(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120201
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】円柱形状部材への連続模様の印刷方法と、その印刷方法により作成された円柱形状部材
(51)【国際特許分類】
B41M 1/40 20060101AFI20240829BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240829BHJP
B41M 3/06 20060101ALI20240829BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20240829BHJP
B05C 5/00 20060101ALN20240829BHJP
B05C 11/10 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
B41M1/40
B41J2/01 109
B41M3/06 C
B41M1/30 B
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026835
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】516324504
【氏名又は名称】株式会社ユージン
(72)【発明者】
【氏名】古手川宏一
(72)【発明者】
【氏名】林良三
【テーマコード(参考)】
2C056
2H113
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EC12
2C056EC13
2C056EC34
2C056EC77
2C056FB09
2C056FD20
2C056HA12
2C056HA13
2C056HA29
2H113AA06
2H113BA00
2H113BA27
2H113BB23
2H113FA43
4F041AA01
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA23
4F042AA03
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA25
4F042DB41
4F042DF07
4F042DF28
4F042DF32
(57)【要約】
【課題】
現在の円柱形状部材の表面に印刷が可能な曲面印刷機としては、パッド印刷機や回転シルク印刷機などがあるが、フィルム製版等のアナログ技術を介するため、印刷精度が劣るとともに、
図10に示す様に、印刷継ぎ目に連続模様が離れ過ぎたり、接近し過ぎたりして不均一となり、継ぎ目の無い連続印刷ができないという問題点があった。
【解決手段】
本発明は市販されているUVインクジェット印刷機で印刷機に円柱形状媒体を治具で固定し、円柱形の表面に印刷を行うものであり、1回転を1工程として印刷するための印刷版データは、印刷部の円周上に1サイクルごとの連続模様を本項案が発明した基本法則に基づき編集し、円周表面全周に継ぎ目のない連続模様印刷をすることにより、課題を解決している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱形状または円筒形状の被印刷部材の円周方向に連続模様が印刷された
円柱形状部材であって、円周方向の印刷の始端における凹状または凸状のパターンと、印刷の終端における、前記凹状または凸状のパターンに対応した凸状パターンまたは凹状パターンとが凹凸で噛み合い繋がって継ぎ目の無い連続模様印刷を形成したことを特徴とする連続模様の印刷を行った円柱形状部材への連続模様の印刷方法とその印刷方法により作成された円柱形状部材。
【請求項2】
前記継ぎ目の無い連続模様印刷は、使用するUVインクジェットプリンターにおける精度の高い印刷が可能な印刷範囲の高低差値を求め、前記高低差値の領域内であって360度を6以上の整数で分割した角度内に印刷1工程分の模様を円柱形状部材に第一の印刷をし、その後に前記円柱形状部材に360度を6以上の整数で分割した角度回転させて第二の印刷をし、これを繰り返すことで連続模様の印刷を行った請求項1に記載の円柱形状部材への連続模様の印刷方法とその印刷方法により作成された円柱形状部材。
【請求項3】
前記継ぎ目の無い連続模様印刷に加え、模様を凸状に形成する技術であって、印刷用の透明インクによって厚みが出る特性を用いて、繰り返し同じ版に重ねて印刷をすることで模様を凸状に形成する請求項1又は請求項2に記載の円柱形状部材への連続模様の印刷方法とその印刷方法により作成された円柱形状部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱形状部材への連続模様の印刷方法とその印刷方法により作成された円柱形状部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の円柱形状部材の表面に印刷が可能な曲面印刷機としては、パッド印刷機や回転シルク印刷機などがあるが、フィルム製版等のアナログ技術を介するため、印刷精度が劣るとともに、
図10に示す様に、印刷継ぎ目に連続模様が離れ過ぎたり、接近し過ぎたりして不均一となり、継ぎ目の無い連続印刷ができないという問題点があった。
又、パッド印刷機や回転シルク印刷機は、円柱形状部材が1回転した最初と最後の合わせが円周上のため精度が出にくいことと、フィルム製版等のアナログ工程が増えるため、工程が増える都度、円周上の実寸法との差が出やすいという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、円柱形状部材への継ぎ目の無い連続印刷ができる連続模様の印刷方法とその印刷方法により作成される円柱形状部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の円柱形状部材への連続模様の印刷方法と、その印刷方法により作成された円柱形状部材は、円柱形状または円筒形状の被印刷部材の円周方向に連続模様が印刷された円柱形状部材であって、円周方向の印刷の始端における凹状または凸状のパターンと、印刷の終端における、前記凹状または凸状のパターンに対応した凸状パターンまたは凹状パターンとが凹凸で噛み合い繋がって継ぎ目の無い連続模様印刷を形成したことを特徴とする。
又、本発明の円柱形状部材への連続模様の印刷方法と、その印刷方法により作成された円柱形状部材は、前記継ぎ目の無い連続模様印刷は、使用するUVインクジェットプリンターにおける精度の高い印刷が可能な印刷範囲の高低差値を求め、前記高低差値の領域内であって360度を6以上の整数で分割した角度内に印刷1工程分の模様を円柱形状部材に第一の印刷をし、その後に前記円柱形状部材に360度を6以上の整数で分割した角度回転させて第二の印刷をし、これを繰り返すことで連続模様の印刷を行ったことが望ましい。
又、本発明の円柱形状部材への連続模様の印刷方法と、その印刷方法により作成された円柱形状部材は、前記継ぎ目の無い連続模様印刷に加え、模様を凸状に形成する技術であって、印刷用の透明インクによって厚みが出る特性を用いて、繰り返し同じ版に重ねて印刷をすることで模様を凸状に形成するのが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の本発明の円柱形状部材への連続模様の印刷方法と、その印刷方法により作成された円柱形状部材は、円柱形状または円筒形状の被印刷部材の円周方向に連続模様が印刷された円柱形状部材であって、円周方向の印刷の始端における凹状または凸状のパターンと、印刷の終端における、前記凹状または凸状のパターンに対応した凸状パターンまたは凹状パターンとが凹凸で噛み合い繋がって継ぎ目の無い連続模様印刷を形成したことを特徴とするものであるから、円柱形状部材に継ぎ目の無い連続模様の印刷をすることができるという効果がある。
又、請求項2のように、前記継ぎ目の無い連続模様印刷は、使用するUVインクジェットプリンターにおける精度の高い印刷が可能な印刷範囲の高低差値を求め、前記高低差値の領域内であって360度を6以上の整数で分割した角度内に印刷1工程分の模様を円柱形状部材に第一の印刷をし、その後に前記円柱形状部材に360度を6以上の整数で分割した角度回転させて第二の印刷をし、これを繰り返すことで連続模様の印刷を行ったものは、円柱形状部材に継ぎ目の無い連続模様の印刷をすることができるという効果がある。
又、請求項3のように、前記継ぎ目の無い連続模様印刷に加え、模様を凸状に形成する技術であって、印刷用の透明インクによって厚みが出る特性を用いて、繰り返し同じ版に重ねて印刷をすることで模様を凸状に形成することができ、触覚的均質な付加価値を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図3は、1回の印刷工程における角度と印刷可能範囲を示した説明図
【
図4】
図4は、本発明を実施する模様版を作成するための法則を示す説明図
【
図5】
図5は、本発明の他の実施例を実施する模様版を作成するための法則を示す説明図
【
図6】
図6は、本発明の更に他の実施例を実施する模様版を作成するための法則を示す説明図
【
図7】
図7は、本発明の
図4に示す説明図に基づいて実施された円柱形状部材の外観斜視図
【
図8】
図8は、本発明の
図5に示す説明図に基づいて実施された円柱形状部材の外観斜視図
【
図9】
図9は、表面に求められる連続模様を説明のための平面展開図
【
図10】
図10は、従来例の印刷継ぎ目が不均一の模様を説明のための平面展開図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を
図1ないし
図9を参照して説明する。
【実施例0009】
継ぎ目の無い連続模様印刷は、使用するUVインクジェットプリンターにおける精度の高い印刷が可能な印刷範囲の高低差値を求め、前記高低差値の領域内であって360度を6以上の整数で分割した角度内に印刷1工程分の模様を円柱形状部材に第一の印刷をし、その後に前記円柱形状部材に360度を6以上の整数で分割した角度回転させて第二の印刷をし、これを繰り返すことで連続模様の印刷を行うことで達成することが出来るものである。
【0010】
円柱形状部材1は、筆記具、化粧品、ゴルフ用品、釣具などであり、円柱形状の表面全周に印刷。媒体の大きさは直径5mmから直径25mm、長さは印刷機の最大印刷範囲(約500mm)を想定しており、印刷工程と印刷版の組み合わせによって全周に継ぎ目のない連続模様印刷を実施するものである。
【0011】
図1に示す様に、円柱形状部材1は、360度を6以上の整数で分割した角度内に印刷1工程分の模様を円柱形状部材に第一の印刷をし、その後に前記円柱形状部材に360度を6以上の整数で分割した角度回転させて第二の印刷をし、これを繰り返すことで連続模様の印刷を行うことが必要であり、
図1は6行程で1行程の角度を60度と設定した場合の説明図で、符号2の六角軸と符号5の六角受け治具によって60度の角度が設定され、1工程分の印刷の後に符号4のように回転させ、第二行程以降の印刷を繰り返し行い、同様の事をステッピングモータによって角度回転設定をすることができる。
【0012】
図4に基づいて、印刷工程の角度設定を決めることについて説明する。
Aの角度は360度で割り切れる数値とした。円柱の直径を10mmとした場合、Bの値は印刷機の能力から、印刷範囲の絶対値を1.8mmとした。その根拠は下記現状の印刷機の能力による。
印刷範囲1.8mm以下で安定し、1.8mmを超えると画像が変形、かすれ等が発生する可能性があるとの実験データによるものである。
印刷機の能力によってBの値が増えるとAの角度は大きくなる。
印刷機による上記数値は、実験結果より、1工程あたりの角度、工程回数を下記のように設定した。
・円柱の直径5mmから15mmの場合
360°/ 6 6工程 1工程60°
・円柱の直径15mm超え35mm の場合
360°/ 8 8工程 1工程45°
この様に円柱の直径が大きくなるにつれて、Aの値が小さくなる。
Aの値は360度を割り切れる整数値から導き出し、印刷工程を増やすことで、本発明は安定的に印刷が可能となる。
【0013】
継ぎ目が見えない印刷を実現させるには
図4に示す1工程目の印刷版の右端(10-1)と左端(10-2)のパターンが凹凸で噛み合い繋がるように版デザインを作成する。(10-3)以降(10-6)まで同様の繰り返しとなる。
かつ円柱形状の円周上における最終工程(10-6)の接続が最初の工程の始まり部左端(10-1)と同じ連続接続になるように噛み合う模様を作成することで、視覚的連続模様が得られる。
図5、
図6、の図案も上記原理と同様の印刷版構成と印刷工程によって継ぎ目の無い模様が実現できる。印刷図案は本事例に限らず、上記原理に基づけば図案は無数に考えられる。
このように連続模様の場合は印刷精度上の微妙なズレが目立ちやすいが、凹凸で噛み合い繋がるように版デザインを作成すると視覚的連続模様が得られる。
図4に示す印刷版作成基準(事例1)9、
図5に示す印刷版作成基準(事例2)11、
図6に示す印刷版作成基準(事例3)13の基準Aの寸法範囲内であれば、任意の図形が実現される。図中に示したAは2πr÷前述の工程数で円周の平面の幅Aが求められる。
L,M,N,の数値は円周の平面幅Aの大きさ以下の範囲で任意の大きさを設定する事ができ、
図5の印刷版作成基準(事例2)11、
図6の印刷版作成基準(事例3)13、も図形は異なるが基本法則は同じである。
これらは円周の1工程あたりの平面幅Aの数値を求めることによって、その範囲内で任意の図形、模様を展開した事例を示している。
【0014】
本発明は市販されているUVインクジェット印刷機で印刷機に円柱形状媒体を治具で固定し、円柱形の表面に印刷を行うものであり、印刷工程については円柱形状媒体(例えば直径10mmの場合)に対し、治具で60°6回に分けて回転し、360°全周印刷を行い、印刷媒体の直径サイズが大きくなると印刷工程数を増やしていくものであり、1回転を1工程として印刷するための印刷版データは、印刷部の円周上に1サイクルごとの連続模様を本項案が発明した基本法則に基づき編集し、円周表面全周に継ぎ目のない連続模様印刷を行っている。