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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120337
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ルーツポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/18 20060101AFI20240829BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F04C18/18 A
F04C29/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027069
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 将也
(72)【発明者】
【氏名】正木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福山 了介
(72)【発明者】
【氏名】城丸 勝俊
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA06
3H129AA18
3H129AB05
3H129BB42
3H129CC02
3H129CC07
3H129CC09
3H129CC16
3H129CC17
(57)【要約】
【課題】ルーツポンプの性能を向上させること。
【解決手段】孔形成面64における第1軸受23側の端部が、回転軸25が圧入される圧入部65になっている。よって、第1軸受23の内輪51と回転軸25との圧入部分と孔形成面64の圧入部65との距離が極力短くなるため、回転軸25における軸方向への熱膨張に依存してロータ40が回転軸25の軸方向へ熱膨張する領域が小さくなる。孔形成面64における第2軸受24側の端部は、回転軸25が隙間嵌めされる隙間嵌め部66になっている。よって、孔形成面64における第2軸受24側の端部と回転軸25とのクリアランスが極力小さくなる。その結果、ロータ40に水素ガスの圧力が作用しても、圧入部65を基点としたロータ40における回転軸25の径方向内側への撓みが小さくなる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を吸入する吸入孔、及び流体を吐出する吐出孔を有するハウジングと、
前記ハウジングに画定されるとともに前記吸入孔及び前記吐出孔に連通するロータ室と、
前記ハウジングの内部に配置される回転軸と、
前記回転軸が挿通される挿通孔を有するとともに前記挿通孔を形成する孔形成面に前記回転軸が圧入されることにより前記回転軸と一体的に前記ロータ室内で回転するロータと、
前記回転軸における前記ロータを挟んだ両側に位置する部分を前記ハウジングに対してそれぞれ回転可能に支持する第1軸受及び第2軸受と、を備え、
前記第1軸受及び前記第2軸受は、
内輪と、
前記内輪を囲むとともに前記ハウジングに支持される外輪と、
前記内輪と前記外輪との間に設けられる転動体と、をそれぞれ有し、
前記回転軸は、前記第1軸受の内輪に圧入されるとともに前記第2軸受の内輪に隙間嵌めされており、
前記ハウジングの材質における線膨張係数及び前記ロータの材質における線膨張係数は、前記回転軸の材質における線膨張係数よりも大きく、
前記ロータが回転することにより前記吸入孔から前記ロータ室内に流体が吸入されるとともに前記ロータ室内の流体が前記吐出孔から吐出されるルーツポンプであって、
前記孔形成面における前記第1軸受側の端部は、前記回転軸が圧入される圧入部になっており、
少なくとも前記孔形成面における前記第2軸受側の端部は、前記回転軸が隙間嵌めされる隙間嵌め部になっていることを特徴とするルーツポンプ。
【請求項2】
前記孔形成面における前記第2軸受側の端部のみが前記隙間嵌め部になっており、
前記隙間嵌め部と前記回転軸との間のクリアランスは、前記孔形成面における前記圧入部と前記隙間嵌め部との間の部位と前記回転軸との間のクリアランスよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のルーツポンプ。
【請求項3】
前記孔形成面は、前記圧入部以外の部位が前記隙間嵌め部になっていることを特徴とする請求項1に記載のルーツポンプ。
【請求項4】
前記ロータ全体が中実構造であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のルーツポンプ。
【請求項5】
前記ロータは、前記回転軸の径方向で前記圧入部と重なる部分のみが中実構造であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のルーツポンプ。
【請求項6】
前記ロータは、前記挿通孔に対して前記回転軸の径方向外側で前記ロータを貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔内における前記回転軸の径方向で前記圧入部と重なる部分には、リブが設けられていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のルーツポンプ。
【請求項7】
前記ハウジングは、第1ハウジング構成体と、第2ハウジング構成体と、を有し、
前記ロータ室は、前記第1ハウジング構成体と前記第2ハウジング構成体とによって画定されており、
前記第2ハウジング構成体には、前記吸入孔及び前記吐出孔が形成されており、
前記第1軸受は、前記第1ハウジング構成体に保持されており、
前記第2軸受は、前記第2ハウジング構成体に保持されていることを特徴とする請求項1に記載のルーツポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーツポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ルーツポンプは、ハウジングと、ロータ室と、回転軸と、ロータと、を備えている。ハウジングは、吸入孔、及び吐出孔を有している。吸入孔は、流体を吸入する。吐出孔は、流体を吐出する。ロータ室は、ハウジングに画定されている。ロータ室は、吸入孔及び吐出孔に連通している。回転軸は、ハウジングの内部に配置されている。ロータは、回転軸が挿通される挿通孔を有している。ロータは、挿通孔を形成する孔形成面に回転軸が圧入されることにより回転軸と一体的にロータ室内で回転する。よって、孔形成面は、回転軸が圧入される圧入部を有している。そして、ロータが回転することにより吸入孔からロータ室内に流体が吸入されるとともにロータ室内の流体が吐出孔から吐出される。
【0003】
ところで、例えば特許文献1のように、回転軸におけるロータを挟んだ両側に位置する部分をハウジングに対してそれぞれ回転可能に支持する第1軸受及び第2軸受を備えているルーツポンプが従来から知られている。第1軸受及び第2軸受は、内輪と、外輪と、転動体と、をそれぞれ有している。外輪は、内輪を囲むとともにハウジングに支持されている。転動体は、内輪と外輪との間に設けられている。回転軸は、例えば、第1軸受の内輪に圧入されるとともに第2軸受の内輪に隙間嵌めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59-165987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなルーツポンプにおいて、ルーツポンプが駆動すると、ハウジング、ロータ、及び回転軸は熱の影響を受ける。ハウジングは、回転軸に対して、第1軸受の内輪と回転軸との圧入部分を基点として回転軸の軸方向へ熱膨張する。このとき、回転軸が第2軸受の内輪に隙間嵌めされているため、ハウジングにおける回転軸の軸方向への熱膨張が、第2軸受と回転軸との間で拘束されることが無い。その結果、ハウジングにおける回転軸の軸方向への熱膨張が生じても、第2軸受に負荷が加わることが回避されている。
【0006】
ここで、ロータにおける回転軸の軸方向への熱膨張による変位量は、孔形成面に回転軸が圧入されていることにより、回転軸における軸方向への熱膨張に依存する。第1軸受の内輪と回転軸との圧入部分と孔形成面の圧入部との距離が長いほど、回転軸における軸方向への熱膨張に依存してロータが回転軸の軸方向へ熱膨張する領域は大きくなる。
【0007】
例えば、ハウジングの材質における線膨張係数及びロータの材質における線膨張係数が、回転軸の材質における線膨張係数よりも大きい場合を考える。この場合、ハウジングにおける回転軸の軸方向への熱膨張による変位量とロータにおける回転軸の軸方向への熱膨張による変位量との差が大きくなる。したがって、ロータとハウジングとの間のクリアランスが広くなり過ぎてしまったり、ロータとハウジングとが接触してしまったりする虞がある。
【0008】
ロータとハウジングとの間のクリアランスが広くなり過ぎると、ルーツポンプの性能が悪化してしまう。一方で、ロータとハウジングとが接触してしまうことが無いように、ロータとハウジングとの間のクリアランスを予め大きくしておく必要もある。しかしながら、ロータとハウジングとの間のクリアランスを予め大きくするほどルーツポンプの性能が悪化するため好ましくない。したがって、ルーツポンプの性能を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するルーツポンプは、流体を吸入する吸入孔、及び流体を吐出する吐出孔を有するハウジングと、前記ハウジングに画定されるとともに前記吸入孔及び前記吐出孔に連通するロータ室と、前記ハウジングの内部に配置される回転軸と、前記回転軸が挿通される挿通孔を有するとともに前記挿通孔を形成する孔形成面に前記回転軸が圧入されることにより前記回転軸と一体的に前記ロータ室内で回転するロータと、前記回転軸における前記ロータを挟んだ両側に位置する部分を前記ハウジングに対してそれぞれ回転可能に支持する第1軸受及び第2軸受と、を備え、前記第1軸受及び前記第2軸受は、内輪と、前記内輪を囲むとともに前記ハウジングに支持される外輪と、前記内輪と前記外輪との間に設けられる転動体と、をそれぞれ有し、前記回転軸は、前記第1軸受の内輪に圧入されるとともに前記第2軸受の内輪に隙間嵌めされており、前記ハウジングの材質における線膨張係数及び前記ロータの材質における線膨張係数は、前記回転軸の材質における線膨張係数よりも大きく、前記ロータが回転することにより前記吸入孔から前記ロータ室内に流体が吸入されるとともに前記ロータ室内の流体が前記吐出孔から吐出されるルーツポンプであって、前記孔形成面における前記第1軸受側の端部は、前記回転軸が圧入される圧入部になっており、少なくとも前記孔形成面における前記第2軸受側の端部は、前記回転軸が隙間嵌めされる隙間嵌め部になっている。
【0010】
これによれば、第1軸受の内輪と回転軸との圧入部分と孔形成面の圧入部との距離が極力短くなるため、回転軸における軸方向への熱膨張に依存してロータが回転軸の軸方向へ熱膨張する領域を小さくすることができる。その結果、ハウジングにおける回転軸の軸方向への熱膨張による変位量とロータにおける回転軸の軸方向への熱膨張による変位量との差を小さくすることができる。したがって、ロータとハウジングとの間のクリアランスが広くなり過ぎてしまったり、ロータとハウジングとが接触してしまったりすることを回避し易くすることができる。
【0011】
ここで、例えば、孔形成面における第1軸受側の端部が、回転軸が圧入される圧入部になっている場合、ロータに流体の圧力が作用することにより、圧入部を基点にロータが回転軸の径方向内側へ撓んでしまう虞がある。ロータが圧入部を基点に回転軸の径方向内側へ撓んでしまうと、ロータとハウジングとの間のクリアランスが広くなり過ぎてしまい、ルーツポンプの性能が悪化してしまう。
【0012】
そこで、少なくとも孔形成面における第2軸受側の端部は、回転軸が隙間嵌めされる隙間嵌め部になっている。これによれば、孔形成面における第2軸受側の端部と回転軸とのクリアランスを極力小さくすることができる。その結果、ロータに流体の圧力が作用しても、圧入部を基点としたロータにおける回転軸の径方向内側への撓みを小さくすることができる。よって、ロータとハウジングとの間のクリアランスが広くなり過ぎてしまうことが回避される。以上により、ルーツポンプの性能を向上させることができる。
【0013】
上記ルーツポンプにおいて、前記孔形成面における前記第2軸受側の端部のみが前記隙間嵌め部になっており、前記隙間嵌め部と前記回転軸との間のクリアランスは、前記孔形成面における前記圧入部と前記隙間嵌め部との間の部位と前記回転軸との間のクリアランスよりも小さいとよい。
【0014】
これによれば、孔形成面における第2軸受側の端部のみが隙間嵌め部になっているため、孔形成面における第2軸受側の端部と回転軸との間のクリアランスの管理がし易くなる。したがって、孔形成面における第2軸受側の端部と回転軸とのクリアランスを極力小さくし易くすることができる。その結果、ロータに流体の圧力が作用しても、圧入部を基点としたロータにおける回転軸の径方向内側への撓みを小さくし易くすることができる。
【0015】
上記ルーツポンプにおいて、前記孔形成面は、前記圧入部以外の部位が前記隙間嵌め部になっているとよい。
孔形成面における圧入部以外の部位が隙間嵌め部になっている構成は、孔形成面の加工、又は回転軸の外周面の加工が容易である。したがって、ルーツポンプの構成を簡素化させることができる。
【0016】
上記ルーツポンプにおいて、前記ロータ全体が中実構造であるとよい。
これによれば、ロータ全体の剛性が高まるため、ロータが変形してしまうことを回避し易くすることができる。よって、回転軸が圧入部に圧入されることにより、ロータが回転軸の径方向外側へ変形して、ロータがハウジングに干渉してしまうといった問題を回避し易くすることができる。
【0017】
上記ルーツポンプにおいて、前記ロータは、前記回転軸の径方向で前記圧入部と重なる部分のみが中実構造であるとよい。
これによれば、ロータにおける回転軸の径方向で圧入部と重なる部分が変形し難くなるため、回転軸が圧入部に圧入されることにより、ロータが回転軸の径方向外側へ変形して、ロータがハウジングに干渉してしまうといった問題を回避し易くすることができる。
【0018】
上記ルーツポンプにおいて、前記ロータは、前記挿通孔に対して前記回転軸の径方向外側で前記ロータを貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔内における前記回転軸の径方向で前記圧入部と重なる部分には、リブが設けられているとよい。
【0019】
これによれば、ロータにおける回転軸の径方向で圧入部と重なる部分が変形し難くなるため、回転軸が圧入部に圧入されることにより、ロータが回転軸の径方向外側へ変形して、ロータがハウジングに干渉してしまうといった問題を回避し易くすることができる。
【0020】
上記ルーツポンプにおいて、前記ハウジングは、第1ハウジング構成体と、第2ハウジング構成体と、を有し、前記ロータ室は、前記第1ハウジング構成体と前記第2ハウジング構成体とによって画定されており、前記第2ハウジング構成体には、前記吸入孔及び前記吐出孔が形成されており、前記第1軸受は、前記第1ハウジング構成体に保持されており、前記第2軸受は、前記第2ハウジング構成体に保持されているとよい。
【0021】
第2ハウジング構成体は、吸入孔及び吐出孔が形成されているため、流体の吸入及び吐出による影響を受けて、第1ハウジング構成体よりも温度が高くなり易い。したがって、第2ハウジング構成体は、第1ハウジング構成体よりも熱膨張し易い。ここで、第1軸受は、第1ハウジング構成体に保持されている。第1軸受の内輪は、第1ハウジング構成体の熱膨張による変位量を考慮した圧入代に設定する必要がある。第1ハウジング構成体は、第2ハウジング構成体よりも熱膨張による変位量が小さいため、第1軸受の内輪の圧入代が確保し易くなる。したがって、第1軸受が第1ハウジング構成体に保持されているとともに第2軸受が第2ハウジング構成体に保持されている構成は、ルーツポンプの設計を容易なものとすることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、ルーツポンプの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態におけるルーツポンプを示す断面図である。
図2図1における2-2線断面図である。
図3】ルーツポンプの一部分を拡大して示す断面図である。
図4】別の実施形態におけるルーツポンプの一部分を拡大して示す断面図である。
図5】別の実施形態におけるルーツポンプの一部分を拡大して示す断面図である。
図6】別の実施形態におけるルーツポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、ルーツポンプを具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。本実施形態のルーツポンプは、燃料電池システムで用いられる燃料電池用水素ポンプである。ルーツポンプは、燃料電池車などの車両に搭載されている。ルーツポンプは、流体としての水素ガスを吸入して吐出する。
【0025】
<ルーツポンプ10の全体構成>
図1に示すように、ルーツポンプ10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、筒状である。ハウジング11は、金属材料製である。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。
【0026】
ハウジング11は、第1ハウジング部材12と、第2ハウジング部材13と、第3ハウジング部材14と、第4ハウジング部材15と、第5ハウジング部材16と、を備えている。ハウジング11は、第1ハウジング部材12と、第2ハウジング部材13と、第3ハウジング部材14と、第4ハウジング部材15と、第5ハウジング部材16とを一体に組付けて形成されている。
【0027】
第1ハウジング部材12は、第1端壁12aと、第1周壁12bと、を有している。第1端壁12aは、板状である。第1周壁12bは、第1端壁12aの外周部から筒状に延びている。第1ハウジング部材12は、第1軸受保持部12cを有している。第1軸受保持部12cは、筒状である。第1軸受保持部12cは、第1端壁12aの内面の中央部から第1ハウジング部材12内に突出している。
【0028】
第2ハウジング部材13は、第2端壁13aと、第2周壁13bと、を有している。第2端壁13aは、板状である。第2周壁13bは、第2端壁13aの外周部から筒状に延びている。第2ハウジング部材13は、第1ハウジング部材12に連結されている。第2端壁13aは、第1ハウジング部材12の第1周壁12bの開口を閉塞している。第2ハウジング部材13は、一対の第2軸受保持部13cを有している。一対の第2軸受保持部13cは、第2端壁13aに設けられている。一対の第2軸受保持部13cの一方は、第2端壁13aを厚み方向に貫通する孔である。一対の第2軸受保持部13cの他方は、第2端壁13aの内面に形成された凹部である。
【0029】
第3ハウジング部材14は、第3端壁14aと、第3周壁14bと、を有している。第3端壁14aは、板状である。第3周壁14bは、第3端壁14aの外周部から筒状に延びている。第3ハウジング部材14は、第2ハウジング部材13に連結されている。第3端壁14aは、第2ハウジング部材13の第2周壁13bの開口を閉塞している。第3ハウジング部材14は、一対の第3軸受保持部14cを有している。一対の第3軸受保持部14cは、第3端壁14aに設けられている。一対の第3軸受保持部14cは、第3端壁14aを厚み方向に貫通する孔である。
【0030】
第4ハウジング部材15は、第4端壁15aと、ボス部15bと、一対の第4軸受保持部15cと、を有している。第4端壁15aは、板状である。第4ハウジング部材15は、第3ハウジング部材14に連結されている。第4端壁15aは、第3ハウジング部材14の第3周壁14bの開口を閉塞している。ボス部15bは、筒状である。ボス部15bは、第4端壁15aから突出している。一対の第4軸受保持部15cは、ボス部15bに設けられている。
【0031】
第5ハウジング部材16は、板状である。第5ハウジング部材16は、第4ハウジング部材15に連結されている。第5ハウジング部材16は、ボス部15bの開口を閉塞している。
【0032】
ルーツポンプ10は、モータ室17と、ギア室18と、ロータ室19と、一対の軸受収容室20と、を備えている。モータ室17、ギア室18、ロータ室19、及び一対の軸受収容室20は、ハウジング11に画定されている。モータ室17は、第1端壁12aと、第1周壁12bと、第2端壁13aと、によって画定されている。ギア室18は、第2端壁13aと、第2周壁13bと、第3端壁14aと、によって画定されている。一対の第2軸受保持部13cの各々は、ギア室18に開口している。
【0033】
ルーツポンプ10は、軸受21を備えている。軸受21は、第1軸受保持部12cに保持されている。ルーツポンプ10は、一対の軸受22を備えている。一対の軸受22の各々は、第2軸受保持部13cに保持されている。一対の軸受22の各々は、モータ室17とギア室18の間に位置している。
【0034】
ロータ室19は、第3端壁14aと、第3周壁14bと、第4端壁15aと、によって画定されている。したがって、ロータ室19は、第3ハウジング部材14と第4ハウジング部材15とによって画定されている。第3ハウジング部材14は、第1ハウジング構成体である。第4ハウジング部材15は、第2ハウジング構成体である。したがって、ハウジング11は、第1ハウジング構成体と、第2ハウジング構成体と、を有している。一対の第3軸受保持部14cの各々は、ロータ室19及びギア室18に開口している。一対の第3軸受保持部14cの各々は、ギア室18とロータ室19との間に位置している。
【0035】
ルーツポンプ10は、一対の第1軸受23及び一対の第2軸受24を備えている。一対の第1軸受23の各々は、第3軸受保持部14cに保持されている。したがって、一対の第1軸受23は、第1ハウジング構成体である第3ハウジング部材14に保持されている。
【0036】
一対の軸受収容室20の各々は、ボス部15bと第5ハウジング部材16とによって画定されている。一対の第2軸受24の各々は、第4軸受保持部15cに保持されている。したがって、一対の第2軸受24は、第2ハウジング構成体である第4ハウジング部材15に保持されている。
【0037】
ルーツポンプ10は、回転軸25を備えている。回転軸25は、ハウジング11の内部に配置されている。回転軸25は、駆動軸26及び従動軸27である。なお、以下の説明では、「駆動軸26及び従動軸27」を単に「回転軸25」と記載する場合もある。
【0038】
駆動軸26及び従動軸27は、金属材料製である。駆動軸26及び従動軸27は、例えば、ステンレス製である。したがって、ハウジング11の材質における線膨張係数は、回転軸25の材質における線膨張係数よりも大きい。
【0039】
駆動軸26と従動軸27とは平行に配置されている。駆動軸26の中心軸線L1及び従動軸27の中心軸線L2の延びる方向を回転軸25の軸方向とする。駆動軸26は、第2端壁13a、第3端壁14a、及び第4端壁15aを貫通している。従動軸27は、第3端壁14a及び第4端壁15aを貫通している。駆動軸26は、軸受21、軸受22、第1軸受23、及び第2軸受24を介してハウジング11に回転可能に支持されている。従動軸27は、軸受22、第1軸受23、及び第2軸受24を介してハウジング11に回転可能に支持されている。
【0040】
ルーツポンプ10は、第1シール部材28、一対の第2シール部材29、及び一対の第3シール部材30を備えている。第1シール部材28は、第2端壁13aに設けられている。第1シール部材28は、駆動軸26と第2端壁13aとの間をシールする。一対の第2シール部材29は、第3端壁14aに設けられている。一対の第2シール部材29の一方は、駆動軸26と第3端壁14aとの間をシールする。一対の第2シール部材29の他方は、従動軸27と第3端壁14aとの間をシールする。一対の第3シール部材30は、第4端壁15aに設けられている。一対の第3シール部材30の一方は、駆動軸26と第4端壁15aとの間をシールする。一対の第3シール部材30の他方は、従動軸27と第4端壁15aとの間をシールする。
【0041】
ルーツポンプ10は、モータ31を備えている。モータ31は、モータ室17に収容されている。したがって、モータ室17は、モータ31を収容する。モータ31は、駆動軸26に連結されている。モータ31は、駆動軸26を回転させる。
【0042】
ルーツポンプ10は、駆動ギア32及び従動ギア33を備えている。駆動ギア32及び従動ギア33は、ギア室18に収容されている。したがって、ギア室18は、駆動ギア32及び従動ギア33を収容する。駆動ギア32は、駆動軸26に固定されている。従動ギア33は、従動軸27に固定されている。従動ギア33は、駆動ギア32と噛み合って回転する。従動軸27は、駆動ギア32及び従動ギア33によって駆動軸26とは逆方向に回転する。
【0043】
図1及び図2に示すように、ハウジング11は、吸入孔34、及び吐出孔35を有している。吸入孔34及び吐出孔35は、第4ハウジング部材15及び第5ハウジング部材16を貫通している。したがって、第2ハウジング構成体である第4ハウジング部材15には、吸入孔34及び吐出孔35が形成されている。ロータ室19は、吸入孔34及び吐出孔35に連通する。吸入孔34は、ロータ室19内に水素ガスを吸入する。吐出孔35は、ロータ室19内の水素ガスを吐出する。
【0044】
ルーツポンプ10は、ロータ40を備えている。ロータ40は、駆動ロータ41及び従動ロータ42である。なお、以下の説明では、「駆動ロータ41及び従動ロータ42」を単に「ロータ40」と記載する場合もある。駆動ロータ41及び従動ロータ42は、金属材料製である。駆動ロータ41及び従動ロータ42は、例えば、アルミニウム製である。したがって、ハウジング11の材質における線膨張係数とロータ40の材質における線膨張係数とは同じである。したがって、ハウジング11の材質における線膨張係数及びロータ40の材質における線膨張係数は、回転軸25の材質における線膨張係数よりも大きい。
【0045】
図2に示すように、駆動ロータ41及び従動ロータ42は、ロータ室19に収容されている。駆動ロータ41及び従動ロータ42は、駆動軸26及び従動軸27の軸方向に直交する断面視が二葉状(瓢箪状)に形成されたルーツタイプである。駆動ロータ41及び従動ロータ42は、一対の歯部43と、一対の歯部43同士の間に位置する軸支部44と、をそれぞれ有している。
【0046】
軸支部44は、挿通孔45を有している。したがって、ロータ40は、挿通孔45を有している。挿通孔45は、軸支部44を貫通している。挿通孔45の孔径は、一定である。駆動ロータ41の挿通孔45には、駆動軸26が挿通されている。従動ロータ42の挿通孔45には、従動軸27が挿通されている。したがって、挿通孔45には、回転軸25が挿通されている。
【0047】
一対の歯部43の外周面は、ロータ40の山部を形成している。軸支部44の外周面は、ロータ40の谷部を形成している。駆動ロータ41の歯部43と従動ロータ42の軸支部44とは噛合可能である。駆動ロータ41の軸支部44と従動ロータ42の歯部43とは噛合可能である。一対の歯部43は、中実構造である。ロータ40は、挿通孔45を除く全体の部分が中実構造である。したがって、本実施形態のロータ40は、ロータ40全体が中実構造である。駆動ロータ41と従動ロータ42とは互いに噛合可能に構成されている。駆動ロータ41は、駆動軸26に取り付けられている。駆動ロータ41は、駆動軸26と一体的にロータ室19内で回転する。従動ロータ42は、従動軸27に取り付けられている。従動ロータ42は、従動軸27と一体的にロータ室19内で回転する。従動ロータ42は、駆動ロータ41と共に回転する。駆動ロータ41は、図2に示す矢印R1の方向に回転するとともに従動ロータ42は、図2に示す矢印R2の方向へ回転する。
【0048】
吸入孔34は、第1接続配管46を介して燃料電池48の水素排出口48aに接続されている。吐出孔35は、第2接続配管47を介して燃料電池48の水素供給口48bに接続されている。
【0049】
モータ31の駆動によって駆動軸26が回転すると、互いに噛合された駆動ギア32及び従動ギア33が同期回転する。駆動ギア32及び従動ギア33が同期回転することに伴い、従動軸27が駆動軸26に対して逆回転する。これにより、駆動ロータ41及び従動ロータ42が互いに噛合された状態でそれぞれ逆回転する。そして、ルーツポンプ10では、燃料電池48にて酸素と反応しなかった水素ガスが水素排出口48a、第1接続配管46、及び吸入孔34を介してロータ室19に吸入される。ロータ室19に吸入された水素ガスは、吐出孔35から吐出されて第2接続配管47及び水素供給口48bを介して燃料電池48に供給される。したがって、ルーツポンプ10は、駆動ロータ41及び従動ロータ42の回転によって燃料電池48に水素ガスを供給する。このように、ルーツポンプ10において、駆動ロータ41と従動ロータ42とが回転することにより吸入孔34からロータ室19内に水素ガスが吸入されるとともにロータ室19内の水素ガスが吐出孔35から吐出される。
【0050】
図3に示すように、一対の第1軸受23及び一対の第2軸受24は、内輪51と、外輪52と、転動体53と、をそれぞれ有している。外輪52は、内輪51を囲むとともにハウジング11に支持されている。転動体53は、内輪51と外輪52との間に設けられている。本実施形態の第1軸受23及び第2軸受24は、内輪51と外輪52との間に転動体53である玉が複数設けられることにより構成される玉軸受である。なお、第1軸受23及び第2軸受24は、転動体53としてコロを採用したコロ軸受であってもよい。
【0051】
各第1軸受23及び各第2軸受24は、駆動軸26及び従動軸27における駆動ロータ41及び従動ロータ42を挟んだ両側に位置する部分をハウジング11に対してそれぞれ回転可能に支持する。駆動軸26及び従動軸27は、各第1軸受23の内輪51にそれぞれ圧入されるとともに各第2軸受24の内輪51に隙間嵌めされている。
【0052】
各第1軸受23の外輪52は、各第3軸受保持部14cに締まり嵌めによって保持されている。各第1軸受23の内輪51は、回転軸25と一体的に回転する。各第2軸受24の外輪52は、各第4軸受保持部15cに締まり嵌めによって保持されている。回転軸25における各第2軸受24の内輪51の内側に位置する部分には、Oリング54が装着されている。そして、各第2軸受24の内輪51は、Oリング54を介して回転軸25と一体的に回転する。
【0053】
<ロータ40と回転軸25との関係>
以下、ロータ40と回転軸25との関係について説明する。なお、駆動ロータ41と駆動軸26との関係は、従動ロータ42と従動軸27との関係とほぼ同じであるため、単に「ロータ40と回転軸25との関係」として説明する。
【0054】
回転軸25は、大径部61と、小径部62と、中径部63と、を有している。大径部61、小径部62、及び中径部63は、回転軸25における挿通孔45の内側に位置する部分である。大径部61の外径は、小径部62の外径及び中径部63の外径よりも大きい。中径部63の外径は、小径部62の外径よりも大きい。大径部61は、小径部62及び中径部63よりも第1軸受23寄りに位置している。大径部61は、挿通孔45を形成する孔形成面64における第1軸受23側の端部に圧入されている。したがって、孔形成面64における第1軸受23側の端部は、回転軸25が圧入される圧入部65になっている。そして、ロータ40は、孔形成面64に回転軸25が圧入されることにより回転軸25と一体的にロータ室19内で回転する。
【0055】
中径部63は、大径部61における第1軸受23とは反対側の端部に連続している。小径部62は、中径部63における大径部61とは反対側の端部に連続している。中径部63は、大径部61及び小径部62よりも第2軸受24寄りに位置している。中径部63は、孔形成面64における第2軸受24側の端部に隙間嵌めされている。したがって、孔形成面64における第2軸受24側の端部は、回転軸25が隙間嵌めされる隙間嵌め部66になっている。本実施形態のルーツポンプ10は、孔形成面64における第2軸受24側の端部のみが隙間嵌め部66になっている。隙間嵌め部66と回転軸25の中径部63との間のクリアランスは、孔形成面64における圧入部65と隙間嵌め部66との間の部位と回転軸25の小径部62との間のクリアランスよりも小さい。なお、隙間嵌め部66と回転軸25との間のクリアランスは、ロータ40及び回転軸25が共に熱膨張したとしても、孔形成面64と回転軸25の中径部63との間で締め代を持たないクリアランスに予め設定されている。
【0056】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
ところで、ルーツポンプ10が駆動すると、ハウジング11、ロータ40、及び回転軸25は熱の影響を受ける。例えば、第3ハウジング部材14は、回転軸25に対して、第1軸受23の内輪51と回転軸25との圧入部分を基点として回転軸25の軸方向へ熱膨張する。さらには、第4ハウジング部材15も、第3ハウジング部材14における回転軸25の軸方向への熱膨張に追従して、回転軸25の軸方向へ熱膨張する。このとき、回転軸25が第2軸受24の内輪51に隙間嵌めされているため、第4ハウジング部材15における回転軸25の軸方向への熱膨張が、第2軸受24と回転軸25との間で拘束されることが無い。その結果、第4ハウジング部材15における回転軸25の軸方向への熱膨張が生じても、第2軸受24に負荷が加わることが回避されている。
【0057】
ここで、ロータ40における回転軸25の軸方向への熱膨張による変位量は、孔形成面64に回転軸25が圧入されていることにより、回転軸25における軸方向への熱膨張に依存する。第1軸受23の内輪51と回転軸25との圧入部分と孔形成面64の圧入部65との距離が長いほど、回転軸25における軸方向への熱膨張に依存してロータ40が回転軸25の軸方向へ熱膨張する領域は大きくなる。
【0058】
そこで、孔形成面64における第1軸受23側の端部が圧入部65になっている。よって、第1軸受23の内輪51と回転軸25との圧入部分と孔形成面64の圧入部65との距離が極力短くなるため、回転軸25における軸方向への熱膨張に依存してロータ40が回転軸25の軸方向へ熱膨張する領域が小さくなる。その結果、第3ハウジング部材14における回転軸25の軸方向への熱膨張による変位量とロータ40における回転軸25の軸方向への熱膨張による変位量との差が小さくなる。したがって、ロータ40と第4ハウジング部材15との間のクリアランスが広くなり過ぎてしまったり、ロータ40と第3ハウジング部材14の第3端壁14aとが接触してしまったりすることが回避され易くなる。
【0059】
ここで、例えば、孔形成面64における第1軸受23側の端部が、回転軸25が圧入される圧入部65になっている場合、ロータ40に水素ガスの圧力が作用することにより、圧入部65を基点にロータ40が回転軸25の径方向内側へ撓んでしまう虞がある。そこで、孔形成面64における第2軸受24側の端部は、回転軸25が隙間嵌めされる隙間嵌め部66になっている。よって、孔形成面64における第2軸受24側の端部と回転軸25とのクリアランスが極力小さくなっている。その結果、ロータ40に水素ガスの圧力が作用しても、圧入部65を基点としたロータ40における回転軸25の径方向内側への撓みが小さくなる。よって、ロータ40と第3ハウジング部材14の第3周壁14bとの間のクリアランスが広くなり過ぎてしまうことが回避されている。
【0060】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)孔形成面64における第1軸受23側の端部が、回転軸25が圧入される圧入部65になっている。これによれば、第1軸受23の内輪51と回転軸25との圧入部分と孔形成面64の圧入部65との距離が極力短くなるため、回転軸25における軸方向への熱膨張に依存してロータ40が回転軸25の軸方向へ熱膨張する領域を小さくすることができる。その結果、ハウジング11における回転軸25の軸方向への熱膨張による変位量とロータ40における回転軸25の軸方向への熱膨張による変位量との差を小さくすることができる。したがって、ロータ40とハウジング11との間のクリアランスが広くなり過ぎてしまったり、ロータ40とハウジング11とが接触してしまったりすることを回避し易くすることができる。
【0061】
ここで、例えば、孔形成面64における第1軸受23側の端部が、回転軸25が圧入される圧入部65になっている場合、ロータ40に水素ガスの圧力が作用することにより、圧入部65を基点にロータ40が回転軸25の径方向内側へ撓んでしまう虞がある。ロータ40が圧入部65を基点に回転軸25の径方向内側へ撓んでしまうと、ロータ40とハウジング11との間のクリアランスが広くなり過ぎてしまい、ルーツポンプ10の性能が悪化してしまう。
【0062】
そこで、孔形成面64における第2軸受24側の端部は、回転軸25が隙間嵌めされる隙間嵌め部66になっている。これによれば、孔形成面64における第2軸受24側の端部と回転軸25とのクリアランスを極力小さくすることができる。その結果、ロータ40に水素ガスの圧力が作用しても、圧入部65を基点としたロータ40における回転軸25の径方向内側への撓みを小さくすることができる。よって、ロータ40とハウジング11との間のクリアランスが広くなり過ぎてしまうことが回避される。以上により、ルーツポンプ10の性能を向上させることができる。
【0063】
(2)孔形成面64における第2軸受24側の端部のみが隙間嵌め部66になっているため、孔形成面64における第2軸受24側の端部と回転軸25との間のクリアランスの管理がし易くなる。したがって、孔形成面64における第2軸受24側の端部と回転軸25とのクリアランスを極力小さくし易くすることができる。その結果、ロータ40に水素ガスの圧力が作用しても、圧入部65を基点としたロータ40における回転軸25の径方向内側への撓みを小さくし易くすることができる。
【0064】
(3)ロータ40全体が中実構造である。これによれば、ロータ40全体の剛性が高まるため、ロータ40が変形してしまうことを回避し易くすることができる。よって、回転軸25が圧入部65に圧入されることにより、ロータ40が回転軸25の径方向外側へ変形して、ロータ40がハウジング11に干渉してしまうといった問題を回避し易くすることができる。
【0065】
(4)第4ハウジング部材15は、吸入孔34及び吐出孔35が形成されているため、水素ガスの吸入及び吐出による影響を受けて、第3ハウジング部材14よりも温度が高くなり易い。したがって、第4ハウジング部材15は、第3ハウジング部材14よりも熱膨張し易い。ここで、第1軸受23は、第3ハウジング部材14に保持されている。第1軸受23の内輪51は、第3ハウジング部材14の熱膨張による変位量を考慮した圧入代に設定する必要がある。第3ハウジング部材14は、第4ハウジング部材15よりも熱膨張による変位量が小さいため、第1軸受23の内輪51の圧入代が確保し易くなる。したがって、第1軸受23が第3ハウジング部材14に保持されているとともに第2軸受24が第4ハウジング部材15に保持されている構成は、ルーツポンプ10の設計を容易なものとすることができる。
【0066】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
図4に示すように、孔形成面64は、圧入部65以外の部位が隙間嵌め部66になっていてもよい。要は、少なくとも孔形成面64における第2軸受24側の端部が、回転軸25が隙間嵌めされる隙間嵌め部66になっていればよい。孔形成面64における圧入部65以外の部位が隙間嵌め部66になっている構成は、孔形成面64の加工、又は回転軸25の外周面の加工が容易である。したがって、ルーツポンプ10の構成を簡素化させることができる。
【0068】
図5に示すように、ロータ40は、回転軸25の径方向で圧入部65と重なる部分のみが中実構造であってもよい。ロータ40は、凹部70を有している。凹部70は、一対の歯部43にそれぞれ形成されている。凹部70は、ロータ40における第4ハウジング部材15側の端面に開口している。凹部70は、回転軸25の径方向で回転軸25の中径部63及び小径部62と重なる部分に形成されている。そして、ロータ40における回転軸25の径方向で圧入部65と重なる部分が中実構造になっている。これによれば、ロータ40における回転軸25の径方向で圧入部65と重なる部分が変形し難くなる。このため、回転軸25が圧入部65に圧入されることにより、ロータ40が回転軸25の径方向外側へ変形して、ロータ40がハウジング11に干渉してしまうといった問題を回避し易くすることができる。また、ロータ40全体が中実構造である場合に比べると、ロータ40の軽量化を図ることができる。その結果、ロータ40のイナーシャの低減を図ることができる。
【0069】
図6に示すように、ロータ40は、挿通孔45に対して回転軸25の径方向外側でロータ40を貫通する貫通孔71を有していてもよい。そして、貫通孔71内における回転軸25の径方向で圧入部65と重なる部分にリブ72が設けられていてもよい。貫通孔71は、一対の歯部43にそれぞれ形成されている。これによれば、ロータ40における回転軸25の径方向で圧入部65と重なる部分が変形し難くなる。このため、回転軸25が圧入部65に圧入されることにより、ロータ40が回転軸25の径方向外側へ変形して、ロータ40がハウジング11に干渉してしまうといった問題を回避し易くすることができる。また、貫通孔71は、ロータ40を貫通しているため、ロータ室19内の異物等が貫通孔71内に溜まってしまうことが抑制され易くなる。したがって、ロータ40の重量が大きくなってしまうことを抑制することができる。その結果、ロータ40のイナーシャの低減を図ることができる。
【0070】
○ 実施形態において、回転軸25における挿通孔45の内側に位置する部分の外径が一定であってもよい。そして、挿通孔45における第1軸受23寄りの部分を小径孔にするとともに、挿通孔45における第2軸受24側の部分を大径孔にする。これにより、孔形成面64における第1軸受23側の端部を圧入部65にするとともに、孔形成面64における第2軸受24側の端部を隙間嵌め部66にしてもよい。
【0071】
○ 実施形態において、第1軸受23が第4ハウジング部材15に保持されているとともに第2軸受24が第3ハウジング部材14に保持されていてもよい。
○ 実施形態において、吸入孔34及び吐出孔35が、例えば、第3ハウジング部材14の第3周壁14bに形成されていてもよい。
【0072】
○ 実施形態において、駆動ロータ41及び従動ロータ42は、例えば、駆動軸26及び従動軸27の軸方向に直交する断面視が三葉状に形成されたルーツタイプであってもよい。
【0073】
○ 実施形態において、ルーツポンプ10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、ルーツポンプ10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
○ 実施形態において、ルーツポンプ10は、燃料電池システムで用いられる燃料電池用水素ポンプでなくてもよく、流体を吸入して吐出する構成であればよい。
【0074】
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
<付記1>
流体を吸入する吸入孔、及び流体を吐出する吐出孔を有するハウジングと、
前記ハウジングに画定されるとともに前記吸入孔及び前記吐出孔に連通するロータ室と、
前記ハウジングの内部に配置される回転軸と、
前記回転軸が挿通される挿通孔を有するとともに前記挿通孔を形成する孔形成面に前記回転軸が圧入されることにより前記回転軸と一体的に前記ロータ室内で回転するロータと、
前記回転軸における前記ロータを挟んだ両側に位置する部分を前記ハウジングに対してそれぞれ回転可能に支持する第1軸受及び第2軸受と、を備え、
前記第1軸受及び前記第2軸受は、
内輪と、
前記内輪を囲むとともに前記ハウジングに支持される外輪と、
前記内輪と前記外輪との間に設けられる転動体と、をそれぞれ有し、
前記回転軸は、前記第1軸受の内輪に圧入されるとともに前記第2軸受の内輪に隙間嵌めされており、
前記ハウジングの材質における線膨張係数及び前記ロータの材質における線膨張係数は、前記回転軸の材質における線膨張係数よりも大きく、
前記ロータが回転することにより前記吸入孔から前記ロータ室内に流体が吸入されるとともに前記ロータ室内の流体が前記吐出孔から吐出されるルーツポンプであって、
前記孔形成面における前記第1軸受側の端部は、前記回転軸が圧入される圧入部になっており、
少なくとも前記孔形成面における前記第2軸受側の端部は、前記回転軸が隙間嵌めされる隙間嵌め部になっていることを特徴とするルーツポンプ。
【0075】
<付記2>
前記孔形成面における前記第2軸受側の端部のみが前記隙間嵌め部になっており、
前記隙間嵌め部と前記回転軸との間のクリアランスは、前記孔形成面における前記圧入部と前記隙間嵌め部との間の部位と前記回転軸との間のクリアランスよりも小さいことを特徴とする<付記1>に記載のルーツポンプ。
【0076】
<付記3>
前記孔形成面は、前記圧入部以外の部位が前記隙間嵌め部になっていることを特徴とする<付記1>に記載のルーツポンプ。
【0077】
<付記4>
前記ロータ全体が中実構造であることを特徴とする<付記1>~<付記3>のいずれか1つに記載のルーツポンプ。
【0078】
<付記5>
前記ロータは、前記回転軸の径方向で前記圧入部と重なる部分のみが中実構造であることを特徴とする<付記1>~<付記3>のいずれか1つに記載のルーツポンプ。
【0079】
<付記6>
前記ロータは、前記挿通孔に対して前記回転軸の径方向外側で前記ロータを貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔内における前記回転軸の径方向で前記圧入部と重なる部分には、リブが設けられていることを特徴とする<付記1>~<付記3>のいずれか1つに記載のルーツポンプ。
【0080】
<付記7>
前記ハウジングは、第1ハウジング構成体と、第2ハウジング構成体と、を有し、
前記ロータ室は、前記第1ハウジング構成体と前記第2ハウジング構成体とによって画定されており、
前記第2ハウジング構成体には、前記吸入孔及び前記吐出孔が形成されており、
前記第1軸受は、前記第1ハウジング構成体に保持されており、
前記第2軸受は、前記第2ハウジング構成体に保持されていることを特徴とする<付記1>~<付記6>のいずれか1つに記載のルーツポンプ。
【符号の説明】
【0081】
10…ルーツポンプ、11…ハウジング、14…第1ハウジング構成体である第3ハウジング部材、15…第2ハウジング構成体である第4ハウジング部材、19…ロータ室、23…第1軸受、24…第2軸受、25…回転軸、34…吸入孔、35…吐出孔、40…ロータ、45…挿通孔、51…内輪、52…外輪、53…転動体、64…孔形成面、65…圧入部、66…隙間嵌め部、71…貫通孔、72…リブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6