(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120405
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】無線通信端末、通信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/90 20180101AFI20240829BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20240829BHJP
【FI】
H04W4/90
H04W88/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027179
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 玲緒
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE25
5K067FF03
5K067HH22
5K067HH23
5K067JJ52
5K067JJ54
5K067JJ56
(57)【要約】
【課題】エマージェンシーモード下における無線送信動作を効率よく制御し、通信帯域が占有されてしまうことを防止すること。
【解決手段】無線通信端末は、第1無線通信方式で第1無線通信を行う第1通信部と、第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式で第2無線通信を行う第2通信部と、第1通信部と第2通信部とを制御する制御部と、を備える。制御部は、通常通信モードから第1通信部が第1無線通信方式による継続送信を行う所定の通信モードに切り替わった状態で、第2通信部が接続要求信号を受信し、接続を許可する応答信号を送信して通信接続した際に、第1無線通信方式による継続送信を一時的に停止するように第1通信部を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信方式で第1無線通信を行う第1通信部と、
前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式で第2無線通信を行う第2通信部と、
前記第1通信部と前記第2通信部とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、通常通信モードから前記第1通信部が前記第1無線通信方式による継続送信を行う所定の通信モードに切り替わった状態で、前記第2通信部が接続要求信号を受信し、接続を許可する応答信号を送信して通信接続した際に、前記第1無線通信方式による継続送信を一時的に停止するように前記第1通信部を制御する、
無線通信端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1通信部において、前記所定の通信モードの継続送信が一時的に停止している状態で、前記第2通信部の通信接続が切断された場合、
前記第1無線通信方式による継続送信を復帰させるように前記第1通信部を制御する、
請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定の通信モードに切り替わった状態において、前記第1無線通信方式による継続送信で送信される信号に、自端末に対して第2無線通信方式で接続する際の端末識別情報を含めて送信するよう制御する、
請求項1または請求項2に記載の無線通信端末。
【請求項4】
第1通信部を制御して第1無線通信方式で第1無線通信を行うとともに、第2通信部を制御して前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式で第2無線通信を行う通信方法であって、
制御部が前記第1通信部に対して、通常通信モードから前記第1無線通信方式による継続送信を行う所定の通信モードに切り替えるよう制御するステップと、
前記第2通信部において接続要求信号を受信するステップと、
受信した前記接続要求信号に応じて前記制御部が前記第2通信部によって接続を許可する応答信号を送信して通信接続を行うよう制御するステップと、
通信接続された後、前記制御部が前記第1通信部に対して、前記第1無線通信方式による継続送信を一時的に停止するよう制御するステップと、
を含む、通信方法。
【請求項5】
第1通信部を制御して第1無線通信方式で第1無線通信を行うとともに、第2通信部を制御して前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式で第2無線通信を行う動作をコンピュータに実行させるプログラムであって、
制御部が前記第1通信部に対して、通常通信モードから前記第1無線通信方式による継続送信を行う所定の通信モードに切り替えるように制御するステップと、
前記第2通信部において接続要求信号を受信するステップと、
受信した前記接続要求信号に応じて前記制御部が前記第2通信部によって接続を許可する応答信号を送信して通信接続を行うよう制御するステップと、
通信接続された後、前記制御部が前記第1通信部に対して、前記第1無線通信方式による継続送信を一時的に停止するよう制御するステップと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末、通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末を持つユーザに緊急事態が起こった際に、無線通信端末がエマージェンシーモードに入り、ユーザがエマージェンシー状態になったことを同一グループに属する他の無線通信端末に自動送信する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信端末は、通常通信モードからエマージェンシーモードに切り替わると他の無線通信端末に所定期間の自動送信を繰り返し行う。このエマージェンシーモードにおける送信処理は、同一の通信エリア内で同一の通信周波数を使用しながら所定の通信方式による通常の通信処理とは異なる送信処理となる。よって、通常の通信処理としてグループ内の他の無線通信端末間の通信を行う際に、エマージェンシーモードにおける送信処理が行われた場合には、通常の通信処理に対して混信や輻輳等の影響を与える通信妨害を発生させる可能性が高まることがある。
【0005】
本発明は、エマージェンシーモード下における無線送信動作を効率よく制御し、通信帯域の混信や輻輳を抑制することのできる無線通信端末、通信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線通信端末は、第1無線通信方式で第1無線通信を行う第1通信部と、前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式で第2無線通信を行う第2通信部と、前記第1通信部と前記第2通信部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、通常通信モードから前記第1通信部が前記第1無線通信方式による継続送信を行う所定の通信モードに切り替わった状態で、前記第2通信部が接続要求信号を受信し、接続を許可する応答信号を送信して通信接続した際に、前記第1無線通信方式による継続送信を一時的に停止するように前記第1通信部を制御する。
【0007】
本発明の通信方法は、第1通信部を制御して第1無線通信方式で第1無線通信を行うとともに、第2通信部を制御して前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式で第2無線通信を行う通信方法であって、制御部が前記第1通信部に対して、通常通信モードから前記第1無線通信方式による継続送信を行う所定の通信モードに切り替えるよう制御するステップと、前記第2通信部において接続要求信号を受信するステップと、受信した前記接続要求信号に応じて前記制御部が前記第2通信部によって接続を許可する応答信号を送信して通信接続を行うよう制御するステップと、通信接続された後、前記制御部が前記第1通信部に対して、前記第1無線通信方式による継続送信を一時的に停止するよう制御するステップと、を含む。
【0008】
本発明のプログラムは、第1通信部を制御して第1無線通信方式で第1無線通信を行うとともに、第2通信部を制御して前記第1無線通信方式とは異なる第2無線通信方式で第2無線通信を行う動作をコンピュータに実行させるプログラムであって、制御部が前記第1通信部に対して、通常通信モードから前記第1無線通信方式による継続送信を行う所定の通信モードに切り替えるように制御するステップと、前記第2通信部において接続要求信号を受信するステップと、受信した前記接続要求信号に応じて前記制御部が前記第2通信部によって接続を許可する応答信号を送信して通信接続を行うよう制御するステップと、通信接続された後、前記制御部が前記第1通信部に対して、前記第1無線通信方式による継続送信を一時的に停止するよう制御するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エマージェンシーモード下における無線送信動作を効率よく制御し、通信帯域の混信や輻輳を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る無線通信端末の処理の概要を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る無線通信端末の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る無線通信端末間の通信確立処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る無線通信端末間の通信確立復帰処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る無線通信端末間の通信確立終了処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る無線通信端末の処理内容を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る無線通信端末の処理内容を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る無線通信端末の処理内容を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第4実施形態に係る無線通信端末の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
(無線通信システム)
図1を用いて、第1実施形態に係る無線通信システムの構成例について説明する。
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、無線通信システム1は、管理装置10と、サーバ装置12と、基地局装置14と、無線通信端末16と、を含む。
図1に示す例では、無線通信システム1には、無線通信端末16として、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との2台が含まれているが、本発明は、これに限定されない。本発明では、無線通信システム1に含まれる無線通信端末16の数に制限はない。
【0014】
管理装置10と、サーバ装置12と、基地局装置14とは、ネットワークNを介して、通信可能に接続されている。ネットワークNは、例えば、インターネット網であるが、これに限定されない。
【0015】
管理装置10は、無線通信システム1上で行われる通信を管理する。管理装置10は、例えば、無線通信システム1上で行われる、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の通信を管理する。管理装置10は、例えば、無線通信端末16に記憶されている各種のアプリケーションソフトを管理する。管理装置10は、例えば、無線通信端末16の通信に関する設定事項を管理する。管理装置10は、例えば、PC(Personal Computer)で実現することができる。
【0016】
サーバ装置12は、無線通信システム1上で行われる通信を制御する。サーバ装置12は、例えば、無線通信システム1上で行われる、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の通信を制御する。サーバ装置12は、例えば、無線通信端末16に記憶されている各種のアプリケーションソフトを制御する。サーバ装置12は、例えば、無線通信端末16の通信に関する設定事項を制御する。サーバ装置12は、例えば、サーバPCやクラウドサーバで実現することができる。
【0017】
基地局装置14は、無線通信端末16と無線通信を行う無線通信装置である。基地局装置14は、例えば、無線通信端末16との間で各種のデータの送受信を行う。基地局装置14は、例えば、業務用無線基地局、3G(第3世代移動通信システム)、4G(第4世代移動通信システム)、または5G(第5世代移動通信システム)に対応した無線通信装置である。
【0018】
無線通信端末16は、無線通信システム1上のユーザにより利用される端末装置である。無線通信システム1上のユーザは、無線通信端末16を用いて、他の無線通信端末16を持つ他のユーザと通話することができる。無線通信端末16は、ユーザに救助が必要な緊急事態が発生した場合に、通常通信モードから所定の通信モードに切り替えて、ユーザに緊急事態が発生したことを通知する機能を有する。ここで、所定の通信モードは、PTT操作を伴わない自動送信により緊急事態を通知するための送信処理を伴うエマージェンシーモードであるとよい。また所定の通信モードは、PTT操作を伴わない自動送信によりアラームを伴わない緊急送信のみを行う通信モードであってもよい。通常通信モードは、通話等の通常の通信を行う動作モードである。エマージェンシーモードは、ユーザに緊急事態が発生したことを通知する動作モードである。エマージェンシーモードでは、ユーザに緊急事態が発生したことを、所定のエマージェンシー情報を含めて通知するとよい。エマージェンシーモードの動作や所定のエマージェンシー情報の詳細については、後述する。無線通信端末16は、エマージェンシーモードに切り替わった後、所定の条件を満たした場合に、通常通信モードに切り替える。無線通信端末16は、1つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。無線通信端末16の構成は、後述する。
【0019】
(無線通信端末の処理の概要)
図2を用いて、第1実施形態に係る無線通信端末の処理の概要を説明する。
図2は、第1実施形態に係る無線通信端末の処理の概要を説明するための図である。
【0020】
図2には、ユーザU1と、ユーザU2とが示されている。ユーザU1は無線通信端末16-1を利用し、ユーザU2は無線通信端末16-2を利用するものとする。無線通信端末16-1は、ユーザU1が倒れたことを検出すると、エマージェンシーモードに切り替える。無線通信端末16-1は、エマージェンシーモードに切り替えて、アラームを鳴らし、第1無線通信方式による継続送信、つまり無線送信処理と、待ち受け処理とを繰り返す緊急動作を実行し、かつ第2無線通信方式による持ち受け処理とを開始する。ここで、継続送信はPTT操作を伴わない自動送信により連続的に無線送信処理を行うようにしてもよい。また、継続送信はPTT操作を伴わない自動送信により間欠的に無線送信処理を行うようにしてもよい。ユーザU2は、無線通信端末16-2が無線通信端末16-1から無線信号を受信すると、ユーザU1の救助に向かう。ここで、無線通信端末16-1が緊急動作を実行している間は、チャンネルが占有されてしまい、他のユーザが電波を利用できない状況に陥ってしまうことがある。この場合、ユーザU2は、ユーザU1の救助に向かった他のユーザと無線通信端末16-2を用いて通話することができなくなり、ユーザU1の救助活動に支障をきたす可能性がある。そこで、本実施形態では、無線通信端末16-1は、所定の条件を満たした場合に、第1無線通信方式による無線送信処理を一時的に停止することで、チャンネルが占有されてしまうことを防止する。
【0021】
(無線通信端末)
図3を用いて、第1実施形態に係る無線通信端末の構成例について説明する。
図3は、第1実施形態に係る無線通信端末の構成例を示すブロック図である。
【0022】
図3に示すように、無線通信端末16は、第1通信部20と、第2通信部22と、操作部24と、マイク26と、音声出力部28と、表示部30と、記憶部32と、センサ部34と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部36と、制御部38と、を備える。無線通信端末16は、例えば、業務用無線機であるが、これに限定されない。無線通信端末16は、例えば、スマートフォンであってもよい。無線通信端末16は、例えば、業務用無線機と、スマートフォンとの組み合わせであってもよい。
【0023】
第1通信部20は、RF(Radio Frequency)信号を送信することで基地局装置14または他の無線通信端末16と通信を行う。第1通信部20が行う通信の方式は、第1無線通信方式と呼ばれる。第1無線通信方式は、例えば、APCO-P25(Association of Public safety Communications Officials international Project 25)およびNXDN(登録商標)といったデジタル業務無線が挙げられる。第1無線通信方式は、例えば、携帯電話網を用いた無線通信であってもよい。
【0024】
第2通信部22は、近距離無線信号を送信することで他の無線通信端末16と通信を行う。第2通信部22が行う通信の方式は、第2無線通信方式と呼ばれる。第2無線通信方式は、例えば、Wi-Fi(登録商標)およびBluetooth(登録商標)による通信が例示されるが、これらに限定されない。
【0025】
無線通信端末16は、例えば、第1通信部20と、第2通信部22とに加えて、USB(Universal Serial Bus)ポートなどで構成される、USB通信部を備えていてもよい。
【0026】
操作部24は、に対する各種の入力操作を受け付ける。操作部24は、受け付けた入力操作に応じた入力信号を制御部38に出力する。操作部24は、例えば、タッチパネル、ボタン、スイッチ、PTT(Push to Talk)ボタンなどを含む。
【0027】
マイク26は、無線通信端末16の周辺の音声を検出するマイクロフォンである。マイク26は、例えば、無線通信端末16のユーザの音声を検出する。マイク26は、例えば、検出した音声に応じた音声信号を制御部38に出力する。
【0028】
音声出力部28は、各種の音声を出力する。音声出力部28は、例えば、他の無線通信端末16のユーザの音声を出力する。音声出力部28は、例えば、無線通信端末16がエマージェンシーモードの際にアラームを出力する。音声出力部28は、スピーカである。
【0029】
表示部30は、各種の映像を表示する。表示部30は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)などを含むディスプレイである。
【0030】
記憶部32は、各種の情報を記憶している。記憶部32は、制御部38の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部32は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0031】
記憶部32は、各種のアプリケーションソフトを記憶している。
【0032】
センサ部34は、無線通信端末16のユーザの状態を検出する。センサ部34は、無線通信端末16のユーザが緊急事態になったことを検出する。センサ部34は、例えば、ユーザ(無線通信端末16)の地面に対する角度を検出する傾斜センサを含む。傾斜センサは、ユーザの地面に対する角度が0度なったことを検出することで、ユーザが地面に倒れたことを検出する。センサ部34は、例えば、加速度を検出する加速度センサを含む。加速度センサは、所定以上の加速度を検出することで、地面に倒れたことを検出する。センサ部34は、1つの種類のセンサのみを含んでいてもよいし、複数種類のセンサを含んでいてもよい。
【0033】
GNSS受信部36は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部36は、受信したGNSS信号を制御部38の位置情報取得部60へ出力する。
【0034】
制御部38は、無線通信端末16の各部を制御する。制御部38は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAMまたはROMなどの記憶装置とを有する。制御部38は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現されてもよい。制御部38は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0035】
制御部38は、通信制御部50と、出力制御部52と、センサ制御部54と、状態判定部56と、モード切替部58と、位置情報取得部60と、電波強度判定部62と、を備える。
【0036】
通信制御部50は、第1通信部20と、第2通信部22とを制御する。通信制御部50は、例えば、第1無線通信方式で基地局装置14または他の無線通信端末16と第1無線通信を行うように第1通信部20を制御する。通信制御部50は、例えば、無線送信処理と第1待受け処理とを繰り返し行うように第1通信部20を制御する。第1待ち受け処理は、例えば、他の無線通信端末16からのRF信号を受信するための待ち受け処理である。通信制御部50は、例えば、第2無線通信方式で他の無線通信端末16と第2無線通信を行うように第2通信部22を制御する。通信制御部50は、例えば、第2待受け処理を行うように第2通信部22を制御する。第2待ち受け処理は、他の無線通信端末16から近距離無線信号を受信するための待ち受け処理である。
【0037】
出力制御部52は、音声出力部28と、表示部30とを制御する。出力制御部52は、例えば、各種の音声を出力させるように音声出力部28を制御する。出力制御部52は、例えば、各種の映像を表示させるように表示部30を制御する。
【0038】
センサ制御部54は、センサ部34を制御する。センサ制御部54は、センサ部34を制御して、無線通信端末16のユーザの状態を検出させる。センサ制御部54は、例えば、センサ部34を制御して、無線通信端末16のユーザが緊急事態であるか否かを検出させる。センサ制御部54は、ユーザの状態の検出結果を示すセンサ情報を、センサ部34から取得する。
【0039】
状態判定部56は、無線通信端末16のユーザの状態を判定する。状態判定部56は、センサ制御部54がセンサ部34から取得した情報に基づいて、無線通信端末16のユーザの状態を判定する。状態判定部56は、例えば、無線通信端末16のユーザが、救助が必要な緊急事態であるか否かを判定する。
【0040】
モード切替部58は、通常通信モードとエマージェンシーモードとを切り替える。モード切替部58は、無線通信端末16のユーザの状態が緊急事態であると判定された場合に、通常通信モードからエマージェンシーモードに切り替える。
【0041】
位置情報取得部60は、無線通信端末16の現在の位置情報を取得する。位置情報取得部60は、GNSS受信部36が受信したGNSS信号に基づいて、無線通信端末16の現在の位置情報を取得する。
【0042】
位置情報取得部60は、他の無線通信端末16の現在の位置情報を取得する。位置情報取得部60は、他の無線通信端末16から受信したRF信号に含まれるGNSS信号に基づいて、他の無線通信端末16の現在の位置情報を取得する。
【0043】
電波強度判定部62は、第1通信部20が第1無線通信方式で他の無線通信端末16から受信したRF信号の受信電波強度を判定する。電波強度判定部62は、例えば、他の無線通信端末16から受信したRF信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)値を判定する。
【0044】
(通信確立処理)
図4を用いて、第1実施形態に係る無線通信端末間の通信確立処理について説明する。
図4は、第1実施形態に係る無線通信端末間の通信確立処理の流れを示すシーケンス図である。
【0045】
図4に示す例では、
図2に示すように、無線通信端末16-1が救助されるユーザU1に利用され、無線通信端末16-2が救助に向かうユーザU2に利用される無線通信端末であるものとする。
図4に示す処理は、無線通信端末16-1のユーザに緊急事態が発生し、無線通信端末16-2のユーザU2が無線通信端末16-1のユーザU1の救助に向かう際の無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との処理を示す。
【0046】
無線通信端末16-1は、無線通信端末16-1のユーザU1に発生した緊急事態を検出する(ステップS10)。本実施形態では、無線通信端末16-1と無線通信端末16-2とは、通話相手となる無線通信端末のIDおよび端末名称等を含む端末情報を記憶しているものとする。無線通信端末16-1と無線通信端末16-2とが端末情報を記憶していない場合には、ステップS10の前に、無線通信端末16-1と無線通信端末16-2との端末情報を交換するステップが設けられていてもよい。また、無線通信端末16-1の端末情報は、エマージェンシー情報に含まれる端末識別情報から特定するステップが設けられていてもよい。
【0047】
無線通信端末16-1は、無線通信端末16-1のユーザU1に発生した緊急事態を検出すると、通信モードを通常通信モードからエマージェンシーモードに切り替える(ステップS12)。無線通信端末16-1は、音声出力部28から位置を知らせるためのアラーム音を出力する(ステップS14)。例えば、無線通信端末16-1は、無線通信端末16-1を中心に所定の範囲内に聞こえるようにアラーム音を出力する。
【0048】
無線通信端末16-1は、第1通信部20を用いた第1無線通信方式で救助要請を示すRF信号を無線通信端末16-2に送信する(ステップS16)。例えば、無線通信端末16-1は、無線通信端末16-1のユーザU1が緊急事態であることを示すエマージェンシー情報をRF信号に含めて無線通信端末16-2に送信する。エマージェンシー情報には、無線通信端末16-1のユーザU1が緊急事態であることを示す情報、無線通信端末16-1の現在の位置情報(GNSS信号)、無線通信端末16-1を識別するための端末情報などを含み得る。無線通信端末16-1は、第2通信部22を用いた第2無線通信方式で近距離無線信号を無線通信端末16-2に送信する(ステップS18)。無線通信端末16-1は、エマージェンシーモードの間、ステップS16と、ステップS18とを所定の間隔で繰り返し実行する。所定の間隔は、例えば、数秒であるが、任意に設定されてよい。
【0049】
ここで、エマージェンシー情報には、端末情報として、エマージェンシー情報を通知する端末を識別するための端末識別情報を含むとよい。エマージェンシー情報に含まれる端末識別情報は、エマージェンシー情報を通知した端末に対して、第2無線通信方式により接続を試みる無線通信端末、つまりエマージェンシー情報を通知する端末の接続相手となる無線通信端末が、接続先を特定する際に用いられるとよい。例えば、無線通信端末16-1は、無線通信端末16-1のユーザU1が緊急事態であることを示すエマージェンシー情報をRF信号に含めて無線通信端末16-2に送信する。ここで、エマージェンシー情報には自端末である無線通信端末16-1の端末識別情報を含める。無線通信端末16-1は、第2通信部22を用いた第2無線通信方式で近距離無線信号を無線通信端末16-2に送信する。無線通信端末16-2は、第2通信部22を用いた第2無線通信方式で近距離無線信号を受信した際に、第1通信部20を用いた第1無線通信方式で受信したエマージェンシー信号から端末識別情報が得られる場合には、端末識別情報に基づいて第2無線通信方式で受信した近距離無線信号を識別し、無線通信端末16-1から送信された近距離無線信号ものであると判定した場合には接続を行うようにすることができる。
【0050】
無線通信端末16-2は、無線通信端末16-1から受信したRF信号に基づいて、無線通信端末16-1の位置情報を取得する(ステップS20)。無線通信端末16-2は、例えば、RF信号に含まれるGNSS信号に基づいて、無線通信端末16-1の位置情報を取得する。無線通信端末16-2は、無線通信端末16-1から受信したRF信号の電波強度を判定する(ステップS22)。
【0051】
無線通信端末16-2は、無線通信端末16-1の現在位置を示す位置情報を表示部30に表示する(ステップS24)。例えば、無線通信端末16-2は、無線通信端末16-1の現在位置を示す地図情報を表示部30に表示する。無線通信端末16-2のユーザU2は、表示部30に表示された無線通信端末16-1の位置情報を確認することで、無線通信端末16-1のユーザU1の救助に向かうことができる。
【0052】
無線通信端末16-2は、RF信号の電波強度が規定値になったと判定する(ステップS26)。RF信号の電波強度が規定値とは、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との距離が所定距離以下となったときの値をいう。すなわち、無線通信端末16-2は、無線通信端末16-2のユーザU2が無線通信端末16-1のユーザU1に所定距離以内に近づいた場合に、RF信号の電波強度が規定値になったと判定する。無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の所定距離は、任意に設定してよい。例えば、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の所定距離は、例えば、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間で、近距離無線通信が実行可能な距離に設定することができる。
【0053】
無線通信端末16-2は、第2通信部22による第2無線通信方式で近距離無線信号を無線通信端末16-1から受信する(ステップS28)。無線通信端末16-2は、無線通信端末16-1から近距離無線信号を受信すると、無線通信端末16-1と接続するためのリンク動作を開始する(ステップS30)。
【0054】
無線通信端末16-2は、第2通信部22による第2無線通信方式で、無線通信端末16-1との接続の要求を示す接続要求信号を無線通信端末16-1に送信する(ステップS32)。無線通信端末16-1は、第2通信部22による第2無線通信方式で、無線通信端末16-2との接続の許可を示す接続許可信号を無線通信端末16-2に送信する(ステップS34)。無線通信端末16-2が接続要求信号を無線通信端末16-1に送信し、無線通信端末16-1が前記接続要求信号を受け入れて接続を許可する応答信号である接続許可信号を無線通信端末16-2に送信することで、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間で、第2通信部22による第2無線通信方式の通信が確立する(ステップS36)。
【0055】
ステップS36で、無線通信端末16-1は、無線通信端末16-2との間で、お互いに識別情報を通信してもよい。また、無線通信端末16-2は、無線通信端末16-1との間で通信が確立した後、救助に向かっていることを示す救助情報を定期的に無線通信端末16-1に送信してもよい。救助情報には、例えば、無線通信端末16-2のユーザU2を識別するための識別情報と、無線通信端末16-2の現在の位置情報が含まれ得るが、これに限定されない。無線通信端末16-1は、救助情報を受信すると、救助情報を表示部30に表示する。これにより、無線通信端末16-1のユーザU1は、救助情報を確認することで、無線通信端末16-2のユーザU2が救助に向かってくれていることや、無線通信端末16-1の現在の位置を知ることができる。
【0056】
無線通信端末16-2は、接続表示を表示部30に表示する(ステップS38)。具体的には、無線通信端末16-2は、例えば、「Bluetooth信号リンク完了。無線通信端末16-1に近づきました。」といったメッセージを表示部30に表示する。無線通信端末16-2のユーザU2は、接続表示を確認することで、無線通信端末16-1に近づいたことを知ることができる。
【0057】
無線通信端末16-1は、アラームの出力を一時停止する(ステップS40)。無線通信端末16-1は、無線送信処理を一時的に停止する。ここでは、無線送信処理として前記第1無線通信方式によるRF信号の継続送信を一時停止する(ステップS42)。すなわち、無線通信端末16-1は、無線通信端末16-2との間で、第2通信部22による第2無線通信方式の通信が確立すると、RF信号の継続送信を一時停止する。これにより、無線通信端末16-1がRF信号を繰り返し送信することで、通信帯域が占領されてしまうことを防止することができる。
【0058】
(通信確立復帰処理)
図5を用いて、第1実施形態に係る無線通信端末における第1無線通信方式による継続送信を再開する復帰処理と無線通信端末間の通信確立復帰処理について説明する。
図5は、第1実施形態に係る無線通信端末間の通信確立復帰処理の流れを示すシーケンス図である。
【0059】
図5に示す処理は、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間で通信が確立した後、通信が切断された場合に、無線通信端末16-1における第1無線通信方式によるRF信号の継続送信を再開する復帰処理と、無線通信端末16-2との間の通信を復帰させるための処理を示す。ここで、通信が切断される場合としては、外部の通信環境が悪化して通信が不安定になることによる切断、端末間の距離が離れすぎて通信接続を維持できなくなることによる切断、ユーザの端末操作による切断、電池切れや端末の異常による端末自身が通信接続を維持できなくなることによる切断などがある。
【0060】
無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の第2通信部22による第2無線通信方式の通信接続が切断される(ステップS50)。例えば、無線通信端末16-2のユーザU2が、無線通信端末16-1から離れる方向に移動した場合などに、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の通信接続が切断される。
【0061】
無線通信端末16-2は、接続解除表示を表示部30に表示する(ステップS52)。具体的には、無線通信端末16-2は、「Bluetooth信号リンクが外れました。無線通信端末16-1から遠ざかりました」といったメッセージを表示部30に表示する。無線通信端末16-2のユーザU2は、接続解除表示を確認することで、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の通信が切断されたことを知ることができる。
【0062】
無線通信端末16-1は、無線通信端末16-1のユーザU1が緊急事態であると判定する(ステップS54)。すなわち、無線通信端末16-1は、一度確立した無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との通信が切断された場合には、無線通信端末16-1のユーザU1に発生した緊急事態が継続していると判定する。ここで、エマージェンシーモードの下で継続送信が一時停止された状態から、ステップS50の第2無線通信方式の通信接続が切断された場合には、ステップS54の緊急事態の判定を省略するように構成してもよい。
【0063】
ステップS56からステップS86の処理は、それぞれ、
図4に示すステップS12からステップS42の処理と同じなので、説明を省略する。すなわち、一度確立した無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の通信が切断された場合には、通信確立処理を再度実行することで、無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2との間の通信を再確立させる。ここで、ステップS56のエマージェンシーモードに切り替える処理は、一時停止していた継続送信を再開し、元のエマージェンシーモードに復帰させる処理であるとよい。
【0064】
(通信確立終了処理)
図6を用いて、第1実施形態に係る無線通信端末間の通信確立終了処理について説明する。
図6は、第1実施形態に係る無線通信端末間の通信確立終了処理の流れを示すシーケンス図である。
【0065】
図6に示す処理は、ユーザU1の無線通信端末16-1とユーザU2の無線通信端末16-2との間で、第2通信部22による第2無線通信方式の通信接続が確立しており、無線通信端末16-1では無線送信処理を一時的に停止している状態において、救助に向かったユーザU2が無線通信端末16-1のユーザU1を見つけた場合や実際に救助し始めた場合など、エマージェンシーモードでの発信が不要になった際に、実行される処理である。
【0066】
無線通信端末16-2は、エマージェンシーモード解除操作を検出する(ステップS90)。具体的には、無線通信端末16-2は、例えば、無線通信端末16-2のユーザU2が無線通信端末16-1のユーザU1を見つけた際に操作部24に入力したエマージェンシーモード解除操作を検出する。
【0067】
無線通信端末16-2は、第2通信部22による第2無線通信方式でエマージェンシーモードを終了させるためのエマージェンシーモード終了通知を無線通信端末16-1に送信する(ステップS92)。
【0068】
無線通信端末16-1は、無線通信端末16-2からエマージェンシーモード終了通知を受信すると、第2通信部22による第2無線通信方式で、応答信号(Ack)を無線通信端末16-2に送信する(ステップS94)。無線通信端末16-1は、通信モードをエマージェンシーモードから通常通信モードに切り替える(ステップS96)。
【0069】
無線通信端末16-1と、無線通信端末16-2とは、通信確立処理を終了する(ステップS98)。
【0070】
(無線通信端末の処理内容)
図7を用いて、第1実施形態に係る無線通信端末の処理内容について説明する。
図7は、第1実施形態に係る無線通信端末の処理内容を示すフローチャートである。
【0071】
センサ制御部54は、センサ情報を取得する(ステップS100)。具体的には、センサ制御部54は、センサ部34が検出した無線通信端末16のユーザの状態を示すセンサ情報をセンサ部34から取得する。そして、ステップS102に進む。
【0072】
状態判定部56は、センサ制御部54が取得したセンサ情報に基づいて、無線通信端末16のユーザが緊急事態であるか否かを判定する(ステップS102)。無線通信端末16のユーザが緊急事態であると判定された場合(ステップS102;Yes)、ステップS104に進む。無線通信端末16のユーザが緊急事態であると判定されない場合(ステップS102;No)、ステップS114に進む。
【0073】
ステップS102でYesと判定された場合、モード切替部58は、無線通信端末16の通信モードを通常通信モードからエマージェンシーモードに切り替える(ステップS104)。そして、ステップS106に進む。
【0074】
通信制御部50は、第1通信部20と、第2通信部22とを制御して、緊急動作を実行させる(ステップS106)。具体的には、通信制御部50は、RF信号の送信処理と第1待受け処理とを繰り返し行うように第1通信部20を制御する。また、通信制御部50は、第2待受け処理を行うように第2通信部22を制御する。そして、ステップS108に進む。
【0075】
通信制御部50は、接続要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS108)。具体的には、通信制御部50は、第2通信部22の第2待ち受け処理によって、他の無線通信端末16から接続要求信号を受信したか否かを判定する。接続要求信号を受信したと判定された場合(ステップS108;Yes)、ステップS110に進む。接続要求信号を受信したと判定されない場合(ステップS108;No)、ステップS114に進む。
【0076】
ステップS108でYesと判定された場合、通信制御部50は、通信接続が確立したか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、通信制御部50は、第2通信部22により他の無線通信端末16との通信が確立したか否かを判定する。他の無線通信端末16との通信が確立したと判定された場合(ステップS110;Yes)、ステップS112に進む。他の無線通信端末16との通信が確立したと判定されない場合(ステップS110;No)、ステップS114に進む。
【0077】
ステップS110でYesと判定された場合、通信制御部50は、緊急動作を一時停止する(ステップS112)。そして、ステップS114に進む。
【0078】
制御部38は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS114)。具体的には、制御部38は、無線通信端末16のユーザが救助された場合などに処理を終了すると判定する。制御部38は、他の無線通信端末16からエマージェンシーモード終了通知を受信した場合に処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS114;Yes)、
図7の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS114;No)、ステップS100に進む。
【0079】
上述のとおり、第1実施形態は、救助を待つユーザの無線通信端末と、救助に向かうユーザの無線通信端末との間で第2無線通信方式による通信接続が確立した場合には、救助を待つユーザの無線通信端末の第1無線通信方式による通信を一時的に停止させる。これにより、第1実施形態は、エマージェンシーモード中に通信帯域が占有されてしまうことを防止することができるので、緊急事態のユーザを適切に救助することができる。
【0080】
[第2実施形態]
図8を用いて、第2実施形態に係る無線通信端末の処理内容について説明する。
図8は、第2実施形態に係る無線通信端末の処理内容を示すフローチャートである。
【0081】
ステップS120からステップS132の処理は、それぞれ、
図7に示すステップS100からステップS112の処理と同じなので、説明を省略する。
【0082】
通信制御部50は、通信接続が切断されたか否かを判定する(ステップS134)。具体的には、通信制御部50は、第2通信部22により確立された他の無線通信端末16との第2無線通信方式の通信が切断されたか否かを判定する。通信接続が切断されたと判定された場合(ステップS134;Yes)、ステップS136に進む。通信接続が切断されたと判定されない場合(ステップS134;No)、ステップS138に進む。
【0083】
ステップS134でYesと判定された場合、状態判定部56は、無線通信端末16のユーザが緊急事態であると判定する(ステップS136)。そして、ステップS126に進む。
【0084】
ステップS138の処理は、
図7に示すステップS114の処理と同じなので、説明を省略する。
【0085】
上述のとおり、第2実施形態は、救助を待つユーザの無線通信端末と、救助に向かうユーザの無線通信端末との間で第2無線通信方式による通信接続が確立した後、通信接続が切断された場合であっても、再度、通信接続を確立することができる。これにより、第2実施形態は、緊急事態のユーザをより適切に救助することができる。
【0086】
[第3実施形態]
図9を用いて、第3実施形態に係る無線通信端末の処理内容について説明する。
図9は、第3実施形態に係る無線通信端末の処理内容を示すフローチャートである。
【0087】
図9に示す処理は、緊急事態となったユーザを救助に向かうユーザが持つ無線通信端末が実行する処理を示す。
【0088】
通信制御部50は、他の無線通信端末16から救助要請を示すRF信号を受信したか否かを判定する(ステップS150)。具体的には、通信制御部50は、第1通信部20による第1無線通信方式で他の無線通信端末16から救助要請を示すRF信号を受信したか否かを判定する。RF信号を受信したと判定された場合(ステップS150;Yes)、ステップS152に進む。RF信号を受信したと判定されない場合(ステップS150;No)、ステップS164に進む。
【0089】
ステップS150でYesと判定された場合、位置情報取得部60は、他の無線通信端末16の現在の位置を示す位置情報を取得する(ステップS152)。具体的には、位置情報取得部60は、RF信号に含まれるGNSS信号に基づいて、他の無線通信端末16の現在の位置を示す位置情報を取得する。そして、ステップS154に進む。
【0090】
出力制御部52は、他の無線通信端末16の現在の位置を示す位置情報を表示部30に表示させる(ステップS154)。そして、ステップS156に進む。
【0091】
電波強度判定部62は、他の無線通信端末16から受信したRF信号の電波強度は規定値以上であるか否かを判定する(ステップS156)。RF信号の電波強度が規定以上であると判定された場合(ステップS156;Yes)、ステップS158に進む。RF信号の電波強度が規定値以上であると判定されない場合(ステップS156;No)、ステップS164に進む。
【0092】
ステップS156でYesと判定された場合、通信制御部50は、接続要求信号を他の無線通信端末16に送信する(ステップS158)。具体的には、通信制御部50は、第2通信部22による第2無線通信方式で接続要求信号を他の無線通信端末16に送信する。そして、ステップS160に進む。
【0093】
通信制御部50は、無線通信端末16と、他の無線通信端末16との通信接続が確立したか否かを判定する(ステップS160)。具体的には、通信制御部50は、無線通信端末16と、他の無線通信端末16との間が第2通信部22による第2無線通信方式の通信接続が確立したか否かを判定する。通信接続が確立したと判定された場合(ステップS160;Yes)、ステップS162に進む。通信接続が確立したと判定されない場合(ステップS160;No)、ステップS164に進む。
【0094】
ステップS160でYesと判定された場合、通信制御部50は、救助情報を他の無線通信端末16に送信する(ステップS162)。そして、ステップS164に進む。
【0095】
制御部38は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS164)。具体的には、制御部38は、例えば、無線通信端末16の操作部24が他の無線通信端末16のエマージェンシーモードを解除するためのエマージェンシーモード終了操作を受け付けた場合に、処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS164;Yes)、
図9の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS164;No)、ステップS150に進む。
【0096】
上述のとおり、第3実施形態は、救助を待つ緊急事態のユーザの無線通信端末に対して、救助に向かうユーザの無線通信端末から救助情報を送信する。これにより、第3実施形態は、救助を待つ救急状態のユーザに他のユーザが救助に向かってくれることを認識させることで、安心感を与えることができる。
【0097】
[第4実施形態]
図10を用いて、第4実施形態に係る無線通信端末の構成例について説明する。
図10は、第4実施形態に係る無線通信端末の構成例を示すブロック図である。
【0098】
図10に示すように、無線通信端末16Aは、スマートフォン100と、業務用無線機110と、を備える。スマートフォン100と、業務用無線機110とは、USBケーブル等で通信可能に接続されている。すなわち、本発明においては、無線通信端末は、種類の異なる複数の無線通信装置を含んでよい。
【0099】
携帯電話の電波が届く圏内であれば、ユーザは、スマートフォン100を用いて他のユーザと通話可能である。スマートフォン100が通話に利用されている間は、業務用無線機110は、スピーカーマイクとして機能する。すなわち、業務用無線機110は、他のユーザからの受信音声を出力する。ユーザは、業務用無線機110のPTTボタンを押しながら、業務用無線機110に音声を入力することで、スマートフォン100から音声信号が送信される。
【0100】
携帯電話の電波が届かない圏外であれば、ユーザは、業務用無線機110単体で通信を行う。
【0101】
スマートフォン100は、
図4から
図6に示す処理のうち、ステップS24、ステップS38、ステップS52、ステップS68、およびステップS82の処理を実行する。すなわち、スマートフォン100は、
図3に示す無線通信端末16が実行する処理のうち、表示部30に情報を表示する処理を実行する。
【0102】
業務用無線機110は、
図4から
図6に示す処理のうち、ステップS24、ステップS38、ステップS52、ステップS68、およびステップS82以外の処理を実行する。すなわち、業務用無線機110は、
図3に示す無線通信端末16が実行する処理のうち、表示部30に情報を表示する処理以外の処理を実行する。
【0103】
上述のとおり、第4実施形態は、種類の異なる複数の通信装置を用いて、無線通信端末を構成する。これにより、第4実施形態は、エマージェンシーモード中に通信帯域が占有されてしまうことを防止することができるので、緊急事態のユーザを適切に救助することができる。
【0104】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0105】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0106】
1 無線通信システム
10 管理装置
12 サーバ装置
14 基地局装置
16,16A 無線通信端末
20 第1通信部
22 第2通信部
24 操作部
26 マイク
28 音声出力部
30 表示部
32 記憶部
34 センサ部
36 GNSS受信部
38 制御部
50 通信制御部
52 出力制御部
54 センサ制御部
56 状態判定部
58 モード切替部
60 位置情報取得部
62 電波強度判定部
100 スマートフォン
110 業務用無線機