(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120324
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】遺失物推定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240829BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027041
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】501403863
【氏名又は名称】株式会社オーイーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】山原 豊
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遺失物の画像を取り込むことにより、品名、分類、関連キーワードを自動入力し、遺失物の管理を容易にする遺失物推定システムを提供する。
【解決手段】遺失物の画像と当該遺失物の属性(品名、分類、関連キーワード、遺失物の価値)との関係を機械学習させることにより判定モデルを取得する。判定モデルを遺失物推定システムのインプット部分に組み込む。システムの受付手段により入力された遺失物の画像から、その遺失物の属性を自動で判別しシステムに組み込むことができ、遺失物の管理を容易に行うことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺失物の画像と、その遺失物の品名、分類、関連キーワードとを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された遺失物の画像と、前記品名、前記分類、前記関連キーワードとを教師データとして用い、
入力を遺失物の画像とし、出力をその遺失物の品名、分類、関連キーワードとする判定モデルを機械学習により生成するモデル生成手段と、
遺失物の画像の入力を受け付ける受付手段と、
前記モデル生成手段により生成された判定モデルを用いて、前記受付手段に入力された遺失物の画像から推定されるその遺失物の品名、分類、関連キーワードを出力する処理手段と、を備えた遺失物推定システム。
【請求項2】
前記記憶手段には、遺失物の価値を記憶し、
前記記憶手段に記憶された遺失物の画像と、前記遺失物の価値とを教師データとして用い、
前記モデル生成手段は、出力を遺失物の価値とする判定モデルを機械学習により生成し、
前記処理手段は、前記受付手段に入力された遺失物の画像から推定されるその遺失物の価値を出力する請求項1に記載の遺失物推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺失物推定システム、具体的には、遺失物の画像を取り込むことにより、品名、分類、関連キーワードを自動入力し、遺失物の管理を容易にする遺失物推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
公共施設等の利用者数が増加するにつれ、遺失物(忘れ物や落し物)が多く、持ち主の手元に届かないことも多い。一方、遺失物を自ら保管し、持ち主に返そうとする施設もあるが、そのために必要な資源や人手は膨大なものであり、費用もかさむ。
そこで、効率よく遺失物を管理する手法などが各種検討され、例えば、特許文献1に記載の技術等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、AIスピーカを利用して、遺失物の探索にかかる時間と労力を軽減することができる。この技術によれば、遺失物を探索するためには、探索可能なデータベースを構築し、AIスピーカを利用しての探索が可能となるようなデータをデータベースに人力で格納する必要がある。このため、運用に対する人件費などのコストが大きい。
その一方で、一事業者が複数拠点で活動を行っている場合(例えば、鉄道事業者や地方公共団体等が管理する公共施設)では、一つのシステム(データベース)を用いて管理した方が、遺失物管理や利用者にとって有益であることから、システム導入・運用に対するコスト削減は困難である。
しかし、システムに遺失物を管理する際に、労力的に負担が大きい部分は、システムに遺失物情報をインプットする部分である。
【0005】
そこで、システムに遺失物情報をインプットする際に、AIを活用することができれば、本問題を解決することを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、遺失物の画像を取り込むことにより、品名、分類、関連キーワードを自動入力し、遺失物の管理を容易にする遺失物推定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、遺失物の画像と、その遺失物の品名、分類、関連キーワードとを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された遺失物の画像と、前記品名、前記分類、前記関連キーワードとを教師データとして用い、入力を遺失物の画像とし、出力をその遺失物の品名、分類、関連キーワードとする判定モデルを機械学習により生成するモデル生成手段と、遺失物の画像の入力を受け付ける受付手段と、前記モデル生成手段により生成された判定モデルを用いて、前記受付手段に入力された遺失物の画像から推定されるその遺失物の品名、分類、関連キーワードを出力する処理手段と、を備えた遺失物推定システムである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記記憶手段には、遺失物の価値を記憶し、前記記憶手段に記憶された遺失物の画像と、前記遺失物の価値とを教師データとして用い、前記モデル生成手段は、出力を遺失物の価値とする判定モデルを機械学習により生成し、前記処理手段は、前記受付手段に入力された遺失物の画像から推定されるその遺失物の価値を出力する請求項1に記載の遺失物推定システムである。
【0008】
本発明によれば、遺失物の画像と当該遺失物の属性(品名、分類、関連キーワード、請求項2に記載の発明では、さらに遺失物の価値)との関係を機械学習させることにより判定モデルを取得する。その判定モデルを遺失物推定システムのインプット部分に組み込むことにより、当該システムの受付手段により入力された遺失物の画像から、その遺失物の属性を自動で判別しシステムに組み込むことができる。その結果、遺失物の管理を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遺失物推定システムの受付手段により入力された遺失物の画像から、その遺失物の属性をAI技術により自動で判別し、システムに組み込むことができる。その結果、遺失物の管理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例に係る遺失物管理システム(以下、単に「本システム」という。)は、複数のコンピュータがLAN又はインターネットを介して接続されており、それぞれのコンピュータから本システムを立ち上げ、利用することができる。
コンピュータは、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、制御装置から構成され、24時間安定可能なOSが導入されている。
このコンピュータには、外部カメラにて撮影された撮像データを取り込むデータ取り込みプログラム、取り込まれた撮像データをもとに、各種分析を行うデータ分析プログラム、データ分析プログラムにて得られた分析データをデータベースに取り込むとともに、当該データベースにアクセスし、遺失物の検索を可能とするデータ利活用プログラムが、1つのアプリケーションとして組み込まれている。
なお、データ利活用プログラムにて使用されるデータベースは、1つの遺失物管理システムに対し1個であり、このデータベースをすべてのコンピュータがアクセス、検索を可能とする。
【0011】
データ取り込みプログラムでは、外部カメラにて撮影された撮像データを取り込み、取り込まれた撮像データの色調、輝度、明度などを自動で補正するなど、検索時に見やすい状態となるように加工する。なお、当該加工は、必須のものではないが、当該加工があれば、遺失物を検索するときに、自他所持品の判断が容易となるため、適切である。
【0012】
データ分析プログラムでは、データ取り込みプログラムにて取り込まれた撮像データから、遺失物の形状を認識し、遺失物の属性の判断を行う。属性は、品名、分類、関連キーワード、遺失物の価値とした。関連キーワードは、例えば、色やメーカー、品番、ロット番号等である。
具体的には、事前に、数千枚の学習用遺失物画像に基づいて、遺失物の属性を判断する機械学習を行った学習モデルを作成する。そして、機械学習によって作成された学習モデルに基づいて、撮像データから、当該遺失物の属性の判断を行う。
【0013】
データ利活用プログラムでは、データ取り込みプログラムにて取り込まれた撮像データ及びデータ分析プログラムにて判断された遺失物の属性をデータベースに格納する。そして、遺失物の所有者が、当該遺失物が、本システムに登録されているかを、当該データベースにアクセスして検索することができるように構成されている。
【0014】
このように構成することにより、遺失物を本システムに登録する際には、遺失物の撮像データを本システムに取り込むのみで完了し、遺失物を検索するときは、遺失物の属性から検索し、遺失物の撮像データを見ながら検索を行うことが可能となる。その結果、遺失物の管理を容易に行うことができる。