させる必要がないため、これを図面上に示したと解釈すればよい。
【0037】
これとは異なり、本発明のスチーム供給システム10を新しい船舶の建造時に適用させる場合には、それぞれのスチーム分配ヘッド18をスチーム供給管3と連結させる分岐管5にのみ電磁弁としての開閉弁6を設置し、当該開閉弁6のみをケーブルによって船舶の操舵室などに提供されたメインコントローラに接続させる一方、必要時に限ってそれぞれのスチーム分配ヘッド18を当該グループのスチーム熱交換器7と並列に連結させる分配管19上に手動式開閉弁6を設置するだけでも十分であり、これによりスチーム供給用制御ルートの構築及び操作を従来の場合よりも一層容易に行うことができる。
【0038】
本発明に使用される前記スチーム分配ヘッド18の場合にも、スチームボイラー1のボイラータンクのように耐圧性能に優れた断熱式保温タンクを適用させることが好ましく、前記スチーム供給管3、分岐管5、分配管19及びスチーム熱交換器7にも保温断熱材を適用させることが好ましく、前記スチーム分配ヘッド18の内部から発生する凝縮水を冷却ユニット9に排出させることができるように、それぞれのスチーム分配ヘッド18から開閉弁6付きドレイン配管8を延長させた後、当該ドレイン配管8が冷却ユニット9の入口側の位置でそれぞれのスチーム熱交換器7から延長されるドレイン配管8に連結設置されるようにすることが好ましい。
【0039】
上述したようにそれぞれのスチーム分配ヘッド18から延長されるドレイン配管8の開閉弁6も自動制御式電磁弁を使用するが、操舵室などのメインコントローラと直接連係される分岐管5上のスチーム遮断用開閉弁6とは異なり、当該スチーム分配ヘッド18の内部に一定量の凝縮水が累積されることをセンサー機構で判断して、当該センサー機構がその開閉作動を独立に制御することができるようにすることが好ましく、必要に応じては、それぞれのスチーム分配ヘッド18上に圧力計と連動する耐圧調整用リリーフバルブなどが凝縮水のセンサー機構と一緒に設置されることもできる。
【0040】
図2を基準とする場合、第1使用先20a、第2使用先20b及び第3使用先20cごとにスチーム分配ヘッド18が一つずつ割り当てられたことが示されているが、それぞれの使用先をなすスチーム熱交換器7の数及びこれによるスチーム分配ヘッド18の容量を考慮して特定の使用先にスチーム分配ヘッド18を2つまたは3つの個数に割り当てることもでき、この場合、当該使用先を基準としてそれぞれのスチーム分配ヘッド18ごとにスチーム熱交換器7を適切に配分させた後、このように配分されたスチーム熱交換器7を当該スチーム分配ヘッド18と並列に連結させることが好ましく、如何なる場合にも、一つのスチーム熱交換器7が2つ以上のスチーム分配ヘッド18に連結される状況は発生しないようにする。
【0041】
本発明の第2要部に該当する構成要素としては、スチームボイラー1のボイラータンクの下端側から、循環ポンプ22と電気ヒーター23が順次備えられた循環配管21を延長させた後、循環配管21をスチームボイラー1のボイラータンクの上端側に再び連結させた先出願の構成をベースとして、電気ヒーター23を経過した位置に該当する循環配管21側から、開閉弁6付き補助供給管25をさらに分岐させ、補助供給管25がスチームボイラー1のボイラータンクから延長されるスチーム供給管3に連結設置されるようにしたのである。
【0042】
また、補助供給管25の分岐点を経過した位置に該当する循環配管21側にも開閉弁6が設置される一方、補助供給管25が連結される箇所の以前位置に該当するスチーム供給管3側には、スチームボイラー1からスチームが排出されるか否かを感知するセンサー機構26が逆流遮断用チェックバルブ4と一緒に設置されており、補助供給管25にも、開閉弁6を経過した位置に合わせて逆流遮断用チェックバルブ4が設置されており、電気ヒーター23は、ケーブル24aによってコントローラ24に連結設置されている。
【0043】
上述した改善方案の適用に応じて、スチームボイラー1のボイラータンクに連結された循環配管21の出口側又はスチーム供給管3の入口側が詰まってしまう場合、又は他の様々な要因によってスチームボイラー1からスチームが排出されない状況が発生する場合、スチーム供給管3のセンサー機構26がこれを感知して循環配管21の開閉弁6を閉鎖させるとともに補助供給管25の開閉弁6を開放させることにより、電気ヒーター23を経た加熱水の供給経路をボイラータンク側からスチーム供給管3側に直ちに転換させることができる。
【0044】
これにより、船舶の停泊時に電気ヒーター23を用いたスチーム使用先へのスチームの供給を中断なく円滑に行うことができるようになることにより、船舶の安定的な停泊維持が可能となり、電気ヒーター23から排出された加熱水の潜熱吸収、飽和状態への転換及び蒸気の造成機能は、スチームボイラー1のボイラータンクの代わりにそれぞれのスチーム分配ヘッド18で十分に行うことができるため、電気ヒーター23から排出された加熱水がスチームボイラー1のボイラータンクを経由しなくてもスチーム使用先へのスチーム供給には全く支障をきたさなくなる。
【0045】
スチーム供給管3に設置されるセンサー機構26は、スチームの流動(流れ)を感知する流量センサー、またはスチームの排出圧力を感知する圧力センサー、またはスチームの温度を感知する温度センサーを代表的な例として挙げることができるが、スチームボイラー1からスチームが排出されるか否かを感知することができるものであれば、如何なる種類のセンサー機構26が使用されてもよく、循環配管21と補助供給管25に設置される開閉弁6も自動制御式電磁弁とするが、スチーム供給管3のセンサー機構26と電気ヒーター23用コントローラ24によってその開閉作動が独立に制御されることが好ましい。
【0046】
言い換えれば、当該コントローラ2を経て電気ヒーター23、スチーム供給管3のセンサー機構26、及び循環配管21と補助供給管25の開閉弁6へ電力を供給させるとともに、スチーム供給管3のセンサー機構26から入力された信号を電気ヒーター23用コントローラ24で演算処理して循環配管21と補助供給管25の開閉弁を独立に制御するようにするのであり、このような観点から、電気ヒーター23用コントローラ24は、スチーム分配ヘッド18用開閉弁6の制御とは無関係に船舶内のジェネレーターやメインスイッチボードなどと個別に接続させることが好ましい。
【0047】
上述した改善方案にも拘らず、循環配管21に設置された循環ポンプ22自体に故障や誤作動が発生する場合には、スチームボイラー1のボイラータンクに貯留された水(補充水)を電気ヒーター23に供給させて船舶の停泊時に必要なスチームを生成させることが不可能であるため、これについての追加的な補完策が要求されたのはもとより、循環ポンプ22の正常稼働が可能な状況でもボイラータンクに貯留された水を電気ヒーター23へ供給させることができるように凝縮水供給管12又は清水供給管14に設置された供給ポンプ15を循環ポンプと一緒に二重に稼働させることによるエネルギーの無駄な消費も減らすことができる方案が要求された。
【0048】
上述した補完及び対処方案として提案された本発明の第3要部に該当する構成要素として、補充水供給管17から開閉弁6付きバイパス管27が延長された後、当該バイパス管27が循環ポンプ22と電気ヒーター23との間に該当する位置で循環配管21と連結設置されており、バイパス管27の分岐点を過ぎた位置に該当する補充水供給管17にも開閉弁6が設置される一方、バイパス管27には補充水の予熱ヒーター28が設置されており、予熱ヒーター28の場合にもケーブル24aによって電気ヒーター23用コントローラ24と連結設置されている。
【0049】
上述した方式によってスチームボイラー1のボイラータンクから循環配管21の循環ポンプ22を経て、電気ヒーター23に供給されていた補充水の供給経路をバイパス管27から電気ヒーター23側に直接転換させることができるようにすることにより、循環ポンプ22の故障や誤作動の際にも、電気ヒーター23を用いたスチーム使用先へのスチームの供給を可能にして船舶の安定的な停泊維持をより確かに保障することができ、循環ポンプ22の故障または誤作動か否かを判断するために循環配管21または補助供給管25にも、補充水または加熱水の流動有無を判断するセンサー機構を適用させることが好ましい。
【0050】
言い換えれば、スチームボイラー1からスチーム供給管3を経てスチームが排出されない場合、当該位置のセンサー機構26がこれを感知して、電気ヒーター23から排出される加熱水の流動経路を、前述した方式でボイラータンクではなく、補助供給管25側に一次転換させ、その後、補助供給管25を通じた加熱水の流動も当該位置のセンサー機構で感知されない場合には、これを循環ポンプ22の故障又は誤作動と判断して補充水供給管17の開閉弁6を閉鎖させるとともにバイパス管27の開閉弁6を開放させることにより、補充水の流動経路もボイラータンクではなくバイパス管27側に最終転換させるようにするのである。
【0051】
上述した順次的な判断及びバルブ制御過程を経ることなく、スチームボイラー1からスチーム供給管3へスチームが排出されないと判断された直後に加熱水と補充水の流動経路を補助供給管25とバイパス管27側に同時に転換させることもでき、循環ポンプ22の正常稼働が可能な状況でも補充水供給管17の開閉弁6を閉鎖させ且つバイパス管27の開閉弁6を開放させるとともに、循環ポンプ22の稼働を中止させ、凝縮水供給管12または清水供給管14の供給ポンプ15のみを稼働させて電気ヒーター23に補充水を直接供給させることにより、循環ポンプ22と供給ポンプ15の同時稼働によるエネルギー無駄な消費を減らすことができる。
【0052】
上述したように循環ポンプ22の正常稼働が可能であるにも拘らず、補充水を電気ヒーター23に直接供給させる場合は、スチームボイラー1からスチーム供給管3へスチームが排出されない状況に適用することが好ましく、この場合、電気ヒーター23に供給される補充水がボイラータンクを経ないため、ボイラータンクの内部から補充水として回収される加熱水の潜熱だけを予熱ヒーター28で保全させるようにした。これにより、電気ヒーター23における補充水の加熱性能及びスチーム使用先によるスチームの供給性能を一定のレベルに維持させることができる。
【0053】
上述した構成を有する本発明のスチーム供給システム10によれば、船舶の運航時や停泊時などの特定の条件に合わせて当該条件で使用されないスチーム熱交換器7グループ(使用先)へのスチームの供給を当該グループに割り当てられたスチーム分配ヘッド18の入口側の開閉弁6を閉鎖させる簡単な操作のみでも迅速かつ正確に一括遮断させることができ、これにより、船舶内に散在した多くの個数のスチーム熱交換器7へスチームを無分別に供給させた従来の方法とは異なり、スチームの無駄な消費を防止し且つスチーム熱交換器7における加熱性能を大きく向上させるとともに、スチーム供給用制御ルートの構築及び操作も非常に容易に行うことができる。
【0054】
これに加えて、スチームボイラー1のボイラータンクに貯留された水を電気ヒーター23で加熱及び循環させて船舶の停泊時に必要なスチームの供給を可能にした先出願の利点をそのまま活用するが、スチームボイラー1からスチーム供給管3へスチームが排出されるか否かをセンサー機構26で判断した後、前記補助供給管25と開閉弁6を用いて電気ヒーター23を経た加熱水の供給経路を必要に応じてボイラータンクからスチーム供給管3側へ転換させることができるようにすることにより、ボイラータンクに連結された循環配管21の出口側またはスチーム供給管3の入口側が詰まってしまう場合でも、電気ヒーター23を用いたスチーム使用先へのスチームの供給及びこれによる船舶の安定的な停泊維持が可能となる。
【0055】
また、スチームボイラー1のボイラータンクから循環配管21の循環ポンプ22を経て電気ヒーター23に供給されていた補充水の供給経路をバイパス管27と開閉弁6を用いて電気ヒーター23側に直接転換させることができるようにし、バイパス管27の予熱ヒーター28を用いて補充水の温度もボイラータンクを経由するレベルに昇温させることができるようにすることにより、一つのポンプ機構のみでも電気ヒーター23への補充水の供給を可能にしてエネルギーの無駄な消費を最小限に抑える一方、循環ポンプ22の故障や誤作動の際にも電気ヒーター23を用いたスチーム使用先へのスチームの供給を可能にして船舶の安定的な停泊維持をより確かに保障することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 スチームボイラー
2 スチーム熱源
3 スチーム供給管
4 チェックバルブ
5 分岐管
6 開閉弁
7 スチーム熱交換器
8 ドレイン配管
9 冷却ユニット
10 スチーム供給システム
11 凝縮水タンク
12 凝縮水供給管
13 清水タンク
14 清水供給管
15 供給ポンプ
16 清水補充管
17 補充水供給管
18 スチーム分配ヘッド
19 分配管
20 スチーム使用先
20a 第1使用先
20b 第2使用先
20c 第3使用先
21 循環配管
22 循環ポンプ
23 電気ヒーター
24 コントローラ
24a ケーブル
25 補助供給管
26 センサー機構
27 バイパス管
28 予熱ヒーター
図1
図2