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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120288
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】錠剤検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
G01N21/85 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026971
(22)【出願日】2023-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-29
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】今泉 汐理
(72)【発明者】
【氏名】小田 将蔵
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA02
2G051AB01
2G051AB03
2G051BA20
2G051BB17
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CC09
2G051CC11
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】シンプルかつコンパクトな構成とすること等が可能な錠剤検査装置を提供する。
【解決手段】錠剤検査装置23は、錠剤における一側面領域を反射した光の光路を変換可能な光路変換シート62a~62dと、光路変換シート62a~62dにより光路が変更された光を撮像素子64cに結像させる結像光学系66とを備え、撮像素子64cに結像した光により得られた画像データに基づき、側面部の良否を判定する。光路変換シート62a~62dは、撮像素子64c側から見て、錠剤5の複数列に跨るとともに、錠剤の搬送方向に沿って複数設けられている。複数の光路変換シート62a~62dは、それぞれ異なる一側面領域に対応するものであって、対応する一側面領域を反射した光の光路を、結像光学系66の光軸方向に沿った光路に変換させる。それぞれの光路変換シート62a~62dが対応する複数の一側面領域によって、錠剤の側面部の全周がカバーされる。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数列に並んだ状態で搬送される複数の錠剤における側面部を検査するための錠剤検査装置であって、
複数の錠剤に対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射された光を撮像するための撮像素子と、
前記照射手段から照射されて、前記側面部におけるその周方向に連続する一側面領域を反射した光の光路を変換可能な光路変換シートと、
前記光路変換シートにより光路が変更された光を前記撮像素子に結像させる結像光学系と、
前記撮像素子に結像した光により得られた画像データに基づき、前記側面部の良否を判定可能な判定手段とを備え、
前記光路変換シートは、前記撮像素子側から見て、錠剤の複数列に跨るように構成されるとともに、錠剤の搬送方向に沿って複数設けられており、
複数の前記光路変換シートは、それぞれ異なる前記一側面領域に対応するものであって、対応する前記一側面領域を反射した光の光路を、前記結像光学系の光軸方向に沿った光路に変換させるように構成されており、
それぞれの前記光路変換シートが対応する複数の前記一側面領域によって、前記側面部の全周がカバーされるように構成されていることを特徴とする錠剤検査装置。
【請求項2】
前記結像光学系は、物体側テレセントリック光学系となるように構成されるとともに、前記撮像素子に結像される光を調節可能な絞りを有することを特徴とする請求項1に記載の錠剤検査装置。
【請求項3】
前記結像光学系は、前記光路変換シートにより光路が変換された光を集光するための物体側レンズを有し、
前記物体側レンズは、フレネルレンズであることを特徴とする請求項1に記載の錠剤検査装置。
【請求項4】
前記光路変換シートにおける表面には、平行に並んだ複数の突条部が形成されており、
前記突条部は、
該突条部の延びる方向と直交する断面において、前記光路変換シートの平坦な裏面に対してなす角の角度が80°以上95°以下の略垂直面と、
前記断面において、前記裏面に対してなす角の角度が10°以上55°以下の傾斜面とを備えることを特徴とする請求項1に記載の錠剤検査装置。
【請求項5】
前記照射手段は、複数の前記光路変換シート間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の錠剤検査装置。
【請求項6】
前記結像光学系は、複数の前記光路変換シートの間を通って、錠剤における前記撮像素子側を向く面を反射した光を前記撮像素子に結像可能に構成されており、
前記判定手段は、前記画像データに基づき、錠剤における前記撮像素子側を向く面の良否を判定可能であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤の側面部の検査を行うための錠剤検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される錠剤を撮像する撮像手段と、該撮像手段により得られた画像データに基づき錠剤に関する良否を判定する判定手段とを備えた錠剤検査装置が知られている。錠剤検査装置としては、錠剤の側面部の良否を判定可能なものがある(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
上記特許文献1に係る錠剤検査装置は、所定の検査エリアに搬送されてきた錠剤に対し所定の光を照射する照明装置と、前記検査エリアの周囲に位置し、錠剤を斜め上方から撮像する複数(6つ)のカメラと、カメラにより得られた画像データを基に、錠剤の側面部に係る検査を行う画像処理手段とを備えている。カメラは、複数の受光素子が二次元配列されてなる撮像素子(例えばCCDエリアセンサ)と、該撮像素子に対し検査エリア内に位置する錠剤の像を結像させる撮像光学系(レンズユニット)とを有している。撮像光学系は、物体側テレセントリック光学系又は両側テレセントリック光学系により構成される。また、検査エリア内に位置する複数の錠剤に対して、撮像素子の受光面及び撮像光学系の主面がシャインプルーフの条件を満たすように設定されている。このように構成された錠剤検査装置によれば、撮像素子と錠剤との距離に関係なく、画像データにおける複数の錠剤の大きさを略同一とすることができ、また、検査エリア内に位置する全ての錠剤にピントが合った画像データを取得することができる。その結果、画像処理手段による検査精度を高めることが可能である。
【0004】
また、錠剤検査装置としては、錠剤を吸着しつつ複数列に並べた状態で搬送する回転ドラムと、吸着された錠剤の側面部を取り囲むようにして配置される環状プリズムとを備え、該環状プリズムを利用して錠剤の側面部全周に係る画像データを取得可能なものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-39762号公報
【特許文献2】特開平5-87744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に係る錠剤検査装置では、撮像光学系が物体側テレセントリック光学系などにより構成され、また、複数の錠剤に対して、撮像素子の受光面及び撮像光学系の主面がシャインプルーフの条件を満たすものとされるため、カメラの大型化を招くおそれがある。さらに、複数のカメラ同士の物理的干渉を避けるためには、これらカメラを錠剤から十分に離れた位置に配置する必要があるから、カメラの大型化と相俟って、結果的に装置全体の大型化を招くおそれがある。
【0007】
また、上記特許文献2に係る錠剤検査装置においては、検査対象となる錠剤の形状やサイズが変わる都度、環状プリズムを該錠剤に合うものに交換したり調整したりする必要があり、検査に係る利便性や効率が劣る。
【0008】
本発明は、上記事情の鑑みてなされたものであり、その目的は、シンプルかつコンパクトな構成とすることができるとともに、検査に係る利便性や効率を高めることが可能な錠剤検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.複数列に並んだ状態で搬送される複数の錠剤における側面部を検査するための錠剤検査装置であって、
複数の錠剤に対し所定の光を照射する照射手段と、
前記照射手段から照射された光を撮像するための撮像素子と、
前記照射手段から照射されて、前記側面部におけるその周方向に連続する一側面領域を反射した光の光路を変換可能な光路変換シートと、
前記光路変換シートにより光路が変更された光を前記撮像素子に結像させる結像光学系と、
前記撮像素子に結像した光により得られた画像データに基づき、前記側面部の良否を判定可能な判定手段とを備え、
前記光路変換シートは、前記撮像素子側から見て、錠剤の複数列に跨るように構成されるとともに、錠剤の搬送方向に沿って複数設けられており、
複数の前記光路変換シートは、それぞれ異なる前記一側面領域に対応するものであって、対応する前記一側面領域を反射した光の光路を、前記結像光学系の光軸方向に沿った光路に変換させるように構成されており、
それぞれの前記光路変換シートが対応する複数の前記一側面領域によって、前記側面部の全周がカバーされるように構成されていることを特徴とする錠剤検査装置。
【0011】
上記手段1によれば、光路変換シートが、撮像素子側から見て、錠剤の複数列に跨るように構成されるとともに、錠剤の搬送方向に沿って複数設けられている。そして、光路変換シートによって光路の変換された光が、結像光学系を経て撮像素子によって撮像される。従って、複数の錠剤を一度に撮像して検査することを可能としながら、撮像素子を有する装置(カメラ)や錠剤検査装置自体の構成を簡素化させることができ、ひいては錠剤検査装置の小型化や簡素化をより確実に図ることができる。さらに、撮像素子を有する装置(カメラ)を複数設けることなく複数の錠剤を撮像することができるため、錠剤検査装置の小型化を一層図ることができる。これらの結果、錠剤検査装置をシンプルかつコンパクトな構成とすることができる。
【0012】
さらに、上記手段1によれば、光路変換シートは、錠剤の搬送方向に沿って複数設けられており、それぞれの光路変換シートが対応する複数の一側面領域によって、錠剤における側面部の全周がカバーされる。従って、錠剤の側面部全周を検査することが可能である。
【0013】
加えて、検査対象となる錠剤の形状やサイズを変更する場合であっても、必ずしも光路変換シートの交換や調整を行う必要はない。従って、検査に係る利便性や効率を高めることができる。
【0014】
また、上記手段1によれば、複数の光路変換シートは、それぞれ異なる一側面領域に対応するものであって、対応する一側面領域を反射した光の光路を、結像光学系の光軸方向に沿った光路に変換させる。従って、画像データにおける一側面領域に係る部分に対し、錠剤におけるその他の部分を反射した光の影響が及ぶことを抑制でき、画像データにおいて、一側面領域に係る部分や該一側面領域に位置する不良部分(例えば、汚れや欠けなど)の輪郭・形状をより明瞭なものとすることができる。その結果、側面部における不良部分の有無を精度よく判定することができるとともに、不良部分の位置をより正確に特定することができる。
【0015】
手段2.前記結像光学系は、物体側テレセントリック光学系となるように構成されるとともに、前記撮像素子に結像される光を調節可能な絞りを有することを特徴とする手段1に記載の錠剤検査装置。
【0016】
上記手段2によれば、絞りによって、光路変換シートにより光路が変換された光のうち、撮像素子に結像される光を調節することができる。従って、検査を行う上で適切な画像データをより確実にかつより容易に得ることができる。
【0017】
手段3.前記結像光学系は、前記光路変換シートにより光路が変換された光を集光するための物体側レンズを有し、
前記物体側レンズは、フレネルレンズであることを特徴とする手段1に記載の錠剤検査装置。
【0018】
上記手段3によれば、物体側レンズはフレネルレンズであるため、物体側レンズの厚さを比較的小さなものとすることができる。これにより、装置をよりコンパクトな構成とすることができる。
【0019】
手段4.前記光路変換シートにおける表面には、平行に並んだ複数の突条部が形成されており、
前記突条部は、
該突条部の延びる方向と直交する断面において、前記光路変換シートの平坦な裏面に対してなす角の角度が80°以上95°以下の略垂直面と、
前記断面において、前記裏面に対してなす角の角度が10°以上55°以下の傾斜面とを備えることを特徴とする手段1に記載の錠剤検査装置。
【0020】
上記手段4によれば、各光路変換シートにおいて、対応する一側面領域を反射した光の光路を、結像光学系の光軸方向に沿った光路に変換させることがより確実に可能となる一方、錠剤におけるその他の部分を反射した光の光路が、前記光軸方向に沿った光路に変換させられることをより効果的に防止できる。これにより、画像データにおいて、一側面領域に係る部分や不良部分の輪郭・形状をより確実に明瞭なものとすることができる。その結果、側面部における不良部分の有無を一層精度よく判定することができるとともに、不良部分の位置を一層正確に特定することができる。
【0021】
手段5.前記照射手段は、複数の前記光路変換シート間に配置されていることを特徴とする手段1に記載の錠剤検査装置。
【0022】
上記手段5によれば、光路変換シート間に照射手段を収めることができるため、装置の小型化を一層図ることができる。
【0023】
手段6.前記結像光学系は、複数の前記光路変換シートの間を通って、錠剤における前記撮像素子側を向く面を反射した光を前記撮像素子に結像可能に構成されており、
前記判定手段は、前記画像データに基づき、錠剤における前記撮像素子側を向く面の良否を判定可能であることを特徴とする手段1に記載の錠剤検査装置。
【0024】
上記手段6によれば、錠剤の側面部のみならず、該錠剤における撮像素子側を向く面に関する検査をも行うことができる。従って、錠剤の検査効率をより高めることができる。
【0025】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。例えば、上記手段2に係る技術事項に対し、上記手段3に係る技術事項を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図5】錠剤検査充填装置の概略構成を示す部分断面模式図である。
図6】錠剤充填装置の部分拡大斜視図である。
図7】錠剤検査装置の概略構成を示すブロック図である。
図8】錠剤検査装置の斜視図である。
図9図8のJ-J線断面模式図である。
図10図8のK-K線断面模式図である。
図11】錠剤及び光路変換シートの平面模式図である。
図12】突条部の延びる方向を示すための光路変換シートの斜視模式図である。
図13】一側面領域について説明するための拡大平面模式図である。
図14】光路変換シートの拡大断面模式図である。
図15】錠剤の搬送方向と平行な断面をとった場合において、第一ポジションに位置する錠剤を撮像するときの錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図16】錠剤の搬送方向と直交する断面をとった場合において、第一ポジションに位置する錠剤を撮像するときの錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図17】第一ポジションに位置する錠剤を撮像して得られた画像データの一部を示す模式図である。
図18】第二ポジションに位置する錠剤を撮像するときの錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図19】第二ポジションに位置する錠剤を撮像して得られた画像データの一部を示す模式図である。
図20】錠剤の搬送方向と平行な断面をとった場合において、第三ポジションに位置する錠剤を撮像するときの錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図21】錠剤の搬送方向と直交する断面をとった場合において、第三ポジションに位置する錠剤を撮像するときの錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図22】第三ポジションに位置する錠剤を撮像して得られた画像データの一部を示す模式図である。
図23】第四ポジションに位置する錠剤を撮像するときの錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図24】第四ポジションに位置する錠剤を撮像して得られた画像データの一部を示す模式図である。
図25】別の実施形態における照明装置を示すための断面模式図である。
図26】別の実施形態における光路変換シートを示すための斜視模式図である。
図27】別の実施形態において、複数の光路変換シート間から錠剤の表面部又は裏面部を撮像可能な錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図28】別の実施形態において、光路変換シート間に照明装置を配置した錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図29】別の実施形態において、光路変換シートの表裏を変更した錠剤検査装置を示す断面模式図である。
図30】別の実施形態において、ポケット部に充填された錠剤を検査対象とする錠剤検査装置などの概略構成を示す部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まずPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0028】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0029】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0030】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図3参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。
【0031】
各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。本実施形態における錠剤5は、平面視円形状をなす円盤状の素錠であって、平面視円環状をなす側面部5aと、該側面部5aを挟む表面部5b及び裏面部5cとを有している。
【0032】
次に、上記PTPシート1を製造可能なPTP包装機10の概略構成について、図4を参照して説明する。
【0033】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0034】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0035】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0036】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤検査充填装置21が配設されている。錠剤検査充填装置21は、錠剤5の検査を行いつつ、ポケット部2へと錠剤5を充填する。錠剤検査充填装置21の詳細については後述する。
【0037】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0038】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0039】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0040】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0041】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置に刻印を付す機能を有する。尚、図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0042】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能、つまりPTPフィルム6からPTPシート1を切離す機能を有する。
【0043】
シート打抜装置37によって得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、錠剤検査充填装置21によって不良判定がなされた場合、この不良判定に係るPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0044】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0045】
次に、錠剤検査充填装置21について説明する。図5は、錠剤検査充填装置21等の概略構成を示す部分断面模式図である。図5に示すように、錠剤検査充填装置21は、錠剤充填装置22及び錠剤検査装置23を備えている。尚、錠剤充填装置22及び錠剤検査装置23は、図示しない制御装置によって動作制御される。
【0046】
錠剤充填装置22は、錠剤5の供給経路に沿って上流側より順に、貯留部51、供給シュート52、ロータリドラム53及び吸着ベルト54を備えている。
【0047】
貯留部51は、多数の錠剤5を貯留可能に構成されるとともに、ここから供給シュート52へ錠剤5が順次供給されるように構成されている。
【0048】
供給シュート52は、水平搬送される容器フィルム3の幅方向(図5の紙面奥行方向)における各ポケット部2の位置に対応して、それぞれ設けられている。つまり、本実施形態では、容器フィルム3の幅方向に沿って5本の供給シュート52が並設されている。各供給シュート52は、筒状をなし、錠剤5を横姿勢で鉛直方向に一列に積載できるよう構成されている。
【0049】
各供給シュート52の下側開口部の近傍には、該下側開口部を開閉可能なシャッタ52aが設けられている。そして、シャッタ52aが開閉動作を行うことにより、供給シュート52から錠剤5を1錠ずつ自然落下させ、ロータリドラム53へ供給することができるようになっている。
【0050】
ロータリドラム53は、供給シュート52から供給された錠剤5を受取った上で、該錠剤5を吸着保持しつつ、吸着ベルト54側へと搬送する。ロータリドラム53は、円筒形状をなすとともに回転可能に軸支されており、モータ等の駆動手段によって回転駆動される。
【0051】
さらに、図6に示すように、ロータリドラム53の外周面には、錠剤5を吸着保持するための吸着部53aが多数形成されている。吸着部53aは、ロータリドラム53の周方向及び軸方向に所定間隔で規則的に配列されている。本実施形態では、ロータリドラム53の周方向に並ぶ5列の吸着部53aがロータリドラム53の回転軸方向に等間隔で設けられている。
【0052】
また、各吸着部53aは、ロータリドラム53の回転に伴いロータリドラム53の回転軸の真上から真下付近まで移動する間、所定の真空ポンプ(図示略)によって真空引きされた状態(負圧が供給された状態)となる。これにより、各吸着部53aは、ロータリドラム53の回転軸の真上から真下付近まで移動する間、錠剤5を吸着保持する。一方、各吸着部53aは、ロータリドラム53の回転に伴いロータリドラム53の回転軸の真下から真上付近まで移動する間、大気に開放された状態となる。これにより、ロータリドラム53に吸着保持された錠剤5は、ロータリドラム53の回転軸の真下にて吸着が解除される。
【0053】
吸着ベルト54は、ロータリドラム53から錠剤5を受取った上で、該錠剤5を吸着搬送し、最終的に容器フィルム3(ポケット部2)へと充填する。図5,6に示すように、吸着ベルト54は、一対のプーリ54a,54bと、複数の保持板54dをベルト状につなぎ合わせてなる搬送ベルト54cと、吸引機構(不図示)とを有している。
【0054】
一対のプーリ54a,54bは、容器フィルム3の搬送経路に沿って間隔をあけた状態で配置されており、それぞれ所定の駆動手段によってロータリドラム53の回転軸と平行な回転軸にて回転可能とされている。
【0055】
搬送ベルト54cは、前記一対のプーリ54a,54bに架け渡されており、プーリ54a,54bの回転に伴い回転移動する。搬送ベルト54cのうちプーリ54bからプーリ54aへと移動する部位(つまり、搬送ベルト54cのうち外周面が下側を向く部位)は、容器フィルム3の搬送経路に近接配置されており、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送速度と同一速度で連続移動するようになっている。
【0056】
さらに、各保持板54dには、搬送ベルト54cの幅方向に沿って等間隔に複数の吸着孔54eが設けられている。本実施形態では、搬送ベルト54cの周方向に並ぶ5列の吸着孔54eが搬送ベルト54cの幅方向に等間隔で設けられている。
【0057】
また、前記吸引機構を作動させることによって各吸着孔54eを真空引きした状態(負圧を供給した状態)とすることができるように構成されている。これにより、吸着ベルト54は、各吸着孔54eの形成箇所において錠剤5を吸着保持可能である。
【0058】
加えて、吸着ベルト54の内部には、図示しないブロー機構が設けられている。当該ブロー機構は、吸着孔54eに向けて加圧されたエアーを吹き付けることが可能である。ブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着ベルト54による錠剤5の吸着を解除することができる。本実施形態では、ブロー機構により錠剤5の吸着を解除することで、所定の充填ポジション(本実施形態では、プーリ54aの回転軸の真下のポジション)にて、ポケット部2へと錠剤5を充填することが可能である。
【0059】
次いで、錠剤検査装置23について説明する。錠剤検査装置23は、プーリ54aからプーリ54bに向けた錠剤5の搬送経路に対応して設けられており、複数列に並んだ状態で搬送される錠剤5の側面部5aを検査するためのものである。錠剤検査装置23は、図7~10に示すように、照明装置61、光路変換シート62a,62b,62c,62d、物体側レンズ63、カメラ64及び画像処理装置65を備えている。尚、錠剤検査装置23は、画像処理装置65に記憶された情報を表示するための表示手段や、画像処理装置65へと情報を入力するための入力手段(例えばキーボード等)を備えていてもよい。本実施形態では、照明装置61が「照射手段」を構成し、画像処理装置65が「判定手段」を構成する。尚、以下では、光路変換シート62a,62b,62c,62dを「光路変換シート62a~62d」と簡略化して表記することがある。
【0060】
照明装置61は、複数の錠剤5に対し所定の光(例えば紫外光など)を照射する。照明装置61は、例えばLED等からなる光源61aと、導光板61bとを備えている。導光板61bは、光源61aから発せられる光を錠剤5へと導くためのものである。尚、導光板61bとしては、例えばアクリル等からなる薄板の表面に、印刷や超音波などによってドット加工を施したものであって、面発光可能なもの等を挙げることができる。
【0061】
加えて、導光板61bは、光源61aからの光によって、錠剤5側へ発光する一方、錠剤5とは反対側(カメラ64側)には発光しないものとされている。また、導光板61bは、錠剤5を反射した光を透過可能に構成されている。
【0062】
光路変換シート62a~62dは、側面部5aにおけるその周方向に連続する一側面領域AR1,AR2,AR3,AR4(図13参照)を反射した光の光路を、後述する結像光学系66の光軸OA方向に沿った光路(光軸OAと平行な光路)に変換するためのものである。尚、以下では、一側面領域AR1,AR2,AR3,AR4を「一側面領域AR1~AR4」と簡略化して表記することがある。
【0063】
光路変換シート62a~62dは、照明装置61及び錠剤5(吸着ベルト54)間に配置されるとともに、錠剤5の搬送方向に沿って一定の間隔で設けられている。また、光路変換シート62a~62d〔特に平坦な裏面62r(図14参照)〕は、光軸OAと直交し、錠剤5の搬送方向に対し平行となるように設定されている。さらに、光路変換シート62a~62dは、カメラ64(後述する撮像素子64c)側から見て、錠剤5の複数列(本実施形態では5列)に跨るようにして設けられている(図11参照)。
【0064】
加えて、光路変換シート62a~62dは、それぞれ異なる一側面領域AR1~AR4に対応するものであって、対応する一側面領域AR1~AR4を反射した光の光路を、光軸OA方向に沿った方向に変換する。そして、光路変換シート62a~62dが対応する一側面領域AR1~AR4によって、側面部5aの全周がカバーされるようになっている。
【0065】
本実施形態において、光路変換シート62aが対応する一側面領域AR1は、側面部5aのうち、左側側面部5a1の全域と、下流側側面部5a2の一部と、上流側側面部5a3の一部とで構成される領域(図13参照)である。左側側面部5a1は、側面部5aにおける吸着ベルト54の幅方向一端側の部位である。また、下流側側面部5a2は、側面部5a1における錠剤5の搬送方向下流側の部位であり、上流側側面部5a3は、側面部5aにおける錠剤5の搬送方向上流側の部位である。
【0066】
また、光路変換シート62bが対応する一側面領域AR2は、側面部5aのうち、下流側側面部5a2の全域と、左側側面部5a1の一部と、右側側面部5a4の一部とで構成される領域(図13参照)である。右側側面部5a4は、側面部5aにおける吸着ベルト54の幅方向他端側の部位である。
【0067】
さらに、光路変換シート62cが対応する一側面領域AR3は、側面部5aのうち、右側側面部5a4の全域と、下流側側面部5a2の一部と、上流側側面部5a3の一部とで構成される領域(図13参照)である。
【0068】
加えて、光路変換シート62dが対応する一側面領域AR4は、側面部5aのうち、上流側側面部5a3の全域と、左側側面部5a1の一部と、右側側面部5a4の一部とで構成される領域(図13参照)である。
【0069】
さらに、光路変換シート62a~62dにおける錠剤5側に配置される面には、平行に並んだ複数の突条部62tが形成されている。尚、光路変換シート62a~62dの表面とは、突条部62tが形成された面をいう。
【0070】
図14に示すように、突条部62tは、該突条部62tの延びる方向と直交する断面において、略直角三角形状をなすものであり、略垂直面62t1及び傾斜面62t2を備えている。尚、図14では、図示の便宜上、ハッチングを省略している。
【0071】
略垂直面62t1は、前記断面において、光路変換シート62a~62dの平坦な裏面62rに対し略直交する方向に延び、該裏面62rに対してなす角の角度αが80°以上95°以下となる面である。
【0072】
傾斜面62t2は、前記断面において、前記裏面62rに対し斜め方向に延び、該裏面62rに対してなす角の角度βが10°以上55°以下となる面である。傾斜面62t2にて光が屈折することで、側面部5aを反射した光の光路が、光軸OAに沿った光路に変換される。より詳しくは、傾斜面62t2に対する入射角γが角度βよりも大きな所定角度となる光L1(図14にて太い破線で示す)の光路は、光軸OAに沿った光路に変換される。一方、傾斜面62t2に対する入射角が角度β以下となる光L2,L3の光路は、光軸OAに対し斜めとなった光路に変換され、光軸OAに沿った光路には変換されない。
【0073】
また、光路変換シート62a~62dにおいて、突条部62tの延びる方向は、それぞれ90°ずつ異なるものとなっている(図12参照。図12では突条部62tの延びる方向を矢印で示す)。ここで、突条部62tの延びる方向とは、光路変換シート62a~62dの表面(突条部62tが存在する面)を正面から見た場合(本実施形態では、底面視した場合)において、該突条部62tに沿って進んだときに、該突条部62tに係る略垂直面62t1が右側に位置し、該突条部62tに係る傾斜面62t2が左側に位置するような方向をいう。
【0074】
本実施形態において、光路変換シート62aにおける突条部62tの延びる方向は、錠剤5の搬送方向と平行であり、該搬送方向とは反対の方向となっている。
【0075】
また、光路変換シート62bにおける突条部62tの延びる方向は、錠剤5の搬送方向と直交し、吸着ベルト54の幅方向他端側から幅方向一端側に向けた方向(錠剤5における他端側の列から一端側の列に向けた方向)となっている。
【0076】
さらに、光路変換シート62cにおける突条部62tの延びる方向は、錠剤5の搬送方向と平行であり、該搬送方向と同一の方向となっている。
【0077】
加えて、光路変換シート62dにおける突条部62tの延びる方向は、錠剤5の搬送方向と直交し、吸着ベルト54の幅方向一端側から幅方向他端側に向けた方向(錠剤5における一端側の列から他端側の列に向けた方向)となっている。
【0078】
そして、本実施形態において、光路変換シート62aにおける傾斜面62t2に対しては、所定の第一ポジションP1(図15,16参照)に位置する錠剤5における一側面領域AR1を反射した光が入射されるとともに、光路変換シート62aによって、一側面領域AR1を反射した光の光路が光軸OAに沿った光路に変換される。
【0079】
また、光路変換シート62bにおける傾斜面62t2に対しては、所定の第二ポジションP2(図18参照)に位置する錠剤5における一側面領域AR2を反射した光が入射されるとともに、光路変換シート62bによって、一側面領域AR2を反射した光の光路が光軸OAに沿った光路に変換される。
【0080】
さらに、光路変換シート62cにおける傾斜面62t2に対しては、所定の第三ポジションP3(図20,21参照)に位置する錠剤5における一側面領域AR3を反射した光が入射されるとともに、光路変換シート62cによって、一側面領域AR3を反射した光の光路が光軸OAに沿った光路に変換される。
【0081】
加えて、光路変換シート62dにおける傾斜面62t2に対しては、所定の第四ポジションP4(図23参照)に位置する錠剤5における一側面領域AR4を反射した光が入射されるとともに、光路変換シート62dによって、一側面領域AR4を反射した光の光路が、光軸OAに沿った光路に変換される。
【0082】
図9,10に戻り、物体側レンズ63は、カメラ64及び照明装置61間に配置されており、光路変換シート62a~62dにより光路が変換された光を集光するためのものである。本実施形態において、物体側レンズ63は、フレネルレンズにより構成されており、所定の樹脂製の薄板材料に対し、階段状かつ同心円状に鋸刃形状の突起部を形成したものである。各突起部が屈折面として機能することにより、物体側レンズ63は一枚の一般的なレンズと同様に機能する。
【0083】
カメラ64は、錠剤5における吸着ベルト54により吸着された面とは反対側に配置されており、少なくとも照明装置61から照射される光に感度のあるカメラ(例えばCCDカメラやCMOSカメラ等)によって構成されている。カメラ64は、絞り64a、素子側レンズ64b及び撮像素子64cを備えている。
【0084】
絞り64aは、物体側レンズ63と素子側レンズ64bとの間に配置されており、物体側レンズ63から撮像素子64cに入る光の量を制限することで、撮像素子64cの後述する受光面64c1に結像される光を調節する。
【0085】
素子側レンズ64bは、光軸OAと主光線とが平行となるように、物体側レンズ63を通過した光の光路を変換する。
【0086】
撮像素子64cは、例えばCCDエリアセンサやCMOSセンサなどによって構成されており、照明装置61から照射された光を撮像する。撮像素子64cは、複数の受光素子が行列状に二次元配列された受光面64c1を有しており、該受光面64c1は光軸OAと直交した状態となるように設定されている。カメラ64による撮像処理が行われることで、撮像素子64cによって画像データが取得される。取得された画像データは、画像処理装置65へと送られる。
【0087】
また、本実施形態では、物体側レンズ63、絞り64a及び素子側レンズ64bによって、光路変換シート62a~62dにより光路が変換された光を撮像素子64c(受光面64c1)に結像させるための結像光学系66が構成されている。結像光学系66は、物体側テレセントリック光学系となるように構成されている。つまり、結像光学系66は、物体側レンズ63よりも物体側(錠剤5側)において光軸OAと主光線とが平行となるように構成されている。尚、本実施形態における結像光学系66は、両側テレセントリック光学系でもある。
【0088】
画像処理装置65は、撮像素子64c(受光面64c1)に結像した光により得られた画像データ(つまりカメラ64により得られた画像データ)に基づき、少なくとも錠剤5の側面部5aの良否を判定する。画像処理装置65は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。画像処理装置65は、図7に示すように、画像メモリ65a、検査結果記憶装置65b、判定用メモリ65c、検査条件記憶装置65d、カメラタイミング制御装置65e及びCPU及び入出力インターフェース65fを備えている。
【0089】
画像メモリ65aは、カメラ64から入力された画像データを記憶する。この画像メモリ65aに記憶された画像データに基づいて、側面部5aの良否に関する検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像データに対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。
【0090】
検査結果記憶装置65bは、良否判定結果のデータや該データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶する。
【0091】
判定用メモリ65cは、検査に用いられる各種情報を記憶する。各種情報には、異物や汚れ、破損(欠け等)の有無を判定するためのプログラム、良否の判定基準となる各種の判定用数値などが含まれる。
【0092】
検査条件記憶装置65dは、不良判定の日時や検査に用いられた検査条件などを記憶する。
【0093】
カメラタイミング制御装置65eは、カメラ64の撮像タイミングを制御する。より詳しくは、カメラタイミング制御装置65eは、搬送方向と直交する方向に並ぶ1行分の錠剤5が第一ポジションP1に位置したとき、第二ポジションP2に位置したとき、第三ポジションP3に位置したとき及び第四ポジションP4に位置したときのそれぞれで撮像を行うようにカメラ64を制御する。
【0094】
本実施形態では、第一ポジションP1に位置する錠剤5を撮像することで、一側面領域AR1に係る部分を含む画像データ(図17参照:尚、図17,19,22,24では画像データの一部のみを示す)が取得される。また、第二ポジションP2に位置する錠剤5を撮像することで、一側面領域AR2に係る部分を含む画像データ(図19参照)が取得される。さらに、第三ポジションP3に位置する錠剤5を撮像することで、一側面領域AR3に係る部分を含む画像データ(図22参照)が取得される。加えて、第四ポジションP4に位置する錠剤5を撮像することで、一側面領域AR4に係る部分を含む画像データ(図24参照)が取得される。このように取得される4種類の画像データは、それぞれ異なる一側面領域AR1,AR2,AR3,AR4に係る画像データである。そして、これら4種類の画像データによって、1行分の全ての錠剤5における側面部5a全周分がカバーされるようになっている。
【0095】
尚、カメラタイミング制御装置65eは、錠剤検査充填装置21に設けられた、錠剤5の搬送量を把握するためのエンコーダ(図示せず)からの信号に基づいて、カメラ64の撮像タイミングを制御する。
【0096】
CPU及び入出力インターフェース65fは、画像データや良否判定結果などの各種データを入出力する機能と、各種プログラムを実行する機能とを備えている。CPU及び入出力インターフェース65fは、判定用メモリ65cに記憶された情報と、入力された画像データとを用いて、少なくとも錠剤5の側面部5aの良否を判定する。本実施形態では、得られた画像データの全てを対象に所定の良否判定処理が行われることで、錠剤5ごとに、それぞれ4種類の画像データを用いて、側面部5a全周における不良部分の有無が判定される。良否判定結果は、検査結果記憶装置65bに記憶される。本実施形態では、錠剤5に対する異物や汚れの付着の有無、錠剤5の欠けの有無などが検査される。
【0097】
以上詳述したように、本実施形態によれば、複数の錠剤5を一度に撮像して検査することを可能としながら、撮像素子64cを有する装置(カメラ64)や錠剤検査装置23自体の構成を簡素化させることができ、ひいては錠剤検査装置23の小型化や簡素化をより確実に図ることができる。さらに、撮像素子64cを有する装置(カメラ64)を複数設けることなく複数の錠剤5を撮像することができるため、錠剤検査装置23の小型化を一層図ることができる。これらの結果、錠剤検査装置23をシンプルかつコンパクトな構成とすることができる。
【0098】
さらに、それぞれの光路変換シート62a~62dが対応する複数の一側面領域AR1~AR4によって、錠剤5における側面部5aの全周がカバーされる。従って、錠剤5の側面部5a全周を検査することが可能である。
【0099】
加えて、検査対象となる錠剤5の形状やサイズを変更する場合であっても、必ずしも光路変換シート62a~62dの交換や調整を行う必要はない。従って、検査に係る利便性や効率を高めることができる。
【0100】
また、画像データにおける一側面領域AR1~AR4に係る部分に対し、錠剤5におけるその他の部分を反射した光の影響が及ぶことを抑制でき、画像データにおいて、一側面領域AR1~AR4に係る部分や該一側面領域AR1~AR4に位置する不良部分(例えば、汚れや欠けなど)の輪郭・形状をより明瞭なものとすることができる。その結果、側面部5aにおける不良部分の有無を精度よく判定することができるとともに、不良部分の位置をより正確に特定することができる。
【0101】
加えて、絞り64aによって、光路変換シート62a~62dにより光路が変換された光のうち、撮像素子64cに結像される光を調節することができる。従って、検査を行う上で適切な画像データをより確実にかつより容易に得ることができる。
【0102】
さらに、物体側レンズ63はフレネルレンズであるため、物体側レンズ63の厚さを比較的小さなものとすることができる。これにより、錠剤検査装置23をよりコンパクトな構成とすることができる。
【0103】
また、光路変換シート62a~62dは上述の断面形状とされているため、各光路変換シート62a~62dにおいて、対応する一側面領域AR1~AR4を反射した光の光路を、結像光学系66の光軸OA方向に沿った光路に変換させることがより確実に可能となる一方、錠剤5におけるその他の部分を反射した光の光路が、光軸OA方向に沿った光路に変換させられることをより効果的に防止できる。これにより、画像データにおいて、一側面領域AR~AR4に係る部分や不良部分の輪郭・形状をより確実に明瞭なものとすることができる。その結果、側面部5aにおける不良部分の有無を一層精度よく判定することができるとともに、不良部分の位置を一層正確に特定することができる。
【0104】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0105】
(a)上記実施形態において、照明装置61は、錠剤5における吸着ベルト54により吸着される面とは反対側に配置されている。これに対し、図25に示すように、照明装置61を、錠剤5における吸着ベルト54により吸着される面側に配置してもよい。尚、この場合、吸着ベルト54は、照明装置61から照射される光を透過可能に構成される。
【0106】
(b)上記実施形態では、4枚の光路変換シート62a~62dが設けられているが、光路変換シートの数を適宜変更してもよい。
【0107】
例えば、図26に示すように、3枚の光路変換シート62e,62f,62gを設け、各光路変換シート62e,62f,62gが対応する複数の一側面領域によって、側面部5aの全周がカバーされるように構成してもよい。この場合、光路変換シート62e,62f,62gにおける各突条部62tの延びる方向を120°ずつ異なるものとしてもよい。
【0108】
勿論、光路変換シートを2枚又は5枚以上設け、これら光路変換シートが対応する複数の一側面領域によって、側面部5aの全周がカバーされるように構成してもよい。尚、検査精度をより高めるという点では、上記実施形態のように、複数の一側面領域のうちの少なくとも一部同士が重なるように設定することが好ましい。
【0109】
(c)上記実施形態において、各光路変換シート62a~62dは、それぞれ1行分の錠剤5に対応するものとされているが、複数行分の錠剤5に対応するものであってもよい。つまり、各光路変換シート62a~62dを通して、複数行分の錠剤5を一度に撮像する構成としてもよい。
【0110】
(e)上記実施形態における照明装置61は、光源61a及び導光板61bを備えているが、照明装置の構成を適宜変更してもよい。従って、例えば、導光板を設けることなく、多数の光源によって、照明装置を構成してもよい。
【0111】
(f)図27に示すように、隣接する光路変換シート62b,62c間に隙間を形成し、この隙間を通して、錠剤5における撮像素子64c側を向く面(表面部5b又は裏面部5c)を反射した光を撮像するように構成してもよい。そして、錠剤5における撮像素子64c側を向く面を反射した光により得られた画像データに基づき、画像処理装置65によって、該面の良否判定を行うようにしてもよい。この場合には、錠剤5の側面部5aのみならず、該錠剤5における表面部5b又は裏面部5cに関する検査をも行うことができる。従って、錠剤5の検査効率をより高めることができる。
【0112】
(f)図28に示すように、照明装置61を光源61aによって構成し、該照明装置61(光源61a)を複数の光路変換シート62a~62d間に配置してもよい。この場合には、光路変換シート62a~62d間に照明装置61を収めることができるため、錠剤検査装置23の小型化を一層図ることができる。
【0113】
(g)上記実施形態では、光路変換シート62a~62dの表面(突条部62tが形成された面)は、錠剤5側に位置するものとされている。これに対し、図29に示すように、光路変換シート62a~62dの表面が、錠剤5とは反対側、つまり、カメラ64(撮像素子64c)側に位置するように構成してもよい。
【0114】
(h)上記実施形態において、錠剤検査装置23(特に、光路変換シート62a~62d、物体側レンズ63及びカメラ64)は、錠剤5における吸着ベルト54により吸着される面(被吸着面)とは反対側に配置されている。これに対し、錠剤検査装置23を錠剤5における被吸着面側に配置してもよい。例えば、吸着ベルト54で囲まれた空間に、錠剤検査装置23を配置してもよい。尚、この場合、吸着ベルト54は、照明装置61から照射される光を透過可能に構成される。
【0115】
(i)上記実施形態では、各光路変換シート62a~62dが対応する一側面領域AR1~AR4をそれぞれ別々のタイミングで撮像するように構成されているが、複数の一側面領域のうちの少なくとも2つの撮像タイミングを一致させてもよい。従って、例えば、2つの一側面領域AR1,AR4を同一のタイミングで撮像するように構成してもよい。勿論、全ての一側面領域AR1~AR4を同一のタイミングで撮像するように構成してもよい。
【0116】
また、上記実施形態において、一側面領域の全域に係る画像データを、1回の撮像によって取得しているが、複数回の撮像によって取得してもよい。
【0117】
(j)上記実施形態において、錠剤5は平面視円形状をなしているが、錠剤5を平面視長円形状や平面視楕円形状などとしてもよい。
【0118】
(k)錠剤は、医薬品の錠剤のみならず、飲食用の錠剤などであってもよい。また、錠剤には、素錠のみならず、糖衣錠やフィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。
【0119】
(l)上記実施形態において、錠剤5は5列に並んだ状態で搬送されているが、搬送される錠剤5の列数は複数であればよく、5列に限られるものではない。
【0120】
(m)上記実施形態において、錠剤検査装置23は、ポケット部2に充填される前の錠剤5を検査するように構成されている。これに対し、図30に示すように、錠剤検査装置23を、容器フィルム3の搬送経路に沿って錠剤充填装置22よりも下流に配設し、錠剤検査装置23によって、ポケット部2に充填された錠剤5を検査するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0121】
5…錠剤、5a…側面部、5b…表面部、5c…裏面部、23…錠剤検査装置、61…照明装置(照射手段)、62a,62b,62c,62d…光路変換シート、62r…(光路変換シートの)裏面、62t…突条部、62t1…略垂直面、62t2…傾斜面、63…物体側レンズ、64c…撮像素子、65…画像処理装置(判定手段)、66…結像光学系、AR1,AR2,AR3,AR4…一側面領域、OA…光軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30