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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120370
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】バックライト及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20240829BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240829BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240829BHJP
【FI】
G02F1/13357
F21S2/00 481
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027116
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢島 利浩
(72)【発明者】
【氏名】柴田 倫秀
(72)【発明者】
【氏名】大田 隆
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB23
2H391AB34
2H391AC23
2H391AC27
2H391CB13
3K244BA18
3K244BA23
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA13
3K244DA19
3K244GA04
3K244GA14
3K244GA20
(57)【要約】
【課題】高精細で、コントラストの高い表示装置を可能とする、正確なローカルディミング行うことが出来るバックライトを実現する。
【解決手段】
青色LED31が平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置したバックライトであって、前記色変換シートには、青色光を受けて赤色光を発光する第1の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第1の緑量子ドットが分散され、平面で視て、前記青色LED31の周辺には、青色光を受けて赤色光を発光する第2の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第2の緑量子ドットが分散された、RG量子ドット層36が配置していることを特徴とするバックライト。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置したバックライトであって、
前記色変換シートには、青色光を受けて赤色光を発光する第1の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第1の緑量子ドットが分散され、
平面で視て、前記青色LEDの周辺には、青色光を受けて赤色光を発光する第2の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第2の緑量子ドットが分散された、RG量子ドット層が配置していることを特徴とするバックライト。
【請求項2】
前記RG量子ドット層は反射層の上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバックライト。
【請求項3】
平面で視て、前記RG量子ドット層は前記青色LEDを所定の幅で囲むように形成され、他の部分には、存在しないことを特徴とする請求項1に記載のバックライト。
【請求項4】
前記RG量子ドット層は、平面で視て、複数の前記青色LEDの間の全面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載のバックライト。
【請求項5】
前記RG量子ドット層において、前記第2の赤量子ドット及び前記第2の緑量子ドットの密度は、前記青色LEDの近傍で、他の領域よりも密度が大きいことを特徴とする請求項1に記載のバックライト。
【請求項6】
液晶表示パネルの背面にバックライトを有する液晶表示装置であって、前記バックライトは、請求項1に記載のバックライトであることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
青色LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置したバックライトであって、
前記色変換シートには、青色光を受けて赤色光を発光する第1の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第1の緑量子ドットとが分散され、
平面で視て、前記青色LEDの周辺には、青色光を受けて赤色を発光する第2の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色を発光する第2の緑量子ドットと、青色光よりも短波長の光あるいは紫外線を受けて青色光を発光する青量子ドットが分散された、RGB量子ドット層が配置しており、
平面で視て、前記RGB量子ドット層が形成された範囲内に前記短波長の光を発光する短波長LEDが配置していることを特徴とするバックライト。
【請求項8】
前記RGB量子ドット層は反射層の上に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のバックライト。
【請求項9】
平面で視て、前記RGB量子ドット層は前記青色LEDを所定の幅で囲むように形成され、他の部分には、存在しないことを特徴とする請求項7に記載のバックライト。
【請求項10】
前記RGB量子ドット層は、平面で視て、複数の前記青色LEDの間の全面を覆っていることを特徴とする請求項7に記載のバックライト。
【請求項11】
液晶表示パネルの背面にバックライトを有する液晶表示装置であって、前記バックライトは、請求項7に記載のバックライトであることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項12】
青色LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置したバックライトであって、
前記色変換シートには、青色光を受けて赤色光を発光する第1の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第1の緑量子ドットとが分散され、
平面で視て、前記青色LEDの周辺には、青色光よりも短波長の光あるいは紫外線を受けて青色光を発光する青量子ドットが分散された、B量子ドット層が配置しており、
平面で視て、前記B量子ドット層が形成された範囲内に前記短波長の光を発光する短波長LEDが配置していることを特徴とするバックライト。
【請求項13】
前記B量子ドット層は反射層の上に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のバックライト。
【請求項14】
平面で視て、前記B量子ドット層は前記青色LEDを所定の幅で囲むように形成され、他の部分には、存在しないことを特徴とする請求項12に記載のバックライト。
【請求項15】
前記B量子ドット層は、平面で視て、複数の前記青色LEDの間の全面を覆っていることを特徴とする請求項12に記載のバックライト。
【請求項16】
液晶表示パネルの背面にバックライトを有する液晶表示装置であって、前記バックライトは、請求項12に記載のバックライトであることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト及びバックライトを有する表示装置に係り、特に、ローカルディミングを用いて高コントラスト画面を可能とする表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ローカルディミングが可能なバックライトは、主として液晶表示装置に使用されるので、以下の説明は、液晶表示装置に即して行う。液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶層が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置では、画素が小さくできるので、精細度は、液晶表示装置は優れている。しかし、液晶表示装置による画像のコントラストは有機EL表示装置に比較して劣る。そこで、液晶表示装置のコントラストを向上させる方式としてローカルディミングが開発されている。ローカルディミングに関する先行技術として、例えば特許文献1が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-107257
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
VR(Virtual Reality)用表示装置、医療用表示装置では、より高精細で、よりコントラストの高い画像が必要とされる。このような表示装置でローカルディミングを用いる場合、ローカルディミングについても、より細かい制御が必要である。
【0006】
一方、LEDのように、輝度の分布がシャープであると、バックライトの上側から、あるいは、バックライトの上側に配置した液晶表示パネルの上側からバックライト側を視た場合、LEDが見えてしまうという現象を生ずる。これは「チップ見え」と呼ばれる。
【0007】
これを防止するために、拡散効果の大きい拡散シートを複数使用することが考えられる。しかし、拡散効果の大きい拡散シートを多用すると、きめ細かいローカルディミングを行えなくなる。また、拡散シートを多用すると、バックライトの正面輝度が低下する。
【0008】
本発明の課題は、このような問題点を対策し、表示装置においてきめ細かいローカルディミングを可能とするバックライトを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)青色LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置したバックライトであって、前記色変換シートには、青色光を受けて赤色光を発光する第1の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第1の緑量子ドットが分散され、平面で視て、前記青色LEDの周辺には、青色光を受けて赤色光を発光する第2の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第2の緑量子ドットが分散された、RG量子ドット層が配置していることを特徴とするバックライト。
【0011】
(2)青色LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置したバックライトであって、前記色変換シートには、青色光を受けて赤色光を発光する第1の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第1の緑量子ドットとが分散され、平面で視て、前記青色LEDの周辺には、青色光を受けて赤色を発光する第2の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色を発光する第2の緑量子ドットと、青色光よりも短波長の光あるいは紫外線を受けて青色光を発光する青量子ドットが分散された、RGB量子ドット層が配置しており、平面で視て、前記RGB量子ドット層が形成された範囲内に前記短波長の光を発光する短波長LEDが配置していることを特徴とするバックライト。
【0012】
(3)青色LEDが平面状に、かつ、第1の間隔をもってマトリクス状に配置した光源と、前記光源を覆って色変換シートが配置したバックライトであって、前記色変換シートには、青色光を受けて赤色光を発光する第1の赤量子ドットと、青色光を受けて緑色光を発光する第1の緑量子ドットとが分散され、平面で視て、前記青色LEDの周辺には、青色光よりも短波長の光あるいは紫外線を受けて青色光を発光する青量子ドットが分散された、B量子ドット層が配置しており、平面で視て、前記B量子ドット層が形成された範囲内に前記短波長の光を発光する短波長LEDが配置していることを特徴とするバックライト。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】液晶表示装置の平面図である。
図2】液晶表示装置の断面図である。
図3】液晶表示装置におけるローカルディミング動作の場合のセグメントの例を示す平面図である。
図4】光源部の平面図及び光源の輝度分布である。
図5図4のA-A断面に相当する光源部の断面図である。
図6】バックライトの上からチップが視認される現象(チップ見え)を示す平面図である。
図7図6のB-B断面に対応するバックライトの断面図である。
図8】拡散シートによってチップ見えを対策したバックライトの断面図の例である。
図9図8の問題点を示す、液晶表示装置の平面図である。
図10】実施例1による光源部の4セグメント分の平面図である。
図11図10のC-C断面に相当するバックライトの断面図である。
図12】量子ドットの模式図である。
図13】実施例1の第2の形態によるバックライトの断面図である。
図14】実施例1の第3の形態によるバックライトの平面図である。
図15図14のD-D断面に相当するバックライトの断面図である。
図16】実施例1の第4の形態によるバックライトの断面図である。
図17】実施例2による光源部の4セグメント分の平面図である。
図18図17のE-E断面に相当するバックライトの断面図である。
図19】実施例2の第2の形態による光源部の平面図である。
図20図19のF-F断面に相当するバックライトの断面図である。
図21】実施例3による光源部の4セグメント分の平面図である。
図22図21のG-G断面に相当するバックライトの断面図である。
図23】実施例3の第2の形態による光源部の平面図である。
図24図23のH-H断面に相当するバックライトの断面図である。
図25】バックライト他の例の断面図である。
図26】バックライトのさらに他の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。ローカルディミングの可能なバックライトは主として液晶表示装置において使用されるので、以下の説明は、液晶表示装置に即して行う。
【0015】
図1は液晶表示装置の1例を示す平面図である。図1において、TFT基板100と対向基板200がシール材16によって接着し、内部に液晶が挟持されている。TFT基板100と対向基板200がオーバーラップした部分に表示領域14が形成されている。表示領域14には、走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在して横方向に配列している。走査線11と映像信号線12で囲まれた領域に画素13が形成されている。
【0016】
図1において、TFT基板100が対向基板200とオーバーラップしていない部分は端子領域15となっている。端子領域15には、液晶表示パネルに電源や信号を供給するためにフレキシブル配線基板17が接続している。液晶表示パネルを駆動するドライバICはフレキシブル配線基板17に搭載されている。TFT基板100の背面には、図2に示すようにバックライトが配置している。
【0017】
図2は液晶表示装置の断面図である。図2において、液晶表示パネル10の背面にバックライト20が配置している。液晶表示パネル10は次のような構成になっている。すなわち、画素電極、コモン電極、TFT、走査線、映像信号線等が形成されたTFT基板100に対向して、ブラックマトリクスやカラーフィルタが形成された対向基板200が配置している。TFT基板100と対向基板200は周辺において、シール材16によって接着し、内部に液晶300が封入されている。
【0018】
液晶分子は、TFT基板100及び対向基板200に形成された配向膜によって、初期配向している。画素電極とコモン電極の間に電圧が印加されると、液晶分子が回転し、画素毎にバックライト20からの光を制御することによって画像を形成する。液晶300は、偏向光のみ制御することが出来るので、TFT基板100の下に下偏光板101を配置して、偏向光のみを液晶300に入射する。液晶300で変調された光は、上偏光板201において、検光され、画像が視認される。
【0019】
図2において、液晶表示パネルの背面にバックライト20が配置している。バックライト20は光源30の上に色変換シート40が配置し、その上に、種々の光学シートで構成される光学シート群50が配置している。表示装置のバックライト20には、LED等の光源が導光板の側面に配置するサイドライト方式と、LED等の光源が平面上にマトリクス状に配置する直下型とが存在するが、本発明では、直下型方式のバックライトを使用する。
【0020】
図2では、LEDは青LEDを用い、色変換シート40によって青色を白色に変換する。色変換シート40には、蛍光体を用いた蛍光体シートあるいは量子ドットを用いた量子ドットシートが存在するが、本明細書では、量子ドットシートを用いた場合について説明する。光学シート群50は、種々の拡散シート、及び、プリズムシートで構成される。具体的な光学シートの構成は後で説明する。
【0021】
液晶表示装置に画像を表示する場合、明るい部分はバックライトを透過し、暗い部分は、バックライトを遮蔽する。画像のコントラストは、明るい部分と暗い部分の比によって定義される。液晶表示装置は、暗い部分は、液晶によってバックライトからの光を遮蔽することによって形成する。しかし、液晶によるバックライトの遮蔽は、完全ではなく、若干の光が漏れる。これによってコントラストが低下することになる。
【0022】
ローカルディミングは、暗い部分には、バックライトを照射しないことによって、深い黒表示を可能とする。したがって、高いコントラストを実現することが出来る。図3はローカルディミングの形態を示す液晶表示装置の例である。図3は液晶表示装置の平面図であり、構成は図1で説明したのと同様である。図3において、表示領域14はセグメント141に分割されている。図3における点線は、セグメント141の境界であるが、これは便宜上記載したものであり、液晶表示パネルにこのような境界があるわけではない。バックライトにおける光源が各セグメントに対応する位置に配置されている。
【0023】
図3において、セグメント(4、2)は明るい部分であり、セグメント(5、2)は暗い部分であるとする。ローカルディミングでは、セグメント(4、2)の部分の光源、すなわち、LEDを点灯し、セグメント(5、2)の部分の光源、すなわち、LEDは点灯しない。そうすると、セグメント(5、2)の部分に形成される黒は、深い黒表示となり、高いコントラストが実現される。
【0024】
しかし、セグメント間には境界があるわけではないので、例えばセグメントの輝度分布等によっては、セグメント(4、2)の光がセグメント(5、2)に及ぶ場合がある。そうすると、黒表示をするはずのセグメント(5、2)にもバックライトが照射されることになり、ローカルディミングの効果を十分に発揮できないことになる。
【0025】
図4は、図3から4個分のセグメント141を取り出した平面図である。各セグメントの中心に青色LED31が配置している。この青色LED31は、ミニLEDと呼ばれているものであり、例えば、平面形状は、1辺が100μm乃至300μmの正方形あるいは長方形である。青色LED31の周辺は、白色樹脂等で形成された反射層34が配置している。各セグメントの大きさは、例えば、2mmである。なお、各セグメントの大きさは、青色LED31の間隔によって定義される。
【0026】
図4の上側は、各LEDの輝度分布である。このグラフにおいて、横軸は位置、縦軸は輝度である。光源の上には、拡散シート等は存在していないので、輝度は、青色LEDが存在している部分のみが光っている。この状態の光は、まだ、色変換シート40を通っていないので、青色である。
【0027】
図5図4のA-A断面に相当する、光源部30の断面図である。図5において、光源基板33の上に青色LED31が配置している。基板33の上側には、白色樹脂で形成された反射層34が形成されている。青色LED31及び反射層34は、保護層及びスペーサを兼ねた透明樹脂35で覆われている。透明樹脂35は、例えば、アクリル、あるいは、ポリカーボネイト等で構成される。
【0028】
図6は、光学シート群50を配置したバックライトの上から光源側を視た平面図である。図6では、光学シート群で一番上に配置した第2プリズムシート57が見えている。図6の問題点は、点線で示すように、LED31が見えてしまうということである。つまり、LED31の輝度が強くてシャープであるために、光が十分に拡散せず、LED31が視認されてしまう。このようなバックライトを液晶表示装置に使用すると、画質を劣化させる。
【0029】
図7は、図6のB-B断面に相当するバックライトの断面図である。図7の内、光源部30は図5で説明したとおりである。図7では、透明樹脂35の上に色変換シート40、拡散シート51、下プリズムシート56、上プリズムシート57が載置されている。下プリズムシート56、及び、上プリズムシート57は、バックライトの法線方向に光を収束させるためのものである。
【0030】
図7における色変換シートには、青色光を取り込んで赤色光を放射する赤量子ドット、青色光を取り込んで緑色光を放射する緑量子ドットが分散している。光源からの青色光、赤量子ドットからの赤色光、緑量子ドットからの緑光が混合して白色が形成される。
【0031】
図7において、光源からの光を拡散させて目立たなくさせるのは、拡散シート51の役割である。しかし、図6は、第1拡散シート51のみの拡散作用では十分でなく、LEDチップがバックライトの表面から観察されてしまうことを示している。以後この現象を「チップ見え」とも言う。
【0032】
図8は、これを対策するために、第2拡散シート52及び第3拡散シート53を加え、拡散作用をより強化した場合のバックライトの断面図である。図8図7と異なる点は、第1拡散シート51と第1プリズムシート56の間に、第2拡散シート52及び第3拡散シート53が挿入されていることである。通常の拡散シートを加えただけでは、十分でない場合は、特殊なスプリット機能を有する拡散シートを配置してもよい。特殊なスプリット機能を有する拡散シートの例としては、シートの表面に、拡散作用を有するマイクロレンズアレイを形成したもの等がある。
【0033】
しかし、拡散シートのみにたよってチップ見えを対策使用とすると、正確なローカルディミングが出来なくなる。例えば、図9において、照射領域400は拡大したローカルディミングによる照射光の領域である。セグメント(4、4)のみに光を当てたい場合にも、拡散シートによる過度の拡散作用によって、周辺のセグメントにも光が供給さる。つまり、光を当てたくないセグメントにも、光が当たってしまうことになる。また、拡散シートの枚数が増えると、拡散効果によって、バックライトの正面輝度が低下するという問題を生ずる。
【0034】
本発明は、以上のような問題点を対策するものである。本発明は、平面で視て、光源の大きさを大きくする、あるいは、光源自体の輝度分布をなだらかにすることによって、チップ見えを解消するものである。以下に実施例によって本発明を詳細に説明する。
【実施例0035】
図10下側は、実施例1による光源の平面図である。図10の上側は、各LEDの輝度分布である。このグラフにおいて、横軸は位置、縦軸は輝度である。図10は、4個分のセグメントについての平面図である。図11図10のC-C断面に相当するバックライトの断面図である。図10において、セグメントの中央に青色LED31が配置している。青色LED31を囲んで、青色光を取り込んで赤色光を放射する赤量子ドット、青色光を取り込んで緑色光を放射する緑量子ドットが分散した、RG量子ドット分散層36が配置している。
【0036】
図11において、青色LED31は主として上側に発光するが、若干横方向にも発光する。図11に示すように、この光は、RG量子ドット層36に取り込まれる。そうすると、RG量子ドット分散層36からも白色が上側方向に放射され、青色LED31からの青色光に加わることになる。RG量子ドット分散層36の厚さは例えば50μmである。
【0037】
図10の上側のグラフは、この、RG量子ドット分散層36からの光が加味された状態における、光源の輝度分布である。図10に示すように、光源の平面上の大きさ自体が大きくなるとともに、光源の輝度分布が裾野を有する、なだらかな分布となっている。つまり、図10の光源は、もともと、なだらかな分布を有しているので、追加の拡散シートを用いなくとも、チップ見えを対策することが出来る。
【0038】
図11の上側の図は、RG量子ドット分散層36におけるRG量子ドットの密度である。このグラフにおいて、横軸は位置、縦軸は密度である。図11では、RG量子ドット分散層36内において、RG量子ドットは均一に分布している。RG量子ドット分散層36は青LED31の部分には形成されていない。量子ドット分散層36は塗布によって形成することが可能である。後で説明する量子ドット分散層37、38も同様である。
【0039】
図12は色変換シート40、量子ドット分散層36、37、38で使用される量子ドット41の模式図である。量子ドット41は、半導体の微粒子であり、粒子径の大きさによって、変換されて出射する光の波長が異なる。量子ドット41の径ddは一般には、20nm以下である。図6において、P1およびP2は半導体である。P1は例えば球状のCdSeであり、P1の周りをZnSであるP2が覆っている。
【0040】
量子ドット41は、入射した光を閉じ込め、入射した光よりも長波長の光を出射する。入射光はLED31からの光であるが、青色光の場合もあるし、紫外光の場合もある。図12ではLED31からの光は青色光である。図12の量子ドット41におけるLはリガンド(Ligand)と呼ばれるものであり、量子ドット41が樹脂中に分散されやすくするものである。図12に示す量子ドット41は、バインダとよばれる透明樹脂内に分散されている。バインダとして使用される樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが出来る。
【0041】
図13は、実施例1の第2の形態を示すバックライトの断面図である。図13におけるバックライトの断面図は図11と同じである。図13図11と異なる点は、RG量子ドット分散層36内における、量子ドットの分散密度である。
【0042】
図13の上側のグラフは、量子ドットの分散密度を示している。このグラフにおいて、横軸は位置、縦軸は密度である。図13において、量子ドットの分散密度は青色LED31と接触する部分で最も大きく、青色LED31から離れるにしたがって小さくなっている。青色LEDからの光が最も強い部分で量子ドットの分散密度が大きくなっているので、図13では、変換効率の良い光源であるということが出来る。
【0043】
図14は、実施例1の第3の形態による光源部の平面図である。このグラフにおいて、横軸は位置、縦軸は輝度である。図14図11と異なる点は、量子ドット分散層36が青色LEDの周辺のみでなく、セグメント全体に配置していることである。図14の上側のグラフは、この構成の光源から出射する光の分布の例である。グラフに示すように、出射光は、セグメントの周辺に向かって徐々に小さくなっており、光源自体の大きさが大きくなっているとともに、分布の裾野がよりなだらかになっている。したがって、バックライト上側から、より視認しにくい構成となっている。
【0044】
図15は、図14のD-D断面に相当するバックライトの断面図である。図15のバックライトの構成は、RG量子ドット分散層36が全面に形成されている他は、図11と同じである。図15の上側のグラフは、RG量子ドット分散層36における、RG量子ドットの分散密度である。図15の例では、RG量子ドットは、全面均一に分布している。RG量子ドットの分散密度が全面均一であれば、製造プロセスが容易だといえる。
【0045】
図16は、実施例1の第4の形態による光源部の断面図である。図16に対応する平面図は、図14と同じである。図16におけるバックライトの断面図は、図15と同じである。図16図15と異なる点は、図16の上側に示す、RG量子ドットの分散密度である。図16に示すように、RG量子ドットの密度は、青色LED31と接する部分において最も高く、セグメントの周辺に向かって徐々に小さくなっている。青色光が最も大きい、青色LED31に近接した部分において、RG量子ドットの密度が大きいので、変換効率が高い。したがって、チップ見えの生じにくい光源を効率的に得ることが出来る。
【実施例0046】
図17は実施例2の光源部の平面図と輝度分布である。図17は、4個分のセグメントについての平面図である。図18図10のE-E断面に相当するバックライトの断面図である。図17において、セグメントの中央に青色LED31が配置している。青色LED31を囲んで、青色光を取り込んで赤色光を放射する赤量子ドット、青色光を取り込んで緑色光を放射する緑量子ドット、及び、青色よりも短波長の光を取り込んで青色を出射する青量子ドットが分散した、RGB量子ドット分散層37が配置している。
【0047】
図17において、RGB量子ドット分散層37における青量子ドットを励起するための、短波長光を発光する短波長LED32が配置している。短波長LED32は、主として横方向に光を放射する構造となっており、この光は、RGB量子ドット分散層37に効率的に取り込まれる。短波長LED32は、青色量子ドットを励起できれば、発光波長にはこだわらない。紫色LEDでもよいし、紫外線LEDでもよい。
【0048】
一方、実施例1と同様に、青色LED31からも横方向に青色光が放射され、RGB量子ドット分散層37に分散している赤色量子ドット、緑色量子ドットを励起させ、赤光及び緑光を発光させる。図18に示すように、RGB量子ドット分散層37の下側には、反射層34が存在しているので、RGB量子ドット分散層37からは白色光が上方向に出射する。この光が青色LEDから上側に向かう光に重畳される。
【0049】
図17の上側のグラフは、この光源から出射される光の輝度分布を示すグラフである。このグラフに示すように、光源の面積自体が大きくなるとともに、光源の輝度分布が裾野を有する、なだらかな分布となっている。したがって、追加の拡散シートを用いなくとも、チップ見えを対策することが出来る。ところで、図17の分布においては、ピーク付近では、青色光が強いが、この青色光は、量子ドットシート40によって白色光に変換される。
【0050】
図19は、実施例2の第2の形態を示す光源部の平面図である。図20は、図19のF-F断面に相当するバックライトの断面図である。図19及び図20図17及び図18と異なる点は、RGB量子ドット分散層37が青色LED31の周辺のみでなく、セグメント全体に配置している点である。
【0051】
RGB量子ドット分散層37における作用は図17及び図18で説明したのと同様である。図19の上側の図は、光源部から出射する光の分布を示すグラフである。図19及び図20の構成では、より広い範囲から白色光が出射されることになるので、図17及び図18による出射光よりも、さらに、面積の大きい、かつ、分布の緩やかな出射光を得ることが出来る。したがって、チップ見えの対策を効果的におこなうことが出来る。
【実施例0052】
図21は実施例3の光源部の平面図である。図21は、4個分のセグメントについての平面図である。図22図10のG-G断面に相当するバックライトの断面図である。図21において、セグメントの中央に青色LED31が配置している。青色LED31を囲んで、青色よりも短波長の光を取り込んで青色を出射する青量子ドットが分散した、B量子ドット分散層38が配置している。
【0053】
図21において、B量子ドット分散層38における青量子ドットを励起するための、短波長光を発光する短波長LED32が配置されている。短波長LED32は、主として横方向に光を放射する構造となっており、この光は、B量子ドット分散層38に効率的に取り込まれる。
【0054】
図22に示すように、B量子ドット分散層38の下側には、反射層34が存在しているので、B量子ドット分散層38からは青色光が上方向に出射する。この光が青色LED31から上側に向かう光に重畳される。
【0055】
図21の上側のグラフは、この光源から出射される光の輝度分布を示すグラフである。このグラフに示すように、光源の面積自体が大きくなるとともに、光源の輝度分布が裾野を有する、なだらかな分布となっている。したがって、追加の拡散シートを用いなくとも、チップ見えを対策することが出来る。ところで、図21の分布においては、実施例1及び実施例2と異なり、ピーク付近も裾野も、青色光で構成される。この青色光は、量子ドットシート40によって白色光に変換される。
【0056】
図23は、実施例3の第2の形態を示す光源部の平面図である。図24は、図23のH-H断面に相当するバックライトの断面図である。図23及び図24図21及び図22と異なる点は、B量子ドット分散層38が青色LED31に周辺のみでなく、セグメント全体に配置している点である。
【0057】
RGB量子ドット分散層38における作用は図21及び図22で説明したのと同様である。図23の上側のグラフは、光源部から出射する光の分布を示すグラフである。図23及び図24の構成では、より広い範囲から白色光が出射されることになるので、図21及び図22による出射光よりも、さらに、面積の大きい、かつ、分布の緩やかな出射光を得ることが出来る。したがって、チップ見えの対策を効果的におこなうことが出来る。
【0058】
以上の実施例では、図2に示すバックライト20の構成について説明した。しかし、本発明は、図2に示すバックライト以外にも種々のバックライトに適用することが出来る。図25のバックライトは、図2のバックライトの構成に加えて、光源30と色変換シート40の間に、ダイクロイックシート60を配置した例である。図26のバックライトは、図25の構成に加えて、光源30とダイクロイックシート60の間に、ポリカーボネイト板70を配置した例である。ポリカーボネイト板70は非常に透過率が高いので、光源とダイクロイックシート、あるいは、他のシートとの間に空間を配置する代わりに使用することが出来る。
【0059】
以上の説明では、色変換シートとして量子ドットシートを用いたが、蛍光体シートを用いた場合も同様である。
【符号の説明】
【0060】
10…表示パネル、 11…走査線、 12…映像信号線、 13…画素、 14…表示領域、 15…端子領域、 16…シール材、 17…フレキシブル配線基板、 20…バックライト、 30…光源、 31…青色LED、 32…短波長LED、 33…基板、 34…反射層、 35…透明樹脂、 36…RG量子ドット層、 37…RGB量子ドット層、 38…B量子ドット層、 40…色変換シート、 50…光学シート群、 51…第1拡散シート、 52…第2拡散シート、 53…第3拡散シート、 56…第1プリズムシート、 57…第2プリズムシート、 60…ダイクロイックシート、 70…ポリカーボネイト板、 100…TFT基板、 101…下偏光板、 141…セグメント、 200…対向基板、 201…上偏光板、 300…液晶、 400…拡大したローカルディミングによる照射光
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