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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120245
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電磁アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/06 20060101AFI20240829BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20240829BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01F7/06 C
H01F7/06 E
H01F7/16 D
H01F7/16 E
H01F7/16 H
H01F7/16 N
F16K31/06 305D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026912
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 博史
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA12
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD03
3H106EE04
3H106EE20
3H106EE34
3H106GA10
3H106JJ02
5E048AA04
5E048AA08
5E048AB01
5E048AD02
5E048BA07
5E048CB05
(57)【要約】
【課題】構造の簡素化、低コスト化、衝撃音の低減、背圧逃がしによる動作特性の向上を図り、所望される推力を得ることのできる電磁アクチュエータを提供する。
【解決手段】ハウジング10、励磁用のコイル20、コイルを外周に巻回すると共に所定の軸線Sを中心とする貫通孔31を画定するべく筒状に形成された樹脂製のボビン30、コイルの通電により作動位置に移動しコイルの非通電により休止位置に戻るべく貫通孔内において軸線の方向に往復動する可動子60、コイルの通電により可動子を吸引するべくボビンに挿入されて磁路を形成する固定子40、可動子を休止位置に向けて付勢する付勢バネ70を備え、ボビン30は、作動位置において可動子が当接するべく貫通孔の内壁面から内側に突出する環状ストッパ35と、軸線に向かって開口するべく環状ストッパを部分的に内向きに切り欠いた切欠き部36を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、励磁用のコイルと、前記コイルを外周に巻回すると共に所定の軸線を中心とする貫通孔を画定するべく筒状に形成された樹脂製のボビンと、前記コイルの通電により作動位置に移動し前記コイルの非通電により休止位置に戻るべく前記貫通孔内において前記軸線の方向に往復動する可動子と、前記コイルの通電により前記可動子を吸引するべく前記ボビンに挿入されて磁路を形成する固定子と、前記可動子を前記休止位置に向けて付勢する付勢バネを備え、
前記ボビンは、前記作動位置において前記可動子が当接するべく前記貫通孔の内壁面から内側に突出する環状ストッパと、前記軸線に向かって開口するべく前記環状ストッパを部分的に内向きに切り欠いた切欠き部を含む、
ことを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記切欠き部は、前記ボビンに前記コイルを巻回する自動巻線機の回転ロッドの回転力が伝達されるべく、前記回転ロッドの一部と係合する係合部を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記切欠き部は、前記軸線を中心として放射状に配置された切欠き溝として形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項4】
前記切欠き部は、前記ボビンに前記コイルを巻回する自動巻線機の回転ロッドが前記貫通孔の全域に亘って嵌合されるべく、前記回転ロッドを通すように形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項5】
前記切欠き部は、前記ボビンに前記コイルを巻回する自動巻線機の回転ロッドの回転力が伝達されるべく、前記回転ロッドの一部と係合する係合部を兼ねる、
ことを特徴とする請求項4に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項6】
前記可動子は、前記環状ストッパに当接する環状端面及び前記軸線を中心とする内周面を画定するべく、前記環状ストッパに向けて開口する有底円筒状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項7】
前記固定子は、前記環状ストッパに対して前記可動子と反対側から当接する環状当接部と、前記環状ストッパの内側に隙間をおいて挿入されて前記可動子の内部空間に入り得るべく前記軸線の方向に伸長する小径部を含み、
前記切欠き部は、前記可動子が前記環状ストッパに当接した状態において、前記可動子の内部空間に連通する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項8】
前記可動子は、前記休止位置において、前記環状端面が前記小径部の先端外周縁と近接し、前記作動位置に移動するに連れて前記内周面が前記小径部の外周面に近接するように形成されている、
ことを特長とする請求項7に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項9】
前記付勢バネは、前記可動子の底壁と前記固定子の小径部の間に配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項10】
前記可動子の内周面は、前記小径部及び前記付勢バネを非接触にて受け入れる大径内周面と、前記付勢バネを受け入れる小径内周面を含む、
ことを特長とする請求項9に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項11】
前記固定子に連結されて前記ボビンの周りを取り囲むと共に磁路を形成するフレーム部材を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項12】
前記フレーム部材は、前記固定子に連結される平板状の端部ヨークと、前記端部ヨークに連結されると共に前記可動子を通す挿通孔を有するコ字状の外部ヨークを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項13】
前記可動子は、前記軸線の方向における前記環状端面と反対側において、所定の通路を開閉する弁部を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし12いずれか一つに記載の電磁アクチュエータ。
【請求項14】
前記ハウジングは、吸気の流れを調整するスロットル装置に接合される接合部を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の電磁アクチュエータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドの電磁力を駆動力とする電磁アクチュエータに関し、特に、直線的に往復動すると共に通電時に内向きに移動する可動子(プランジャ)を備えた電磁アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁アクチュエータとしては、ハウジングと、ハウジング内に配置され励磁用のコイルが巻回された非磁性材のボビンと、ボビンの貫通孔の一方側に嵌合されたコアと、ボビンの貫通孔の他方側に往復動自在に収容されたプランジャと、プランジャとコアの間に介在するように配置された有底筒状の収納部材と、プランジャと収納部材の底壁の間に配置されたコイルスプリングと、プランジャの端部に固着されたシールゴムを備え、コイルへの通電時に、プランジャがコアに吸引されて移動することでシールゴムが通路を開放すると共にプランジャが収納部材の底壁に当接して停止するソレノイドバルブが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、ケースと、ケースの内側に配置され電磁コイルを巻回するボビンと、ボビンの中心部に挿入されたコアと、電磁コイルの通電によりコアの方向に吸引されるプランジャと、プランジャを吸引方向と反対方向に付勢するリターンスプリングと、コアとプランジャの間においてコアに固定された非磁性材料からなるブッシュとを備え、プランジャがコアに吸引されて移動しブッシュに当接して停止する電磁弁が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
上記従来のソレノイドバルブ及び電磁弁においては、プランジャを停止させるストッパとして、収納部材及びブッシュ等の専用部品を採用しているため、部品点数が増加し、構造の複雑化及び高コスト化を招く。
【0005】
さらに、他の電磁アクチュエータとしては、外輪郭を画定するサイドヨーク及びトップヨークと、サイドヨークの内側に配置されて励磁コイルを巻回する樹脂製のボビンと、ボビンの一端側に挿入された固定ヨークと、ボビンの貫通孔内に往復動自在に配置されて励磁コイルの通電により固定ヨークに吸引されるプランジャと、ボビンの貫通孔において内側に突出する環状突起を設け、プランジャが固定ヨークに吸引されて移動し環状突起に当接して停止するものが知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【0006】
この電磁アクチュエータにおいては、プランジャが中実をなす二段円柱状に形成されており、プランジャの小径部と大径部の境に形成された環状段差面がボビンの環状突起と全域において当接すると共に、プランジャの小径部が環状突起を通過して固定ヨークの凹部に入り込む構成となっている。
このように、プランジャは中実形状をなす重量物であるため、プランジャが環状突起に衝突する際の衝撃力及び衝撃音が懸念される。また、プランジャと固定ヨークとの間に樹脂製の環状突起が介在すると共に非通電時においてプランジャと固定ヨークの間に隔たりがあり、励磁コイルへの通電時の初期動作が鈍く又磁力線の流れが中央に絞られることで所望する推力(電磁力)が得られず、プランジャが迅速に移動しない虞がある。
さらに、ボビンに励磁コイルを自動巻線機で巻回する際に、環状突起が障害となって、ボビンの貫通孔の全域に亘って自動巻線機の回転ロッドを挿入することができず、巻線作業の際にボビンのビビリ振動を生じて乱巻きを誘発する虞がある。また、巻線作業の際に、回転ロッドの回転力をボビンに伝達するための構造の簡素化も望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6-272783号公報
【特許文献2】特開平8-75030号公報
【特許文献3】特開平7-211544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、低コスト化、衝撃力及び衝撃音の低減、背圧逃がしによる動作特性の向上を図り、所望される推力を得ることのできる電磁アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電磁アクチュエータは、ハウジングと、励磁用のコイルと、コイルを外周に巻回すると共に所定の軸線を中心とする貫通孔を画定するべく筒状に形成された樹脂製のボビンと、コイルの通電により作動位置に移動しコイルの非通電により休止位置に戻るべく貫通孔内において軸線の方向に往復動する可動子と、コイルの通電により可動子を吸引するべくボビンに挿入されて磁路を形成する固定子と、可動子を休止位置に向けて付勢する付勢バネを備え、ボビンは、作動位置において可動子が当接するべく貫通孔の内壁面から内側に突出する環状ストッパと、軸線に向かって開口するべく環状ストッパを部分的に内向きに切り欠いた切欠き部を含む、構成となっている。
【0010】
上記電磁アクチュエータにおいて、切欠き部は、ボビンにコイルを巻回する自動巻線機の回転ロッドの回転力が伝達されるべく、回転ロッドの一部と係合する係合部を兼ねる、構成を採用してもよい。
【0011】
上記電磁アクチュエータにおいて、切欠き部は、軸線を中心として放射状に配置された切欠き溝として形成されている、構成を採用してもよい。
【0012】
上記電磁アクチュエータにおいて、切欠き部は、軸線を中心として放射状に配置された切欠き溝として形成され、ボビンにコイルを巻回する自動巻線機の回転ロッドが貫通孔の全域に亘って嵌合されるべく、回転ロッドを通すように形成されている、構成を採用してもよい。
【0013】
上記電磁アクチュエータにおいて、切欠き部は、軸線を中心として放射状に配置された切欠き溝として形成され、ボビンにコイルを巻回する自動巻線機の回転ロッドが貫通孔の全域に亘って嵌合されるべく回転ロッドを通すように形成されと共に回転ロッドの回転力が伝達されるべく回転ロッドの一部と係合する係合部を兼ねる、構成を採用してもよい。
【0014】
上記電磁アクチュエータにおいて、可動子は、環状ストッパに当接する環状端面及び軸線を中心とする内周面を画定するべく、環状ストッパに向けて開口する有底円筒状に形成されている、構成を採用してもよい。
【0015】
上記電磁アクチュエータにおいて、固定子は、環状ストッパに対して可動子と反対側から当接する環状当接部と、環状ストッパの内側に隙間をおいて挿入されて可動子の内部空間に入り得るべく軸線の方向に伸長する小径部を含み、切欠き部は、可動子が環状ストッパに当接した状態において、可動子の内部空間に連通する、構成を採用してもよい。
【0016】
上記電磁アクチュエータにおいて、可動子は、休止位置において、環状端面が小径部の先端外周縁と近接し、作動位置に移動するに連れて内周面が小径部の外周面に近接するように形成されている、構成を採用してもよい。
【0017】
上記電磁アクチュエータにおいて、付勢バネは、可動子の底壁と固定子の小径部の間に配置されている、構成を採用してもよい。
【0018】
上記電磁アクチュエータにおいて、可動子の内周面は、小径部及び付勢バネを非接触にて受け入れる大径内周面と、付勢バネを受け入れる小径内周面を含む、構成を採用してもよい。
【0019】
上記電磁アクチュエータにおいて、固定子に連結されてボビンの周りを取り囲むと共に磁路を形成するフレーム部材を含む、構成を採用してもよい。
【0020】
上記電磁アクチュエータにおいて、フレーム部材は、固定子に連結される平板状の端部ヨークと、端部ヨークに連結されると共に可動子を通す挿通孔を有するコ字状の外部ヨークを含む、構成を採用してもよい。
【0021】
上記電磁アクチュエータにおいて、可動子は、軸線の方向における環状端面と反対側において、所定の通路を開閉する弁部を有する、構成を採用してもよい。
【0022】
上記電磁アクチュエータにおいて、ハウジングは、吸気の流れを調整するスロットル装置に接合される接合部を含む、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0023】
上記構成をなす電磁アクチュエータによれば、構造の簡素化、低コスト化、衝撃力及び衝撃音の低減、背圧逃がしによる動作特性の向上を達成でき、所望される推力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る電磁アクチュエータを示す外観斜視図である。
図2】一実施形態に係る電磁アクチュエータを分解して一方向の斜めから視た分解斜視図である。
図3】一実施形態に係る電磁アクチュエータを分解して他方向の斜めから視た分解斜視図である。
図4】一実施形態に係る電磁アクチュエータの斜視断面図である。
図5】一実施形態に係る電磁アクチュエータにおいて、ボビンを示す斜視断面図である。
図6】一実施形態に係る電磁アクチュエータにおいて、ボビンを示す端面図である。
図7】一実施形態に係る電磁アクチュエータにおいて、休止位置における可動子と固定子との関係を示す模式図である。
図8】一実施形態に係る電磁アクチュエータにおいて、作動位置における可動子と固定子との関係を示す模式図である。
図9】一実施形態に係る電磁アクチュエータの動作を説明するものであり、可動子が休止位置に位置する状態を示す断面図である。
図10】一実施形態に係る電磁アクチュエータの動作を説明するものであり、可動子が作動位置に位置する状態を示す断面図である。
図11】一実施形態に係る電磁アクチュエータにおいて、自動巻線機を用いてボビンにコイルを巻回する前の状態を示す斜視図である。
図12】一実施形態に係る電磁アクチュエータにおいて、自動巻線機を用いてボビンにコイルを巻回する状態を示す斜視図である。
図13】一実施形態に係る電磁アクチュエータにおいて、ボビンと自動巻線機の回転ロッドとの関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明の電磁アクチュエータは、適用対象物として、例えば自動二輪車に搭載の内燃エンジンにおいて、吸気系を構成するスロットル装置に適用され、アイドル運転時のバイパス通路を通る吸気量を調整する際に使用される。
【0026】
一実施形態に係る電磁アクチュエータAは、図1ないし図4に示すように、ハウジング10、励磁用のコイル20、ボビン30、固定子40、フレーム部材50、可動子60、付勢バネ70を備えている。
尚、電磁アクチュエータAは、適用対象物、例えばスロットル装置に装着される際に、シール部材Srを挟み込んで、ハウジング10の接合部12がスロットル装置の取付部に接合されるようになっている。
【0027】
ハウジング10は、樹脂材料を用いて金型により成形されており、図1ないし図4に示すように、筐体部11、接合部12、コネクタ部13を備えている。
筐体部11は、コイル20が巻回されたボビン30に対して固定子40及びフレーム部材50を組付けたモジュール品を囲繞するように形成されている。
接合部12は、スロットル装置の取付部に嵌合されて接合されるべく、円環状に形成されている。そして、接合部12は、別の押圧部材(不図示)により外側から押圧されてスロットル装置に固定される。
コネクタ部13は、コイル20の両端部に接続された二つの端子21a,22aを外部に露出させると共に周りを囲繞するように形成されている。
尚、ハウジング10は、コイル20が巻回されかつ端子21a,22aが装着されたボビン30に固定子40及びフレーム部材50が組付けられたモジュール品を金型等に配置した後に、樹脂材料を金型内に注入して成形されるものである。
【0028】
コイル20は、ボビン30の円筒部32の外周面32aに巻回されてソレノイドとして機能するものであり、一端部21が端子21aに接続され、他端部22が端子22aに接続されている。
コイル20は、図11及び図12に示すように、自動巻線機Mにより、ボビン30に対して、自動的に螺旋状に緻密に巻回される。
【0029】
ボビン30は、樹脂材料を用いて金型により成形されたものであり、図4ないし図6に示すように、貫通孔31を画定する円筒部32、鍔部33、鍔部34、環状ストッパ35、切欠き部としての切欠き溝36を備えている。
【0030】
貫通孔31は、軸線Sを中心とする円筒孔として形成されている。尚、貫通孔31は、可動子60の摺動性及び耐摩耗性を高めるべく適宜コーティングが施されても良い。
円筒部32は、コイル20が巻回されるべく、軸線Sを中心とする外周面32aを画定する。
鍔部33は、軸線S方向において、円筒部32の一端側に形成され、フレーム部材50の外部ヨーク52に形成された位置決め切欠き52cに嵌合される二つの位置決め突起33aを備えている。
鍔部34は、軸線S方向において、円筒部32の他端側に形成され、端子21a,22aを嵌合する二つの嵌合穴34a,34bを備えている。
【0031】
環状ストッパ35は、貫通孔31の内壁面31aから軸線Sに向かう内側に突出して、挿通孔35a、環状端面35b、及び環状端面35cを画定するべく、軸線S方向に所定幅Wをなす円環状に形成されている。幅Wの値については、機械的強度と小型化との兼ね合いにおいて、適宜選定され得る。
挿通孔35aには、固定子40の小径部42が所定の隙間をおいて挿入されるようになっている。
環状端面35bには、電磁力により移動した可動子60の環状端面62が当接して、可動子60の作動位置を規定するようになっている。
環状端面35cには、貫通孔31内に挿入されて組付けられた固定子40の環状当接部43が当接して、固定子40の挿入位置を規定するようになっている。
【0032】
切欠き溝36は、軸線Sに向かって開口するべく内向きに切り欠かれると共に、軸線Sを中心として放射状に配置されている。ここでは、三つの切欠き溝36が放射状に配置されている。また、切欠き溝36の底壁36aは、貫通孔31の内壁面31aと面一になるように形成されている。
【0033】
このように、切欠き溝36は、溝底36aが内壁面31aと面一になるように形成されているため、自動巻線機Mの回転ロッド1を貫通孔31内の全域に亘って嵌合させることができ、回転ロッド1でボビン30の全域を保持することができる。これにより、自動巻線機Mでコイル20を巻回する際に、ボビン30のビビリ振動等を防止することができ、コイル20をボビン30に対して規則正しく緻密に巻回することができる。
また、切欠き溝36は、回転ロッド1の回転力が伝達されるべく、回転ロッド1の一部(ここでは、突条部1b)と係合する係合部を兼ねるようになっている。これにより、別に専用の係合部を設ける場合に比べて、ボビン30の構造の簡素化、軽量化等を達成することができる。
【0034】
固定子40は、軟鉄等を用いて機械加工又は鍛造により形成され磁力線を通す磁路として機能すると共にコイル20の通電時に可動子60を吸引する固定鉄心として機能するものであり、図2ないし図4図7ないし図10に示すように、大径部41、小径部42、環状当接部43、カシメ部44を備えている。
【0035】
大径部41は、軸線Sを中心とする円柱状に形成されて、ボビン30の貫通孔31に密接に嵌合されるように形成されている。
小径部42は、軸線Sを中心とする円柱状に形成されて、ボビン30の環状ストッパ35の内側(挿通孔35a)に隙間をおいて挿入され、可動子60が作動位置に移動した状態で可動子60の内部空間Cに入り得るように形成されている。
【0036】
そして、小径部42は、先端面42a、先端面42aから軸線S方向に段下がりに後退した円環状のバネ受け面42b、外周面42cを備えている。
ここで、先端面42aの外縁から環状バネ受け面42bに連続する領域は、小径部42の先端外周縁を画定する。
バネ受け面42bは、付勢バネ70の一端部71を受けるようになっている。
外周面42cは、環状ストッパ35の挿通孔35aと所定の隙間をおいて対向するように形成されている。
【0037】
環状当接部43は、軸線Sを中心とする円環状に形成され、軸線S方向において、ボビン30の環状ストッパ35に対して可動子60と反対側から当接する、すなわち、環状ストッパ35の環状端面35bに当接するように形成されている。
カシメ部44は、フレーム部材50を構成する端部ヨーク51の嵌合孔51aに嵌合された後にカシメされることにより、端部ヨーク51と連結されている。
【0038】
フレーム部材50は、軟鉄等を用いて機械加工又は鍛造により形成され、磁力線を通す磁路として機能するものであり、図2及び図3に示すように、端部ヨーク51と、外部ヨーク52とにより構成されている。
端部ヨーク51は、平板状の板材として形成され、固定子40のカシメ部44を嵌合させる嵌合孔51a、外部ヨーク52を連結する二つの凸部51bを備えている。
外部ヨーク52は、平板状の板材をコ字状に屈曲して形成され、可動子60を非接触にて通すべく軸線Sを中心とする円形の挿通孔52a、二つの凸部51bがそれぞれ嵌合される二つの凹部52b、ボビン30の位置決め突起33aが嵌合される二つの位置決め切欠き52cを備えている。
【0039】
可動子60は、磁力線を通す磁路として機能すると共にコイル20の通電時に軸線S方向に移動する可動鉄心として機能するものであり、快削鋼(SUM)等を用いて、機械加工又は鍛造により内部空間Cを画定する有底円筒状に形成されている。
そして、可動子60は、図2ないし図4図7ないし図10に示すように、外周面61、環状端面62、軸線Sを中心とする内周面としての大径内周面63及び小径内周面64、底壁65、連結部66、弁部67を備えている。
【0040】
外周面61は、軸線Sを中心とする円筒面をなし、ボビン30の貫通孔31内に摺動自在に又は微小隙間をおいて挿入される。
環状端面62は、円環状をなし、可動子60が作動位置に移動したとき、ボビン30の環状ストッパ35に当接するように形成されている。
【0041】
大径内周面63は、環状端面62に連続して形成され、可動子60が作動位置に移動した状態で、付勢バネ70及び小径部42を非接触で受け入れるように形成されている。
小径内周面64は、大径内周面63の内径よりも小さい内径に形成され、僅かな隙間をおいて付勢バネ70を受け入れ、付勢バネ70の倒れを規制するように形成されている。
底壁65は、軸線S方向において、付勢バネ70の他端部72を受けるように形成されている。
【0042】
連結部66は、軸線S方向において環状端面62と反対側に形成され、弁部67が連結されるようになっている。
弁部67は、ゴム材料を用いて円盤状に形成され、連結部66に連結されている。そして、弁部67は、可動子60が休止位置に位置するとき、適用対象物2の座面3に着座して通路4を閉塞し、可動子60が作動位置に位置するとき、適用対象物2の座面3から離れて通路4を開放する。
【0043】
付勢バネ70は、圧縮型のコイルバネであり、適用対象物2に組み込まれた状態で、一端部71が固定子40の小径部42に形成されたバネ受け面42bに当接しかつ他端部72が可動子60の底壁65に当接して軸線S方向に圧縮して配置される。そして、付勢バネ70は、可動子60を軸線S方向において休止位置に向けて付勢する。
【0044】
上記構成をなす電磁アクチュエータAにおいて、可動子60と固定子40との関係について、図7及び図8を参照しつつ説明する。
先ず、休止位置において、可動子60は、環状端面62が固定子40の小径部42の先端外周縁(先端面42aの外縁から環状バネ受け面42bに連続する領域)と近接するように形成されている。また、休止位置から作動位置に移動するに連れて、可動子60の内周面(大径内周面63)が固定子40の小径部42の外周面42cと近接するように形成されている。
【0045】
これによれば、コイル20が通電された際に、磁力線の流れは、可動子60の環状端面62から固定子40の先端外周縁に向けて、すなわち、軸線S方向に向かう流れが支配的となり、可動子60が休止位置から起動する際に大きな推力(電磁力)が得られる。その結果、可動子60は迅速に移動し始めることができる。そして、可動子60が移動して環状ストッパ35に当接する作動位置に至るまでには、磁力線の流れは、可動子60の内周面(大径内周面63)から固定子40の外周面42cに向けて、すなわち、軸線Sに垂直な径方向内側に向かう流れが支配的となり、可動子60が作動位置に近づくに連れて推力(電磁力)が小さくなる。その結果、可動子60が環状ストッパ35に当接する際の衝撃力及び衝撃音を抑制又は低減することができる。
【0046】
次に、上記構成をなす電磁アクチュエータAにおいて、コイル20の巻回作業について説明する。
先ず、図11に示すように、端子21a,22aを装着したボビン30が、自動巻線機Mを備えた作業設備に持ち込まれる。
そして、図12に示すように、自動巻線機Mの回転ロッド1を貫通孔31に挿入するようにボビン30が取り付けられる。ここで、回転ロッド1は、貫通孔31に微小隙間をおいて挿入される外周面1aと、外周面1aを肉抜きして形成され軸線S方向に伸長する三つの突条部1bを備えている。
【0047】
この取り付けにおいて、回転ロッド1は、三つの突条部1bが環状ストッパ35の領域に形成された三つの切欠き溝36に挿入されつつ、図13に示すように、貫通孔31の全域に亘って嵌合される。ここで、三つの突条部1aは、ボビン30を支持すると共に軸線S回りの回転力をボビン30に伝達する役割をなす。そして、回転ロッド1を回転させることにより、ボビン30の全域が支持されつつ係合部としての切欠き溝36を介して回転力が伝達され、ボビン30の円筒部32の外周面32aにコイル20が巻回される。
【0048】
このように、自動巻線機Mの回転ロッド1は貫通孔31内の全域に亘って嵌合されるため、回転ロッド1でボビン30の全域を保持することができる。これにより、自動巻線機Mでコイル20を巻回する際に、ボビン30のビビリ振動等を防止され、コイル20はボビン30に対して規則正しく緻密に巻回される。また、回転ロッド1の回転力は、係合部を兼ねる切欠き溝36を介して伝達されるため、専用の係合部を設ける場合に比べて、ボビン30の構造の簡素化、軽量化を達成することができる。
【0049】
次に、電磁アクチュエータAの成型作業及び組み付け作業について説明する。
先ず、上記工程によりコイル20が巻回されたボビン30、端部ヨーク51が予めカシメ固定された固定子40、外部ヨーク52、弁部67を備える可動子60、付勢バネ70が準備される。
そして、ボビン30の位置決め突起33aを外部ヨーク52の位置決め切欠き52cに嵌め込むようにして、ボビン30が外部ヨーク52に組み込まれる。
続いて、固定子40がボビン30の貫通孔31に挿入されると共に、端部ヨーク51の凸部51bが外部ヨーク52の凹部52bに嵌合される。
続いて、上記のように組み付けられたモジュール品が、所定の金型内に配置されて樹脂モールドによりハウジング10が成形される。
最後に、ボビン30の貫通孔31内に付勢バネ70が挿入され、付勢バネ70を覆うように、可動子60が貫通孔31内に挿入される。
これにより、電磁アクチュエータAの組み付けが完了する。
上記の組付け作業及び手順は、一例を示すものであり、他の手法で行われても良い。
【0050】
次に、上記構成をなす電磁アクチュエータAが適用対象物2に適用された状態での動作について、図7ないし図10を参照しつつ説明する。
先ず、コイル20が通電されない非通電の状態において、図9に示すように、可動子60は付勢バネ70の付勢力により、適用対象物2の座面3に着座して通路4を閉塞した休止位置に位置付けられる。
【0051】
この休止状態において、コイル20が通電されると、フレーム部材50の外部ヨーク52から可動子60を経由して固定子40の小径部42に流れ込む磁力線(電磁力)が生じて、可動子60は固定子40に向けて引き寄せられる。
このとき、休止位置においては、可動子60の環状端面62が、固定子40の小径部42の先端外周縁(先端面42aの外縁から環状バネ受け面42bを含む領域)と近接した状態にある。すなわち、環状端面62が小径部42の先端外周縁と対向するため、図7に示すように、可動子60から固定子40に磁力線が流れ、又、軸線S方向に向かう磁力線が支配的となるため、大きな推力(電磁力)が得られる。
これにより、可動子60は迅速に移動して、図10に示すように、環状端面62が環状ストッパ35に当接する作動位置に移動して停止すると共に、弁部67が座面3から離脱して通路4を開放する。
【0052】
ここで、可動子60が作動位置に移動する際に、図8に示すように、可動子60の内周面(大径内周面63)から固定子40の外周面42cに磁力線が流れ、軸線Sに垂直な径方向内側に向かう流れが支配的となるため、可動子60が作動位置に近づくに連れて推力(電磁力)が小さくなる。これにより、可動子60は、起動時の速度よりも遅く移動して環状ストッパ35に当接する。
【0053】
また、可動子60が作動位置に向けて移動する際に、環状端面62と環状ストッパ35の間の空間は狭くなるが、切欠き溝36が背圧逃がしの役割をなす。ここでは、特に、切欠き溝36が、固定子40の小径部42と環状ストッパ35の挿通孔35aの間の隙間を介して、可動子60の内部空間Cと連通している。したがって、可動子60の移動に伴う背圧は内部空間Cに吸収されてその上昇が抑制される。
【0054】
また、固定子40と可動子60に囲まれた空間(切欠き溝36、小径部42と挿通孔35aの隙間、内部空間C)は、外部に対して閉じた閉塞空間であるため、外部に開口する背圧逃がしの通路が設けられている場合に比べて、可動子60が作動位置に移動する際に、閉塞空間内の空気の僅かな圧縮により衝撃を緩和するダンピング作用が得られる。
さらに、閉塞空間とすることにより、可動子60が環状ストッパ35に当接する衝撃音が外部に漏れ出るのを抑制することができる。
【0055】
一方、この作動状態において、コイル20の通電が断たれると、可動子60は、付勢バネ70の付勢力により押し戻されて休位置に後退し、適用対象物2の座面3に着座して通路4を閉塞する。
【0056】
以上述べたように、一実施形態に係る電磁アクチュエータAは、ハウジング10と、励磁用のコイル20と、コイル20を外周に巻回すると共に所定の軸線Sを中心とする貫通孔31を画定するべく筒状に形成された樹脂製のボビン30と、コイル20の通電により作動位置に移動しコイル20の非通電により休止位置に戻るべく貫通孔31内において軸線Sの方向に往復動する可動子60と、コイル20の通電により可動子60を吸引するべくボビン30に挿入されて磁路を形成する固定子40と、可動子60を休止位置に向けて付勢する付勢バネ70を備え、ボビン30は、作動位置において可動子60が当接するべく貫通孔31の内壁面31aから内側に突出する環状ストッパ35と、軸線Sに向かって開口するべく環状ストッパ35を部分的に内向きに切り欠いた切欠き部を含む。
【0057】
これによれば、可動子60はボビン30の一部として形成された樹脂製の環状ストッパ35に当接して作動位置が規定されるため、専用のストッパ部材を設ける場合に比べて、構造の簡素化、低コスト化、衝撃音の低減等を達成することができる。特に、環状ストッパ35を部分的に切り欠いた切欠き部を含むため、可動子60が作動位置に向けて移動する際に生じる背圧を切欠き部の領域に逃がすことができ、所望する動作特性を得ることができる。
【0058】
また、切欠き部は、ボビン30にコイル20を巻回する自動巻線機Mの回転ロッド1の回転力が伝達されるべく回転ロッド1の一部(突条部1b)と係合する係合部を兼ねるように形成されている。
これによれば、別に専用の係合部を設ける場合に比べて、ボビン30の構造の簡素化、軽量化等を達成することができる。
【0059】
また、切欠き部は、軸線Sを中心として放射状に配置された切欠き溝36として形成されている。
これによれば、切欠き溝36が軸線Sを中心として放射状に(対称的に)配置されることで、可動子60が移動する際に、背圧を周方向において均等に逃がすことができ、可動子60を偏りなく円滑に移動させることができる。
【0060】
また、切欠き部としての切欠き溝36は、ボビン30にコイル20を巻回する自動巻線機Mの回転ロッド1が貫通孔31の全域に亘って嵌合されるべく回転ロッド1を通すように形成されている。
これによれば、自動巻線機Mの回転ロッド1を貫通孔31内の全域に亘って嵌合させることができ、回転ロッド1でボビン30の全域を保持することができる。これにより、自動巻線機Mでコイル20を巻回する際に、ボビン30のビビリ振動等を防止することができ、コイル20をボビン30に対して規則正しく緻密に巻回することができる。
【0061】
また、切欠き部としての切欠き溝36は、ボビン30にコイル20を巻回する自動巻線機Mの回転ロッド1が貫通孔31の全域に亘って嵌合されるべく回転ロッド1を通すように形成されると共に回転ロッド1の回転力が伝達されるべく回転ロッド1の一部(突条部1b)と係合する係合部を兼ねるように形成されている。
これによれば、自動巻線機Mでコイル20を巻回する際に、ボビン30のビビリ振動等を防止することができ、コイル20をボビン30に対して規則正しく緻密に巻回することができ、又、ボビン30の構造の簡素化、軽量化等を達成することができる。
【0062】
また、可動子60は、環状ストッパ35に当接する環状端面62及び軸線Sを中心とする内周面(大径内周面63、小径内周面64)を画定するべく、環状ストッパ35に向けて開口する有底円筒状に形成されている。
これによれば、可動子60が中空形状をなすため、中実形状のものに比べて軽量化することができ、移動する際の応答性を向上させることができ、又、環状ストッパ35に当接する際の衝撃力を緩和でき、それ故に、衝撃音も緩和することができる。
【0063】
また、固定子40は、環状ストッパ35に対して可動子60と反対側から当接する環状当接部43と、環状ストッパ35の内側(挿通孔35a)に隙間をおいて挿入されて可動子60の内部空間Cに入り得るべく軸線Sの方向に伸長する小径部42を含み、切欠き部(切欠き溝36)は、可動子60が環状ストッパ35に当接した状態において、可動子60の内部空間Cに連通する。
【0064】
これによれば、固定子40の環状当接部43が環状ストッパ35に対して可動子60と反対側から当接するため、環状ストッパ35により固定子40の位置を規定することができると共に、可動子60が環状ストッパ35に当接する際の衝撃力を固定子40の環状当接部43で受け止めて相殺することができる。これにより、樹脂製の環状ストッパ35が可動子60の衝撃力により亀裂や破損を招くのを防止することができる。
また、切欠き部(切欠き溝36)は、固定子40の小径部42と環状ストッパ35の挿通孔35aの間の隙間を介して可動子60の内部空間Cと連通しているため、可動子60の移動に伴う背圧の上昇は内部空間Cに吸収され、可動子60の所望する応答性、動作特性を得ることができる。
【0065】
また、可動子60は、休止位置において、環状端面62が固定子40の小径部42の先端外周縁と近接し、作動位置に移動するに連れて内周面(大径内周面63)が固定子40の小径部42の外周面42cに近接するように形成されている。
これによれば、可動子60が休止位置から起動する際に大きな推力(電磁力)が得られて可動子60を迅速に移動させることができ、又、可動子60が作動位置に近づくに連れて推力(電磁力)が小さくなり、可動子60が環状ストッパ35に当接する際の衝撃力及び衝撃音を低減又は抑制することができる。
【0066】
また、付勢バネ70は、可動子60の底壁65と固定子40の小径部42の間に配置され、可動子60の内周面は、固定子40の小径部42及び付勢バネ70を非接触にて受け入れる大径内周面63と、付勢バネ70を受け入れる小径内周面64を含む。
これによれば、付勢バネ70の倒れを規制しつつ、その付勢力を軸線S方向にのみ発生させることができる。
【0067】
また、固定子40に連結されてボビン30の周りを取り囲むと共に磁路を形成するフレーム部材50を含み、フレーム部材50は、固定子40に連結される平板状の端部ヨーク51と、端部ヨーク51に連結されると共に可動子60を通す挿通孔52aを有するコ字状の外部ヨーク52を含む。
これによれば、ボビン30をハウジング10に対して堅固に保持させることができ、又、磁力線を通す磁路として機能するため、コイル20の通電により生じた磁力線を有効に利用することができる。
【0068】
また、可動子60は、軸線Sの方向における環状端面62と反対側において、所定の通路4を開閉する弁部67を有する。
これによれば、電磁アクチュエータAを、適用対象物2の通路4を開閉する電磁弁として利用することができる。
【0069】
また、ハウジング10は、吸気の流れを調整するスロットル装置に接合される接合部12を含む。
これによれば、電磁アクチュエータAを、スロットル装置の吸気量を調整する電磁弁として利用することができる。
【0070】
以上述べたように、一実施形態に係る電磁アクチュエータAによれば、構造の簡素化、低コスト化、衝撃量及び衝撃音の低減、背圧逃がしによる動作特性の向上を達成でき、所望される推力を得ることができる。
【0071】
上記実施形態においては、環状ストッパ35に形成された切欠き部として、放射状に配置された切欠き溝36を示したが、これに限定されるものではなく、背圧逃がしの作用が得られる形態であれば、切欠き溝の溝底が貫通孔の内壁面と面一にならない形態、その他の形態を採用することができる。
また、切欠き部として、放射状に配置された切欠き溝36を示したが、これに限定されるものではなく、自動巻線機Mの回転ロッド1の回転力が伝達されるべく回転ロッドの一部と係合する係合部を兼ねるものであればその他の形態を採用することができ、さらに、自動巻線機Mの回転ロッド1がボビンの貫通孔の全域に亘って嵌合されるものであればその他の形態を採用することができる。
【0072】
例えば、切欠き部として、図6に示す形態において環状ストッパ35と切欠き溝36との形状が入れ替わった形態、すなわち、幅狭い三つのストッパが周方向に配列されかつ幅広い三つの切欠き溝がストッパの間に介在する形態を採用することができる。
また、切欠き部として、周方向において略半分の領域を占める環状(半円環状の)ストッパと、周方向において残りの略半分の領域が切り欠かれた切欠き部(半円環状の切欠き溝)をなす形態等を採用することもできる。
尚、環状ストッパの「環状」とは、周方向において連続する形態、周方向において複数離隔して配列される形態、周方向において所定の角度範囲に亘って湾曲して形成された形態等を含む趣旨である。
【0073】
上記実施形態においては、固定子及びフレーム部材として、上記形態をなす固定子40及びフレーム部材50を示したが、その他の形態をなす固定子及びフレーム部材を採用してもよい。
上記実施形態においては、可動子60に弁部67を設けて電磁弁として機能する電磁アクチュエータAを示したが、これに限定されるものではなく、単に可動子の移動を駆動力として利用する電磁アクチュエータとして構成されてもよい。
【0074】
以上述べたように、本発明の電磁アクチュエータは、構造の簡素化、低コスト化、衝撃力及び衝撃音の低減、背圧逃がしによる動作特性の向上を達成でき、所望される推力を得ることができるため、自動二輪車に搭載の内燃エンジンにおける吸気系を構成するスロットル装置に適用できるのは勿論のこと、その他の分野における電磁アクチュエータとしても有用である。
【符号の説明】
【0075】
M 自動巻線機
1 回転ロッド
1b 突条部(回転ロッドの一部)
2 適用対象物
3 座面
4 通路
A 電磁アクチュエータ
S 軸線
10 ハウジング
12 接合部
20 励磁用のコイル
30 樹脂製のボビン
31 貫通孔
31a 内壁面
32 円筒部
32a 外周面(外周)
33,34 鍔部
35 環状ストッパ
35a 挿通孔
35b,35c 環状端面
36 切欠き溝(切欠き部、係合部)
40 固定子
41 大径部
42 小径部
42a 先端面(先端外周縁)
42b バネ受け面(先端外周縁)
42c 外周面
50 フレーム部材
51 端部ヨーク
52 外部ヨーク
52a 挿通孔
60 可動子
61 外周面
62 環状端面
63 大径内周面
64 小径内周面
65 底壁
66 連結部
67 弁部
70 付勢バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13