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特開2024-120223異常ノズル検出装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120223
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】異常ノズル検出装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240829BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J29/393 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026876
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】川島 正裕
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB08
2C056EB27
2C056EB40
2C056FA13
2C056HA58
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061KK13
2C061KK26
2C061KK28
(57)【要約】
【課題】白スジの原因である着弾位置異常ノズルを適切に検出することができる着弾異常検出装置、方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】液体を吐出する複数のノズルが配列された吐出ヘッドから液体を吐出することによって得られたテストパターンであって、ノズルの配列方向に並べられた少なくとも3本の線を有するグループを、ノズルの配列方向にずらしながら、ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得するテスト画像データ取得部61と、ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループのテスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、上記直交する方向に連続する白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する異常ノズル検出部62とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルが配列された吐出ヘッドから前記液体を吐出することによって得られたテストパターンであって、前記ノズルの配列方向に並べられた少なくとも3本の線を有するグループを、前記ノズルの配列方向にずらしながら、前記ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得するテスト画像データ取得部と、
前記ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループの前記テスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、前記直交する方向に連続する前記白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する異常ノズル検出部とを備えた異常ノズル検出装置。
【請求項2】
前記異常ノズル検出部が、前記白スジを含むテスト画像データが、前記直交する方向についてM番目とM+1番目で連続する場合には、前記M番目のテスト画像データにおける前記白スジから一方の端部までの第1の距離と、前記M+1番目のテスト画像データにおける前記白スジから前記一方とは逆の他方の端部までの第2の距離との差に基づいて、前記着弾位置異常ノズルを検出する請求項1記載の異常ノズル検出装置。
【請求項3】
前記異常ノズル検出部が、前記第1の距離と前記第2の距離との差の絶対値が、予め設定された閾値よりも小さい場合には、前記M番目のテスト画像データとM―1番目のテスト画像データとの前記直交する方向についてのずれ量と、前記M+1番目のテスト画像データと前記M番目のテスト画像データとの前記直交する方向についてのずれ量とに基づいて、前記着弾位置異常ノズルを検出する請求項2記載の異常ノズル検出装置。
【請求項4】
前記異常ノズル検出部が、前記白スジを含むテスト画像データが、前記直交する方向について連続せず、一箇所だけ特定された場合には、該特定したテスト画像データに基づいて、不吐出ノズルを検出する請求項1記載の異常ノズル検出装置。
【請求項5】
液体を吐出する複数のノズルが配列された吐出ヘッドから前記液体を吐出することによって得られたテストパターンであって、前記ノズルの配列方向に配列された少なくとも3本の線のグループを、前記ノズルの配列方向にずらしながら、前記ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得し、
前記ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループの前記テスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、前記直交する方向に連続する前記白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する異常ノズル検出方法。
【請求項6】
液体を吐出する複数のノズルが配列された吐出ヘッドから前記液体を吐出することによって得られたテストパターンであって、前記ノズルの配列方向に配列された少なくとも3本の線のグループを、前記ノズルの配列方向にずらしながら、前記ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得するステップと、
前記ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループの前記テスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、前記直交する方向に連続する前記白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出するステップとをコンピュータに実行させる異常ノズル検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ヘッドにおける着弾位置が異常な着弾位置異常ノズルを検出する異常ノズル検出装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送経路上を搬送される印刷媒体に対して、インクジェットヘッドからインクを吐出して印刷処理を行うインクジェット印刷装置が提案されている。
【0003】
インクジェット印刷装置においては、インクジェットヘッドの不具合などに起因して、インクジェットヘッドから印刷媒体に吐出されたインクの着弾位置が、設計した理想的な着弾位置からずれる場合がある。このようなインクの着弾位置異常が生じた場合、印刷画像の品質低下を招く。
【0004】
上述したようなインクの着弾位置異常を検出する方法として、たとえば特許文献1には、実際にテストパターンを印刷し、そのテストパターンと理想的な仮想着弾位置に基づいて、着弾位置異常を検出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-264041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1においては、仮想着弾位置からのずれ量によって補正対象ノズルを検出している。
【0007】
しかしながら、実際には、着弾位置異常ノズルの着弾位置は、左方向へずれたり、右方向にずれたりし、着弾位置は様々である。そのため、実際の着弾位置が仮想着弾位置からずれていたとしても、印刷画像として白スジになるとは限らない。
【0008】
たとえば図8Aに示す線の位置が仮想着弾位置とし、図8Bが実際の印刷したテストパターンであるとすると、テストパターンを印字するほとんどのノズル群が仮想着弾位置よりも右にずれ、1つのノズルA1だけが仮想着弾位置のままだったとすると、画質としてはノズルA1の隣に白スジが現れる。
【0009】
しかし、ノズルA1は、仮想着弾位置からのずれ量では正常であるため、実際の白スジの原因であるノズルA1を着弾位置異常ノズルとして検出することができない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、白スジの原因である着弾位置異常ノズルを適切に検出することができる着弾異常検出装置、方法およびプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の異常ノズル検出装置は、液体を吐出する複数のノズルが配列された吐出ヘッドから液体を吐出することによって得られたテストパターンであって、ノズルの配列方向に並べられた少なくとも3本の線を有するグループを、ノズルの配列方向にずらしながら、ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得するテスト画像データ取得部と、ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループのテスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、上記直交する方向に連続する白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する異常ノズル検出部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の異常ノズル検出装置によれば、ノズルの配列方向に並べられた少なくとも3本の線を有するグループを、ノズルの配列方向にずらしながら、ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得し、ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループのテスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、上記直交する方向に連続する白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出するようにしたので、従来のように、仮想着弾位置に依存せず、実際のテストパターンに現れる白スジに対して着弾位置異常ノズルを検出するため、白スジの原因となる着弾位置異常ノズルを適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の異常ノズル検出装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置の概略構成を示す図
図2】ヘッドユニットの上面図
図3図1に示すインクジェット印刷装置の制御系の概略構成を示すブロック図
図4】テストパターンの一例を示す図
図5】着弾位置異常ノズルを検出する方法を説明するための説明図
図6】着弾位置異常ノズルを検出する方法を説明するための説明図
図7】不吐出ノズルを検出方法を説明するための説明図
図8】従来の着弾位置異常ノズルの検出方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の異常ノズル検出装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置について詳細に説明する。本実施形態のインクジェット印刷装置は、インクジェットヘッドにおける着弾位置異常ノズルを検出する方法に特徴を有するものであるが、まずは、その全体構成について説明する。図1は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の概略構成を示す図である。なお、図1に示す上下左右方向が、本実施形態のインクジェット印刷装置1の上下左右方向である。また、図1の紙面手前側が前方向であり、紙面奥側が後方向であり、前後方向が、後述するインクジェットヘッドのノズルの配列方向である。また、左右方向が、後述するインクジェットヘッドのノズルの配列方向に直交する方向である。
【0015】
本実施形態のインクジェット印刷装置1は、図1に示すように、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷処理部30と、排紙部40と、反転部50と、制御部60と、操作パネル70と、スキャナ部80とを備えている。
【0016】
印刷処理部30、内部給紙部20および制御部60は、金属または樹脂などから形成された筐体内に収容されて設置されている。また、サイド給紙部10、排紙部40および反転部50は、筐体内に一部が収容され、筐体外に一部が突出する状態で設置されている。また、スキャナ部80は、筐体の上面に設置されている。
【0017】
サイド給紙部10は、印刷媒体Pが載置される給紙台11と、給紙台11から最上位置の印刷媒体Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部12と、1次給紙部12によって搬送された印刷媒体Pを循環搬送路CR上へ搬送する2次給紙部14とを備えている。
【0018】
内部給紙部20は、印刷媒体Pが載置される給紙台21aと、給紙台21aから最上位置の印刷媒体Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22aと、印刷媒体Pが載置される給紙台21bと、給紙台21bから最上位置の印刷媒体Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22bと、印刷媒体Pが載置される給紙台21cと、給紙台21cから最上位置の印刷媒体Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22cと、印刷媒体Pが載置される給紙台21dと、給紙台21dから最上位置の印刷媒体Pのみを繰り出して給紙搬送路FR上へ搬送させる1次給紙部22dとを備えている。
【0019】
このように2次給紙部14には、サイド給紙部10または内部給紙部20から印刷媒体Pが搬送されるとともに、さらに後述する反転部50からも印刷媒体Pが搬送される。
【0020】
そのため搬送方向における2次給紙部14の手前には、内部給紙部20から給紙された印刷媒体Pの搬送経路と、反転部50から搬送された一方の面が印刷された印刷媒体Pの搬送経路とが合流する合流地点が存在する。この合流地点を基準に、給紙機構側の経路を給紙搬送路FRと呼び、それ以外の経路を循環搬送路CRと呼ぶ。
【0021】
印刷処理部30は、ヘッドユニット31と、ヘッドユニット31に対向して設けられた環状の搬送ベルト133とを備えている。
【0022】
搬送ベルト133は、環状の無端ベルトから形成され、多数の吸引孔が形成されている。2次給紙部14から給紙された印刷媒体Pは、環状の搬送ベルト133まで搬送される。そして、印刷媒体Pは、搬送ベルト133の搬送路面の裏面側に設置された吸引ファン131,132の吸引によって搬送ベルト133上に吸着され、所定の搬送速度で搬送される。そして、印刷媒体Pが搬送ベルト133によって搬送されながら、ヘッドユニット31から印刷媒体Pに対してインクが吐出され、これにより印刷媒体Pに対して印刷処理が施される。
【0023】
ヘッドユニット31は、4つのラインヘッド32a,32b,32c,32dと、4つのラインヘッド32a,32b,32c,32dが設置されるヘッドホルダ33を備えている。各ラインヘッド32a~32dは、それぞれ印刷媒体Pの搬送方向(移動方向)に直交する方向に延設されるものであり、搬送ベルト133によって搬送される印刷媒体Pに対してインクを吐出するものである。4つのラインヘッド32a~32dは、図1に示すように、印刷媒体Pの搬送経路に沿って所定の間隔を空けて配列されている。4つのラインヘッド32a~32dは、それぞれ異なる色(例えばブラック、シアン、マゼンタおよびイエロー)のインクを吐出するものである。
【0024】
ヘッドホルダ33は、各ラインヘッド32a~32dを構成するインクジェットヘッド34が設置される部材である。図2は、各ラインヘッド32a~32dを構成するインクジェットヘッド34をヘッドホルダ33に設置した状態を上方から見た上面図である。
【0025】
ヘッドホルダ33は、箱型の支持部材から構成されており、ヘッドホルダ33の底面には、各インクジェットヘッド34が嵌め込まれて設置される複数の設置孔が形成されている。設置孔は貫通孔であって、各インクジェットヘッド34のインク吐出面がヘッドホルダ33の底面外側に露出して配置されるように形成されている。
【0026】
各インクジェットヘッド34は、印刷媒体Pに対してインクを吐出する複数のノズルを有し、その複数のノズルは、印刷媒体Pの搬送方向に直交する方向に配列されている。
【0027】
図2に示す点線四角は、各ラインヘッド32a~32dを構成する6つのインクジェットヘッド34が配置される範囲を示している。
【0028】
図2に示すように、各ラインヘッド32a~32dは、印刷媒体Pの搬送方向に直交する方向(前後方向)に3つのインクジェットヘッド34が等間隔で配置されたヘッド列を2列有し、その2列のヘッド列が所定のノズル数だけオーバーラップするように千鳥状に配置されている。
【0029】
たとえばラインヘッド32aを構成する上述した2列のヘッド列から、ヘッド列間の距離に応じた異なるタイミングでインクが吐出され、その結果、ラインヘッド32aを構成する6つのインクジェットヘッド34によって、搬送方向に直交する方向に延びる1本の直線が印字される。その他のラインヘッド32b~32dについても同様である。
【0030】
印刷処理部30により印刷された印刷媒体Pは、循環搬送路CR上に配置された搬送ローラ等によって循環搬送路CR上を搬送される。循環搬送路CR上には、循環搬送路CR上を搬送された印刷媒体Pを排紙部40へ案内するか、または循環搬送路CR上を再循環させるかを切り替える切り替え機構43が備えられている。切り替え機構43は、具体的には、排紙部40側の搬送経路と反転部50側の搬送経路とを切り替える。
【0031】
排紙部40は、インクジェット印刷装置1の筐体から突出したトレイ形状をした排紙台41と、排紙台41に印刷媒体Pを排紙する一対の排紙ローラ42とを有する。そして、切り替え機構43により排紙部40側の搬送経路に案内された印刷媒体Pは、排紙ローラ42により排紙台41に排紙される。
【0032】
反転部50は、印刷媒体Pを反転させる反転台51と、循環搬送路CRから反転台51へ印刷媒体Pを搬送するとともに、その反転台51に搬送された印刷媒体Pを循環搬送路CR上へ再び戻す反転ローラ52とを備えている。
【0033】
切り替え機構43により反転部50に案内された印刷媒体Pは、反転ローラ52により循環搬送路CRから反転台51に搬送され、反転台51から循環搬送路CRへ再び戻されることによって、表裏が反転した状態で循環搬送路CR上を搬送される。そして、表裏が反転された印刷媒体Pは、循環搬送路CR上に設けられた搬送ローラ53等の複数のローラによって印刷処理部30へ向かって再び搬送される。
【0034】
操作パネル70は、液晶ディスプレイを有するタッチパネルから構成されるものであり、種々の設定入力画面を表示し、印刷開始の指示入力などの種々の設定入力を受け付ける。また、操作パネル70は、着弾位置異常ノズルが検出された場合に、その着弾位置異常ノズルに関する情報を表示する。
【0035】
スキャナ部80は、印刷媒体Pに印刷された印刷画像を光電的に読み取って読取画像データを取得し、その読取画像データを制御部60に出力する。本実施形態のスキャナ部80は、着弾異常ノズルを検出するためのテストパターンが印刷された印刷媒体Pを読み取り、その読み取ったテスト画像データを制御部60に出力する。テストパターンについては、後で詳述する。
【0036】
図3は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0037】
制御部60は、インクジェット印刷装置1全体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリおよびハードディスクなどを備えている。制御部60は、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶されたプログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって、インクジェット印刷装置1の各部の動作を制御するものである。
【0038】
特に、本実施形態の制御部60は、上述したようにスキャナ部80から出力されたテストパターンのテスト画像データを取得し、その取得したテスト画像データに基づいて、各インクジェットヘッド34における着弾位置異常ノズルを検出する。
【0039】
具体的には、制御部60は、図3に示すように、テスト画像データ取得部61と、異常ノズル検出部62とを備えている。
【0040】
テスト画像データ取得部61は、テストパターンをスキャナ部80によって読み取ったテスト画像データを取得する。
【0041】
ここで、テストパターンの一例について説明する。図4は、着弾位置異常ノズルを検出するためのテストパターンの一例を示す図である。図4は、着弾位置異常ノズルが存在しない場合のテストパターンである。
【0042】
本実施形態のテストパターンは、図4に示すように、インクジェットヘッド34のノズルの配列方向(印刷媒体Pの搬送方向に直交する方向)に並べられた3本の線を有するグループG1~G5が、印刷媒体Pの搬送方向に複数配列されたテストパターンである。なお、図4においては、1番上の3本の線以外は、長さを短くして正方形状に示しているが、実際には全て同じ長さである。また、図4では、5つのグループG1~G5を示しているが、実際には各ラインヘッド32a~32dのノズルの数に応じた数だけグループが形成される。
【0043】
そして、図4に示すように、3本の線のグループG1~G5は、ノズルの配列方向に1本ずつずらしながら、ノズルの配列方向に直交する方向(印刷媒体Pの搬送方向)について複数配列されている。
【0044】
また、図4に示すように、グループG1~G5にはM-2~M+3のグループ番号が付されており、印刷媒体Pの搬送方向に沿って順番に付される。
【0045】
そして、本実施形態では、各グループG1~G5の真ん中の線を描くノズルの番号を、そのグループの番号と同じ番号とする。具体的には、グループG1の真ん中の線を描くノズルの番号は、グループG1のグループ番号であるM-2となり、グループG2の真ん中の線を描くノズルの番号は、グループG2のグループ番号であるM-1となり、グループG3の真ん中の線を描くノズルの番号は、グループG3のグループ番号であるMとなり、グループG4の真ん中の線を描くノズルの番号は、グループG4のグループ番号であるM+1となる。
【0046】
また、テストパターンは、各ラインヘッド32a~32d毎に印刷される。
【0047】
テスト画像データ取得部61は、図4に示すようなテストパターンをスキャナ部80によって読み取ったテスト画像データを取得する。
【0048】
次に、異常ノズル検出部62は、テスト画像データ取得部61によって取得されたテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する。
【0049】
具体的には、異常ノズル検出部62は、図4に示すテストパターンを読み取ったテスト画像データをグループ番号が小さい方から走査し、各グループのテスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定する。そして、異常ノズル検出部62は、白スジを含むテスト画像データが、ノズルの配列方向に直交する方向(印刷媒体Pの搬送方向)について連続する場合に、着弾位置異常ノズルが存在すると判定して、その連続する白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する。
【0050】
なお、白スジを含むテスト画像データが連続するとは、各グループのテスト画像データをグループ番号が小さい方から走査した場合に、2つの白スジを含むテスト画像データの間に、他の白スジを含まないグループのテスト画像データが存在しないことを意味する。
【0051】
図5Aおよび図5Bは、着弾位置異常ノズルが発生している場合のテスト画像データの一例を示す図である。
【0052】
図5Aは、ノズルMが着弾位置ずれを発生している場合のテスト画像データを示しており、図5Bは、ノズルM+1が着弾位置ずれを発生している場合のテスト画像データを示している。図5A図5Bでは、ノズルMまたはノズルM+1の着弾位置ずれが発生しているために、白スジが発生する。
【0053】
ただし、図5Aおよび図5Bのテストパターンを見ただけでは、白スジの左側のノズルMが着弾位置ずれを発生しているのか、白スジの右側のノズルM+1が着弾位置ずれを発生しているのか判断することができない。
【0054】
そこで、本実施形態においては、異常ノズル検出部62は、図5Aおよび図5Bに示すように、白スジを含むテスト画像データが2つ連続する場合には、グループ番号が小さい方のグループのテスト画像データの白スジから左端までの第1の距離L1と、グループ番号が大きい方のグループのテスト画像データの白スジから右端までの第2の距離L2とを計測し、第1の距離L1と第2の距離L2との差に基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する。
【0055】
具体的には、異常ノズル検出部62は、図5Aおよび図5Bに示すように、白スジを含むテスト画像データが、M番目とM+1番目で連続する場合には、M番目のテスト画像データにおける白スジから左端までの第1の距離L1と、M+1番目のテスト画像データにおける白スジから右端までの第2の距離L2とを計測し、第1の距離L1と第2の距離L2との差に基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する。
【0056】
そして、異常ノズル検出部62は、第1の距離L1と第2の距離L2が、
|L1-L2|>閾値であって、かつL2>L1である場合には、すなわち図5Aに示す例の場合には、ノズル番号Mのノズルを着弾位置異常ノズルとして検出する。
【0057】
また、異常ノズル検出部62は、第1の距離L1と第2の距離L2が、
|L1-L2|>閾値であって、かつL1>L2である場合には、すなわち図5Bに示す例の場合には、ノズル番号M+1のノズルを着弾位置異常ノズルとして検出する。
【0058】
上記閾値は予め設定される値であるが、|L1-L2|≦閾値である場合には、第1の距離L1と第2の距離L2との差が非常に小さいので、この差だけではノズル番号Mのノズルが着弾位置異常ノズルなのか、ノズル番号M+1のノズルが着弾位置異常ノズルなのか識別することが難しい場合がある。
【0059】
そこで、異常ノズル検出部62は、|L1-L2|≦閾値である場合には、白スジが発生しているグループのテスト画像データについて、ノズルの配列方向に直交する方向(印刷媒体Pの搬送方向)についてずれ量を確認し、着弾位置異常ノズルを検出する。これは、着弾位置異常ノズルの着弾位置は、ノズルの配列方向についてずれるだけなく、ノズルの配列方向に直交する方向にもずれている可能性が高いからである。
【0060】
異常ノズル検出部62は、上述したように白スジを含むテスト画像データが、M番目とM+1番目で連続する場合には、図6Aおよび図6Bに示すように、M番目のテスト画像データとM-1番目のテスト画像データとのノズルの配列方向に直交する方向(印刷媒体Pの搬送方向)についての第1のずれ量H1と、M+1番目のテスト画像データとM番目のテスト画像データとのノズルの配列方向に直交する方向についての第2のずれ量H2とに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する。
【0061】
本実施形態においては、異常ノズル検出部62は、第1のずれ量H1として、M-1番目のテスト画像データの一番左の線の下端からM番目のテスト画像データの一番左の線の下端までの距離を計測する。また、異常ノズル検出部62は、第2のずれ量H2として、M番目のテスト画像データの一番左の線の下端からM+1番目のテスト画像データの一番左の線の下端までの距離を計測する。
【0062】
そして、異常ノズル検出部62は、H2>H1である場合には、すなわち図6Aに示すようなテスト画像データである場合には、ノズル番号Mのノズルを着弾位置異常ノズルとして検出する。また、異常ノズル検出部62は、H1≧H2である場合には、すなわち図6Bに示すようなテスト画像データである場合には、ノズル番号M+1のノズルを着弾位置異常ノズルとして検出する。
【0063】
また、本実施形態の異常ノズル検出部62は、着弾位置異常ノズルだけでなく、不吐出ノズルも検出する。具体的には、異常ノズル検出部62は、図7に示すように、白スジを含むテスト画像データが、ノズルの配列方向に直交する方向について連続せず、一箇所だけ特定された場合には、その特定したテスト画像データに基づいて、不吐出ノズルを検出する。異常ノズル検出部62は、たとえば図7に示すように、M番目のテスト画像データのみに白スジが発生している場合には、ノズル番号Mのノズルを不吐出ノズルとして検出する。
【0064】
異常ノズル検出部62によって検出された着弾位置異常ノズルの位置情報と不吐出ノズルの位置情報は、上述したように、操作パネル70に表示される。
【0065】
また、上述した着弾位置異常ノズルと不吐出ノズルについては、その両隣のノズルのインク量を増加させることによって、白スジを低減させる補正を行うようにしてもよい。
【0066】
上記実施形態のインクジェット印刷装置1によれば、3本の線を有するグループを、ノズルの配列方向にずらしながら、ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得し、ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループのテスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、上記直交する方向に連続する白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出するようにしたので、従来のように、仮想着弾位置に依存せず、実際のテストパターンに現れる白スジに対して着弾位置異常ノズルを検出するため、白スジの原因となる着弾位置異常ノズルを適切に検出することができる。
【0067】
また、白スジを含むテスト画像データが、上記直交する方向についてM番目とM+1番目で連続する場合には、M番目のテスト画像データにおける白スジから一方の端までの第1の距離L1と、M+1番目のテスト画像データにおける白スジから一方とは逆の他方の端までの第2の距離L2との差に基づいて、着弾位置異常ノズルを検出するようにしたので、簡易な計測および演算処理によって、着弾位置異常ノズルを検出することができる。
【0068】
また、第1の距離L1と第2の距離L2との差の絶対値が、予め設定された閾値よりも小さい場合には、M番目のテスト画像データとM―1番目のテスト画像データとの上記直交する方向についての第1のずれ量H1と、M+1番目のテスト画像データとM番目のテスト画像データとの上記直交する方向についての第2のずれ量H2とに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出するようにしたので、白スジが細い場合でも、着弾位置異常ノズルを検出することができる。
【0069】
また、白スジを含むテスト画像データが、上記直交する方向について連続せず、一箇所だけ特定された場合には、その特定したテスト画像データに基づいて、不吐出ノズルを検出するようにしたので、同じテストパターンで、着弾位置異常ノズルと不吐出ノズルとの両方を検出することができる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【0071】
本発明に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
本発明の異常ノズル検出装置は、液体を吐出する複数のノズルが配列された吐出ヘッドから液体を吐出することによって得られたテストパターンであって、ノズルの配列方向に並べられた少なくとも3本の線を有するグループを、ノズルの配列方向にずらしながら、ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得するテスト画像データ取得部と、ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループのテスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、上記直交する方向に連続する白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する異常ノズル検出部とを備える。
【0072】
(付記2)
また、付記1記載の異常ノズル検出装置において、異常ノズル検出部は、白スジを含むテスト画像データが、上記直交する方向についてM番目とM+1番目で連続する場合には、M番目のテスト画像データにおける白スジから一方の端部までの第1の距離と、M+1番目のテスト画像データにおける白スジから一方とは逆の他方の端部までの第2の距離との差に基づいて、着弾位置異常ノズルを検出することができる。
【0073】
(付記3)
また、付記2記載の異常ノズル検出装置において、異常ノズル検出部は、第1の距離と第2の距離との差の絶対値が、予め設定された閾値よりも小さい場合には、M番目のテスト画像データとM―1番目のテスト画像データとの上記直交する方向についての第1のずれ量と、M+1番目のテスト画像データとM番目のテスト画像データとの上記直交する方向についての第2のずれ量とに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出することができる。
【0074】
(付記4)
また、付記1から付記3いずれかに記載の異常ノズル検出装置において、異常ノズル検出部は、白スジを含むテスト画像データが、上記直交する方向について連続せず、一箇所だけ特定された場合には、該特定したテスト画像データに基づいて、不吐出ノズルを検出することができる。
【0075】
(付記5)
本発明の異常ノズル検出方法は、液体を吐出する複数のノズルが配列された吐出ヘッドから前記液体を吐出することによって得られたテストパターンであって、前記ノズルの配列方向に配列された少なくとも3本の線のグループを、前記ノズルの配列方向にずらしながら、前記ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得し、前記ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループの前記テスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、前記直交する方向に連続する前記白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出する。
【0076】
(付記6)
本発明の異常ノズル検出プログラムは、液体を吐出する複数のノズルが配列された吐出ヘッドから前記液体を吐出することによって得られたテストパターンであって、前記ノズルの配列方向に配列された少なくとも3本の線のグループを、前記ノズルの配列方向にずらしながら、前記ノズルの配列方向に直交する方向について複数配列したテストパターンを読み取ってテスト画像データを取得するステップと、前記ノズルの配列方向に直交する方向に配列された各グループの前記テスト画像データのうち、白スジを含むテスト画像データを特定し、前記直交する方向に連続する前記白スジを含むテスト画像データに基づいて、着弾位置異常ノズルを検出するステップとをコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0077】
1 インクジェット印刷装置
10 サイド給紙部
11 給紙台
12 1次給紙部
14 2次給紙部
20 内部給紙部
21a~21d 給紙台
22a~22d 1次給紙部
30 印刷処理部
31 ヘッドユニット
32a~32d ラインヘッド
33 ヘッドホルダ
34 インクジェットヘッド
40 排紙部
41 排紙台
42 排紙ローラ
43 切り替え機構
50 反転部
51 反転台
52 反転ローラ
53 搬送ローラ
60 制御部
61 テスト画像データ取得部
62 異常ノズル検出部
70 操作パネル
80 スキャナ部
131,132 吸引ファン
133 搬送ベルト
A1 ノズル
CR 循環搬送路
FR 給紙搬送路
G1~G5 ノズルグループ
P 印刷媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8