(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120236
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】漏電検出装置、漏電監視システムおよび漏電検出装置の故障検出方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20240829BHJP
【FI】
G01R31/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026894
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明宏
(72)【発明者】
【氏名】小川 亮一
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA04
2G014AA16
2G014AB33
2G014AC19
(57)【要約】
【課題】簡単に漏電を検出することができる漏電検出装置などを得る。
【解決手段】非接地交流回路となる負荷回路100の2本のフィーダーの間に、負荷120と並列に接続され、電源110により印加される電圧を変圧する変圧器11と、変圧器11と接地点との間に設置され、負荷回路100における漏電検出の基準の抵抗値を規定する漏電検出用抵抗器となる可変抵抗器12とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接地交流回路の2本のフィーダーの間に、負荷と並列に接続され、単相の交流電源により印加される電圧を、設定された定格の電圧に変圧する変圧器と、
前記変圧器と接地点との間に設置され、前記非接地交流回路における漏電検出の基準の抵抗値を規定する漏電検出用抵抗器と
を備える漏電検出装置。
【請求項2】
前記漏電検出用抵抗器は、可変抵抗器である請求項1に記載の漏電検出装置。
【請求項3】
前記漏電検出用抵抗器と接地点との間に設置され、接地または非接地を切り換えるスイッチを備える請求項1または請求項2に記載の漏電検出装置。
【請求項4】
前記スイッチは、前記接地または前記非接地の切り換えを、2つの接点との接続の切り換えにより行うメカニカルリレーである請求項3に記載の漏電検出装置。
【請求項5】
前記変圧器の一次巻線と二次巻線とにおける巻線比を2:1とする請求項1または請求項2に記載の漏電検出装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の漏電検出装置および前記漏電検出装置の測定に係る漏電検出用のデータを含む検出信号を無線で送信する無線子機を有する漏電監視装置と、
複数の前記漏電監視装置との間で無線による信号を送受する無線親機と、複数の前記漏電監視装置に前記検出信号を要求し、複数の前記漏電監視装置からの要求信号に含まれる前記漏電検出用のデータを蓄積する制御装置とを有する漏電データ収集装置と
を備える漏電監視システム。
【請求項7】
システム外の外部装置に漏電発生の旨を報知する報知装置と、
前記制御装置は、物理量のデータを設定閾値と比較して、前記漏電発生であると判定すると、前記報知装置に報知させる請求項6に記載の漏電監視システム。
【請求項8】
非接地交流回路の2本のフィーダーの間に、負荷と並列に接続され、
前記非接地交流回路における漏電検出用抵抗器と、
前記漏電検出用抵抗器と接地点との間に設置され、接地または非接地を切り換えるスイッチとを備える漏電検出装置の故障検出方法であって、
前記スイッチは、2つの接点との接続を切り換えて、前記接地または前記非接地を切り換えるメカニカルリレーであり、
指示に対応した接点に接続されていないと、故障とする漏電検出装置の故障検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、漏電検出装置、漏電監視システムおよび漏電検出装置の故障検出方法に関するものである。特に、低電圧電気設備などにおける非接地交流回路の漏電検出装置などに係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の非接地交流回路のフィーダー毎に地絡による漏電を検出する地絡検出装置は、商用電源の周波数またはインバータなどの負荷周波数に基づいて地絡の発生を検出するような装置構成であった(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。また、ランプおよび高抵抗を2つのスイッチで接地し、非接地回路において地絡が発生したときに、抵抗接地を通じて流れる地絡電流によってランプが点灯するように構成した地絡検出装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5535880号公報
【特許文献2】特開2014-240767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に単相の電源は、単相2線AC100Vまたは単相3線AC200Vである。また、三相電源をY-Δ変換し、Δ結線された1相から、単相のAC200V~AC220Vを作成して分電盤に配電することがある。上記のような電源においては、漏電を検出する際に使用する中性線が存在せず、従来の漏電検出装置では、漏電を検出することができなかった。また、AC200Vの電源を有する負荷回路では、定格の測定器などを用いた検出などを行うことができなかった。
【0005】
以上のことから、簡単に漏電を検出することができる漏電検出装置、漏電監視システムおよび漏電検出装置の故障検出方法の実現が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る漏電検出装置は、非接地交流回路の2本のフィーダーの間に、負荷と並列に接続され、単相の交流電源により印加される電圧を、設定された定格の電圧に変圧する変圧器と、変圧器と接地点との間に設置され、非接地交流回路における漏電検出の基準の抵抗値を規定する漏電検出用抵抗器とを備えるものである。
【0007】
また、本開示に係る漏電監視システムは、上記の漏電検出装置および漏電検出装置の測定に係る漏電検出用のデータを含む検出信号を無線で送信する無線子機を有する漏電監視装置と、複数の漏電監視装置との間で無線による信号を送受する無線親機と、複数の漏電監視装置に検出信号を要求し、複数の漏電監視装置からの要求信号に含まれる漏電検出用のデータを蓄積する制御装置とを有する漏電データ収集装置とを備えるものである。
【0008】
そして、本開示に係る漏電検出装置の故障検出方法は、非接地交流回路の2本のフィーダーの間に、負荷と並列に接続され、非接地交流回路における漏電検出用抵抗器と、漏電検出用抵抗器と接地点との間に設置され、接地または非接地を切り換えるスイッチとを備える漏電検出装置の故障検出方法であって、スイッチは、2つの接点との接続を切り換えて、接地または非接地を切り換えるメカニカルリレーであり、指示に対応した接点に接続されていないと、故障とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の漏電検出装置などによれば、非接地交流回路の2本のフィーダーの間に、負荷と並列に接続されて定格電圧に変圧する変圧器と、変圧器と接地点との間に設置される漏電検出用抵抗器とを備える。このため、定格品を用いた漏電検出などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る漏電検出装置10を中心とする構成を示す図である。
【
図2】実施の形態2に係る漏電監視システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態に係る漏電検出装置などについて、図面などを参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、添字で区別などしている複数の同種の機器などについて、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字などを省略して記載する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る漏電検出装置10を中心とする構成を示す図である。
図1に示すように、漏電検出装置10は、非接地交流回路である負荷回路100を構成する電源110と負荷120とに並列に設置され、漏電を検出するための物理量の測定を行い、漏電を検出する。電源110は、ここでは、たとえば、単相3線AC200Vの交流電源であるものとする。実施の形態1における漏電検出装置10は、変圧器11、可変抵抗器12、メカニカルリレー13並びに電力抵抗器14および電力抵抗器15を備える。
【0013】
変圧器11は、地絡などの漏電検出を行う対象となる負荷回路100のフィーダーであるR線とT線との間に並列に接続され、印加される電圧をあらかじめ定められた定格の電圧に変圧する。ここで、実施の形態1における変圧器11は、限定するものではないが、単相単巻であるものとする。一般的に、複巻の場合、一次巻線と二次巻線との間は絶縁されているため、漏電電流の測定には、一次巻線と二次巻線との間を短絡させる必要がある。一方、単巻の場合は、一次巻線と二次巻線との間は絶縁されていない。このため、短絡させる部材を設けなくても、経済的に、漏電電流(抵抗にかかる電圧)を直接測定することができる。
【0014】
また、ここでは、変圧器11は、単巻における一次巻線と二次巻線との巻線比が2:1となるように変圧し、200Vの交流電圧を100Vに降圧する。ここで、負荷回路100に漏電が発生していない場合において、一次巻線と二次巻線との比が2:1となる二次巻線の開始位置となる点を、中性点として仮想的に設定する。中性点は、後述するメカニカルリレー13がオンしているときは接地点で接地される。ここで、接地点は、接地ができれば特定された点(位置)でなくてもよい。また、電力抵抗器14および電力抵抗器15は、変圧器11に対し、定格負荷となって電力消費を行う抵抗器である。
【0015】
可変抵抗器12は、変圧器11における中性点と接地点との間に設置され、漏電検出用に測定される物理量との関係で基準となる抵抗値を規定する漏電検出用抵抗器となる。ここでは、可変抵抗器12に電流が流れたときの可変抵抗器12両端間に印加される電圧を物理量とし、物理量に基づいて、漏電検出を行うことができる。漏電検出用抵抗器を可変抵抗器12とすることで、抵抗値を任意に複数設定することができ、漏電に係る電流と電圧の関係を設置環境などに合わせた形で漏電検出を行うことができる。ここで、可変抵抗器12が可変可能な抵抗値は、たとえば、およそ10kΩ~100kΩ程度とする。測定器16は、後述するメカニカルリレー13をオン(メイク)したときの可変抵抗器12の両端における電圧を、漏電検出電圧V1として測定する。ここで、測定器16は、漏電検出電圧V1を物理量として測定するものとしたが、たとえば、可変抵抗器12を流れる電流を物理量として測定してもよい。
【0016】
また、スイッチとなるメカニカルリレー13は、中性点と接地点との間に設置される切換器である。メカニカルリレー13は、漏電検出装置10外の装置から送られる指示を含むリレー制御信号に基づいて、オン(メイク)またはオフし、変圧器11の中性点および可変抵抗器12の間を接地するグランド状態と接地しない非グランド状態とを切り換える。漏電検出をしないときには、メカニカルリレー13をオフして非グランド状態にしておくことで、漏電検出に係る物理量の測定を行うとき以外は、可変抵抗器12に電流が流れないようにする。このため、漏電検出装置10における電力消費を抑えることができる。ただし、これに限定するものではなく、たとえば、漏電検出装置10において、漏電検出に係る測定を常時行う場合、メカニカルリレー13のメイク時間(オン時間)継続するとよい。ここで、実施の形態1におけるメカニカルリレー13は、2つの接点に対し、1本の制御線がいずれかの接点と接続して、切り換えが行われるタイプのリレーとする。このため、リレー制御信号に含まれる指示に対応した接点に接続されていないことを検出すると、故障していると判定することができる。
【0017】
フィーダーとなるR線から地面に電流が流れることで漏電が発生する場合、R線と地面との間にはRgrの抵抗が発生する。同様に、フィーダーとなるT線から地面に電流が流れる場合、T線と地面との間にはRgtの抵抗が発生する。このため、中性点における電圧が変わる。そこで、メカニカルリレー13をメイクしたときの可変抵抗器12の両端における電圧である漏電検出電圧V1を測定することで、抵抗Rgrまたは抵抗Rgtが発生していることがわかり、漏電発生を検出することができる。ここで、漏電発生を検出するための測定を行うだけで、報知を必要としなければ、実施の形態1における漏電検出装置10のように、ランプなどの部品を用いない漏電検出装置10を実現することができる。
【0018】
次に、漏電検出装置10の動作について、具体的に説明する。たとえば、R線またはT線と対地間の絶縁抵抗を抵抗Zgとすると、抵抗Zgは抵抗RgRと抵抗RgTとの並列接続による抵抗値となる(Zg=RgR//RgT)。また、電源110の交流電圧VinがAC200Vとする。さらに、可変抵抗器12の抵抗値Rsを10kΩに設定しているものとする。そして、可変抵抗器12に流れる漏電電流をIgとする。
【0019】
メカニカルリレー13をオン(メイク)したときの可変抵抗器12の両端における電圧は、AC100Vとなる。このとき、漏電検出電圧V1については、次の2つの式が成り立つ。
【0020】
V1=Ig×Rs …(1)
Vin/2=Ig(Zg+Rs) …(2)
【0021】
式(1)を式(2)に代入すると、式(3)となる。
(Vin/2)=(V1/Rs)・(Zg+Rs) …(3)
【0022】
式(3)から抵抗Zgは、式(4)で表される。
Zg=(Vin/2)×Rs/V1-Rs
={(Vin/2)/V1-1}Rs …(4)
【0023】
ここで、漏電検出電圧V1が10Vであるとすると、
Zg={(200/2)/10-1}×10000
=90000
=90kΩ
となる。そして、このような場合には、たとえば、法で定められた絶縁抵抗の規格値である100kΩ以上を満たしておらず、報知しなければならない漏電が発生しているものとして扱う。たとえば、漏電検出電圧V1が1Vといった微小な電圧の場合は、抵抗Zgは法定の絶縁抵抗値より十分に大きくなるため、報知する必要がないものとする。報知が必要な漏電であるかどうかの境界などは、閾値などで設定することができる。
【0024】
実施の形態1における漏電検出装置10は、一次巻線がフィーダー(供給線)であるR線とT線とに並列で接続された変圧器11を備え、定格電圧に変圧するものである。特に、変圧器11は、一次巻線に係る電圧と二次巻線に係る電圧との比が2:1となるように変圧する。このため、T線-R線の電位差が200Vである場合でも、たとえば、漏電検出電圧V1を測定する電圧計、通信機器など、動作電圧がAC100Vである定格品を用いた測定などを行い、漏電検出することができる。測定などに汎用的な定格品を用いることで、経済的なコスト削減をはかることができる。ここで、一般的な変圧器の二次巻線における中性点の電圧は、定格負荷にならないと、電圧が高めになり、安定しない特性を有する。そこで、実施の形態1における漏電検出装置10は、負荷として定格電力消費を行う電力抵抗器14および電力抵抗器15を変圧器11に並列接続することで、二次巻線に係る電圧(一次巻線に係る電圧と二次巻線に係る電圧との比)を安定させることができる。このため、漏電検出装置10は、漏電検出電圧V1など、漏電検出に必要な物理量を、従来の装置に比べて正確に測定することができる。
【0025】
また、実施の形態1における漏電検出装置10は、漏電検出用の可変抵抗器12を備える。可変抵抗器12の両端における漏電検出電圧V1は、漏電の発生を検出する漏電検出用の物理量のデータとすることができる。可変抵抗器12は、抵抗値を任意に設定することができるため、たとえば、施設の管理者が漏電を判定するための漏電電流値に対する閾値を複数設定することができる。測定器16は、漏電検出用の物理量を測定する。実施の形態1における漏電検出装置10では、測定器16は、漏電検出電圧V1を測定する。
【0026】
そして、実施の形態1における漏電検出装置10は、1本の制御線に対して、2つの接点が動作するタイプのメカニカルリレー13を備える。このため、従来必要なスイッチの数を減らすことができる。このため、コスト削減をはかることができる。そして、漏電検出装置10では、メカニカルリレー13の制御を行う装置に対し、メカニカルリレー13におけるいずれかの接点における接続状態の通知などを行うことができる。このため、メカニカルリレー13が正常にスイッチング動作を行ったかどうかをフィードバックさせることができる。このため、メカニカルリレー13を含む漏電検出装置10の故障発生を判定することができる。
【0027】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係る漏電監視システムの構成を示す図である。
図2に示すように、実施の形態2における漏電監視システムは、漏電監視装置200(漏電監視装置200-1~漏電監視装置200-n)および漏電データ収集装置300を備える。
【0028】
漏電監視装置200は、設置箇所における負荷回路100(負荷回路100-1~負荷回路100-n)に対応して設置され、漏電監視を行う装置である。ここでは、
図2に記載の漏電監視装置200-1について説明するが、他の漏電監視装置200についても同様である。漏電監視装置200は、漏電検出装置210、下位シーケンサ220および無線子機230を有する。漏電検出装置210は、実施の形態1において説明した漏電検出装置10である。
【0029】
また、下位シーケンサ220は、漏電検出装置210および無線子機230を制御する制御装置である。下位シーケンサ220は、後述する漏電データ収集装置300からの要求信号に基づき、周期的にリレー制御信号を漏電検出装置210に送り、実施の形態1で説明した漏電検出装置210のメカニカルリレー13を動作させる。また、可変抵抗器12の抵抗値の設定などを行う制御信号を送ることができる。さらに、下位シーケンサ220は、漏電検出装置210から送られる漏電検出に用いる物理量となる漏電検出電圧V1をデータとして含む電圧信号を受信する。そして、下位シーケンサ220は、無線子機230に漏電検出電圧V1をデータとして含む検出信号を無線で送信させる。
【0030】
また、無線子機230は、下位シーケンサ220からの指示に基づき、後述する漏電データ収集装置300の無線親機330との間で無線による信号の送受信を行う。ここで、無線子機230は、たとえば、RS485またはRS232Cなどの有線通信インタフェースを有し、下位シーケンサ220と有線接続されている。また、無線子機230は、たとえば、920Mマルチホップ無線により、信号の送受信を行う。ここで、下位シーケンサ220および無線子機230を動作させる電力は、変圧器11の変圧に係る電力を用いることができる。
【0031】
一方、漏電データ収集装置300は、各漏電監視装置200からの検出信号に基づいて各漏電監視装置200の測定に係る物理量である漏電検出電圧V1のデータを収集する装置である。また、漏電データ収集装置300は、漏電が発生しているかどうかを判定し、漏電が発生していると判定すると、施設の管理者に対して報知する。漏電データ収集装置300は、メール送信装置310、上位シーケンサ320および無線親機330を有する。無線親機330は、上位シーケンサ320からの指示に基づき、各漏電監視装置200の無線子機230との間で無線の送受信を行う。
【0032】
上位シーケンサ320は、メール送信装置310および無線親機330を制御する制御装置である。また、上位シーケンサ320は、漏電検出電圧V1のデータに基づいて漏電に係る判定を行う。このため、上位シーケンサ320は、制御処理部321および蓄積部322を有する。制御処理部321は、設定されたポーリング周期または時刻などにより、周期的に無線親機330に検出信号を要求する要求信号を送信させる。そして、上位シーケンサ320は、無線親機330が受信した検出信号に含まれる漏電検出電圧V1のデータを、漏電監視装置200および検出時間と関連付け、蓄積部322に蓄積させる。さらに、漏電検出電圧V1の値があらかじめ設定された設定閾値より大きいと判定すると、メール送信装置310に電子メールを送信させる処理を行う。蓄積部322は、漏電監視装置200および検出時間と関連付けられた漏電検出電圧V1のデータを蓄積する。
【0033】
ここで、上位シーケンサ320の制御処理部321は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などの制御演算処理装置を有するマイクロコンピュータなどで構成されているものとする。そして、制御処理部321が、プログラムに基づいて処理を実行し、処理を実現する。また、上位シーケンサ320の蓄積部322は、データを一時的に記憶できるランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性記憶装置(図示せず)およびデータを長期的に記憶できるフラッシュメモリなどの不揮発性の補助記憶装置(図示せず)を有する。
【0034】
報知装置となるメール送信装置310は、上位シーケンサ320の指示に基づき、上位ネットワーク400を介して、たとえば、施設の管理者が有する外部装置500に、監視対象の設備において漏電が発生している旨を報知するための電子メールを送る。メール送信装置310は、IPアドレスおよびメールアドレスなどにより、送信先として外部装置500があらかじめ設定されている。
【0035】
以上のように、実施の形態2における漏電監視システムにおいては、漏電データ収集装置300の上位シーケンサ320が、設定されたポーリング周期または時刻などにより、周期的に検出信号を要求する。このため、漏電データ収集装置300は、各漏電監視装置200から、漏電の判定に用いる漏電検出電圧V1のデータを定期的に収集し、蓄積部322に蓄積することができる。
【0036】
また、漏電データ収集装置300では、上位シーケンサ320が設備において漏電が発生しているものと判定すると、上位ネットワーク400を介して、施設の管理者が有する外部装置500に対して、メール送信装置310が管理者宛の電子メールを送信する。報知装置であるメール送信装置310が電子メールを送信して施設の管理者に報知することで、管理者は、施設に赴かなくても漏電発生を把握することができる。ここで、漏電を検出した漏電検出装置210を有する漏電監視装置200の位置は、あらかじめわかっている。このため、漏電の発生箇所を容易に特定することができる。
【0037】
ここで、施設の管理者が、漏電データ収集装置300に対して、漏電検出電圧V1の測定時間間隔、可変抵抗器12の抵抗値に関する設定などを指示し、漏電データ収集装置300が漏電監視装置200に設定などを含む制御信号を送るようにする。このような場合には、施設の管理者が現地に赴くことなく、漏電監視装置200に対して設定などを行うことができる。
【0038】
実施の形態3.
前述した実施の形態1に係る漏電検出装置10では、2接点のメカニカルリレー13を用いた場合の故障検出について説明したが、これに限定するものではない。たとえば、1巻線のリレーを複数並列に接続したうえで、別のリレーの状態を用いて故障検出を行うこともできる。
【0039】
また、前述した実施の形態1に係る漏電検出装置10では、200Vの交流電圧を100Vにするため、変圧器11の巻線比を2:1としたが、これに限定するものではない。負荷回路100の電源110との関係で、二次巻線に係る電圧が定格の電圧となるように、決定すればよい。
【0040】
また、前述した実施の形態2に係る漏電監視システムは、漏電データ収集装置300のメール送信装置310と上位シーケンサ320とを別装置で構成するシステムであるものとして説明したが、これに限定するものではない。たとえば、上位シーケンサ320にメール送信に関するプロトコルスタックを実装することで、上位シーケンサ320に電子メールを送信させるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0041】
10 漏電検出装置
11 変圧器
12 可変抵抗器
13 メカニカルリレー
14 電力抵抗器
15 電力抵抗器
16 測定器
100,100-1~100-n 負荷回路
110 電源
120 負荷
200,200-1~200-n 漏電監視装置
210 漏電検出装置
220 下位シーケンサ
230 無線子機
300 漏電データ収集装置
310 メール送信装置
320 上位シーケンサ
321 制御処理部
322 蓄積部
330 無線親機
400 上位ネットワーク
500 外部装置