(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120161
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】子宮内膜症に関連する疼痛を治療するための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/585 20060101AFI20240828BHJP
A61K 31/565 20060101ALI20240828BHJP
A61P 5/30 20060101ALI20240828BHJP
A61P 5/34 20060101ALI20240828BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
A61K31/585
A61K31/565
A61P5/30
A61P5/34
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024021608
(22)【出願日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】23158334
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】23194864
(32)【優先日】2023-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517186503
【氏名又は名称】エステトラ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】平山 正史
(72)【発明者】
【氏名】野上 正義
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA09
4C086DA13
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZC11
4C086ZC75
(57)【要約】
【課題】 子宮内膜症に関連する疼痛を治療するための組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するのに使用するためのエステトロール及びドロスピレノンを含む医薬組成物に関する。本明細書において記載されている医薬組成物は、特に、ビジュアルアナログスケール(VAS)スコアによって測定されるものなどの高い程度、頻度及び/若しくは強度の疼痛を報告する並びに/又は腺筋症若しくは子宮筋腫などのさらなる合併症を有する被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和することにおいて有効である。上記及び対応する治療の方法に関する使用もまた、本明細書において記載される。
【選択図】 無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するのに使用するための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物。
【請求項2】
骨盤痛を患っている被験者を治療するのに使用するための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物。
【請求項3】
前記被験者における前記疼痛は、非消退出血期の間の疼痛である、請求項1又は2に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項4】
前記被験者の前記疼痛は、VAS(ビジュアルアナログスケール)を使用して測定される、好ましくは、前記被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアによって定義される骨盤痛を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアを有する子宮内膜症と関連する骨盤痛を患っている、好ましくは、前記被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアを有する子宮内膜症によって誘発される骨盤痛を患っている、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記疼痛は、骨盤における子宮腔外の子宮内膜組織の生着に起因している、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記疼痛は、慢性骨盤痛、下腹部痛及び/若しくは腰痛などの骨盤痛、排便痛及び性交痛又はダグラス窩における子宮内膜の癒着によって引き起こされる疼痛である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記使用は、CGI-Iスケール(Clinician Global Impressions-Improvement Scale)の改善をもたらす、好ましくは、前記使用は、約28.9%のCGI-Iスケールの改善をもたらす、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記使用は、PGI-Iスケール(Patient Global Impressions-Improvement Scale)の「非常に満足している又はそれ以上」と段階評価される改善をもたらす、好ましくは、前記使用は、約24%のPGI-Iスケールの「非常に満足している又はそれ以上」と段階評価される改善をもたらす、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記使用は、約60%の奏功者の割合をもたらす、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記被験者は、開腹術/腹腔鏡検査によって子宮内膜症を有すると並びに/又は経腟超音波検査(TVUS)及び/若しくは磁気共鳴画像法(MRI)によって評価されるように卵巣チョコレート嚢胞を有すると診断される、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記組成物は、前記組成物の21~28日の1日の実薬投薬単位のサイクルにおいて使用される、好ましくは、前記組成物は、前記組成物の24日の1日の実薬投薬単位のサイクルにおいて使用される、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記サイクルは、7日間の投与なしの休薬期間、好ましくは4日間の投与なしの休薬期間を含む、請求項12に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記組成物の使用は、投与より前から第2又は第3の投与サイクル後までVASスコアにおける低下をもたらす、好ましくは、前記低下は、前記第2又は第3の投与サイクル後に実質的に安定が維持される、請求項12又は13に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記組成物の使用は、ダグラス硬結、子宮可動性の制限及び/又は骨盤圧痛の重症度における改善、TVUS又はMRIによって評価される卵巣チョコレート嚢胞のサイズ及び/又は数の低減をもたらす、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項16】
前記組成物の使用は、EE 20μg/DRSP 3mgの固定用量配合錠の使用よりも少ないTEAEをもたらす、好ましくは、前記TEAEは、中間期出血、頭痛、悪心及び重度月経出血からなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項17】
前記被験者は、子宮内膜症に加えて腺筋症及び/又は子宮筋腫を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項18】
被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するのに使用するための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロール一水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物であって、前記使用は、前記患者が約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアによって定義される投与より前の骨盤痛を有するかどうかを決定するステップを含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは医学の分野に、より詳細には、子宮内膜症に関連する疼痛を特徴とする女性被験者のホルモン治療に関する。具体的には、本発明は、女性被験者において安全且つ効果的に疼痛、とりわけ骨盤痛を緩和する(すなわち低減する又は治療する)のに使用するためのエステトロール及びドロスピレノンを含む組成物に関する。本発明は、詳細には、高ビジュアルアナログスケール(VAS)スコアを有する子宮内膜症被験者を治療するのに有効である。
【背景技術】
【0002】
子宮内膜症は、女性被験者における子宮腔を除く子宮内膜組織の生着のコントロール不能な発育を特徴とする医学的状態であり、疼痛、時にはさらに不妊症又は(卵巣)癌を引き起こす。最近では子宮内膜症が複数の要因によって引き起こされるといったエビデンスが増えつつあるが、正確な原因はまだ調査中である。免疫障害、局所的なホルモンの影響、遺伝的性質及びさらに環境汚染物質との関連が、記載されている(非特許文献1)。いくつかのスクリーニングツール及び検査が提案され、試験されたが、今のところ、疾患を有する可能性が最も高い個人又は集団を正確に識別する又は予測すると検証されているものはない。そのため、組織学的な及び/又は腹腔鏡下の確認が、決定的な診断に到達するのに依然として必要である。子宮内膜症が、多くの場合、他の状態に似ていて診断の遅れの一因になる症状を示し得るので、子宮内膜症を早期に疑うことは、早期診断のための鍵となるファクターである。
【0003】
医師にとって診断が難しいため、正確な発生率を定めることは、依然として困難である。しかしながら、ある試験は、一般集団における生殖年齢女性の最高11%がこの状態に冒されているかもしれないことを示唆する(非特許文献2)。2021年に、WHOは、子宮内膜症は、著しい社会的な、公衆衛生上の及び経済的な影響を有し、重度の疼痛及び他の症状のために生活の質を低下させることを表明した。現時点では、この状態に役立つ治療処置はない。症状の管理は、そのため、この状態に冒されている被験者の生活の質を改善するのに極めて重要である。
【0004】
子宮内膜症によって誘発される疼痛を管理するためのある対症療法戦略は、当技術分野おいて記載されており、非ステロイド性抗炎症薬、鎮痛薬の投与並びに子宮内膜症組織、癒着及び瘢痕組織を除去するための手術を含む。しかしながら、これらの戦略のそれぞれは、成功率のばらつきが大きいこと、(重度)副作用のリスクがかなりあること、長期の安全性上の懸念及びその組み合わせによって特徴づけられる(非特許文献3)。
【0005】
最近、子宮内膜症に関連する骨盤痛のためのYAZ Flex(フレキシブルな延長周期経口避妊薬レジメンにおける使用が意図される20μgエチニルエストラジオール及び3mg DRSPを含む)の使用が、研究され(clinicaltrials.gov、試験識別番号NCT03126747)、子宮内膜症に関連する疼痛を管理するのに有効であることが証明された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Zondervan et al.,N Engl J Med,2020
【非特許文献2】Shafrir et al.,Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol,2018
【非特許文献3】Johnson et al.,Hum Reprod,2013
【非特許文献4】Coelingh Bennink et al.,Climacteric,2008
【非特許文献5】Kuhl,Climacteric,2005
【非特許文献6】Gerard et al.,J Endocrinol,2015
【非特許文献7】Munro et al.,Int J Gynaecol Obstet,2018
【非特許文献8】Harada,Dysmenorrhea and endometriosis in young women,Yonago Acta Med,2013
【非特許文献9】American Society for Reproductive Medicine,Fertil Steril,1997
【非特許文献10】Adamson and Pasta,Fertil Steril,2010
【非特許文献11】Haas et al.,Fertil Steril,2011
【非特許文献12】Terman and Bonica,Bonica’s management of pain,2003
【非特許文献13】Sheng et al.,Neural Plasticity,2017
【非特許文献14】Byrom et al.,Ther Innov Regul Sci,2022
【非特許文献15】Younger et al.,Current Pain And Headache Reports,2010
【非特許文献16】Bourdel et al.,Hum Reprod Update,2015
【非特許文献17】Bausic et al.,Diagnostics(Basel),2022
【非特許文献18】Kaur,Int Res J Pharm,2012
【非特許文献19】Eshel et al.,Soil Science Society of America Journal,2004
【非特許文献20】Busner and Targum,Psychiatry,2007
【非特許文献21】Viktrup et al.,BMC urol,2012
【非特許文献22】Burckhardt and Anderson,Health Qual Life Outcomes,2003
【非特許文献23】Peck Gossel,Packaging the Pill,Manifesting Medicine:Bodies and Machines,New York:Taylor & Francis,1999
【非特許文献24】Bourdel N,Alves J,Pickering G,Ramilo I,Roman H,Canis M.Systematic Review of Endometriosis Pain Assessment:How to Choose a Scale? Hum Reprod Update.2015;21:136
【非特許文献25】Gerlinger C,Schumacher U,Faustmann T,Colligs A,Schmitz F,Seitz C.2010.Defining a Minimal Clinically Important Difference for Endometriosis-Associated Pelvic Pain Measured on a Visual Analog Scale:Analyses of Two Placebo-Controlled,Randomized Trials.Health Qual Life Outcomes.2010;8:138
【非特許文献26】Harada T,Kosaka S,Elliesen J,Yasuda M,Ito M,Momoeda M.Ethinylestradiol 20 μg/drospirenone 3 mg in a flexible extended regimen for the management of endometriosis-associated pelvic pain:a randomized controlled trial.Fertil Steril 2017;108:798-805
【非特許文献27】Dworkin RH,Turk DC,Farrar JT,Haythornthwaite JA,Jensen MP,Katz NP,et al.Core outcome measures for chronic pain clinical trials:IMMPACT recommendations.Pain 2005;113:9-19
【非特許文献28】Carol S.Burckhardt and Kim D.Jones.Adult measures of pain the McGill Pain Questionnaire(MPQ),Rheumatoid Arthritis Pain Scale(RAPS),Short-Form McGill Pain Questionnaire(SF-MPQ),Verbal Descriptive Scale(VDS),Visual Analog Scale(VAS),and West Haven-Yale Multidisciplinary Pain Inventory(WHYMPI).Arthritis Care Res 2003;49:S96-S104
【非特許文献29】Taniguchi F,Enatsu A,Ota I,Toda T,Arata K,Harada T.Effects of low dose oral contraceptive pill containing drospirenone/ethinylestradiol in patients with endometrioma.Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 2015;191:116-20.
【非特許文献30】Harada T,Momoeda M,Taketani Y,Hoshiai H,Terakawa N.Low-dose oral contraceptive pill for dysmenorrhea associated with endometriosis:a placebo-controlled,double-blind,randomized trial.Fertil Steril 2008;90:1583-8
【非特許文献31】Kaunitz AM,Achilles SL,Zatik J,Weyers S,Piltonen T,Suturina L,et al.Pooled analysis of two phase 3 trials evaluating the effects of a novel combined oral contraceptive containing estetrol/drospirenone on bleeding patterns in healthy women.Contraception 2022;116:29-36
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それでもやはり、この疾患の管理のための改善された革新的な戦略、とりわけ、子宮内膜症によって誘発される疼痛の安全且つ有効な低減を提供して、子宮内膜症に苦しむ被験者の生活の質をさらに改善し且つ既存の製品よりも副作用が少ない戦略に対するアンメットニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特定の代表的な実施形態を例示する実施例が証拠となるように、発明者は、13.5mg~16.5mgのエステトロール(E4)及び2.5mg~3.5mgのドロスピレノン(DRSP)を含む組成物が、被験者の子宮内膜症に関連する疼痛を緩和するのに特に適していることを見出した。予想外に、この組成物は、エチニルエストラジオール(EE)及びドロスピレノン(DRSP)を含む組成物などの疼痛を緩和するための既存のホルモン子宮内膜症の療法より優れていることが、とりわけ前記子宮内膜症によって引き起こされる疼痛の程度が高いと報告される又は疼痛の程度が高いと考えられる(すなわち高ビジュアルアナログスケールスコア)被験者において認められた。この改善はまた、子宮内膜症に加えて腺筋症及び/又は子宮筋腫を患っている被験者においても認めることができた。それゆえ、より全般的な状況において、本明細書において明記される組成物は、子宮内膜症及び子宮内膜症症状を軽減するのに特に適している。
【0009】
より具体的には、最も重度の子宮内膜症に関連する骨盤痛についてのVASの同様の低下が、治療群(E4/DRSP)と対照群(YAZ Flex;EE/DRSP)との間で認められた。驚くべきことに、E4/DRSPは、非消退出血期の間に疼痛を抑制することにおいて対照群よりも著しく有効であることが、特に、70mm又はそれ以上の投与前ベースラインVAS値を有する患者において示された。他のエストロゲンと比較した場合に、当技術分野の全体にわたって数多くの機会に記載されている全般的な良好なエステトロールの安全性プロファイルと組み合わせると、そのため、70mm又はそれ以上のベースラインVASを有する子宮内膜症被験者は、理想的には、非消退出血期の間に子宮内膜症疼痛を管理するために現在までのところ使用されている他のホルモン組成物ではなく、試験済みのE4/DRSP組成物を使用するべきであると結論づけられるかもしれない。
【0010】
本発明は、そのため、以下の態様を提供する。
態様1.被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するのに使用するための及び/又は前記被験者において子宮内膜症を治療するのに使用するための約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物。
態様2.骨盤痛を患っている被験者を治療するのに使用するための及び/又は前記被験者において子宮内膜症を治療するのに使用するための約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物。
態様3.被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するのに使用するための及び/又は前記被験者において子宮内膜症を治療するのに使用するための約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物であって、使用は、患者が約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるビジュアルアナログスケール(VAS)スコアによって定義される投与より前の骨盤痛を有するかどうかを決定するステップを含む医薬組成物。
態様4.被験者における子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するための医薬の製造のための又は子宮内膜症を治療するための医薬の製造のための約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の使用。
態様5.骨盤痛を患っている被験者を治療するための医薬の製造のための約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の使用。
態様6.被験者における子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するための医薬の製造のための又は前記被験者において子宮内膜症を治療するための医薬の製造のための約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の使用であって、使用は、患者が約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアによって定義されるように投与より前の骨盤痛を有するかどうかを決定するステップを含む使用。
態様7.被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するための又は前記被験者において子宮内膜症を治療するための方法であって、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の前記被験者への投与を含む方法。
態様8.骨盤痛を患っている被験者を治療するための方法であって、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の前記被験者への投与を含む方法。
態様9.被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するための又は前記被験者において子宮内膜症を治療するための方法であって、患者が約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアによって定義される骨盤痛を有するかどうかを決定する第1のステップを含み、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物を前記被験者に投与するさらなるステップを含む方法。
態様10.エステトロールは、エステトロール一水和物である、態様1~3のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、態様4~6のいずれか1つに記載の使用又は態様7~9のいずれか1つに記載の方法。
態様11.被験者における疼痛は、非消退出血期の間に緩和される(すなわち低減される)、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様12.被験者における疼痛は、消退出血期に関係のない期間の間に、好ましくは消退出血の開始の2日前までの期間の間に緩和される、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様13.被験者における疼痛は、消退出血の開始の2日前から消退出血の開始までの期間の間に、好ましくは消退出血の開始の1日前から消退出血の開始までの期間の間に緩和される、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様14.被験者における疼痛は、消退出血の開始より約48時間前から消退出血の開始まで緩和される、好ましくは被験者における疼痛は、消退出血の開始より約36時間前から、より好ましくは約24時間前から消退出血の開始まで緩和される、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様15.被験者における疼痛は、ホルモン避妊薬の投与サイクルの終了に当たるホルモンなしの日に緩和される、好ましくは、被験者における疼痛は、典型的なホルモン避妊薬治療スケジュールにおける25日目(ホルモンなしの休薬期間の第1日目)より前の日に緩和される、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様16.被験者は、原発性月経困難症を有すると考えられない若しくは有すると診断されない又は被験者の既往歴は、前記被験者における原発性月経困難症の除外をもたらした又は被験者は、原発性月経困難症が前記被験者の既往歴によって除外される被験者である、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様17.被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアによって定義されるように骨盤痛を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様18.被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアを有する子宮内膜症と関連する骨盤痛を患っている、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様19.被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアを有する子宮内膜症によって誘発される骨盤痛を患っている、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様20.疼痛は、骨盤における子宮腔外の子宮内膜組織の生着に起因している、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様21.疼痛は、卵巣、卵管、しかるべき場所に子宮を保持する組織(靭帯)、子宮の外側表面、膣、頸部、外陰、腸、膀胱、直腸又はその任意の組み合わせに位置する子宮内膜組織生着に起因している、態様20に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様22.前記疼痛は、卵巣、卵管、しかるべき場所に子宮を保持する組織(靭帯)、子宮の外側表面又はその任意の組み合わせに位置する子宮内膜組織生着に起因している、態様20又は21に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様23.前記疼痛は、慢性骨盤痛、下腹部痛及び/若しくは腰痛などの骨盤痛、排便痛及び性交痛又はダグラス窩における子宮内膜の癒着によって引き起こされる疼痛である、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様24.使用は、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは約28.9%のCGI-Iスケール(Clinician Global Impressions-Improvement Scale)の改善をもたらす、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様25.使用は、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは約24%のPGI-Iスケール(Patient Global Impressions-Improvement Scale)の「著しく満足している又はそれ以上」と段階評価される改善をもたらす、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様26.使用は、少なくとも約40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも約60%の奏功者の割合をもたらす、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様27.使用は、CA125の低下をもたらす、好ましくは、使用は、35U/ml未満までCA125血清レベルの低下をもたらす、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様28.被験者は、開腹術/腹腔鏡検査によって子宮内膜症を有すると並びに/又は経腟超音波検査(TVUS)及び/若しくは磁気共鳴画像法(MRI)によって評価されるように卵巣チョコレート嚢胞を有すると診断される、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様29.被験者は、子宮内膜症に加えて腺筋症及び/又は子宮筋腫を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様30.被験者は、約25%若しくはそれ以下の子宮体部(軽度の腺筋症)又は約25%~約50%の子宮体部(中等度の腺筋症)又は約50%超の子宮体部(重度の腺筋症)を冒す腺筋症を有する、態様29に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様31.被験者は、有茎性、粘膜下、筋層内、漿膜下又はその任意の組み合わせと分類される子宮筋腫を有する、態様29に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様32.組成物は、前記組成物の21~28日の毎日の実薬投薬単位のサイクルにおいて使用される、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様33.組成物は、前記組成物の24日の毎日の実薬投薬単位のサイクルにおいて使用される、態様32に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様34.前記サイクルは、7日間の投与なしの休薬期間、好ましくは4日間の投与なしの休薬期間を含む、態様32又は33に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様35.組成物の使用は、投与より前から第2又は第3の投与サイクル後までVASスコアにおける低下をもたらす、態様32~34のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様36.組成物の使用は、投与より前から第2又は第3の投与サイクル後まで、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、最も好ましくは少なくとも約50%のVASスコアにおける低下をもたらす、態様35に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様37.前記低下は、第2又は第3の投与サイクル後に実質的に安定が維持される、態様36に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様38.組成物の使用は、ダグラス硬結、子宮可動性の制限及び/又は骨盤圧痛の重症度における改善、TVUS又はMRIによって評価される卵巣チョコレート嚢胞のサイズ及び/又は数の低減をもたらす、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様39.組成物の使用は、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、最も好ましくは少なくとも約50%の重症度における改善をもたらす、態様38に記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様40.組成物の使用は、EE 20μg/DRSP 3mgの固定用量配合錠の使用よりも少ないTEAEをもたらす、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様41.前記被験者は、中間期出血、頭痛、悪心及び重度月経出血からなる群から選択される治療下で発現した有害事象(TEAE)の低減を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
態様42.子宮内膜症に関連する睡眠障害を低減するための、前述の態様のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物、使用又は方法。
【0011】
本明細書において定められる態様のいずれか1つにおいて、前記投薬単位は、包装単位、例えば、エステトロール及びドロスピレノンを含む毎日の経口投薬単位を含有するブリスターパックを含有するパーツキットとして提示されてもよい。当業者は、加えて、本発明の範囲内で、それぞれの包装単位、例えばブリスターパックは、番号をつけられてもよいか又は印をつけられてもよいことを知っている。パーツキットの特定の実施形態において、包装単位は、28個のコンテナー又は2~12×28個のコンテナーなどの多数の28個のコンテナーを含む。好ましい実施形態において、包装単位は、3又は6×28個のコンテナーを含む。本発明の範囲内で、それぞれの包装単位は、厚紙、板紙、可塑性ホイル(foil plastic)の背面を有する密閉されたブリスターパックであってもよく、好適な袋に封入されてもよい。
【0012】
ビンなどの包装単位もまた、本明細書において定められる態様のいずれか1つにおいて想定される。ビンの材料は、特に限定されない。好ましい実施形態において、ビンは、前記ビンの内容物の目視検査を可能にする透明度を維持しながら、例えばUV光によるビンの内容物の分解を低減する又は防止することができる色を特徴とするガラスビンである。好適な色は、限定されるものではないが、琥珀色、コバルト色又はビンテージグリーンを含む。
【0013】
本発明の上記の及びさらなる態様及び好ましい実施形態は、以下の節において及び添付の特許請求の範囲において記載される。添付の特許請求の範囲の主題は、これによって具体的に本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)個々のVAS値及びスプライン曲線を示す図である。X軸:第1の治療日を基準にした日;Y軸:VAS値(mm)。(B)平均VAS値を示す図である。X軸:日;Y軸:VAS値(mm)。「FSN-013」は、15mg E4/3mg DRSP群に相当する。
【
図2】
図2は、奏功者の定義を示す図である。奏功者:判定期間の80%又はそれ以上の日数、70mm超低減したVAS。判定期間:29~84日目の間の非消退出血期間。
【
図3】
図3は、奏功者及び非奏功者におけるCGI-I及びPGI-Iの改善を示す図である(E4/DRSP+Yaz Flex)。左パネル:CGI-I;右パネル:PGI-I。斜め縞模様:奏功者、それぞれのヒストグラムの右の症例群。ソリッドグレイの塗りつぶし:非奏功者、それぞれのヒストグラムの左の症例。
【
図4】
図4は、E4/DRSP群及びYaz Flex群における奏功者の割合を示す図である。FSN-013群は、15mg E4/3mg DRSP群に相当する。
【
図5】(A)6サイクルの治療後の婦人科客観的所見-改善した、安定していた又は悪化した被験者の割合を示す図である:クルドサック(cul-de sac)の硬結(p=0.002、フィッシャーの正確確率検定)、子宮可動性の制約(p=0.005、フィッシャーの正確確率検定)、骨盤圧痛(p=0.022、フィッシャーの正確確率検定)。(B)6サイクルの治療後の婦人科客観的所見の変化における腺筋症あり又はなしの層別解析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において使用されるように、特に文脈が明確に指定しない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、単数及び複数の指示物の両方を含む。
【0016】
本明細書において使用される用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」及び「から構成される(comprised of)」は、「含む(including)」、「含む(includes)」又は「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的又はオープンエンド(open-ended)であり、追加の詳述されていない構成要素、要素又は方法ステップを除外しない。これらの用語はまた、「からなる」及び「から本質的になる」も包含し、これらは、特許用語において十分に確立された意味を持っている。
【0017】
端点による数値範囲の詳述は、それぞれの範囲及び詳述される端点内に包含されるすべての数及び分数を含む。これは、数値範囲が表現「...~...」又は表現「...と...との間」又は別の表現によって導入されるかどうかに関係なく、数値の範囲に適用される。
【0018】
本明細書において使用される用語「約」又は「およそ」は、パラメータ、量、時間的期間及びその他同種のものなどの測定可能な値を指す場合、明記される値の及びそれからの+/-10%又はそれ以下、好ましくは+/-5%又はそれ以下、より好ましくは+/-1%又はそれ以下及びさらにより好ましくは+/-0.1%又はそれ以下のばらつきなどの明記される値の及びそれからのばらつきを、このようなばらつきが開示される本発明における実行に適切である限り、包含することを意味する。修飾語「約」又は「およそ」が指す値もまた、それ自体、具体的に且つ好ましくは開示されていることが理解されるべきである。
【0019】
1つ以上の構成要素又は構成要素の群の少なくとも1つの構成要素などの「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という用語は、さらなる実例によってそれ自体明らかになるが、用語は、とりわけ、前記構成要素のいずれか1つ又は例えば前記構成要素の任意の≧3、≧4、≧5、≧6若しくは≧7等及び前記構成要素すべてに及ぶなどの前記構成要素の任意の2つ若しくはそれ以上の言及を包含する。別の実施例において、「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」は、1、2、3、4、5、6、7又はそれ以上を指してもよい。
【0020】
本明細書における本発明に対する背景の考察は、本発明の脈絡を説明するために含まれる。これは、参照される文献のいずれも、請求項のいずれかの優先日時点でいずれかの国において公開されていた、知られていた、共通する一般知識の一部分であったことの許可として受け取られるべきではない。
【0021】
本開示の全体にわたって、種々の刊行物、特許及び公開特許明細書は、識別するための引用文によって参照される。本明細書において引用されるすべての文書は、全体が参照によってこれによって組み込まれる。特に、本明細書において具体的に参照されるこのような文書の教示又は節は、参照によって組み込まれる。
【0022】
特に定義されない限り、本発明を開示する際に使用されるすべての用語は、技術的及び科学的用語を含め、当業者によって一般に理解されるような意味を有する。さらなる手引きによって、用語の定義は、本発明の教示をより認識するために含まれる。特定の用語が本発明の特定の態様又は本発明の特定の実施形態に関連して定義される場合、このような含意又は意味は、本明細書の全体にわたって、すなわち本発明の他の態様又は実施形態に関しても、特に定義されない限り、適用されることを意味する。例えば、製品に関する実施形態はまた、方法及び使用の対応する特徴にも適用可能である。
【0023】
以下の段落において、本発明の様々な態様又は実施形態は、さらに詳細に定められる。そのように定められるそれぞれの態様又は実施形態は、明確に逆に示されない限り、任意の他の態様又は実施形態と組み合わせられてもよい。特に、好ましい又は有利であると示されるような任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される任意の他の特徴と組み合わせられてもよい。
【0024】
「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」に対する本明細書の全体にわたる言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態において含まれることを意味する。従って、本明細書の全体にわたる種々の箇所において「一実施形態において」又は「一実施形態において」という句が出てきても、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者にとって明らかであろうが、任意に好適に組み合わせられてもよい。さらに、本明細書において記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態において含まれるいくつかの特徴を含み、他の特徴を含まないが、様々な実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあることになっており、当業者によって理解されるであろうが、様々な実施形態を形成する。例えば、添付の特許請求の範囲において、当業者によって理解されるであろうが、特許請求される実施形態の代替の組み合わせが、包含される。
【0025】
特に示されない限り、詳細に具体的に記載されないすべての方法、ステップ、技術及び操作は、当業者に明らかであるように、それ自体知られている手段で実行することができ、実行された。例えば、標準的な参考書並びに本明細書において言及される一般的な背景技術及び本明細書において引用されるさらなる参考文献がここでも参照される。
【0026】
本明細書において使用される用語「エステトロール」は、1,3,5(10)-エストラトリエン-3,15アルファ,16アルファ,17ベータ-テトロール又は15アルファ-ヒドロキシエストリオール及びエステトロールの水和物、例えばエステトロール一水和物を指す。「エステトロール」又は短縮した「E4」は、胎児ヒト肝臓によって生成されるエストロゲンステロイドである(PubChem CID:27125)。エステトロールは、15α及び16α位が2つの追加のヒドロキシ基と置換される17ベータ-エストラジオールに相当する3-ヒドロキシステロイドとして記載されてもよい。エステトロールがエストロゲン受容体アゴニストであることが知られている(非特許文献4)。エステトロールは、化学合成されてもよい、(変異)組換え酵素の使用によって合成されてもよい又はその任意の組み合わせによって合成されてもよい。そのため、用語「エステトロール」及び「エステトロール成分」が、さらに化学修飾されたエステトロールを同様に包含することは明白である。エステトロールは、当技術分野おいて、その分子式:C
18H
24O
4によって又は構造式(I)によって示されてもよい。
式(I)
【化1】
【0027】
エステトロールについて本明細書の任意の節の全体にわたって述べられる場合、任意のエステトロール含有成分(すなわち化合物)及び/又はエステトロール誘導体(エステトロールエステルなど)もまた想定されることが理解される。より好ましくは、本開示の文脈において、特に好ましいエステトロール(成分)は、エステトロール一水和物である。当業者は、エステトロール一水和物が、1分子の水を含有するエステトロールに相当すること及びエステトロールのコア構造式が式(I)と異ならないことを認識する。限定ではなく例示によって、エステトロール一水和物の構造式は、式(II)によって示される:
式(II)
【化2】
【0028】
本開示の全体にわたって記載される組成物、使用及び方法は、通常、エチニルエストラジオール及びドロスピレノンを含む固定用量配合錠と安全性及び有効性に関して比較される。「エチニルエストラジオール」(EEと略される、PubChem CID:5991;分子式:C
20H
24O
2)は、プロゲストゲン成分と組み合わせて避妊用ピルにおいて広く使用されるエステトロール及びエステトロール一水和物とは別個のエストロゲンを指す。エチニルエストラジオールは、エストラジオールの合成誘導体である(後者は天然エストロゲンである)。エチニルエストラジオールの普及は、一部分は、エストラジオールと比較した場合に、改善されたバイオアベイラビリティ及び代謝に対する抵抗性の増加を含む、その好ましい性質によるものである。限定ではなく例示によって、エチニルエストラジオールの構造式は、式(III)によって示される。
式(III)
【化3】
【0029】
「ドロスピレノン」(DRSPと略される、PubChem CID:68873)は、プロゲストゲン成分の一例であり、全般的な低いオフターゲット活性と組み合わせたその抗ミネラルコルチコイド活性及び抗アンドロゲン活性により、混合型経口避妊薬(一般にCOCと略される)において広範囲にわたる使用がなされている。一般に、ドロスピレノン含有COCは、第4世代のCOCと称される。ドロスピレノンを含む市販で入手可能なCOCの非限定的な例は、「Yaz(商標)」及びYasmin(商標)として知られている。ドロスピレノン単独のプロゲストゲンピルの例示的な例は、「Slynd(商標)」であり、これもまた市販で入手可能である。加えて、エストラジオールなどのエストロゲン及びドロスピレノンを含むホルモン置換療法組成物は、「Angeliq(商標)」などのように入手可能である。ドロスピレノンは、代わりに、その分子式C
24H
30O
3によって又は構造式(IV)によって当技術分野おいて示されてもよい。
式(IV)
【化4】
【0030】
用語「ドロスピレノン」が本明細書において使用される場合、任意のドロスピレノン誘導体もまた想定されることが理解される。本明細書及び当技術分野の両方おいて使用される用語「プロゲストゲン」、「ゲスターゲン」又は「黄体ホルモン」及びこれから誘導される「プロゲストゲン成分」は、被験者の体内において天然の女性ホルモンであるプロゲステロンと同様の効果を産み出す任意の分子を指す。プロゲストゲンは、プロゲステロン受容体のアゴニストであると考えられ、それらの機能は、当技術分野おいて徹底的に検討された(とりわけ(非特許文献5)において論じられる)。プロゲスチンは、合成プロゲストゲンを含むプロゲストゲンのサブグループである。上記の用語は当技術分野において区別なく使用されてもよいが、プロゲスチンについて述べられる場合、合成プロゲストゲンを意味するという一般的な理解がある。
【0031】
予想外に、発明者は、エステトロール及びドロスピレノンを含む組成物の投与が、被験者において子宮内膜症によって誘発される及び/又は子宮内膜症に関連する疼痛を治療するための極めて有効であるが安全な手段に相応することを見出した。さらに、前記組み合わせは、フレキシブルな延長周期経口避妊薬レジメンにおいて投与されてもよい、これに限定されないが、エチニルエストラジオール及びドロスピレノンを含む組成物などの通常この兆候に推奨される他のホルモン治療戦略と比較した場合に、紛れもない優位性を提供する。改善は、子宮内膜症によって誘発される高い程度の(すなわち激しい及び/又は頻度が高い)疼痛によって特徴づけられる被験者において特に認められる。当業者はドロスピレノンと組み合わせられたエストロゲンが、通常、同様の治療結果に至るであろうと仮定するであろうから、これは予想外である。とりわけ、エステトロールが「弱い」エストロゲンと通常考えられるという事実から(非特許文献6)、エチニルエストラジオールと比較した場合のより強力な効果は、注目すべきである。エストロゲン成分としてエステトロールを有する混合型経口避妊薬について当技術分野の全体にわたって報告される全般的な安全性は、血液凝固及び線溶系に対するエステトロール/ドロスピレノンの組み合わせの軽微な影響並びに治療下で発現した有害事象(TEAE)が限定的であったことによって確認することができた。ベースラインから著しく外れることは、血液学的パラメータ、生化学的検査、尿検査、心電図(ECG)及びQT間隔などのたくさんの臨床マーカーについて認めることができなかった。
【0032】
それゆえ、第1の態様において、本発明は、子宮内膜症に関連する、それによって引き起こされる及び/又は誘発される疼痛を緩和するのに使用するためのエステトロール及びドロスピレノンを含む医薬組成物に関する。エステトロール及びドロスピレノンは、典型的に、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンなどの薬学的に有効な量で医薬組成物中に含まれる。言い換えれば、本発明は、被験者における子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するための医薬の製造のための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の使用を想定する。さらに言い換えれば、本発明は、被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するための方法であって、方法は、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物を被験者に投与するステップを含む方法を想定する。本明細書において記載される医薬組成物の使用は、子宮内膜症と関連する疼痛を緩和することが想定される。任意選択で、本明細書において記載される医薬組成物の使用は、子宮内膜症によって誘発される疼痛を緩和することが想定される。
【0033】
本明細書において使用される「子宮内膜症」は、正常に機能する子宮内膜組織が子宮の子宮内膜以外の体内の部位に、すなわち子宮腔外に存在する良性の(すなわち非悪性の)増殖性障害に関する。従って当業者が認識するように、子宮内膜症は子宮内膜癌とは別個の医学的状態である。子宮内膜癌は、本明細書において使用される用語「子宮内膜症」によって包含されない。子宮内膜症は、子宮の内側を覆っている細胞が、骨盤領域、腹膜表面、卵巣、靭帯、腸及び膀胱を含むことができる遠位部に着床した場合に発症するかもしれない。それゆえ、用語「子宮内膜症」は、外性子宮内膜症、子宮内膜腫、子宮仙骨靭帯以外の子宮内膜症結節、自己免疫性の子宮内膜症、軽度の子宮内膜症、中等度の子宮内膜症、重度の子宮内膜症、表層性(腹膜)子宮内膜症、深部(浸潤性)子宮内膜症及び卵巣子宮内膜症を含むが、これらに限定されない状態の任意の形態又は特定の分類を包含する。はっきりと明記されない限り、子宮内膜症という用語は、そのため、これらの状態のいずれかを記載するために本明細書において使用される。子宮内膜症と関連する疼痛を治療するための本開示の主題である組成物の有効性がまた、組成物が子宮内膜症それ自体を治療するのに有効であることをも本質的に暗示することは、当業者にさらに明白である。任意選択で、本明細書において記載される子宮内膜症と関連する疼痛の軽減は、そのため、同様に、子宮内膜症それ自体の治療を意味してもよい。
【0034】
「腺筋症」は、子宮の内層(子宮内膜)に類似する組織が子宮の筋肉壁(子宮筋層)の中に発育し始める場合のもの、すなわち、子宮筋の中に発育する子宮内膜様の組織である。腺筋症は、子宮を厚くし、肥大させ、時には、その普通のサイズの2倍又は3倍に及ぶ。腺筋症は、生理痛、血液の凝固及び腹痛/骨盤痛を有する重度又は遷延性月経出血を引き起こすことがある。腺筋症は、疼痛性月経痙攣(月経困難症)、重度月経出血(月経過多)、月経異常、重度の痙攣を有する又は有していない骨盤痛、性交時疼痛(性交疼痛症)、不妊性、子宮肥大、腹部における鼓脹又は膨満(腺筋症の腹部)を引き起こすかもしれない。腺筋症は、骨盤検査、経腟超音波検査及び磁気共鳴画像(MRI)スキャンなどの画像スキャンによって診断されてもよい。腺筋症は、通常、冒された子宮体部の部分に基づいて軽度、中等度、重度の腺筋症に分類される。限定ではなく例示によって、軽度の腺筋症は、約25%又はそれ以下の子宮体部の一部が冒されたものに相当する、中等度の腺筋症は、約25%~約50%の子宮体部の一部が冒されたものに相当する及び重度の腺筋症は、約50%超の子宮体部の一部が冒されたものに相当する。
【0035】
「子宮筋腫」は、多くの場合、出産可能な年齢の間に生じる子宮の非癌性増殖である。平滑筋腫又は筋腫とも言われるが、子宮筋腫は、子宮癌のリスクの増加と関連せず、癌を発症することはほとんどない。筋腫は、サイズにおいて、ヒトの眼によって検出不可能な小さい筋腫(seedling)から子宮を変形させ、肥大させることがある巨大腫瘤までの範囲にわたる。単発性筋腫又は多発性筋腫を有することが考えられる。極端な場合、多発性筋腫は、子宮が胸郭に達するほどにまで子宮を大きくすることがあり、体重を増やすことがある。
【0036】
筋腫は、骨盤検査又は出生前超音波検査の間に診断することができる。子宮筋腫の最も共通する症状は、重度月経出血、1週間超続く月経期、骨盤圧迫感又は骨盤痛、頻尿、膀胱を空にすることが困難、便秘及び背部痛又は下肢痛である。筋腫は、通常、それらの部位によって分類される。筋層内筋腫は、子宮壁の筋肉内で発育する。粘膜下筋腫は、子宮腔に突出する。漿膜下筋腫は、子宮の外側に突き出る。加えて、茎状の構造による子宮壁への付着を特徴とする有茎性子宮筋腫が、記載されている。子宮筋腫についてのより特定の分類法は、FIGO(国際産婦人科連合)分類システムなどの当技術分野における刊行物によって当業者に入手可能である(非特許文献7)。これらの様々な子宮筋腫のタイプのそれぞれは、本発明に関して想定される。当業者は、子宮内膜症が月経困難症と、特に原発性月経困難症と明確に区別可能である医学的状態であることをさらに認識する。原発性月経困難症と関連する身体所見がないこと及び原発性月経困難症がいかなる臨床検査値異常とも画像検査での異常所見とも関連しないことを強調することは、重要である。それゆえ、医師は、原発性月経困難症において存在しない、子宮内膜症における被験者の子宮腔を除く子宮内膜組織の存在により、子宮内膜症を原発性月経困難症と容易に区別することができる(例えば(非特許文献8))。
【0037】
子宮内膜症は、重症度、程度、部位又はその任意の組み合わせに従って分類されてもよい。子宮内膜症の様々なステージが、明記されてもよく(すなわちステージI~IV)、それらの部位は、子宮内膜症組織の外科的除去並びにプロゲスチン、経口避妊薬及びGnRHアンタゴニストを含むホルモン療法を含んでいてもよい適切な治療レジメンを決定するのに重要である。それゆえ、本開示によって想定されるように、個人は、ステージ1又はステージ2の子宮内膜症を有するとして識別されていてもよい。ステージ1の(又は軽微な)子宮内膜症は、被験者が少数の(比較的小さな)着床、小さな創傷及び/又は病変によって特徴づけられる疾患のステージを示す。前記着床は、器官又は骨盤若しくは腹部の内側を覆っている組織上に又は中に見つけられてもよく、瘢痕組織はほとんどない。ステージ2の(又は軽度の)子宮内膜症は、通常、ステージ1と比較した場合に、より多くの着床を特徴とし、着床は、組織中のより深部に位置することがあり、任意選択で、瘢痕組織が存在することがある。代わりに、個人は、ステージ3又は4の子宮内膜症を有するとして識別されていてもよい。ステージ3の(又は中等度の)子宮内膜症は、通常、数多くの深部の着床を特徴とし、任意選択で、一方又は両方の卵巣上の小さな嚢胞及び瘢痕組織の厚い帯(すなわち癒着)を含む。ステージ4の(又は重度の)子宮内膜症は、通常、数多くの深部の着床及び厚い癒着並びに加えて、一方又は両方の卵巣上の大きな嚢胞を特徴とする。従って、被験者は、任意選択で、ステージ1、ステージ2、ステージ3若しくはステージ4の子宮内膜症又はその任意の組み合わせによって特徴づけられてもよい。
【0038】
代わりに、子宮内膜症は、当技術分野において報告される任意の他の分類法又は分類システムに従ってグループ分けされてもよい。限定ではなく例示によって、好適なシステムは、rASRM分類システム(非特許文献9)、子宮内膜症妊娠率(endometriosis fertility index)(EFI)(非特許文献10)及びENZIANスコア(非特許文献11)を含む。
【0039】
疼痛は、実在する又は知覚される組織損傷によって起き且つある自律神経性の、心理面の及び行動の反応によって表面化する、複雑な様々な不快な感覚性の、情動性の及び認知性の経験に起因する体性感覚のサブモダリティー(submodality)である(非特許文献12)。本開示の文脈内で使用される用語「疼痛」は、身体的な疼痛を指す。しかしながら、身体的な疼痛は、加えて、非身体的、すなわち精神的疼痛と関連する二次的な望ましくない情動性の状態を引き起こすかもしれないことが理解されるべきである。それゆえ、発明者は、本明細書において提示される組成物及び方法の広い適用性を想定するが、発明者は、加えて、本明細書においてさらに詳細に記載されるように、被験者の情動性の状態における改善を図ってもよい。詳細には、これに関しては、被験者の精神的幸福にとって害であり、多くの場合不利益であることが知られている慢性痛の軽減が該当する(非特許文献13)。
【0040】
表現「緩和する」は、当技術分野おいて知られているように任意の同義語と区別なく使用されてもよい。同義語の非限定的な例は、「軽減する」、「治療する」、「鎮静する」、「鎮める」、「和らげる」、「楽にする」、「弱める」、「低減する」、「小さくする」及び「減少させる」を含む。これらの用語のそれぞれは、すでに発症しており、(臨床)症状発現に至っている子宮内膜症と関連する疼痛の治療的処置及び予防的又は防止的対策の両方と解釈されるべきであり、治療のゴールは、子宮内膜症と関連する疼痛の出現、発症及び進行を予防することなど、望まれない苦痛の発生の可能性を予防する、小さくする又は低減することである。有益な又は所望される臨床結果は、限定されるものではないが、子宮内膜症と関連する又は子宮内膜症によって誘発される疼痛の程度の減少(すなわち重症度における低減)、前記疼痛の安定化(すなわち悪化しない)、子宮内膜症と関連する疼痛の遅延又は緩徐化及びその他同種のものを含んでいてもよい。本発明に関して使用される「予防」又は「予防する」は、被験者における状態像又は疾患像の現れの回避、すなわち防止的対策又は予防的対策の確立を指す。防止的治療は、目的が、被験者の体又はその要素が、本開示の子宮内膜症と関連する疼痛に関して、望まれない生理的な又は心理面の変化といった症状(の悪化)を示すのを避けることである治療を指す。本明細書において使用されるように、用語「治療的処置」又は「療法」及びその他同種のものは、目的が、子宮内膜症と関連する疼痛の知覚をそれほど重度ではない状態(例えば寛解などのより所望される状態に若しくはさらにその正常な、健康な状態(すなわち疼痛の感覚がない)へ変えること、前記望まれない生理的な状態に保つこと(すなわち疼痛が悪化しない)(例えば安定化)又は疼痛のより重度な若しくはより悪い知覚への進行を減速させることである治療を指す。特定の実施形態において、測定可能に小さくすることは、測定可能なマーカー又は症状における任意の統計学的に有意な減退を含む。本明細書において使用される統計学的に有意なは、当業者が認識するように統計解析において一般に許容されるカットオフスコアである0.05未満のp値を指す。
【0041】
用語「医薬製剤」、「医薬組成物」又は「医薬調製物」は、本明細書において区別なく使用されてもよい。同様に、用語「製剤」、「組成物」又は「調製物」は、本明細書において区別なく使用されてもよい。本明細書の全体にわたって、本明細書において言及される絶対的な分量は、特にはっきりと表明されない限り、1回の投与用量において存在する量に相当する。任意選択で、エステトロール及びドロスピレノンは、組成物の唯一の(すなわち単一の、単独の)薬学的に活性な構成成分の一部分である。本開示の全体にわたって「医薬活性剤」と区別なく使用される用語「薬学的に活性な構成成分」は、世界保健機構による用語の定義に従って解釈されるべきである:「最終医薬製品(FPP)において使用される物質は、薬理活性を見せるか又は疾患の診断、治癒、鎮静、治療若しくは予防において直接的な効果を有する又は人間における生理機能を修復する、修正する若しくは調整することにおいて直接的な効果を有することが意図される。
【0042】
本明細書において使用される用語「被験者」又は「患者」は、女性ヒト被験者、好ましくは、生殖年齢の女性被験者を指す。代わりに、閉経期前後及び/又は閉経後の女性被験者もまた、想定される。本明細書において想定される女性被験者は、子宮内膜症に関連する疼痛を緩和するための治療の必要がある又はその必要があるとみなされる或いは任意選択で例えば生殖年齢などの人生の特定のステージに入ること又は例えば母、祖母若しくはきょうだいなどの近い親族における子宮内膜症を考慮して遠くない将来の時点においてこのような治療の必要があると予測される被験者であってもよい。任意選択で、被験者は、約12~約95歳の、好ましくは約14~約80歳の、より好ましくは約16~約70歳の、最も好ましくは約18~約60歳の女性被験者である。任意選択で、女性被験者は、約60歳又はそれより若い被験者、好ましくは約55歳又はそれより若い被験者、好ましくは約50歳又はそれより若い被験者、好ましくは約45歳又はそれより若い被験者、好ましくは約40歳又はそれより若い被験者、好ましくは約35歳又はそれより若い被験者、好ましくは約30歳又はそれより若い被験者、好ましくは約25歳又はそれより若い被験者、好ましくは約20歳又はそれより若い被験者である。最も好ましくは、女性被験者は、約16~約25歳の被験者である。
【0043】
本発明のさらなる態様は、骨盤痛を患っている被験者を治療するのに使用するための約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物に関する。本明細書において使用される「骨盤痛」は、骨盤領域における疼痛を指す。言い換えれば、本発明は、骨盤痛を患っている被験者を治療するための医薬の製造のための約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の使用に関する。さらに言い換えれば、本発明は、骨盤痛を患っている被験者を治療するための方法であって、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の前記被験者への投与を含む方法に関する。任意選択で、骨盤痛は、社会における被験者の正常な(すなわち健康な)機能を制約する重症度を特徴とする(例えば学校及び/又は仕事の不参加)。任意選択で、骨盤痛は、慢性骨盤症候群であると診断される又は考えられる(すなわち6ヵ月以上続き且つ被験者の機能を制約する重症度の骨盤痛)。
【0044】
さらなる態様において、本発明は、被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するのに使用するための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物であって、使用は、患者が約40mmを超えるVASスコアによって定義される投与より前の骨盤痛を有するかどうかを決定するステップを含む医薬組成物に関する。言い換えれば、本発明は、被験者における子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するための医薬の製造のための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む組成物の使用であって、使用は、患者が約40mmを超えるVASスコアによって定義されるように投与より前の骨盤痛を有するかどうかを決定するステップを含む使用に関する。好ましくは、骨盤痛は、50mmを超えるVASスコアによって定義される。より好ましくは、骨盤痛は、約70mmを超える、さらにより好ましくは約80mmを超える、最も好ましくは約90mmを超えるVASスコアによって定義される。その代わりに、骨盤痛は、40mm~100mm、50mm~80mm、60mm~80mm、40mm~70mm又は60mm~90mmのVASスコアによって定義されてもよい。
【0045】
「VASスコア」と略される用語「ビジュアルアナログスケールスコア」は、広く許容される疼痛採点スケールを指す(1921年にHayes及びPattersonによって最初に記載された)。典型的なVASにおいて、疼痛スコアは、「疼痛なし」の終点と患者の印との間の10cmの線上の距離(mm)を測定することによって決定され、0~100のスコアの範囲を提供する。スコアが高いほど、大きな疼痛強度を示す。通常、以下の群の疼痛強度が形成された:疼痛なし(0~4mm)、軽度の疼痛(5~44mm)、中等度の疼痛(45~74mm)及び重度の疼痛(75~100mm)。様々なVAS体系、構成、向き及び応答の選択肢が記載されており、当業者の知識の範囲内にある(例えば(非特許文献14)において概説される)。使用される特定のVASスコアリングシステムは、そのため、本発明について特に限定されない。限定ではなく例示によって、VASは、中央点、目盛り及び/又は数を有する数値採点スケール;曲線アナログスケール(curvilinear analog scale)、互いに等しい距離に配置された円からなるボックススケール(box-scale)並びに図式採点スケール(graphic rating scale)として提示することができる。用紙又は電子ディスプレイ上のスケールのあらゆる向きが、想定される。代替の疼痛採点スケールもまた、本開示によって想定される。限定ではなく例示によって、これらは、数的採点スケール(NR-11)、スタンフォード疼痛スケール、ビジュアル採点スケール(VRS)又はビジュアル数的スケールを含む。疼痛測定機器及び手法のより広い概念は、当技術分野において詳細に記載されており(例えば(非特許文献15)において)、それぞれ、被験者における疼痛の同等のレベルに相応するそれぞれのスケール上に値を有する。任意選択で、被験者は、1~10、2~9、3~7又は4~6のNR-11スコアを特徴とする被験者であってもよい。代わりに、被験者は、1~3(すなわち軽度の疼痛)、4~6(すなわち中等度の疼痛)又は7~10(すなわち重度の疼痛)のスタンフォード疼痛スケールスコアを特徴とする被験者であってもよい。本開示に関して、子宮内膜症に関連する疼痛は、好ましくは、当技術分野において判定され且つ推奨されたように、VASスケールによって表現される(例えば非特許文献16)。当業者は、様々な疼痛スケールの間で報告された疼痛の程度を比較することができる。限定ではなく例示によって、子宮内膜症に関して、0のNRS値は、「疼痛なし」のVRS指標に相当し、1~3のNRS値は、「軽度の疼痛」のVRS指標に相当し、4~6のNRS値は、「重度の疼痛」のVRS指標に相当し、7~10のNRS値は、「重度の疼痛」のVRS指標に相当することが当技術分野おいて通常許容される。同様に、約0mmのVASスコアは、「疼痛なし」のVRS指標に相当し、約100mmのVASスコアは、「想像できる最悪の疼痛」のVRS指標に相当する(非特許文献16)。
【0046】
被験者における疼痛は、非消退出血期の間にVAS疼痛スコアを使用して測定されてもよい。このような実施形態において、被験者における疼痛は、消退出血(すなわち予定される出血/微量出血(spotting)エピソード)がないことを特徴とする時間枠においてVAS疼痛スコアを使用して測定される。任意選択で、被験者における疼痛は、消退出血の停止の少なくとも1週間、少なくとも2週間又は少なくとも3週間後の時点でVAS疼痛スコアを使用して測定される。任意選択で、被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm又は約90mmを超えるVASスコアによって定義されるような疼痛を有する。代わりに、被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm又は約90mmを超えるVASスコアによって定義されるような骨盤痛を有する。さらに代わりに、被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm又は約90mmを超えるVASスコアを有する子宮内膜症と関連する骨盤痛を患っていてもよい。
【0047】
本明細書において使用される「消退出血」は、ホルモン避妊薬についての典型的な投薬スケジュールのホルモンフリーの休薬期間の一部分の間に起こる膣出血である。本発明による組成物は、非消退出血期の間に被験者における疼痛を緩和するのに特に適している。いくつかの実施形態において、前記疼痛は、消退出血期と関連しない又は言い換えると、25日目の前に起こる疼痛に関する(25日目は、典型的なホルモン避妊薬治療スケジュールにおけるホルモンフリーの休薬期間の第1日目に相当する)。消退出血は、通常26日目頃に始まる。好ましい実施形態において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24日目のいずれかに起こる疼痛に関する。
【0048】
消退出血期又は予定される出血により、25日目より前に始まり、予定される出血期まで続く任意の出血/微量出血を含む25日目(ホルモンフリーの休薬期間の1日目)からその後のサイクルの4日目までの出血/微量出血又は予定される出血期に始まったが、4日目の後も続いた出血/微量出血を意味する。非消退出血期は、逆に、消退出血期又は予定される出血と異なるサイクルの日を指す。パンティーライナーを含む生理用品の新たな使用を必要としなかった軽微な膣の失血と称される微量出血及び/又はタンポン、パッド若しくはパンティーライナーによる生理用品の使用を必要とした膣の失血と称される出血はまた、非消退出血期の間にも起こることがある。2日の出血/微量出血のない日によってどちらの端も境界が定められる1日以上の連続する出血/微量出血日を意味する出血/微量出血のエピソードさえ、非消退出血期の間に起こることがある。予定外の出血/微量出血は、予定される出血の基準を満たさない任意の出血/微量出血を指す。出血及び/又は微量出血が消退出血期又は予定される出血期を除いて起こる場合であっても、予定される出血期外の期間はなお、出血及び/又は微量出血があるエピソードにおいて起こる場合であっても、非消退出血期と本明細書において称される。
【0049】
出血パターンの解析のために使用される定義:
【0050】
【0051】
従って、被験者は、子宮内膜症と診断された、子宮内膜症を有すると考えられた又は子宮内膜症(に関連する疼痛)を発症すると予測された被験者であってもよい。任意選択で、被験者は、腺筋症及び/又は子宮筋腫と診断されてもよい、有すると考えられてもよい又は発症すると予測されてもよい。被験者は、子宮内膜症に関連する及び/又はそれによって誘発される疼痛を発症することが予知されてもよい。「と診断される」、「診断すること」及び「診断」は、症状及び徴候に基づいて並びに/又は種々の診断法の結果から被験者において疾患、状態又は(有害な副作用)を認定する、決める又は結論づけるプロセスを示す。子宮内膜症及び/又は子宮内膜症に関連する疼痛の「診断」は、詳細には、被験者が、熟練の医師による、それぞれ子宮内膜症又は子宮内膜症に関連する疼痛を経験する高い又はさらに確かな見込みを有することを意味してもよい。被験者は、このようなものによく似ている1つ以上の従来の症状又は徴候を見せるにもかかわらず、このようなものを有しないと診断されてもよい。本発明に関する「予知すること」は、被験者における子宮内膜症に関連する及び/又はそれによって誘発される疼痛の進行に対する予想並びに被験者における子宮内膜症に関連する及び/又はそれによって誘発される前記疼痛の回復及び/又はそれを経験する重症度又はその寛解の見通し(例えば見込み、期間及び/又は程度)を示す。この用語は、好ましくは所与の時限内にこのようなものをさらに悪化させない又は増悪しない予想を包含してもよい。
【0052】
任意選択で、被験者は、開腹術又は腹腔鏡検査によって、子宮内膜症並びに任意選択で腺筋症及び/又は子宮筋腫を有すると診断される被験者である。当業者は、用語「開腹術」及び「腹腔鏡検査」に精通しており、これらは、それぞれ、かなりのサイズの外科的切開を腹腔に入れる手順並びに小さな切開を入れる手順(当技術分野において「キーホール切開」及び「低侵襲手術」とも示される)を指す。被験者は、卵巣チョコレート嚢胞を有すると診断される被験者であってもよい。用語「卵巣子宮内膜腫」と当技術分野の全体にわたって区別なく示される用語「卵巣チョコレート嚢胞」は、子宮の内層(すなわち子宮内膜)において存在する液により満たされた卵巣の包又は嚢を指すことが通常認識される。卵巣チョコレート嚢胞は、当技術分野において詳細に記載されるように、経腟超音波検査(TVUS)及び/又は磁気共鳴画像法(MRI)によって検出されていてもよい(例えば(非特許文献17))。
【0053】
前述に関して、「予測すること」又は「予測」は、通常、子宮内膜症に関連する及び/又はそれによって誘発される疼痛の臨床症状発現を(今のところ)示さない又は限定的に示す被験者における疾患又は状態の表明、宣言、指摘又は予報を指す。被験者における前記疼痛の発症の予測は、前記被験者が、例えば1つ以上の子宮内膜症に関連する症状の診断後のある時限内に前記臨床症状発現を発症する見込み、可能性又はリスクを示してもよい。前記見込み、可能性又はリスクは、任意の好適な定性的な又は定量的な表現として示されてもよく、定量的な表現の非限定的な例は、絶対値、範囲又は統計を含む。代わりに、見込み、可能性又はリスクは、好適な対照被験者又は対照被験者の群と比較して示されてもよい(すなわち対照被験者集団(例えば、一般の、正常な又は健康な被験者又は被験者集団と比較してなど))。そのため、任意の見込み、可能性又はリスクは、有利には、好適な対照被験者若しくは被験者集団と比較して又は対照被験者(集団)若しくはテキストの基準値から導き出されてもよいベースライン値と比較して、増加する又は低下する、上方制御される又は下方制御されると、倍数で増加する又は倍数で低下すると示されてもよい。被験者の集団がベースライン値を定めるために使用される場合、前記ベースライン値は、集団の1つ以上の値(パラメータ)の中央のサイズ、前記値の平均値又は中央値などであることは明白である。当業者は、モニタリングが、本開示によって記載されるものなどの被験者の内科的治療の過程において適用されてもよいことをさらに認識する。このようなモニタリングは、例えば、患者が制御された臨床環境若しくは保健活動環境から出てもよいかどうか、治療若しくは療法における変更が必要であるかどうか又は入院を必要とするかどうかの意思決定において含まれてもよい。
【0054】
本開示の主題である医薬組成物は、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む。これらの範囲がエステトロール及びドロスピレノンの両方の薬学的に有効な量に相応することが認識されるべきである。当業者は、「分量」、「量」及び「レベル」などの用語が同義語であり、当技術分野において十分に定義された意味を有するという認識がある。任意選択で、本開示の主題である医薬組成物は、約14mg~約16mgのエステトロール及び約2mg~約3mgのドロスピレノンを含む。任意選択で、本開示の主題である医薬組成物は、約14.5mg~約15.5mgのエステトロール及び約2mg~約3mgのドロスピレノンを含む。任意選択で、本開示の主題である医薬組成物は、約15mgのエステトロール及び約3mgのドロスピレノンを含む。好ましくは、本開示の主題である医薬組成物は、約15mgのエステトロール一水和物及び約3mgのドロスピレノンを含む。
【0055】
本明細書において記載される組成物のそれぞれは、代わりに、最終的に被験者に投与されるエステトロール(一水和物)及びドロスピレノンの毎日の量に関して記載されていてもよい。従って、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含むと表現される任意の組成物は、同様に、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンと同等の毎日の量に相当する量で投与される組成物であってもよい。それゆえ、表現「...と同等の毎日の量で投与される...」は、被験者に前記量のエステトロール及びドロスピレノンを投与していたであろう状況と同じ生理的な及び/又は心理面の効果を実現する、物質、本発明に関して、エステトロール及びドロスピレノンの投与を示す。加えて、用語「毎日の」は、詳述される量が、1日当たりに被験者に投与される累積量であることを示す。当業者は、本開示の主題の組成物が1日当たりに(すなわち毎日)1回だけ投与される場合、その単一の投与において投与されるエストロゲンの量は、毎日の用量であることを理解する。代わりに、当業者は、組成物が1日当たりに1回超(例えば2回又は3回)投与される場合、毎日の量は、24時間の総時間枠内のそれぞれの投与イベントの間に投与されるすべてのエステトロール及びすべてのドロスピレノンの(独立した)合計に相当することを認識する。エステトロール及びドロスピレノンの毎日の量を立証することは、当業者の能力の範囲内である。
【0056】
本明細書において記載される医薬組成物は、1つ以上の投薬単位に製剤されてもよい。任意選択で、投薬単位は、毎日の投薬単位である。任意選択で、投薬単位は、経口投薬単位である。さらなる実施形態において、投薬単位は、毎日の経口投薬単位である。組成物及び投薬単位のいずれも、好適には、1つ以上の薬学的に許容される添加剤を含有してもよいことは明白である。本明細書において使用される用語「薬学的に許容される」は、当技術分野で一貫しており、医薬組成物の他の構成成分と適合し且つそのレシピエントに対して有毒ではないことを意味する。
【0057】
本発明の主題である組成物は、経口投薬単位としての製剤に特に適している。しかしながら、これらに限定されないが、舌下、頬側又は唇の下の投薬単位などの代替の投与方法に向けて製剤される投薬単位が、同様に想定される。
【0058】
「投薬単位」は、本明細書において「剤形」と区別なく使用され、被験者への投与に好適である物理的な調整物(preparate)であり、投与の前に調整物を適応させる必要を伴わない、すなわち最終的な有益な製品を示す。投薬単位は、そのため、そのまま投与することができる組成物を示す。この用語は、投与の頻度などの治療の任意の他の詳細及び/又は投薬単位の任意の特性(味、外観、サイズなど)について限定されない。本発明に関して、それぞれの投薬単位は、好ましくは、薬学的に許容される構成成分として、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンと同等の量のエステトロール及びドロスピレノンを含む。薬学的に許容される構成成分としてのエステトロール及びドロスピレノンの存在は、1つ以上のさらなる薬学的に活性な構成成分の存在を除外しない。限定ではなく例示によって、さらなる薬学的に許容される構成成分は、鎮痛薬、すなわち被験者において鎮痛を達成することができる構成成分であってもよい。用語「鎮痛薬」は、「痛み止め」又は「鎮痛剤」などの同義語と区別なく使用されてもよい。任意選択で、鎮痛薬は、アセトアミノフェン(すなわちパラセタモール)、非ステロイド性炎症薬(NSAID)、オピオイド、筋弛緩薬、抗不安剤、抗うつ薬、抗痙攣薬及びコルチコステロイドからなる群から選択されてもよい。
【0059】
本明細書において使用される用語「薬学的に許容される」は、当技術分野で一貫しており、医薬組成物の他の構成成分と適合し且つそのレシピエントに対して有毒ではないことを意味する。非限定的な好適な添加剤は、本開示の全体にわたってさらに記載される。
【0060】
本明細書に関して、用語「経口投薬単位」は、口腔による被験者への投与が意図される及び/又はそれに好適である任意の投薬単位を包含する。投薬単位の(即時の又は即時に近い)摂取は、本発明の実施形態として想定されるが、決して、本発明の範囲を限定しない。
【0061】
本明細書において記載される経口投薬単位は、錠剤、カプセル、カシェ剤、ペレット、ピル、粉末剤若しくは顆粒剤又はその任意の組み合わせなどの固形又は半固形投薬単位であってもよい。例えば、本発明の主題である経口投薬単位は、エステトロールを含有する顆粒剤及びドロスピレノンを含む錠剤又はエステトロールを含有する顆粒剤及びドロスピレノンを含むカプセルであってもよい。任意選択で、ドロスピレノンは、エステトロールを含有する顆粒剤中に含まれてもよい。代わりに、ドロスピレノンは、別個の顆粒剤、すなわちエステトロールを含まない顆粒剤中に含まれてもよい。用語「固形又は半固形投薬単位」はまた、エステトロール及びドロスピレノンが溶解している又は分散している液体、例えば油を含有するカプセルも包含する。
【0062】
錠剤並びに等価な固形及び半固形投薬単位は、好適には、バインダー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)、他のセルロース系材料及びデンプン)、希釈剤(例えばラクトース(一水和物)及び他の糖、デンプン(例えばトウモロコシデンプン)、リン酸二カルシウム並びにセルロース系材料)、崩壊剤(例えばデンプンポリマー及びセルロース系材料(例えばデンプングリコール酸ナトリウム)並びに平滑剤(例えばステアリン酸(マグネシウム)及びタルク)などの材料を含有することができる。これらの錠剤及び等価な固形投薬単位は、当技術分野において詳細に記載されている任意の好適な手段によって調製されてもよい(例えば(非特許文献18))。投薬単位を製造する場合のエステトロール及びドロスピレノンの処理方法の非限定的な例は、例えば水溶液若しくは有機溶液を使用する湿式造粒法、直打、3Dプリンティング又は有機若しくは無機溶媒を使用してエステトロールにより及び任意選択でドロスピレノンにより担体粒子をコーティングすることによるもの(同じ担体粒子若しくは別個の粒子に)を含む。
【0063】
任意選択で、添加剤は、有効成分である添加剤、バインダー添加剤、担体添加剤、コプロセス添加剤、コーティング系添加剤、放出制御添加剤、希釈用添加剤、崩壊添加剤、乾燥粉末吸入添加剤、発泡系添加剤、乳化添加剤、脂質添加剤、滑剤添加剤、放出調節添加剤、浸透促進添加剤、透過促進添加剤、pH調節添加剤、可塑添加剤、保存添加剤、保存添加剤、可溶化添加剤、溶媒添加剤、徐放性添加剤、甘味添加剤、味を付ける添加剤(taste making excipient)、増粘添加剤、粘度調節添加剤、増量添加剤、圧縮添加剤、乾式造粒添加剤、ホットメルトエクストルージョン添加剤、湿式造粒添加剤、急速離型添加剤、バイオアベイラビリティ増加添加剤、分散添加剤、溶解促進添加剤、安定化添加剤、カプセル充填添加剤又はこの任意の組み合わせであってもよい。当業者は、医薬活性物質についてのこのような媒体及び薬剤の使用が、慣例であり、これらの添加剤の組み込みが、それゆえ、当技術分野おいてよく知られているという認識がある。使用される構成成分のすべてが、最終医薬組成物又は投薬単位中に含有される濃度において無毒性でなければならず、1つ以上の薬学的に活性な構成成分、本発明に関して少なくともエステトロール及びドロスピレノンの活性に負に干渉するべきでないことは明白である。
【0064】
上記に記載されるように、組成物、それゆえ(経口)投薬単位は、1つ以上の好適な添加剤を含んでいてもよい。用語「添加剤」は、任意の溶媒、希釈剤、緩衝液(中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水又は任意選択でTris-HCl、酢酸若しくはリン酸緩衝液を含むがこれらに限定されない)、可溶化剤(Tween 80又はPolysorbate 80を含むがこれらに限定されない)、コロイド、分散媒、ビヒクル、増量剤、キレート剤(EDTA又はグルタチオンを含むが、これらに限定されない)、アミノ酸、タンパク質、錠剤分解物質、バインダー、潤滑剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香料、香味料(aromatiser)、増粘剤、デポ効果を達成するのに好適な任意の薬剤、コーティング、抗真菌剤、任意の防腐剤(Thimerosal(商標)、塩化ベンザルコニウム又はベンジルアルコールを含むが、これらに限定されない)、酸化防止剤(アスコルビン酸、二亜硫酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない)、等張化剤、吸収遅延剤、補助剤、充填剤(ラクトース、マンニトールを含むが、これらに限定されない)及び本発明の主題である経口投薬単位の任意のパラメータ若しくは特性に影響を与えてもよい任意の他の構成成分を示す「担体」であってもよい。当業者は、1つ以上の添加剤が医薬成分(本開示に関して、少なくともエステトロール及びドロスピレノン)と適合しており且つ薬学的に許容される製剤が得られるという条件で、1つ以上の添加剤が組成物又は経口投薬単位において使用されてもよいことを理解する。
【0065】
任意選択で、エステトロール及びドロスピレノンに加えて、増量剤、超崩壊剤(superdisintegrant)、バインダー及び錠剤分解物質、さらなるバインダー並びに潤滑剤を含む組成物は、錠剤中に含まれる。好ましい実施形態において、エステトロール及びドロスピレノン、ラクトース、デンプングリコール酸ナトリウム、トウモロコシデンプン/コーンスターチ、ポビドン並びにステアリン酸マグネシウムを含む組成物は、錠剤中に含まれる。好ましくは、エステトロール一水和物、ドロスピレノン、ラクトース一水和物、デンプングリコール酸ナトリウムタイプA、トウモロコシデンプン、ポビドンK30及びステアリン酸マグネシウムを含む組成物は、錠剤中に含まれる。任意選択で、錠剤は、コーティング剤によりコーティングされる。さらなる任意選択の実施形態において、コーティング剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、二酸化チタン、赤色酸化鉱、水素添加綿実油及びタルクを含む。限定ではなく例示によって、好適なコーティング剤は、AquaPolish Pink 044.08 MSである。当業者は、経口投薬単位などの任意の投薬単位中に存在する任意の添加剤が、Ph.Eur.及びUSP-NF.などの医薬品グレードの業界品質基準を遵守しなければならないことをさらに認識する。
【0066】
(固形)経口投薬単位は、好適であってもよい又はさらに具体的には、舌下、頬側及び/若しくは唇の下の投与のために製造されてもよい。投薬単位は、唾液などの水性溶媒と接触した場合に、エステトロール及びドロスピレノンを速やかに放出することができてもよい。それゆえ、このような実施形態において、固形投薬単位は、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは約80%超のエステトロール及び/又はドロスピレノンを、約5分以内に、好ましくは約3分以内に、より好ましくは約2.5分以内に、より好ましくは約90秒以内に、最も好ましくは約90秒以内に放出する口内分散性の投薬単位である。投薬単位は、口内分散性の投薬単位であってもよい。このような実施形態において、投薬単位は、口腔中で、投薬単位が唾液と接触すると速やかに崩壊し、投薬単位が口腔の粘膜内層を通して吸収されるように、唾液中にエステトロール及び/又はドロスピレノンを分散する。当業者は、投薬単位からのエステトロール及びドロスピレノンなどの薬学的に活性な構成成分の放出速度を決定するための方法について認識がある。当技術分野おいて通常許容される非限定的な標準検査は、例えば崩壊媒体として水を使用するPh.Eur.2.9.1(「Disintegration of tablets and capsules」)及びUSP <701>(「Disintegration」)による崩壊検査を含む。
【0067】
本明細書において使用される用語「舌下」は、エステトロール及び/又はドロスピレノン(投薬単位中に含まれる)が舌の下の組織を通して血液中に拡散する薬理学的な投与のルートを指す。
【0068】
本明細書において使用される用語「頬側」は、エステトロール及び/又はドロスピレノン(投薬単位中に含まれる)が、頬の内層(頬側粘膜)と歯/歯肉との間の口の内部の領域である頬前庭の組織を通して血液中に拡散する薬理学的な投与のルートを指す。
【0069】
本明細書において使用される用語「唇の下」は、エステトロール及び/又はドロスピレノン(投薬単位中に含まれる)が唇と歯肉との間に置かれる薬理学的な投与のルートを指す。
【0070】
ある特定の実施形態において、エステトロール及びドロスピレノンは、硬カプセル、軟カプセル、錠剤、光沢をつけた(lacquered)錠剤若しくは糖衣錠などのコーティングされた錠剤、顆粒剤、水性又は油性液剤、シロップ剤、エマルジョン、懸濁剤、軟膏、ペースト、ローション、ゲル、吸入剤又は坐剤を含むが、これらに限定されない固形投薬単位に製剤される。有効量のエステトロール及びドロスピレノンが経口投与によって投与される実施形態において、本発明による経口投薬単位は、好ましくは、錠剤、カプセル、カシェ剤、ペレット、ピル、粉末剤及び顆粒剤などの固形又は半固形投薬単位である。用語「固形又は半固形投薬単位」はまた、本発明のエステトロール及びドロスピレノンが溶解している又は分散している液体、例えば油を含有するカプセルも包含する。錠剤並びに等価な固形及び半固形投薬単位は、好適には、バインダー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、他のセルロース系材料及びデンプン)、希釈剤(例えばラクトース及び他の糖、デンプン、リン酸二カルシウム並びにセルロース系材料)、崩壊剤(例えばデンプンポリマー及びセルロース系材料)並びに平滑剤(例えばステアリン酸及びタルク)などの材料を含有することができる。これらの錠剤及び等価な固形投薬単位は、当技術分野において詳細に記載されている任意の好適な手段によって調製されてもよい(例えば(非特許文献18))。投薬単位を製造する場合のエステトロール及びドロスピレノンを処理する非限定的な例は、例えば水溶液若しくは有機溶液を使用する湿式造粒法、直打、3Dプリンティング又は有機若しくは無機溶媒を使用してエステトロール及びドロスピレノンにより担体粒子をコーティングすることによるものを含む。
【0071】
限定ではなく例示によって、本開示の主題である組成物を含む経口投薬単位は、湿式造粒法を含むプロセスによって製造されてもよい。当業者は、湿式造粒プロセスが、好適には、活性な構成成分及び添加剤を投入し且つふるい分けるステップ、ふるい分けた材料をプロセッサーにおいてブレンドするステップ、造粒ステップ、顆粒剤を選別する(すなわちさらにふるい分ける)ステップ並びにふるい分けた顆粒剤を1つ以上のさらなる添加剤と1回以上ブレンドするステップの連続的なステップを含んでいてもよいことを認識する。その後、所望される場合、最終投薬単位を考慮して、顆粒剤は、例えば錠剤に圧縮されてもよく、任意選択で、前記錠剤のコーティングステップを含む。
【0072】
エステトロールは、粒子として組成物及び最終投薬単位中に含まれてもよい。任意選択で、エステトロール粒子は、約0.5μm~約10μm、好ましくは約1μm~約5μm、より好ましくは約1.5μm~約2.5μmのD(10)を有する。任意選択で、エステトロール粒子は、20μm未満又は好ましくは12μm未満、より好ましくは約5μm~約15μm、好ましくは約6μm~約12μm、より好ましくは約7μm~約11μm、最も好ましくは約8μm~約12μmのD(50)を有する。任意選択で、エステトロール粒子は、約15μm~約50μm、好ましくは約20μm~約30μm、より好ましくは約22μm~約28μmのD(90)を有する。任意選択で、エステトロール粒子は、より大きな顆粒にさらに造粒される。ある特定の実施形態において、エステトロールは、約100μm~約4000μm、好ましくは約200μm~約1000μm、より好ましくは約200μm~約600μmの体積中位径を有する多数のより大きな顆粒として組成物中に含まれる。
【0073】
多数の測定技術は、粒径分布値を決定するために利用可能であり、ふるい分析、風ふるい法、画像解析、光学的計測、電気抵抗法、沈降法、レーザー回折法、レーザーオブスキュレーション(laser obscuration)、推移の時間(time of transition)、音響分光法、超音波減衰顕微鏡法(ultrasound attenuation microscopy)、カスケードインパクターによるもの又はその任意の組み合わせを含む。特にはっきりと述べられない限り、本開示の粒径分布値は、レーザー回折分析によって得られる。レーザー回折分析は、レーザー回折分光法によって当技術分野において区別なく注解されるが、対象物を通過するレーザー回折パターンの観察に基づく粒子測定技術である。レーザー回折は、粒子の幾何学的寸法を測定することができる。レーザー回折プロトコルは、当技術分野において何度も詳細に記載されている(例えば、(非特許文献19)において粒子解析に関して詳細に調べられるように)。
【0074】
子宮内膜症に関連する又は子宮内膜症によって誘発される疼痛は、骨盤における子宮腔を除く子宮内膜組織生着の結果であってもよく、任意選択で腺筋症及び子宮筋腫が併発している。本明細書において使用される「骨盤」は、当技術分野において一般に許容される定義に従って、すなわち腹部と大腿との間の胴の下部と解釈されるべきである。骨盤は、一般に骨盤骨として注解される、深く入り込んだ(embedded)骨格を含有する。同様に、当業者は、子宮腔が子宮の内部に関することを容易に認識する。子宮腔は、子宮体の内側の部分によって形成され、卵管が側面に位置する(内子宮口の境界(crest)は子宮頸管との連絡を可能にする)。任意選択で、疼痛は、結腸、腎臓、肝臓、膵臓及び肺を含むが、これらに限定されない遠位の(腹膜外の)部位における子宮内膜症に起因している。任意選択で、子宮内膜組織定着は、下記にさらに記載されるように、卵巣病変、腹膜病変、直腸腟病変又はその任意の組み合わせに至ってもよい。任意選択で、疼痛は、卵巣、卵管、しかるべき場所に子宮を保持する組織(靭帯)、子宮の外側表面、膣、頸部、外陰、腸、膀胱、直腸又はその任意の組み合わせに位置する子宮内膜組織生着に起因している。
【0075】
任意選択で、疼痛は、慢性骨盤痛、下腹部痛及び/若しくは腰痛などの骨盤痛、排便痛及び性交痛又はダグラス窩における子宮内膜の癒着によって引き起こされる疼痛からなる群から選択される疼痛である。本明細書において使用される「慢性骨盤痛」は、6ヵ月又はそれ以上の間続く骨盤領域における疼痛として定義される。慢性骨盤痛は、継続的又は定期の、任意選択で周期的であってもよく、これは、本発明の範囲を限定しない。本明細書において言及されるように、用語「直腸子宮窩」、「直腸膣窩」又は「クルドサック」によって区別なく示される「ダグラス窩」は、直腸と子宮の後壁との間の腹膜の伸張部分を指す。ダグラス窩は腹膜腔の最も深い場所であることが一般に知られている。
【0076】
本明細書において記載される使用のための組成物、使用及び方法は、それぞれ、子宮内膜症に関連する又はそれによって誘発される疼痛の著しい改善を、特に、少なくとも約40mm、少なくとも約50mm、少なくとも約60mm、少なくとも約70mmのVASスコアを特徴とする被験者においてもたらし、当技術分野において記載されるホルモン治療戦略と比較した場合に、明らかな改善を認めることができる。疼痛のこの改善を評価するための方法は、本発明を限定しない。任意選択で、改善は、当技術分野において詳細に記載されており、そのため当業者によく知られているClinician Global Impressions-Improvement Scale(CGI-Iスケール)によって測定される(例えば(非特許文献20))。CGI-Improvement(CGI-I)は、毎回評価され、患者は、薬物療法を始めた後に臨床医が診て、患者の全体的な臨床状態を薬物療法の使用を始めるちょうど1週間前(いわゆるベースライン来院)と比較する。以下の質問を、7ポイントスケールで採点する:「プロジェクトへの許可時の[薬物療法を始める前の]患者の状態と比較して、この患者の状態は、
1=治療の始めからかなり改善された;
2=とても改善された;
3=最小限であるが改善された;
4=ベースライン(治療の始め)から変化なし;
5=最小限であるが悪くなった;
6=とても悪くなった;
7=治療の始めからかなり悪くなった」。
【0077】
好ましい実施形態において、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約28%又は最も好ましくは少なくとも約28.9%又は約28.9%の患者は、組成物の投与の始まりより前の状況と比較した場合に改善を示す。代わりに、疼痛改善は、治療の始めから、3のCGI-Iに相当する「最小限であるが改善された」、好ましくは、2のCGI-Iに相当する「とても改善された」、最も好ましくは、1のCGI-Iに相当する「かなり改善された」であってもよい。CGI-Iスケールスコアリングは、これらに限定されないが、エチニルエストラジオール及びドロスピレノンを含む調製物、より詳細には、フレキシブルな延長周期経口避妊薬レジメンにおいて投与される固定用量配合錠中の20μgのエチニルエストラジオール及び3mgのドロスピレノンなどの知られている治療戦略と比較した場合に、ずいぶん改善される。任意選択で、「最小限であるが改善された又はそれ以上」(CGI-Iスコア1~3)に相当するCGI-Iスケールの改善は、被験者の少なくとも約75%において、好ましくは、被験者の少なくとも約77.5%において、より好ましくは、被験者の少なくとも約80%において、最も好ましくは、被験者の少なくとも約82%において得られる。
【0078】
代わりに、改善は、当業者に知られているPatient Global Impressions-Improvement Scale(PGI-Iスケール)によって測定されてもよい(例えば(非特許文献21))。改善は、少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約75.5%の患者において、組成物の投与の始まりより前の状況と比較して、「かろうじて満足している又はそれ以上」(PGI-Iスコア1~3)と段階評価される改善をもたらしてもよい。改善は、「著しい満足又はそれ以上」(PGI-Iスコア1及び2)と段階評価される改善を、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約24%の患者においてもたらしてもよい。代わりに、疼痛改善は、治療の初めから、3のPGI-Iに相当する「少し良くなった」、好ましくは、2のPGI-Iに相当する「とても良くなった」、最も好ましくは、1のPGI-Iに相当する「かなり良くなった」であってもよい。PGI-Iスケールスコアリングは、これらに限定されないが、エチニルエストラジオール及びドロスピレノンを含む調製物、より詳細には、フレキシブルな延長周期経口避妊薬レジメンにおいて投与される固定用量配合錠中の20μgのエチニルエストラジオール及び3mgのドロスピレノンなどの知られている治療戦略と比較した場合に、ずいぶん改善される。任意選択で、「かろうじて満足している又はそれ以上」(PGI-Iスコア1~3)に相当するPGI-Iスケールの改善は、被験者の少なくとも約67.5%において、好ましくは、被験者の少なくとも約70%において、より好ましくは、被験者の約72.5%において、最も好ましくは、被験者の少なくとも約75%において得られる。
【0079】
任意選択で、本明細書において記載される組成物及び方法の使用は、使用(すなわち治療)の始まりの前の時点と比較した場合に、被験者の生活の質において顕著な改善をもたらしてもよい。被験者の生活の質を判定する複数の検査方法、例えばQuality of Life Scale(QOLS)は、当技術分野おいて記載されている(非特許文献22)。それゆえ、被験者のQOLSによって測定される生活の質は、組成物の投与の始まりより前の前記被験者のQOLSスコアと比較した場合に、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%改善されてもよい。
【0080】
本明細書において記載される使用のための組成物、使用及び方法は、高い奏功者の割合によって特徴づけられる(一般集団の全体にわたって)。任意選択で、使用のための組成物、使用及び方法は、少なくとも約40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも約60%又は約70%の奏功者の割合をもたらす。奏功者の割合は、これらに限定されないが、エチニルエストラジオール及びドロスピレノンを含む調製物、より詳細には、フレキシブルな延長周期経口避妊薬レジメンにおいて投与される固定用量配合錠中の20μgのエチニルエストラジオール及び3mgのドロスピレノンなどの知られている治療戦略と比較した場合に、ずいぶん改善される。
【0081】
任意選択で、投薬単位は、継続的な投与スケジュールによって被験者に投与される。本明細書において使用される用語「継続的な」及び「継続的に」は、投薬単位は、(治療上)著しい中断もなく、比較的規則的な間隔で投与されることを意味する。当然、本発明の方法の全体的な効果に影響を及ぼさないちょっとした中断は、起こってもよく、実際、このような逸脱は、本発明によって包含される。好ましくは及びより算術的には、投与レジメンは、2回のその後の投与の間の最も長い休薬期間が平均の休薬期間の長さの3.5倍以下である場合、継続的であるとみなされる。さらにより好ましくは、前記最も長い休薬期間は、平均の休薬期間の長さの2.5倍以下、最も好ましくは1.5倍以下である。限定ではなく例示によって、本明細書において記載される治療戦略及び治療の方法は、好ましくは、少なくとも10日、好ましくは少なくとも20日の期間の間、エステトロール及びドロスピレノンの継続的な投与を用いる。
【0082】
好ましくは、本明細書において記載される医薬組成物は、21~28日の毎日の実薬投薬単位の投与など、21~28日の毎日の投与のサイクルにおいて使用される(すなわち周期的な投与スケジュール)。本明細書において記載される医薬組成物は、毎日の実薬投薬単位の相当量の投与による、21、22、23、24、25、26、27又は28日の毎日の投与のサイクルにおいて使用されてもよい。サイクルは、好ましくは、7、6、5又は4日間の投与なしの休薬期間をさらに含む。好ましくは、サイクルは、4日間の投与なしの休薬期間を含む。
【0083】
上記に示され、下記の実施例によって支持されるように、組成物の使用は、投与より前から第3の投与サイクルの後まで、好ましくは、投与より前から第2の投与サイクルの後まで、VASスコアにおける著しい低下をもたらす。1つの投与サイクルは、上記に記載されるように毎日の投与の1つの期間に相当し、上記に記載されるように投与なしの休薬期間により補完されることが理解される。任意選択で、使用は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%のVASスコアにおける低下を、投与より前から第3の投与サイクルの後までもたらす。好ましくは、使用は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%のVASスコアにおける低下を、投与より前から第2の投与サイクルの後までもたらす。任意選択で、使用は、第2の投与サイクルの後に約40mm未満の、好ましくは約30mm未満の、好ましくは約20mm未満の、最も好ましくは約15mm未満の又はさらに約10mm未満のVASスコアが、第3の投与サイクルの後に、好ましくは第2の投与サイクルの後に得られる程度まで、VASスコアにおける低下をもたらす。任意選択で、使用は、投与より前から第3の投与サイクルの後まで、少なくとも約10mm、好ましくは少なくとも約20mm、好ましくは少なくとも約30mm、好ましくは少なくとも約40mm、好ましくは少なくとも約50mm、好ましくは少なくとも約60mm、好ましくは少なくとも約70mmのVASスコアにおける低減をもたらす。
【0084】
上記に記載されるVASスコアにおける低下は、第2の又は第3の投与サイクルの後などのさらなる投与サイクルで維持される(すなわち、安定したスコア又は通常一定の低減したスコアで保たれる)。組成物の使用の疼痛低減、疼痛抑制効果は、従って、持続性の効果であり、経時的な有効性におけるいかなる減少もない。
【0085】
任意選択で、組成物の使用は、ダグラス硬結、子宮可動性の制限、骨盤圧痛の重症度、TVUS又はMRIによって評価される卵巣チョコレート嚢胞のサイズ及び卵巣チョコレート嚢胞の数の低減からなる群から選択される少なくとも1つのパラメータの改善をもたらす。好ましい実施形態において、これらのパラメータのそれぞれは、組成物の使用によって改善される。好ましくは、ダグラス硬結の重症度は、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%改善される。本明細書において使用される「硬結」は、本開示のダグラス窩に関して、体の軟組織の肥厚及び/又は硬化を指す。好ましくは、卵巣チョコレート嚢胞の長軸は、少なくとも約10mm、好ましくは少なくとも20mm、好ましくは少なくとも24.88mm低減する。好ましくは、卵巣チョコレート嚢胞の短軸は、少なくとも約10mm、好ましくは少なくとも20mm、好ましくは少なくとも26.24mm低減する。好ましくは、卵巣チョコレート嚢胞の体積は、少なくとも約10cm3、好ましくは少なくとも20cm3、好ましくは少なくとも30cm3、好ましくは少なくとも39.56cm3低減する。
【0086】
好ましい実施形態において、組成物の使用は、癌抗原125(CA125)の低下をもたらす。好ましくは、CA125血清レベルは、35U/ml未満まで低下している。「CA125」は、「MUC-16」又は「ムチン-16」として当技術分野において区別なく示されてもよく、ヒトにおいてMUC16遺伝子によってコードされる。
【0087】
本明細書において記載される使用のための組成物、使用及び方法は、エストロゲン及びドロスピレノン、より詳細には、フレキシブルな延長周期経口避妊薬レジメンにおいて投与される固定用量配合錠中の20μgのエチニルエストラジオール及び3mgのドロスピレノンの投与に頼る当技術分野において知られている治療戦略と比較した場合に、治療下で発現した有害事象(TEAE)の低い発生率によって特徴づけられる。TEAEは、被験者においてある特定の薬学的に活性な構成成分、組成物又は投薬単位の使用によって引き起こされる、前記被験者へのその投与の前には存在しなかった望ましくない事象であることが認識されるべきである。任意選択で、TEAEは、中間期出血、頭痛、悪心、重度月経出血からなる群から選択され、その任意の組み合わせを含む。好ましくは、すべてのTEAEの合計は、エストロゲン及びドロスピレノン、より詳細には、フレキシブルな延長周期経口避妊薬レジメンにおいて投与される固定用量配合錠中の20μgのエチニルエストラジオール及び3mgのドロスピレノンの投与に頼る治療などの知られている治療戦略と比較した場合に、少なくとも10%低い、好ましくは少なくとも20%低い、好ましくは少なくとも30%低い、好ましくは少なくとも40%低い、好ましくは少なくとも50%低い。
【0088】
ドロスピレノン、詳細には2.5mg~3.5mgのドロスピレノン、より詳細には約3mgのドロスピレノンが、本発明に関して極めて好ましいが、他のプロゲストゲン成分もまた、代替物として想定される。その例は、限定されるものではないが、レボノルゲストレル、ノルゲスチマート、ノルエチステロン、ジドロゲステロン、3-ベータ-ヒドロキシデソゲストレル、3-ケトデソゲストレル、17-デアセチルノルゲスチマート、19-ノルプロゲステロン、アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、アムゲストン(amgestone)、クロルマジノン、シプロテロン、デメゲストン、デソゲストレル、ジエノゲスト、ジヒドロゲステロン(dihydrogesterone)、ジメチステロン、エチステロン、二酢酸エチノジオール、フルオロゲストンアセタート、ガストリノン(gastrinone)、ゲストデン、ゲストリノン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、リネストレノール、メシロゲストン(mecirogestone)、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メレンゲストロール、ノメゲストロール、ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲストレル(d-ノルゲストレル及びdl-ノルゲストレルを含む)、ノルゲストリエノン、ノルメチステロン(normethisterone)、プロゲステロン、キンゲスタノール、(17アルファ)-17-ヒドロキシ-11-メチレン-19-ノルプレグナ-4,15-ジエン-20-イン-3-オン、チボロン、トリメゲストン、アルゲストンアセトフェニド、ネストロン、プロメゲストン、17-ヒドロキシプロゲステロンエステル、19-ノル-17ヒドロキシプロゲステロン、17アルファ-エチニルテストステロン、17アルファ-エチニル-19-ノルテストステロン、d-17ベータ-アセトキシ-13ベータ-エチル-17アルファ-エチニルゴン(ethynylgon)-4-エン-3-オンオキシム、6ベータ,7ベータ;15ベータ,16ベータ-ジメチレン-3-オキソ-17-プレグナ-4,9(11)-ジエン-21,17ベータ-カルボラクトン又はタナプロゲト並びにインビボにおいてこれらのプロゲストゲンを遊離させることができるこれらの化合物の前駆体を含む。
【0089】
本発明のさらなる態様は、本明細書において記載される投薬単位を含む包装単位に関する。包装単位は、分けて包装され且つ個々に取外し可能な投薬単位を保持するための少なくとも14、好ましくは少なくとも21、さらにより好ましくは少なくとも28個のコンテナーを含んでいてもよく、それぞれのコンテナーは、約13.5~約16.5mgのエステトロール又はエステトロール一水和物、好ましくは約15mgのエステトロール一水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノン、好ましくは約3mgのドロスピレノンを含む少なくとも1つの投薬単位を含む。好ましくは、分けて包装され且つ個々に取外し可能な投薬単位は、経口投薬単位である。より好ましくは、それぞれの分けて包装され且つ個々に取外し可能な投薬単位は、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロール一水和物、好ましくは約15mgのエステトロール一水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む。任意選択で、エステトロール及びドロスピレノンを含む投薬単位を保持するためのそれぞれの追加のコンテナーは、投与の推奨される順序を提示するために個々に目に見えるように並べられる。
【0090】
当業者は、本発明の範囲内で、それぞれの包装単位、例えばブリスターパックが、番号をつけられてもよいか又は印をつけられてもよいことを認識する。包装単位は、当技術分野において知られている任意の好適な包装手段において、提供されてもよく、非限定的な例は、トローチ、小袋、パウチ、ビン、フィルム、スプレー、マイクロカプセル、植え込み錠、ロッド又はブリスターパックである。
【0091】
限定ではなく例示によって、それぞれの包装単位は、厚紙、板紙、可塑性ホイルの背面を有する密閉されたブリスターパックであってもよく、好適な袋に封入されてもよい。ビンなどの包装単位もまた、本明細書において定められる態様のいずれか1つにおいて想定される。ビンの材料は、特に限定されない。好ましい実施形態において、ビンは、前記ビンの内容物の目視検査を可能にする透明度を維持しながら、例えばUV光によるビンの内容物の分解を低減する又は防止することができるカラーによって特徴づけられるガラスビンである。好適なカラーは、限定されるものではないが、琥珀色、コバルト色又はビンテージグリーンを含む。
【0092】
本発明の特定の実施形態において、包装単位は、28個のコンテナー又は2~12倍の28個のコンテナーなどの複数の28個のコンテナーを含む。
【0093】
本明細書において開示される避妊薬キットの包装単位は、「服薬遵守包装(compliance package)」であってもよい。当技術分野で知られているように、「服薬遵守包装」は、1つ以上の医薬にとって好適な貯蔵手段を提供することの次に、意図される定時の投与に従うための支援及び/又は手引きを被験者に提供することを目的とする、サイズ及び様式を変えられる包装単位である(非特許文献23)。非限定的な例として、包装単位は、被験者が例えば前記被験者の月経周期を常に把握するのを可能にする数値指標及び/又は記号が提供されてもよい。代替の非限定的な例において、包装単位は、投与の所定の時間(すなわちある特定の日)に達しており且つその時点の投薬単位がまだ包装単位中に含有される場合に被験者に電子信号を送る手段を含んでいてもよい。それらの例において、電子信号は、データ記憶手段に送られてもよく及び/又はユーザーが定めた電子デバイスに送られてもよく、スマートフォン及びスマートウェアは、この例示的な例である。ある特定の実施形態において、包装単位の別個の部分は、被験者に様々な感覚性のトリガーを提供し、非限定的な例は、別個の色又は粗さである。
【0094】
本発明がその特定の実施形態に関連して記載されたが、多くの代替、変更及び変形が前述の記載を考慮して当業者に明らかであることは明白である。従って、以下のとおり、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲において、すべてのこのような代替、変更及び変形を包含することが意図される。本明細書において開示される本発明の態様及び実施形態は、以下の非限定的な実施例によってさらに支持される。特許請求される本発明が支持する以下の特定の実験例は、提供されるが、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【実施例0095】
実施例1.日本の子宮内膜症患者における15mgのE4一水和物/3mgのDRSP錠剤の3サイクルの治療の間の薬力学的作用、薬物動態及び安全性を探索するための非盲検並行群間試験。
試験の目的
24日間毎日、その後に続く4日間のプラセボ薬物療法期間の28日間の、子宮内膜症を有する患者に対する15mgのE4一水和物/3mgのDRSP錠剤(以後「E4/DRSP」)の3回の治療サイクルの間に、疼痛緩和効果、血液凝固/線溶系及び内分泌系に対する薬力学的作用、薬物動態及び安全性を探索すること。
【0096】
試験デザイン
多施設非盲検ランダム化並行群間
相、試験のタイプ
第II相、臨床薬理
【0097】
適格基準
組み入れ基準
1.開腹術/腹腔鏡検査によって子宮内膜症と及び/又はTVUS若しくはMRIによって卵巣チョコレート嚢胞を有すると診断されている
2.≧20歳且つ<50歳
3.ベースライン観察フェーズの間の骨盤痛(VASスコア≧40mmとして定義される)
4.ベースライン観察フェーズの間の規則的な月経周期(25~38日)
5.BMI<30kg/m2
6.この臨床試験の内容を十分に理解し且つ試験に参加することに文書で同意している
除外基準
1.スクリーニング試験の6ヵ月前に診断未確定の異常な膣出血
2.最大径が>10cmであった子宮内膜腫を有する≧40歳
3.充実成分を含有する子宮内膜腫
4.スクリーニング試験より前の2ヵ月以内に嚢胞穿刺(経膣的アルコール固定など)、開腹術又は腹腔鏡検査(腹腔鏡検査)による子宮内膜症のための外科的治療を受けた
5.プロゲスチンを含有する経口避妊薬又はホルモン調製物により子宮内膜症の症状(中等度又は重度の骨盤痛)を改善しなかった
6.器質性疾患の外科的治療を優先するべきであると治験責任医師によって判断された
7.悪性腫瘍の存在又は病歴(例えば子宮頸部上皮内腫瘍、子宮頸癌、乳癌)。非黒色腫皮膚癌は、許容される
8.深在静脈血栓症、血栓性静脈炎(表在性を除外する)、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患等の存在又は病歴
9.≧15本のタバコ/日を喫煙する≧35歳
10.前兆(閃光暗点、星型閃光等)を伴う片頭痛
11.肺性高血圧若しくは心房細動と関連する心臓弁膜症又は亜急性細菌性心内膜炎の病歴を有する心臓弁膜症の存在
12.糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症などの血管病変と関連する糖尿病
13.血栓性の素因(例えばアンチトロンビン、プロテインS及びプロテインCの欠損)
14.リン脂質抗体症候群(例えば抗リン脂質抗体陽性又は未知の全身性エリテマトーデス)
15.同意を得た後の4週間以内に手術が予定されていた又は同意を得る前の2週間以内に手術を受けていた
16.重度の肝機能障害(例えば急性ウイルス性肝炎、重度の肝硬変等)の存在
17.肝臓腫瘍の存在
18.重度(GFR<60mL/分/1.73m2)又は急性腎機能障害の存在
19.合併症のない心臓弁膜症などの心疾患の病歴又は存在
20.高血圧[収縮期血圧≧140mmHg及び/又は拡張期血圧≧90mmHg]
21.耳硬化症の患者
22.妊娠の間の黄疸、持続性のそう痒又はヘルペスの病歴
23.妊婦又は妊娠しているかもしれない女性
24.登録より前の6週間以内に出産した又は第二期に流産した
25.授乳している女性
26.試験薬の活性な構成成分に対する過敏症
27.Yaz Flex配合錠に対して禁忌であった
28.有害事象又は過敏症による性ステロイドホルモン治療の中止の病歴
29.性ホルモン分泌に影響を及ぼすと考えられる薬又はそれらの誘導体を受けていた
30.スクリーニングの1ヵ月前に以下の薬を取っていた:
-プロゲスチン、エストロゲンを含有するホルモン調製物、低用量避妊用ピル、プロゲスチン及びエストロゲンの固定用量配合剤
-GnRHアゴニスト/アンタゴニスト、テストステロン誘導体
-エストロゲンアンタゴニスト、アロマターゼ阻害剤
-月経困難症、子宮内膜炎、月経痛を治療するための生薬
-抗凝固薬
-高コレステロール血症薬、抗糖尿病薬(インスリンを含む)、血清カリウムレベルに影響を及ぼす薬(ACE阻害剤、ARB、カリウム保持性利尿薬、アルドステロンアンタゴニスト)
-マイナートランキライザー、鎮痙薬
31.以下の薬を現在使用又は登録より前の1ヵ月以内に使用
-CYP3A4誘導薬(例えばカルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、リファブチン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ等)
-CYP3A4阻害剤(例えばコビシスタット、インジナビル、イトラコナゾール、リトナビル、テラプレビル、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、ネルフィナビル、サキナビル、グレープフルーツジュース等)
-HIVプロテアーゼ阻害剤、HCVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
32.試験の間の子宮内膜痛の緩和以外の医学的理由での鎮痛薬の規則的な使用(時々の使用は許可される;予防は許容されない)
33.スクリーニング試験前の1ヵ月以内に別の臨床試験に参加していた又はスクリーニング試験前の3ヵ月以内に他の治験薬を受けていた。日本において承認された活性な構成成分を含有する他の経口避妊薬の治験に参加し、スクリーニング試験前の2ヵ月以内にそれらの臨床試験を完了した
34.妊娠することを望んでいる又は性交若しくは避妊を禁止することに同意しない患者
*)試験期間の間に
*)日本において承認されている又は認定されているバリア式避妊具の使用(人のためのラテックスコンドーム又は避妊ペッサリー)
35.治験責任医師によって不適格であると判断された。
【0098】
被験者の数
合計で80人の被験者:E4/DRSP群又はYaz Flex群にそれぞれ40人の被験者。
【0099】
[注記]この臨床試験は探索的臨床薬理試験であったので、過去の臨床試験結果を参考にして設定した。子宮内膜症を有する患者におけるYaz Flex配合錠の第III相試験の結果に基づいて(以前の観察期間からの、最も進行した骨盤痛-下腹部痛/腰痛-におけるVASの変化、効果量(効果量)が0.5であったこと及び脱落率が15%であったことを前提として、80%の検出力を保った症例数を推定した。
【0100】
用量、投与のルート及び治療の期間
治験群:
-E4一水和物15mg/DRSP 3mg、固定用量配合錠
24日間の経口投与及び直後に4日間のプラセボ投与を28日間3サイクル(84日間)で与えた。
基準群:
-Yaz Flex(EE 20μg/DRSP 3mg、固定用量配合錠)
出血に関係なく、24日目まで継続的に投与した。出血(微量出血を含む)が25日目の後に3日間連続で認められる場合、4日間薬を中止する。出血が終わったか継続していたかに関係なく、継続的な投薬を開始した。薬投与期間は、84日間実施した。
【0101】
除外された薬物療法及び食品
禁止された薬物療法についての基準
-プロゲスチン及び/又はエストロゲンを含有するホルモン調製物、低用量OC、プロゲスチン及びエストロゲンの固定用量配合剤
-GnRHアゴニスト/アンタゴニスト、テストステロン誘導体、エストロゲンアンタゴニスト、アロマターゼ阻害剤
-性ホルモン分泌に影響を及ぼすと考えられる薬又はそれらの誘導体
-マイナートランキライザー、鎮痙薬
-CYP3A4誘導薬(例えばカルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、リファブチン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ等)
-CYP3A4阻害剤(例えばコビシスタット、インジナビル、イトラコナゾール、リトナビル、テラプレビル、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、ネルフィナビル、サキナビル、グレープフルーツジュース等)
-月経困難症、子宮内膜炎、月経痛を治療するための生薬
-抗凝固薬
-高コレステロール血症薬、抗糖尿病薬(インスリンを含む)、血清カリウムレベルに影響を及ぼす薬(ACE阻害剤、ARB、カリウム保持性利尿薬、アルドステロンアンタゴニスト)
-HIVプロテアーゼ阻害剤
-HCVプロテアーゼ阻害剤
-非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
-この臨床試験において使用される治験薬以外の他の治験薬
禁止された治療についての基準
-嚢胞穿刺(経膣的アルコール固定など)、開腹術又は腹腔鏡下の治療若しくは検査
鎮痛薬の使用
-医学的理由(子宮内膜症及び有害事象と関連する耐えられない疼痛)での鎮痛薬の時々の使用は、試験の間に許可された:ロキソプロフェン錠剤又は顆粒剤(1回当たり60mg、一日に≦3回)、イブプロフェン錠剤又は顆粒剤(1回当たり200mg、一日に≦3回)
-ロキソプロフェン及びイブプロフェン以外のいかなるNSAIDも、試験の間に許容されず、該当する場合、1回目来院前に離脱した
【0102】
主な判定基準及び解析
1.最も重度の骨盤痛
患者日誌によって収集されるビジュアルアナログスケール(VAS)
2.婦人科検査
ダグラス硬結、子宮可動性の制限、骨盤圧痛
3.止血及び関係のあるパラメータ
プロテインS(総活性、抗原(総)、比活性、抗原(遊離))、遊離TFPI抗原、アンチトロンビン活性、APC感受性比(APTTベース、ETPベース)、D-ダイマー、フィブリノゲン、第V/VII/X因子、プロトロンビン時間、プロテインC、プラスミノゲン、tPA-PAI-1複合体、プロトロンビンフラグメント1+2、可溶性フィブリンモノマー複合体、APTT、SHBG
4.内分泌パラメータ
エストラジオール、プロゲステロン、LH、FSH
5.安全性
有害事象、臨床検査、体重、バイタルサイン(血圧、脈拍、体温)、12誘導ECG、身体検査
6.薬物動態
E4、EE及びDRSPの血漿中濃度
【0103】
主な統計学的考察
1.最も重度の骨盤痛(VAS):治験実施計画書に適合した対象集団
記述統計(被験者の数、算術平均、標準偏差、変動係数%、四分位数、最小値及び最大値)を、層別因子ごとに、来院ごとに及び群ごとにVASのベースラインからの変化を要約するために推定した。ANOVAもまた、層別因子を固定効果として実行した。ANOVAの枠組み内で、来院ごとに及び群ごとにベースラインからの変化の値についてLS平均及び両側95%信頼区間を推測した。
2.子宮内膜症と関連する疼痛スコア及び月経困難症スコア:治験実施計画書に適合した対象集団
記述統計を、群ごとに及び来院ごとに、治療の間の「子宮内膜症疼痛スコア及び月経困難症スコア」のベースラインからの変化について使用した。
3.婦人科検査
連続変数及びカテゴリーデータについての頻度の記述統計をそれぞれ推定した。
4.内分泌に関係のあるパラメータ
記述統計は、群ごとに及び来院ごとに絶対値及び相対値のベースラインからの変化について使用した。
5.止血及び関係のあるパラメータ:治験実施計画書に適合した対象集団
記述統計は、来院ごとに及び群ごとにそれぞれのパラメータのベースラインからの変化(認められた及び相対的な%)を要約するために使用した。ANOVAは、来院ごとに及び群ごとにベースラインからの変化(相対的な%)についてLS平均及び両側95%信頼区間を推定するために実行した。同じANOVA解析を、来院ごとの治療の交互作用を考えるモデルを使用して、LS平均の差(E4/DRSP-Yaz)及び両側95%信頼区間について行った。
6.安全性:安全性解析対象集団
記述統計を、来院ごとに及び群ごとに連続変数を要約するために使用した(臨床検査、血圧、脈拍、体温、体重、12誘導ECG)。それぞれのカテゴリー内の被験者の数及びパーセンテージを示す度数分布表を、カテゴリー(AE)変数を要約するのに使用した。MedDRAの最新バージョンを使用する。
7.薬物動態:安全性解析対象集団
記述統計は、群ごとに及び来院ごとにE4、EE及びDRSPの血清又は血漿中濃度を要約するため使用した。加えて、非線形混合効果モデルを、適用可能である場合、曝露量と反応の関係を探索するために適用した。
【0104】
結果の概要
1.子宮内膜症に関連する疼痛に対する有効性
E4/DRSP及びYaz Flexの両方が、治験実施計画書に適合した解析対象集団(PPS)及び最大の解析対象集団(FAS)において、最も重度の骨盤痛(下腹部痛及び腰痛症)と段階評価しているVASの値を同様に減少させることがわかった。VAS値のベースラインからの変化は、基本的に、第2のサイクルの投与又は56日フレックス投与後に安定を保ち、それぞれE4/DRSP群及びYaz Flex群において、有効性評価期間(EAP)、すなわち第3のサイクルの投与又は84日フレックス投与で、-32.48±19.575(平均±標準偏差、以下同じ)mm及び-33.93±27.024mmをもたらした。
【0105】
数的採点スケール(NRS)もまた、子宮内膜症と関連する疼痛のいずれのタイプも、治療期間を通してE4/DRSP群とYaz Flex群との間で同等に改善されることを示唆した。
【0106】
月経困難症症状重症度及び鎮痛薬使用の項目からなる月経困難症スコアもまた、両方の群において第2/第3のサイクルの投与又は56日及び84日投与後に低減したが、わずかにより大きな改善スコアが、Yaz Flex群において認められた。月経困難症症状重症度及び鎮痛薬使用は、月経困難症スコアと同様のプロファイルを示した。鎮痛薬の使用は、E4/DRSP群及びYaz Flex群の両方において5回目来院及び6回目来院時に低減したが、少しだけより大きな改善が、Yaz Flex群において達成された。
【0107】
婦人科検査は、ダグラス硬結、子宮可動性の制限及び骨盤圧痛の重症度並びに卵巣チョコレート嚢胞のサイズ及び数においてわずかな改善を示した。
【0108】
3サイクルの投与又は84日フレックス投与後のclinical global impressions-improvement(CGI-Iスケールで測定した)において、「改善された又はそれ以上」(CGI-Iスコア1及び2)の頻度は、E4/DRSP群において28.9%(13/45人の被験者)、Yaz Flexにおいて40%(16/40人の被験者)であった。同様に、E4/DRSP及びYaz Flexで採点された「かろうじて改善された又はそれ以上」(CGI-Iスコア1~3)の頻度は、それぞれ82.2%(37/45人の被験者)及び72.5%(29/40人の被験者)であった。加えて、patient global impressions-improvement(PGI-I)により、E4/DRSP群における24%の被験者(11/45)及び75.5%の被験者(34/45)が、それぞれ「著しく満足している又はそれ以上」(PGI-Iスコア1及び2)並びに「かろうじて満足している又はそれ以上」(PGI-Iスコア1~3)と段階評価したことがわかった。同様の段階評価は、Yaz Flex群において達成され、これは、「著しく満足している又はそれ以上」(PGI-Iスコア1及び2)について32.5%(13/40人の被験者)並びに「かろうじて満足している又はそれ以上」(PGI-Iスコア1~3)について65.0%(26/40人の被験者)であると推定された。
2.血液凝固-線溶系に対する効果
フォレストプロット及びANOVAの両方は、E4/DRSPは、Yaz Flexと比較して、血液凝固-線溶系に対して非常に限られた影響しか与えなかったことを示唆し、止血パラメータのベースラインからの変動を調べた。一連の結果は、下記のように表1~3に要約することができる。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
3.薬物動態
高い薬濃度が、投与2時間後までE4(E4/DRSP群)、EE(Yaz Flex群)並びにDRSP(E4/DRSP群及びYaz Flex群)について測定され、これらは次いで時間と共に次第に低下したことが認められた。非線形混合モデル解析は、E4及びDRSPの両方について一次吸収及び消失を伴う2-コンパートメントモデルを構築するために適用した。E4についてのCLとBMIなどの体のサイズとの間にわずかな関係があるように思われたが、統計的有意差は、確認されず、DRSPを含め、潜在的な被験者共分散を示唆する可能性は低かった。非線形混合モデルは、EEについては構築しなかった。
4.安全性
治療下で発現した有害事象(TEAE)は、E4/DRSP群において88.9%(40/45人の被験者)及びYaz Flex群において92.7%(38/41人の被験者)であることが報告された。これらのうち、それぞれE4/DRSP群及びYaz Flex群において77.8%(35/45人の被験者)及び90.2%(37/41人の被験者)のTEAEについて因果関係を否定することができなかった。深刻な有害事象(SAE)は、E4/DRSP群について報告されなかったが、1つのSAE、すなわち深在静脈血栓症が、Yaz Flex群において報告された。Yaz Flex群において、1つの重度TEAE、血栓性痔核が認められたが、E4/DRSP群において報告はなかった。因果関係を有する重度TEAEは、両方の投与群において報告されなかった。1人の被験者は、Yaz Flex群において疲労及び食欲不振により早くに終了した。対照的に、E4/DRSP群において早期終了に至るTEAEはなかった。
【0113】
E4/DRSP群において、高い発現率のTEAEは、中間期出血(68.9%、31/45人の被験者)、頭痛(17.8%、8/45人の被験者)、腹部不快感/悪心/重度月経出血(それぞれ6.7%、3/45人の被験者)であったことが報告された。これらのうち、因果関係を有するTEAEは、中間期出血(68.9%、31/45人の被験者)、頭痛(6.7%、3/45人の被験者)及び重度月経出血(6.7%、3/45人の被験者)であった。Yaz Flex群において、高い発現率のTEAEとして、中間期出血、頭痛、悪心及び重度月経出血は、それぞれ73.2%(30/41人の被験者)、26.8%(11/41人の被験者)、22.0%(9/41人の被験者)及び12.2%(5/41人の被験者)で報告された。3/41人の被験者(7.3%)において、疲労、水腫及び鼻咽頭炎が生じた。これらのうち、因果関係を有するTEAEは、中間期出血73.2%、悪心22.0%、頭痛及び重度月経出血、それぞれ9.8%並びに浮腫7.3%であった。
【0114】
子宮内膜の厚さは、3回の周期的な投与又はフレックス投与後に、E4/DRSP群において4.35±2.340mm(平均/sd、以下同じ)、Yaz Flex群において3.73±1.666mmであり、これらは、比較的薄くなっていた。
【0115】
出血の日数は、E4/DRSPにおいて30.4±14.58日及びYaz Flexにおいて27.4±14.29日とカウントされた。両方の群は、同様の出血事象をもたらし、これは、E4/DRSPにおいて4.5±1.19事象及びYaz Flexにおいて3.4±1.39事象であると判定された。出血事象は、E4/DRSPにおいて7.32±4.750日及びYaz flexにおいて8.65±5.137日間続いた。E4/DRSP群において、微量出血事象は、それぞれ第1、2及び3のサイクルの治療(プラセボ薬物療法期間を除外する)で23.3%(251/1076日)、15.1%(159/1056日)及び10.4%(110/1056日)であることが報告された。対照的に、Yaz Flex群において事象は、28、56及び84日フレックス治療について22.9%(255/1113日)、10.6%(105/991日)及び8.8%(74/840日)の率で起こった。同様の結果は、出血事象についても得られた;E4/DRSP-サイクル1で29.0%(312/1076日)、サイクル2で8.0%(85/1056日)及びサイクル3で10.0%(106/1056日)、Yaz Flex-28日フレックス投薬について27.9%(310/1113日)、56日フレックス投薬について7.6%(75/991日)及び84日フレックスについて4.5%(38/840日)。性器出血事象の数は、ホルモンフリーの休薬期間の間、E4/DRSPよりもYaz Flexにおいて少なく、主に微量出血事象であった。
【0116】
両方の群において注目すべき所見は臨床検査ではなかった(血液検査、生化学的検査、尿検査、理学的検査及びボディマス(身長、体重、BMI)。
【0117】
異常な変化は、E4/DRSPにおいて2回目来院後にECGについて認められなかった。対照的に、2回目来院後のECG検査により、Yaz Flex群における2人の被験者において3つの事象が見つかり(異常なECG、右脚ブロック、第1度房室ブロック)、これらはすべて、合併症と診断された。
【0118】
QTc間隔の異常な変化は、E4/DRSP群及びYaz Flex群の両方について認められなかった。E4/DRSP群において、QTcB(Bazett式の補正)及びQTcF(Fredericia式の補正)は、6回目来院/EOS時に409.7±42.29ミリ秒及び406.6±42.92ミリ秒であると判定された。同様の測定値が、Yaz Flexについて得られた、すなわち419.3±21.99ミリ秒(QTcB)及び415.0±20.04ミリ秒(QTcF)であった。
【0119】
データベースロック後のアドホック解析結果
この解析は、E4/DRSP FDC(固定用量配合剤)錠剤が、日本の子宮内膜症患者において、EE/DRSP FDC(Yaz Flex)と対比して、臨床上の利点を提供することができるであろう被験者集団の特徴を表すことを目的とした。
【0120】
2つの異なる月経期の過程にわたる最も重度の骨盤痛(治療前の期間)は、E4/DRSP群及びYaz Flex群全体で中間値としておよそ70mm VAS値であることが推定され、これは、ランダム化した被験者の50%が70mm又はそれ以上に相当する疼痛強度を患っていることを意味した。
【0121】
一連の解析は、3つの異なる部分からなった。最初に、個々の疼痛強度(VAS)経時的プロファイルを、毎日のVAS値に基づいて表し、スプライン関数を、それぞれの薬、すなわちE4/DRSP群及びYaz Flex群についてVAS経時的プロファイルを解明するために適用した。
図1において示されるように、スプライン曲線プロファイルは、疼痛強度が、2つの薬の間で非消退出血期の間に異なって抑制され、E4/DRSPが、Yaz Flexと比較して実薬投薬期間の間に、より抑制性のVAS低減を成し遂げたことを示唆した。第2の部として、注目すべきVAS経時的プロファイルを、以下の定義に従って定量化した-VAS値が、判定期間の80%又はそれ以上の間、ベースラインから70mm又はそれ以上低減した日数の割合(
図2)。この基準を満たした被験者は、この解析報告において「奏功者」と仮に呼ぶ。最後に、重要な論点は、どういった臨床上の優位性が奏功者にもたらされたかであり、CGI-I及びPGI-Iスコアをこの基準に関連づけるために調査した。この目的のために、主な関心は、CGI-I及び/又はPGI-Iのより高いスコアが奏功者において認められたことであった。コクラン-アーミテージ検定は、非奏功者においてでなく、奏功者において統計的に有意な傾向があることを指し示し(p=0.009)、これにより、治験担当医師及び被験者の両方が、非奏功者(ソリッドグレイの塗りつぶし、
図3)と比較した場合に、奏功者(斜め縞模様、
図3)において、とても改善された/満足している又はそれ以上のスコアに印をつけるという結果になった。最後に、奏功者の割合を、E4/DRSPとYaz Flexとの間で比較した。E4/DRSP群は、奏功者の割合がおよそ60%に至り、対照的に、Yaz Flex群における割合は、およそ1/2のおよそ30%であった(
図4)。統計的有意差は、カイ二乗検定によって認められた(p=0.033)。
【0122】
要約すると、E4/DRSPが、Yaz Flexよりも、非月経期の間の骨盤痛を低減することができ、CGI-I及びPGI-Iの改善に至るであろうということが示唆された。
【0123】
実施例2.子宮内膜症に関連する疼痛の治療のためのサイクルレジメンにおけるエステトロール一水和物15mg/ドロスピレノン3mgの組み合わせ(E4/DRSP)の有効性及び安全性並びに客観的な婦人科所見:多施設プラセボ対照二重盲検ランダム化試験
材料及び方法
試験デザイン
多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間デザイン試験を子宮内膜症を有する日本の被験者において行った。目的は、24週間のE4/DRSPによる6サイクルの治療後に(1サイクル毎に24日間、その後に続く4日間のホルモンフリーの休薬期間)、子宮内膜症に関連する骨盤痛(EAPP)を治療するためのE4/DRSPの可能性を調査することであった。
【0124】
被験者
≧20歳で且つ子宮内膜症と診断された被験者を登録した。臨床診断は、開腹術/腹腔鏡検査、経腟超音波診断法(TVUS)、磁気共鳴画像法(卵巣子宮内膜腫の存在)又は婦人科検査によって決定した。別の確証的な適格性基準は、ベースライン観察期間の間のビジュアルアナログスケール(VAS)における≧40mmのEAPPとした。人口統計学的特性及びベースライン特性を表4に示す。
【0125】
【0126】
追加の組み入れ基準及び除外基準
ランダム化前の最後の2回の月経について規則的な月経周期(25~38日)及びBMI<30kg/m2を有する日本の患者を含めた。臨床試験についての十分な理解に基づいて同意書に署名した患者を含めた。
【0127】
追加の除外基準は、スクリーニング試験前の6ヵ月以内に診断未確定の異常な膣出血を有する患者;最大径が>10cmであった卵巣子宮内膜腫を有する≧40歳の患者;充実成分を含有する卵巣子宮内膜腫を有する患者;スクリーニング前の2ヵ月以内に嚢胞穿刺(経膣的アルコール固定など)、開腹術又は腹腔鏡検査による子宮内膜症、腺筋症及び子宮筋腫のための外科的治療を受けた患者;プロゲスチンを含有する混合型経口避妊薬又はホルモン調製物により子宮内膜症の症状(中等度又は重度の骨盤痛)の改善を有しなかった患者;試験の間に子宮内膜症疼痛の緩和以外の医学的理由で鎮痛薬を規則的に使用する患者(時々の使用は許可される;予防は許容されない)外科的治療を受けるよう診断された患者;ホルモンに関係する悪性疾患の存在又は病歴を有する患者(非黒色腫皮膚癌は許容される);深部静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎(表在性を除く)、肺血栓塞栓症、脳血管障害及び冠動脈疾患の存在又は病歴を有する患者;≧35歳で且つ≧15本のタバコ/日を喫煙する患者;前兆を伴う片頭痛の存在又は病歴を有する患者;肺性高血圧又は心房細動を有する、亜急性細菌性心内膜炎の病歴を有する弁膜症を有する患者;血管病変(例えば糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症)を有する糖尿病を有する患者;既知の血栓形成性の突然変異(例えば第V因子ライデン;プロトロンビン突然変異;プロテインS、プロテインC及びアンチトロンビンの欠損)を有する患者;抗リン脂質抗体症候群(例えば抗リン脂質抗体陽性である又は未知の全身性エリテマトーデス)の存在を有する患者;インフォームドコンセントに署名した後の4週間以内に手術を受けるよう予定された、インフォームドコンセントに署名する前の2週間以内に手術を受けた又はインフォームドコンセントに署名する時に長期安静状態にある患者;重度の肝障害(例えば急性ウイルス性肝炎、重度の肝硬変)の存在を有する患者;肝腫瘍を有する患者、重度又は急性腎障害の存在を有する患者;心臓疾患(例えば合併症のない弁膜症)又は合併症の病歴を有した患者;高血圧(軽度の高血圧を除く)、重度の脂質異常症(例えば重度の家族性の異常なβリポタンパク質血症)、耳硬化、コントロール不能な甲状腺障害を有する患者;スクリーニング前の過去1年間に又は今、重度のうつ病と臨床的に診断されている患者;妊娠の間に黄疸、持続性のそう痒又はヘルペスの病歴を有した患者;妊娠している又はおそらく妊娠している患者;スクリーニング前の6週間以内に出産した又は妊娠中期流産を有した患者;哺乳中の女性;治験品の成分に対して過敏症の素因を有した患者;性ステロイドホルモン療法の間に投与の中止を必要とする副作用又は過敏症の病歴を有した患者;性ホルモン分泌に影響を及ぼすと考えられる薬及び誘導体を与えられている患者;スクリーニング前の1ヵ月以内にプロゲスチン、エストロゲンを含有するホルモン調製物、低用量経口避妊薬、プロゲステロン及びエストロゲンの配合剤、テストステロン誘導体、エストロゲンアンタゴニスト、アロマターゼ阻害剤、月経困難症、子宮内膜炎、月経痛のための生薬、抗不安薬若しくは鎮痙薬を取っていた又はスクリーニング前の2ヵ月以内にGnRH類似体を取っていた患者;混合型経口避妊薬との相互作用の引き金となる可能性のある薬を現在使用している又は被験者ランダム化より前の1ヵ月以内に使用した患者。これは、CYP3A4誘導薬、CYP3A4阻害剤、HIV及び/又はHCVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤を含むが、これらに限定されない;スクリーニング前の1ヵ月以内に他の治験に参加した又はスクリーニング前の3ヵ月以内に他の治験薬を投与した患者;この試験の間に妊娠することを希望する患者或いは性交を控えること又は避妊対策を使用すること(日本において承認されている若しくは認定されているバリアタイプの避妊用具(男性用のコンドーム若しくは避妊ペッサリー)の使用)に同意しない患者;他の理由で治験責任医師又は治験分担医師によって不適格であるとみなされた患者とした。
【0128】
治療
適格な被験者は、ベースラインVAS(<60mm又は≧60mm)並びに合併症(子宮筋腫及び腺筋症)によりバランスをとった同じ比でE4/DRSP群又はプラセボ群にランダムに割り付けた。ランダム化の直後に、被験者は、月経の1日目から毎日1個の錠剤を取った。E4/DRSP群において、被験者は、6連続サイクル、24週間の間、サイクルレジメンにおいてE4/DRSPにより治療された。プラセボ群は、6サイクルにわたって1サイクル毎に28日間毎日経口プラセボ錠剤を受けた。層別ランダム化コードは、置換ブロック法(permuted-block design)を使用して、インタラクティブなWeb応答システムによって作成し、試験の盲検性を確実にするために、治験担当医師及び他の試験利害関係者とは関係ない事務局によって管理された。
【0129】
評価項目の判定
主要評価項目は、6回の治療サイクル後の最も重度のEAPPにおけるベースラインからのVASスコアの変化とした((非特許文献24);(非特許文献25))。ベースライン観察及び治療期間の間に、被験者は、VASがインストールされた電子日誌デバイスにより、最も重度のEAPP(下腹部痛/腰痛症)を段階評価することが求められた。ベースラインは、ランダム化前の観察期間の間の最も重度のEAPPとした。副次評価項目は、1)骨盤痛、慢性痛、急性痛及び排便痛並びに性交疼痛症についての数的採点スケール(NRS)、2)ベースラインから第5及び第6サイクルまで最も重度のEAPP VAS又は平均したNRSの≧30%又は≧50%の低減を果たす奏功者率、3)婦人科検査:クルドサック硬結、骨盤圧痛及び子宮可動性の制約、4)卵巣子宮内膜腫の数及びサイズ(二次元測定)並びにTVUSにより測定される子宮内膜の厚さ、5)5ポイントスケールによる日常活動及び睡眠への支障、6)治験責任医師(Clinical Global Impression of Improvement:CGI-I)及び被験者(Patient Global Impression of Satisifaction:PGI-I)によって採点される7ポイントスケール並びに7)血清E2、P4、FSH、LH、CA125を含んだ。すべての副次変数は、患者の電子日誌を使用して収集し、患者は、治験実施施設で治験責任医師によって問診された又は診察された。
【0130】
治療下で発現した有害事象(TEAE)は、試験の全体にわたって安全性評価項目として監視され、治験責任医師は、それらの重症度及び因果律を審査した。出血事象は、電子日誌デバイスを使用して被験者によって記録された。
【0131】
統計解析
主要な解析は、ベースラインから第6の治療サイクルまでの最も重度のEAPPについてのVASにおける変化について両側95%信頼区間(CI)と共に群の差(E4/DRSP-プラセボ)の点推定を評価するために反復測定混合効果モデルを使用して実行した。副次評価項目は、ウィルコクソン検定、フィッシャーの正確検定及び両側95%CIを使用して判定した。任意の有効性解析を、最大の解析対象集団(FAS):1つ以上の試験薬を受け、EAPPについてのVASスコアを得た被験者に対して行った。安全性解析は、任意のTEAEの頻度、薬に関係のあるTEAE並びに重症度及び因果律を含んだ。これは、少なくとも1つの試験錠剤を取っている被験者の安全性解析対象集団を使用して実行した。すべての記述統計は、平均±標準偏差として表現した。統計解析は、SASバージョン9.4を使用して実行した(SAS Institute Inc.、NC、USA)。
【0132】
結果
被験者
この試験は、日本における25の治験実施施設からの162人の被験者を含んだ。
【0133】
FASは、それぞれE4/DRSP群及びプラセボ群において79人及び83人の被験者を含んだ。人口統計学的な特性は、群の間で同等であった(表4)。平均年齢及びボディマス指数は、それぞれ34.7歳及び21.4kg/m2であった。162人の被験者のうち、44人(27.2%)及び26人(16.0%)は、それぞれ腺筋症及び子宮筋腫を呈し、両方の合併症は、13人の被験者(8.0%)において認められた。
【0134】
有効性
平均して、E4/DRSPは、6回の治療サイクル後にベースラインから-33.2mm、最も重度のEAPP VASスコアを低減した。疼痛強度における平均-22.2mmの低下が、プラセボ群において認められた。表5において提示されるように、群の差の点推定は、-8.5mm(両側95%CI:-16.1~-0.9mm)であり、24週間の治療後に有意であった(p=0.028)。
【0135】
【0136】
第5又は第6のサイクルの間にベースラインからの最も重度のEAPP VASの≧30%及び≧50%の低減を達成する患者の奏功者率は、それぞれ、E4/DRSP群において53.2%及び36.4%であり、プラセボ群に対して有意であった。
【0137】
NRS段階評価は、E4/DRSPが、疼痛強度を著しく緩和したが、性交疼痛症及び排便は緩和しなかったことを示した。E4/DRSP群において、平均NRS段階評価の奏功者率は、それぞれ、ベースライン段階評価からの≧30%及び≧50%の低減について55.8%及び36.4%であり、プラセボ群に対して有意であった。
【0138】
6回の治療サイクル後、婦人科検査は、E4/DRSP群における客観的な改善を示した(表6)。悪化した所見は、クルドサック硬結について診断されず、被験者の23.1%は、E4/DRSP群において著しい改善を実証した。同様の結果は、子宮可動性の制約についても得られた。E4/DRSPはまた、プラセボ群において悪化した被験者の割合と比較して、骨盤圧痛の進行も予防した(E4/DRSP 1.3%対プラセボ12.0%)(
図5A)。実質的な改善はまた、腺筋症を有する被験者においても認められた(
図5B)。最大の卵巣子宮内膜腫の体積は、プラセボ群と比較して、E4/DRSP群においておよそ45.0%低減した。卵巣子宮内膜腫もまた、E4/DRSP群の被験者の7.7%において消失した。血清CA125レベルは、E4/DRSP群の19.2%及びプラセボ群におけるほんの2.4%において正常範囲(<35U/ml)まで回復した。
【0139】
【0140】
E4/DRSP群において、日常活動は、著しく改善することはなかった。それにもかかわらず、6サイクルのE4/DRSP治療は、「極めて妨げられた」と採点する被験者をもたらさず、プラセボ群と違って、「だいぶ妨げられた」割合を9.0%低減した。睡眠障害は、E4/DRSP群において著しく改善され、「全く妨げられなかった」と採点する被験者の割合は、52.6%増加した。かなりの改善は、全体の印象において認められ、この割合は、E4/DRSP群においておよそ45%であった。血清内分泌ホルモンレベルは、試験の全体にわたってE4/DRSP群において低下した。子宮内膜の厚さは、E4/DRSP群においてベースライン時の9.81±3.66mmから24週の4.83±2.48mmまで変化した。
【0141】
安全性
TEAEは、E4/DRSP群において79人の被験者のうち77人において(97.5%)、プラセボ群において83人の被験者のうち72人において(86.7%)報告された。E4/DRSP群において、中間期出血事象は、一般に起こり、治療サイクルと共に減った:第1のサイクルの間51.9%及び治療後24.7%。微量出血は第3の治療サイクル後の主要な事象であり、出血事象のおよそ50%を占めた。中間期出血/微量出血は、第2の治療サイクル後、1日もたたないうちに起こった。試験薬に関係のあるTEAEは、E4/DRSP群において、悪心(6.3%)、腹痛(2.5%)、下痢(2.5%)、傾眠(6.3%)及び頭痛(6.3%)を含む、OCPについて一般に報告されるTEAEと同様であった。プラセボ群における1人の被験者は、D-ダイマーレベル増加のために治療を中止した。特に、E4/DRSPとプラセボ群との間で、基準範囲外の止血パラメータを有する被験者の割合において、少しの変化の違いが認められた。死亡又は他の深刻なAEは、治療の間に起こらなかった。臨床的に重要な変化は、他の安全性評価項目において認められなかった。
【0142】
考察
この試験において、E4/DRSPは、フレキシブルな延長レジメンにおけるEE/DRSPと同様に、サイクルレジメンにおいて最も重度のEAPPを改善し(非特許文献26)、プラセボに対するその優越性が確認された。奏功者率もまた、EAPP軽減に対するより確定的な所見を実証し(非特許文献27)、これは、被験者のおよそ40%がベースラインから疼痛強度の≧50%の低減をもたらしたことを示唆した。さらに、疼痛強度は、24週間E4/DRSPにより治療した被験者の≧50%において、慢性痛管理の目標である<40mm低減した(非特許文献28)。
【0143】
婦人科検査の客観的所見は、E4/DRSP群において、クルドサック硬結、骨盤圧痛及び子宮可動性の制約において著しい改善を明らかにした。卵巣子宮内膜腫の体積は、EE/DRSP群及びEE/ノルエチステロン群と同様に、E4/DRSP群において著しく低下した。((非特許文献29);(非特許文献30))。これらの治療の利点は、E4/DRSP群におけるQoLに関係のある質問票及び全体の印象の採点のかなりの優位性によって最もよく例証される。
【0144】
安全性評価は、中間期出血事象がE4/DRSPと関連する最も頻繁に報告されるTEAEであることを明らかにした。頻度は、日本以外の2,234人の参加者を含む以前の第III相試験と一貫して、サイクルの数と共に低下した(非特許文献31)。他の報告されたTEAEは、悪心及び頭痛などのOCPでよく知られているものである。VTEは、報告されず、上限範囲を超えるD-ダイマーを有する被験者の割合は、プラセボ群と同等であり、止血パラメータに対してE4/DRSPの影響がそれほどないことを示唆した。
【0145】
E4/DRSPは、子宮内膜症を治療するための以下の要件を満たした:EAPPの軽減、客観的な婦人科所見における改善、QoL及び全体の印象の回復。止血及び出血パターンを含め、安全性上の懸念は提起されなかった。
【0146】
結論
この試験は、E4/DRSPは、EAPP治療に対して臨床的に有効であり、子宮内膜症を有する患者において客観的な婦人科所見、QoL及び全体の印象が改善したことを実証した。そのため、E4/DRSPは、第一選択子宮内膜症治療と考えられるべきである。
被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するのに使用するための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物。
骨盤痛を患っている被験者を治療するのに使用するための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロールの水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物。
前記被験者の前記疼痛は、VAS(ビジュアルアナログスケール)を使用して測定される、好ましくは、前記被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアによって定義される骨盤痛を有する、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアを有する子宮内膜症と関連する骨盤痛を患っている、好ましくは、前記被験者は、投与より前に約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアを有する子宮内膜症によって誘発される骨盤痛を患っている、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記疼痛は、慢性骨盤痛、下腹部痛及び/若しくは腰痛などの骨盤痛、排便痛及び性交痛又はダグラス窩における子宮内膜の癒着によって引き起こされる疼痛である、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記使用は、CGI-Iスケール(Clinician Global Impressions-Improvement Scale)の改善をもたらす、好ましくは、前記使用は、約28.9%のCGI-Iスケールの改善をもたらす、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記使用は、PGI-Iスケール(Patient Global Impressions-Improvement Scale)の「非常に満足している又はそれ以上」と段階評価される改善をもたらす、好ましくは、前記使用は、約24%のPGI-Iスケールの「非常に満足している又はそれ以上」と段階評価される改善をもたらす、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記被験者は、開腹術/腹腔鏡検査によって子宮内膜症を有すると並びに/又は経腟超音波検査(TVUS)及び/若しくは磁気共鳴画像法(MRI)によって評価されるように卵巣チョコレート嚢胞を有すると診断される、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記組成物は、前記組成物の21~28日の1日の実薬投薬単位のサイクルにおいて使用される、好ましくは、前記組成物は、前記組成物の24日の1日の実薬投薬単位のサイクルにおいて使用される、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記組成物の使用は、投与より前から第2又は第3の投与サイクル後までVASスコアにおける低下をもたらす、好ましくは、前記低下は、前記第2又は第3の投与サイクル後に実質的に安定が維持される、請求項12に記載の使用のための組成物。
前記組成物の使用は、ダグラス硬結、子宮可動性の制限及び/又は骨盤圧痛の重症度における改善、TVUS又はMRIによって評価される卵巣チョコレート嚢胞のサイズ及び/又は数の低減をもたらす、請求項1に記載の使用のための組成物。
前記組成物の使用は、EE 20μg/DRSP 3mgの固定用量配合錠の使用よりも少ないTEAEをもたらす、好ましくは、前記TEAEは、中間期出血、頭痛、悪心及び重度月経出血からなる群から選択される、請求項1に記載の使用のための組成物。
被験者において子宮内膜症と関連する疼痛を緩和するのに使用するための、約13.5mg~約16.5mgのエステトロール又はエステトロール一水和物及び約2.5mg~約3.5mgのドロスピレノンを含む医薬組成物であって、前記使用は、前記患者が約40mm、約50mm、約60mm又は約70mmを超えるVASスコアによって定義される投与より前の骨盤痛を有するかどうかを決定するステップを含む、医薬組成物。