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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120171
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】オーディオ処理
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/10 20060101AFI20240828BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240828BHJP
   H03G 3/02 20060101ALI20240828BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
H03G3/10 A
H04R3/00 320
H03G3/02 A
H03M1/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024025153
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】63/486664
(32)【優先日】2023-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】512262569
【氏名又は名称】ブラックマジック デザイン ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Blackmagic Design Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル パリ キラニス
【テーマコード(参考)】
5D220
5J022
5J100
【Fターム(参考)】
5D220BA01
5D220BA30
5J022AA01
5J022CA01
5J100AA08
5J100BA01
5J100BB07
5J100BC05
5J100CA06
5J100CA11
5J100CA21
5J100CA28
5J100FA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ゲイン調整時にジッパーノイズを低減または排除するオーディオ処理システム及びオーディオ処理装置を提供する。
【解決手段】オーディオ処理システム100は、平衡アナログオーディオ信号を受信するための入力12と、第1の固定ゲインおよび第1のダイナミックレンジを有するアナログ増幅段102と、、アナログ増幅段の第1のダイナミックレンジと一致する第2のダイナミックレンジを有するアナログデジタル変換段104と、を含む。ユーザ選択可能ゲインを可能にするために、デジタルゲイン段を設けることもできる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ処理システムであって、
平衡アナログオーディオ信号を受信するための入力と、
第1のダイナミックレンジおよび-11dB~10dBの第1の固定ゲインを有するアナログ増幅段と、
前記アナログ増幅段の前記第1のダイナミックレンジと一致する第2のダイナミックレンジを有するアナログデジタル変換段と、
を備える、オーディオ処理システム。
【請求項2】
前記アナログ増幅段の前記第1の固定ゲインが、-5dB~+7dBである、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項3】
前記アナログ増幅段の前記第1の固定ゲインが、4dB~5dBである、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項4】
前記アナログ増幅段の前記第1の固定ゲインが約4dBである、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項5】
前記アナログデジタル変換段は、各々が前記第2のダイナミックレンジよりも低い第3のダイナミックレンジを有する複数のアナログデジタル変換器(ADC)を備え、前記複数のADCの出力は、前記第2のダイナミックレンジを有するデジタル出力を提供するためにデジタル平均化される、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項6】
前記アナログ増幅段は、
第2の固定ゲインを有するアナログプリアンプ段と、
第3の固定ゲインを有するアナログ減衰器段と、を備え、
前記第2の固定ゲインおよび前記第3の固定ゲインが組み合わされて前記第1の固定ゲインを提供する、
請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項7】
前記入力と前記アナログ増幅段との間に切り替え可能減衰段をさらに備え、前記切り替え可能減衰段は、前記アナログ増幅段の前に入力信号の固定減衰が提供されるアクティブ状態と、前記切り替え可能減衰段が前記アナログ増幅段の前に前記入力信号のさらなる減衰を提供しない非アクティブ状態との間で切り替え可能である、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項8】
前記アナログデジタル変換段のデジタル出力を修正し、前記アナログデジタル変換段からの前記デジタル出力にデジタルゲインを適用するように構成されたデジタルゲイン段をさらに備える、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項9】
前記デジタルゲイン段は、ユーザ選択ゲインレベルを受信し、それに応じて前記アナログデジタル変換段の前記デジタル出力にデジタルゲインを適用するように構成されている、請求項8に記載のオーディオ処理システム。
【請求項10】
前記デジタルゲイン段は、ユーザ選択ゲインレベルを受信し、前記ユーザ選択ゲインレベルに一致する前記アナログデジタル変換段の前記デジタル出力にデジタルゲインを適用するように構成されている、請求項9に記載のオーディオ処理システム。
【請求項11】
前記デジタルゲイン段は、初期デジタルゲインレベルで動作している間にユーザ選択ゲインレベルを受信し、前記ユーザ選択ゲインレベルの受信に応答して、前記アナログデジタル変換段の前記デジタル出力に適用されるデジタルゲインレベルを、前記初期デジタルゲインレベルから前記ユーザ選択ゲインレベルに変化させるように構成されている、請求項9に記載のオーディオ処理システム。
【請求項12】
前記デジタルゲイン段は、
所定のゲインステップ、
前記ユーザ選択ゲインレベルと前記初期デジタルゲインレベルとの間の差に少なくとも部分的に基づいて決定されるステップ、または
所定の変動関数、
のうちの任意の1つまたは複数を使用して、前記アナログデジタル変換段の前記デジタル出力に適用される前記デジタルゲインレベルを、前記初期デジタルゲインレベルから前記ユーザ選択ゲインレベルに変化させるように構成されている、請求項9に記載のオーディオ処理システム。
【請求項13】
前記デジタルゲイン段は、動的に変化するユーザ選択ゲインレベルを受信し、前記動的に変化するユーザ選択ゲインレベルに従う前記アナログデジタル変換段の前記デジタル出力にデジタルゲインを適用するように構成されている、請求項9に記載のオーディオ処理システム。
【請求項14】
前記デジタルゲイン段は、前記ユーザ選択ゲインレベルを受信するための入力装置を含む、請求項9に記載のオーディオ処理システム。
【請求項15】
前記入力装置は、ロータリエンコーダと、1つまたは複数のボタンと、キーボードと、2つ以上の選択可能な位置を有するスイッチと、ゲイン選択ユーザインターフェース要素を表示するように適合されたタッチスクリーンとを備える、請求項14に記載のオーディオ処理システム。
【請求項16】
前記デジタルゲイン段は、前記アナログデジタル変換段の前記デジタル出力に適用される前記デジタルゲインを1dB未満のステップで調整するように構成されている、請求項8に記載のオーディオ処理システム。
【請求項17】
前記デジタルゲイン段は、前記アナログデジタル変換段の前記出力に適用される前記デジタルゲインを0.001dB超のステップで調整するように構成されている、請求項16に記載のオーディオ処理システム。
【請求項18】
前記デジタルゲイン段は、前記アナログデジタル変換段の前記出力に適用される前記デジタルゲインを0.1dBより小さいステップで調整するように構成されている、請求項17に記載のオーディオ処理システム。
【請求項19】
前記デジタルゲイン段は、前記アナログデジタル変換段の前記出力に適用されるデジタルゲインを0.005dBより大きいステップで調整するように構成されている、請求項18に記載のオーディオ処理システム。
【請求項20】
前記デジタルゲイン段は、前記アナログデジタル変換段の前記出力に適用される前記デジタルゲインを0.01dBまたは約0.01dBのステップで調整するように構成されている、請求項7に記載のオーディオ処理システム。
【請求項21】
前記入力は、マイクロフォンから接続を受信するためのコネクタを備える、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項22】
入力源に電力を供給するために前記入力と前記アナログ増幅段との間に接続可能なファントム電源をさらに備える、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項23】
マイクロフォンプリアンプのチャネル用の前記オーディオ処理システムの少なくとも一部を備える、請求項1に記載のオーディオ処理システム。
【請求項24】
マルチチャネルマイクロフォンプリアンプのチャネル用の前記オーディオ処理システムの少なくとも一部を備える、請求項20に記載のオーディオ処理システム。
【請求項25】
請求項1に記載のオーディオ処理システムを少なくとも1つ含む、オーディオ処理装置。
【請求項26】
請求項1に記載のオーディオ処理システムを複数含むオーディオ処理装置であって、各オーディオ処理システムは、前記オーディオ処理装置のオーディオ処理チャネルを備える、オーディオ処理装置。
【請求項27】
前記オーディオ処理装置は、マイクロフォン、楽器、信号発生器、オーディオトランスデューサのうちの任意の1つまたは複数からアナログ信号を受信するように適合されたプリアンプを備える、請求項25または26に記載のオーディオ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オーディオ処理に関する。例示的な実施形態は、オーディオ信号を増幅するための装置に関する。1つの形態では、装置は、マイクロフォンまたは他のソースからアナログ信号を受信するように適合されたプリアンプとして説明される。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のプリアンプチャネル10を示す概略ブロック図である。
【0003】
プリアンプ10は、トランスデューサ(図示せず)からのオーディオ信号を表すアナログ信号を受信する入力12を備える。トランスデューサは、例えば、マイクロフォン、または電気楽器、信号発生器などからのピックアップであってもよい。
【0004】
入力12は減衰器14に接続されている。減衰器14は、入力信号の一定の低減、例えば-20dBの低減を提供する。減衰器14は、システムがより高い出力のファントム駆動マイクロフォンから、または楽器もしくはオーディオラインレベルソースから、きわめて高い入力信号レベルに対応することを可能にする機構を提供する。
【0005】
図1の実施形態では、オプションのファントム電源20も示されている。ファントム電源20は、入力電力を必要とする電源に選択的に電力を供給するために切り替え可能であってもよい。
【0006】
次に、信号対はアナログプリアンプ回路16に供給される。プリアンプ16は、広い入力信号レベル範囲に対応するように、その入力信号に可変ゲインを適用することを可能にする。プリアンプ16のゲインは、離散的なステップで0~+60dBの間でデジタル制御される。ゲインステップは、典型的には±1dBであるが、いくつかのシステムは異なるステップサイズ(例えば±2dBまたは±3dB)を使用する。このサイズのステップは、ユーザにとって便利であるが、このゲインステップサイズは、ゲイン遷移中に可聴クリック音を生成し、変更が急速に行われる場合にはジッパーのようなノイズを生成する可能性があるため、理想的ではない。
【0007】
次に、デジタル出力を必要とする実施形態では、アナログ差動信号対がプリアンプ16から出力され、ADC18の入力に提供される。アナログオーディオ信号は、オーディオADCによってデジタル化される。典型的には、ハイエンド差動入力ADCの現在の最大ダイナミックレンジは123dBで、これは多くの用途に対して十分に良好に機能する。しかしながら、これは多くのマイクロフォンに実際に存在するより高いダイナミックレンジを完全には捕捉しない。
【0008】
図2は、プリアンプチャネル10のさらなる詳細を提供する。図1と共通の特徴は、同じ参照番号でラベル付けされており、簡潔にするために再度説明しない。図2のプリアンプチャネル10は、プリアンプ回路16のさらなる詳細を示している。
【0009】
図から分かるように、プリアンプ回路16の構造は、差動アンプの構造である。この実施形態では、差動アンプ構造は、第1のオペアンプ20および第2のオペアンプ22を含む。オペアンプ20、22は、それぞれフィードバックレジスタRfb1、Rfb2を有する。便宜上、レジスタの名前/参照(例えば、Rfb1、Rfb2、Rg)も、前記レジスタの番号の代わりとして使用される。フィードバックレジスタRfb1、Rfb2とオペアンプ20、22の反転入力とは、レジスタRgで接続されている。プリアンプ回路16のゲインは、レジスタフィードバック経路の総抵抗(Rg+Rfb1+Rfb2)をRgの抵抗で除算することにより決定される。Rgが(Rg+Rfb1+Rfb2)と比較して小さくなるにつれて、プリアンプのゲインは大きくなり、その逆も同様である。したがって、1つまたは複数のRg、またはRgおよびフィードバックレジスタ(Rfb1、Rfb2)は、この差動プリアンプ段の全体的なゲインを増減するように変更することができる。この変更は、レジスタのネットワークおよび関連するスイッチングシステムを使用して、それに応じて印加される抵抗を変更することによって達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したように、ゲインが±1dB増分でステップされると、アナログ電圧レベルの突然の変化に起因して可聴クリック音が生成され、特徴的な「ジッパー」ノイズを生成する。理論的には、この欠点は、より小さいゲインステップの使用によって改善することができるが、これは必要なゲインステップの数を増加させ、その結果、プリアンプ回路16のレジスタネットワーク内のレジスタの数およびレジスタの数の増加に伴うスイッチングシステムの複雑さを増加させる。したがって、実際には、これは非実用的で商業的に実行不可能な解決策である。
【0011】
さらに、そのような差動アンプ構造は、典型的には、「Rg」がその最低値にあるときにプリアンプ入力ノイズが最も低くなるので、高ゲインが有利になる。その結果、ゲインが低いとプリアンプの入力ノイズレベルが高くなり、信号経路のダイナミックレンジも制限される。
【0012】
このセクションに記載されたシステム、装置、方法および手法、ならびにそれらの構成要素は、本発明者らに知られている。したがって、別段の指示がない限り、記載されているそのようなシステム、装置、方法、手法またはそれらの構成要素のいずれも、単にこのセクションに含まれることによって先行技術として引用可能であると仮定すべきではなく、またはそのようなシステム、装置、方法、手法および構成要素が、当業者に通常知られているであろうと仮定すべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
添付の特許請求の範囲に記載された特徴の様々な組み合わせは、本開示の様々な態様の概要として役立つ。
項1.オーディオ処理システムであって、
平衡アナログオーディオ信号を受信するための入力と、
第1のダイナミックレンジおよび-11dB~10dBの第1の固定ゲインを有するアナログ増幅段と、
アナログ増幅段の前記第1のダイナミックレンジと一致する第2のダイナミックレンジを有するアナログデジタル変換段と、を備えるオーディオ処理システム。
項2.アナログ増幅段の第1の固定ゲインが-5dB~+7dBである、項1に記載のオーディオ処理システム。
項3.アナログ増幅段の第1の固定ゲインが4dB~5dBである、項1に記載のオーディオ処理システム。
項4.アナログ増幅段の第1の固定ゲインが約4dBである、項1に記載のオーディオ処理システム。
項5.アナログデジタル変換段は、各々が第2のダイナミックレンジよりも低い第3のダイナミックレンジを有する複数のアナログデジタル変換器(ADC)を備え、複数のADCの出力は、第2のダイナミックレンジを有するデジタル出力を提供するためにデジタル平均化される、項1から4のいずれか一項に記載のオーディオ処理システム。
項6.アナログ増幅段は、
第2の固定ゲインを有するアナログプリアンプ段と、
第3の固定ゲインを有するアナログ減衰器段と、を備え、
第2の固定ゲインおよび第3の固定ゲインが組み合わされて第1の固定ゲインを提供する、項1から5のいずれか一項に記載のオーディオ処理システム。
項7.入力とアナログ増幅段との間に切り替え可能減衰段をさらに備え、前記切り替え可能減衰段は、アナログ増幅段の前に入力信号の固定減衰が提供されるアクティブ状態と、切り替え可能減衰段がアナログ増幅段の前に入力信号のさらなる減衰を提供しない非アクティブ状態との間で切り替え可能である、項1から6のいずれか一項に記載のオーディオ処理システム。
項8.アナログデジタル変換段のデジタル出力を変更し、アナログデジタル変換段からのデジタル出力にデジタルゲインを適用するように構成されたデジタルゲイン段をさらに備える、項1から7のいずれか一項に記載のオーディオ処理システム。
項9.デジタルゲイン段は、ユーザ選択ゲインレベルを受信し、それに応じてアナログデジタル変換段のデジタル出力にデジタルゲインを適用するように構成されている、項8に記載のオーディオ処理システム。
項10.デジタルゲイン段は、ユーザ選択ゲインレベルを受信し、ユーザ選択ゲインレベルに一致するアナログデジタル変換段のデジタル出力にデジタルゲインを適用するように構成されている、項9に記載のオーディオ処理システム。
項11.デジタルゲイン段は、初期デジタルゲインレベルで動作している間にユーザ選択ゲインレベルを受信し、ユーザ選択ゲインレベルの受信に応答して、アナログデジタル変換段のデジタル出力に適用されるデジタルゲインレベルを、前記初期デジタルゲインレベルからユーザ選択ゲインレベルに変化させるように構成されている、項9に記載のオーディオ処理システム。
項12.デジタルゲイン段は、
所定のゲインステップ、
ユーザ選択ゲインレベルと初期デジタルゲインレベルとの間の差に少なくとも部分的に基づいて決定されるステップ、または
所定の変動関数、のうちの任意の1つまたは複数を使用して、アナログデジタル変換段のデジタル出力に適用されるデジタルゲインレベルを、前記初期デジタルゲインレベルからユーザ選択ゲインレベルに変化させるように構成されている、項9に記載のオーディオ処理システム。
項13.デジタルゲイン段は、動的に変化するユーザ選択ゲインレベルを受信し、動的に変化するユーザ選択ゲインレベルに従うアナログデジタル変換段のデジタル出力にデジタルゲインを適用するように構成されている、項9に記載のオーディオ処理システム。
項14.デジタルゲイン段は、ユーザ選択ゲインレベルを受信するための入力装置を含む、項9に記載のオーディオ処理システム。
項15.入力装置は、ロータリエンコーダと、1つまたは複数のボタンと、キーボードと、2つ以上の選択可能な位置を有するスイッチと、ゲイン選択ユーザインターフェース要素を表示するように適合されたタッチスクリーンとを備える、項14に記載のオーディオ処理システム。
項16.デジタルゲイン段は、アナログデジタル変換段のデジタル出力に適用されるデジタルゲインを1dB未満のステップで調整するように構成されている、項8に記載のオーディオ処理システム。
項17.デジタルゲイン段は、アナログデジタル変換段の出力に適用されるデジタルゲインを0.001dB超のステップで調整するように構成されている、項16に記載のオーディオ処理システム。
項18.デジタルゲイン段は、アナログデジタル変換段の出力に適用されるデジタルゲインを0.1dBより小さいステップで調整するように構成されている、項17に記載のオーディオ処理システム。
項19.デジタルゲイン段は、アナログデジタル変換段の出力に適用されるデジタルゲインを0.005dBより大きいステップで調整するように構成されている、項18に記載のオーディオ処理システム。
項20.デジタルゲイン段は、アナログデジタル変換段の出力に適用されるデジタルゲインを約0.01dBまたは約0.01dBのステップで調整するように構成されている、項7に記載のオーディオ処理システム。
項21.前記入力は、マイクロフォンから接続を受信するためのコネクタを備える、項1から20のいずれかに記載のオーディオ処理システム。
項22.入力源に電力を供給するために前記入力と前記アナログ増幅段との間に接続可能なファントム電源をさらに備える、項1から21のいずれかに記載のオーディオ処理システム。
項23.マイクロフォンプリアンプのチャネル用のオーディオ処理システムの少なくとも一部を備える、項1から22のいずれかに記載のオーディオ処理システム。
項24.マルチチャネルマイクロフォンプリアンプのチャネル用のオーディオ処理システムの少なくとも一部を備える、項20に記載のオーディオ処理システム。
項25.項1から24のいずれか一項に記載の少なくとも1つのオーディオ処理システムを含む、オーディオ処理装置。
項26.項1から25のいずれか一項に記載の複数のオーディオ処理システムを含むオーディオ処理装置であって、各オーディオ処理システムは、オーディオ処理装置のオーディオ処理チャネルを備える、オーディオ処理装置。
項27.オーディオ処理装置は、マイクロフォン、楽器、信号発生器、オーディオトランスデューサのうちの任意の1つまたは複数からアナログ信号を受信するように適合されたプリアンプを備える、項25または26に記載のオーディオ処理装置。
【0014】
本明細書に開示された本発明は、様々な修正および代替形態に従うことができるが、特定の実施形態は、例として図面に示され、詳細に説明される。しかしながら、図面および詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。さらに、本明細書または図面で言及されたまたはこれらから明らかな個々の特徴の2つ以上のすべての代替的な組み合わせは、特許請求の範囲の主題を形成し得る追加の態様または本発明の開示を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】オーディオ処理システムの概略的なブロック図である。
【0016】
図2】詳細が追加された図1のオーディオ処理システムの概略ブロック図である。
【0017】
図3】第1の実施形態のオーディオ処理システムの概略ブロック図である。
【0018】
図4】第2の実施形態のオーディオ処理システムの概略ブロック図である。
【0019】
図5】第3の実施形態のオーディオ処理システムの概略ブロック図である。
【0020】
図6】第4の実施形態のオーディオ処理システムの概略ブロック図である。
【0021】
図7】第5の実施形態のオーディオ処理システムの概略ブロック図である。
【0022】
図8A】実施形態のシステムパラメータを示す、実施形態のオーディオ処理システムの概略ブロック図である。
図8B】実施形態のシステムパラメータを示す、実施形態のオーディオ処理システムの概略ブロック図である。
【0023】
図9】5つのさらなる実施形態のための5つのさらなるパラメータのセットを示す。
【0024】
図10A】一実施形態のADC段の実施形態を示す。
図10B】一実施形態のADC段の実施形態を示す。
図11A】一実施形態のADC段の実施形態を示す。
図11B】一実施形態のADC段の実施形態を示す。
【0025】
図12A】本開示の一実施形態に従って作製された装置を示す。
図12B】本開示の一実施形態に従って作製された装置を示す。
図12C】本開示の一実施形態に従って作製された装置を示す。
【0026】
図13】一実施形態のためのグラフィカルユーザインターフェースのウィンドウを示す。
【0027】
図14A】一実施形態の複数のオーディオ処理装置をリンクするためのスキームを示す。
図14B】一実施形態の複数のオーディオ処理装置をリンクするためのスキームを示す。
【0028】
図15】4チャネルオーディオ処理装置の一実施形態のための監視インターフェースを示す。
【0029】
図16】一実施形態のノイズフロアを20Hz~20kHzの範囲にわたってdBFSでプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。場合によっては、顕著な詳細の不必要な難読化を回避するために、周知の構造および装置がブロック図形式で示されている。
【0031】
図3は、本開示の一実施形態によるオーディオ処理システムの概略ブロック図である。オーディオ処理システム100は、プリアンプチャネルであってもよい。例えば、これは、デジタル出力を有するスタンドアロンのマイクロフォンプリアンプの主な機能要素を備えてもよい。オーディオ処理システム100は、より複雑なシステムまたは装置のサブシステム、例えば、デジタル出力を有するnチャネルプリアンプ内のn個のプリアンプチャネルのうちの1つ、または(1つまたは複数のチャネルを有する)デジタルオーディオ処理システムのチャネル用のプリアンプ段を形成することができる。1つの形態では、オーディオ処理システムは、デジタル出力を有するマイクロフォンプリアンプのチャネルを備える。複数のこのようなプリアンプチャネルは、マルチチャネルマイクロフォンプリアンプ装置で使用することができる。別の形態では、オーディオ処理システムは、オーディオ分析器あるいは他の計量または試験機器のチャネルを備えてもよい。
【0032】
オーディオ処理システム100は、オーディオ信号を受信するための入力12を含む。これに関連して、「オーディオ信号」は音声信号の電気的表現である。音声信号の電気的表現は、典型的には、信号電圧のアナログ変調である。音響信号は、(例えば、シンセサイザのように発振器によって)合成されてもよく、またはトランスデューサ(例えば、楽器またはマイクロフォンのピックアップ)によって生成されてもよい。入力12は、例えば、2つの電気入力信号線を含むことによって、平衡アナログオーディオ信号を受信するように構成されてもよい。2つの入力信号線を有する入力を有することにより、真の差動信号増幅が容易になり、コモンモードノイズ除去も可能になる。いくつかの実施形態では、入力12は、マイクロフォンまたは楽器などの入力源と接続するためのソケット、ジャックまたは他のコネクタであってもよい。一例では、入力は3ピンXLRソケットであってもよい。XLRソケットは、平衡入力の受信を可能にするために2つの入力信号線を提供し、増幅される入力オーディオ信号を提供するためのマイクロフォンの接続を容易にする。図では、アナログ信号を受信するブロックへの接続が単一の線で図式的に示されているが、そのような接続は、差動信号対の伝送を容易にするように線の対を含むことができる。
【0033】
入力12で受信されたオーディオ信号は、アナログ増幅段102に渡される。アナログ増幅段102は、固定ゲイン(第1の固定ゲイン)およびダイナミックレンジ(第1のダイナミックレンジ)を有する。入力信号は差動信号であるため、アナログゲイン段は、固定ゲインを有する差動増幅回路を含むことができる。第1の固定ゲインは、約-11dB~+10dBとすることができる。いくつかの実施形態は、-5dB~7dBの第1の固定ゲインを有する。一形態では、第1の固定ゲインは3dB~6dBである。例示的な実施形態では、第1の固定ゲインは、典型的には約4dBであり、4dB~5dBであってもよい。第1のダイナミックレンジは132dBとすることができる。
【0034】
アナログ増幅段102の出力は、アナログデジタル変換段104に入力され、デジタル信号に変換される。アナログデジタル変換段104は、アナログ増幅段102の前記第1のダイナミックレンジに一致するダイナミックレンジ(第2のダイナミックレンジ)を有するように構成されている。いくつかの実施形態では、アナログデジタル変換段104は、複数のアナログデジタル変換器(ADC)を備える。ADCの各々は、アナログデジタル変換段104全体の第2のダイナミックレンジよりも低い第3のダイナミックレンジを有することができる。次いで、複数のADCの出力をデジタル平均化して、第2のダイナミックレンジを有するデジタル出力を提供することができる。図6は、そのようなADC段104の一例示的実施形態を示す。この平均化モードで動作するADC構成では、アナログデジタル変換段104内のADCの数が倍になるたびに、ダイナミックレンジの3dBゲインが提供される。これにより、第2のダイナミックレンジがアナログ増幅段102のダイナミックレンジと一致するように、平均化処理に含まれるADCの数を増減させることによって、アナログデジタル変換段104のダイナミックレンジ(第2のダイナミックレンジ)を構成することができる。
【0035】
本開示の一実施形態を実施し、それによって上述の従来の欠点または妥協点のいくつかに対処するために、具体的に述べられたゲインおよびダイナミックレンジ値に厳密に適合する必要はないことが理解されよう。さらに、実際には、そのような値に正確に従うことは不可能であり得る。例えば、(名目上指定された値からの)構成要素性能の現実世界の変動は、単に、特定の実施形態が表現されたパラメータから変化し得ることを意味し得る。さらに、そのような変動性に対応するために特定の構成要素にヘッドルームを提供する必要があるという結果は、特定の実施形態の公称性能が記載されたパラメータから変化することを意味し得る。さらに、ダイナミックレンジの「一致」は、ダイナミックレンジ間の正確な同一性を必要としない。下流ダイナミックレンジは、上流ダイナミックレンジと同じであってもよいし、上流ダイナミックレンジを超えてもよいが、いくつかの実施形態では、下流ダイナミックレンジは、上流ダイナミックレンジよりも低いが、上流段の出力の許容できないクリッピングを引き起こさない程度に十分に類似していてもよい。一例として、ADC段104の第2のダイナミックレンジおよびアナログ増幅段102の第1のダイナミックレンジが「一致」として説明される場合、この文脈における「一致」は、ADC段104の第2のダイナミックレンジがアナログ増幅段102の出力の許容できないクリッピングを引き起こさない状況を広く包含し、したがって、第2のダイナミックレンジは第1のダイナミックレンジを超える可能性があり、または第2のダイナミックレンジは第1のダイナミックレンジの第1のダイナミックレンジ(例えば、1dBまたは2dB以内)よりわずかに低くなる可能性があり、その場合クリッピングが発生する可能性があるが、その程度は許容可能であり得る。理解されるように、そのような状況は、複数のADCが並列に一緒に使用され、第2のダイナミックレンジを設定するために平均化されるときに実際に起こり得る。上述したように、ADCをシステムに追加すると、第2のダイナミックレンジは増加するが、段階的に増加するため、上流のアナログ増幅段の第1のダイナミックレンジと正確に一致させることは不可能であり得る。図4は、システム100の一実施形態のさらなる詳細を示す。この実施形態では、アナログ増幅段102は、第2の固定ゲインを有するアナログプリアンプ段103と、第3の固定ゲインを有するアナログ減衰器段108とを含む。この場合、第2の固定ゲインおよび第3の固定ゲインが組み合わされて第1の固定ゲインが得られる。
【0036】
アナログプリアンプ段103は、入力ノイズが非常に低く、ゲインも低い差動アンプであってもよい。例えば、差動アンプは、1.5nV/(√Hz)未満の入力ノイズを有するオペアンプを含んでもよい。いくつかの例では、オペアンプは1nV/(√Hz)1.2nV/(√Hz)の入力ノイズを有することができる。一例では、オペアンプは1.1nV/(√Hz)の入力ノイズを有することができる。例えば、テキサス・インスツルメンツ社のOPA1612AIDRGRオーディオアンプが好適であろう。そのようなプリアンプ段103は、4~16dBの固定ゲインを有することができる。差動アンプのフィードバックレジスタは、95Ω~110Ωの値および50Ω~60Ωのゲイン抵抗を有することができる。一例は、102Ωのフィードバックレジスタおよび56Ωのゲインレジスタを有することができる。この例は、約+13dBのゲインを有するアナログプリアンプ段をもたらす。
【0037】
このような差動プリアンプは、-128dBuの等価ノイズ入力レベルを提供し、プリアンプの等価入力ノイズをADC110のノイズフロアに一致させる。したがって、このプリアンプは、超低入力ノイズを提供し、ADCをフルスケールで駆動することができる。アナログ減衰器段108の第3の固定ゲインは、プリアンプ103の最大出力レベルを、ADC110を形成する並列ADCの最大入力レベルに一致させるように選択される。アナログ減衰器段108は、-9dB(または、並列ADCの最大入力レベルなどの他のシステムパラメータに応じて約-5~-12dBの他の適切なレベル)の第3のゲインを有することができる。
【0038】
図5および図6に示すようないくつかの実施形態では、システムはまた、アナログ減衰器段14を含むことができる。アナログ減衰器段14は、入力12とアナログ増幅段102との間の点に選択的に接続され得るように切り替え可能であり得る。従来技術に関して上述したように、そのような減衰器14は、入力信号の固定低減、例えば-20dBの低減を提供する。減衰器14は、システムがより高い出力のファントム駆動マイクロフォンから、または楽器もしくはオーディオラインレベルソースからきわめて高い入力信号レベルを受け入れることを可能にする機構を提供する。
【0039】
任意選択的に、図5および図6の実施形態などのいくつかの実施形態では、ファントム電源20を設けることもできる。ファントム電源20は、入力電力を必要とする電源に選択的に電力を供給するために切り替え可能であってもよい。この例では、ファントム電源は、入力源、例えばコンデンサマイクロフォンに電力を供給するために入力12とアナログ増幅段102との間に接続可能であってもよい。
【0040】
図5および図6の実施形態などのいくつかの実施形態では、システム100は、アナログデジタル変換段の出力を修正し、ユーザ選択可能ゲインを適用するように構成されたデジタルゲイン段106を含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザ選択可能ゲインは、較正値またはユーザの好みの方法でユーザによって時々設定され得る限り、静的であり得る。いくつかの実施形態では、ユーザ選択可能ゲインは、デジタルゲインがリアルタイムまたはほぼリアルタイムで調整可能であるという点で、動的に選択することができる。いくつかの実施形態は、デジタルゲインの静的および動的選択の両方を組み込むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ユーザ選択可能ゲインを設定することは、システム100と通信する外部装置(制御アプリケーションを実行するコンピュータ、スマートフォン、タブレットなど、または物理的な制御パネル、ミキサ、コンソール)を介して値を設定して、ユーザ選択可能ゲインおよび任意選択的に他の動作パラメータを設定することを含むことができる。あるいは、ユーザ選択可能ゲインを設定するために、システム100の一部として物理的入力が提供されてもよい。このような外部装置のユーザインターフェースの例を図13に示す。図13は、本開示のオーディオ処理システムとインターフェースすることができる、ユーザのPC、タブレット、電話、または他の適切なコンピューティング装置上で実行されるソフトウェアアプリケーションの一部として実装されたソフトウェア制御パネルのグラフィカルユーザインターフェースを示す。ソフトウェアアプリケーションGUI1300は、1312.1、1312.2、1312.3、1312.4においてそれぞれ、本開示のオーディオ処理システム(例えば100)の4つのチャネルの各々の現在のパラメータを表示する。図から分かるように、XLR1(1312.1)とラベル付けされたアナログ入力に対応するチャネル1は、減衰器14が切断されていることを示す「マイク」として設定され、電力シンボルは、ファントム電源20が起動されていることを示すために点灯される。XLR2(1312.2)とラベル付けされたアナログ入力に対応するチャネル2の場合、減衰器は、減衰器14が接続されていることを意味する「ライン」レベル入力用に設定され、電力シンボルは、ファントム電源20が非アクティブであることを示すために点灯されない。それぞれXLR3およびXLR4とラベル付けされたアナログ入力(1312.3、1312.4)に対応するチャネル3および4は、1312.2の通りである。ソフトウェア制御パネル1300はまた、1306.1~1306.4で各チャネルに適用されるデジタルゲインを表示し、その設定を可能にする。各チャネル(1~4)には、この場合にはスライダの形態である(しかし、ゲインを入力することができるテキストボックス、現在のレベルを変更するための上/下選択ボタン、またはプリセット値の選択を可能にするボタンなどの任意の有用な形態をとることができる)それぞれのゲイン制御1306.1~1306.4が設けられている。使用中、ユーザは、それぞれのゲイン制御1306.1~1306.4のスライダ上のインジケータを動かすことができる。各チャネルに適用される得られたデジタルゲインは、1308.1~1308.4で示される。図から分かるように、チャネル1には1308.1で+11dBのゲインが適用され、チャネル2には1308.2で+2dBのゲインが適用されている。
【0042】
各チャネル上のデジタルゲイン段は、ユーザが任意の目的のために出力のレベルを変えることを可能にできるが、マルチチャネルシステムでは、各チャネルの入力12におけるアナログ入力の様々なレベルを補償するためにオーディオ処理装置100のデジタルゲイン段を使用することが便利であり得る。代替的または追加的に、本開示のオーディオ処理システム100に接続された下流装置で各チャネルのデジタル出力信号に対して増幅を実行することができる。
【0043】
ユーザ選択可能ゲインが動的に調整可能である実施形態では、ゲインは、とりわけ、入力における変化する信号レベルを考慮するために(例えば、入力装置の特性に応じて)、または出力レベルを変更する(例えば、ライブ状況で出力音声レベルを変更する、フェードアップする、またはフェードダウンする)ために調整されてもよい。ユーザ選択可能ゲインは、実質的に知覚できないステップで調整可能であってもよい。一般的に言えば、ステップが小さいほど、知覚されにくくなり得る。いくつかの実施形態では、ステップは0.001dB程度に小さくてもよい。典型的には、そのようなステップは、±1~±0.01dBであり得る。いくつかの実施形態では、±0.5~±0.05dBのステップを使用することができる。本明細書の実施例に記載されるものなどのいくつかの実施形態は、±0.1dBのステップを使用する。(従来のアナログゲイン調整の±1dBと比較して)そのような微調整ステップを使用することは、上述の知覚可能なジッパーノイズを低減または排除するのに有利であり得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、ユーザは、例えばGUIのテキストボックスにゲイン値を直接入力することによって、または所定のオプションのリストからゲインレベル入力を選択すること(例えば、1~11の値を選択すること、例えば高、中、低のゲインレベル選択すること)によって、個別の動作によってデジタルゲインレベルを選択することができる。そのような状況では、ゲインの急激な変化を回避するために2つの値の間を滑らかにランプすることによって、前のユーザ選択ゲインレベルから新たに選択されたゲイン値に適用されるデジタルゲインを変更することが必要または望ましい場合がある。そのような状況では、デジタルゲインは、所定の方法、例えば、所与の期間にわたる所定のゲインステップの変化、所定の関数に応じた変化、例えば、開始値と終了値との間で経時的にゲインを変化させる線形または非線形の関数、または例えばステップ/秒またはdB/秒で測定される所定のレートで変化させることができる。
【0045】
ユーザ選択可能ゲインが動的に調整可能であるいくつかの実施形態では、ユーザ選択可能ゲインは、ユーザによる制御の調整に伴ってリアルタイムで変化し得る。いくつかの実施形態では、この変化は、システム100と通信する外部装置(制御アプリケーションを実行するコンピュータ、スマートフォン、タブレットなど、または物理的な制御パネル、ミキサ、コンソール)から制御信号を受信して、ユーザ選択可能ゲインおよび任意選択的に他の動作パラメータを設定することを含む。コンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの場合、ユーザは、例えばマウス、トラックボール、タッチスクリーン、タッチパッドなどを使用してグラフィカルユーザインターフェース上の制御を調整してデジタルゲインの調整を示すことができる。外部制御装置(例えば、物理的な制御パネル、ミキサ、コンソールなど)の場合、制御ノブ、物理的スライダ、またはタッチスクリーン入力などの入力装置を使用して、ユーザ選択可能ゲインを変更することができる。あるいは、制御ノブ、物理的スライダ、タッチスクリーン入力などの物理的入力がシステム100の一部として提供されてもよい。そのような実施形態では、制御信号は、±1~±0.001dBのステップの変動を提供することができる。いくつかの実施形態では、±0.5~±0.05dBのステップ、例えば±0.1dBのステップを使用することができる。(従来のアナログゲイン調整の±1dBと比較して)そのような微調整ステップを使用することは、上述の知覚可能なジッパーノイズを低減または排除するのに有利であり得る。
【0046】
図6は、ADC段104のさらなる詳細を含むさらなる実施形態を示す。先の実施形態と共通の特徴は、一致する参照番号で示されている。この実施形態では、アナログデジタル変換段104は、複数のn個のアナログデジタル変換器(110~110n)を備えるが、簡略化のために2つのみが示されている。複数のADC110~110nの各々は、特定のダイナミックレンジ(第3のダイナミックレンジ)を有することができる。この個々のダイナミックレンジは、第2のダイナミックレンジと比較して比較的低い。しかしながら、この制限されたダイナミックレンジに対処するために、複数のADC110~110nの出力をデジタル平均化して、所望の第2のダイナミックレンジを有するデジタル出力を提供することができる。アナログデジタル変換段104内のADCの数が倍になるたびに、ダイナミックレンジの3dBゲインが提供される。これにより、第2のダイナミックレンジがアナログ増幅段102のダイナミックレンジと一致するように、平均化処理に含まれるADC110~110nの数を増減させることによって、アナログデジタル変換段104のダイナミックレンジ(第2のダイナミックレンジ)を構成することができる。平均化118は、システム100のデータ処理システムまたはデジタル出力が渡される外部装置で行うことができる。したがって、システムは、ADC段104の出力をさらに処理し、ユーザ入力を受信し、異なるデータポート上に出力データを提供するように構成されたデータ処理システムを含むことができる。例えば、システムは、データ処理システムによって駆動される監視インターフェースを含み、ユーザが入力および/または出力信号またはそれに関連するパラメータを視覚化できるようにすることができる。図15は、本開示による4チャネルのオーディオ処理装置の出力を監視するためのグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す。システムはまた、他のシステムと相互運用するためのMADI、イーサネット、USB、HDMI(登録商標)、または他のデータ送受信インターフェースを含むことができる。そのようなインターフェースはまた、システム100と通信する外部装置(制御アプリケーションを実行するコンピュータ、スマートフォン、タブレットなど、または物理的な制御パネル、ミキサ、コンソール)を介して制御信号を受信して、ユーザ選択可能ゲインおよび任意選択的に他の動作パラメータを設定することを可能にする。
【0047】
図7は、オーディオ処理装置700のさらなる実施形態を示す。オーディオ処理装置700は、一般に図3および図4に関連して説明したタイプのn個のオーディオ処理システム100.1、100.nを含む。各オーディオ処理システム100.nは、オーディオ処理装置700のチャネルを備え、便宜上、この説明では「チャネル」と呼ばれる。装置700は、任意の数n個のオーディオ処理システム(チャネル)を有することができる。いくつかの実施形態では、n=2、4、8、10、12、15またはそれ以上のチャネルである。図12に示すBlackmagic社のATEM Microphone Converterは、n=4の装置の一例である。各チャネル100.nは、
・オーディオ信号を受信するための入力12を含む。入力は、XLRソケットまたは他の平衡入力信号であってもよい。
・アナログ増幅段102。入力12で受信されたオーディオ信号は、固定ゲインを有するアナログ増幅段102に渡される。アナログ増幅段102は、アナログプリアンプ103および減衰器108から構成されてもよい。
・ADC段104。アナログ増幅段102の出力は、アナログデジタル変換段104に入力され、デジタル信号に変換される。アナログデジタル変換段104は、アナログ増幅段102の前記第1のダイナミックレンジに一致するダイナミックレンジを有するように構成されている。各チャネルのアナログデジタル変換段104は、複数のアナログデジタル変換器(ADC)を含む。ADCの各々は、アナログデジタル変換段104全体の第2のダイナミックレンジよりも低い第3のダイナミックレンジを有することができる。複数のADCの出力は、第2のダイナミックレンジを有するデジタル出力を提供するためにデジタル処理システム704によってデジタル平均化される。デジタル処理システム704は、関連するメモリ708を有する少なくとも1つのプロセッサを備えるデータ処理システム706を含む。データ処理システム706は、デジタルオーディオを処理し、システム制御動作を実行するように構成された、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、FPGA、ASIC、DSP、ASSPなどを含むことができる。いくつかの例では、各チャネルまたはチャネルのグループは、チャネルまたはチャネルのグループを処理するために、それ自体のマイクロプロセッサ、FPGA、ASIC、DSP、ASSPなどの専用のデータ処理リソースを有することができる。本例では、各チャネルの8個のADCの出力が平均化のためにデータ処理システム706に渡される。データ処理システム706はまた、図5図6、および図13に関連して説明したように、各チャネルに適用される任意のデジタルゲインセットを適用する。
【0048】
各チャネルは、チャネルが「マイク」または「ライン」レベルの入力信号を受け入れることを可能にする切り替え可能減衰器14をさらに含むことができる。切り替え可能アナログ減衰器14は、-20dBの入力信号の選択可能な固定低減を提供することができる。入力電力を必要とする電源に選択的に電力を供給するために切り替え可能なファントム電源20も設けられる。
【0049】
各チャネル上の切り替え可能固定減衰器14またはファントム電源20の制御は、監視および制御I/Oシステム702の一部を備える一連のハードウェアスイッチ上の設定を選択することによって実行することができる。これに関して、各チャネルには、チャネルの減衰器14の状態を設定するためのスイッチと、ファントム電源20をチャネルに接続または切断するためのスイッチとの2つのスイッチが設けられてもよい。
【0050】
監視および制御I/Oシステム702は、オーディオ処理装置700の制御を可能にし、および/またはオーディオ処理装置700の状態もしくは動作を監視するために、他の装置とインターフェースするためのネットワーク接続(例えば、USB、イーサネット、HDMI(登録商標)、WiFi、またはBluetooth接続などの任意の1つまたは複数の適切な有線または無線接続)をさらに含むことができる。
【0051】
各チャネルで生成されたデジタルオーディオ出力は、オーディオ入出力システム710を介して出力される。オーディオI/O710は、デジタルオーディオを送信(および任意選択的に受信)するように構成された有線または無線データ通信インターフェースを備えることができる。例えば、オーディオI/O710は、1つまたは複数のUSB、イーサネット、HDMI(登録商標)、WiFiまたはBluetooth、MADIインターフェースを含むことができる。一形態では、オーディオI/O710は、デジタルオーディオ出力を送信するためのものと、別の装置からデジタルオーディオ入力を受信するためのものとの、2つのMADIインターフェースを含むことができる。他の実施形態では、オーディオI/O710と監視および制御I/Oシステム702との両方に接続を使用することができる。
【0052】
図8A図9は、本開示のシステム100の一実施形態のブロック図を示す。参照番号は、これらの図のブロックと前の実施形態との間の等価性を示す。図8Aおよび図8Bは、この実施形態の動作パラメータの2つの行70および72を示す。行70は達成可能な最大パラメータ値を示し、行72は最小値を示す。
【0053】
図8Aでは、切り替え可能減衰器14は「オフ」状態にあるため、比較的低いレベルの入力信号が予想される。この例では、入力12からの入力信号は、4dBuの最大信号レベルおよび-128dBuの最小信号レベルを有する(73)ことができる。減衰器14が「オフ」の場合、アナログ増幅段102への入力において同じ値が適用される74。プリアンプ段103は13dBゲインを有するので、最大信号におけるその出力は17dBuであり、最小値は-115dBuである75。次いで、固定減衰器108は、-9dBゲインを適用し、8dBu(最大信号)および-124dBu(最小信号)の出力を有する76。ADC104は、最大入力レベルが8dBu(77)、ダイナミックレンジが123dBの8個のACDを有し、その出力が平均化される。したがって、ADC段104の全ダイナミックレンジは132dBである。
【0054】
図8Bでは、切り替え可能減衰器14は「オン」状態にあるため、比較的高い入力信号が予想される。この例では、入力12からの入力信号は、24dBuの最大信号レベルおよび-108dBuの最小信号レベルを有する(83)ことができる。減衰器14が「オン」の場合、+4dBuの最大信号レベルおよび-128dBuの最小信号レベルが、アナログ増幅段102への入力において再び適用される(84)。プリアンプ段103は13dBゲインを有するので、最大信号におけるその出力は17dBuであり、最小値は-115dBuである85。次いで、固定減衰器108は、-9dBゲインを適用し、8dBu(最大信号)および-124dBu(最小信号)の出力を有する86。ADC104は、最大入力レベルが8dBu(87)、ダイナミックレンジが123dBの8個のACDを有し、その出力が平均化される。したがって、ADC段104の全ダイナミックレンジは132dBである。
【0055】
図9は、異なる実施形態のデータ表を有する図8Aの実施形態を示し、ADC段104内の異なる数の並列ADC(110)を使用してシステム全体のダイナミックレンジを広げ、アナログ増幅段103における異なるゲインレベルと一致させる方法を示す。表90の91から95の各行は、一実施形態を表す。行94の実施形態Aは、図7の実施形態である。見て分かるように、アナログ増幅段102の第1の固定ゲイン(段103および108のゲインの組み合わせ)は、ADCの数が64から4までの範囲であるため、合計-5dBから合計7dBまでの間で変化する。他の変形および実施形態も可能である。
【0056】
図10Aおよび図10Bは、本明細書に開示される実施形態のいずれか(例えば、図3図9)で使用され得るADC段104の2つの例を示す。図10Aおよび10Bは、ADC1(110(1))~ADC8(110(8))とラベル付けされた8個のADCを有する例を示す。各ADCの出力は、図10Aにおいて、ADC110(1)~110(8)のすべての出力を平均化するプロセッサ118Bに提供される。プロセッサ118Bは、オーディオ処理システム10のホストプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、FPGA、DSPなど)であってもよく、その場合、ADC段104は、この平均化プロセスを実施するときにADCおよびホストプロセッサの機能グループ化を包含すると考えることができる。図10Bは、スタンドアロン平均化段118Cとして平均化を行う場合を示している。スタンドアロン平均化段118Cは、例えばDSP、マイクロプロセッサ、またはFPGAを含むデジタルデータ処理システムを備えることができる。図11Aおよび図11Bは、本明細書に開示される実施形態のいずれか(例えば、図3図9)で使用され得るADC段104の2つのさらなる例を示しており、これらは図10Aおよび図10Bに記載された例の一般化を表し、共通の特徴には共通の参照番号が付けられている。図11Aおよび図11Bでは、各ADCシステム104は、n個の対応する出力が平均で一緒にグループ化されたn個のADCを含む。図11Aにおいて、平均化は、オーディオ処理システム10のホストプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、DSP、FPGAなど)であってもよいプロセッサ118Bによって実行され、その場合、ADC段104は、この平均化プロセスを実施するときにADCおよびホストプロセッサの機能グループ化を包含すると考えることができる。図11Bは、スタンドアロン平均化段118Cとして平均化を行う場合を示している。スタンドアロン平均化段118Cは、例えばマイクロプロセッサDSPまたはFPGAを含むデジタルデータ処理システムを備えることができる。図8A図9は、n=4、8、16、32および64であるが、nはADCの任意の他の数に等しくてもよい場合の例を示す。上述したように、ADCの数の2倍が3dBのダイナミックレンジをADC段104に追加するので、nが2の累乗であることが好都合であるが、nは任意の整数値であってもよい。
【0057】
図12A図12Cは、Blackmagic社のATEM Microphone Converter(1200)の形態の、本開示によるオーディオ処理システムの実装形態の一例のいくつかの図を示す。オーディオ処理システム1200は、4つの信号処理チャネルを含み、その各々は、概して図8A図10の実施形態のいずれかに記載されている通りである。オーディオ処理システム1200は、その一端にチャネル入力のセットを含む。4つのチャネルの各々は、それ自体のアナログ入力1212.1~1212.4(先の図では入力12に相当)を有する。この例では、入力、例えば1212.1は、XLRまたはジャックケーブルのいずれかを接続することを可能にする複合XLR/TRS入力ソケットである。
【0058】
各チャネルについて、アナログ入力1212.1は、切り替え可能アナログ減衰器14をチャネルに出入りさせることによって、「マイク」または「ライン」レベルを選択可能である。そのような減衰器14は、入力信号の選択可能な固定低減、例えば-20dBの低減を提供する。ファントム電源20も設けられている(図示せず)。ファントム電源20はまた、入力電力を必要とする電源に選択的に電力を供給するために切り替え可能である。各チャネル上の切り替え可能固定減衰器14またはファントム電源20の制御は、一連のハードウェアスイッチ(1201)上の設定を選択することによって実行することができる。これを容易にするために、図12Bに示すオーディオ処理システム1200のハウジングの底部は、各チャネルのスイッチの設定方法の迅速な参照をユーザに提供する構成表1203を表示する。スイッチ装置1201は、入力レベルおよびファントム電源を設定するためにチャネルごとに2つのスイッチを含む。例えば、ファントム電源をオフにしてチャネル1をラインレベル入力に設定するために、ユーザはスイッチ1をオフに設定し、スイッチ2をオフに設定する。他の構成は、表1203から読み取り可能である。
【0059】
図12Cは、以下を含むオーディオ処理システムの他端を示す。
・HDMIモニタ出力を提供するためのHDMIポート1205、
・変換されたデジタルオーディオが下流での使用または処理のために出力されるMADI出力接続1207、
・デジタルオーディオを受信するためのMADI入力接続1209、
・オーディオ処理システム1200を動作させるための電力を受け取るための電力接続1211(例えば、12VDC)、
・リモート管理およびソフトウェア更新を可能にするためのUSBポート1213およびイーサネットポート1215。
【0060】
MADI入力接続1209は、4チャネルを超えるデジタルオーディオをMADI接続に組み込むことができるように、複数のオーディオ処理装置(例えば、同一の装置1200)をデイジーチェーン接続することを可能にする。図14Aおよび図14Bは、いくつかの実施形態において、下流での使用または処理のために単一のデータ接続を介して送信されるオーディオチャネルの数を増やすために、MADI入出力接続1209および1207をそれぞれ使用して複数のオーディオ処理装置(1200)をデイジーチェーン接続する方法を概略的に示している。MADI接続は、オーディオ技術協会(AES)によってAES10として規格化されたマルチチャネルオーディオリンクであり、デジタルオーディオの複数チャネル用のインターフェースのデータフォーマットを定義している。これは、単一のMADIリンクが同時に送信することができるよりも少ないオーディオ処理チャネルを現在使用している(または所有している)オーディオ処理装置の実施形態において有用であり得る。
【0061】
図14Aでは、各オーディオ処理装置1200は、図示のようにそれに接続された4つの入力源1401を有することができる。各処理装置1200は、上述のように各チャネル上のアナログオーディオ信号をデジタル化し、その4つのデジタル化オーディオ出力信号をそのMADI出力1207のそれぞれのチャネルに出力することができる。MADI出力が同様の装置のMADI入力1209に接続されている場合、上流装置のMADI出力チャネルは、次の下流装置によって受信され、それ自体の4チャネルのデジタルオーディオデータに加えて、そのMADIフィードにスタックされる。したがって、MADI供給の利用率が高まる。このようにしてより多くのまたはより少ないオーディオ処理装置1200を互いに接続することができるが、4チャネルのオーディオ処理装置1200および48kHzのデジタルオーディオ出力の場合、最大16個の装置をリンクして、最終出力リンク1403上で最大64チャネルのデジタルオーディオを受信、変換、および出力することができる。より高いサンプリングレートでオーディオを搬送するチャネルを有する装置では、このようにしてより少ないオーディオチャネルおよびより少ない装置をリンクすることができ、依然として単一のMADIインターフェースを使用することができる。
【0062】
さらなる例において、図14Bは、最終的なオーディオ処理装置1200.8からの1つのMADI出力接続1405上に32チャネルのデジタルオーディオを提供するためにこのようにデイジーチェーン接続された8個の同一のオーディオ処理装置の接続を示している。これは、装置1200.1~1200.8の各々が、その4つの入力の各々に接続されたソースを有し、したがって4チャネルのデジタル出力をMADI出力に追加していることを想定している。
【0063】
各オーディオ処理装置は、(本明細書に示す4つのチャネルを有する例と比較して)より多くのまたはより少ないオーディオ処理チャネルを有することに留意されたい。これは、各チャネルのビット深度およびサンプリングレートと組み合わせて、このようなオーディオ処理装置がこのようにデイジーチェーン接続され得るかどうか、またはその数を決定する。
【0064】
HDMI出力ポート1205は、図15に示すようなモニタ出力を提供するために使用することができる。使用時には、オーディオ処理装置100によって処理されているオーディオの1つまたは複数のチャネルのステータス表示を表示するために、テレビまたはモニタ(または他の適切な表示装置)をHDMIポート1205に接続することができる。ディスプレイ1500は、使用中の各チャネルについての最後のn秒間にわたるスクロール波形を含む。図15の例では、60秒間のオーディオの4チャネルの各々の波形1501.1~1501.4が示されている。ディスプレイはまた、各チャネルの入力12におけるレベルを示すためにVUメータ1502.1~1502.4などのオーディオメータを含む。各チャネルはまた、例えば図13の1310に示すような命名フィールドを使用して、ソフトウェアユーティリティを介してチャネル名で1507.1~1507.4にラベル付けすることができる。マイク/ライン入力選択およびファントム電源選択のための現在の設定を示すための各チャネルのインジケータもある。この場合、チャネル1および4は、1505.1および1505.4において、「LINE」レベル入力を有し、ファントム電源がオンであることを示さない(したがって、非アクティブである)ように示されており、チャネル2および3は、に1505.2および1505.3において、「マイク」レベル入力を有し、ファントム電源がオンであるよう示されている。上述したように複数の装置が接続されて、それらのデジタル出力を本発明のオーディオ処理装置のMADI出力1207上にスタックする場合、モニタ出力は、MADI出力上で搬送される追加のチャネルをさらに表示するように構成することができる。
【0065】
各オーディオ処理装置は、(本明細書に示す4つのチャネルを有する例と比較して)より多くのまたはより少ないオーディオ処理チャネルを有することに留意されたい。これは、各チャネルのビット深度およびサンプリングレートと組み合わせて、このようなオーディオ処理装置がこのようにデイジーチェーン接続され得るかどうか、またはその数を決定する。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のようにチャネルごとに複数のADCを使用することは、各チャネルが(平均化プロセスに起因して)非常に類似した仕様および公差を有し、その結果、各チャネルが統計的により均一になることを意味し得る。複数のADC設計はまた、互い違いのADCを有する従来の設計が受ける可能性があるノイズフロアレベル変調の悪影響を受けない平坦なノイズフロアを維持することができる。図16は、図3図6に示すような、本開示の例示的な実施形態の20Hz~20kHzのノイズフロアを示す。図示の実施形態では、各アナログ入力チャネルは、一致するダイナミックレンジを有する高ダイナミックレンジオーディオADCを駆動するように構成された第1のダイナミックレンジを有する低ノイズ固定ゲインプリアンプを有する。この例では、各ADCは、第1のダイナミックレンジと一致するのに十分に高いダイナミックレンジを提供するために平均化された8個のオーディオADCを有する。このようにして、各入力チャネルのダイナミックレンジは131dB(A)とすることができ、歪みはわずか0.002%である。図16では、20Hz~20kHzの帯域幅にわたるスポット周波数におけるノイズフロアは、約-131dBFS(A)のノイズフロアに相当する約-172dBFSの平均レベルにあることが分かる。
【0067】
添付の特許請求の範囲に含まれる用語について本明細書で明示的に提供される定義は、特許請求の範囲で使用されるそれらの用語の意味を支配するものとする。特許請求の範囲に明示的に記載されていない要素、特性、特徴、利点または属性は、いかなる点においても特許請求の範囲を限定するものではない。
【0068】
本明細書で使用される場合、「含む」および「備える」(およびそれらの用語の変形、例えば「含んでいる」、「含み」、「備えている」、「備え」、「含まれる」など)という用語は、包括的であることを意図しており、さらなる特徴、構成要素、整数またはステップを排除することを意図していない。
【0069】
フローチャートを使用して説明された本開示の態様の場合、所与のフローチャートステップは、様々な方法で、様々な装置、システム、またはシステムモジュールによって実行される可能性がある。本質的であると特に明記されている場合を除き、特定のフローチャートステップを複数のステップに分割することができ、および/または複数のフローチャートステップを単一のステップに組み合わせることができる。さらに、本質的であると特に明記されている場合を除き、本開示の範囲から逸脱することなくステップの順序を変更することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15
図16
【外国語明細書】