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  • 特開-半導体モジュール 図1
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  • 特開-半導体モジュール 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120308
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027015
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】ミネベアパワーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】紺野 哲豊
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 克明
(72)【発明者】
【氏名】三間 彬
(57)【要約】
【課題】
回路基板を設置可能な領域が広い半導体モジュールを実現する。
【解決手段】
半導体モジュール1の絶縁樹脂ケース2の上面には、補助端子6を用いて複数の半導体チップを制御する回路基板を設置可能な第1回路基板設置領域7と、回路基板の一部が突出して延在する回路基板突出部を設置可能な第2回路基板設置領域8とを有し、第2回路基板設置領域8は、一対の第1電位端子3の間の領域の少なくとも一部と一対の第2電位端子4の間の領域の少なくとも一部とを含む形状であるとともに、絶縁樹脂ケース2の上面に設けられた第1突起部9により仕切られた第1凹部12であり、絶縁樹脂ケース2の上面には、高電位側である一対の第1電位端子3のそれぞれと第1突起部9との間に設けられた第2突起部10と、第1突起部9と第2突起部10との間に形成された第2凹部13とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップを内部に収容する絶縁樹脂ケースと、前記絶縁樹脂ケースの上面に引き出された複数の外部端子とを備えた半導体モジュールにおいて、
前記複数の外部端子は、一対の第1電位端子と、前記一対の第1電位端子より低電位の一対の第2電位端子と、少なくとも1つの交流端子と、前記複数の半導体チップの制御に用いられる複数の補助端子とを有し、
前記絶縁樹脂ケースの上面には、前記複数の補助端子を用いて前記複数の半導体チップを制御する回路基板を設置可能な第1回路基板設置領域と、前記回路基板の一部が突出して延在する回路基板突出部を設置可能な第2回路基板設置領域とを有し、
前記第2回路基板設置領域は、前記一対の第1電位端子の間の領域の少なくとも一部と前記一対の第2電位端子の間の領域の少なくとも一部とを含む形状であるとともに、前記絶縁樹脂ケースの上面に設けられた第1突起部により仕切られた第1凹部であり、
前記絶縁樹脂ケースの上面には、前記一対の第1電位端子のそれぞれと前記第1突起部との間に設けられた第2突起部と、前記第1突起部と前記第2突起部との間に形成された第2凹部とを有することを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
請求項1において、
前記絶縁樹脂ケースの上面には、前記第1突起部と前記第2突起部との間に設けられた第3突起部を有し、
前記第2凹部は前記第3突起部により複数の凹部に分割されていることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項3】
請求項1において、
前記絶縁樹脂ケースの上面には、前記一対の第2電位端子のそれぞれと前記第1突起部との間に設けられた第4突起部と、前記第1突起部と前記第4突起部との間に形成された第3凹部とを有することを特徴とする半導体モジュール。
【請求項4】
請求項3において、
前記絶縁樹脂ケースの上面には、前記第1突起部と前記第4突起部との間に設けられた第5突起部を有し、
前記第3凹部は前記第5突起部により複数の凹部に分割されていることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項5】
請求項1において、
前記第2回路基板設置領域は、前記絶縁樹脂ケースの上面に前記回路基板突出部を固定するためのネジ穴を有することを特徴とする半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の半導体モジュールに回路基板を設置した状態を説明する斜視図である。
【0003】
半導体モジュール1は、図示しない複数の半導体チップと、この複数の半導体チップを内部に収容する絶縁樹脂ケース2と、絶縁樹脂ケース2の上面に引き出された複数の外部端子とを備え、この複数の補助端子として、一対の第1電位端子3と、一対の第2電位端子4と、交流端子5と、図示しない補助端子とを有している。
【0004】
この半導体モジュール1には、内部に収容された複数の半導体チップを制御する回路基板20が設置される。回路基板20は、駆動回路用半導体チップ22と、コネクタ23とを有しており、ネジ24によって半導体モジュール1の絶縁樹脂ケース2の上面に固定される。
【0005】
このような半導体モジュールは、例えば特許文献1の図2などにも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-92789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の半導体モジュール1では、回路基板20は一対の第2電位端子4と交流端子5との間に配置されるのが一般的であり、回路基板20を設置可能な領域が狭いという課題がある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、回路基板を設置可能な領域が広い半導体モジュールを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の半導体モジュールは、複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップを内部に収容する絶縁樹脂ケースと、前記絶縁樹脂ケースの上面に引き出された複数の外部端子とを備えた半導体モジュールにおいて、前記複数の外部端子は、一対の第1電位端子と、前記一対の第1電位端子より低電位の一対の第2電位端子と、少なくとも1つの交流端子と、前記複数の半導体チップの制御に用いられる複数の補助端子とを有し、前記絶縁樹脂ケースの上面には、前記複数の補助端子を用いて前記複数の半導体チップを制御する回路基板を設置可能な第1回路基板設置領域と、前記回路基板の一部が突出して延在する回路基板突出部を設置可能な第2回路基板設置領域とを有し、前記第2回路基板設置領域は、前記一対の第1電位端子の間の領域の少なくとも一部と前記一対の第2電位端子の間の領域の少なくとも一部とを含む形状であるとともに、前記絶縁樹脂ケースの上面に設けられた第1突起部により仕切られた第1凹部であり、前記絶縁樹脂ケースの上面には、前記一対の第1電位端子のそれぞれと前記第1突起部との間に設けられた第2突起部と、前記第1突起部と前記第2突起部との間に形成された第2凹部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路基板を設置可能な領域が広いの半導体モジュールを実現できる。
【0011】
本発明のその他の構成および効果は実施例において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例の半導体モジュールの斜視図。
図2】実施例の半導体モジュールに回路基板を設置した状態を説明する斜視図。
図3図1のA-A断面図。
図4】実施例の半導体モジュールを2つ並列配置した状態で1つの半導体モジュールに短絡が発生した場合に生じる磁束密度分布のシミュレーション結果を説明する図。
図5】従来の半導体モジュールに回路基板を設置した状態を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、実施例の半導体モジュールの斜視図である。図2は、実施例の半導体モジュールに回路基板を設置した状態を説明する斜視図である。図3は、図1のA-A断面図である。
【0015】
図1に示すように、実施例の半導体モジュール1は、図示しない複数の半導体チップと、この複数の半導体チップを内部に収容する絶縁樹脂ケース2と、絶縁樹脂ケース2の上面に引き出された複数の外部端子とを備える。半導体モジュール1は、例えば電力変換装置などに用いることができる。本実施例では、この複数の半導体チップとしてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いた例で説明するが、これに限られず、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの他の半導体チップであってもよい。
【0016】
複数の外部端子は、一対の第1電位端子3と、一対の第1電位端子3より低電位の一対の第2電位端子4と、少なくとも1つの交流端子5と、絶縁樹脂ケース2の内部に収容された複数の半導体チップの制御に用いられる複数の補助端子6とを有する。本実施例では3つの交流端子5を有する例を示したが、数はこれに限られない。補助端子6としては、例えば、ゲート端子や、エミッタ補助端子などが含まれるが、これに限られず、コレクタ補助端子や温度検出端子などが含まれていてもよい。
【0017】
そして、本実施例の半導体モジュール1の絶縁樹脂ケース2の上面には、複数の補助端子6を用いて複数の半導体チップを制御する回路基板20(図2参照)を設置可能な第1回路基板設置領域7に加え、回路基板20の一部が突出して延在する回路基板突出部21(図2参照)を設置可能な第2回路基板設置領域8をさらに有する。
【0018】
第2回路基板設置領域8は、一対の第1電位端子3の間の領域の少なくとも一部と一対の第2電位端子4の間の領域の少なくとも一部とを含む形状であるとともに、絶縁樹脂ケース2の上面に設けられた第1突起部9により仕切られた第1凹部12となっている。これにより、回路基板を設置可能な領域が広い半導体モジュール1を実現することができる。
【0019】
ここで、第2回路基板設置領域8に回路基板突出部21を設置する場合は、高電位側である第1電位端子3との間に十分な絶縁距離を確保する必要がある。ここで、絶縁距離には、直線で結んだ最短距離と、表面をたどる沿面距離の2種類がある。
【0020】
そこで、本実施例の半導体モジュール1では、第2回路基板設置領域8と第1電位端子3との間の沿面距離を確保するために、図3に示すように、絶縁樹脂ケース2の上面には、一対の第1電位端子3のそれぞれと第1突起部9との間に設けられた第2突起部10と、第1突起部9と第2突起部10との間に形成された第2凹部13とを有する構成とした。これにより、沿面距離は、第1突起部9と、第2凹部13と、第2突起部10の表面をたどる距離を合計した距離となるので、十分な絶縁距離を確保することができる。
【0021】
なお、図3では、絶縁樹脂ケース2の上面には、第1突起部9と第2突起部10との間に設けられた第3突起部11を有し、第2凹部13は第3突起部11により複数の凹部に分割されている例を示している。これにより、さらに沿面距離を長くすることができる。なお、沿面距離が十分であれば第3突起部11は必須ではないので、第3突起部11を省略してもよい。また、沿面距離をさらに確保するために、複数の第3突起部11を設ける構成としてもよい。
【0022】
回路基板20は高電位側(上アーム)の半導体チップを制御する領域と、低電位側(下アーム)の半導体チップを制御する領域に分かれている。本実施例では回路基板突出部21の電位は低電位側を制御する領域とした。したがって、本実施例の回路基板突出部21の電位は低電位側である第2電位端子4に近いので、第2回路基板設置領域8と第2電位端子4との間については第1突起部9で仕切るのみで追加の凹部は設けていない構成としている。これにより、追加の凹部が必要なくなるので、第2回路基板設置領域8を広くすることができる。
【0023】
なお、第2回路基板設置領域8と第2電位端子4との間についても、追加の凹部を設けて、沿面距離を確保するようにしてもよい。この場合、例えば、絶縁樹脂ケース2の上面には、一対の第2電位端子4のそれぞれと第1突起部9との間に設けられた図示しない第4突起部と、第1突起部9と図示しない第4突起部との間に形成された図示しない第3凹部とを有する構成とすればよい。さらに、絶縁樹脂ケース2の上面には、第1突起部9と図示しない第4突起部との間に設けられた図示しない第5突起部を有し、図示しない第3凹部は図示しない第5突起部により複数の凹部に分割されている構成としてもよい。
【0024】
図2に示すように、回路基板20は、回路基板20の一部が突出して延在する回路基板突出部21を有している。回路基板20は、駆動回路用半導体チップ22を有しており、これにより複数の補助端子6(図1参照)を用いて図示しない複数の半導体チップを制御する。補助端子6は、ネジ穴を兼ねており、ネジ24を用いて回路基板20との間の電気的接続と回路基板20の物理的な固定を行うことができる。
【0025】
ここで、図1に示すように第2回路基板設置領域8は、絶縁樹脂ケース2の上面に回路基板突出部21を固定するためのネジ穴14を有する構成とすることが望ましい。これにより回路基板突出部21の固定を行うことができる。
【0026】
また、図2に示すように、回路基板20は、外部との接続を行うコネクタ23を有している。
【0027】
さらに、回路基板20は、回路基板突出部21に、例えばホール素子などの磁束検出部25を有している。
【0028】
図4は、実施例の半導体モジュールを2つ並列配置した状態で1つの半導体モジュールに短絡が発生した場合に生じる磁束密度分布のシミュレーション結果を説明する図である。
【0029】
図4は、右側の半導体モジュール1において上下アーム間短絡が発生し、第1電位端子3から第2電位端子4に大電流が流れた場合に発生する磁束密度分布を示しており、明るい色で示した領域は磁束密度が高い領域で、暗い色で示した領域は磁束密度が小さい領域である。図4に示す通り、短絡が発生した右側の半導体モジュール1では、一対の第1電位端子3と一対の第2電位端子4で囲まれた領域の中心付近は磁束密度が高い領域となっており、ここに第2回路基板設置領域8を設けることで、ここに磁束検出部25を配置することが可能になり、磁束検出部25により感度良く短絡の検出をすることができる。また、短絡が発生していない左側の半導体モジュール1では、第2回路基板設置領域8付近の磁束密度が小さい領域となっているので、ここに磁束検出部25を配置することで、隣接する半導体モジュール1における短絡を誤検出してしまうのを避けることができるという利点もある。
【0030】
以上説明した通り、実施例の半導体モジュール1によれば、回路基板を設置可能な領域が広い半導体モジュールを実現することができる。また、実施例の半導体モジュール1によれば、第2回路基板設置領域8に短絡を検出するための磁束検出部25を配置することも可能となる。
【0031】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、実施例で説明した構成の一部または全部を組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 半導体モジュール
2 絶縁樹脂ケース
3 第1電位端子
4 第2電位端子
5 交流端子
6 補助端子
7 第1回路基板設置領域
8 第2回路基板設置領域
9 第1突起部
10 第2突起部
11 第3突起部
12 第1凹部
13 第2凹部
14 ネジ穴
20 回路基板
21 回路基板突出部
22 駆動回路用半導体チップ
23 コネクタ
24 ネジ
25 磁束検出部
図1
図2
図3
図4
図5