(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012023
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】乗物用内装部材
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240118BHJP
B60N 2/879 20180101ALI20240118BHJP
B60N 2/02 20060101ALI20240118BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20240118BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20240118BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20240118BHJP
A61B 5/097 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/879
B60N2/02
A47C7/62 Z
B60R13/02 Z
G01N33/497 A
A61B5/097
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157058
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/388,713
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
【テーマコード(参考)】
2G045
3B084
3B087
3D023
4C038
【Fターム(参考)】
2G045CB22
2G045FA34
3B084JA06
3B084JC01
3B087AA01
3B087DE08
3B087DE10
3D023BA01
3D023BB01
3D023BC01
3D023BD28
4C038SU17
4C038VA07
(57)【要約】
【課題】外見上の身体的特徴が変化しても乗員の個人認証をすることが可能な個認証装置を備える乗物用内装部材を提供する。
【解決手段】乗物用内装部材Mは、乗物Vに設けられる乗物用内装部材Mであって、乗物Vに乗車した乗員Hの呼気の成分を測定する嗅覚センサ11を有する測定器10と、測定器10と接続され、嗅覚センサ11が測定した測定結果と予め登録されている乗員識別情報とを照合して個人認証する判定部32を有する制御コントローラ30と、を有する個人認証装置1を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に設けられる乗物用内装部材であって、
前記乗物に乗車した乗員の呼気の成分を測定する嗅覚センサを有する測定器と、
該測定器と接続され、前記嗅覚センサが測定した測定結果と予め登録されている乗員識別情報とを照合して前記乗員を特定し個人認証する判定部を有する制御コントローラと、を有する個人認証装置を備えたことを特徴とする乗物用内装部材。
【請求項2】
前記測定器は、前記乗員の呼気を吸引する呼気収集器を有することを特徴とする請求項1に記載の乗物用内装部材。
【請求項3】
前記乗員が着座する乗物用シートを備え、
前記測定器は、前記乗物用シートに設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗物用内装部材。
【請求項4】
前記測定器は、前記乗物用シートのうち、前記乗員が着座して接触する可能性がある部分を避けた位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の乗物用内装部材。
【請求項5】
前記乗物用シートは、前記乗員の背凭れとなるシートバックを有し、
前記測定器は、前記シートバックに配置されることを特徴とする請求項3に記載の乗物用内装部材。
【請求項6】
前記乗物用シートは、前記乗員の背凭れとなるシートバックと、該シートバックに設けられ前記乗員の頭部を支持するヘッドレストと、を有し、
前記測定器は、前記ヘッドレストに配置されることを特徴とする請求項3に記載の乗物用内装部材。
【請求項7】
前記ヘッドレストにはスピーカが設けられており、
前記測定器は、前記スピーカを避けた位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載の乗物用内装部材。
【請求項8】
前記ヘッドレストには前記シートバックからの脱着を可能にするロック解除ボタンが設けられており、
前記測定器は、前記ロック解除ボタンを避けた位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載の乗物用内装部材。
【請求項9】
前記乗物用シートは、前記乗物内における位置及び着座面の形状を変更する駆動装置を有し、
前記制御コントローラは、前記個人認証装置により得られた個人認証結果に基づき、前記駆動装置を用いて前記乗物用シートの位置及び前記着座面の形状を変更することを特徴とする請求項3に記載の乗物用内装部材。
【請求項10】
前記測定器は、前記乗物に乗車した前記乗員の生体情報を測定する、前記嗅覚センサとは別の第二センサを有し、
前記判定部は、前記嗅覚センサによる測定結果及び前記第二センサにより測定された測定結果と、前記乗員識別情報とを照合して前記乗員を特定することを特徴とする請求項1に記載の乗物用内装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗物用内装部材に係り、特に、個人認証装置を備えた乗物用内装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に個人認証装置を設け、車両に乗車した乗員を特定することが行われている。例えば、特許文献1には、飲酒運転を防止することを目的として、乗物内の空気中のアルコール濃度を測定するセンサが設けられた飲酒運転防止装置が開示されている。
飲酒運転防止装置では、乗員を特定するために、ダッシュボードに取り付けられた撮影カメラを用いた個人認証装置が設けられている。個人認証装置は、撮影した乗員の撮影データをリアルタイムで取得し、予め登録されている「乗員識別データ(例えば顔画像データ)」と照合することにより乗員を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される個人認証装置のように、撮影カメラの撮影データを基に乗員を特定する場合、外傷などの外見上の身体的特徴が変化すると、認証精度が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、外見上の身体的特徴が変化しても乗員の個人認証をすることが可能な個認証装置を備える乗物用内装部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の乗物用内装部材によれば、乗物に設けられる乗物用内装部材であって、前記乗物に乗車した乗員の呼気の成分を測定する嗅覚センサを有する測定器と、該測定器と接続され、前記嗅覚センサが測定した測定結果と予め登録されている乗員識別情報とを照合して個人認証する判定部を有する制御コントローラと、を有する個人認証装置を備えたことにより解決される。
【0007】
乗員の呼気の成分は、外見上の身体的特徴が変化しても変わり難い。乗物用内装部材が、乗員の呼気の成分を測定する嗅覚センサを有し、その測定結果を用いて乗員を特定し個人認証する個人認証装置を備えることにより、外見上の身体的特徴が変化しても乗員を特定し個人認証することが可能な乗物用内装部材を提供することができる。
【0008】
上記の乗物用内装部材において、前記測定器は、前記乗員の呼気を吸引する呼気収集器を有するとよい。
測定器が呼気収集器を有することで、乗員の呼気をより収集しやすくなり、より正確に呼気が測定されるようになるため、個人認証の認証精度を上げることができる。
【0009】
上記の乗物用内装部材において、前記乗員が着座する乗物用シートを備え、前記測定器は、前記乗物用シートに設けられるとよい。
乗員が着座する乗物用シートに測定器を設けることで、乗員の呼気をより収集しやすくなり、より正確に呼気が測定されるようになるため、個人認証の認証精度を上げることができる。
【0010】
また、上記の乗物用内装部材において、前記測定器は、前記乗物用シートのうち、前記乗員が着座して接触する可能性がある接触部分を避けた位置に配置されるとよい。
測定器を乗員と接触する可能性がある接触部分を避けた位置に配置することで、乗員による呼気収集の妨げが抑制され、より正確に個人認証を実施することができる。
【0011】
また、上記の乗物用内装部材において、前記乗物用シートは、前記乗員の背凭れとなるシートバックを有し、前記測定器は、前記シートバックに配置されるとよい。
シートバックに測定器を配置することで、乗員が呼気を排出する口及び鼻と測定器との距離が近づくことから、乗員の呼気を収集しやすくなり、より正確な個人認証を実施することができる。
【0012】
また、上記の乗物用内装部材において、前記乗物用シートは、前記乗員の背凭れとなるシートバックと、該シートバックに設けられ前記乗員の頭部を支持するヘッドレストと、を有し、前記測定器は、前記ヘッドレストに配置されるとよい。
ヘッドレストに測定器を配置することで、乗員が呼気を排出する口又は鼻と測定器との距離が近づくことから、乗員の呼気を収集しやすくなり、より正確な個人認証を実施することができる。
【0013】
また、上記の乗物用内装部材において、前記ヘッドレストには、スピーカが設けられており、前記測定器は、前記スピーカを避けた位置に設けられるとよい。
測定器がスピーカを避けた位置に設けられることで、スピーカから出る音の音圧による呼気への影響が小さくなり、個人認証の認証精度を上げることができる。
【0014】
また、上記の乗物用内装部材において、前記ヘッドレストには前記シートバックからの脱着を可能にするロック解除ボタンが設けられており、前記測定器は、前記ロック解除ボタンを避けた位置に設けられるとよい。
測定器がロック解除ボタンを避けた位置に設けられることで、測定器のヘッドレスト内への組み込みが容易になる。
【0015】
また、上記の乗物用内装部材において、前記乗物用シートは、前記乗物内における位置及び着座面の形状を変更する駆動装置を有し、前記制御コントローラは、前記個人認証装置により得られた個人認証結果に基づき、前記駆動装置を用いて前記乗物用シートの位置又は前記着座面の形状を変更するとよい。
呼気に基づいて個人認証を行い、乗物用シートの位置又は着座面の形状を変更することで、より簡単に、乗員を快適な位置又は姿勢にすることができる。
【0016】
また、上記の乗物用内装部材において、前記測定器は、前記乗員の生体情報を測定する、前記嗅覚センサとは別の第二センサを有し、前記判定部は、前記嗅覚センサにより測定された測定結果と、前記第二センサにより測定された測定結果と、前記予め記憶された乗員の乗員識別情報と、に基づいて個人認証を行うとよい。
第二センサにより測定された測定結果と組み合わせることにより、個人認証の認証精度を上げることができる。
【発明の効果】
【0017】
乗員の呼気の成分は、外見上の身体的特徴が変化しても変わり難い。乗物用内装部材が、乗員の呼気の成分を測定する嗅覚センサを有し、その測定結果を用いて乗員を特定し個人認証する個人認証装置を備えることにより、外見上の身体的特徴が変化しても乗員を特定し個人認証することが可能な乗物用内装部材を提供することができる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、測定器が呼気収集器を有することで、乗員の呼気をより収集しやすくなり、より正確に呼気が測定されるようになるため、個人認証の認証精度を上げることができる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、乗員が着座する乗物用シートに測定器を設けることで、乗員の呼気をより収集しやすくなり、より正確に呼気が測定されるようになるため、個人認証の認証精度を上げることができる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、測定器を乗員と接触する可能性がある接触部分を避けた位置に配置することで、乗員による呼気収集の妨げが抑制され、より正確に個人認証を実施することができる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、シートバックに測定器を配置することで、乗員が呼気を排出する口及び鼻と測定器との距離が近づくことから、乗員の呼気を収集しやすくなり、より正確な個人認証を実施することができる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、ヘッドレストに測定器を配置することで、乗員が呼気を排出する口又は鼻と測定器との距離が近づくことから、乗員の呼気を収集しやすくなり、より正確な個人認証を実施することができる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、測定器がスピーカを避けた位置に設けられることで、スピーカから出る音の音圧による呼気への影響が小さくなり、個人認証の認証精度を上げることができる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、測定器がロック解除ボタンを避けた位置に設けられることで、測定器のヘッドレスト内への組み込みが容易になる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、呼気に基づいて個人認証を行い、乗物用シートの位置又は着座面の形状を変更することで、より簡単に、乗員を快適な位置又は姿勢にすることができる。
また、本発明の乗物用内装部材によれば、第二センサにより測定された測定結果と組み合わせることにより、個人認証の認証精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、個人認証装置を備えた乗物用内装部材の全体構成を示す図である。
【
図2】乗物用内装部材に設けられる個人認証装置のハード構成及びソフト構成を示すブロック図である。
【
図4】測定器の位置を示す乗物用シート及びドアの斜視図である。
【
図5】測定器が側部に配置されたヘッドレストの斜視図である
【
図6】測定器が前面に配置されたヘッドレストの別例を示す斜視図である。
【
図7】スピーカの周囲に測定器が配置されたヘッドレストを示す斜視図である。
【
図8】測定器が背面に配置されたシートバックの背面図である。
【
図9】測定器が背面に配置されたシートバックの別例を示す背面図である。
【
図11】個人認証処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る、個人認証装置1を備えた乗物用内装部材Mの構成について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下の説明中、乗物用内装部材Mを構成する部品の材質、形状及び大きさに関する内容は、あくまでも具体例の一つに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0020】
なお、以下では、個人認証装置を備えた乗物用内装部材Mの一例として、乗物Vに搭載される乗物用シートS及び乗物用ドアDを挙げ、その構成例について説明することとする。
また、以下の説明中、「前後方向」とは、乗物用シートS及び乗物用ドアDの前後方向であり、車両走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、乗物用シートSの横幅方向であり、乗物用シートSに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、乗物用シートSの上下方向であり、乗物Vが水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
【0021】
なお、以下に説明する乗物用シートSの各部の形状、位置及び姿勢等については、特に断る場合を除き、乗物用シートSが着座状態にあるケースを想定して説明することとする。
【0022】
本実施形態の乗物用内装部材Mは、
図1に示すように、乗物Vに搭載され、乗物Vに乗車する乗員Hを特定するための個人認証装置1を備えており、乗員Hにとって煩わしい個人認証のための作業を軽減しつつ、乗員Hの個人認証を精度良く判定することを実現するものである。
【0023】
<個人認証装置1のハードウェア構成>
具体的には、乗物用内装部材Mが備える個人認証装置1は、乗物Vに乗車した乗員Hの呼気の成分を測定する嗅覚センサ11を有する測定器10と、測定器10が測定した呼気の成分と、予め登録されている乗員識別情報(例えば個人が吐く呼気の成分の情報)とを照合して乗員Hを特定し個人認証する判定部32を有する制御コントローラ30と、を有する。
【0024】
<制御コントローラ30>
制御コントローラ30は、
図1及び
図2に示すように、個人認証装置1及び電動で稼働する乗物用シートSの電気制御を総合的に行う制御装置であり、測定器10や乗物用シートSを稼働させる駆動装置(例えば後述するスライド装置S5、リクライニング装置S6)等と車載ネットワークを通じて接続されている。
制御コントローラ30は、ECUとも呼ばれ、データの演算・制御処理装置としてのCPUと、記憶装置としてのROM及びRAM、車載ネットワークを通じてデータの送受信を行う通信インタフェースと、を備えたコンピュータである。
【0025】
制御コントローラ30の記憶装置には、コンピュータとして必要な機能を果たすメインプログラムに加えて、個人認証を行う個人認証プログラムが記憶されており、これらプログラムがCPUによって実行されることにより、個人認証装置1の機能が発揮されることになる。
【0026】
個人認証装置1の制御コントローラ30は、例えば、乗物用内装部材MであるダッシュボードV1に取り付けられている。制御コントローラ30が設けられる場所はダッシュボードV1に限定されず、乗物用内装部材Mである乗物用シートS又は乗物用ドアDのドアライニングDLに設けられてもよい。
【0027】
<測定器10>
測定器10は、嗅覚センサ11を有し、乗員Hの呼気の成分を測定する装置である。測定器10は、
図3に示すように、開口部13aを有する箱型の収納容器13を備え、その収納容器13の底面13bには、嗅覚センサ11が配置されている。嗅覚センサ11により、開口部13aから吸収された呼気を測定することが可能となっている。
また、収納容器13の開口部13aには、嗅覚センサ11に呼気が吸い込まれやすいように、呼気収集器12が設けられている。呼気収集器12は、例えば、ブロア装置であり、
図3に示す矢印のように周囲の空気を収納容器13内に吸い込むことが可能となっている。
また、開口部13aには、多数の通風孔が形成された多孔板によって構成されるグリル18が設けられており、乗員が嗅覚センサ11又は呼気収集器12に直接接触することが抑制されている。
【0028】
<嗅覚センサ11>
嗅覚センサ11は、例えば、複数の高分子材料と導電性カーボンナノ粒子の混合物とで構成されるセンサである。嗅覚センサ11では、例えば、分子が吸着することによりセンサ材料が体積膨張し、導電性カーボンナノ粒子間の距離が広がることで電気抵抗が増加するという原理に基づいて標的分子を検出する。分子の検出のしやすさは高分子材料と標的分子の親和性により決定される。嗅覚センサ11は、異なる性質の高分子材料を利用して多チャンネルのセンサアレイを構築することで、多種多様な分子群を検出することが可能となっている。
なお、嗅覚センサ11の構成はこれに限定されず、ガスセンサーと呼ばれる半導体式の嗅覚センサや、水晶振動子式の嗅覚センサであってもよい。
【0029】
嗅覚センサ11には、車内ネットワークにつながるハーネス11aが接続されている。嗅覚センサ11により得られたデータは、嗅覚センサ11が測定した測定結果として、車内ネットワークを経由して制御コントローラ30に送信される。制御コントローラ30は、判定部32により、受信した嗅覚センサ11の測定結果と、記憶部31に予め乗員識別情報として登録された「個人が吐く呼気の成分」のデータとを照合し、乗員Hを特定することで個人認証を行う。
【0030】
従来は、指紋、顔、網膜といった生体認証により個人認証が行われていたが、物理情報に基づくものでは、外傷などの身体的特徴の変化により認証精度が低下する場合があった。乗員が吐く呼気(生体ガス)は内因性の成分を含む膨大な種類の分子群で構成されるため、外傷による変化や情報が偽造されにくいという特徴があり、生体ガスを介して個人認証をすることで、より精度の高い個人認証を行うことが可能となっている。また、個人認証を行う際、自動で呼気が収集されるため、個人認証を行う際の煩わしい手続き(例えば、暗証番号を入力したり、センサに触れたりする等の行為)が不要となり、乗員にとって手続きを気にすることなく個人認証が行われることとなる。
【0031】
本実施形態では、嗅覚センサ11を有する測定器10が、乗物用内装部材Mである乗物用シートS又は乗物用ドアDのドアライニングDLに設けられている。測定器10のより詳細な位置については後述するものとする。
また、乗物Vには、表示部であるモニタと、音発信部であるスピーカが設けられており、制御コントローラ30による個人認証の判定結果に基づく内容を、映像又は音声で示すことが可能となっている。例えば、乗車した乗員が特定できた場合、制御コントローラ30から制御信号を受信し、画面に、特定した乗員の写真や氏名等を表示することができる。
【0032】
制御コントローラ30の機能面から説明すると、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶部31と、判定部32と、出力部33と、通信部34とを有する。
記憶部31には、個人認証をする際に必要な乗員識別データが記憶されている。乗員識別データは、例えば、乗員が吐く呼気の成分、顔の写真データ、体重等の生体情報である。また、乗員にとって快適な乗物用シートSの位置、シートバックS1の高さ、リクライニング角度等が記憶されている。
【0033】
通信部34は、車載ネットワークを通じて制御コントローラ30と、測定器10、圧力センサ14、撮影カメラ15、指紋センサ16、スライド装置S5、リクライニング装置S6との間で、データの送受信を実行するものである。
例えば、測定器10や各種センサ等と通信し、測定した結果を受信する。また、判定部32が特定した乗員の乗員識別データに基づき、乗物用シートSに設けられたスライド装置S5やリクライニング装置S6に駆動信号を送信する。
【0034】
判定部32は、測定器10得られた測定結果と、記憶部31に記憶された乗員Hの呼気の成分の情報とを照合し乗員を特定する。呼気の測定結果だけでは判定できない場合は、嗅覚センサ11とは別の第二センサ(圧力センサ14、撮影カメラ15、指紋センサ16)から得られた測定結果と組み合わせて乗員の特定を行う。
【0035】
出力部33は、車載ネットワークを通じて、車載モニタ(不図示)、車載スピーカ(ヘッドレストスピーカ17)、乗物用シートSの駆動装置(スライド装置S5、リクライニング装置S6)等に向けて所定の制御信号を出力し、それらに対して所定の動作を実行するように制御するものである。
例えば、出力部33は、判定部32が特定した乗員の情報に基づき、例えば車載モニタに顔写真や氏名等を認証結果として表示する。認証結果に応じて車載スピーカに向けて乗員の名前等を音声により報知するよう設定してもよい。乗員は、認証結果の表示や報知により、個人認証が正しく行われているか否か確認することができる。また、認証結果が異なっている場合、乗員は訂正するよう指示することができる。
また、乗員毎に乗物用シートの位置等が設定されている場合、出力部33は、乗物用シートSの駆動装置に対して、設定された乗物用シートSの位置やリクライニング角度となるように駆動信号を送信してもよい。
【0036】
以下、乗物用内装部材Mと、乗物用内装部材Mに設けられる測定器10の位置について説明する。
【0037】
<乗物用シートS>
乗物用シートSは、
図1及び
図4に示すように、シートバックS1と、シートクッションS2と、ヘッドレストS3とを備えている。
シートバックS1は、乗員Hの背中を後方から支持する背凭れ部であって、骨格となる不図示のバックフレームにクッション材Pを載置し、表皮材Tで被覆されることにより構成される。
シートクッションS2は、乗員Hを下方から支持する着座部であって、骨格となる不図示のクッションフレームにクッション材Pを載置して、クッション材Pの上から表皮材Tで被覆されてることにより構成されている。
ヘッドレストS3は、シートバックS1の上方に設けられ、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となるヘッドレストピラー(不図示)にクッション材Pを載置し、表皮材Tで被覆されることにより構成されている。
【0038】
アームレストS4は、シートバックS1に側部に回動可能に取り付けられており、前後方向に延びた状態で固定された場合、乗員Hの腕部を支持することができる。アームレストS4は、バックフレームに取り付けられた芯材(不図示)にクッション材Pを載置し、表皮材Tで被覆されることにより構成されている。アームレストS4は、隣り合う乗物用シートSの間に設けられたコンソールボックス上に取り付けられてもよい。
【0039】
また、乗物用シートSには、乗物用シートSの位置を前後方向に変更可能なスライド装置S5が設けられている。スライド装置S5はアクチュエータ(不図示)が設けられており、制御コントローラ30から駆動信号により位置を変更することが可能となっている。
乗物用シートSには、シートクッションS2に対するシートバックS1の後傾角度を変更するリクライニング装置S6が設けられている。リクライニング装置S6にもアクチュエータ(不図示)が設けられており、制御コントローラ30から駆動信号により後傾角度を変更することが可能となっている。
また、乗物用シートSには、スライド装置S5及びリクライニング装置S6だけでなく、乗物用シートSの高さを電動で変更可能な高さ調整装置が設けられてもよい。
【0040】
上記構成において、嗅覚センサ11を有する測定器10は、
図3に示すように乗物用シートSにおいて、クッション材Pと表皮材Tとの間に配置され、クッション材Pに形成された凹部に収納される。乗物用シートSの表面に設けることで容易に取り付けることができる。
また、クッション材Pと表皮材Tとの間だけでなく、個人認証装置1の測定器10は、乗物Vのフレームや、車体、シートフレームに直接設けられてもよい。剛性の高いフレームに取り付けることで、測定器10の剛性を高めることができる。
【0041】
<ドアライニングDL>
乗物用内装部材Mとして、乗物用ドアDにはドアライニングDLが設けられている。ドアライニングDLは、乗物Vに開閉可能に支持された乗物用ドアDの車室側に車内装飾等の目的で設けられる部材であり、例えば、合成樹脂によって形成され、室内装飾だけでなく、遮音、吸音、及び、衝突時の乗員の保護用の部材としての機能を有している。
ドアライニングDLは、
図4に示すように、アッパー部22、センター部23及びロワー部24を備えており、アッパー部22、センター部23及びロワー部24が連結してドアライニングDLを形成している。
アッパー部22には、ドア開閉用のノブ等が装備され、ロワー部24の下方にはドアポケット部25が設けられている。また、センター部23には、アームレスト26が設けられている。ドアライニングDLには、窓Wを上昇及び下降させるパワーウインドウスイッチ、ドアロック装置を施錠及び解錠するためのノブ等が設置されている。
【0042】
<測定器10の位置>
本実施形態の乗物用内装部材Mにおいて、測定器10は、
図1及び
図4に示す測定器10Aのように、乗物用シートSのシートバックS1の側部に設けられている。測定器10を、乗員Hが着座するシートバックS1に配置することで、乗員Hの呼気が収集されやすくなり、認証精度を高めることができる。
【0043】
また、測定器10は、
図4に示す測定器10Bのように、シートバックS1の着座面20において、乗員Hが着座して接触する可能性がある接触部分21(
図4で点線で示す範囲)を避けた位置に配置されてもよい。具体的には、測定器10Bは、着座した乗員Hと接触する可能性の少ないシートバックS1の着座面20の肩部に配置されている。
乗員Hと接触する接触部分21を避けて配置することで、測定器10Bの開口部13aが塞がれず、測定器10への呼気の侵入が阻害されることがない。そのため、嗅覚センサ11により呼気を精度良く測定することが可能となる。
【0044】
また、測定器10は、
図4に示す測定器10Cのように、シートバックS1の上部に設けてもよい。測定器10Aと同様、乗員Hが着座するシートバックS1において、より乗員の口や鼻と近い位置に測定器10Cを配置することで、乗員Hの呼気が収集されやすくなり、認証精度を高めることができる。
【0045】
また、測定器10は、
図1及び
図4に示す測定器10Dのように、ドアライニングDLのアッパー部22設けても構わない。測定器10を、乗物用シートSに着座した乗員Hの近傍となるドアライニングDLのアッパー部22に配置することで、乗員Hの呼気が収集されやすくなり、認証精度を高めることができる。
【0046】
また、測定器10は、
図4に示す測定器10Eのように、アッパー部22の前方にある加飾部材と一体化させて設けてもよい。また、測定器10を、
図4に示す10Fのように、ドアライニングDLのアームレスト26に設けてもよい。
【0047】
また、測定器10をシートバックS1に取り付けられたアームレストS4に設けてもよい。この場合、測定器10Gのように、アームレストS4の上面S4aに配置してもよく、また、測定器10Hのように、アームレストS4の側面S4bに配置してもよい。
【0048】
測定器10は、
図4に示す測定器10Iのように、ヘッドレストS3の側部に設けてもよい。ヘッドレストS3の側部に、ヘッドレストS3の取り外しを可能にするロック解除ボタン19が設けられている場合、測定器10は、ロック解除ボタン19を避けた位置に配置するのがよい。ロック解除ボタン19を避けることにより、測定器10Iを、ヘッドレストS3に組み込むのが容易になる。
また、乗員Hの頭部近傍に測定器10を配置することで、呼気が収集しやすく、個人認証の認証精度を上げることができる。
【0049】
また、
図5に示すヘッドレストS3Aのように、ヘッドレストスピーカ17が、側部に設けられている場合、ヘッドレストスピーカ17を避けた位置に測定器10Jを設けてもよい。ヘッドレストスピーカ17を避けた位置に測定器10Jが設けられることで、ヘッドレストスピーカ17から出る音の音圧による呼気への影響が小さくなり、個人認証の認証精度を上げることができる。
【0050】
また、
図6に示すヘッドレストS3Bのように、ヘッドレストスピーカ17が、前面に設けられている場合、ヘッドレストスピーカ17の上部に測定器10Kを設け、ヘッドレストスピーカ17のグリルと、測定器10Kのグリル18とを共用しても構わない。
【0051】
また、
図7に示すヘッドレストS3Cのように、ヘッドレストスピーカ17が、ヘッドレストS3Cの前面に設けられている場合、ヘッドレストスピーカ17の周囲に測定器10Lを設けてもよい。
【0052】
測定器10は、
図8及び
図9に示す測定器10M、10Nのように、シートバックS1A、S1Bの背面に設けられてもよい。シートバックS1A、S1Bの背面に測定器10を設けることにより、後席の乗員と対向するため呼気が収集しやすく、それにより前席だけでなく、後席に着座する乗員(後席乗員)の個人認証を行うことが可能となる。
また、シートバックS1A、S1Bの上部に測定器10を配置すれば、後席乗員の口及び鼻とより近い位置となるため、後席乗員の個人認証精度を高めることができる。
【0053】
また、
図8に示すシートバックS1Aのように、背面に前席の位置等を操作するための操作スイッチ27がある場合、操作スイッチ27の近傍、望ましくは隣接して測定器10Mを設けるのがよい。操作スイッチ27に接続されるハーネスや電源を測定器10Mと共有化できるので、ハーネスの配策が複雑化することを防ぐこともできる。
【0054】
また、
図9に示すシートバックS1Bのように、背面において、スマートフォン等の携帯端末41に電力を供給するための電源供給部29(USB端末のType-A端子、Type-C端子等)がある場合、電源供給部29の周囲に測定器10Nを設けてもよい。このとき、携帯端末41は、シートバックS1Bの背面に設けられたポケット部42に入れられる。電源供給部29に接続されるハーネスや電源を測定器10Mと共有化できるので、ハーネスの配策が複雑化することを防ぐことができる。
【0055】
また、
図10に示す乗物後方にある乗物用ドアDのように、ドアライニングDLに傘43を支持するための傘支持部28が設けられている場合、傘支持部28の表面に測定器10Pを設けてもよい。また、
図4に示す乗物前方の乗物用ドアDと同様、ドアライニングDLに測定器10Qを設けてもよい。後方の乗物用ドアDに測定器10P、10Qを設けることで、後席乗員の個人認証を行うことが可能となる。
【0056】
<第二センサ:圧力センサ14>
乗物用内装部材Mは、測定器10の嗅覚センサ11以外に、第二センサとして、圧力センサ14を設けてもよい。
圧力センサ14は、乗員が着座していることを検出したときに、制御コントローラに向けて検出信号を出力する圧力センサであって、
図4に示すように、乗物用シートSのシートクッションS2又はシートバックS1の着座面に取り付けられる。
圧力センサ14により、着座を検出すること以外に、乗員Hの体重や呼吸のタイミングを測定してもよく、測定された結果は、制御コントローラ30に送信される。
【0057】
制御コントローラ30は、判定部により、嗅覚センサ11から得られた呼気の情報と、圧力センサ14から得られた体重や呼吸のタイミング情報と、をデータベースに予め登録した乗員識別データと照合して、照合結果に基づいて乗員Hを特定する。圧力センサ14から得られる情報も用いて照合するため、個人認証の精度を向上させることができる。
【0058】
<第二センサ:撮影カメラ15>
また、乗物用内装部材Mは、第二センサとして撮影カメラ15を設けてもよい。撮影カメラ15は、例えばダッシュボードV1に取り付けられ、乗員の顔をリアルタイムで取得する。撮影された情報は、撮影データとして制御コントローラ30に送信され、制御コントローラ30により、予め登録されている乗員の顔情報と照合される。
嗅覚センサ11から得られた呼気の情報と、撮影カメラ15による撮影データとを組み合わせて、乗員識別データと照合し、照合結果に基づいて乗員を特定することができる。
撮影データと組み合わせて、照合するため、個人認証の精度をさらに向上させることができる。
【0059】
また、乗物用内装部材Mは、第二センサとして指紋センサ16を設けてもよい。指紋センサ16は、例えば、乗物用シートSのアームレストS4に設けられてもよく、乗員が着座した際に、指紋センサ16に指を当てることにより、指紋情報が読み取られる。指紋情報は、制御コントローラ30に送信され、制御コントローラにより、予め登録されている乗員の指紋情報と照合される。
【0060】
嗅覚センサ11から得られた呼気の情報と、指紋センサ16による指紋データとを組み合わせて、乗員識別データと照合し、照合結果に基づいて乗員を特定することができる。
呼気の情報と指紋データと組み合わせて、照合するため、個人認証の精度をさらに向上させることができる。
【0061】
図11を用いて、個人認証装置1を備えた乗物用内装部材Mによる個人認証の処理について説明する。
乗員が乗物用シートSに着座したか否かの検出を行う(ステップS001)。乗員Hの検出は、乗物用シートSに搭載された着座センサ(圧力センサ14)により行われる。このステップでは、乗員Hが乗物に搭乗したか否かについてドアセンサを用いて検出してもかまわない。
【0062】
乗員Hが乗物内に搭乗したか否かを検出した後、乗員Hの個人認証を開始する。測定器10の呼気収集器12により呼気を収集する(ステップS002)。呼気収集器12のブロアを回転することにより、嗅覚センサ11に収集した呼気を送る。
嗅覚センサ11により、収集された呼気を測定する(ステップS003)。測定結果は、即座に制御コントローラ30に送信される。このとき、撮影カメラ15等の第二センサを用いて、呼気以外の生体情報を測定し、その測定結果を制御コントローラ30に送信しても構わない。
【0063】
制御コントローラ30は、受信した測定結果と、記憶部31に記憶される乗員識別情報とを照合することにより乗員Hを特定し個人認証する(ステップS004)。
このとき、制御コントローラ30は、嗅覚センサ11から得られた呼気の情報のみでは乗員Hを特定できない場合、撮影カメラ15等から得られた他の生体情報を用いて乗員Hの特定を試みる。
【0064】
制御コントローラ30は、個人認証を実行したのち、認証結果に基づいて各種処理の実行する(ステップS005)。例えば、認証結果を車載モニタに表示したり、車載スピーカを用いて乗員の氏名等を報知したりしてもよい。また、乗物用シートSのスライド装置S5やリクライニング装置S6に駆動信号を送信し、乗員の好みに合わせた位置や形状になるように変形してもよい。また、乗物が鉄道やバスであり、予約席等が定められている場合は、個人認証結果に基づいて予約したシートに案内・表示できるようにしてもよい。また、個人認証結果に基づいて、乗員Hが好むシートへ案内してもよい。乗員Hの好みと考えられるシートを提案でき、乗員Hの気持ちを高揚させることができる。
なお、乗員Hは、個人認証の結果を確認したのち、その判定結果が異なる場合は、その判断となる基準値を変更してもよい。乗員の体調に変化があり、呼気の成分に変更があった場合は、記憶部に記憶される乗員識別情報を訂正する。それにより、個人認証の精度を高めることができる。
【0065】
以上、図を用いて本発明の実施形態である、個人認証装置を備えた乗物用内装部材Mについて説明した。なお、本発明は、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物に搭載される乗物用シートに限定されるものではなく、例えば、地上以外を移動する航空機や船舶などに搭載されるシートにも適用され得る。
【符号の説明】
【0066】
V 乗物
H 乗員
M 乗物用内装部材
V1 ダッシュボード(乗物用内装部材)
D 乗物用ドア
DL ドアライニング(乗物用内装部材)
W 窓
S 乗物用シート(乗物用内装部材)
S1、S1A、S1B シートバック
S2 シートクッション
S3、S3A、S3B ヘッドレスト
S4 アームレスト
S4a 上面
S4b 側面
S5 スライド装置
S6 リクライニング装置
P クッション材
T 表皮材
1 個人認証装置
10、10A~10Q 測定器
11 嗅覚センサ
11a ハーネス
12 呼気収集器
13 収納容器
13a 開口部
14 圧力センサ(第二センサ)
15 撮影カメラ(第二センサ)
16 指紋センサ(第二センサ)
17 ヘッドレストスピーカ
18 グリル
19 ロック解除ボタン
20 着座面
21 接触部分
22 アッパー部
23 センター部
24 ロワー部
25 ドアポケット部
26 アームレスト
27 操作スイッチ
28 傘支持部
29 電源供給部
30 制御コントローラ
31 記憶部
32 判定部
33 出力部
34 通信部
41 携帯端末
42 ポケット部
43 傘