(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120339
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】甘皮起こし具及び甘皮切り具
(51)【国際特許分類】
A45D 29/16 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A45D29/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027071
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000112473
【氏名又は名称】フェザー安全剃刀株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】足立 純
(72)【発明者】
【氏名】小川 真実
(57)【要約】
【課題】側爪甲縁に沿って延在する甘皮を容易に起こすことができる。
【解決手段】甘皮起こし具20は、爪甲の表面に密着している甘皮を起こすものであり、把持部21と、把持部21に連なる板状の本体部30とを有する。本体部30の主面30aに沿う方向であり、互いに直交する2つの方向を第1方向X及び第2方向Yとするとき、本体部30は、第1方向Xに延在する第1縁31と、第2方向Yに延在する第2縁32とを有する。第1縁31は、爪甲に対向するとともに側爪甲縁に交差する姿勢において爪甲を逃がす弧状凹部50を有する。弧状凹部50と第2縁32との間の第1コーナ部41は、先細状である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪甲の表面に密着している甘皮を起こす甘皮起こし具であって、
把持部と、
前記把持部に連なる板状の本体部と、を有し、
前記本体部の主面に沿う方向であり、互いに直交する2つの方向を第1方向及び第2方向とするとき、
前記本体部は、前記第1方向に延在する第1縁と、前記第2方向に延在する第2縁と、を有し、
前記第1縁は、前記爪甲に対向するとともに側爪甲縁に交差する姿勢において前記爪甲を逃がす弧状凹部を有し、
前記弧状凹部と前記第2縁との間のコーナ部は、先細状である、
甘皮起こし具。
【請求項2】
前記第2縁は、前記第2方向に沿って延在している、
請求項1に記載の甘皮起こし具。
【請求項3】
前記コーナ部を第1コーナ部とするとき、
前記本体部は、前記第1方向に延在するとともに前記第1縁とは反対側に位置する第3縁を有し、
前記第2縁と前記第3縁との間の第2コーナ部は、弧状である、
請求項2に記載の甘皮起こし具。
【請求項4】
刃先を有する先端部と、互いに連結されている基端部と、を有し、対向する一対の挟圧板を備える甘皮切り具であって、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の甘皮起こし具を備え、
前記本体部が、前記基端部に一体形成されており、
前記把持部が、前記一対の挟圧板により構成されている、
甘皮切り具。
【請求項5】
一対の前記挟圧板は、前記第1方向に沿って延在する長尺状である、
請求項4に記載の甘皮切り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘皮起こし具及び甘皮起こし具を備えた甘皮切り具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪甲の表面に密着している甘皮を起こす甘皮起こし具がある(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、上記甘皮起こし具を備えた甘皮切り具が開示されている。
特許文献1に開示の甘皮切り具は、対向する2枚の挟圧板を備える。2枚の挟圧板の先端には、甘皮を挟んで切除する刃が設けられている。2枚の挟圧板の基端部同士は互いに固定されている。上記甘皮切り具は、全体として毛抜き様形状である。甘皮切り具の基端部には、甘皮押圧縁が設けられている。甘皮押圧縁は、基端側ほど厚みが小さくなるように斜めにカットして形成されている。甘皮押圧縁により、甘皮の先端から爪の根元に向けて甘皮を押圧することで、爪甲から甘皮をめくり上げることができる。そして、一対の挟圧板の刃により、めくり上げられた甘皮を摘まんで切除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
甘皮には、側爪甲縁に沿って延在するものがある。特許文献1に開示の甘皮押圧縁により、側爪甲縁に沿って延在する甘皮を起こそうとすると、爪甲が湾曲しているために爪甲に対する甘皮押圧縁の進入角度を適切に設定することが難しい。このため、側爪甲縁に沿って延在する甘皮を容易に起こすことができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための甘皮起こし具及び甘皮切り具の各態様を記載する。
[態様1]
爪甲の表面に密着している甘皮を起こす甘皮起こし具であって、把持部と、前記把持部に連なる板状の本体部と、を有し、前記本体部の主面に沿う方向であり、互いに直交する2つの方向を第1方向及び第2方向とするとき、前記本体部は、前記第1方向に延在する第1縁と、前記第2方向に延在する第2縁と、を有し、前記第1縁は、前記爪甲に対向するとともに側爪甲縁に交差する姿勢において前記爪甲を逃がす弧状凹部を有し、前記弧状凹部と前記第2縁との間のコーナ部は、先細状である、甘皮起こし具。
【0006】
使用者は、上記構成の甘皮起こし具の把持部を把持して弧状凹部を爪甲に対向させるとともに側爪甲縁に交差させた姿勢で弧状凹部の先端部分を爪甲の表面のうち当該側爪甲縁近傍の部分に押し当てながら側爪甲縁に沿ってスライドさせる。このとき、コーナ部が先細状であるため、弧状凹部をスライドさせる際に当該コーナ部が指の側爪郭に当たることを抑制できる。弧状凹部によって爪甲を逃がすことで爪甲に対する弧状凹部の姿勢を安定させることができるので、側爪甲縁に沿って延在する甘皮を容易に起こすことができる。したがって、側爪甲縁に沿って延在する甘皮を容易に起こすことができる。
【0007】
[態様2]
前記第2縁は、前記第2方向に沿って延在している、態様1に記載の甘皮起こし具。
使用者は、第2縁を爪甲に押し当てながら後爪郭に向けてスライドさせることで後爪郭と隣り合って存在する甘皮を起こすことができる。したがって、甘皮起こし具の部位を使い分けることで、側爪甲縁に沿って延在する甘皮に加えて、後爪郭と隣り合って存在する甘皮を容易に起こすことができる。
【0008】
[態様3]
前記コーナ部を第1コーナ部とするとき、前記本体部は、前記第1方向に延在するとともに前記第1縁とは反対側に位置する第3縁を有し、前記第2縁と前記第3縁との間の第2コーナ部は、弧状である、態様1または態様2に記載の甘皮起こし具。
【0009】
使用者は、第2コーナ部を爪甲に押し当てながら側爪郭と後爪郭との間のコーナ部に向けてスライドさせることで、上記コーナ部に存在する甘皮を起こすことができる。したがって、甘皮起こし具の部位を使い分けることで、側爪甲縁に沿って延在する甘皮及び後爪郭と隣り合って存在する甘皮に加えて、上記コーナ部に延在する甘皮を容易に起こすことができる。
【0010】
[態様4]
刃先を有する先端部と、互いに連結されている基端部と、を有し、対向する一対の挟圧板を備える甘皮切り具であって、態様1から態様3のいずれか一項に記載の甘皮起こし具を備え、前記本体部が、前記基端部に一体形成されており、前記把持部が、前記一対の挟圧板により構成されている、甘皮切り具。
【0011】
同構成によれば、甘皮切り具の一部として甘皮起こし具が具現化される。これにより、甘皮起こし具により甘皮を起こした後に、一対の挟圧板の先端部に設けられた刃先によって当該甘皮を摘まんで切除することができる。
【0012】
[態様5]
一対の前記挟圧板は、前記第1方向に沿って延在する長尺状である、態様4に記載の甘皮切り具。
【0013】
同構成によれば、甘皮起こし具により甘皮を起こす際に、一対の挟圧板全体が使用者の手の中に収まるようになるので、甘皮起こし具を容易に使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、側爪甲縁に沿って延在する甘皮を容易に起こすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、甘皮切り具の一実施形態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1の甘皮起こし具の第1の使用方法の説明図である。
【
図8】
図8は、
図1の甘皮起こし具の第2の使用方法の説明図である。
【
図9】
図9は、
図1の甘皮起こし具の第3の使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図10を参照して、甘皮起こし具及び甘皮切り具の一実施形態について説明する。
<甘皮切り具10>
図1~
図5に示すように、甘皮切り具10は、刃先12を有する先端部13と、互いに連結されている基端部14とを有し、対向する一対の挟圧板11を備える。甘皮切り具10は、毛抜き様形状である。甘皮切り具10は、金属製である。甘皮切り具10は、例えばステンレス鋼により形成されていることが好ましい。
【0017】
一対の挟圧板11は、第1方向Xに沿って延在する長尺状である。
以降において、第1方向Xに直交する方向であり、挟圧板11の幅方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交する方向であり、一対の挟圧板11の対向方向を第3方向Zとして説明する。
【0018】
<甘皮起こし具20>
図1~
図5に示すように、甘皮切り具10は、甘皮起こし具20を備える。甘皮起こし具20は、爪甲91の表面に密着している甘皮95a~95cを起こす器具である(甘皮95a~95cについては
図6参照)。
【0019】
甘皮起こし具20は、把持部21と、把持部21に連なる板状の本体部30とを有する。第1方向X及び第2方向Yは、本体部30の主面30aに沿っている。
図3に示すように、本体部30は、いずれも第1方向Xに延在する第1縁31及び第3縁33と、第2方向Yに延在する第2縁32とを有する。第3縁33は、第1縁31とは反対側に位置している。
【0020】
第1縁31は、爪甲91に対向するとともに側爪甲縁92に交差する姿勢において爪甲91を逃がす弧状凹部50を有する。弧状凹部50の曲率半径は、5mm以上であり、13mm以下であることが好ましく、8mm以上であり、9mm以下であることがさらに好ましい。
【0021】
第2縁32は、第2方向Yに沿って延在している。
弧状凹部50と第2縁32との間の第1コーナ部41は、先細状である。
第2縁32と第3縁33との間の第2コーナ部42は、弧状である。第2コーナ部42の曲率半径は、3mm以上であり、8mm以下であることが好ましく、5mm以上であり、6mm以下であることがさらに好ましい。
【0022】
本体部30は、一対の挟圧板11の基端部14に一体形成されている。本体部30の板厚は、挟圧板11の板厚よりも薄いことが好ましい。
本体部30は、第1方向Xにおいて基端部14と隣り合っている。一対の挟圧板11により把持部21が構成されている。
【0023】
<甘皮起こし具20の使用方法>
次に、本実施形態の甘皮起こし具20の4つの使用方法及び作用について説明する。
まず、第1の使用方法について説明する。
【0024】
図6及び
図7に示すように、使用者は、甘皮起こし具20の把持部21を把持して弧状凹部50を手指90の爪甲91に対向させるとともに側爪甲縁92に交差させた姿勢にする。使用者は、この姿勢で弧状凹部50の先端部分(
図7の右端部分)を爪甲91の表面のうち側爪甲縁92近傍の部分に押し当てながら側爪甲縁92に沿ってスライドさせる。このとき、第1コーナ部41が先細状であるため、弧状凹部50をスライドさせる際に第1コーナ部41が手指90の側爪郭94に当たることを抑制できる。弧状凹部50によって爪甲91を逃がすことで爪甲91に対する弧状凹部50の姿勢を安定させることができるので、側爪甲縁92に沿って延在する甘皮95aを容易に起こすことができる(以上、作用1)。
【0025】
次に、第2の使用方法について説明する。
図6及び
図8に示すように、使用者は、第2縁32を爪甲91に押し当てながら後爪郭93に向けてスライドさせることで後爪郭93と隣り合って存在する甘皮95bを起こすことができる(以上、作用2)。
【0026】
次に、第3の使用方法について説明する。
図6及び
図9に示すように、使用者は、第2コーナ部42を爪甲91に押し当てながら側爪郭94と後爪郭93との間のコーナ部96に向けてスライドさせることで、コーナ部96に存在する甘皮95cを起こすことができる(以上、作用3)。
【0027】
使用者は、第1~3の使用方法によって起こされた甘皮95a~95cを、一対の挟圧板11の刃先12によって摘まんで切除することができる。
次に、第4の使用方法について説明する。
【0028】
図10に示すように、使用者は、弧状凹部50を指先97に対向させるとともに爪先98と指先97との間に第1コーナ部41を差し込む。そして、使用者は、第1コーナ部41を爪先98に沿ってスライドさせることにより、爪先98と指先97との間に挟まった異物を除去することができる(以上、作用4)。
【0029】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)甘皮起こし具20の本体部30は、第1方向Xに延在する第1縁31と、第2方向Yに延在する第2縁32とを有する。第1縁31は、爪甲91に対向するとともに側爪甲縁92に交差する姿勢において爪甲91を逃がす弧状凹部50を有する。弧状凹部50と第2縁32との間の第1コーナ部41は、先細状である。
【0030】
こうした構成によれば、上記作用1を奏するので、側爪甲縁92に沿って延在する甘皮95aを容易に起こすことができる。
また、上記作用4を奏するので、爪先98と指先97との間に挟まった異物を容易に除去することができる。
【0031】
(2)第2縁32は、第2方向Yに沿って延在している。
こうした構成によれば、上記作用2を奏するので、甘皮起こし具20の部位を使い分けることで、甘皮95aに加えて、後爪郭93と隣り合って存在する甘皮95bを容易に起こすことができる。
【0032】
(3)第2縁32と第3縁33との間の第2コーナ部42は、弧状である。
こうした構成によれば、上記作用3を奏するので、甘皮起こし具20の部位を使い分けることで、甘皮95a,95bに加えて、コーナ部96に延在する甘皮95cを容易に起こすことができる。
【0033】
(4)甘皮起こし具20の本体部30が、甘皮切り具10の一対の挟圧板11の基端部14に一体形成されている。把持部21が、一対の挟圧板11により構成されている。
こうした構成によれば、甘皮切り具10の一部として甘皮起こし具20が具現化される。これにより、甘皮起こし具20により甘皮95a~95cを起こした後に、一対の挟圧板11の先端部13に設けられた刃先12によって当該甘皮95a~95cを摘まんで切除することができる。
【0034】
(5)一対の挟圧板11は、第1方向Xに沿って延在する長尺状である。
こうした構成によれば、甘皮起こし具20により甘皮95a~95cを起こす際に、一対の挟圧板11全体が使用者の手の中に収まるようになるので、甘皮起こし具20を容易に使用することができる。
【0035】
(変更例)
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0036】
・一対の挟圧板11が第2方向Yに沿って延在する長尺状のものであってもよい。すなわち、甘皮切り具10の基端縁(
図3の右端縁)に、弧状凹部50が設けられているものであってもよい。
【0037】
・甘皮起こし具20は、甘皮切り具10と一体化されたものに限定されない。すなわち、甘皮起こし具20の把持部21は、一対の挟圧板11により構成されていないものであってもよい。
【0038】
・第2コーナ部42は、弧状でなくともよく、例えば直角状であってもよい。
・第2縁32は、第2方向Yに沿って延在するものに限定されず、例えば弧状に湾曲しているものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…甘皮切り具
11…挟圧板
12…刃先
13…先端部
14…基端部
20…甘皮起こし具
21…把持部
30…本体部
30a…主面
31…第1縁
32…第2縁
33…第3縁
41…第1コーナ部
42…第2コーナ部
50…弧状凹部
90…手指
91…爪甲
92…側爪甲縁
93…後爪郭
94…側爪郭
95a~95c…甘皮
96…コーナ部
97…指先
98…爪先