(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120164
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】シリコンエッチング液組成物及びそれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
H01L21/308 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022481
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0024149
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ジン キュ ロー
(72)【発明者】
【氏名】キュ サン アン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ ジュン ユン
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA10
5F043AA11
5F043BB03
5F043BB04
5F043BB28
5F043DD07
5F043GG02
(57)【要約】
【課題】エッチング速度及びエッチング選択比が向上したシリコンエッチング液組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態によれば、シリコンエッチング液組成物及びそれを用いたパターン形成方法が提供される。シリコンエッチング液組成物は、第4級アルキルアンモニウム水酸化物と、アミン系化合物と、親水性基の長さが異なる2種以上の非イオン性界面活性剤とを含む。これにより、エッチング速度及びエッチング選択比が向上したシリコンエッチング液組成物を提供することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4級アルキルアンモニウム水酸化物と、アミン系化合物と、非イオン性界面活性剤とを含み、
前記非イオン性界面活性剤は、下記化学式1で表され、nが1~2である第1の非イオン性界面活性剤、下記化学式1で表され、nが3~5である第2の非イオン性界面活性剤、および、下記化学式1で表され、nが6~8である第3の非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも2つを含む、シリコンエッチング液組成物。
【化1】
(前記化学式1中、Rは、C3~C18の線状若しくは分枝状のアルキル基、C3~C18の環状アルキル基、またはC6~C18のアリール基である。)
【請求項2】
前記非イオン性界面活性剤は、前記第2の非イオン性界面活性剤を含み、前記第1の非イオン性界面活性剤および前記第3の非イオン性界面活性剤の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤の含有量は、前記シリコンエッチング液組成物の全重量に対して0.01重量%~0.2重量%である、請求項1に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤は、前記第1の非イオン性界面活性剤および前記第2の非イオン性界面活性剤を含み、
前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第1の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.1~0.2である、請求項2に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項5】
前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第1の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.12~0.17である、請求項4に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤は、前記第2の非イオン性界面活性剤および前記第3の非イオン性界面活性剤を含み、
前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第3の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.08~0.17である、請求項2に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項7】
前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第3の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.10~0.15である、請求項6に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤は、前記化学式1で表され、nが8である非イオン性界面活性剤を含まない、請求項1に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項9】
化学式1中、Rはフェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基またはオクチルフェニル基である、請求項1に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項10】
前記第4級アルキルアンモニウム水酸化物の含有量は、前記シリコンエッチング液組成物の全重量に対して1重量%~20重量%である、請求項1に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項11】
前記アミン系化合物の含有量は、前記シリコンエッチング液組成物の全重量に対して1重量%~30重量%である、請求項1に記載のシリコンエッチング液組成物。
【請求項12】
基板上にシリコン含有膜を形成するステップと、
前記シリコン含有膜上に部分的にシリコン保護膜を形成するステップと、
請求項1に記載のシリコンエッチング液組成物で前記シリコン含有膜をエッチングするステップとを含む、パターン形成方法。
【請求項13】
前記シリコン保護膜がエッチングマスクとして使用される、請求項12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記シリコン含有膜をエッチングするステップは、シリコン含有膜をエッチングしてゲートパターンを形成することを含む、請求項12に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンエッチング液組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。より詳細には、エッチング製剤および溶媒を含むシリコンエッチング液組成物、並びにそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ディーラム(DRAM)、ナンドフラッシュ(NAND FLASH)メモリ、ロジック素子などの半導体素子では、近年、限界寸法(Critical Dimension:CD)を急激に減少させながらも大容量を実現しようとする開発が続いている。
【0003】
前記半導体素子において、例えば、ポリシリコンのようなシリコンベースの膜またはパターンは、ゲート電極、キャパシタ電極、導電性コンタクト、配線などの材料として広く用いられている。ゲート電極または配線を金属膜の直接エッチングによって形成する場合、エッチング解像度の限界により所望の微細な寸法のパターンを形成することが容易ではない。そのため、ポリシリコン膜を活用した工程が研究されている。
【0004】
高信頼性の半導体素子工程を行うためには、除去対象に対する速いエッチング速度の確保、及びエッチング均一性が求められる。しかしながら、エッチング工程において、除去対象に対するエッチング速度の増加は、保護膜質のエッチングを促進させることがある。
【0005】
そこで、シリコン膜のエッチング工程において、微細な寸法のパターンを形成するためのエッチング速度およびエッチング均一性を維持しながらエッチング選択比を向上させるためのエッチング液組成物の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの課題は、向上したエッチング効率および信頼性を有するシリコンエッチング液組成物を提供することである。
【0007】
本発明の1つの課題は、前記シリコンエッチング液組成物を利用したパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.第4級アルキルアンモニウム水酸化物と、アミン系化合物と、非イオン性界面活性剤とを含み、前記非イオン性界面活性剤は、下記化学式1で表され、nが1~2である第1の非イオン性界面活性剤、下記化学式1で表され、nが3~5である第2の非イオン性界面活性剤、および、下記化学式1で表され、nが6~8である第3の非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも2つを含む、シリコンエッチング液組成物。
【化1】
(前記化学式1中、Rは、C3~C18の線状若しくは分枝状のアルキル基、C3~C18の環状アルキル基、またはC6~C18のアリール基である。)
【0009】
2.前記項目1において、前記非イオン性界面活性剤は、前記第2の非イオン性界面活性剤を含み、前記第1の非イオン性界面活性剤および前記第3の非イオン性界面活性剤の少なくとも1つをさらに含む、シリコンエッチング液組成物。
【0010】
3.前記項目1において、前記非イオン性界面活性剤の含有量は、前記シリコンエッチング液組成物の全重量に対して0.01重量%~0.2重量%である、シリコンエッチング液組成物。
【0011】
4.前記項目2において、前記非イオン性界面活性剤は、前記第1の非イオン性界面活性剤と前記第2の非イオン性界面活性剤とを含み、前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第1の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.1~0.2である、シリコンエッチング液組成物。
【0012】
5.前記項目4において、前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第1の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.12~0.17である、シリコンエッチング液組成物。
【0013】
6.前記項目2において、前記非イオン性界面活性剤は、前記第2の非イオン性界面活性剤と前記第3の非イオン性界面活性剤とを含み、前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第3の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.08~0.17である、シリコンエッチング液組成物。
【0014】
7.前記項目6において、前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第3の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.10~0.15である、シリコンエッチング液組成物。
【0015】
8.前記項目1において、前記非イオン性界面活性剤は、前記化学式1で表され、nが8である非イオン性界面活性剤を含まない、シリコンエッチング液組成物。
【0016】
9.前記項目1において、前記Rはフェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基またはオクチルフェニル基である、シリコンエッチング液組成物。
【0017】
10.前記項目1において、前記第4級アルキルアンモニウム水酸化物の含有量は、前記シリコンエッチング液組成物の全重量に対して1重量%~20重量%である、シリコンエッチング液組成物。
【0018】
11.前記項目1において、前記アミン系化合物の含有量は、前記シリコンエッチング液組成物の全重量に対して1重量%~30重量%である、シリコンエッチング液組成物。
【0019】
12.基板上にシリコン含有膜を形成するステップと、前記シリコン含有膜上に部分的にシリコン保護膜を形成するステップと、前記項目1に記載のシリコンエッチング液組成物で前記シリコン含有膜をエッチングするステップとを含む、パターン形成方法。
【0020】
13.前記項目12において、前記シリコン保護膜がエッチングマスクとして用いられる、パターン形成方法。
【0021】
14.前記項目12において、前記シリコン含有膜をエッチングするステップは、シリコン含有膜をエッチングしてゲートパターンを形成することを含む、パターン形成方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の例示的な実施形態によるシリコンエッチング液組成物は、親水性基の長さが異なる2種以上の非イオン性界面活性剤を含むことができる。2種以上の非イオン性界面活性剤は、それぞれシリコンエッチング液組成物のエッチング速度の向上、エッチング均一性の向上、またはエッチング対象物の表面粗さの改善において異なる機能を果たすことができる。
【0023】
前記シリコンエッチング液組成物は、互いに異なる機能を有する2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて含むことにより、シリコンエッチング液組成物のエッチング速度を増加させることができ、狭いパターンサイズを有するエッチング対象物(例えば、シリコンウェーハ)に対しても均一なエッチングが可能である。エッチング後のエッチング対象物の表面粗さ及びエッチング対象物の表面のエッチング残留物を低減することができる。
【0024】
前記非イオン性界面活性剤は、親水性基の長さが中程度である第2の非イオン性界面活性剤を含み、親水性基の長さが長いか又は短い第1の非イオン性界面活性剤または第3の非イオン性界面活性剤を所定の含有量比で含むことができる。これにより、シリコンエッチング液組成物のエッチング速度およびエッチング均一性をさらに向上させることができる。
【0025】
本発明の例示的な実施形態によるシリコンエッチング液組成物を用いて、高信頼性のナノスケールの半導体素子パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態によるシリコンエッチング液組成物は、第4級アルキルアンモニウム水酸化物と、アミン系化合物と、2種以上の非イオン性界面活性剤とを含むことができる。前記シリコンエッチング液組成物は、迅速かつ均一にシリコン層をエッチングできるとともに、エッチング対象の表面にエッチング残留物を実質的に残さないことができる。
【0028】
また、前記エッチング液組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【0029】
本出願で使用される用語「シリコン」は、ポリシリコン、非晶質(amorphous)シリコンを指すことができる。
【0030】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明することとする。
【0031】
前記第4級アルキルアンモニウム水酸化物は、エッチング工程において、エッチング対象膜、例えばシリコン膜を除去する主なエッチング製剤として機能することができる。例えば、前記第4級アルキルアンモニウム水酸化物は溶液中で解離して水酸化イオンを発生させるので、エッチング液組成物のpHを増加させて前記シリコン膜をエッチングすることができる。
【0032】
前記第4級アルキルアンモニウム水酸化物は、下記化学式2で表される化合物を含むことができる。
【0033】
【0034】
化学式2中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して炭素数1~8を有するアルキル基またはアリール基であり、いくつかの実施形態では炭素数1~4を有するアルキル基であってもよい。R1、R2、R3及びR4の炭素数が前記範囲内にあると、第4級アルキルアンモニウム水酸化物の水酸化イオンの解離作用を促進することができる。前記アルキル基またはアリール基は置換基を含むことができる。
【0035】
本明細書で使用される用語「置換」とは、炭化水素基における任意の水素がハロゲン原子、C1-C6のアルキル基、C2-C6のアルケニル基、C2-C6のアルキニル基、C1-C6のアルコキシ基、C1-C6のアセチル基、C6-C12のフェノキシ基、C6-C12のアリール基、C1-C6のアルキルスルホニル基、スルホン酸基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、-NR3R4R5(R3、R4及びR5はそれぞれ独立して水素またはC1-C6のアルキル基である。)で表されるアルキルアミン基およびシアノ基からなる群より選択される少なくとも1つで置換されることを意味し得る。
【0036】
例えば、前記第4級アルキルアンモニウム水酸化物は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化テトラオクチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、水酸化コリンなどを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
例示的な実施形態では、前記第4級アルキルアンモニウム水酸化物の含有量は、エッチング液組成物の全重量に対して約1重量%~20重量%であってもよい。前記範囲内では、水酸化イオンの解離度または組成物から解離する量を十分に確保し、エッチング性能を向上させることができる。一実施形態では、前記第4級アルキルアンモニウム水酸化物の含有量は、エッチング液組成物の全重量に対して約5重量%~10重量%であってもよい。
【0038】
前記アミン系化合物は、前記エッチング液組成物のpHを調整または維持し、エッチング促進剤として添加することができる。例えば、前記アミン系化合物は組成物中での水酸化イオンの解離または生成を促進し、シリコン膜の親水化または濡れ性を向上させることができる。また、シリコン膜のエッチング時に発生する表面水素ガスの除去を促進することができる。
【0039】
前記アミン系化合物は、ヒドロキシ基を含んでも含まなくてもよい。前記アミン系化合物がヒドロキシ基を含む場合には、エッチング液組成物中の水酸化イオンの濃度を増加させることができ、エッチング液組成物のエッチング速度を改善することができる。前記アミン系化合物は線状でも環状でもよい。
【0040】
例えば、ヒドロキシ基を含むアミン系化合物は、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、3-アミノ-1-プロパノール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール、3-アミノ-2,2-ジメチル-1-プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチルアミノ-1-プロパノール、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、1-ジメチルアミノ-2-プロパノール、3-ジメチルアミノ-1-プロパノール、2-ジメチルアミノ-1-プロパノール、2-ジエチルアミノ-1-プロパノール、2-ジエチルアミノ-1-エタノール、2-エチルアミノ-1-エタノール、1-(ジメチルアミノ)2-プロパノール、N-プロピルジエタノールアミン、N-イソプロピルジエタノールアミン、N-(2-メチルプロピル) ジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-t-ブチルエタノールアミン、N-シクロヘキシルジエタノールアミン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジプロピルアミノエタノール、2-ブチルアミノエタノール、2-t-ブチルアミノエタノール、2-シクロアミノエタノール、2-アミノ-2-ペンタノール、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-メチル-1-プロパノール、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)エタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリイソプロパノールアミンなどを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
例えば、ヒドロキシ基を含まないアミン系化合物は、1,2-ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、アニリン(アミノベンゼン)、2-アミノペンタン、ジエチルアミン、N-ドデシルジエチルアミンなどを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
環状アミン系化合物は、置換若しくは非置換の窒素原子を含む複素環を含むことができる。例えば、前記環状アミン系化合物は、置換もしくは非置換の窒素原子含有橋かけ二環式化合物(bridged bicyclic compound)、あるいは置換もしくは非置換の窒素原子含有ヘテロアリール基を含むことができる。
【0043】
例えば、前記環状アミン系化合物は、トリメチルピリジン、ジメチルピリジンなどを含むことができる。
【0044】
前記環状アミン系化合物は、窒素原子含有橋かけ二環式化合物(bridged bicyclic compound)として、アザビシクロ化合物、ジアザビシクロ化合物、トリアザビシクロ化合物などを含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記アザビシクロ化合物は、それぞれ炭素数3~13を有するアザビシクロアルカン又はアザビシクロアルケン等を含むことができる。前記ジアザビシクロ化合物は、それぞれ炭素数2~12を有するジアザビシクロアルカン又はジアザビシクロアルケン等を含むことができる。前記トリアザビシクロ化合物は、それぞれ炭素数2~11を有するトリアザビシクロアルカン又はトリアザビシクロアルケン等を含むことができる。
【0046】
例えば、前記環状アミン系化合物は、アザビシクロ(Azabicyclo-)、ジアザビシクロ(Diazabicyclo-)およびトリアザビシクロ(Triazabicyclo-)のうちの1つの構造を有し、炭素数および結合数によって、ブタン(-butane)、ペンタン(-pentane)、ヘキサン(-hexane)、ヘプタン(-heptane)、オクタン(-octane)、ノナン(-nonane)、デカン(-decane)、ウンデカン(-undecane)、ドデカン(-dodecane)、トリデカン(-tridecane)、テトラデカン(-tetradecane)、ノネン(-nonene)、デセン(-decene)、ウンデセン(-undecene)のうちの1つからなる群より選択される1つ以上の構造を含むことができる。
【0047】
前記環状アミン系化合物の例としては、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1,8-アザビシクロ[6.3.2]トリデカン、11-アザビシクロ[4.4.1]ウンデカン-1,3,5,7,9-ペンテンなどのモノアザビシクロ系化合物;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、2,8-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,4-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,4-ジアザビシクロ[3.2.2]ノナン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、3-ベンジル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンなどのジアザビシクロ系化合物;1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンなどのトリアザビシクロ系化合物などが挙げられる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
例示的な実施形態では、前記アミン系化合物の含有量は、エッチング液組成物の全重量に対して約1重量%~30重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、前記アミン系化合物の含有量は、エッチング液組成物の全重量に対して約5重量%~15重量%であってもよい。前記範囲内では、アミン系化合物がエッチング対象の表面を親水化することができ、それによりエッチング速度を向上させることができる。
【0049】
前記シリコンエッチング液組成物は、非イオン性界面活性剤を含むことができる。前記非イオン性界面活性剤は、シリコン膜の表面張力を下げてエッチング工程で発生する泡、バブルを抑制することができる。
【0050】
例示的な実施形態によれば、前記非イオン性界面活性剤は、下記化学式1で表され、nが1~2である第1の非イオン性界面活性剤;下記化学式1で表され、nが3~5である第2の非イオン性界面活性剤;および、下記化学式1で表され、nが6~8である第3の非イオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも2つを含むことができる。
【0051】
【0052】
前記化学式1中、Rは、C3~C18の線状若しくは分枝状のアルキル基、C3~C18の環状アルキル基、またはC6~C18のアリール基であってもよい。
【0053】
前記分岐状アルキル基、環状アルキル基およびアリール基は、それぞれ独立して置換されても非置換であってもよい。
【0054】
前記化学式1において、Rは疎水性基であってもよい。前記疎水性基はシリコン膜表面への吸着を促進することができ、エッチング工程中に発生する泡、バブルを除去または脱着することができる。前記シリコン膜表面での吸着を向上させるために、前記疎水性基は相対的に低分子量の構造を有することができる。例えば、前記Rは、炭素数10以下の線状若しくは分岐状のアルキル基、環状アルキル基またはアリール基であってもよい。
【0055】
例えば、前記Rは、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、テトラブチル基、エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、イソトリデシル基、セチル基、ステアリル基などのC3~C18の線状若しくは分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのC3~C18の環状アルキル基;フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、オクチルフェニル基などのC6~C18のアリール基などであってもよい。例示的な実施形態では、前記Rはフェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基またはオクチルフェニル基であってもよい。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記RはC3~C18の環状アルキル基またはC6~C18のアリール基であってもよい。一実施形態では、前記RはC6~C18のアリール基であってもよく、例えばフェニル基であってもよい。
【0057】
前記化学式1において、ポリエチレングリコール基は親水性基であってもよい。前記親水性基は、エッチング液組成物中で前記非イオン性界面活性剤の浸透力を向上させることができる。例えば、前記非イオン性界面活性剤がシリコン膜の表面に吸着すると同時に、前記親水性基によって水酸化イオンの浸透を促進することができる。
【0058】
前記ポリエチレングリコール基の繰り返し数(n)によって、非イオン性界面活性剤の特性が異なり得る。例えば、nが1~2である第1の非イオン性界面活性剤は、親水性基が短く、エッチング対象物の表面とエッチング液組成物との接触を阻害することがなく、エッチング速度を改善することができる。
【0059】
nが3~5である第2の非イオン性界面活性剤は、エッチング対象物の表面を親水化することができ、エッチング液組成物のパターン浸透力及びエッチング性能を改善することができる。
【0060】
nが6~8である第3の非イオン性界面活性剤は、エッチング対象物の表面親水化効率が高く、エッチング対象物の表面粗さを減少させることができる。
【0061】
前記非イオン性界面活性剤は、前記第1の非イオン性界面活性剤ないし第2の非イオン性界面活性剤のうちの2種以上を含むことができる。親水性基の長さが異なる2種以上の非イオン性界面活性剤を用いることにより、エッチング液組成物の性能を多面的に改善することができる。
【0062】
例示的な実施形態では、前記非イオン性界面活性剤は、前記第2の非イオン性界面活性剤を含み、前記第1の非イオン性界面活性剤または前記第3の非イオン性界面活性剤をさらに含むことができる。一実施形態では、前記非イオン性界面活性剤は、前記第1の非イオン性界面活性剤、前記第2の非イオン性界面活性剤、および前記第3の非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0063】
例示的な実施形態によれば、前記非イオン性界面活性剤の含有量は、前記組成物の全重量に対して0.01重量%~0.2重量%であってもよい。いくつかの実施形態によれば、前記非イオン性界面活性剤の含有量は、前記組成物の全重量に対して0.05重量%~0.15重量%であってもよい。前記範囲内では、エッチング対象物の表面の表面張力を効果的に下げることができ、それにより、エッチング液組成物のパターン浸透力を増加させることができる。
【0064】
例示的な実施形態によれば、前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第1の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.1~0.2であってもよい。いくつかの実施形態によれば、前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第1の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.12~0.17であってもよい。前記範囲内では、エッチング液組成物のエッチング速度を改善しながらもエッチング対象物の表面粗さの増加を防止することができる。
【0065】
例示的な実施形態によれば、前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第3の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.08~0.17であってもよい。いくつかの実施形態によれば、前記第2の非イオン性界面活性剤の重量に対する前記第3の非イオン性界面活性剤の重量の比は0.10~0.15であってもよい。前記範囲内では、エッチング液組成物のパターン浸透力が低下しないようにすることができる。また、非イオン性界面活性剤がエッチング対象物の表面に過度に吸着することがなく、エッチング速度の低下を防止することができる。
【0066】
例示的な実施形態によれば、前記非イオン性界面活性剤は、前記化学式1で表され、nが8である非イオン性界面活性剤を含まなくてもよい。化学式1のnが8である非イオン性界面活性剤の場合は、親水性基の長さが長くエッチング対象物の表面に過度に吸着することがあり、それにより、エッチング阻害剤として作用することがある。
【0067】
前記エッチング液組成物は、余分または残量の水(例えば、脱イオン水)を含むことができる。本発明で使用される用語「余分」または「残量」は、成分または製剤の追加によって変化する可変量を指すことができる。例えば、前述の第4級アルキルアンモニウム水酸化物、アミン系化合物および非イオン性界面活性剤を除いた残りの量、または第4級アルキルアンモニウム水酸化物、アミン系化合物、非イオン性界面活性剤および他の添加剤を除いた残りの量を意味し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、水は半導体工程用脱イオン水(Deionized water)を含むことができ、例えば、比抵抗の値が18MΩ/cm以上の脱イオン水を使用することができる。
【0069】
前記エッチング液組成物は、第4級アルキルアンモニウム水酸化物、アミン系化合物及び非イオン性界面活性剤のエッチング性能、表面張力の減少、バブルの除去効果などを阻害しない範囲内で添加剤をさらに含んでもよい。前記添加剤は、例えば、エッチング促進剤、腐食防止剤、pH調整剤などを含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、前記シリコンエッチング液組成物のpHは約11~14の範囲に調整することができる。前記pHの範囲内では、エッチング対象膜であるシリコン膜以外の他の絶縁構造、半導体パターン、基板などの損傷を抑制することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、前述のエッチング液組成物は二液型組成物で製造することができる。例えば、アミン系化合物と非イオン性界面活性剤を混合することにより、予備エッチング液組成物を調製することができる。前記予備エッチング液組成物または前記シリコン膜エッチング液用添加剤の混合物を第4級アルキルアンモニウム水酸化物水溶液と混合することができる。これにより、相対的に濃縮された前記予備エッチング液組成物からターゲット含有量組成を有する前記シリコンエッチング液組成物を調製することができる。
【0072】
これにより、前記アミン系化合物と非イオン性界面活性剤を先に混合して安定化させることができる。これにより、前記アミン系化合物および非イオン性界面活性剤が第4級アルキルアンモニウム水酸化物と先に接触して活性が阻害されることを防ぐことができる。
【0073】
例示的な実施形態によれば、前記シリコンエッチング液組成物の単結晶シリコン膜に対するエッチング速度は、4000Å/min以上であってもよい。いくつかの実施形態では、前記シリコンエッチング液組成物の単結晶シリコン膜に対するエッチング速度は、5000Å/min以上、または6000Å/min以上であってもよい。前記範囲内では、エッチング工程の効率性および製品の生産性を向上しながら、エッチング工程を効果的に制御することができる。
【0074】
前記エッチング液組成物を使用するシリコン膜のエッチングは、当技術分野で通常知られている方法によって行うことができる。例えば、バッチタイプ(batch type)のエッチング装置またはシングルタイプ(single type)のエッチング装置において、沈積、噴霧、または沈積および噴霧を用いた方法などを用いることができる。しかし、エッチングの方法および条件は特に限定されず、当業者によって適宜調整できる。
【0075】
図1~
図7は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を説明するための概略断面図である。
【0076】
しかし、例示的な実施形態によるエッチング液組成物は、
図1~
図7の工程に限定的に使用されるのではなく、配線、コンタクト、ゲートなどの様々な構造物またはパターン形成工程に活用できる。
【0077】
図1~
図3は、例示的な実施形態による半導体素子の製造方法を説明するための概略断面図である。
【0078】
図1を参照すると、前記基板100上に絶縁膜110を形成することができ、前記絶縁膜110上にシリコン含有膜120を形成することができる。
【0079】
基板100は、単結晶シリコン、単結晶ゲルマニウムなどの半導体物質を含むことができ、ポリシリコンを含むことができる。
【0080】
絶縁膜110は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ポリシロキサンなどの絶縁物質を含むように形成できる。例えば、絶縁膜110は、化学気相蒸着(CVD)工程、スパッタリング(sputtering)工程、物理気相蒸着(PVD)工程、原子層蒸着(ALD)工程などによって形成することができる。
【0081】
前記シリコン含有膜120は、単結晶シリコン、ポリシリコン、または非晶質シリコンを含むことができる。
【0082】
図2を参照すると、前記シリコン含有膜120上にシリコン保護膜130を形成することができる。前記シリコン保護膜130は、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を含むように形成できる。例えば、シリコン保護膜130は、CVD工程、スパッタリング工程、PVD工程、ALD工程などによって形成できる。
【0083】
前記シリコン保護膜130を部分的にエッチングすることにより、マスクパターン132を形成することができる。例えば、前記シリコン保護膜130の一部は、前記シリコン含有膜120の上面の一部が露出するまで部分的にエッチングすることができる。
【0084】
図3を参照すると、前述の例示的な実施形態によるエッチング液組成物を使用してシリコン含有膜120を部分的に除去することができる。これにより、シリコン含有膜120からゲートパターン122を形成することができる。
【0085】
図4~
図7は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を説明するための概略断面図である。具体的には、
図4~
図7は、例示的な実施形態によるSTI(shallow trench isolation)の形成方法を説明するための概略断面図である。
【0086】
図4を参照すると、基板200上にシリコン保護膜210を形成することができる。
【0087】
前記基板200は、単結晶シリコン、ポリシリコンまたは非晶質シリコンを含むシリコン基板であってもよい。
【0088】
前記シリコン保護膜210は、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を含むことができる。この場合、シリコン保護膜が基板200の上面を覆うように化学気相蒸着(CVD)工程、スパッタリング(sputtering)工程、物理気相蒸着(PVD)工程、原子層蒸着(ALD)工程などによって形成することができる。
【0089】
図5を参照すると、前記シリコン保護膜210を部分的にエッチングしてマスクパターン215を形成することができる。例えば、前記シリコン保護膜210の一部は、前記基板200の上面の一部が露出するまでエッチングすることができる。
【0090】
図6を参照すると、前述の例示的な実施形態によるエッチング液組成物を使用して基板200の上部を部分的にエッチングすることができる。これにより、基板200の内部にトレンチ220を形成することができる。
【0091】
前述のように、前記エッチング液組成物を用いてマスクパターン215に対するエッチングを防止し、基板200の上部のみを選択的にエッチングすることができる。これにより、例えば、ナノスケールの微細エッチング工程において基板200の上部をエッチング不良なしに除去し、高信頼性のエッチング工程を行うことができる。
【0092】
図7を参照すると、前記トレンチ220の内部には絶縁パターン230を形成することができる。
【0093】
前記絶縁パターン230は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ポリシロキサンなどを含む絶縁物質を含むように形成できる。例えば、前記絶縁物質は、トレンチ220の内部に充填されるようにCVD工程、スパッタリング工程、PVD工程、ALD工程などによって形成することができる。
【0094】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、これらの実施例は単に本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で実施例に対する様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【実施例0095】
実施例及び比較例
下記表1及び表2に示す組成でシリコンエッチング液組成物を調製した。残量の水を添加して組成物100重量部となるようにした。
【0096】
【0097】
【0098】
上記の表1及び表2に示す成分は以下の通りである。
A-1:テトラメチルアンモニウム水酸化物(Tetramethylammonium hydroxide)
A-2:テトラエチルアンモニウム水酸化物(Tetraethylammonium hydroxide)
B-1:ポリエチレングリコールフェニルエーテル(n=約2)(Polyethylene glycol phenyl ether)
B-2:ポリエチレングリコールフェニルエーテル(n=約4)(Polyethylene glycol phenyl ether)
B-3:ポリエチレングリコールフェニルエーテル(n=約6)(Polyethylene glycol phenyl ether)
B-4:ポリエチレングリコールフェニルエーテル(n=約8)(Polyethylene glycol phenyl ether)
B-5:ポリエチレングリコールβ-ナフチルエーテル(n=約4)(Polyethylene glycol beta-naphthly ether)
B-6:ポリエチレングリコールラウリルエーテル(n=約4)(Polyethylene glycol lauryl ether)
B-7:ポリエチレングリコールtert-オクチルフェニルエーテル(n=約10)(Polyethylene glycol tert-octyl phenyl ether)
B-8:ポリエチレングリコールオレイルエーテル(n=約4)(Polyethylene glycol oleyl ether)
C-1: 1-アミノ-2-プロパノール(1-amino-2-propanol)
C-2:2,3-ブタンジオール(2,3-butanediol)
【0099】
実験例1:シリコンに対するエッチング速度の評価
シリコンが6000Åの厚さに蒸着されたシリコンウェーハを1.5cm×1.5cmの大きさに切って試片を準備した。前記試片を前記実施例および比較例のエッチング液組成物に70℃、400rpmの条件で30秒間浸漬した。
【0100】
次いで、試片を取り出して水で洗浄し、大気(air)中で乾燥した後、エリプソメーターを用いてシリコンの膜厚を測定した。その後、浸漬前後の膜厚の変化値からシリコン膜のエッチング速度を計算した。エッチング速度は以下の基準で評価した。
【0101】
<評価基準>
◎◎:エッチング速度が6000Å/min以上
◎:エッチング速度が6000Å/min未満~5000Å/min以上
○:エッチング速度が5000Å/min未満~4000Å/min以上
△:エッチング速度が4000Å/min未満~3000Å/min以上
Х:エッチング速度が3000Å/min未満
【0102】
実験例2:シリコンのエッチング後の表面粗さの評価
AFM(Atomic Force Microscopy)を用いて、実験例1のエッチング後のシリコンウェーハの表面粗さ(Rq、Root Mean Square)を測定した。表面粗さは以下の基準で評価した。
【0103】
<評価基準>
◎:10Å以下
○:10Å超え~30Å以下
△:30Å超え~50Å以下
Х:50Å超え
【0104】
実験例3:シリコンパターンのエッチング均一性の評価
アスペクト比(Aspect Ratio)が約20である2種のパターン(パターンA:CDが約50nm、パターンB:CDが約100nm)におけるエッチング速度を比較し、エッチング組成物の浸透力の差によるエッチング均一性を評価した。
【0105】
各パターンにおけるシリコンエッチング速度を求め、下記式に従ってエッチング均一度を算出し、以下の基準でエッチング均一性を評価した。
【0106】
[式]
エッチング均一度=(パターンBのエッチング速度-パターンAのエッチング速度)/(パターンBのエッチング速度+パターンAのエッチング速度)
【0107】
<評価基準>
◎:0.3以下
○:0.3超え~0.5以下
△:0.5超え~0.7以下
X:0.7超え
【0108】
実験例4:非イオン性界面活性剤の残留の評価
シリコン表面の残留物を評価するために、エッチング評価が完了した試片を準備し、FT-IR分析を行った。非イオン性界面活性剤に由来するポリエチレンオキシドを分析し、非イオン性界面活性剤の残留を以下の基準により評価した。
【0109】
<評価基準>
X:残留物なし
O:残留物あり
【0110】
評価の結果を下記の表3及び4に示す。
【0111】
【0112】
【0113】
表1~4を参照すると、実施例では増加されたエッチング速度が確保され、エッチング対象の表面に残留物が発生しなかった。また、エッチング後のシリコンウェーハの表面の粗さが減少し、パターンエッチングの均一性が向上した。
【0114】
1種の非イオン性界面活性剤を含むシリコンエッチング液を使用した比較例1~8では、シリコンエッチングの均一性が低下したり、エッチング速度が過度に減少したり、ウェーハの表面に残留物が発生した。
【0115】
第2の非イオン性界面活性剤を含む一方、第1の非イオン性界面活性剤または第3の非イオン性界面活性剤を含まないエッチング液組成物を使用した比較例9では、エッチング速度が減少し、表面残留物も発生した。
【0116】
第4級アルキルアンモニウム水酸化物またはアミン系化合物を含まないシリコンエッチング液組成物を使用した比較例10及び11では、エッチング速度、表面粗さ及びパターンエッチングの均一性がすべて劣化した。