(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120345
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】注射針カートリッジ携帯装置
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20240829BHJP
A61M 5/00 20060101ALI20240829BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20240829BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20240829BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61G12/00 W
A61M5/00 514
A61M5/32 510Z
A61J3/00 301
A61M5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027081
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 浩明
(72)【発明者】
【氏名】林 添麟
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
4C341
【Fターム(参考)】
4C047AA27
4C047CC04
4C047GG37
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C341LL12
4C341LL24
(57)【要約】
【課題】複数の注射針カートリッジの管理を容易に行うことを可能とする。
【解決手段】携帯式インスリン保冷装置は、回転可能に保持されたローラ4cと、ローラ4cに装着可能であると共に、注射針カートリッジを収容可能な針収容凹部がローラ4cの軸芯Lを中心とする周方向に複数配列されて設けられた注射針収容部4eと、注射針収容部4eに対向して設けられると共に、単一の針収容凹部を露出可能な開口を有する中間キャップ4gとを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に保持されたローラと、
前記ローラに装着可能であると共に、注射針カートリッジを収容可能な針収容凹部が前記ローラの回転軸を中心とする周方向に複数配列されて設けられた注射針収容部と、
前記注射針収容部に対向して設けられると共に、単一の前記針収容凹部を露出可能な開口を有するキャップ部材と
を備える
ことを特徴とする注射針カートリッジ携帯装置。
【請求項2】
前記ローラが、前記回転軸を中心とする円形状に設けられた周面と、前記周面に囲まれた部位に設けられると共に前記注射針収容部が取り付け可能な取付部とを有し、
前記ローラを回転可能に保持するローラ保持部と、
前記周面に対向するように前記ローラ保持部に支持されると共に、前記周面の一部を露出する開口部を有するローラカバー部材と
を備える
ことを特徴とする請求項1記載の注射針カートリッジ携帯装置。
【請求項3】
前記注射針収容部が、前記針収容凹部と、前記針収容凹部が設けられていない閉塞壁部とが、交互に前記回転軸を中心とする周方向に等間隔で配列されたフランジ部を有し、
前記針収容凹部と前記閉塞壁部との配列ピッチ単位にて前記ローラを一方向に回転可能とするラチェット機構を備える
ことを特徴とする請求項2記載の注射針カートリッジ携帯装置。
【請求項4】
前記針収容凹部の開口端が前記閉塞壁部で閉じられるように前記フランジ部が折り畳み可能であり、
折り畳まれた前記フランジ部の形状を固定する係止爪部が前記フランジ部の縁部に設けられている
ことを特徴とする請求項3記載の注射針カートリッジ携帯装置。
【請求項5】
前記開口にて露出される前記針収容凹部を示すマークが前記周面に設けられていることを特徴とする請求項4記載の注射針カートリッジ携帯装置。
【請求項6】
前記マークは立体的な形状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の注射針カートリッジ携帯装置。
【請求項7】
前記ローラ保持部に着脱可能に設けられると共に注射器本体を収容可能な注射器本体収容部を備えることを特徴とする請求項2~6のいずれか一項に記載の注射針カートリッジ携帯装置。
【請求項8】
前記注射器本体収容部を冷却可能な冷却装置を備えることを特徴とする請求項7記載の注射針カートリッジ携帯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射針カートリッジ携帯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、携帯型注射器が開示されている。特許文献1に開示された携帯型注射器は、針切断機能を有する注射器キャップを備え、使用済みの注射針を、注射器キャップを用いて切断することで、別に針切断装置を携帯する必要をなくすことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インスリン等の注射を必要とする患者が外出をするためには、例えば特許文献1のような携帯型注射器を携行する必要がある。ところが、症状によっては、1日に複数回のインスリンの注射が必要となる。このような場合には、注射器本体に脱着可能な注射針カートリッジを複数持ち運び、注射が必要なタイミングで注射針カートリッジの注射器本体への着脱を行う必要がある。しかしながら複数の注射針カートリッジの管理は、患者等に煩わしさを感じさせ、旅行等の長期の外出を躊躇する要因となる。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、複数の注射針カートリッジの管理を容易に行うことを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、注射針カートリッジ携帯装置であって、回転可能に保持されたローラと、上記ローラに装着可能であると共に、注射針カートリッジを収容可能な針収容凹部が上記ローラの回転軸を中心とする周方向に複数配列されて設けられた注射針収容部と、上記注射針収容部に対向して設けられると共に、単一の上記針収容凹部を露出可能な開口を有するキャップ部材とを備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記ローラが、上記回転軸を中心とする円形状に設けられた周面と、上記周面に囲まれた部位に設けられると共に上記注射針収容部が取り付け可能な取付部とを有し、上記ローラを回転可能に保持するローラ保持部と、上記周面に対向するように上記ローラ保持部に支持されると共に、上記周面の一部を露出する開口部を有するローラカバー部材とを備えるという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記注射針収容部が、上記針収容凹部と、上記針収容凹部が設けられていない閉塞壁部とが、交互に上記回転軸を中心とする周方向に等間隔で配列されたフランジ部を有し、上記針収容凹部と上記閉塞壁部との配列ピッチ単位にて上記ローラを一方向に回転可能とするラチェット機構を備えるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、上記針収容凹部の開口端が上記閉塞壁部で閉じられるように上記フランジ部が折り畳み可能であり、折り畳まれた上記フランジ部の形状を固定する係止爪部が上記フランジ部の縁部に設けられているという構成を採用する。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様において、上記開口にて露出される上記針収容凹部あるいは上記閉塞壁部を示すマークが上記周面に設けられているという構成を採用する。
【0012】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様において、上記マークが立体的な形状に形成されているという構成を採用する。
【0013】
本発明の第7の態様は、上記第2~第6のいずれか一つの態様において、上記ローラ保持部に着脱可能に設けられると共に注射器本体を収容可能な注射器本体収容部を備えるという構成を採用する。
【0014】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、上記注射器本体収容部を冷却可能な冷却装置を備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、複数の針収容凹部を有する注射針収容部は、回転可能なローラに装着される。また、単一の針収容凹部を露出可能な開口を有するキャップ部材は、注射針収容部に対向するように設けられている。このため、未使用の注射針カートリッジを使用して再度同じ針収容凹部に収容した後、ローラを回転する作業を行うことで、新たな未使用の注射針カートリッジをキャップ部材の開口から取り出すことが可能となる。このような本発明の注射針カートリッジ携帯装置は、複数の未使用の注射針カートリッジを収容することができ、また複数の使用済みの注射針カートリッジを収容することができる。したがって、本発明の注射針カートリッジ携帯装置は、旅行等の長期の外出中であっても、複数の注射針カートリッジの管理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置の概略構成を示す斜視図であり、冷却装置が携行ユニットから取り外された状態を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置の概略構成を示す斜視図であり、冷却装置が携行ユニットに装着された状態を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置が備える携行ユニットの分解図である。
【
図4】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置が備える注射針カートリッジ収容ユニットの分解図である。
【
図5】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置が備えるローラの模式的な平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置が備えるローラの周面の一部を示す側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置が備える注射針収容部の模式的な斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置が備える注射針収容部が折り畳まれた状態を示す模式的な斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置が備える注射器本体収容ユニットの分解図である。
【
図10】本発明の一実施形態における携帯式インスリン保冷装置が備える冷却装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る注射針カートリッジ携帯装置の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態においては、本発明の注射針カートリッジ携帯装置を、携帯式インスリン保冷装置に適用した例について説明する。ただし、本発明の注射針カートリッジ携帯装置は、インスリンを注射するための注射針カートリッジを携帯するものに限定されず、インスリン以外の薬剤を注射するための注射針カートリッジを携帯するものに適用可能である。
【0018】
図1及び
図2は、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1(注射針カートリッジ携帯装置)の概略構成を示す斜視図である。
図1は、後述する冷却装置が携行ユニットから取り外された状態を示す。また、
図2は、冷却装置が携行ユニットに装着された状態を示す。
【0019】
本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、注射器本体X(
図9参照)と複数の注射針カートリッジY(
図7(b)参照)とを自宅や病院から持ち出すことを可能とするものであり、例えばインスリンの注射が必要な患者や、この患者の介護者によって携帯される。
【0020】
例えば、
図1に示すように、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、携行ユニット2と、冷却装置3とを備える。携行ユニット2は、注射器本体Xと複数の注射針カートリッジYを収容する容器である。また、冷却装置3は、外部から電力供給されることで携行ユニット2を冷却する装置である。このような冷却装置3は、携行ユニット2に対して着脱可能である。
【0021】
例えば、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、携行ユニット2及び冷却装置3を含む全体が旅行先等に持っていかれる。例えば、旅行先にて、携行ユニット2及び冷却装置3のうち、冷却装置3は、宿泊先に置いておかれる。また、例えば、携行ユニット2及び冷却装置3のうち、携行ユニット2は、宿泊先から外出する場合には、冷却装置3が取り外された状態で患者や介護者によって持ち運ばれる。
【0022】
図3は、携行ユニット2の分解図である。この図に示すように、携行ユニット2は、注射針カートリッジ収容ユニット4と、注射器本体収容ユニット5(注射器本体収容部)とを備えている。注射針カートリッジ収容ユニット4は、注射針カートリッジYを収容する部位である。この注射針カートリッジ収容ユニット4は、注射器本体収容ユニット5に上方から接続されており、携行ユニット2の上部を構成している。注射器本体収容ユニット5は、注射器本体Xを収容する部位である。この注射器本体収容ユニット5は、注射針カートリッジ収容ユニット4の下部に位置し、注射器本体Xを保冷しながら収容する。
【0023】
図4は、注射針カートリッジ収容ユニット4の分解図である。
図4に示すように、注射針カートリッジ収容ユニット4は、下部キャップ4a(ローラ保持部)と、ラチェット機構4bと、ローラ4cと、ネジ4dと、注射針収容部4eと、カバー4f(ローラカバー部材)と、中間キャップ4g(キャップ部材)と、上部キャップ4hと、ゴムリング4iとを備える。
【0024】
下部キャップ4aは、注射針カートリッジ収容ユニット4の底部を形成する部材であり、注射器本体収容ユニット5の上端に対して着脱可能である。下部キャップ4aは、注射器本体収容ユニット5に装着されることで、注射器本体収容ユニット5が備える後述の保冷容器5bを上方から覆う。また、下部キャップ4aが、注射器本体収容ユニット5から脱離されることで、保冷容器5bが上方に向けて露出される。
【0025】
下部キャップ4aは、
図4に示すように、基部4a1と、軸部4a2とを有する。基部4a1は、円板状に形成されており、注射器本体収容ユニット5の後述するケース5aに対して螺合可能である。軸部4a2は、上方から見て基部4a1の中央部に接続されており、基部4a1から上方に向けて延出する棒状の部位である。
【0026】
このような下部キャップ4aは、基部4a1がケース5aに螺合されることで、ケース5aを閉鎖する。また、下部キャップ4aが、ケース5aから脱離されることで、ケース5aを上方に向けて開放する。また、下部キャップ4aは、ラチェット機構4b、ローラ4c、ネジ4d、注射針収容部4e、カバー4f、中間キャップ4g、上部キャップ4h及びゴムリング4iを直接的あるいは間接的に支持する。また、下部キャップ4aは、ローラ4cを回転可能に保持する。このような下部キャップ4aは、ローラ4cを回転可能に保持するローラ保持部として機能する。
【0027】
ラチェット機構4bは、下部キャップ4aとローラ4cとの間に介装される。ラチェット機構4bは、下部キャップ4aに対するローラ4cの回転方向を一方向に規制する。本実施形態では、上方から見たローラ4cの回転方向は、ラチェット機構4bによって左回り(
図5の矢印方向)に規制される。ただし、ローラ4cの回転方向は、上方から見て右回りに規定されてもよい。
【0028】
ローラ4cは、下部キャップ4aの軸部4a2が挿入される不図示の凹部を有しており、軸部4a2を囲うように下部キャップ4aの基部4a1に載置されている。ローラ4cは、下部キャップ4aの基部4a1と、カバー4fと、中間キャップ4gとで囲まれた空間の内部にて、回転可能に保持されている。本実施形態では、ローラ4cは、上述のように、ラチェット機構4bによって、上方から見て、左回りに回転可能に保持されている。
【0029】
図5は、ローラ4cの模式的な平面図である。なお、
図5において、
図4に示すネジ4dは省略している。ローラ4cは、軸芯L(回転軸)を中心とする略円柱形状に形成されており、
図5に示すように円形状の上面4c1を有している。また、ローラ4cは、複数(本実施形態では3つ)の取付凹部4c2(取付部)が設けられている。
図5に示すように、これらの取付凹部4c2は、上面4c1に開口するように形成されている。
【0030】
これらの取付凹部4c2は、上方から見て、周面4c3に囲まれた部位に設けられており、ローラ4cの軸芯Lを中心とする周方向に等間隔で設けられている。これらの取付凹部4c2の各々には、注射針収容部4eの後述の収容部4e2が上方から挿入される。注射針収容部4eは、ローラ4cに対して着脱可能であり、収容部4e2の各々が取付凹部4c2に挿入された状態でローラ4cに装着される。
【0031】
また、ローラ4cの周面4c3は、上方から見て軸芯Lを中心とする円形状に形成されている。このような周面4c3には、開口表示部4c4と、ロック表示部4c5とが周方向に交互に配列されている。本実施形態では、周面4c3には、3つの開口表示部4c4とロック表示部4c5とが設けられている。
【0032】
開口表示部4c4は、取付凹部4c2が中間キャップ4gの開口4g1の下方に位置する場合に、カバー4fの後述する窓部4f1にて露出される部位である。つまり、ローラ4cの開口表示部4c4が窓部4f1で露出されるようにローラ4cを回転させることで、取付凹部4c2が中間キャップ4gの開口4g1の下方に位置する。
【0033】
図6は、ローラ4cの周面4c3の一部を示す側面図である。
図6における(a)~(c)は、開口表示部4c4を示す側面図である。これらの図に示すように、各々の開口表示部4c4に対しては、マーク4c6が設けられている。
【0034】
マーク4c6は、患者や介護者に開口表示部4c4が窓部4f1で露出されることを示す表示である。本実施形態では、3つの開口表示部4c4が設けられているため、マーク4c6も3つ設けられている。また、本実施形態において、これらの3つのマーク4c6は、各々が異なる。具体的には、3つのマーク4c6のうち1つ目は、単一の窪みから成る。また、3つのマーク4c6のうち2つ目は、2つの窪みから成る。また、3つのマーク4c6のうち3つ目は、3つの窪みから成る。このように、本実施形態では、マーク4c6の各々が立体的な形状に形成されており、各々のマーク4c6が異なる形状に形成されている。
【0035】
本実施形態では、開口表示部4c4がカバー4fの窓部4f1で露出された状態では、ローラ4cの3つの取付凹部4c2のいずれか1つが、中間キャップ4gの開口4g1の下方に位置する。このため、開口表示部4c4がカバー4fの窓部4f1で露出された状態では、中間キャップ4gの開口4g1から、取付凹部4c2に取り付けられた収容部4e2に収容された注射針カートリッジYが取り出し可能となる。
【0036】
さらに、各々の開口表示部4c4に設けられたマーク4c6が異なるため、3つの取付凹部4c2(すなわち3つの収容部4e2)のいずれが中間キャップ4gの開口4g1にて露出されているかを、患者あるいは介護者が容易に把握することができる。例えば、単一の窪みから成るマーク4c6(
図6(a)で示すマーク4c6)が「朝」を示し、2つの窪みから成るマーク4c6(
図6(b)で示すマーク4c6)が「昼」を示し、3つの窪みから成るマーク4c6(
図6(c)で示すマーク4c6)が「夜」を示すとする。ここで、患者あるいは介護者は、「朝」を示すマーク4c6がカバー4fの窓部4f1で露出されている場合には、「朝」に用いる注射針カートリッジYが中間キャップ4gの開口4g1から取り出し可能な状態であることが容易に把握である。また、患者あるいは介護者は、「昼」を示すマーク4c6がカバー4fの窓部4f1で露出されている場合には、「昼」に用いる注射針カートリッジYが中間キャップ4gの開口4g1から取り出し可能な状態であることが容易に把握である。また、患者あるいは介護者は、「夜」を示すマーク4c6がカバー4fの窓部4f1で露出されている場合には、「夜」に用いる注射針カートリッジYが中間キャップ4gの開口4g1から取り出し可能な状態であることが容易に把握である。
【0037】
また、
図6における(d)は、ロック表示部4c5を示す側面図である。この図に示すように、ロック表示部4c5に対しては、凹凸面4c7が設けられている。凹凸面4c7は、患者や介護者にロック表示部4c5が窓部4f1で露出されることを示す表示である。本実施形態では、3つのロック表示部4c5の各々に対して凹凸面4c7が設けられている。
【0038】
本実施形態では、ロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1で露出された状態では、ローラ4cの取付凹部4c2が設けられていない部位が、中間キャップ4gの開口4g1の下方に位置する。このため、ロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1で露出された状態では、中間キャップ4gの開口4g1から、取付凹部4c2に取り付けられた収容部4e2に収容された注射針カートリッジYが取り出し不能となる。
【0039】
さらに、ロック表示部4c5に凹凸面4c7が設けられているため、患者あるいは介護者は、ロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1に露出されていることを容易に把握することができる。さらに、凹凸面4c7に指を掛けることで、患者あるいは介護者は、ローラ4cを容易に回転させることができる。
【0040】
図4に戻り、ネジ4dは、ローラ4cが下部キャップ4aに対して脱離しないように移動を規制する。例えば、ネジ4dは、下部キャップ4aの軸部4a2の先端に螺合されており、ローラ4cが下部キャップ4aに対して上方に移動することを規制する。なお、ネジ4dは、ローラ4cの下部キャップ4aに対する回転を規制するものではない。
【0041】
注射針収容部4eは、複数の注射針カートリッジYを収容する部位であり、ローラ4cに対して着脱可能とされている。
図7は、注射針収容部4eの模式的な斜視図である。
図7(a)は、ローラ4cに取り付けられる前の注射針収容部4eの斜視図である。
図7(b)は、ローラ4cに取り付けられている注射針収容部4eの斜視図である。
【0042】
図7に示すように、注射針収容部4eは、フランジ部4e1と、収容部4e2と、係止爪部4e3とを有する。フランジ部4e1は、円板状の部位である。注射針収容部4eがローラ4cに取り付けられた状態では、フランジ部4e1は、ローラ4cの上面4c1に上方から載置される。本実施形態においては、フランジ部4e1には、収容部4e2を避けて、中心を通る直線状の溝部4e4が設けられている。この溝部4e4は、注射針収容部4eを容易に折り畳むために設けられている。なお、溝部4e4は、設けなくてもよい。
【0043】
収容部4e2は、フランジ部4e1に設けられている。本実施形態においては、注射針収容部4eがローラ4cに取り付けられた状態において、ローラ4cの軸芯Lを中心とする周方向に等間隔で3つの収容部4e2が配列されている。各々の収容部4e2は、内部に針収容凹部4e5が設けられた部位である。各々の針収容凹部4e5の開口端は、フランジ部4e1の表面に位置する。各々の針収容凹部4e5には、1つの注射針カートリッジYが収容されている。
【0044】
図7(b)に示すように、フランジ部4e1には、針収容凹部4e5と、針収容凹部4e5が設けられていない閉塞壁部4e6とが、交互に軸芯Lを中心とする周方向に等間隔で配列されている。なお、閉塞壁部4e6は、上述のローラ4cのロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1にて露出された場合に、中間キャップ4gの開口4g1の下方に位置する部位である。つまり、ローラ4cのロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1にて露出された場合には、中間キャップ4gの開口4g1は、閉塞壁部4e6で閉鎖される。一方で、ローラ4cの開口表示部4c4がカバー4fの窓部4f1にて露出された場合には、中間キャップ4gの開口4g1は、いずれか1つの針収容凹部4e5に連通される。
【0045】
本実施形態では、針収容凹部4e5と閉塞壁部4e6とが、軸芯Lを中心とする周方向に60°間隔で配列されている。このため、例えば、ラチェット機構4bは、ローラ4cが60°回転されるごとに、患者や介護者にクリック感が与えられるように振動を発生させる。つまり、ラチェット機構4bは、針収容凹部4e5と閉塞壁部4e6との配列ピッチ(60°)単位にてローラ4cを一方向に回転可能とする。
【0046】
なお、
図7(a)に示すように、ローラ4cに取り付けられる前の注射針収容部4eでは、フランジ部4e1の上面に対してフィルム4e7が貼付されており、針収容凹部4e5がフィルム4e7で閉塞されている。フィルム4e7は、注射針収容部4eをローラ4cに取り付けるときにフランジ部4e1から剥がされる。
【0047】
係止爪部4e3は、フランジ部4e1の縁部に設けられている。
図8は、注射針収容部4eが折り畳まれた状態を示す模式的な斜視図である。この図に示すように、係止爪部4e3は、フランジ部4e1が半分になるように折り畳まれたときに、フランジ部4e1の反対側の縁部に係止される。このような係止爪部4e3によって、折り畳まれたフランジ部4e1の形状が固定される。このようにフランジ部4e1が折り畳まれることで、各々の針収容凹部4e5の開口端が閉塞壁部4e6によって閉じられる。このため、針収容凹部4e5に収容された注射針カートリッジYが注射針収容部4eから脱落することを防止できる。
【0048】
カバー4fは、下部キャップ4aの基部4a1に固定されている。カバー4fは、ローラ4cの周面4c3に径方向外側から対向するように下部キャップ4aに指示されている。また、カバー4fは、ローラ4cの周面4c3の一部を露出する窓部4f1(開口部)を有する。
【0049】
このようなカバー4fは、上端が開口端である。このため、中間キャップ4gがカバー4fから脱離されると、ローラ4cに取り付けられた注射針収容部4eが上方に露出される。つまり、中間キャップ4gをカバー4fから取り外すことによって、カバー4fの内部に注射針収容部4eを出し入れすることができる。
【0050】
中間キャップ4gは、カバー4fの上部に着脱可能に取り付けられている。中間キャップ4gは、開口4g1(
図1及び
図2参照)を有している。開口4g1は、上下方向に中間キャップ4gを貫通するように形成されている。この開口4g1は、1つの針収容凹部4e5と略同一の直径に形成されている。つまり、開口4g1は、1つの針収容凹部4e5を露出可能な大きさに形成されている。このように、中間キャップ4gは、注射針収容部4eに上方から対向して設けられると共に、単一の針収容凹部4e5を露出可能な開口4g1を有している。
【0051】
上部キャップ4hは、中間キャップ4gの上部に設けられている。上部キャップ4hは、中間キャップ4gに対して固定される固定部4h1と、固定部4h1に対して傾動可能に接続された開閉部4h2とを有している。開閉部4h2は、中間キャップ4gの開口4g1の上部に位置している。このため、開閉部4h2を開放姿勢とすることで、開口4g1が露出する。
【0052】
ゴムリング4iは、上部キャップ4hの開閉部4h2に取り付けられている。このゴムリング4iは、開閉部4h2が閉鎖姿勢の場合に、開口4g1をシールするように中間キャップ4gに当接される。
【0053】
図9は、注射器本体収容ユニット5の分解図である。この図に示すように、注射器本体収容ユニット5は、ケース5aと、保冷容器5bと、保冷剤蓋5cと、シールキャップ5dと、底部キャップ5eとを備える。
【0054】
ケース5aは、保冷容器5b及び保冷剤蓋5cを収容する部材であり、上方及び下方に向けて開放された円筒形状に形成されている。ケース5aの上端部は、注射針カートリッジ収容ユニット4が着脱可能に接続される。具体的には、ケース5aの上端部は、注射針カートリッジ収容ユニット4が備える下部キャップ4aの基部4a1が着脱可能に螺合される。また、ケース5aの下端部は、シールキャップ5dを介して底部キャップ5eが着脱可能に螺合される。
【0055】
ただし、ケース5aの内部には、保冷容器5bを下方に脱落しないように保持する保持部が設けられている。このため、ケース5aは下方に向けて開放されているが、保冷容器5bは底部キャップ5eを取り外しても落下しない。
【0056】
保冷容器5bは、外壁部5b1と内壁部5b2とを有する二重殻構造の容器である。保冷剤蓋5cは、外壁部5b1と内壁部5b2との間に下方から保冷剤蓋5cの後述する棒状保冷剤5c2を挿入可能に形成されている。また、保冷容器5bは、内壁部5b2の内側に、注射器本体収容凹部5b3が設けられている。注射器本体収容凹部5b3は、上方に向けて開放された凹部であり、注射器本体Xを内部に収容可能である。なお、ここでの収容とは、注射器本体Xの全体を収容している必要はなく、例えば
図9に示すように、注射器本体Xの一部を収容することを含む。
【0057】
保冷剤蓋5cは、保冷容器5bの下部に螺合され、保冷容器5bの下端を閉じる。保冷剤蓋5cは、
図9に示すように、基部5c1と、棒状保冷剤5c2とを有する。基部5c1は、保冷容器5bの下部に螺合される蓋状の部位である。棒状保冷剤5c2は、基部5c1から上方に突出して設けられた棒状の部位である。この棒状保冷剤5c2は、冷却された後に長時間に渡って低温状態を維持する。本実施形態において棒状保冷剤5c2は、基部5c1に対して複数設けられており、各々が保冷容器5bの外壁部5b1と内壁部5b2との間の隙間に挿入される。
【0058】
このような保冷剤蓋5cの基部5c1の下面は、底部キャップ5eがケース5aから取り外されると、下方に向けて露出される。棒状保冷剤5c2は、冷却装置3から供給される冷熱が基部5c1を介して伝達されることで冷却される。
【0059】
シールキャップ5dは、底部キャップ5eと保冷容器5bとの間に介装されるシール部材である。シールキャップ5dは、例えば保冷容器5bにて結露により生じた水滴が冷却装置3に落下することを抑止する。
【0060】
底部キャップ5eは、ケース5aの下端部に着脱可能に螺合される部材である。底部キャップ5eは、ケース5aの下端部に装着されることで、保冷剤蓋5cの下面を下方から覆う。このような底部キャップ5eは、下面が平面である。このため、
図1に示すように、底部キャップ5eの下面を載置面に当接させることで、携行ユニット2を立たせた状態で安定させることができる。なお、
図2に示すように、携行ユニット2と冷却装置3とを接続する場合には、底部キャップ5eはケース5aから取り外される。
【0061】
図10は、冷却装置3の分解図である。外部から給電されることで冷熱を発生させ、発生させた冷熱を用いて保冷剤蓋5cの棒状保冷剤5c2を冷却する。
図10に示すように、冷却装置3は、冷却ケース3aと、上部キャップ3bと、ペルチェ素子3cと、導熱板3dと、ファン3eと、給電部3fを備える。
【0062】
冷却ケース3aは、ペルチェ素子3c、導熱板3d、ファン3e及び給電部3fを収容する有底円筒形状の容器である。冷却ケース3aは、ファン3eによって形成された空気流を冷却ケース3aの外部に排出する多数の排気孔が設けられている。また、冷却ケース3aには、給電部3fのソケットを露出するための挿入開口3f1が径方向に貫通して設けられている。上部キャップ3bは、冷却ケース3aの上部に固定されている。この上部キャップ3bは、底部キャップ5eが取り外された携行ユニット2が載置される場合の載置部となる。
【0063】
ペルチェ素子3cは、電熱交換を行う素子であり、冷却ケース3aの内部に収容されている。本実施形態においては、ペルチェ素子3cは、給電されることで上面側に冷熱を発生させ、下面側に温熱を発生させる。このようにペルチェ素子3cの上面で発生した冷熱は、上述のように保冷剤蓋5cの棒状保冷剤5c2で伝達される。
【0064】
導熱板3dは、ペルチェ素子3cの下面で発生した温熱を吸熱するヒートシンクであり、冷却ケース3aの内部に収容されている。ファン3eは、冷却ケース3aの内部に収容され、導熱板3dの下方に配置されている。このファン3eは、給電されることで導熱板3dに向かう空気流を生成する。ファン3eで生成された空気流は、導熱板3dにて温熱を回収し、冷却ケース3aに設けられた排気孔から排気される。
【0065】
給電部3fは、冷却ケース3aの挿入開口3f1にてソケットが露出されるように、冷却ケース3aの内部に収容されている。この給電部3fは、挿入開口3f1を介して挿入されるケーブルZ(
図2参照)のプラグがソケットに対して接続可能である。給電部3fは、ケーブルZを介して外部から供給される電力を、ペルチェ素子3cとファン3eに分配して供給する。
【0066】
このような構成の本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1の使用方法の一例について説明する。例えば、患者や介護者がホテル等で就寝している間は、
図2に示すように、携行ユニット2を冷却装置3に接続する。これによって、冷却装置3のペルチェ素子3cで生成された冷熱によって保冷剤蓋5cの棒状保冷剤5c2が冷却され、棒状保冷剤5c2が冷熱を蓄えた状態となる。
【0067】
患者や介護者は、ホテル等から出発する場合には、冷却装置3から携行ユニット2を取り外し、底部キャップ5eを取り付ける。さらに、ローラ4cの「朝」を示すマーク4c6の手前側のロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1にて露出されるように、ローラ4cの回転位置を調整する。続いて、中間キャップ4gをカバー4fから取り外し、フィルム4e7を剥がした新しい注射針収容部4eをローラ4cに装着する。その後、再び中間キャップ4gをカバー4fに装着する。
【0068】
さらに、注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5から取り外し、保冷容器5bの注射器本体収容凹部5b3に、薬剤が入った注射器本体Xを収容する。その後、再び注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5に装着する。
【0069】
患者や介護者は、携行ユニット2を携帯して宿泊先のホテル等から出かける。「朝」の注射時刻となると、患者や介護者は、注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5から取り外して、注射器本体Xを取り出す。さらに、ローラ4cを回転させて「朝」を示すマーク4c6がカバー4fの窓部4f1にて露出されるように、ローラ4cを回転させる。患者や介護者は、上部キャップ4hの開閉部4h2を開放し、中間キャップ4gの開口4g1に露出された注射針カートリッジYを注射器本体Xに装着して注射を行う。その後、患者や介護者は、使用済みの注射針カートリッジYを注射器本体Xから取り外された状態で同じ針収容凹部4e5に収容する。そして、患者や介護者は、開閉部4h2を閉じて、ローラ4cを回転させてロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1にて露出させる。さらに、患者や介護者は、注射器本体Xを再び注射器本体収容凹部5b3に収容する。その後、再び注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5に装着する。
【0070】
続いて、「昼」の注射時刻となると、患者や介護者は、注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5から取り外して、注射器本体Xを取り出す。さらに、ローラ4cを回転させて「昼」を示すマーク4c6がカバー4fの窓部4f1にて露出されるように、ローラ4cを回転させる。患者や介護者は、上部キャップ4hの開閉部4h2を開放し、中間キャップ4gの開口4g1に露出された注射針カートリッジYを注射器本体Xに装着して注射を行う。その後、患者や介護者は、使用済みの注射針カートリッジYを注射器本体Xから取り外された状態で同じ針収容凹部4e5に収容する。そして、患者や介護者は、開閉部4h2を閉じて、ローラ4cを回転させてロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1にて露出させる。さらに、患者や介護者は、注射器本体Xを再び注射器本体収容凹部5b3に収容する。その後、再び注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5に装着する。
【0071】
続いて、「夜」の注射時刻となると、患者や介護者は、注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5から取り外して、注射器本体Xを取り出す。さらに、ローラ4cを回転させて「夜」を示すマーク4c6がカバー4fの窓部4f1にて露出されるように、ローラ4cを回転させる。患者や介護者は、上部キャップ4hの開閉部4h2を開放し、中間キャップ4gの開口4g1に露出された注射針カートリッジYを注射器本体Xに装着して注射を行う。その後、患者や介護者は、使用済みの注射針カートリッジYを注射器本体Xから取り外された状態で同じ針収容凹部4e5に収容する。そして、患者や介護者は、開閉部4h2を閉じて、ローラ4cを回転させてロック表示部4c5がカバー4fの窓部4f1にて露出させる。さらに、患者や介護者は、注射器本体Xを再び注射器本体収容凹部5b3に収容する。その後、再び注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5に装着する。
【0072】
患者や介護者は、ホテル等に帰着すると、中間キャップ4gをカバー4fから取り外し、使用済みの注射針収容部4eをローラ4cから取り外す。さらに、注射針収容部4eを
図8に示すように折り畳んで鞄等に収容する。その後、再び中間キャップ4gをカバー4fに装着する。さらに、注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5から取り外し、使用済みの注射器本体Xを保冷容器5bの注射器本体収容凹部5b3から取り出す。その後、再び注射針カートリッジ収容ユニット4を注射器本体収容ユニット5に装着し、さらに携行ユニット2を冷却装置3に接続して、翌日に備える。
【0073】
以上のような本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、ローラ4cと、注射針収容部4eと、中間キャップ4gとを備える。ローラ4cは、回転可能に保持されている。注射針収容部4eは、ローラ4cに装着可能である。また、注射針収容部4eは、注射針カートリッジYを収容可能な針収容凹部4e5がローラ4cの軸芯Lを中心とする周方向に複数配列されて設けられている。中間キャップ4gは、注射針収容部4eに対向して設けられている。また、中間キャップ4gは、単一の針収容凹部4e5を露出可能な開口4g1を有する。
【0074】
このような本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1において、複数の針収容凹部4e5を有する注射針収容部4eは、回転可能なローラ4cに装着される。また、単一の針収容凹部4e5を露出可能な開口4g1を有する中間キャップ4gは、注射針収容部4eに対向するように設けられている。このため、未使用の注射針カートリッジYを使用して再度同じ針収容凹部4e5に収容した後、ローラ4cを回転する作業を行うことで、新たな未使用の注射針カートリッジYを中間キャップ4gの開口4g1から取り出すことが可能となる。このような本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、複数の未使用の注射針カートリッジYを収容することができ、また複数の使用済みの注射針カートリッジYを収容することができる。したがって、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、旅行等の長期の外出中であっても、複数の注射針カートリッジYの管理を容易に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1において、ローラ4cは、軸芯Lを中心とする円形状に設けられた周面4c3と、周面4c3に囲まれた部位に設けられると共に注射針収容部4eが取り付け可能な取付凹部4c2とを有する。また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、下部キャップ4aと、カバー4fとを備える。下部キャップ4aは、ローラ4cを回転可能に保持する。カバー4fは、周面4c3に対向するように下部キャップ4aに支持される。また、カバー4fは、周面4c3の一部を露出する窓部4f1を有する。
【0076】
このような本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、カバー4fを窓部4f1に露出されたローラ4cの周面に指を掛けて、ローラ4cを容易に回転させることができる。したがって、所望の取付凹部4c2を中間キャップ4gの開口4g1に合わせることができる。
【0077】
また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1において、注射針収容部4eは、フランジ部4e1を有する。フランジ部4e1は、針収容凹部4e5と針収容凹部4e5が設けられていない閉塞壁部4e6とが、交互に軸芯Lを中心とする周方向に等間隔で配列されている。また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、ラチェット機構4bを備える。ラチェット機構4bは、針収容凹部4e5と閉塞壁部4e6との配列ピッチ単位にてローラ4cを一方向に回転可能とする。
【0078】
このような本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、ローラ4cを回転させるごとに、中間キャップ4gの開口4g1に針収容凹部4e5と閉塞壁部4e6とを交互に露出させることができる。このため、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、容易に中間キャップ4gの開口4g1を閉鎖することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1においては、針収容凹部4e5の開口4g1端が閉塞壁部4e6で閉じられるようにフランジ部4e1が折り畳み可能である。また、携帯式インスリン保冷装置1においては、折り畳まれたフランジ部4e1の形状を固定する係止爪部4e3がフランジ部4e1の縁部に設けられている。このような本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、使用済みの注射針収容部4eを折り畳んで容易に持ち運ぶことが可能となる。
【0080】
また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1においては、開口4g1にて露出される針収容凹部4e5を示すマーク4c6が周面4c3に設けられている。このため、複数の針収容凹部4e5のいずれが中間キャップ4gの開口4g1にて露出されているかを容易に把握できる。
【0081】
また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1においては、マーク4c6は立体的な形状に形成されている。このため、患者や介護者が触れることで、マーク4c6の位置や形状を把握することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1においては、下部キャップ4aに着脱可能に設けられると共に注射器本体Xを収容可能な注射器本体収容ユニット5を備える。このような本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1によれば、注射針カートリッジYに加えて注射器本体Xを持ち運ぶことができる。
【0083】
また、本実施形態の携帯式インスリン保冷装置1は、注射器本体収容ユニット5を冷却可能な冷却装置3を備える。このため宿泊先等で注射器本体収容ユニット5を冷却することが可能となる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0085】
例えば、上記実施形態においては、本発明の注射針カートリッジ携帯装置が注射器本体収容ユニット5及び冷却装置3を備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、注射器本体収容ユニット5及び冷却装置3の両方あるいはこれらのうち冷却装置3のみを備えない構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1……携帯式インスリン保冷装置(注射針カートリッジ携帯装置)、2……携行ユニット、3……冷却装置、3a……冷却ケース、3b……上部キャップ、3c……ペルチェ素子、3d……導熱板、3e……ファン、3f……給電部、3f1……挿入開口、4……注射針カートリッジ収容ユニット、4a……下部キャップ(ローラ保持部)、4a1……基部、4a2……軸部、4b……ラチェット機構、4c……ローラ、4c1……上面、4c2……取付凹部(取付部)、4c3……周面、4c4……開口表示部、4c5……ロック表示部、4c6……マーク、4c7……凹凸面、4d……ネジ、4e……注射針収容部、4e1……フランジ部、4e2……収容部、4e3……係止爪部、4e4……溝部、4e5……針収容凹部、4e6……閉塞壁部、4e7……フィルム、4f……カバー(ローラカバー部材)、4f1……窓部(開口部)、4g……中間キャップ(キャップ部材)、4g1……開口、4h……上部キャップ、4h1……固定部、4h2……開閉部、4i……ゴムリング、5……注射器本体収容ユニット(注射器本体収容部)、5a……ケース、5b……保冷容器、5b1……外壁部、5b2……内壁部、5b3……注射器本体収容凹部、5c……保冷剤蓋、5c1……基部、5c2……棒状保冷剤、5d……シールキャップ、5e……底部キャップ、L……軸芯(回転軸)、X……注射器本体、Y……注射針カートリッジ、Z……ケーブル