IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社熊谷組の特許一覧 ▶ パシフィックシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図1
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図2
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図3
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図4
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図5
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図6
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図7
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図8
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図9
  • 特開-ワイヤロープ検査装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120318
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ワイヤロープ検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20240829BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240829BHJP
【FI】
G01N21/952
G06T7/00 350B
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027030
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】592256667
【氏名又は名称】パシフィックシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】宮川 克己
(72)【発明者】
【氏名】供田 英一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】古舘 裕一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 昌士
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA44
2G051AB02
2G051BA01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CC11
2G051EB05
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA05
5L096CA14
5L096CA16
5L096DA01
5L096FA52
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA11
5L096JA01
(57)【要約】
【課題】クレーンのワイヤロープの全周囲の検査を適切に行うことができるワイヤロープ検査装置を提供する。
【解決手段】
クレーン100のシーブ104に掛け回されたワイヤロープ101を検査するワイヤロープ検査装置1は、シーブ104から所定の送り方向に送り出されるワイヤロープ101を囲うように、シーブ104に対して送り方向の側に設けられる筐体10と、筐体10の内部を通過するワイヤロープ101の周囲に等間隔をおいて筐体10の内部に配置され、ワイヤロープ101の検査画像を撮影する複数の撮影部11と、複数の撮影部11によって撮影されたワイヤロープ101の検査画像に基づいて、ワイヤロープ101の良否を判定する判定部26と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンのシーブに掛け回されたワイヤロープを検査するワイヤロープ検査装置であって、
前記シーブから所定の送り方向に送り出される前記ワイヤロープを囲うように、前記シーブに対して前記送り方向の側に設けられる筐体と、
前記筐体の内部を通過する前記ワイヤロープの周囲に等間隔をおいて前記筐体の内部に配置され、前記ワイヤロープの検査画像を撮影する複数の撮影部と、
前記複数の撮影部によって撮影された前記ワイヤロープの前記検査画像に基づいて、前記ワイヤロープの良否を判定する判定部と、
を備えることを特徴とするワイヤロープ検査装置。
【請求項2】
円環状に形成されていて、その中心軸を前記送り方向と同軸にして前記送り方向に間隔をおいて、かつ前記筐体の内部を通過する前記ワイヤロープを囲うように前記筐体の内部に配置される2つの照明部を更に備え、
前記複数の撮影部は、前記2つの照明部の間を通る光であって、前記2つの照明部の径方向内側を通過する前記ワイヤロープから前記2つの照明部の径方向外側へと至る光を受光することで、前記ワイヤロープの前記検査画像を撮影する
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項3】
前記複数の撮影部のそれぞれに対応して前記2つの照明部の径方向外側に配置され、前記2つの照明部の間を通る光であって、前記2つの照明部の径方向内側を通過する前記ワイヤロープから前記2つの照明部の径方向外側へと至る光を反射させる複数のミラーを更に備え、
前記複数の撮影部は、前記複数のミラーによって反射された反射光を受光することで、前記ワイヤロープの前記検査画像を撮影する
ことを特徴とする請求項2に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記ワイヤロープの正常状態を撮影した正常画像を教師データとする機械学習によって生成された学習モデルを使用して、前記検査画像の良否を判定する第1判定処理を行うことで、前記ワイヤロープの良否を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記検査画像における前記正常画像との一致度を示すヒートマップを使用して、前記検査画像の良否を判定する第2判定処理を行うことで、前記ワイヤロープの良否を判定する
ことを特徴とする請求項4に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記第1判定処理の判定結果を第1スコアとして算出し、前記第2判定処理の判定結果を第2スコアとして算出し、前記第1スコア及び前記第2スコアに基づく総合スコアによって前記ワイヤロープの良否を判定する
ことを特徴とする請求項5に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項7】
前記筐体は、天井クレーンである前記クレーンの前記シーブに設けられる
ことを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記シーブを支持する本体フレームに設けられた処理ユニットに備えられ、
前記処理ユニットは、前記判定部による判定結果である前記ワイヤロープの良否を無線通信によって閲覧ユニットへと送信する
ことを特徴とする請求項7に記載のワイヤロープ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンのシーブに掛け回されたワイヤロープを検査するワイヤロープ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天井クレーンや門型クレーン、クレーン車等の様々なクレーンでは、作業開始前にワイヤロープの損傷の有無等について点検することが、クレーン等安全規則等において定められている。ワイヤロープの点検には時間と労力を必要とするため、従来、ワイヤロープを撮影した画像に基づいて、ワイヤロープの断線、キンク、うねり、傷、摩耗、錆等の欠陥の有無等を判定してワイヤロープを検査するワイヤロープ検査装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の異常検出装置は、線状体を撮像した画像を解析して線状体の異常を検出する、線状体の異常検出装置であって、線状体に関する学習画像と、当該学習画像内の各画素に対する、当該画素が異常に該当するか否かの正解値とを、学習データとして深層学習された学習モデルを備え、当該学習モデルに対し、線状体を撮像した画像を入力画像として入力し、当該入力画像内の各画素に対して、当該画素が異常に該当するか否かを推論する、異常推論部と、当該異常推論部の推論結果を基に、入力画像内の異常の有無を判定する、異常判定部と、を備えている。
【0004】
また、特許文献2に記載のワイヤロープ検査装置は、走行するワイヤロープを映像として連続撮影するカメラを備える。特許文献2のワイヤロープ検査装置は、更に、ワイヤロープを間に挟んでカメラに対向して配置され、ワイヤロープ及びカメラに向けて光を照射する面光源を備えるが、一方、本発明は、このような面光源を備えずに、ワイヤロープに光を照射する照明を備える。特許文献2のワイヤロープ検査装置は、更に、カメラにて撮像されたワイヤロープの映像からワイヤロープ状態の解析を行う状態解析装置と、状態解析装置で解析された解析結果を表示する解析結果表示装置とを備える。特許文献2のワイヤロープ検査装置は、更に、カメラの撮影視野内に配置され、ワイヤロープの走行位置に関する情報を表示するディスプレイを備えるが、一方、本発明は、このようなディスプレイを備えずに、撮影画像から算出して走行位置に関する情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7124743号
【特許文献2】特許第5769875号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の異常検出装置のような従来技術では、鉄塔間に架設された架空地線のような線状体の検査を想定し、点検機が線状体上を走行する際に、撮像装置が線状体の表面の画像を撮像するように構成されている。しかしながら、このような従来技術では、クレーンにおいてドラムに巻き回されるワイヤロープの検査に適していない。
また、特許文献2のワイヤロープ検査装置のような従来技術では、ワイヤロープに対して一方向から画像を撮像するため、ワイヤロープの全周囲の検査を行うことができないし、また、ワイヤロープに対して他方向から光を照射するため、影が発生した状態でワイヤロープの画像が撮像され、ワイヤロープを適切に検査することができない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、クレーンのワイヤロープの全周囲の検査を適切に行うことができるワイヤロープ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のワイヤロープ検査装置は、クレーンのシーブに掛け回されたワイヤロープを検査するワイヤロープ検査装置であって、前記シーブから所定の送り方向に送り出される前記ワイヤロープを囲うように、前記シーブに対して前記送り方向の側に設けられる筐体と、前記筐体の内部を通過する前記ワイヤロープの周囲に等間隔をおいて前記筐体の内部に配置され、前記ワイヤロープの検査画像を撮影する複数の撮影部と、前記複数の撮影部によって撮影された前記ワイヤロープの前記検査画像に基づいて、前記ワイヤロープの良否を判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クレーンのワイヤロープの全周囲の検査を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置が設けられるクレーンの例を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置の撮影ユニットの断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置において、撮影ユニットをクレーンに取り付けた状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置において、ワイヤロープの検査画像及びヒートマップの例を示す正面図である。
図6】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置において、ワイヤロープの検査画像及びヒートマップの例を示す正面図である。
図7】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置において、ワイヤロープの検査画像及びヒートマップの例を示す正面図である。
図8】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置において、ワイヤロープの検査画像及びヒートマップの例を示す正面図である。
図9】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置において、閲覧ユニットに表示される結果表示画面の例を示す正面図である。
図10】本発明の実施形態に係るワイヤロープ検査装置において、閲覧ユニットに表示される履歴表示画面の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1及び図2を参照して、本実施形態のワイヤロープ検査装置1について説明する。図1は、ワイヤロープ検査装置1を示すブロック図であり、図2は、ワイヤロープ検査装置1が設けられるクレーン100の側面図である。
【0012】
ワイヤロープ検査装置1は、図1に示すように、撮影ユニット2と、処理ユニット3と、閲覧ユニット4とを備え、クレーン100に対して設けられ、クレーン100のワイヤロープ101を検査するように構成される。
【0013】
ワイヤロープ検査装置1が設けられるクレーン100は、例えば、レール上を移動可能なクラブトロリ式天井クレーンで構成される。クレーン100は、図2に示すように、ワイヤロープ101と、本体フレーム102と、巻上機103と、シーブ104と、フック105と、制御ユニット106と、操作ユニット107とを備える。巻上機103、シーブ104及び制御ユニット106は、本体フレーム102に取り付けられ、操作ユニット107は、本体フレーム102とは離れた位置、例えば、地上に設けられ、有線又は無線によって制御ユニット106と通信可能に接続されている。
【0014】
例えば、ワイヤロープ101の一端が巻上機103に固定され、ワイヤロープ101は巻上機103から延びてフック105のフックシーブ105aに巻き掛けられた後、シーブ104に巻き掛けられ、更にフックシーブ105aに巻き掛けられた後、ワイヤロープ101の他端が本体フレーム102に固定される。クレーン100は、巻上機103に巻き回されたワイヤロープ101を巻き下げる(繰り出す)ことでフック105を下降させ、巻上機103がワイヤロープ101を巻き上げることでフック105を上昇させる。このときフック105を垂直に昇降させるために、シーブ104は、揺動可能に本体フレーム102に取り付けられる。
【0015】
クレーン100は、操作ユニット107による操作に応じて、制御ユニット106が巻上機103の駆動を制御して、ワイヤロープ101の巻き下げ又は巻き上げを行う。なお、クレーン100は、点検モードと通常モードとの何れかの動作モードが選択されて動作するように構成され、例えば、動作モードは、後述の閲覧ユニット4の閲覧側制御部30で設定され、点検モードの設定信号を後述の処理ユニット3の処理側制御部20が受信することで、点検モードでの動作が開始される。
【0016】
点検モードが選択された場合、クレーン100の作業開始前(始業前)にワイヤロープ101の点検を行うために、クレーン100によって、巻上機103に巻き回されたワイヤロープ101を所定の巻き下げ速度で巻き下げながら、ワイヤロープ検査装置1を作動させて、撮影ユニット2によるワイヤロープ101の撮影及び処理ユニット3によるワイヤロープ101の良否判定を行う。点検モードでは、フック105が上限まで上昇した状態でワイヤロープ101が巻上機103に巻き回された上限状態から、ワイヤロープ101を巻上機103から全て巻き下げた下限状態まで、ワイヤロープ101の巻き下げを行う。点検モードでの巻き下げ速度は、通常モードと同じ定格速度又は点検モードに特有の定格速度で予め設定される。なお、点検モードでの巻き下げ速度は、クレーン100の作業者や管理者等の操作に応じて任意に設定されてもよい。
【0017】
通常モードが選択された場合、ワイヤロープ検査装置1を作動させることなく、通常通り、クレーン100によって、ワイヤロープ101の巻き下げ又は巻き上げを行って、フック105を昇降させる。
【0018】
撮影ユニット2は、図3に示すように、筐体10と、複数の撮影部11と、2つの照明部12と、複数のミラー13とを備える。撮影ユニット2は、例えば、約14Kgの重量を有し、シーブ104を挟み込む状態で固定される。
【0019】
筐体10は、箱状に形成され、シーブ104から所定の送り方向に送り出されるワイヤロープ101を囲うように、シーブ104に対して送り方向の側に設けられる。例えば、筐体10は、図4に示すように、シーブ104を本体フレーム102に取り付けるためのシーブフレーム104aに対して下側に取り付けられ、シーブ104が揺動するときには、シーブ104と共に揺動する。筐体10は、シーブ104の側の面(上面)と、その反対側の面(下面)とに開口を有し、シーブ104から送り出されるワイヤロープ101が両側の開口を介して送り方向(上下方向)に通される。このように、筐体10をシーブ104に取り付けるため、ワイヤロープ101の上げ下げによってシーブ104が揺動しても、撮影ユニット2は、ワイヤロープ101の位置、傾きを一定の状態にした撮影が可能であるため、安定した画像が得ることができる。
【0020】
複数の撮影部11は、例えば、CCD等からなるラインセンサカメラ又はエリアセンサカメラ等の撮像装置で構成される。ラインセンサカメラの撮影部11は、例えば、0.15mm/Pixの光学分解能と、約108mmの撮影視野幅とを有し、横720Pix及び縦540Pixの画素数で、且つ291fpsのフレームレートの仕様で構成される。
【0021】
複数の撮影部11は、筐体10の内部を通過するワイヤロープ101の周囲に等間隔をおいて筐体10の内部に配置され、ワイヤロープ101を複数方向から撮像して複数の検査画像を撮影する。例えば、複数の撮影部11として4つの撮影部11が、送り方向の垂直方向においてワイヤロープ101の四方に等間隔をおいて配置される。本実施形態では、複数の撮影部11は、その撮像面を下側に向けて配置される。複数の撮影部11は、有線又は無線によって処理ユニット3と通信可能に接続されている。各撮影部11は、処理ユニット3による制御に応じてワイヤロープ101を撮影して、送り方向において所定の撮影長のワイヤロープ101の検査箇所の検査画像を撮影し、その都度、撮影した検査画像を処理ユニット3へと送信する。
【0022】
2つの照明部12は、円環状に形成されていて、その円環の中心軸を送り方向と同軸にして送り方向に間隔をおいて、かつ筐体10の内部を通過するワイヤロープ101を360度囲うように筐体10の内部に配置される。2つの照明部12は、径方向内側を照射方向として、径方向内側を通過するワイヤロープ101に対して照明を照射する。本実施形態では、2つの照明部12は、複数の撮影部11よりも下側で、送り方向(上下方向)において互いに間隔をおいて配置される。
【0023】
撮影ユニット2では、2つの照明部12の間であって、2つの照明部12の径方向内側である位置を、複数の撮影部11によるワイヤロープ101の撮影位置とする。2つの照明部12の間の空間では、2つの照明部12の径方向内側を通過するワイヤロープ101を、2つの照明部12の径方向外側から臨むことができる。2つの照明部12の間において送り方向の垂直方向に向かう方向であって、2つの照明部12の径方向外側から2つの照明部12の径方向内側に向かう方向を、複数の撮影部11がワイヤロープ101を撮影する撮影方向とする。
【0024】
複数のミラー13は、複数の撮影部11のそれぞれに対応して、2つの照明部12の径方向外側で、2つの照明部12の間の位置に配置される。本実施形態では、複数のミラー13は、送り方向と、送り方向の垂直方向との両方に対して45度の角度を成して、2つの照明部12の側に反射面を向けて配置される。複数のミラー13は、2つの照明部12の間を通る光であって、2つの照明部12の径方向内側を通過するワイヤロープ101から2つの照明部12の径方向外側へと至る光を反射させて、複数の撮影部11にそれぞれ入射させる。
【0025】
換言すれば、撮影ユニット2では、2つの照明部12の照明によって被写体であるワイヤロープ101が発する光が、2つの照明部12の間を通った後、複数のミラー13によって上方に反射されて、複数の撮影部11にそれぞれ入射される。複数の撮影部11は、複数のミラー13によって反射された反射光を受光することで、ワイヤロープ101の検査画像を撮影する。このように、ミラー13を介してワイヤロープ101の像を撮影部11に結像する構成では、長形の撮影部11を長手方向が上下方向となるように設置することができるので、筐体10を小型化することができる。また、筐体10の幅を抑えることができるので、筐体10の自重による揺れが抑えられ、そのため、筐体10の揺れによるシーブ104への影響を抑えることもできる。
【0026】
処理ユニット3は、パーソナルコンピュータ等で構成され、クレーン100の本体フレーム102に取り付けられる。処理ユニット3は、処理側制御部20と、処理側記憶部21と、処理側通信部22とを備える。
【0027】
処理側制御部20は、CPU等のコンピュータで構成され、撮影ユニット2や処理ユニット3の各部の動作を制御する。処理側記憶部21は、ROMやRAM等の記憶媒体で構成され、撮影ユニット2や処理ユニット3の各部及び各機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。例えば、処理側制御部20は、プログラムを実行することで、撮影制御部25、判定部26として動作する。
【0028】
処理側通信部22は、有線又は無線によって撮影ユニット2の各撮影部11や各照明部12と通信可能に接続され、また、Wi-Fi等の無線LANによって閲覧ユニット4と通信可能に接続される。なお、処理側通信部22は、有線又は無線によってクレーン100の制御ユニット106や操作ユニット107と通信可能に接続され、点検モードが選択されている場合のワイヤロープ101の巻き下げを操作する制御信号や操作信号を受信するとよい。
【0029】
撮影制御部25は、処理側通信部22を介して撮影ユニット2の複数の照明部12を制御してワイヤロープ101に対して照明を照射させると共に、処理側通信部22を介して撮影ユニット2の複数の撮影部11を制御してワイヤロープ101の検査画像の撮影を行って、各撮影部11から撮影した検査画像を受信する。撮影制御部25は、クレーン100が点検モードにおいてワイヤロープ101の点検を開始してワイヤロープ101の巻き下げを開始したときに、各照明部12の照明及び各撮影部11の撮影を開始するように制御する。
【0030】
例えば、撮影制御部25は、処理側通信部22を介してクレーン100の制御ユニット106や操作ユニット107から、点検モードでのワイヤロープ101の巻き下げ開始を示す制御信号や操作信号を受信したときに、クレーン100が点検モードにおいてワイヤロープ101の巻き下げを開始したと判定する。換言すれば、撮影制御部25は、クレーン100によるワイヤロープ101の巻き下げに連動して、複数の撮影部11によるワイヤロープ101の撮影を行う。
【0031】
あるいは、処理ユニット3は、各照明部12の照明及び各撮影部11の撮影を操作する操作装置(図示せず)を備えて、撮影制御部25は、操作装置の操作に応じて各照明部12及び各撮影部11を制御するように構成されてもよい。この場合、クレーン100が点検モードにおいてワイヤロープ101の巻き下げを開始したとき(例えば、作業者や管理者等によって操作ユニット107を操作したとき)に、作業者や管理者等によって操作装置を操作することで、撮影制御部25は、各照明部12の照明及び各撮影部11の撮影を開始するように制御する。
【0032】
撮影制御部25は、各照明部12の照明及び各撮影部11の撮影を開始すると、所定の時間間隔で連続して各撮影部11の撮影を行う。撮影制御部25は、各撮影部11の撮影を行う時間間隔を、定格速度に設定された点検モードでの巻き下げ速度に応じて設定する。なお、撮影制御部25は、各照明部12の照明を継続的に行うとよく、あるいは、所定の時間間隔で連続して行ってもよい。このとき、撮影制御部25は、複数の撮影部11によるワイヤロープ101の各回の撮影において、送り方向においてワイヤロープ101の所定の前方位置から所定の後方位置までの撮影長の範囲をワイヤロープ101の撮影範囲とするところ、所定回の撮影での後方位置から前方位置側に所定の重複長だけ戻った位置を次回の撮影の前方位置とするように、ワイヤロープ101の検査画像を撮影する。換言すれば、撮影制御部25は、ワイヤロープ101の一の検査画像の後端と後続する検査画像の前端とが所定の重複長だけ重複するように時間間隔を設定して、ワイヤロープ101を連続して撮影する。
【0033】
撮影制御部25は、クレーン100が点検モードにおいてワイヤロープ101の巻き下げを終了したときに、各照明部12の照明及び各撮影部11の撮影を終了する。例えば、撮影制御部25は、処理側通信部22を介してクレーン100の制御ユニット106や操作ユニット107から、点検モードでのワイヤロープ101の巻き下げ終了を示す制御信号や操作信号を受信したときに、クレーン100が点検モードにおいてワイヤロープ101の巻き下げを終了したと判定する。また、撮影制御部25は、クレーン100が点検モードにおいてワイヤロープ101の巻き下げを中断したときに、各照明部12の照明及び各撮影部11の撮影を中断してよく、その後、クレーン100が点検モードにおいてワイヤロープ101の巻き下げを再開したときに、各照明部12の照明及び各撮影部11の撮影を再開してよい。
【0034】
判定部26は、複数の撮影部11によって撮影されたワイヤロープ101の検査画像に基づいて、ワイヤロープ101の断線、キンク、うねり、傷、摩耗、錆等の欠陥の有無等を判定することでワイヤロープ101の良否を判定する。例えば、判定部26は、複数の撮影部11がワイヤロープ101をそれぞれ撮影した複数の検査画像を撮影制御部25によって受信すると、これらの複数の検査画像を取得して、その検査画像の撮影範囲に対応するワイヤロープ101の検査箇所の良否を判定する。判定部26は、ワイヤロープ101の各検査箇所の良否の判定結果を、処理側通信部22を介した無線通信によって閲覧ユニット4へと送信する。判定部26は、複数の撮影部11から検査画像を受信する毎に、検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を判定して、その都度、判定結果を閲覧ユニット4へと送信する。
【0035】
判定部26は、検査画像が撮影されたワイヤロープ101の検査箇所の位置情報を判定結果に含める。例えば、判定部26は、点検モードでのワイヤロープ101の巻き下げ速度と、点検モードでのワイヤロープ101の巻き下げ開始からの経過時間とに基づいて、ワイヤロープ101の上限状態からの巻き下げ長を算出する。このとき、判定部26は、検査画像が撮影された撮影時間を経過時間に対応させることで、検査画像に撮影されたワイヤロープ101の巻き下げ長を算出する。また、判定部26は、ワイヤロープ101の上限状態での撮影ユニット2の複数の撮影部11によるワイヤロープ101の撮影範囲(前方位置)を点検開始位置とした場合に、検査画像に撮影されたワイヤロープ101の巻き下げ長を参照することで、検査画像に撮影されたワイヤロープ101の点検開始位置からの巻き下げ位置を算出する。
【0036】
例えば、判定部26は、ワイヤロープ101の正常状態を撮影した正常画像に基づいて、検査画像の欠陥等を検出するアノマリー検出を行うことで、検査画像に撮影されたワイヤロープ101の良否をAIによって判定する。なお、撮影ユニット2では、複数の撮影部11によって複数方向からワイヤロープ101の検査画像を撮影するところ、判定部26は、同様に複数方向から撮影したワイヤロープ101の正常画像を用意するとよい。判定部26は、クレーン100の新規導入時やワイヤロープ101の新規導入時に撮影ユニット2によって撮影したワイヤロープ101の画像を正常画像として入力して、処理側記憶部21に記憶するとよい。あるいは、判定部26は、処理側通信部22を介して外部機器から受信した正常画像を入力し、若しくは、USBメモリ等の外部記憶媒体から読み出した正常画像を入力して、処理側記憶部21に記憶してもよい。
【0037】
具体的には、判定部26は、ワイヤロープ101の正常状態を撮影した正常画像を教師データとするディープラーニング等の機械学習によって生成された良品画像の学習モデルを使用して、検査画像の良否をAIによりアノマリー判定する第1判定処理を行うことで、ワイヤロープ101の良否を判定する。第1判定処理では、判定部26は、複数の良品画像の機械学習の結果である学習済みネットワークに基づいて、検査画像の画像全体に対する異常の度合いを示す異常スコア(第1スコア)を第1判定処理の判定結果として算出する。なお、判定部26は、良品画像及び検査画像においてワイヤロープ101の該当部分だけでなく、背景部分についても第1判定処理の判定を行う。
【0038】
そして、判定部26は、算出した異常スコアが所定のスコア閾値を超えているか否かを判定し、このとき、スコア閾値を超えていない場合には、良品画像に対して検査画像が正常であると判定し、一方、スコア閾値を超えている場合には、良品画像に対して検査画像が異常であると判定する。判定部26は、検査画像が正常であるワイヤロープ101の検査箇所を良品と判定し、一方、検査画像が異常であるワイヤロープ101の検査箇所を不良品と判定する。換言すれば、判定部26は、異常スコア(第1スコア)がスコア閾値を超えていない検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を良品と判定し、一方、異常スコアがスコア閾値を超えている検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を不良品と判定する。判定部26は、第1判定処理の判定結果として、ワイヤロープ101の各検査箇所の検査画像及びその巻き下げ位置に関連付けて、異常スコア(第1スコア)や、良品又は不良品の判定結果を、閲覧ユニット4へと送信する。
【0039】
また、判定部26は、上記した第1判定処理に加えて、検査画像における正常画像(基準画像)との一致度を示すヒートマップを使用して、検査画像の良否を判定する第2判定処理を行うことで、ワイヤロープ101の良否を判定する。第2判定処理では、判定部26は、二値化処理した基準画像及び正常画像のそれぞれの特徴量に基づいて、検査画像の各位置での正常画像との一致度を算出する。なお、判定部26は、基準画像及び検査画像においてワイヤロープ101の該当部分だけでなく、背景部分についても第2判定処理の判定を行う。そして、判定部26は、検査画像の各位置の一致度を複数段階の一致度閾値で判別することで複数の区分の何れかに分類し、検査画像の各位置で区分毎に異なる配色をすることでヒートマップを作成する。
【0040】
例えば、判定部26は、図5(a)に示すように、ほつれが生じたワイヤロープ101の検査画像の第2判定処理を行うと、図5(b)に示すようなヒートマップを作成する。また、判定部26は、図6(a)に示すように、異物が付着したワイヤロープ101の検査画像の第2判定処理を行うと、図6(b)に示すようなヒートマップを作成する。また、判定部26は、図7(a)に示すように、ワイヤが飛び出したワイヤロープ101の検査画像の第2判定処理を行うと、図7(b)に示すようなヒートマップを作成する。また、判定部26は、図8(a)に示すように、間延びが生じたワイヤロープ101の検査画像の第2判定処理を行うと、図8(b)に示すようなヒートマップを作成する。
【0041】
また、判定部26は、ヒートマップにおいて、一致度の低い区分がない検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を良品と判定し、一方、一致度の低い区分がある検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を不良品と判定する。ここで、一致度の低い区分がない場合とは、所定の下限閾値より一致度の低い区分が全くない場合だけでなく、下限閾値より一致度の低い区分が検査画像においてワイヤロープ101及びその周囲にない場合や、下限閾値以上許容閾値未満の一致度である区分の検査画像全体に対する割合が所定の割合閾値より小さい場合を含んでよい。
【0042】
なお、判定部26は、第2判定処理の判定結果として、検査画像の各位置の一致度に基づいて、検査画像全体の一致度等を第2スコアとして算出してもよい。この場合、判定部26は、第2スコアがスコア閾値を超えていない検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を良品と判定し、一方、第2スコアがスコア閾値を超えている検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を不良品と判定してよい。判定部26は、第2判定処理の判定結果として、ワイヤロープ101の各検査箇所の検査画像及びその巻き下げ位置に関連付けて、ヒートマップや、第2スコア、良品又は不良品の判定結果を、閲覧ユニット4へと送信する。
【0043】
更に、判定部26は、第1判定処理の判定結果である第1スコアと、第2判定処理の判定結果である第2スコアとに基づく総合スコアを算出し、によって前記ワイヤロープの良否を判定してもよい。この場合、判定部26は、総合スコアがスコア閾値を超えていない検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を良品と判定し、一方、総合スコアがスコア閾値を超えている検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を不良品と判定してよい。判定部26は、ワイヤロープ101の各検査箇所の総合判定結果として、ワイヤロープ101の各検査箇所の検査画像及びその巻き下げ位置に関連付けて、総合スコアや、良品又は不良品の判定結果を、閲覧ユニット4へと送信する。
【0044】
なお、判定部26は、ワイヤロープ101の点検開始位置での判定結果から直近の判定結果までに基づいて、ワイヤロープ101の全体の良品又は不良品の判定を行ってもよく、その判定結果を閲覧ユニット4へと送信してもよい。また、判定部26は、第1判定処理及び第2判定処理の両方を行うか、第1判定処理のみを行うか、第2判定処理のみを行うかについて、作業者や管理者等の操作に応じて任意に設定されてもよい。
【0045】
判定部26は、ワイヤロープ101の各検査箇所の判定結果を、ワイヤロープ101やクレーン100に固有の名称や識別番号等の情報に関連付けて、判定履歴として処理側記憶部21に記憶する。処理側制御部20は、閲覧ユニット4からの要求に応じて、処理側記憶部21に記憶したワイヤロープ101の判定履歴を閲覧ユニット4へと送信する。
【0046】
閲覧ユニット4は、パーソナルコンピュータ等で構成され、クレーン100とは離れた位置、例えば、操作ユニット107の近傍や、クレーン100を管理するための管理室等に設けられる。閲覧ユニット4は、閲覧側制御部30と、閲覧側記憶部31と、閲覧側通信部32と、表示部33とを備える。
【0047】
閲覧側制御部30は、CPU等のコンピュータで構成され、閲覧ユニット4の各部の動作を制御する。閲覧側記憶部31は、ROMやRAM等の記憶媒体で構成され、閲覧ユニット4の各部及び各機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。例えば、閲覧側制御部30は、プログラムを実行することで、表示制御部35として動作する。
【0048】
閲覧側通信部32は、Wi-Fi等の無線LANによって処理ユニット3と通信可能に接続される。表示部33は、液晶ディスプレイ等で構成され、閲覧側制御部30によって制御されて各種画面を表示する。
【0049】
表示制御部35は、クレーン100が点検モードにおいてワイヤロープ101の巻き下げを開始して、撮影ユニット2の複数の撮影部11がワイヤロープ101の検査画像を撮影し、処理ユニット3の判定部26が各検査画像に基づいてワイヤロープ101の良否を判定した場合に、判定部26による判定結果を、閲覧側通信部32を介して処理ユニット3から受信して、当該判定結果を作業者や管理者に対して閲覧可能な結果表示画面40(図9参照)を表示するように表示部33を制御する。表示制御部35は、判定部26から判定結果を受信する毎に、当該判定結果を示すように結果表示画面40を更新して、その都度、更新した結果表示画面40を表示部33に表示させる。
【0050】
例えば、表示制御部35は、図9に示すように、点検品種情報欄41と、欠陥マップ欄42と、欠陥情報表示欄43と、判定数欄44と、点検情報欄45とを有するように、結果表示画面40を作成する。
【0051】
表示制御部35は、点検品種情報欄41において、点検したワイヤロープ101やクレーン100に固有の名称や識別番号等の情報を表示する。表示制御部35は、欠陥マップ欄42において、所定長のワイヤロープ101の各検査箇所を模式的に図示し、各検査箇所での判定部26による良否の判定結果を図示する。欠陥マップ欄42は、直近に受信した判定結果を表示するように更新される。
【0052】
表示制御部35は、欠陥情報表示欄43において、判定部26から受信した所定数の判定結果の詳細情報(例えば、ワイヤロープ101の各検査箇所の検査画像及びその巻き下げ位置、第1スコア、ヒートマップ、第2スコア、総合スコア、良品又は不良品の判定結果等)を表示する。なお、欠陥情報表示欄43は、良品の検査結果の検査画像やヒートマップをブランク表示して、不良品の検査結果の検査画像やヒートマップのみを表示してよい。欠陥情報表示欄43は、直近に受信した判定結果を表示するように更新される。なお、欠陥情報表示欄43に何れの詳細情報を表示するかについて、作業者や管理者等の操作に応じて任意に設定されてよい。
【0053】
また、欠陥情報表示欄43は、不良品の判定結果の詳細情報を作業者や管理者等の操作に応じて選択可能にして、選択された判定結果の検査画像やヒートマップを拡大表示してもよく、あるいは、選択された判定結果に対応するワイヤロープ101の検査箇所の判定履歴に基づいて過去の判定結果の検査画像やヒートマップと今回の検査画像やヒートマップとを並列表示してもよい。
【0054】
表示制御部35は、判定数欄44において、判定部26が判定を行ったワイヤロープ101の検査箇所の個数を判定数として表示し、また、判定数のうち、良品と判定された個数や、不良品と判定された個数を表示する。なお、判定数欄44には、ワイヤロープ101の点検の達成率(例えば、ワイヤロープ101の点検全長に対する巻き下げ位置の割合等)を表示してもよい。判定数欄44は、直近に受信した判定結果を含むように更新される。
【0055】
表示制御部35は、点検情報欄45において、ワイヤロープ101の点検開始位置での判定結果から直近の判定結果までに基づく、ワイヤロープ101の全体の良品又は不良品の判定結果を表示する。
【0056】
また、表示制御部35は、作業者や管理者等の操作に応じて、過去に点検を行ったワイヤロープ101の判定履歴を処理ユニット3から受信して、指定されたワイヤロープ101の判定履歴を作業者や管理者に対して閲覧可能な履歴表示画面50(図10参照)を表示するように表示部33を制御する。
【0057】
例えば、表示制御部35は、図10に示すように、結果表示画面40と同様の点検品種情報欄51と、欠陥マップ欄52と、点検情報欄53とを有するように、履歴表示画面50を作成し、更に、欠陥一覧54と、欠陥情報表示欄55とを有するように、履歴表示画面50を作成する。
【0058】
表示制御部35は、欠陥一覧54において、指定されたワイヤロープ101の判定履歴のうち、不良品の判定結果の情報(判定日時、検査箇所の巻き下げ位置、スコア等)を一覧表示する。
【0059】
表示制御部35は、欠陥情報表示欄55において、欠陥マップ欄52や欠陥一覧54において指定された検査箇所の判定結果の詳細情報(例えば、ワイヤロープ101の各検査箇所の検査画像及びその巻き下げ位置、第1スコア、ヒートマップ、第2スコア、総合スコア、良品又は不良品の判定結果等)を表示する。
【0060】
本実施形態では、上述のように、クレーン100のシーブ104に掛け回されたワイヤロープ101を検査するワイヤロープ検査装置1は、シーブ104から所定の送り方向に送り出されるワイヤロープ101を囲うように、シーブ104に対して送り方向の側に設けられる筐体10と、筐体10の内部を通過するワイヤロープ101の周囲に等間隔をおいて筐体10の内部に配置され、ワイヤロープ101の検査画像を撮影する複数の撮影部11と、複数の撮影部11によって撮影されたワイヤロープ101の検査画像に基づいて、ワイヤロープ101の良否を判定する判定部26と、を備える。
【0061】
これにより、ワイヤロープ検査装置1では、クレーン100のワイヤロープ101の全周囲の検査画像を利用することで、ワイヤロープ101の全周囲に亘る検査を適切に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態のワイヤロープ検査装置1は、円環状に形成されていて、その中心軸を送り方向と同軸にして送り方向に間隔をおいて、かつ筐体10の内部を通過するワイヤロープ101を囲うように筐体10の内部に配置される2つの照明部12を更に備え、複数の撮影部11は、2つの照明部12の間を通る光であって、2つの照明部12の径方向内側を通過するワイヤロープ101から2つの照明部12の径方向外側へと至る光を受光することで、ワイヤロープ101の検査画像を撮影する。
【0063】
これにより、複数の撮影部11がワイヤロープ101を何れの方向から撮影しても、影のない状態で検査画像を撮影することができるので、検査画像に基づくワイヤロープ101の良否の判定をより適切に行うことができる。
【0064】
また、本実施形態のワイヤロープ検査装置1は、複数の撮影部11のそれぞれに対応して2つの照明部12の径方向外側に配置され、2つの照明部12の間を通る光であって、2つの照明部12の径方向内側を通過するワイヤロープ101から2つの照明部12の径方向外側へと至る光を反射させる複数のミラー13を更に備え、複数の撮影部11は、複数のミラー13によって反射された反射光を受光することで、ワイヤロープ101の検査画像を撮影する。
【0065】
これにより、複数の撮影部11を備える筐体10が、2つの照明部12の径方向外側に大型化することを抑制することができ、また、筐体10内で複数の撮影部11を効率良く配置することができ、例えば、各撮影部11の撮像面に塵芥が蓄積しないようにすることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、判定部26は、ワイヤロープ101の正常状態を撮影した正常画像を教師データとする機械学習によって生成された学習モデルを使用して、検査画像の良否を判定する第1判定処理を行うことで、ワイヤロープ101の良否を判定する。
【0067】
これにより、ワイヤロープ101の異常状態の学習モデルを使用することなく、ワイヤロープ101の良否を判定することができ、処理速度を向上することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、判定部26は、検査画像における正常画像との一致度を示すヒートマップを使用して、検査画像の良否を判定する第2判定処理を行うことで、ワイヤロープ101の良否を判定する。
【0069】
これにより、ヒートマップを利用することで、ワイヤロープ101の良否を視覚的に判定することができ、また、第1判定処理と第2判定処理とを組み合わせることで、漏れのないようにワイヤロープ101の良否を判定することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、判定部26は、第1判定処理の判定結果を第1スコアとして算出し、第2判定処理の判定結果を第2スコアとして算出し、第1スコア及び第2スコアに基づく総合スコアによってワイヤロープ101の良否を判定する。
【0071】
これにより、第1判定処理と第2判定処理とを組み合わせることで、漏れのないようにワイヤロープ101の良否を判定することができ、更に、より信頼性の高い総合スコアによってワイヤロープ101の良否をより適切に判定することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、筐体10は、天井クレーンであるクレーン100のシーブ104に設けられる。
【0073】
これにより、クレーン100の移動やシーブ104の揺動に拘わらず、筐体10に設けられた撮影部11は、固定位置でシーブ104から送り出されるワイヤロープ101を撮影することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、判定部26は、シーブ104を支持する本体フレーム102に設けられた処理ユニット3に備えられ、処理ユニット3は、判定部26による判定結果であるワイヤロープ101の良否を無線通信によって閲覧ユニット4へと送信する。
【0075】
これにより、クレーン100の移動に拘わらず、処理ユニット3や閲覧ユニット4の配線を容易に行うことができる。
【0076】
なお、上記した実施形態では、撮影ユニット2が複数の撮影部11として4つの撮影部11を備える例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、撮影ユニット2は、複数の撮影部11として3つの撮影部11又は5つ以上の撮影部11を備えて構成されてもよい。
【0077】
また、上記した実施形態では、撮影ユニット2が、2つの照明部12の径方向外側に、複数の撮影部11に対応する複数のミラー13を備えて、ワイヤロープ101からの光を2つの照明部12の間を通して各ミラー13で反射させて各撮影部11に入射させる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、撮影ユニット2は、複数のミラー13を備えることなく、2つの照明部12の間であって、2つの照明部12の径方向外側に、複数の撮影部11を配置して、撮像面を2つの照明部12の径方向内側に向けて構成されてもよい。
【0078】
また、上記した実施形態では、処理ユニット3の判定部26が、第1判定処理において、検査画像の異常スコアが所定のスコア閾値を超えているか否かを判定し、スコア閾値を超えていない検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を良品と判定し、一方、スコア閾値を超えている検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所を不良品と判定する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、判定部26は、第1判定処理において、検査画像の異常スコアを複数段階のスコア閾値で判別することで、検査画像に対応するワイヤロープ101の検査箇所の良否を複数段階のレベルで判定してもよい。
【0079】
なお、実施形態の説明は、本発明に係るワイヤロープ検査装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含む。
【符号の説明】
【0080】
1 ワイヤロープ検査装置
2 撮影ユニット
3 処理ユニット
4 閲覧ユニット
10 筐体
11 撮影部
12 照明部
13 ミラー
20 処理側制御部
25 撮影制御部
26 判定部
100 クレーン
101 ワイヤロープ
102 本体フレーム
104 シーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10