IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コイル部品 図1
  • 特開-コイル部品 図2
  • 特開-コイル部品 図3
  • 特開-コイル部品 図4
  • 特開-コイル部品 図5
  • 特開-コイル部品 図6
  • 特開-コイル部品 図7
  • 特開-コイル部品 図8
  • 特開-コイル部品 図9
  • 特開-コイル部品 図10
  • 特開-コイル部品 図11
  • 特開-コイル部品 図12
  • 特開-コイル部品 図13
  • 特開-コイル部品 図14
  • 特開-コイル部品 図15
  • 特開-コイル部品 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120354
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20240829BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240829BHJP
   H01F 27/30 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/00 D
H01F27/30 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027093
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】三浦 満
(72)【発明者】
【氏名】西川 朋永
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 真輝
(72)【発明者】
【氏名】塩入 和文
(72)【発明者】
【氏名】我喜屋 風太
(72)【発明者】
【氏名】中込 博紀
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070AB04
5E070BB03
5E070CB13
5E070CB18
5E070CB20
5E070DA13
5E070EA01
5E070EA10
(57)【要約】
【課題】ダミーバンプ導体を有するコイル部品において、コイルパターンの内径サイズをより拡大する。
【解決手段】コイル部品100は、素体110に埋め込まれた導体層L1~L5と、実装面S0の角部C1~C4にそれぞれ露出するバンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134とを備える。導体層L1~L4にそれぞれ含まれるコイルパターンによって構成されるコイル導体の一端及び他端は、バンプ導体131,132にそれぞれ接続される。コイルパターン20の外周端とコイルパターン30の外周端は、ビアホール75を介して互いに接続される。ダミー接続パターン23は切り欠き部25を有し、コイルパターン20の外周端の少なくとも一部は、切り欠き部25に配置される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乃至第4の角部を含む実装面を有する素体と、
前記素体に埋め込まれ、前記実装面に対して垂直な積層方向に積層された複数の導体層と、
前記実装面の前記第1及び第2の角部にそれぞれ露出する第1及び第2のバンプ導体と、
前記実装面の前記第3及び第4の角部にそれぞれ露出する第1及び第2のダミーバンプ導体と、
を備え、
前記複数の導体層のそれぞれは、コイルパターンと、前記積層方向から見てそれぞれ前記第1及び第2のバンプ導体と重なる位置に設けられ、それぞれ前記第1及び第2のバンプ導体に接続された第1及び第2の接続パターンと、前記積層方向から見てそれぞれ前記第1及び第2のダミーバンプ導体と重なる位置に設けられ、それぞれ前記第1及び第2のダミーバンプ導体に接続された第1及び第2のダミー接続パターンとを含み、
前記複数の導体層にそれぞれ含まれる前記コイルパターンは、直列に接続されることによりコイル導体を構成し、
前記コイル導体の一端は、前記複数の導体層にそれぞれ含まれる前記第1の接続パターン及び前記第1のバンプ導体に接続され、
前記コイル導体の他端は、前記複数の導体層にそれぞれ含まれる前記第2の接続パターン及び前記第2のバンプ導体に接続され、
前記複数の導体層は、第1及び第2の導体層を含み、
前記第1の導体層に含まれる前記コイルパターンの外周端と、前記第2の導体層に含まれる前記コイルパターンの外周端は、第1のビアホールを介して互いに接続され、
前記第1及び第2の導体層に含まれる前記第1のダミー接続パターンは、切り欠き部を有し、
前記第1及び第2の導体層に含まれる前記コイルパターンの外周端の少なくとも一部は、前記切り欠き部に配置される、
コイル部品。
【請求項2】
前記第1のバンプ導体と前記第2のバンプ導体は、互いに対角となる位置に配置され、
前記第1のダミーバンプ導体と前記第2のダミーバンプ導体は、互いに対角となる位置に配置される、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記複数の導体層は、第3の導体層をさらに含み、
前記第2の導体層に含まれる前記コイルパターンの内周端と、前記第3の導体層に含まれる前記コイルパターンの内周端は、第2のビアホールを介して互いに接続され、
前記素体は、前記第1のバンプ導体と前記第1のダミーバンプ導体の配列方向を短手方向、前記第1のバンプ導体と前記第2のダミーバンプ導体の配列方向を長手方向とし、
前記第2のビアホールは、前記長手方向における位置が、前記第1のバンプ導体及び前記第1のダミーバンプ導体よりも、前記第2のバンプ導体及び前記第2のダミーバンプ導体に近い、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記複数の導体層にそれぞれ含まれる前記第1の接続パターンを相互に接続する第3のビアホールと前記素体の前記実装面に対して垂直な側面との最短距離は、前記複数の導体層にそれぞれ含まれる前記第1のダミー接続パターンを相互に接続する第4のビアホールと前記素体の前記側面との最短距離よりも大きい、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記実装面に設けられ、前記第1のバンプ導体と前記第1のダミーバンプ導体を接続する第1の導電性樹脂層と、
前記実装面に設けられ、前記第2のバンプ導体と前記第2のダミーバンプ導体を接続する第2の導電性樹脂層と、
をさらに備える、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコイル部品に関し、特に、素体に単一のコイル導体が内蔵された2端子型のコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
素体に単一のコイル導体が内蔵された2端子型のコイル部品としては、特許文献1に記載されたコイル部品が知られている。特許文献1に記載されたコイル部品は、積層方向に対して平行な表面が実装面として用いられる。
【0003】
一方、積層方向に対して垂直な表面が実装面として用いられる2端子型のコイル部品では、ハンダを用いた回路基板への実装時に、溶融したハンダの表面張力によってコイル部品が回転してしまうおそれがある。これを防止するためには、コイル導体の両端に接続される2つのバンプ導体の他に、コイル部品が回転を防止するダミーバンプ導体を設ける方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-152043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ダミーバンプ導体を設けると、コイルパターンの内径サイズが小さくなり、これによりインダクタンスが低下するという問題があった。
【0006】
本開示においては、ダミーバンプ導体を有するコイル部品において、コイルパターンの内径サイズをより拡大する技術が説明される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面によるコイル部品は、第1乃至第4の角部を含む実装面を有する素体と、素体に埋め込まれ、実装面に対して垂直な積層方向に積層された複数の導体層と、実装面の第1及び第2の角部にそれぞれ露出する第1及び第2のバンプ導体と、実装面の第3及び第4の角部にそれぞれ露出する第1及び第2のダミーバンプ導体とを備え、複数の導体層のそれぞれは、コイルパターンと、積層方向から見てそれぞれ第1及び第2のバンプ導体と重なる位置に設けられ、それぞれ第1及び第2のバンプ導体に接続された第1及び第2の接続パターンと、積層方向から見てそれぞれ第1及び第2のダミーバンプ導体と重なる位置に設けられ、それぞれ第1及び第2のダミーバンプ導体に接続された第1及び第2のダミー接続パターンとを含み、複数の導体層にそれぞれ含まれるコイルパターンは、直列に接続されることによりコイル導体を構成し、コイル導体の一端は、複数の導体層にそれぞれ含まれる第1の接続パターン及び第1のバンプ導体に接続され、コイル導体の他端は、複数の導体層にそれぞれ含まれる第2の接続パターン及び第2のバンプ導体に接続され、複数の導体層は、第1及び第2の導体層を含み、第1の導体層に含まれるコイルパターンの外周端と、第2の導体層に含まれるコイルパターンの外周端は、第1のビアホールを介して互いに接続され、第1及び第2の導体層に含まれる第1のダミー接続パターンは、切り欠き部を有し、第1及び第2の導体層に含まれるコイルパターンの外周端の少なくとも一部は、切り欠き部に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ダミーバンプ導体を有するコイル部品において、コイルパターンの内径サイズをより拡大する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態によるコイル部品100の外観を示す略斜視図である。
図2図2は、コイル部品100の外観を示す略斜視図である。
図3図3は、導体層L1のパターン形状を示す略平面図である。
図4図4は、導体層L2のパターン形状を示す略平面図である。
図5図5は、導体層L3のパターン形状を示す略平面図である。
図6図6は、導体層L4のパターン形状を示す略平面図である。
図7図7は、導体層L5のパターン形状を示す略平面図である。
図8図8は、ダミー接続パターン23及びその周辺の拡大図である。
図9図9は、ダミー接続パターン33及びその周辺の拡大図である。
図10図10は、ダミー接続パターン24及びその周辺の拡大図である。
図11図11は、接続パターン21及びその周辺の拡大図である。
図12図12は、接続パターン22及びその周辺の拡大図である。
図13図13は、コイル部品100のYZ断面図である。
図14図14は、変形例によるコイル部品のYZ断面図である。
図15図15は、コイル部品100が実装される回路基板200の部分的な略平面図である。
図16図16は、回路基板200に実装されたコイル部品100の部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る技術の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1及び図2は、本開示の一実施形態によるコイル部品100の外観を示す略斜視図であり、互いに異なる方向から見た状態を示している。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態によるコイル部品100は、素体110及びその表面を覆う一対の導電性樹脂層121,122を備えている。素体110は、金属磁性体などからなる磁性フィラーと樹脂バインダを含む複合磁性材料からなり、その内部に後述するコイル導体が埋め込まれている。素体110の表面は、XY平面を構成する実装面S0及び上面S5と、YZ面を構成する側面S1,S2と、XZ面を構成する側面S3,S4とを有している。実使用時においては、実装面S0が回路基板の表面と向かい合うよう実装される。このように、側面S1~S4は実装面S0に対して垂直であり、側面S1,S2は互いに平行であり、側面S3,S4は互いに平行である。側面S1,S2と側面S3,S4は互いに垂直である。また、素体110は、積層方向であるZ方向から見て、X方向が長手方向、Y方向が短手方向である。
【0013】
素体110の表面には、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134が露出している。このうち、バンプ導体131は素体110に埋め込まれたコイル導体の一端に接続され、バンプ導体132は素体110に埋め込まれたコイル導体の他端に接続されている。ダミーバンプ導体133,134は、コイル導体には直接接続されず、それぞれ導電性樹脂層121,122を介してバンプ導体131,132に接続されている。ここで、バンプ導体131は実装面S0及び側面S1,S3からなる3面に露出し、バンプ導体132は実装面S0及び側面S2,S4からなる3面に露出する。また、ダミーバンプ導体133は実装面S0及び側面S1,S4からなる3面に露出し、ダミーバンプ導体134は実装面S0及び側面S2,S3からなる3面に露出する。つまり、バンプ導体131とバンプ導体132は互いに対角となる位置に配置され、ダミーバンプ導体133とダミーバンプ導体134は互いに対角となる位置に配置される。
【0014】
導電性樹脂層121,122は、銀ペーストのように、金属粉末と樹脂バインダを含む導電性材料からなり、素体110の少なくとも実装面S0に設けられている。このうち、導電性樹脂層121はバンプ導体131とダミーバンプ導体133を接続し、導電性樹脂層122はバンプ導体132とダミーバンプ導体134を接続する。図1及び図2に示す例では、導電性樹脂層121,122の一部が素体110の側面S3,S4を覆っているが、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の表面のうち、側面S1~S4に露出する側面部分の少なくとも一部は、導電性樹脂層121,122で覆われることなく露出している。ここで、バンプ導体131の側面部分は側面S1,S3に露出する部分を指し、バンプ導体132の側面部分は側面S2,S4に露出する部分を指し、ダミーバンプ導体133の側面部分は側面S1,S4に露出する部分を指し、ダミーバンプ導体134の側面部分は側面S2,S3に露出する部分を指す。
【0015】
図1及び図2に示す例では、導電性樹脂層121は、バンプ導体131及びダミーバンプ導体133のうち側面S1に露出する部分を覆っていない。同様に、導電性樹脂層122は、バンプ導体132及びダミーバンプ導体134のうち側面S2に露出する部分を覆っていない。これにより、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の側面部分のうち、導電性樹脂層121,122で覆われることなく露出する面積を十分に確保することができる。この場合、導電性樹脂層121,122は、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134上において、いわゆるL字型電極を構成する。
【0016】
或いは、バンプ導体131及びダミーバンプ導体133のうち側面S1に露出する部分の一部を導電性樹脂層121が覆い、バンプ導体132及びダミーバンプ導体134のうち側面S2に露出する部分の一部を導電性樹脂層122が覆う構造であっても構わない。この場合、導電性樹脂層121の厚みは、側面S1に露出するバンプ導体131及びダミーバンプ導体133を覆う部分の厚みよりも、側面S3,S4に露出するバンプ導体131及びダミーバンプ導体133を覆う部分の厚みの方が厚くても構わない。同様に、導電性樹脂層122の厚みは、側面S2に露出するバンプ導体132及びダミーバンプ導体134を覆う部分の厚みよりも、側面S3,S4に露出するバンプ導体132及びダミーバンプ導体134を覆う部分の厚みの方が厚くても構わない。これよれば、後述する実装位置の回転ずれが生じにくくなる。
【0017】
素体110の内部には、実装面S0に対して垂直な積層方向(Z方向)に積層された例えば5層の導体層L1~L5が埋め込まれており、これらの導体層によってコイル導体が構成される。導体層L1~L5は、銅(Cu)などからなり、少なくとも導電性樹脂層121,122よりも低抵抗な材料からなる。
【0018】
図3図7は、それぞれ導体層L1~L5のパターン形状を示す略平面図である。ここで、図3図6に示すパターンは、本実施形態によるコイル部品100の作製時に形成されるパターンであり、コイルパターンに囲まれた内径領域に位置する犠牲パターン51と、コイルパターンの外側領域に位置する犠牲パターン52は、最終的に除去される。犠牲パターン51,52の除去によって形成された空間は、素体110を構成する複合磁性材料で埋め込まれる。また、図3図6に示す破線Dは、個片化する際に切断されるダイシングラインである。したがって、破線Dの位置が素体110の側面S1~S4を構成する。
【0019】
図3に示すように、導体層L1は、コイルパターン10、接続パターン11,12及びダミー接続パターン13,14を有している。コイルパターン10の外周端は、接続パターン11に接続されている。他の接続パターン12及びダミー接続パターン13,14は面内でコイルパターン10には接続されておらず、面内で互いに独立している。
【0020】
図4に示すように、導体層L2は、コイルパターン20、接続パターン21,22及びダミー接続パターン23,24を有している。コイルパターン20の内周端は、ビアホール65を介して、コイルパターン10の内周端に接続されている。接続パターン21,22及びダミー接続パターン23,24は、面内でコイルパターン20には接続されておらず、面内で互いに独立しているとともに、それぞれビアホール61~64を介して接続パターン11,12及びダミー接続パターン13,14に接続されている。
【0021】
図5に示すように、導体層L3は、コイルパターン30、接続パターン31,32及びダミー接続パターン33,34を有している。コイルパターン30の外周端は、ビアホール75を介して、コイルパターン20の外周端に接続されている。接続パターン31,32及びダミー接続パターン33,34は、面内でコイルパターン30には接続されておらず、面内で互いに独立しているとともに、それぞれビアホール71~74を介して接続パターン21,22及びダミー接続パターン23,24に接続されている。
【0022】
図6に示すように、導体層L4は、コイルパターン40、接続パターン41,42及びダミー接続パターン43,44を有している。コイルパターン40の内周端は、ビアホール85を介して、コイルパターン30の内周端に接続されている。また、コイルパターン40の外周端は、接続パターン42に接続されている。他の接続パターン41及びダミー接続パターン43,44は、面内でコイルパターン40には接続されておらず、面内で互いに独立している。接続パターン41,42及びダミー接続パターン43,44は、それぞれビアホール81~84を介して接続パターン31,32及びダミー接続パターン33,34に接続されている。
【0023】
図7に示すように、導体層L5は、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134を有している。積層方向であるZ方向から見て、バンプ導体131は接続パターン11,21,31,41と重なり、バンプ導体132は接続パターン12,22,32,42と重なり、ダミーバンプ導体133はダミー接続パターン13,23,33,43と重なり、ダミーバンプ導体134はダミー接続パターン14,24,34,44と重なる。そして、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134は、それぞれビアホール91~94を介して接続パターン41,42及びダミー接続パターン43,44に接続されている。導体層L5は実装面S0に露出しており、実装面S0の角部C1~C4にそれぞれバンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134が露出している。角部C1は側面S1,S3によって構成され、角部C2は側面S2,S4によって構成され、角部C3は側面S1,S4によって構成され、角部C4は側面S2,S3によって構成される。
【0024】
このような構成により、直列に接続されたコイルパターン10,20,30,40からなるコイル導体の一端及び他端がそれぞれバンプ導体131,132に接続されることになる。そして、図1及び図2に示したように、導電性樹脂層121を介してバンプ導体131とダミーバンプ導体133が互いに接続され、導電性樹脂層122を介してバンプ導体132とダミーバンプ導体134が互いに接続される。これにより、本実施形態によるコイル部品100は、単一のコイル導体が素体110に内蔵された2端子型のコイル部品であるものの、2つのダミーバンプ導体133,134を備えていることから、4端子型のコイル部品に類似した端子構造となる。
【0025】
図8及び図9は、それぞれダミー接続パターン23,33及びその周辺の拡大図である。
【0026】
図8に示すように、導体層L2に設けられたダミー接続パターン23は単純な矩形ではなく、切り欠き部25を有している。より具体的に説明すると、ダミー接続パターン23は、Z方向から見た平面視で、側面S1に沿った辺A1と、側面S4に沿った辺A4と、素体110内においてX方向に延在し、端部が辺A1に接続される辺A5と、素体110内においてY方向に延在し、端部が辺A4に接続される辺A6と、素体110内に位置し、両端部がそれぞれ辺A5,A6に接続される辺A7とを有している。そして、辺A5を延長した仮想線a5と、辺A6を延長した仮想線a6と、辺A7とによって囲まれた領域が切り欠き部25である。つまり、ダミー接続パターン23の面積は、単純な矩形である場合よりも切り欠き部25の面積分だけ縮小されている。また、辺A7は凹型形状を有しており、これにより切り欠き部25が三角形である場合よりも面積が拡大されている。
【0027】
そして、コイルパターン20の外周端の一部は、切り欠き部25に配置されている。図8に示す例では、ビアホール75の一部も切り欠き部25に配置されている。これにより、ダミー接続パターン23が単純な矩形である場合と比べ、コイルパターン20の外周端及びビアホール75をより素体110の側面S1,S4に近づけることができることから、コイルパターン20の外径サイズ及び内径サイズを拡大することができる。また、コイルパターン20の外周端の一部は、凹型形状を有する辺A7に沿った凸型形状を有している。つまり、辺A7に沿った部分においては、コイルパターン20とダミー接続パターン23の距離がほぼ一定である。
【0028】
導体層L3に設けられたダミー接続パターン33及びコイルパターン30の外周端の形状についても同様である。つまり、ダミー接続パターン33は単純な矩形ではなく、切り欠き部35を有している。より具体的に説明すると、ダミー接続パターン33は、Z方向から見た平面視で、側面S1に沿った辺B1と、側面S4に沿った辺B4と、素体110内においてX方向に延在し、端部が辺B1に接続される辺B5と、素体110内においてY方向に延在し、端部が辺B4に接続される辺B6と、素体110内に位置し、両端部がそれぞれ辺B5,B6に接続される辺B7とを有している。そして、辺B5を延長した仮想線b5と、辺B6を延長した仮想線b6と、辺B7とによって囲まれた領域が切り欠き部35である。つまり、ダミー接続パターン33の面積は、単純な矩形である場合よりも切り欠き部35の面積分だけ縮小されている。また、辺B7は凹型形状を有しており、これにより切り欠き部35が三角形である場合よりも面積が拡大されている。
【0029】
そして、コイルパターン30の外周端の一部は、切り欠き部35に配置されている。図9に示す例では、ビアホール75の一部も切り欠き部35に配置されている。これにより、ダミー接続パターン33が単純な矩形である場合と比べ、コイルパターン30の外周端及びビアホール75をより素体110の側面S1,S4に近づけることができることから、コイルパターン30の外径サイズ及び内径サイズを拡大することができる。また、コイルパターン30の外周端の一部は、凹型形状を有する辺B7に沿った凸型形状を有している。つまり、辺B7に沿った部分においては、コイルパターン30とダミー接続パターン33の距離がほぼ一定である。
【0030】
一方、図3及び図4に示すように、コイルパターン10の内周端とコイルパターン20の内周端を接続するビアホール65は、Y方向における略中央部であって、X方向における位置が側面S2側にオフセットして配置されている。また、図5及び図6に示すように、コイルパターン30の内周端とコイルパターン40の内周端を接続するビアホール85についても、Y方向における略中央部であって、X方向における位置が側面S2側にオフセットして配置されている。つまり、ビアホール65,85は、X方向における位置が、バンプ導体131及びダミーバンプ導体133よりも、バンプ導体132及びダミーバンプ導体134に近い。
【0031】
このように、コイルパターンの外周端同士を説明するビアホール75については、X方向における位置が側面S1側にオフセットしており、コイルパターンの内周端同士を説明するビアホール65,85については、X方向における位置が側面S2側にオフセットしていることから、コイルパターン10,20,30,40の外径サイズ及び内径サイズを拡大することができる。
【0032】
また、図10に示すように、ダミー接続パターン24にも切り欠き部26が設けられているものの、そのサイズは切り欠き部25よりも小さい。このため、ダミー接続パターン24の面積は、ダミー接続パターン23の面積よりも大きい。また、コイルパターン20の一部はダミー接続パターン24の切り欠き部26に沿って延在するが、この部分においてコイルパターン20のパターン幅が縮小されていない。このため、この部分においてコイルパターン20の抵抗値が増加することはない。この点は、導体層L1,L3,L4に含まれるダミー接続パターン14,34,44についても同様である。
【0033】
図11及び図12に示すように、接続パターン21,22にもそれぞれ切り欠き部27,28が設けられているものの、そのサイズは切り欠き部26よりもさらに小さい。このため、接続パターン21,22の面積は、ダミー接続パターン24の面積よりもさらに大きい。また、コイルパターン20の一部は接続パターン21,22の切り欠き部27,28に沿って延在し、この部分においてコイルパターン20のパターン幅が局所的に縮小されている。これにより、接続パターン21,22の面積が十分に確保される。この点は、導体層L1,L3,L4に含まれる接続パターン12,31,32,41についても同様である。
【0034】
さらに、図3図7に示すように、接続パターン11,21,31,41及びバンプ導体131を相互に接続するビアホール61,71,81,91と素体110の側面S1,S3との最短距離、並びに、接続パターン12,22,32,42及びバンプ導体132を相互に接続するビアホール62,72,82,92と素体110の側面S2,S4との最短距離は、ダミー接続パターン13,23,33,43及びダミーバンプ導体133を相互に接続するビアホール63,73,83,93と素体110の側面S1,S4との最短距離、並びに、ダミー接続パターン14,24,34,44及びダミーバンプ導体134を相互に接続するビアホール64,74,84,94と素体110の側面S2,S3との最短距離よりも大きい。これは、コイル部品100を個片化する際のダイシング位置ずれを考慮したものであり、バンプ導体131,132に接続されるビアホールについては、より内側に配置することによって、ダイシング位置がずれた場合であってもビアホールが切断されないようにする一方、ダミーバンプ導体133,134に接続されるビアホールについては、より設計マージンが大きくなる位置に配置している。このため、ダイシング位置がずれた場合、ダミーバンプ導体133,134に接続されるビアホールについては一部が切断され、素体110の側面S1~S4にビア導体が露出することがある。
【0035】
図13は、本実施形態によるコイル部品100のYZ断面図である。
【0036】
図13に示すように、素体110から露出する導体層L1~L5の表面、並びに、導電性樹脂層121,122の表面は、表面処理層150で覆われている。表面処理層150は、ハンダに対する濡れ性を高める役割を果たし、例えば、Ni膜151とSn膜152の積層膜からなる。表面処理層150の一部は、導電性樹脂層121,122を介することなく、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の側面部分に直接形成されている。これにより、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の全面が比較的高抵抗な導電性樹脂層121,122で覆われている場合と比べ、表面処理層150とバンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の間の抵抗値が低減する。一方、導電性樹脂層121,122は、柔軟性が高いため、耐応力緩和特性を高める役割を果たす。
【0037】
また、本実施形態においては、導電性樹脂層121,122の一部が素体110の側面S3,S4に回り込んでおり、これによりバンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の側面部分の一部が導電性樹脂層121,122で覆われている。このような構造によれば、耐応力緩和特性がより高められる。この場合であっても、側面部分のうち導電性樹脂層121,122で覆われている部分のZ方向における高さH1は、側面部分のうち導電性樹脂層121,122で覆われていない部分のZ方向における高さH2よりも小さいことが好ましい。これにより、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134と表面処理層150の接触面積が十分に確保される。但し、本発明において、導電性樹脂層121,122の一部が素体110の側面S3,S4に回り込む点は必須でなく、図14に示すYZ断面図のように、導電性樹脂層121,122が素体110の実装面S0にのみ設けられていても構わない。これよれば、接続抵抗がより低減される。
【0038】
図15は、本実施形態によるコイル部品100が実装される回路基板200の部分的な略平面図である。
【0039】
図15に示す回路基板200は、主面であるXY表面の大部分がソルダーレジスト210で覆われているとともに、ソルダーレジスト210から露出する一対のランドパターン201,202を有している。ランドパターン201,202は、それぞれコイル部品100の導電性樹脂層121,122と向かい合う部分である。図15には、コイル部品100の実装位置が破線で示されている。
【0040】
このような構造を有する回路基板200に本実施形態によるコイル部品100を実装すると、部分的な断面図である図16に示すように、ランドパターン201とバンプ導体131がハンダ220を介して接続される。図示しない別の断面においては、ランドパターン202とバンプ導体132がハンダ220を介して接続される。ここで、素体110の実装面S0側においては、導電性樹脂層121を介してハンダ220とバンプ導体131が接続される一方、バンプ導体131の側面部分においては、導電性樹脂層121を介することなく、ハンダ220とバンプ導体131が接続される。これにより、ハンダ220とバンプ導体131の間の接続抵抗が低減される。しかも、素体110の実装面S0側においては、柔軟性の高い導電性樹脂層121が存在していることから、回路基板200側からコイル部品100に応力が加わった場合であっても、導電性樹脂層121によって応力が緩和され、実装信頼性が高められる。
【0041】
また、素体110の側面S1~S4には、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134からなる4つの端子電極が露出することから、図15において太線で示す4箇所のコーナー部にハンダ220のフィレットが形成される。これにより、4端子型のコイル部品と同等の実装特性が得られることから、実装位置の平面位置ずれや回転ずれなども生じにくい。回転ずれの防止効果は、実装面S0に露出するバンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の平面形状が正方形である場合により効果的となる。これは、実装面S0に露出するバンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の平面形状が正方形であれば、側面S1に露出するバンプ導体131のY方向における幅と側面S3に露出するバンプ導体131のX方向における幅が等しくなり、側面S2に露出するバンプ導体132のY方向における幅と側面S4に露出するバンプ導体132のX方向における幅が等しくなり、側面S1に露出するダミーバンプ導体133のY方向における幅と側面S4に露出するダミーバンプ導体133のX方向における幅が等しくなり、側面S2に露出するダミーバンプ導体134のY方向における幅と側面S3に露出するダミーバンプ導体134のX方向における幅が等しくなるからである。
【0042】
尚、素体110の側面S1~S4には、接続パターン11~14,21~24,31~34,41~44も露出するが、素体110の側面S1~S4上においては層間絶縁膜を介してこれらが分離されていることから、側面S1~S4に露出する接続パターン11~14,21~24,31~34,41~44にはハンダ220のフィレットは形成されにくい。これにより、ハンダ220のフィレットが必要以上に高くなることがないため、高密度実装が妨げられることもない。但し、個片化工程において生じる接続パターンの変形や、素体110の側面S1~S4に露出するビア導体の存在によって、側面S1~S4に露出する接続パターン11~14,21~24,31~34,41~44にもハンダ220のフィレットが形成されることがある。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によるコイル部品100によれば、コイルパターン20,30の外周端がダミー接続パターン23,33に食い込むよう、ダミー接続パターン23,33の切り欠き部25,35に配置されていることから、コイルパターン10,20,30,40の外径サイズ及び内径サイズを拡大することが可能となる。これにより、コイル部品100の平面サイズを小型化した場合であっても、十分なインダクタンスを得ることが可能となる。
【0044】
以上、本開示に係る技術の実施形態について説明したが、本開示に係る技術は、上記の実施形態に限定されることなく、その主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示に係る技術の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0045】
例えば、上記実施形態においては、バンプ導体131,132が互いに対角となる位置に配置され、ダミーバンプ導体133,134が互いに対角となる位置に配置されているが、バンプ導体131,132及びダミーバンプ導体133,134の位置については特に限定されない。したがって、バンプ導体132とダミーバンプ導体134の位置を入れ替えることにより、バンプ導体131とダミーバンプ導体134を互いに対角となる位置に配置しても構わない。
【0046】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0047】
本開示の一側面によるコイル部品は、第1乃至第4の角部を含む実装面を有する素体と、素体に埋め込まれ、実装面に対して垂直な積層方向に積層された複数の導体層と、実装面の第1及び第2の角部にそれぞれ露出する第1及び第2のバンプ導体と、実装面の第3及び第4の角部にそれぞれ露出する第1及び第2のダミーバンプ導体とを備え、複数の導体層のそれぞれは、コイルパターンと、積層方向から見てそれぞれ第1及び第2のバンプ導体と重なる位置に設けられ、それぞれ第1及び第2のバンプ導体に接続された第1及び第2の接続パターンと、積層方向から見てそれぞれ第1及び第2のダミーバンプ導体と重なる位置に設けられ、それぞれ第1及び第2のダミーバンプ導体に接続された第1及び第2のダミー接続パターンとを含み、複数の導体層にそれぞれ含まれるコイルパターンは、直列に接続されることによりコイル導体を構成し、コイル導体の一端は、複数の導体層にそれぞれ含まれる第1の接続パターン及び第1のバンプ導体に接続され、コイル導体の他端は、複数の導体層にそれぞれ含まれる第2の接続パターン及び第2のバンプ導体に接続され、複数の導体層は、第1及び第2の導体層を含み、第1の導体層に含まれるコイルパターンの外周端と、第2の導体層に含まれるコイルパターンの外周端は、第1のビアホールを介して互いに接続され、第1及び第2の導体層に含まれる第1のダミー接続パターンは、切り欠き部を有し、第1及び第2の導体層に含まれるコイルパターンの外周端の少なくとも一部は、切り欠き部に配置される。これによれば、コイルパターンの外径サイズ及び内径サイズを拡大することが可能となる。
【0048】
上記のコイル部品において、第1のバンプ導体と第2のバンプ導体は、互いに対角となる位置に配置され、第1のダミーバンプ導体と第2のダミーバンプ導体は、互いに対角となる位置に配置されても構わない。これによれば、コイルパターンのパターン幅及びターン数を十分に確保することが可能となる。
【0049】
上記のコイル部品において、複数の導体層は、第3の導体層をさらに含み、第2の導体層に含まれるコイルパターンの内周端と、第3の導体層に含まれるコイルパターンの内周端は、第2のビアホールを介して互いに接続され、素体は、第1のバンプ導体と第1のダミーバンプ導体の配列方向を短手方向、第1のバンプ導体と第2のダミーバンプ導体の配列方向を長手方向とし、第2のビアホールは、長手方向における位置が、第1のバンプ導体及び第1のダミーバンプ導体よりも、第2のバンプ導体及び第2のダミーバンプ導体に近くても構わない。これによれば、コイルパターンの外径サイズ及び内径サイズをより拡大することが可能となる。
【0050】
上記のコイル部品において、複数の導体層にそれぞれ含まれる第1の接続パターンを相互に接続する第3のビアホールと素体の実装面に対して垂直な側面との最短距離は、複数の導体層にそれぞれ含まれる第1のダミー接続パターンを相互に接続する第4のビアホールと素体の側面との最短距離よりも大きくても構わない。これによれば、ダイシング位置がずれた場合であっても、第3のビアホールが切断されることがないため、製品の信頼性が高められる。
【0051】
上記のコイル部品は、実装面に設けられ、第1のバンプ導体と第1のダミーバンプ導体を接続する第1の導電性樹脂層と、実装面に設けられ、第2のバンプ導体と第2のダミーバンプ導体を接続する第2の導電性樹脂層とをさらに備えても構わない。これによれば、4端子型のコイル部品に類似した端子構造を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10,20,30,40 コイルパターン
11,12,21,22,31,32,41,42 接続パターン
13,14,23,24,33,34,43、44 ダミー接続パターン
25~28,35 切り欠き部
51,52 犠牲パターン
61~65,71~75,81~85,91~94 ビアホール
100 コイル部品
110 素体
121,122 導電性樹脂層
131,132 バンプ導体
133,134 ダミーバンプ導体
150 表面処理層
151 Ni膜
152 Sn膜
200 回路基板
201,202 ランドパターン
210 ソルダーレジスト
220 ハンダ
A1,A4~A7,B1,B4~B7 辺
C1~C4 角部
D ダイシングライン
L1~L5 導体層
S0 実装面
S1~S4 側面
S5 上面
a5,a6,b5,b6 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16