(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120259
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】映像合成装置、表示装置及び表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20240829BHJP
G09G 5/12 20060101ALI20240829BHJP
G09G 5/14 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G09G5/00 530M
G09G5/00 510X
G09G5/12
G09G5/14 A
G09G5/00 555G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026930
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】岡田 広樹
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA03
5C182AB15
5C182AB26
5C182AC33
5C182AC35
5C182BC05
5C182CB52
5C182CC02
5C182DA14
5C182DA15
5C182DA22
5C182EA08
(57)【要約】
【課題】入力バッファサイズの小さい「映像合成装置、表示装置及び表示システム」を提供する。
【解決手段】トリガ信号生成部113は、同期遅延検出部114が検出した第1映像と第2映像の垂直同期信号の時間差分、第1映像の垂直同期信号からタイミングをずらしたトリガ信号を、第2映像を出力する第2映像ソース機器3に出力し、第1映像と第2映像の垂直周期を同期化する。入力した第1映像は第1ラインバッファ1111に格納された後、第1映像処理部1115で画像処理が施されて合成用第1映像が生成され。第2映像は第2ラインバッファ1121に格納された後、第2映像処理部1125で画像処理が施されて合成用第2映像が生成される。合成出力部115は、合成用第1映像と合成用第2映像のラインを水平方向に並ぶように合成したラインを、表示パネル12に表示する合成映像のラインとして生成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1映像ソース機器が出力する第1映像と、第2映像ソース機器が出力する、前記第1映像と垂直周期の長さが等しい第2映像を、前記第1映像と前記第2映像が水平方向に並んだ合成映像に合成する映像合成装置であって、
前記第2映像ソース機器は、外部から入力したトリガ信号に前記第2映像の垂直周期を同期させるトリガ機能を備えており、
当該映像合成装置は、
前記第1映像の垂直同期信号のタイミングと前記第2映像の垂直同期信号のタイミングとの時間差を検出する遅延検出手段と、
前記遅延検出手段で検出される前記時間差が0となるようにタイミングを調整したトリガ信号を生成し前記第2映像ソース機器に出力するトリガ信号生成手段と、
前記第1映像のラインを所定容量分バッファリングする第1ラインバッファと、
前記第2映像のラインを所定容量分バッファリングする第2ラインバッファと、
第1ラインバッファから読み出された前記第1映像のライン、もしくは、当該第1映像のラインに所定の画像処理を施したラインを合成用第1映像のラインとし、第2ラインバッファから読み出された前記第2映像のライン、もしくは、当該第2映像のラインに所定の画像処理を施したラインを合成用第2映像のラインとして、合成用第1映像のラインと合成用第2映像のラインが水平方向に並んだラインを、前記合成映像のラインとして生成する合成部とを有することを特徴とする映像合成装置。
【請求項2】
第1映像ソース機器が出力する第1映像と、第2映像ソース機器が出力する、前記第1映像と垂直周期の長さが等しい第2映像を、前記第1映像と前記第2映像が水平方向に並んだ合成映像に合成し、表示パネルに表示する映像合成装置であって、
前記第1映像ソース機器は、外部から入力した第1トリガ信号に前記第1映像の垂直周期を同期させるトリガ機能を備えており、
前記第2映像ソース機器は、外部から入力した第2トリガ信号に前記第2映像の垂直周期を同期させるトリガ機能を備えており、
当該映像合成装置は、
前記表示パネルの表示の垂直同期信号のタイミングと、前記第1映像の垂直同期信号のタイミングとの時間差を検出する第1遅延検出手段と、
前記第1遅延検出手段で検出される前記時間差が所定の時間差となるようにタイミングを調整した第1トリガ信号を生成し前記第1映像ソース機器に出力する第1トリガ信号生成手段と、
前記表示パネルの表示の垂直同期信号のタイミングと、前記第2映像の垂直同期信号のタイミングとの時間差を検出する第2遅延検出手段と、
前記第2遅延検出手段で検出される前記時間差が前記所定の時間差となるようにタイミングを調整した第2トリガ信号を生成し前記第2映像ソース機器に出力する第2トリガ信号生成手段と、
前記第1映像のラインを所定容量分バッファリングする第1ラインバッファと、
前記第2映像のラインを所定容量分バッファリングする第2ラインバッファと、
第1ラインバッファから読み出された前記第1映像のライン、もしくは、当該第1映像のラインに所定の画像処理を施したラインを合成用第1映像のラインとし、第2ラインバッファから読み出された前記第2映像のライン、もしくは、当該第2映像のラインに所定の画像処理を施したラインを合成用第2映像のラインとして、合成用第1映像のラインと合成用第2映像のラインが水平方向に並んだラインを、前記合成映像のラインとして生成する合成部とを有することを特徴とする映像合成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の映像合成装置であって、
第1映像処理部と第2映像処理部とを有し、
前記合成用第1映像のラインは、第1ラインバッファから読み出された前記第1映像のラインに前記第1映像処理部が所定の画像処理を施したラインであって、前記合成用第2映像のラインは、第2ラインバッファから読み出された前記第2映像のラインに前記第2映像処理部が所定の画像処理を施したラインであることを特徴とする映像合成装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の映像合成装置と前記表示パネルを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の表示装置と前記第1映像ソース機器と前記第2映像ソース機器とを備えたことを特徴とする表示システム。
【請求項6】
請求項5記載の表示システムであって、
当該表示システムは、自動車に搭載される車載型の表示システムであることを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の映像を合成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の映像を合成する技術としては、入力する2つの映像を合成して当該2つの映像が水平方向(左右方向)に並んだ映像を生成し、横長の表示パネルに表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
また、複数の映像を合成する技術としては、入力する複数の映像の各々用のフレームバッファを設け、非同期で入力する各映像を一旦フレームバッファに格納した後に、フレームバッファから同期して読み出して合成する技術が知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-292812号公報
【特許文献2】特開2009-265319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力する複数の映像のバッファにフレームバッファを用いる場合、映像毎に、少なくとも1画像フレーム分の画像データを格納できる比較的に容量の大きなメモリを備える必要がある。そして、このことが、消費電力の増大や発熱量の増加や高コスト化を招いていた。
【0005】
そこで、本発明は、入力する複数の映像のバッファ用の大容量のメモリを必要とすることなく、複数の映像を、当該複数の映像が水平方向に並んだ映像に合成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、第1映像ソース機器が出力する第1映像と、第2映像ソース機器が出力する、前記第1映像と垂直周期の長さが等しい第2映像を、前記第1映像と前記第2映像が水平方向に並んだ合成映像に合成する映像合成装置を提供する。ただし、前記第2映像ソース機器は、外部から入力したトリガ信号に前記第2映像の垂直周期を同期させるトリガ機能を備えている。
【0007】
そして、当該映像合成装置は、前記第1映像の垂直同期信号のタイミングと前記第2映像の垂直同期信号のタイミングとの時間差を検出する遅延検出手段と、前記遅延検出手段で検出される前記時間差が0となるようにタイミングを調整したトリガ信号を生成し前記第2映像ソース機器に出力するトリガ信号生成手段と、前記第1映像のラインを所定容量分バッファリングする第1ラインバッファと、前記第2映像のラインを所定容量分バッファリングする第2ラインバッファと、第1ラインバッファから読み出された前記第1映像のライン、もしくは、当該第1映像のラインに所定の画像処理を施したラインを合成用第1映像のラインとし、第2ラインバッファから読み出された前記第2映像のライン、もしくは、当該第2映像のラインに所定の画像処理を施したラインを合成用第2映像のラインとして、合成用第1映像のラインと合成用第2映像のラインが水平方向に並んだラインを、前記合成映像のラインとして生成する合成部とを備えている。
【0008】
また、前記課題達成のために、本発明は、第1映像ソース機器が出力する第1映像と、第2映像ソース機器が出力する、前記第1映像と垂直周期の長さが等しい第2映像を、前記第1映像と前記第2映像が水平方向に並んだ合成映像に合成する映像合成装置を提供する。ただし、前記第1映像ソース機器は、外部から入力した第1トリガ信号に前記第1映像の垂直周期を同期させるトリガ機能を備えており、前記第2映像ソース機器は、外部から入力した第2トリガ信号に前記第2映像の垂直周期を同期させるトリガ機能を備えている。
【0009】
そして、当該映像合成装置は、前記表示パネルの表示の垂直同期信号のタイミングと、前記第1映像の垂直同期信号のタイミングとの時間差を検出する第1遅延検出手段と、前記第1遅延検出手段で検出される前記時間差が所定の時間差となるようにタイミングを調整した第1トリガ信号を生成し前記第1映像ソース機器に出力する第1トリガ信号生成手段と、前記表示パネルの表示の垂直同期信号のタイミングと、前記第2映像の垂直同期信号のタイミングとの時間差を検出する第2遅延検出手段と、前記第2遅延検出手段で検出される前記時間差が前記所定の時間差となるようにタイミングを調整した第2トリガ信号を生成し前記第2映像ソース機器に出力する第2トリガ信号生成手段、前記第1映像のラインを所定容量分バッファリングする第1ラインバッファと、前記第2映像のラインを所定容量分バッファリングする第2ラインバッファと、第1ラインバッファから読み出された前記第1映像のライン、もしくは、当該第1映像のラインに所定の画像処理を施したラインを合成用第1映像のラインとし、第2ラインバッファから読み出された前記第2映像のライン、もしくは、当該第2映像のラインに所定の画像処理を施したラインを合成用第2映像のラインとして、合成用第1映像のラインと合成用第2映像のラインが水平方向に並んだラインを、前記合成映像のラインとして生成する合成部とを備えている。
【0010】
ここで、これらの映像合成装置に、第1映像処理部と第2映像処理部を設け、前記合成用第1映像のラインを、第1ラインバッファから読み出された前記第1映像のラインに前記第1映像処理部が所定の画像処理を施したラインとし、前記合成用第2映像のラインを、第2ラインバッファから読み出された前記第2映像のラインに前記第2映像処理部が所定の画像処理を施したラインとしてもよい。
以上のような映像合成装置によれば、第1映像と第2映像の垂直周期が等しくなるように同期させているので、合成画像の同じラインの生成に必要となる、第1映像のラインと第2映像のラインの入力タイミングは近似したものとなる。したがって、第1映像のラインと第2映像のラインのうちの一方のラインを、当該ラインと同じ合成画像のラインの生成に必要となる他方のラインの入力まで長期間に渡って保持し続ける必要がなくなり、第1ラインバッファと第2ラインバッファの容量を小さく抑えることができる。
【0011】
また、本発明は、併せて、以上の映像合成装置と前記表示パネルを備えた表示装置や、当該表示装置と前記第1映像ソース機器と前記第2映像ソース機器とを備えた表示システムも提供する。ここで、当該表示システムは、自動車に搭載される車載型の表示システムであってよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、入力する複数の映像のバッファ用の大容量のメモリを必要とすることなく、複数の映像を、当該複数の映像が水平方向に並んだ映像に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る表示パネルの配置を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態において行う映像の合成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る表示装置の構成を示すブロックである。
【
図5】本発明の実施形態に係る映像処理部の同期化処理を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る映像処理部の動作例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る表示装置の他の構成例を示すブロックである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、自動車に搭載される表示システムへの適用を例にとり説明する。
図1に、本実施形態に係る表示システムの構成を示す。
図示するように、表示システム1は、表示装置1と、第1映像ソース機器2と、第2映像ソース機器3とを備えている。
また、表示装置1は、映像処理装置11と、LCD等である表示パネル12を備えており、映像処理装置11には、第1映像ソース機器2が出力する映像である第1映像と、第2映像ソース機器3が出力する映像である第2映像が入力する。
そして、映像処理装置11は、入力した第1映像と第2映像を合成した合成映像を生成し表示パネル12に表示する処理を行う。
表示パネル12は、横長の表示パネル12であり、表示装置1は、たとえば、
図2に示すように、運転席の前方の位置に表示パネル12の表示面を運転席方向に向けて配置されている。
また、
図3aに示すように、表示パネル12の表示面上には、表示面を左右に分割した第1表示領域と第2表示領域が設定されている。
そして、映像処理装置11は、
図3bに示すように、第1映像と第2映像が水平方向(左右方向)に並んだ合成映像を合成して表示パネル12に表示することにより、第1映像を第1表示領域に表示し、第2映像を第2表示領域に表示する。
なお、
図3bは、第1映像をスピードメータやタコメータなどのメータを模したメータ画面とし、第2映像をカーナビゲーション画面とした合成映像の例を示している。
次に、
図4に、映像処理装置11の内部構成を示す。
映像処理装置11は、たとえば、画像処理ICであり、その機能構成として、第1映像ソース機器2から入力する第1映像を処理し合成用第1映像として出力する第1処理部111と、第2映像ソース機器3から入力する第2映像を処理し合成用第2映像として出力する第2処理部112と、トリガ信号生成部113と、同期遅延検出部114と、第1処理部111が出力する合成用第1映像と第2処理部112が出力する合成用第2映像を
図3bに示したように合成して合成映像として表示パネル12に表示する合成出力部115を備えている。
【0015】
第1処理部111は、ライトポートとリードポートとの2ポートを備えた所定容量分のラインをバッファリングする第1ラインバッファ1111、第1リードカウンタ1112、第1ライトカウンタ1113、第1同期検出兼クロック生成部1114、第1映像処理部1115を備えている。
【0016】
第1同期検出兼クロック生成部1114は、第1映像ソース機器2から入力する第1映像の垂直/水平/同期信号タイミング/クロックを検出すると共に、これらに同期した第1ラインバッファ1111へのライトアドレスの生成を第1ライトカウンタ1113に行わせ、第1ラインバッファ1111の第1ライトカウンタ1113が生成したライトアドレスに、第1映像ソース機器2から入力する第1映像のピクセルデータが書き込まれる。
【0017】
第1リードカウンタ1112は、合成出力部115の表示パネル12への表示に同期して、第1ラインバッファ1111からのリードアドレスを生成し、第1ラインバッファ1111の第1リードカウンタ1112が生成したリードアドレスから、第1ラインバッファ1111に格納されたピクセルデータが読み出される。
【0018】
そして、第1映像処理部1115は、第1ラインバッファ1111から読み出されたピクセルデータ列に対して所定の画像処理を行った映像を合成用第1映像として合成出力部115に出力する。
第2処理部112も、第1処理部111と同様の構成を備えており、ライトポートとリードポートとの2ポートを備えた所定容量分のラインをバッファリングする第2ラインバッファ1121、第2リードカウンタ1122、第2ライトカウンタ1123、第2同期検出兼クロック生成部1124、第2映像処理部1125を備えている。
【0019】
第2同期検出兼クロック生成部1124は、第2映像ソース機器3から入力する第2映像の垂直/水平/同期信号タイミング/クロックを検出すると共に、これらに同期した第2ラインバッファ1121へのライトアドレスの生成を第2ライトカウンタ1123に行わせ、第2ラインバッファ1121の第2ライトカウンタ1123が生成したライトアドレスに、第2映像ソース機器3から入力する第2映像のピクセルデータが書き込まれる。
【0020】
第2リードカウンタ1122は、合成出力部115の表示パネル12への合成映像の表示に同期して、第2ラインバッファ1121からのリードアドレスを生成し、第2ラインバッファ1121の第2リードカウンタ1122が生成したリードアドレスから、第2ラインバッファ1121に格納されたピクセルデータが読み出される。
【0021】
そして、第2映像処理部1125は、第2ラインバッファ1121から読み出されたピクセルデータ列に対して所定の画像処理を行った映像を合成用第2映像として合成出力部115に出力する。
合成出力部115は、第1処理部111が出力する合成用第1映像が
図3bに示した第1表示領域に表示され、第2処理部112が出力する合成用第2映像が
図3bに示した第2表示領域に表示されるように合成映像を生成し表示パネル12に表示する。
すなわち、合成出力部115は、合成用第1映像の各ラインが、合成映像の対応するラインの第1表示領域に対応する部分となり、合成用第2映像の各ラインが、合成映像の対応するラインの第2表示領域に対応する部分となるように、合成用第1映像の各ラインについて、合成用第1映像の対応するラインと合成用第2映像の対応するラインを、両ラインが水平方向に並ぶように合成して合成用第1映像のラインを生成する。
【0022】
そして、第1処理部111の第1リードカウンタ1112は、このような合成出力部115の合成映像の各ラインへの合成に適合するタイミングで、合成用第1映像の各ピクセルデータが出力されるようにリードアドレスを生成し、第2処理部112の第2リードカウンタ1122は、このような合成出力部115の合成映像の各ラインへの合成に適合するタイミングで、合成用第2映像の各ピクセルデータが出力されるようにリードアドレスを生成している。
【0023】
次に、第1同期検出兼クロック生成部1114は検出した第1映像の垂直同期信号タイミングをトリガ信号生成部113と同期遅延検出部114に出力し、第2同期検出兼クロック生成部1124は検出した第2映像の垂直同期信号タイミングを同期遅延検出部114に出力する。
【0024】
同期遅延検出部114は、第1映像の垂直同期信号タイミングと第2映像の垂直同期信号タイミングの時間差を検出しトリガ信号生成部113に出力する。
次に、トリガ信号生成部113の動作について説明する。
まず、本表示システムにおいて、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3としては、垂直周期の長さが等しい映像ソース機器を用いている。なお、水平周期は、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3で異なっていてもよい。
また、本表示システムにおいて、第2映像ソース機器3としては、外部から入力するトリガ信号に垂直同期信号したがって垂直周期を同期させるトリガ機能を備えた映像ソース機器を用いている。
そして、トリガ信号生成部113は、トリガ信号を生成し第2映像ソース機器3に出力する。
図5aに、トリガ信号生成部113の動作例を示す。
図5aにおいてVS1は第1映像の垂直同期信号タイミングを、VS2は第2映像の垂直同期信号タイミングを、Tgrはトリガ信号生成部113が第2映像ソース機器3に出力するトリガ信号を表している。
図示するように、トリガ信号生成部113は、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3の垂直周期が同期していない状態において動作を開始すると、第1映像の垂直同期信号タイミングVS1と同じタイミングのトリガ信号Tgrを生成し、第2映像ソース機器3に出力する(S01)。
【0025】
そして、同期遅延検出部114が第1映像の垂直同期信号タイミングと第2映像の垂直同期信号タイミングの時間差Δtを検出したならば、時間差Δt分、時間差Δtと反対の時間方向に、第1映像の垂直同期信号タイミングVS1からずらしたタイミングのトリガ信号Tgrを生成し、第2映像ソース機器3に出力する(S02)。
【0026】
そして、以降は、同様に、検出された同期信号タイミングの時間差Δtが0であればトリガ信号Tgrを生成出力せず、時間差Δtが0でなければ、時間差Δt分、時間差Δtと反対の時間方向に、第1映像の垂直同期信号タイミングVS1から、さらにずらしたタイミングのトリガ信号Tgrを生成し、第2映像ソース機器3に出力する処理を繰り返す。
【0027】
ただし、トリガ信号生成部113においては、
図5bに示すような動作を行うようにしてもよい。
すなわち、トリガ信号生成部113は、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3の垂直周期が同期していない状態において動作を開始すると、同期遅延検出部114が検出した第1映像の垂直同期信号タイミングと第2映像の垂直同期信号タイミングの時間差Δt分、時間差Δtと反対の時間方向に、第1映像の垂直同期信号タイミングVS1からずらしたタイミングのトリガ信号Tgrを生成し、第2映像ソース機器3に出力する(S11)。
【0028】
そして、以降は、同様に、検出された同期信号タイミングの時間差Δtが0であればトリガ信号Tgrを生成出力せず、時間差Δtが0でなければ、時間差Δt分、時間差Δtと反対の時間方向に、第1映像の垂直同期信号タイミングVS1から、さらにずらしたタイミングのトリガ信号Tgrを生成し、第2映像ソース機器3に出力する(S12)処理を繰り返す。
【0029】
以上のようなトリガ信号生成部113の動作によれば、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3の垂直周期を精度良く同期化することができる。
なお、時間差Δtとしては、予め設定した、実測などにより求めた第2映像ソース機器3のトリガ信号に対する垂直同期信号の遅延時間を用いられるようにしてもよい。
そして、このように垂直周期の長さが等しい第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3の垂直周期を同期化することにより、第1処理部111の第1映像処理部1115や第2処理部112の第2映像処理部1125が行う画像処理として、画像フレーム間の画像処理や画像フレームの全体を必要とする画像処理を行うものでなく、連続する所定数のラインのみを必要とする画像処理を行うものである場合、フレームバッファを備えることなく、所要の容量の第1ラインバッファ1111や第2ラインバッファ1121を用いて画像処理と水平方向(左右方向)に並べた合成映像への第1映像と第2映像の合成を行うことができる。
【0030】
たとえば、いま、第1映像、第2映像、表示パネル12のライン数及び各水平周期の長さが等しく、第1処理部111の第1映像処理部1115が合成用第1映像のi番目のラインの生成に、第1映像のi番目のラインとi+1番目のラインを必要とし、第2処理部112の第2映像処理部1125が合成用第2映像のi番目のラインの生成に、第2映像のi番目のラインとi+1番目のラインを必要とするものであるとする。すなわち、合成映像のi番目のラインの生成に第1映像と第2映像のi番目のラインとi+1番目のラインが必要となるものとする。
この場合、
図6に示すように、理想的には、第1ラインバッファ1111、第2ラインバッファ1121として2ライン分のラインバッファを備えれば、画像処理を支障なく行えることが期待できる。
【0031】
いま、
図6aは、時刻t1、t2、t3の時点において、第1ラインバッファ1111に格納されているラインを表し、
図6bは、時刻t1、t2、t3の時点において、第2ラインバッファ1121に格納されているラインを表す。また、各時刻間が1水平周期である。
また、
図6a、bにおいて、iH_jは、第j映像のi番目のラインを表す。すなわち、たとえば、3H_2は、第2映像の3番目のラインを表す。
図示するように、この場合、第1映像と第2映像の垂直周期が同期化しているので、第1ラインバッファ1111と第2ラインバッファ1121に格納されているラインは同じ順番のラインとなる。
また、
図6cは、合成用第1映像と合成用第2映像のラインの画像処理のタイミングを表す。
図6cにおいて、iH_Ejは、合成用第j映像のi番目のラインを表す。すなわち、たとえば、3H_E2は、合成用第2映像の3番目のラインを表す。
また、
図6dは、合成映像のラインを表し、iH_Dは、合成映像のi番目のラインを表す。すなわち、たとえば、3H_Dは、合成映像の3番目のラインを表す。
【0032】
図示するように、第1ラインバッファ1111に格納されている2ラインと第2ラインバッファ1121に格納されている2ラインが同じ順番のラインであるので、第1ラインバッファ1111、第2ラインバッファ1121として2ライン分のラインバッファがあれば、合成用第1映像と合成用第2映像のラインiH_Ejの生成時に、当該生成に必要な第1映像の第2映像のラインiH_jとiH_j+1を第1ラインバッファ1111、第2ラインバッファ1121から読みして利用できることを保証できる。
ただし、
図6は、理想的な場合を示したものであり、実際には各部における遅延などを考慮して、第1ラインバッファ1111、第2ラインバッファ1121の容量にはマージンを持たせることとなる。
【0033】
ここで、
図6は第1映像、第2映像、表示パネル12のライン数及び各水平周期の長さが等しい場合について示したが、これらのライン数や各水平周期の長さが異なり、第1映像処理部1115や第2映像処理部1125において補間処理などにより画像のサイズを合わせる画像のスケーリングを行う場合も同様であり、合成用第1映像、合成用第2映像の各ラインの生成時に、当該生成に必要な第1映像の第2映像のラインを第1ラインバッファ1111、第2ラインバッファ1121から読みして利用することができることが保証できる容量のラインバッファを第1ラインバッファ1111と第2ラインバッファ1121として設けることにより画像処理や合成映像の合成を支障なく行える。
【0034】
そして、以上のような保証を可能とする第1ラインバッファ1111と第2ラインバッファ1121の容量は、表示装置1の映像処理装置11に入力する第1映像と第2映像の垂直周期が等しくなるように同期させていることにより小さく抑えることができる。
すなわち、第1映像と第2映像の垂直周期が同期しているので、合成用第1映像と合成用第2映像の同じライン、したがって、合成画像の同じラインの生成に用いる、第1映像のラインと第2映像のラインの入力タイミングは近似したものとなる。したがって、第1映像のラインと第2映像のラインのうちの一方のラインを、当該ラインと同じ合成画像のラインの生成に必要となる他方のラインの入力まで長期間に渡って大容量のラインバッファを用いて保持し続ける必要が発生せず、第1ラインバッファ1111と第2ラインバッファ1121の容量を小さく抑えることができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ここで、以上の実施形態は、第1映像ソース機器2として、トリガ機能を備えた映像ソース機器を用い、トリガ信号生成部113からトリガ信号Tgrを出力する映像ソース機器を、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3の間で切り替えられるようにしてもよい。この場合、第1映像ソース機器2にトリガ信号Tgrを出力する期間中、同期遅延検出部114とトリガ信号生成部113に、以上に説明した第2映像ソース機器3にトリガ信号Tgrを出力する場合の動作において、第1映像の垂直同期信号タイミングと第2映像の垂直同期信号タイミングとを交換し、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3を交換た動作を行わせる。
また、以上の実施形態において、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3として、トリガ機能を備えた2つの映像ソース機器を用いて、第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3の垂直周期を、表示パネル12の垂直周期と等しくなるように制御するようにしてもよい。
【0036】
この場合には、
図7に示すように、合成出力部115から、表示パネル12の表示の垂直同期信号タイミングをトリガ信号生成部113と同期遅延検出部114に出力する。
同期遅延検出部114は、表示パネル12の垂直同期信号タイミングと第1映像の垂直同期信号タイミングとの時間差Δt1を検出しトリガ信号生成部113に出力する。また、同期遅延検出部114は、表示パネル12の垂直同期信号タイミングと第2映像の垂直同期信号タイミングとの時間差Δt2を検出しトリガ信号生成部113に出力する。
【0037】
トリガ信号生成部113は、第1のトリガ信号tgr1を生成し第1映像ソース機器2に出力する。この第1のトリガ信号tgr1のタイミングは、表示パネル12の垂直同期信号タイミングと同じタイミングとしてもよいし、同期遅延検出部114で検出された表示パネル12の垂直同期信号タイミングと第1映像の垂直同期信号タイミングとの時間差Δt1分、時間差Δt1と反対の時間方向に、表示パネル12の垂直同期信号タイミングからずらしたタイミングとしてもよい。
【0038】
そして、以降は、同期遅延検出部114で検出された時間差Δt1が0であればトリガ信号Tgr1を生成出力せず、時間差Δt1が0でなければ、時間差Δt1分、時間差Δt1と反対の時間方向に、表示パネル12の垂直同期信号タイミングから、さらにずらしたタイミングのトリガ信号Tgr1を生成し、第1映像ソース機器2に出力する処理を繰り返す。
【0039】
なお、以上のトリガ信号生成部113のトリガ信号Tgr1を生成出力する動作は、
図5a、bにおけるVS1を表示パネル12の垂直同期信号タイミング、VS2を第1映像の垂直同期信号タイミング、Tgrを第1映像ソース機器2に出力するトリガ信号Tgr1とした動作に相当する。
【0040】
また、同様に、トリガ信号生成部113は、第2のトリガ信号tgr2を生成し第2映像ソース機器3に出力する。この第2のトリガ信号tgr2のタイミングは、表示パネル12の垂直同期信号タイミングと同じタイミングとしてもよいし、同期遅延検出部114で検出された表示パネル12の垂直同期信号タイミングと第2映像の垂直同期信号タイミングとの時間差Δt2分、時間差Δt2と反対の時間方向に、表示パネル12の垂直同期信号タイミングからずらしたタイミングとしてもよい。
【0041】
そして、以降は、同期遅延検出部114で検出された時間差Δt2が0であればトリガ信号Tgr2を生成出力せず、時間差Δt2が0でなければ、時間差Δt2分、時間差Δt2と反対の時間方向に、表示パネル12の垂直同期信号タイミングから、さらにずらしたタイミングのトリガ信号Tgr2を生成し、第2映像ソース機器3に出力する処理を繰り返す。
【0042】
なお、以上のトリガ信号生成部113のトリガ信号Tgr1を生成出力する動作は、
図5a、bにおけるVS1を表示パネル12の垂直同期信号タイミング、VS2を第2映像の垂直同期信号タイミング、Tgrを第2映像ソース機器3に出力するトリガ信号Tgr2とした動作に相当する。
なお、時間差Δt2、時間差Δt1としては、予め設定した、実測などにより求めた第1映像ソース機器2と第2映像ソース機器3のトリガ信号に対する垂直同期信号の遅延時間を用いられるようにしてもよい。
また、予め設定した時間をSTとして、トリガ信号生成部113において、同期遅延検出部114で検出された表示パネル12の垂直同期信号タイミングと第1映像の垂直同期信号タイミングとの時間差Δt1がSTであればトリガ信号Tgr1を生成出力せず、時間差Δt1がSTでなければ、時間差Δt1分、時間差Δt1と反対の時間方向に、表示パネル12の垂直同期信号タイミングから、さらにずらしたタイミングのトリガ信号Tgr1を生成し、第1映像ソース機器2に出力する処理を繰り返し、同期遅延検出部114で検出された時間差Δt2がSTであればトリガ信号Tgr2を生成出力せず、時間差Δt2がSTでなければ、時間差Δt2分、時間差Δt2と反対の時間方向に、表示パネル12の垂直同期信号タイミングから、さらにずらしたタイミングのトリガ信号Tgr2を生成し、第2映像ソース機器3に出力する処理を繰り返すことにより、第1映像と第2映像の垂直同期信号タイミングを、表示パネル12の垂直同期信号タイミングから時間STずれたタイミングに制御してもよい。なお、時間STは負の時間であってよい。
【0043】
また、以上の実施形態において、第1映像をそのまま合成用第1映像として用いることができる場合には、第1映像処理部1115を省略して、第1ラインバッファ1111から読み出された第1映像を合成用第1映像として、直接、合成出力部115に出力してよい。また、第2映像をそのまま合成用第2映像として用いることができる場合には、第2映像処理部1125を省略して、第2ラインバッファ1121から読み出された第2映像を合成用第2映像として、直接、合成出力部115に出力してよい。
また、以上では、第1映像と第2映像を水平方向(左右方向)に並ぶように合成する場合について説明したが、本実施形態は3以上の映像を水平方向(左右方向)に並ぶように合成する場合にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…表示装置、2…第1映像ソース機器、3…第2映像ソース機器、11…映像処理装置、12…表示パネル、111…第1処理部、112…第2処理部、113…トリガ信号生成部、114…同期遅延検出部、115…合成出力部、1111…第1ラインバッファ、1112…第1リードカウンタ、1113…第1ライトカウンタ、1114…第1同期検出兼クロック生成部、1115…第1映像処理部、1121…第2ラインバッファ、1122…第2リードカウンタ、1123…第2ライトカウンタ、1124…第2同期検出兼クロック生成部、1125…第2映像処理部。