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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120211
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】タイルカーペット
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/16 20060101AFI20240829BHJP
   A47G 27/02 20060101ALI20240829BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20240829BHJP
   A62C 2/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E04F15/16 C
A47G27/02 101A
A47G27/02 102
E04F15/02 B
E04F15/16 D
A62C2/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026850
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】白山 宣弘
(72)【発明者】
【氏名】隅田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】山納 正人
【テーマコード(参考)】
2E220
3B120
【Fターム(参考)】
2E220AA02
2E220AA12
2E220AB08
2E220AC03
2E220BA15
2E220CA08
2E220CA45
2E220DA02
2E220DB03
2E220EA03
2E220EA04
2E220EA05
2E220GA22X
2E220GA25Y
2E220GA26X
2E220GA27X
2E220GA32X
2E220GA34Y
2E220GB01X
2E220GB32Y
2E220GB39X
3B120AB18
3B120BA03
3B120EB06
(57)【要約】
【課題】熱が継続して発生しても、一部がめくれ上がるように変形するのを防止することができるタイルカーペットを提供する。
【解決手段】難燃性を有する繊維により形成された矩形状の繊維層の下面に、該繊維層と同一形状のベースシートが接合されてなるタイルカーペットにおいて、床上に敷設された状態で熱が作用した際に、前記繊維層の伸縮率とベースシートの伸縮率との差に起因して一部が上方へ持ち上がる局所的熱変形を規制する拘束手段を、ベースシートの内部もしくはベースシートと繊維層との間に有するように構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性を有する繊維により形成された矩形状の繊維層の下面に、該繊維層と同一形状のベースシートが接合されてなるタイルカーペットであって、
床上に敷設された状態で熱が作用した際に、前記繊維層の伸縮率と前記ベースシートの伸縮率との差に起因して一部が上方へ持ち上がる局所的熱変形を規制する拘束手段を、前記ベースシートの内部もしくは前記ベースシートと前記繊維層との間に有することを特徴としたタイルカーペット。
【請求項2】
前記拘束手段は、棒状または板状に形成された硬質材料からなる複数の長尺部材が互いに直交交差する方向に沿って配設されることにより構成されていることを特徴とした請求項1に記載のタイルカーペット。
【請求項3】
前記拘束手段は、前記局所的熱変形により上方へ持ち上がると予想される箇所に配設された重しを備えていることを特徴とした請求項1に記載のタイルカーペット。
【請求項4】
前記拘束手段が、矩形状をなす前記ベースシートの4辺の縁部にそれぞれ配設されていることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のタイルカーペット。
【請求項5】
前記拘束手段が、矩形状をなす前記ベースシートの一対の対角線または縦方向中心線および横方向中心線の近傍に沿ってそれぞれ配設されていることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載のタイルカーペット。
【請求項6】
前記ベースシートは耐熱性を有し前記繊維層に比べて耐久性の高い材料により形成されており、少なくとも前記ベースシートには直径が数mmの貫通孔が全面にわたり複数個形成されていることを特徴とした請求項1に記載のタイルカーペット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリン等の可燃性液体による火災を抑制可能なタイルカーペットに関し、例えばフリーアクセスフロア用のタイルカーペットに利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリンを撒いて放火する凶悪事件が発生しており、オフィスビルやイベント会場などにおいても、ガソリン等の可燃性液体を用いた放火対策が望まれている。
従来、カーペットには、火災が発生した際に、火災拡大の一因にならないよう防炎性能が付与されているものがある。また、航空機、船舶、列車、自動車等の交通機関用の難燃性カーペットに関する発明(特許文献1、2参照)が提案されており、このような難燃性カーペットを建物の床に敷設することでも火災をある程度抑制することができる。
また、建物内部における可燃性液体による火災の発生に対応するため、延焼拡大を防止できるようにした構造物の床構造に関する発明が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-207331号公報
【特許文献2】特開2014-217430号公報
【特許文献3】特開平05-018097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や2に記載されている難燃性カーペットの発明は、床材自体を燃えにくくすることで延焼を抑制するものである。そのため、ガソリン等の可燃性液体が撒かれて放火された場合に火勢を抑制する効果は期待することができず、居合わせた人が立ち上がった炎に恐怖心をおぼえ、避難できないおそれがある。
また、特許文献3には、下部に隙間を有して設けられた脚部を有し、上面にこの隙間に向かって透水させる多数の穴を形成したパネルを床面に敷き詰めることで、スプリンクラーから噴射された消火用の水を床下に落とし、床下には排水設備を備えることで効率的に水を回収、再利用できる消火設備に関する発明が開示されている。加えて、特許文献3には、床パネルに透水性の良いマットをかぶせて運用しても良いとの記載がある。
【0005】
ここで、透水性の良いマットは具体的にどのようなものか特許文献3には記載されていないが、例えば絨毯のような繊維からなるカーペットが考えられる。しかし、繊維層のみからなるカーペットは透水性に優れるものの、耐久性に劣るという欠点がある。一方、繊維層の裏面にゴム層を設けて耐久性を向上させたカーペットがあるが、全体的にゴム層があると透水性がなくなる。
そこで、本発明者らは、繊維層および裏面のゴム層に多数の穴を設けることで透水性を付与することを考え、そのようなタイルカーペットを作ってスノコの上に載置し、ガソリンを撒いて着火する燃焼実験を行なった。
【0006】
その結果、図6(A),(B)に示すように、カーペット12の上に撒かれたガソリンGはスノコ11の下方の空間へ落下し、表面に着火すると、図6(D)に示すように、表面に残ったガソリンが燃焼するがすぐに火勢が弱まるとともに、下方のガソリンが気化して拡散するものの、カーペットの裏面にあるゴム層に阻まれて表面には出てこないので燃焼しない。ところが、燃焼が進むと、図6(E)に示すように、裏面のゴム層12Bが変形して、表面側の繊維層12Aを内側にするようにして丸まって端がめくれ上がる現象が発生することが確認された。そして、カーペットの端がめくれ上がると、下方に流下したガソリンが気化して、めくれ上がることで生じた隙間から立ち上り、着火して火勢が強まることが分かった。
【0007】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、カーペットの上に撒かれたガソリンが燃えて熱が継続して発生しても、一部がめくれ上がるように変形するのを防止することができるタイルカーペットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
難燃性を有する繊維により形成された矩形状の繊維層の下面に、該繊維層と同一形状のベースシートが接合されてなるタイルカーペットであって、
床上に敷設された状態で熱が作用した際に、前記繊維層の伸縮率と前記ベースシートの伸縮率との差に起因して一部が上方へ持ち上がる局所的熱変形を規制する拘束手段を、前記ベースシート内部もしくは前記ベースシートと前記繊維層との間に有するように構成したものである。
【0009】
上記のような構成によれば、建物の床にガソリンのような可燃性液体が撒かれ、カーペットの上に撒かれたガソリンが燃えて熱が継続して発生しても、カーペットの一部がめくれ上がるのを防止することができる。そのため、スノコやOAフロア用パネルの上に載置された場合、カーペットの下方から気化したガソリンが立ち上って着火し火勢が強くなるのを抑制することができ、可燃性液体が撒かれ着火されても、最低限避難は可能な程度にまで火勢を抑えることができる。また、繊維層の裏面にベースシートが接合されているため、カーペットの耐久性を高めることができる。
【0010】
ここで、望ましくは、前記拘束手段は、棒状または板状に形成された硬質材料からなる複数の長尺部材が互いに直交交差する方向に沿って配設して構成する。
かかる構成によれば、熱によってカーペットの一部が持ち上がるのを、拘束手段を塊形状とせずに防止することができるとともに、拘束手段の厚みを小さくすることができ、それによってカーペット上を歩いている人に対して違和感を与えることがない。
【0011】
また、前記拘束手段は、前記局所的熱変形により上方へ持ち上がると予想される箇所に配設された重しを備えているように構成しても良い。
かかる構成によれば、熱によってカーペットの一部が持ち上がるのをより効果的に防止することができる。
【0012】
また、望ましくは、前記拘束手段が、矩形状をなす前記ベースシートの4辺の縁部にそれぞれ配設されているようにする。
かかる構成によれば、熱によってカーペットの端がめくれ上がるのを防止することができる。
【0013】
また、望ましくは、前記拘束手段が、矩形状をなす前記ベースシートの一対の対角線または縦方向中心線および横方向中心線の近傍に沿ってそれぞれ配設されているようにする。
かかる構成によれば、熱によってカーペットの中央が持ち上がるのを防止することができる。
【0014】
また、望ましくは、前記ベースシートは耐熱性を有し前記繊維層に比べて耐久性の高い材料により形成されており、少なくとも前記ベースシートには直径が数mmの貫通孔が全面にわたり複数個形成されているようにする。
【0015】
上記のような構成によれば、スノコやOAフロア用パネルの上にカーペットが載置された建物の床にガソリンのような可燃性液体が撒かれたとしても、撒かれた可燃性液体はカーペットに設けられている貫通孔を通過してスノコの内部下方の空間へ落ち、落ちてから気化した可燃性液体のガスが上方へ抜けるのをカーペット裏面のベースシートで防止することができる。そのため、可燃性液体が撒かれ着火されても、最低限避難は可能な程度にまで火勢を抑えることができる。
なお、カーペットの縁部に形成されている貫通孔を使用して塑性変形可能なワイヤーを通すことで、隣接するカーペット同士を結合することができ、それによって熱によりカーペットの端がめくれ上がるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタイルカーペットによれば、カーペットの上に撒かれたガソリンが燃えて熱が継続して発生しても、カーペットの一部がめくれ上がるように変形するのを防止することができ、スノコやOAフロア用パネルの上に載置された場合、カーペットの下方から気化したガソリンが立ち上って着火し火勢が強くなるのを抑制することができる。また、建物の床にガソリンなどの可燃性液体が撒かれ着火されても、最低限避難は可能な程度にまで火勢を抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るタイルカーペットの一実施形態を示すもので、(A)は平面図、(B)は角部の拡大図、(C)は設置方法を示す斜視図である。
図2】(A)~(C)は本発明に係るタイルカーペットの他の実施例を示す平面図である。
図3】(A)および(B)は本発明に係るタイルカーペットのさらに他の実施例を示す平面図である。
図4】実施形態のタイルカーペットの設置方法の一例を示す要部拡大平面図である。
図5】実施形態のタイルカーペットを設置するのに適したOAフロア用パネルの構成例を示す斜視図である。
図6】(A)~(D)はスノコの上に、穴のあるゴム層を裏面に有するカーペットを載置した床構造において、ガソリンなどを撒いて着火した場合の状態の変化を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係るタイルカーペットの一実施形態について説明する。なお、本発明に係るタイルカーペットは、難燃性を有するとともに撥水性および撥油性を有する繊維により形成された繊維層と、該繊維層の裏面(下面)に接合されたベースシートとを備え、ベースシートは耐熱性を有するゴム等の材料から構成されている。また、一般的なフリーアクセスフロアにおいて使用されているタイルカーペットに対応させる場合、繊維層およびベースシートは例えば50cm×50cm程度の正方形とされる。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態のタイルカーペットを裏面から見た状態を示している。
カーペット12には、図1(A)に示すように、径の比較的小さな複数の貫通孔12cが全体に亘って形成されている。貫通孔12cは、繊維層および裏面のベースシートを貫通するように形成されている。貫通孔12cを設けることで、カーペットの上に撒かれた可燃性液体を速やかに下方へ流下させることができる。貫通孔12cの形状は、図1では円形のものが示されているが、楕円形や多角形など任意の形状とすることができる。
【0020】
なお、本発明者らが行なった実験から、貫通孔12cの径の寸法は、カーペット12の厚みにもよるが、通常の厚みであれば、2~5mm程度の大きさが妥当であるとの知見が得られている。2mmよりも小さいとゴミによる目詰まりが懸念される一方、5mmよりも大きい場合にはカーペットを載せているスノコの下から立ち上る気化したガソリンが貫通孔12cの部位でゆらゆら燃焼することが実験において観察されたためである。また、貫通孔12cのピッチは、10~50mm程度の範囲が妥当である。
【0021】
カーペット12に設けられる貫通孔12cの総面積のシート面積に対する割合は、カーペット12に必要な強度を確保できる範囲で、できるだけ大きくするのが望ましい。また、カーペット12の厚みが大きければ貫通孔12cの総面積の割合を大きくし、カーペット12の厚みが小さければ貫通孔12cの総面積の割合を小さくすることが考えられる。
また、カーペット12に設ける貫通孔12cのパタ-ンも、径の異なる貫通孔12cをバランスよく分散して整列配設したものや、径の異なる貫通孔12cをランダムに分散して配設したものであっても良い。
【0022】
本実施形態のカーペット12においては、ベースシートに複数の貫通孔12cが形成されているとともに、繊維層が撥油性を有する繊維により形成されていることにより、カーペット12の上にガソリン等の可燃性液体が撒かれたとしても、可燃性液体は速やかに貫通孔12cを通って下方へ流れ落ちるようになる。また、カーペット12が撥水性を有する繊維により形成されていることによって、雨天の日に持ち込まれた泥などの汚れを容易に除去することができるようになる。
【0023】
本実施形態のカーペット12には、図1(B)に角部を拡大して示すように、カーペット12の4辺のうち2辺に沿って両面テープ13A,13Bが設けられている。両面テープ13A,13Bは、一方の面の片側半分の剥離紙が剥がされた状態で、ベースシートに貼着されており、カーペットを敷設する際には、両面テープ13A,13Bの他方の面の剥離紙を剥がしてOAフロア用パネル上に貼着させてから、図1(C)に示すように、一方の面の残りの半分の剥離紙13cを剥がし、その上に隣のタイルカーペットの縁部を重ねることで貼着する。これにより、隣り合うタイルカーペット同士がずれしたり、一部が剥がれて持ち上がったりするのを防止することができる。
【0024】
図2(A)~(C)には、本発明に係るタイルカーペットの他の実施例が示されている。なお、図2(A)~(C)においては、貫通孔12cの図示を省略している。
図2(A)~(C)のうち(A)の実施例は、上記実施例における両面テープ13の代わりに、ピアノ線(硬鋼線)のような塑性変形しにくく重量のある金属からなる数mmの径を有するワイヤーもしくは金属棒14をタイルカーペットの4つの辺の縁部に沿って内蔵させたものである。このようにすることで、火災の熱でタイルカーペットの裏面のベースシートの縁部がめくれ上がろうとしても、金属棒14によってカーペットの変形を防止することができる。従って、金属棒14はカーペットの熱変形を規制する拘束手段として機能する。
【0025】
ここで、上記金属棒14は、カーペット裏面のベースシートとなるゴム層の厚みを大きくしてゴム層に内蔵しても良いし、繊維層とゴム層との境界に配設しても良い。また、金属棒14の代わりに中空のパイプあるいは長尺な金属板を内蔵しても良い。金属棒14の素材は一般的に使われる比較的安価なものであれば特に限定は無いが、曲がりにくいものあるいはゴムの熱変形に抗えるほどにズッシリと重いものが望ましい。
重量のある金属棒または金属板を使用する場合は、図2(B)に示すように、タイルカーペット12の四隅にのみ内蔵してもよい。また、直線的な棒の他、図2(C)に示すように、L字形に形成したものを使用するようにしてもよい。
【0026】
図3(A),(B)には、本発明に係るタイルカーペットのさらに他の実施例が示されている。
図1および図2では、カーペットの縁部がめくれ上がることを想定しているが、カーペットを構成する素材や厚み等によっては、熱変形によって中心部が盛り上がってドームのような形に変形することも考えられる。そこで、図3(A)に示す実施例では、タイルカーペット12の縦方向の中心線と横方向中心線に沿って、十字を形成するように金属棒14を内蔵している。十字の代わりにX状をなすように金属棒14を内蔵してもよい。
また、図3(B)に示す実施例では、タイルカーペット12の中央に、重量のある重し15を内蔵して、熱変形によって中心部が盛り上がるのを防止するようにしている。従って、重し15もカーペットの熱変形を規制する拘束手段として機能する。
【0027】
次に、タイルカーペットの縁部(特に4隅)がめくれ上がらないように敷設するための技術を説明する。
このような技術としては、例えば下層のOAフロアの材質にも依るが、頭が出っ張らないように工夫されたピンあるいは釘を、タイルカーペットを貫通して下層のOAフロアまで刺し込んで固定する方法がある。
また、図4に示すように、隣り合うカーペットの最も外側の貫通孔12c同士を、針金あるいはワイヤー入りテープ(ワイヤータイ)16で結び付け、ねじった余りはカーペットの裏に隠すようにしても良い。なお、通常の結束バンドはプラスチック製であり燃えやすいので不適であるが、難燃性の材料で形成された結束バンドであれば、それを使用して隣り合うカーペット同士を結び付けるようにしてもよい。
【0028】
図5には、本発明に係るタイルカーペットを使用して防炎機能を有する床構造を構成するのに適したOAフロア用パネルの構成例が示されている。
図5のOAフロア用パネル11は、可燃性液体を下方へ落ち易くするため多数の三角形の穴を設けたパネル部11Cの下面に所定の間隔で脚部11Dを設けたものである。
【0029】
図5に示すOAフロア用パネルの高さは、20mm以上100mm以下が望ましく、より望ましい高さは30mm以上80mm以下であり、最も望ましい高さは50mm前後である。望ましくは、床面からその裏面までの高さが50mm前後確保されているのが良い。
また、OAフロア用パネル11の材料は、製造性およびコストの観点から難燃性樹脂が望ましい。なお、パネル部11Cの三角形の穴の大きさは、縦と横の寸法がそれぞれ10~20mmである。
【0030】
さらに、パネル部11Cの三角形の穴の内側に、編み目が形成されていても良い。その場合、可燃性液体を下方へ落ち易くするため、編み目部分の厚みは、格子状をなす骨部分の厚みよりも薄くなるように設定される。
また、本実施例のOAフロア用パネル11にあっては、パネル部11Cは、穴の大きさすなわち開口率が比較的小さく強度が高いため、パネル部11Cの厚みは脚部11Dの高さと同一もしくは小さく設定されているが、パネル部11Cの穴の大きさ(開口率)が図示のものよりも大きい場合には、パネル部11Cの厚みは脚部11Dの高さよりも大きく設定されても良い。さらに、パネル部11Cの穴の形状は三角形に限定されず、四角形等の多角形あるいは円形等任意の形状とすることができる。
【0031】
上記のように、本実施形態のタイルカーペットによれば、カーペットの上にガソリンが撒かれて着火されたとしても、撒かれたガソリンはカーペットを透過して下方の空間へ落下するため、発生した炎の火勢はすぐに弱くなり、最低限避難は可能な程度にまで火勢を抑えることができる。
また、カーペットに熱変形を規制する拘束手段として金属棒14や重し15を設けているため、カーペットの上に撒かれたガソリンが燃えて熱が継続して発生しても、カーペットの一部が持ち上がるのを防止することができる。その結果、カーペットの下方から気化したガソリンが立ち上って着火し火勢が強くなるのを抑制することができる。
【0032】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態のような構造に限定されるものでない。例えば上記実施形態では、ベースシートと繊維層に同じように貫通孔12cが形成されていると説明したが、ベースシートには繊維層よりも多くの貫通孔12cを形成あるいはベースシートにのみ貫通孔12cを形成するようにしても良い。
また、上記実施形態では、ベースシートとしてゴム層を使用したカーペットについて説明したが、ベースシートはゴム層に限定されず、耐熱性を有し繊維層に比べて耐久性の高い材料であればどのような材料で形成されたものであっても良い。そして、その材料が可燃性液体に対して浸透性を有するものであれば、貫通孔12cを省略することができる。
【符号の説明】
【0033】
11 スノコ
11C パネル部
11D 脚部
12 カーペット
12A 繊維層
12B ベースシート
12c 貫通孔
13A,13B 両面テープ
13c 剥離紙
14 金属棒(拘束手段)
15 重し(拘束手段)
16 ワイヤー入りテープ(結合手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6