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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120311
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】回路装置、発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H03B5/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027020
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】澤田 光章
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA24
5J079BA32
5J079BA41
5J079CB02
5J079EA01
5J079EA16
5J079FA02
5J079FA04
5J079FA16
5J079FA21
5J079FB02
5J079FB03
5J079FB05
5J079FB09
5J079FB11
5J079FB23
5J079FB47
5J079GA02
5J079GA04
5J079GA15
5J079JA06
5J079KA01
(57)【要約】
【課題】波形整形回路での貫通電流の低減等を実現できる回路装置等の提供。
【解決手段】回路装置20は、発振信号OSCを生成する発振回路30と、発振信号OSCの波形整形を行う波形整形回路38と、波形整形回路38にレギュレート電源電圧VRGBを供給するレギュレーター92を含む。更に回路装置20は、発振信号OSCの振幅を検出して振幅検出信号を出力する振幅検出回路40と、振幅検出信号に基づいて、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さくなるようにレギュレーター92の制御を行う電源制御回路50を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振信号を生成する発振回路と、
前記発振信号が入力され、前記発振信号の波形整形を行う波形整形回路と、
前記波形整形回路にレギュレート電源電圧を供給するレギュレーターと、
前記発振信号の振幅を検出して振幅検出信号を出力する振幅検出回路と、
前記振幅検出信号に基づいて、前記発振信号の前記振幅よりも前記レギュレート電源電圧が小さくなるように前記レギュレーターの制御を行う電源制御回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路装置において、
前記振幅検出回路は、
前記発振信号の包絡線を検波して、前記発振信号の前記振幅を検出することを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回路装置において、
前記電源制御回路は、
可変の閾値電圧を生成する電圧生成回路と、
前記振幅検出回路の前記振幅検出信号である出力電圧と、前記閾値電圧とを比較する比較回路と、
前記比較回路の比較結果に基づいて、前記レギュレーターの前記レギュレート電源電圧を設定するロジック回路と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項3に記載の回路装置において、
前記ロジック回路は、
前記閾値電圧を第1電圧に設定し、前記振幅に対応する電圧が前記第1電圧を超えたとき、前記閾値電圧を前記第1電圧よりも高い第2電圧に設定することを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項4に記載の回路装置において、
前記ロジック回路は、
前記振幅に対応する電圧が前記第2電圧を超えなかったとき、前記レギュレート電源電圧を前記第1電圧以下の電圧に設定することを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項1に記載の回路装置において、
前記振幅検出回路は、
キャパシターによりDC成分がカットされた前記発振信号に対してバイアス電圧を設定し、前記バイアス電圧が設定された前記発振信号の包絡線を検波することで生成された出力電圧を出力し、
前記電源制御回路は、
前記振幅検出回路の前記出力電圧と、前記バイアス電圧よりも高い電圧である閾値電圧とを比較することを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項1に記載の回路装置において、
前記電源制御回路は、
起動時に前記発振信号の前記振幅に対応する電圧が起動判定用の閾値電圧を超えたか否かを判定し、前記起動判定用の前記閾値電圧を超えたとき、前記振幅検出信号に基づく前記レギュレーターの制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項7に記載の回路装置において、
前記電源制御回路は、
前記振幅検出回路からの前記振幅検出信号に基づいて、前記振幅に対応する電圧が前記起動判定用の前記閾値電圧を超えたか否かを判定することを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項1に記載の回路装置において、
前記電源制御回路は、
前記発振信号の前記振幅に対応する電圧と第1閾値電圧~第n閾値電圧とを比較して、第1判定結果~第n判定結果(nは2以上の整数)を出力する判定回路を含み、
前記レギュレーターは、
前記判定回路からの前記第1判定結果~前記第n判定結果に基づいて前記レギュレート電源電圧を生成することを特徴とする回路装置。
【請求項10】
振動子と、
回路装置と、
を含み、
前記回路装置は、
前記振動子を発振させて発振信号を生成する発振回路と、
前記発振信号が入力され、前記発振信号の波形整形を行う波形整形回路と、
前記波形整形回路にレギュレート電源電圧を供給するレギュレーターと、
前記発振信号の振幅を検出して振幅検出信号を出力する振幅検出回路と、
前記振幅検出信号に基づいて、前記発振信号の前記振幅よりも前記レギュレート電源電圧が小さくなるように前記レギュレーターの制御を行う電源制御回路と、
を含むことを特徴とする発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置、発振器等に関する。
【背景技術】
【0002】
発振回路を有する回路装置においては、発振回路で生成された正弦波の発振信号を矩形波の信号に成形する波形整形回路が設けられる。例えば特許文献1には、その従来技術として、発振段と緩衝段を備え、緩衝段のインバーターの矩形波の出力レベルを小さく制限するような回路構成にした水晶発振器が開示されている。また特許文献1には、その従来技術として、発振段に供給する電源電圧Vd1と緩衝段のインバーターに供給する電源電圧Vd2の大小関係をVd2<Vd1とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-046338公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、発振段や緩衝段の電源電圧を制御することは開示されていない。また特許文献1に従来技術として記載された構成においては、具体的にどのように電源電圧の大きさを定めるのかは不明だった。実際の発振器では、例えば振動子の種類、振動子や回路素子の製造ばらつき、環境変動などによって発振振幅が変動することが想定される。このように発振振幅が一律でない場合であっても発振段の電源電圧が後段の緩衝段のインバーターの電源電圧より大きくなるように確実に制御する手段は、特許文献1において明らかでなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、発振信号を生成する発振回路と、前記発振信号が入力され、前記発振信号の波形整形を行う波形整形回路と、前記波形整形回路にレギュレート電源電圧を供給するレギュレーターと、前記発振信号の振幅を検出して振幅検出信号を出力する振幅検出回路と、前記振幅検出信号に基づいて、前記発振信号の前記振幅よりも前記レギュレート電源電圧が小さくなるように前記レギュレーターの制御を行う電源制御回路と、を含む回路装置に関係する。
【0006】
本開示の他の態様は、振動子と回路装置と、を含み、前記回路装置は、前記振動子を発振させて発振信号を生成する発振回路と、前記発振信号が入力され、前記発振信号の波形整形を行う波形整形回路と、前記波形整形回路にレギュレート電源電圧を供給するレギュレーターと、前記発振信号の振幅を検出して振幅検出信号を出力する振幅検出回路と、前記振幅検出信号に基づいて、前記発振信号の前記振幅よりも前記レギュレート電源電圧が小さくなるように前記レギュレーターの制御を行う電源制御回路と、を含む発振器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の回路装置の構成例。
図2】本実施形態の回路装置及び発振器の詳細な構成例。
図3】発振回路、波形整形回路の構成例。
図4】発振回路の他の構成例。
図5】本実施形態の手法の説明図。
図6】本実施形態の手法の説明図。
図7】波形整形回路における問題点の説明図。
図8】本実施形態の手法の説明図。
図9】波形整形回路での貫通電流についての説明図。
図10】位相ノイズの劣化についての説明図。
図11】本実施形態での位相ノイズの説明図。
図12】振幅検出回路、電源制御回路の構成例。
図13】振幅検出回路、電源制御回路の動作説明図。
図14】振幅検出回路、電源制御回路の動作説明図。
図15】振幅検出回路、電源制御回路の他の構成例。
図16】振幅検出回路、電源制御回路の他の構成例。
図17】振幅検出回路、電源制御回路の他の構成例。
図18】電源制御回路の詳細な構成例。
図19】本実施形態の動作を説明するフローチャート。
図20】電源制御回路の他の構成例。
図21】電源制御回路の他の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.回路装置、発振器
図1に本実施形態の回路装置20の構成例を示す。本実施形態の回路装置20は、発振回路30と波形整形回路38と振幅検出回路40と電源制御回路50とレギュレーター92を含む。
【0010】
発振回路30は発振信号OSCを生成する。例えば発振回路30は振動子等を発振させることで発振信号OSCを生成する。或いは発振回路30はLC共振回路等により発振信号OSCを生成するものであってもよい。発振信号OSCは例えば正弦波の信号である。発振回路30は振動子等の駆動により発振信号OSCを生成するための駆動回路等を含む。
【0011】
波形整形回路38は、発振回路30からの発振信号OSCが入力され、発振信号OSCの波形整形を行う。そして波形整形回路38は、例えば正弦波の発振信号OSCを波形整形して、矩形波のクロック信号CKを出力する。波形整形回路38は発振信号OSCの波形整形を行うための1又は複数のバッファー回路を含む。
【0012】
レギュレーター92は、波形整形回路38にレギュレート電源電圧VRGBを供給する。例えばレギュレーター92は、入力された電源電圧を降圧するレギュレート動作を行って、レギュレート電源電圧VRGBを生成し、生成したレギュレート電源電圧VRGBを波形整形回路38に供給する。波形整形回路38は、レギュレート電源電圧VRGBを電源電圧として発振信号OSCの波形整形を行う。例えば波形整形回路38は、レギュレート電源電圧VRGBにより動作するバッファー回路により発振信号OSCの波形整形を行う。
【0013】
振幅検出回路40は、発振信号OSCの振幅を検出して、振幅検出信号を出力する。振幅検出信号は、発振信号OSCの振幅の大きさを示す信号であり、振幅の大きさに応じて変化する信号である。例えば振幅検出信号は、発振信号OSCの振幅に対応する電圧であり、振幅が大きくなるほど大きくなる電圧である。例えば振幅検出回路40は、発振信号OSCの振幅に対応する振幅検出信号として、発振信号OSCのピーク電圧を検出して出力する。或いは振幅検出回路40は、振幅に対応する電圧である振幅検出信号として、正弦波の発振信号OSCの積分により得られるDC電圧などを出力してもよい。
【0014】
電源制御回路50は、レギュレーター92の制御を行う回路である。電源制御回路50はアナログ回路により構成したり、アナログ回路及びデジタル回路により構成できる。例えば電源制御回路50は、振幅検出回路40からの振幅検出信号に基づいて、レギュレート電源電圧VRGBが発振信号OSCの振幅よりも小さくなるようにレギュレーター92の制御を行う。そしてレギュレーター92は、発振信号OSCの振幅よりも小さいレギュレート電源電圧VRGBを波形整形回路38に供給し、波形整形回路38は、供給されたレギュレート電源電圧VRGBに基づき動作して、発振信号OSCの波形整形を行う。発振信号OSCの振幅は、例えば発振信号OSCのピーク電圧などにより規定できる。例えば発振信号OSCの振幅は、発振信号OSCの高電位側のピーク電圧と低電位側のピーク電圧などにより規定できる。またレギュレート電源電圧VRGBは、波形整形回路38の例えば高電位側電源電圧であり、具体的には高電位側電源電圧と低電位側電源電圧の電位差に対応する電圧である。低電位側電源電圧は例えばGND電圧であり、VSSの電圧である。
【0015】
以上のように本実施形態では、発振回路30により生成された発振信号OSCの振幅が検出され、振幅検出結果である振幅検出信号に基づいて、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さくなるようにレギュレーター92が制御される。そして、このようにして制御されたレギュレーター92からのレギュレート電源電圧VRGBが波形整形回路38に供給されて、発振信号OSCの波形整形が行われる。このように本実施形態によれば、発振信号OSCの振幅が検出され、発振信号OSCの振幅よりも小さくなるレギュレート電源電圧VRGBを、確実に波形整形回路38に供給できる。これにより、波形整形回路38においてレギュレート電源電圧VRGBよりも小さい振幅の発振信号OSCを波形整形するような状況が発生しなくなるため、波形整形の際の貫通電流の発生等を抑制でき、波形整形回路38の低消費電力化を図れる。また波形整形後のクロック信号CKの位相ノイズの低減等も可能になる。また本実施形態では、発振信号OSCの振幅の検出結果に基づいてレギュレート電源電圧VRGBが制御される。従って、振動子10の種類(発振周波数)の変更や、振動子10や回路素子の製造ばらつき、特性の経時変化や、或いは環境変動等により発振信号OSCの振幅が変動しても、変動する振幅に応じてレギュレート電源電圧VRGBも変化するようになる。例えば発振信号OSCの振幅が大きくなれば、レギュレート電源電圧VRGBも大きくなり、発振信号OSCの振幅が小さくなれば、レギュレート電源電圧VRGBも小さくなるため、振幅に応じたレギュレート電源電圧VRGBの適正な制御を実現できるようになる。
【0016】
図2に本実施形態の回路装置20及び回路装置20を含む発振器4の詳細な構成例を示す。発振器4は振動子10と回路装置20を含む。振動子10は回路装置20に電気的に接続されている。例えば振動子10及び回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディングワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と回路装置20は電気的に接続されている。なお回路装置20、発振器4は図2の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
【0017】
振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。振動子10は、例えば水晶振動片などの振動片により実現できる。例えば振動子10は、カット角がATカットやSCカットなどの厚みすべり振動する水晶振動片、音叉型水晶振動片、又は双音叉型水晶振動片などにより実現できる。例えば振動子10は、SPXO(Simple Packaged Crystal Oscillator)の発振器に内蔵される振動子であってもよいし、恒温槽を備えない温度補償型水晶発振器(TCXO)に内蔵されている振動子や、恒温槽を備える恒温槽型水晶発振器(OCXO)に内蔵されている振動子であってもよい。なお本実施形態の振動子10は、例えば厚みすべり振動型、音叉型又は双音叉型以外の振動片や、水晶以外の材料で形成された圧電振動片などの種々の振動片により実現することも可能である。例えば振動子10として、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子や、シリコン基板を用いて形成されたシリコン製振動子としてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用することも可能である。
【0018】
回路装置20は、IC(Integrated Circuit)と呼ばれる集積回路装置である。例えば回路装置20は、半導体プロセスにより製造されるICであり、半導体基板上に回路素子が形成された半導体チップである。そして回路装置20は、パッドPVDD、PGND、PX1、PX2、PCKを含む。なおクロック信号の出力イネーブル制御用のパッドなどを設けてもよい。パッドは、半導体チップである回路装置20の端子である。例えばパッド領域では、絶縁層であるパシベーション膜から金属層が露出しており、この露出した金属層により回路装置20の端子であるパッドが構成される。パッドPVDD、PGNDは、各々、電源パッド、グランドパッドである。外部の電源供給デバイスからの電源電圧VDDがパッドPVDDに供給される。パッドPGNDは、グランド電圧であるGNDが供給されるパッドである。GNDはVSSと呼ぶこともでき、グランド電圧は例えば接地電位である。本実施形態ではグランドを、適宜、GNDと記載する。例えばVDDは高電位側電源に対応し、GNDは低電位側電源に対応する。パッドPX1、PX2は、振動子10の接続用のパッドである。パッドPCKは、出力クロック信号CKQの出力用のパッドである。パッドPVDD、PGND、PCKは、各々、発振器4の外部接続用の外部端子である端子TVDD、TGND、TCKに電気的に接続される。例えばこれらの各パッドと各端子は、パッケージの内部配線、ボンディングワイヤー又は金属バンプ等を用いて電気的に接続される。
【0019】
発振回路30は振動子10を発振させる回路である。例えば発振回路30は、振動子10を発振させることで発振信号OSCを生成する。発振回路30は、例えば振動子10の一端及び他端に電気的に接続される発振用の駆動回路と、キャパシターや抵抗などの受動素子により実現できる。駆動回路は、例えばバイポーラートランジスターやCMOSのインバーター回路により実現できる。駆動回路は、発振回路30のコア回路であり、駆動回路が、振動子10を電圧駆動又は電流駆動することで、振動子10を発振させる。発振回路30としては、例えばインバーター型、ピアース型、コルピッツ型、又はハートレー型などの種々のタイプの発振回路を用いることができる。そして発振回路30は、パッドPX1、PX2を介して振動子10に電気的に接続される。パッドPX1、PX2は、振動子接続用のパッドである。発振回路30の発振用の駆動回路34は、パッドPX1とパッドPX2の間に設けられる。また発振回路30は不図示の可変容量回路を含むことができる。可変容量回路は、例えば振動子10の一端及び他端の少なくとも一方での容量を変化させる回路であり、可変容量回路の容量の調整により、発振回路30の発振周波数を調整できるようになっている。即ち可変容量回路がパッドPX1、PX2の少なくとも一方に電気的に接続されることで、発振回路30の負荷容量を可変に調整できるようになる。可変容量回路は、例えばバラクター等の可変容量素子により実現できる。例えば可変容量回路は少なくとも1つの可変容量素子により構成される。なお本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続は、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は受動素子等を介した接続であってもよい。
【0020】
制御回路60はロジック回路であり、種々の制御処理を行う。例えば制御回路60は、回路装置20の全体の制御を行ったり、回路装置20の動作シーケンスの制御を行う。また制御回路60は、発振回路30、波形整形回路38、振幅検出回路40、電源制御回路50、温度補償回路70、電源回路90、又はメモリー68等の制御を行ってもよい。制御回路60は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線によるASIC(Application Specific Integrated Circuit)の回路により実現できる。
【0021】
メモリー68は回路装置20で用いられる各種の情報を記憶する。メモリー68は、例えば不揮発メモリーなどである。不揮発性メモリーはFAMOS(Floating gate Avalanche injection MOS)メモリー又はMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)メモリー等のEEPROMであるが、これに限らず、OTP(One Time Programmable)メモリー又はヒューズ型ROM等であってもよい。或いはメモリー68はRAM等の揮発性のメモリーにより実現してもよい。
【0022】
温度補償回路70は、発振回路30の発振周波数の温度補償を行う。温度補償は、温度変動による発振周波数の変動を抑制して補償する処理である。具体的には温度補償回路70は、温度センサー72からの温度検出信号に基づいて温度補償を行う。例えば温度補償回路70は、温度センサー72からの温度検出電圧に基づいて温度補償電圧を生成し、生成された温度補償電圧を、発振回路30が有する可変容量回路に対して出力することで、温度補償を行う。この場合には発振回路30の可変容量回路は、バラクター等の可変容量素子により実現される。例えば振動子10の周波数温度特性を補償する温度補償電圧が多項式により近似される場合に、温度補償回路70は、当該多項式の係数情報に基づいてアナログ方式の温度補償を行う。或いは温度補償回路70がデジタル方式の温度補償を行うようにしてもよい。この場合には、可変容量回路は、例えばキャパシターアレイと、キャパシターアレイに接続されるスイッチアレイとにより実現でき、温度補償回路70は、例えばロジック回路により実現できる。
【0023】
温度センサー72は温度を検出するセンサーである。具体的には温度センサー72は、環境の温度に応じて変化する温度依存電圧を、温度検出電圧として出力する。具体的には温度センサー72は、例えばPN接合の順方向電圧が有する温度依存性を用いることで、温度に依存して電圧が変化する温度検出電圧を出力する。なお温度センサー72としてデジタル方式の温度センサー回路を用いる変形実施も可能である。この場合には温度検出データをD/A変換して温度検出電圧を生成すればよい。
【0024】
出力回路80は、発振信号OSCに基づき生成されたクロック信号CKをバッファリングして出力する回路である。例えば出力回路80は、クロック信号CKをバッファリングして、出力クロック信号CKQとしてパッドPCKに出力する。例えば出力回路80は、シングルエンドのCMOSの信号形式で出力クロック信号CKQを出力する。或いは出力回路80は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)、PECL(Positive Emitter Coupled Logic)、HCSL(High Speed Current Steering Logic)、又は差動のCMOS(Complementary MOS)等の信号形式で、差動のクロック信号を出力する。
【0025】
なお発振回路30や波形整形回路38と出力回路80との間に、クロック信号CKの周波数を逓倍するPLL回路を設けてもよい。このようにすれば出力回路80は、発振周波数を逓倍した周波数の出力クロック信号CKQを出力できるようになる。
【0026】
電源回路90は、パッドPVDDからの電源電圧VDDやパッドPGNDからグランド電圧GNDが供給されて、回路装置20の内部回路用の種々の電源電圧を内部回路に供給する。例えば電源回路90は、電源電圧VDDをレギュレートしたレギュレート電源電圧VRGA、VRGBを生成する。例えば電源回路90のレギュレーター91がレギュレート電源電圧VRGAを生成し、レギュレーター92がレギュレート電源電圧VRGBを生成する。そしてレギュレート電源電圧VRGAは発振回路30に供給され、発振回路30は、レギュレート電源電圧VRGAに基づいて振動子10を駆動して発振信号OSCを生成する発振動作を行う。また波形整形回路38は、レギュレート電源電圧VRGBに基づいて発振信号OSCを波形整形して、波形整形後のクロック信号CKを出力する。なお電源回路90は、制御回路60、メモリー68、温度補償回路70又は温度センサー72等に供給するレギュレート電源電圧も生成することができる。
【0027】
そして図2において振幅検出回路40は、発振回路30からの発振信号OSCの振幅検出を行い、電源制御回路50が、振幅検出の結果に基づいて電源回路90を制御する。これにより電源回路90のレギュレーター92が、発振信号OSCの振幅よりも小さくなるレギュレート電源電圧VRGBを波形整形回路38に供給し、波形整形回路38がこのレギュレート電源電圧VRGBに基づき動作して、発振信号OSCの波形整形を行って、波形整形されたクロック信号CKを出力する。
【0028】
図3に発振回路30、波形整形回路38の構成例を示す。発振回路30は、電流源32と駆動回路34を含む。また発振回路30は容量回路CA1、CA2を含むことができる。
【0029】
電流源32と駆動回路34は、高電位側電源ノードであるVRGAの電源ノードと、低電位側電源ノードであるGNDノードとの間に直列に設けられる。容量回路CA1は、振動子10の一端が接続されるパッドPX1側のノードNA1とGNDノードの間に設けられる。容量回路CA2は、振動子10の他端が接続されるパッドPX2側のノードNA2とGNDノードの間に設けられる。容量回路CA1、CA2は、例えば可変容量回路である。そして容量回路CA1、CA2の容量が調整されることで、発振周波数が調整され、発振周波数の温度補償処理などが実現される。
【0030】
駆動回路34はバイポーラートランジスターBPを含む。バイポーラートランジスターBPのコレクターは、電流源32の電流Iの供給ノードであるノードNA3に接続され、エミッターはGNDノードに接続される。そしてコレクターとベースの間には抵抗RA1が設けられている。またバイポーラートランジスターBPのベースとノードNA1の間にはキャパシターCA3が設けられている。
【0031】
電流源32は例えばカレントミラー回路により実現できる。カレントミラー回路は、不図示の基準電流生成回路からの基準電流をカレントミラーした電流Iを駆動回路34に供給する。そして駆動回路34は、電流源32からの電流Iに基づいて振動子10を駆動する。
【0032】
波形整形回路38は、高電位側電源ノードであるVRGBの電源ノードとGNDノードとの間に直列に設けられるP型のトランジスターTC1とN型のトランジスターTC2を含む。そしてトランジスターTC1、TC2のゲートノードであるノードNC1と、トランジスターTC1、TC2のドレインノードであるノードNC2とが、抵抗RC1を介して接続されている。また波形整形回路38は、発振信号OSCの入力ノードとノードNC1の間に設けられるキャパシターCC1を含む。このキャパシターCC1を設けることで、DC成分がカットされた発振信号OSCがノードNC1に入力されるようになる。このように入力のノードNC1と出力のノードNC2を抵抗RC1を介して接続すると共に、DCカット用のキャパシターCC1を設けることで、自己バイアスによる発振信号OSCの波形整形が可能になる。即ち、ノードNC2の電圧を抵抗RC1を介してノードNC1に帰還することにより、DC成分がカットされた発振信号OSCのバイアス電圧が設定され、このバイアス電圧に対応する電圧を閾値電圧として、正弦波の発振信号OSCが矩形波のクロック信号CKに波形整形される。なお図3では波形整形回路38がトランジスターTC1、TC2による1段のバッファー回路により構成される場合を示しているが、波形整形回路38は複数段のバッファー回路により構成できる。また図3では自己バイアスによりノードNC1での発振信号OSCのバイアス電圧を設定しているが、バイアス電圧設定回路を別個に設けて、このバイアス電圧設定回路により発振信号OSCの振幅中心電圧に対応するバイアス電圧を設定してもよい。
【0033】
図4に発振回路30の他の構成例を示す。図4では発振回路30の駆動回路34がCMOSのバッファー回路36により構成されている。このバッファー回路36は例えばVRGAの電源ノードとGNDノードの間に直列接続されたP型のトランジスター、N型のトランジスターなどにより構成される。そしてバッファー回路36の入力のノードNA1と出力のノードNA2の間に、帰還用の抵抗RA2が設けられている。このような構成のバッファー回路36により振動子10を駆動することで振動子10を発振させて発振信号OSCを生成できるようになる。
【0034】
2.振幅検出に基づくレギュレート電源電圧の設定
本実施形態では、発振信号OSCの振幅を検出して波形整形回路38のレギュレート電源電圧VRGBを自動的に制御する手法を採用している。即ち振幅検出回路40により発振信号OSCの振幅を検出する。そして振幅の検出結果に基づいて、図5に示すように、波形整形回路38に供給されるレギュレート電源電圧VRGBが、発振信号OSCの振幅よりも小さくなるように制御する。例えば電源制御回路50が、振幅検出回路40からの振幅検出信号に基づいて、レギュレート電源電圧VRGBが発振信号OSCの振幅よりも小さくなるようにレギュレーター92を制御する。図5において、発振信号OSCの振幅は、例えば発振信号OSCのピーク電圧により規定され、例えば高電位側のピーク電圧と低電位側のピーク電圧により規定される。そして波形整形回路38の高電位側電源電圧と低電位側電源電圧の電位差に対応するレギュレート電源電圧VRGBは、発振信号OSCの振幅よりも小さくなっている。具体的にはレギュレーター92には、レギュレート電源電圧VRGBの電圧レベルを設定するための抵抗分割回路が設けられている。そして電源制御回路50が、この抵抗分割回路における抵抗比を制御することで、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBを小さくする制御が実現される。なお図5の発振信号OSCは、図3の波形整形回路38のノードNC1での発振信号OSCであり、キャパシターCC1によりDC成分がカットされて、発振信号OSCの振幅中心電圧がバイアス電圧に設定された正弦波の信号である。図3の例では、ノードNC2の信号を抵抗RC1によりノードNC1に帰還することによる自己バイアスのバイアス電圧が設定される。そして図5に示すノードNC1での発振信号OSCは、このバイアス電圧を振幅中心電圧とする正弦波の信号である。そして図5に示すように発振信号OSCの高電位側のピーク電圧よりも、波形整形回路38の高電位側電源電圧であるレギュレート電源電圧VRGBは低くなっている。発振信号OSCの低電位側のピーク電圧は、波形整形回路38の低電位側電源電圧よりも低くなる。
【0035】
例えば発振信号OSCの振幅は、振動子10の種類に応じて変化する。例えば1つ種類の回路装置20を、発振周波数等が異なる複数の種類の振動子10に共用する場合、回路装置20と共にパッケージされる振動子10の種類に応じて発振信号OSCの振幅も変化する。また振動子10のCI値は製造ばらつきなどにより変動する。CI値は発振時の振動子10を等価回路で表現したときの直列抵抗成分に対応するものであり、直列共振周波数における等価抵抗値である。そしてCI値が高くなると振動子10の発振信号OSCの振幅は小さくなる。即ち発振信号OSCの振幅は振動子10などの製造ばらつきにより変動する。また発振回路30には前述の可変容量回路等によるの負荷容量があり、この負荷容量が変動すると、発振信号OSCの振幅も変動する。また環境温度や経時変化によっても、発振信号OSCの振幅は変動する。例えば前述の特許文献1では、このような発振信号OSCの振幅の変動については全く考慮せずに、緩衝段のインバーターの電源電圧を設定している。これに対して本実施形態では、振幅検出回路40が発振信号OSCの振幅を検出し、その振幅検出結果に基づいて波形整形回路38のレギュレート電源電圧VRGBを制御している。
【0036】
例えば図6のA1では、発振信号OSCの振幅が小さくなっており、この場合にはB1に示すように、この小さい振幅に応じた電圧にレギュレート電源電圧VRGBを設定する。図6のA2では、発振信号OSCの振幅が大きくなっており、この場合にはB2に示すように、この大きい振幅に応じた電圧にレギュレート電源電圧VRGBを設定する。そしてB1、B2のいずれの場合も、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さくなるようにレギュレーター92が制御される。
【0037】
図7は、発振信号OSCの振幅よりも、波形整形回路38に供給されるレギュレート電源電圧VRGBが大きい場合におけるクロック信号CKの波形例である。このように振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが大きいと、図3の波形整形回路38のP型のトランジスターTC1、N型のトランジスターTC2の両方がオンになって貫通電流が発生する期間が長くなり、貫通電流が増加する。そして貫通電流が増加すると、波形整形回路38の消費電流が大きくなってしまい、回路装置20の低消費電力化の妨げになる。また発振信号OSCの電圧レベルによりクロック信号CKの信号レベルが遷移するときに、P型のトランジスターTC1、N型のトランジスターTC2の両方がオン状態になる期間が存在することで、図7のF1、F2に示すような波形の歪みも発生してしまう。
【0038】
図8は、本実施形態の手法を適用した場合の例であり、発振信号OSCの振幅よりも、波形整形回路38に供給されるレギュレート電源電圧VRGBが小さい場合におけるクロック信号CKの波形例である。このように発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBを小さくすることで、波形整形回路38のP型のトランジスターTC1、N型のトランジスターTC2の両方がオンになる期間を極めて短くすることでき、貫通電流を最小限に抑えることができる。これにより、波形整形回路38の消費電流を小さくすることができ、回路装置20の低消費電力化を図れる。またトランジスターTC1、TC2の両方がオンになる期間が極めて短いため、図7のF1、F2に示すような波形歪みの発生も抑制できる。
【0039】
図9は波形整形回路38での貫通電流についての説明図である。図9のC1、C2は、発振信号OSCの振幅とレギュレート電源電圧VRGBが等しい場合の貫通電流を示すものであり、C3、C4は、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが大きい場合の貫通電流を示すものである。この場合にはC2、C4に示すように、トランジスターTC1、TC2の両方がオンになることによる貫通電流が非常に大きくなる。
【0040】
一方、図9のC5、C6は、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さい場合の貫通電流を示すものである。この場合にはC6に示すように、C2、C4に比べて貫通電流が非常に小さくなる。従って、C2、C4の場合に比べて波形整形回路38の低消費電力化を図れるようになる。
【0041】
またレギュレーター92は、電源電圧VDDをレギュレートすることでレギュレート電源電圧VRGBを生成している。このようなレギュレーター92を設けることで、電源電圧VDDのリプル等の電源ノイズを除去したレギュレート電源電圧VRGBを生成して、波形整形回路38に供給できるようになる。しかしながら、図9のC2、C4に示すように信号遷移時の貫通電流が大きくなると、レギュレーター92の電流供給能力を超えてしまい、レギュレーター92により電源ノイズを除去しきれなくなり、電源電圧変動除去比であるPSRR(Power Supply Rejection Ratio)が悪化する。
【0042】
この点、本実施形態では、C5に示すように発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBを小さくすることで、C6に示すように信号遷移時における貫通電流を減少させている。従って、貫通電流がレギュレーター92の電流供給能力を超えてしまい電源ノイズを除去しきれなくなる事態の発生を防止でき、PSRRの悪化を抑制できるようになる。
【0043】
図10は、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが大きい場合におけるクロック信号CKの位相ノイズの劣化を説明する図である。振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが大きくなると、図10のD1に示すように波形整形回路38の波形整形の際の閾値変動が大きくなる。そしてこの閾値変動が原因で、D2に示すように波形整形の際のクロック信号CKの遷移タイミングの時間的な変動も大きくなる。これにより、D3に示すように波形整形後のクロック信号CKの位相揺らぎが大きくなり、クロック信号CKの位相ノイズが大きくなってしまう。
【0044】
図11は、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBを小さくする本実施形態の手法での位相ノイズを説明する図である。振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さくなると、図11のE1示すように、図10のD1に比べて波形整形の際の閾値変動を小さくできる。従って、図11のE2に示すように、図10のD2に比べて、波形整形の際のクロック信号CKの遷移タイミングの時間的な変動も小さくなる。これにより、図11のE3に示すように、図10のD3に比べて、波形整形後のクロック信号CKの位相揺らぎも小さくなり、クロック信号CKの位相ノイズを低減できるようになる。
【0045】
3.振幅検出回路、電源制御回路
図12に振幅検出回路40、電源制御回路50の構成例を示す。なお以下では振幅検出回路40、電源制御回路50の種々の構成例を説明するが、本実施形態ではこれには限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。
【0046】
振幅検出回路40は、トランジスターTB1、TB3、抵抗RB1、RB2、電圧源VS、キャパシターCB1、CB2を含む。トランジスターTB1、TB3、抵抗RB2は、電源ノードとGNDノードの間に直列に設けられる。抵抗RB2とキャパシターCB2は、トランジスターTB1のドレインのノードNB1とGNDノードの間に並列に設けられる。トランジスターTB1はN型のトランジスターであり、N型のトランジスターTB1のオープンドレイン接続の構成になっている。なお振幅検出回路40の動作時にP型のトランジスターTB3はオンになっている。
【0047】
キャパシターCB1は、発振信号OSCの入力ノードと、トランジスターTB1のゲートのノードNB2の間に設けられる。また抵抗RB1、電圧源VSはノードNB2とGNDノードの間に直列に設けられる。キャパシターCB1はDCカット用のキャパシターであり、このキャパシターCB1により、発振信号OSCのDC成分がカットされAC成分がノードNB2に伝達されるようになる。電圧源VSは、DC成分がカットされた発振信号OSCの振幅中心電圧に対応するバイアス電圧を設定する。ノードNB1には電圧をホールドするためのキャパシターCB2が設けられており、キャパシターCB2と抵抗RB2によるCRの時定数による放電電流の能力は、トランジスターTB1の電流供給能力よりも十分に小さくなっている。これによりトランジスターTB1のドレインのノードNB1に、発振信号OSCのピーク電圧がホールドされるようになり、発振信号OSCの包絡線が検波されて、ピーク電圧に対応する出力電圧VDQが、振幅検出信号として振幅検出回路40から出力されるようになる。
【0048】
電源制御回路50は、電圧生成回路51と比較回路52を含む。また後述の図18に示すように電源制御回路50はロジック回路53を含むことができる。電圧生成回路51は、可変の閾値電圧VTを生成する。比較回路52は、振幅検出回路40の振幅検出信号である出力電圧VDQと、閾値電圧VTとを比較し、比較結果の検出信号SDTを出力する。出力電圧VDQは発振信号OSCの振幅に対応する電圧であり、例えば発振信号OSCのピーク電圧等である。そして後述の図18を例にとれば、ロジック回路53は、比較回路52の比較結果である検出信号SDTに基づいて、レギュレーター92のレギュレート電源電圧VRGBを設定する。即ちロジック回路53は、波形整形回路38での発振信号OSCの振幅よりも小さくなる電圧にレギュレート電源電圧VRGBを設定する。
【0049】
電圧生成回路51は、トランジスターTB2、TB4、抵抗RB3、電圧源VST、キャパシターCB3を含む。比較回路52は、コンパレーターCPBを含む。トランジスターTB2、TB4、抵抗RB3は、電源ノードとGNDノードの間に直列に設けられる。抵抗RB3とキャパシターCB3は、トランジスターTB2のドレインのノードNB3とGNDノードの間に並列に設けられる。トランジスターTB2はN型のトランジスターであり、N型のトランジスターTB2のオープンドレイン接続の構成になっている。なお電源制御回路50の動作時にP型のトランジスターTB4はオンになっている。また電圧源VSTは、トランジスターTB2のゲートのノードNB4とGNDノードの間に設けられる。このように電圧生成回路51は、振幅検出回路40と同等のレプリカ構成になっており、回路の対称性が維持される構成となっている。そして電圧源VSTによりノードNB4にバイアス電圧VBSTが設定されるようになる。ここで電圧源VSTは、可変のバイアス電圧VBSTを生成し、これによりバイアス電圧VBSTに基づき生成される閾値電圧VTも可変の電圧になる。また比較回路52のコンパレーターCPBの第1入力端子である反転入力端子には、バイアス電圧VBSTに基づく閾値電圧VTが入力され、コンパレーターCPBの第2入力端子である非反転入力端子には、振幅検出回路40の出力電圧VDQが入力される。即ち発振信号OSCの振幅に対応する電圧がコンパレーターCPBの非反転入力に入力される。そしてコンパレーターCPBは、出力電圧VDQが閾値電圧VTを超えると、検出信号SDTをアクティブレベルにする。図18のロジック回路53が、この検出信号SDTに基づいてレギュレーター92を制御することで、発振信号OSCの振幅よりも小さくなるようにレギュレート電源電圧VRGBが制御される。
【0050】
図13図14は振幅検出回路40、電源制御回路50の動作説明図である。発振信号OSCは、図12のキャパシターCB1によりDC成分がカットされて、振幅検出回路40の電圧源VSによりバイアス電圧が設定されることで、図13図14のG1、G2に示すようにバイアス電圧VBSを振幅中心電圧とする正弦波信号になる。また電源制御回路50の電圧源VSTによるバイアス電圧VBSTは、この発振信号OSCに対してG1、G2に示すような電圧に設定されている。そしてこの発振信号OSCの包絡線が検波されることで、図13図14のG3、G4に示すような出力電圧VDQが振幅検出回路40から出力される。ここでN型のトランジスターTB1はオープンドレイ接続であるため、トランジスターTB1の閾値電圧の分だけ、G1、G2に比べてG3、G4では発振信号OSCの電圧、バイアス電圧VBSは低下したものとなる。また電圧源VSTのバイアス電圧VBSTにより設定される閾値電圧VTも、G1、G2に比べてG3、G4ではオープンドレイン接続のトランジスターTB2の閾値電圧の分だけバイアス電圧VBSTを低下させた電圧になる。
【0051】
そして図13のG3では、振幅検出回路40の出力電圧VDQは、電圧生成回路51により生成される閾値電圧VTを上回っており、VDQ>VTとなっているため、比較回路52はアクティブレベルである例えばハイレベルの検出信号SDTを出力する。一方、図14のG4では、振幅検出回路40の出力電圧VDQは閾値電圧VTを下回っており、VDQ<VTとなっているため、比較回路52は非アクティブレベルであるローレベルの検出信号SDTを出力する。
【0052】
このように図12図14では、振幅検出回路40が振幅検出信号として出力電圧VDQを出力し、電源制御回路50が、出力電圧VDQと閾値電圧VTを比較することで、発振信号OSCの振幅の大きさを判断している。具体的には電源制御回路50の電圧生成回路51が可変のバイアス電圧VBSTを生成することで、閾値電圧VTも可変に変化する。そして電源制御回路50の比較回路52が、振幅検出回路40の出力電圧VDQと可変の閾値電圧VTを比較することで、発振信号OSCの振幅の大きさを判断できるようになる。後述の図18の例では、ロジック回路53が電源制御回路50からの検出信号SDTに基づいて、この判断の処理を行うことになる。
【0053】
以上のように本実施形態では、振幅検出回路40は、発振信号OSCの包絡線を検波して、発振信号OSCの振幅を検出する。例えば振幅検出回路40は、発振信号OSCの包絡線を抽出する検波を行う。例えば振幅検出回路40が正弦波の発振信号OSCのピーク電圧を検出してホールドすることなどにより、包絡線検波が実現される。これにより図13図14のG3、G4に示すような出力電圧VDQが振幅検出信号として振幅検出回路40から出力されるようになる。そして電源制御回路50は、振幅検出信号である振幅検出回路40の出力電圧VDQに基づいて、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧RGBが小さくなるようにレギュレーター92の制御を行う。このようにすれば、振幅検出回路40が発振信号OSCの包絡線の検波を行うことで、発振信号OSCのピーク電圧等が、発振信号OSCの振幅の電圧として振幅検出回路40から出力されるようになる。そして電源制御回路50は、振幅検出回路40の出力電圧VDQを、発振信号OSCの振幅検出信号として、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧RGBが小さくなるように制御を行うことが可能になる。
【0054】
また本実施形態では、振幅検出回路40は、キャパシターCB1によりDC成分がカットされた発振信号OSCに対してバイアス電圧VBSを設定し、バイアス電圧VBSが設定された発振信号の包絡線を検波することで生成された出力電圧VDQを出力する。そして電源制御回路50は、振幅検出回路40の出力電圧VDQと、バイアス電圧VBSよりも高い電圧である閾値電圧VTとを比較する。例えば図13のG3では、電源制御回路50の比較回路52は、出力電圧VDQと、バイアス電圧VBSよりも高い電圧である閾値電圧VTとを比較し、出力電圧VDQの方が閾値電圧VTよりも高いため、検出信号SDTをアクティブレベルにする。また図14のG4では、比較回路52は、出力電圧VDQと、バイアス電圧VBSよりも高い電圧である閾値電圧VTとを比較し、出力電圧VDQの方が閾値電圧VTよりも低いため、検出信号SDTを非アクティブレベルにする。このようにすれば、バイアス電圧VBSが中心振幅電圧に設定された発振信号OSCの包絡線を検波できる。そして包絡線検波により生成された出力電圧VDQを、バイアス電圧よりも高い電圧に設定された閾値電圧VTと比較することで、発振信号OSCの振幅に対応するピーク電圧が、閾値電圧VTより高いか低いかを判断できるようになる。これにより振幅検出回路40による包絡線検波と、バイアス電圧VBS及び閾値電圧VTの設定により、発振信号OSCの振幅の大きさを判断できるようになる。
【0055】
なお振幅検出回路40、電源制御回路50の構成としては種々の変形実施が可能である。図15図18に振幅検出回路40、電源制御回路50の他の構成例を示す。図15では図12の抵抗RB2、RB3の代わりにトランジスターTB5、TB6が電流源として設けられている。即ちN型のトランジスターTB5、TB6は、そのゲートが制御されることで定電流を流す電流源として動作する。そしてトランジスターTB5、TB6による電流源の電流を流す能力は、トランジスターTB1、TB2の電流供給能力よりも十分に小さくなっている。これにより、例えばトランジスターTB1のドレインのノードNB1では、発振信号OSCのピーク電圧がホールドされるようになり、発振信号OSCの包絡線を検波できるようになる。
【0056】
図16では、図12の電圧源VS、VSTの代わりに、抵抗RB1、RB4、RB5、RB6、RB7による抵抗分割回路が設けられている。抵抗RB4、RB5、RB6、RB7は電源ノードとGNDノードの間に直列に設けられている。そして抵抗RB6と抵抗RB7の接続ノードであるノードNB5と、トランジスターTB1のゲートノードであるノードNB2の間に抵抗RB1が設けられている。このようにすれば、ノードNB4の電圧とノードNB5の電圧を、抵抗分割回路による抵抗分割比により設定できるようになる。そしてノードNB5の電圧を図12のバイアス電圧VBSに設定し、ノードNB4の電圧をバイアス電圧VBSTに設定することが可能になる。この場合に抵抗分割回路は抵抗比を可変に設定できる構成になっており、これにより、振幅検出回路40の出力電圧VDQと比較される閾値電圧VTを可変に設定できるようになる。図17では、図16の構成における抵抗RB2、RB3を、図15と同様に電流源となるトランジスターTB5、TB6に置き換えたものであり、その他は図16と同様の構成になっている。
【0057】
図18は電源制御回路50の詳細な構成例を示す図である。図18において電源制御回路50は、可変の閾値電圧VTを生成する電圧生成回路51と、振幅検出回路40の振幅検出信号である出力電圧VDQと閾値電圧VTとを比較する比較回路52と、ロジック回路53を含む。そしてロジック回路53は、比較回路52の比較結果に基づいて、レギュレーター92のレギュレート電源電圧VRGBを設定する。例えばロジック回路53は、比較回路52の比較結果である検出信号SDTに基づいて、レギュレート電源電圧VRGBを設定する制御を行う。例えば図13のG3に示すように、振幅検出回路40の出力電圧VDQが閾値電圧VTよりも大きく、比較回路52の検出信号SDTがアクティブレベルになったとする。この場合には、ロジック回路53は、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さいと判断する。また図14のG4に示すように、振幅検出回路40の出力電圧VDQが閾値電圧VTよりも小さく、比較回路52の検出信号SDTが非アクティブレベルになったとする。この場合には、ロジック回路53は、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが大きいと判断する。このようにすれば、可変の閾値電圧VTと、振幅検出回路40の振幅検出信号である出力電圧VDQとの比較結果に基づいて、ロジック回路53は、発振信号OSCの振幅の大きさを判断できるようになる。そしてロジック回路53は、この判断結果に基づいて、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さくなるようにレギュレーター92を制御することが可能になる。
【0058】
図19は本実施形態の動作を説明するフローチャートである。電源投入等により発振器4の発振が開始すると(ステップS1)、起動判定用の発振信号OSCの振幅検出が行われる(ステップS2)。例えば発振開始により発振信号OSCの振幅が成長して徐々に大きくなり、適正に起動したと判断できる振幅になったか否かが検出される。具体的には図12において可変のバイアス電圧VBSTの設定により、閾値電圧VTが起動判定用の閾値電圧に設定される。そして比較回路52が、振幅検出回路40の出力電圧VDQと、起動判定用の閾値電圧VTを比較することで、起動判定用の発振信号OSCの振幅検出が行われる。起動判定用の閾値電圧VTは例えば1.0V以下であり、一例としては0.5~0.6V程度である。そして比較回路52の検出信号SDTがアクティブレベルになったか否かが判断される(ステップS3)。例えば振幅検出回路40の出力電圧VDQが、起動判定用の閾値電圧VTを越えると、比較回路52の検出信号SDTがアクティブレベルになり、発振信号OSCの振幅が、適正に起動した判断できる振幅になったと判断される。そして検出信号SDTがアクティブレベルになった場合には、振幅判定用の発振信号OSCの振幅検出が行われる(ステップS4)。この振幅判定用の振幅検出は、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBを小さくする制御のための振幅検出である。
【0059】
次にこの振幅判定用の発振信号OSCの振幅検出において、比較回路52の検出信号SDTがアクティブレベルになったか否かが判断される(ステップS5)。例えば図13のG3に示すように、振幅検出回路40の出力電圧VDQが振幅判定用の閾値電圧VTを越えている場合には、比較回路52の検出信号SDTがアクティブレベルになる。例えば正論理の場合にはアクティブレベルはハイレベルであり、非アクティブレベルはローレベルである。この場合には、可変の閾値電圧VTを変更する処理が行われ(ステップS6)、例えば閾値電圧VTを大きくして、ステップS4に戻る。このように検出信号SDTが非アクティブレベルにならずにアクティブレベルのままである場合には、ステップS4、S5、S6の処理が繰り返されて、閾値電圧VTが徐々に大きくなるように閾値電圧VTの変更処理が行われる。そして検出信号SDTが非アクティブにレベルになると、レギュレート電源電圧VRGBの決定処理に移行する(ステップS7)。例えば検出信号SDTが非アクティブレベルになる前の最後に検出された閾値電圧VTに基づいて、レギュレート電源電圧VRGBが決定される。例えば図13において振幅検出回路40の出力電圧VDQを越える直前の閾値電圧VTに対応する電圧に、レギュレート電源電圧VRGBが決定される。このようにすれば、発振信号OSCの振幅よりも小さくなる最適な電圧に、レギュレート電源電圧VRGBを設定できるようになる。
【0060】
以上のように本実施形態では、電源制御回路50は、起動時に発振信号OSCの振幅に対応する電圧が起動判定用の閾値電圧VTを超えたか否かを判定し、起動判定用の閾値電圧VTを超えたとき、振幅検出信号SDTに基づくレギュレーター92の制御を行う。振幅に対応する電圧は、例えば振幅検出回路40の振幅検出信号の電圧であり、振幅検出回路40の出力電圧VDQである。この出力電圧VDQは、例えば発振信号OSCのピーク電圧であり、具体的には例えばバイアス電圧VBSが中心振幅電圧に設定された発振信号OSCのピーク電圧である。例えば図19のステップS2、S3において、起動判定用の発振信号OSCの振幅検出が行われ、発振信号OSCの振幅に対応する電圧である振幅検出回路40の出力電圧VDQが、起動判定用の閾値電圧VTを越えると、比較回路52の検出信号SDTがアクティブレベルになる。これにより図19のステップS4~S7に示すような、振幅検出信号に基づくレギュレーター92の制御が行われるようになる。このようにすれば、発振信号OSCの振幅が、発振器4が起動したと判断できる適正な振幅になった後に、発振信号OSCの振幅検出信号に基づくレギュレート電源電圧VRGBの制御を開始できるようになる。
【0061】
例えば振幅検出回路40の出力電圧VDQが起動判定用の閾値電圧VTを越えるまでは、波形整形回路38は動作ディスエーブル状態に設定されており、発振信号OSCの波形整形は行われないようになっている。また図2の出力回路80、温度補償回路70、温度センサー72等も動作ディスエーブル状態に設定される。このようにすれば、発振器4(回路装置)の起動前に、波形整形回路38等において無駄に電力が消費されてしまうのを防止できる。また発振信号OSCの振幅が適正な振幅になっていないときに波形整形回路38の波形整形が行われると、波形整形回路38において大きな貫通電流が発生したり、適正ではないクロック信号CKが出力される事態が生じる。この点、図19のステップS3で起動判定の検出信号SDTがアクティブレベルになるまでの間、波形整形回路38等を動作ディスエーブル状態に設定すれば、このような事態の発生を防止できる。そしてステップS3で起動判定の検出信号SDTがアクティブレベルになった後に、図5図6で説明したような発振信号OSCの振幅検出結果に基づくレギュレート電源電圧VRGBの制御を適正に実行することが可能になる。
【0062】
また本実施形態では電源制御回路50は、振幅検出回路40からの振幅検出信号に基づいて、振幅に対応する電圧が起動判定用の閾値電圧VTを超えたか否かを判定する。例えば電源制御回路50は、振幅検出回路40からの振幅検出信号である出力電圧VDQが、起動判定用に設定された閾値電圧VTを超えたか否かを判定する。このようにすれば、振幅検出回路40、電源制御回路50を、起動判定用の振幅検出、電源制御と、振幅判定用の振幅検出、電源制御に兼用することが可能になる。例えば本実施形態によれば、起動判定用に設けられる振幅検出回路40や電源制御回路50を、振幅検出結果に基づくレギュレーター92の制御用の振幅検出回路、電源制御回路として兼用することが可能になる。これにより、起動判定用と振幅判定用のそれぞれに対して別個に振幅検出回路40、電源制御回路50を設けなくても済むため、回路装置20の回路規模の増加を抑制することが可能になる。
【0063】
また本実施形態ではロジック回路53は、閾値電圧VTを第1電圧V1に設定し、発振信号OSCの振幅に対応する電圧が第1電圧V1を超えたとき、閾値電圧を第1電圧V1よりも高い第2電圧V2に設定する。例えば図19のステップS4、S5において、ロジック回路53が、閾値電圧VTを第1電圧V1に設定し、比較回路52が、振幅に対応する電圧である出力電圧VDQが、VT=V1を超えているか否かを判断する。そして出力電圧VDQがVT=V1を超えている場合には、比較回路52の検出信号SDTがアクティブレベルになり、ステップS6に示すようにロジック回路53は、閾値電圧VTを第1電圧V1よりも高い第2電圧V2に変更する処理を行う。このようにすれば、閾値電圧VTを低い電圧からら高い電圧に変更しながら、発振信号OSCの振幅に対応する電圧と閾値電圧VTを比較して行くことで、振幅に対応する電圧に近い閾値電圧VTを特定できるようになる。これにより発振信号OSCの振幅を特定して、当該振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さくなるようにする制御を実現することが可能になる。
【0064】
またロジック回路53は、発振信号OSCの振幅に対応する電圧が第2電圧V2を超えなかったとき、レギュレート電源電圧VRGBを第1電圧V1以下の電圧に設定する。例えば上述のように図19のステップS4、S5で、閾値電圧VTが第1電圧V1に設定され、振幅に対応する出力電圧VDQが、VT=V1を超えている場合には、ステップS6で閾値電圧VTは、第1電圧V1よりも高い第2電圧V2に設定される。そして、再度、ステップS4、S5で、出力電圧VDQが、閾値電圧であるVT=V2を超えたか否かが判断される。そして振幅に対応する出力電圧VDQが、閾値電圧であるVT=V2を超えている場合は、ステップS6に示すように、閾値電圧VTが第2電圧V2よりも高い第3電圧V3に設定される。一方、ステップS5において出力電圧VDQが、閾値電圧であるVT=V2を超えていない場合には、ステップS7に移行して、レギュレート電源電圧VRGBが第1電圧V1以下の電圧に設定される。このようにすれば、振幅に対応する出力電圧VDQが、第1電圧V1と第2電圧V2の間にあり、V1<VDQ<V2の関係が成り立つ場合に、レギュレート電源電圧VRGBが、第1電圧V1以下の電圧に設定されるようになる。これにより、振幅に対応する出力電圧VDQを超えず、且つ振幅に対応する出力電圧VDQに近い電圧に、レギュレート電源電圧VRGBを設定できるようになり、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBが小さくなるようにする適正な制御を実現できるようになる。
【0065】
なお電源制御回路50の構成は図18の構成には限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図20図21に電源制御回路50の他の構成例を示す。図20図21では、電源制御回路50は、発振信号OSCの振幅に対応する電圧と第1閾値電圧~第n閾値電圧とを比較して、第1判定結果~第n判定結果を出力する判定回路54を含む。ここでnは2以上の整数である。そしてレギュレーター92は、判定回路54からの第1判定結果~第n判定結果に基づいてレギュレート電源電圧VRGBを生成する。このようにすれば、発振信号OSCの振幅に対応する電圧と第1閾値電圧~第n閾値電圧とを比較することによる第1判定結果~第n判定結果に基づいて、レギュレーター92を制御することで、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBを小さくする制御を実現できるようになる。例えば図18に示すようなロジック回路53を用いることなく、発振信号OSCの振幅よりもレギュレート電源電圧VRGBを小さくするレギュレーター92の制御を実現することが可能になる。
【0066】
例えば図20図21では判定回路54は、n個の判定ユニットを有しており、各判定ユニットの構成は図12等で説明した電圧生成回路51、比較回路52の構成と同様になっている。例えば各判定ユニットの電圧生成回路は、各判定ユニットに設けられる電圧源のバイアス電圧VBST1~VBSTnにより、閾値電圧VT1~VTnを生成する。閾値電圧VT1~VTnは第1閾値電圧~第n閾値である。そして各判定ユニットの比較回路は、発振信号OSCの振幅に対応する振幅検出回路40の出力電圧VDQと、閾値電圧VT1~VTnを比較し、第1判定結果~第n判定結果として、判定信号DQ1~DQnを出力する。例えば出力電圧VDQが閾値電圧VT1を超えていると、判定信号DQ1がアクティブレベルになる。同様に出力電圧VDQが閾値電圧VT2を超えていると、判定信号DQ2がアクティブレベルになり、・・・・・・出力電圧VDQが閾値電圧VTnを超えていると、判定信号DQnがアクティブレベルになる。そしてこれらの判定信号DQ1~DQnに基づいてレギュレーター92の可変抵抗回路94の抵抗値が制御されることで、レギュレーター92が出力するレギュレート電源電圧VRGBが制御される。
【0067】
例えばレギュレーター92では、第1入力端子である非反転入力端子に基準電圧VRFが入力される演算増幅器OPDの出力により、トランジスターTD1のゲートが制御される。また演算増幅器OPDの第2入力端子である反転入力端子は、抵抗RDAと可変抵抗回路94の接続ノードであるノードND1に接続される。なおレギュレーター92の動作時にトランジスターTD2はオンになっている。そして抵抗RDAの抵抗値をR1、可変抵抗回路94の抵抗値をR2とした場合に、レギュレーター92は、VRGB={(R1+R2)/R2}×VRFとなるレギュレート電源電圧VRGBを出力する。従って、可変抵抗回路94の抵抗値R2が、判定信号DQ1~DQnに基づき可変に制御されることで、レギュレート電源電圧であるVRGB={(R1+R2)/R2}×VRFを制御できるようになる。例えば図20では、可変抵抗回路94は、ノードND1とGNDノードの間に並列に設けられる複数の抵抗を含む。そして各抵抗に直列に設けられる各トランジスターのオン、オフを、判定信号DQ1~DQnにより制御することで、可変抵抗回路94の抵抗値R2が制御される。一方、図21では、可変抵抗回路94は、ノードND1とGNDノードの間に直列に設けられる複数の抵抗を含む。そして各抵抗に並列に設けられる各トランジスターのオン、オフを、判定信号DQ1~DQnにより制御することで、可変抵抗回路94の抵抗値R2が制御される。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態の回路装置は、発振信号を生成する発振回路と、発振信号が入力され、発振信号の波形整形を行う波形整形回路と、波形整形回路にレギュレート電源電圧を供給するレギュレーターを含む。また回路装置は、発振信号の振幅を検出して振幅検出信号を出力する振幅検出回路と、振幅検出信号に基づいて、発振信号の振幅よりもレギュレート電源電圧が小さくなるようにレギュレーターの制御を行う電源制御回路を含む。
【0069】
本実施形態によれば、発振信号の振幅が検出され、発振信号の振幅よりも小さくなるレギュレート電源電圧を、確実に波形整形回路に供給できる。これにより、波形整形回路においてレギュレート電源電圧よりも小さい振幅の発振信号を波形整形しなくても済むようになるため、波形整形の際の貫通電流の発生等を抑制できるようになる。また波形整形後の信号のノイズの低減等も可能になる。
【0070】
また本実施形態では、振幅検出回路は、発振信号の包絡線を検波して、発振信号の振幅を検出してもよい。
【0071】
このようにすれば、振幅検出回路が発振信号の包絡線の検波を行うことで、発振信号の振幅に対応する電圧を振幅検出回路から出力できるようになる。
【0072】
また本実施形態では、電源制御回路は、可変の閾値電圧を生成する電圧生成回路と、振幅検出回路の振幅検出信号である出力電圧と、閾値電圧とを比較する比較回路と、比較回路の比較結果に基づいて、レギュレーターのレギュレート電源電圧を設定するロジック回路を含んでもよい。
【0073】
このようにすれば、可変の閾値電圧と、振幅検出回路の振幅検出信号である出力電圧との比較結果に基づいて、ロジック回路は、発振信号の振幅の大きさを判断できるようになる。
【0074】
また本実施形態では、ロジック回路は、閾値電圧を第1電圧に設定し、振幅に対応する電圧が第1電圧を超えたとき、閾値電圧を第1電圧よりも高い第2電圧に設定してもよい。
【0075】
このようにすれば、閾値電圧を低い電圧からら高い電圧に変更しながら、発振信号の振幅に対応する電圧と閾値電圧を比較して行くことで、振幅に対応する電圧に対応する閾値電圧を特定できるようになる。
【0076】
また本実施形態では、ロジック回路は、振幅に対応する電圧が第2電圧を超えなかったとき、レギュレート電源電圧を第1電圧以下の電圧に設定してもよい。
【0077】
このようにすれば、振幅に対応する電圧が、第1電圧と第2電圧の間にある場合に、レギュレート電源電圧が、第1電圧以下の電圧に設定されるようになり、発振信号の振幅よりもレギュレート電源電圧が小さくなるようにする適正な制御を実現できるようになる。
【0078】
また本実施形態では、振幅検出回路は、キャパシターによりDC成分がカットされた発振信号に対してバイアス電圧を設定し、バイアス電圧が設定された発振信号の包絡線を検波することで生成された出力電圧を出力してもよい。また電源制御回路は、振幅検出回路の出力電圧と、バイアス電圧よりも高い電圧である閾値電圧とを比較してもよい。
【0079】
このようにすれば、バイアス電圧が設定された発振信号の包絡線を検波でき、包絡線の検波により生成された出力電圧を、バイアス電圧よりも高い電圧に設定された閾値電圧と比較することで、発振信号の振幅に対応する電圧が、閾値電圧より高いか低いかを判断できるようになる。
【0080】
また本実施形態では、電源制御回路は、起動時に発振信号の振幅に対応する電圧が起動判定用の閾値電圧を超えたか否かを判定し、起動判定用の閾値電圧を超えたとき、振幅検出信号に基づくレギュレーターの制御を行ってもよい。
【0081】
このようにすれば、発振信号の振幅が、起動したと判断できる適正な振幅になった後に、発振信号の振幅検出信号に基づくレギュレート電源電圧の制御を開始できるようになる。
【0082】
また本実施形態では、電源制御回路は、振幅検出回路からの振幅検出信号に基づいて、振幅に対応する電圧が起動判定用の閾値電圧を超えたか否かを判定してもよい。
【0083】
このようにすれば、振幅検出回路、電源制御回路を、起動判定用の振幅検出、電源制御と、振幅判定用の振幅検出、電源制御に兼用することが可能になる。
【0084】
また本実施形態では、電源制御回路は、発振信号の振幅に対応する電圧と第1閾値電圧~第n閾値電圧とを比較して、第1判定結果~第n判定結果(nは2以上の整数)を出力する判定回路を含んでもよい。そしてレギュレーターは、判定回路からの第1判定結果~第n判定結果に基づいてレギュレート電源電圧を生成してもよい。
【0085】
このようにすれば、発振信号の振幅に対応する電圧と第1閾値電圧~第n閾値電圧とを比較することによる第1判定結果~第n判定結果に基づいて、レギュレーターを制御することで、発振信号の振幅よりもレギュレート電源電圧を小さくする制御を実現できるようになる。
【0086】
また本実施形態の発振器は、振動子と、上記に記載の回路装置を含む。
【0087】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、発振器の構成・動作等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0088】
4…発振器、10…振動子、20…回路装置、30…発振回路、32…電流源、34…駆動回路、36…バッファー回路、38…波形整形回路、40…振幅検出回路、50…電源制御回路、51…電圧生成回路、52…比較回路、53…ロジック回路、54…判定回路、60…制御回路、68…メモリー、70…温度補償回路、72…温度センサー、80…出力回路、90…電源回路、91、92…レギュレーター、94…可変抵抗回路、BP…バイポーラートランジスター、CK…クロック信号、CKQ…出力クロック信号、OSC…発振信号、PCK、PGND、PVDD、PX1、PX2…パッド、SDT…検出信号、TCK、TGND、TVDD…端子、VBS、VBST…バイアス電圧、VDQ…出力電圧、VRGA、VRGB…レギュレート電源電圧、VT…閾値電圧
図1
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