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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120198
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】配管
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/02 20060101AFI20240829BHJP
   F16L 23/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F16L19/02
F16L23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026829
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(72)【発明者】
【氏名】落合 利紀
(72)【発明者】
【氏名】中浜 隆泰
(72)【発明者】
【氏名】小路 克利
【テーマコード(参考)】
3H014
【Fターム(参考)】
3H014CA01
(57)【要約】
【課題】ブロックに対し、配管を取り付ける際に、共回りによって固定済みの配管の緩みの発生をなくすとともに、メンテナンス性の高い配管を提供すること。
【解決手段】内部に流路41とその表面に流路41の開放端4aを備えたブロック4、4間を接続する、少なくとも2本からなる配管1であって、配管1Aの他端側は、外向きフランジ12を形成し、突合させ端面間に円環状ガスケット13を介在させ、当該配管に挿通される周面に雄ネジ20を形成し、外向きフランジ12を当接する雄ネジ部材2が配備されている。配管1Bの他端側には、配管1Aの他端側と同形状の外向きフランジ12を形成し、当該配管に挿通される雄ネジ20に螺合する雌ネジ30を内周面に形成するとともに、外向きフランジ12に係合する内向きフランジ31を形成した袋ナット部材3を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路とその表面に流路の開放端を備えたブロック間を接続する、少なくとも2本からなる配管であって、
一端側が、前記ブロックの開放端に形成されたテーパシール部に当接するテーパ面及び該テーパ面より他端側に形成された雄ネジ部を備え、
他端側が、外向きフランジを形成し、突合させ端面間に円環状ガスケットを介在させ、
一方の他端側には、当該配管に挿通される周面に雄ネジを形成し、前記外向きフランジを当接する雄ネジ部材を、他方の他端側には、当該配管に挿通される前記雄ネジに螺合する雌ネジを内周面に形成するとともに、前記外向きフランジに係合する内向きフランジを形成した袋ナット部材を備えた配管。
【請求項2】
前記ブロックに接続される2本の配管の間に、第3の配管を配備し、該第3の配管はその両端には、外向きフランジを形成するとともに、前記雄ネジ部材又は前記袋ナット部材を備えた請求項1に記載の配管。
【請求項3】
前記第3の配管は、少なくとも一方の外向きフランジが端部に後付け可能に構成されている請求項2に記載の配管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック間を連通する配管に関し、特に継手機能を備えたブロック間の配管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内部に流路を備えた略立方体のブロックであって、少なくともその表面の2箇所に内部の流路の開放端を備えるブロック間を連通する配管は、広く様々な分野で活用されている。
【0003】
例えば、図7に示す、ブロック4及び配管100では、内部流路41の開放端にテーパシール部40と雌ネジ部43を形成し、配管先端にテーパ面10を押圧固定することでブロック4及び配管100を流れる流体の外部への漏洩を防止するようにしている。
【0004】
一般に、このような構造はコーンスレッド継手と呼ばれ、配管100の先端には、テーパ面10と雄ネジ11が形成されている。そして、配管径より若干大径の貫通孔14cを備え周面に雄ネジ部14aと工具が係合する六角部14bを形成した固定部材14と、配管100の雄ネジ11に螺合するストッパ15を配管100の先端に取り付け、図に示すように、配管先端のテーパ面10をブロック4のテーパシール部40に押圧し、固定部材14の雄ネジ14aを、ブロック4のテーパシール部40より開放端側の取付空間42の内周面に形成した雌ネジ部43に螺合し、固定部材14の先端がストッパ15に当接するまで捩じ込むことでテーパシール部40にテーパ面10が当接してシールされる構造となっている。
【0005】
このようなブロック及び配管による接続は、例えば、特許文献1に記載の水素ステーションのユニットなどに利用されている。特許文献1に記載されるユニットでは、配管の引き抜きスペースを付与するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-203573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ブロックと配管との接合にコーンスレッド継手を用いると、図7に示すように、一方のブロックに配管を固定した後、他方のブロックの固定部材であるナットを締め付けると配管が共回りしてしまい、固定した側のブロックに対する配管が緩むという問題があった。また、施工後のメンテンナス等で配管をブロックから取り外す必要がある場合、図に示す、配管引抜代Hだけ、配管が取り付けられているブロックを移動させる必要があるという問題があった。さらに、配管が固定されているブロックの両方が施工後に拘束されている場合には、いずれかのブロックの拘束を解除する工事や、配管を切断する等の作業が必要となり、メンテナンス作業に多大な時間を要するという問題があった。
【0008】
本発明は、係る点に鑑みてなされたもので、ブロックに対し、配管を取り付ける際に、共回りによって固定済みの配管の緩みの発生をなくすとともに、メンテナンス性の高い配管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る配管は、
内部に流路とその表面に流路の開放端を備えたブロック間を接続する、少なくとも2本からなる配管であって、
一端側が、前記ブロックの開放端に形成されたテーパシール部に当接するテーパ面及び該テーパ面より他端側に形成された雄ネジ部を備え、
他端側が、外向きフランジを形成し、突合させ端面間に円環状ガスケットを介在させ、
一方の他端側には、当該配管に挿通される周面に雄ネジを形成し、前記外向きフランジを当接する雄ネジ部材を、他方の他端側には、当該配管に挿通される前記雄ネジに螺合する雌ネジを内周面に形成するとともに、前記外向きフランジに係合する内向きフランジを形成した袋ナット部材を備えている。
【0010】
本発明の配管は、対峙するブロックにテーパ面を形成した配管の一端をそれぞれ固定し、他端に備えた雄ネジ部材と袋ナット部材を結合することで両ブロックを連結する。この際、両配管は他端側で雄ネジ部材と袋ナット部材とにより結合され共回りによる緩みが発生することはない。
【0011】
この場合において、ブロックに接続される2本の配管の間に、第3の配管を配備し、該第3の配管はその両端には、外向きフランジを形成し、雄ネジ部材又は袋ナット部材を挿通することができる。
【0012】
さらにこの場合において、第3の配管は、少なくとも一方の外向きフランジを、端部に後付け可能に構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の配管によれば、配管施工時に、共回りによる緩みが発生することがなく、また、メンテナンス時においても配管引抜代だけ、配管の軸方向に移動させることなく、軸に直行方向に軸の直径寸法程度移動させるだけで配管を取り外すことができる。さらに、第3の配管を配備するときは、先に第3の配管を外すことで、ブロックは一切移動させることなく、ブロックから配管を取り外し可能な配管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の配管を使って対峙するブロックを連結した状態を示す一部切り欠きの断面平面図である。
図2】同配管とブロックとの接続部を示す一部断面の断面平面図である。
図3】同配管同士の接続部を示し、(a)は雄ネジ部材と袋ナット部材を締結した状態を示す一部切り欠きの断面平面図、(b)は締結を解除した状態を示す一部切り欠きの断面平面図である。
図4】同配管の第2実施例を示し、(a)は第3配管の両端に雄ネジ部材を、(b)は第3配管に雄ネジ部材と袋ナット部材とを取り付けた状態を示す一部切り欠きの断面平面図である。
図5】同配管の第2実施例の変形例を示す一部切り欠きの断面平面図である。
図6】同配管の第3実施例を示し、(a)は第3配管の両端に雄ネジ部材を取り付けた断面平面図、(b)は一方の外向きフランジを取り外した状態を示す一部切り欠きの断面平面図である。
図7】従来の配管を示し,(a)はブロックへの取付け時に共回りする状態を、(b)は配管とブロックとの接続部を示す一部切り欠きの断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る配管の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。この実施例に記載されている構成部品の形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、便宜的に図面上での方向によって部材等の方向を上下左右と指称することがあるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
<実施形態1>
図1図3に、本発明の第1の実施形態を示す。図1は、本発明の配管1A、1Bを使って対峙するブロック4を連結した状態を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【0017】
本発明の配管は、一端がブロック4のテーパシール部40に当接し、内部流体の漏洩を防止する所謂コーンスレッド継手のオス部分を形成し、他端が環状ガスケット13とネジ部材で締結する継手構造とから構成されている。具体的には、図1に示すように、内部に流路41とその表面に流路41の開放端4aを備えたブロック4、4間を接続する、少なくとも2本からなる配管1であって、ブロック4と接続される一端側は共通構造であって、図2に示すように、ブロック4の開放端4aに形成されたテーパシール部40に当接するテーパ面10及びテーパ面10より他端側に形成された雄ネジ部11を備えている。雄ネジ部11には、従来例と同様にストッパ15が螺合され、配管1の径より若干大径の貫通孔14cを備え周面に雄ネジ部14aと工具が係合する二面幅や六角形状の係合部14bを形成した固定部材14を配管1に挿通している。
【0018】
配管1の他端側は、図3に示すように、継手構造となっている。配管1Aの他端側は、外向きフランジ12を形成し、突合させ端面間に円環状ガスケット13を介在させ、当該配管に挿通される周面に雄ネジ20を形成し、外向きフランジ12を当接する雄ネジ部材2が配備されている。配管1Bの他端側には、配管1Aの他端側と同形状の外向きフランジ12を形成し、当該配管に挿通される雄ネジ20に螺合する雌ネジ30を内周面に形成するとともに、外向きフランジ12に係合する内向きフランジ31を形成した袋ナット部材3を備えている。内向きフランジ31と配管1Bの外向きフランジ12との間には、共回りを防止する共回り防止部材32(例えば、スラストベアリング等)が配設されている。
【0019】
上記構成において、ブロック4、4の連結には、それぞれのブロック4、4に配管1A、1Bのコーンスレッド継手側を取り付ける。まず、従来例と同様に、配管1の先端のテーパ面10をブロック4のテーパシール部40に押圧し、固定部材14の雄ネジ14aを、ブロック4のテーパシール部40より開放端側の取付空間42の内周面に形成した雌ネジ部43に螺合し、固定部材14の先端がストッパ15に当接するまで捩じ込むことでテーパシール部40にテーパ面10が当接してシールされる構造となっている。テーパシール部とテーパ面の角度は、例えばテーパシール部の拡開角度θ1が60°としたとき、テーパ面の拡開角度θ2が59°と若干鋭角に仕上げることが好ましい。
【0020】
ブロック4、4に配管1A、1Bを固定した後、配管の他端側を突き合わせ、雄ネジ部材2と袋ナット部材3とを螺合することで、突合させ端面間に配設した円環状ガスケット13を所定の力で押し潰し、配管1の内部を通過する流体の外部への漏洩を防止する。
【0021】
そして、メンテナンス等によって、配管1をブロック4から外す必要が生じたときは、雄ネジ部材2と袋ナット部材3との螺合を解除し、配管1の径寸法だけ配管1の軸に直行する方向いずれかのブロック4を移動させるだけで、配管1をブロック4から取り外すことが可能となる。
【0022】
<実施形態2>
図4図5に、本発明の第2の実施形態を示す。図4は、本発明の配管1A、1B、1Cを使って対峙するブロック4を連結した状態を示す一部切り欠きの正面断面図である。
【0023】
本実施形態は、第1実施形態の配管1Aと配管1Bとの間にさら第3の配管1Cを配設して構成されるもので、配管1A及び配管1Bとブロック4との接続に関しては第1実施形態と同様であり、その説明を省略する。
【0024】
配管1Aと配管1Bとの間に配設される第3の配管1Cは、その両端に外向きフランジ12を配備するとともに、雄ネジ部材2又は袋ナット部材3のいずれかを配備する。図4(a)では、両端共に雄ネジ部材2を、同図(b)では一方に雄ネジ部材2、他方に袋ナット部材3を配備した例を示すが、これは、配管1A、1Bの端部に配備されている継手部材が、雄ネジ部材2か袋ナット部材3かによって適宜決定されるものである。本実施形態を採用する場合、配管1Aと配管1Bとは、他端側に配備する継手部材を雄ネジ部材2か袋ナット部材3かのいずれかに統一することができる。また、配管の長さに関しては、配管Cの長さを変更することで対応すれば、配管1Aと配管1Bとは全く同じ部品として部品の統一化を図りコスト削減を行うことができる。
【0025】
配管1Cは、両端に外向きフランジ12が形成されるため、雄ネジ部材2と袋ナット部材3を取り付けるために中央付近で分割構造として、溶接等による接合手段を用いて配管1Cを構成している。また、雄ネジ部材2と袋ナット部材3とを二分割構造とすることもできる。
【0026】
配管1Aと配管1Bとの間に第3の配管1Cを配設する本実施形態では、ブロック4の連結時、メンテナンスで配管1を取り外す際、いずれの場合においてもブロック4を移動させる必要がなく、特に、施工後にブロック4が固定された施設であっても容易にメンテナンス作業を行うことができる。
【0027】
さらに、図5に示すように、配管1Cを任意の角度に屈曲させて使用することで、ブロック4の開放端が向き合っていない等、いびつな施工現場においてもブロック同士の連結を容易に行うことができ、メンテナンス作業もスムーズに実施することができる。
【0028】
<変形例>
図6に、本発明の第2の実施形態の変形例を示す。図6(a)は、本実施形態の配管1Cの正面断面図である。
【0029】
この変形例は、第3の配管1Cの少なくとも一方の外向きフランジ12が端部に後付け可能に構成されている。
【0030】
図6に示す例では、配管1Cの一旦に段差部16を設け、小径部に雄ネジ17を刻設する。本実施形態の外向きフランジは、内周面に小径部の雄ネジ17に螺合する雌ネジ18を備えた円環状部材12Aで構成される。
【0031】
円環状部材12Aの配管1Cへの取り付けは、ネジによる螺合の他に、締り嵌めによる嵌合や、溶接による固定であっても構わない。
【0032】
このように、外向きフランジを後付け可能に構成することで、配管を溶接で繋ぐ必要がなく、溶接不良によって生じる流体の外部への漏洩を有効に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る配管は、流路を備えたブロックの連結に好適に用いることができるほか、既存のコーンスレッド継手を使った設備の置き換え需要にも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 配管
10 テーパ面
11 雄ネジ部
12 外向きフランジ
12A 円環状部材
2 雄ネジ部材
20 雄ネジ
3 袋ナット部材
30 雌ネジ
31 内向きフランジ
4 ブロック
40 テーパシール部
41 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7