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特開2024-120335防眩性フィルム、光学部材、画像表示装置、防眩性フィルムの設計方法、防眩性フィルムの製造方法、光学部材の製造方法、及び画像表示装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120335
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】防眩性フィルム、光学部材、画像表示装置、防眩性フィルムの設計方法、防眩性フィルムの製造方法、光学部材の製造方法、及び画像表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240829BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240829BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240829BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02B5/30
B32B7/023
B32B27/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027065
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 寛也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚樹
【テーマコード(参考)】
2H042
2H149
4F100
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA03
2H042BA12
2H042BA13
2H042BA15
2H042BA20
2H149AA01
2H149BA02
2H149FC06
2H149FD03
2H149FD12
2H149FD25
4F100AA00A
4F100AA00H
4F100AA20A
4F100AA20H
4F100AK01A
4F100AK25A
4F100AK25H
4F100AK52A
4F100AK52H
4F100BA01
4F100CC02A
4F100DE01A
4F100DE01H
4F100GB48
4F100JN18A
4F100JN18H
4F100JN30A
4F100YY00A
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節可能な防眩性フィルムを提供する。
【解決手段】防眩性フィルム10は防眩層12を含む防眩性フィルムであって、防眩層12は、防眩層形成樹脂12a中に第1の粒子12b及び第2の粒子12cを含み、防眩層形成樹脂12a、第1の粒子12b及び第2の粒子12cの、波長550nmで測定した屈折率が、下記数式(1)~(3)を満たすことを特徴とする。
n1<n2(1)
(N-n1)≧0.04(2)
|N-n2|≦0.03(3)
前記数式(1)~(3)において、Nは、防眩層形成樹脂12aの屈折率であり、n1は、第1の粒子12bの屈折率であり、n2は、第2の粒子12cの屈折率である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防眩層を含む防眩性フィルムであって、
前記防眩層は、防眩層形成樹脂中に第1の粒子及び第2の粒子を含み、
前記防眩層形成樹脂、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の、波長550nmで測定した屈折率が、下記数式(1)~(3)を満たすことを特徴とする防眩性フィルム。

n1<n2 (1)
(N-n1)≧0.04 (2)
|N-n2|≦0.03 (3)

前記数式(1)~(3)において、
Nは、前記防眩層形成樹脂の屈折率であり、
n1は、前記第1の粒子の屈折率であり、
n2は、前記第2の粒子の屈折率である。
【請求項2】
前記第2の粒子の質量が、前記第1の粒子の質量に対し1~80倍である請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項3】
前記第2の粒子の重量平均粒子径が、前記第1の粒子の重量平均粒子径に対し0.2~5倍である請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項4】
前記第1の粒子が無機粒子であり、前記第2の粒子が有機粒子である請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項5】
前記防眩性フィルムの内部ヘイズと外部ヘイズとの関係が、下記数式(4)を満たす請求項1記載の防眩性フィルム。

0.1≦(Ha/Hb)≦20 (4)

前記数式4において、Haは、前記防眩性フィルム全体の内部ヘイズであり、Hbは、前記防眩性フィルム全体の外部ヘイズである。
【請求項6】
請求項1記載の防眩性フィルムを含む光学部材。
【請求項7】
偏光板である請求項6記載の光学部材。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性フィルム、又は請求項6若しくは7記載の光学部材を含む画像表示装置。
【請求項9】
防眩層を含む防眩性フィルムの設計方法であって、
前記防眩性フィルムが、請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性フィルムであり、
前記数式(1)~(3)を満たす範囲内で、前記防眩層形成樹脂、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の、波長550nmで測定した屈折率を設計することにより、前記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計することを特徴とする防眩性フィルムの設計方法。
【請求項10】
請求項9記載の防眩性フィルムの設計方法により前記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計するヘイズ設計工程を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性フィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の製造方法により請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性フィルムを製造する工程を含む、請求項6又は7記載の光学部材の製造方法。
【請求項12】
請求項10記載の製造方法により請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性フィルムを製造する工程を含む、請求項8記載の画像表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩性フィルム、光学部材、画像表示装置、防眩性フィルムの設計方法、防眩性フィルムの製造方法、光学部材の製造方法、及び画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防眩性フィルムは、フィルム表面に防眩層を設けて防眩性を付与したフィルムであり、画像表示装置に広く用いられている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-109683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、防眩性フィルムにおいて、内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節することは困難である。内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節できないと、防眩性フィルムの光学特性に問題が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節可能な防眩性フィルム、光学部材、画像表示装置、防眩性フィルムの設計方法、防眩性フィルムの製造方法、光学部材の製造方法、及び画像表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の防眩性フィルムは、
防眩層を含む防眩性フィルムであって、
前記防眩層は、防眩層形成樹脂中に第1の粒子及び第2の粒子を含み、
前記防眩層形成樹脂、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の、波長550nmで測定した屈折率が、下記数式(1)~(3)を満たすことを特徴とする。

n1<n2 (1)
(N-n1)≧0.04 (2)
|N-n2|≦0.03 (3)

前記数式(1)~(3)において、
Nは、前記防眩層形成樹脂の屈折率であり、
n1は、前記第1の粒子の屈折率であり、
n2は、前記第2の粒子の屈折率である。
【0007】
本発明の光学部材は、本発明の防眩性フィルムを含む光学部材である。
【0008】
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩性フィルム、又は本発明の光学部材を含む画像表示装置である。
【0009】
本発明の防眩性フィルムの設計方法は、
防眩層を含む防眩性フィルムの設計方法であって、
前記防眩性フィルムが、前記本発明の防眩性フィルムであり、
前記数式(1)~(3)を満たす範囲内で、前記防眩層形成樹脂、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の、波長550nmで測定した屈折率を設計することにより、前記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計することを特徴とする。
【0010】
本発明の防眩性フィルムの製造方法は、前記本発明の防眩性フィルムの設計方法により前記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計するヘイズ設計工程を含む、前記本発明の防眩性フィルムの製造方法である。
【0011】
本発明の光学部材の製造方法は、前記本発明の防眩性フィルムの製造方法により前記本発明の防眩性フィルムを製造する工程を含む、前記本発明の光学部材の製造方法である。
【0012】
本発明の画像表示装置の製造方法は、前記本発明の防眩性フィルムの製造方法により前記本発明の防眩性フィルムを製造する工程、又は、前記本発明の光学部材の製造方法により前記本発明の光学部材を製造する工程を含む、前記本発明の画像表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節可能な防眩性フィルム、光学部材、画像表示装置、防眩性フィルムの設計方法、防眩性フィルムの製造方法、光学部材の製造方法、及び画像表示装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の防眩性フィルムにおける構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。
【0016】
本発明の防眩性フィルムは、例えば、前記第2の粒子の質量が、前記第1の粒子の質量に対し1~80倍であってもよい。
【0017】
本発明の防眩性フィルムは、例えば、前記第2の粒子の重量平均粒子径が、前記第1の粒子の重量平均粒子径に対し0.2~5倍であってもよい。
【0018】
本発明の防眩性フィルムは、例えば、前記第1の粒子が無機粒子であり、前記第2の粒子が有機粒子であってもよい。
【0019】
本発明の防眩性フィルムは、例えば、前記防眩性フィルムの内部ヘイズと外部ヘイズとの関係が、下記数式(4)を満たしてもよい。

0.1≦(Ha/Hb)≦20 (4)

前記数式4において、Haは、前記防眩性フィルム全体の内部ヘイズであり、Hbは、前記防眩性フィルム全体の外部ヘイズである。
【0020】
本発明の光学部材は、例えば、偏光板であってもよい。
【0021】
なお、本発明において、「重量」と「質量」とは、特に断らない限り、互いに読み替えてもよいものとする。例えば、「質量部」は「重量部」と読み替えてもよく、「重量部」は「質量部」と読み替えてもよく、「質量%」は「重量%」と読み替えてもよく、「重量%」は「質量%」と読み替えてもよいものとする。
【0022】
[1.防眩性フィルム及び防眩性フィルムの設計方法]
本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、
防眩層を含む防眩性フィルムであって、
前記防眩層は、防眩層形成樹脂中に第1の粒子及び第2の粒子を含み、
前記防眩層形成樹脂、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の、波長550nmで測定した屈折率が、下記数式(1)~(3)を満たすことを特徴とする。

n1<n2 (1)
(N-n1)≧0.04 (2)
|N-n2|≦0.03 (3)

前記数式(1)~(3)において、
Nは、前記防眩層形成樹脂の屈折率であり、
n1は、前記第1の粒子の屈折率であり、
n2は、前記第2の粒子の屈折率である。
【0023】
図1の断面図に、本発明の防眩性フィルムにおける構成の一例を示す。図示のとおり、この防眩性フィルム10は、基材11と、その一方の面上に積層された防眩層12とから構成されている。防眩層12は、防眩層形成樹脂12a、第1の粒子12b及び第2の粒子12cを含み、防眩層形成樹脂12a内に第1の粒子12b及び第2の粒子12cが分散されて形成されている。防眩層12における基材11と反対側の表面には、凹凸が形成されている。第1の粒子12b及び第2の粒子12cは、例えば、防眩層12表面に凹凸を付与して防眩性を付与する防眩性粒子として機能する。
【0024】
基材11及び防眩層形成樹脂12aの材質は、特に限定されないが、例えば、後述する「2.防眩性フィルムの製造方法」に記載するとおりである。第1の粒子12b及び第2の粒子12cも特に限定されないが、例えば、後述するとおりである。
【0025】
前記数式(1)及び(2)に示すとおり、第1の粒子12bは、防眩層形成樹脂12a及び第2の粒子12cよりも屈折率が小さい。前記数式(2)に示すとおり、第1の粒子12bは、防眩層形成樹脂12aとの屈折率差が0.04以上と大きい。前記数式(3)に示すとおり、第2の粒子12cは、防眩層形成樹脂12aとの屈折率差が0.03以下と小さい。
【0026】
第1の粒子12bは、防眩層形成樹脂12aとの屈折率差が大きいために、内部散乱が大きい。このため、第1の粒子12bは、少しの部数で大きな内部ヘイズを防眩層12に付与することができる。このため、第1の粒子12bの屈折率、防眩層12中の第1の粒子12bの含有率等を調節することで、例えば、外部ヘイズに大きな影響を与えずに内部ヘイズを調節可能である。なお、外部ヘイズは、例えば防眩性に影響を与えるパラメータである。
【0027】
第2の粒子12cは、防眩層形成樹脂12aとの屈折率差が小さいために、内部散乱が小さい。このため、第2の粒子12cの屈折率、防眩層12中の第2の粒子12cの含有率等を調節することで、例えば、内部ヘイズに大きな影響を与えずに外部ヘイズを調節可能である。
【0028】
このように、本発明の防眩性フィルムでは、防眩層に、屈折率及び防眩層形成樹脂との屈折率差が異なる2種類の粒子を用いる。これにより、前記2種類の粒子の屈折率、防眩層中の含有率等を調節することで、防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを好適な数値に調節可能である。そして、そのようにして防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを調節することで、例えば、防眩性フィルム全体の防眩性及び全ヘイズ(トータルヘイズ)を好適に調節可能である。なお、全ヘイズは、内部ヘイズと外部ヘイズとの和である。
【0029】
防眩性フィルムにおいて、内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節できないと、前述のとおり、防眩性フィルムの光学特性に問題が生じるおそれがある。具体的には、内部ヘイズが高く、外部ヘイズが低い場合、フィルムの白ボケが強くなる一方、映り込みを抑える防眩性が低下するおそれがある。逆に内部ヘイズが低く、外部ヘイズが高いと、フィルムぎらつきが悪化し、かつ明暗コントラストが悪化するおそれがある。本発明によれば、防眩性フィルム全体の内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節可能であるため、これらの課題を解決することができる。
【0030】
本発明において、前記第1の粒子は、例えば、内部ヘイズ調整用フィラーとして働くと考えられる。一方、前記第2の粒子は、例えば、外部ヘイズ調整用フィラーとして働くと考えられる。本発明では、前記第1の粒子として、防眩層形成樹脂との屈折率差が0.04以上と大きい粒子を用いる。これにより、例えば、少量のフィラー部数で内部ヘイズを大きく調整できるため、前記第1の粒子の添加による外部ヘイズの上昇を抑制できる。また、本発明では、前記第2の粒子として、防眩層形成樹脂との屈折率差が0.03以下と小さい粒子を用いる。これにより、例えば、少量のフィラー部数で外部ヘイズを大きく調整できるため、前記第2の粒子の添加による内部ヘイズの変化を抑制できる。すなわち、本発明では、内部ヘイズ調整用粒子及び外部ヘイズ調整用粒子として、それぞれ屈折率の異なる2種類の粒子を用いることで、内外ヘイズバランスを任意にかつ容易に調整可能である。これに対し、1種類のみの粒子を使用する場合は、目的の内部ヘイズ及び外部ヘイズに調整するために、粒子部数に加えて、防眩層の種類に合わせて粒子径や屈折率を調整する必要があり、非常に手間とコストがかかる。本発明によれば、そのような問題を解決できる。
【0031】
本発明の防眩性フィルムでは、前述のように防眩性フィルム全体の内部ヘイズ及び外部ヘイズを調節することで、例えば、防眩性フィルムのぎらつきを抑制することも可能である。また、屈折率が低い前記第1の粒子を用いることで、例えば、防眩層の耐光性の向上につながる。
【0032】
本発明の防眩性フィルムの設計方法は、前述のとおり、防眩層を含む防眩性フィルムの設計方法であって、前記防眩性フィルムが、前記本発明の防眩性フィルムであり、前記数式(1)~(3)を満たす範囲内で、前記防眩層形成樹脂、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の、波長550nmで測定した屈折率を設計することにより、前記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを調節することを特徴とする。本発明の防眩性フィルムは、例えば、本発明の防眩性フィルムの設計方法に基づいて設計することで、防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを好適な数値に設計可能である。そして、そのようにして防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計することで、例えば、防眩層の防眩性及び全ヘイズ(トータルヘイズ)を好適に設計可能である。
【0033】
なお、本発明において、「屈折率」は、特に断らない限り、波長550nmの屈折率をいう。また、本発明において、屈折率の測定方法は、特に限定されないが、粒子等の微細な物質の屈折率の場合は、例えば、ベッケ法を用いて測定できる。ベッケ法とは、スライドガラス上で標準屈折液に測定試料を分散させ、顕微鏡で観察した際に、試料の輪郭が消えるか、またはぼやけるときの標準屈折液の屈折率をその試料の屈折率とする測定法である。また、ベッケ法で屈折率を測定できない測定対象物(例えば、防眩性フィルム、防眩層、または防眩層を構成する樹脂等)の屈折率の測定方法は、特に限定されないが、例えば、一般的な屈折計(屈折率測定用の機器)を用いて測定できる。前記屈折計も特に限定されないが、例えば、アッベ屈折計等が挙げられる。前記アッベ屈折計としては、例えば、株式会社アタゴ製の多波長アッベ屈折計DR-M2/1550(商品名)が挙げられる。
【0034】
本発明の防眩性フィルムにおいて、前記防眩層形成樹脂の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.4以上、1.42以上、1.44以上、1.46以上、又は1.48以上であってもよく、例えば、1.8以下、1.78以下、1.76以下、1.74以下、又は1.72以下であってもよく、例えば、1.4~1.8、1.4~1.78、1.42~1.78、1.42~1.76、又は1.44~1.76であってもよい。
【0035】
本発明の防眩性フィルムにおいて、前記第1の粒子の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.3以上、1.32以上、1.34以上、1.36以上、又は1.38以上であってもよく、例えば、1.7以下、1.68以下、1.66以下、1.64以下、又は1.62以下であってもよく、例えば、1.3~1.7、1.3~1.68、1.32~1.68、1.32~1.66、又は1.34~1.66であってもよい。
【0036】
本発明の防眩性フィルムにおいて、前記第2の粒子の屈折率は、特に限定されないが、例えば、1.3以上、1.32以上、1.34以上、1.36以上、又は1.38以上であってもよく、例えば、1.7以下、1.68以下、1.66以下、1.64以下、又は1.62以下であってもよく、例えば、1.3~1.7、1.3~1.68、1.32~1.68、1.32~1.66、又は1.34~1.66であってもよい。
【0037】
本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、前記第2の粒子の質量が、前記第1の粒子の質量に対し、例えば1~80倍であってもよい。前記第1の粒子と前記第2の粒子との混合比を適切な範囲内にすることで、例えば、防眩層形成の際に塗工液の分散性を向上し、塗工時のムラ発生を抑制することができる。また、たとえば、外部ヘイズを抑えることで防眩性フィルムのぎらつきを抑制できる。前記第2の粒子の質量は、前記第1の粒子の質量に対し、例えば、1倍以上、1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上、又は3倍以上であってもよく、例えば、80倍以下、75倍以下、70倍以下、65倍以下、又は60倍以下であってもよく、例えば、1~80倍、1~75倍、1~70倍、1.5~80倍、又は1.5~75倍であってもよい。
【0038】
本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、前記第2の粒子の重量平均粒子径が、前記第1の粒子の重量平均粒子径に対し、例えば0.2~5倍であってもよい。前記第1の粒子と前記第2の粒子との終止形の比を適切な範囲内にすることで、例えば、防眩性を適切に保つことができる。前記第2の粒子の重量平均粒子径は、前記第1の粒子の重量平均粒子径に対し、例えば、0.2倍以上、0.3倍以上、0.4倍以上、0.5倍以上、又は0.6倍以上であってもよく、例えば、5倍以下、4.5倍以下、4倍以下、3.5倍以下、又は3倍以下であってもよく、例えば、0.2~5倍、0.2~4.5倍、0.3~4.5倍、0.3~4倍、又は0.4~4倍であってもよい。
【0039】
本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、例えば、前記第1の粒子が無機粒子であり、前記第2の粒子が有機粒子であってもよい。前記無機粒子としては、特に限定されないが、例えば、酸化金属粒子、シリカ粒子、及び金属粒子、シリコーン粒子等が挙げられ、一種類のみ用いても複数種類併用してもよい。前記有機粒子としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン粒子、PMMA粒子、ポリスチレン/PMMA共重合体粒子等が挙げられ、一種類のみ用いても複数種類併用してもよい。有機粒子を使用することで、例えば、粒子の使用量が多くても、防眩層形成の際の塗工液塗工時に材料の分散がよくなり、塗工ムラを抑えることができる。また、無機粒子を用いることで、例えば、耐光性の向上、吸水率の抑制、耐湿製の向上等の効果が得られる。
【0040】
本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、前記防眩性フィルム全体の内部ヘイズHaを前記防眩性フィルム全体の外部ヘイズHbで割った数値Ha/Hbが、例えば、0.1以上かつ20以下であってもよく、すなわち前記数式(4)を満たしてもよい。Ha/Hbの数値を適正な範囲内にすることで、例えば、防眩性フィルムのぎらつきの抑制、防眩性フィルムの白化の抑制、防眩性フィルムの光透過率の維持等の効果を得ることができる。Ha/Hbは、例えば、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、又は0.5以上であってもよく、例えば、20以下、19以下、18以下、17以下、又は16以下であってもよく、例えば、0.1~20、0.1~19、0.2~19、0.2~18、又は0.3~18であってもよい。
【0041】
本発明の防眩性フィルムにおいて、前記防眩性フィルム全体の内部ヘイズHaは、特に限定されないが、例えば、1%以上、1.5%以上、2%以上、2.5%以上、又は3%以上であってもよく、例えば、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、又は30%以下であってもよく、例えば、1%~50%、1%~45%、1.5%~45%、1.5%~40%、又は1.5%~35%であってもよい。前記防眩性フィルム全体の内部ヘイズHaは、防眩性フィルム内部での透過光の散乱強度の指標であり、例えば、防眩性フィルムのぎらつき、白化、に影響する。前記防眩性フィルム全体の内部ヘイズHaの測定方法は特に限定されないが、例えば、下記の測定方法により測定できる。また、本発明において、前記防眩性フィルム全体の内部ヘイズHaの数値は、下記の測定方法で測定した場合の数値とする。
【0042】
(防眩性フィルム全体の内部ヘイズHaの測定方法)
まず、防眩性フィルムのアンチグレア面(防眩層が形成された側の面)に、粘着剤(日東電工株式会社製、商品名「No.7」)で透明基材(富士フィルム株式会社製、商品名「TD80UL」)を貼り合せることにより外部散乱の影響を排除し、これを測定サンプルとする。この測定サンプルのヘイズ値を、ヘイズメーター(商品名「HAZE METER HM-150」、村上色彩技術研究所製)を使用して測定し、得られた測定値を防眩性フィルム全体の内部ヘイズHaとする。
【0043】
本発明の防眩性フィルムにおいて、前記防眩性フィルム全体の外部ヘイズHbは、特に限定されないが、例えば、1%以上、1.5%以上、2%以上、2.5%以上、又は3%以上であってもよく、例えば、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、又は22%以下であってもよく、例えば、1%~30%、1%~28%、1.5%~28%、1.5%~26%、又は2%~26%であってもよい。前記防眩性フィルム全体の外部ヘイズHbは、防眩性フィルムの表面での光散乱強度の指標であり、例えば、防眩性フィルムの防眩性能、ぎらつき、白化、解像度に影響する。前記防眩性フィルム全体の外部ヘイズHbの測定方法は特に限定されないが、例えば、下記の測定方法により測定できる。また、本発明において、前記防眩性フィルム全体の外部ヘイズHbの数値は、下記の測定方法で測定した場合の数値とする。
【0044】
(防眩性フィルム全体の外部ヘイズHbの測定方法)
防眩性フィルムのヘイズ値を、ヘイズメーター(商品名「HAZE METER HM-150」、村上色彩技術研究所製)を使用して測定し、得られた測定値を防眩性フィルム全体の全ヘイズ値とする。この全ヘイズ値から、前述の測定方法で測定した防眩性フィルム全体の内部ヘイズHaを引いた数値を、防眩性フィルム全体の外部ヘイズHbとする。
【0045】
本発明の防眩性フィルム(AGフィルムともいう)は、例えば、防眩性ハードコートフィルムとして使用できる。本発明の防眩性フィルムを防眩性ハードコート層として用いるためには、例えば、前記防眩層を防眩性ハードコート層とするか、または、前記防眩層上にハードコート層を積層させればよい。前記防眩層において、前記ハードコート層が積層される側の面には、例えば、凹凸が形成されていてもよい。
【0046】
本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、前記防眩層を含むが、前記防眩層以外の他の層を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。例えば、本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、基材を含み、前記防眩層が、前記基材上に積層されていてもよい。この場合において、前記防眩層における前記基材と反対側の面には、例えば、凹凸が形成されていてもよい。また、本発明の防眩性フィルムは、前記防眩層が前記基材上に直接接触して積層されていてもよいし、他の層を介して積層されていてもよい。また、本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、前記防眩層上に、前記他の層が積層されていてもよいし、積層されていなくてもよい。前記他の層は、特に限定されないが、例えば、前述のハードコート層等が挙げられ、さらに、反射防止層、防汚層等が挙げられる。前記他の層は、一層でも二層以上でもよく、二層以上の場合は、各層は互いに同一でもよいし異なっていてもよい。例えば、前記防眩層上に前記他の層として反射防止層(AR層ともいう)を積層させることで、本発明の防眩性フィルムに反射防止効果を付与することもできる。前記反射防止層は、特に限定されないが、例えば、DRY-AR層(スパッタリング法、蒸着法等のドライ方式により形成するAR層)であってもよい。また、例えば、前記基材における前記防眩層と反対側の面上、前記防眩層における前記凹凸が形成された面上、前記他の層における前記防眩層と反対側の面上等に、粘接着層が形成されていてもよい。
【0047】
なお、本発明において、「粘接着層」は「粘着層又は接着層」を意味する。「粘着層」は「粘着剤により形成された層」を意味する。「接着層」は「接着剤により形成された層」を意味する。一般に、接着力(粘着力)が比較的小さく被着体の再剥離が可能なものを「粘着剤」と呼び、接着力(粘着力)が比較的大きく被着体の再剥離が不可能又は困難なものを「接着剤」と呼んで区別する場合がある。本発明では、接着力(粘着力)が比較的小さいものを「粘着剤」と呼び、接着力(粘着力)が比較的大きいものを「接着剤」と呼ぶが、両者に明確な区別は無い。
【0048】
また、本発明において「面上に」は、例えば、その面上に直接接触して積層されていてもよいし、間に他の構成要素を介して積層されていてもよい。
【0049】
本発明において、前記基材の厚みは、特に限定されないが、強度、取り扱い性などの作業性および薄層性などの観点から、例えば、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、又は60μm以上であってもよく、例えば、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、又は80μm以下であってもよく、例えば、10~40μm、40~70μm、70~100μm、100~130μm、又は130~160μmであってもよい。前記基材の厚みは、本発明の防眩性フィルムの薄型化の観点からは大きすぎないことが好ましく、硬度維持の観点からは小さすぎないことが好ましい。
【0050】
本発明において、前記防眩層の厚みは、特に限定されないが、例えば、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、3.5μm以上、又は4μm以上であってもよく、例えば、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、又は11μm以下であってもよく、例えば、2~15μm、2.5~15μm、2.5~14μm、3~14μm、又は3~13μmであってもよい。前記防眩層の厚みは、フィルムカールの観点からは大きすぎないことが好ましく、機械強度の観点からは小さすぎないことが好ましい。
【0051】
本発明において、前記他の層の厚みは、特に限定されず、例えば、前記他の層の種類、前記他の層を設ける目的等に応じて適宜設定可能である。
【0052】
なお、本発明の防眩性フィルムにおいて、基材を含む任意の層の厚みが均一でない場合(例えば、層の表面に凹凸がある場合)は、その層の「厚み」は、平均厚みとする。
【0053】
本発明の防眩性フィルムにおいて、前記第1の粒子及び前記第2の粒子は、特に限定されないが、例えば、一般的な防眩性フィルムに用いられる防眩性粒子と同様又はそれに準じてもよい。例えば、前述のとおり、前記第1の粒子が無機粒子であり、前記第2の粒子が有機粒子であってもよい。また、前記第1の粒子は、一種類の粒子のみを用いてもよいし、前記第1の粒子の条件を満たす複数種類の粒子を併用してもよい。前記第2の粒子は、一種類の粒子のみを用いてもよいし、前記第2の粒子の条件を満たす複数種類の粒子を併用してもよい。前記第1の粒子の重量平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、又は5μm以上であってもよく、例えば、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、又は6μm以下であってもよく、例えば、1~10μm、1~9μm、2~9μm、2~8μm、又は3~8μmであってもよい。ぎらつき、ヘイズ調整の観点からは、前記第1の粒子の重量平均粒子径が大きすぎないことが好ましく、防眩性の観点からは、前記第1の粒子の重量平均粒子径が小さすぎないことが好ましい。前記第2の粒子の重量平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、又は5μm以上であってもよく、例えば、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、又は6μm以下であってもよく、例えば、1~10μm、1~9μm、2~9μm、2~8μm、又は3~8μmであってもよい。ぎらつき、ヘイズ調整の観点からは、前記第2の粒子の重量平均粒子径が大きすぎないことが好ましく、防眩性の観点からは、前記第2の粒子の重量平均粒子径が小さすぎないことが好ましい。
【0054】
本発明の防眩性フィルムにおいて、前記防眩層は、例えば、前記第1の粒子及び前記第2の粒子以外に、ナノ粒子を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。前記ナノ粒子は、特に限定されないが、例えば、無機ナノ粒子であってもよく、例えば、ナノ酸化金属粒子、ナノシリカ粒子、及びナノ金属粒子、ナノダイヤモンド等が挙げられ、一種類のみ用いても複数種類併用してもよい。
【0055】
なお、本発明において、「ナノ粒子」は、重量平均粒子径が、おおむね数百nm以下の粒子をいう。本発明において、「ナノ粒子」の重量平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、又は250nm以上であってもよく、例えば、300nm以下、250nm以下、200nm以下、100nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、又は10nm以下であってもよく、例えば、1~300nm、1~250nm、1~200nm、1~100nm、1~50nm、10~300nm、10~250nm、10~200nm、10~100nm、50~300nm、50~250nm、50~200nm、50~100nm、100~300nm、100~250nm、1~10nm、10~50nm、50~100nm、100~200nm、又は200~300nmであってもよい。
【0056】
なお、本発明において、重量平均粒子径の測定方法は、特に限定されないが、例えば下記のとおりである。例えば、前記防眩層中の前記第1の粒子、前記第2の粒子及び前記ナノ粒子の平均粒子径は、前記防眩層の断面のTEM(Transmission Electron Microscope、透過型電子顕微鏡)分析によって測定可能であり、これを重量平均粒子径と推定することができる。具体的には、断面のTEM像における0.5μm×0.5μmの領域に観察された全ての粒子の粒子径(長径と短径を足して2で割った数値)を平均した数値を重量平均粒子径と推定することができる。また、前記防眩性粒子又は前記ナノ粒子の分散している材料(溶液)における前記第1の粒子、前記第2の粒子又は前記ナノ粒子の重量平均粒子径を測定する場合は、例えば、光散乱・回折法を使って測定できる。
【0057】
また、前記防眩層中において、前記第1の粒子の含有率は、特に限定されないが、前記防眩層全体の質量(重量)に対し、例えば、0.1質量以上、0.2質量以上、0.3質量以上、0.4質量以上、又は0.5質量以上であってもよく、例えば、20質量以下、18質量以下、16質量以下、14質量以下、又は12質量以下であってもよく、例えば、0.1~20質量、0.1~18質量、0.2~18質量、0.2~16質量、又は0.3~16質量であってもよい。フィルムぎらつきの観点からは、前記第1の粒子の含有率が大きすぎないことが好ましく、フィルム防眩性の観点からは、前記第1の粒子の含有率が小さすぎないことが好ましい。
【0058】
また、前記防眩層中において、前記第2の粒子の含有率は、特に限定されないが、前記防眩層全体の質量(重量)に対し、例えば、1質量以上、2質量以上、3質量以上、4質量以上、又は5質量以上であってもよく、例えば、15質量以下、14質量以下、質量以下、13質量以下、又は12質量以下であってもよく、例えば、1~15質量、1~14質量、2~14質量、2~13質量、又は3~13質量であってもよい。フィルムぎらつきの観点からは、前記第2の粒子の含有率が大きすぎないことが好ましく、フィルム防眩性の観点からは、前記第2の粒子の含有率が小さすぎないことが好ましい。
【0059】
本発明の防眩性フィルムは、例えば、前記防眩性フィルム全体の波長550nmにおける光透過率が90%以上であってもよい。前記防眩性フィルム全体の波長550nmにおける光透過率は、例えば、90%以上、92%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってもよく、例えば、100%以下、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下、95%以下、94%以下、93%以下、92%以下、又は90%以下であってもよく、例えば、90~100%、90~99%、90~98%、90~97%、90~96%、90~95%、90~94%、90~93%、90~92%、92~100%、92~99%、92~98%、92~97%、92~96%、92~95%、92~94%、92~93%、94~100%、94~99%、94~98%、94~97%、94~96%、94~95%、95~100%、95~99%、95~98%、95~97%、95~96%、96~100%、96~99%、96~98%、96~97%、97~100%、97~99%、97~98%、98~100%、98~99%、又は99~100%であってもよい。防眩性フィルム全体の光透過率が高いことにより、例えば、偏光板化した際に明るさを損なわない、透明度が高いため外観検査がしやすい、等の利点がある。
【0060】
なお、本発明において、光透過率の測定方法は、特に限定されないが、例えば、下記の測定方法により測定できる。
【0061】
[光透過率の測定方法]
・装置:積分球式分光透過率測定器(商品名:DOT-3C、村上色彩技術研究所製)
・測定モード:全光線透過率&色彩計算
・光源:D65光源
・視野角:2度視野
・以上の設定で気温23度、湿度50%の測定条件で、波長550nmでの光透過率を測定する。
【0062】
[2.防眩性フィルムの製造方法]
本発明の防眩性フィルムの製造方法は、特に限定されず、例えば、一般的な防眩性フィルムの製造方法と同様にして行うことができる。以下に、本発明の防眩性フィルムの製造方法について、例を挙げて説明する。なお、以下においては、主に、前記防眩層が防眩性ハードコート層である場合(すなわち、本発明の防眩性フィルムが防眩性ハードコートフィルムである場合)について説明する。
【0063】
図1に示す基材11を準備し、その一方の面に防眩層12を形成する。これにより、図1に示す防眩性フィルム10を製造できる。このとき、あらかじめ、本発明の防眩性フィルムの設計方法に基づいて防眩性フィルム10を設計することで、防眩層12の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計する(ヘイズ設計工程)。これにより、防眩層12の内部ヘイズ及び外部ヘイズを好適な数値に設計することが可能である。そして、そのようにして防眩層12の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計することで、例えば、防眩層12の防眩性及び全ヘイズ(トータルヘイズ)を好適に設計可能である。
【0064】
図1に示す防眩性フィルム10を製造する方法は、具体的には、例えば、以下のとおりである。
【0065】
まず、前述のとおり、基材11を準備する。基材11は、特に制限されないが、例えば光透過性基材であってもよく、具体的には、例えば、透明プラスチックフィルム基材等が挙げられる。前記透明プラスチックフィルム基材は、特に制限されないが、可視光の光線透過率に優れ(好ましくは光線透過率90%以上)、透明性に優れるもの(好ましくはヘイズ値1%以下のもの)が好ましく、例えば、特開2008-90263号公報に記載の透明プラスチックフィルム基材が挙げられる。前記透明プラスチックフィルム基材としては、光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。本発明の防眩性フィルムは、例えば、保護フィルムとして偏光板に使用することもでき、この場合には、前記透明プラスチックフィルム基材としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン等から形成されたフィルムが好ましい。また、本発明において、前記透明プラスチックフィルム基材は、偏光子自体であってもよい。このような構成であると、TAC等からなる保護層を不要とし偏光板の構造を単純化できるので、偏光板もしくは画像表示装置の製造工程数を減少させ、生産効率の向上が図れる。また、このような構成であれば、偏光板を、より薄層化することができる。なお、前記透明プラスチックフィルム基材が偏光子である場合には、例えば、前記非透明層が、保護層としての役割を果たすことになる。また、このような構成であれば、本発明の防眩性フィルムは、例えば、液晶セル表面に装着される場合、カバープレートとしての機能を兼ねることになる。
【0066】
本発明において、前記基材の厚みは、特に制限されないが、例えば、前述のとおりである。前記基材の屈折率は、特に制限されない。前記屈折率は、例えば、1.30~1.80または1.40~1.70の範囲である。
【0067】
つぎに、前述のとおり、基材11上に防眩層12を形成する。その方法は特に限定されないが、例えば、以下のとおりである。以下、防眩層12を形成する工程を「防眩層形成工程」ということがある。前記防眩層形成工程は、例えば、基材110上に防眩層形成用塗工液(以下、単に「塗工液」又は「防眩層形成材料」という場合がある。)を塗工する塗工工程と、塗工した前記塗工液を乾燥させて塗膜を形成する塗膜形成工程とを含んでいてもよい。また、例えば、前記防眩層形成工程が、さらに、前記塗膜を硬化させる硬化工程を含んでいてもよい。前記硬化は、例えば、前記乾燥の後に行なうことができるが、これに限定されない。前記硬化は、例えば、加熱、光照射等により行うことができる。前記光は、特に限定されないが、例えば、紫外線等であってもよい。前記光照射の光源も特に限定されないが、例えば、高圧水銀ランプ等であってもよい。
【0068】
前記塗工液(防眩層形成材料)は、例えば、樹脂材料と希釈溶媒(以下、単に「溶媒」という場合がある。)と、第1の粒子12bと第2の粒子12cとを含む塗工液であってもよい。また、前記塗工液は、これら以外の他の成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記他の成分としては、特に限定されないが、例えば、チキソトロピー付与剤等が挙げられる。
【0069】
前記塗工液に含まれる前記樹脂材料は、例えば、防眩層12における防眩層形成樹脂12aを形成する樹脂そのものであってもよいし、重合、硬化等により防眩層形成樹脂12aを形成する樹脂材料であってもよい。防眩層形成樹脂12aは、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化樹脂等であってもよい。また、防眩層形成樹脂12aは、例えば、アクリレート樹脂(アクリル樹脂ともいう)を含んでいてもよく、例えば、ウレタンアクリレート樹脂を含んでいてもよい。また、防眩層形成樹脂12aは、例えば、硬化型ウレタンアクリレート樹脂及び多官能アクリレートの共重合物であってもよい。
【0070】
重合、硬化等により防眩層形成樹脂12aを形成する前記樹脂材料は、例えば、官能基を有するオリゴマーとモノマーとを含んでいてもよい。例えば、防眩層形成樹脂12aを形成する樹脂が、前記官能基を有するオリゴマーと前記モノマーとの共重合体であってもよい。前記官能基を有するオリゴマーとしては、特に限定されないが、例えば、硬化型ウレタンアクリレート樹脂等が挙げられる。前記硬化型ウレタンアクリレート樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の商品名「UV-1700TL」、三菱ケミカル株式会社製の商品名「UT-7314」等が挙げられる。前記モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、多官能アクリレート等が挙げられる。前記多官能アクリレートとしては、例えば、東亜合成株式会社製の商品名「M-920」等が挙げられる。
【0071】
前記溶媒は、特に制限されず、種々の溶媒を使用可能であり、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。例えば、前記樹脂の組成、前記ナノシリカ粒子及び前記チキソトロピー付与剤の種類、含有量等に応じて、最適な溶媒種類や溶媒比率を適宜選択してもよい。前記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノール、t-ブチルアルコール(TBA)、2-メトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等があげられる。また、例えば、前記溶媒が、炭化水素溶媒と、ケトン溶媒とを含んでいてもよい。前記炭化水素溶媒は、例えば、芳香族炭化水素であってもよい。前記芳香族炭化水素は、例えば、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、及びベンゼンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。前記ケトン溶媒は、例えば、シクロペンタノン、及びアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。前記溶媒は、例えば、チキソトロピー付与剤(例えば増粘剤)を溶解させるために、前記炭化水素溶媒(例えばトルエン)を含むことが好ましい。前記溶媒は、例えば、前記炭化水素溶媒と、前記ケトン溶媒とを、90:10~10:90の質量比で混合した溶媒であってもよい。前記炭化水素溶媒と、前記ケトン溶媒との質量比は、例えば、80:20~20:80、70:30~30:70、又は40:60~60:40等であってもよい。この場合において、例えば、前記炭化水素溶媒がトルエンであり、前記ケトン溶媒がメチルエチルケトンであってもよい。また、前記溶媒は、例えば、トルエンを含むとともに、さらに、酢酸エチル、酢酸ブチル、IPA、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、及びTBAからなる群から選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0072】
基材11として、例えば、アクリルフィルムを採用して中間層(浸透層)を形成する場合は、アクリルフィルム(アクリル樹脂)に対する良溶媒が好適に使用できる。その溶媒としては、例えば、前述のとおり、炭化水素溶媒と、ケトン溶媒とを含む溶媒でもよい。前記炭化水素溶媒は、例えば、芳香族炭化水素であってもよい。前記芳香族炭化水素は、例えば、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、及びベンゼンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。前記ケトン溶媒は、例えば、シクロペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、及びアセトフェノンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。前記溶媒は、例えば、前記炭化水素溶媒と、前記ケトン溶媒とを、90:10~10:90の質量比で混合した溶媒であってもよい。前記炭化水素溶媒と、前記ケトン溶媒との質量比は、例えば、80:20~20:80、70:30~30:70、又は40:60~60:40等であってもよい。この場合において、例えば、前記炭化水素溶媒がトルエンであり、前記ケトン溶媒がメチルエチルケトンであってもよい。
【0073】
基材11として、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)を用いる場合は、前記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、MIBK(メチルイソブチルケトン)、シクロペンタノン等が挙げられ、一種類のみ用いても複数種類併用してもよい。この場合、前記溶媒は、例えば、MIBK及びシクロペンタノンの混合溶媒でもよい。MIBK及びシクロペンタノンの混合比は、特に限定されないが、例えば、質量比で、90:10~10:90、80:20~20:80、70:30~30:70であってもよい。
【0074】
また、溶媒を適宜選択することによって、チキソトロピー付与剤を含有する場合において防眩性ハードコート層形成材料(塗工液)へのチキソ性を良好に発現させることができる。例えば、有機粘土を用いる場合には、トルエン及びキシレンを好適に、単独使用又は併用することができ、例えば、酸化ポリオレフィンを用いる場合には、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルメーテルを好適に、単独使用又は併用することができ、例えば、変性ウレアを用いる場合には、酢酸ブチル及びメチルイソブチルケトンを好適に、単独使用又は併用することができる。
【0075】
前記防眩層形成材料には、各種レベリング剤を添加することができる。前記レベリング剤としては、塗工ムラ防止(塗工面の均一化)を目的に、例えば、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を用いることができる。本発明では、防眩層表面に防汚性が求められる場合、又は、前記他の層反射防止層(低屈折率層)や層間充填剤を含む層が防眩層上に形成される場合などに応じて、適宜レベリング剤を選定することができる。
【0076】
前記レベリング剤の配合量は、前記樹脂100重量部に対して、例えば、5重量部以下、好ましくは0.01~5重量部の範囲である。
【0077】
前記防眩層形成材料には、必要に応じて、性能を損なわない範囲で、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、防汚剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は一種類を単独で使用してもよく、また二種類以上併用してもよい。
【0078】
前記防眩層形成材料には、例えば、特開2008-88309号公報に記載されるような、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0079】
前記防眩層形成材料(塗工液)を基材11上に塗工して塗膜を形成する方法としては、例えば、ファンテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法等の塗工法を用いることができる。
【0080】
つぎに、前記塗膜を乾燥及び硬化させ、防眩層を形成する。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でもよいし、風を吹きつけての風乾であってもよいし、加熱乾燥であってもよいし、これらを組み合わせた方法であってもよい。
【0081】
前記防眩層形成材料(塗工液)の乾燥温度は、例えば、30~200℃の範囲であってもよい。前記乾燥温度は、例えば、40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、又は100℃以上であってもよく、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、150℃以下、140℃以下、135℃以下、130℃以下、120℃以下、又は110℃以下であってもよい。乾燥時間は特に限定されないが、例えば、30秒以上、40秒以上、50秒以上、又は60秒以上であってもよく、150秒以下、130秒以下、110秒以下、又は90秒以下であってもよい。
【0082】
前記塗膜の硬化手段は、特に制限されないが、紫外線硬化が好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50~500mJ/cmが好ましい。照射量が、50mJ/cm以上であれば、硬化が十分に進行しやすく、形成される防眩層の硬度が高くなりやすい。また、500mJ/cm以下であれば、形成される防眩層の着色を防止することができる。
【0083】
以上のようにして、図1に示す防眩性フィルム10を製造できる。さらに、前述のとおり、防眩層12上に他の層を形成してもよい。前記他の層及びその形成方法は特に限定されないが、例えば、前述のとおりであり、例えば、前記他の層として、反射防止層(AR層)を、スパッタリング法、蒸着法等のドライ方式により形成してもよい。
【0084】
以上のようにして、本発明の防眩性フィルムを製造することができる。ただし、前述のとおり、この製造方法は例示であって、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、これに限定されない。
【0085】
また、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、例えば、連続製法とすることが可能である。具体的には、例えば、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、前記基材が長尺状であり、前記基材を搬送しながら、前記防眩層形成工程、及び必要に応じて他の工程(例えば、前記他の層を形成する工程等)を連続的に行う製造方法であってもよい。より具体的には、例えば、前記長尺状の基材がロール状であり、ロールから前記基材を繰り出しながら本発明の防眩性フィルムの製造方法を実施してもよい。
【0086】
[3.防眩性フィルム、光学部材および画像表示装置]
本発明の防眩性フィルムは、特に限定されず、例えば、前述のとおり、防眩性ハードコートフィルムであってもよい。
【0087】
本発明の光学部材は、特に限定されないが、例えば、偏光板であってもよい。前記偏光板も、特に限定されないが、例えば、本発明の防眩性フィルムおよび偏光子を含んでいてもよいし、さらに、他の構成要素を含んでいてもよい。前記偏光板の各構成要素は、例えば、接着剤または粘着剤等により貼り合わせられていてもよい。
【0088】
本発明の画像表示装置も特に限定されず、どのような画像表示装置でもよいが、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置、プラズマ表示装置等が挙げられる。
【0089】
本発明の画像表示装置の構成は、特に限定されず、例えば、一般的な画像表示装置と同様の構成であってもよい。例えば、LCDの場合、液晶セル、偏光板等の光学部材、および必要に応じ照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むこと等により製造できる。
【0090】
本発明の画像表示装置の用途は、特に限定されず、任意の用途に使用可能である。その用途としては、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器、スマートグラス、VR機器等が挙げられる。本発明の画像表示装置は、例えば、カメラ機能を有する画像表示装置であってもよい。
【実施例0091】
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されない。
【0092】
なお、以下の実施例及び比較例において、物質の部数は、特に断らない限り、質量部(重量部)である。また、「平均粒子径」は、特に断らない限り、重量平均粒子径である。
【0093】
以下の各実施例及び比較例において、防眩層形成材料としては、原則として、下記(1)~(6)の混合物を用いた。防眩層形成用樹脂としては、実施例1~6は、NC035HS(下記(1)):ビームセット580(下記(2))=67:33(固形分質量比)で混合したものを用いた。実施例7~9は、NC035HS(下記(1)):ビームセット580(下記(2))=83:17(固形分質量比)で混合したもので混合したものを用いた。比較例1~3、7~8は、NC035HSのみ(下記(1))を用いた。比較例4~6は、下記(1)及び(2)に代えてビスコート#300(大阪有機化学工業株式会社の商品名、アクリルモノマー)を用いた。比較例9~16は、NC035HS(下記(1)):ビームセット580(下記(2))=67:33(固形分質量比)で混合したものを用いた。

(1)重量平均粒子径40nmのナノシリカ入り多官能アクリレート(商品名「NC035HS」、荒川化学工業株式会社製)屈折率:約1.49
(2)バインダーB(荒川化学工業株式会社製ウレタンアクリレート、商品名「ビームセット580」)
(3)光重合開始剤(商品名「OMNIRAD907」、BASF社製)
(4)レベリング剤(商品名「LE-303」、信越化学工業株式会社製)
(5)増粘剤(商品名「スメクトンSAN」、クニミネ工業株式会社製)
(6)希釈溶剤(酢酸ブチル)
【0094】
前記防眩層形成材料において、前記(4)レベリング剤は、例えば、防眩層の外観向上、防眩層上に他の層(例えばDRY-AR層)を設けた場合の密着性の向上等に寄与する。前記(5)増粘剤は、例えば、防眩層の防眩性制御等に寄与する。前記(6)希釈溶剤は、例えば、前記(5)増粘剤を溶解させるとともに、前記(1)のナノシリカ粒子、第1の粒子及び前記第2の粒子を分散させ、基材と防眩性との密着性に寄与する。
【0095】
以下の各実施例において、第1の粒子としては、日硝産業株式会社製のシリコーン樹脂粒子である商品名「トスパール130」(屈折率:1.42、重量平均粒子径:3μm)を用いた。第2の粒子としては、積水化成品工業株式会社製の架橋ポリメタクリル酸メチル粒子である商品名「SSX-103」(屈折率:1.495、重量平均粒子径:3μm)を用いた。比較例1~3は、第1の粒子として、前記「トスパール130」に代えて積水化成品工業株式会社製の架橋ポリメタクリル酸メチル粒子である商品名「SSX-103-DXE」(屈折率:1.525、重量平均粒子径:3μm)を用い、第2の粒子を用いなかった。比較例4~6は、第1の粒子として、前記「トスパール130」に代えて積水化成品工業株式会社製の架橋ポリメタクリル酸メチル粒子である商品名「SSX-504-TNR」(屈折率:1.555、重量平均粒子径:3.5μm)を用い、第2の粒子を用いなかった。比較例7~8は、第1の粒子として、実施例と同じく前記「トスパール130」を用い、第2の粒子として、前記「SSX-103」に代えて前記「SSX-103DXE」を用いた。比較例9は、第1の粒子として、前記「トスパール130」に代えて前記「SSX-103DXE」を用い、第2の粒子を用いなかった。比較例10~12は、第1の粒子として、前記「トスパール130」に代えて前記「SSX-103DXE」を用い、第2の粒子として、実施例と同じく前記「SSX-103」を用いた。比較例13は、第1の粒子として、前記「トスパール130」に代えて前記「SSX-504TNR」を用い、第2の粒子を用いなかった。比較例14~16は、第1の粒子として、前記「トスパール130」に代えて前記「SSX-504TNRを用い、第2の粒子として、実施例と同じく前記「SSX-103」を用いた。
【0096】
各実施例及び各比較例の防眩性フィルム(防眩性ハードコートフィルム)について、屈折率、全ヘイズ、内部ヘイズ、及び外部ヘイズは、前述の測定方法により測定した。これらのデータを下記表1及び表2に示す。下記表1及び表2において、「HC」は、防眩層(防眩性ハードコート層)を表す。「AG1」は、第1の粒子(第1の防眩性粒子)を表す。「AG2」は、第2の粒子(第2の防眩性粒子)を表す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
前記表1に示したとおり、実施例では、防眩性フィルムの内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節できた。具体的には、まず、実施例1~4では、第1の粒子及び第2の粒子の種類を同じにして第2の粒子の部数のみを変更したところ、防眩性フィルムの内部ヘイズをほぼ一定に保ったまま外部ヘイズを幅広い範囲で調節することができた。このことは、実施例7~9でも実施例1~4と同様であった。一方、実施例4~6では、第1の粒子及び第2の粒子の種類を同じにして第1の粒子の部数のみを変更したところ、防眩性フィルムの外部ヘイズをほぼ一定に保ったまま内部ヘイズを幅広い範囲で調節することができた。このように、本発明によれば、例えば、2種類の粒子の粒子径又は量を調整することにより、内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスをコントロールできる。具体的には、例えば、実施例で示したとおり、内部ヘイズをほぼ一定にして外部ヘイズをコントロールすることが可能であり、逆に、外部ヘイズをほぼ一定にして内部ヘイズをコントロールすることも可能である。これにより、例えば、防眩性フィルムの各ユーザが必要とするギラツキ度合い、視認性(例えば白や黒の色調整)等を、適宜設定できる。これに対し、表2に示したとおり、比較例1~16は、粒子を1種類しか用いていないか、又は、2種類の粒子を用いていても本発明の前記数式(1)~(3)のうち少なくとも一つを満たしていなかった。このため、表2に示したとおり、比較例1~16では、実施例のように、内部ヘイズ及び外部ヘイズの一方をほぼ一定に保ったまま他方を幅広い範囲で調節することができなかった。
【0100】
本発明は、例えば、以下の付記のように記載することも可能である。ただし、以下の付記は例示であり、本発明はこれらの形態のみに限定されない。
【0101】
(付記1)
防眩層を含む防眩性フィルムであって、
前記防眩層は、防眩層形成樹脂中に第1の粒子及び第2の粒子を含み、
前記防眩層形成樹脂、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の、波長550nmで測定した屈折率が、下記数式(1)~(3)を満たすことを特徴とする防眩性フィルム。

n1<n2 (1)
(N-n1)≧0.04 (2)
|N-n2|≦0.03 (3)

前記数式(1)~(3)において、
Nは、前記防眩層形成樹脂の屈折率であり、
n1は、前記第1の粒子の屈折率であり、
n2は、前記第2の粒子の屈折率である。
(付記2)
前記第2の粒子の質量が、前記第1の粒子の質量に対し1~80倍である付記1記載の防眩性フィルム。
(付記3)
前記第2の粒子の重量平均粒子径が、前記第1の粒子の重量平均粒子径に対し0.2~5倍である付記1又は2記載の防眩性フィルム。
(付記4)
前記第1の粒子が無機粒子であり、前記第2の粒子が有機粒子である付記1から3のいずれかに記載の防眩性フィルム。
(付記5)
前記防眩性フィルムの内部ヘイズと外部ヘイズとの関係が、下記数式(4)を満たす付記1から4のいずれかに記載の防眩性フィルム。

0.1≦(Ha/Hb)≦20 (4)

前記数式4において、Haは、前記防眩性フィルム全体の内部ヘイズであり、Hbは、前記防眩性フィルム全体の外部ヘイズである。
(付記6)
付記1から5のいずれかに記載の防眩性フィルムを含む光学部材。
(付記7)
偏光板である付記6記載の光学部材。
(付記8)
付記1から5のいずれかに記載の防眩性フィルム、又は付記6若しくは7記載の光学部材を含む画像表示装置。

(付記9)
防眩層を含む防眩性フィルムの設計方法であって、
前記防眩性フィルムが、付記1から5のいずれかに記載の防眩性フィルムであり、
前記数式(1)~(3)を満たす範囲内で、前記防眩層形成樹脂、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の、波長550nmで測定した屈折率を設計することにより、前記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計することを特徴とする防眩性フィルムの設計方法。
(付記10)
付記9記載の防眩性フィルムの設計方法により前記防眩層の内部ヘイズ及び外部ヘイズを設計するヘイズ設計工程を含む、付記1から5のいずれかに記載の防眩性フィルムの製造方法。
(付記11)
付記10記載の製造方法により付記1から5のいずれかに記載の防眩性フィルムを製造する工程を含む、付記6又は7記載の光学部材の製造方法。
(付記12)
付記10記載の製造方法により付記1から5のいずれかに記載の防眩性フィルムを製造する工程、又は、付記11記載の製造方法により付記6又は7記載の光学部材を製造する工程を含む、付記8記載の画像表示装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上、説明したとおり、本発明によれば、内部ヘイズと外部ヘイズとのバランスを適切に調節可能な防眩性フィルム、光学部材、画像表示装置、防眩性フィルムの設計方法、防眩性フィルムの製造方法、光学部材の製造方法、及び画像表示装置の製造方法を提供することができる。本発明の防眩性フィルムは、前述のとおり、例えば防眩性ハードコートフィルムとしても使用可能であり、例えば、反射防止層を形成して反射防止性を付与することもでき、かつ、多種多様な光学部材及び画像表示装置に用いることができるため、その産業上利用価値は多大である。
【符号の説明】
【0103】
10 防眩性フィルム
11 基材
12 防眩層
12a 防眩層形成樹脂
12b 第1の粒子
12c 第2の粒子
図1