IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

特開2024-120180ソフトウェア更新装置、ソフトウェアの更新方法及びソフトウェア更新処理プログラム
<>
  • 特開-ソフトウェア更新装置、ソフトウェアの更新方法及びソフトウェア更新処理プログラム 図1
  • 特開-ソフトウェア更新装置、ソフトウェアの更新方法及びソフトウェア更新処理プログラム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120180
(43)【公開日】2024-09-04
(54)【発明の名称】ソフトウェア更新装置、ソフトウェアの更新方法及びソフトウェア更新処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240828BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240828BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
H02J7/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085577
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2022507925の分割
【原出願日】2020-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】静 仁盛
(72)【発明者】
【氏名】大橋 栄介
(72)【発明者】
【氏名】茂木 誠幸
(72)【発明者】
【氏名】林 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 光彦
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子制御ユニット(ECU)に悪影響を及ぼすことなくECUのソフトウェアを更新可能なソフトウェア更新装置、ソフトウェアの更新方法及びソフトウェア更新処理プログラムを提供する。
【解決手段】ソフトウェア更新システムにおいて、車両1に搭載されるソフトウェア更新装置110は、外部サーバからソフトウェアを取得し、当該ソフトウェアを車両1に搭載された各機器に適用することで各機器を制御するコントローラ10と、充電可能であり、コントローラに電力を供給する車載バッテリ3と、を備える。コントローラは、車載バッテリが充電中でないときに、車載バッテリから供給される電力を用いてソフトウェアの更新処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された機器を動作させるソフトウェアの更新処理を実行するソフトウェア更新装置であって、
前記ソフトウェアを取得し、当該ソフトウェアを前記機器に適用することで前記機器を制御するコントローラと、
充電可能であり、前記コントローラに電力を供給する車載バッテリと、
を備え、
前記コントローラは、前記車載バッテリが充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新処理を実行する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項2】
請求項1に記載のソフトウェア更新装置であって、
前記車載バッテリは外部電源により充電可能であり、
前記コントローラは、前記車載バッテリが少なくとも前記外部電源による充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新処理を実行する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のソフトウェア更新装置であって、
前記車載バッテリは前記車両の内燃機関により充電可能であり、
前記コントローラは、前記車載バッテリが少なくとも前記内燃機関による充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新処理を実行する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のソフトウェア更新装置であって、
前記コントローラは、
取得した第1のソフトウェアを記憶する第1記憶部と、
取得した第2のソフトウェアを記憶する第2記憶部と、を有し、
前記機器に適用するソフトウェアを前記第1のソフトウェアから前記第2のソフトウェアに変更することで前記ソフトウェアの更新処理を実行し、
前記ソフトウェアの更新処理を実行する前に、前記車載バッテリの充電を禁止する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のソフトウェア更新装置であって、
前記車載バッテリの蓄電量を取得する取得部をさらに備え、
前記コントローラは、前記取得部により取得された前記車載バッテリの蓄電量が所定の値よりも少ない場合に、前記ソフトウェアの更新処理を禁止する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のソフトウェア更新装置であって、
電気自動車に搭載される、
ソフトウェア更新装置。
【請求項7】
車両に搭載された機器を動作させるソフトウェアの更新方法であって、
前記ソフトウェアを取得し、当該ソフトウェアを前記機器に適用し、
充電可能な車載バッテリが充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新を行う、
ソフトウェアの更新方法。
【請求項8】
車両に搭載された機器を動作させるソフトウェアの更新処理を実現するためのソフトウェア更新処理プログラムであって、
前記ソフトウェアを取得し、当該ソフトウェアを前記機器に適用することと、
充電可能な車載バッテリが充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新を行うことと、
をコントローラに実現させるためのソフトウェア更新処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア更新装置、ソフトウェアの更新方法及びソフトウェア更新処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
JP2017-027549Aには、無線通信にて受信した更新プログラムにより車載機器のソフトウェアを更新するソフトウェア更新装置が開示されている。このソフトウェア更新装置では、更新対象となる車載機器に車載バッテリから電力を供給して更新処理を行っている。
【発明の概要】
【0003】
ところで外部電源や内燃機関等により車載バッテリを充電する際、その充電圧は、車載機器を制御するECU(Electronic Control Unit)のソフトウェアを更新する際に用いられる電圧に比べて高い。そのため、車載バッテリを充電しながら、車載バッテリからの給電によりソフトウェアの更新を実行すると、高電圧の充電電圧がECUに印加されてしまい、ECUに悪影響を及ぼす虞がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、ECUに悪影響を及ぼすことなくECUのソフトウェアを更新可能なソフトウェア更新装置、ソフトウェアの更新方法及びソフトウェア更新処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、車両に搭載された機器を動作させるソフトウェアの更新処理を実行するソフトウェア更新装置が提供される。このソフトウェア更新装置は、ソフトウェアを取得し、当該ソフトウェアを機器に適用することで機器を制御するコントローラと、充電可能であり、コントローラに電力を供給する車載バッテリとを備える。コントローラは、車載バッテリが充電中でないときに、車載バッテリから供給される電力を用いてソフトウェアの更新処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るソフトウェア更新システムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るソフトウェア更新制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
本発明の一実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るソフトウェア更新システム100及びソフトウェア更新装置110の概略構成図である。
【0009】
図1に示すように、ソフトウェア更新システム100は、車両1に搭載されるソフトウェア更新装置110と、外部サーバ2とから構成され、ソフトウェア更新装置110は、コントローラ10と、バッテリ(車載バッテリ)3と、取得部4とから構成される。車両1は、例えば電気自動車(EV)である。
【0010】
コントローラ10は、外部サーバ2からソフトウェアを取得するゲートウェイ11と、車両1に搭載された各機器を制御する電子制御ユニット(ECU)12とを含む。
【0011】
ゲートウェイ11は、外部サーバ2及び電子制御ユニット12と通信可能であり、外部サーバ2から更新用のソフトウェアを取得し、取得した当該更新用ソフトウェアを更新対象の電子制御ユニット12に送信する。また、ゲートウェイ11は、電子制御ユニット12から各機器の制御情報を取得し、後述する取得部4からバッテリ3の蓄電量(SOC)の状態を取得する。
【0012】
ゲートウェイ11は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RΑM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたコンピュータで構成され、ソフトウェア更新装置110の統合的な制御を行う。ゲートウェイ11は、特定のプログラムを実行することにより、ソフトウェア更新装置110の制御のための処理を実行する。ゲートウェイ11は、例えば電子制御ユニット12とともに後述するソフトウェア更新制御を行う。
【0013】
電子制御ユニット12は、車両1に搭載された各機器を制御するコントローラであり、例えばBCM(Body Control Module)、VDC(Vehicle Dynamics Control)、HEVC(Hybrid Electric Vehicle Control)等である。各電子制御ユニット12は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RΑM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたコンピュータで構成される。BCMは、車両1のエンジンスタータやドアロック等を含む車両1の車体の動作要素を制御する。VDCは、車両1のブレーキやエンジンの出力を制御し、車両1の姿勢を制御することで、車両1の横滑り等を防止する。HEVCは、車両1がハイブリッド車両である場合、駆動源であるエンジンとモータを制御し、高効率な運転を実現する。
【0014】
電子制御ユニット12は、ゲートウェイ11と通信可能であり、各機器の制御情報を信号として常時ゲートウェイ11に送信する。各電子制御ユニット12は、ゲートウェイ11から特定のプログラムを含むソフトウェアを取得し、取得したソフトウェアを制御対象の機器に適用することで対象機器を制御する。また、電子制御ユニット12は、ゲートウェイ11とともに後述するソフトウェア更新制御を行う。
【0015】
また、各電子制御ユニット12は、それぞれゲートウェイ11から取得したソフトウェアを記憶する2つの記憶部121,122を備えている。電子制御ユニット12は、一方の記憶部(第1記憶部)121に記憶されたソフトウェアを機器に適用する。また、電子制御ユニット12は、機器に適用するソフトウェアを他方の記憶部(第2記憶部)122に記憶されたソフトウェアに変更することで、ソフトウェアの更新を行う。なお、ソフトウェアの更新処理の詳細については後述する。
【0016】
バッテリ3は、ゲートウェイ11及び各電子制御ユニット12に接続されている。バッテリ3は、ゲートウェイ11及び各電子制御ユニット12に電力を供給する電源であるとともに、外部電源に接続することで充電可能である。また、バッテリ3は、車両1の内燃機関等(図示しない)によっても充電可能である。
【0017】
取得部4は、バッテリ3の蓄電量(SOC)を検出(取得)するセンサ等である。取得部4により検出されたバッテリ3の蓄電量は、信号としてゲートウェイ11に送信される。
【0018】
次に、ソフトウェアの更新処理について説明する。
【0019】
前述のとおり、各電子制御ユニット12は、それぞれ2つの記憶部121,122を備えている。電子制御ユニット12がゲートウェイ11から送信されたソフトウェア(第1のソフトウェア)を取得すると、当該ソフトウェアは一方の記憶部(第1記憶部)121に記憶され、電子制御ユニット12は当該ソフトウェアを機器に適用する。なお、第1のソフトウェアは、ゲートウェイ11から取得するのではなく、初期状態において既に第1記憶部121に記憶させておいてもよい。
【0020】
次に、電子制御ユニット12がゲートウェイ11から送信された更新用のソフトウェア(第2のソフトウェア)を取得すると、当該更新用のソフトウェアは他方の記憶部(第2記憶部)122に記憶される。電子制御ユニット12が第2のソフトウェアを取得及び記憶している間も、機器には第1のソフトウェアが適用される。
【0021】
このように、各電子制御ユニット12にそれぞれ2つの記憶部121,122を設けることで、電子制御ユニット12は、第1のソフトウェアを機器に適用した状態で、更新用のソフトウェアを取得(ダウンロード)及び記憶(インストール)することができる。即ち、制御対象機器の動作を停止させずに更新用のソフトウェアを取得及び記憶することができる。
【0022】
更新用のソフトウェア(第2のソフトウェア)を取得及び記憶すると、電子制御ユニット12は、機器に適用するソフトウェアを第1のソフトウェアから第2のソフトウェアに変更する。これにより、機器に適用されるソフトウェアが更新される。以下、機器に適用するソフトウェアを第1のソフトウェアから第2のソフトウェアに変更する処理をソフトウェアの更新処理(アクティベーション)と称する。
【0023】
ところで、バッテリ3を充電する際、その充電圧は、電子制御ユニット12のソフトウェア更新処理の際に用いられる電圧に比べて高い。そのため、バッテリ3を充電しながら、バッテリ3からの給電によりソフトウェアの更新処理を実行すると、高電圧の充電電圧がECU等の電子制御ユニット12に印加されてしまい、電子制御ユニット12に悪影響を及ぼす虞がある。特に車両1が電気自動車である場合、通常は電気自動車以外の車両に比べバッテリ3の容量が大きく、充電電圧も大きい。従って、バッテリ3を充電する為に大容量の外部電源を繋いだ状態でソフトウェアの更新処理を実行すると、車両1内や車両1近くの者に危険が発生する可能性もある。そこで本実施形態では、バッテリ3が充電中でないときに、バッテリ3から供給される電力を用いてソフトウェアの更新処理を実行する。
【0024】
具体的には、ゲートウェイ11は、車両1のバッテリ3が充電中でない場合にソフトウェアの更新処理を実行し、ソフトウェアの更新処理中は、バッテリ3の充電を禁止する。
【0025】
このように、車両1のバッテリ3が充電中でない場合にソフトウェアの更新処理が実行されるので、アクティベーション中に高電圧の充電電圧が電子制御ユニット(ECU)12に印加されることを防止できる。即ち、ECUに悪影響を及ぼすことなくソフトウェアの更新処理を実行することができる。
【0026】
また、ソフトウェアの更新処理に用いられる電力は、他の機器を作動させる場合に用いられる電力に比べてごく小さいため、ソフトウェア更新処理の実行時にバッテリ3を充電しなくても、バッテリ上がりが生じる虞はほとんどない。特に車両1が電気自動車である場合、通常は電気自動車以外の車両に比べバッテリ3の容量が大きいため、ソフトウェア更新処理によるバッテリ上がりの虞は極めて少ない。
【0027】
なお、例えばソフトウェアの更新処理を実行するとバッテリ3のSOCがほぼゼロに近い値になるような場合には、ゲートウェイ11は、ソフトウェアの更新処理を禁止する。このような場合は、ソフトウェア更新処理の実行によるバッテリ上がりの虞があるため、ソフトウェアの更新処理を行う前にバッテリ3の充電を行う必要がある。従って、ゲートウェイ11は、ソフトウェアの更新処理を禁止し、例えば表示装置等により、バッテリ3の充電が必要であることをドライバに報知する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係るソフトウェア更新制御を説明するフローチャートである。なお、以下の制御はいずれもコントローラ10(ゲートウェイ11、電子制御ユニット12)により実行される。また、初期状態において電子制御ユニット12の第1記憶部121には第1のソフトウェアが記憶されており、第1のソフトウェアが制御対象機器に適用されているものとする。
【0029】
ステップS101において、ゲートウェイ(GW)11は、外部サーバ2から更新用のソフトウェア(第2のソフトウェア)を取得すると、当該更新用ソフトウェアを更新対象の電子制御ユニット12に送信する。
【0030】
ステップS102において、電子制御ユニット12は、ゲートウェイ11から更新用のソフトウェア(第2のソフトウェア)を取得(ダウンロード)する。
【0031】
次に、ステップS103において、電子制御ユニット12は、更新用のソフトウェア(第2のソフトウェア)を第2記憶部122に記憶(インストール)する。このステップS102及びS103における第2ソフトウェアの取得及び記憶中も、電子制御ユニット12の制御対象機器には第1のソフトウェアが適用されているため、電子制御ユニット12の制御対象機器は停止されない。
【0032】
ステップS104において、ゲートウェイ11は、取得部4により検出されたバッテリ3のSOCの値を取得し、バッテリ3のSOCが所定の値(閾値)以上であるかを判断する。ここで言う所定の値とは、例えばソフトウェアの更新処理を実行するとバッテリ3のSOCがほぼゼロに近い値になるような値である。バッテリ3のSOCが所定の値(閾値)以上である場合、ゲートウェイ11は、ステップS105の処理を実行する。一方、バッテリ3のSOCが所定の値よりも少ない場合、ゲートウェイ11は、ステップS114の処理を実行する。
【0033】
バッテリ3のSOCが所定の値よりも少ない場合、ステップS114においてゲートウェイ11は、ソフトウェアの更新処理を禁止する。好ましくは、ゲートウェイ11は、例えば表示装置等により、バッテリ3の充電が必要であることをドライバに報知する。ゲートウェイ11がソフトウェアの更新処理を禁止すると、ステップS104の処理に戻る。バッテリ3が充電され、バッテリ3のSOCが所定の値以上になると、ゲートウェイ11は、ステップS105の処理を実行する。
【0034】
ステップS104において、バッテリ3のSOCが所定の値以上である場合、ステップS105において、ゲートウェイ11は、バッテリ3が充電中でないかを判断する。充電中か否かの判断は、例えば、電子制御ユニット12からの各機器の制御情報及び取得部4により検出されたバッテリ3のSOCに基づいて行う。バッテリ3が充電中ではない場合、ゲートウェイ11は、ステップS106の処理を実行する。一方、バッテリ3が充電中である場合、ゲートウェイ11は、ステップS115の処理を実行する。
【0035】
バッテリ3が充電中である場合、ステップS115において、ゲートウェイ11は、ソフトウェアの更新処理を禁止し、ステップS105の処理に戻る。バッテリ3の充電が停止されると、ゲートウェイ11は、ステップS106の処理を実行する。
【0036】
ステップS105において、バッテリ3が充電中でない場合、ステップS106において、ゲートウェイ11は、バッテリ3の充電を禁止する。
【0037】
ステップS107において、ゲートウェイ11は、ソフトウェアの更新処理に必要な電力をバッテリ3から電子制御ユニット12に供給し、電子制御ユニット12は、バッテリ3から供給される電力を用いてソフトウェアの更新処理を実行する。具体的には、電子制御ユニット12は、制御対象の機器に適用するソフトウェアを、第1のソフトウェアから第2のソフトウェアに変更する。これにより、機器に適用されるソフトウェアが、第1のソフトウェアから第2のソフトウェアに更新される。なお、好ましくは、ソフトウェアの更新処理中は、表示装置等により更新処理中であることをドライバに報知する。
【0038】
ソフトウェアの更新が完了すると、ステップS108においてゲートウェイ11は、バッテリ3の充電禁止を解除し、ソフトウェア更新制御を終了する。
【0039】
このように、バッテリ3が充電中でないときに、バッテリ3から供給される電力を用いてソフトウェアの更新処理を実行するため、更新処理中に高電圧の充電電圧が電子制御ユニット12に印加されることを防止できる。また、ソフトウェアの更新処理前にバッテリ3の充電を禁止するため、更新処理中に高電圧の充電電圧が電子制御ユニット12に印加されることをより確実に防止できる。
【0040】
また、電子制御ユニット12は、2つの記憶部121,122を有しているため、第1記憶部121に記憶された第1のソフトウェアを機器に適用した状態で更新用のソフトウェア(第2のソフトウェア)を取得及び記憶することができる。従って、更新用ソフトウェアの取得及び記憶中は更新対象の電子制御ユニット12が制御する機器は停止されない。即ち、更新用ソフトウェアの取得及び記憶中はバッテリ(車載バッテリ)3の充電は禁止されず、ソフトウェアの更新処理中のみバッテリ(車載バッテリ)3の充電が禁止される。このため、更新対象の電子制御ユニット12が制御する機器を停止して更新用ソフトウェアの取得及び記憶する場合に比べ、バッテリ(車載バッテリ)3の充電禁止時間を短縮できる。
【0041】
なお、充電電圧が電子制御ユニット12に印加されることをより確実に防止する為、ソフトウェアの更新処理前にバッテリ3の充電を禁止することが好ましいが、必ずしもこれに限られない。特に本実施形態におけるソフトウェア更新処理には更新ソフトウェアの取得及び記憶が含まれないため、ソフトウェア更新処理は短時間のうちに完了する。従って、バッテリ3が充電中でないときにソフトウェアの更新処理を開始すれば、敢えてバッテリ3の充電を禁止する処理を行わなくてもよい。即ち、ステップS106とステップS108の処理は省略してもよい。
【0042】
また、ソフトウェアの更新処理によるバッテリ上がりを確実に防止する為、SOCが所定の値よりも少ない場合には、ソフトウェアの更新処理を禁止することが好ましいが、SOCに基づくソフトウェアの更新処理の禁止は必須のものではない。通常、バッテリ3のSOCがゼロになる前にバッテリ3は充電され、且つソフトウェアの更新処理に用いられる電力は他の機器を作動させる場合に用いられる電力に比べてごく小さい。従って、SOCに基づくソフトウェア更新処理の禁止についての処理を省略しても、ソフトウェアの更新処理によりバッテリ上がりが生じる虞はほとんどない。即ち、ステップS104及びS114の処理は省略してもよい。
【0043】
ソフトウェア更新処理が完了した後、次回さらにソフトウェアが更新される際には、ゲートウェイ11から電子制御ユニット12に送信された更新用ソフトウェアは第1記憶部121に記憶(上書き)される。機器に適用するソフトウェアを第2記憶部122に記憶された第2ソフトウェアから第1記憶部121に記憶された当該更新用ソフトウェアに変更することで、ソフトウェアの再更新が実行される。
【0044】
なお、図2に示した処理は、コンピュータであるコントローラ10に実行させるためのプログラムとして構成されており、これらプログラムは記憶媒体に記載されている。
【0045】
上記した実施形態のソフトウェア更新装置110によれば、以下の効果を得ることができる。
【0046】
ソフトウェア更新装置110においては、電子制御ユニット12(コントローラ10)は、バッテリ(車載バッテリ)3が充電中でないときに、バッテリ(車載バッテリ)3から供給される電力を用いてソフトウェアの更新処理を実行する。バッテリ(車載バッテリ)3が充電中でないときにソフトウェアの更新処理を実行するため、アクティベーション中に高電圧の充電電圧が電子制御ユニット(ECU)12に印加されることを防止できる。即ち、ECUに悪影響を及ぼすことなくソフトウェアの更新処理を実行することができる。
【0047】
ソフトウェア更新装置110においては、バッテリ(車載バッテリ)3が外部電源による充電中でないときに、バッテリ(車載バッテリ)3から供給される電力を用いてソフトウェアの更新処理を実行する。バッテリ3を充電する為に大容量の外部電源を繋いだ状態でソフトウェアの更新処理を実行すると、車両1内や車両1近くの者に危険が発生する可能性がある。一方、本実施形態のソフトウェア更新装置110では、外部電源による充電中でないときに、ソフトウェアの更新処理を実行するため、車両1内や車両1近くの者に危険が発生することを防止できる。
【0048】
ソフトウェア更新装置110においては、バッテリ(車載バッテリ)3が車両1の内燃機関による充電中でないときに、バッテリ(車載バッテリ)3から供給される電力を用いてソフトウェアの更新処理を実行する。バッテリ(車載バッテリ)3が内燃機関による充電中でないときにソフトウェアの更新処理を実行するため、アクティベーション中に高電圧の充電電圧が電子制御ユニット(ECU)12に印加されることを防止できる。即ち、ECUに悪影響を及ぼすことなくソフトウェアの更新処理を実行することができる。
【0049】
ソフトウェア更新装置110においては、ソフトウェアの更新処理を実行する前に、バッテリ(車載バッテリ)3の充電を禁止する。このため、ソフトウェア更新処理中に高電圧の充電電圧が電子制御ユニット12に印加されることをより確実に防止できる。
【0050】
また、電子制御ユニット12(コントローラ10)は、第1のソフトウェアを記憶する第1記憶部121と、第2のソフトウェアを記憶する第2記憶部122とを有している。このため、第1記憶部121に記憶された第1のソフトウェアを機器に適用した状態で更新用のソフトウェア(第2のソフトウェア)を取得し、第2記憶部122に記憶することができる。従って、更新用ソフトウェアの取得及び記憶中は更新対象の電子制御ユニット12が制御する機器は停止されない。即ち、更新用ソフトウェアの取得及び記憶中はバッテリ(車載バッテリ)3の充電は禁止されず、ソフトウェアの更新処理中のみバッテリ(車載バッテリ)3の充電が禁止される。このため、更新対象の電子制御ユニット12が制御する機器を停止して更新用ソフトウェアの取得及び記憶する場合に比べ、バッテリ(車載バッテリ)3の充電禁止時間を短縮でき、ソフトウェア更新作業時の利便性が向上される。
【0051】
ソフトウェア更新装置110においては、ゲートウェイ11(コントローラ10)は、取得部4により取得されたバッテリ(車載バッテリ)3の蓄電量(SOC)が所定の値よりも少ない場合に、ソフトウェアの更新処理を禁止する。これにより、ソフトウェア更新処理を実行することによってバッテリ3の蓄電量が不足し、バッテリ3が上がってしまうことを確実に防止できる。
【0052】
なお、本実施形態では、電子制御ユニット12をBCM、VDC、HEVCとしたが、車両1に搭載された機器を制御するものであれば電子制御ユニット12の種類はこれらに限られず、個数もこれに限られない。
【0053】
また、本実施形態のソフトウェア更新処理を含むソフトウェア更新制御は、いくつか複数の電子制御ユニット12に対して同時に実行されてもよく、また各電子制御ユニット12ごとに、異なる時間に実行されてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、ソフトウェア更新装置110の統合的な制御をゲートウェイ11が実行し、車両1に搭載された各機器の制御を電子制御ユニット12が実行する構成にしたが、各制御の主体はゲートウェイ11と電子制御ユニット12のどちらであってもよい。例えば、機器に適用するソフトウェアの変更(ソフトウェアの更新処理)を、電子制御ユニット12ではなくゲートウェイ11が実行してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、電子制御ユニット12が2つの記憶部121,122を有する構成としたが、必ずしもこれに限られない。前述のとおり、バッテリ3の充電禁止時間を短縮できるため、電子制御ユニット12は2つの記憶部121,122を有することが好ましいが、電子制御ユニット12が1つの記憶部のみを有する構成にしてもよい。この場合、当該記憶部に記憶されていたソフトウェアに対し、更新用ソフトウェアを上書きすることでソフトウェの更新処理を行う。従って、電子制御ユニット12が更新用ソフトウェアを取得(ダウンロード)、記憶(インストール)している間も電子制御ユニット12の制御対象機器が停止されるため、バッテリ3が充電中でない時に電子制御ユニット12が更新用ソフトウェアを取得する。また、好ましくは、電子制御ユニット12が更新用ソフトウェアを取得(ダウンロード)、記憶(インストール)している間、バッテリ3の充電を禁止する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された機器を動作させるソフトウェアの更新処理を実行するソフトウェア更新装置であって、
前記ソフトウェアを取得し、当該ソフトウェアを前記機器に適用することで前記機器を制御するコントローラと、
充電可能であり、前記コントローラに電力を供給する車載バッテリと、
前記車載バッテリの蓄電量を取得する取得部と、
を備え、
前記コントローラは、前記車載バッテリが充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新処理を実行
更新ソフトウェアの取得及び記憶の実行中は、前記車載バッテリの充電を禁止せず、
前記取得及び記憶した際、前記ソフトウェアの更新処理を実行する前に、
検出した前記車載バッテリの蓄電量が所定の値よりも少ない場合、前記ソフトウェアの更新処理を禁止し、
前記車載バッテリが充電され前記車載バッテリの蓄電量が所定の値以上になると、前記車載バッテリの充電を禁止した後、前記ソフトウェアの更新処理を実行する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項2】
請求項1に記載のソフトウェア更新装置であって、
前記車載バッテリは外部電源により充電可能であり、
前記コントローラは、前記車載バッテリが少なくとも前記外部電源による充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新処理を実行する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のソフトウェア更新装置であって、
前記車載バッテリは前記車両の内燃機関により充電可能であり、
前記コントローラは、前記車載バッテリが少なくとも前記内燃機関による充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新処理を実行する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のソフトウェア更新装置であって、
前記コントローラは、
取得した第1のソフトウェアを記憶する第1記憶部と、
取得した第2のソフトウェアを記憶する第2記憶部と、を有し、
前記機器に適用するソフトウェアを前記第1のソフトウェアから前記第2のソフトウェアに変更することで前記ソフトウェアの更新処理を実行し、
前記ソフトウェアの更新処理を実行する前に、前記車載バッテリの充電を禁止する、
ソフトウェア更新装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一つに記載のソフトウェア更新装置であって、
電気自動車に搭載される、
ソフトウェア更新装置。
【請求項6】
車両に搭載された機器を動作させるソフトウェアの更新方法であって、
前記ソフトウェアを取得し、当該ソフトウェアを前記機器に適用し、
充電可能な車載バッテリが充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新を行
更新ソフトウェアの取得及び記憶の実行中は、前記車載バッテリの充電を禁止せず、
前記取得及び記憶した際、前記ソフトウェアの更新処理を実行する前に、
検出した前記車載バッテリの蓄電量が所定の値よりも少ない場合、前記ソフトウェアの更新処理を禁止し、
前記車載バッテリが充電され前記車載バッテリの蓄電量が所定の値以上になると、前記車載バッテリの充電を禁止した後、前記ソフトウェアの更新処理を実行する、
ソフトウェアの更新方法。
【請求項7】
車両に搭載された機器を動作させるソフトウェアの更新処理を実現するためのソフトウェア更新処理プログラムであって、
前記ソフトウェアを取得し、当該ソフトウェアを前記機器に適用することと、
充電可能な車載バッテリの蓄電量を取得することと、
前記車載バッテリが充電中でないときに、前記車載バッテリから供給される電力を用いて前記ソフトウェアの更新を行うことと、
更新ソフトウェアの取得及び記憶の実行中は、前記車載バッテリの充電を禁止しないことと、
前記取得及び記憶した際、前記ソフトウェアの更新処理を実行する前に、
検出した前記車載バッテリの蓄電量が所定の値よりも少ない場合、前記ソフトウェアの更新処理を禁止し、
前記車載バッテリが充電され前記車載バッテリの蓄電量が所定の値以上になると、前記車載バッテリの充電を禁止した後、前記ソフトウェアの更新処理を実行することと、
をコントローラに実現させるためのソフトウェア更新処理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2