(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120358
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/40 20110101AFI20240829BHJP
F24F 1/56 20110101ALI20240829BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240829BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F24F1/40
F24F1/56
F24F13/20 202
F24F13/24
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027097
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大家 健司
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA01
3L054BB03
(57)【要約】
【課題】筐体の大型化を抑制しつつ防音対策を可能とする。
【解決手段】空気調和機の室外機は、筐体と、上記筐体の内部に設けられた熱交換器とファンと圧縮機とを有する空気調和機の室外機である。上記筐体の内部が仕切板によって、上記熱交換器と上記ファンとが配置される熱交換室と、上記圧縮機が配置される機械室とに区分けされる。上記筐体は、天板と、上記天板に対向する底板と、上記天板と上記底板との間に設けられた側板とを有する。上記側板は、上記機械室側に配置される機械室側板と上記熱交換室側に配置される熱交換室側板とを含み、上記機械室側板の板厚は上記熱交換室側板の板厚よりも厚い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の内部に設けられた熱交換器とファンと圧縮機とを有する空気調和機の室外機であって、
前記筐体の内部が仕切板によって、前記熱交換器と前記ファンとが配置される熱交換室と、前記圧縮機が配置される機械室とに区分けされ、
前記筐体は、天板と、前記天板に対向する底板と、前記天板と前記底板との間に設けられた側板とを有し、
前記側板は、前記機械室側に配置される機械室側板と前記熱交換室側に配置される熱交換室側板とを含み、前記機械室側板の板厚は前記熱交換室側板の板厚よりも厚い
空気調和機の室外機。
【請求項2】
請求項1に記載された空気調和機の室外機であって、
前記熱交換室は、前記熱交換室側板と、前記仕切板とによって囲まれ、
前記機械室は、前記機械室側板と、前記仕切板とによって囲まれる
空気調和機の室外機。
【請求項3】
請求項1に記載された空気調和機の室外機であって、
前記仕切板の板厚は、前記熱交換室側板の板厚よりも厚い
空気調和機の室外機。
【請求項4】
請求項1に記載された空気調和機の室外機であって、
前記機械室側板は、前記筐体の角部を形成する第1側板と第2側板とを有すると共に、前記第1側板と前記第2側板との間に設けられる第3側板をさらに含み、
前記第5側板の板厚は、前記熱交換室側板の板厚よりも厚い
空気調和機の室外機。
【請求項5】
請求項1に記載された空気調和機の室外機であって、
前記圧縮機の少なくとも一部が第1防音材よって囲まれている
空気調和機の室外機。
【請求項6】
請求項5に記載された空気調和機の室外機であって、
前記第1防音材は、吸音部材及び遮音部材の少なくとも1つを含む
空気調和機の室外機。
【請求項7】
請求項6に記載された空気調和機の室外機であって、
前記第1防音材は、吸音部材と遮音部材とを有し、前記遮音部材が前記吸音部材で挟まれた構造を有する
空気調和機の室外機。
【請求項8】
請求項1または5に記載された空気調和機の室外機であって、
前記機械室の内壁面の少なくとも一部に、第2防音材が配置される
空気調和機の室外機。
【請求項9】
請求項8に記載された空気調和機の室外機であって、
前記第2防音材は、吸音部材及び遮音部材の少なくとも1つを含む
空気調和機の室外機。
【請求項10】
請求項9に記載された空気調和機の室外機であって、
前記機械室の前記内壁面に配置された前記第2防音材は、吸音部材と遮音部材とを有し、前記遮音部材が前記内壁面の側に配置され、前記吸音部材が前記機械室に向けて配置される
空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機においては、圧縮機からの音(振動音や冷媒吐出音など)を外部へ漏洩させない防音対策を実施することが知られている。防音対策として、たとえば圧縮機に吸音材を巻き付けたり、圧縮機が収容される機械室の内壁に吸音材を配置したりして吸音する技術がある(例えば、特許文献1参照)。または、別の防音対策として、圧縮機を機械室内で金属製の箱体によって取り囲み遮音する技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-100658号公報
【特許文献2】特開2012-063114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和機の室外機の防音対策として、圧縮機に吸音材のみを用いる技術では、例えば、周波数が1kHz以下である低周波数の騒音を低減できない。このような低周波の騒音は金属のような密度の高い材料で形成された防音材で低減できる。しかし、低周波の騒音を低減するために、例えば機械室内に圧縮機を覆う金属製の箱体を配置すると、室外機の筐体が二重構造となる。筐体内に圧縮機を覆う箱体を設ける場合、圧縮機以外の装置や配管等をこの箱体を避けて配置する必要がある。そのために、室外機が大型になってしまう。また、金属製の箱体を設けることで、製造工数や部品代がかかり室外機の製造コストが増加するおそれもある。。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、筐体の大型化を抑制しつつ防音対策を可能とする空気調和機の室外機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る空気調和機の室外機は、筐体と、上記筐体の内部に設けられた熱交換器とファンと圧縮機とを有する空気調和機の室外機である。
上記筐体の内部が仕切板によって、上記熱交換器と上記ファンとが配置される熱交換室と、上記圧縮機が配置される機械室とに区分けされる。
上記筐体は、天板と、上記天板に対向する底板と、上記天板と上記底板との間に設けられた側板とを有する。
上記側板は、上記機械室側に配置される機械室側板と上記熱交換室側に配置される熱交換室側板とを含み、上記機械室側板の板厚は上記熱交換室側板の板厚よりも厚い。
【0007】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、防音対策が可能となる。
【0008】
上記の空気調和機の室外機においては、上記熱交換室は、上記熱交換室側板と、上記仕切板とによって囲まれ、上記機械室は、上記機械室側板と、上記仕切板とによって囲まれてもよい。
【0009】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【0010】
上記の空気調和機の室外機においては、上記仕切板の板厚は、上記熱交換室側板の板厚よりも厚くてもよい。
【0011】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【0012】
上記の空気調和機の室外機においては、上記機械室側板は、上記筐体の角部を形成する第1側板と第2側板とを有すると共に、上記第1側板と上記第2側板との間に設けられる第3側板をさらに含み、上記第5側板の板厚は、上記熱交換室側板の板厚よりも厚くてもよい。
【0013】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【0014】
上記の空気調和機の室外機においては、上記圧縮機の少なくとも一部が第1防音材よって囲まれてもよい。
【0015】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【0016】
上記の空気調和機の室外機においては、上記第1防音材は、吸音部材及び遮音部材の少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【0018】
上記の空気調和機の室外機においては、上記第1防音材は、吸音部材と遮音部材とを有し、上記遮音部材が上記吸音部材で挟まれた構造を有してもよい。
【0019】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【0020】
上記の空気調和機の室外機においては、上記機械室の内壁面の少なくとも一部に、第2防音材が配置されてもよい。
【0021】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【0022】
上記の空気調和機の室外機においては、上記第2防音材は、吸音部材及び遮音部材の少なくとも1つを含んでもよい。
【0023】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【0024】
上記の空気調和機の室外機においては、上記機械室の上記内壁面に配置された上記第2防音材は、吸音部材と遮音部材とを有し、上記遮音部材が上記内壁面の側に配置され、上記吸音部材が上記機械室に向けて配置されてもよい。
【0025】
このような空気調和機の室外機であれば、筐体の大型化が抑制され、より防音対策が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上述べたように、本発明によれば、筐体の大型化を抑制しつつ防音対策を可能とする空気調和機の室外機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態のヒートポンプサイクル装置の概略構成図である。
【
図2】ヒートポンプサイクル装置の室外機の外観を示す概略斜視図である。
【
図3】ヒートポンプサイクル装置の室外機の外観を示す概略斜視図である。
【
図4】筐体内部に配置された仕切板と、室外機の筐体を形成する各パネルを分解した概略斜視図である。
【
図5】ヒートポンプサイクル装置の室外機の概略斜視図である。
【
図6】ヒートポンプサイクル装置の室外機の概略上面図である。
【
図7】吸音材の周波数特性の一例を示すグラフである。
【
図8】室外機の機械室の変形例を示す概略上面図である。
【
図9】防音材の断面構造の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。また、以下に示す数値は例示であり、この例に限らない。
【0029】
<空気調和機の概要>
本実施形態では、空気調和機として、ヒートポンプサイクル装置を例示する。
図1は、本実施形態のヒートポンプサイクル装置の概略構成図である。
図1には、一例として、空気調和機としてのヒートポンプ式温水暖房装置が示される。
図1に示されるように、ヒートポンプサイクル装置1は、室外機10と、室内機90とを備える。
【0030】
ヒートポンプサイクル装置1の室外機10は、圧縮機110と、四方弁120と、水冷媒熱交換器130と、水ポンプ(循環ポンプ)140と、膨張弁150と、室外熱交換器160と、アキュムレータ170と、外気温度センサ180と、送風機190と、制御ユニット300と、を備える。室外機10において、圧縮機110と、四方弁120と、水冷媒熱交換器130と、膨張弁150と、室外熱交換器160と、アキュムレータ170とが順に冷媒配管19で接続されることにより、ヒートポンプサイクル装置1における冷媒回路1cが形成される。なお、送風機190は、プロペラファンと、プロペラファンを駆動するモータと備える。
【0031】
ヒートポンプサイクル装置1の室内機90は、室内ユニット900を備える。室内機90において、室内ユニット900と、水冷媒熱交換器130と、水ポンプ140とが順に水配管95で接続されることにより、ヒートポンプサイクル装置1における温水回路1hが形成される。
【0032】
<冷媒回路の構成>
冷媒回路1cを構成する、それぞれの装置についてさらに詳細に説明する。
【0033】
圧縮機110は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動される。圧縮機110は、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機110は、吸入した低圧のガス冷媒を圧縮して高圧のガス冷媒を吐出する。四方弁120は、冷媒回路1cにおける冷媒循環方向を切り換えるための流路切換弁である。水冷媒熱交換器130は、例えば、プレート型熱交換器である。水冷媒熱交換器130は、利用側熱交換器として機能し、冷媒配管19を流れて水冷媒熱交換器130に流入した冷媒と、水配管95を流れて水冷媒熱交換器130に流入した水とが熱交換する。
【0034】
膨張弁150は、ステッピングモータをパルス制御することにより、その弁の開度が制御される電子膨張弁である。膨張弁150は、膨張弁150を通過する液冷媒を減圧(膨張)する。室外熱交換器160は、例えば、フィンチューブ型熱交換器である。室外熱交換器160は、熱源側熱交換器として機能し、冷媒配管19を流れて室外熱交換器160に流入した冷媒と、送風機190の回転により取り込まれた外気とが熱交換する。アキュムレータ170は、四方弁120から流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離し、ガス冷媒のみが圧縮機110に吸入される。
【0035】
送風機190は、筐体101の内部において、筐体101の内側に配置された室外熱交換器160の近傍に配置される。送風機190は、室外機10の吸込口(後述)から室外機10の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器160において冷媒と熱交換した外気を吹出口(後述)から室外機10の外部へ放出する。
【0036】
室外熱交換器160の近傍には、筐体101の外側に向かって外気温度センサ180が設けられている。外気温度センサ180は、送風機190の回転によって室外機10に取り込まれる外気の温度を検出する。
【0037】
<温水回路の構成>
室外機10において、水冷媒熱交換器130には、冷媒配管19のほかに水配管95が接続される。水配管95には、室内ユニット900と水ポンプ140とが順次接続されている。水ポンプ140は、回転数が固定されたモータまたは回転数が変更可能なモータによって駆動される。これにより、温水回路1hでは、実線矢印の方向に水が循環する。室内ユニット900は、例えば、床暖房装置やラジエタなどといった室内を暖房をするための端末である。すなわち、温水回路1hを循環する水が室内ユニット900において放熱を行うことで、室内機90が設置された空調空間の暖房が行われる。
【0038】
<制御ユニット>
制御ユニット300は、演算、情報伝達を行うCPU、ヒートポンプサイクル装置1の運転制御に関わる各種プログラム、室内ユニット900で使用者により設定された運転に関する要求(設定温度など)、室内ユニット900で設定された設定温度や冷媒回路1cまたは温水回路1hに設けられた各種センサで検出した値などを記憶する記憶部、冷媒回路1cまたは温水回路1hに設けられた各種センサでの検出値を取り込むセンサ入力部、及び、室内機90を操作するためのリモコン(不図示)から送信される信号を受信する受信部等を有する。これらのCPU、記憶部、センサ入力部、及び受信部等は、例えば、制御基板(回路基板)に搭載されている。制御ユニット300は、各種センサで検出した値や運転に関わる各種要求に基づいて、圧縮機110、四方弁120、水ポンプ140、膨張弁150等を制御する。
【0039】
また、室外機10は、その内部が仕切板20によって熱交換室10Hと、機械室10Mとに区分けされている(
図3)。室外機10において、室外熱交換器160と、送風機190とは、室外機10の熱交換室10Hに配置される。圧縮機110と、四方弁120と、水冷媒熱交換器130と、水ポンプ140と、膨張弁150と、アキュムレータ170とは、室外機10の機械室10Mに配置される(
図3では不図示)。
【0040】
図3に示すように、外気温度センサ180は、送風機190とは反対側の室外熱交換器160の近傍に配置される。例えば、外気温度センサ180は、室外熱交換器160の後方において、送風機190によって外気が室外機10に吹き込まれる吸込口103の開口縁の一部を形成する、背面部101baの側部101beに隣接するように配置される。制御ユニット300は、室外機10の熱交換室10Hに配置されてもよく、機械室10Mに配置されてもよい。また、制御ユニット300は、機械室10Mと熱交換室10Hとに跨って配置されてもよい。
図1では、制御ユニット300が機械室10Mと熱交換室10Hとに跨って配置された例が示される。
【0041】
<冷媒回路および温水回路の動作>
ヒートポンプサイクル装置1の動作について、
図1を用いて説明する。
【0042】
<暖房運転>
ヒートポンプサイクル装置1が暖房運転を行う場合は、四方弁120が操作されて冷媒回路1cが暖房サイクルとされる。この状態で圧縮機110が駆動すると、冷媒が冷媒回路1cを実線矢印の方向に流れる。圧縮機110から吐出された冷媒は、冷媒配管19を流れて四方弁120を経て水冷媒熱交換器130に流入する。
【0043】
水冷媒熱交換器130に流入した冷媒は、温水回路1hを循環して水冷媒熱交換器130に流入した水と熱交換を行って凝縮する。水冷媒熱交換器130から冷媒配管19に流出した冷媒は、膨張弁150を通過する際に減圧されて室外熱交換器160に流入する。
【0044】
室外熱交換器160に流入した冷媒は、外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器160から冷媒配管19に流出した冷媒は、四方弁120、アキュムレータ170を介して圧縮機110に吸入されて再び圧縮される。
【0045】
一方、温水回路1hでは、水ポンプ140が駆動することで温水回路1hを実線矢印の方向に水が流れる。水配管95を流れて水冷媒熱交換器130に流入した水は、冷媒と熱交換することによって冷媒によって加熱され、温水となる。この温水は、室内ユニット900に流入する。室内ユニット900に温水が流れることで、室内ユニット900が設置された部屋の暖房が行われる。
【0046】
<除霜運転及び冷房運転>
ヒートポンプサイクル装置1が暖房運転を行っているときに、蒸発器として機能している室外熱交換器160には霜が付着する場合がある。この場合、室外機10は、室外熱交換器160の除霜運転を行うことができる。
【0047】
例えば、ヒートポンプサイクル装置1が除霜運転を行う際は、四方弁120が操作されて室外熱交換器160が凝縮器として機能するように、冷媒回路1cにおける冷媒の流れ方向が切り換えられる。すなわち、冷媒回路1cは、冷房サイクルとなる。この状態で圧縮機110が駆動すると、冷媒が冷媒回路1cを破線矢印の方向に流れる。圧縮機110から吐出された冷媒は、冷媒配管19を流れて四方弁120を経て室外熱交換器160に流入する。このとき、送風機190は、停止している。
【0048】
室外熱交換器160に流入した冷媒は、冷媒が有する熱によって室外熱交換器160で発生した霜を融かす。室外熱交換器160から冷媒配管19に流出した冷媒は、開度が全開の膨張弁150を通過して水冷媒熱交換器130に流入し、温水回路1hを循環して水冷媒熱交換器130において水と熱交換を行って蒸発する。水冷媒熱交換器130から冷媒配管19に流出した冷媒は、四方弁120、アキュムレータ170を介して圧縮機110に吸入されて再び圧縮される。
【0049】
また、室外機10は、暖房運転への適用に限らず、冷房運転にも適用することができる。室外機10をヒートポンプ式温冷水空気調和機に適用する場合は、上記の冷房サイクルが適用される。この場合、室外熱交換器160で熱を放出した冷たい冷媒が水冷媒熱交換器130に流入し、水冷媒熱交換器130を流れる温水回路1hの水と熱交換を行って温水回路1hの水を冷水にする。これにより、室内ユニット900に冷水が流れ、温水回路1hを循環する冷水が室内ユニット900において吸熱を行うことで、室内機90が設置された空調空間の冷房が行われる。
【0050】
<室外機>
図2及び
図3は、ヒートポンプサイクル装置の室外機の外観を示す概略斜視図である。
図2には、室外機を前面斜めから見た状態が示され、
図3には、室外機を背面斜めから見た状態が示されている。なお、
図3では、室外機の筐体の一部を形成する天板101uが略されている。また、
図4は、筐体内部に配置された仕切板と、室外機の筐体を形成する各パネルを分解した概略斜視図である。
【0051】
図2、3において、Z軸方向は、室外機10における上下方向であり、X軸方向は、室外機10における左右方向であり、Y軸方向は、室外機10における前後方向(奥行方向)である。また、本実施形態において、筐体101の天板101uの側を上面側または上方、筐体101の底板101dの側を底面側または下方、筐体101の前面パネル101fの側を前面側または前方、筐体101の背面パネル101bの側を背面側または後方とする。また、筐体101を前方から見て、筐体101の右側において、前面と背面とに連なる面を筐体101の右側面、筐体101の左側において、前面と背面とに連なる面を筐体101の左側面とする。
【0052】
筐体101は、例えば、左右方向の長さが前後方向の長さよりも長い直方体形状をしている。筐体101は、例えば、鋼板で形成され、天板101uと、Z軸方向において天板101uに対向する底板101dと、天板101uと底板101dとの間に設けられた側板とを有する。側板は、前面パネル101fと、右側面パネル101r(第1側板)と、左側面パネル101lと、背面パネル101b(第2側板)と、サービスパネル101s(第3側板)とを有する。
【0053】
筐体101において、前面パネル101fは、筐体101を上方から見た場合、L字状に曲がり、前面部101faと左側面部101fbとを有する。前面パネル101fは、筐体101の前面左側の角部を形成する。前面パネル101fの前面部101faは、Y軸方向において送風機190に並び、筐体101の前面の一部を形成する。前面パネル101fの左側面部101fbは、前面部101faに連なり、筐体101の左側面の一部を形成する。X軸方向における前面部101faの長さは、Y軸方向における左側面部101fbの長さよりも長い。
【0054】
筐体101において、右側面パネル101rは、筐体101を上方から見た場合、L字状に曲がり、前面部101raと右側面部101rbとを有する。右側面パネル101rは、筐体101の前面右側の角部を形成する。右側面パネル101rの前面部101raは、X軸方向において前面パネル101fに並び、筐体101の前面の一部を形成する。右側面部101rbは、前面部101raに連なり、筐体101の右側面の一部を形成する。X軸方向における前面部101raの長さは、Y軸方向における右側面部101rbの長さよりも長い。
【0055】
筐体101において、左側面パネル101lは、筐体101を上方から見た場合、L字状に曲がり、左側面部101laと背面部101lbとを有する。左側面パネル101lは、筐体101の背面左側の角部を形成する。左側面パネル101lの左側面部101laは、Y軸方向において、前面パネル101fの左側面部101fbと並ぶ。左側面部101laは、筐体101の左側面の一部を形成する。左側面パネル101lの背面部101lbは、左側面部101laに連なり、筐体101の背面の一部を形成する。Y軸方向における左側面部101laの長さは、X軸方向における背面部101lbの長さよりも長い。
【0056】
筐体101において、背面パネル101bは、筐体101を上方から見た場合、L字状に曲がり、背面部101baと右側面部101bbとを有する。背面パネル101bは、筐体101の背面右側の角部を形成する。背面パネル101bの背面部101baは、X軸方向において、左側面パネル101lの背面部101lbと並ぶ。背面パネル101bの右側面部101bbは、Y軸方向において、右側面パネル101rの右側面部101rbと並ぶ。背面パネル101bの背面部101baは、筐体101の背面の一部を形成する。背面パネル101bの右側面部101bbは、背面部101baに連なり、筐体101の右側面の一部を形成する。X軸方向における背面部101baの長さは、Y軸方向における右側面部101bbの長さよりも長い。
【0057】
天板101uと、底板101dとは、Z軸方向において対向する。前面パネル101fの前面部101faと、左側面パネル101lの背面部101lbとは、Y軸方向において対向する。右側面パネル101rの前面部101raと、背面パネル101bの背面部101baとは、Y軸方向において対向する。前面パネル101fの左側面部101fbと、右側面パネル101rの右側面部101rbとは、X軸方向において対向する。左側面パネル101lの左側面部101laと、背面パネル101bの右側面部101bbとは、X軸方向において対向する。
【0058】
筐体101において、右側面パネル101rの右側面部101rbと、背面パネル101bの右側面部101bbとの間には、サービスパネル101sが配置される。サービスパネル101sは、筐体101内の部品の配置、接続、メンテナンス等を行うため、筐体101に対し着脱可能になっている。サービスパネル101sをなくして、右側面パネル101rの右側面部101rbと、背面パネル101bの右側面部101bbとを繋げた構造も本実施形態に含まれる。
【0059】
前面パネル101fは、送風機190のプロペラの外形に合わせて円形に開口された室外機10の吹出口となる吹出口102と、吹出口102から筐体101の内部に向かってラッパ状に延びるベルマウス101fmとを有する。吹出口102は、前面パネル101fの前方に設けられた網状のファンガード101gによって覆われている。ファンガード101gは、筐体101を上方から見た場合、L字状に曲がり、前面パネル101fの前面部101faと左側面部101fbとに沿って配置される。
【0060】
図3に示すように、筐体101の背面側においては、背面パネル101bの背面部101baと、左側面パネル101lの背面部101lbとの間の領域が室外機10の吸込口103となっている。吸込口103は、矩形状の開口縁を有する。背面部101baの吸込口103側の端部101beは、吸込口103の開口縁の周方向における一側部を形成する。また、背面部101lbの吸込口103側の端部101leは、吸込口103の開口縁の周方向における他側部を形成する。筐体101の吸込口103においては、室外熱交換器160が露出している。室外熱交換器160の後方には、室外熱交換器160への直接的な衝撃から室外熱交換器160を保護する保護網101zが設けられている。保護網101zは、鉄材で形成される。
【0061】
吸込口103には、吸込口103に吸い込まれる外気の温度を検出する外気温度センサ180が設けられている。外気温度センサ180は、筐体101の外側に向けて配置される。例えば、外気温度センサ180は、背面パネル101bの背面部101baに固定されることで、吸込口103の右側の端部(側部101be)に隣接するように配置される。外気温度センサ180は、吸込口103の上下方向の高さ(高さ:室外機10の接地面からの高さ、あるいは、底板101bからの高さ)の半分の高さよりも若干高い位置に配置される。また、外気温度センサ180は、例えば、室外熱交換器160を挟んで筐体101の内部に配置された仕切板20の端部20eに隣接するように吸込口103に設けられる。具体的には、外気温度センサ180は、吸込口103の開口縁の一部を形成する、開口縁の周方向における一側部(側部101be)に隣接するように配置される(
図3)。外気温度センサ180が検出した信号は、例えば、機械室10Mに配置された制御基板(不図示)に送られる。
【0062】
室外機10の筐体101の内部は、仕切板20によって、前面から見て左側の熱交換室10Hと、右側の機械室10Mとに区分けされる(
図3、
図4)。熱交換室10Hは、天板101uと、底板101dと、前面パネル101fと、左側面パネル101lと、仕切板20とによって囲まれる。熱交換室10Hは、吹出口102と吸込口103とによって熱交換室10Hの内部と筐体101の外部とが連通されている。機械室10Mは、天板101uと、底板101dと、右側面パネル101rと、背面パネル101bと、サービスパネル101sと、仕切板20とによって囲まれる。
【0063】
本実施形態では、前面パネル101fと、左側面パネル101lとが熱交換室10H側に配置されることから、前面パネル101fと、左側面パネル101lとを総称して、熱交換室側板とする。また、右側面パネル101rと、背面パネル101bと、サービスパネル101sとが機械室10M側に配置されることから、右側面パネル101rと、背面パネル101bと、サービスパネル101sとを総称して機械室側板とする。従って、天板101uと底板101dとの間に配置された側板は、機械室側板と熱交換室側板とを含む。すなわち、筐体101を上方から見た場合、熱交換室10Hは、熱交換室側板と、仕切板20とによって囲まれ、機械室10Mは、機械室側板と、仕切板20とによって囲まれる。
【0064】
図5は、ヒートポンプサイクル装置の室外機の概略斜視図である。
図5では、室外機10を前面斜め上方から見た状態が示され、天板101uと、右側面パネル101rと、サービスパネル101sとが筐体101から取り外された状態が示されている。
図6は、ヒートポンプサイクル装置の室外機の概略上面図である。
図6では、天板101uが筐体101から取り除かれた状態が示されている。
【0065】
熱交換室10Hには、例えば、室外熱交換器160と、送風機190とが配置される。室外熱交換器160は、底板101dに固定される。室外熱交換器160を筐体101の上方から見てL字状に形成される。例えば、室外熱交換器160は、左右方向に延びる第1熱交換部160aと、前後方向に延びる第2熱交換部160bと、第1熱交換部160aと第2熱交換部160bとを繋ぐ、歪曲した第3熱交換部160cとを有する。
【0066】
送風機190は、前後方向において、室外熱交換器160の第1熱交換部160aに対向するようにかつ吹出口102に近接するように配置される。送風機190が回転することで、吸込口103から外気が熱交換室10Hに流入し、この外気が室外熱交換器160を通過して、外気と室外熱交換器160を流れる冷媒とが熱交換を行う。室外熱交換器160を通過した外気は、送風機190の回転によって吹出口102を介して熱交換室10Hから排出される。
【0067】
機械室10Mには、例えば、圧縮機110、四方弁120、膨張弁150、及びアキュムレータ170等の冷媒回路1cを形成する部品が配置される。これらの部品は、冷媒配管19によって接続される。圧縮機110及びアキュムレータ170は、底板101dに固定される。また、機械室10Mには、水冷媒熱交換器130及び水ポンプ140等の温水回路1hを形成する部品が配置される。これらの部品は、水配管95によって接続される。また、背面パネル101bの背面部101baには、水冷媒熱交換器130に室内ユニット900からの水が流入する流入口91と、水冷媒熱交換器130から室内ユニット900に水が流出する流出口92とが設けられる。これら流入口91および流入口92に水配管95が接続される。
【0068】
仕切板20は、第1部分21と、第2部分22とを有し、底板101dに固定される。仕切板20には、第1部分21と第2部分22とが交差するように第1部分21と第2部分22との間に曲げ部25が設けられる。仕切板20は、曲げ部25を挟んで第1部分21と第2部分22とを有する。第1部分21は、前後方向と交差する方向に沿って配置される。第2部分22は、前後方向に沿って配置される。第1部分21と第2部分22とがなす角度は、鈍角である。第1部分21は、第2部分22よりも室外熱交換器160の近くに配置される。第1部分21と室外熱交換器160とがなす角度は、鋭角である。第1部分21と室外熱交換器160との間には、熱交換室10Hの空間の一部が形成される。上記交差する方向における第1部分21の幅は、前後方向における第2部分22の幅よりも狭い。
【0069】
<室外機の防音>
空気調和機の室外機の防音としては、室外機10内に配置された部品の中でも大きい音を発する圧縮機に対して防音対策を施すことが有効である。例えば、機械室に収容された圧縮機に対し吸音材を巻き付けたり、機械室の内壁に吸音材を配置したりする。ここで、吸音材とは、例えば、音の振動エネルギーを吸収し、音の振動エネルギーを熱エネルギーに変えて音を低減する材料である。吸音材としては、例えば、グラスウールのような繊維、木材、多孔質体などの密度の低い材料があげられる。吸音材を用いれば、圧縮機を金属製の箱体で囲むことなく、さらに、柔軟性を備えていれば、圧縮機の外形に沿うように圧縮機を囲むことで、その防音対策を図ることができる。
【0070】
但し、吸音材には吸音の周波数特性があり、例えば周波数が1kHzより高い音を吸収するものの、周波数が1kHz以下である低周波数の音は、吸音材を透過する場合がある。例えば、
図7は、室外機から発せられる騒音の音量の周波数特性を測定した一例を示すグラフである。
図7には、圧縮機単体(吸音材など無し)の場合の音量(単位:dB/白の棒グラフ)と、圧縮機を吸音材で囲んだ場合の音量(dB/薄黒の棒グラフ)と、圧縮機を吸音材で囲みこれらを筐体内部に収めた場合の音量(dB/ドットの棒グラフ)とが示されている。
【0071】
図7を参照すると、1kHzより高い周波数では、圧縮機単体に比べて、圧縮機を吸音材で囲んだ場合は、音量が減少していることがわかる。これに対して、周波数が1kHz以下の場合は、圧縮機を吸音材で囲んでも、圧縮機単体と比べて音量が低下せず周波数によっては音量が大きくなり、周波数が1kHz以下である低周波数の音は、吸音材のみでは十分に遮蔽できないことがわかる。一方で、圧縮機を吸音材および筐体とで囲んだ場合は、周波数の全域にわたり、音量が低減することがわかる。このように、吸音材では、周波数が1kHz以下である低周波数の音を低減することができない場合がある。
【0072】
例えば、周波数が1kHz以下である低周波数の音を低減するために、例えば、金属などの密度の高い材料で形成された遮音材によって圧縮機を囲む技術がある。例えば、箱体状にした金属で圧縮機を取り囲むことによって、圧縮機から発せられた騒音が箱体を通過する際に大きく減衰されることで騒音レベルが小さくなる。なお、密度の高い材料で形成した遮音材を用いる場合は、その厚みが大きいほど遮音効果は大きくなる。
【0073】
但し、金属製の箱体を機械室に配置すると筐体が二重構造となり、箱体を避けて圧縮機以外の部品、配管等を配置する必要があることから、室外機が大型になってしまう。また、箱体を設けることにより、製造工数や部品代がかかり室外機の価格が高くなる。
【0074】
本実施形態では、室外機の機械室に箱体を配置することなく、周波数が1kHzより高い音及び周波数が1kHz以下である音を機械室外(筐体外)に漏洩させることのない空気調和機の室外機を提供する。
【0075】
例えば、本実施形態において、機械室側板(右側面パネル101r及び背面パネル101b)は金属の板材(例えば、溶融亜鉛メッキ鋼板などの鋼板)から形成される。また、熱交換室側板(前面パネル101f及び左側面パネル101l)も金属の板材(例えば、溶融亜鉛メッキ鋼板などの鋼板)から形成される。そして、機械室側板の板厚は熱交換室側板の板厚よりも厚く形成される。例えば、機械室側板を構成する右側面パネル101r及び背面パネル101bの板厚は、0.9mm以上であり、熱交換室側板を構成する前面パネル101f及び左側面パネル101lの板厚は、0.8mm以下である。
【0076】
このような室外機10であれば、機械室側板の板厚が厚く(本実施形態では1.2mm)形成されていることから、機械室10Mに配置された圧縮機が音を発した場合に、圧縮機から発する音が機械室側板で遮ぎられ、遮音効果(機械室10M内から外部へと放射される音が側板で減衰する効果)が得られる。これにより、圧縮機110を覆う箱体を機械室10Mに配置することなく、機械室10Mから発せられる騒音を低減することができる。
【0077】
一方、熱交換室側から見ると、圧縮機110は熱交換室側板と仕切板20とで二重に覆われる。したがって、熱交換室10Hから外部へと放射される音が熱交換室側板と仕切板20によって減衰する。このため、熱交換室側板の板厚を設定するうえで、遮音を考慮する必要はなく、熱交換室側の筐体強度を考慮して板厚を設定できる。このように、箱体を機械室10Mに配置する必要がなくなることから、筐体101の大型化が防がれ、機械室10Mにおける部品の配置の自由度が向上するとともに室外機を安価にできる。なお、本実施例では、機械室側板が金属の板材(例えば、鉄板)であり、板厚は1.2mmに設定される。これにより、1kHz以下の騒音の音響透過損失(入射音に対する透過音のエネルギーの低減量)が大きくなる。
【0078】
また、本実施形態においては、機械室側板の板厚を熱交換室側板の板厚よりも厚く形成することに加えて、仕切板20の板厚を熱交換室側板の板厚よりも厚く形成してもよい。このような室外機10であれば、仕切板20により機械室から熱交換室10Hへ透過する透過音のエネルギー低減量が大きくなる。したがって、熱交換室10Hから外部へと放射される音がさらに減衰する。。
【0079】
さらに、本実施形態においては、機械室側板の一部をサービスパネル10とし、このサービスパネル101sの板厚を熱交換室側板の板厚よりも厚く形成している。例えば、サービスパネル101sの板厚は、1.2mmとされる。このような室外機10であれば、機械室10Mのメンテナンス作業の際にサービスパネル101sを取り外して行えるためにメンテナンス作業が容易となるとともに、サービスパネル10により機械室10Mから外部へと放射される音が減衰するので、機械室10Mから発せられる騒音を低減できる。
【0080】
図8は、室外機の機械室の変形例を示す概略上面図である。
【0081】
図8に示すように、圧縮機110の少なくとも一部は、防音材41(第1防音材)によって囲まれてもよい。
図8では、一例として圧縮機110の側面110wが防音材41よって囲まれた例が示されている。また、機械室10Mの内壁面10wの少なくとも一部には、防音材42(第2防音材)が配置されてもよい。
図8では、一例として機械室10M側において、仕切板10、右側面パネル101r、サービスパネル101s、及び背面パネル101bに防音材42が配置された例が示されている。
【0082】
防音材41は、吸音部材及び遮音部材の少なくとも1つを含む。例えば、防音材41は、単層の吸音材もしくは単層の遮音材で構成されることができる。吸音部材としては、例えば、フェルトが適用される。遮音部材としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)のような吸音部材と比べて密度が高く硬質な材料が適用される。このように、防音材41で圧縮機110を囲むことによって、圧縮機110が発する音を低減できる。防音材41を吸音材のみで形成すれば、高周波数の音(1kHzより高い音)が吸音されるため、吸音材を透過する音(透過音のエネルギー)を低減できる。防音材41を遮音材のみで形成すれば、低周波数の音(1kHz以下の音)が遮られるため、遮音材を透過する音(透過音のエネルギー)を低減できる。
【0083】
また、防音材41は吸音部材と遮音部材との多層構造であってもよい。防音材41を多層構造とすることで、防音材41を透過する高周波数と低周波数の音を低減できる。
【0084】
さらには、防音材41は、本実施形態のように、遮音部材41aが吸音部材41bで挟まれた多層構造であってもよい。例えば、防音材41は、
図9(a)に示すように、遮音部材41aが吸音部材41bで挟まれた構造を有する。遮音部材41aと、遮音部材41aを挟む、それぞれの吸音部材41bは、1枚のシートに限らず、それぞれ2枚以上で形成されてもよい。このような防音材41においては、防音材41の表面と裏面に吸音部材41bが配置される。吸音部材41bは遮音材41aと比べて密度が低く軟質な材料である。そのため、圧縮機110が振動することにより、吸音部材41bが圧縮機110や圧縮機110以外の部品(例えば、圧縮機110に隣接する仕切板20、アキュムレータ170等)に当たったとしても、吸音部材41bが衝撃を吸収するため接触音が発生し難い。吸音部材41bによって音の発生が緩和される。
【0085】
防音材42は、吸音部材及び遮音部材の少なくとも1つを含む。例えば、防音材42は、単層の吸音材もしくは単層の遮音材で構成されることができる。このような防音材42を機械室10Mの内面に配置することにより、機械室10Mから外部へと放射される音を低減できる。防音材42を吸音材のみで形成すれば、高周波数の音を低減できる。防音材42を遮音材のみで形成すれば、低周波数の音を低減できる。
【0086】
また、防音材42は、吸音材と遮音材との多層構造であってもよい。防音材41を多層構造とすることで、高周波数と低周波数の音が遮音材を通過する際に減衰される。
【0087】
さらには、本実施形態の防音材42は、
図9(b)に示すように、遮音部材42aと吸音部材42bとが積層した多層構造を有し、遮音部材42aが筐体101の内壁面、例えば仕切板20の機械室側内壁面10wの側に配置され、吸音部材42bが機械室10Mに向けて配置される。遮音部材42aと、吸音部材42bとは、それぞれ1枚のシートに限らず、それぞれ2枚以上で形成されてもよい。このような防音材42では、吸音部材42bが機械室10Mに向けて配置されていることから、例えば、圧縮機110が振動し、または圧縮機110の振動が伝搬して配管が振動したりして、万が一にも機械室10Mの内壁面に当たることがあったとしても、防音材42の表面が吸音部材(例えば、フェルト)で形成されていることから、その接触音が吸音材によって緩和される。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ヒートポンプサイクル装置として、ヒートポンプ式温水暖房装置を例にあげて説明したが、これに限られず、ヒートポンプ式給湯装置やヒートポンプ式温冷水空気調和機などのヒートポンプサイクル装置にも、本装置は適用可能である各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…ヒートポンプサイクル装置
1h…温水回路
1c…冷媒回路
10H…熱交換室
10M…機械室
10w…内壁面
19…冷媒配管
20…仕切板
21…第1部分
22…第2部分
25…曲げ部
41、42…防音材
41a、42a…遮音材
41b、42b…吸音材
90…室内機
91…流入口
92…流出口
95…水配管
101…筐体
101u…天板
101d…底板
101f…前面パネル
101fa…前面部
101fb…左側面部
101r…右側面パネル
101ra…前面部
101rb…右側面部
101b…背面パネル
101ba…背面部
101bb…右側面部
101l…左側面パネル
101la…左側面部
101lb…背面部
101s…サービスパネル
101g…ファンガード
101z…保護網
101fm…ベルマウス
102…吹出口
103…吸込口
110…圧縮機
120…四方弁
130…水冷媒熱交換器
140…水ポンプ
150…膨張弁
160…室外熱交換器
160a…第1熱交換部
160b…第2熱交換部
160c…第3熱交換部
170…アキュムレータ
180…外気温度センサ
190…送風機
300…制御ユニット
900…室内ユニット
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の内部に設けられた熱交換器とファンと圧縮機とを有する空気調和機の室外機であって、
前記筐体の内部が仕切板によって、前記熱交換器と前記ファンとが配置される熱交換室と、前記圧縮機が配置される機械室とに区分けされ、
前記筐体は、天板と、前記天板に対向する底板と、前記天板と前記底板との間に設けられた側板とを有し、
前記側板は、前記機械室側に配置され、第1側板と第2側板とを有する機械室側板と前記熱交換室側に配置される熱交換室側板とを含み、前記機械室側板の板厚は前記熱交換室側板の板厚よりも厚く、前記機械室側板と前記熱交換室側板とが同一素材によって形成されている
空気調和機の室外機。
【請求項2】
請求項1に記載された空気調和機の室外機であって、
前記熱交換室は、前記熱交換室側板と、前記仕切板とによって囲まれ、
前記機械室は、前記機械室側板と、前記仕切板とによって囲まれる
空気調和機の室外機。
【請求項3】
請求項1に記載された空気調和機の室外機であって、
前記仕切板の板厚は、前記熱交換室側板の板厚よりも厚い
空気調和機の室外機。
【請求項4】
請求項1に記載された空気調和機の室外機であって、
前記機械室側板は、前記筐体の角部を形成する前記第1側板と前記第2側板とを有すると共に、前記第1側板と前記第2側板との間に設けられる第3側板をさらに含み、
前記第3側板の板厚は、前記熱交換室側板の板厚よりも厚い
空気調和機の室外機。
【請求項5】
請求項1に記載された空気調和機の室外機であって、
前記圧縮機の少なくとも一部が第1防音材よって囲まれている
空気調和機の室外機。
【請求項6】
請求項5に記載された空気調和機の室外機であって、
前記第1防音材は、吸音部材及び遮音部材の少なくとも1つを含む
空気調和機の室外機。
【請求項7】
請求項6に記載された空気調和機の室外機であって、
前記第1防音材は、吸音部材と遮音部材とを有し、前記遮音部材が前記吸音部材で挟まれた構造を有する
空気調和機の室外機。
【請求項8】
請求項1または5に記載された空気調和機の室外機であって、
前記機械室の内壁面の少なくとも一部に、第2防音材が配置される
空気調和機の室外機。
【請求項9】
請求項8に記載された空気調和機の室外機であって、
前記第2防音材は、吸音部材及び遮音部材の少なくとも1つを含む
空気調和機の室外機。
【請求項10】
請求項9に記載された空気調和機の室外機であって、
前記機械室の前記内壁面に配置された前記第2防音材は、吸音部材と遮音部材とを有し、前記遮音部材が前記内壁面の側に配置され、前記吸音部材が前記機械室に向けて配置される
空気調和機の室外機。