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特開2024-120366フィプロニルを含有する動物用害虫駆除剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120366
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】フィプロニルを含有する動物用害虫駆除剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 47/02 20060101AFI20240829BHJP
   A01N 37/36 20060101ALI20240829BHJP
   A01N 25/22 20060101ALI20240829BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20240829BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240829BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20240829BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A01N47/02
A01N37/36
A01N25/22
A01N25/00 102
A01P7/04
A01M1/20 A
A61L9/01 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027111
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000149181
【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由明
(72)【発明者】
【氏名】稲見 浩之
【テーマコード(参考)】
2B121
4C180
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA12
2B121AA16
2B121CC02
2B121CC40
2B121EA30
4C180AA02
4C180AA16
4C180EB02Y
4C180EB08Y
4C180EB15Y
4C180EC01
4C180LL20
4H011AC01
4H011BA04
4H011BA06
4H011BB06
4H011BB11
4H011BC03
4H011BC22
4H011DA13
4H011DD07
4H011DG03
(57)【要約】
【課題】 動物用害虫防除剤を提供する。特には、安定でかつ臭いが抑えられた動物に直接適用するのに適した動物用害虫防除剤を提供する。
【解決手段】 フィプロニル1w/v%以上45w/v%以下;昆虫成長制御剤;ブチル化ヒドロキシアニソール及び/又はブチル化ヒドロキシトルエン;エチレングリコールエーテル類;及び茶由来成分を含有する動物用害虫防除剤を調製する。このような動物用害虫防除剤は、さらに、界面活性剤、低級アルコール、又は高分子を含んでいてもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィプロニル1w/v%以上45w/v%以下;
昆虫成長制御剤;
ブチル化ヒドロキシアニソール及び/又はブチル化ヒドロキシトルエン;
エチレングリコールエーテル類;及び
茶由来成分
を含有する動物用害虫防除剤。
【請求項2】
前記昆虫成長制御剤が、メトプレンである、請求項1に記載の動物用害虫防除剤。
【請求項3】
前記エチレングリコールエーテル類が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルである、請求項1に記載の動物用害虫防除剤。
【請求項4】
前記茶由来成分が、チャ乾留物である、請求項1に記載の動物用害虫防除剤。
【請求項5】
さらに、界面活性剤を含有する、請求項1に記載の動物用害虫防除剤。
【請求項6】
さらに、低級アルコールを含有する、請求項1に記載の動物用害虫防除剤。
【請求項7】
さらに、高分子を含有する、請求項1に記載の動物用害虫防除剤。
【請求項8】
前記害虫が、ノミ類又はダニ類である、請求項1に記載の動物用害虫駆除剤。
【請求項9】
茶由来成分を含有する、フィプロニル及び昆虫成長制御剤を含む組成物の為の消臭剤。
【請求項10】
フィプロニル及び昆虫成長制御剤を含有する組成物において、茶由来成分を併存させることによって、該組成物の臭いを軽減させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットや家畜などの動物に付着する害虫を防除するための薬剤に関する。より詳細には、本発明は、ノミ、ダニ、又はシラミなどの害虫を防除する為の動物用害虫防除剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット、又は家畜等の人と関わり合いがある動物に付着する害虫は、これらの動物に重篤な症状をもたらす病気を媒介したり、人に対してアレルギーや有害な作用を及ぼしたりすることがある。これらの害虫に対しては、主にペットや家畜の体表面に、滴下、噴霧、塗布をする為の害虫防除剤が知られている。
【0003】
動物用害虫防除剤の有効成分としては、ピレスロイド系化合物又はフェニルピラゾール系化合物が用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-014673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
良好な性状を有し、使用感に優れるさらなる動物用害虫防除剤が求められている。
【0006】
本発明は、害虫防除対象の動物に直接適用することができ、良好な安定性と臭いが軽減された動物用害虫防除剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フィプロニル及び昆虫成長制御剤を含む組成物に、生臭い特有の臭いがすること、及び成分の不安定性の問題が生じることに着目した。また、この臭いは、エチレングリコールエーテル類を混合することでより強く感じられることにも着目した。本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定濃度のフィプロニルを有効成分とし、エチレングリコールエーテル類及び昆虫成長制御剤が共存する薬剤において、さらに、ブチル化ヒドロキシアニソール及び又はブチル化ヒドロキシトルエン;及び茶由来成分を含有させることで、特有の臭いが低減しかつ安定性に優れた良好な動物用害虫防除剤を調製し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる動物用害虫防除剤を提供する。
項1.
フィプロニル1w/v%以上45w/v%以下;
昆虫成長制御剤;
ブチル化ヒドロキシアニソール及び/又はブチル化ヒドロキシトルエン;
エチレングリコールエーテル類;及び
茶由来成分
を含有する動物用害虫防除剤。
項2.
前記昆虫成長制御剤が、メトプレンである、項1に記載の動物用害虫防除剤。
項3.
前記エチレングリコールエーテル類が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルである、項1又は2に記載の動物用害虫防除剤。
項4.
前記茶由来成分が、チャ乾留物である、項1~3に記載の動物用害虫防除剤。
項5.
さらに、界面活性剤を含有する、項1~4に記載の動物用害虫防除剤。
項6.
さらに、低級アルコールを含有する、項1~5に記載の動物用害虫防除剤。
項7.
さらに、高分子を含有する、項1~6に記載の動物用害虫防除剤。
項8.
前記害虫が、ノミ類又はダニ類である、項1~7に記載の動物用害虫駆除剤。
【0009】
さらに、本発明は、下記に掲げる消臭剤を提供する。
項9.
茶由来成分を含有する、フィプロニル及び昆虫成長制御剤を含む組成物の為の消臭剤。
【0010】
さらに、本発明は、下記に掲げる消臭方法を提供する。
項10.
フィプロニル及び昆虫成長制御剤を含有する組成物において、茶由来成分を併存させることによって、該組成物の臭いを軽減させる方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、安定性が高く、かつ臭気が抑えられた良好な動物用害虫防除剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、含有量の単位「w/v%」は、「g/100ml」と同義である。
【0013】
[動物用害虫防除剤]
本発明の動物用害虫防除剤は、フィプロニルを有効成分として含有する、動物用害虫防除剤である。
【0014】
(有効成分)
本明細書で有効成分というときには、害虫防除の効力を発揮する成分と同意義である。
【0015】
ここで、フィプロニルとは、5-アミノ-1-[2,6-ジクロロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-(トリフルオロメチルスルホニル)-1H-ピラゾール-3-カルボニトリルを意味する。
フィプロニルとしては任意の活性な立体異性体または混合物であっても使用することができる。
【0016】
本発明の動物用害虫防除剤において、動物用害虫防除剤の全量に対するフィプロニルの含有量は、1w/v%以上45w/v%以下であり、4w/v%以上40w/v%以下が好ましく、6w/v%以上35w/v%以下がさらに好ましく、8w/v%以上20w/v%以下がさらにより好ましい。
【0017】
(昆虫成長制御剤)
昆虫成長制御剤とは、昆虫の変態や脱皮を調節するホルモンのバランスを制御することによって、昆虫の脱皮や羽化を阻害する物質をいう。昆虫成長制御剤には、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン等のベンゾイルウレア系化合物に代表されるキチン合成阻害剤:エクジステロイド等の脱皮ホルモン活性化合物;及びヒドロプレン、キノプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、ジオフェノラン、エポフェノナン、トリプレン、メトプレン(特には、S-メトプレン)、及びハイドロプレンからなる群より選択される幼若ホルモン様物質が含まれる。これらの昆虫成長制御剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの化合物としては任意の活性な立体異性体またはその混合物であっても使用することができる。
これらのうち、幼若ホルモン様物質が好ましく用いられ、ピリプロキシフェン及び/又はS-メトプレンがより好ましく用いられる。
【0018】
本発明の効果を発揮する観点から、本発明の動物用害虫防除剤の全量に対して、昆虫成長制御剤の含有量は、0.1w/v%以上20w/v%以下が好ましく、0.5w/v%以上18w/v%以下がより好ましく、1w/v%以上15w/v%以下がさらに好ましい。
【0019】
(エチレングリコールエーテル類)
本発明の動物用害虫防除剤には、フィプロニルの他に、エチレングリコールエーテル類が含まれ得る。エチレングリコールエーテル類を使用することで、フィプロニルを含む害虫防除剤を動物に滴下後に動物の皮膚表面で皮脂を伝って薬剤が体表全体に広がる。ここで、エチレングリコールエーテル類は、動物用又はヒト用の皮膚外用剤の成分として用いられるグレードのものであれば特に限定されない。エチレングリコールエーテル類としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等が例示できる。このうち、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが特に好ましい。
【0020】
本発明の動物用害虫防除剤の全量に対するエチレングリコールエーテル類の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、10w/v%以上85w/v%以下が好ましく、20w/v%以上80w/v%以下がより好ましく、30w/v%以上75w/v%以下がさらに好ましく、40w/v%以上70w/v%以下がさらにより好ましい。
【0021】
特に、本発明の動物用害虫防除剤の全量に対するジエチレングリコールモノエチルエーテルの含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、10w/v%以上85w/v%以下が好ましく、20w/v%以上80w/v%以下がより好ましく、30w/v%以上75w/v%以下がさらに好ましく、40w/v%以上70w/v%以下がさらにより好ましい。
【0022】
本発明の動物用害虫防除剤において、フィプロニルに対するエチレングリコールエーテル類の割合は、フィプロニル1質量部に対して、1質量部以上9質量部以下が好ましく、2質量部以上8質量部以下がより好ましく、3質量部以上7質量部以下がさらに好ましく、4質量部以上6.5質量部以下がさらにより好ましい。
【0023】
(酸化防止剤)
本発明の動物用害虫防除剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及び/又はブチルヒドロキシアニソール(BHA)である酸化防止剤を含有する。ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)の併用が特に好ましい。
【0024】
本発明の動物用害虫防除剤の全量に対するこれらの酸化防止剤の含有量は、0.001w/v%以上10.0w/v%以下が好ましく、0.003w/v%以上5.0w/v%以下がより好ましく、0.005w/v%以上1.5w/v%以下がさらに好ましく、0.01w/v%以上1.0w/v%以下がさらにより好ましい。
【0025】
本発明の動物用害虫防除剤において、フィプロニルに対する酸化防止剤の割合は、フィプロニル1質量部に対して、酸化防止剤0.000003質量部以上3質量部以下が好ましく、0.000005質量部以上1.5質量部以下がより好ましく、0.000008質量部以上1.0質量部以下がさらに好ましく、0.00001質量部以上0.8質量部以下がさらにより好ましい。
【0026】
本発明の動物用害虫防除剤において、エチレングリコールエーテル類に対する酸化防止剤の割合は、エチレングリコールエーテル類1質量部に対して、酸化防止剤0.000001質量部以上3.0質量部以下が好ましく、0.000005質量部以上2.0質量部以下がより好ましく、0.000008質量部以上1.0質量部以下がさらに好ましく、0.00001質量部以上0.5質量部以下がさらにより好ましい。
【0027】
本発明の動物用害虫防除剤において、昆虫成長制御剤(例えばメトプレン)に対する酸化防止剤の割合は、昆虫成長制御剤1質量部に対して、酸化防止剤0.000003質量部以上3質量部以下が好ましく、0.000005質量部以上1.5質量部以下がより好ましく、0.000008質量部以上1.0質量部以下がさらに好ましく、0.00001質量部以上0.8質量部以下がさらにより好ましい。
【0028】
(茶由来成分)
本発明の動物用害虫防除剤は、さらに茶由来成分を含有する。このような茶由来成分としては、緑茶、白茶、青茶、黄茶、黒茶等の抽出物が挙げられる。
【0029】
本発明において、茶の抽出方法は特に制限はなく、常法により抽出することが出来る。
【0030】
ここで、茶由来成分としては、いわゆる「緑茶エキス」として知られる、ツバキ科植物・チャの芽葉を原料として抽出されたエキスを用いることもできる。緑茶エキスは、一般には緑茶を原料として、水又はアルコールで抽出し、乾燥したものをいう。あるいは、ツバキ科のチャノキから乾留によって抽出したチャ乾留物を用いることもできる。さらに、紅茶エキス、チャエキス、チャ実エキスとして知られている成分を用いることもできる。
【0031】
このうち、特に緑茶由来エキス成分が好ましい。緑茶由来エキス成分としては、特にはチャ乾留物やチャ乾留液の形で供される成分が好ましい。
【0032】
本発明の動物用害虫防除剤の全量に対する茶由来成分の含有量は、エキス中の固形分を基準として、0.0001w/v%以上5.0w/v%以下が好ましく、0.0005w/v%以上2.0w/v%以下がより好ましく、0.001w/v%以上1.0w/v%以下がさらに好ましく0.01w/v%以上0.5w/v%以下がさらにより好ましい。
【0033】
本発明の動物用害虫防除剤の全量に対するチャ乾留成分の含有量は、0.000001w/v%以上0.5w/v%以下が好ましく、0.00001w/v%以上0.2w/v%以下がより好ましく、0.00005w/v%以上0.1w/v%以下がさらに好ましく0.0001w/v%以上0.05w/v%以下がさらにより好ましい。
【0034】
本発明の動物用害虫防除剤において、フィプロニルに対するチャ乾留成分の割合は、フィプロニル1質量部に対して、チャ乾留成分が0.00001質量部以上0.005質量部以下であることが好ましい。
【0035】
本発明の動物用害虫防除剤において、昆虫成長制御剤に対するチャ乾留成分の割合は、昆虫成長制御剤1質量部に対して、チャ乾留成分が0.00001質量部以上0.005質量部以下であることが好ましい。
【0036】
(水)
本発明の動物用害虫防除剤は、水を配合することができるし、水を全く配合しない組成物の形態とすることもできる。かかる水としては、イオン交換水等の精製水や、通常の水道水や工業用水等が挙げられる。
動物用害虫防除剤の全量に対する水の含有量は、5w/v%以下が好ましく、3w/v%以下がより好ましく、全く含まれないか実質的に含まれないことが特に好ましい。
【0037】
(害虫)
本明細書でいう害虫としては、限定はされないが、特には、ノミ(イヌ、ネコ等に寄生するノミ等を含む)、ダニ(マダニ、ツツガムシ、ササラダニ、ヒゼンダニ、ケモノツメダニ等を含む)、又はシラミ、ハジラミ、蚊等の寄生又は吸血害虫が挙げられる。特に好ましい防除対象害虫は、ノミ、ダニ、シラミ、又はハジラミである。
【0038】
本発明の動物には、各種ペット、家畜、家禽などの各種動物が含まれる。特に、犬、猫、兎、ハムスターなどのペット、牛、馬、豚、鶏などの家畜や家禽が挙げられる。
【0039】
(pH)
本発明の動物用害虫防除剤は、成分の安定性又は安全性の観点等から、pH2~10の液性を備えていることが好ましい。より好ましくはpH3~7の動物用害虫防除剤である。動物用害虫防除剤のpHは、20℃において、市販のpHメーター(例えば株式会社堀場製作所製、F-52(登録商標)型等)を使用して測定できる。なお、動物用害虫防除剤が水を含有しない場合、前記動物用害虫防除剤を精製水で20倍希釈して測定した値をpHとする。
【0040】
(粘度)
本発明の動物用害虫防除剤は、成分の安定性等の観点等から、25℃、SPINDLE No.M3、100rpmにおける粘度が、好ましくは1.0~100mpa・s程度、より好ましくは3~50mpa・s程度、である。動物用害虫防除剤の粘度は、25℃において、市販の粘度計(例えば東機産業株式会社製、TVB-10M型)を使用して測定できる。
【0041】
(その他の成分)
本発明の効果を阻害しない限り、本発明の動物用害虫防除剤には、フィプロニル、昆虫成長制御剤、BHA、BHT、エチレングリコールエーテル、及び茶由来成分以外の任意成分が適宜配合されていても良い。一例を挙げると、任意成分は、フィプロニル以外の他の害虫防除成分、界面活性剤、低級アルコール、高分子、pH調整剤、シリコーン化合物、キレート剤、再汚染防止剤、分散剤、減粘剤、色素等が挙げられる。
【0042】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、限定はされないが、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び/又は陽イオン界面活性剤のいずれを用いることもできる。
【0043】
好ましい界面活性剤としては、限定はされないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルりん酸塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、又はグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が含まれる。ここで、より好ましくは、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート80等)を用いる。界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0044】
本発明の動物用害虫防除剤の全量に対する界面活性剤の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、0.1w/v%以上20w/v%以下が好ましく、0.5w/v%以上15w/v%以下がより好ましく、0.8w/v%以上10w/v%以下がさらに好ましい。
【0045】
(低級アルコール)
低級アルコールとしては、限定はされないが、例えば、エタノール、又はイソプロパノール等を用いることもできる。好ましい低級アルコールとしては、エタノールである。低級アルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。低級アルコールは他の成分の溶解剤として作用し得る。
【0046】
本発明の動物用害虫防除剤の全量に対する低級アルコールの含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、0.1w/v%以上20w/v%以下が好ましく、0.5w/v%以上15w/v%以下がより好ましく、0.8w/v%以上10w/v%以下がさらに好ましい。
【0047】
(高分子)
高分子としては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、デンプン化合物、多糖類のような増粘作用のある水溶性高分子が挙げられる。限定はされないが、例えば、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンが好ましく用いられ得る。高分子は滴下投与の際に適度な粘性付与に有用である。
【0048】
本発明の動物用害虫防除剤の全量に対する高分子の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、0.1w/v%以上20w/v%以下が好ましく、0.5w/v%以上15w/v%以下がより好ましく、0.8w/v%以上10w/v%以下がさらに好ましい。
【0049】
pH調整剤としては、限定はされないが、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミン、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0050】
(用途等)
本発明の動物用害虫防除剤は、限定はされないが、特には、噴霧液やかけ流し剤、又は動物の背中や首の後ろ等に滴下するスポット剤の形で適用され得る。
【0051】
本発明の動物用害虫防除剤は、用途等に応じて、1週間に1度、又は2週間に1度、1ヶ月に1度、3カ月に1度、又は6カ月に1度程度の頻度で使用することも可能である。
【0052】
本発明の防除剤の使用量は、防除効果の点では、例えば、1回につき体重1kgあたり、フィプロニルの量が1mg以上となる量が好ましく、2mg以上となる量がより好ましく、5mg以上となる量がさらにより好ましい。本発明の防除剤の使用量は、安全性の観点から、1回につき体重1kgあたり、フィプロニルの量が、5000mg以下となる量が好ましく、1000mg以下となる量がより好ましく、200mg以下となる量がさらにより好ましい。
【0053】
[消臭剤]
本発明は、茶由来成分を含有する、フィプロニル及び昆虫成長制御剤を含む組成物の為の消臭剤にも関する。本発明の消臭剤において、フィプロニル、昆虫成長制御剤及びそれらの含有量については、前記動物用害虫防除剤で記載した内容に準じる。また、溶媒、酸化防止剤、pH、及びその他の任意成分とそれらの含有量やその他の条件についても、前記動物用害虫防除剤で記載した内容に準じる。ここで、「消臭」とは臭いの完全な消去だけでなく、臭いを減ずることも含む。
【0054】
[安定化方法]
本発明はまた、フィプロニル及び昆虫成長制御剤を含む組成物において、BHA及び/又はBHT、エチレングリコールエーテル類、及び茶由来成分を共存させることによって、組成物を安定化させる方法に関する。ここで、安定化とは、特に常温下、及び50℃程度の高温で保存後も、成分の残存量の変化が見られないことをいう。本発明の安定化方法において、成分とその含有量については、前記動物用害虫防除剤で記載した内容に準じる。また、pH、その他の任意成分とそれらの含有量やその他の条件についても、前記動物用害虫防除剤で記載した内容に準じる。
【0055】
[臭いを軽減させる方法]
本発明はまた、フィプロニル及び昆虫成長制御剤を含む組成物において、茶由来成分を共存させることによって、組成物の臭いを軽減させる方法に関する。本発明の臭いを軽減させる方法において、成分とその含有量については、前記動物用害虫防除剤で記載した内容に準じる。また、pH、その他の任意成分とそれらの含有量やその他の条件についても、前記動物用害虫防除剤で記載した内容に準じる。
【実施例0056】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表における各成分量の単位は、表中特に断りがない限り、w/v%である。
【0057】
[1]安定性試験
表2~表4に示す実施例及び比較例の組成物を常法により調製し、それらの組成物について、安定性の評価を行った。なお、いずれの組成物もpHは、4~5の間であった。
【0058】
安定性評価は、具体的には、各組成物を20mL容スクリュー管に移したのち、密栓して50℃の条件下にて静置して行った。3ヶ月経過後に検体を保存庫から室温へと取り出し、その時の溶液を液体クロマトグラフィー((株)島津製作所、LC-2010AHT)で分析し、S-メトプレンの含量測定を行い、保存前の初期の検体のS-メトプレンの測定値に対する安定性試験条件で保管後の検体の測定値を100分率で表わした。この値を下記のように評価した。
初期値の95%以上 ◎
初期値の85%以上95%未満 〇
初期値の75%以上85%未満 △
初期値の75%未満 ×
【0059】
この結果を表2~表3に示す。
【0060】
[2]臭い評価試験
表1に示す組成物について、保存前の初期の状態で評価試験に供した。評価は、「一般消費者用 芳香・消臭・脱臭剤の自主基準の実施要領」(芳香消臭 脱臭剤協議会:平成30年改訂版)に定められた、消臭剤・脱臭剤効力試験方法に準じて、官能試験(六段階臭気強度表示法)で行った。
具体的には、20mL容スクリュー管に入った各組成物について、キャップを開け、手で仰ぐようにして臭いをかぎ、においの程度を表1の基準に基づいて臭気強度として表わした。
評価者5名の平均値として算出し、その値が1.0未満であれば◎、1.0以上2.0未満で〇、2.0以上3.0未満で△、3以上で×とした。
なお、臭いの評価は下記の通りである。
【0061】
【表1】
【0062】
この結果も併せて表2~表3に示す。
【表2】
【表3】
【0063】
安定性試験及び臭い評価試験の結果、実施例の組成物では、比較例の組成物と比較して、安定性及び臭い共に顕著な効果が示された。
一方、比較例においては、安定性試験及び臭い評価試験の両方を満足するものは得られず、いずれもが劣る結果か、いずれかに劣ることが示された。