(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120393
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ヒータ装置、加熱部及びヒータ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20240829BHJP
F16L 53/35 20180101ALI20240829BHJP
F16L 59/147 20060101ALI20240829BHJP
H05B 3/40 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
H05B3/00 310G
F16L53/35
F16L59/147
H05B3/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027155
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593228933
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 章
(72)【発明者】
【氏名】福田 啓一
(72)【発明者】
【氏名】石 大作
(72)【発明者】
【氏名】飯田 研二
(72)【発明者】
【氏名】田口 進
【テーマコード(参考)】
3H025
3H036
3K058
3K092
【Fターム(参考)】
3H025AA13
3H025AA18
3H025AB01
3H025AB05
3H036AB13
3H036AB15
3H036AB18
3H036AB24
3H036AC01
3H036AE09
3K058AA44
3K058CA12
3K058CA23
3K058CA72
3K092PP11
3K092QA02
3K092QB02
3K092QB26
3K092RA06
3K092RF06
3K092RF12
3K092RF14
3K092UA01
3K092VV02
(57)【要約】
【課題】 被加熱物に対して、発熱体の通電及び非通電を切り替える切替装置を位置決めする。
【解決手段】 被加熱物(配管100)の外面に沿って配置されるヒータ装置(1)であって、通電によって発熱する発熱体(40)と、被加熱物の温度に応じて発熱体の通電及び非通電を切り替える切替装置(サーモスタット50)と、内皮材(10)及び外皮材(20)の間に配置された断熱材(30)と、を有する。断熱材は、切替装置を収容するスペースを形成する収容部(31)を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物の外面に沿って配置されるヒータ装置であって、
通電によって発熱する発熱体と、
前記被加熱物の温度に応じて前記発熱体の通電及び非通電を切り替える切替装置と、
内皮材及び外皮材の間に配置された断熱材と、を有し、
前記断熱材は、前記切替装置を収容するスペースを形成する収容部を有することを特徴とするヒータ装置。
【請求項2】
前記収容部は、前記断熱材を貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載のヒータ装置。
【請求項3】
前記収容部は、前記被加熱物の外面に向かって開口した凹部であることを特徴とする請求項1に記載のヒータ装置。
【請求項4】
前記切替装置はサーモスタットであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のヒータ装置。
【請求項5】
被加熱物の外面に沿って配置される加熱部であって、
通電によって発熱する発熱体と、
前記被加熱物の温度に応じて前記発熱体の通電及び非通電を切り替える切替装置と、
内皮材及び外皮材の間に配置された断熱材と、を有し、
前記断熱材は、前記切替装置を収容するスペースを形成する収容部を有することを特徴とする加熱部。
【請求項6】
被加熱物の外面に沿って配置されるヒータ装置の製造方法であって、
前記ヒータ装置は、
通電によって発熱する発熱体と、
前記被加熱物の温度に応じて前記発熱体の通電及び非通電を切り替える切替装置と、
内皮材及び外皮材の間に配置された断熱材と、を有し、
前記断熱材に所定スペースを有する収容部を形成し、前記収容部に前記切替装置を収容することを特徴とするヒータ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物を加熱するヒータ装置又は加熱部と、このヒータ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のヒータ装置では、第1の温度に達すると通電を遮断するとともに、降温して第2の温度に達すると通電を復帰するバイメタル式サーモスタットを設けている。そして、バイメタル式サーモスタットの復帰温度を0℃以下としている。このヒータ装置は、配管を加熱するためのマントルヒータとして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ヒータ装置の内部にバイメタル式サーモスタットを配置することが記載されているが、バイメタル式サーモスタットの具体的な配置構造については、何ら開示されていない。
【0005】
配管の温度に応じてサーモスタットを動作させようとする場合には、サーモスタットを配管に接触させ続ける必要がある。ヒータ装置の内部において、サーモスタットの位置がずれてしまうと、サーモスタットが配管から離れることにより、配管の熱がサーモスタットに伝わりにくくなり、サーモスタットが正常に動作しないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明は、被加熱物の外面に沿って配置されるヒータ装置であって、通電によって発熱する発熱体と、被加熱物の温度に応じて発熱体の通電及び非通電を切り替える切替装置と、内皮材及び外皮材の間に配置された断熱材と、を有する。断熱材は、切替装置を収容するスペースを形成する収容部を有する。
【0007】
収容部としては、断熱材を貫通する貫通孔としたり、被加熱物の外面に向かって開口した凹部としたりすることができる。発熱体がヒータ線を含む場合において、ヒータ線は、断熱材の表面において、所定の配置パターンに沿って配置することができ、ヒータ線の一部は、収容部から所定距離だけ離れた位置で収容部に沿って配置することができる。
【0008】
発熱体は、ヒータ線と、ヒータ線が固定される支持シートとで構成することができる。支持シートには、切替装置を貫通させる開口部を形成することができ、切替装置に設けられたフランジ部を支持シートに取り付けることができる。ここで、支持シートとして無機繊維シートを用い、支持シートの開口部の縁を補強糸によって縫製することができる。
【0009】
ヒータ装置には、被加熱物の温度を検出するための温度センサを設けることができる。温度センサは、被加熱物の温度を検出する検出部と、検出部から延びる配線部とで構成することができ、検出部を含む温度センサの先端部を被加熱物に露出させることができる。ここで、内皮材及び外皮材の積層方向から見たときに、温度センサの先端部は、発熱体のヒータ線と重ならない位置に配置することができる。これにより、ヒータ線の熱が温度センサの先端部(特に、検出部)に伝達することを抑制し、検出部が被加熱物の温度を検出しやすくなる。
【0010】
温度センサの配線部は、内皮材及び外皮材の積層面内において、迂回経路に沿って配置することができる。迂回経路は、積層面内に位置する始端及び終端を結ぶ最短経路に対して迂回する経路である。配線部を迂回経路に沿って配置することにより、配線部に引張り力が作用しても、配線部のずれを抑制することができる。
【0011】
本願第2の発明は、被加熱物の外面に沿って配置される加熱部であって、通電によって発熱する発熱体と、被加熱物の温度に応じて発熱体の通電及び非通電を切り替える切替装置と、内皮材及び外皮材の間に配置された断熱材と、を有する。断熱材は、切替装置を収容するスペースを形成する収容部を有する。
【0012】
本願第3の発明は、被加熱物の外面に沿って配置されるヒータ装置の製造方法である。ここで、ヒータ装置は、通電によって発熱する発熱体と、被加熱物の温度に応じて発熱体の通電及び非通電を切り替える切替装置と、内皮材及び外皮材の間に配置された断熱材と、を有する。ヒータ装置の製造方法では、断熱材に所定スペースを有する収容部を形成し、この収容部に切替装置を収容する。
【0013】
本願第1から第3の発明において、切替装置として、サーモスタットを用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、断熱材の収容部が切替装置を収容しているため、ヒータ装置において、切替装置を位置決めすることができる。これにより、被加熱物に対して、切替装置をずれることなく接触させることができ、被加熱物の熱を切替装置に効率良く伝達することができる。そして、切替装置を被加熱物の温度に応じて適切に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】配管に取り付けられたヒータ装置の構造を示す斜視図である。
【
図4】ヒータ装置にサーモスタットを埋め込んだ構造を示す断面図である。
【
図5】サーモスタットを収容する部分を示す断熱材の概略図である。
【
図6】サーモスタットをシートに固定する構造と、サーモスタット及びヒータ線の位置関係を説明する図である。
【
図7】サーモスタットをシートに固定する構造と、サーモスタット及びヒータ線の位置関係を説明する図である。
【
図8】温度センサの先端部及びヒータ線の位置関係を説明する図である。
【
図9】温度センサの配線部を配置するときの迂回経路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態であるヒータ装置は、配管の外周面に取り付けられ、配管の内部を加熱するものである。例えば、ガスを流動させる配管の内部において、副生成物や排ガスが凝結して析出することを防止するために、配管の内部を加熱することができる。なお、本実施形態であるヒータ装置は、配管を加熱することに限られず、加熱対象となる被加熱物を加熱することができればよい。
【0017】
図1は、円筒状の配管100に取り付けられたヒータ装置1の構成を示す斜視図である。
図1において、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する軸であり、配管100は、X軸方向に延びている。なお、本実施形態では、X軸方向に延びる配管100にヒータ装置1を取り付けた例について説明するが、屈曲した配管100に対してヒータ装置1を取り付けることもできる。この場合には、配管100の屈曲部分に沿うようにヒータ装置1を屈曲した形状に形成すればよい。
【0018】
ヒータ装置1は、配管100の周方向に沿って配置されており、配管100の周方向において互いに突き合わせられる一対の突合せ部1A,1Bを有する。ヒータ装置1を配管100の外周面に沿って屈曲させて、一対の突合せ部1A,1Bを突き合わせることにより、配管100の外周面をヒータ装置1によって覆うことができる。
【0019】
ヒータ装置1は、配管100の外周面と接触する内皮材10と、ヒータ装置1の外面を構成する外皮材20と、内皮材10及び外皮材20の間に配置された断熱材30とを有する。
【0020】
内皮材10や外皮材20は、樹脂で形成することができ、多孔質構造を有していてもよい。内皮材10及び外皮材20は、同一種類の樹脂で形成することもできるし、互いに異なる種類の樹脂で形成することもできる。
【0021】
内皮材10や外皮材20を形成する樹脂としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)、ECTFE(エチレンクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)が挙げられる。また、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテンなどの熱可塑性樹脂を使用することもできる。さらに、上述したフッ素系樹脂の繊維を編んだフッ素樹脂繊維製クロス(織布)、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維といった無機繊維からなる無機繊維製クロス(織布)、無機繊維製クロスにフッ素系樹脂をコーティング処理したフッ素樹脂コーティング無機繊維製クロス、無機繊維製クロスにシリコーン樹脂をコーティング処理したシリコーン樹脂コーティング無機繊維製クロスを使用できる。
【0022】
内皮材10及び断熱材30の間には、発熱体40が配置されている。発熱体40は、通電によって発熱するヒータ線41と、ヒータ線41が縫い付けられる支持シート42とを有する。ヒータ線41は、ヒータ装置1によって覆われた配管100の全領域を均等に加熱することができるように、所定の配置パターンに沿って配置することができる。ヒータ線41の端部はケーブル(不図示)と接続されており、このケーブルがヒータ装置1の外部に引き出されており、ヒータ装置1の外部に配置される電源(不図示)に接続される。電源からヒータ線41に電気を流すことにより、ヒータ線41を発熱させることができる。
【0023】
支持シート42は、ガラスファイバー、セラミックファイバー、シリカファイバーなどの無機繊維で形成されたシート状の部材である。支持シート42が内皮材10に接触するとともに、ヒータ線41が支持シート42及び断熱材30の間に位置するように、発熱体40を配置することができる。これにより、ヒータ線41は、断熱材30の表面上に配置されることになる。
【0024】
なお、支持シート42は、1つの層で構成することもできるし、複数の層を重ねた積層体として構成することもできる。ここで、積層体を構成する複数の層は、同一種類の材質で形成することもできるし、互いに異なる種類の材質で形成することもできる。また、同一種類の材質で形成された複数の層と、他の材質で形成された少なくとも1つの層とを積層することにより、支持シート42を構成することもできる。
【0025】
断熱材30は、例えば、無機繊維や有機繊維で形成することができ、不燃性又は難燃性を有する材料で形成することが好ましい。無機繊維としては、例えば、ガラスファイバー、セラミックファイバー、シリカファイバーを用いることができる。ここで、無機繊維にニードル加工を施し、コロイダルシリカ、アルミナゾル、ケイ酸ソーダなどの無機バインダを用いて成形することができる。一方、有機繊維としては、例えば、アラミド、ポリアミド、ポリイミドで形成された繊維を用いることができる。
【0026】
断熱材30は、外皮材20の内面に接触させることができるが、断熱材30及び外皮材20の間にシート(不図示)を配置することもできる。このシートは、上述した支持シート42と同様の材質を用いて形成することができ、1つの層又は複数の層で構成することができる。
【0027】
ヒータ装置1の任意の箇所には、配管100の温度を検出する温度センサ(不図示)を取り付けることができる。そして、温度センサによって検出された温度に基づいて、ヒータ線41への通電を制御することにより、配管100の温度を所望の温度に維持することができる。なお、温度センサの数は、適宜決めることができる。
【0028】
ヒータ装置1には、
図2や
図3に示すサーモスタット(切替装置)50が配置されている。サーモスタット50は、バイメタル式のサーモスタットであり、配管100の温度に応じてヒータ線41の通電/非通電を切り替える。サーモスタット50は、配管100の外周面に接触するように配置されており、配管100の熱がサーモスタット50に伝わるようになっている。これにより、配管100の温度に応じてサーモスタット50を動作させることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、サーモスタット50を配管100の外周面に直接、接触させているが、これに限るものではなく、サーモスタット50及び配管100の間に他の部材が介在していてもよい。この場合であっても、配管100の熱が介在物を介してサーモスタット50に伝わればよい。一方、サーモスタット50以外にも、被加熱物(配管100など)の温度に応じてヒータ線41の通電/非通電を切り替えることができるものを使用することができる。
【0030】
図2及び
図3を用いて、サーモスタット50の構造(一例)について説明する。
図2は、サーモスタット50の一側面図であり、
図3は、
図2に示す矢印D1の方向からサーモスタット50を見たときの図(底面図)である。なお、サーモスタット50の構造は、
図2及び
図3に示す構造に限るものではない。
【0031】
サーモスタット50の内部には、バイメタル(不図示)が配置されており、バイメタルは、温度に応じて変形することにより、スイッチのオン/オフを切り替える。スイッチがオンであるときには、ヒータ線41への通電が許容され、スイッチがオフであるときには、ヒータ線41への通電が遮断される。
【0032】
サーモスタット50は、ヒータ線41が接続される一対の端子51と、サーモスタット50を固定するための一対のフランジ52とを有する。一対の端子51は、上述したバイメタルによってオン/オフが切り替えられるスイッチに接続されている。
図3に示すように、各フランジ52には開口部52aが形成されており、開口部52aに糸を通しながら支持シート42に糸を縫い付けることにより、サーモスタット50を支持シート42に固定することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、糸を用いてサーモスタット50を支持シート42に固定しているが、これに限るものではない。すなわち、サーモスタット50を支持シート42に固定することができればよく、例えば、接着剤を用いて、サーモスタット50のフランジ52を支持シート42に固定することができる。また、フランジ52が設けられていないサーモスタット50であっても、公知の固定手段(例えば、接着剤)を用いることにより、支持シート42に固定することができる。
【0034】
図4は、サーモスタット50を支持シート42に固定した状態を示す断面図である。支持シート42には、サーモスタット50を貫通させる開口部42aが形成されており、内皮材10にも、サーモスタット50を貫通させる開口部11が形成されている。これにより、サーモスタット50を配管100の外周面に接触させることができる。
【0035】
断熱材30には、サーモスタット50の一部を収容する収容部31が設けられている。収容部31は、
図5に示すように、断熱材30を貫通する貫通孔であり、サーモスタット50の外形に沿った形状に形成されている。ここで、収容部31は、サーモスタット50の外形に厳密に沿っている必要は無く、収容部31の少なくとも一部がサーモスタット50の外面に接触してサーモスタット50を位置決めできればよい。
【0036】
図4に示すように、サーモスタット50のフランジ52は、支持シート42及び内皮材10の間に配置されており、上述したように支持シート42に縫い付けられる。フランジ52を支持シート42に縫い付けることによっても、サーモスタット50を位置決めすることができる。
【0037】
図6は、フランジ52を支持シート42に縫い付けた状態(一例)を示しており、
図4に示す矢印D2の方向からサーモスタット50を見たときの図である。
図6では、
図4に示す内皮材10を省略している。また、
図7は、
図4に示す矢印D3の方向からサーモスタット50を見たときの図であり、
図7では、断熱材30を省略している。
【0038】
図6に示すように、フランジ52の開口部52aには糸61が通されており、糸61は、支持シート42に縫い付けられている。また、支持シート42には、開口部42aの縁に沿って補強糸62が縫い付けられており、開口部42aの強度を確保している。
【0039】
図7に示すように、支持シート42には、サーモスタット50が配置された領域を避けるようにヒータ線41が配置されている。具体的には、ヒータ線41は、支持シート42の開口部42aから所定距離だけ離れた位置において、開口部42aに沿って配置されている。例えば、糸(不図示)によってヒータ線41を支持シート42に押さえつけるように、糸を支持シート42に縫い付けることにより、ヒータ線41を支持シート42に固定することができる。
【0040】
上述したようにヒータ線41を配置することにより、ヒータ線41から発生した熱がサーモスタット50に伝わりにくくすることができ、ヒータ線41からの熱によってサーモスタット50が誤作動することを防止できる。
【0041】
なお、支持シート42のうち、サーモスタット50が配置されていない領域については、ヒータ線41からの熱が配管100の全体に伝わりやすくするように、所定の配置パターンに沿ってヒータ線41を配置することができる。例えば、支持シート42の表面上において、ヒータ線41を折り返しながら所定の間隔を空けて並ぶようにヒータ線41を配置することができる。ここで、ヒータ線41の熱を配管100の全体に効率良く伝達させる場合には、上述したヒータ線41の間隔がサーモスタット50の外径よりも小さくなりやすい。この場合には、ヒータ線41及びサーモスタット50が干渉してしまうため、上述したように開口部42aに沿ってヒータ線41を配置することに意義がある。
【0042】
本実施形態によれば、断熱材30の収容部31は、サーモスタット50の外形に沿って形成されてサーモスタット50を収容しているため、ヒータ装置1において、サーモスタット50を位置決めすることができる。これにより、配管100に対して、サーモスタット50をずれることなく接触させることができ、配管100の熱をサーモスタット50に効率良く伝達することができる。そして、配管100の温度に応じてサーモスタット50を適切に動作させることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、収容部31が断熱材30を貫通しているが、これに限るものではない。具体的には、収容部31は、断熱材30を貫通せずに、配管100に向かって開口した凹部であってもよい。この凹部の側面は、サーモスタット50の外側面に沿った形状に形成されている。凹部にサーモスタット50を収容した場合であっても、上述した本実施形態の効果を得ることができる。なお、サーモスタット50を凹部に収容する場合には、サーモスタット50の端子51が凹部の底面側に位置することになるため、端子51に接続されるヒータ線41を通すための通路を断熱材30に形成することができる。
【0044】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。ここで、第1実施形態で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を用いて詳細な説明は省略する。
【0045】
本実施形態は、配管100の温度を検出する温度センサの配置に関するものである。ここで、温度センサとしては、熱電対を用いることができる。以下、温度センサの配置について、
図8を用いて説明する。
【0046】
図8は、内皮材10を展開した図であって、配管100の側から内皮材10を見たときの図であり、内皮材10の一部の領域を示している。第1実施形態で説明したように、内皮材10に対して発熱体40が積層されるが、
図8では、内皮材10及び発熱体40の積層方向(
図8の紙面と直交する方向)から温度センサ200及びヒータ線41を見たときの位置関係を示している。
【0047】
温度センサ200は、配管100の温度を検出する検出部210と、検出部210から延びる配線部220とを有する。検出部210を含む温度センサ200の先端部230は、配管100の温度を検出するために、配管100の外面に露出している。また、先端部230は、内皮材10の表面(配管100と接触する面)に沿って配置されており、糸(不図示)などを用いて内皮材10に固定されている。配線部220は、先端部230の基端位置P10において屈曲しており、
図8の紙面の奥側に延びている。すなわち、先端部230を除いた配線部220は、ヒータ装置1の外部まで延びており、ヒータ装置1の外部に配置された機器に接続される。
【0048】
図8から分かるように、温度センサ200の先端部230は、ヒータ線41と重ならない位置に配置されている。具体的には、先端部230は、ヒータ線41が延びる方向(
図8の上下方向)に沿って配置されており、折り返されて配置された2つのヒータ線41の間に配置されている。また、先端部230は、ヒータ線41の折り返し部分からも離れた位置に配置されている。
【0049】
本実施形態によれば、内皮材10及び発熱体40の積層方向から見たとき、温度センサ200の先端部230(検出部210を含む)がヒータ線41と重ならない位置に配置されているため、ヒータ線41の熱が温度センサ200の先端部230に伝達されることを抑制できる。これにより、温度センサ200の検出部210は、ヒータ線41の熱の影響を受けずに、配管100の温度を検出することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、ヒータ線41が延びる方向に沿って温度センサ200の先端部230が配置されているが、これに限るものではない。すなわち、内皮材10及び発熱体40の積層方向から見たとき、ヒータ線41及び温度センサ200の先端部230が互いに重ならないように、ヒータ線41及び先端部230が配置されていればよい。例えば、一方向に並んで配置された2つのヒータ線41の間に先端部230が位置していれば、ヒータ線41及び先端部230が互いに重なることはない。この場合において、先端部230を配置する姿勢は、ヒータ線41が延びる方向に沿った姿勢に限るものではなく、ヒータ線41が延びる方向とは異なる方向に沿った姿勢であってもよい。
【0051】
また、本実施形態では、配管100の外面に露出する位置に温度センサ200を配置しているが、これに限るものではなく、配管100の温度を検出できる位置に温度センサ200を配置することができる。例えば、内皮材10及び発熱体40(支持シート42)の間に温度センサ200を配置することができる。この構造については、上述した第1実施形態や、後述する第3実施形態においても適用することができる。
【0052】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。ここで、第1実施形態や第2実施形態で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を用いて詳細な説明は省略する。
【0053】
本実施形態は、温度センサ200の配線部220をヒータ装置1に固定する構造であって、配線部220のずれを抑制する構造に関するものである。以下、配線部220の配置について、
図9を用いて説明する。
図9は、外皮材20を展開した図であって、断熱材30の側から外皮材20を見たときの図である。
図9では、外皮材20の一部の領域を示している。
【0054】
図9に示すように、配線部220の一部は、外皮材20及び断熱材30の間に位置しており、外皮材20の内面(断熱材30と接触する面)に沿って配置されている。配線部220は、糸や接着剤などの固定手段(不図示)を用いて外皮材20に固定されている。なお、配線部220は、外皮材20ではなく、断熱材30に固定することもできる。
【0055】
図9に示す配線部220の第1屈曲位置P21では、配線部220が屈曲して紙面の手前側に延びており、この配線部220の先端には検出部210が設けられている。すなわち、第1屈曲位置P21から紙面の手前側に延びる配線部220は、断熱材30を貫通して内皮材10の内面(配管100と接触する面)まで延びている。
【0056】
図9に示す配線部220の第2屈曲位置P22では、配線部220が屈曲して紙面の奥側に延びており、外皮材20を貫通してヒータ装置1の外部まで延びている。これにより、ヒータ装置1の外部に配置された機器に配線部220を接続することができる。第2屈曲位置P22は、外皮材20の内面において、第1屈曲位置P21とは異なる位置にある。
【0057】
本実施形態では、第1屈曲位置P21から第2屈曲位置P22まで配線部220を配置するとき、第1屈曲位置P21から第2屈曲位置P22まで直線状に延びる最短経路に沿って配線部220を配置するのではなく、この最短経路を迂回する迂回経路に沿って配線部220を配置している。
【0058】
具体的には、第1屈曲位置P21から矢印D4の方向に沿って配線部220を配置した後、第3屈曲位置P23において配線部220を屈曲させて矢印D5の方向に沿って配線部220を配置する。そして、第4屈曲位置P24において配線部220を屈曲させて矢印D6の方向に沿って配線部220を配置することにより、配線部220が第2屈曲位置P22に到達する。ここで、第3屈曲位置P23及び第4屈曲位置P24では、配線部220が外皮材20の内面に沿った面内で屈曲している。
【0059】
図9に示す配線部220の迂回経路では、矢印D4,D6の方向が互いに平行となっているが、平行である必要は無い。また、矢印D4,D5の方向が互いに直交していたり、矢印D5,D6の方向が互いに直交していたりしているが、直交している必要は無い。すなわち、外皮材20の内面において、上述した最短経路から外れた経路(迂回経路)に沿って配線部220が配置されていればよい。
【0060】
本実施形態によれば、配線部220を迂回経路に沿って配置することにより、ヒータ装置1の外部から配線部220に引張り力が作用したとき、配線部220がずれてしまうことを抑制できる。すなわち、配線部220に引張り力が作用したとき、迂回経路に沿って配置された配線部220は、引張り力に抗することができ、配線部220のずれを抑制することができる。そして、配線部220のずれに伴う検出部210の位置ずれを抑制することができ、配管100の所望の位置において、検出部210による温度検出を行うことができる。
【0061】
なお、本実施形態では、迂回経路に沿って配置される配線部220を外皮材20の内面(すなわち、外皮材20及び断熱材30の間)に配置しているが、これに限るものではない。配線部220の迂回経路を同一面内に形成すれば、配線部220に作用する引張り力に対抗しやすくなるため、例えば、断熱材30及び発熱体40の境界面や、内皮材10及び発熱体40の境界面において、配線部220を迂回経路に沿って配置することができる。この場合において、配線部220は、断熱材30及び発熱体40(支持シート42)のいずれか一方に固定したり、内皮材10及び発熱体40(支持シート42)のいずれか一方に固定したりすることができる。
【符号の説明】
【0062】
100:配管、1:ヒータ装置、1A,1B:突合せ部、10:内皮材、20:外皮材、30:断熱材、40:発熱体、41:ヒータ線、42:支持シート、200:温度センサ、210:検出部、220:配線部