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特開2024-120327蒸気加熱式温冷配膳車およびその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120327
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】蒸気加熱式温冷配膳車およびその運転方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20240829BHJP
   A47B 31/02 20060101ALI20240829BHJP
   A47J 39/02 20060101ALI20240829BHJP
   F25D 23/12 20060101ALI20240829BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A47B31/00 H
A47B31/02 B
A47B31/02 D
A47J39/02
F25D23/12 M
F25D11/00 101Y
F25D11/00 101B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027051
(22)【出願日】2023-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】504288627
【氏名又は名称】株式会社井上製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】井上 茂
【テーマコード(参考)】
3L045
4B066
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA02
3L045CA02
3L045KA06
3L045LA02
3L045MA02
3L045NA21
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
4B066AA05
4B066AA08
4B066AB01
4B066BA11
4B066BD01
(57)【要約】
【課題】 蒸気加熱式温冷配膳車において、効率的且つ安全性の高い蒸気加熱と冷却保存を実行できるようにする。
【解決手段】 温冷室に蒸気を供給する蒸気発生装置6が設けられた蒸気加熱式温冷配膳車1であって、当該配膳車の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部(5001)と、ヒータを制御するヒータ制御部(5002)と、蒸気発生装置6を制御する蒸気制御部(5003)と、冷却装置を制御する冷却制御部(5004)と、当該配膳車内の温度を検知する温度検知手段(5008)と、当該配膳車の運転時間を管理する時間管理部(5006)と、当該配膳車の運転情報を記憶する運転情報記憶部(5007)と、当該配膳車の運転を実行する運転演算処理部(5005)を有する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは御飯が入った飯茶碗や主菜、副菜等が入った食器が載置されたトレイを多段に収容するトレイ収容室を備え、該トレイ収容室内の上下方向に列設された仕切り壁部材を挟んで、その一側が冷却と蒸気加熱を行う温冷室、同他側が冷却のみ行う冷室となされており、前記配膳車本体には前記カートの冷室および温冷室内に冷気を供給する冷却装置と、前記カートの温冷室を加熱するヒータと、前記温冷室に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷配膳車であって、
当該配膳車の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部と、
前記ヒータを制御するヒータ制御部と、前記蒸気発生装置を制御する蒸気制御部と、前記冷却装置を制御する冷却制御部と、
当該配膳車内の温度を検知する温度検知手段と、
当該配膳車の運転時間を管理する時間管理部と、
当該配膳車の運転情報を記憶する運転情報記憶部と、
当該配膳車の運転を実行する運転演算処理部と、
を有し、
前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによる温冷室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置による温冷室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記御飯、主菜および副菜等の再加熱が行われることを特徴とする、蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項2】
運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、温冷室を冷却する保冷運転モードと温冷室を加熱する加熱運転モードと温冷室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードでは温冷室の冷却を行い、前記加熱運転モードでは温冷室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードでは温冷室の保温のみを行うことを特徴とする、請求項1記載の蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項3】
更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする、請求項2記載の蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項4】
運転情報記憶部に記憶されている手動運転では加熱運転モードに続いて自動的に保温運転モードが実行されることを特徴とする、請求項3記載の蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項5】
運転情報記憶部に記憶されている運転情報として、仕上時間および仕上温度、並びに保温温度が含まれている、請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載の蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項6】
請求項2記載の蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法であって、冷却装置の運転によって、トレイ収容室の冷室および温冷室をそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップと、温冷室については、前記冷却装置による保冷を停止すると共にヒータを作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップと、該加熱運転ステップの途中から蒸気発生装置を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータの出力および前記蒸気発生装置の出力を下げる仕上運転ステップと、前記蒸気発生装置の作動を停止して温冷室内を65~80℃の範囲に維持する保温運転ステップを行うことを特徴とする、蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や老人ホーム等の介護施設において給食を提供する際に用いられる蒸気加熱式温冷配膳車およびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の配膳車としては、貯蔵室と、 前記貯蔵室を冷却する冷蔵運転を行う冷却部と、前記冷却部の冷蔵運転の開始または停止を操作可能な操作部と、前記冷蔵運転の開始操作を行うよう警告することが可能な警告部と、前記操作部による操作に基づいて前記冷却部の動作を制御するとともに、前記操作部に前記冷蔵運転を停止させる操作が行われるのに伴って前記警告部に警告を発するよう制御する制御部と、使用者による入力位置を検出する入力位置検出機能を有し、前記操作部を構成する操作画面が表示されると共に、前記警告部を構成する警告画像を表示可能な表示部と、を備え、前記操作画面には、所定の時刻に少なくとも前記冷蔵運転を開始させるためのスタートボタンと、前記冷蔵運転を停止させることが可能な設定画面に移行するための設定ボタンと、が含まれ、前記警告画像には、前記冷蔵運転の停止を通知する表示と、前記冷蔵運転を再開するために前記スタートボタンによる操作を促す表示と、が含まれており、前記制御部は、使用者により前記設定画面において前記冷蔵運転の停止操作が行われると、前記表示部に前記警告画像を表示する冷却貯蔵庫が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-4176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した構成の冷蔵貯蔵庫は、給食として提供する調理済み食品のチルド運転を開始した後に、給食内容を変更するなどの事情が生じた場合、チルド運転を一旦停止させて、貯蔵していた食品の入れ替えを行った後に、チルド運転を再度開始させる操作を行う必要があるが、給食作業者が前記チルド保存運転の再開操作を失念して実行しない際に再開操作の警告を行うものである。
【0005】
しかしながら、前述した運転警告は、単にチルド運転の確実性を担保するだけのものであり、配膳車内の加熱と冷却の総合的な運転制御を行うものではなかった。
【0006】
本発明の目的は、効率的且つ安全性の高い蒸気加熱と冷却保存を実行することが可能な蒸気加熱式温冷配膳車およびその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは御飯が入った飯茶碗や主菜、副菜等が入った食器が載置されたトレイを多段に収容するトレイ収容室を備え、該トレイ収容室内の上下方向に列設された仕切り壁部材を挟んで、その一側が冷却と蒸気加熱を行う温冷室、同他側が冷却のみ行う冷室となされており、前記配膳車本体には前記カートの冷室および温冷室内に冷気を供給する冷却装置と、前記カートの温冷室を加熱するヒータと、前記温冷室に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷配膳車であって、当該配膳車の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部と、前記ヒータを制御するヒータ制御部と、前記蒸気発生装置を制御する蒸気制御部と、前記冷却装置を制御する冷却制御部と、当該配膳車内の温度を検知する温度検知手段と、当該配膳車の運転時間を管理する時間管理部と、当該配膳車の運転情報を記憶する運転情報記憶部と、当該配膳車の運転を実行する運転演算処理部と、を有し、前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによる温冷室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置による温冷室の蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記御飯、主菜および副菜等の再加熱が行われることを特徴とする蒸気加熱式温冷配膳車である。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の蒸気加熱式温冷配膳車について、運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、温冷室を冷却する保冷運転モードと温冷室を加熱する加熱運転モードと温冷室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードでは温冷室の冷却を行い、前記加熱運転モードでは温冷室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードでは温冷室の保温のみを行うことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明は、前記請求項2記載の蒸気加熱式温冷配膳車について、更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載の蒸気加熱式温冷配膳車について、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では加熱運転モードに続いて自動的に保温運転モードが実行されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1~請求項4のうちのいずれか一項記載の蒸気加熱式温冷配膳車について、運転情報記憶部に記憶されている運転情報として、仕上時間および仕上温度、並びに保温温度が含まれていることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の本発明は、前記請求項2記載の蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法であって、冷却装置の運転によって、トレイ収容室の冷室および温冷室をそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップと、温冷室については、前記冷却装置による保冷を停止すると共にヒータを作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップと、該加熱運転ステップの途中から蒸気発生装置を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータの出力および前記蒸気発生装置の出力を徐々に下げる仕上運転ステップと、前記蒸気発生装置の作動を停止して温冷室内を65~80℃の範囲に維持する保温運転ステップを行うことを特徴とする蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る蒸気加熱式温冷配膳車は、カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは御飯が入った飯茶碗や主菜、副菜等が入った食器が載置されたトレイを多段に収容するトレイ収容室を備え、該トレイ収容室内の上下方向に列設された仕切り壁部材を挟んで、その一側が冷却と蒸気加熱を行う温冷室、同他側が冷却のみ行う冷室となされており、前記配膳車本体には前記カートの冷室および温冷室内に冷気を供給する冷却装置と、前記カートの温冷室を加熱するヒータと、前記温冷室に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷配膳車において、前記温冷室について、効率的且つ適切な蒸気加熱が実行され得る。そして、本発明の蒸気加熱式温冷配膳車は、前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによる温冷室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置による温冷室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記御飯、主菜および副菜等の再加熱が行われる構成となっているため、配膳時刻までに、その提供される前記食品の冷却保存と蒸気による再加熱が簡単かつ適切に、しかも安全に行われるという格別の効果が得られる。特に、保冷運転モードと加熱運転モードおよび保温運転モードを備え、加熱の途中から蒸気を供給する加熱運転モードによって、食品の美味な再加熱が実現され得る。
【0014】
更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする本発明の蒸気加熱式温冷配膳車によれば、配膳時刻に合わせて前記仕上げ終了時刻を設定しておくだけで、保冷運転モードから自動的に所定の加熱運転モードが実行されて食品の再加熱が配膳時刻に合わせて適切に行われるという格別の実用的利点が得られる。
【0015】
また、本発明に係る蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法によれば、先ず0~5℃の保冷運転ステップで冷室および温冷室内に食品を冷却保存して腐敗を防止し、次に温冷室内を120~130℃の高温域まで加熱することで食品の加熱殺菌と再加熱を実行し、その後、仕上運転ステップで食品に対して適度の蒸らしが行われて、該食品がべとつかず、適度に保湿状態となり、その後の保温運転モードによって、配膳時刻に合わせて前記食品の温かさが保持され、その結果、美味な給食が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車の正面図である。
図2】同実施形態に係る配膳車を構成する配膳車本体とカートの両方の扉を開いた状態の正面図である。
図3図2の配膳車からカートを出した状態の配膳車本体の正面図である。
図4】同実施形態に係る配膳車の縦断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車の運転機構を示す機能ブロック図である。
図6】同実施形態に係る配膳車の運転切り換えボタンが表示された運転表示入力部の正面図である。
図7】手動運転における各運転モードボタンが表示された運転表示入力部の正面図である。
図8】加熱設定の入力表が表示された運転表示入力部の正面図である。
図9】運転の進行を示すフローチャートである。
図10】各温度設定テーブルが表示された運転表示入力部の正面図である。
図11】仕上げ終了時刻設定テーブルの表示がされた運転表示入力部の正面図である。
図12】温冷室と冷室の温度表示がされた運転表示入力部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。また、本発明において、「水蒸気」は、設定温度によって、飽和水蒸気であったり、未飽和の水蒸気であったり、或いは過熱水蒸気(過熱蒸気)の場合もある。
【0018】
なお、本発明の配膳車において、前後、左右および上下は、図2を基準とし、前とは図2の図紙面の表側方向を指し、後とは同裏側方向を意味する。また、左とは図2の左側方向を指し、右とは同右側方向を意味する。更に、上とは図2の上側方向を指し、下とは同下側方向を意味する。
【0019】
先ず、図1図4に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車の基本構造について説明すると、蒸気加熱式温冷配膳車1は、カート収容室4を有する配膳車本体2と、該配膳車本体2の前記カート収容室4に収容されるカート3とで構成され、該カート3は御飯が入った飯茶碗RWや主菜、副菜等が入った食器MWが載置されたトレイTを多段に収容するトレイ収容室40を備え、該トレイ収容室40内の上下方向に列設された仕切り壁部材15を挟んで、その一側が冷却と蒸気加熱を行う温冷室40A、同他側が冷却のみ行う冷室40Bとなされており、前記配膳車本体2には前記カート3の温冷室40Aおよび冷室40B内に冷気を供給する冷却装置5と、前記カートの温冷室40Aを加熱するヒータ35と、前記温冷室40Aに蒸気を供給する蒸気発生装置6が設けられている。また、前記配膳車本体2の上部には、後述する運転表示入力部(5001)が設けられている。
【0020】
配膳車本体2のカート収容室4は、上下壁7・8と左右壁9・11と後壁12と前側に形成されたカート出入口部10を備え、カート出入口部10の両側縁には左右一対の本体扉13が取り付けられている。またカート収容室4の下壁8の外面四隅にはキャスター14と脚体30がそれぞれ取り付けられており、下壁8における左右壁9・11寄り部分にはカート3のキャスター16が進入するキャスター進入用開口部17が所定間隔をあけて形成されている。
【0021】
本実施形態に係るカート収容型配膳車1は、要するに、その配膳車本体2のカート収容室4内に、トレイTを多段に配置したカート3全体がそのまま収容され、カート出入口部10の本体扉13を閉めて、冷却装置5、ヒータ35および蒸気発生装置6により、カート3内の各トレイT上に載せられた食器RW・MW内の食品を冷蔵したり、加熱したり、蒸気を供給したりするものである。
【0022】
カート3は、前記の通り、内部がトレイ収容室40となされたものであって、上下壁3a・3bと、左右壁3c・3dと、配膳車本体2の冷却装置5からの冷気および蒸気発生装置6からの水蒸気が流入する連通開口部3eと、トレイTが出し入れされるトレイ出入口部3fと、トレイ出入口部3fおよび連通開口部3eを開閉する左右一対のカート扉(図示せず)を備えている。
【0023】
図2に示すように、カート3内の略幅中央部分には、前後方向に伸びる多数の仕切壁部材15が上下方向に列設され、上下に隣り合う仕切壁部材15間のトレイ通路に前記トレイTが差し込まれて該トレイTが各仕切壁部材15間に挟み止められる。
【0024】
なお、図中16は前記の通り、カート3の下壁3bの外面四隅に取り付けられたキャスターを示す。
【0025】
図3に示すように、配膳車本体2のカート収容室4の後壁12において、その左寄り部分には上下方向に多数の蒸気噴出口19が列設され、また最下部の蒸気噴出口19から内方には外形が円形の蒸気吸込口21が形成されており、また後壁12における蒸気吸込口21の上方には多数の冷気噴出口22Aと多数の冷気吸入口23Aとが上下方向にそれぞれ二列で列設され、更にそれらの右側にも多数の冷気噴出口22Bと多数の冷気吸入口23Bとが上下方向にそれぞれ列設されている。
【0026】
配膳車本体2のカート収容室4の後壁12は、二枚の扉52A・52Bによって構成されている。
【0027】
そして、図4に示すように、カート収容室4の後壁12の後側には、水蒸気や冷気が通る個別のダクト27が設けられている。
【0028】
また、前記ダクト27内には、水蒸気を加熱するための加熱コイルからなる前記ヒータ35が配置されており、これによって、水蒸気が加熱される。また、ダクト27の下部に設置されたファン26によって、送風が行われる。
【0029】
そして、図5に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車1は、当該配膳車1の運転設定の入力および運転に係る表示を行う前記運転表示入力部(5001)と、前記ヒータ35を制御するヒータ制御部(5002)と、前記蒸気発生装置6を制御する蒸気制御部(5003)と、前記冷却装置5を制御する冷却制御部(5004)と、当該配膳車内1の温度を検知する温度検知手段(5008)と、当該配膳車1の運転時間を管理する時間管理部(5006)と、当該配膳車1の運転情報を記憶する運転情報記憶部(5007)と、当該配膳車1の運転を実行する運転演算処理部(5005)と、当該配膳車1の手動運転と自動運転の運転切り換え手段(5009)を有し、前記運転情報記憶部(5007)に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータ35による温冷室40Aの加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置40による温冷室40Aの蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部(5001)を介して前記運転情報記憶部(5007)に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて運転演算処理部(5005)を介して前記御飯、主菜および副菜等の冷却および再加熱が行われる。
【0030】
図10に示すように、前記運転表示入力部(5001)は、例えば液晶表示のタッチパネルであり、後述する通り、種々の運転設定や運転状況等の必要な表示および入力を行うものであり、例えば種々の入力設定を行うためのテンキー(1001)と、加熱設定を行うための加熱設定テーブル(1002)と、冷却設定を行うための冷却設定テーブル(1003)を有する。そして、前記加熱設定テーブル(1002)や冷却設定テーブル(1003)において、設定したい項目にタッチして前記テンキー(1001)で設定値を入力することで運転設定が行われる。また、運転表示入力部(5001)は、後述する通り、自動運転と手動運転の切り換えや手動運転における運転モード設定、更には運転状況の表示等を行うものである。
【0031】
また、図6に示すように、前記運転表示入力部(5001)では、前記運転切り換え手段(5009)に係る手動運転ボタン(6001)と自動運転ボタン(6002)が表示され、これらのいずれかを押すことで手動運転か自動運転が指定される。
【0032】
前記ヒータ制御部(5002)、前記蒸気制御部(5003)および前記冷却制御部(5004)は、通常、電気回路で構成されるが、ソフトウェアで実現しても良い。
【0033】
前記運転演算処理部(5005)は、当該配膳車1の運転制御を行う機能を有するものであり、通常、CPUやMPUで実現される。
【0034】
前記時間管理部(5006)は、当該配膳車1の運転時間を管理する機能を有するものであり、運転の開始や終了等の時刻に関する時計機能と経過時間を計測するタイマー機能を有するものであり、通常、電気回路やソフトウェアで実現される。
【0035】
前記運転情報記憶部(5007)は、通常、ハードディスク等の記録媒体と記録するソフトウェアによって実現される。
【0036】
前記温度検知手段(5008)は、当該配膳車1の温冷室40Aおよび冷室40Bの各温度を個別に検知するものであり、温度センサーが用いられる。
【0037】
前記手動運転と自動運転の運転切り換え手段(5009)は、通常、ソフトウェアで実現されるが、回路等のハードで実現しても良い。
【0038】
前述した通り、前記運転情報記憶部(5007)に記憶されている運転情報は、少なくとも、前記ヒータ35による温冷室40Aの加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置6による温冷室40Aの蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部(5001)を介して前記運転情報記憶部(5007)に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記御飯、主菜および副菜等の再加熱が行われる。
【0039】
また、温冷室40Aおよび冷室40Bの冷却運転については、前記運転表示入力部(5001)の冷却設定テーブル(1003)で設定された所定温度での冷却が実行される。そして、本実施形態では、通常、冷室40Bについては、当該配膳車1の運転中は、常に所定温度での冷却が行われ、温冷室40Aについては、後述する加熱運転が開始されるまで所定温度での冷却運転が行われる。通常、当該配膳車1の電源を入れて先ず、温冷室40Aおよび冷室40Bの冷却運転を開始し、その後、温冷室40Aについては、所定の加熱運転モードでの運転が行われる。
【0040】
すなわち、本実施形態では、運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、温冷室を冷却する保冷運転モードと温冷室を加熱する加熱運転モードと温冷室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードでは温冷室の冷却を行い、前記加熱運転モードでは温冷室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードでは温冷室の保温のみを行う。
【0041】
そして、図7に示すように、前記図6の運転表示入力部(5001)での表示において、手動運転ボタン(6001)を押した場合、前述した保冷運転モードのボタン(7001)と、前記加熱運転モードのボタン(7002)と、保温運転モードのボタン(7003)が表示され、これらボタンのいずれかを押すことで、押したボタンの運転が個別に実行される。
【0042】
すなわち、保冷運転モードボタン(7001)を押すことで保冷運転が実行され、加熱運転モードボタン(7002)を押すことで加熱運転が実行され、保温運転モードボタン(7003)を押すことで保温運転が実行される。
【0043】
また、保冷運転モードボタン(7001)と加熱運転モードボタン(7002)と保温運転モードボタン(7003)は、順番に押される場合の他、個別に1つだけ押される場合もあり、例えば、いきなり加熱運転モードボタン(7002)を押した場合、保冷運転は行われず、加熱運転が実行され、またいきなり保温運転モードボタン(7003)を押した場合、保冷運転と加熱運転は行われず、保温運転のみが実行される。
【0044】
また、本実施形態では、前記加熱運転モードボタン(7002)を押すことで、予め設定された加熱運転が行われ、次に該加熱運転に続いて保温運転が自動的に実行されるモード設定する場合もある。
【0045】
図8に示すように、前記運転表示入力部(5001)において、加熱運転モードの設定を行う場合、前記加熱設定テーブル(1002)をタッチして、テンキー(1001)で、加熱温度、加熱時間、仕上温度、仕上時間、蒸気供給開始温度、加熱中蒸気出力および仕上中蒸気出力、更に必要に応じて保温温度の設定も行う。
【0046】
前記図6の運転表示入力部(5001)での表示において、自動運転ボタン(6002)を押した場合、最初に前記保冷運転モードでの所定温度の冷却が行われ、次に加熱運転モードに移行する。
【0047】
この場合、図11に示すように、前記運転表示入力部(5001)で表示される仕上げ終了時刻設定テーブル(1101)において、例えば日曜~土曜までの毎日の朝食、昼食および夕食における仕上げ終了時刻を各給食の提供時刻に合わせて予めテンキー(1001)で設定しておくことで、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行する。
【0048】
次に、図9に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車1の運転方法の一例について説明すると、前記冷却装置5の運転によって、前記トレイ収容室40の冷室40Bおよび温冷室40Aをそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップ(S9001)と、温冷室40Aについては、前記冷却装置5による保冷を停止すると共に前記ヒータ35を作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップ(S9002)と、該加熱運転ステップ(S9002)の途中から前記蒸気発生装置6を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータ35の出力および前記蒸気発生装置の出力を徐々に下げる仕上運転ステップ(S9003)と、前記蒸気発生装置6の作動を停止して温冷室40A内を70~80℃の範囲に維持する保温運転ステップ(S9004)を行う。
【0049】
図12に示すように、当該配膳車1の運転中においては、運転表示入力部(5001)では、前記各運転モード(1201)と、温冷室温度(1202)と、冷室温度(1203)が表示される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る蒸気加熱式温冷配膳車によれば、蒸気を使った御飯、主菜および副菜等の美味な再加熱・給食が実現されるため、配膳車の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0051】
1 蒸気加熱式温冷配膳車
2 配膳車本体
3 カート
4 カート収容室
5 冷却装置
6 蒸気発生装置
15 仕切り壁部材
35 ヒータ
40 トレイ収容室
40A 温冷室
40B 冷室
(5001) 運転表示入力部
(5002) ヒータ制御部
(5003) 蒸気制御部
(5004) 冷却制御部
(5005) 運転演算処理部
(5006) 時間管理部
(5007) 運転情報記憶部
(5008) 温度検知手段
(5009) 運転切り換え手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは御飯が入った飯茶碗や主菜、副菜等が入った食器が載置されたトレイを多段に収容するトレイ収容室を備え、該トレイ収容室内の上下方向に列設された仕切り壁部材を挟んで、その一側が冷却と蒸気加熱を行う温冷室、同他側が冷却のみ行う冷室となされており、前記配膳車本体には前記カートの冷室および温冷室内に冷気を供給する冷却装置と、前記カートの温冷室を加熱するヒータと、前記温冷室に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷配膳車であって、
当該配膳車の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部と、
前記ヒータを制御するヒータ制御部と、前記蒸気発生装置を制御する蒸気制御部と、前記冷却装置を制御する冷却制御部と、
当該配膳車内の温度を検知する温度検知手段と、
当該配膳車の運転時間を管理する時間管理部と、
当該配膳車の運転情報を記憶する運転情報記憶部と、
当該配膳車の運転を実行する運転演算処理部と、
を有し、
前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによる温冷室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置による温冷室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記御飯、主菜および副菜等の再加熱が行われ、且つ前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、温冷室を冷却する保冷運転モードと温冷室を加熱する加熱運転モードと温冷室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードでは温冷室の冷却を行い、前記加熱運転モードでは温冷室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードでは温冷室の保温のみを行うことを特徴とする、蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項2】
更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする、請求項1記載の蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項3】
運転情報記憶部に記憶されている手動運転では加熱運転モードに続いて自動的に保温運転モードが実行されることを特徴とする、請求項2記載の蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項4】
運転情報記憶部に記憶されている運転情報として、仕上時間および仕上温度、並びに保温温度が含まれている、請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載の蒸気加熱式温冷配膳車。
【請求項5】
請求項1記載の蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法であって、冷却装置の運転によって、トレイ収容室の冷室および温冷室をそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップと、温冷室については、前記冷却装置による保冷を停止すると共にヒータを作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップと、該加熱運転ステップの途中から蒸気発生装置を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータの出力および前記蒸気発生装置の出力を下げる仕上運転ステップと、前記蒸気発生装置の作動を停止して温冷室内を65~80℃の範囲に維持する保温運転ステップを行うことを特徴とする、蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や老人ホーム等の介護施設において給食を提供する際に用いられる蒸気加熱式温冷配膳車およびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の配膳車としては、貯蔵室と、 前記貯蔵室を冷却する冷蔵運転を行う冷却部と、前記冷却部の冷蔵運転の開始または停止を操作可能な操作部と、前記冷蔵運転の開始操作を行うよう警告することが可能な警告部と、前記操作部による操作に基づいて前記冷却部の動作を制御するとともに、前記操作部に前記冷蔵運転を停止させる操作が行われるのに伴って前記警告部に警告を発するよう制御する制御部と、使用者による入力位置を検出する入力位置検出機能を有し、前記操作部を構成する操作画面が表示されると共に、前記警告部を構成する警告画像を表示可能な表示部と、を備え、前記操作画面には、所定の時刻に少なくとも前記冷蔵運転を開始させるためのスタートボタンと、前記冷蔵運転を停止させることが可能な設定画面に移行するための設定ボタンと、が含まれ、前記警告画像には、前記冷蔵運転の停止を通知する表示と、前記冷蔵運転を再開するために前記スタートボタンによる操作を促す表示と、が含まれており、前記制御部は、使用者により前記設定画面において前記冷蔵運転の停止操作が行われると、前記表示部に前記警告画像を表示する冷却貯蔵庫が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-4176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した構成の冷蔵貯蔵庫は、給食として提供する調理済み食品のチルド運転を開始した後に、給食内容を変更するなどの事情が生じた場合、チルド運転を一旦停止させて、貯蔵していた食品の入れ替えを行った後に、チルド運転を再度開始させる操作を行う必要があるが、給食作業者が前記チルド保存運転の再開操作を失念して実行しない際に再開操作の警告を行うものである。
【0005】
しかしながら、前述した運転警告は、単にチルド運転の確実性を担保するだけのものであり、配膳車内の加熱と冷却の総合的な運転制御を行うものではなかった。
【0006】
本発明の目的は、効率的且つ安全性の高い蒸気加熱と冷却保存を実行することが可能な蒸気加熱式温冷配膳車およびその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは御飯が入った飯茶碗や主菜、副菜等が入った食器が載置されたトレイを多段に収容するトレイ収容室を備え、該トレイ収容室内の上下方向に列設された仕切り壁部材を挟んで、その一側が冷却と蒸気加熱を行う温冷室、同他側が冷却のみ行う冷室となされており、前記配膳車本体には前記カートの冷室および温冷室内に冷気を供給する冷却装置と、前記カートの温冷室を加熱するヒータと、前記温冷室に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷配膳車であって、当該配膳車の運転設定に係る入力および運転に係る表示を行う運転表示入力部と、前記ヒータを制御するヒータ制御部と、前記蒸気発生装置を制御する蒸気制御部と、前記冷却装置を制御する冷却制御部と、当該配膳車内の温度を検知する温度検知手段と、当該配膳車の運転時間を管理する時間管理部と、当該配膳車の運転情報を記憶する運転情報記憶部と、当該配膳車の運転を実行する運転演算処理部と、を有し、前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによる温冷室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置による温冷室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記御飯、主菜および副菜等の再加熱が行われ、且つ前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、温冷室を冷却する保冷運転モードと温冷室を加熱する加熱運転モードと温冷室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードでは温冷室の冷却を行い、前記加熱運転モードでは温冷室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードでは温冷室の保温のみを行うことを特徴とする蒸気加熱式温冷配膳車である。
【0008】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の蒸気加熱式温冷配膳車について、更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明は、前記請求項2記載の蒸気加熱式温冷配膳車について、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では加熱運転モードに続いて自動的に保温運転モードが実行されることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1~請求項3のうちのいずれか一項記載の蒸気加熱式温冷配膳車について、運転情報記憶部に記憶されている運転情報として、仕上時間および仕上温度、並びに保温温度が含まれていることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明は、前記請求項1記載の蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法であって、冷却装置の運転によって、トレイ収容室の冷室および温冷室をそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップと、温冷室については、前記冷却装置による保冷を停止すると共にヒータを作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップと、該加熱運転ステップの途中から蒸気発生装置を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータの出力および前記蒸気発生装置の出力を徐々に下げる仕上運転ステップと、前記蒸気発生装置の作動を停止して温冷室内を65~80℃の範囲に維持する保温運転ステップを行うことを特徴とする蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る蒸気加熱式温冷配膳車は、カート収容室を有する配膳車本体と、該配膳車本体の前記カート収容室に収容されるカートとで構成され、該カートは御飯が入った飯茶碗や主菜、副菜等が入った食器が載置されたトレイを多段に収容するトレイ収容室を備え、該トレイ収容室内の上下方向に列設された仕切り壁部材を挟んで、その一側が冷却と蒸気加熱を行う温冷室、同他側が冷却のみ行う冷室となされており、前記配膳車本体には前記カートの冷室および温冷室内に冷気を供給する冷却装置と、前記カートの温冷室を加熱するヒータと、前記温冷室に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられた蒸気加熱式温冷配膳車において、前記温冷室について、効率的且つ適切な蒸気加熱が実行され得る。そして、本発明の蒸気加熱式温冷配膳車は、前記運転情報記憶部に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータによる温冷室の加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置による温冷室の蒸気供給開始温度および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部を介して前記運転情報記憶部に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記御飯、主菜および副菜等の再加熱が行われる構成となっているため、配膳時刻までに、その提供される前記食品の冷却保存と蒸気による再加熱が簡単かつ適切に、しかも安全に行われるという格別の効果が得られる。特に、保冷運転モードと加熱運転モードおよび保温運転モードを備え、加熱の途中から蒸気を供給する加熱運転モードによって、食品の美味な再加熱が実現され得る。
【0013】
更に、手動運転と自動運転の切り換え手段を有し、運転情報記憶部に記憶されている手動運転では保冷運転モードと加熱運転モードと保温運転モードをそれぞれ個別に実行し、前記運転情報記憶部に記憶されている自動運転では保冷運転モードから自動的に加熱運転モード、更には保温運転モードへと移行し、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行することを特徴とする本発明の蒸気加熱式温冷配膳車によれば、配膳時刻に合わせて前記仕上げ終了時刻を設定しておくだけで、保冷運転モードから自動的に所定の加熱運転モードが実行されて食品の再加熱が配膳時刻に合わせて適切に行われるという格別の実用的利点が得られる。
【0014】
また、本発明に係る蒸気加熱式温冷配膳車の運転方法によれば、先ず0~5℃の保冷運転ステップで冷室および温冷室内に食品を冷却保存して腐敗を防止し、次に温冷室内を120~130℃の高温域まで加熱することで食品の加熱殺菌と再加熱を実行し、その後、仕上運転ステップで食品に対して適度の蒸らしが行われて、該食品がべとつかず、適度に保湿状態となり、その後の保温運転モードによって、配膳時刻に合わせて前記食品の温かさが保持され、その結果、美味な給食が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車の正面図である。
図2】同実施形態に係る配膳車を構成する配膳車本体とカートの両方の扉を開いた状態の正面図である。
図3図2の配膳車からカートを出した状態の配膳車本体の正面図である。
図4】同実施形態に係る配膳車の縦断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車の運転機構を示す機能ブロック図である。
図6】同実施形態に係る配膳車の運転切り換えボタンが表示された運転表示入力部の正面図である。
図7】手動運転における各運転モードボタンが表示された運転表示入力部の正面図である。
図8】加熱設定の入力表が表示された運転表示入力部の正面図である。
図9】運転の進行を示すフローチャートである。
図10】各温度設定テーブルが表示された運転表示入力部の正面図である。
図11】仕上げ終了時刻設定テーブルの表示がされた運転表示入力部の正面図である。
図12】温冷室と冷室の温度表示がされた運転表示入力部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。また、本発明において、「水蒸気」は、設定温度によって、飽和水蒸気であったり、未飽和の水蒸気であったり、或いは過熱水蒸気(過熱蒸気)の場合もある。
【0017】
なお、本発明の配膳車において、前後、左右および上下は、図2を基準とし、前とは図2の図紙面の表側方向を指し、後とは同裏側方向を意味する。また、左とは図2の左側方向を指し、右とは同右側方向を意味する。更に、上とは図2の上側方向を指し、下とは同下側方向を意味する。
【0018】
先ず、図1図4に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車の基本構造について説明すると、蒸気加熱式温冷配膳車1は、カート収容室4を有する配膳車本体2と、該配膳車本体2の前記カート収容室4に収容されるカート3とで構成され、該カート3は御飯が入った飯茶碗RWや主菜、副菜等が入った食器MWが載置されたトレイTを多段に収容するトレイ収容室40を備え、該トレイ収容室40内の上下方向に列設された仕切り壁部材15を挟んで、その一側が冷却と蒸気加熱を行う温冷室40A、同他側が冷却のみ行う冷室40Bとなされており、前記配膳車本体2には前記カート3の温冷室40Aおよび冷室40B内に冷気を供給する冷却装置5と、前記カートの温冷室40Aを加熱するヒータ35と、前記温冷室40Aに蒸気を供給する蒸気発生装置6が設けられている。また、前記配膳車本体2の上部には、後述する運転表示入力部(5 001)が設けられている。
【0019】
配膳車本体2のカート収容室4は、上下壁7・8と左右壁9・11と後壁12と前側に形成されたカート出入口部10を備え、カート出入口部10の両側縁には左右一対の本体扉13が取り付けられている。またカート収容室4の下壁8の外面四隅にはキャスター14と脚体30がそれぞれ取り付けられており、下壁8における左右壁9・11寄り部分にはカート3のキャスター16が進入するキャスター進入用開口部17が所定間隔をあけて形成されている。
【0020】
本実施形態に係るカート収容型配膳車1は、要するに、その配膳車本体2のカート収容室4内に、トレイTを多段に配置したカート3全体がそのまま収容され、カート出入口部10の本体扉13を閉めて、冷却装置5、ヒータ35および蒸気発生装置6により、カート3内の各トレイT上に載せられた食器RW・MW内の食品を冷蔵したり、加熱したり、蒸気を供給したりするものである。
【0021】
カート3は、前記の通り、内部がトレイ収容室40となされたものであって、上下壁3a・3bと、左右壁3c・3dと、配膳車本体2の冷却装置5からの冷気および蒸気発生装置6からの水蒸気が流入する連通開口部3eと、トレイTが出し入れされるトレイ出入口部3fと、トレイ出入口部3fおよび連通開口部3eを開閉する左右一対のカート扉(図示せず)を備えている。
【0022】
図2に示すように、カート3内の略幅中央部分には、前後方向に伸びる多数の仕切壁部材15が上下方向に列設され、上下に隣り合う仕切壁部材15間のトレイ通路に前記トレイTが差し込まれて該トレイTが各仕切壁部材15間に挟み止められる。
【0023】
なお、図中16は前記の通り、カート3の下壁3bの外面四隅に取り付けられたキャスターを示す。
【0024】
図3に示すように、配膳車本体2のカート収容室4の後壁12において、その左寄り部分には上下方向に多数の蒸気噴出口19が列設され、また最下部の蒸気噴出口19から内方には外形が円形の蒸気吸込口21が形成されており、また後壁12における蒸気吸込口21の上方には多数の冷気噴出口22Aと多数の冷気吸入口23Aとが上下方向にそれぞれ二列で列設され、更にそれらの右側にも多数の冷気噴出口22Bと多数の冷気吸入口23Bとが上下方向にそれぞれ列設されている。
【0025】
配膳車本体2のカート収容室4の後壁12は、二枚の扉52A・52Bによって構成されている。
【0026】
そして、図4に示すように、カート収容室4の後壁12の後側には、水蒸気や冷気が通る個別のダクト27が設けられている。
【0027】
また、前記ダクト27内には、水蒸気を加熱するための加熱コイルからなる前記ヒータ35が配置されており、これによって、水蒸気が加熱される。また、ダクト27の下部に設置されたファン26によって、送風が行われる。
【0028】
そして、図5に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車1は、当該配膳車1の運転設定の入力および運転に係る表示を行う前記運転表示入力部(5001)と、前記ヒータ35を制御するヒータ制御部(5002)と、前記蒸気発生装置6を制御する蒸気制御部(5003)と、前記冷却装置5を制御する冷却制御部(5004)と、当該配膳車内1の温度を検知する温度検知手段(5008)と、当該配膳車1の運転時間を管理する時間管理部(5006)と、当該配膳車1の運転情報を記憶する運転情報記憶部(5007)と、当該配膳車1の運転を実行する運転演算処理部(5005)と、当該配膳車1の手動運転と自動運転の運転切り換え手段(5009)を有し、前記運転情報記憶部(5007)に記憶されている運転情報が少なくとも、前記ヒータ35による温冷室40Aの加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置40による温冷室40Aの蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部(5001)を介して前記運転情報記憶部(5007)に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて運転演算処理部(5005)を介して前記御飯、主菜および副菜等の冷却および再加熱が行われる。
【0029】
図10に示すように、前記運転表示入力部(5001)は、例えば液晶表示のタッチパネルであり、後述する通り、種々の運転設定や運転状況等の必要な表示および入力を行うものであり、例えば種々の入力設定を行うためのテンキー(1001)と、加熱設定を行うための加熱設定テーブル(1002)と、冷却設定を行うための冷却設定テーブル(1003)を有する。そして、前記加熱設定テーブル(1002)や冷却設定テーブル(1003)において、設定したい項目にタッチして前記テンキー(1001)で設定値を入力することで運転設定が行われる。また、運転表示入力部(5001)は、後述する通り、自動運転と手動運転の切り換えや手動運転における運転モード設定、更には運転状況の表示等を行うものである。
【0030】
また、図6に示すように、前記運転表示入力部(5001)では、前記運転切り換え手段(5009)に係る手動運転ボタン(6001)と自動運転ボタン(6002)が表示され、これらのいずれかを押すことで手動運転か自動運転が指定される。
【0031】
前記ヒータ制御部(5002)、前記蒸気制御部(5003)および前記冷却制御部(5004)は、通常、電気回路で構成されるが、ソフトウェアで実現しても良い。
【0032】
前記運転演算処理部(5005)は、当該配膳車1の運転制御を行う機能を有するものであり、通常、CPUやMPUで実現される。
【0033】
前記時間管理部(5006)は、当該配膳車1の運転時間を管理する機能を有するものであり、運転の開始や終了等の時刻に関する時計機能と経過時間を計測するタイマー機能を有するものであり、通常、電気回路やソフトウェアで実現される。
【0034】
前記運転情報記憶部(5007)は、通常、ハードディスク等の記録媒体と記録するソフトウェアによって実現される。
【0035】
前記温度検知手段(5008)は、当該配膳車1の温冷室40Aおよび冷室40Bの各温度を個別に検知するものであり、温度センサーが用いられる。
【0036】
前記手動運転と自動運転の運転切り換え手段(5009)は、通常、ソフトウェアで実現されるが、回路等のハードで実現しても良い。
【0037】
前述した通り、前記運転情報記憶部(5007)に記憶されている運転情報は、少なくとも、前記ヒータ35による温冷室40Aの加熱温度および加熱時間と前記蒸気発生装置6による温冷室40Aの蒸気供給開始温度、蒸気供給時間および蒸気供給出力に関する情報を含み、これらの情報が前記運転表示入力部(5001)を介して前記運転情報記憶部(5007)に入力記憶され、該入力記憶された運転情報に基づいて前記運転演算処理部を介して前記御飯、主菜および副菜等の再加熱が行われる。
【0038】
また、温冷室40Aおよび冷室40Bの冷却運転については、前記運転表示入力部(5001)の冷却設定テーブル(1003)で設定された所定温度での冷却が実行される。そして、本実施形態では、通常、冷室40Bについては、当該配膳車1の運転中は、常に所定温度での冷却が行われ、温冷室40Aについては、後述する加熱運転が開始されるまで所定温度での冷却運転が行われる。通常、当該配膳車1の電源を入れて先ず、温冷室40Aおよび冷室40Bの冷却運転を開始し、その後、温冷室40Aについては、所定の加熱運転モードでの運転が行われる。
【0039】
すなわち、本実施形態では、運転情報記憶部に記憶されている運転情報が、温冷室を冷却する保冷運転モードと温冷室を加熱する加熱運転モードと温冷室を保温する保温運転モードを含み、前記保冷運転モードでは温冷室の冷却を行い、前記加熱運転モードでは温冷室を加熱しつつ、その途中から蒸気を供給して所定時間の仕上げを行い、前記保温運転モードでは温冷室の保温のみを行う。
【0040】
そして、図7に示すように、前記図6の運転表示入力部(5001)での表示において、手動運転ボタン(6001)を押した場合、前述した保冷運転モードのボタン(7001)と、前記加熱運転モードのボタン(7002)と、保温運転モードのボタン(7003)が表示され、これらボタンのいずれかを押すことで、押したボタンの運転が個別に実行される。
【0041】
すなわち、保冷運転モードボタン(7001)を押すことで保冷運転が実行され、加熱運転モードボタン(7002)を押すことで加熱運転が実行され、保温運転モードボタン(7003)を押すことで保温運転が実行される。
【0042】
また、保冷運転モードボタン(7001)と加熱運転モードボタン(7002)と保温運転モードボタン(7003)は、順番に押される場合の他、個別に1つだけ押される場合もあり、例えば、いきなり加熱運転モードボタン(7002)を押した場合、保冷運転は行われず、加熱運転が実行され、またいきなり保温運転モードボタン(7003)を押した場合、保冷運転と加熱運転は行われず、保温運転のみが実行される。
【0043】
また、本実施形態では、前記加熱運転モードボタン(7002)を押すことで、予め設定された加熱運転が行われ、次に該加熱運転に続いて保温運転が自動的に実行されるモード設定する場合もある。
【0044】
図8に示すように、前記運転表示入力部(5001)において、加熱運転モードの設定を行う場合、前記加熱設定テーブル(1002)をタッチして、テンキー(1001)で、加熱温度、加熱時間、仕上温度、仕上時間、蒸気供給開始温度、加熱中蒸気出力および仕上中蒸気出力、更に必要に応じて保温温度の設定も行う。
【0045】
前記図6の運転表示入力部(5001)での表示において、自動運転ボタン(6002)を押した場合、最初に前記保冷運転モードでの所定温度の冷却が行われ、次に加熱運転モードに移行する。
【0046】
この場合、図11に示すように、前記運転表示入力部(5001)で表示される仕上げ終了時刻設定テーブル(1101)において、例えば日曜~土曜までの毎日の朝食、昼食および夕食における仕上げ終了時刻を各給食の提供時刻に合わせて予めテンキー(1001)で設定しておくことで、予め前記運転情報記憶部に入力された仕上げ終了時刻に合わせて自動的に保冷運転モードから所定時間の加熱運転モードに移行する。
【0047】
次に、図9に示すように、本実施形態に係る蒸気加熱式温冷配膳車1の運転方法の一例について説明すると、前記冷却装置5の運転によって、前記トレイ収容室40の冷室40Bおよび温冷室40Aをそれぞれ0~5℃の温度範囲とする保冷運転ステップ(S9001)と、温冷室40Aについては、前記冷却装置5による保冷を停止すると共に前記ヒータ35を作動させて120~130℃の温度範囲まで上昇させる加熱運転ステップ(S9002)と、該加熱運転ステップ(S9002)の途中から前記蒸気発生装置6を作動させて蒸気を供給すると共に、前記ヒータ35の出力および前記蒸気発生装置の出力を徐々に下げる仕上運転ステップ(S9003)と、前記蒸気発生装置6の作動を停止して温冷室40A内を70~80℃の範囲に維持する保温運転ステップ(S9004)を行う。
【0048】
図12に示すように、当該配膳車1の運転中においては、運転表示入力部(5001)では、前記各運転モード(1201)と、温冷室温度(1202)と、冷室温度(1203)が表示される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る蒸気加熱式温冷配膳車によれば、蒸気を使った御飯、主菜および副菜等の美味な再加熱・給食が実現されるため、配膳車の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0050】
1 蒸気加熱式温冷配膳車
2 配膳車本体
3 カート
4 カート収容室
5 冷却装置
6 蒸気発生装置
15 仕切り壁部材
35 ヒータ
40 トレイ収容室
40A 温冷室
40B 冷室
(5001) 運転表示入力部
(5002) ヒータ制御部
(5003) 蒸気制御部
(5004) 冷却制御部
(5005) 運転演算処理部
(5006) 時間管理部
(5007) 運転情報記憶部
(5008) 温度検知手段
(5009) 運転切り換え手段