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  • 特開-電子機器ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120235
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電子機器ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20240829BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240829BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20240829BHJP
   H01R 12/53 20110101ALI20240829BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240829BHJP
   H01R 4/2416 20180101ALN20240829BHJP
【FI】
H05K5/00 A
H02G3/16
H05K7/00 H
H01R12/53
B60R16/02 620Z
H01R4/2416
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026892
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝則
(72)【発明者】
【氏名】阿達 康城
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 良
(72)【発明者】
【氏名】井上 広道
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 賢志
【テーマコード(参考)】
4E352
4E360
5E012
5E223
5G361
【Fターム(参考)】
4E352AA20
4E352BB04
4E352BB05
4E360AA02
4E360AB12
4E360BA08
4E360GA11
4E360GA24
4E360GA33
4E360GA52
4E360GB99
4E360GC04
4E360GC08
5E012AA03
5E223AA21
5E223AB01
5E223AB74
5E223BA26
5E223BA27
5E223BA28
5E223BB01
5E223BB11
5E223CB24
5E223CD01
5E223DA33
5E223DB08
5G361BA01
5G361BA06
5G361BA07
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】配線や部品配置の自由度が高く、ユニットサイズの小型化を可能にする電子機器ユニットを提供すること。
【解決手段】電子機器ユニット1,1Xが、ケース2と、複数の部品が実装される、ケース2の内部に収納された基板と、基板に隣接して当該基板3平行にケース2内に形成された配策層空間4と、配策層空間4内で配策された複数の配策材8と、を備えている。部品と電気的に接続された複数の端子6が基板3から配策層空間4に向けて立設されている。配策材8のそれぞれは、配策層空間4内において、その一端が端子6に電気的に接続されて配策層空間内で独立して配策されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器ユニットであって、
ケースと、
複数の部品が実装される、前記ケースの内部に収納された基板と、
前記基板に隣接して当該基板と平行に前記ケース内に形成された配策層空間と、
前記配策層空間内で配策された複数の配策材と、を備えており、
前記部品と電気的に接続された複数の端子が前記基板から前記配策層空間に向けて立設されており、
前記配策材のそれぞれは、前記配策層空間内において、その一端が前記端子に電気的に接続されて前記配策層空間内で独立して配策されている、電子機器ユニット。
【請求項2】
前記端子が圧接端子である、請求項1に記載の電子機器ユニット。
【請求項3】
前記ケースが平たい箱形状を有しており、
前記配策材の他端が、前記ケースの側面に設けられた接続端子に接続されるか、前記ケースの側面から当該ケースの外部に導出されている、請求項1又は2に記載の電子機器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、エンジンECU(Electrical Control Unit)を開示している。エンジンECUは、車両の内燃機関を制御する電子機器ユニットである。当該ユニットは、そのケース内に基板を有すると共に、その側面パネルに大きなコネクタが取り付けられている。基板のコネクタ寄りの位置にはコネクタとの電気的接続のための多数のパッド又はランドが整然と並べて形成されている。パッド又はランドと基板との間には、多数のワイヤが交差することなく整然と並べてはんだ付けされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-100635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタとの接続のために多数のパッド又はランドを基板上に整然と並べて形成するため、基板上の配線や部品の配置の自由度が低い。このため、ユニットのサイズ拡大やコスト増加を招いたり、散熱効果のある部品や端子が密集することでユニットの放熱効率を向上させにくかったりするという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、配線や部品配置の自由度が高く、ユニットサイズの小型化を可能にする電子機器ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る電子機器ユニットは、ケースと、複数の部品が実装される、前記ケースの内部に収納された基板と、前記基板に隣接して当該基板と平行に前記ケース内に形成された配策層空間と、前記配策層空間内で配策された複数の配策材と、を備えており、前記部品と電気的に接続された複数の端子が前記基板から前記配策層空間に向けて立設されており、前記配策材のそれぞれは、前記配策層空間内において、その一端が前記端子に電気的に接続されて前記配策層空間内で独立して配策されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配線や部品配置の自由度が高く、ユニットサイズの小型化を可能にする電子機器ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電子機器ユニットを示す分解斜視図である。
図2】上記電子機器ユニットを示す斜視図である(カバー分離状態)。
図3】上記電子機器ユニットの配策層空間での分岐形態(第1例)を示す斜視図である。
図4】上記配策層空間での分岐形態(第2例)を示す斜視図である。
図5】上記電子機器ユニットの変形例を示す内部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施形態に係る電子機器ユニット1について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は実際の比率と異なる場合がある。また、下記の説明における「上下左右」については説明のための図中の上下左右であり、電子ユニットを設置する向きを限定するものではない。
【0010】
本実施形態の電子機器ユニット1は、車両に搭載されるエンジンECU(Electronic Control Unit)であり、車両に搭載された内燃機関を制御する。図1及び図2に示されるように、電子機器ユニット1は、ケース2と、ケース2の内部に収納された基板3とを備えている。ケース2は、例えばアルミ合金で形成され、平たい箱形状の底ケース2Aと、底ケース2Aの上部開口を閉じるカバー2Bとで構成されている。カバー2Bは、樹脂製でもよく、底ケース2Aにネジにより固定される。基板3は、PCB(Printed Circuit Board)であり、その下面には複数の部品(図示せず)が実装されている。部品は、例えば、半導体チップ、抵抗、コンデンサ等の電子部品を含む。なお、部品は基板3の下面だけでなく上面にも実装されてもよい。
【0011】
図2に示されるように、基板3がケース2の内部に固定されると、ケース2内の基板3の上方には基板3に隣接して当該基板3と平行に配策層空間4が形成される。即ち、ケース2の内部には、基板3とカバー2Bとの間に配策層空間4が形成される。なお、基板3と配策層空間4との間には、基板3を保護するための樹脂製のインナーカバー5が設けられている。
【0012】
基板3からは、配策層空間4に向けて多数の端子6が立設されている。本実施形態の端子6は、銅合金製の圧接端子である。圧接端子にはその先端縁で開放されたスリットが形成されており、被覆電線をスリットに圧入すると、被覆のみが切られて内部の導電線がスリットの内部に圧入されて圧接端子と電気的に接続される。上述したインナーカバー5には、複数の端子6に合わせて、端子6が挿通される複数の端子孔7が形成されている。
【0013】
各端子6は、近傍の部品と電気的に接続されている。部品と端子6の基端との間は基板上に形成される配線パターンによって電気的に接続されるが、端子6を部品近傍に配置できるので、この配線パターンの長さは最小限で済む。逆に言えば、端子6は、電気的に接続される部品の近傍に設けることができ、その電気的接続経路については次に説明する配策材8によって配策層空間4で形成されるので、その配置自由度は高い。
【0014】
端子6には、配策層空間4内で配策材8の一端が電気的に接続される。配策材8は、単芯線、撚り線、角線など導通が取れるものであれば何でもよく、FPC(Flexible Printed Circuits)を配策材8として利用してもよい。ただし、配策材8同士は配策層空間4内で交差するので、被覆線であることが好ましい。図2では、一端が端子6に接続された配策材8の他端は、外部接続用の接続端子9に接続されている。接続端子9は、圧接端子や圧着端子を利用でき、この場合は圧接や圧着によって配策材8の他端に接続される。接続端子9と配策材8との接続ははんだ付けで行われてもよい。なお、一端が端子6に接続された配策材8の他端は、接続端子9ではなく他の端子6に接続されてもよい。また、配策材8の一端と他端との間でさらに他の端子6に接続されてもよい。
【0015】
また、電子機器ユニット1の一つの信号線を複数の外部接続先に接続したいような場合も、本実施形態によれば配策層空間4内での配策材8の配策によって容易に対応することができる。信号線となる被覆線を分岐させようとすると、分岐する被覆線の被覆を端部で剥いて内部の導通部を露出させ、これに、二本の被覆線の露出させた導通部を接続することになる。この接続は、スプライス端子を用いた圧着やハンダ付けが必要となり、接続部は熱収縮チューブでの絶縁処理も必要になる。
【0016】
本実施形態での分岐形態の第1例及び第2例を図3及び図4にそれぞれ示す。第1例では、基板3から立設される端子6が二股にされており、端子6において電気的接続経路が分岐される。そして、端子6の二つの圧接端子部にそれぞれ配策材8が接続される。第2例では、基板3上の配線パターン3aが分岐されており、基板3において電気的接続経路が分岐される。そして、分岐された配線パターン3aからそれぞれ端子6が立設され、二つの端子6の圧接端子部にそれぞれ配策材8が接続される。
【0017】
第1例及び第2例の何れの場合も、端子6には配策材8をそのまま接続でき、配策材8で分岐処理を行う必要はない。このように、本実施形態であれば、電気的接続経路の分岐も配策層空間4内での配策材8の配策によって容易に対応することができる。
【0018】
ここで、配策材8は、配策層空間4内で自由に配策され得る。基板3上の部品配置に影響されることなく配策材8の配策経路を設定でき、その際には図2に示されるように交差させることも可能であるため、それらの配策自由度は高い。また、本実施形態のように端子6に圧接端子を用いている場合は、配策材8を接続し直し易いので配策経路の変更も容易に行うことができる。なお、配策された配策材8は、ホットボンドや結束バンドなどで上述したインナーカバー5に固定されてもよい。インナーカバー5は、基板3から立設された端子6を保持及び固定する機能もあり、配策材8の配策経路の確保や基板との接触による配策材8の破損防止にも寄与している。
【0019】
本実施形態のケース2は上述したように高さの低い平たい箱形状を有しており、複数の接続端子9が外部接続先ごとにまとめられてケース2の側面に設けられている。なお、まとめられた複数の接続端子9がコネクタとしてケース2の側面に設けられてもよい。本実施形態のように電子機器ユニット1が車載されるエンジンECUであると外部接続先が複数であることが多いが、上述したように配策材8の配策自由度が高いので、外部接続先の位置に応じて接続端子9の位置を複数にしてかつ最適化することも容易である。この際、本実施形態のように、基板3の一部が底ケース2Aから延出され、この延出部上に配策材8及び接続端子9が設けられてもよい。
【0020】
また、接続端子9を平たい箱形状のケース2の側面に設けることで、電子機器ユニット1の高さを抑えることができ、電子機器ユニット1の小型化にも寄与する。電子機器ユニット1が車室内空間に搭載されるような場合は、車室内空間の拡大にも寄与できる。
【0021】
なお、本実施形態の端子6は、圧接端子であったが、これに限定されない。端子6は、導電性材により形成され、基板3から配策層空間4に向けて立設されていれば単純な棒状やタブ状の形状でもよく、その際の配策材8の電気的接続も圧接ではなくはんだ付けなどでもよい。配策材8としてFPCを用いる場合などは、FPCと端子6との接続ははんだ付けで行い得る。さらに、図1及び図2では、端子6は全て同じ方向に向けられているが、配策材8の配策方向に応じて各端子6の向きを最適化してもよい。
【0022】
さらに、上述したように端子6は基板3から配策層空間4に向けて立設されている。端子6は散熱効果が高いが、本実施形態の端子6によれば熱を配策層空間4に逃がすことができる。即ち、基板3上の部品が発生する熱を、端子6を介して配策層空間4に逃がすことができる。それも、端子6を接続する部品の近傍に配置することで複数の端子6が分散配置されるので、熱が集中する箇所が生じるのを避けることにもなる。これらの結果、基板3の放熱効率が向上する。また、従来のPCBでは放熱用の配線パターンやバスバを設けることで放熱効率を向上させることがあるが、本実施形態によれば基板3にこのような放熱用の配線パターンやバスバを設ける必要はなく、基板3の設計自由度も向上する。
【0023】
また、配策層空間4に配策された配策材8は、外部接続先に接続されたワイヤハーネスから接続端子9を介して電子機器ユニット1に入力される振動を吸収する。このため、ワイヤハーネスからの振動が基板3に入力されにくくなり、電子機器ユニット1の耐久性及び接続信頼性が向上する。
【0024】
図5に上記実施形態の変形例に係る電子機器ユニット1Xを示す。図5は、ケース2の内部を示す平面図である(カバー2Bは示されていない)。端子6は基板3に実装された部品(例としてICチップが点線の正方形で図中に示されている)の近傍に配置されている。本実施形態では、配策材8の他端は、ケース2の側面から外部にピッグテール状に導出されている。また、配策材8の他端に接続された複数の接続端子9はまとめられてコネクタ化されている。
【0025】
図1及び図2の実施形態と同様に、本変形例でも配策材8は配策層空間4内で交差されるなどして一本ごとに独立して自由に配策されている。また、本実施形態では、外部接続先ごとに接続端子9がコネクタ化されており、外部接続先に最適な位置でケース2の側面から導出されている。
【0026】
このように、上記実施形態(変形例を含む)によれば、電子機器ユニット1,1Xが、ケース2と、ケース2の内部に収納された基板3と、基板3に隣接してケース2内に形成された配策層空間4と、配策層空間4内で配策された複数の配策材8と、を備えている。部品と電気的に接続された複数の端子6が基板3から配策層空間4に向けて立設されている。配策材8のそれぞれは、配策層空間4内において、その一端が端子6に電気的に接続されて配策層空間内で独立して配策されている。
【0027】
基板3上の部品の電気接続が基板3とは独立した配策層空間4内で配策材8によって行われるので、基板3上の配線パターンを削減でき、基板3の大きさを小さくでき、電子機器ユニット1,1Xを小型化できる。また、部品の近傍に端子6を設けることができるので、この点からも基板3上の配線パターンを削減でき、基板3の大きさを小さくでき、電子機器ユニット1,1Xを小型化できる。さらに、配策材8は、配策層空間4内で交差させるなどして独立して自由に配策することができるので、配策経路長も短くでき、この点からも、電子機器ユニット1,1Xを小型化できる。
【0028】
また、端子6によって基板3側の熱を配策層空間4へと逃がすことができるため、放熱効率を向上させることができる。また、基板3上に放熱用の配線パターンやバスバを設ける必要がないので、この点からも基板3の大きさを小さくでき、電子機器ユニット1,1Xを小型化できる。
【0029】
また、上記実施形態(変形例を含む)によれば、端子6が圧接端子であるので、配策層空間4内での配策材8の配策を行いやすく、配策自由度がさらに向上する。また、配策の修正も行いやすい。さらに、電子機器ユニット1,1Xの配策経路が多少異なる複数の仕様を製造しなければならないような場合も、配策自由度が高いため容易に対応することができる、
【0030】
さらに、上記実施形態によれば、ケース2が平たい箱形状を有しており、配策材8の他端が、ケース2の側面に設けられた接続端子9(コネクタ化されていてもよい)に接続されている。また、上記変形例によれば、ケース2が平たい箱形状を有しており、配策材8の他端が、ケース2の側面から当該ケース2の外部に導出されている。これにより、ケース2の高さを抑えて電子機器ユニット1,1Xの設置自由度を向上できる。また、電子機器ユニット1,1Xが車室内に搭載されるような場合は、車室内空間の拡大にも寄与できる。また、配策層空間4に配策された配策材8が、接続端子9を介して外部から電子機器ユニット1,1Xに入力される振動を吸収するので、電子機器ユニット1,1Xの耐久性及び接続信頼性が向上する。
【0031】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、端子6と配策材8との電気接続として圧接端子やはんだ付けを説明したが、これらの接続は溶接(例えばレーザ溶接)で行うことも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1,1X 電子機器ユニット
2 ケース
3 基板
4 配策層空間
6 端子
8 配策材
9 接続端子
図1
図2
図3
図4
図5