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特開2024-120382カバー、現金入金口及び現金処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120382
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】カバー、現金入金口及び現金処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20240829BHJP
【FI】
G07D11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027138
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】黒田 貴孝
(72)【発明者】
【氏名】西田 孝一
(72)【発明者】
【氏名】壇上 博史
(72)【発明者】
【氏名】依田 吉弘
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA12
3E141DA05
3E141FA10
3E141FL01
3E141GB03
(57)【要約】
【課題】現金処理装置の装置内へ現金入金口から液体が浸入することを防止する。
【解決手段】現金処理装置の現金入金口に現金を入金するための開口部を有する前記現金入金口のカバーを、上方からの入金口への液体の浸入を防止するための上面部と、上面部に受けて上面部に沿って流れた液体を受ける溝部とを含み、上面部は、上方から受けた液体を第1方向へ流す傾斜面を有し、溝部は、傾斜面に沿って第1方向へ流れた液体を受けて、第1方向とは異なる第2方向へ流して排出するように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金処理装置の現金入金口に現金を入金するための開口部を有する前記現金入金口のカバーであって、
上方からの前記現金入金口への液体の浸入を防止するための上面部と、
前記上面部に受けて前記上面部に沿って流れた液体を受ける溝部と
を含み、
前記上面部は、上方から受けた液体を第1方向へ流す傾斜面を有し、
前記溝部は、前記傾斜面に沿って前記第1方向へ流れた液体を受けて、前記第1方向とは異なる第2方向へ流して排出する
ことを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記上面部の傾斜面は、前記現金処理装置の周囲四側面のうち前記現金入金口が設けられている側面とは異なる側面の方向へ液体を流すように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記上面部の傾斜面は、前記現金処理装置の周囲四側面のうち、前記現金処理装置が現金を出金する出金口が設けられている側面とは異なる側面の方向へ液体を流すように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記溝部は、前記現金処理装置の周囲四側面のうち、前記現金入金口が設けられている側面の方向へ液体を流して排出することを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
前記溝部は、複数箇所から液体を排出することを特徴とする請求項4に記載のカバー。
【請求項6】
前記溝部を含み前記現金処理装置に固定されたベースカバーと、
前記上面部を含み前記ベースカバーに対して着脱可能な上部カバーと
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項7】
前記ベースカバーの溝部は、前記現金入金口を三方から取り囲むコの字型に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【請求項8】
前記ベースカバーの溝部は、前記現金入金口を三方から取り囲んで形成されており、残りの一方から液体を排出することを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【請求項9】
前記ベースカバーの溝部は、前記現金処理装置の周囲四側面のうち前記現金入金口がある側面の方向へ液体を流し、該側面の幅方向における前記現金入金口外側の位置から、液体を排出することを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【請求項10】
前記ベースカバーは、前記現金入金口の幅方向両外側2カ所の位置から液体を排出することを特徴とする請求項9に記載のカバー。
【請求項11】
前記上部カバーは、前記ベースカバーの溝部に対応して形成された平面部を含み、
前記上部カバーの前記平面部を、前記ベースカバーの前記溝部に嵌合して、前記上部カバーを前記ベースカバーに着脱可能に固定する
ことを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【請求項12】
前記ベースカバーと前記上部カバーの一方に固定された磁石と他方に固定された金属部材とによって、前記上部カバーを前記ベースに着脱可能に固定することを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【請求項13】
前記上部カバーは、カバー外側から前記現金入金口を目視可能な透明性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【請求項14】
現金処理装置に設けられ、処理対象の現金を装置外から受けて装置内へ送る現金入金口であって、請求項1~13のいずれか1項に記載のカバーを備えることを特徴とする現金入金口。
【請求項15】
装置外から受けた現金を装置内で処理する現金処理装置であって、
装置外から処理対象の現金を受けて装置内へ送る現金入金口と、
請求項1~13のいずれか1項に記載の前記現金入金口のカバーと
を備える
ことを特徴とする現金処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現金処理装置の装置内への液体の浸入を防ぐためのカバー、概カバーを備える現金入金口、及びこれらを備える現金処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、客との取り引きが行われる店舗で取引金額を精算するために現金処理装置が利用されている。精算処理時には、客が支払う紙幣及び硬貨が現金処理装置に入金されて、客へ返す釣銭が現金処理装置から出金される。セルフ式及びセミセルフ式のチェックアウトカウンターが増加し、客が自ら現金を入金する現金処理装置も多く利用されている。このような現金処理装置で、客が誤って現金の入金口に現金以外の異物を投入してしまうことがある。例えば、コーヒーやジュース等の液体が入金口から現金処理装置の装置内に入ると、装置内部の清掃が必要になったり故障の原因となったりする可能性がある。
【0003】
特許文献1には、液体の浸入を防ぐ硬貨入金口が開示されている。この硬貨入金口は、上方から受けた液体を一方向へ流して底面に設けた排出口から排出する。硬貨入金口の上面は大きく2つの領域に分かれており、一方の領域に硬貨を装置内へと導く開口部が設けられ、他方の領域には斜面が形成されている。液体が、装置内へ続く開口部から離れる方向へ流れるように、斜面は開口部から離れるにつれて低くなるように形成されている。斜面を流れた液体が溜まる部分に、底面から液体を排出するための排出口が設けられている。硬貨入金口の開口部は、装置内へ液体が入らないようにカバーで覆われている。このカバーの上面にも斜面が形成されている。硬貨入金口の一方側でカバー上に受けた液体は、他方側にある斜面へ流れ落ち、そのまま斜面に沿って流れた後、排水口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10453289号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、硬貨入金口の底面から液体を排出する排出口と、排出された液体を処理するための構成部とが必要となるため、従来装置へ適用するためには装置の改造や部品交換が必要になる。液体の量に対して排出口の排出性能が十分でないために斜面部分に液体を貯めきれず、溢れた液体が硬貨穴から装置内へ浸入してしまう可能性もある。
【0006】
本開示は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、現金処理装置内への液体の浸入を効果的に防止するためのカバー、概カバーを備える現金入金口、及びこれらを備える現金処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るカバーは、現金処理装置の現金入金口に現金を入金するための開口部を有する前記現金入金口のカバーであって、上方からの前記現金入金口への液体の浸入を防止する上面部と、前記上面部に受けて前記上面部に沿って流れた液体を受ける溝部とを含み、前記上面部は、上方から受けた液体を第1方向へ流す傾斜面を有し、前記溝部は、前記傾斜面に沿って前記第1方向へ流れた液体を受けて、前記第1方向とは異なる第2方向へ流して排出する。
【0008】
上記構成において、前記上面部の傾斜面は、前記現金処理装置の周囲四側面のうち前記現金入金口が設けられている側面とは異なる側面の方向へ液体を流すように傾斜していてもよい。
【0009】
上記構成において、前記上面部の傾斜面は、前記現金処理装置の周囲四側面のうち、前記現金処理装置が現金を出金する出金口が設けられている側面とは異なる側面の方向へ液体を流すように傾斜していてもよい。
【0010】
上記構成において、前記溝部は、前記現金処理装置の周囲四側面のうち、前記現金入金口が設けられている側面の方向へ液体を流して排出してもよい。
【0011】
上記構成において、前記溝部は、複数箇所から液体を排出してもよい。
【0012】
上記構成において、前記溝部を含み前記現金処理装置に固定されたベースカバーと、前記上面部を含み前記ベースカバーに対して着脱可能な上部カバーとを備えていてもよい。
【0013】
上記構成において、前記ベースカバーの溝部は、前記現金入金口を三方から取り囲むコの字型に形成されていてもよい。
【0014】
上記構成において、前記ベースカバーの溝部は、前記現金入金口を三方から取り囲んで形成されており、残りの一方から液体を排出してもよい。
【0015】
上記構成において、前記ベースカバーの溝部は、前記現金処理装置の周囲四側面のうち前記現金入金口がある側面の方向へ液体を流し、該側面の幅方向における前記現金入金口外側の位置から、液体を排出してもよい。
【0016】
上記構成において、前記ベースカバーは、前記現金入金口の幅方向両外側2カ所の位置から液体を排出してもよい。
【0017】
上記構成において、前記上部カバーは、前記ベースカバーの溝部に対応して形成された平面部を含み、前記上部カバーの前記平面部を、前記ベースカバーの前記溝部に嵌合して、前記上部カバーを前記ベースカバーに着脱可能に固定してもよい。
【0018】
上記構成において、前記ベースカバーと前記上部カバーの一方に固定された磁石と他方に固定された金属部材とによって、前記上部カバーを前記ベースに着脱可能に固定してもよい。
【0019】
上記構成において、前記上部カバーは、カバー外側から前記現金入金口を目視可能な透明性を有する材料で形成されていてもよい。
【0020】
本開示に係る現金入金口は、現金処理装置に設けられ、処理対象の現金を装置外から受けて装置内へ送る現金入金口であって、上記構成に係るカバーを備える。
【0021】
本開示に係る現金処理装置は、装置外から受けた現金を装置内で処理する現金処理装置であって、装置外から処理対象の現金を受けて装置内へ送る現金入金口と、上記構成に係る前記現金入金口のカバーとを備える。
【発明の効果】
【0022】
本開示に係るカバー、該カバーを備える現金入金口、及びこれらを備える現金処理装置は、現金入金口から装置内へ液体が浸入することを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係る現金処理装置の例を示す外観図である。
図2図2は、紙幣用カバー及び硬貨用カバーの現金処理装置への装着方法を説明するための図である。
図3図3は、紙幣用カバーの構成を説明するための図である。
図4図4は、硬貨用カバーの構成を説明するための図である。
図5図5は、紙幣用カバー及び硬貨用カバーを側方から見た形状を説明するための図である。
図6図6は、紙幣用カバーを示す図である。
図7図7は、硬貨用カバーを示す図である。
図8図8は、紙幣用カバー及び硬貨用カバーの現金処理装置での利用方法を説明するための図である。
図9図9は、硬貨用カバーの別の例を説明するための図である。
図10図10は、現金処理装置用の別のカバーの例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係るカバー、概カバーを備える現金入金口、及びこれらを備える現金処理装置の実施の形態について説明する。本開示の目的の1つは、現金入金口にカバーを設けることにより、現金処理装置の装置内への液体の浸入を防止することにある。本実施形態で言う液体の種類は特に限定されない。液体には、例えば、雨、雪、水の他、コーヒー、ジュース等の飲料が含まれる。
【0025】
図1は、本実施形態に係る現金処理装置の例を示す外観図である。現金処理装置は、紙幣処理装置10及び硬貨処理装置20を含む。図1では例示であって、紙幣処理装置10と硬貨処理装置20とが、別々の装置ではなく一体化されていてもよい。
【0026】
紙幣処理装置10は、紙幣入金口11及び紙幣出金口12を備える。紙幣処理装置10は、紙幣の入金処理及び出金処理を実行することができる。入金処理時には、紙幣入金口11に受けた紙幣を装置内に取り込んで識別計数し、計数結果を外部装置へ出力することができる。入金された紙幣は装置内の収納部へ収納される。出金処理時には、外部装置から入力された出金指示に基づいて、出金対象の紙幣を収納部から繰り出して紙幣出金口12から排出することができる。紙幣処理装置10が、入金処理のみを実行可能であってもよいし、入金処理及び出金処理以外の現金処理を実行可能であってもよい。
【0027】
硬貨処理装置20は、硬貨入金口21及び硬貨出金口22を備える。硬貨処理装置20は、硬貨の入金処理及び出金処理を実行することができる。入金処理時には、硬貨入金口21に受けた硬貨を装置内に取り込んで識別計数し、計数結果を外部装置へ出力することができる。入金された硬貨は装置内の収納部へ収納される。出金処理時には、外部装置から入力された出金指示に基づいて、出金対象の硬貨を収納部から繰り出して硬貨出金口22から排出することができる。硬貨処理装置20が、入金処理のみを実行可能であってもよいし、入金処理及び出金処理以外の現金処理を実行可能であってもよい。
【0028】
現金処理装置は、例えば店舗で客との取引時に精算処理を行うために利用することができる。紙幣処理装置10及び硬貨処理装置20は、レジ端末と接続して利用することができる。レジ端末を利用して客との取引金額が決定されると、現金処理装置が、客が支払う現金の入金処理を実行する。客が支払う現金のうち紙幣の入金処理が紙幣処理装置10で行われて、硬貨の入金処理が硬貨処理装置20で行われる。客が支払った現金の合計金額が取引金額を超える場合、現金処理装置は釣銭の出金処理を実行する。客へ返す釣銭のうち紙幣の出金処理が紙幣処理装置10で行われて、硬貨の出金処理が硬貨処理装置20で行われる。このように店舗で利用される紙幣処理装置10及び硬貨処理装置20含む現金処理装置は、従来知られているため、構成及び動作の詳細な説明は省略する。なお、現金処理装置の利用方法及び利用場所は特に限定されない。現金処理装置が店舗外に設置されていてもよいし、精算処理以外の目的で利用される態様であってもよい。
【0029】
図1に矢印で示すように、紙幣入金口11に紙幣用カバー100が取り付けられて、硬貨入金口21に硬貨用カバー200が取り付けられる。紙幣用カバー100には紙幣入金用の開口部101が形成されている。図1に示す例では紙幣用カバー100の側面(前面)に開口部101が形成されているが、開口部201が上面等、他の面に形成されていてもよい。紙幣入金口11への紙幣用カバー100の装着後は、開口部101から紙幣入金口11へ紙幣を入金することができる。紙幣用カバー100は、紙幣入金口11のうち少なくとも装置内へとつながる開口部の上方を覆う形状を有する。図1に示す例では、紙幣用カバー100は、紙幣入金口11の上方略全体を覆う形状を有する。開口部101は、紙幣の入金動作を妨げることがないように、紙幣入金口11の幅方向略全体に渡って形成されている。図1に示すように、紙幣用カバー100は、紙幣処理装置10の外側から追加装着可能に構成されている。これにより、従来装置に紙幣用カバー100を追加して利用することができる。
【0030】
硬貨用カバー200には硬貨入金用の開口部201が形成されている。図1に示す例では硬貨用カバー200の上面に開口部201が形成されているが、開口部201が側面等、他の面に形成されていてもよい。硬貨入金口21への硬貨用カバー200の装着後は、開口部201から硬貨入金口21へ硬貨を入金することができる。硬貨用カバー200は、硬貨入金口21のうち少なくとも装置内へとつながる開口部の上方を覆う形状を有する。図1に示す例では、硬貨用カバー200は、硬貨入金口21の上方略全体を覆う形状を有する。開口部201は、少なくとも1枚の硬貨を投入できる大きさで形成されている。開口部201が、複数枚(例えば2~3枚)の硬貨を投入可能な大きさで形成されていてもよい。図1に示すように、硬貨用カバー200は、硬貨処理装置20の外側から追加装着可能に構成されている。これにより、従来装置に硬貨用カバー200を追加して利用することができる。
【0031】
紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200は、カバーの外側から内側を目視可能な透明性のある材料で形成されている。紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200の装着後も、紙幣入金口11及び硬貨入金口21から紙幣が装置内へ取り込まれる様子をカバー外側から目視確認することができる。紙幣及び硬貨をカバー外側から目視できれば、紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200が完全に透明である必要はなく、半透明であってもよいし、色がついていてもよい。紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200は、割れにくく傷がつきにくいポリカーボネート等の材料を用いて形成されることが好ましいが、材質は特に限定されず、例えばアクリル樹脂等の他の材料を利用する態様であってもよい。
【0032】
図2は、紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200の現金処理装置への装着方法を説明するための図である。図3は、紙幣用カバー100の構成を説明するための図である。図4は、硬貨用カバー200の構成を説明するための図である。本実施形態で説明する各図面には、各構成部の関係が分かるように座標軸を示している。座標軸のX、Y、Z軸方向がそれぞれ、現金処理装置の左右方向、前後方向、上下方向である。Z軸正方向が上方向、現金処理装置のY軸正方向側に利用者が利用する装置前面があり、この利用者から見て右手側がX軸正方向になっている。以下、紙幣用カバー100を先に説明するため、硬貨用カバー200の説明で、紙幣用カバー100の説明で記載した内容を省略する場合があるが、カバー上面形状の違いに係る記載を除いて、紙幣用カバー100について記載した内容は硬貨用カバー200と共通すものである。
【0033】
紙幣用カバー100は、ベースカバー110と、上部カバー120とを含む。図2に示すように、ベースカバー110が、紙幣入金口11に対して所定位置に固定される。固定方法は特に限定されないが、例えばベースカバー110の裏面に両面テープを貼り付けて紙幣処理装置10に固定すればよい。接着剤を使用して固定してもよい。ベースカバー110は、上方から見た形状がコの字型を有している。ベースカバー110は、紙幣入金口11の三方を囲むように固定される。具体的には、紙幣処理装置10の上面で、紙幣入金口11の左右外側及び背面外側をコの字で囲むように固定される。ベースカバー110は、図3(a)に示すように外周壁110aを有し、図2に示すように固定した際に、紙幣処理装置10の上面を流れる水を堰き止めることができる。具体的には、紙幣入金口11を取り囲みかつ紙幣処理装置10の上面と密着するようにベースカバー110を固定することで、ベースカバー110の外側から紙幣入金口11への液体の浸入を防ぐようになっている。
【0034】
図3(a)に示すように、紙幣用カバー100のベースカバー110には、液体が流れる溝部が形成されている。溝部は、外周壁110a、内周壁110b及び底面110cによって形成された断面凹形状を有する。溝部の上面は開放されている。溝部は、溝部内の液体が背面側(Y軸負方向側)から前面側(Y軸正方向側)へ流れるように、背面側で底面110cの高さが高く、前面側へ向かって徐々に低くなるように形成されている。紙幣入金口11への取付時に前面側となる溝部の前面両端部は側壁がない開放状態になっている。この両端部が、溝部を流れてきた液体を排出する排出口として機能する。
【0035】
ベースカバー110の溝部底面110cの複数箇所に止まり穴が形成されており、各穴に磁石152が挿入されて固定される。磁石152は上面が、溝部の底面110cと略同一平面を形成する状態で固定される。図3(b)に示すように、上部カバー120の裏面に、鉄製薄板状の金属部材であるシートメタル151が固定される。上部カバー120へのシートメタル151の固定方法は特に限定されない。両面テープで固定してもよいし接着剤で固定してもよい。
【0036】
上部カバー120の裏面は、ベースカバー110の溝部内に収まるコの字型に形成されている。このコの字型の裏面に、図3(b)に示すようにシートメタル151が固定される。図2に示すように、ベースカバー110の溝部内に上部カバー120の裏面を嵌め込むと、上部カバー120裏面に固定されたシートメタル151と、ベースカバー110の溝部底面110cに埋め込まれた磁石152とによって、上部カバー120がベースカバー110に固定される。ベースカバー110が紙幣入金口11に位置決め固定されている一方で、上部カバー120は、ベースカバー110から、すなわち紙幣入金口11から容易に着脱することができる。ベースカバー110のコの字型の溝部に合わせて、上部カバー120の裏面をコの字型にすることで、着脱可能な構造としながら、ベースカバー110に対して上部カバー120を位置決めできるようになっている。入金する紙幣の枚数が多い場合、上部カバー120を取り外して、紙幣入金口11から紙幣を入金することができる。
【0037】
硬貨用カバー200もベースカバー210及び上部カバー120を含み、紙幣用カバー100と同じ方法で硬貨入金口21に固定される。図4(a)に示す硬貨用カバー200のベースカバー210は、図3(a)に示す紙幣用カバー100のベースカバー110と同一構造を有している。
【0038】
ベースカバー210が、両面テープ等を利用して、硬貨入金口21に対して所定位置に固定される。上方から見た形状がコの字型のベースカバー210は、硬貨入金口21の三方を囲むように固定される。硬貨処理装置20の上面で、硬貨入金口21の左右外側及び背面外側をコの字で囲むようにベースカバー210が固定される。ベースカバー210は、図4(a)に示すように外周壁210aを有し、図2に示すように固定した際に、硬貨処理装置20の上面を流れる水を堰き止めることができる。具体的には、硬貨入金口21を取り囲みかつ硬貨処理装置20の上面と密着するようにベースカバー210を固定することで、ベースカバー210の外側から硬貨入金口21への液体の浸入を防ぐようになっている。
【0039】
図4(b)に示すように、上部カバー220の裏面は、ベースカバー210の溝部内に収まるコの字型に形成され、ここにシートメタル251が固定される。図2に示すように、硬貨入金口21に固定したベースカバー210の溝部内に上部カバー220の底面を嵌め込むことにより、ベースカバー210に対して上部カバー220が位置決めされる。上部カバー220裏面のシートメタル251と、ベースカバー210の溝部底面210cに埋め込まれた磁石252とによって、上部カバー220がベースカバー210に着脱可能に固定される。入金する硬貨の枚数が多い場合、上部カバー220を取り外して、開口部201よりも大きい開口部が形成された硬貨入金口21に硬貨を容易に投入することができる。
【0040】
ベースカバー110、210に対して上部カバー120、220を着脱可能かつ位置決め可能であれば、ベースカバー110、210と上部カバー120、220の固定方法は特に限定されない。例えば、ベースカバー110、210にシートメタル151、251を固定して、上部カバー120、220に磁石152、252を固定してもよい。ベースカバー110、210に対して上部カバー120、220を着脱できるように磁極を合わせて、ベースカバー110、210と上部カバー120、220の両方に磁石を固定してもよい。磁石152、252が、ベースカバー210裏面に形成された穴に埋め込み固定される態様であってもよい。磁石152、252がシート状のマグネットシートであってもよい。磁石を用いずに、ベースカバー110、210に上部カバー120、220を嵌め込んで固定する態様であってもよい。例えば、ベースカバー110、210と上部カバー120、220の一方に凸部を設け、この凸部に対応する凹部を他方に設けて、着脱可能に固定してもよい。ベースカバー110、210に対して上部カバー120、220を位置決めできれば、上部カバー120、220の裏面がコの字型でなくてもよい。例えば、図3(b)及び図4(b)に示した上部カバー120、220の裏面一部が切り欠かれた形状であってもよい。
【0041】
図3(a)に示すように、紙幣用カバー100の上部カバー120は、前面側(Y軸正方向側)略全面が開放されており、この開放部が、紙幣入金口11への装着時に紙幣を入金するための開口部101を形成する。上部カバー120は、傾斜形状の上面部120cと、上面部120cの左右側方及び背面側にコの字型に形成された平面部120dと、上面部120cと平面部120dの間を接続する側面部120a、120bとを含む。上面部120cは、開口部101から背面側(Y軸負方向側)へ向けて徐々に高さが低くなっており、上方から液体がかかった際、液体が背面側へ流れるようになっている。平面部120dはコの字型の薄板平板形状を有し、上述したように裏面にシートメタル151が固定される。左右の側面部120b及び背面側の側面部120aは、シートメタル151全面がベースカバー110に形成された溝部の底面110cと密着するように、ベースカバー110の内周壁110bの高さに合わせた形状になっている。
【0042】
図4(a)に示すように、硬貨用カバー200の上部カバー220は、傾斜形状の上面部220cと、上面部220cの左右側方及び背面側にコの字型に形成された平面部220dと、上面部120cと平面部220dの間を接続する側面部220a、220bとを含む。上面部220cは、硬貨入金口21へ装着した際の硬貨入金口21の位置に合わせて形成された略水平な硬貨投入面220eを含み、硬貨投入面220eに開口部201が形成されている。上面部220cは、開口部201の前面側(Y軸正方向側)縁部近傍を境に前面側と背面側に分かれ、前面側及び背面側の両方が傾斜面になっている。上からかかった液体がなるべく背面側へ流れるように、前面側の傾斜面の面積に比べて、背面側の傾斜面の面積が大きくなっている。上面部220cの多くを占める背面側傾斜面は、背面側(Y軸負方向側)へ向けて徐々に高さが低くなっており、上方からかかった液体のほとんどが背面側へ流れるようになっている。平面部220dはコの字型の薄板平板形状を有し、裏面にシートメタル251が固定される。紙幣用の上部カバー120と同様に、側面部220a、220bは、平面部220d裏面のシートメタル251全面がベースカバー210の溝部の底面210cに密着するように、ベースカバー210の内周壁210bの高さに合わせた形状になっている。
【0043】
図5は、紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200を側方(X軸正方向側)から見た形状を説明するための図である。図5(a)では、ベースカバー110の外周壁110aの一部断面と、上部カバー120の平面部120dの一部断面とを斜線で示している。図2に示すように、紙幣入金口11に合わせて紙幣処理装置10の上面にベースカバー110を固定して、ベースカバー110に対してさらに上部カバー120を固定すると、上部カバー120の平面部120dは、背面側(Y軸負方向側)の高さが高く、前面側(Y軸正方向側)へ向かって徐々に低くなる。上から液体がかかった際、図5(a)に破線矢印で示すように、液体は上部カバー120の上面部120cに沿って背面側へ流れて、ベースカバー110の溝部内へ落ちる。ベースカバー110の外周壁110aで堰き止められた液体は、実線矢印で示すように、上部カバー120の平面部120d上を前方へ向かって流れる。すなわち、紙幣用カバー100は、上面に受けた液体が紙幣入金口11及び紙幣出金口12が設けられた前面側へ流れないように、受けた液体を一旦背面側へ流した後、溝部に沿って前面側へ流して排出する構造になっている。
【0044】
硬貨用カバー200についても、紙幣用カバー100と同様に、硬貨処理装置20の上面にベースカバー210及び上部カバー120を固定すると、図5(b)に斜線で示すように、上部カバー220の平面部220dが背面側から前面側へ向かって徐々に低くなる。上から液体がかかった際、破線矢印で示すように、液体は上部カバー220の上面部220cに沿って背面側へ流れて、ベースカバー210の溝部内へ落ちる。ベースカバー210の外周壁210aで堰き止められた液体は、実線矢印で示すように、上部カバー220の平面部220d上を前方へ向かって流れる。このように、硬貨用カバー200も、上面に受けた液体が硬貨入金口21及び硬貨出金口22が設けられた前面側へ流れないように、受けた液体を一旦背面側へ流した後、溝部に沿って前面側へ流して排出する構造になっている。
【0045】
図6は、紙幣用カバー100を示す図である。図6(a)に示すように、ベースカバー110に上部カバー120を固定すると、上部カバー120の側面部120a、120bと、ベースカバー110の外周壁110aとの間に溝ができる。この溝は、内側に上部カバー120があって、左右両外側及び背面側に外周壁110aがある一方で、前面側は開放されている。このため、図6(b)に破線矢印で示すように傾斜した上面部120cに沿って背面側へ流れた液体は、流れる方向を変えられて、実線矢印で示すように溝部に沿って流れた後、前面側(Y軸正方向側)へ排出される。
【0046】
図7は、硬貨用カバー200を示す図である。硬貨用カバー200についても、紙幣用カバー100と同様に、ベースカバー210に上部カバー220を固定すると、図7(a)に示すように、上部カバー220の側面部220a、220bと、ベースカバー210の外周壁210aとの間に溝ができる。図7(b)に破線矢印で示すように傾斜した上面部220cに沿って背面側へ流れた液体は、流れる方向を変えられて、実線矢印で示すように溝部に沿って流れた後、前面側(Y軸正方向側)へ排出される。
【0047】
図8は、紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200の現金処理装置での利用方法を説明するための図である。紙幣401は、紙幣処理装置10の前面側にある上部カバー120の開口部101から紙幣入金口11へ入金される。硬貨402は、硬貨処理装置20の上方にある上部カバー220の開口部201から硬貨入金口21へ入金される。
【0048】
店舗のチェックアウトカウンタで利用される現金処理装置は、カウンタの下や、商品を載置する載置台の下に、装置背面側の少なくとも一部を収める形で設置されることがある。例えば、現金処理装置は、上面に設けられた紙幣入金口11及び硬貨入金口21のみを、チェックアウトカウンタ及び載置台の外側へ出した状態で使用される。
【0049】
チェックアウトカウンタの客は、紙幣入金口11及び硬貨入金口21を上方から見下ろす形で紙幣及び硬貨を入金する。このとき、客が誤って液体をこぼしてしまった場合でも、紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200により、上方から落下した液体が紙幣入金口11及び硬貨入金口21へ直接浸入することを防止できる。カバー上にかかった液体を、上述したようにカバー上面に沿って背面側へ流すことで、液体がそのまま前面側へ流れて紙幣入金口11、紙幣出金口12、硬貨出金口22へ入ることを防止できる。カバー上面に沿って一旦背面側へと流れた液体は、上述したようにカバーに形成された溝に沿って流れて、図8に矢印で示すように、装置前面側へ排出される。現金処理装置が背面側をチェックアウトカウンタ及び載置台の下に入れた状態で設置されている場合でも、液体を前面側へ排出させることで、清掃のしにくい背面側へ液体が流れることを防止できる。
【0050】
紙幣用カバー100の溝部を流れた液体が、紙幣入金口11の下方に設けられた紙幣出金口12から装置内へ浸入しないように、液体は、紙幣入金口11の両外側から装置前面側へ排出される。同様に、硬貨用カバー200の溝部を流れた液体は、硬貨出金口22へ流れ込まないように、硬貨入金口21の両外側から装置前方へ排出される。これにより、液体の多くが現金処理装置の装置内へ入り込んでしまい、大がかりな清掃が必要になったり装置が故障したりすることを回避することができる。
【0051】
現金処理装置では、客が利用する前面側に化粧板を含む樹脂製の部品が使用されることが多い。一方、装置背面側はチェックアウトカウンタ及び載置台の下側へ収められて見えなくなるため、背面側はスチール製の筐体がそのまま剥き出しであったり、筐体に設けられた穴がそのまま露出していたりする場合もある。このような場合でも、液体を装置前面側へ排出するカバー構造とすることで、スチール製の筐体が汚れて錆を発生したり、筐体の穴から内部に液体が浸入したりすることを防止して、液体による被害を最小現にとどめることができる。
【0052】
本実施形態では、紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200を透明性のある材質とする例を説明したが、上部カバー120、220を透明性のある材質として、ベースカバー110、210を不透明な材質とする態様であってもよい。また、現金処理装置の利用態様によっては上部カバー120、220についても不透明な材質とする態様であってもよい。材質についても樹脂に限定されるものではなく硬質ゴムや金属を利用する態様であってもよい。
【0053】
本実施形態では、現金処理装置が紙幣処理装置10及び硬貨処理装置20を含む例を説明したが、現金処理装置が紙幣処理装置10のみを含む態様であってもよいし、硬貨処理装置20のみを含む態様であってもよい。紙幣入金口11及び硬貨入金口21の両方にカバーを装着する例を説明したが、紙幣入金口11と硬貨入金口21のいずれか一方にのみカバーを装着する態様であってもよい。紙幣入金口11が紙幣出金口12を兼ねる態様であってもよい。
【0054】
本実施形態に示した紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200は、紙幣入金口11及び硬貨入金口21に合わせたサイズで製造されるが、一例として、図6及び図7に示した、液体が流れる溝部は、幅が約10mm、高さ(溝部の深さ)が3~5mm程度となっている。また、上部カバー120、220は裏面から頂部までの高さが約40mmあって、上面部120c、220cは、背面側の側面部120a、220a上縁へ向けて、30mm以上の落差から成る傾斜面を形成している。ただし、これらの数値は例示であって、各部の寸法は特に限定されない。例えば、溝部の深さが10mm以上あってもよい。
【0055】
本実施形態では、上部カバー120、220の上面部120c、220cに沿って装置背面側に流した液体を、ベースカバー110、210の溝部を介して装置前面側から排出する例を示したが、液体を流す方向がこれらに限定されるものではない。上面部120c、220cが複数の傾斜面を含んで形成される態様であってもよい。上面部120c、220cは、装置の周囲四側面のうち、入金口11、21が設けられた前面以外の側面の方向へ向けて液体を流すように傾斜していればよい。例えば、上面部120c、220cが、左方向、右方向、背面方向の少なくともいずれか一方へ液体を流すように傾斜していてもよい。ベースカバー110、210の溝部が、装置の左方向、右方向、背面方向の少なくともいずれか一方から液体を排出するように形成されていてもよい。現金処理装置の設置場所及び使用方法に応じて、上面部120c、220cに受けた液体を流す方向及び排出する方向を決定し、紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200をこれに応じた形状にすればよい。図3及び図4に示した上面部120c、220cの傾斜方向と、ベースカバー110、210の溝部の傾斜方向及び排出口の位置とを、決定した方向に合わせればよい。ベースカバー110、210からの液体の排出についても、2カ所から行われる態様に限定されず、1カ所から排出される態様であってもよいし3カ所以上から排出される態様であってもよい。
【0056】
本実施形態では、ベースカバー110、210に溝部を形成する例を説明したが、ベースカバー110、210に代えて又は加えて、上部カバー120、220にも溝部を設ける態様であってもよい。紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200それぞれが、ベースカバー110、210と上部カバー120、220を一体化した形状を有していてもよい。例えば、図6及び図7に示すような形状のカバーを、現金処理装置に着脱可能に装着して使用する態様であってもよい。具体的には、図6及び図7に示す形状のカバーを一体成型して、裏面に形成した穴に磁石152、252を嵌め込み固定し、現金処理装置の入金口11、21に合わせて貼り付けたシートメタル151、251にカバーを着脱する態様であってもよい。
【0057】
本実施形態では、紙幣用カバー100と硬貨用カバー200が異なる形状である例を示したが同一形状であってもよい。例えば、図2に示す例で、紙幣用カバー100のベースカバー110と、硬貨用カバー200のベースカバー210とが同一部品であってもよい。紙幣用のベースカバー110を硬貨用のベースカバー210と同一部品にすれば、紙幣用の上部カバー120を、硬貨用のベースカバー210に装着して使用することができる。紙幣用の上部カバー120を2つ用意して、硬貨入金口21と紙幣入金口11で同一形状のカバーを使用してもよい。硬貨入金口21に紙幣用カバー100を装着した場合も、開口部101から硬貨入金口21へ硬貨を入金することができる。紙幣用カバー100と硬貨用カバー200でベースカバー110、210を共通品にすれば、例えば、液体で汚れた硬貨用の上部カバー220を取り外して清掃する間、紙幣用の上部カバー120を紙幣入金口11から取り外して硬貨入金口21へ装着し、硬貨用カバー200として利用することもできる。予備の上部カバー120を1つ準備しておけば、紙幣用カバー100と硬貨用カバー200の両方が液体で汚れた場合も、予備の上部カバー120と付け替えながら、汚れた上部カバー120、220を取り外して清掃することができる。
【0058】
本実施形態で説明した紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200は例示であって、カバー形状がこれらに限定されるものではない。具体的には、紙幣入金口11及び硬貨入金口21の形状に合わせて、紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200の形状の一部が変更される態様であってもよい。
【0059】
また、図7(a)では、開口部201が形成された硬貨投入面220eが、硬貨処理装置20の上面と平行な略水平面となる例を示したが、図9(a)に示すように、硬貨投入面220eが、装置前面側(Y軸正方向側)が低くなるように傾斜した傾斜面であってもよい。図9(b)に示すように、硬貨投入面220eが略鉛直面であってもよい。硬貨用の上部カバー220が装置前面側の一部にも傾斜面を有する例を示したが、前面側は全面を略鉛直面にして、上面部220cは、この略鉛直面の上縁を起点として上面部220c全体に渡って左右又は背面側へ傾斜した形状を有していてもよい。
【0060】
上述した硬貨投入用の開口部201の位置も例示であって、開口部201は、硬貨入金口21の形状に合わせて形成される。例えば、図9(c)に示すように、硬貨入金口21を形成する略水平面(底面)21aと傾斜面(側面)21bとがある場合に、開口部201が、略水平面21aの上方に形成される態様であってもよい。図9(b)に破線矢印で示すように硬貨402を硬貨入金口21内へ導くことができれば、開口部201が傾斜面21bの上方に形成される態様であってもよい。
【0061】
図10(a)に示すように、紙幣入金口11と硬貨入金口21の両方に対応するベースカバー310及び上部カバー320を利用する態様であってもよい。例えば、紙幣入金口11と硬貨入金口21とが近い位置にある場合、上述した紙幣用の上部カバー120と硬貨用の上部カバー220とを一体化した形状の上部カバー320とすればよい。ベースカバー310は、上部カバー320に合わせて、上述したベースカバー110、210を横方向(X軸方向)へ延ばした形状とすればよい。
【0062】
紙幣用カバー100及び硬貨用カバー200に形成された溝内を流れた液体が、図6図8に示すように、左右両外側から装置前方側へ排出される態様に限定されず、左又は右の一方から装置前方へ排出される態様であってもよい。例えば、図7(b)に示した硬貨用の上部カバー220に、図10(b)に示すように隔壁220fを追加して、液体が片側から排出されるようにしてもよい。紙幣用カバー100についても同様に片側から液体を排出するようにしてもよい。
【0063】
上述したように、現金処理装置は、現金入金口に、装置内部への液体の浸入を防止するためのカバーを備えている。カバーは容易に着脱することが可能で、カバーが汚れたときには取り外して清掃することができる。また、大量の現金を入金する際には、カバーを取り外して入金することができる。カバーの前面側から、入金口や入金口下方にある出金口へ液体が流れ落ちることを防止するため、カバー上面は、装置背面側へ向けて傾斜した形状を有している。カバー上面に沿って装置背面側へ流した液体は、カバーに設けた溝内を流れて、装置前面側へ排出される。入金口及び出金口への浸入を避けるため、液体は入金口の両外側から排出される。カバーをこのような構造とすることで、現金処理装置にかかった液体の多くが装置内部へ浸入してしまい、大がかりな清掃が必要になったり装置が故障したりすることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本開示に係るカバー、現金入金口及び現金処理装置は、現金処理装置内への液体の浸入を防ぐために有用である。
【符号の説明】
【0065】
10 紙幣処理装置
11 紙幣入金口
12 紙幣出金口
20 硬貨処理装置
21 硬貨入金口
22 硬貨出金口
100 紙幣用カバー
200 硬貨用カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10