(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120265
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】滑り止め骨材を固着させるために用いる硬化性エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20240829BHJP
E01C 7/30 20060101ALI20240829BHJP
E01C 7/35 20060101ALI20240829BHJP
E01C 11/24 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C08L63/00 C
E01C7/30
E01C7/35
E01C11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026936
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】591161623
【氏名又は名称】株式会社コバヤシ
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】星野 勇門
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 誠哉
【テーマコード(参考)】
2D051
4J002
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AD07
2D051AE05
2D051AF17
2D051AG14
2D051AH03
2D051EA06
2D051EB04
4J002CD021
4J002CD041
4J002CD051
4J002CD061
4J002DE236
4J002DM006
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD020
4J002FD330
4J002GL00
(57)【要約】
【課題】 硬化後、滑り止め骨材を舗装の表面に固着でき、再生材料を含んでいても、可とう性が良好な硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明は、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、滑り止め骨材を固着させるために用いる、硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することができる。本発明は、エポキシ樹脂を少なくとも含む第1剤と、硬化剤を少なくとも含む第2剤とを有し、使用時に前記第1剤及び前記第2剤とを混合して前記硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、二液型硬化性エポキシ樹脂組成物用の組合せ製品を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、
滑り止め骨材を固着させるために用いる、硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記バイオマス材料が、再利用系バイオマス由来の殻粉末である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記バイオマス材料が、卵殻粉末又は貝殻粉末である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記バイオマス材料の平均粒径D50が、1~100μmである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記バイオマス材料が、10質量%以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の組成物に調製するために用いる、エポキシ樹脂を少なくとも含む主剤用組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の組成物に調製するために用いる、硬化剤を少なくとも含む硬化剤用組成物。
【請求項8】
エポキシ樹脂を少なくとも含む第1剤と、硬化剤を少なくとも含む第2剤とを有し、
使用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、請求項1又は2に記載の組成物に調製するために用いる、
二液型硬化性エポキシ樹脂組成物用の組合せ製品。
【請求項9】
前記第1剤の粘度と前記第2剤の粘度との差が、2000mPa・s以内の範囲内にある、請求項8に記載の組合せ製品。
【請求項10】
前記第1剤の比重と前記第2剤の比重とが、それぞれ、1.00~1.40である、請求項8に記載の組合せ製品。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の組成物の硬化物。
【請求項12】
滑り止め舗装用樹脂バインダーである、請求項11に記載の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り止め骨材を固着させるために用いる硬化性エポキシ樹脂組成物、滑り止め骨材を固着させるために用いる二液型硬化性エポキシ樹脂組成物用組合せ製品、当該硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物等に関する。
【背景技術】
【0002】
歩道や車道等の道路、運動場、広場、公園、駐車場、敷地等の舗装には、アスファルト、コンクリート、レンガ、タイル等の舗装材料が広く使用されている。アスファルト又はコンクリート等の舗装の表面に、滑り止め又は注意喚起などのための凹凸を設けるために骨材を配置又は固着させることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、熱可塑性合成樹脂からなるバインダー100重量部に対して、粒径0.5mm~5mmの滑り止め骨材を100~500重量部配合し、更にガラスビーズが5~500重量部配合されていることを特徴とする加熱溶融型舗装用材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
舗装の表面に、滑り止め又は注意喚起などのための凹凸を設けるための骨材(以下、「滑り止め骨材」ともいう)を固着させるものとして、滑り止め骨材の固着後に可とう性が良好なものが望ましい。また、近年、地球環境に配慮したリサイクル材料(再生材料)を利用することが推進されている。
そこで、本発明は、再生材料を含んでも、硬化後、滑り止め骨材を舗装の表面に固着でき、可とう性が良好な硬化性樹脂組成物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、硬化後、滑り止め骨材を表面に固着でき、可とう性が良好な、硬化性樹脂組成物を見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、滑り止め骨材を表面に固着させるために用いる、硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明は、エポキシ樹脂を少なくとも含む第1剤と、硬化剤を少なくとも含む第2剤とを有し、
使用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、
滑り止め骨材を表面に固着させるために用いる硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、二液型硬化性エポキシ樹脂組成物用の組合せ製品を提供することもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、再生材料を含んでも、硬化後、滑り止め骨材を表面に固着でき、可とう性が良好な硬化性樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本技術に係る硬化性樹脂組成物を、滑り止め骨材を表面に固着させるために塗布した後に硬化したときの滑り止め舗装の断面構成の一例を示す図であり、本技術はこれに限定されることはない。
【
図2】塗膜収縮性の測定を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものでない。
【0011】
本技術の以下の手順にて説明する。
1.本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物及びその調製
1-1.硬化性エポキシ樹脂組成物
1-1-1.硬化後の硬化物の性状
1-1-2.硬化前の組成物の性状
1-1-3.その他の性状
1-1-4.硬化性エポキシ樹脂組成物に使用する各種成分
1-2.本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物の調製、及び、硬化性エポキシ樹脂組成物用の組合せ製品等
1-2-1.本技術に用いる主剤用組成物
1-2-2.本技術に用いる硬化剤用組成物
1-2-3.本技術に用いる主剤用組成物及び硬化剤用組成物の物理的性状等
1-2-4.本技術に用いる主剤用組成物及び硬化剤用組成物の質量使用割合
2.本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物及びその製造
3.本技術の別の実施形態等
【0012】
1.本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物及びその調製
【0013】
1-1.硬化性エポキシ樹脂組成物
【0014】
滑り止め骨材をアスファルト等による舗装の表面に固着させる工法として、一般的にニート工法がある。このニート工法では、固着させるための組成物を、アスファルト又はコンクリート等の表面に、略均一に塗布し、その上から骨材を散布し、常温又は加熱にて硬化させ、余剰となった骨材を回収したり、適宜、回収後に更にその上にトップコート処理を行っている。
【0015】
ここで、後記〔実施例〕に記載の比較例1及び2に示すように、硬化性エポキシ樹脂組成物に使用するための主剤を含むA液及び硬化剤を含むB液に、それぞれ火山灰由来の再生材料を充填材として用いたところ、A液及びB液ともに火山灰由来の充填材の分散が良くなく分離が激しかった。当該火山灰由来の再生材料を含む硬化性エポキシ樹脂組成物では、アスファルト等の表面に、充填材が略均一的に存在する硬化物を形成することが困難であり、硬化後の可とう性等の品質が安定しにくく、滑り止め骨材をアスファルト等の表面上に良好に固着させることも難しいと考えた。
【0016】
これに対し、本発明者らは、実施例1~4に示すように、硬化性エポキシ樹脂組成物に使用するための主剤を含む第1剤及び硬化剤を含む第2剤に、バイオマス材料を充填材として用いたところ、第1剤及び第2剤ともに撹拌時のバイオマス材料の分散が良好であったので、これら混合物を塗布する際の作業性が良好であった。これら第1剤及び第2剤の混合物は、アスファルト等の表面に、硬化前にバイオマス材料を略均一的に存在させるように塗布することもでき、硬化後に滑り止め骨材をアスファルト等の表面に良好に固着させることもできると考えた。そして、バイオマス材料を含むそれぞれの第1剤及び第2剤を撹拌混合した混合物は、硬化後、その硬化物の伸び率は10%以上と可とう性が良好であることを見出した。
【0017】
すなわち、本技術は、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、滑り止め骨材を表面に固着させるために用いる、硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することができる。これを用いることにより、硬化後、滑り止め骨材を表面に固着でき、可とう性が良好である。硬化性エポキシ樹脂組成物は、一液型、多液型(例えば二液型)が挙げられるが、主剤である液状のエポキシ樹脂と硬化剤とを使用時に混合することで常温(15~25℃程度)下であっても硬化可能な二液混合硬化型が好適である。また、本技術に用いる硬化性エポキシ樹脂組成物は、滑り止め骨材を表面に固着させるために用いるものが、好ましい。
【0018】
1-1-1.硬化後の硬化物の性状
<硬化後の伸び率、引張強度等>
本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化後の硬化物の伸び率は、より良好な可とう性の観点から、少なくとも10%以上であり、その好適な下限値として、好ましくは13%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは16%以上、よりさらに好ましくは18%以上、より好ましくは19%以上、より好ましくは20%以上であり、また、その好適な上限値として、特に限定されないが、例えば、40又は30%以下が挙げられ、25%以下であってもよい。
【0019】
また、前記硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化後の引張強さ(材令7日:MPa)は、特に限定されないが、より良好な可とう性の観点から、その好適な下限値として、好ましくは3MPa以上、より好ましくは6MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上、よりさらに好ましくは13MPa以上、より好ましくは15MPa以上、より好ましくは16MPa以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは30MPa以下、より好ましくは28MPa以下、より好ましくは25MPa以下、さらに好ましくは24MPa以下である。
また、前記硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化後の引張強さ(材令3日)は、材令7日の引張強の70%以上であることがより好適である。また、硬化後の引張強さ(材令3日:MPa)は、より良好な可とう性の観点から特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは2MPa以上、より好ましくは4MPa以上、さらに好ましくは7MPa以上、より好ましくは10MPa以上、さらに好ましくは13MPa以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは25MPa以下、より好ましくは20MPa以下、さらに好ましくは19MPa以下である。
【0020】
また、骨材とのより良好な固着性を得るための、伸び率、硬化後の引張強さ(材令7日:MPa)、硬化後の引張強さ(材令3日)については、上述した、伸び率、硬化後の引張強さ(材令7日:MPa)の数値範囲又は硬化後の引張強さ(材令3日)の数値範囲を適宜採用することができ、上述から、より好ましい上限値及びより好ましい下限値を適宜組合せることができる。
例えば、骨材とのより良好な固着性を得るための硬化後の引張強さ(材令7日:MPa)として、好ましくは3~30MPa、より好ましくは10~25MPa等が挙げられ、また、骨材とのより良好な固着性を得るための硬化後の引張強さ(材令3日)として、材令7日の引張強の70%以上であることが好適であり、より具体的には、例えば、好ましくは2~25MPa、より好ましくは7~20MPa等が挙げられる。
【0021】
<伸び率、引張強度の求め方>
主剤用組成物及び硬化剤用組成物を予定の混合比率になるようにそれぞれを採取し、容器に入れ、約2分間撹拌混合する。当該混合液をJIS K 6911 5.18.2の形状の枠に流し込み23℃環境に水平を保ちながら静置する。そして、3日及び7日間養生により硬化させた試験片(厚み5~6mm)を用い、5mm/分の速さでJIS K 6911 5.18.2(3)に準じて引張試験を行う。伸び率は、材令7日養生後の硬化物を測定する。
【0022】
<硬化後の硬度、塗膜収縮性等>
また、前記硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化後の硬度(ショアD)は、特に限定されないが、好ましくは50~90、より好ましくは70~90である。
【0023】
<硬化物の硬さの測定方法>
組成物の硬化後の硬化物の硬さ(ショア硬度)は、JIS K 7215に準じて、測定することができる。具体的には、接着剤を、型(深さ・厚さ:8mm×直径:60mm)に入れて、23℃で養生し1日後に、硬化物を型から取り出し、取り出した硬化物を、ショア-D硬度計にて測定する。測定条件:ショア-D硬度計 瞬間値、測定温度23℃、硬化物の形状:厚み8mm×直径60mm
【0024】
前記硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化後の塗膜収縮性は、特に限定されないが、好ましくは10mm以下、より好ましくは7mm以下、さらに好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
【0025】
<塗膜収縮性の測定方法>
3枚のブリキ板(200×50×0.3mm)の片側表面を#320サンドペーパーで充分磨いて清掃した後、水平なガラス板に置く。硬化性エポキシ樹脂の主剤用組成物と硬化剤用組成物を指定の混合比率にそって混合試料が100gになるように採取し、約二分間充分に撹拌混合する。その後直ちに上述の磨いたブリキ板に8gになるように均一に塗布する。2~3時間放置後、試験板の側面や裏面に付着した試料は半硬化する前にナイフで削り取り、実際の塗布量A(g)を小数点以下1桁まで求めておく。塗布して3日間23℃の室温で乾燥後、塗面を上向きにして80℃の恒温乾燥器内で120時間加熱する。さらに23℃で60分間保持した後、直ちにブリキ板の歪み最大高さh(mm)を小数点以下1桁まで求めておく(ブリキ板および塗膜の厚みは含まない。)(
図2参照)。次の式により塗膜収縮性(mm)を算出する。試験片は3枚とし、平均値を求め、四捨五入して整数に丸める。
【0026】
【0027】
1-1-2.硬化前の組成物の性状
<硬化前の比重、粘度等>
硬化前の前記硬化性エポキシ樹脂組成物の比重(23℃)は、特に限定されないが、塗布時の作業性の観点から、好ましくは0.90~1.50g/cm3、より好ましくは1.00~1.40g/cm3、さらに好ましくは1.00~1.30g/cm3である。当該比重は、密度と表現してもよい。
【0028】
<比重の測定方法>
なお、本明細書における比重(密度)(測定温度23℃)は、JIS K5600に従って測定することができ、内容積50cm3の金属製ピクノメータを用いることができる。
【0029】
硬化前の前記硬化性エポキシ樹脂組成物の粘度(23℃)は、塗布時の作業性の観点から、特に限定されないが、好ましくは1500~5000mPa・s、より好ましくは2000~4000mPa・s、さらに好ましくは2000~3000mPa・sである。このときの粘度は、主剤用組成物及び硬化剤用組成物の混合した直後に、速やかに測定したときの、硬化前の組成物の粘度であることが望ましい。
【0030】
本明細書における粘度(23℃)は、V6、V12、V60の何れによる粘度(mPa・s)でもよいが、V12にて、主剤用組成物及び硬化剤用組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物のそれぞれの液状の粘度を評価することが望ましく、例えば、V12のときの粘度(23℃)を、粘度(V12,23℃)2000mPa・sと表記してもよい。なお、V6及びV60は、主剤用組成物及び硬化剤用組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物のそれぞれのチクソトロピーを評価する際に使用することが望ましく、後述するTi値を求めるための値とすることが望ましい。
【0031】
<粘度の測定方法>
本明細書における粘度(測定温度:23℃)は、粘度計R85形(東機産業(株)、測定機器型式RB85L)にて測定することができる。また、V6、V12、V60の各数値(6,12,60)は、1分間当たりのローターの回転数(rpm)であり、例えば、V12とは1分間にローターを12回転させたときの粘度である。粘度計R85形に使用するローター番号(例えば、No.1,2,3,4)は、測定上限値(mPa・s)を参考にして適宜選択することができる。また、粘度計R85形は後継機種であってもよい。
【0032】
前記組成物における硬化前の前記硬化性エポキシ樹脂組成物のTi値は、特に限定されないが、塗布時の作業性の観点から、好ましくは1.0~3.0、さらに好ましくは1.2~2.5、よりさらに好ましくは1.2~2.0である。このときのTi値は、主剤用組成物及び硬化剤用組成物の混合した直後に、速やかに測定したときの、硬化前の組成物のTi値であることが望ましい。
【0033】
<Ti値の求め方>
本明細書におけるTi値(Thixotropy Index)は、チキソ指数のことであって、非ニュートン性物質に対し二種の異なる回転数における見掛け粘度の比で表し、JIS K5400に従って、求めることができる。回転数の組合せの例として、粘度(V6、23℃)と粘度(V60、23℃)とを示すことができる。本明細書におけるTi値は、粘度(V6、23℃)の値をη1とし、粘度(V60、23℃)の値をη2とし、〔式:Ti=η1/η2〕に代入し、有効数字2桁になるように四捨五入することで、得ることができる。
【0034】
1-1-3.その他の性状
前記硬化性エポキシ樹脂組成物におけるポットライフは、特に限定されないが、塗布時の作業性の観点から、好ましくは10~60分、より好ましくは10~40分、さらに好ましくは10~30分である。
【0035】
<ポットライフの測定方法>
JIS K6870:2008に従って、試料100gの最高発熱までの時間(分)の70%値を測定する。
【0036】
また、前記硬化性エポキシ樹脂組成物における半硬化時間は、特に限定されないが、塗布時の作業性の観点から、その好適な上限値として、好ましくは10時間以下、より好ましくは8時間以下、さらに好ましくは6時間以下、よりさらに好ましくは5時間以下であり、また、その好適な下限値としては、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。
【0037】
<半硬化時間(23℃)の測定方法>
JIS K5600-1-1に従って、測定する。
【0038】
1-1-4.硬化性エポキシ樹脂組成物に使用する各種成分
<エポキシ樹脂>
本技術に用いるエポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基を有するものであり、分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであってもよい。
【0039】
前記エポキシ樹脂として、特に限定されないが、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びビスフェノールAD型エポキシ樹脂等が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等のエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、ビスフェノールFとエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。ビスフェノールAD型エポキシ樹脂は、ビスフェノールADとエポキシ基含有化合物との反応によって得られる。柔軟性、耐薬品性、耐熱性及び強靭性のバランスの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0040】
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)は、特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは150以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは300以下、より好ましくは250以下、より好ましくは200以下であり、当該好適な数値範囲として、より好ましくは50~1000、さらに好ましくは100~250である。
前記エポキシ樹脂の比重(23℃)は特に限定されないが、好ましくは1.00~1.20、より好ましくは1.10~1.20である。
前記エポキシ樹脂の粘度(23℃)は、特に限定されないが、好ましくは1,000~30,000mPa・s、より好ましくは5,000m~20,000Pa・s、さらに好ましくは8,000~15,000mPa・smPa・sである。
【0041】
本技術の硬化性エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂の含有量は、当該硬化性エポキシ樹脂組成物の全質量中、好ましくは10~50質量%、より好ましくは20~45質量%、さらに好ましくは30~40質量%である。
【0042】
前記エポキシ樹脂の市販品として、特に限定されないが、例えば、EP-4100シリーズ(ADEKA社製)、BE-188(長春人造樹脂廠株式会社)、NPEL-128(NAN YA Plastic)などが挙げられる。
【0043】
<硬化剤>
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定されないが、アミノ基(-NH2、-NHR、-NR’R)、酸無水物基、フェノール性水酸基、ポリメルカプタン等といったエポキシ樹脂と架橋反応し得る官能基(若しくは構造)を有する化合物が挙げられる。
当該硬化剤は、調製のし易さ、配合容易性、及び作業性の観点から、液状の硬化剤であることが好ましい。
本技術に用いる硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤等が挙げられ、なかでも、アミン系硬化剤が好ましい。これら硬化剤又はこれら硬化剤の例示化合物から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
【0044】
アミン系硬化剤として、例えば、ポリアミン系化合物(脂環族ポリアミン系、芳香族ポリアミン系、変性ポリアミン系等)、第3級及び第2級アミン系化合物、ポリアミドアミン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。
ポリアミン系化合物及び変性ポリアミン系化合物等は、脂肪族、芳香族に分類することができ、脂肪族は、非環式(例えば、直鎖状、分岐鎖状)又は環式(例えば脂環式)の非芳香族性が好適である。ポリアミン系には、変性脂肪族ポリアミン系化合物(例えば、変性非環式ポリアミン系化合物、変性脂環式ポリアミン系化合物)などが挙げられる。
変性ポリアミン系として、例えば、アミンアダクト系、ポリアミン-エチレンオキサイド又はポリアミン-プロピレンオキサイド系、シアノエチル化ポリアミン系、ケチミン系などが挙げられる。
アミン系硬化剤のうち、変性脂肪族ポリアミン系化合物が好ましく、より好ましくは、変性脂環式ポリアミン系化合物である。
【0045】
アミン系硬化剤として、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、2、4、6-トリスジメチルアミノメチルフェノール等から選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0046】
変性脂肪族ポリアミン系化合物(好適には、変性脂環式ポリアミン系化合物)として、特に限定されないが、例えば、イソホロンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4‐アミノ‐3‐メチルジシクロヘキシル)メタン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2、4、8、10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミンなどが挙げられる。この変性脂肪族ポリアミン系化合物のうち、少なくとも、N-アミノエチルピペラジン、及び、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの組合せが、より好ましい。
【0047】
芳香族ポリアミン系として、特に限定されないが、例えば、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0048】
酸無水物系硬化剤として、特に限定されないが、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸などが挙げられる。
【0049】
フェノール系硬化剤は、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造については特に限定されるものではなく、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル、ナフトールアラルキル、液状フェノール樹脂などが挙げられる。
【0050】
本技術の硬化性エポキシ樹脂組成物における、前記硬化剤の含有量は、当該硬化性エポキシ樹脂組成物の全質量中、好ましくは1~30質量%、より好ましくは5~25質量%、さらに好ましくは10~16質量%である。
【0051】
本技術の硬化性エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との質量含有割合又は質量使用割合は、特に限定されないが、より良好な可とう性及びより良好な作業性の観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは硬化剤1~150質量部、より好ましくは10~100質量部、さらに好ましくは20~80質量部、より好ましくは30~70質量部、より好ましくは40~60質量部である。
【0052】
本技術の硬化性エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との質量含有割合又は質量使用割合は、特に限定されないが、より良好な可とう性及びより良好な作業性の観点から、好ましくは1~20:10~1、より好ましくは1~10:5~1、さらに好ましくは1~5:3~1、より好ましくは1~3:1である。
【0053】
<バイオマス材料>
本技術に用いるバイオマス材料は、特に限定されないが、より好ましくはバイオマス由来の殻粉末であり、当該殻粉末として、再利用系の殻粉末及び/又は動物由来の殻粉末が好ましい。再利用系は、廃棄物系バイオマスから利用するものであってもよく、未利用系バイオマスから利用するものであってもよく、特に限定されない。また、本技術に用いられるバイオマス材料として、バイオマス由来の炭酸カルシウム粉末が、より良好な可とう性及びより良好な作業性の観点から、好ましい。また、バイオマス材料又はバイオマス由来の炭酸カルシウム粉末の製造方法は、特に限定されず、公知の製造方法(粉末条件、焼成条件等)を参考にして製造することができ、例えば、バイオマス由来の炭酸カルシウムを得る際に、バイオマス原料を酸化カルシウムにならないように焼成(例えば約700℃未満や約800℃未満)したり、タンパク等の不純物を減らすために150℃~250℃程度で焼成したりして、低温(例えば、200~600℃程度等)で焼成することで、炭酸カルシウムの純度を高めた焼成体を得ることなどが挙げられる。また、バイオマス材料は、市販品を用いてもよい。
【0054】
前記バイオマス由来の殻粉末うち、より好ましくは卵殻粉末及び貝殻粉末等から選択される1種又は2種以上であり、卵殻粉末及び/又は貝殻粉末がより好ましく、このうち貝殻がより好ましい。
【0055】
前記バイオマス由来の貝殻の貝として、特に限定されないが、例えば、カキ、ホタテガイ、ホッキガイ(別名ウバガイ)、アサリ、シジミ等が挙げられ、これらの貝殻から選択される1種又は2種以上を用いることができる。貝殻のうち、安定的な品質及びより良好な可とう性の観点から、岩場等に付着する貝(例えば、カキ、ムールガイ等)の貝殻ではなく、砂(例えば、浅瀬の砂場又は砂底)に生息可能な貝(例えば、ホタテガイ、ホッキガイ等)の貝殻が、好ましい。養殖貝由来の貝殻が、安定的な量及び品質の維持の観点から、好ましい。また、二枚貝の貝殻が好ましい。
【0056】
本技術に用いる貝殻として、特に限定されないが、例えば、ホタテガイ貝殻、ホッキガイ貝殻、カキ貝殻等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。また、このうち、より良好な可とう性及びより良好な作業性の観点から、ホタテガイ貝殻及び/又はホッキガイ貝殻が好ましく、より好ましくは、ホタテガイ貝殻である。
【0057】
前記バイオマス由来の卵殻として、特に限定されないが、鳥類の卵の殻が好ましく、安定的な品質及びより良好な可とう性の観点から、より好ましくは、家禽類の卵の殻である。家禽類として、特に限定されないが、例えば、ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ等が挙げられ、これらの卵殻から選択される1種又は2種以上を用いることができる。鳥類の卵殻のうち、鶏卵の殻が、好ましい。
【0058】
前記バイオマス材料として、卵殻粉末、ホタテガイ貝殻粉末及びホッキガイ貝殻粉末からなる群から選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0059】
バイオマス材料の市販品として、例えば、ホタテ貝殻粉末(CAS471-34-1、日本理化学工業社製)、ホタテ末(未焼成カルシウム、主成分:炭酸カルシウム、エヌ・シー・コーポレーション社製)、ホッキ貝殻(炭酸Ca)(CAS471-34-1、WM社製)、卵殻(炭酸Ca)(CAS471-34-1、WM社製)等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を使用することができる。
【0060】
前記バイオマス材料の平均粒径(D50)は、特に限定されないが、その好適な上限値として、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、よりさらに好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下であり、また、その好適な下限値として、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上、よりさらに好ましくは3μm以上であり、当該好適な数値範囲として、より好ましくは1~100μm、さらに好ましくは1~20μmである。
また、前記平均粒径(D50)の好適な上限値及び下限値は、バイオマス材料の個々ごと(例えば、ホタテガイ貝殻粉末、ホッキガイ貝殻粉末、鶏卵殻粉末等)の平均粒径(D50)の好適な上限値及び下限値として適宜採用してもよく、より好適な数値範囲として、好ましくは1~100μm、より好ましくは1~20μmである。
【0061】
前記硬化性エポキシ樹脂組成物全質量中のバイオマス材料の含有量は、特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは11質量%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。なお、組成物中にバイオマス材料を10質量%以上含むことで、当該組成物にバイオマス製品である旨又はバイオマス認証の表示をすることができる。
また、前記バイオマス材料の含有量の好適な上限値及び下限値は、バイオマス材料の個々ごと(例えば、ホタテガイ貝殻粉末、ホッキガイ貝殻粉末、鶏卵殻粉末等)の含有量の好適な上限値及び下限値として適宜採用してもよく、より好適な数値範囲として、前記組成物全質量中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10~30質量%である。
【0062】
<平均粒径(D50)>
平均粒径(D50)は、体積で重みづけされた体積基準のメジアン径(D50)であり、JIS Z8825に従い測定されるものである。粒子径は、レーザー回折式粒度分析測定法に従い測定することができ、例えば粒度分析測定装置(SALD-2200、株式会社島津製作所)を用いて測定されうる。
【0063】
<その他成分>
前記硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、以上で挙げたもの以外のその他成分を含んでいてもよい。当該その他成分として、特に限定されないが、例えば、充填材(無機質系、有機質系)、再生材料、希釈剤、樹脂成分、粘度調整剤、チクソトロピー性改善剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、フラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、消泡剤、イオントラップ剤、脱水剤、有機溶剤、亜鉛粉末、アルミニウム粉末などの金属粉、着色顔料、体質顔料、防錆顔料などの顔料類、増粘剤、可塑剤等から選択される1種又は2種以上を使用することができる。このうち、無機質系充填材(好適には炭酸カルシウム粉末)、樹脂成分(好適にはクマロン・インデン系樹脂)、増粘剤(フュームドシリカ等)、希釈剤等から選択される1種又は2種以上が、より好ましい。なお、「その他成分」は、市販品を用いてもよいし、公知の製造方法にて得られたものを用いてもよい。
【0064】
<バイオマス材料以外の充填材(充填材)>
バイオマス材料以外の充填材(以下、「充填材」ともいう)を、より良好な作業性向上、より良好な強度付与、より良好な遮蔽性付与の観点から、硬化性エポキシ樹脂組成物等に使用することが、好ましい。充填材は、無機質系及び/又は有機質系の何れでもよいが、無機質系充填材が、より好ましい。充填材のうち、表面への接着性向上及び骨材への固着力向上の観点から、バイオマス材料以外の炭酸カルシウム粉末を用いることが好ましい。炭酸カルシウム粉末は、石灰石由来のものなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
前記充填材(好適には無機質系充填材)の平均粒径(D50)は、特に限定されないが、より良好な作業性向上、より良好な強度付与、より良好な遮蔽性付与の観点から、その好適な上限値として、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは25μm以下、よりさらに好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下であり、また、その好適な下限値として、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、当該好適な数値範囲として、より好ましくは0.01~100μm、さらに好ましくは0.1~100μm、よりさらに好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.1~3μmである。
バイオマス材料以外の炭酸カルシウム粉末の平均粒径(D50)は、上述した充填材の好適な上限値及び下限値として適宜採用することが望ましく、好ましくは0.01~15μm、より好ましくは0.1~10μm、さらに好ましくは0.1~5μm、よりさらに好ましくは0.1~3μmである。
【0066】
平均粒径(D50)の異なる2種以上を組合せた充填材を用いることが好ましく、第一充填材とこれよりも平均粒径(D50)が大きい第二充填材から構成される粉末を含むことがより好ましく、好ましくは第一充填材が1質量部に対し、これより大きい第二充填材が0.01~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~5質量部、さらに好ましくは0.1~2質量部である。第一充填材の平均粒径(D50)は、1.0μm以上2.0μm未満が好ましく、第二充填材の平均粒径(D50)は、2.0μm以上3.0μm以下が好ましい。
【0067】
バイオマス材料以外の充填材(好適には無機質系充填材)の含有量は、特に限定されないが、前記硬化性エポキシ樹脂組成物の全質量中、1~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましい。
バイオマス材料以外の炭酸カルシウム粉末の含有量は、上述した充填材の好適な上限値及び下限値を適宜採用することが望ましく、前記硬化性エポキシ樹脂組成物の全質量中、1~30質量%がより好ましい。
【0068】
粘度調整剤(好適には無機系粘度調整剤)の含有量は、特に限定されないが、前記硬化性エポキシ樹脂組成物全質量中、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.1~1質量%である。当該含有量になるように、主剤用組成物及び硬化剤用組成物のそれぞれに、1~2:2~1配合することが好ましい。フュームドシリカを粘度調整剤として用いることが好ましい。また、粘度調整剤(好適にはフュームドシリカ)の平均粒径(D50)は、好ましくは0.1~50nm、より好ましくは1~20nmである。
【0069】
<エポキシ樹脂以外の樹脂成分>
エポキシ樹脂以外の樹脂成分(以下、「樹脂成分」ともいう)として、特に限定されないが、例えば、ロジン系樹脂(例えば、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂、重合ロジン樹脂等)、テルペン系樹脂(例えば、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂等)、フェノール系樹脂等;脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。樹脂成分として、炭化水素系樹脂が好ましく、このうちクマロン・インデン系樹脂が好ましい。
また、前記樹脂成分は、樹脂改質用(例えば、柔軟性付与用、衝撃改良用等)、又は粘着付与用のものが好ましく、樹脂改質用樹脂成分がより好ましい。
前記樹脂成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、100~500又は100~300程度が好ましく、より好ましくは120~220程度である。樹脂成分の重量平均分子量は、GPC分析にて、測定することができる。
【0070】
前記樹脂成分の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは1~80重量部、より好ましくは20~70質量部、さらに好ましくは30~60質量部である。
また、前記樹脂成分(好適には硬化改質又は付着付与用の樹脂成分)の含有量は、エポキシ樹脂及びこれ以外の樹脂成分の合計100重量部に対して、好ましくは1~50重量部、より好ましくは10~40質量部である。
【0071】
<希釈剤>
希釈剤として、特に限定されないが、例えば、グリシジルモノエーテル系、2官能のグリシジルジエーテル系、多官能のポリグリシジルエーテル系などグリシジルエーテル系の反応性希釈剤;キシレン樹脂、灯油等の非反応性希釈剤等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。このうち、グリシジルエーテル系が好ましく、このうち、アルキルグリシジルエーテルがより好ましい。
前記希釈剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは1~30質量部、より好ましくは5~20質量部、さらに好ましくは5~15質量部である。希釈剤のエポキシ当量は、特に限定されないが、上述したエポキシ樹脂のエポキシ当量の好適な上限値及び下限値を適宜採用することができ、好ましくは50~1000、より好ましくは100~400、さらに好ましくは130~300である。
また、前記硬化性樹脂エポキシ樹脂組成物中の希釈剤の含有量は、前記硬化性エポキシ樹脂組成物の全質量中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは3~8質量%である。
また、前記主剤用組成物中の希釈剤の含有量は、前記主剤用組成物の全質量中、好ましくは1~20質量%、より好ましくは5~15質量%である。
【0072】
1-2.本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物の調製、及び、硬化性エポキシ樹脂組成物用の組合せ製品等
【0073】
本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂を少なくとも含む第1剤と、前記硬化剤を少なくとも含む第2剤とを用い、これらを混合することによって、調製することができる。この調製方法又は製造方法にて、当該硬化性エポキシ樹脂組成物を得ることができる。さらに、本技術は、別の実施形態として、本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物を調製するために用いる、前記エポキシ樹脂を少なくとも含む主剤用組成物、及び/又は、前記硬化剤を少なくとも含む硬化剤用組成物を提供することもできる。当該硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために使用する、主剤用組成物(第1剤)及び硬化剤用組成物(第2剤)の各性状、及びこれらの質量使用割合等について、以下に説明する。
【0074】
本明細書において、第1剤及び第2剤などの第1、第2は便宜上数字を付したものであるので、数字の順序を変更したり他の符号(アルファベット文字等)を付したりしてもよい。本明細書において、含有量を使用量として又は使用量を含有量としてもよく、含有割合を使用割合又は使用割合を含有割合としてもよい。また、エポキシ樹脂を含む第1剤を、「第1剤」、「エポキシ樹脂を含む組成物」、「主剤用組成物」ともいい、硬化剤を含む第2剤を、「第2剤」、「硬化剤を含む組成物」、「硬化剤用組成物」ともいう。また、主剤用組成物及び硬化剤用組成物等に用いる各種成分及び含有量等は、前記「1-1.」にて説明した各種成分及び含有量等を適宜採用することができる。
【0075】
また、本技術は、別の実施形態として、前記エポキシ樹脂を少なくとも含む第1剤と、前記硬化剤を少なくとも含む第2剤とを有し、
使用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、前記バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、前記硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、二液型硬化性エポキシ樹脂組成物用の組合せ製品を提供することもできる。当該組合せ製品は、セット製品又はキット製品であってもよく、これらには使用目的、使用方法、工法、作業手順等を含んでもよい。また、前記第1剤及び前記第2剤は、それぞれ別の容器に含まれていることが好適であり、当該容器は、形状や容量等は特に限定されず、二液型硬化性エポキシ樹脂組成物に用いることができる容器を使用することができ、例えば、金属製、プラスチック製等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
また、前記バイオマス材料は、主剤用組成物(第1剤)及び硬化剤用組成物(第2剤)の何れか又はその両方に含まれていてもよく、作業性の観点から、第1剤及び第2剤の両方にそれぞれ含まれることが好ましい。
【0077】
また、本技術は、別の実施形態として、上述した本技術に係る組合せ製品における、前記第1剤及び前記第2剤などの剤を、それぞれ単独製品として又は複数組合せた製品として、提供することも可能である。
【0078】
また、本技術は、別の実施形態として、前記エポキシ樹脂又は前記硬化剤の何れかを少なくとも含む組成物であり、
使用時に前記エポキシ樹脂を含む組成物及び前記硬化剤を含む組成物を混合して、前記バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、二液型硬化性エポキシ樹脂組成物を調製するために用いる組成物を提供することもできる。
【0079】
また、本技術は、別の実施形態として、前記バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、硬化性エポキシ樹脂組成に調製するために用いる、エポキシ樹脂を少なくとも含む主剤用組成物、及び/又は、硬化剤を少なくとも含む硬化剤用組成物を提供することもできる。
【0080】
また、本技術は、別の実施形態として、使用時に前記主剤用組成物と前記硬化剤用組成物とを混合して、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、前記エポキシ樹脂を少なくとも含む主剤用組成物を提供することもできる。
【0081】
また、本技術は、別の実施形態として、使用時に前記エポキシ樹脂を少なくとも含む主剤用組成物と前記硬化剤を少なくとも含む硬化剤用組成物とを混合して、前記バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、硬化剤用組成物を提供することもできる。
【0082】
1-2-1.本技術に用いる主剤用組成物
本技術に用いる主剤用組成物は、主剤として少なくとも前記エポキシ樹脂を用い、少なくともエポキシ樹脂を含む組成物であり、当該主剤用組成物に、前記バイオマス材料を更に含むことが好ましい。さらに、当該主剤用組成物には、必要に応じて、希釈剤、反応促進剤、充填材、増粘調整剤、着色剤等の各種成分を更に配合してもよく、例えば、シリカ、フュームドシリカ、ガラス、炭酸カルシウム等のような舗装に用いることが可能な粉末(例えば、無機系粉末又は有機系粉末)を含んでもよい。これらから選択される1種又は2種以上を用いてもよい。
【0083】
<主剤用組成物中の前記バイオマス材料の含有量>
前記主剤用組成物中の前記バイオマス材料の含有量は、特に限定されないが、前記主剤用組成物全質量中、より良好な可とう性の観点から、その好適な下限値として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、その好適な上限値として、硬化物の可とう性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。当該数値範囲内であれば、硬化後のバインダー効果、作業性もより良好である。また、前記主剤用組成物中の殻粉末の含有量は、特に限定されないが、上述したバイオマス材料の含有量の好適な下限値及び上限値と適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、好ましくは5~30質量%である。
【0084】
<主剤用組成物中の前記エポキシ樹脂の含有量>
前記主剤用組成物中の前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記主剤用組成物全質量中、より良好な可とう性の観点から、その好適な下限値として、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。当該数値範囲内であれば、硬化後のバインダー効果、作業性もより良好である。
また、前記主剤用組成物中の前記エポキシ樹脂含有量又は使用量は、上述した硬化性エポキシ樹脂組成物全質量中の前記エポキシ樹脂の含有量又は使用量になるように、調製してもよい。
【0085】
<主剤用組成物中の前記充填材含有量>
前記主剤用組成物中の前記充填材(好適には前記無機質系充填材)の含有量は、特に限定されないが、前記主剤用組成物全質量中、より良好な可とう性の観点から、その好適な下限値として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。当該数値範囲内であれば、硬化後のバインダー効果、作業性もより良好である。
また、前記主剤用組成物中の前記充填材の含有量又は使用量は、上述した硬化性エポキシ樹脂組成物全質量中の前記充填材又は前記バイオマス材料以外の炭酸カルシウムの含有量又は使用量になるように、調製してもよい。
【0086】
1-2-2.本技術に用いる硬化剤用組成物
本技術に用いる硬化剤用組成物は、少なくとも前記硬化剤を含む組成物であり、当該硬化剤用組成物に、バイオマス材料を更に含むことが好ましい。さらに、当該硬化剤用組成物には、必要に応じて、樹脂成分、充填材、希釈剤、反応促進剤、粉体、着色剤等、各種成分を更に含んでもよい。例えば、上述した舗装用の充填材、硬化補助剤、粘着付与剤等を含んでもよい。これらから選択される1種又は2種以上を用いてもよい。
【0087】
<硬化剤用組成物中の前記バイオマス材料の含有量>
前記硬化剤用組成物中の前記バイオマス材料の含有量は、特に限定されないが、前記硬化剤用組成物全質量中、より良好な可とう性の観点から、その好適な下限値として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。当該数値範囲内であれば、硬化後のバインダー効果、作業性もより良好である。また、前記硬化剤用組成物中の殻粉末の含有量は、特に限定されないが、上述したバイオマス材料の含有量の好適な下限値及び上限値を適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、好ましくは5~30質量%である。
【0088】
<硬化剤用組成物中の前記樹脂成分の含有量>
前記硬化剤用組成物中の前記樹脂成分の含有量は、特に限定されないが、硬化剤用組成物全質量中、より良好な可とう性の観点から、その好適な下限値として、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。当該数値範囲内であれば、硬化後のバインダー効果、作業性もより良好である。
【0089】
<硬化剤用組成物中の前記硬化剤の含有量>
前記硬化剤用組成物中の前記硬化剤の含有量は、特に限定されないが、より良好な可とう性の観点から、前記硬化剤用組成物全質量中、その好適な下限値として、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。当該数値範囲内であれば、硬化後のバインダー効果、作業性もより良好である。
【0090】
<硬化剤用組成物中の前記充填材含有量>
前記硬化剤用組成物中の前記充填材(好適には無機質系充填材)の含有量は、特に限定されないが、前記硬化剤用組成物全質量中、より良好な可とう性の観点から、その好適な下限値として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、また、その好適な上限値として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。また、前記硬化剤用組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量は、特に限定されないが、上述した充填材の含有量の好適な下限値及び上限値と適宜採用することができるが、より好適な数値範囲として、好ましくは5~30質量%である。当該数値範囲内であれば、硬化後のバインダー効果、作業性もより良好である。
また、前記硬化剤用組成物中の充填材の含有量又は使用量は、上述した硬化性エポキシ樹脂組成物全質量中の前記充填材又は前記バイオマス材料以外の炭酸カルシウムの含有量又は使用量になるように、調製してもよい。
【0091】
1-2-3.本技術に用いる主剤用組成物及び硬化剤用組成物の物理的性状等
<主剤用組成物及び硬化剤用組成物の粘度>
前記主剤用組成物及び前記硬化剤用組成物の粘度(23℃)は、V6、V12、V60の何れによる粘度でもよいが、V12のときの粘度が好適である。
【0092】
前記主剤用組成物の粘度(23℃)は、特に限定されないが、より良好な作業性の観点から、好ましくは2000~5000mPa・s、より好ましくは2000~4000mPa・s、さらに好ましくは2500~3500mPa・sである。
【0093】
前記硬化剤用組成物の粘度(23℃)は、特に限定されないが、より良好な作業性の観点から、好ましくは2000~5000mPa・s、より好ましくは2000~4000mPa・s、さらに好ましくは2500~3500mPa・sである。
【0094】
前記主剤用組成物の粘度と前記硬化剤用組成物の粘度(温度23℃)との差は、より良好な作業性の観点から、好ましくは2000mPa・s以内の範囲内、より好ましくは1500mPa・s以内の範囲内、さらに好ましくは1000mPa・s以内の範囲内、より好ましくは500mPa・s以内の範囲内、より好ましくは250mpa・s以内の範囲内である。当該粘度(23℃)との差は、V6、V12、V60のそれぞれの粘度の差でもよいが、V12のときの前記主剤用組成物の粘度と前記硬化剤用組成物の粘度との差が望ましい。
【0095】
<主剤用組成物及び硬化剤用組成物のTi値>
前記主剤用組成物におけるTi値(23℃)は、特に限定されないが、より良好な作業性の観点から、好ましくは0.6~1.5、より好ましくは0.7~1.4、さらに好ましくは0.8~1.1である。
前記硬化剤用組成物におけるTi値(23℃)は、特に限定されないが、より良好な作業性の観点から、好ましくは0.6~1.5、より好ましくは0.7~1.4、さらに好ましくは0.8~1.1である。
【0096】
<主剤用組成物及び硬化剤用組成物の比重(密度)>
前記主剤用組成物の比重(23℃)は、特に限定されないが、より良好な作業性の観点から、好ましくは0.90~1.50g/cm3、より好ましくは1.00~1.40g/cm3、さらに好ましくは1.00~1.30g/cm3である。当該比重は、密度と表現してもよい。
【0097】
前記硬化剤用組成物の比重(23℃)は、特に限定されないが、より良好な作業性の観点から、好ましくは0.90~1.50g/cm3、より好ましくは1.00~1.40g/cm3、さらに好ましくは1.00~1.30g/cm3である。
【0098】
主剤用組成物の比重と硬化剤用組成物の比重(23℃)との差は、より良好な作業性の観点から、好ましくは0.30g/cm3以内の範囲内、より好ましくは0.20g/cm3以内の範囲内、さらに好ましくは0.10g/cm3以内の範囲内である。
【0099】
1-2-4.本技術に用いる主剤用組成物及び硬化剤用組成物等の質量使用割合
本明細書において、質量使用割合を、前記硬化性エポキシ樹脂組成物全質量中の質量含有割合としてもよい。
【0100】
前記硬化性エポキシ樹脂組成物に使用する、前記主剤用組成物と前記硬化剤用組成物との質量使用割合は、特に限定されないが、より良好な可とう性の観点から、好ましくは1~10:10~1、より好ましくは1~5:5~1、さらに好ましくは1~3:3~1、より好ましくは1~2:2~1である。当該数値範囲内であれば、作業性もより良好である。
【0101】
前記硬化性エポキシ樹脂組成物に使用する、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との質量使用割合は、特に限定されないが、上述した「1-1-4.」(<硬化剤>)で説明した好適な数値範囲を適宜採用することができる。例えば、エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは硬化剤1~150質量部であり、また、例えば、前記エポキシ樹脂:前記硬化剤は、好ましくは1~20:10~1である。
【0102】
前記主剤用組成物中の前記バイオマス材料と、前記硬化剤用組成物中のバイオマス材料との質量使用割合は、特に限定されないが、より良好な可とう性及びより良好な作業性の観点から、好ましくは1~10:10~1、より好ましくは1~5:5~1、さらに好ましくは1~3:3~1、より好ましくは1~2:2~1である。
【0103】
2.本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物及びその製造
本技術に係る硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物は、前記硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、得ることができる。当該硬化性は、一液加熱硬化型、二液混合硬化型などが挙げられ、混合硬化型の場合、低温硬化や常温硬化が挙げられる。前記硬化性エポキシ樹脂は、低温~常温帯であっても、硬化できるものが好ましく、例えば4℃以上又は10~40℃で硬化できるものが好ましい。なお、前記硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化に時間がかかるような環境の場合には、作業時間の短縮の観点から、混合前又は硬化前の組成物の液温を50~70℃等になるように加温してもよい。
【0104】
前記硬化性エポキシ樹脂組成物の好適な使用例として、アスファルト又はコンクリート等で舗装された舗装の表面に、本技術の硬化性エポキシ樹脂組成物を、ローラー又は噴霧車等といった二液硬化型用の塗布道具又は塗布装置にて、塗布することが好適である。前記硬化性エポキシ樹脂組成物は、主剤用組成物と硬化剤用組成物とを使用時に特定割合にて混合させて、得られたものが好適である。当該硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布後に、その塗布面に、骨材(好適には滑り止め骨材)を散布することが好適である。散布後、当該硬化性エポキシ樹脂組成物が硬化することで、骨材を舗装の表面上に固着でき、良好な可とう性を有する樹脂バインダーが形成されることが好適である。硬化時間を短縮するために、硬化性エポキシ樹脂組成物の液温度50~70℃にて塗布面に塗布し、塗布後にバーナー等にて加熱して硬化促進をしてもよい。なお、骨材の散布の順序は特に限定されず、骨材の散布は、硬化性エポキシ樹脂組成物の塗布前又は塗布中であってもよく、骨材及び硬化性エポキシ樹脂組成物を混合して塗布してもよい。
【0105】
これにより、アスファルト等で舗装された舗装の表面の上に骨材を含む樹脂バインダーが更に舗装された状態となる。当該バインダーは、好適には、舗装の上を被覆するために用いる樹脂バインダーであり、より好適には、滑り止め効果を少なくとも有する骨材を含む舗装用樹脂バインダーである。前記硬化性エポキシ樹脂組成物は、ニート工法による滑り止め舗装に用いることが好適である。
【0106】
<骨材>
本技術に用いる骨材は、舗装に用いられる骨材であれば特に限定されず、滑りやすさ軽減又は視覚・聴覚・触覚等からの注意喚起などのために舗装表面に凹凸を設けるための骨材が好適であり、使用目的が滑り止め用でなくとも滑り止め効果が少なくとも発揮される骨材であることが好適であり、注意喚起などの視認目的でわかりやすいような色付き骨材であってもよい。骨材として、コンクリート又はアスファルト混合物を作る際に用いられる砂利又は砂等が挙げられる。
骨材として、例えば、硬質のセラミックや自然石等が挙げられ、モース硬度7以上のものが好ましく、形状として、鋭利でない稜角のものが好ましい。
骨材の大きさは、特に限定されないが、その好適な下限値として、好ましくは0.1mm超え、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上、より好ましくは5mm以上であり、また、その好適な上限値として特に制限されないが、好ましくは30mm以下、より好ましくは20又は10mm以下である。
より具体的な骨材として、例えば、エミリー、磁器質骨材、炭化ケイ素質骨材、ガラスビーズ、再利用系骨材(例えば、建設廃材の骨材、ガラス廃材の骨材、バイオマス骨材等)等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。バイオマス骨材としては、例えば、貝殻骨材などが挙げられ、当該貝殻は、上述した貝殻等を適宜採用することができる。
【0107】
<バインダー樹脂及び舗装>
本技術の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物は、
図1に示すように、アスファルト等で舗装された舗装1の表面の上を、骨材2を含む樹脂バインダー3として、コーティングする又は舗装することが好ましい。当該樹脂バインダー3において、骨材2は、舗装1の表面に接触しない状態(非接触状態)であってもよく、接触した状態(接触状態)であってもよく、非接触状態のものと接触状態のものとが混在した状態であってもよい。本技術の樹脂バインダーには、骨材、充填材、バイオマス材料等が含まれることが好ましい。樹脂バインダー3は、舗装1表面から剥がれないように舗装1に固着していること、及び/又は、骨材3を樹脂バインダー3から剥がれないように固着させていることが好適であり、適度な可とう性を有することがより好適である。この樹脂バインダー3の上を、ヒト又は車両等が移動又は通過する。
【0108】
前記舗装1として、被舗装の上に、アスファルト、コンクリート、レンガ、タイル等から選択される1種又は2種以上の舗装材料が舗装されたもの等が挙げられるが、これらに限定されない。舗装場所として、特に限定されないが、例えば、歩道や車道等の道路;テニスコートや学校グランド等の運動場;広場や公園;駐車場;工場や家屋等の敷地;等から選択される1種又は2種以上が挙げられる。本技術では、本技術の硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて、舗装1の上に更に舗装することができる。
【0109】
3.本技術の別の実施形態等
本技術は、以下のような構成又は技術的特徴を採用することができる。また、本技術は、以下のような別の実施形態を採用してもよい。
・〔1〕 バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、骨材を表面に固着させるために用いる、硬化性エポキシ樹脂組成物。
・〔2〕 バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、骨材を表面に固着させるために用いる、硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、エポキシ樹脂を少なくとも含む主剤用組成物、及び/又は、硬化剤を少なくとも含む硬化剤用組成物。
・〔3〕 エポキシ樹脂を少なくとも含む第1剤と、硬化剤を少なくとも含む第2剤とを有し、
使用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、骨材を表面に固着させるために用いる硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、二液型硬化性エポキシ樹脂組成物用の組合せ製品。当該組合せ製品は、セット製品、キットであってもよい。
・〔4〕 エポキシ樹脂又は硬化剤の何れかを少なくとも含む組成物であり、
使用時にエポキシ樹脂を含む組成物及び硬化剤を含む組成物を混合して、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、二液型硬化性エポキシ樹脂組成物を調製するために用いる組成物。
・〔5〕 使用時に主剤用組成物と硬化剤用組成物とを混合して、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、エポキシ樹脂を少なくとも含む主剤用組成物。
・〔6〕 使用時にエポキシ樹脂を少なくとも含む主剤用組成物と硬化剤用組成物とを混合して、バイオマス材料を含み、硬化後の伸び率が10%以上である、硬化性エポキシ樹脂組成物に調製するために用いる、硬化剤用組成物。
【0110】
・〔7〕 前記骨材が、滑り止め骨材である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。
・〔8〕 前記バイオマス材料が、再利用系バイオマス由来の殻粉末である、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。
・〔9〕 前記バイオマス材料が、卵殻粉末及び/又は貝殻粉末である、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。より好適には、卵殻(好適には鶏卵殻)粉末、ホタテガイ貝殻粉末及びホッキガイ貝殻粉末からなる群から選択される1種又は2種以上である。
・〔10〕 前記バイオマス材料の平均粒径D50が、1~100μmである、前記〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。
・〔11〕 前記バイオマス材料が、10質量%以上である、前記〔1〕~〔10〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。
・〔12〕 硬化性エポキシ樹脂組成物を調製する際に使用する、エポキシ樹脂を含む剤の粘度と硬化剤を含む剤の粘度との差が、2000mPa・s以内の範囲内にある、前記〔1〕~〔11〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。
・〔13〕 硬化性エポキシ樹脂組成物を調製する際に使用する、エポキシ樹脂を含む剤の比重と硬化剤を含む剤の比重とが、それぞれ、1.00~1.40である、及び/又は、それぞれ、Ti値が0.6~1.5である、及び/又は、粘度(V6 or V12 or V60、23℃)が、それぞれ、1000~5000mPa・sである、前記〔1〕~〔12〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。
・〔14〕 硬化性エポキシ樹脂組成物を調製する際に使用する、エポキシ樹脂はビスフェノールA型である、及び/又は、硬化剤は、エポキシ樹脂と架橋反応し得る官能基(若しくは構造)を有する化合物(フェノール性水酸基、アミノ基又は酸無水物基を有する化合物)である、前記〔1〕~〔13〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。当該硬化剤は、好適にはアミノ基を有する化合物(アミン系化合物)、より好適には、変性脂肪族ポリアミン系化合物である。
【0111】
・〔15〕 前記硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化後の引張強さ(材令7日)が6~30MPa(N/mm2)である、及び/又は、硬化後の引張強さ(材令3日)が4~21MPa(N/mm2)である、及び/又は、調製時の硬化前の比重(密度)が、1.00~1.30g/cm3である、及び/又は、Ti値が、1~2である、前記〔1〕~〔14〕のいずれか1つに記載の組成物、製品又は剤。
・〔16〕前記〔1〕~〔15〕のいずれか1つに記載の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物であり、より好適には骨材を更に含む前記硬化物。
・〔17〕 舗装用樹脂バインダー又は滑り止め舗装用樹脂バインダーである、前記〔16〕に記載の硬化物。
・〔18〕 前記〔16〕又は〔17〕に記載の硬化物を備える舗装道路(歩道、車道等)又は舗装施設(敷地、運動場、公園等)。
【実施例0112】
以下、実施例等に基づいて本技術をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例等は、本技術の代表的な実施例等の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0113】
<参考例1、実施例1~4、比較例1~2>
表1及び表2に示す原料及び組成に基づき、参考例1、比較例1~2、実施例1~4のA液及びB液を、20~25℃において、それぞれ調製した。表1における再生材料は、表2の比較例1~2、実施例1~4の各再生材料を使用した。
【0114】
なお、ホタテガイ貝殻粉末として、実施例3でホタテ貝殻粉末(CAS471-34-1、日本理化学工業社製)、実施例2でホタテ末(未焼成カルシウム、主成分:炭酸カルシウム、エヌ・シー・コーポレーション社製)を使用し、ホッキガイ貝殻粉末として、実施例4でホッキパウダー(ホッキ貝殻(炭酸Ca)(CAS471-34-1、WM社製))を使用し、鶏卵殻粉末として、実施例1として、卵殻(卵殻(炭酸Ca)(CAS471-34-1、WM社製))を使用した。
【0115】
参考例1、比較例1~2、実施例1~4について、表1に示すA液の組成になるように原料を配合し撹拌混合し、それぞれのA液を調製した。参考例1、比較例1~2、実施例1~4について、表1に示すB液の組成になるように原料を配合し撹拌混合し、それぞれのB液を調製した。参考例1、比較例1~2、実施例1~4について、質量含有割合1:1になるようにA液及びB液それぞれを採取し、採取したものを容器に入れ、20~25℃において、約2分間撹拌混合して、材料又はバイオマス材料を含む硬化性エポキシ樹脂組成物(参考例1、比較例1~2、実施例1~4の各組成物)を得た。
参考例1については、表1中の「再生材料」を、「重炭酸Ca(平均粒径D50:2.20μm)」に換え、A液では、重炭酸Ca合計量21.7質量部(18.09%)、B液では、重炭酸Ca合計量18.7質量部(15.58%)であった。
【0116】
各種試験については、上述した<伸び率、引張強度の求め方>、<硬化物の硬さの測定方法>、<塗膜収縮性の測定方法>、<比重の測定方法>、<粘度の測定方法>、<Ti値の求め方>、<ポットライフの測定方法>、<半硬化時間(23℃)の測定方法>、<平均粒径(D50)>等にて行い、<エポキシ当量の測定方法>、<重量平均分子量の測定方法>は以下の方法にて行った。
【0117】
<エポキシ当量の測定方法>
エポキシ当量(g/eq)は、JIS K7236:2001に準じて、測定することができる。
【0118】
<重量平均分子量の測定方法>
重合体又は樹脂の重量平均分子量は、標準物を用いたGPC法により測定することができる。
【0119】
【0120】
【0121】
<結果>
比較例1~2及び実施例1~4の硬化性樹脂組成物の硬化前の密度(g/cm3)は、A液及びB液の平均値から算出し、それぞれ、比較例1で1.15g/cm3、比較例2で1.08g/cm3、実施例1で1.27g/cm3、実施例2で1.27g/cm3、実施例3で1.27g/cm3、実施例4で1.27g/cm3であった。参考例1の硬化性樹脂組成物の硬化前の密度(g/cm3)は、1.27g/cm3であった。参考例1と実施例1~4について、硬化前の密度は、ほぼ同じ密度であった。実施例1~4のA液及びB液の粘度は、A液及びB液とで大きく相違せずに、概ね同じ又は近い範囲であり、これにより混合した際に分散させやすい。さらに、実施例1~4の粘度は、参考例1のA液及びB液の粘度とほぼ同じ又は近い値であり、参考例1とほぼ同様な塗布時の作業効率を得ることができる。
【0122】
比較例1~2の硬化性樹脂組成物は、A液及びB液共に分離が激しいため、これら硬化物について、引張試験の材料としては適していなかった。実施例1~4は、硬化前に適度な分散性を有し、硬化後の、伸び率、引張強度も良好であった。実施例1~4の硬化物の伸び率及び引張強度は、参考例1の硬化物の伸び率及び引張強度を考慮しても良好な性状であると考えた。このうち、実施例1、実施例3及び実施例4の組成物は、硬化後に、参考例1の組成物と同等程度以上の伸び率を有し、試験例3の組成物が非常によい伸び率を有していた。このように、硬化性エポキシ樹脂組成物に、鶏卵殻粉末、ホタテガイ貝殻粉末、ホッキガイ貝殻粉末のバイオマス材料を含ませることが良好であった。このことから、卵粉末、貝殻粉末が、硬化性エポキシ樹脂組成物に含ませるバイオマス材料としてより好ましいと考えた。
【0123】
なお、実施例1~4の樹脂組成物について、硬化後の硬化物の硬度(ショアD)はそれぞれ85;ポットライフはそれぞれ19分;半硬化時間はそれぞれ4時間;硬化後の硬化物の塗膜収縮性はそれぞれ2mm;であった。また、参考例1の樹脂組成物では、硬化後の硬化物の硬度(ショアD)はそれぞれ84;ポットライフはそれぞれ19分;半硬化時間はそれぞれ4時間;硬化後の硬化物の塗膜収縮性はそれぞれ2mm;であった。このように、再生材料を用いず、従来のよう石灰石を粉砕し製品化した重炭酸カルシウムを用いている参考例1と、バイオマス材料を用いている実施例1~4とは、硬化前及び硬化後の性状において同等程度の性状が得られていると考える。また、実施例3の二液混合後で硬化前の樹脂組成物の比重(23℃)は1.27g/cm3であった。実施例3の二液混合後で硬化前の樹脂組成物のTi値は、1.2であり、硬化前の粘度(V12,23℃)は2450mPa・sであった。
【0124】
<滑り止め舗装用樹脂バインダー>
参考例1の主剤(A液)と硬化剤(B液)を混合した後に、アスファルトの表面に塗布し、この塗布部分に滑り止め骨材(大きさ(最大長)5~10mm程度)を散布し、20~30℃にて養生し、参考例1の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させた。参考例1において、塗布する期間及び硬化までの期間等の作業性については良好であった。硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化後に、
図1のような滑り止め舗装を得ることができた。滑り止め舗装を上から押さえたときに、良好な可とう性が得られた。また、滑り止め骨材及びアスファルト表面が、それぞれ樹脂バインダーに強く固着しており、剥がれにくくなっていた。
実施例1~4の各硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて、参考例1と同様にして滑り止め骨材を備える舗装を製造した場合、上記の<結果>からすると、
図1のような滑り止め舗装を得ることができ、製造時の良好な作業性、硬化後の良好な可とう性及び良好な固着性を発揮することができる。
【0125】
さらに、実施例3のA液及びB液を、それぞれ60℃に加温した後、これらを混合して硬化性樹脂組成物を調製し、実施例3の硬化性樹脂組成物を、アスファルト舗装の表面に塗布後、滑り止め骨材(大きさ(最大長)5~10mm程度)を散布し、硬化性樹脂組成物が硬化するまで養生した。これにより、
図1に示すような、アスファルト表面に固着し、骨材を固着させた樹脂バインダーが得られた。この骨材を含む樹脂バインダー部分は良好な可とう性、良好な固着性があり、骨材による滑り止め効果がある。実施例1~2、4の硬化性樹脂組成物も、実施例3の組成物と同様の効果を得ることができる。実施例1~4の各硬化性樹脂組成物は、骨材を散布後、硬化を促進させるために、アスファルト舗装の上に塗布された、滑り止め骨材を含む硬化性樹脂組成物の表面を、ガスバーナーにて加熱して、樹脂組成物の硬化を促進させることも可能である。また、実施例1~4の各硬化性樹脂組成物は、オレンジ色等の着色顔料などを含有させて、色付き樹脂バインダーにすることも可能である。
【0126】
なお、上述の実施形態及び実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料、及び数値はあくまでも例に過ぎず、これと異なる構成、方法、工程、形状、材料、及び数値が用いられてもよい。また、上述の実施形態及び実施例の構成、方法、工程、形状、材料、及び数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0127】
また、上述の「1.」~「3.」等の説明において、各種成分、各種含有量や含有質量割合、使用量や使用質量割合などの各技術的特徴、各構成、各定義、各用語、各処理方法などで重複する説明については適宜省略することもあるが、「1.」~「3.」等の説明は、「1.」~「3.」の各実施形態の何れにも当てはまり、各実施形態において適宜採用することができる。
【0128】
また、本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階における数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階における数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、各数値範囲の上限値と下限値は、所望により、任意に組み合わせることができる。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。