(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120178
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】WNT組成物および無血清培養条件からの処理の方法
(51)【国際特許分類】
C12P 21/00 20060101AFI20240828BHJP
C07K 1/16 20060101ALI20240828BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240828BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20240828BHJP
【FI】
C12P21/00 Z ZNA
C07K1/16
C12N5/10
C12P21/00 Z
C07K14/47
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075397
(22)【出願日】2024-05-07
(62)【分割の表示】P 2020505248の分割
【原出願日】2018-08-01
(31)【優先権主張番号】62/539,960
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/630,448
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】520033122
【氏名又は名称】アンカサ リジェネレイティブ セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,ピン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムズ,ジル
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,イン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ガスター,ステファニー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無血清条件下でWntポリペプチドを生成する方法を提供する。
【解決手段】a)複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、細胞においてWntポリペプチドとシャペロンを共発現する工程;b)培地から複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を採取する工程;c)不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体をインキュベートする工程;d)活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物で固定されたカラムを用いて混合物から第1のWnt組成物を分離する工程;及び、e)活性なWntポリペプチドを含む組成物を生成するために、第2のWnt組成物を、リポソームの水溶液に接触させる工程、を含む、方法。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能的に活性なWntポリペプチドを調製する方法であって、前記方法は:
a)複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドとシャペロンを共発現する工程;
b)調整培地から複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を採取する工程;
c)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体をインキュベートする工程;
d)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物で固定されたカラムを用いて前記混合物から第1のWnt組成物を分離する工程;および、
e)機能的に活性なWntポリペプチドを含む最終的なWnt組成物を生成するために、第2のWnt組成物を、リポソームの水溶液に接触させる工程、を含む、方法。
【請求項2】
糖界面活性剤はグルコシド界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
グルコシド界面活性剤は、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-α-D-グルコピラノシド、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド、n-オクチル-β-D-ガラクトピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、あるいはメチル-6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
グルコシド界面活性剤は、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドおよびオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
グルコシド界面活性剤はn-オクチル-β-D-グルコピラノシドである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
グルコシド界面活性剤はオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
糖界面活性剤はマルトシド界面活性剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
マルトシド界面活性剤は、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、あるいは6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は:約0.1%~約5%w/v;あるいは、約0.1%、0.5%、1%、1.5%、あるいは約2%w/vである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第2のWnt組成物は、少なくとも一度、第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、サイズ排除クロマトグラフィーカラム、あるいはこれらの組み合わせを用いてさらに精製される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体はさらに、第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、緩衝液を用いてインキュベートする前に、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラムを用いて精製される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
親和性クロマトグラフィーカラムはプロテインAカラムである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体は、5未満、4未満、あるいは3未満のpHを含む緩衝液を用いて、親和性クロマトグラフィーカラムから溶出される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は:
a)Wntポリペプチド-シャペロン複合体の溶出した混合物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第1の親和性クロマトグラフィーカラムで複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を精製する工程;
b)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、Wntポリペプチド-シャペロン複合体の溶出した混合物をインキュベートする工程;
c)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物で固定されたカラムを用いて前記混合物から第1のWnt組成物を分離する工程;
d)第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第2の親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、およびサイズ排除クロマトグラフィーカラムと並行して第2のWnt組成物を随意に精製する工程;および、
e)機能的に活性なWntポリペプチドを含む最終的なWnt組成物を生成するために、第3のWnt組成物を、リポソームの水溶液に接触させる工程、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
第1の親和性クロマトグラフィーカラムと第2の親和性クロマトグラフィーカラムはそれぞれ独立して、プロテインAカラムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
混合モードカラムの溶出緩衝液は、約0.1Mから約2M、約0.1Mから約1M、あるいは約0.1Mから約0.5Mのアルギニンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
第2の親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、およびサイズ排除クロマトグラフィーカラムの各々の溶出緩衝液は、糖界面活性剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
工程d)の分離は、第1の塩濃度の第1の緩衝溶液と第2の塩濃度の第2の緩衝溶液を含む工程勾配で第1のWnt組成物を溶出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第1の緩衝溶液は、約10mMから約100mM;あるいは、約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、またはそれよりも高い濃度の塩を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第2の緩衝溶液は、約1M、1.5M、2M、あるいはそれよりも高い濃度の塩を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、あるいはリン酸アンモニウムを含む、請求項18-20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
シャペロンはFrizzledタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
シャペロンはFrizzled-8融合タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
Frizzled-8融合タンパク質は、切断されたFrizzled-8タンパク質を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、Frizzled-8のシステインに富んだ領域(CRD)を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:4のアミノ酸残基25からアミノ酸残基172まで及ぶ領域を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
Frizzled-8融合タンパク質はIgG Fc部分を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
Frizzled-8融合タンパク質は:SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性;または、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
Wntポリペプチドは、異種のシグナル配列あるいは天然のシグナル配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
Wntポリペプチドは、タグ、随意にHIS(6x)-タグ(SEQ ID NO:19)、FLAGタグ、あるいはPAタグを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
Wnt3Aポリペプチドは、約1~約33のアミノ酸の切断、随意にC末端切断を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含むか、SEQ ID NO:2からなる、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
Wntポリペプチドは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸残基209に対応するアミノ酸位置において脂質修飾を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
Wntポリペプチドはパルミチン酸で修飾される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
第2の親和性クロマトグラフィーカラムは、第2のWnt組成物から残りのFrizzled-8融合タンパク質を取り除く、請求項14に記載の方法。
【請求項38】
混合モードカラムは、第2のWnt組成物からWntポリペプチド断片を取り除く、請求項10に記載の方法。
【請求項39】
サイズ排除クロマトグラフィーカラムは、第3のWnt組成物を生成するために、第2のWnt組成物から残りのWntポリペプチド断片を取り除く、請求項10に記載の方法。
【請求項40】
第2のWnt組成物は、糖界面活性剤のない状態で精製される同等のWnt組成物に対して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%を超えて純粋である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
第3のWnt組成物は、糖界面活性剤のない状態で精製される同等のWnt組成物に対して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%を超えて純粋である、請求項10に記載の方法。
【請求項42】
最終的なWnt組成物は、約10nmから約1μm、10nmから約500nm、約50nmから約300nm、約50nmから約200nm、約50nmから約150nm、約100nmから約500nm、約100nmから約300nm、あるいは約100nmから約200nmまで;約1μm未満、約500nm未満、約300nm未満、約200nm未満、あるいは約150nm未満;または、約50nm、約100nm、あるいは、約150nmのリポソーム粒度分布を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
請求項1の方法によって生成された機能的に活性なWntポリペプチド。
【請求項44】
請求項1の方法によって生成された機能的に活性なWntポリペプチドを含むリポソームWnt組成物。
【請求項45】
被験体において骨移植片中の細胞生存を増強する方法であって、前記方法は:
a)請求項1-42の方法によって生成されたリポソームWntポリペプチドを含む組成物を用いて、エクスビボで細胞を含む単離された哺乳動物の骨移植片材料を含むサンプルをインキュベートする工程;および、
b)標的部位へ増強された細胞を移植する工程、を含む、方法。
【請求項46】
工程a)の細胞は、少なくとも10分、15分、20分、30分、1時間、2時間、あるいはそれ以上にわたってインキュベートされる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
工程a)の細胞は、せいぜい30分間、1時間、1.5時間、2時間以下にわたって、インキュベートされる、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
工程a)の細胞は、ほぼ室温あるいは約37°Cでインキュベートされる、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
増強された細胞は、暴露されていない哺乳動物の骨移植片材料に対して増強された骨形成能力を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
被験体の骨欠損部位において細胞生存を増強する方法であって、前記方法は:
請求項1-42の方法によって生成されたリポソームWntポリペプチドを含む組成物を、骨欠損部位へ投与する工程を含み、リポソームWntポリペプチドは骨欠損部位における細胞生存を増強する、方法。
【請求項51】
骨欠損部位で歯科用あるいは整形外科用インプラントを投与する工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
歯科用あるいは整形外科用インプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与前に、骨欠損部位に投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
歯科用あるいは整形外科用インプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与後に、骨欠損部位に投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
歯科用あるいは整形外科用インプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与の約1日、2日、5日、7日、2週間、30日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、あるいはそれ以上後に、骨欠損部位に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
歯科用あるいは整形外科用インプラントと、リポソームWntポリペプチドを含む組成物は、骨欠損部位に同時に投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
リポソームWntポリペプチドは、歯科用あるいは整形外科用インプラントの骨結合を増強する、請求項45-55のいずれか1つに記載の方法。
【請求項57】
被験体はヒトである、請求項45-56のいずれか1つに記載の方法。
【請求項58】
精製されたWntポリペプチド中間体と約0.1%~約5%w/vの濃度の糖界面活性剤を含む、Wnt組成物。
【請求項59】
糖界面活性剤はグルコシド界面活性剤を含む、請求項58に記載のWnt組成物。
【請求項60】
グルコシド界面活性剤は、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-α-D-グルコピラノシド、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド、n-オクチル-β-D-ガラクトピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、あるいはメチル-6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドである、請求項59に記載のWnt組成物。
【請求項61】
グルコシド界面活性剤は、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドおよびオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドから選択される、請求項59に記載のWnt組成物。
【請求項62】
グルコシド界面活性剤はn-オクチル-β-D-グルコピラノシドである、請求項59に記載のWnt組成物。
【請求項63】
グルコシド界面活性剤はオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドである、請求項59に記載のWnt組成物。
【請求項64】
糖界面活性剤はマルトシド界面活性剤を含む、請求項59に記載のWnt組成物。
【請求項65】
マルトシド界面活性剤は、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、あるいは6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシドである、請求項64に記載のWnt組成物。
【請求項66】
糖界面活性剤の濃度は、約0.1%、0.5%、1%、1.5%、あるいは約2%w/vである、請求項58-65のいずれか1つに記載のWnt組成物。
【請求項67】
Wnt組成物は約5、5.5、あるいは6のpHを有する、請求項58-66のいずれか1つに記載のWnt組成物。
【請求項68】
Wnt組成物は、約10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、40mM、あるいは50mMの濃度で酢酸塩を含む緩衝液を含んでいる、請求項58-67のいずれか1つに記載のWnt組成物。
【請求項69】
精製されたWntポリペプチド中間体は:
a)複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドとシャペロンを共発現する工程;
b)調整培地から複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を収穫する工程;
c)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体をインキュベートする工程;および、
d)精製されたWntポリペプチド中間体と糖界面活性剤を含むWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物を用いて固定されたカラム、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、サイズ排除クロマトグラフィーカラム、あるいはこれらの組み合わせを用いて、前記混合物から第1のWnt組成物を精製する工程、から得られる、請求項58-68のいずれか1つに記載のWnt組成物。
【請求項70】
WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである、請求項58-69のいずれか1つに記載のWnt組成物。
【請求項71】
Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含むポリペプチドである、請求項70に記載のWnt組成物。
【請求項72】
Wnt3Aポリペプチドは、約1~約33のアミノ酸の切断、随意にC末端切断を含む、請求項70に記載のWnt組成物。
【請求項73】
Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含むか、SEQ ID NO:2からなる、請求項70に記載のWnt組成物。
【請求項74】
Wntポリペプチドは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸残基209に対応するアミノ酸位置において脂質修飾を含む、請求項58-73のいずれか1つに記載のWnt組成物。
【請求項75】
Wntポリペプチドはパルミチン酸で修飾される、請求項58-74のいずれか1つに記載のWnt組成物。
【請求項76】
精製されたWntポリペプチド中間体の濃度は:約20μg/mL~約50μg/mL、約25μg/mL~約50μg/mL、約30μg/mL~約50μg/mL、約20μg/mL~約40μg/mL、約25μg/mL~約40μg/mL、約25μg/mL~約30μg/mL、約30μg/mL~約50μg/mL、あるいは、約30μg/mL~約40μg/mL;または、約20μg/mL、約25μg/mL、約30μg/mL、約35μg/mL、約40μg/mL、約45μg/mL、あるいは、約50μg/mLである、請求項58-75のいずれか1つに記載のWnt組成物。
【請求項77】
Wnt培養系であって、前記Wnt培養系は:
a)最小血清培地;
b)最小血清培地中にあるWntポリペプチド-シャペロン複合体;および、
c)Wntポリペプチドをコードする第1の発現ベクターとシャペロンをコードする第2の発現ベクターをトランスフェクトされた操作された細胞株からの細胞を含み、ここで、Wntポリペプチドとシャペロンは、細胞中で共発現され、細胞は最小血清培地の存在下で育てられる、Wnt培養系。
【請求項78】
シャペロンはFrizzledタンパク質を含む、請求項77に記載のWnt培養系。
【請求項79】
シャペロンはFrizzled-8融合タンパク質を含む、請求項77に記載のWnt培養系。
【請求項80】
Frizzled-8融合タンパク質は、切断されたFrizzled-8タンパク質を含む、請求項79に記載のWnt培養系。
【請求項81】
切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、Frizzled-8のシステインに富んだ領域(CRD)を含む、請求項80に記載のWnt培養系。
【請求項82】
切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:4のアミノ酸残基1からアミノ酸残基151、あるいは、アミノ酸残基1からアミノ酸残基172まで及ぶ領域を含む、請求項80に記載のWnt培養系。
【請求項83】
Frizzled-8融合タンパク質はIgG Fc部分を含む、請求項79-82のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項84】
Frizzled-8融合タンパク質は:SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性;または、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む、請求項79-83のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項85】
Wntポリペプチドは、タグ、随意に、HIS-タグ、FLAGタグ、あるいはPAタグを含む、請求項77に記載のWnt培養系。
【請求項86】
Wntポリペプチドは、異種のシグナル配列あるいは天然のシグナル配列を含む、請求項77-85のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項87】
WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである、請求項77-86のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項88】
Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含む、請求項87に記載のWnt培養系。
【請求項89】
Wnt3Aポリペプチドは、約1~約33のアミノ酸の切断、随意にC末端切断を含む、請求項87に記載のWnt培養系。
【請求項90】
Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含むか、SEQ ID NO:2からなる、請求項87に記載のWnt培養系。
【請求項91】
Wntポリペプチドは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸残基209に対応するアミノ酸位置において脂質修飾を含む、請求項77-90のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項92】
Wntポリペプチドはパルミチン酸で修飾される、請求項77-91のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項93】
WntポリペプチドはWnt5BポリペプチドあるいはWnt10Bポリペプチドである、請求項77-86のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項94】
操作された細胞株は、cGMP適合性細胞株である、請求項77-93のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項95】
cGMP適合性細胞株は、cGMP適合性哺乳動物細胞株である、請求項94に記載のWnt培養系。
【請求項96】
cGMP適合性哺乳動物細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ヒト胚腎臓(HEK)細胞株、あるいはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株である、請求項95に記載のWnt培養系。
【請求項97】
cGMP適合性哺乳動物細胞株は、CHO-SあるいはCHO-k1誘導体細胞株である、請求項95に記載のWnt培養系。
【請求項98】
第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターはそれぞれ独立して、cGMP適合性ベクターである、請求項77-97のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項99】
第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターはそれぞれ独立して、哺乳動物のベクターである、請求項77-98のいずれか1つに記載のWnt培養系。
【請求項100】
哺乳動物のベクターは、OpticVec、pTarget、pcDNA4TO4、pcDNA4.0、UCOE発現ベクター、あるいはGS系発現ベクターである、請求項99に記載のWnt培養系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2017年8月1日に出願された米国仮出願第62/539,960号と2018年2月14日に出願された米国仮出願第62/630,448号の利益を主張するものであり、文献の各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照により全体として本明細書に組み込まれる配列表を含んでいる。2018年7月30日に作成された上記ASCIIのコピーは、47271-708_601_SL.txtのファイル名であり、63,855バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
Wntタンパク質は、Frizzledおよび低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質(LRP)によってコードされた細胞表面受容体に結合する高度に保存された分泌シグナル伝達分子のファミリーを形成する。WNT遺伝子ファミリーは、分泌シグナル伝達タンパク質をコードする構造上関連する遺伝子からなる。これらのタンパク質は、細胞運命の調節と胚形成中のパターン形成を含む、腫瘍形成と複数の発生過程に関与している。リガンドは、いったん結合すると、細胞内の事象のカスケードを開始し、最終的には、β-カテニンとDNA結合タンパク質TCF核活性を介して標的遺伝子の転写を引き起こす。
【発明の概要】
【0004】
ある実施形態では、Wnt組成物と無血清条件からWntを生成する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、Wnt組成物はWnt3A組成物を含む。いくつかの実施形態において、無血清条件からWnt3Aを生成する方法が本明細書に記載される。
【0005】
ある実施形態では、機能的に活性なWntポリペプチドを調製する方法が本明細書に開示され、上記方法は:(a)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤(sugar detergent)を含む緩衝液を用いて、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体をインキュベートする工程;(b)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物で固定されたカラムを用いて上記混合物から第1のWnt組成物を分離する工程;(c)少なくとも一度、第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、サイズ排除クロマトグラフィーカラム、あるいはこれらの組み合わせを用いて第2のWnt組成物を随意に精製する工程;および、(d)機能的に活性なWntポリペプチドを含む最終的なWnt組成物を生成するために、第2のWnt組成物あるいは随意に第3のWnt組成物を、リポソームの水溶液に接触させる工程、を含む。いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はグルコシド界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤は、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-α-D-グルコピラノシド、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド、n-オクチル-β-D-ガラクトピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、あるいはメチル-6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤は、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドおよびオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドから選択される。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤はn-オクチル-β-D-グルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤はオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はマルトシド界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、マルトシド界面活性剤は、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、あるいは6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシドである。いくつかの実施形態において、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は、約0.1%w/vから約5%w/vである。いくつかの実施形態において、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は、約0.1%、0.5%、1%、1.5%、あるいは約2%w/vである。いくつかの実施形態において、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体はさらに、第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、緩衝液を用いてインキュベートする前に、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラムを用いて精製される。いくつかの実施形態において、親和性クロマトグラフィーカラムはプロテインAカラムである。いくつかの実施形態において、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体は、5未満、4未満、あるいは3未満のpHを含む緩衝液を用いて、親和性クロマトグラフィーカラムから溶出される。いくつかの実施形態では、上記方法は:(a)Wntポリペプチド-シャペロン複合体の溶出した混合物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第1の親和性クロマトグラフィーカラムで複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を精製する工程;(b)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、Wntポリペプチド-シャペロン複合体の溶出した混合物をインキュベートする工程;(c)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物で固定されたカラムを用いて上記混合物から第1のWnt組成物を分離する工程;(d)第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第2の親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、およびサイズ排除クロマトグラフィーカラムと並行して第2のWnt組成物を随意に精製する工程;および、(e)機能的に活性なWntポリペプチドを含む最終的なWnt組成物を生成するために、第3のWnt組成物を、リポソームの水溶液に接触させる工程、を含む。いくつかの実施形態において、第1の親和性クロマトグラフィーカラムと第2の親和性クロマトグラフィーカラムはそれぞれ独立して、プロテインAカラムである。いくつかの実施形態において、混合モードカラムの溶出緩衝液は、約0.1Mから約2M、約0.1Mから約1M、あるいは約0.1Mから約0.5Mのアルギニンを含む。いくつかの実施形態において、第2の親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、およびサイズ排除クロマトグラフィーカラムの各々の溶出緩衝液は、糖界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、工程b)の分離は、第1の塩濃度の第1の緩衝溶液と第2の塩濃度の第2の緩衝溶液を含むステップ勾配で第1のWnt組成物を溶出することを含む。いくつかの実施形態では、第1の緩衝溶液は、約10mMから約100mMの濃度の塩を含む。いくつかの実施形態において、第1の緩衝溶液は、約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、あるいはそれよりも高い濃度の塩を含む。いくつかの実施形態において、第2の緩衝溶液は、約1M、1.5M、2M、あるいはそれよりも高い濃度の塩を含む。いくつかの実施形態において、塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、あるいはリン酸アンモニウムを含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはFrizzled タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはWntlessを含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはAfaminを含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはFrizzled-8融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、Frizzled-8融合タンパク質は、切断されたFrizzled-8タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、Frizzled-8融合タンパク質のシステイン豊富領域(CRD)を含む。いくつかの実施形態において、切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:4のアミノ酸残基25からアミノ酸残基172まで及ぶ領域を含む。いくつかの実施形態において、Frizzled-8融合タンパク質はIgG Fc部分を含む。いくつかの実施形態では、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは異種のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは天然のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドはタグを含む。いくつかの実施形態において、タグはHIS(6x)-タグ(SEQ ID NO:19)、FLAGタグ、あるいはPAタグを含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Bポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、約1~約33のアミノ酸の切断を含む。いくつかの実施形態では、切断はC末端切断である。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、C末端切断を有するSEQ ID NO:1のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して、約90%、95%、99%、あるいはよりも多い配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2からなる。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸残基209に対応するアミノ酸位置において脂質修飾を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドはパルミチン酸で修飾される。いくつかの実施形態において、第2の親和性クロマトグラフィーカラムは、第2のWnt組成物から残りのFrizzled-8融合タンパク質を取り除く。いくつかの実施形態において、混合モードカラムは、第2のWnt組成物からWntポリペプチド断片を取り除く。いくつかの実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーカラムは、第3のWnt組成物を生成するために、第2のWnt組成物から残りのWntポリペプチド断片を取り除く。いくつかの実施形態において、第2のWnt組成物は、糖界面活性剤のない状態で精製される同等のWnt組成物に対して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%を超えて純粋である。いくつかの実施形態において、第3のWnt組成物は、糖界面活性剤のない状態で精製される同等のWnt組成物に対して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%を超えて純粋である。いくつかの実施形態において、最終的なWnt組成物は、約10nmから約Ιμm、10nmから約500nm、約50nmから約300nm、約50nmから約200nm、約100nmから約500nm、約100nmから約300nm、あるいは約100nmから約200nmまでのリポソーム粒度分布を有する。いくつかの実施形態において、最終的なWnt組成物は、約1μm未満、約500nm未満、約300nm未満、約200nm未満、あるいは約150nm未満のリポソーム粒度分布を有する。いくつかの実施形態において、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体はさらに、Wntポリペプチドとシャペロンを共発現する細胞を含む調整培地から収穫される。いくつかの実施形態では、細胞はcGMP適合性細胞である。いくつかの実施形態において、cGMP適合性細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ヒト胚腎臓(HEK)細胞株、あるいはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株から随意に選択された、cGMP適合性哺乳動物細胞である。
【0006】
ある実施形態では、機能的に活性なWntポリペプチドを調製する方法が本明細書に開示され、上記方法は:(a)複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドとシャペロンを共発現する工程;(b)調整培地から複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を収穫する工程;(c)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体をインキュベートする工程;(d)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物で固定されたカラムを用いて上記混合物から第1のWnt組成物を分離する工程;および、(e)機能的に活性なWntポリペプチドを含む最終的なWnt組成物を生成するために、第2のWnt組成物を、リポソームの水溶液に接触させる工程、を含む。いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はグルコシド界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤は、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-α-D-グルコピラノシド、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド、n-オクチル-β-D-ガラクトピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、あるいはメチル-6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤は、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドおよびオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドから選択される。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤はn-オクチル-β-D-グルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤はオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はマルトシド界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、マルトシド界面活性剤は、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、あるいは6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシドである。いくつかの実施形態において、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は:約0.1%~約5%w/v;あるいは、約0.1%、0.5%、1%、1.5%、あるいは約2%w/vである。いくつかの実施形態では、第2のWnt組成物は、少なくとも一度、第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、サイズ排除クロマトグラフィー-カラム、あるいはこれらの組み合わせを用いてさらに精製される。いくつかの実施形態において、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体はさらに、第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、緩衝液を用いてインキュベートする前に、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラムを用いて精製される。いくつかの実施形態において、親和性クロマトグラフィーカラムはプロテインAカラムである。いくつかの実施形態において、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体は、5未満、4未満、あるいは3未満のpHを含む緩衝液を用いて、親和性クロマトグラフィーカラムから溶出される。いくつかの実施形態では、上記方法は:(a)Wntポリペプチド-シャペロン複合体の溶出した混合物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第1の親和性クロマトグラフィーカラムで複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を精製する工程;(b)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、Wntポリペプチド-シャペロン複合体の溶出した混合物をインキュベートする工程;(c)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物で固定されたカラムを用いて上記混合物から第1のWnt組成物を分離する工程;(d)第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第2の親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、およびサイズ排除クロマトグラフィー-カラムと並行して第2のWnt組成物を随意に精製する工程;および、(e)機能的に活性なWntポリペプチドを含む最終的なWnt組成物を生成するために、第3のWnt組成物を、リポソームの水溶液に接触させる工程、を含む。いくつかの実施形態において、第1の親和性クロマトグラフィーカラムと第2の親和性クロマトグラフィーカラムはそれぞれ独立して、プロテインAカラムである。いくつかの実施形態において、混合モードカラムの溶出緩衝液は、約0.1Mから約2M、約0.1Mから約1M、あるいは約0.1Mから約0.5Mのアルギニンを含む。いくつかの実施形態において、第2の親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、およびサイズ排除クロマトグラフィー-カラムの各々の溶出緩衝液は、糖界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、工程d)の分離は、第1の塩濃度の第1の緩衝溶液と第2の塩濃度の第2の緩衝溶液を含むステップ勾配で第1のWnt組成物を溶出することを含む。いくつかの実施形態において、第1の緩衝溶液は、約10mMから約100mM;あるいは、約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、またはそれよりも高い濃度の塩を含む。いくつかの実施形態において、第2の緩衝溶液は、約1M、1.5M、2M、あるいはそれよりも高い濃度の塩を含む。いくつかの実施形態において、塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、あるいはリン酸アンモニウムを含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはFrizzled タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはFrizzled-8融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、Frizzled-8融合タンパク質は、切断されたFrizzled-8タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、Frizzled-8融合タンパク質のシステイン豊富領域(CRD)を含む。いくつかの実施形態において、切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:4のアミノ酸残基25からアミノ酸残基172まで及ぶ領域を含む。いくつかの実施形態において、Frizzled-8融合タンパク質はIgG Fc部分を含む。いくつかの実施形態では、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性;または、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、異種のシグナル配列あるいは天然のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、タグ、随意にHIS(6x)-タグ(SEQ ID NO:19)、FLAGタグ、あるいはPAタグを含む。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、約1~約33のアミノ酸の切断、随意にC末端切断を含む。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含むか、SEQ ID NO:2からなる。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸残基209に対応するアミノ酸位置において脂質修飾を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドはパルミチン酸で修飾される。いくつかの実施形態において、第2の親和性クロマトグラフィーカラムは、第2のWnt組成物から残りのFrizzled-8融合タンパク質を取り除く。いくつかの実施形態において、混合モードカラムは、第2のWnt組成物からWntポリペプチド断片を取り除く。いくつかの実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーカラムは、第3のWnt組成物を生成するために、第2のWnt組成物から残りのWntポリペプチド断片を取り除く。いくつかの実施形態において、第2のWnt組成物は、糖界面活性剤のない状態で精製される同等のWnt組成物に対して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%を超えて純粋である。いくつかの実施形態において、第3のWnt組成物は、糖界面活性剤のない状態で精製される同等のWnt組成物に対して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%を超えて純粋である。いくつかの実施形態において、最終的なWnt組成物は、以下のリポソーム粒度分布を有する:約10nmから約1μm、10nmから約500nm、約50nmから約300nm、約50nmから約200nm、約50nmから約150nm、約100nmから約500nm、約100nmから約300nm、あるいは約100nmから約200nmまで;約1μm未満、約500nm未満、約300nm未満、約200nm未満、あるいは約150nm未満;または、約50nm、約100nm、あるいは、約150nm。
【0007】
ある実施形態では、上記の方法によって生成された機能的に活性なWntポリペプチドが本明細書に開示される。
【0008】
ある実施形態では、上記の方法によって生成された機能的に活性なWntポリペプチドを含むリポソームWnt組成物が本明細書に開示される。
【0009】
ある実施形態では、被験体の骨移植片における細胞生存を増強する方法が本明細書に開示され、上記方法は:(a)上記の方法によって生成されたリポソームWntポリペプチドを含む組成物を用いて、エクスビボで細胞を含む単離された哺乳動物の骨移植片材料を含むサンプルをインキュベートする工程;および、(b)標的部位へ増強された細胞を移植する工程、を含む。いくつかの実施形態において、工程a)の細胞は、少なくとも10分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、あるいはそれ以上インキュベートされる。いくつかの実施形態において、工程a)の細胞は、ほぼ室温あるいは約37°Cでインキュベートされる。いくつかの実施形態において、増強された細胞は、暴露されていない哺乳動物の骨移植片材料に対して増強された骨形成能力を含む。
【0010】
ある実施形態では、被験体の骨欠損部位における細胞生存を増強する方法が本明細書に開示され、上記方法は:上記方法によって生成されたリポソームWntポリペプチドを含む組成物を、骨欠損部位へ投与する工程を含み、リポソームWntポリペプチドは骨欠損部位における細胞生存を増強する。いくつかの実施形態において、上記方法はさらに、骨欠損部位における歯科用あるいは整形外科用インプラントを投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、歯科用あるいは整形外科用インプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与前に、骨欠損部位に投与される。いくつかの実施形態において、歯科用あるいは整形外科用インプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与後に、骨欠損部位に投与される。いくつかの実施形態において、歯科用あるいは整形外科用インプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与の約1日、2日、5日、7日、2週間、30日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、あるいはそれ以上後に、骨欠損部位に投与される。いくつかの実施形態において、歯科用あるいは整形外科用インプラントと、リポソームWntポリペプチドを含む組成物は、骨欠損部位に同時に投与される。いくつかの実施形態において、リポソームWntポリペプチドは、歯科用あるいは整形外科用インプラントの骨結合を増強する。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0011】
ある実施形態では、精製されたWntポリペプチド中間体と約0.1%から約5%w/vの濃度の糖界面活性剤とを含むWnt組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はグルコシド界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤は、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-α-D-グルコピラノシド、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド、n-オクチル-β-D-ガラクトピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、あるいはメチル-6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤は、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドおよびオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドから選択される。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤はn-オクチル-β-D-グルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、グルコシド界面活性剤はオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドである。いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はマルトシド界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、マルトシド界面活性剤は、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、あるいは6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシドである。いくつかの実施形態において、糖界面活性剤の濃度は、約0.1%、0.5%、1%、1.5%、あるいは約2%w/vである。いくつかの実施形態において、Wnt組成物は約5、5.5、あるいは6のpHを有する。いくつかの実施形態において、Wnt組成物は、約10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、40mM、あるいは50mMの濃度で酢酸塩を含む緩衝液を含んでいる。いくつかの実施形態において、精製されたWntポリペプチド中間体は、以下の工程から得られる:(a)複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドとシャペロンを共発現する工程;(b)調整培地から複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を収穫する工程;(c)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体をインキュベートする工程;および、(d)精製されたWntポリペプチド中間体と糖界面活性剤を含むWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物を用いて固定されたカラム、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、サイズ排除クロマトグラフィー-カラム、あるいはこれらの組み合わせを用いて、上記混合物から第1のWnt組成物を精製する工程、を含む。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、約1~約33のアミノ酸の切断、随意にC末端切断を含む。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含むか、SEQ ID NO:2からなる。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸残基209に対応するアミノ酸位置において脂質修飾を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドはパルミチン酸で修飾される。いくつかの実施形態において、精製されたWntポリペプチド中間体の濃度は、約20g/mL~約50 g/mL、約25μg/mL~約50μg/mL、約30μg/mL~約50μg/mL、約20μg mL~約40μg/mL、約25μg/mL~約40μg/mL、約25μg/mL~約30μg/mL、約30μg/mL~約50μg/mL、あるいは、約30μg/mL~約40μg/mL;または、約20μg/mL、約25μg mL、約30μg/mL、約35μg/mL、約40μg mL、約45μg/mL、あるいは、約50μg/mLである。
【0012】
ある実施形態において、Wnt培養系が本明細書に開示され、上記Wnt培養系は、(a)最小血清培地;(b)最小血清培地にあるWntポリペプチド-シャペロン複合体;および、(c)Wntポリペプチドをコードする第1の発現ベクターとシャペロンをコードする第2の発現ベクターをトランスフェクトされた操作された細胞株からの細胞を含み、ここで、Wntポリペプチドとシャペロンは、細胞中で共発現され、細胞は最小血清培地の存在下で育てられる。いくつかの実施形態では、シャペロンはFrizzled タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはWntlessを含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはAfaminを含む。いくつかの実施形態では、シャペロンはFrizzled-8融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、Frizzled-8融合タンパク質は、切断されたFrizzled-8タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、Frizzled-8融合タンパク質のシステイン豊富領域(CRD)を含む。いくつかの実施形態において、切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:4のアミノ酸残基1からアミノ酸残基151、あるいは、アミノ酸残基1からアミノ酸残基172まで及ぶ領域を含む。いくつかの実施形態において、Frizzled-8融合タンパク質はIgG Fc部分を含む。いくつかの実施形態では、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドはタグを含む。いくつかの実施形態において、タグはHIS-タグ、FLAGタグ、あるいはPAタグを含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは異種のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは天然のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Bポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して、約90%、95%、99%、あるいはそれよりも高い配列同一性を含む。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、約1~約33のアミノ酸の切断を含む。いくつかの実施形態では、切断はC末端切断である。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、C末端切断を有するSEQ ID NO:1のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して、約90%、95%、99%、あるいはよりも多い配列同一性を含む。いくつかの実施形態では、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2からなる。いくつかの実施形態では、操作された細胞株は、cGMP適合性細胞株である。いくつかの実施形態では、操作された細胞株は、cGMP適合性哺乳動物細胞株である。いくつかの実施形態において、cGMP適合性哺乳動物細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ヒト胚腎臓(HEK)細胞株、あるいはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株である。いくつかの実施形態において、cGMP適合性哺乳動物細胞株は、CHO-SあるいはCHO-k1誘導体細胞株である。いくつかの実施形態において、第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターはそれぞれ独立して、cGMP適合性ベクターである。いくつかの実施形態において、第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターはそれぞれ独立して、哺乳動物のベクターである。いくつかの実施形態において、哺乳動物のベクターは、OpticVec、pTarget、pcDNA4TO4、pcDNA4.0、UCOE発現ベクター、あるいはGS系発現ベクターである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の様々な態様が、添付の請求項において具体的に明記されている。本開示の特徴と利点についてのよりよい理解は、本開示の原則が用いられている例証的な実施形態と添付の図面を説明する以下の詳細な記載を参照することによって得られる:
【
図1】外因性のFrizzled-8融合タンパク質(Fz-151-Fc)の存在下における、あるいいは、共発現されたFrizzled-8融合タンパク質(Fz-151-Fc)の存在下におけるWnt3A発現に関する比較研究を例証する。
【
図2A】Frizzled-8融合タンパク質(Fz-151-Fc)の共発現は、Wnt3A凝集を減少させ(
図2A)、Wnt3A単量体の量をさらに増加させる(
図2B)。Wnt3Aポリペプチドは安定した細胞株から生成された。
【
図2B】Frizzled-8融合タンパク質(Fz-151-Fc)の共発現は、Wnt3A凝集を減少させ(
図2A)、Wnt3A単量体の量をさらに増加させる(
図2B)。Wnt3Aポリペプチドは安定した細胞株から生成された。
【
図3】本明細書に記載された4つの例示的な精製戦略を例証する。
【
図4A】戦略1の精製の詳細を例証する。
図4Aは、戦略1の例示的な精製スキームを示す。
【
図4B】戦略1の精製の詳細を例証する。
図4Bは、様々な画分の銀染色を示す。条件は非還元条件である。
【
図4C】戦略1の精製の詳細を例証する。
図4Cは、Wnt3Aポリペプチドの存在と濃度を判定するための様々な画分のウエスタンブロット分析を示す。
【
図4D】戦略1の精製の詳細を例証する。
図4Dは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を例証する。
【
図5A】戦略2の精製の詳細を例証する。
図5Aは、プロテインA画分のクマシー染色を例証する。
【
図5B】戦略2の精製の詳細を例証する。
図5Bは、様々な画分の銀染色を示す。
【
図5C】戦略2の精製の詳細を例証する。
図5Cは、Wnt3Aポリペプチドの存在と濃度を判定するための様々な画分のウエスタンブロット分析を示す。
【
図5D】戦略2の精製の詳細を例証する。
図5Dは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を例証する。
【
図6A】戦略3の精製の詳細を例証する。
図6Aは様々な画分の銀染色を示す。
【
図6B】戦略3の精製の詳細を例証する。
図6Bは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を例証する。
【
図7A】戦略4のための精製の詳細を例証する。
図7Aは、プロテインA画分のクマシー染色を示す。
【
図7B】戦略4のための精製の詳細を例証する。
図7Bは、様々な画分の銀染色を示す。
【
図7C】戦略4のための精製の詳細を例証する。
図7Cは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を例証する。
【
図8A】Wntless(WLS)を用いるWnt3Aポリペプチドの共発現を例証する。
図8Aは、共発現したWntlessの存在下でのWnt3A発現の増加を示す。
【
図8B】Wntless(WLS)を用いるWnt3Aポリペプチドの共発現を例証する。
図8Bは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を示す。
【
図8C】Wntless(WLS)を用いるWnt3Aポリペプチドの共発現を例証する。
図8Cは、安定した細胞株におけるWnt3Aの発現を示す。
【
図9】Afaminを用いるWnt3Aの共発現を例証する。
【
図10A】それぞれPA、FLAG、および、Hisタグでタグ付けされた、3つの例示的なWnt3Aポリペプチドの発現と活性を例証する。
図10Aは、分泌されたタグ付きWnt3Aポリペプチドの濃度を例証する。
【
図10B】それぞれPA、FLAG、および、Hisタグでタグ付けされた、3つの例示的なWnt3Aポリペプチドの発現と活性を例証する。
図10Bは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を示す。
【
図11】様々なHis-タグ-リンカー構築物を含むWnt3A変異体(ΑΚΤ352
his変異体)の活性を示す。
【
図12】Ni-NTAカラムからのWnt3A変異体-ART352
hisの様々な画分の活性を示す。
【
図13A】ELISAアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの濃度を示す。
【
図13B】ELISAアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの濃度を示す。
【
図13C】ELISAアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの濃度を示す。
【
図14】FLAG-タグ付けされたWnt3Aポリペプチド:FLAG-TEV-hWnt3Aの精製の精製スキームを例証する。
【
図15A】FLAG-タグ付けされたWnt3Aポリペプチドの活性と濃度を示す。
図15A~
図15Cは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を示す。
【
図15B】FLAG-タグ付けされたWnt3Aポリペプチドの活性と濃度を示す。
図15A~
図15Cは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を示す。
【
図15C】FLAG-タグ付けされたWnt3Aポリペプチドの活性と濃度を示す。
図15A~
図15Cは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を示す。
【
図15D】FLAG-タグ付けされたWnt3Aポリペプチドの活性と濃度を示す。
図15D~
図15Fは、Wnt3Aポリペプチドの濃度を示す。
【
図15E】FLAG-タグ付けされたWnt3Aポリペプチドの活性と濃度を示す。
図15D~
図15Fは、Wnt3Aポリペプチドの濃度を示す。
【
図15F】FLAG-タグ付けされたWnt3Aポリペプチドの活性と濃度を示す。
図15D~
図15Fは、Wnt3Aポリペプチドの濃度を示す。
【
図16A】0.75Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性を示す。
図16A:ヘパリン精製から得られた画分;
【
図16B】0.75Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性を示す。
図16B:標準偏差を例証する;
【
図16C】0.75Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性を示す。
図16C:ヘパリン画分あたりのLUC/LAC。
【
図17A】10Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性と濃度を示す。
図17A:ヘパリン精製から得られた画分;
【
図17B】10Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性と濃度を示す。
図17B:標準偏差を例証する;
【
図17C】10Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性と濃度を示す。
図17C:ヘパリン画分あたりのLUC/LAC;
【
図17D】10Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性と濃度を示す。
図17D:採取された1つの画分当たりのWnt3Aの濃度;
【
図17F】10Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性と濃度を示す。
図17F:例示的な画分からの最終濃度を例証する。
【
図18】hFZD8 CRD-Fcを有する複合体中のWnt3Aの活性を例証する。
【
図19】本明細書に記載された例示的な精製スキームを例証する。
【
図20A】1%CHAPS(
図20A)あるいは1%OGP(
図20B)のいずれかによるWnt3A(ART352)精製の例示的なゲル画像を示す。
【
図20B】1%CHAPS(
図20A)あるいは1%OGP(
図20B)のいずれかによるWnt3A(ART352)精製の例示的なゲル画像を示す。
【
図21A】1%OGP(
図21A)あるいは1%CHAPS(
図21B)中のWNT3A(ART352)溶出液のLSL活性を例証する。
【
図21B】1%OGP(
図21A)あるいは1%CHAPS(
図21B)中のWNT3A(ART352)溶出液のLSL活性を例証する。
【
図22】混合モードカラムによる精製の例示的なゲル画像を例証する。
【
図23A】1%CHAPS(
図23A)あるいは1%OGP(
図23B)を含むいずれかの緩衝液で精製されたWnt3Aポリペプチドを例証する。
【
図23B】1%CHAPS(
図23A)あるいは1%OGP(
図23B)を含むいずれかの緩衝液で精製されたWnt3Aポリペプチドを例証する。
【
図24A】CHAPSと比較して、2つの異なる温度、4°C(
図24A)と23°C(
図24B)でOGPがWNT3Aタンパク質を安定させることを例証する。
【
図24B】CHAPSと比較して、2つの異なる温度、4°C(
図24A)と23°C(
図24B)でOGPがWNT3Aタンパク質を安定させることを例証する。
【
図25】例示的なリポソームWnt3A製剤化プロセスを例証する。
【
図26】例示的なWnt3AポリペプチドART352を使用して、代表的な標準曲線を例証する。感度範囲は、約0.003μg/mLから約1.6μg/mLまでであった。
【
図27】自家移植片における細胞の生存率に対する溶液条件の効果を示す。ゼロ時点(白い棒)と比較して、2時間の生理食塩水中のインキュベーションは、自家移植片においてアポトーシス細胞の割合の倍加を引き起こす。これに対して、ART352-Lでのインキュベーションは、アポトーシスの時間依存性および温度依存性の増加を、対照自家移植片で観察されたレベルまで、再度減少させる。
【
図28】自家移植片における細胞の生存率に対する温度効果を示す。生理食塩水中で保持されたサンプルについては、4°Cの保持温度は自家移植片における細胞死を減少させるが、その一方で、37°Cの保持温度は、自家移植片中における細胞死を増加させる。
【
図29】例示的なリポソームWnt3AポリペプチドART352-Lのエンドサイトーシスに対する時間と温度の効果を示す。DiI標識されたART352-Lのエンドサイトーシスは、時間と温度に応じて増加する。これらのデータは、15分から2時間のエクスビボ保持の意図された期間について、37°Cでのインキュベーションが栄養吸収を支持することを示唆している。データは、ART352-Lの取り込みが、標準的な自家移植片の取扱いに関連する細胞死を改善することを実証している。
【
図30】時間と温度に応じたART352-L安定性を示す。2時間の間に、ART352-Lは最小限の活性低下(4.9%)を示す。
【
図31】インキュベーション溶液からの活性なART352-Lのエンドサイトーシス除去を示す。自家移植片のない状態では、ART352-Lレベルはインキュベーション溶液中で100%のままである。自家移植片のある状態では、溶液からの活性なART352-Lの除去は、温度と時間に依存して起こる。
【
図32】ART352-Lで処置された自家移植片に関連づけられる、遊離した活性なART352-Lの評価を示す。ART352-Lで処置された自家移植片は、エクスビボのインキュベーション工程の温度または持続時間にかかわらず、残りの、遊離した、活性なART352のいかなる証拠も示していない。
【
図33】インキュベーション溶液からのART352-L除去と自家移植片に由来する細胞による取り込みを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
Wntsは、骨形成のプログラムに関連する多種多様な細胞の決定に関与する。例えば、Wntsは、間葉系前駆細胞の骨格形成運命に影響を与える2つの転写因子であるsox9とRunx2の発現レベルを調節する。Wntsはさらに、骨芽細胞または軟骨細胞のいずれかへの細胞の分化に影響を与える。成体動物では、Wntシグナル伝達が骨量を調節するという多くの証拠がある。例えば、Wntシグナル伝達を増加させる機能獲得突然変異は、1型骨粗鬆症を含むいくつかの高骨量症候群、および、骨内膜の過骨症あるいは常染色体優性骨硬化症に関連する。Wntシグナル伝達を減少させる機能突然変異の喪失は、低骨量疾患、骨粗鬆症偽神経膠腫を引き起こす。Wnt阻害剤Dkklの増加した生成は、目立った特徴の1つとして増加した骨吸収を有する疾患である多発性骨髄腫に関連付けられ、Wnt阻害剤スクレロスチンの喪失は、硬化症とvan Buchem病を含む高骨量疾患に関連付けられる。
【0015】
細胞決定におけるWntシグナル伝達の役割は、Wntシグナル伝達が抑制または遮断されるインビトロで行なわれる実験によって大部分が決定されてきた。いくつかの例では、Wntシグナルは、その受容体の過剰なリガンド結合ドメインFrizzledによって遮断される。
【0016】
Wntポリペプチドは、細胞発達および生物学的プロセスを組み合わせるシグナル分子のファミリーを含む。いくつかの例では、Wntポリペプチドは幹細胞自己複製、アポトーシス、および細胞運動を調節する。他の例では、Wntポリペプチドは、例えば、組織ホメオスタシスなどの発達に寄与する。Wntポリペプチドは高度に疎水性タンパク質であり、いくつかの例(例えば、特定の培地条件)下では、減少するか、生体機能を失う。場合によっては、外因性の薬剤(例えば、リポソーム)によるWntポリペプチドの製剤化により、Wntポリペプチドは生体機能を維持することができる。例えば、脂質小胞(例えば、リポソーム)とWntポリペプチドを組み合わせることで、生物学的活性を有する(Minear et al., Wnt proteins promote bone regeneration. Sci. Transl. Med. 2, 29ra30 (2010); and Popelut et al., The acceleration of implant osseointegration by liposomal Wnt3A, Biomateriols 31 9173e9181 (2010); U.S. Patent Nos. 7,335,643 and 7, 153,832)Wnt製剤が形成される(Morrell NT, Leucht P, Zhao L, Kim J-B, ten Berge D, et al. (2008) Liposomal Packaging Generates Wnt Protein with In Vivo Biological Activity. PLoS ONE 3(8): e2930; and Zhao et al., Controlling the in vivo activity of Wnt liposomes, Methods Enzyrnol 465: 331-47 (2009))。
【0017】
いくつかの例では、Wntポリペプチドは血清の存在下において培養物細胞から分泌される。血清は様々な脂質成分を含有しており、これは、場合によっては、インビトロで高疎水性のWntポリペプチドを安定化させる。疎水性は、Wnt活性に必要とされるパルミトイル化の存在に基づく。しかしながら、安全上の理由から、FDAとEMAを含む取締機関は一般に、ヒトでの使用を意図した薬物からすべての動物性生成物の除去を必要とする。加えて、ウイルスや他の病原体による汚染を防ぐために適切な手順が踏まれなかった場合には、FDAによって規制された医療品の製造中に使用されるウシ胎仔血清は禁止される。
【0018】
場合によっては、Wntポリペプチドが界面活性剤によって安定化する。界面活性剤は凝集から疎水性のWntを守るが、Wntポリペプチドを安定化させることができる濃度レベルは、ヒト細胞によっては細胞毒性であり、場合によっては細胞溶解を引き起こす。
【0019】
最小血清条件(例えば、無血清条件)下でWntポリペプチドを生成する方法と培養系が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は:(a)機能的に不活性なWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液を用いて、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体をインキュベートする工程;(b)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物で固定されたカラムを用いて上記混合物から第1のWnt組成物を分離する工程;(c)少なくとも一度、第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、サイズ排除クロマトグラフィー-カラム、あるいはこれらの組み合わせを用いて第2のWnt組成物を随意に精製する工程;および、(d)機能的に活性なWntポリペプチドを含む最終的なWnt組成物を生成するために、第2のWnt組成物あるいは随意に第3のWnt組成物を、リポソームの水溶液に接触させる工程、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は:(a)複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドをシャペロンと共発現する工程;(b)調整培地からWntポリペプチド-シャペロン複合体を収穫する工程;(c)溶出したWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物を用いて固定されたカラムに、Wntポリペプチド-シャペロン複合体を導入する工程;(d)処理されたWntポリペプチドを生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラムを介して溶出したWntポリペプチド-シャペロン複合体を処理する工程;および、(e)リポソームWntポリペプチドを生成するために、処理されたWntポリペプチドをリポソームの水溶液に接触させる工程、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は:(a)複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドをシャペロンと共発現する工程;(b)調整培地からWntポリペプチド-シャペロン複合体を収穫する工程;(c)溶出したWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラムに、Wntポリペプチド-シャペロン複合体を導入する工程;(d)処理されたWntポリペプチドを生成するために、スルホン化された多環芳香族化合物を用いて固定されたカラムを介して溶出したWntポリペプチド-シャペロン複合体を処理する工程;および、(e)リポソームWntポリペプチドを生成するために、処理されたWntポリペプチドをリポソームの水溶液に接触させる工程、を含む。
【0022】
追加の実施形態では、Wnt培養系が本明細書に記載され、上記Wnt培養系は、(a)最小血清培地;(b)最小血清培地にあるWntポリペプチド-シャペロン複合体;および、(c)Wntポリペプチドをコードする第1の発現ベクターとシャペロンをコードする第2の発現ベクターをトランスフェクトされた操作された細胞株からの細胞を含み、ここで、Wntポリペプチドとシャペロンは、細胞中で共発現され、細胞は最小血清培地の存在下で育てられる。
【0023】
Wntポリペプチド
Wntポリペプチドあるいはタンパク質は、胚形成中の細胞間相互作用を調節する高度に保存された分泌シグナル分子のファミリーを形成する。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt1、Wnt2、Wnt2B(あるいは、Wnt13)、Wnt3、Wnt3A、Wnt4、Wnt5A、Wnt5B、Wnt6、Wnt7A、Wnt7B、Wnt8A、Wnt8B、Wnt9A(Wnt14またはWnt14B)、Wnt9B(Wnt14BまたはWnt15)、Wnt10A、Wnt10B(あるいはWnt12)、Wnt11、Wnt-16A、およびWnt-16Bのポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、およびWnt10Bポリペプチドから選択される。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt5Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt10Bポリペプチドである。「Wnts」あるいは「Wnt遺伝子産物」あるいは「Wntポリペプチド」との用語は、本明細書で使用されるとき、天然の配列Wntポリペプチド、Wntポリペプチド変異体、Wntポリペプチド断片、およびキメラWntポリペプチドを包含する。
【0024】
「天然の配列」ポリペプチドは、自然由来のWntポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するものである。そのような天然の配列ポリペプチドは、内因性のWntタンパク質を生成する細胞から単離可能であるか、あるいは、組み換え体または合成手段によって生成可能である。したがって、天然の配列ポリペプチドは、例えば、自然発生のヒトのポリペプチド、マウスのポリペプチド、他の哺乳動物種あるいは哺乳動物以外の種、例えば、ポリペプチド、例えば、ショウジョウバエ、線虫などからのポリペプチドなどのアミノ酸配列を有することができる。
【0025】
「天然の配列ポリペプチド」との用語は、限定されないが、Wnt1、Wnt2、Wnt2B(あるいは、Wnt13)、Wnt3、Wnt3A、Wnt4、Wnt5A、Wnt5B、Wnt6、Wnt7A、Wnt7B、Wnt8A、Wnt8B、Wnt9A(Wnt14またはWnt14B)、Wnt9B(Wnt14BまたはWnt15)、Wnt10A、Wnt10B(あるいはWnt12)、Wnt11、Wnt-16A、およびWnt-16Bのポリペプチドを含む。いくつかの例では、「天然の配列Wntポリペプチド」との用語は、ヒトWntポリペプチドを含む。場合によっては、ヒトWntポリペプチドは、Wnt1、Wnt2、Wnt2B(あるいは、Wnt13)、Wnt3、Wnt3A、Wnt4、Wnt5A、Wnt5B、Wnt6、Wnt7A、Wnt7B、Wnt8A、Wnt8B、Wnt9A(Wnt14またはWnt14B)、Wnt9B(Wnt14BまたはWnt15)、Wnt10A、Wnt10B(あるいはWnt12)、Wnt11、Wnt-16A、およびWnt-16Bのポリペプチドを含む。場合によっては、ヒトWntポリペプチドはヒトWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、ヒトWntポリペプチドはヒトWnt5Aである。さらなる場合には、ヒトWntポリペプチドはヒトWnt10Bである。
【0026】
いくつかの例では、Wnt1は、GenBank レファレンスNP005421.1およびAAH74799.1によって参照される。Wnt2はGenBank レファレンスNP003382.1およびAAH78170.1によって参照される。一般的に、Wnt2は、脳、視床、胎児と成人の両方の肺、あるいは胎盤で発現される。Wnt2Bは2つのアイソフォームを有し、これらのGenBank レファレンス番号はそれぞれNP004176.2とNP078613.1である。場合によっては、アイソフォーム1は、成人の心臓、脳、胎盤、肺、前立腺、睾丸、卵巣、小腸、および/または結腸で発現される。成人の脳では、それは、主として尾状核、視床下核、および視床で見られる。いくつかの例では、それは胎児の脳、肺、および腎臓でも検出される。場合によっては、アイソフォーム2は、胎児の脳、胎児の肺、胎児の腎臓、尾状核、睾丸、および/または癌細胞株で発現される。
【0027】
Wnt3とWnt3Aは、発達中の神経管の形態形成中に細胞間のシグナル伝達で特徴的な役割を果たす。いくつかの例では、ヒトWnt3のmRNA配列は、GenBank レファレンスAB067628.1を有し、ヒトWnt3のタンパク質配列はGenBank レファレンスBAB70502.1を有する。ヒトWnt3AのmRNA配列はGenBank レファレンスAB060284.1を有し、ヒトWnt3Aのタンパク質配列はGenBank レファレンスBAB61052.1とAAI03924.1を有する。加えて、ヒトWnt3Aは、GenBankアクセッション番号BC103922とアクセッション番号BC103921を有する。いくつかの例では、「天然の配列Wntタンパク質」あるいは「天然の配列Wntポリペプチド」との用語は、導入されるN末端メチオニン(Met)を含むまたは含まない、および、天然のシグナル伝達配列を含むまたは含まない、Wnt3A天然ポリペプチド(例えば、アクセッション番号BAB61052.1とAAI03924.1のポリペプチド)を含む。場合によっては、この用語は、N末端メチオニン(Met)を含むまたは含まない、および、天然のシグナル伝達配列を含むまたは含まない、SEQ ID NO:2の352のアミノ酸天然ヒトWnt3Aポリペプチドを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、Wnt4は、GenBank レファレンスNP1 10388.2およびBAC23080.1を有する。Wnt5Aは、GenBank レファレンスNP003383.1およびNP003383.2を有する。Wnt5Bは、GenBank レファレンスBAB62039.1およびAAG386 9を有する。Wnt6は、GenBank レファレンスNP006513.1およびBAB 5603.1を有する。Wnt7Aは、GenBank レファレンスNP004616.2およびBAA82509.1を有する。いくつかの例では、それは、胎盤、腎臓、睾丸、子宮、胎児の肺、胎児の脳、あるいは成人の脳で発現される。Wnt7Bは、GenBank レファレンスNP478679.1およびBAB68399.1を有する。場合によっては、それは、胎児の脳、肺、および/または腎臓、あるいは成人の脳、肺、および/または前立腺で発現される。Wnt8Aは、少なくとも2つの代替的な転写産物、GenBank レファレンスNP114139.1とNP490645.1を有する。Wnt8Bは前脳で発現される。それはGenBank レファレンスNP003384.1を有する。Wnt10AはGenBank レファレンスAAG45153およびNP079492.2を有する。Wnt10Bはほとんどの成人の組織で検出され、心臓と骨格の筋肉で最高レベルである。それはGenBank レファレンスNP003385.2を有する。場合によっては、Wnt11は、胎児の肺、腎臓、成人の心臓、肝臓、骨格筋、および膵臓で発現される。それはGenBank レファレンスNP004617.2を有する。Wnt14はGenBank レファレンスNP003386.1を有する。Wnt15は胎児の腎臓または成人の腎臓で発現されるか、あるいは脳で発現される。それはGenBank レファレンスNP003387.1を有する。Wnt16は、選択的スプライシングによって生成される2つのアイソフォーム、Wnt16AとWnt16Bを有する。アイソフォームWnt16Aは膵臓で発現される。アイソフォームWnt16Bは、脾臓、虫垂、およびリンパ節などの末梢リンパ系器官あるいは腎臓で発現されるが、骨髄では発現されなかった。GenBank レファレンスはそれぞれ、Wntl6AとWntl6BのためのNP476509.1とNP057171.2である。表記されたGenBank、SwissProt、および他のデータベース配列はすべて、本明細書で参照により明確に本明細書に組み込まれる。
【0029】
「変異体」ポリペプチドとは、天然の配列ポリペプチドと100%未満の配列同一性を有する、以下に定義されるような生物学的に活性なポリペプチドを意味する。そのような変異体はポリペプチドを含み、ここで、1つ以上のアミノ酸残基は、天然の配列のN末端またはC末端で、あるいは、天然の配列内部で加えられ;約1~40のアミノ酸残基が欠失し、随意に、1つ以上のアミノ酸残基によって置換され;および、そのような変異体は、上記のポリペプチドの誘導体を含み、ここで、アミノ酸残基は、結果として生じる生成物が非自然発生のアミノ酸を有するように、共有結合的に修飾される。
【0030】
いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、天然の配列Wntポリペプチドと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、天然の配列Wntポリペプチドと少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、96%、97%、あるいは99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。場合によっては、生物学的に活性なWnt変異体は、天然の配列Wntポリペプチドと少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。場合によっては、生物学的に活性なWnt変異体は、天然の配列Wntポリペプチドと少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A、Wnt5A、あるいはWnt10Bである。いくつかの実施形態において、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A変異体、例えば、Wnt3Aの天然の配列と少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、96%、97%、あるいは99%のアミノ酸配列同一性を有するWnt3A変異体のアミノ酸配列である。いくつかの実施形態において、生物学的に活性なWnt変異体はヒトWnt3A変異体である。
【0031】
いくつかの実施形態において、生物学的に活性なWnt変異体は切断されたWntポリペプチドである。いくつかの例では、切断はN末端からのものである。他の例では、切断はC末端からのものである。場合によっては、Wntポリペプチドは、5~40のアミノ酸、5~35のアミノ酸、10~35のアミノ酸、10~33のアミノ酸、10~30のアミノ酸、15~33のアミノ酸、15~30のアミノ酸、20~35のアミノ酸、20~33のアミノ酸、20~30のアミノ酸、25~33のアミノ酸、あるいは25~30のアミノ酸によって切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは、5~40のアミノ酸、5~35のアミノ酸、10~35のアミノ酸、10~33のアミノ酸、10~30のアミノ酸、15~33のアミノ酸、15~30のアミノ酸、20~35のアミノ酸、20~33のアミノ酸、20~30のアミノ酸、25~33のアミノ酸、あるいは25~30のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、切断されたWntポリペプチドは、切断されたWnt3Aポリペプチド、切断されたWnt5Aポリペプチド、あるいは切断されたWnt10Bポリペプチドである。
【0032】
いくつかの実施形態では、Wntポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、またはそれ以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは5つ以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは10以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは15以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは20以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは25以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは30以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは31以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは32以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは33以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは34以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wntポリペプチドは35以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、ポリペプチドが生物学的活性を維持するという条件で、WntポリペプチドはN末端でさらに切断される。場合によっては、切断されたWntポリペプチドは、切断されたWnt3Aポリペプチド、切断されたWnt5Aポリペプチド、あるいは切断されたWnt10Bポリペプチドである。
【0033】
いくつかの実施形態において、切断されたWntポリペプチドは、切断されたWnt3Aポリペプチドである。いくつかの例では、切断はN末端からのものである。他の例では、切断はC末端からのものである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、5~40のアミノ酸、5~35のアミノ酸、10~35のアミノ酸、10~33のアミノ酸、10~30のアミノ酸、15~33のアミノ酸、15~30のアミノ酸、20~35のアミノ酸、20~33のアミノ酸、20~30のアミノ酸、25~33のアミノ酸、あるいは25~30のアミノ酸によって切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、5~40のアミノ酸、5~35のアミノ酸、10~35のアミノ酸、10~33のアミノ酸、10~30のアミノ酸、15~33のアミノ酸、15~30のアミノ酸、20~35のアミノ酸、20~33のアミノ酸、20~30のアミノ酸、25~33のアミノ酸、あるいは25~30のアミノ酸によってC末端で切断される。
【0034】
いくつかの実施形態では、Wnt3Aポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、またはそれ以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは5つ以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは10以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは15以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは20以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは25以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは30以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは31以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは32以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは33以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは34以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは35以上のアミノ酸によってC末端で切断される。場合によっては、ポリペプチドが生物学的活性を維持するという条件で、Wnt3AポリペプチドはN末端でさらに切断される。
【0035】
いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は1つ以上のアミノ酸位置で脂質修飾を含む。場合によっては、脂質修飾は、SEQ ID NO:1に記載される位置209と同等のWnt変異体上の位置にある。いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A、Wnt5A、あるいはWnt10Bである。場合によっては、Wnt変異体はWnt3Aである。場合によっては、Wnt3A変異体は、SEQ ID NO:1に記載される残留物209と同等の位置で脂質修飾を含む。場合によっては、Wntポリペプチドは、脂肪酸、例えば、飽和脂肪酸、あるいは不飽和脂肪酸で修飾される。場合によっては、Wntポリペプチドは、不飽和脂肪酸(例えば、パルミトレイン酸などの一価不飽和脂肪酸)で修飾される。その他の場合では、Wntポリペプチドは飽和脂肪酸(例えば、パルミチン酸)で修飾される。さらなる場合には、Wntポリペプチドはパルミチン酸で修飾される。いくつかの例では、修飾はパルミトイル化である。いくつかの例では、Wnt3A変異体は切断されたWnt3Aポリペプチドであり、これは、SEQ ID NO:1に記載される残留物209と同等の位置に脂質修飾(例えば、パルミチン酸などの飽和脂肪酸修飾)を含む。
【0036】
いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体はさらに、グリコシル化によって修飾された残基を含む。場合によっては、修飾は、SEQ ID NO:1に記載される位置82および/または298と同等の位置で生じる。いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A、Wnt5A、あるいはWnt10Bである。場合によっては、Wnt変異体はWnt3Aである。場合によっては、Wnt3A変異体はさらに、グリコシル化によって修飾された残基を含む。場合によっては、Wnt3A変異体が、SEQ ID NO:1に記載される残基82および/または残基298と同等の1つ以上の位置にグリコシル化された残基を含む。場合によっては、Wnt3A変異体は切断されたWnt3Aポリペプチドである。
【0037】
いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体はタグをさらに含む。いくつかの例では、タグはアフィニティータグである。他の例では、タグはエピトープタグである。本明細書に記載された例示的なタグとしては、限定されないが、ポリヒスチジンタグ、PA-タグ、FLAGタグ、ヒトインフルエンザ赤血球凝集素(HA)タグ、Mycタグ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、カルモジュリン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、ABDzlタグ(アルブミン)、HaloTag(登録商標)、ヘパリン結合ペプチド(HB)タグ、ポリ-Argタグ、ポリ-Lysタグ、S-タグ、Strep-IIタグ、およびSUMOタグが挙げられる。いくつかの例では、ポリヒスチジンタグは、前後に並んだ(in tandem)約6~12、約6~10、あるいは約6~8のヒスチジン残基を含む。いくつかの例では、ポリヒスチジンタグは、前後に並んだ約6~10のヒスチジン残基を含む。いくつかの例では、ポリヒスチジンタグは、前後に並んだ約6~8のヒスチジン残基を含む。場合によっては、ポリヒスチジンタグは10のヒスチジン残基(10xHis(SEQ ID NO:20))を含む。場合によっては、ポリヒスチジンタグは6のヒスチジン残基(6xHis(SEQ ID NO:19))を含む。いくつかの例では、PA-タグは、抗ヒトポドプラニン抗体NZ-1からのドデカペプチドを含む。場合によっては、ドデカペプチドは、配列GVAMPGAEDDVV(SEQ ID NO:21)を含む。いくつかの例では、FLAGタグは小さなペプチドタグであり、随意に配列DYKDDDDK(SEQ ID NO:22)を含む。いくつかの例では、HA-タグは、インフルエンザウイルスがその宿主を感染させる能力を助長する表面糖タンパク質に由来し、随意に配列YPYDVPDYA(SEQ ID NO:23)を含む。いくつかの例では、Mycタグはc-myc遺伝子によってコードされたMycタンパク質に由来し、随意に配列EQKLISEEDL(SEQ ID NO:24)を含む。いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A、Wnt5A、あるいはWnt10Bである。場合によっては、Wnt変異体はWnt3Aである。場合によっては、Wnt3A変異体は切断されたWnt3Aポリペプチドである。
【0038】
いくつかの実施形態において、タグは、生物学的に活性なWnt変異体に直接接続される。そのような場合、タグは、生物学的に活性なWnt変異体のN末端に直接接続される。その他の場合において、タグは、生物学的に活性なWnt変異体のC末端に直接接続される。いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A、Wnt5A、あるいはWnt10Bである。場合によっては、Wnt変異体はWnt3Aである。場合によっては、Wnt3A変異体は切断されたWnt3Aポリペプチドである。
【0039】
いくつかの実施形態において、タグは、リンカーを介して生物学的に活性なWnt変異体に間接的に接続される。場合によっては、リンカーは、例えば、トロンビン、第Xa因子、TEV、あるいはエンテロキナーゼポリペプチドモチーフを含む、切断リンカーである。場合によっては、トロンビン切断リンカーは、LVPRGS(SEQ ID NO:25)認識モチーフを含む。場合によっては、第Xa因子リンカーはコンセンサス部位I-(E/D)-G-Rを含む。場合によっては、TEVリンカーはコンセンサス部位E-N-L-Y-F-Q-(G/S)(SEQ ID NO:26)を含む。場合によっては、エンテロキナーゼリンカーは、モチーフDDDDK(SEQ ID NO:27)を含む。場合によっては、タグは、生物学的に活性なWnt変異体のC末端に、リンカーを介して、間接的に接続される。その他の場合において、タグは、生物学的に活性なWnt変異体のN末端に、リンカーを介して、間接的に接続される。いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A、Wnt5A、あるいはWnt10Bである。場合によっては、Wnt変異体はWnt3Aである。場合によっては、Wnt3A変異体は切断されたWnt3Aポリペプチドである。
【0040】
いくつかの例では、リンカーは切断不可能なリンカーである。場合によっては、切断不可能なリンカーは、例えば、ポリグリシン残基、ポリアラニン残基、あるいはグリシンとアラニン残基の組み合わせを含む。例示的な切断不可能なリンカーとしては、限定されないが、GGG、GGGGGG(SEQ ID NO:28)、およびGGGGAGGGG(SEQ ID NO:29)が挙げられる。いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A、Wnt5A、あるいはWnt10Bである。場合によっては、Wnt変異体はWnt3Aである。場合によっては、Wnt3A変異体は切断されたWnt3Aポリペプチドである。
【0041】
いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、1つ以上のタグ(例えば、2、3、4、あるいは5以上のタグ)を含む。場合によっては、1つ以上のタグは、生物学的に活性なWnt変異体のN末端に、直接的に、あるいは、リンカーを介して間接的に接続され、および、随意に1つ以上の追加のタグは、生物学的に活性なWnt変異体のC末端に、直接的に、あるいは、リンカーを介して間接的に接続される。1つの実施形態では、生物学的に活性なWnt変異体のN末端は、(例えば、リンカーを介して間接的に)ポリヒスチジンタグを含み、生物学的に活性なWnt変異体のC末端は追加のタグを含む。別の実施形態では、生物学的に活性なWnt変異体のC末端は、(例えば、リンカーを介して間接的に)ポリヒスチジンタグを含み、生物学的に活性なWnt変異体のN末端は追加のタグを含む。いくつかの例では、生物学的に活性なWnt変異体は、Wnt3A、Wnt5A、あるいはWnt10Bである。場合によっては、Wnt変異体はWnt3Aである。場合によっては、Wnt3A変異体は切断されたWnt3Aポリペプチドである。
【0042】
用語「アミノ酸」とは、アミノ基とカルボキシル基の両方を含有している分子を指す。適切なアミノ酸は、限定することなく、自然発生のアミノ酸のD-異性体およびL-異性体の両方の他に、有機合成または他の代謝経路によって調製された非自然発生のアミノ酸のD-異性体およびL-異性体の両方も含む。アミノ酸との用語は、本明細書で使用されるように、限定なく、アミノ酸酸性物質、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびアミノ酸アナログを含む。
【0043】
「α-アミノ酸」との用語は、α-炭素と指定される炭素に結合されたアミノ基とカルボキシル基の両方を含有する分子を指す。
【0044】
「β-アミノ酸」との用語は、β構成のアミノ基とカルボキシル基の両方を含有する分子を指す。
【0045】
「自然発生のアミノ酸」とは、自然で合成されたペプチドにおいて一般に見られる、および1文字の略語A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y、およびVによって知られている、20のアミノ酸のいずれか1つを指す。
【0046】
以下の表1は、天然アミノ酸の特性の概要を示す:
【0047】
【0048】
「疎水性アミノ酸」は、小さな疎水性アミノ酸と大きな疎水性アミノ酸を含む。「小さな疎水性アミノ酸」は、グリシン、アラニン、プロリン、およびそのアナログであり、「大きな疎水性アミノ酸」は、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、およびそのアナログである。「極性アミノ酸」は、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、チロシン、およびそのアナログであり、「荷電アミノ酸」は、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、およびそのアナログである。
【0049】
「アミノ酸アナログ」との用語は、アミノ酸に構造的に類似しており、および、ペプチド模倣大環状分子の形成においてアミノ酸に置換される分子を指す。アミノ酸アナログは、限定することなく、アミノ基またはカルボキシ基が、類似する反応基によって置換される(例えば、第一級アミンの第二級または第三級アミンとの置換、あるいはカルボキシ基とエステルとの置換)、β-アミノ酸およびアミノ酸を含む。
【0050】
「非天然アミノ酸」との用語は、自然に合成されたペプチドにおいて一般に見られる、および、1文字の略語A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y、およびVによって知られている、20のアミノ酸の1つではないアミノ酸を指す。非天然アミノ酸またはアミノ酸アナログは、限定なく、以下のアミノ酸アナログを含む。
【0051】
アミノ酸アナログは、β-アミノ酸アナログを含む。β-アミノ酸アナログの例は、限定されないが、以下を含む:環状β-アミノ酸アナログ;β-アラニン;(R)-β-フェニルアラニン;(R)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-酢酸;(R)-3-アミノ-4-(1-ナフチル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2,4-ジクロロフェニル)酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2-クロロフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2-シアノフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2-フルオロフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2-フリル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2-メチルフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2-ナフチル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2-チエニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(2-トリフルオロメチルフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3,4-ジクロロフェニル)酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3,4-ジフルオロフェニル)酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3-ベンゾチエニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3-クロロフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3-シアノフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3-フルオロフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3-メチルフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3-ピリジル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3-チエニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-ブロモフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-クロロフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-シアノフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-フルオロフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-ヨードフェニル-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-メチルフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-ニトロフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-ピリジル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-(4-トリフルオロメチルフェニル)-酪酸;(R)-3-アミノ-4-ペンタフルオロ-フェニル酪酸;(R)-3-アミノ-5-ヘキセン酸;(R)-3-アミノ-5-ヘキシン酸;(R)-3-アミノ-5-フェニルペンタン酸;(R)-3-アミノ-6-フェニル-5-ヘキセン酸;(S)-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-酢酸;(S)-3-アミノ-4-(1-ナフチル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2,4-ジクロロフェニル)酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2-クロロフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2-シアノフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2-フルオロフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2-フラニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2-メチルフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2-ナフチル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2-チエニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(2-トリフルオロメチルフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3,4-ジクロロフェニル)酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3,4-ジフルオロフェニル)酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3-ベンゾチエニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3-クロロフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3-シアノフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3-フルオロフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3-メチルフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3-ピリジル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3-チエニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-ブロモフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-クロロフェニル)酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-シアノフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-フルオロフェニル)酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-ヨードフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-メチルフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-ニトロフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-ピリジル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-(4-トリフルオロメチルフェニル)-酪酸;(S)-3-アミノ-4-ペンタフルオロ-フェニル酪酸;(S)-3-アミノ-5-ヘキセン酸;(S)-3-アミノ-5-ヘキシン酸;(S)-3-アミノ-5-フェニルペンタン酸;(S)-3-アミノ-6-フェニル-5-ヘキセン酸;1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-3-カルボン酸;1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-4-カルボン酸;3-アミノ-3-(2-クロロフェニル)-プロピオン酸;3-アミノ-3-(2-チエニル)-プロピオン酸;3-アミノ-3-(3-ブロモフェニル)-プロピオン酸;3-アミノ-3-(4-クロロフェニル)-プロピオン酸;3-アミノ-3-(4-メトキシフェニル)-プロピオン酸;3-アミノ-4,4,4-トリフルオロ-酪酸;3-アミノアジビン酸;D-β-フェニルアラニン;β-ロイシン;L-β-ホモアラニン;L-β-ホモアスパラギン酸γ-ベンジルエステル;L-β-ホモグルタミン酸δ-ベンジルエステル;L-β-ホモイソロイシン;L-β-ホモロイシン;L-β-ホモメチオニン;L-β-ホモフェニルアラニン;L-β-ホモプロリン;L-β-ホモトリプトファン;L-β-ホモバリン;L-Nω-ベンジルオキシカルボニル-β-ホモリジン;Nω-L-β-ホモアルギニン;O-ベンジル-L-β-ホモヒドロキシプロリン;O-ベンジル-L-β-ホモセリン;O-ベンジル-L-β-ホモトレオニン;O-ベンジル-L-β-ホモチロシン;γ-トリチル-L-β-ホモアスパラギン;(R)-β-フェニルアラニン;L-β-ホモアスパラギン酸γ-t-ブチルエステル;L-β-ホモグルタミン酸δ-t-ブチルエステル;L-Νω-β-ホモリジン;Nδ-トリチル-L-β-ホモグルタミン;Nω-2,2,4,6,7-ペンタメチル-ジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル-L-β-ホモアルギニン;O-t-ブチル-L-β-ホモヒドロキシ-プロリン;O-t-ブチル-L-β-ホモセリン;O-t-ブチル-L-β-ホモトレオニン;O-t-ブチル-L-β-ホモチロシン;2-アミノシクロペンタンカルボン酸;および、2-アミノシクロヘキサンカルボン酸。
【0052】
アミノ酸アナログは、アラニン、バリン、グリシン、またはロイシンのアナログを含む。アラニン、バリン、グリシンおよびロイシンのアミノ酸アナログの例は、限定されないが、以下を含む:α-メトキシグリシン;α-アリル-L-アラニン;α-アミノイソ酪酸;α-メチル-ロイシン;β-(1-ナフチル)-D-アラニン;β-(1-ナフチル)-L-アラニン;β-(2-ナフチル)-D-アラニン;β-(2-ナフチル)-L-アラニン;β-(2-ピリジル)-D-アラニン;β-(2-ピリジル)-L-アラニン;β-(2-チエニル)-D-アラニン;β-(2-チエニル)-L-アラニン;β-(3-ベンゾチエニル)-D-アラニン;β-(3-ベンゾチエニル)-L-アラニン;β-(3-ピリジル)-D-アラニン;β-(3-ピリジル)-L-アラニン;β-(4-ピリジル)-D-アラニン;β-(4-ピリジル)-L-アラニン;β-クロロ-L-アラニン;β-シアノ-L-アラニン;β-シクロヘキシル-D-アラニン;β-シクロヘキシル-L-アラニン;β-シクロペンテン-1-イル-アラニン;β-シクロペンチル-アラニン;β-シクロプロピル-L-Ala-OH.ジシクロヘキシルアンモニウム塩;β-t-ブチル-D-アラニン;β-t-ブチル-L-アラニン;γ-アミノ酪酸;L-α,β-ジアミノプロピオン酸;2,4-ジニトロ-フェニルグリシン;2,5-ジヒドロ-D-フェニルグリシン;2-アミノ-4,4,4-トリフルオロ酪酸;2-フルオロ-フェニルグリシン;3-アミノ-4,4,4-トリフルオロ-酪酸;3-フルオロ-バリン;4,4,4-トリフルオロ-バリン;4,5-デヒドロ-L-leu-OH.ジシクロヘキシルアンモニウム塩;4-フルオロ-D-フェニルグリシン;4-フルオロ-L-フェニルグリシン;4-ヒドロキシ-D-フェニルグリシン;5,5,5-トリフルオロ-ロイシン;6-アミノヘキサン酸;シクロペンチル-D-Gly-OH.ジシクロヘキシルアンモニウム塩;シクロペンチル-Gly-OH.ジシクロヘキシルアンモニウム塩;D-α,β-ジアミノプロピオン酸;D-α-アミノ酪酸;D-α-t-ブチルグリシン;D-(2-チエニル)グリシン;D-(3-チエニル)グリシン;D-2-アミノカプロン酸;D-2-インダニルグリシン;D-アリルグリシン-ジシクロヘキシルアンモニウム塩;D-シクロヘキシルグリシン;D-ノルバリン;D-フェニルグリシン;β-アミノ酪酸;β-アミノイソ酪酸;(2-ブロモフェニル)グリシン;(2-メトキシフェニル)グリシン;(2-メチルフェニル)グリシン;(2-チアゾリル)グリシン;(2-チエニル)グリシン;2-アミノ-3-(ジメチルアミノ)-プロピオン酸;L-α,β-ジアミノプロピオン酸;L-α-アミノ酪酸;L-α-t-ブチルグリシン;L-(3-チエニル)グリシン;L-2-アミノ-3-(ジメチルアミノ)-プロピオン酸;L-2-アミノカプロン酸ジシクロヘキシル-アンモニウム塩;L-2-インダニルグリシン;L-アリルグリシン.ジシクロヘキシルアンモニウム塩;L-シクロヘキシルグリシン;L-フェニルグリシン;L-プロパルギルグリシン;L-ノルバリン;N-α-アミノメチル-L-アラニン;D-α,γ-ジアミノ酪酸;L-α,γ-ジアミノ酪酸;β-シクロプロピル-L-アラニン;(Ν-β-(2,4-ジニトロフェニル))-L-α,β-ジアミノプロピオン酸;(N-β-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-D-α,β-ジアミノプロピオン酸;(Ν-β-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-L-α,β-ジアミノプロピオン酸;(N-β-4-メチルトリチル)-L-α,β-ジアミノプロピオン酸;(N-β-アリルオキシカルボニル)-L-α,β-ジアミノプロピオン酸;(N-γ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-D-α,γ-ジアミノ酪酸;(Ν-γ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-L-α,γ-ジアミノ酪酸;(N-γ-4-メチルトリチル)-D-α,γ-ジアミノ酪酸;(Ν-γ-4-メチルトリチル)-L-α,γ-ジアミノ酪酸;(N-γ-アリルオキシカルボニル)-L-α,γ-ジアミノ酪酸;D-α,γ-ジアミノ酪酸;4,5-デヒドロ-L-ロイシン;シクロペンチル-D-Gly-OH;シクロペンチル-Gly-OH;D-アリルグリシン;D-ホモシクロヘキシルアラニン;L-1-ピレニルアラニン;L-2-アミノカプロン酸;L-アリルグリシン;L-ホモシクロヘキシルアラニン;およびN-(2-ヒドロキシ-4-メトキシ-Bzl)-Gly-OH。
【0053】
アミノ酸アナログは、アルギニンまたはリシンのアナログを含む。アルギニンとリシンのアミノ酸アナログの例は、限定されないが、以下を含む:シトルリン;L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸;L-2-アミノ-3-ウレイドプロピオン酸;L-シトルリン;Lys(Me)2-OH;Lys(N3)-OH;Νδ-ベンジルオキシカルボニル-L-オルニチン;Νω-ニトロ-D-アルギニン;Νω-ニトロ-L-アルギニン;α-メチル-オルニチン;2,6-ジアミノヘプタン二酸;L-オルニチン;(Nδ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-D-オルニチン;(Nδ-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキサ-1-イリデン)エチル)-L-オルニチン;(Νδ-4-メチルトリチル)-D-オルニチン;(Νδ-4-メチルトリチル)-L-オルニチン;D-オルニチン;L-オルニチン;Arg(Me)(Pbf)-OH;Arg(Me)2-OH(非対称的);Arg(Me)2-OH(対称的);Lys(ivDde)-OH;Lys(Me)2-OH.HCl;Lys(Me3)-OHクロリド;Νω-ニトロ-D-アルギニン;および、Νω-ニトロ-L-アルギニン。
【0054】
アミノ酸アナログは、アスパラギン酸またはグルタミン酸のアナログを含む。アスパラギン酸およびグルタミン酸のアミノ酸アナログの例は、限定されないが、以下を含む:α-メチル-D-アスパラギン酸;α-メチル-グルタミン酸;α-メチル-L-アスパラギン酸;γ-メチレン-グルタミン酸;(N-γ-エチル)-L-グルタミン;[N-α-(4-アミノベンゾイル)]-L-グルタミン酸;2,6-ジアミノピメリン酸;L-α-アミノスベリン酸;D-2-アミノアジピン酸;D-α-アミノスベリン酸;α-アミノピメリン酸;イミノ二酢酸;L-2-アミノアジピン酸;トレオ-β-メチル-アスパラギン酸;γ-カルボキシ-D-グルタミン酸γ,γ-ジ-t-ブチルエステル;γ-カルボキシ-L-グルタミン酸γ,γ-ジ-t-ブチルエステル;Glu(OAll)-OH;L-Asu(OtBu)-OH;および、ピログルタミン酸。
【0055】
アミノ酸アナログは、システインおよびメチオニンのアナログを含む。システインとメチオニンのアミノ酸アナログの例としては、限定されないが、Cys(ファルネシル)-OH、Cys(ファルネシル)-OMe、α-メチル-メチオニン、Cys(2-ヒドロキシエチル)-OH、Cys(3-アミノプロピル)-OH、2-アミノ-4-(エチルチオ)酪酸、ブチオニン、ブチオニンスルホキシイミン、エチオニン、メチオニンメチルスルホニウムクロリド、セレノメチオニン、システイン酸、[2-(4-ピリジル)エチル]-DL-ペニシラミン、[2-(4-ピリジル)エチル]-L-システイン、4-メトキシベンジル-D-ペニシラミン、4-メトキシベンジル-L-ペニシラミン、4-メチルベンジル-D-ペニシラミン、4-メチルベンジル-L-ペニシラミン、ベンジル-D-システイン、ベンジル-L-システイン、ベンジル-DL-ホモシステイン、カルバモイル-L-システイン、カルボキシエチル-L-システイン、カルボキシメチル-L-システイン、ジフェニルメチル-L-システイン、エチル-L-システイン、メチル-L-システイン、t-ブチル-D-システイン、トリチル-L-ホモシステイン、トリチル-D-ペニシラミン、シスタチオニン、ホモシスチン、L-ホモシスチン、(2-アミノエチル)-L-システイン、セレノ-L-シスチン、シスタチオニン、Cys(StBu)-OH、およびアセトアミドメチル-D-ペニシラミンが挙げられる。
【0056】
アミノ酸アナログは、フェニルアラニンとチロシンのアナログを含む。フェニルアラニンおよびチロシンのアミノ酸アナログの例は、β-メチル-フェニルアラニン、β-ヒドロキシフェニルアラニン、α-メチル-3-メトキシ-DL-フェニルアラニン、α-メチル-D-フェニルアラニン、α-メチル-L-フェニルアラニン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、2,4-ジクロロ-フェニルアラニン、2-(トリフルオロメチル)-D-フェニルアラニン、2-(トリフルオロメチル)-L-フェニルアラニン2-、2-ブロモ-D-フェニルアラニン、2-ブロモ-L-フェニルアラニン、2-クロロ-D-フェニルアラニン、2-クロロ-L-フェニルアラニン、2-シアノ-D-フェニルアラニン、2-シアノ-L-フェニルアラニン、2-フルオロ-D-フェニルアラニン、2-フルオロ-L-フェニルアラニン、2-メチル-D-フェニルアラニン、2-メチル-L-フェニルアラニン、2-ニトロ-D-フェニルアラニン、2-ニトロ-L-フェニルアラニン、2,4,5-トリヒドロキシ-フェニルアラニン、3,4,5-トリフルオロ-D-フェニルアラニン、3,4,5-トリフルオロ-L-フェニルアラニン、3,4-ジクロロ-D-フェニルアラニン、3,4-ジクロロ-L-フェニルアラニン、3,4-ジフルオロ-D-フェニルアラニン、3,4-ジフルオロ-L-フェニルアラニン、3,4-ジヒドロキシ-L-フェニルアラニン、3,4-ジメトキシ-L-フェニルアラニン、3,5,3’-トリヨード-L-チロニン、3,5-ジヨード-D-チロシン、3,5-ジヨード-L-チロシン、3,5-ジヨード-L-チロニン、3-(トリフルオロメチル)-D-フェニルアラニン、3-(トリフルオロメチル)-L-フェニルアラニン、3-アミノ-L-チロシン、3-ブロモ-D-フェニルアラニン、3-ブロモ-L-フェニルアラニン、3-クロロ-D-フェニルアラニン、3-クロロ-L-フェニルアラニン、3-クロロ-L-チロシン、3-シアノ-D-フェニルアラニン、3-シアノ-L-フェニルアラニン、3-フルオロ-D-フェニルアラニン、3-フルオロ-L-フェニルアラニン、3-フルオロ-チロシン、3-ヨード-D-フェニルアラニン、3-ヨード-L-フェニルアラニン、3-ヨード-L-チロシン、3-メトキシ-L-チロシン、3-メチル-D-フェニルアラニン、3-メチル-L-フェニルアラニン、3-ニトロ-D-フェニルアラニン、3-ニトロ-L-フェニルアラニン、3-ニトロ-L-チロシン、4-(トリフルオロメチル)-D-フェニルアラニン、4-(トリフルオロメチル)-L-フェニルアラニン、4-アミノ-D-フェニルアラニン、4-アミノ-L-フェニルアラニン、4-ベンゾイル-D-フェニルアラニン、4-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、4-ビス(2-クロロエチル)アミノ-L-フェニルアラニン、4-ブロモ-D-フェニルアラニン、4-ブロモ-L-フェニルアラニン、4-クロロ-D-フェニルアラニン、4-クロロ-L-フェニルアラニン、4-シアノ-D-フェニルアラニン、4-シアノ-L-フェニルアラニン、4-フルオロ-D-フェニルアラニン、4-フルオロ-L-フェニルアラニン、4-ヨード-D-フェニルアラニン、4-ヨード-L-フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、チロキシン、3,3-ジフェニルアラニン、チロニン、エチル-チロシン、およびメチル-チロシンを含む。
【0057】
アミノ酸アナログはプロリンのアナログを含む。プロリンのアミノ酸アナログの例は、限定されないが、3,4-デヒドロ-プロリン、4-フルオロ-プロリン、シス-4-ヒドロキシ-プロリン、チアゾリジン-2-カルボン酸、およびトランス-4-フルオロ-プロリンを含む。
【0058】
アミノ酸アナログは、セリンおよびトレオニンのアナログを含む。セリンとトレオニンのアミノ酸アナログの例は、限定されないが、3-アミノ-2-ヒドロキシ-5-メチルヘキサン酸、2-アミノ-3-ヒドロキシ-4-メチルペンタン酸、2-アミノ-3-エトキシブタン酸、2-アミノ-3-メトキシブタン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン酸、2-アミノ-3-ベンジルオキシプロピオン酸、2-アミノ-3-ベンジルオキシプロピオン酸、2-アミノ-3-エトキシプロピオン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシブタン酸、およびα-メチルセリンを含む。
【0059】
アミノ酸アナログは、トリプトファンのアナログを含む。トリプトファンのアミノ酸アナログの例は、限定されないが、以下を含む:α-メチル-トリプトファン;β-(3-ベンゾチエニル)-D-アラニン;β-(3-ベンゾチエニル)-L-アラニン;1-メチル-トリプトファン;4-メチル-トリプトファン;5-ベンジルオキシ-トリプトファン;5-ブロモ-トリプトファン;5-クロロ-トリプトファン;5-フルオロ-トリプトファン;5-ヒドロキシ-トリプトファン;5-ヒドロキシ-L-トリプトファン;5-メトキシ-トリプトファン;5-メトキシ-L-トリプトファン;5-メチル-トリプトファン;6-ブロモ-トリプトファン;6-クロロ-D-トリプトファン;6-クロロ-トリプトファン;6-フルオロ-トリプトファン;6-メチル-トリプトファン;7-ベンジルオキシ-トリプトファン;7-ブロモ-トリプトファン;7-メチル-トリプトファン;D-1,2,3,4-テトラヒドロ-ノルハルマン-3-カルボン酸;6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-1-カルボン酸;7-アザトリプトファンアミド;L-1,2,3,4-テトラヒドロ-ノルハルマン-3-カルボン酸;5-メトキシ-2-メチル-トリプトファン;および、6-クロロ-L-トリプトファン。
【0060】
いくつかの実施形態では、アミノ酸アナログはラセミ化合物である。いくつかの実施形態では、アミノ酸アナログのD異性体が使用される。いくつかの実施形態では、アミノ酸アナログのL異性体が使用される。他の実施形態では、アミノ酸アナログは、RまたはSの構成であるキラル中心を含む。さらに他の実施形態では、β-アミノ酸アナログのアミノ基は、保護基、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル(BOC基)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、トシルなどで置換される。さらに他の実施形態では、β-アミノ酸アナログのカルボン酸官能基は、例えば、そのエステル誘導体として保護される。いくつかの実施形態では、アミノ酸アナログの塩が使用される。
【0061】
「必須でない」アミノ酸残基は、その必須の生物学的あるいは生物化学的な活性(例えば、受容体結合または活性化)を消失させたり、あるいは実質的に変化させたりすることなく、ポリペプチドの野生型の配列から変化可能な残基である。「必須」アミノ酸残基は、ポリペプチドの野生型の配列から変化すると、ポリペプチドの必須の生物学的あるいは生物化学的な活性を消失させたり、あるいは実質的に変化させたりする、残基である。
【0062】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と取り替えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性の側鎖(例えば、K、R、H)、酸性の側鎖(例えば、D、E)、非荷電の極性側鎖(例えば、G、N、Q、S、T、Y、C)、非極性側鎖(例えば、A、V、L、I、P、F、M、W)、β-分枝側鎖(例えば、T、V、I)、および、芳香族側鎖(例えば、Y、F、W、H)を有するアミノ酸を含む。したがって、ポリペプチド中の予測された非必須アミノ酸残基は、例えば、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基と取り替えられる。許容可能な置換の他の例は、等配電子の検討(例えば、メチオニンのためのノルロイシン)あるいは他の特性(例えば、フェニルアラニンでは2-チエニルアラニン、あるいはトリプトファンでは6-Cl-トリプトファン)に基づく置換である。
【0063】
無血清条件下でのWntポリペプチドの培養
いくつかの実施形態では、無血清条件下でWntポリペプチドを生成する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドはシャペロンと共発現される。場合によっては、Wntポリペプチドは、共発現されたシャペロンと複合体を形成し、Wntポリペプチド-シャペロン複合体はWntポリペプチドを安定化させ、Wntポリペプチド発現を増強する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、生物学的に活性なWntポリペプチド(例えば、ヒトの生物学的に活性なWntポリペプチド)である。場合によっては、Wntポリペプチドは、Wnt3A、Wnt5B、あるいはWnt10Bポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはヒトWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/または切断を含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0064】
いくつかの例では、巨大分子構造の組み立てまたは分解を促進するタンパク質あるいはその断片を含む、本明細書に記載されるシャペロンである。いくつかの例では、シャペロンは、分泌、発現、安定性、および/または精製を促す、タンパク質あるいはその断片を含む。Wntポリペプチドの文脈において本明細書で使用されるように、シャペロンは、Wntポリペプチドの分泌、発現、安定性、および/または精製を促す、タンパク質あるいはその断片を含む。さらに、Wntポリペプチドの文脈において本明細書で使用されるように、シャペロンは、操作された細胞株からの細胞においてWntポリペプチドと共発現されるタンパク質あるいはその断片である。そのような場合、培養条件は無血清条件である。
【0065】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたシャペロンは、Frizzled、Wntless、Afamin、あるいはPorcupineを含む。いくつかの例では、シャペロンはFrizzledを含む。Frizzledは、Wntシグナル伝達経路の受容体として役立つGタンパク質共役受容体タンパク質のファミリーである。いくつかの例では、このファミリーには、10のメンバー、Frizzled-1(FZD1)、Frizzled-2(FZD2)、Frizzled-3(FZD3)、Frizzled-4(FZD4)、Frizzled-5(FZD5)、Frizzled-6(FZD6)、Frizzled-7(FZD7)、Frizzled-8(FZD8)、Frizzled-9(FZD9)、および、Frizzled-10(FZD10)がある。いくつかの例では、Frizzledタンパク質は、例えば、1:1の複合体を形成するWntポリペプチドと共発現される。場合によっては、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD5、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、およびFZD10から選択されたFrizzled タンパク質は、Wntポリペプチドと共発現される。いくつかの例では、Wntポリペプチドと共発現されるFrizzledタンパク質は、Frizzledタンパク質のない状態のWntポリペプチドと比較して、Wntポリペプチドの分泌を改善し、Wntポリペプチドを安定化させ、および/または、Wntポリペプチドの発現を増強する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0066】
いくつかの実施形態において、シャペロンはFrizzled-8(FZD8)を含む。FZD8遺伝子によってコードされるFrizzled-8は、7回膜貫通ドメインタンパク質およびWntポリペプチドのための受容体である。いくつかの例では、FZD8はWntポリペプチドと共発現される。場合によっては、FZD8対Wntポリペプチドのモル比は、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、あるいは4:1である。いくつかの例では、FZD8対Wntポリペプチドのモル比は、1:4である。いくつかの例では、FZD8対Wntポリペプチドのモル比は、1:2である。いくつかの例では、FZD8対Wntポリペプチドのモル比は、1:1である。いくつかの例では、FZD8対Wntポリペプチドのモル比は、2:1である。場合によっては、FZD8対Wntポリペプチドのモル比は、4:1である。いくつかの例では、Wntポリペプチドと共発現されるFZD8は、FZD8のない状態のWntポリペプチドと比較して、Wntポリペプチドの分泌を改善し、Wntポリペプチドを安定化させ、および/または、Wntポリペプチドの発現を増強する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0067】
いくつかの例では、ヒトのFrizzled-8(NCBI Reference Seq:NP_114072.1;SEQ ID NO:4)は、694アミノ酸長さを含む。場合によっては、Frizzled-8は、27アミノ酸シグナル配列、248アミノ酸細胞外N末端、および、89アミノ酸C末端を含む。場合によっては、N末端はさらに、2つの推定上のN結合型グリコシル化部位、ポリプロリンセグメントとポリグリシンセグメントを含む。加えて、N末端は、約120アミノ酸長さである、システインに富んだドメイン(CRD)を含む。Frizzled-8のC末端は、Thr-x-Valトリペプチド、Lys-Thr-x-x-x-Trpモチーフ、および25アミノ酸長さのポリグリシン反復を含む。いくつかの例では、ヒトFZD8はWntポリペプチドと共発現される。場合によっては、ヒトのFZD8対Wntポリペプチドのモル比は、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、あるいは4:1である。いくつかの例では、ヒトのFZD8対Wntポリペプチドのモル比は、1:4である。いくつかの例では、ヒトのFZD8対Wntポリペプチドのモル比は、1:2である。いくつかの例では、ヒトのFZD8対Wntポリペプチドのモル比は、1:1である。いくつかの例では、ヒトのFZD8対Wntポリペプチドのモル比は、2:1である。場合によっては、ヒトのFZD8対Wntポリペプチドのモル比は、4:1である。いくつかの例では、Wntポリペプチドと共発現されるヒトのFZD8は、ヒトのFZD8のない状態のWntポリペプチドと比較して、Wntポリペプチドの分泌を改善し、Wntポリペプチドを安定化させ、および/または、Wntポリペプチドの発現を増強する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0068】
いくつかの例では、本明細書に記載されたFrizzled-8ポリペプチドは、ヒトのFrizzled-8に対して約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの例では、本明細書に記載されたFrizzled-8ポリペプチドは、SEQ ID NO:4に対して約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。いくつかの例では、SEQ ID NO:4に対して約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含むFrizzled-8ポリペプチドは、Wntポリペプチドと共発現される。場合によっては、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、例えば、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、あるいは4:1である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:4である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:2である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:1である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、2:1である。場合によっては、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、4:1である。いくつかの例では、Wntポリペプチドと共発現されるFrizzled-8タンパク質は、Frizzled-8タンパク質のない状態のWntポリペプチドと比較して、Wntポリペプチドの分泌を改善し、Wntポリペプチドを安定化させ、および、Wntポリペプチドの発現を増強する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0069】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたシャペロンは、Frizzled-8タンパク質8融合タンパク質を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、切断されたFrizzled-8タンパク質を含む。いくつかの例では、切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、Frizzled-8のシステインに富んだ領域(CRD)を含む。いくつかの例では、切断されたFrizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:4のアミノ酸残基1からアミノ酸残基151まで及ぶ領域を含む。他の例では、切断されたFrizzled-8タンパク質は、SEQ ID NO:4のアミノ酸残基1からアミノ酸残基172まで及ぶ領域を含む。
【0070】
いくつかの例では、Frizzled-8融合タンパク質は、抗体のFc部分を含む。いくつかの例では、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、あるいはIgMから選択される。場合によっては、抗体はIgGである。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、切断されたFrizzled-8タンパク質(例えば、Frizzled-8のCRD部分)およびIgG Fc部分を含む。
【0071】
場合によっては、切断されたFrizzled-8タンパク質は直接的にFc部分に共有結合される。その他の場合において、切断されたFrizzled-8タンパク質は、リンカーを介して間接的にFc部分に共有結合される。いくつかの例では、リンカーは一連のグリシン、アラニン、あるいはこれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、リンカーはアミノ酸配列IEGRMD(SEQ ID NO:6)を含む。
【0072】
場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも85%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも90%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも96%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも97%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも98%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも99%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に対して少なくとも100%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:5に記載される配列からなる。
【0073】
いくつかの例では、SEQ ID NO:5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含むFrizzled-8ポリペプチドは、Wntポリペプチドと共発現される。場合によっては、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、例えば、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、あるいは4:1である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:4である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:2である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:1である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、2:1である。場合によっては、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、4:1である。いくつかの例では、Wntポリペプチドと共発現されるFrizzled-8タンパク質は、Frizzled-8タンパク質のない状態のWntポリペプチドと比較して、Wntポリペプチドの分泌を改善し、Wntポリペプチドを安定化させ、および、Wntポリペプチドの発現を増強する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/または切断を含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0074】
場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも85%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも90%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも96%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも97%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも98%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも99%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に対して少なくとも100%の配列同一性を含む。場合によっては、Frizzled-8融合タンパク質は、SEQ ID NO:18に記載される配列からなる。
【0075】
いくつかの例では、SEQ ID NO:18に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含むFrizzled-8ポリペプチドは、Wntポリペプチドと共発現される。場合によっては、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチド対のモル比は、例えば、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1 、3:1、または4:1である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:4である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:2である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、1:1である。いくつかの例では、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、2:1である。場合によっては、Frizzled-8ポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比は、4:1である。いくつかの例では、Wntポリペプチドと共発現されたFrizzled-8タンパク質は、Frizzled-8タンパク質の不在下でのWntポリペプチドと比較して、Wntポリペプチドの分泌を改善し、Wntポリペプチドを安定化させ、およびWntポリペプチドの発現を増強する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0076】
Wntless
幾つかの実施形態において、シャペロンはWntlessを含む。Gタンパク質共役受容体177(GPR177)あるいはタンパク質平等中断ホモログ(protein evenness interrupted homolog)(EVI)としても知られるWntlessは、脂質で修飾されたWntタンパク質のシャペロンとして機能するマルチパス膜貫通タンパク質であり、それは、Wnt発現、細胞内位置、結合、Wntタンパク質の細胞小器官に特有の関連性を調節する。ヒトWntlessは、Wntless WNTリガンド分泌メディエーター(WLS)遺伝子(EVI、FLI23091、mig-14、MRP、あるいはWntlessホモログとしても知られる)によってコード化される。いくつかの例では、ヒトWntlessはアイソフォーム1、2、および3を含む。
【0077】
いくつかの例では、Wntlessは、本明細書に記載されるWntポリペプチドと相互作用する。場合によっては、Wntlessが、本明細書に記載される生物学的に機能的なWntポリペプチドと選択的に相互作用する。場合によっては、生物学的に機能的なWntポリペプチドは、脂質で修飾されたWntポリペプチドである。
【0078】
場合によっては、Wntポリペプチドと共発現されたWntlessは、Wntポリペプチド発現を増強し、Wntポリペプチド分泌を改善し、および/またはWntポリペプチドを安定化させる。場合によっては、これが、Wntlessの不在下での同等な細胞のWntポリペプチドに関連する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0079】
いくつかの実施形態では、Wntlessポリペプチドは、SEQ ID NO:7に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。場合によっては、SEQ ID NO:7に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含むWntlessポリペプチドは、Wntポリペプチドと共発現される。場合によっては、Wntlessポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比が、例えば、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、または4:1である。場合によっては、Wntポリペプチドと共発現されたWntlessポリペプチドは、Wntポリペプチド発現を増強し、Wntポリペプチド分泌を改善し、および/またはWntポリペプチドを安定化させる。場合によっては、これが、Wntlessの不在下での同等な細胞のWntポリペプチドに関連する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0080】
Afamin
幾つかの実施形態において、シャペロンはAfaminを含む。血清糖タンパク質であるAfaminは、アルブミン遺伝子ファミリーのメンバーであり、AFM遺伝子によってコード化される。いくつかの例では、Afaminは、本明細書に記載されるWntポリペプチドと相互作用する。場合によっては、Afaminは、本明細書に記載される生物学的に機能的なWntポリペプチドと選択的に相互作用する。場合によっては、生物学的に機能的なWntポリペプチドは、脂質で修飾されたWntポリペプチドである。
【0081】
いくつかの例において、Wntポリペプチドと共発現されたAfaminは、Wntポリペプチド発現を増強し、Wntポリペプチド分泌を改善し、および/またはWntポリペプチドを安定化させる。場合によっては、これが、Afaminの不在下での同等な細胞のWntポリペプチドに関連する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0082】
いくつかの実施形態では、Afaminポリペプチドは、SEQ ID NO:8に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。場合によっては、SEQ ID NO:8に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含むAfaminポリペプチドは、Wntポリペプチドと共発現される。場合によっては、Afaminポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比が、例えば、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、または4:1である。場合によっては、Wntポリペプチドと共発現されたAfaminポリペプチドは、Wntポリペプチド発現を増強し、Wntポリペプチド分泌を改善し、および/またはWntポリペプチドを安定化させる。場合によっては、これが、Afaminの不在下での同等な細胞のWntポリペプチドに関連する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0083】
Porcupine
幾つかの実施形態において、シャペロンはPorcupineを含む。遺伝子PORCN(あるいはPorcupineホモログ、PPN、MG61、予想されるタンパク質-システインN-パルミトイルトランスフェラーゼ、あるいはタンパク質-セリンO-パルミトレオイルトランスフェラーゼ porcupine)によってコード化されたporcupineは、Wntタンパク質の処理に関与するマルチパス膜貫通小胞体タンパク質である。いくつかの例では、Porcupineは5つの異なるアイソフォーム(アイソフォーム1-5)をさらに含む。
【0084】
いくつかの例では、Porcupineは、本明細書に記載されるWntポリペプチドと相互作用する。場合によっては、Porcupineは、本明細書に記載される生物学的に機能的なWntポリペプチドと選択的に相互作用する。場合によっては、生物学的に機能的なWntポリペプチドは、脂質で修飾されたWntポリペプチドである。
【0085】
いくつかの例では、Porcupineは、例えば、Wntポリペプチド発現を増強し、Wntポリペプチド分泌を改善し、および/またはWntポリペプチドを安定化させるために、Wntポリペプチドと共発現される。場合によっては、これが、Porcupineの不在下での同等な細胞のWntポリペプチドに関連する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0086】
いくつかの実施形態では、Porcupineポリペプチドは、SEQ ID NO:9に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含む。場合によっては、SEQ ID NO:9に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%の配列同一性を含むPorcupineポリペプチドは、Wntポリペプチドと共発現される。場合によっては、Porcupineポリペプチド対Wntポリペプチドのモル比が、例えば、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、または4:1である。場合によっては、Wntポリペプチドと共発現されたPorcupineポリペプチドは、Wntポリペプチド発現を増強し、Wntポリペプチド分泌を改善し、および/またはWntポリペプチドを安定化させる。場合によっては、これが、Porcupineの不在下での同等な細胞のWntポリペプチドに関連する。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0087】
最小血清条件から生成されたWntポリペプチドを処理する方法
いくつかの実施形態において、最小血清条件を含む培養物からWntポリペプチド(例えば、Wntポリペプチド-シャペロン複合体)を採取し、その後、単離されたWntポリペプチドを生成するためにWntポリペプチドを精製する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、安定したWntポリペプチドシャペロン複合体が収集され、その後、活性Wntポリペプチドを生成するために処理される。いくつかの例では、安定したWntポリペプチド-シャペロン複合体からのWntポリペプチドは不活性であるが、一旦WntポリペプチドがWntポリペプチド-シャペロン複合体から分離すると活性になる。
【0088】
いくつかの実施形態において、上記方法は、Wntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドとシャペロンを共発現させる工程と、調整培地からWntポリペプチド-シャペロン複合体を収集する工程と、処理されたWntポリペプチドを生成するために、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定された複数のビーズ、あるいは抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラムのいずれかへとWntポリペプチド-シャペロン複合体を導入する工程と、リポソームWntポリペプチドを生成するために、処理されたWntポリペプチドをリポソームの水溶液と接触させる工程と、を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、上記方法は、(a)Wntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドをシャペロンと共発現させる工程と;(b)調整培地からのWntポリペプチド-シャペロン複合体を収集する工程と;(c)溶出したWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムへとWntポリペプチド-シャペロン複合体を導入する工程と;(d)処理されたWntポリペプチドを生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラムによって溶出されたWntポリペプチド-シャペロン複合体を処理する工程と;(e)リポソームWntポリペプチドを生成するために、リポソームの水溶液と処理されたWntポリペプチドを接触させる工程と、を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、(a)Wntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、調整培地中の細胞においてWntポリペプチドをシャペロンと共発現させる工程と;(b)調整培地からWntポリペプチド-シャペロン複合体を収集する工程と;(C)溶出されたWntポリペプチド-シャペロン複合体を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラムへと、Wntポリペプチド-シャペロン複合体を導入する工程と;(d)処理されたWntポリペプチドを生成するために、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムによって、溶出されたWntポリペプチド-シャペロン複合体を処理する工程と;(e)リポソームWntポリペプチドを生成するために、リポソームの水溶液と処理されたWntポリペプチドを接触させる工程と、を含む方法も本明細書に記載される。
【0091】
いくつかの実施形態において、機能的に活性なWntポリペプチドを調製する方法が本明細書にさらに記載され、上記方法は:(a)機能的に不活性のWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液で複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体をインキュベートする工程と;(b)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムを用いて混合物から第1のWnt組成物を分離する工程と;(c)第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、サイズ排除クロマトグラフィーカラム、あるいはそれらの組み合わせを用いて、第2のWnt組成物を随意に少なくとも一回精製する工程と;(d)機能的に活発なWntポリペプチドを含む最終Wnt組成物を生成するために、リポソームの水溶液を第2のWnt組成物あるいは随意に第3のWnt組成物と接触させる工程と、を含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、機能的に活性なWntポリペプチドを調製する方法が本明細書にさらに記載され、上記方法は:(C)溶出されたWntポリペプチド-シャペロン複合体の混合物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第1の親和性クロマトグラフィーカラム上で、複数のWntポリペプチド-シャペロン複合体を精製する工程と;(a)機能的に不活性のWntポリペプチドとシャペロン組成物を含む第1のWnt組成物を含む混合物を生成するために、糖界面活性剤を含む緩衝液でWntポリペプチド-シャペロン複合体の溶解された混合体をインキュベートする工程と;(b)機能的に活性なWntポリペプチドと糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成するために、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムを用いて混合物から第1のWnt組成物を分離する工程と;(d)第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第2の親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、およびサイズ排除クロマトグラフィーカラムを用いて第2のWnt組成物を精製する工程と;(e)機能的に活発なWntポリペプチドを含む最終Wnt組成物を生成するために、リポソームの水溶液を第2のWnt組成物あるいは随意に第3のWnt組成物と接触させる工程と、を含む。
【0093】
いくつかの例では、スルホン化された多環芳香族の化合物の非限定的な例は、シバクロンブルーF3GAである。いくつかの例では、シバクロンブルーF3GAは、トリアジニル染料(atriazinyl dye)である。いくつかの例では、トリアジニル染料で固定されたビーズは、上に記載された精製工程で使用される。いくつかの例では、シバクロンブルーF3GAで固定されたクロマトグラフィーカラムの非限定的な例は、ブルーセファロースカラムである。
【0094】
いくつかの実施形態において、精製は、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定された複数のビーズを使用してバッチモードで実行される。一般的に、Wntポリペプチド(例えば、Wntポリペプチド-シャペロン複合体)は、低濃度の塩を含有している結合緩衝液中のスルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたビーズと結合する。高濃度の塩は、タンパク質とビーズの間の非共有結合性イオン相互作用を不安定にし、そのために、Wntポリペプチド(例えば、Wntポリペプチド-シャペロン複合体)の溶出を可能にする。いくつかの実施形態において、結合緩衝液に使用される塩の濃度は、最大で0、0.01、5、10、15、20、25、30、40、50mM、あるいはそれ以下である。いくつかの実施形態において、結合緩衝液に使用される塩の濃度は、少なくとも0、0.01、5、10、15、20、25、30、40、50mM、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、1以上の洗浄緩衝液は、非結合の不純物を取り除くために使用される。いくつかの実施形態において、最大で1、2、3、4、5、あるいはそれ以上の洗浄工程が使用される。いくつかの実施形態において、少なくとも1、2、3、4、5、あるいはそれ以下の洗浄工程が使用される。いくつかの実施形態において、洗浄緩衝液に使用される塩の濃度は、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100mM、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、洗浄緩衝液に使用される塩の濃度は、最大で30、40、50、60、70、80、90、100mM、あるいはそれ以下である。幾つかの実施形態では、1つ以上の溶出工程が続く。いくつかの実施形態において、溶出緩衝液中の塩の濃度は、少なくとも80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2000mM、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、溶出緩衝液中の塩の濃度は、最大で80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2000mM、あるいはそれ以下である。例示的な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウムなどを含む。いくつかの例では、本明細書に記載される緩衝液(例えば、結合緩衝液、洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液)のpHは、少なくとも4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、あるいはそれ以上である。いくつかの例では、緩衝液のpHは、最大で4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、あるいはそれ以下である。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。幾つかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0095】
いくつかの実施形態において、精製は、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムを使用して実行される。一般的に、Wntポリペプチド(例えば、Wntポリペプチド-シャペロン複合体)は、低濃度の塩を含有している結合緩衝液中のスルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムと結合する。高濃度の塩は、タンパク質とカラムビーズの間の非共有結合性イオン相互作用を不安定にし、そのために、Wntポリペプチド(例えば、Wntポリペプチド-シャペロン複合体)の溶出を可能にする。いくつかの実施形態において、結合緩衝液に使用される塩の濃度は、最大で0、0.01、5、10、15、20、25、30、40、50mM、あるいはそれ以下である。いくつかの実施形態において、結合緩衝液に使用される塩の濃度は、少なくとも0、0.01、5、10、15、20、25、30、40、50mM、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、1以上の洗浄緩衝液は、非結合の不純物を取り除くために使用される。いくつかの実施形態において、最大で1、2、3、4、5、あるいはそれ以上の洗浄工程が使用される。いくつかの実施形態において、少なくとも1、2、3、4、5、あるいはそれ以下の洗浄工程が使用される。いくつかの実施形態において、洗浄緩衝液に使用される塩の濃度は、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100mM、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、洗浄緩衝液に使用される塩の濃度は、最大で30、40、50、60、70、80、90、100mM、あるいはそれ以下である。幾つかの実施形態では、1つ以上の溶出工程が続く。いくつかの実施形態において、溶出緩衝液中の塩の濃度は、少なくとも80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2000mM、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、溶出緩衝液中の塩の濃度は、最大で80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2000mM、あるいはそれ以下である。例示的な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウムなどを含む。いくつかの例では、本明細書に記載される緩衝液(例えば、結合緩衝液、洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液)のpHは、少なくとも4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、あるいはそれ以上である。いくつかの例では、緩衝液のpHは、最大で4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、あるいはそれ以下である。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。幾つかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0096】
いくつかの実施形態において、親和性クロマトグラフィーを用いた本明細書に記載されるWntポリペプチドの精製は、バッチモードで、あるいはカラムを使用して実行され、例えば、本明細書に記載されるタグを精製するために様々な固定されたビーズを使用する。上に記載されるように、本明細書で熟考される1つ以上のタグは次のものを含む:ポリ-ヒスチジンタグ、PA-タグ、FLAGタグ、ヒトインフルエンザ赤血球凝集素(FLA)タグ、Mycタグ、グルタチオン-Sトランスフェラーゼ(GST)、カルモジュリン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、ABDzl-タグ(アルブミン)、HaloTag(登録商標)、ヘパリン-結合ペプチド(HB)タグ、ポリ-アルギニンタグ、ポリ-リジンタグ、S-タグ、Strep-IIタグ、およびSUMOタグ。
【0097】
場合によっては、親和性クロマトグラフィーの方法は、抗体ベースの精製方法である。例えば、そのような場合、複数のビーズは、抗体(例えば、プロテインA)のFc部分を認識するポリペプチドで固定化される。一般的に、Wntポリペプチド(例えば、Wntポリペプチド-シャペロン複合体)および、具体的にシャペロンは、約6.5以上のpH(例えば、約6.8、7、7.2、7.5、7.7、7.8、8、8.5、あるいはそれ以上のpH)で、例えば、結合緩衝液中のプロテインAポリペプチドで固定されたカラムに結合される。場合によっては、プロテインAポリペプチドを含む、親和性クロマトグラフィーと使用される溶出緩衝液は、酸性のpHを含み、Wntポリペプチドを溶出させるために使用される。場合によっては、溶出緩衝液が、約2、2.5、3、3.5、4、5、あるいは約6のpHを含む。場合によっては、溶出緩衝液は、約3のpHを含む。いくつかの例では、溶出工程は段階的なpH勾配を含む。場合によっては、段階的なpH勾配は、約6から約3へのpHの減少を含む。場合によっては、pHの減少は、約6、約5、約4、約3.5、および約3である。場合によっては、Wntポリペプチドを含む溶出されたフラクションは、トリス-HCl緩衝液によってさらに中和される。場合によっては、Tris-HCl緩衝液は、約9.5のpHを含み、1Mの濃度である。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0098】
いくつかの実施形態において、混合モードクロマトグラフィーカラムは、本明細書に記載されるWntポリペプチドを精製するために利用される。混合モードクロマトグラフィー(MMC)は、固定相と分析物との間の相互作用の2つ以上の様々な形態を利用して、それらの分離を達成するクロマトグラフィー法を記載している。いくつかの例では、混合モードクロマトグラフィー方法は、2つのサブタイプ、つまり、物理的なMMCと化学的なMMCとにさらに分割される。物理的なMMC方法は、「タンデムカラム」としての2つの異なるカラム、「二相性カラム」などの同じカラムの両端、あるいは「混床カラム」などの単一カラム中の均質化された相において、2つ以上のタイプの充填材料含む固定相を利用する。化学的なMMC方法は、2つ以上の機能を含む1つのタイプの充填材料を利用する。例えば、化学的なMMCは、精製中に選択性を増大させるために、イオン交換相互作用とともに疎水性および/または親水性相互作用を利用することがある。例示的なタイプの化学的なMMCとしては、限定されないが、陰イオン交換/逆相 (AEX/RP)を含む、陽イオン交換/逆相 (CEX/RP)、陰イオン交換/陽イオン交換/逆相 (AEX/CEX/RP)、AEX/HILIC、CEX/HILIC、およびAEX/CEX HILICが挙げられる。例示的なMMCカラムとしては、限定されないが、Acclaim Trinity PI LCカラム(ThermoFisher)、Acclaim混合モードWCX-1 LCカラム(ThermoFisher)、Acclaim混合モードHILIC-1 LCカラム(ThermoFisher)、OmniPac PAXおよびPCXシリーズのHPLCカラム(ThermoFisher)、ならびにBio-Gel(商標登録) HTカラム(Bio-Rad)が挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態において、混合モードクロマトグラフィーカラムは、Wntポリペプチドの精製のために利用される。いくつかの例では、物理的なMMCカラムは、Wntポリペプチドの精製のために利用される。他の例では、化学的なMMCカラムは、Wntポリペプチドの精製のために利用される。場合によっては、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0100】
いくつかの実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラムは、本明細書に記載されるWntポリペプチドの精製のために利用される。分子ふるいクロマトグラフィーとしても知られるサイズ-排除クロマトグラフィーは、それらのサイズに基づいて、場合によっては、それらの分子量に基づいて溶液中の分子を分離する。例示的なSECカラムとしては、限定されないが、TSKgel(登録商標)SW型カラム(Sigma-Aldrich)などのシリカベースのカラム;TSKgel PW型カラム(Sigma-Aldrich)などのポリメタクリレートベースのカラムが挙げられる。
【0101】
いくつかの実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラムは、Wntポリペプチドの精製のために利用される。いくつかの例では、シリカベースのSECカラムは、Wntポリペプチドの精製のために利用される。他の例では、ポリメタクリレートベースのSECカラムは、Wntポリペプチドの精製のために利用される。場合によっては、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/またはトランケーションを含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0102】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、上に記載された結合緩衝液、洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液へと製剤化される。例示的な界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、石油スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸塩、硫酸化天然油および脂肪、硫酸化エステル、ならびに硫酸化アルカノールアミド;陽イオン界面活性剤、例えば、第四級アンモニウム塩、アミド結合、ポリオキシエチレンアルキルおよび脂環式アミン、η、η、η’、η’テトラキス置換エチレンジアミン、ならびに2-アルキル1-ヒドロキシエチル2-イミダゾリン;非イオン界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン(例えば、Tween、トリトン、およびBrijシリーズの界面活性剤)ならびに糖界面活性剤(例えば、オクチルチオグルコシドおよびマルトシド);ならびに、両性イオンあるいは双性イオン界面活性剤、例えばCHAPSを含む。いくつかの例では、界面活性剤は、本明細書に記載されるWntポリペプチドを安定化させる。いくつかの例では、界面活性剤は、シャペロン(例えば、Frizzled融合タンパク質)と結合するためにWntポリペプチドと競合することによって、競合的拮抗剤として作用する。
【0103】
幾つかの実施形態では、界面活性剤は糖界面活性剤である。場合によっては、糖界面活性剤はグルコシド界面活性剤である。他の場合では、界面活性剤はマルトシド界面活性剤である。例示的なグルコシド界面活性剤としては、限定されないが、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-Dグルコピラノシド、n-オクチル-β-Dグルコピラノシド、n-オクチル-α-D-グルコピラノシド、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド、n-オクチル-β-Ο-ガラクトピラノシド、n-ノニル-β-Dグルコピラノシド、n-デシル-β-Dグルコピラノシド、n-ドデシル-β-Ο-グルコピラノシド、およびメチル-6-0-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドが挙げられる。例示的なマルトシド界面活性剤としては、限定されないが、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、および6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-P-D-マルトピラノシドが挙げられる。
【0104】
いくつかの実施形態において、上に記載される結合緩衝液、洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液などの緩衝液は、糖界面活性剤を含む。場合によっては、緩衝液(例えば、結合緩衝液、洗浄緩衝液および/または溶出緩衝液)は、グルコシド界面活性剤を含む。そのような場合、緩衝液(例えば、結合緩衝液、洗浄緩衝液および/または溶出緩衝液)は、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-β-Dグルコピラノシド、n-オクチル-α-D-グルコピラノシド、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド、n-オクチル-β-D-ガラクトピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、あるいはメチル-6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドを含む。場合によっては、緩衝液は、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドあるいはオクチル-β-D-1-チオグルコピラノシド を含む。一実施形態では、緩衝液は、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(n-オクチルグルコシド、OGP、OG、C8Glc、オクチル-β-グルコピラノシド、あるいはオクチル-β-D-グルコピラノシドとしても知られる)を含む。別の実施形態では、緩衝液は、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド(オクチルチオグルコシドあるいはOTGとしても知られる)を含む。
【0105】
幾つかの実施形態では、緩衝液(例えば、結合緩衝液、洗浄緩衝液および/または溶出緩衝液)は、マルトシド界面活性剤を含む。そのような場合、緩衝液(例えば、結合緩衝液、洗浄緩衝液および/または溶出緩衝液)は、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、あるいは6-シクロヘキシル-1-ヘキシル-β-D-マルトピラノシドを含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は、約0.05%~約5%w/v(重量/容量)である。いくつかの例では、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は、約0.1%~約5%、約0.5%~約4%、約1%~3%、約2%~約5%、あるいは約3%~約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、あるいは約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約0.1%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約0.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約1%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約1.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約2%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約2.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約3%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約4%w/vである。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤の濃度は約5%w/vである。場合によっては、緩衝液が、酢酸塩ベースの緩衝液(例えば、約10mM、20mM、30mM、50mM、あるいはそれ以上の濃度)である。いくつかの例では、緩衝液は、約5、5.5、6、6.5、あるいは7のpHを示す。
【0107】
いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はグルコシド界面活性剤である。いくつかの例では、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は、約0.05%~約5%、約0.1%~約5%、約0.5%~約4%、約1%~約3%、約2%~約5%、あるいは3%~約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、あるいは約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約0.1%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約0.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約1%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約1.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約2%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約2.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約3%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約4%w/vである。場合によっては、緩衝液中のグルコシド界面活性剤の濃度は約5%w/vである。場合によっては、緩衝液は、酢酸塩ベースの緩衝液(例えば、約10mM、20mM、30mM、50mM、あるいはそれ以上の濃度)である。いくつかの例では、緩衝液は、約5、5.5、6、6.5、あるいは7のpHを示す。
【0108】
いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はn-オクチル-β-D-グルコピラノシドである。いくつかの例では、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は、約0.05%~約5%、約0.1%~約5%、約0.5%~約4%、約1%~約3%、約2%~約5%、あるいは3%~約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、あるいは約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約0.1%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約0.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約1%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約1.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約2%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約2.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約3%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約4%w/vである。場合によっては、緩衝液中のn-オクチル-β-D-グルコピラノシドの濃度は約5%w/vである。場合によっては、緩衝液は、酢酸塩ベースの緩衝液(例えば、約10mM、20mM、30mM、50mM、あるいはそれ以上の濃度)である。いくつかの例では、緩衝液は、約5、5.5、6、6.5、あるいは7のpHを示す。
【0109】
いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はオクチルβ-1-チオグルコピラノシドである。いくつかの例では、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度は、約0.05%~約5%、約0.1%~約5%、約0.5%~約4%、約1%~約3%、約2%~約5%、あるいは約3%~約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%あるいは約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度が約0.1%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度が約0.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド の濃度が約1%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度が約1.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度が約2%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度が約2.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度が約3%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドの濃度が約4%w/vである。場合によっては、緩衝液中のオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド の濃度が約5%w/vである。場合によっては、緩衝液は、酢酸塩ベースの緩衝液(例えば、約10mM、20mM、30mM、50mM、あるいはそれ以上の濃度)である。いくつかの例では、緩衝液は、約5、5.5、6、6.5、あるいは7のpHを示す。
【0110】
いくつかの実施形態において、糖界面活性剤はマルトシド界面活性剤である。いくつかの例では、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は、約0.05%~約5%、約0.1%~約5%、約0.5%~約4%、約1%~約3%、約2%~約5%、あるいは3%~約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、あるいは約5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約0.1%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約0.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約1%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約1.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約2%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約2.5%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約3%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約4%w/vである。場合によっては、緩衝液中のマルトシド界面活性剤の濃度は約5%w/vである。場合によっては、緩衝液は、酢酸塩ベースの緩衝液(例えば、約10mM、20mM、30mM、50mM、あるいはそれ以上の濃度)である。いくつかの例では、緩衝液は、約5、5.5、6、6.5、あるいは7のpHを示す。
【0111】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、CHAPS、トリトンX-100、あるいはポリソルベート80である。いくつかの実施形態において、CHAPS、トリトンX-100、あるいはポリソルベート80の割合は、少なくとも0.01%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、CHAPS、トリトンX-100、あるいはポリソルベート80の割合は、最大で0.01%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、あるいはそれ以下である。場合によっては、界面活性剤の割合が重量/容量(w/v)の割合である。
【0112】
いくつかの例では、緩衝液成分、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンHC1(トリス-HC1)、3-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸(TAPS)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン(トリシン)、3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(TAPSO)、4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3-(Ν-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)などが使用される。いくつかの例において、緩衝剤のpHは、少なくとも4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、あるいは12以上である。いくつかの例では、緩衝液のpHは、最大で4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、あるいはそれ以下である。
【0113】
いくつかの例では、塩基性アミノ酸は、上に記載される結合緩衝液、洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液へと製剤化される。例示的な塩基性アミノ酸は、ヒスチジン、アルギニン、リジン、ヒドロキシリシン、オルニチン、およびシトルリンを含む。いくつかの例では、ヒスチジン、アルギニン、リジン、ヒドロキシリシン、オルニチン、あるいはシトルリンから選択される塩基性アミノ酸は、上に記載される結合緩衝液、洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液へと製剤化される。場合によっては、結合緩衝液、洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液中の塩基性アミノ酸の濃度は、約0.1~約2M(例えば、約0、1約~1.5M、約0.1M~約1M、約0.1M~約0.5M、約0.2M~約1.5M、約0.2M~約1M、約0.3M~約1M、あるいは約0.3M~約0.5Mである。
【0114】
場合によっては、塩基性アミノ酸はアルギニンである。場合によっては、結合緩衝液、洗浄緩衝液、および/または溶出緩衝液中のアルギニンの濃度は、約0.1M~約2Mである。場合によっては、溶出緩衝液中のアルギニンの濃度は、約0.1M~約2Mである。場合によっては、溶出緩衝液中のアルギニンの濃度は、約0.1~約1.5M、約0.1~約1M、約0.1M~約0.5M、約0.2M~約1.5M、約0.2M~約1M、約0.3M~約1M、約0.3M~約0.5Mである。場合によっては、溶出緩衝液中のアルギニンの濃度は、約0.1M~約0.5Mである。場合によっては、溶出緩衝液中のアルギニンの濃度は、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、あるいは約1.5Mである。
【0115】
いくつかの例では、混合モードクロマトグラフィーカラムのための溶出緩衝液は、約0.1M~約2Mの濃度のアルギニンを含む。場合によっては、溶出緩衝液が約0.1M~約1.5M、約0.1~約1M、約0.1M~約0.5M、約0.2M~約1.5M、約0.2M~約1M、約0.3M~約1M、あるいは約0.3M~約0.5の濃度のアルギニンを含む。場合によっては、溶出緩衝液が、約0.1M~約0.5Mの濃度のアルギニンを含む。場合によっては、溶出緩衝液が、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、あるいは約1.5Mの濃度のアルギニンを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、精製戦略は、溶出したWntポリペプチド-シャペロン複合体の混合物を生成するために、Wntポリペプチド-シャペロン複合体を含む溶液(例えば、調整培地)が、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第1の親和性クロマトグラフィーカラムに充填される、第1の工程を含む。いくつかの例では、第1の親和性クロマトグラフィーカラムからの溶出液は、糖界面活性剤(例えば、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドあるいはオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドなどのグルコシド界面活性剤)を含む緩衝液中でさらにインキュベートされる。場合によっては、緩衝液中の糖界面活性剤(例えば、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドあるいはオクチルβ-D-1-チオグルコピラノシドなどのグルコシド界面活性剤)の濃度は、約0.1%、0.5% 1% 1.5%、あるいは約2%w/v;あるいは約1%w/vである。その後、いくつかの例では、溶出液は、機能的に活性なWntポリペプチドおよび糖界面活性剤を含む第2のWnt組成物を生成して、例えば、第2のWnt組成物からシャペロン(例えば、Frizzled-8融合タンパク質)を取り除くために、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムに充填される。場合によっては、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムのための溶出緩衝液は、ステップ勾配を含む。その他の場合において、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムのための溶出緩衝液は、約0.5M~約2Mの塩、約0.6M~約2Mの塩、あるいは約0.8Mから約2Mの塩の塩濃度勾配を含む。いくつかの例では、第2のWnt組成物は、第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチドを含む第2の親和性クロマトグラフィーカラム、混合モードカラム、サイズ排除クロマトグラフィーカラム、あるいはその組み合わせでさらに精製される。いくつかの例では、第2のWnt組成物は、第3のWnt組成物を生成するために、抗体のFc部分と相互作用するポリペプチド含む第2の親和性クロマトグラフィーカラム、続いて、混合モードカラム、最後に、サイズ排除クロマトグラフィーカラムを用いてさらに精製される。場合によっては、第2の親和性クロマトグラフィーカラムは、第2のWnt組成物から残存するシャペロン(例えば、Frizzled-8融合タンパク質)を取り除く。場合によっては、混合モードカラムは、第2のWnt組成物からWntポリペプチド断片を取り除く。場合によっては、サイズ排除クロマトグラフィーカラムは、第3のWnt組成物を生成するために、第2のWnt組成物から残存するWntポリペプチド断片を取り除く。
【0117】
いくつかの実施形態において、精製戦略は、Wntポリペプチド-シャペロン複合体を含む溶液(例えば、調整培地)が、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムに充填される第1の工程と、その後の、精製されたWntポリペプチドを生成するために、第1の工程から溶出したWntポリペプチド(例えば、Wntポリペプチド-シャペロン複合体)が親和性クロマトグラフィーカラム上でさらに処理される第二の工程とを含む。場合によっては、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムに充填される前に、界面活性剤がWntポリペプチド(例えば、Wntポリペプチド-シャペロン複合体)を含む溶液にさらに添加される。場合によっては、リポソームWntポリペプチドを生成するために、リポソームの水溶液を用いて精製されたWntポリペプチドがさらに処理される。
【0118】
いくつかの実施形態において、精製戦略は、Wntポリペプチド-シャペロン複合体を含む溶液(例えば、調整培地)が親和性クロマトグラフィーカラムに充填される第1の工程と、その後の、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムを含む第2の工程とを含む。場合によっては、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラム上に界面活性剤を含むWntポリペプチドを充填する前に、界面活性剤が第1の工程からの溶出したWntポリペプチドに加えられる。場合によっては、リポソームWntポリペプチドを生成するために、スルホン化された多環芳香族の化合物で固定されたカラムから溶出した、精製されたWntポリペプチドが、リポソームの水溶液を用いてさらに処理される。
【0119】
いくつかの実施形態において、精製戦略は、調整培地からWntポリペプチド-シャペロン複合体を採取し、親和性クロマトグラフィーカラム上に充填することを含む。場合によっては、リポソームWntポリペプチドを生成するために、カラムからの溶出液がリポソームの水溶液を用いてさらに処理される。
【0120】
いくつかの実施形態において、
図3に例示される精製戦略は、本明細書に記載されるWntポリペプチドを精製するために利用される。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチド、Wnt10Bポリペプチド、あるいはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドは、例えば、修飾および/または切断を含む、本明細書に記載されるWnt3A変異体である。
【0121】
いくつかの例では、Wnt3Aタンパク質とその結合パートナーとの親和性は、少なくとも約1.1M、1.3nM、1.5nM、1.7nM、2nM、2.3nM、2.5nM、2.7nM、3nM、3.1M、3.2nM、3.3nM、3.4nM、3.5nM、3.6nM、3.7nM、3.8nM、3.9nM、あるいはそれ以上である。いくつかの例では、Wnt3aタンパク質とその結合パートナーとの親和性は、最大で約1.1M、1.3nM、1.5nM、1.7nM、2nM、2.3nM、2.5nM、2.7nM、3nM、3.1nM、3.2nM、3.3nM、3.4nM、3.5nM、3.6nM、3.7nM、3.8nM、3.9nM、あるいはそれ以下である。
【0122】
いくつかの実施形態において、溶出したWntポリペプチドの濃度および収率は、さらなる精製工程にさらされる前に測定される。いくつかの実施形態において、収率は、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、収率は、最大で約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、あるいはそれ以下である。いくつかの実施形態において、純度は、少なくとも約20、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、純度は、最大で約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、あるいはそれ以下である。
【0123】
いくつかの実施形態において、Wntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド)は、少なくとも約5μg/ml;一般に少なくとも約10mlμg、より一般に少なくとも約50μg/mlの初濃度に精製され、約100μgmlを超えて存在してもよい。
【0124】
いくつかの実施形態において、単離されたWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド)は、リポソームにおいてさらに製剤化される。場合によっては、Wntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド)は、界面活性剤を有する製剤中で安定化される。場合によっては、Wntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド)は、脂質を含む製剤中で安定化される。
【0125】
いくつかの実施形態において、リポソームは当技術分野において周知の方法を用いて作られる。リポソームは、ラメラ相脂質二重層および水性のコアを構成する人工的に調製された球状の小胞である。多層ベシクル(MLV)、小さな単層のリポソーム小胞(SUV)、大きな単層の小胞(LUV)および渦巻状の小胞など、いくつかのタイプのリポソームがある。いくつかの例では、リポソームはリン脂質によって形成される。いくつかの実施形態において、リン脂質は、ジアシルグリセリド構造を有するものあるいはリンスフィンゴ脂質に由来するものに分離される。いくつかの実施形態において、ジアシルグリセリド構造は、ホスファチジン酸(ホスファチジン酸塩)(PA)、ホスファチジルエタノールアミン(ケファリン)(PE)、ホスファチジルコリン(レシチン)(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、およびホスホイノシチド、例えば、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルイノシトールリン酸塩(PIP)、ホスファチジルイノシトールビスリン酸(PIP2)、およびホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)を含む。いくつかの実施形態において、リンスフィンゴ脂質は、セラミドホスホリルコリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、およびセラミドホスホリルリピドを含む。いくつかの実施形態において、リポソームはホスファチジルコリンから形成される。
【0126】
いくつかの実施形態において、脂質はまた、その転移相温度(Tm)、あるいは液体の結晶相とゲル相との間の温度界面に基づいて選択されている。いくつかの実施形態において、Tmは、頭部種、炭化水素長さ、不飽和、および電荷によって影響を受ける。例えば、短い脂質(8、10、あるいは12の尾部炭素鎖長さを含有する脂質)は、4°Cより低い温度の液晶相を有する。しかし、これらの短鎖炭素脂質から作られたリポソームは、細胞膜を溶解するため、細胞に対して毒性である。より長い炭素鎖脂質から作られたリポソームは細胞に対して毒性ではないが、それらの転移温度はより高くなる。例えば、16の尾部炭素長さを有する1,2-ジパルミトイル-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)は、約41°CのTmを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に使用される脂質は、約10°C~約37°C、約15°C~約30°C、約18°C~27°C、あるいは約21°C~25°CのTmを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に使用される脂質は、少なくとも22°C、23°C、24°C、あるいはそれ以上のTmを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に使用される脂質は、最大で22°C、23°C、24°C、あるいはそれ以下のTmを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に使用される脂質は、12、13、14、あるいはそれ以上の尾部炭素長さを有する。いくつかの実施形態において、本明細書に使用される脂質は、最大で約12、13、14、あるいはそれ以下の尾部炭素長さを有する。
【0127】
いくつかの実施形態において、脂質は、リポソームの正味荷電に基づいてさらに選択される。いくつかの実施形態では、リポソームは、約4.0~約10.0、約5.0~約9.0、約6.5~約8.0、約7.0~約7.8、あるいは約7.2~約7.6のpHで0の正味電荷を有する。いくつかの実施形態において、リポソームは、約7.3、約7.4、あるいは約7.5のpHで0の正味電荷を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、約4.0~約10.0、約5.0~約9.0、約6.5~約8.0、約7.0~約7.8、あるいは約7.2~約7.6のpHで正味正電荷を有する。いくつかの実施形態において、リポソームは、約7.3、約7.4、あるいは約7.5のpHで正味正電荷を有する。いくつかの実施形態では、リポソームは、約4.0~約10.0、約5.0~約9.0、約6.5~約8.0、約7.0~約7.8、あるいは約7.2~約7.6のpHで正味負電荷を有する。いくつかの実施形態において、リポソームは、約7.3、約7.4、あるいは約7.5のpHで正味負電荷を有する。
【0128】
いくつかの実施形態において、脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1-テトラデカノイル-2-ヘキサデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(MPPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DMPS)、および1,2-ジヘキサノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPG)から選択される。いくつかの実施形態では、脂質はDMPCである。
【0129】
いくつかの実施形態において、追加の脂質はリポソームへと作り上げられる。いくつかの実施形態では、追加の脂質はコレステロールである。いくつかの例では、DMPCおよびコレステロールなどのホスファチジルコリンの濃度は、比率などの値によって定義される。いくつかの実施形態において、DMPCおよびコレステロールなどのホスファチジルコリンの濃度の比率は、約50:50、約55:45、約60:40、約65:35、約70:30、約75:25、約80:20、約85:15、約90:10、約95:5、約99:1、あるいは約100:0の間である。いくつかの実施形態において、DMPCおよびコレステロールなどのホスファチジルコリンの濃度の比率は、約90:10である。いくつかの実施形態において、濃度単位はモルである。いくつかの実施形態において、比率はモル:モルである。
【0130】
いくつかの実施形態において、リポソームはエタノール注射ベースの方法により調製される。いくつかの例では、上記方法は、Wagner, et al. “The Crossflow Injection Technique: An improvement of the Ethanol Injection Mehod,” Journal of Liposome Research, 12(3): 259-270 (2002)に記載される通りである。
【0131】
いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、少なくとも約0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、0.095、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、ng/μL、あるいはそれ以上の濃度のリポソームで再構成される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、最大で約0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、0.095、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5 2 2.5、3、3.5、4ng/μL、あるいはそれ以下の濃度のリポソームで再構成される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、約0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、0.095、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4ng/μLの濃度のリポソームで再構成される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0132】
いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、少なくとも約0.1:50、0.5:30、1:20、あるいは1:14のリポソーム対Wntポリペプチド、あるいはそれ以上の比率のリポソームを用いて再構成される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、最大で約0.1:50、0.5:30、1:20、あるいは1:14のリポソーム対Wntポリペプチド、あるいはそれ以下の比率のリポソームで再構成される。いくつかの例では、比率は容量対容量の比率である。いくつかの例では、Wntポリペプチドの単位はナノグラム単位である。
【0133】
いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドがリポソームで再構成される温度は、少なくともの約15°C~37°C、約18°C~33°C、約20°C~30°C、約20°C~28°C、あるいは約25°C~30°Cの間である。幾つかの実施形態では、温度は、少なくとも約15℃~約37℃である。幾つかの実施形態では、温度は、少なくとも約18℃~約33℃である。幾つかの実施形態では、温度は、少なくとも約20℃~約30℃である。いくつかの実施形態において、温度は、少なくとも約21°C、22°C、23°C、24°C、25°C、26°C、27°C、28°C、29°C、30°C、あるいはそれ以上である。いくつかの実施形態において、温度は、最大で約21°C、22°C、23°C、24°C、25°C、26°C、27°C、28°C、29°C、30°C、あるいはそれ以下である。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。
【0134】
いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、少なくとも10分、20分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、5時間、6時間、あるいはそれ以上の間、リポソームでインキュベートされる。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、約10分、20分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、5時間、6時間、あるいはそれ以上の間、リポソームでインキュベートされる。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、少なくとも30分間、リポソームでインキュベートされる。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、少なくとも1時間、リポソームでインキュベートされる。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、少なくとも1.5時間、リポソームでインキュベートされる。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、少なくとも2時間、リポソームでインキュベートされる。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、少なくとも3時間、リポソームでインキュベートされる。
【0135】
いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドはリポソーム膜に統合される。場合によっては、Wntポリペプチドは、リポソーム膜から脂質膜の表面へと突き出ている。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、リポソームの水性のコアへに取り込まれない。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドはリポソーム膜に統合される。ある場合には、Wnt3Aポリペプチドはリポソーム薄膜から脂質膜の表面へと突き出ている。いくつかの例では、Wnt3Aポリペプチドは、リポソームの水性のコアに取り込まれない。
【0136】
いくつかの実施形態において、リポソームWntポリペプチドは、約10nm~1μm、10nm~約500nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、約100nm~約500nm、約100nm~約300nm、あるいは約100nm~約200nmのリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、10nm~約500nmのリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約50nm~約300nmのリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約50nm~約200nmのリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約100nm~約200nmのリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約150nm~約200nmのリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約50nm~約150nmのリポソーム粒度分布を有する。
【0137】
いくつかの実施形態において、リポソームWntポリペプチドは、約1μm未満、約500nm未満、約300nm未満、約200nm未満、あるいは約150nm未満のリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約1μm未満のリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約500nm未満のリポソーム粒度分布を有するいくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約300nm未満のリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約200nm未満のリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約170nm未満のリポソーム粒度分布を有する。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドは、約150nm未満のリポソーム粒度分布を有する。
【0138】
いくつかの実施形態において、リポソームで再構成されたWntポリペプチドは、リポソームWntポリペプチドあるいはL-Wntと呼ばれる。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、あるいはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、リポソームで再構成されたWnt3Aポリペプチドは、リポソームWnt3AポリペプチドあるいはL-Wnt3Aと呼ばれる。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt5Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、リポソームで再構成されたWnt5Aポリペプチドは、リポソームWnt5AポリペプチドあるいはL-Wnt5Aと呼ばれる。いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの実施形態において、リポソームで再構成されたWnt10Bポリペプチドは、リポソームWnt10BポリペプチドあるいはL-Wnt10Bと呼ばれる。
【0139】
いくつかの実施形態において、L-Wntは遠心分離工程を経験し、その後、緩衝剤中で懸濁される。例示的な緩衝液としては、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)あるいはスクロースベースの緩衝液、例えば、リン酸塩/スクロース緩衝液、ヒスチジン/スクロース緩衝液、クエン酸塩/スクロース緩衝液、酢酸塩/スクロース緩衝液、スクロース/NaClベースの緩衝液、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液、あるいは酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液が挙げられる。いくつかの例では、スクロースベースの緩衝液は、約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、スクロースベースの緩衝液は、約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、リン酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMのリン酸塩~約50mMのリン酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、リン酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMのリン酸塩および約300mMのスクロースを含む。場合によっては、ヒスチジン/スクロース緩衝液は、約10mMヒスチジンおよび約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、クエン酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMのクエン酸塩~約50mMのクエン酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、クエン酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMのクエン酸塩および約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、酢酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMの酢酸塩~約50mMの酢酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、酢酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMの酢酸塩および約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、スクロース/NaClベースの緩衝液は、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、スクロース/NaClベースの緩衝液は、約100mMのスクロースおよび100mM のNaClを含む。いくつかの例では、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのリン酸塩~約50mMのリン酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMのリン酸塩、約100mMのスクロース、および約100mMのNaClを含む。いくつかの例では、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのヒスチジン~約50mMのヒスチジン、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、ヒスチジン/スクロースNaCl緩衝液は、約10mMのヒスチジン、約100mMのスクロース、および100mMのNaClを含む。いくつかの例では、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのクエン酸塩~約50mMのクエン酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMクエン酸塩、100mMスクロース、および100mMのNaClを含む。いくつかの例では、酢酸塩/スクロースNaCl緩衝液は、約5mMの酢酸塩~約50mMの酢酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMの酢酸塩、約100mMのスクロース、および約100mMのNaClを含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、L-Wntは濾過工程を経験する。いくつかの例では、濾過工程は、限外濾過、ダイアフィルトレーション、ナノ濾過、除菌濾過、あるいはその組み合わせを含む。例示的な濾過膜としては、限定されないが、酢酸セルロース(CA)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidiene)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、およびポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。いくつかの例では、L-Wntは、限外濾過、ダイアフィルトレーション、ナノ濾過、除菌濾過、あるいはその組み合わせなどの1つ以上濾過を経験する。いくつかの例では、L-Wntは、タンパク質汚染物質および微生物汚染物質などの1つ以上の生体汚染物質を除去するために、限外濾過およびナノ濾過を経験する。いくつかの例では、ナノ濾過は1つ以上のウイルスの汚染物質を除去する。いくつかの例では、L-Wntは、緩衝液交換のためのダイアフィルトレーション工程をさらに経験する。例示的な緩衝液としては、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)あるいはスクロースベースの緩衝液、例えば、リン酸塩/スクロース緩衝液、ヒスチジン/スクロース緩衝液、クエン酸塩/スクロース緩衝液、酢酸塩/スクロース緩衝液、スクロース/NaClベースの緩衝液、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液、あるいは酢酸塩/スクロースNaCl緩衝液が挙げられる。いくつかの例では、スクロースベースの緩衝液は、約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、スクロースベースの緩衝液は、約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、リン酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMのリン酸塩~約50mMのリン酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、リン酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMのリン酸塩および約300mMのスクロースを含む。場合によっては、ヒスチジン/スクロース緩衝液は、約10mMヒスチジンおよび約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、クエン酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMのクエン酸塩~約50mMのクエン酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、クエン酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMのクエン酸塩および約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、酢酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMの酢酸塩~約50mMの酢酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、酢酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMの酢酸塩および約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、スクロース/NaClベースの緩衝液は、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、スクロース/NaClベースの緩衝液は、約100mMのスクロースおよび100mMのNaClを含む。いくつかの例では、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのリン酸塩~約50mMのリン酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMのリン酸塩、約100mMのスクロース、および約100mMのNaClを含む。いくつかの例では、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのヒスチジン~約50mMのヒスチジン、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMのヒスチジン、約100mMのスクロース、および100mMのNaClを含む。いくつかの例では、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのクエン酸塩~約50mMのクエン酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMクエン酸塩、100mMスクロース、および100mMのNaClを含む。いくつかの例では、酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMの酢酸塩~約50mMの酢酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMの酢酸塩、約100mMのスクロース、および約100mMのNaClを含む。場合によっては、L-Wntは除菌工程を経験する。
【0141】
いくつかの例では、L-Wntは窒素下で保存される。いくつかの例では、L-Wntは窒素下で活性の実質的な損失なく安定している。
【0142】
いくつかの例では、L-Wntは約1°C~約8°Cの温度で保存される。いくつかの実例では、L-Wntは、少なくとも約1°C、2°C、3°C、4°C、5°C、6°C、7°C、8°C、あるいはそれ以上の温度で、活性の実質的な損失なく安定している。いくつかの実例では、L-Wntは、最大で約1°C、2°C、3°C、4°C、5°C、6°C、7°C、8°C、あるいはそれ以下の温度で、活性の実質的な損失なく安定している。
【0143】
いくつかの例では、L-Wntは約-80°C~約-20°Cの温度で保存される。いくつかの例では、L-Wntは、約-80°Cの温度で活性の実質的な損失なく安定している。いくつかの例では、L-Wntは、約-20°Cの温度で活性の実質的な損失なく安定している。
【0144】
いくつかの実施形態において、L-Wntは、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、356、400、700、1000日、あるいはそれ以上の間、活性の実質的な損失なく安定している。いくつかの実施形態において、L-Wntは、最大で約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、356、400、700、1000日、あるいはそれ以下の間、活性の実質的な損失なく安定している。
【0145】
いくつかの実施形態において、L-Wnt3Aは遠心分離工程を経験し、その後、緩衝剤中で懸濁される。例示的な緩衝液としては、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)あるいはスクロースベースの緩衝液、例えば、リン酸塩/スクロース緩衝液、ヒスチジン/スクロース緩衝液、クエン酸塩/スクロース緩衝液、酢酸塩/スクロース緩衝液、スクロース/NaClベースの緩衝液、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液、あるいは酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液が挙げられる。いくつかの例では、スクロースベースの緩衝液は、約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、スクロースベースの緩衝液は、約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、リン酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMのリン酸塩~約50mMのリン酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、リン酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMのリン酸塩および約300mMのスクロースを含む。場合によっては、ヒスチジン/スクロース緩衝液は、約10mMヒスチジンおよび約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、クエン酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMのクエン酸塩~約50mMのクエン酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、クエン酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMのクエン酸塩および約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、酢酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMの酢酸塩~約50mMの酢酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、酢酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMの酢酸塩および約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、スクロース/NaClベースの緩衝液は、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、スクロース/NaClベースの緩衝液は、約100mMのスクロースおよび100mM のNaClを含む。いくつかの例では、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのリン酸塩~約50mMのリン酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMのリン酸塩、約100mMのスクロース、および約100mMのNaClを含む。いくつかの例では、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのヒスチジン~約50mMのヒスチジン、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMのヒスチジン、約100mMのスクロース、および100mMのNaClを含む。いくつかの例では、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのクエン酸塩~約50mMのクエン酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMクエン酸塩、100mMスクロース、および100mMのNaClを含む。いくつかの例では、酢酸塩/スクロースNaCl緩衝液は、約5mMの酢酸塩~約50mMの酢酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMの酢酸塩、約100mMのスクロース、および約100mMのNaClを含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、L-Wnt3Aは濾過工程を経験する。いくつかの例では、濾過工程は、限外濾過、ダイアフィルトレーション、ナノ濾過、除菌濾過、あるいはその組み合わせを含む。例示的な濾過膜としては、限定されないが、酢酸セルロース(CA)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidiene)(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、およびポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。いくつかの例では、L-Wnt3Aは、限外濾過、ダイアフィルトレーション、ナノ濾過、除菌濾過、あるいはその組み合わせなどの1つ以上濾過を経験する。いくつかの例では、L-Wnt3Aは、タンパク質汚染物質および微生物汚染物質などの1つ以上の生体汚染物質を除去するために、限外濾過およびナノ濾過を経験する。いくつかの例では、ナノ濾過は1つ以上のウイルスの汚染物質を除去する。いくつかの例では、L-Wnt3Aは、緩衝液交換のためのダイアフィルトレーション工程をさらに経験する。例示的な緩衝液としては、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)あるいはスクロースベースの緩衝液、例えば、リン酸塩/スクロース緩衝液、ヒスチジン/スクロース緩衝液、クエン酸塩/スクロース緩衝液、酢酸塩/スクロース緩衝液、スクロース/NaClベースの緩衝液、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液、あるいは酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液が挙げられる。いくつかの例では、スクロースベースの緩衝液は、約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、スクロースベースの緩衝液は、約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、リン酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMのリン酸塩~約50mMのリン酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、リン酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMのリン酸塩および約300mMのスクロースを含む。場合によっては、ヒスチジン/スクロース緩衝液は、約10mMヒスチジンおよび約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、クエン酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMのクエン酸塩~約50mMのクエン酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、クエン酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMのクエン酸塩および約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、酢酸塩/スクロース緩衝液は、約5mMの酢酸塩~約50mMの酢酸塩、および約50mMのスクロース~約500mMのスクロースを含む。場合によっては、酢酸塩/スクロース緩衝液は、約10mMの酢酸塩および約300mMのスクロースを含む。いくつかの例では、スクロース/NaClベースの緩衝液は、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、スクロース/NaClベースの緩衝液は、約100mMのスクロースおよび100mMのNaClを含む。いくつかの例では、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのリン酸塩~約50mMのリン酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、リン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMのリン酸塩、約100mMのスクロース、および約100mMのNaClを含む。いくつかの例では、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのヒスチジン~約50mMのヒスチジン、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、ヒスチジン/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMのヒスチジン、約100mMのスクロース、および100mMのNaClを含む。いくつかの例では、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMのクエン酸塩~約50mMのクエン酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、クエン酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMクエン酸塩、100mMスクロース、および100mMのNaClを含む。いくつかの例では、酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約5mMの酢酸塩~約50mMの酢酸塩、約50mMのスクロース~約300mMのスクロース、および約5mMのNaCl~約200mMのNaClを含む。場合によっては、酢酸塩/スクロース/NaCl緩衝液は、約10mMの酢酸塩、約100mMのスクロース、および約100mMのNaClを含む。場合によっては、L-Wnt3Aは除菌工程を経験する。
【0147】
いくつかの例では、L-Wnt3Aは窒素下で保存される。いくつかの例では、L-Wnt3Aは窒素下で活性の実質的な損失なく安定している。
【0148】
いくつかの例では、L-Wnt3Aは約1°C~約8°Cの温度で保存される。いくつかの実例では、L-Wnt3Aは、少なくとも約1°C、2°C、3°C、4°C、5°C、6°C、7°C、8°C、あるいはそれ以上の温度で、活性の実質的な損失なく安定している。いくつかの例では、L-Wnt3Aは、最大で約1°C、2°C、3°C、4°C、5°C、6°C、7°C、8°C、あるいはそれ以下の温度で、活性の実質的な損失なく安定している。
【0149】
いくつかの例では、L-Wnt3Aは約-80°C~約-20°Cの温度で保存される。いくつかの例では、L-Wnt3Aは、約-80°Cの温度で活性の実質的な損失なく安定している。いくつかの例では、L-Wnt3Aは、約-20°Cの温度で活性の実質的な損失なく安定している。
【0150】
いくつかの実施形態において、L-Wnt3Aは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80 90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、356、400、700、1000日、あるいはそれ以上の間、活性の実質的な損失なく安定している。いくつかの実施形態において、L-Wnt3Aは、最大で約10、20、30、40、50、60、70、80 90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、356、400、700、1000日、あるいはそれ以下の間、活性の実質的な損失なく安定している。
【0151】
いくつかの例では、用語「活性の実質的な損失なく」とは、リポソームWntポリペプチドの機能活性が、リポソームの不在下で対応する天然Wntポリペプチドの機能活性と近いことを指す。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドの機能活性は、天然Wntポリペプチドの機能活性と比較して、少なくとも約100%、99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、60%、50%、40%、あるいはそれ以上である。いくつかの例では、リポソームWntポリペプチドの機能活性は、天然Wntポリペプチドの機能活性と比較して、最大で約100%、99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、60%、50%、40%、あるいはそれ以下である。いくつかの例では、Wntポリペプチドの機能活性は、例えば、本明細書の他の場所に記載される質量分析法、バイオマーカー分析関連アッセイなどのアッセイ、移植手術、例えば、腎被膜下移植手術、脊椎固定術外科、ALP、TRAP、およびTUNEL染色、免疫組織化学的検査、ならびにマイクロCT分析および移植片成長の定量化を使用して検出される。
【0152】
用語「安定している」とは、折り畳まれた状態のWntポリペプチドを指しており、折り畳まれていないものや、分解されないものを指していない。いくつかの例では、用語「安定している」とはさらに、活性の実質的な損失なく機能活性を保持するWntポリペプチドを指す。いくつかの例では、上に記載されるようなWntポリペプチドの活性を確立する安定性アッセイを決定するために使用されるアッセイは、LSL細胞ベースのアッセイ、例えば、マウスのLSL細胞ベースのアッセイをさらに含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、WntポリペプチドならびにリポソームWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド、L-Wnt3Aのそれぞれ)の量、純度、効能、および安全性がさらに評価される。いくつかの例では、WntポリペプチドならびにリポソームWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド、L-Wnt3Aのそれぞれ)の量(あるいは濃度)は、クロマトグラフィー法(例えば、HPLC方法)を利用することによって決定される。幾つかの例において、HPLC法はRP-HPLC 法である。
【0154】
いくつかの例では、WntポリペプチドならびにリポソームWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド、L-Wnt3Aのそれぞれ)の純度は、クロマトグラフィー法(例えば、HPLC法)、サイズ分離法(例えば、SDS-PAGE)、あるいは電荷分離法(キャピラリー等電点電気泳動(cIEF)法)を利用することによって決定される。
【0155】
いくつかの実施形態において、WntポリペプチドならびにリポソームWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド、L-Wnt3Aのそれぞれ)の効能は、本明細書に記載されるLSLアッセイを利用することによって決定される。
【0156】
いくつかの実施形態において、WntポリペプチドならびにリポソームWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド、L-Wnt3Aのそれぞれ)の安全性は、例えば、生菌数試験(例えば、USP 61(USP29-NF24)に記載されるような)および/または、エンドトキシン試験(例えば、USP 85(USP29-NF24)に記載されるような)を利用することによって決定される。
【0157】
いくつかの実施形態において、WntポリペプチドならびにリポソームWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド、L-Wnt3Aのそれぞれ)の重量モル浸透圧濃度が決定される。いくつかの例では、WntポリペプチドならびにリポソームWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド、L-Wnt3Aのそれぞれ)の重量モル浸透圧濃度は、USP 785(USP29-NF24)に記載されるようなガイドラインに従って決定される。
【0158】
いくつかの実施形態において、WntポリペプチドならびにリポソームWntポリペプチド(例えば、Wnt3Aポリペプチド、L-Wnt3Aのそれぞれ)は未満を含む。
【0159】
発現構築物
いくつかの実施形態において、1つ以上の変異体を含むWntポリペプチドは、組み換え法によって生成される。いくつかの例では、Wntポリペプチドは、Wnt3A、WntA、あるいはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの例では、1つ以上の変異体を含むWntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチドである。いくつかの例では、1つ以上の変異体を含むWntポリペプチドは、Wnt5Aポリペプチドである。いくつかの例では、1つ以上の変異体を含むWntポリペプチドは、Wnt10Bポリペプチドである。
【0160】
C末端で切断された変異体を含むアミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチド変化をWntポリペプチドDNAに導入することによって調製される。そのような変異体は、自然発生のWntポリペプチドのアミノ酸配列の末端の一方あるいは両末端内における、あるいは末端の一方あるいは両末端での残基の挿入、置換、および/または特定の欠失を表す。挿入、置換、および/またはは特定の欠失(例えば、切断)の任意の組み合わせは、最終構築物が本明細書に定義されるような所望の生物学的活性を保有する場合に限り、最終構築物に到達するようになっている。アミノ酸変化はまた、例えば、糖鎖付加部位の数または位置を変更すること、膜固定特性(membrane anchoring characteristics)を変更すること、および/または、Wntポリペプチドのリーダー配列を挿入、欠失、あるいは他の方法で影響を与えることによりWntポリペプチドの細胞内の位置を変更することによって、Wntポリペプチドの翻訳後のプロセスを変更することができる。
【0161】
いくつかの実施形態において、Wntポリペプチド内の1つ以上の変異体は、置換、挿入、欠失、あるいはそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、Wnt3Aポリペプチドは、置換、挿入、欠失、あるいはそれらの組み合わせを含む。ある場合には、Wnt5Aポリペプチドは、置換、挿入、欠失、あるいはそれらの組み合わせを含む。その他の場合において、Wnt10Bポリペプチドは、置換、挿入、欠失、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0162】
場合によっては、Wnt3Aポリペプチドをコード化するDNAは、SEQ ID NO:1あるいはSEQ ID NO:2によって表される。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドをコード化するDNAは、例えば、SEQ ID NO:1の配列を切断することによって、あるいはSEQ ID NO:2の配列の利用することによって、調製される。いくつかの例では、Wntポリペプチドのコード化遺伝子は、当技術分野において知られているように、オリゴヌクレオチド合成、増幅などによっても得られる。
【0163】
Wntポリペプチドをコード化する核酸(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)は、発現のために複製可能なベクターに挿入される。多くのそのようなベクターが利用可能である。ベクターの構成要素は一般的に、限定されないが、以下のものの1以上を含む:複製起点、1以上の標識遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、および転写終結配列。好ましくは、GMP適合性ベクター、例えば、市販のベクターOpticVec、pTarget、pcDNA4T04、pcDNA4.0が選択される。
【0164】
いくつかの例では、Wntポリペプチドをコード化する第1の核酸を含むベクターは、操作可能に第1の核酸に結合された、シャペロンをコード化する第2の核酸をさらに含む。いくつかの例では、シャペロンは、Frizzledタンパク質、Wntless、Afamin、あるいはPorcupineである。幾つかの場合では、シャペロンはFrizzled-8である。場合によっては、シャペロンはFrizzled-8融合タンパク質(例えば、SEQ ID NO:5あるいはSEQ ID NO:18)である。いくつかの例では、ベクターはマルチシストロニック(例えば、バイシストロニック)ベクターであり、それは、第1の核酸および第2の核酸が同じプロモーター下にあり、第1の核酸と第2の核酸との間のベクトル領域はIRES要素あるいは2Aペプチドを含む。いくつかの例では、2Aペプチドは:T2A([GSG]- EGRGSLLTCGDVEENPGP)(SEQ ID NO:30)、P2A([G SG]-ATNF SLLKQ AGD VEENPGP)(SEQ TD NO: 31)、E2A([GSG]-QCTNYALLKLAGDVESNPGP)(SEQ ID NO:32)、およびF2A([GSG’j- VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP)(SEQ ID NO:33)を含む。いくつかの例では、ベクターは、第1の核酸および第2の核酸を含むが、その2つの核酸は2つの異なるプロモーター下にある。
【0165】
いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドをコード化する第1の核酸、およびシャペロンをコード化する第2の核酸は、2つの異なるベクターにおいて構築される。
【0166】
いくつかの実施形態において、最小血清培養条件に寛容な発現ベクターが使用される。いくつかの例では、最小血清培養条件は、減少血清培養条件、タンパク質を含まない培養条件、合成培地条件、あるいは無血清培養条件を含む。いくつかの実施形態では、減少血清培養条件に寛容な発現ベクターが使用される。いくつかの実施形態において、タンパク質を含まない培養条件に寛容な発現ベクターが使用される。いくつかの実施形態において、合成培地条件に寛容な発現ベクターが使用される。
【0167】
いくつかの実施形態において、無血清培養条件に寛容な発現ベクターが使用される。場合によっては、発現ベクターが、対象のタンパク質の所望の転写産物の高いコピー数および分泌につながる。いくつかの例では、発現ベクターはcGMP適合性哺乳動物細胞株と適合する。哺乳動物の発現ベクターの非限定的な例は、pOptivecベクター、pTargeT(商標)ベクター、BacMam pCMV-Destベクター、Flp-In(商標)コアシステム、ベクターのGateway(登録商標)suite 、Halo Tag(登録商標)ベクター、Flexi(登録商標)ベクター、pCMVTNT(商標)ベクター、pcDNA4.0、およびpcDNA(商標)4/TOベクターを含む。いくつかの実施形態において、発現ベクターは、pOptivecおよびpTargeT(商標)ベクターから選択される。pOptivecベクターは、哺乳動物分泌シグナルを含有する遺伝子およびCMVプロモーター下流の対象の遺伝子の迅速なクローニングを可能にするTOPO(登録商標)適応バイシストロニックプラスミドである。ジヒドロ葉還元酵素選択マーカーは、迅速な選択を可能にする。場合によっては、このベクターは、CHO-S細胞の一過性トランスフェクションのために使用される。いくつかの例では、pTargeT(商標)ベクターは、CHO-S細胞の一過性トランスフェクションのために、およびWntポリペプチド(例えば、Wnt3A)を発現する安定した細胞株の作成のために使用される。
【0168】
コード化配列は、Wntの分泌を可能にするシグナル配列も含む。シグナル配列は、ベクターの構成要素であってもよく、あるいは、ベクターに挿入されるWntコード化DNAの一部であってもよい。選択される異種のシグナル配列は、宿主細胞によって認識されかつ処理される(すなわち、シグナルペプチターゼによって切断される)ものが好ましい。哺乳動物細胞の発現では、天然シグナル配列が使用され得るか、あるいは、他の動物Wntポリペプチドのシグナル配列、同じまたは近縁種の分泌されたポリペプチドのシグナル配列、およびウイルスの分泌のリーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルなどの他の哺乳動物シグナル配列が適し得る。
【0169】
発現ベクターは、選択可能マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含み得る。この遺伝子は、選択培養培地中で増殖した、形質転換した宿主細胞の生存または成長に必要なタンパク質をコード化する。選択遺伝子を含有するベクターで形質転換されない宿主細胞は、培地中に生存しない。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質又は他のトキシン、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、あるいはテトラサイクリンに対する耐性を与え、(b)栄養要求性の欠失を捕捉し、または(c)複合培地から利用可能でない重大な栄養素を供給する、タンパク質をコード化する。
【0170】
発現ベクター及びは、宿主生物によって認識され、且つWntコード配列に操作可能に連結されるプロモーターを含む。プロモーターは、操作可能に結合される特定の核酸配列の転写および翻訳を制御する構造遺伝子(通常、約100~1000bp内)の開始コドンの上流(5’)に位置する非翻訳配列である。そのようなプロモーターは典型的に、誘導性と構成的という2つのクラスに分類される。誘導性プロモーターは、培養条件(例えば、栄養素の有無、あるいは温度の変化)における変化に応じたその管理下で、DNAからの転写のレベルの増加を引き起こすプロモーターである。様々な可能な宿主細胞によって認識される多くのプロモーターが周知である。天然Wntポリペプチドプロモーター配列および多くの異種のプロモーターの両方が、Wntポリペプチドの発現を指示するために使用されてもよい。しかし、異種プロモーターが好ましく、なぜなら、それは一般により大きな転写とより高い収率を可能にするためである。
【0171】
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、および、最も好ましくは、シミアンウィルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、異種の哺乳動物プロモーター(例えば、アクチンプロモーター、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ )、あるいは免疫グロブリンプロモーター)から、熱ショックプロモーターから得られたプロモーターによって制御されるが、そのようなプロモーターは、宿主細胞システムと互換性を持つ場合に限る。SV40ウイルスの早期及び後期のプロモーターは、複製物のSV40ウイルス起点も含むSV40制限フラグメントとして、都合良く得られる。ヒトサイトメガロウイルスの早急な早期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして都合良く得られる。
【0172】
転写は、ベクターにエンハンサー配列を挿入することにより増大することができる。エンハンサーは、転写を増大するためにプロモーターに作用する、DNA(通常約10~300bp)のシスエレメントである。エンハンサーは、配向と位置に比較的依存せず、イントロン内、ならびにコード配列自体内での転写ユニットの5’および3’で見られる。現在、多くのエンハンサー配列が、哺乳類遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリン)から知られている。しかし、典型的には、真核細胞ウイルスからのエンハンサーを使用するだろう。例は、複製起点の側面(late side)上のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点の側面上のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーを含む。エンハンサーは、コード配列の位置5’あるいは3’で発現ベクターにスプライスされてもよいが、好ましくは、プロモーターから部位5’に位置付けられる。
【0173】
哺乳類宿主細胞において使用される発現ベクターはまた、転写の終了およびmRNAの安定化に必要な配列を含む。そのような配列は、真核生物又はウイルスDNAあるいはcDNAの、5’の、及び時には3’の引翻訳領域から共通して利用可能である。これら領域は、Wntポリペプチドをコード化するmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化されたフラグメントとして転写される、ヌクレオチドセグメントを含む。
【0174】
上に表記された成分の1つ以上を含有する適切なベクターの構造は、標準的技法を使用する。単離されたプラスミドあるいはDNAフラグメントは、必要なベクターを生成するために、所望の形態で切断され、調整され、および再連結される。
【0175】
いくつかの例では、哺乳動物細胞における一過性発現をもたらす発現ベクターが使用される。一般的に、一過性発現は、宿主細胞が発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、発現ベクターによってコード化された高レベルの所望のポリペプチドを合成するように、宿主細胞において効率的に複製することができる発現ベクターの使用を含む。適切な発現ベクターおよび宿主細胞を含む一過性発現系は、クローン化DNAによってコード化されたポリペプチドの便利な確実な同定、ならびに、所望生物学的あるいは生理学的性質についてのそのようなポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。
【0176】
いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞において安定した発現をもたらす発現ベクターが使用される。そのような場合、適切な発現ベクターおよび宿主細胞を含む安定した発現系は、大量生産(例えば、40L以上、50L以上、100L以上、150L以上、200L以上、250L以上、あるいは300L以上の培養物)を提供する。
【0177】
いくつかの例において、無血清培地が使用される。無血清培地の非限定的な例には、CD CHO培地、CD CHO AGT(商標)培地、CD OptiCHO(商標)培地、CHO-S-SFM II(随意にヒポキサンチンおよびチミジンを含む)、CD 293 AGT(商標)培地、アデノウイルス発現培地(AEM)、FreeStyle(商標)293発現培地、FreeStyle(商標)CHO発現培地、CD FortiCHO(商標)培地、EX-CELLR 302無血清培地、EX-CELLR 325 PF CHO無血清培地、EX-CELL(登録商標)CD CHO-2培地(動物構成要成分含まず)、EX-CELL(登録商標)CD CHO-3培地、EX-CELL(登録商標)CDHO DHFR-培地(動物構成成分含まず)、およびActiPro培地が挙げられる。
【0178】
本発明の方法は、GMP産生のためのFDAまたはWHOのガイドラインに順守するように実行され得る。そのようなものに対するガイドラインは関連規制当局から入手できる場合がある。例えば、“WHO good manufacturing practices: main principles for pharmaceutical products. Annex 3 in: WHO Expert Committee on Specifications for Pharmaceutical Preparations. Forty-fifth report. Geneva, World Health Organization, 2011 (WHO Technical Report Series, No. 961)”;“ICH Q5B guideline. Analysis of the expression construct in cells used for production of r-DNA derived protein products. Geneva, International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use, 1995”;および“Handbook: good laboratory practice (GLP): quality practices for regulated non-clinical research and development, 2nd ed. Geneva, UNDP/World Bank WHO, Special Programme for Research and Training in Tropical Diseases, 2009”を参照されたい。これらは各々、参照により具体的に組み込まれる。
【0179】
典型的に、組換えDNA由来の生物学的治療薬は、マスターセルバンクに由来する製造者のワーキングセルバンク(WCB)を含むセルバンクシステムを使用して産生される。本発明は、WNT3Aタンパク質の分泌のためにベクターによりトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)(例えばCHO-SまたはCHO-K1)細胞の冷凍アリコートを備えており、細胞はマスターセルバンクまたはワーキングセルバンクとして使用可能である。
【0180】
いくつかの実施形態において、生産規模(または細胞培養規模)は、40Lより多い、50Lより多い、100Lより多い、150Lより多い、200Lより多い、250Lより多い、または300Lより多い。いくつかの例において、生産規模(または細胞培養スケール)は100Lより多い。いくつかの例において、生産規模(または細胞培養スケール)は200Lより多い。いくつかの例において、生産規模(または細胞培養スケール)は300Lより多い。いくつかの例において、生産規模(または細胞培養スケール)は約100Lである。いくつかの例において、生産規模(または細胞培養スケール)は約200Lである。いくつかの例において、生産規模(または細胞培養スケール)は約300Lである。
【0181】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は懸濁液中で成長させられる。
【0182】
細胞株
いくつかの実施形態において、cGMP適合性の細胞株は、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターによりトランスフェクトされる。典型的なcGMP適合性の細胞株には、哺乳動物細胞株、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ヒト胚腎臓(HEK)細胞株、またはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株など;または昆虫細胞株、例えばSf9細胞株、Sf21細胞株、Tn-368細胞株、またはHigh Five(BTI-TN-5B 1-4)細胞株などが挙げられる。
【0183】
いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ヒト胚腎臓(HEK)細胞株、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株、Sf9細胞株、Sf21細胞株、Tn-368細胞株、またはHigh Five(BTI-TN-5B 1 -4)細胞株から選択される、cGMP適合性の細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、CHO細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、BHK細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、HEK細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、Sf9細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、Sf21細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、Tn-368細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、High Five細胞株中でトランスフェクトされる。場合によっては、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、またはWnt10Bポリペプチドである。
【0184】
いくつかの実施形態において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、ヒト胚腎臓(HEK)細胞株、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株、Sf9細胞株、Sf21細胞株、Tn-368細胞株、またはHigh Five(BTI-TN-5B 1-4)細胞株から選択される、cGMP適合性の細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、CHO細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、BHK細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、HEK細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、Sf9細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、Sf21細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、Tn-368細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、High Five細胞株中でトランスフェクトされる。
【0185】
典型的なCHO細胞株には、限定されないが、CHO-S、CHO-K1、CHO-DXB 11(またはCHO-DUKX)、およびCHO-DG44細胞株が挙げられる。いくつかの例において、Wntポリペプチドをコードする発現ベクターは、CHO-S細胞株またはCHO-K1細胞株中でトランスフェクトされる。場合によっては、Wntポリペプチドは、Wnt3Aポリペプチド、Wnt5Aポリペプチド、またはWnt10Bポリペプチドである。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、CHO-S細胞株中でトランスフェクトされる。いくつかの例において、Wnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、CHO-K1細胞株中でトランスフェクトされる。場合によっては、Wnt3AポリペプチドのSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2をコードする発現ベクターは、CHO-S細胞株中でトランスフェクトされる。場合によっては、Wnt3AポリペプチドのSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:2をコードする発現ベクターは、CHO-K1細胞株中でトランスフェクトされる。更なる場合、変異体(例えば欠失またはトランケーション)を含むWnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、CHO-S細胞株中でトランスフェクトされる。更なる場合、変異体(例えば欠失またはトランケーション)を含むWnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターは、CHO-K1細胞株中でトランスフェクトされる。
【0186】
いくつかの例において、欠失またはトランケーションを含むWnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターによりトランスフェクトされたCHO-S細胞の組み合わせにより、タンパク質の最小血清培養培地(例えば無血清条件)への有効な分泌が可能になる。場合によっては、欠失またはトランケーションはC末端の欠失またはトランケーションである。いくつかの例において、Wnt3AポリペプチドはSEQ ID NO:1に例示されるようなものである。場合によっては、SEQ ID NO:1(BC103921)に対してC末端が切断されるWnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターによりトランスフェクトされたCHO-S細胞の組み合わせにより、タンパク質の培養培地への有効な分泌が血清または他の動物産物の不在下で可能になる。
【0187】
いくつかの例において、欠失またはトランケーションを含むWnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターによりトランスフェクトされたCHO-K1細胞の組み合わせにより、タンパク質の最小血清培養培地(例えば無血清条件)への有効な分泌が可能になる。場合によっては、欠失またはトランケーションはC末端の欠失またはトランケーションである。いくつかの例において、Wnt3AポリペプチドはSEQ ID NO:1に例示されるようなものである。場合によっては、SEQ ID NO:1(BC103921)に対してC末端が切断されるWnt3Aポリペプチドをコードする発現ベクターによりトランスフェクトされたCHO-S細胞の組み合わせにより、タンパク質の培養培地への有効な分泌が血清または他の動物産物の不在下で可能になる。場合によっては、CHO-K1細胞は懸濁液中で成長させられる。
【0188】
本明細書に別記されるように、最小血清培地は時折、9%未満の血清を含む。場合によっては、血清はFBSである。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは、多くとも約0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、またはそれ以下である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは、少なくとも約0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、またはそれ以上である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約0.05%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約0.1%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約0.5%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約1%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約2%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約3%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約4%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約5%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約6%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約7%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約8%である。場合によっては、最小血清培地に存在するFBSは約9%である。他の場合、最小血清培地は無血清培地である。
【0189】
時折、最小血清培地は、植物水解物から得たペプチドおよび/またはポリペプチドなどの成分を含むが、動物由来のタンパク質または成分を含まない。他の場合、最小血清培地は組換え型タンパク質および/またはホルモンを含むが、FBS、ウシ血清アルブミン、またはヒト血清アルブミンを含まない。更なる場合、最小血清培地は低分子量構成要素、および随意に合成ペプチドおよび/またはホルモンを含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、最小血清培地は1つ以上の追加の補足物を含む。いくつかの実施形態において、追加の補足物は脂質補足物である。脂質補足物の非限定的な例には、Lipid Mixture 1(Sigma-Aldrich)、Lipid Mixture 2(Sigma-Aldrich)、Lipogro(登録商標)(Rocky Mountain Biologicals)、およびChemically Defined Lipid Concentration(Life Technologies)が挙げられる。いくつかの実施形態において、無血清培地は脂質補足物を包含する。
【0191】
いくつかの例において、最小血清培地は血清、即ち化学的特定培地である。場合によっては、無血清培地、化学的特定培地は、動物由来の成分を実質的に含まない。
【0192】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、Wntポリペプチド(例えばWnt3Aポリペプチド)を含む発現ベクターによりトランスフェクトされた無血清培地においてCHO細胞(例えばCHO-S細胞またはCHO-K1細胞)を培養する工程を含み、前記Wntポリペプチドは分泌のためのシグナル配列を含み、該シグナル配列は天然Wnt(例えばWnt3A)シグナル配列または異種シグナル配列であり、Wntポリペプチド(例えばWnt3Aポリペプチド)が発現され且つ分泌される条件下で、プロモーターへと動作可能に結合される。いくつかの例において、Wntポリペプチドは、C末端切断されたWntポリペプチド(例えばWnt3Aポリペプチド)であり、該Wntポリペプチドは分泌のためのシグナル配列を含み、該シグナル配列は天然Wnt(例えばWnt3A)シグナル配列または異種シグナル配列であり、Wntポリペプチド(例えばWnt3Aポリペプチド)が発現され且つ分泌される条件下で、プロモーターへと動作可能に結合される。いくつかの実施形態において、前記方法は更に、細胞を発現ベクターによりトランスフェクトする初期工程を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、培地から産生されるポリペプチドを精製する工程を含む。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチド(例えばWnt3Aポリペプチド)は、GMP臨床的用途に適している程度に精製される。いくつかの実施形態において、精製されたWntポリペプチド(例えばWnt3Aポリペプチド)は、単位投与製剤において包装される。
【0193】
いくつかの実施形態において、CHO細胞は懸濁液中で成長させられる。
【0194】
他の実施形態において、CHO細胞は接着性である。
【0195】
いくつかの実施形態において、培地は代用血清を含む。いくつかの実施形態において、代用血清は動物産物を含まない。いくつかの実施形態において、代用血清は、精製されたタンパク質、例えば、インスリン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミンなどの1つ以上を含むが、例えば、成長因子、ステロイドホルモン、グルココルチコイド、細胞接着因子、検出可能なIg、有系分裂促進物質などを欠いている。代用血清は、培地中に最大約0.1%、最大約0.25%、最大約0.5%、最大約0.75%、最大約1%、最大約2.5%、最大約5%、最大約7.5%、または最大約10%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約0.1%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約0.25%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約0.5%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約0.75%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約1%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約2.5%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約5%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約7.5%の濃度で存在し得る。代用血清は、培地中の最大約10%の濃度で存在し得る。
【0196】
適切な培地は当業者に既知のものから選択されてもよく、DMEM、RPMI-1640、MEM、Iscove’s、CHO Cell Mediumなどが挙げられる。適切な代用血清には、動物産物を含まず産生されたもの、または、精製された動物タンパク質成分のみを含むものが挙げられる。この目的に適している市販の補足物には、限定されないが、CellEss、ITS(例えばrrS3またはITS3+)、Excyte、OneShot、Knockout、および当業者に既知のものが挙げられる。いくつかの例において、ITS補足物は、インスリン、トランスフェリン、およびセレンの混合物を含有する補足物である。培地は更に、限定されないが、GlutaMax(商標)(グルタミンベースのジペプチド)、抗生物質(例えばドキシサイクリン)、G418、非必須アミノ酸、ブラストサイジンなどの成分を含む。
【0197】
Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約10ng/ml、少なくとも約25ng/ml、少なくとも約50ng/ml、少なくとも約75ng/ml、少なくとも約100ng/ml、少なくとも約250ng/ml、少なくとも約500ng/ml、少なくとも約750ng/ml、少なくとも約1μg/ml、少なくとも約1.1μg/ml、少なくとも約1.25μg/ml、少なくとも約1.5μg/ml、少なくとも約1.75μg/ml、少なくとも約2.5μg/ml、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約7.5μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、またはそれ以上であり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約10ng/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約25ng/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約50ng/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約75ng/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約100ng/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約250ng/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約500ng/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約750ng/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1.1μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1.25μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1.5μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1.75μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約2.5μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約5μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約7.5μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約10μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約15μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約20μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約25μg/mlであり得る。Wntポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約30μg/mlであり得る。いくつかの例において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt5Aポリペプチドである。場合によっては、WntポリペプチドはWnt10Bポリペプチドである。
【0198】
いくつかの例において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。場合によっては、Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約10ng/ml、少なくとも約25ng/ml、少なくとも約50ng/ml、少なくとも約75ng/ml、少なくとも約100ng/ml、少なくとも約250ng/ml、少なくとも約500ng/ml、少なくとも約750ng/ml、少なくとも約1μg/ml、少なくとも約1.1μg/ml、少なくとも約1.25μg/ml、少なくとも約1.5μg/ml、少なくとも約1.75μg/ml、少なくとも約2.5μg/ml、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約7.5μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μ/ml、少なくとも約30μg/ml、またはそれ以上である。
【0199】
Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約10ng/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約25ng/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約50ng/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約75ng/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約100ng/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約250ng/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約500ng/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約750ng/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1.1μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1.25μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1.5μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約1.75μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約2.5μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約5μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約7.5μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約10μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約15μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約20μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約25μg/mlであり得る。Wnt3Aポリペプチドの無血清培養培地への分泌のレベルは、少なくとも約30μg/mlであり得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、発現且つ分泌されたWntポリペプチドのC末端は、5~40のアミノ酸により切断される。いくつかの例において、発現且つ分泌されたWntポリペプチドのC末端は、5~35のアミノ酸、10~35のアミノ酸、10~33のアミノ酸、10~30のアミノ酸、15~33のアミノ酸、15~30のアミノ酸、20~35のアミノ酸、20~33のアミノ酸、20~30のアミノ酸、25~33のアミノ酸、または25~30のアミノ酸により切断される。
【0201】
いくつかの実施形態において、発現且つ分泌されたWntポリペプチドのC末端は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、またはそれ以上のアミノ酸により切断され、および、付加的にN末端またはC末端にて切断される場合があるが、タンパク質は生物活性を維持するものとする。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは5のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは10のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは15のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは20のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは25のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは30のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wntポリペプチドは33のアミノ酸により切断される。
【0202】
いくつかの例において、WntポリペプチドはWnt3Aポリペプチドである。いくつかの実施形態において、発現且つ分泌されたWnt3AポリペプチドのC末端は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、またはそれ以上のアミノ酸により切断され、および、付加的にN末端またはC末端にて切断される場合があるが、タンパク質は生物活性を維持するものとする。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは5のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは10のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは15のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは20のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは25のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは30のアミノ酸により切断される。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは33のアミノ酸により切断される。
【0203】
いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも70%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも80%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも85%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも90%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも95%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも96%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも97%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも98%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:1に対して少なくとも99%の配列同一性を持つ配列を有している。
【0204】
いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも70%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも80%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも85%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも90%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも95%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも96%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも97%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも98%の配列同一性を持つ配列を有している。いくつかの実施形態において、Wnt3Aポリペプチドは、SEQ ID NO:2に対して少なくとも99%の配列同一性を持つ配列を有している。
【0205】
Wntポリペプチド組成物および製剤
組成物が本明細書において提供され、該組成物において、最小血清培地(例えば、無血清の化学的特定培地などの無血清培地)へと分泌される、あるいは薬学的に許容可能な賦形剤中の生物学的に活性なWntポリペプチドは、少なくとも約0.1μg/ml;少なくとも約0.25μg/ml;少なくとも約0.5μg/ml;少なくとも約0.75μg/ml;少なくとも約1μg/ml;少なくとも約2.5μg/ml;少なくとも約5μg/ml;少なくとも約7.5μg/ml;少なくとも約10μg/ml;少なくとも約25μg/ml;少なくとも約30μg/ml;少なくとも約50μg/ml;少なくとも約75μg/ml;少なくとも約100μg/ml;少なくとも約250μg/ml;少なくとも約500μg/ml;少なくとも約750μg/ml;少なくとも約1mg/ml;少なくとも約2.5mg/ml;少なくとも約5mg/ml;少なくとも約7.5mg/ml;少なくとも約10mg/ml;少なくとも約25mg/ml;少なくとも約50mg/ml;少なくとも約75mg/ml;少なくとも約100mg/ml;またはそれ以上の濃度である。
【0206】
いくつかの実施形態において、本発明の方法および培養システムにより産生されるタンパク質は、治療を施すために様々な製剤へと組み込まれる。一態様において、薬剤は、適切で薬学的に許容可能な担体または希釈剤との組み合わせにより医薬組成物へと製剤され、および、固体、半固体、あるいは液体の形態、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座薬、注射、吸入剤、ゲル、小球体などにおける調製物へと製剤される。そのため、タンパク質および/または他の化合物の投与は様々な方法において達成可能である。タンパク質および/または他の化合物は、投与後に全身に行き渡るか、あるいは、製剤により、または移植部位にて有効投与量を保持するように作用するインプラントの使用により局在化され得る。
【0207】
医薬剤形において、タンパク質および/または他の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で投与され、あるいは、単独で、または適切な会合において、更には他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用され得る。薬剤は組み合わされて活性の混合物を提供する場合がある。以下の方法および賦形剤は例示的なものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0208】
医薬製剤は単位剤形において提供されてもよく、この場合、用語「単位剤形」は、ヒト被験体に対する単一の用量として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、またはビヒクルと合わせて所望の効果をもたらすのに十分であると推定される量において、所定の質量のタンパク質を含有する。本発明の単位剤形に対する仕様は、利用される特定の組成物と達成される効果、および宿主中の組成物に関連する薬力学に依存する。
【0209】
ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤などの薬学的に許容可能な賦形剤は、市販で入手可能である。更に、薬学的に許容可能な補助物質、例えばpH調節剤および緩衝化剤、等張化剤、安定化剤、湿潤剤などが、市販で入手可能である。本発明の方法および組成物に有用なあらゆる化合物が、薬学的に許容可能な塩基付加塩として提供可能である。「薬学的に許容可能な塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的効果と特性を保持する塩を指し、これは生物学的または他の方法で不要なものではない。これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に添加することによって調製される。無機塩基由来の塩には、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが挙げられる。好ましい無機塩には、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムの塩が挙げられる。有機塩基由来の塩には、限定されないが、第一級アミン、第二級アミン、および第三級アミン、自然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩を含む。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフェインである。
【0210】
患者または患者サンプル、および処置されている疾病と投与経路に依存して、タンパク質は、患者サンプルに約0.001μg~約10μgの用量で、あるいは、患者に(1日当たり)体重1kgあたり約0.001μg~約10μgの用量で投与され得る。
【0211】
当業者は容易に、投与量レベルは特定の酵素、症状の重症度と感度、および被験体の副作用に対する感受性に応じて変動し得ることを、認識する。タンパク質の一部は他のタンパク質よりも強力である。所定の酵素の好ましい用量は、様々な手段によって当業者により容易に決定可能である。好ましい手段は、所定の化合物の生理学的効力を測定することである。
【0212】
本発明の組成物は、予防目的の他、治療目的のために使用され得る。本明細書において使用されるように、用語「処置すること(treating)」は、疾患の予防と、疾患または事前に存在する状態の処置の両方を指すものであり、より一般的には所望の組織、部位、タイミングなどにおけるWnt3A活性の増強を指す。本発明は、進行中の疾患の処置における有意な進展を提供し、患者の臨床症状を安定化および/または改善するのを助ける。そのような処置は望ましくは、影響を受けた組織の機能の損失の前に行われるが、失った機能の回復または更なる機能損失の予防を助けることも可能である。治療効果の証拠は、疾患の重症度の何らかの減少、あるいは、疾病の改善、例えば、骨治癒の向上などであり得る。治療効果は、臨床結果の観点において測定可能であり、または、生化学物質検査により判定可能である。代替的に、疾患の症状における減少を探すことができる。
【0213】
本発明の他の実施形態において、細胞組成物が提供され、該細胞組成物において、細胞は、分泌のためのシグナル配列を含むC末端切断されたWnt3Aタンパク質を包含する発現ベクターを含んでおり、前記シグナル配列は、天然Wnt3Aシグナル配列または異種シグナル配列であり、プロモーターに動作可能に結合される。いくつかの実施形態において、細胞はCHO細胞(例えばCHO-S細胞またはCHO-K1細胞)である。いくつかの実施形態において、細胞は無血清培地を含む組成物として提供される。他の実施形態において、細胞は冷凍され生存可能であり、培養物を播種するのに適したアリコートにおいて随意に提供される。
【0214】
細胞は、容器、例えば冷凍アリコートにおいて、約103の細胞/ml、104細胞/ml、105細胞/ml、106細胞/ml、107細胞/ml、最大約108細胞/ml、またはそれ以上の濃度で提供され得る。細胞は任意の適切な培地において冷凍されることで細胞の生存率を維持することができ、およびDMSOを含み得る。細胞組成物は、GMPフォーマット、例えばマスターセルバンクまたはワーキングセルバンクにおいて有用な組成物において提供可能であり、これは、定められた条件およびクローニング履歴の下で単一の宿主細胞から得たものであり、後に複数の容器へと分注される。
【0215】
いくつかの実施形態において、組成物中のWntポリペプチドの比活性は、機能的アッセイにおける活性のレベルを判定すること、例えば、β-カテニンの安定化、幹細胞の成長促進など、非機能的アッセイに存在するWntポリペプチドの量を定量化すること、例えば、免疫染色、ELISA、ウエスタンブロット、クマシンまたは銀で染色したゲルに対する定量化など、および生物学的に活性なWntと総Wntとの比率を判定することにより、測定される。一般的に、実質的に均質な組成物において定められるような比活性は、出発物質の少なくとも約5%、つい以上は出発物質の少なくとも約10%であり、および、約25%、約50%、約90%、またはそれ以上の場合もある。
【0216】
Wntの生物活性に対するアッセイはβ-カテニンの活性化を含み、これは例えばWnt組成物の系列希釈により測定可能である。Wnt生物活性に対する典型的なアッセイは、Wnt組成物を細胞、例えばマウスL細胞と接触させ、Wnt反応性ルシフェラーゼレポータープラスミドおよび構成的LacZ発現構築物により安定してトランスフェクトさせる。ルシフェラーゼ/βガラクトシダーゼ(luc/lac)比率は、細胞数ごとの活性の標準化を可能にする。細胞は、β-カテニンを活性化させるのに十分な時間、通常は1時間培養されて、溶解される。細胞溶解物は、市販のWntタンパク質により生成された標準曲線と比較することにより、luc/lac発現レベルに対して分析される。他のアッセイは、アフリカツメガエル・アニマルキャップアッセイにおける標的遺伝子のC57MG形質転換および誘導を含む。
【0217】
いくつかの実施形態において、Wnt組成物は、投与量間の均一性を含む。いくつかの実施形態において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、またはそれ以下である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、20%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、15%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、10%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、5%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、4%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、3%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、2%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、1%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、0.5%未満である。いくつかの例において、Wnt組成物における投与量間のWnt濃度の変動は、0.1%未満である。
【0218】
いくつかの実施形態において、Wnt組成物は実質的に、生物的汚染物質(例えば細菌、ウイルス、またはマイコバクテリウムなどの微生物;あるいは宿主細胞または細胞デブリ)を含まない。いくつかの例において、Wnt組成物は、最大で5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、またはそれ以下の生物的汚染物質を含む。
【0219】
いくつかの実施形態において、Wnt組成物は実質的に、化学汚染物質(例えば、精製工程および/またはリポソーム再構成工程中に利用される1つ以上の緩衝液成分)を含まない。いくつかの例において、Wnt組成物は、最大で5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、0.005%、0.001%、またはそれ以下の化学汚染物質を含む。いくつかの例において、化学汚染物質はエタノールを含む。いくつかの例において、化学汚染物質は界面活性剤を含む。いくつかの例において、化学汚染物質は、糖界面活性剤(例えば、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-オクチル-α-D-グルコピラノシド、オクチルβ-D-1-チオグルコピラノシド、n-オクチル-β-D-ガラクトピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、またはmエチル-6-0-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシド)を含む。
【0220】
使用の方法
特定の実施形態において、本明細書には、上述の方法により調製されるリポソームWntポリペプチドにより骨移植片における細胞生存を増強する方法が記載される。いくつかの実施形態において、必要とする被験体において骨移植片における細胞生存を増強する方法は、エクスビボ細胞を含む単離された哺乳動物骨移植片を含有するサンプルを、上述の方法により調製されるリポソームWntポリペプチドを含む組成物によりインキュベートする工程;および増強された細胞を標的部位へと移植する工程を含む。
【0221】
場合によっては、細胞は、少なくとも5分、10分、15分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、またはそれ以上にわたりインキュベートされる。場合によっては、細胞は少なくとも5分間インキュベートされる。場合によっては、細胞は少なくとも10分間インキュベートされる。場合によっては、細胞は少なくとも15分間インキュベートされる。場合によっては、細胞は少なくとも20分間インキュベートされる。場合によっては、細胞は少なくとも30分間インキュベートされる。場合によっては、細胞は少なくとも60分間インキュベートされる。場合によっては、細胞は少なくとも2時間インキュベートされる。場合によっては、細胞は少なくとも6時間以上インキュベートされる。
【0222】
場合によっては、細胞は、30分間以下、1時間以下、1.5時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、またはそれ以下にわたりインキュベートされる。場合によっては、細胞は30分以下にわたりインキュベートされる。場合によっては、細胞は1時間以下にわたりインキュベートされる。場合によっては、細胞は1.5時間以下にわたりインキュベートされる。場合によっては、細胞は2時間以下にわたりインキュベートされる。場合によっては、細胞は3時間以下にわたりインキュベートされる。場合によっては、細胞は6時間以下にわたりインキュベートされる。
【0223】
場合によっては、細胞は、約5分~約6時間、約10分~約6時間、約30分~約6時間、約5分~約3時間、約10分~約3時間、約15分~約3時間、約30分~約3時間、約5分~約2時間、約10分~約2時間、約15分~約2時間、約20分~約2時間、約30分~約2時間、約5分~約1時間、約10分~約1時間、約15分~約1時間、または約30分~約1時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約5分~約6時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約10分~約6時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約30分~約6時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約5分~約3時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約10分~約3時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約15分~約3時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約20分~約3時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約30分~約3時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約5分~約2時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約10分~約2時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約15分~約2時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約20分~約2時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約30分~約2時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約5分~約1時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約10分~約1時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約15分~約1時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約20分~約1時間かけてインキュベートされる。場合によっては、細胞は約30分~約1時間かけてインキュベートされる。
【0224】
場合によっては、細胞は、ほぼ室温、または約37℃でインキュベートされる。いくつかの例において、室温には、30℃未満、29℃未満、28℃未満、27℃未満、26℃未満、25℃未満、24℃未満、23℃未満、または22℃未満が挙げられる。いくつかの例において、室温は、約20℃~約30℃、約22℃~約28℃、または約24℃~約26℃を含む。いくつかの例において、室温は、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、または約28℃を含む。
【0225】
場合によっては、細胞は約34℃~約39℃の温度でインキュベートされる。場合によっては、細胞は、約35℃~約38℃、約35℃~約37℃、約36℃~約39℃、約36℃~約38℃、または約36℃~約37℃でインキュベートされる。場合によっては、細胞は約35℃~約38℃の温度でインキュベートされる。場合によっては、細胞は約35℃~約37℃の温度でインキュベートされる。場合によっては、細胞は約35℃~約39℃の温度でインキュベートされる。場合によっては、細胞は約36℃~約38℃の温度でインキュベートされる。場合によっては、細胞は約36℃~約37℃の温度でインキュベートされる。場合によっては、細胞は約37℃でインキュベートされる。
【0226】
場合によっては、細胞は、約2℃~約8℃、約2℃~約6℃、約4℃~約8℃、または約2℃~約4℃でインキュベートされる。
【0227】
場合によっては、増強された細胞は、暴露されていない哺乳動物骨移植片材料に比べて増強された骨形成能力を含む。
【0228】
いくつかの例において、細胞は外科手術により被験体から得られる。場合によっては、細胞は外科部位から除去されない。更なる場合、細胞は遺伝子的に修飾されず、培養物中で拡張されず、あるいは、処置した細胞を被験体に戻す前に遠心分離などにより更に処理されない。
【0229】
いくつかの実施形態において、本明細書にはまた、上述の方法により調製されるリポソームWntポリペプチドにより骨欠損部位における細胞生存を増強する方法が記載される。いくつかの実施形態において、必要とする被験体において骨欠損部位における細胞生存を増強する方法は、骨欠損部位に、上述の方法により生成されたリポソームWntポリペプチドを含む組成物を投与する工程を含み、ここで、リポソームWntポリペプチドは、骨欠損部位にて細胞生存を増強する。場合によっては、前記方法は更に、骨欠損部位にて歯科用または整形外科用インプラントを投与する工程を含む。
【0230】
場合によっては、骨欠損部位は、損傷部位、例えば、骨折または外科手術による歯または骨の損傷の部位である。
【0231】
場合によっては、骨欠損部位は、歯の欠損部位、例えば歯科用インプラントのための部位である。歯科用インプラントは、ネジ、シリンダ、またはプレートを含む、顎骨における配置のための骨内膜インプラント;および、歯茎の下であるが顎骨上への配置のための骨膜下インプラントを含む。場合によっては、歯科用インプラントは二段階インプラントを含み、これは、例えば顎骨へとインプラントを配するための初期の外科手術、その後の時点で当接具を付けるための次の外科手術に関与する。他の場合、歯科用インプラントは一段階インプラントを含み、そこでは、インプラントへの当接具の取り付けは、第2の外科手術を必要とすることなく達成され得る。
【0232】
いくつかの例において、歯科用または整形外科用のインプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与前に骨欠損部位へ投与される。例えば、歯科用または整形外科用のインプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与の前に、骨欠損部位へ、約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、30日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、またはそれ以上にわたり投与される。
【0233】
他の例において、歯科用または整形外科用のインプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与後に骨欠損部位へ投与される。例えば、歯科用または整形外科用のインプラントは、リポソームWntポリペプチドを含む組成物の投与の後に、骨欠損部位へ、約1日、2日、5日、7日、2週間、30日、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、またはそれ以上にわたり投与され得る。
【0234】
更なる場合、歯科用または整形外科用のインプラント、およびリポソームWntポリペプチドを含む組成物は、骨欠損部位へ同時に投与される。
【0235】
場合によっては、リポソームWntポリペプチドは、歯科用または整形外科用のインプラントの骨結合を増強する。
【0236】
キット/製品
本明細書には、特定の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の方法、プロセス、および組成物を使用するためのキットおよび製品が開示される。このようなキットは、バイアルやチューブなどの1以上の容器を収容するために仕切られた運搬装置、パッケージ、または容器を含み、容器の各々は本明細書に記載される方法において使用される別個の要素の1つを備えている。適切な容器として、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。いくつかの実施形態において、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。いくつかの例において、容器は単回用容器である。
【0237】
本明細書で提供される製品は、包装材料を含む。包装材料の例としては、限定されないが、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、および、選択された製剤と投与および処置の意図した形態に適切な任意の包装材料が挙げられる。
【0238】
例えば、容器はWntポリペプチドまたはリポソームWntポリペプチドを含有する。容器には随意に、バイアル、例えば単回用ガラスバイアルなどのガラスバイアルが挙げられる。キットは更に、識別用の記載またはラベル、あるいは本明細書に記載される方法における使用に関する説明書を随意に含む。
【0239】
キットは典型的に、内容物を列挙するラベルおよび/または使用説明書と、使用説明書を備えた添付文書とを含んでいる。1セットの説明書も典型的に含まれる。
【0240】
一実施形態において、ラベルは容器上にあるかまたは容器に付随される。一実施形態において、ラベルを形成する文字、数字または他の表示が、容器自体に貼り付けられるか、成形されるか、あるいは刻まれている場合、ラベルは容器上に取り付けられる。ラベルが例えば添付文書として容器を保持するレセプタクルまたは運搬装置内に存在する時、ラベルは容器に付随する。一実施形態において、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきであることを示すために用いられる。ラベルはまた、例えば本明細書に記載の方法などにおける内容物の使用に関する指示を示す。
【0241】
特定の用語
別段の定めのない限り、本明細書で使用される技術用語と科学用語は全て、主張される主題が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を持っている。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型的且つ例示的なものにすぎず、請求された主題の内容を限定するものではないことを理解されたい。本出願において、単数形の使用は、特に別記しない限り複数を含む。明細書と添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、他にその内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むということに留意しなければならない。本出願において、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。更に、用語「含むこと(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限されない。
【0242】
本明細書で使用されるように、範囲および量は、「およその(about)」特定の値または範囲として表現可能である。「約」は正確な量も含んでいる。従って、「約5μL」とは「約5μL」と「5μL」を意味する。一般に、用語「約」は、実験誤差の範囲内、例えば、±5%、±10%、または±15%以内であると予想される量を含む。
【0243】
本明細書に使用されるセクションの見出しは、単に構成上の目的のためであり、記載される主題を制限すると解釈されるものではない。
【0244】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野における当業者により共通して理解されるのと同じ意味を有する。「Singleton et al, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J.Wiley & Sons (New York, NY 1994)」では、当業者に、本出願において使用される用語の多くに関する一般的な手引が提供されている。
【0245】
本開示の方法の他、特定の被験体または用途におけるそれらの効果を判定する試験は、当該技術分野における処置の標準を用いて、本明細書中の教示に従い実行可能である。故に、本開示の実施は、当業者の考え得る範囲内にある、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技術を利用する場合がある。このような技術は、次のような文献に説明されており、例えば、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook et al., 1989);“Oligonucleotide Synthesis” (M.J. Gait, ed., 1984);“Animal Cell Culture” (R.I. Freshney, ed., 1987);“Methods in Enzymology” (Academic Press, Inc.);“Handbook of Experimental Immunology” (D.M. Weir & C.C. Blackwell, eds.);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells” (J.M. Miller & M.P. Calos, eds., 1987);“Current Protocols in Molecular Biology” (F.M. Ausubel et al., eds., 1987);“PCR: The Polymerase Cham Reaction” (Mullis et al., eds., 1994);および“Current Protocols in Immunology” (J.E. Coligan et al., eds., 1991);更には前述の全ての文献の最新版と改訂版が挙げられる。
【0246】
本明細書において使用されるように、「市販」されている化合物は、以下の商業供給源から入手可能であり、例えば、限定されないが、Acres Organics (Pittsburgh PA)、Aldrich Chemical (Milwaukee WI、Sigma ChemicalおよびFlukaを含む)、Apin Chemicals Ltd. (Milton Park UK)、Avocado Research (Lancashire U.K.)、BDH Inc. (Toronto,Canada)、Bionet (Cornwall,U.K.)Chemservice Inc. (West Chester PA)、Crescent Chemical Co. (Hauppauge NY)、Eastman Organic Chemicals、Eastman Kodak Company (Rochester NY)、Fisher Scientific Co. (Pittsburgh PA)、Fisons Chemicals (Leicestershire UK)、Frontier Scientific (Logan UT)、ICN Biomedicals,Inc. (Costa Mesa CA)、Key Organics (Cornwall U.K.)、Lancaster Synthesis (Windham NH)、Maybridge Chemical Co. Ltd. (Cornwall U.K.)、Parish Chemical Co. (Orem UT)、Pfaltz & Bauer,Inc. (Waterbury CN)、Polyorganix (Houston TX)、Pierce Chemical Co. (Rockford IL)、R&D systems,Inc. (Minneapolis MN)、Riedel de Haen AG (Hannover,Germany)、Spectrum Quality Product,Inc. (New Brunswick,NJ)、TCI America (Portland OR)、Trans World Chemicals,Inc. (Rockville MD)、Wako Chemicals USA,Inc. (Richmond VA)、Novabiochem and Argonaut Technologyが挙げられる。
【0247】
化合物はまた、当業者に既知の方法により作成可能である。本明細書で使用されるように、「当業者に既知の方法」は、様々な参考図書およびデータベースを経由して確認され得る。本発明の化合物の調製に役立つ反応物の合成を詳述する、あるいはその調製について記載した記事への言及を提供する、適切な参考文献および論文は、例えば次のものを含む:“Synthetic Organic Chemistry”, John Wiley & Sons, Inc. , New York;S. R. Sandler et al., “Organic Functional Group Preparations,” 2nd Ed., Academic Press, New York, 1983;H. O. House, “Modern Synthetic Reactions”, 2nd Ed., W. A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972;T. L. Gilchrist, “Heterocyclic Chemistry”, 2nd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1992;J. March, “Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure”, 4th Ed., Wiley-Interscience, New York, 1992。特定の反応物および類似の反応物も、Chemical Abstract Service of the American Chemical Societyによって調製される既知の化学物質の指数を介して確認することができ、これらは、オンラインデータベースを介するだけでなく、大半の公共および大学の図書館にて利用可能である(更なる詳細についてはthe American Chemical Society, Washington, D.C.に問い合わせされたい)。既知ではあるがカタログで市販されていない化学物質は、慣習化学合成室(custom chemical synthesis house)によって調製され得、そこでは、標準の化学合成室(例えば、上記に記載のもの)の多くは、慣習合成サービスを提供している。
【0248】
本明細書において使用されるように、最小血清条件は、血清の存在が減少した血清条件であり、例えば、約9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.25%、0.2%、0.1%、0.05%、またはそれ以下の血清が含まれる。いくつかの例において、最小血清条件は、9%~0%、5%~0.05%、5%~0.1%、5%~0.25%、4%~0.05%、4%~0.1%、4%~0.25%、3%~0.05%、3%~0.1%、3%~0.25%、2%~0.05%、2%~0.1%、2%~0.25%、または2%~0.5%の血清を含む。いくつかの例において、最小血清条件は、減少した血清培地、無タンパク質培地、化学的特定培地、または無血清培地を含む。場合によっては、減少した血清培地は、約1%~約5%の血清(例えばウシ胎仔血清)を含む。場合によっては、無タンパク質培地は、動物由来のあらゆるタンパク質または構成要素を含まないが、時折、植物水解物から得られたペプチドおよび/またはポリペプチドを含む。場合によっては、化学的特定培地は、組換え型タンパク質および/またはホルモン(例えば組換えアルブミンおよびインスリン、並びに化学的に定義された脂質)を含み、ウシ胎仔血清、ウシ血清アルブミン、またはヒト血清アルブミンを含まない。場合によっては、化学的特定培地は、タンパク質を含まない化学的特定培地であり、これは低分子量の成分を含み、時折、合成ペプチドおよび/またはホルモンを含む。場合によっては、化学的特定培地は、ペプチドを含まずタンパク質を含まない化学的特定培地である。場合によっては、無血清培地(または定義された培地)は、定義されていない動物由来の産物、例えば血清アルブミン、水解物、成長因子、ホルモン、担体タンパク質、および結合因子などを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される最小血清培地は、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.25%、0.2%、0.1%、または0.05%未満の血清を含む培地条件を指す。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される最小血清条件は、9%~0%、5%~0.05%、5%~0.1%、5%~0.25%、4%~0.05%、4%~0.1%、4%~0.25%、3%~0.05%、3%~0.1%、3%~0.25%、2%~0.05%、2%~0.1%、2%~0.25%、または2%~0.5%の血清を含む培地条件を指す。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される最小血清条件は、血清が減少した培地条件を指す。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される最小血清条件は、無タンパク質培地条件を指す。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される最小血清条件は、化学的特定培地条件を指す。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される最小血清条件は、無血清培地条件を指す。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される最小血清条件は、無血清の化学的特定培地条件を指す。
【実施例0249】
これら実施例は例示目的のためだけに提供され、本明細書に提供される請求の範囲を制限するものではない。
【0250】
実施例1-一般的な方法
プラスミドDNAスケールアップ
【0251】
各DNA発現構築物を、トランスフェクションに適切な量にスケールアップした。プラスミドDNAを、トランスフェクションに進む前に確認された品質評価および配列に対して、アガロースゲル上で実行した(run)。
【0252】
CHO細胞の一時的なトランスフェクション
【0253】
懸濁CHO細胞を振盪フラスコ中に蒔き、4mMのGlutaMAXを補足したCD OptiCHO培地を使用して拡張させた。トランスフェクションの当日、拡張された細胞を、新鮮な培地を伴う新しいフラスコに蒔いた。各DNA構築物を一時的に、CHO細胞へと、OC-400処理アセンブリを伴うMaxCyte STX Scalable Transfection Systemを使用してトランスフェクトした。細胞を、トランスフェクションの1日後に37℃から32℃に温度推移させて、産生が7日目に終わるまで、毎日3.4%のMaxCyteフィードを添加した流加培養物(batch-fed culture)として維持した。表2は、例示的なWnt3A変異体のトランスフェクションの詳細を例示する。
【0254】
【0255】
Hisタグ付きタンパク質のIMAC精製
【0256】
一時的な産生の実行からの調整培地を採取して、遠心分離および濾過により透明にした。上清をImmobilized Metal(ニッケル)Affinity ChromatographyIMAC)カラムに置き、結合緩衝液[例えば20mMのTris-HCl、500mMのNaCl、1%のCHAPS]により予め平衡化した。洗浄緩衝液[例えば20mMのTris-HCl、500mMのNaCl、1%のCHAPS]を、40mMのイミダゾールを含んだ状態で、OD280値(NanoDrop, Thermo Scientific)が0に近づくまでカラムに通した。標的タンパク質を、最大0.5Mに増大するイミダゾール濃度の直線濃度勾配により溶出した。溶出物を画分中に集めた。
【0257】
CE-SDS解析
【0258】
溶出された画分各々のCE-SDS解析を、LabChip GXII(Perkin Elmer)を使用して実行し、解析した。
【0259】
実施例2-Wnt3AポリペプチドのFrizzled-8融合タンパク質との共発現
Frizzled-8融合タンパク質(SEQ ID NO:5)は可用性タンパク質であり、これは、ポリ-Glyのリンカーを介してIgGlのFc領域に結合されるFrizzled-8の最初の151のアミノ酸残基を含むものである。いくつかの例において、Frizzled-8融合タンパク質のWnt3Aとの共発現は、Wnt3Aの発現を増大させ、Wnt3A凝集を減少させる。場合によっては、Wnt3A-Frizzled-8の複合体は、Wnt3Aを不活性化し、Wnt3Aを安定させる。複合体からのFrizzled-8融合タンパク質の除去はWnt3Aを再活性化する。
【0260】
図1は、外因性Frizzled-8融合タンパク質(Fz-151-Fc)の存在下、あるいは、共発現されたFrizzled-8融合タンパク質(Fz-151-Fc)の存在下でのWnt3A発現の比較研究を例示する。レーン2に例示されるように、Frizzled-8融合タンパク質と共発現されたWnt3Aの発現は、外因性Frizzled-8融合タンパク質の存在下で、Wnt3A発現に比べて約5倍増大した。レーン1は、外因性Frizzled-8融合タンパク質の存在下でのWnt3Aの発現を示す。
【0261】
図2は、Frizzled-8融合タンパク質(Fz-151-Fc)の共発現がWnt3A凝集を減少し、更にWnt3A単量体の量を増大させることを示す。Wnt3Aポリペプチドを安定した細胞株から産生した。
【0262】
図3は、本明細書に記載される4つの典型的な精製戦略を例示する。
【0263】
図4は、戦略1の精製の詳細を例示する。
図4Aは、戦略1の典型的な精製スキームを示す。
図4Bは、様々な画分の銀染色法を示す。条件は非還元条件である。
図4Cは、様々な画分のウエスタンブロット解析によりWnt3Aポリペプチドの存在および濃度を判定することを示す。
図4Dは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を例示する。
【0264】
図5は、戦略2の精製の詳細を例示する。
図5Aは、プロテインA画分のクマシー染色を例示する。
図5Bは、様々な画分の銀染色法を示す。
図5Cは、様々な画分のウエスタンブロット解析によりWnt3Aポリペプチドの存在および濃度を判定することを示す。
図5Dは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を例示する。
【0265】
図6は、戦略3の精製の詳細を例示する。
図6Aは、様々な画分の銀染色法を示す。
図6Bは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を例示する。
【0266】
図7は、戦略4の精製の詳細を例示する。
図7Aは、プロテインA画分のクマシー染色を例示する。
図7Bは、様々な画分の銀染色法を示す。
図7Cは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を例示する。
【0267】
実施例3-Wnt3Aポリペプチドのシャペロンとの共発現
Wntlessは、機能的で脂質修飾されたWntポリペプチドに結合する細胞内シャペロンであり、ポリペプチドのゴルジ体から細胞表面への輸送に必要とされる。
【0268】
図8は、Wnt3AポリペプチドのWntless(WLS)との共発現を例示する。
図8Aは、共発現されたWntlessの存在下でのWnt3A発現の増加を示す。
図8Bは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を示す。
図8Cは、安定した細胞株におけるWnt3Aの発現を示す。
【0269】
図9は、Wnt3AのAfaminとの共発現を例示する。いくつかの例において、Afaminの共発現はWnt3A濃度を約10%増大させる。
【0270】
実施例4-タグ付きWnt3Aポリペプチドの発現と産生
図10は、PA、FLAG、およびHisのタグそれぞれによりタグ付けされた3つの典型的なWnt3Aポリペプチドの発現および活性を例示する。
図10Aは、分泌されたタグ付きWnt3Aポリペプチドの濃度を例示する。
図10Bは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を示す。
【0271】
図11は、異なるHisタグ-リンカー構築物を含むWnt3A変異体(ΑΚΤ352
his変異体)の活気を示す。
【0272】
図12は、Ni-NTAカラムからのWnt3A変異体-ART352
hisの様々な画分の活性を示す。
【0273】
図13-15は、N末端タグ付きWnt3Aポリペプチドの発現および産生を示す。
図13-15に関する本明細書で使用されるWnt3Aポリペプチド構築物は次のとおりである:
【0274】
TT6093:PA-TEV-Wnt3A
【0275】
TT6094:FLAG-TEV-Wnt3A
【0276】
TT6095:His-TEV-Wnt3A
【0277】
TT6096:Wnt3A
【0278】
調整培地を7日目に採取した。
【0279】
図13A-
図13Cは、ELISAアッセイにおけるN末端タグ付きWnt3Aポリペプチドの濃度を例示する。
【0280】
図14は、FLAGタグ付きWnt3Aポリペプチド:FLAG-TEV-hWnt3Aの精製に対する精製スキームを例示する。CHO細胞を一時的に、40mLの調整培地(condition media)においてトランスフェクトした。CHAPSを、1%の最終濃度での調整培地に添加した。その後、その溶液を0.25mLのHM2-アガロースカラムに載せ、1X PBSの緩衝液および1%のCHAPS中に100μg/mLのFLAGペプチドを含む溶出緩衝液の5つのカラム容量により溶離させた。
【0281】
図15は、FLAGタグ付きWnt3Aポリペプチドの活性および濃度を示す。
図15A-
図15Cは、LSLアッセイにおけるWnt3Aポリペプチドの活性を示す。
図15D-
図15FはWnt3Aポリペプチドの濃度を示す。
【0282】
実施例5-2つの異なる培養容量におけるWnt3Aポリペプチドの精製
SEQ ID NO:2を含むWnt3Aを、0.75Lの培養物または10Lの培養物の何れかから精製した。調整培地を最初に、5mLのBlue Sepharoseカラム上に置き、その後、ヘパリンカラムを用いて精製した。
図16は、0.75Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性を示す。
図17は、10Lの培養物から培養されたWnt3Aの活性および濃度を示す。
【0283】
実施例6-典型的な糖界面活性剤OGPによるWnt3Aポリペプチドの精製
この実験において、典型的な糖界面活性剤OGPを、リポソームによるインキュベーション前に、Wntタンパク質に対する競合アンタゴニストと安定化剤の両方として利用した。OGPは、本明細書ではn-オクチル-β-D-グルコピラノシド、OG、C8Glc、オクチル-β-グルコシド、オクチル-β-グルコピラノシド、またはn-オクチル-p-D-グルコピラノシドとも称されており、ヒトFrizzled5受容体のシステインが豊富なドメイン(CRD)と相互に作用すると示された非イオン性界面活性剤である。この研究において、OGPは、Wntポリペプチド複合体の精製中に融合Frizzled8タンパク質とのWntの結合を排除し(out-compete)、同時に精製中にWntポリペプチドを安定させることができると示された。
【0284】
CHO細胞を操作して、典型的な先細りのWnt3Aポリペプチド、およびFcタグ付きCRDドメイン(hFZD8 CRD-Fc)を含む修飾されたヒトFrizzled8タンパク質を共発現した。分泌されたWnt3Aポリペプチドは、hFZD8 CRD-Fcとの可溶性複合体を形成する。活性は、LSL細胞ベースのアッセイに基づいて、複合体中のWnt3Aポリペプチドに対して検出されなかった(
図18)。
【0285】
精製スキームを
図19に例示する。簡潔に言えば、Wnt3Aポリペプチド-hFZD 8 CRD-Fcの複合体を、調整培地から採取して、第1のプロテインAカラム上に載せた。溶出緩衝液のpHは約4.0未満である。第1のプロテインAカラムからの溶出物を、約1%のOGPを含む緩衝液によりインキュベートした。その後、インキュベートされた溶出物をBlue Sepharoseカラム上に載せて、Wnt3AポリペプチドからhFZD 8 CRD-Fcを分離した。0.8-2MのNaClの線形勾配(更に約1%のOGPを含む溶出緩衝液における)を使用して、Wnt3Aポリペプチドを集めた。Wnt3Aポリペプチドを更に第2のプロテインAカラムにさらして、その後、混合モードカラムおよびサイズ排除クロマトグラフィーカラムを共に用いて、精製Wnt3Aポリペプチドを生成した。
【0286】
CHAPSを対照として使用した。
【0287】
図20A-
図20Bは、1%のCHAPSまたは1%のOGPの何れかによるWnt3A精製の典型的なゲル画像を示す。
図20Bに示されるように、CHAPSのOGPへの置換は、
図20Aに比べて、Wnt3A(ART352)-FZD複合体のより効率的な分離を可能とする。更に、OGPを含むことで、一旦FZDとの相互作用から放たれた場合にWnt3A(ART352)を安定させる。
【0288】
【0289】
図22は、混合モードカラムによる精製の典型的なゲル画像を例示する。Wnt3A溶出物の純度は約90%より大きかった。
【0290】
図23A-
図23Bは、1%のCHAPSまたは1%のOGPの何れかを含む緩衝液により精製されたWnt3Aポリペプチドを例示する。不純物は、1%のCHAPS(
図23A)を含む緩衝液により精製されたWnt3Aポリペプチドを含む溶液において、1%のOGP(
図23B)を含む緩衝液よりも多く観察された。
【0291】
図24A-
図24Bは、OGPがWNT3Aタンパク質を、2つの異なる温度、4℃(
図24A)および23℃(
図24B)においてCHAPSに比べて安定させることを例示する。
【0292】
図25は典型的なリポソームのWnt3A製剤プロセスを説明する。
【0293】
実施例7-2つの異なるWnt3A製造プロセスの比較
Wnt3Aおよび典型的なWnt3AポリペプチドART352に対する製造プロセスを比較した。表3は、それぞれのWnt3Aポリペプチドの製造の詳細を例示する。
【0294】
【0295】
表4は、L-Wnt3Aおよび典型的なリポソームWnt3AポリペプチドART352-Lの製造の詳細を示す。
【0296】
【0297】
表5は、2つのプロセスの効力および純度における差異を例示する。
【0298】
【0299】
実施例8-効力の判定
効力の計算
【0300】
ルシフェリンのオキシルシフェリンへの変換をルシフェラーゼ酵素によって行い、この反応により放たれたエネルギーのほぼ全てが、プレートリーダーにより検出される光の形をとる。ルシフェラーゼの発現がTCF/LEF結合部位の制御下にあるため、ルシフェラーゼの発現はWnt活性に比例する。
【0301】
4-パラメータ・ロジスティック曲線あてはめプログラム(4-parameter logistic curve-fitting program)を使用して、標準曲線を、μg/mLで表したART352(x)濃度に対して相対的な発光ユニット(RLU)によって生成する:
【0302】
ここで:x=独立変数、即ち投与量
【0303】
A=左漸近線
【0304】
B=湾曲勾配(curvature hill slope)
【0305】
C=有効な濃度であり、それにおいて薬物が最大の反応(EC50)(μg/mL)の2分の1をもたらす
【0306】
D=右漸近線
【0307】
対照およびサンプルに対する特異的な効力の割合を、以下の式を使用して算出する:
【0308】
【0309】
ここで:EC50=最大の有効な濃度の2分の1
【0310】
典型的なWnt3AポリペプチドART352およびリポソームWnt3AポリペプチドART352-Lの効力を、サンプルの読み出しと参照標準(以下の参照標準のセクションを参照)の読み出しとを比較することにより定めて、既知の濃度で試験する。0.003-1.6μg/mLの範囲における代表的な標準曲線を
図26に示す。
【0311】
WNT3A/L-WNT3AおよびART352/ART352-Lに対する効力の結果を表6において比較する。
【0312】
【0313】
GMPプロセスの仕上げ前の製造プロセスの進行中に、ART352-Lの第1の50Lバッチを、第2の50Lバッチと比較して最適以下のプロセスを使用して製造した。結果として、第1のバッチのART352およびART352-Lは、第2のバッチから精製されたART352およびART352-Lから生じる対応する結果に比べて低い効力を示した。これらのデータは、LSLアッセイが効力における有意なバッチ間の差異を検出するのに適切に敏感であったことを示した。
【0314】
実施例9-自家移植片の処置および取り扱いのプロセス進行
自家移植片における細胞生存率に対する溶液条件および温度の効果
【0315】
自家移植片を腸骨稜から採取した。アポトーシスに対するベースラインを確立するために、自家移植片の部分集合を直ちに、TUNEL染色のために処理した(白色バー、
図27)。これは、0のエクスビボ時点を表わした。
【0316】
残りの自家移植片を、生理食塩水、またはART352-Lを含有する生理食塩水(有効な濃度=0.5ng/μL)に入れた。自家移植片を、エクスビボ保持の最大持続時間、例えば2時間にわたりインキュベートし、且つ最高温度、例えば37℃を利用した。細胞生存率およびアポトーシスを、Allen et al, “Morphological and biochemical characterization and analysis of apoptosis,” J Pharmacol Toxicol Methods 37(4):215-228 (1997);およびKapuscinski, J. “Dapi: A DNA-specific fluorescent probe,” Biotechnic & histochemistry: official publication of the Biological Stain Commission. 70(5):220-233 (1995)にそれぞれ記載されるようなTUNELおよびDAPIを使用して定量化した。これらの試験は以下を示す:
【0317】
-対照自家移植片とゼロ時点にて比較して、生理食塩水中に37℃で2時間保持された自家移植片は、著しく多くの死細胞を示した(
図27)。
【0318】
-生理食塩水中に37℃で2時間保持された自家移植片におけるアポトーシスの程度と比較して、ART352-Lにより処置した自家移植片は、同じ条件下で保持され、著しく少ない死細胞を示した(
図27)。
【0319】
採取して直ちに分析された自家移植片(例えば、ゼロ時点サンプル)を、TUNELのための陰性対照として使用した。残りの自家移植片を採取して、その後、生理食塩水中に4℃、23℃、または37℃で、5分間、または60分間入れた。細胞生存率の定量化を、トリパンブルー色素排除により行った(
図28)。23℃で保持されたサンプルをTUNELのための陽性対照として使用した。自家移植片を生理食塩水に入れた。これらのデータは以下を示す:
【0320】
-採取の時点での細胞生存率は、ゼロ時点、即ちベースライン条件を表した(白色バー、
図28)。
【0321】
-自家移植片を4℃で5分間保持することで、ゼロ時点で観察された壊死の量は24%増大する(
図28)。
【0322】
-自家移植片を23℃で保持することで、ゼロ時点で観察された壊死細胞の数がおよそ2倍になる(
図28)。23℃の保持温度も、4℃の保持温度と比較して壊死細胞の数を大幅に増大させる(
図28)。
【0323】
-自家移植片を37℃で保持することで、ゼロ時点で観察された壊死細胞の数がおよそ3倍になる(
図28)。37℃の保持温度も、4℃の保持温度と比較して壊死細胞の数を大幅に増大させる(
図28)。
【0324】
エンドサイトーシスによる栄養摂取に対する時間、温度、および溶液条件の併用効果
【0325】
エンドサイトーシスによる栄養摂取をモニタリングおよび定量化するために、自家移植片を採取し、骨髄間質細胞(BMSC)を、標準プロトコルを使用して単離した。試験前に、BMSCを培地から取り除き、洗浄し、その後、ART352-L(0.8ng/μL)により処置した。リポソームに脂肪好性蛍光染料、DiIをタグ付けし、それらの分布を追跡した。
【0326】
その後、ART352-Lにより処置されたBMSCを、23℃または37℃のいずれかで、15-120分間、例えばエクスビボインキュベーション工程の提唱された期間にわたり保持した。これらのデータは以下を実証する:
【0327】
-蛍光標識されたリポソーム、即ちART352-Lの摂取は時間に応じて増大する(
図29)。
【0328】
-蛍光標識されたリポソームの摂取の速度は温度に応じて増大する;例えば、23℃での線の勾配=1142.3、および37℃での線の勾配=2792.9(
図29)。
【0329】
これらのデータは、エクスビボ保持期間の意図した持続時間にわたり、37℃でのインキュベーションが、エンドサイトーシスによる栄養摂取を23℃のインキュベーション温度よりも優れて支持することを示唆している。次の実験は、薬物製品ART352-Lが、インキュベーション温度が37℃に設定された場合にエクスビボ保持期間の意図した持続時間にわたり安定したかどうかを試験した。
【0330】
時間および温度に応じたリポソームWnt3aポリペプチドART352-Lの安定性
【0331】
ART352-Lの安定性の評価を、37℃で、エクスビボインキュベーション工程の関連時間経過、例えば15分~2時間にわたり行った。4℃でのART352-Lの安定性を陽性対照として使用した。安定性評価からの結果は、非GLP ART352-Lにより実施された安定性試験からの回帰分析によって判定されるように、ART352-Lが、4℃で2時間維持された場合に、活性における検出可能な変化を示さなかったことを示している(
図30)。
【0332】
ART352-Lは、37℃で2時間維持された場合に活性において4.9%の変化を示す(
図30)。それ故、エクスビボインキュベーション工程の意図した持続時間、例えば15分~2時間にわたり、ART352-Lは、活性の損失が最小であったことを示す。これらのデータは、37℃の保持温度が使用される自家移植片取り扱い手順の進行を支援する。
【0333】
エンドサイトーシスによるインキュベーション溶液からの活性ART352-L除去の速度を評価する試験
【0334】
ART352-Lを自家移植片中の細胞により形質膜陥入し、結果として、ART352-L活性はインキュベーション溶液からなくなった。エクスビボインキュベーション溶液からのART352-Lの濃度の低下の速度を、時間および温度に応じてモニタリングした。
【0335】
自家移植片のアリコートを、ART352-Lにおいて、示された温度で、示された時間にわたりインキュベートした。期間の終わりに、自家移植片のアリコートをインキュベーション溶液から取り除き、LSLアッセイを使用して、インキュベーション溶液に残る活性ART352-Lを検出した。
【0336】
骨移植片が含まれていない場合、初期のART352-L活性の100%がインキュベーション溶液に留まる(
図31)。自家移植片がインキュベーション溶液に含まれる場合、4℃で15分のインキュベーション後、初期のART352-L活性の大部分(68%)がインキュベーション溶液に留まる(
図31)。23℃で15分のインキュベーション後、初期のART352-L活性の56%がインキュベーション溶液に留まる(
図31)。
【0337】
37℃の意図した標的温度で15分のインキュベーション後、初期のART352-L活性の24%がインキュベーション溶液に留まる(
図31)。30分間のインキュベーション後、元のART352-L活性の6%が留まる(
図31)。60分後、インキュベーション溶液に留まる活性ART352-Lの量は2%である(
図31)。
【0338】
ART352-Lにより処置した自家移植片の評価
【0339】
LSL細胞ベースのアッセイを利用して、残存する遊離した活性ART352-LがART352-Lにより処置した自家移植片に関連付けられるかどうかを検出した。陽性対照および陰性対照をこの一連の実験に使用した。陰性対照は、空の発現ベクターを運ぶCHO-K1株で構成される(
図32)。陽性対照は、ART352発現ベクターを運ぶ同じCHO-K1株で構成される(
図32)。CHO-K1の空のベクター細胞において検出されたWnt活性のレベルを、ベースラインとして確立した(
図32)。
【0340】
自家移植片を成体ラットから採取し、ART352-Lにより処置し(有効な濃度=0.86μg/mL)、その後、15分間、30分間、または60分間、4℃(青色バー)、23℃(緑色バー)、または37℃でインキュベートした(
図32)。示されたエクスビボ保持期間の後、ART352-L自家移植片をLSL細胞上に配して、18時間インキュベートし、その後、ルシフェラーゼ発現レベルを定量化した。
【0341】
図32に示されるように、残存する遊離した活性ART352-Lは、あらゆるART352-Lにより処置した自家移植片に関連付けられるとは見出されなかった。
【0342】
インキュベーション溶液からの活性ART352-Lの時間依存的および温度依存的な除去、および自家移植片由来の細胞によるエンドサイトーシス取込み
【0343】
2つの定量分析を実行して、インキュベーション溶液からの残りの遊離した活性のART532-Lの除去の速度を評価し、且つ、自家移植片中の細胞によりART352-Lエンドサイトーシスの速度を評価した。
【0344】
-インキュベーション溶液からの遊離した活性のART352-Lの除去を測定するために、自家移植片を採取し、ART352-L(有効な濃度=0.86ng/μL)を含むインキュベーション溶液中に直ちに入れた。インキュベーション溶液中の自家移植片を23℃または37℃の何れかにおいて保持した。15分、30分、および60分後、様々なインキュベーション溶液のアリコートを除去し、LSLアッセイを使用してART352-L活性に対して試験した。
【0345】
-自家移植片中の細胞によりART352-Lエンドサイトーシスの速度を評価するために、自家移植片を採取し、BMSCを標準処置後に単離した。細胞数を標準化し、その後ウェルを、蛍光脂肪好性染料であるDiIでタグ付けしたART352-Lにより処置した。細胞を23℃または37℃の何れかにおいて保持した。15分、30分、60分、および120分後、細胞は小球状になり、PBS中で懸濁させ、その後、プレートリーダーを使用して蛍光シグナルを定量化した。
【0346】
これらデータは、インキュベーション溶液からのART352-Lの、自家移植片の細胞への移動が、時間と温度に応じることを実証した(
図33)。
【0347】
実施例10
以下の表7は、本出願に開示された配列を例示する。
【0348】
【0349】
【0350】
【0351】
【0352】
【0353】
本開示の好ましい実施形態が本明細書で示され記載されてきたが、こうした実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないということは当業者にとって明白である。多数の変形、変更、および置き換えは、本開示から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、これら特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造は、それにより包含されることが、意図されている。